JP7322529B2 - 推定装置、蓄電装置、推定方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電素子の劣化状態を推定する推定装置、該推定装置を含む蓄電装置、蓄電素子の劣化状態の推定方法、及びコンピュータプログラムに関する。
電気自動車、ハイブリッド車等に用いられる車両用の二次電池や、電力貯蔵装置、太陽光発電システム等に用いられる産業用の二次電池においては、高容量化が求められている。これまで様々な検討と改良が行われてきて、電極構造等の改良のみで更なる高容量化を実現することは困難な傾向にある。その為、現行の材料より高容量である正極材料の開発が進められている。
従来、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池用の正極活物質として、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が検討され、LiCoOを用いた非水電解質二次電池が広く実用化されていた。LiCoOの放電容量は120~130mAh/g程度であった。
リチウム遷移金属複合酸化物をLiMeO(Meは遷移金属)で表したとき、MeとしてMnを用いることが望まれてきた。MeとしてMnを含有させた場合、Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5を超える場合には、充電をするとスピネル型へと構造変化が起こり、結晶構造が維持できない為、充放電サイクル性能が著しく劣る。
Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5以下であり、Meに対するLiのモル比Li/Meが略1であるLiMeO型活物質が種々提案され、実用化されている。リチウム遷移金属複合酸化物であるLiNi1/2Mn1/2及びLiNi1/3Co1/3Mn1/3等を含有する正極活物質は150~180mAh/gの放電容量を有する。
LiMeO型活物質に対し、Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5を超え、遷移金属(Me)の比率に対するLiの組成比率Li/Meが1より大きいリチウム遷移金属複合酸化物を含む、いわゆるリチウム過剰型活物質も知られている。リチウム過剰型活物質としてLi2 MnO3 系の活物質も検討されている。
リチウム過剰型の材料は、同一のSOC(State Of Charge)に対して充電時及び放電時の各SOC-OCV(Open Circuit Voltage)間に、電圧及び電気化学的特性の差が生じる、ヒステリシスという性質を有する。
ヒステリシスを有する場合、SOCに対して電圧が一義的に決まらない為、SOC-OCVに基づいてSOCを推定するOCV法を用いてSOCを推定することは困難である。OCVは開放電圧である。SOC-OCV曲線が一義的に決まらない為、ある時点での放電可能エネルギーを予測することも困難である。
リチウム過剰型の材料は、充放電の繰り返しにより正極のSOC-OCP(Open Circuit Potential)が略全域に亘って変化する、電位降下(Voltage Fade)という性質も有する。電位降下は特に低SOC領域において顕著である。
電位降下により電池セルの放電容量及び平均放電電圧の値が減少するため、現時点のSOH(State of Health)として放電可能容量だけでなく、放電可能電力量を推定する必要がある。劣化に基づくSOC-OCPの変化により電池セルのSOC-OCVが大幅に変わる為、ある時点での放電可能エネルギーを予測することも困難である。
現行の推定技術によれば前記材料を含む蓄電素子において、精度良くSOC及びSOHを推定することは困難である。
リチウムイオン二次電池等の蓄電素子は、車載用等において、SOCが40%以上である状態で繰り返して使用されることが多い。充電する場合、満充電付近まで電圧を上げることも多く、充電終了後の高SOC領域で、劣化状態を把握できると、放電可能容量及び放電可能電力量を推定でき、適切なタイミングで劣化を抑制する制御を行うこともできるので、利便性が高い。
高SOC領域で、簡便、迅速、かつ高精度に劣化状態を推定することが求められている。
特許文献1の健全度推定装置は、電池の充電の終了時点から所定時間が経過するまでの電圧の変化量を算出し、電圧変化量と健全度との関係に基づいて、電圧変化量に応じた健全度を算出する。
特開2015-94710号公報
特許文献1の健全度推定装置によっては、上述のヒステリシス及び電位降下を示す活物質を含む蓄電素子の劣化状態を推定することはできない。
本発明は、蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を含む蓄電素子の劣化状態を推定する推定装置、蓄電装置、推定方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る推定装置は、蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定する推定装置であって、充電が休止したときの前記蓄電素子の第1電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの第2電圧との差である電圧変化量を取得する第1取得部と、前記電圧変化量に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する推定部とを備え、前記推定部は、前記電圧変化量の減少に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する。
