JP7393822B1 - リチウム二次電池の劣化判定方法、電池劣化判定装置 - Google Patents

リチウム二次電池の劣化判定方法、電池劣化判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より