本発明においては、電圧変化量に基づいて、蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を良好に推定することができる。
図1Aは蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を含む初期品の正極の充電電位とdQ/dVとの関係を示すグラフ、図1Bは劣化品の正極の充電電位とdQ/dVとの関係を示すグラフである。 充電電位に対する、X線吸収分光測定(XAFS測定)によって算出した前記活物質のNiのK吸収端エネルギーの推移を示すグラフである。 実施形態1に係る車両及びサーバの構成を示すブロック図である。 電池モジュールの斜視図である。 BMUの構成を示すブロック図である。 充電方法を説明するための説明図である。 制御部による劣化状態の推定処理の手順を示すフローチャートである。 実施形態3に係る制御部による劣化の推定処理の手順を示すフローチャートである。 実施例1の電池モジュールを用いて充放電サイクル試験を行い、サイクル数とΔOCVとの関係を求めた結果を示すグラフである。 サイクル数とΔOCV/tx との関係を求めた結果を示すグラフである。 比較例1の電池モジュールを用いて充放電サイクル試験を行い、サイクル数とΔOCVとの関係を求めた結果を示すグラフである。 サイクル数とΔOCV/tx との関係を求めた結果を示すグラフである。 比較例2の電池モジュールを用いて充放電サイクル試験を行い、サイクル数とΔOCVとの関係を求めた結果を示すグラフである。 サイクル数とΔOCV/tx との関係を求めた結果を示すグラフである。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施形態の概要)
実施形態に係る推定装置は、蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定する推定装置であって、充電が休止したときの前記蓄電素子の第1電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの第2電圧との差である電圧変化量を取得する第1取得部と、前記電圧変化量に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する推定部とを備え、前記推定部は、前記電圧変化量の減少に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する。
上記構成によれば、充電を休止した後、所定時間が経過したときの電圧の差である電圧変化量を取得する。前記活物質を含む蓄電素子は、経時的な劣化に伴い電圧変化量が特徴的に変化する。前記活物質においては、劣化に伴い、高電圧領域で安定に存在するようになり、充電を休止したときの蓄電素子の電圧が初期品より高くなる。従って、充電後、休止したときの電圧の下がり方が緩やかになり、経時的に電圧変化量が減少する。電圧変化量の減少に基づいて、蓄電素子の劣化状態を簡便、迅速、かつ高精度に推定できる。
実施形態に係る推定装置は、蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定する推定装置であって、充電が休止したときの前記蓄電素子の第1電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの第2電圧との差である電圧変化量を取得する第1取得部と、前記電圧変化量に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する推定部と、前記電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量を取得する第2取得部とを備え、前記推定部は、前記電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量の減少に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する。
上記構成によれば、電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量を取得する。前記活物質を含む蓄電素子は、経時的な劣化に従って時間変化量が特徴的に変化する。前記活物質においては、劣化に伴い、高電圧領域で安定に存在するようになり、充電を休止したときの蓄電素子の電圧が初期品より高くなる。従って、充電後、休止したときの電圧の下がり方が緩やかになり、経時的に時間変化量が減少する。時間変化量の減少に基づいて、蓄電素子の劣化状態を簡便、迅速、かつ高精度に推定できる。
上述の推定装置は、充放電の繰り返しと、前記電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量との関係を記憶し、又は該関係を関数式として記憶する記憶部を備え、前記推定部は、取得した電圧変化量又は時間変化量に基づき、前記関係又は前記関数式を参照して、前記蓄電素子の劣化状態を推定してもよい。
「充放電の繰り返し」とは、充放電のサイクル数の増加、又は蓄電素子の使用開始後の経過時間を意味する。
充放電の繰り返しにより劣化して、電圧変化量又は時間変化量が変化するので、前記関係又は前記関数式を参照して、蓄電素子の劣化状態を良好に推定できる。
上述の推定装置は、充放電の繰り返しに基づく、前記電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量の閾値を記憶する記憶部を備え、前記推定部は、取得した電圧変化量又は時間変化量、及び前記閾値に基づき、前記蓄電素子の劣化状態を推定してもよい。
前記閾値により、迅速に、蓄電素子の劣化状態を推定できる。
上述の推定装置は、前記第1電圧は4.5V以上であってもよい。
充電する場合、4.5V以上の電圧に到達するまで行うことが多い。4.5V以上の高電圧まで充電したときに、劣化の進行に伴い、該電圧で安定に存在するようになり、休止したときの電圧変化量又は時間変化量が特徴的に変化する。4.5V以上の電圧に到達するまで充電した後、休止したときの電圧変化量又は時間変化量を取得することで、実際の使用状態に適合するとともに、電圧変化量又は時間変化量の特徴的な変化により、良好に蓄電素子の劣化状態を推定できる。
実施形態に係る蓄電装置は、蓄電素子と、上述のいずれかの推定装置とを備える。
上記構成によれば、蓄電素子の劣化状態を良好に推定できる。
蓄電素子の使用後、未使用期間に充電する場合に、休止時の第1電圧と所定の休止時間経過後の第2電圧との差である電圧変化量の減少、又は電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量の減少に基づき、使用開始時に簡便に、かつ迅速に劣化状態を推定できる。例えば蓄電素子を車両に搭載し、車両の使用後、夜の未使用期間に充電する場合に利便性が高い。
また、充電後に短時間休止して、劣化状態を推定できる。
精度良く劣化状態を推定できる為、適切なタイミングで劣化を抑制する為の制御を行うことができ、蓄電素子の寿命を延ばすことができる。
通常の使用条件の範囲内で劣化状態を推定できる為、劣化状態を推定するときに蓄電素子が劣化することがない。
実施形態に係る推定方法は、蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定する推定方法であって、充電が休止したときの前記蓄電素子の電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの電圧との差である電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量を取得し、前記電圧変化量又は前記時間変化量の減少に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する。
上記構成によれば、充電を休止した後、所定時間が経過したときの電圧の差である電圧変化量を取得する。前記活物質を含む蓄電素子は、経時的な劣化に従って電圧変化量が特徴的に変化する。従って、電圧変化量に基づいて、蓄電素子の劣化状態を簡便、迅速、かつ高精度に推定することができる。
実施形態に係るコンピュータプログラムは、蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定するコンピュータに、充電が休止したときの前記蓄電素子の電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの電圧との差である電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量を取得し、前記電圧変化量又は前記時間変化量の減少に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する処理を実行させる。
蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質として、リチウム過剰型の活物質が挙げられる。
以下、蓄電素子の活物質がNiを含むLi過剰型のLiMeO-LiMnO固溶体であり、蓄電量がSOCである場合を例として説明する。
図1Aは、前記活物質を含む初期品の正極の充電電位とdQ/dVとの関係を示すグラフ、図1Bは劣化品の正極の充電電位とdQ/dVとの関係を示すグラフである。横軸は電位(VvsLi/Li+:Li/Li+平衡電位を基準にしたときの電位)、縦軸はdQ/dVである。
図2は充電電位に対する、X線吸収分光測定(XAFS測定)によって算出した前記活物質のNiのK吸収端エネルギーの推移を示すグラフである。横軸は充電電位E(VvsLi/Li+ )であり、縦軸はNiのK吸収端エネルギーE0 (eV)である。図2において、初期品を●で、劣化品を■で示している。
図1Bにおいて、電位が略4.7Vで、dQ/dVが上に凸に膨らんでおり、反応が生じていることが分かる。図2において、初期品の場合、該領域でE0 が一定になっているのに対し、劣化品の場合、EとE0 とが比例関係を示している。
以上より、初期品の場合、4.5V以上の領域でNiの酸化反応は生じていないが、劣化が進むことにより、該領域でNiの酸化反応が生じることが分かる。
劣化により、5VスピネルのLiNi0.5Mn1.54 のような相が形成されたと考えられる。LiNi0.5Mn1.54 は略5Vの領域で、安定に存在する。LiNi0.5Mn1.54 の場合、4.9V付近において、Ni起因のレドックス反応が生じる。
図2に示すように、初期品の場合、高電位領域で曲線が平坦化し、反応が収束するのに対し、劣化品の場合、高電位領域においても反応が進行している。そのため、劣化品の場合、充電を休止したときの電位、即ち蓄電素子の電圧が初期品より高くなる。
従来の蓄電素子の場合、劣化に伴い、内部抵抗が上昇するので、休止後の蓄電素子の電圧と、所定期間が経過したときの電圧との差(電圧変化量:ΔOCV)が次第に大きくなる。
前記活物質を含む蓄電素子の場合、上述したように、高電位領域(高電圧領域)で反応が進行し、劣化に伴い、休止時の電圧が高くなる。従って、劣化に伴い、内部抵抗が大きくなるにも関わらず、休止時の電圧が安定し、ΔOCVが次第に小さくなる。
以上より、ΔOCVを取得することにより、ΔOCVとSOHとの関係等に基づき、簡便に、迅速に、高精度に蓄電素子の劣化状態を推定することができる。
劣化によりΔOCVが小さくなった場合、時間変化量(ΔOCV/tx )も小さくなる。従って、充電後、休止したときのΔOCV/txを求めることにより、簡便に、迅速に、高精度に蓄電素子の劣化状態を推定できる。
(実施形態1)
以下、実施形態1として、車両に搭載される蓄電装置を例に挙げて説明する。
以下、蓄電素子が自動車用に用いられるリチウムイオン二次電池である場合を説明するが、蓄電素子はこのような用途のリチウムイオン二次電池には限定されない。
図3は、実施形態1に係る車両1及びサーバ13の構成を示すブロック図である。
車両1は、電池モジュール3と、BMU(Battery Management Unit)4と、負荷5と、統括ECU(Electronic Control Unit)6と、通信部7と、電圧センサ8と、電流センサ9とを備える。
電池モジュール3は、複数の蓄電素子としてのリチウムイオン二次電池(以下、電池という)2が直列に接続されている。統括ECU6は、車両1の電源装置全体を制御する。統括ECU6は車両1がHEV車又はガソリン車である場合、エンジンも制御する。
サーバ13は、通信部14、及び制御部15を備える。
統括ECU6は、通信部7、ネットワーク12、及び通信部14を介し、制御部15と接続されている。統括ECU6は、ネットワーク12を介して制御部15との間でデータの送受信を行う。
本実施形態においては、BMU4、統括ECU6、及び制御部15のいずれかが、本発明の推定装置として機能する。BMU4、統括ECU6、及び制御部15のいずれかと、電池モジュール3とが本発明の蓄電装置として機能する。なお、制御部15が前記推定装置として機能しない場合、車両1がサーバ13に接続されていなくてもよい。
電池モジュール3は、複数組備えてもよい。
BMU4は、電池ECUであってもよい。
電圧センサ8は、電池モジュール3に並列に接続されており、電池モジュール3の全体の電圧に応じた検出結果を出力する。電圧センサ8は、各電池2の後述する端子23,23に接続されており、各電池2の端子23,23間の電圧V1 を測定し、各電池2のV1 の合計値である電池モジュール3の後述するリード33,33間の電圧Vを検出する。
電流センサ9は、電池モジュール3に直列に接続されており、電池モジュール3に流れる電流Iを検出する。
図4は、電池モジュール3の斜視図である。
電池モジュール3は、直方体状のケース31と、ケース31に収容された複数の前記電池2とを備える。
電池2は、直方体状のケース本体21と、蓋板22と、蓋板22に設けられた、極性が異なる一対の端子23,23と、破裂弁24と、電極体25とを備える。電極体25は正極板、セパレータ、及び負極板を積層してなり、ケース本体21に収容されている。
電極体25は、正極板と負極板とをセパレータを介して扁平状に巻回して得られるものであってもよい。
正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である正極基材箔上に活物質層が形成されたものである。負極板は、銅及び銅合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である負極基材箔上に活物質層が形成されたものである。セパレータは、合成樹脂からなる微多孔性のシートである。
正極活物質としては、上述のLiMeO-LiMnO固溶体以外に、Li2O-LiMeO2固溶体、Li3NbO4 -LiMeO2固溶体、Li4 WO5 -LiMeO2固溶体、Li4 TeO5 -LiMeO2固溶体、Li3SbO4 -LiFeO2固溶体、Li2RuO3 -LiMeO2固溶体、Li2RuO3 -Li2 MeO3 固溶体等のLi過剰型活物質が挙げられる。負極活物質としては、ハードカーボン、Si、Sn、Cd、Zn、Al、Bi、Pb、Ge、Ag等の金属若しくは合金、又はこれらを含むカルコゲン化物等が挙げられる。カルコゲン化物の一例として、SiOが挙げられる。本発明の技術は、これらの正極活物質及び負極活物質の少なくとも一方がヒステリシスを有する場合、適用可能である。
また、上述の正極活物質以外にも、Li2O、Li2Oに遷移金属元素をドープしたリチウム遷移金属酸化物、逆蛍石型構造を有するリチウム遷移金属酸化物、逆蛍石型構造を有するリチウム遷移金属酸化物に、リチウム典型元素酸化物を混合した材料が挙げられる。これらの正極活物質は、遷移金属に加えて、遷移金属以外の元素のレドックス反応を用いるためにヒステリシスを有するので、本発明の技術が適用できる。
Li2Oに遷移金属元素をドープしたリチウム遷移金属酸化物の一例として、Li2OにCoをドープした材料、逆蛍石型構造を有するリチウム遷移金属酸化物として、LiCoO、逆蛍石型構造を有するリチウム遷移金属酸化物にリチウム典型元素酸化物を混合した材料の一例として、LiCoOとLiAlOとの固溶体や混合材料などが挙げられる。上述の遷移金属としてCoが好ましいものの、それ以外の遷移金属を複数含んでいてもよい。上述の典型元素としてAlが好ましいものの、それ以外の典型元素を複数含んでいてもよい。
電池モジュール3の隣り合う電池2の隣り合う端子23は極性が異なり、この端子23同士がバスバー32により電気的に接続されることで、複数の電池2が直列に接続されている。
電池モジュール3の両端の電池2の、互いに極性が異なる端子23,23には、電力を取り出すためのリード33,33が設けられている。
図5は、BMU4の構成を示すブロック図である。BMU4は、制御部41と、記憶部42と、入力部46と、インタフェース部47とを備える。これらの各部は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
入力部46は、電圧センサ8、電流センサ9からの検出結果の入力を受け付ける。インタフェース部47は、例えば、LANインタフェース及びUSBインタフェース等により構成され、有線又は無線により例えば統括ECU6等の他の装置との通信を行う。
記憶部42は、例えばハードディスクドライブ(HDD)等により構成され、各種のプログラム及びデータを記憶する。記憶部42には、例えば、後述する劣化状態の推定処理を実行するための推定プログラム43が格納されている。推定プログラム43は、例えば、CD-ROMやDVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体50に格納された状態で提供され、BMU4にインストールすることにより記憶部42に格納される。また、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから推定プログラム43を取得し、記憶部42に記憶させることにしてもよい。
記憶部42には、予め実験により複数の充電レート別に求めた、サイクル数とΔOCVとの関係を示す推定用情報44も記憶されている。推定用情報44は、適宜、定法により更新されてもよい。推定用情報44に代えて関数式を記憶することにしてもよい。推定用情報44として、ΔOCVとSOHとの関係も記憶してもよい。なお、推定用情報44は充電レート別に記憶する場合には限定されない。
記憶部42には充放電の履歴データ45も記憶されている。充放電の履歴とは、電池モジュール3の運転履歴であり、電池モジュール3が充電又は放電を行った期間(使用期間)を示す情報、使用期間において電池モジュール3が行った充電又は放電に関する情報等を含む情報である。電池モジュール3の使用期間を示す情報とは、電池モジュール3が充電又は放電を行った時点を示す情報、電池モジュール3が使用された累積使用期間等を含む情報である。電池モジュール3が行った充電又は放電に関する情報とは、電池モジュール3が行った充電時又は放電時の電圧、レート等を示す情報である。
制御部41は、例えばCPUやROM、RAM等により構成され、記憶部42から読み出した推定プログラム43等のコンピュータプログラムを実行することにより、BMU4の動作を制御する。制御部41は、推定プログラム43を読み出して実行することにより、劣化状態の推定処理を実行する処理部として機能する。
以下、本実施形態に係る劣化状態の推定処理について詳述する。電池モジュール3を一つの蓄電素子として、電池モジュール3の劣化状態を推定する場合につき説明する。
図6は、電池モジュール3の充電方法を説明するための説明図である。
BMU4の制御部41は、電池モジュール3に一定の電流で、電圧が満充電電圧等の上限電圧に到達するまでCC充電を行い、その後、一定の電圧でCV充電を行う。
制御部41は、CV充電が終了した直後(t=0)の電圧OCV0 と、所定の時間tx が経過したときの電圧OCV1 との差である電圧変化量ΔOCVを求め、電池モジュール3の劣化状態を推定する。
図7は、制御部41による劣化状態の推定処理の手順を示すフローチャートである。
制御部41は、CV充電の終了直後(t=0)の電圧OCV0 を電圧センサ8により取得する(S1)。
制御部41は、休止から所定時間経過した時点(t=tx )の電圧OCV1 を電圧センサ8により取得する(S2)。
制御部41は、ΔOCV=|OCV1 -OCV0 |を算出する(S3)。ΔOCVは負の数として求めてもよい。
制御部41は履歴データ45から充電時のレートを取得する(S4)。
制御部41は、劣化状態を推定する(S5)。
制御部41は、充電のレートに応じた、サイクル数とΔOCVとの関係又は関数式を記憶部42の推定用情報44から読み出す。充電時のレートに対応する前記関係が推定用情報44として記憶されていない場合、制御部41は内挿計算により前記関係を求める。
制御部41は、電池モジュール3のユーザの使用状況、使用条件、及びユーザから入力した劣化の判断基準等を考慮し、読み出した推定用情報44を参照して、算出したΔOCVに基づいて、現時点の電池モジュール3の劣化状態を推定し、処理を終了する。制御部41は、上述のΔOCVとSOHとの関係に基づいて劣化状態を推定してもよい。
本実施形態によれば、ΔOCVの減少に基づいて、良好に蓄電素子の劣化状態を推定できる。
(実施形態2)
実施形態2のBMU4においては、記憶部42に、推定用情報44として、予め実験により複数の充電レート別に求めた、サイクル数とΔOCVとの関係に基づき、劣化状態を推定するためのΔOCVの閾値が充電レートと関連付けて記憶されている。前記閾値は、ΔOCVとSOHとの関係等に基づいて決定する。
制御部41は、上述のS5において、推定用情報44から、充電レートに応じたΔOCVの閾値を読み出し、算出したΔOCVが閾値以下であるか否かを推定する。
制御部41は、算出したΔOCVが閾値以下であると推定した場合、電池モジュール3が劣化状態であると推定する。
(実施形態3)
実施形態3に係るBMU4においては、記憶部42に、推定用情報44として、サイクル数とΔOCV/tx との関係が記憶されている。該関係に代えて関数式を記憶することにしてもよい。推定用情報44として、ΔOCV/tx とSOHとの関係も記憶してもよい。
図8は、制御部41による劣化の推定処理の手順を示すフローチャートである。
制御部41は、CV充電の終了直後(t=0)の電圧OCV0 を電圧センサ8により取得する(S11)。
制御部41は、休止から所定時間経過した時点(t=x)の電圧OCV1 を電圧センサ8により取得する(S12)。
制御部41は、ΔOCV=|OCV1 -OCV0 |を算出し、ΔOCVをtx で除してΔOCV/txを求める(S13)。
制御部41は履歴データ45から充電のレートを取得する(S14)。
制御部41は、劣化状態を推定する(S15)。
制御部41は、充電のレートに応じた推定用情報44を記憶部42から読み出す。制御部41は、電池モジュール3のユーザの使用状況、使用条件、及びユーザから入力した劣化の判断基準等を考慮し、読み出した推定用情報44を参照して、算出したΔOCV/txに基づいて、現時点の電池モジュール3が劣化状態にあるか否かを推定し、処理を終了する。制御部41は、ΔOCV/tx とSOHとの関係に基づいて劣化状態を推定してもよい。
本実施形態によれば、ΔOCV/tx の減少に基づいて、良好に蓄電素子の劣化状態を推定できる。
(実施形態4)
実施形態4に係るBMU4においては、記憶部42に、推定用情報44として、予め実験により複数の充電レート別に求めた、サイクル数とΔOCV/txとの関係に基づき、劣化状態を推定するためのΔOCV/txの閾値が充電レートと関連付けて記憶されている。前記閾値は、ΔOCV/txとSOHとの関係等に基づいて決定する。
制御部41は、上述のS15において、推定用情報44から、充電レートに応じたΔOCV/txの閾値を読み出し、算出したΔOCV/txが閾値以下であるか否かを推定する。
制御部41は、算出したΔOCVが閾値以下であると推定した場合、電池モジュール3が劣化状態であると推定する。
以下、実施例を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
正極活物質として上述のLi過剰型の活物質を、負極活物質としてグラファイトを用いて実施例1の電池2を作製し、電池モジュール3を構成した。この電池モジュール3を用いて充放電サイクル試験を行い、サイクル数とΔOCVとの関係を求めた。その結果を図9に示す。横軸はサイクル数、縦軸はΔOCV(mV)である。
充放電サイクル試験においては、温度25℃の条件下、0.5Cで電圧が4.6Vに到達するまでCC充電を行い、4.6Vで電流が0.1Cに到達するまでCV充電を行い、10分間休止した。その後、1.0Cで電圧が2.0Vに到達するまでCC放電を行い、10分間休止した。これを1サイクルとして、充放電を繰り返した。各サイクルにおいて、充電の終了後、10分間休止したときのΔOCVを示している。
図9に示すように、サイクル数が増加するに従い、ΔOCVは小さくなる。従って、例えばΔOCVの減少の程度とSOHとを関連付けておくことにより、取得時点のΔOCVに基づいて劣化状態を推定できる。通電電流及び温度にも依存するが、例えばΔOCVが初期の1/2になった場合に、電池2のSOHが一定基準を下回ったと判定できる。
このサイクル数とΔOCVとの関係を推定用情報44として記憶部42に記憶してあり、電池モジュール3の充電の履歴が上述のサイクル試験の充電レートのパターンと一致する場合、制御部41は、推定用情報44を参照し、電池モジュール3が劣化状態であるか否かを推定する。
図10は、サイクル数とΔOCV/tx との関係を求めた結果を示すグラフである。横軸はサイクル数、縦軸はΔOCV/tx と(mV/min)である。ここで、tx は10分であり、各サイクルにおいて、充電の終了後、10分間休止したときの上述のΔOCVを10で除して、1分間当たりのOCVの変化量(ΔOCV/tx )を求めている。
図10に示すように、サイクル数が増加するに従い、ΔOCV/tx は小さくなる。従って、ΔOCV/tx の減少の程度とSOHとを関連付けておくことにより、取得時点のΔOCV/tx に基づいて劣化状態を推定できる。
[比較例1]
正極活物質としてNCM111(Ni:Co:Mn(モル比)が1:1:1である)を、負極活物質としてグラファイトを用い、比較例1の電池を作製し、電池モジュールを構成した。この電池モジュールを用いて充放電サイクル試験を行い、サイクル数とΔOCVとの関係を求めた。その結果を図11に示す。横軸はサイクル数、縦軸はΔOCV(mV)である。
充放電サイクル試験においては、25℃の温度下で、1.0Cで電圧が4.2Vに到達するまでCC充電を行い、10分間休止した。その後、1.0Cで電圧が2.8Vに到達するまでCC放電を行い、10分間休止した。これを1サイクルとして、充放電を繰り返した。
図11より、サイクル数の増加とともにΔOCVが大きくなることが分かる。劣化に伴って内部抵抗が大きくなり、充電終了後の電圧の減少量が大きくなって、ΔOCVが大きくなる。
図12は、サイクル数とΔOCV/tx との関係を求めた結果を示すグラフである。横軸はサイクル数、縦軸はΔOCV/tx (mV/min)である。ここで、tx は10分であり、各サイクルにおいて、充電の終了後、10分間休止したときの上述のΔOCVを10で除して、1分間当たりのOCVの変化量(ΔOCV/tx )を求めている。
図12に示すように、サイクル数が増加するに従い、ΔOCV/tx は大きくなる。
[比較例2]
正極活物質としてNCM622(Ni:Co:Mn(モル比)が6:2:2である)を、負極活物質としてグラファイトを用い、比較例2の電池を作製し、電池モジュールを構成した。この電池を用いて充放電サイクル試験を行い、サイクル数とΔOCVとの関係を求めた。その結果を図13に示す。横軸はサイクル数、縦軸はΔOCV(mV)である。比較例2の充放電サイクル試験の充放電プログラムは、比較例1の充放電サイクル試験の充放電プログラムと同一である。
図13より、サイクル数の増加とともにΔOCVが大きくなることが分かる。
図14は、サイクル数とΔOCV/tx との関係を求めた結果を示すグラフである。横軸はサイクル数、縦軸はΔOCV/tx (mV/min)である。ここで、tx は10分であり、各サイクルにおいて、充電の終了後、10分間休止したときの上述のΔOCVを10で除して、1分間当たりのOCVの変化量(ΔOCV/tx )を求めている。
図14に示すように、サイクル数が増加するに従い、ΔOCV/tx は大きくなる。
比較例1及び2のように従来の活物質を含む電池モジュールを使用した場合、電池モジュールの劣化に伴い、内部抵抗の上昇等により、ΔOCV又はΔOCV/tx が大きくなる。特許文献1の健全度推定装置も劣化に伴い、ΔOCVが大きくなることに基づいて、電池の劣化状態を推定している。
実施例1に示すように、本実施形態に係る電池モジュール3を使用した場合、ΔOCV又はΔOCV/tx が小さくなる。従って、ΔOCV又はΔOCV/txに基づいて、電池モジュール3の劣化状態を簡便、迅速、かつ高精度に推定することができる。
充電する場合、4.5V以上の電圧に到達するまで行うことが多い。4.5V以上の高電圧まで充電したときに、上述したように、劣化の進行に伴い、該電圧で安定に存在するようになり、ΔOCV又はΔOCV/txが特徴的に変化する。4.5V以上の電圧に到達するまで充電したときのΔOCV又はΔOCV/txを取得することで、実際の使用状態に適合するとともに、ΔOCV又はΔOCV/tx量の特徴的な変化により、良好に電池モジュール3の劣化状態を推定できる。
車両1の使用後、夜の未使用期間に充電する場合に、ΔOCVに基づき、使用開始時に簡便に、かつ迅速に劣化状態を推定でき、利便性が高い。
また、充電後に短時間休止して、劣化状態を推定できる。
精度良く劣化状態を推定できる為、適切なタイミングで劣化を抑制する為の制御を行うことができ、電池モジュール3の寿命を延ばすことができる。
通常の使用条件の範囲内で劣化状態を推定でき、劣化状態を推定するときに電池モジュール3が劣化することがない。
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る推定装置は、車載用に限定されず、鉄道用回生電力貯蔵装置、太陽光発電システム等の他の蓄電装置にも適用できる。また、本発明に係る推定装置は、ノートパソコン、携帯電話機、及びシェーバー等のモバイル機器にも適用できる。
そして、蓄電素子はリチウムイオン二次電池には限定されない。蓄電素子は、他の二次電池であってもよいし、一次電池であってもよいし、キャパシタ等の電気化学セルであってもよい。
また、前記実施形態1~4においては、電池モジュール3を一つの蓄電素子として、ΔOCV又はΔOCV/txを取得し、電池モジュール3の劣化状態を推定する場合につき説明しているが、これに限定されない。各電池2につきΔOCV又はΔOCV/txを取得し、電池2の劣化状態を各別に推定することにしてもよい。
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子の劣化状態の推定に適用できる。
1 車両
2 電池(蓄電素子)
3 電池モジュール(蓄電素子)
4 BMU
41 制御部
42 記憶部
43 推定プログラム
44 推定用情報
45 履歴データ
46 入力部
47 インタフェース部
6 統括ECU
13 サーバ
14 通信部
15 制御部

Claims (8)

  1. 蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定する推定装置であって、
    充電が休止したときの前記蓄電素子の第1電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの第2電圧との差である電圧変化量を取得する第1取得部と、
    前記電圧変化量に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する推定部と
    電圧変化量の閾値を充電レートと関連付けて記憶する記憶部と
    を備え、
    前記推定部は、前記電圧変化量の減少と、前記蓄電素子の充電レートに応じた前記閾値とに基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する、推定装置。
  2. 蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定する推定装置であって、
    充電が休止したときの前記蓄電素子の第1電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの第2電圧との差である電圧変化量を取得する第1取得部と、
    前記電圧変化量に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する推定部と、
    前記電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量を取得する第2取得部と
    電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量の閾値を充電レートと関連付けて記憶する記憶部と
    を備え、
    前記推定部は、前記電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量の減少と、前記蓄電素子の充電レートに応じた前記閾値とに基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する、推定装置。
  3. 充放電の繰り返しの回数と、前記電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量との関係を記憶し、又は該関係を関数式として記憶する前記記憶部を備え、
    前記推定部は、取得した電圧変化量又は時間変化量に基づき、前記関係又は前記関数式を参照して、前記蓄電素子の劣化状態を推定する、請求項1又は2に記載の推定装置。
  4. 充放電の繰り返しに基づく、前記電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量の前記閾値を記憶する前記記憶部を備える、請求項1から3までのいずれか1項に記載の推定装置。
  5. 前記第1電圧は4.5V以上である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の推定装置。
  6. 蓄電素子と、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の推定装置と
    を備える、蓄電装置。
  7. 蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定する推定方法であって、
    充電が休止したときの前記蓄電素子の電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの電圧との差である電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量の閾値を充電レートと関連付けて記憶してあり、
    充電が休止したときの前記蓄電素子の電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの電圧との差である電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量を取得し、
    前記電圧変化量又は前記時間変化量の減少と、前記蓄電素子の充電レートに応じた前記閾値とに基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する、推定方法。
  8. 蓄電量-電圧充電特性及び蓄電量-電圧放電特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の劣化状態を推定するコンピュータに、
    充電が休止したときの前記蓄電素子の電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの電圧との差である電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量の閾値を充電レートと関連付けて記憶し、
    充電が休止したときの前記蓄電素子の電圧と、充電の休止が継続して所定の時間が経過したときの電圧との差である電圧変化量、又は該電圧変化量の単位時間当たりの時間変化量を取得し、
    前記電圧変化量又は前記時間変化量の減少と、前記蓄電素子の充電レートに応じた前記閾値とに基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推定する
    処理を実行させる、コンピュータプログラム。
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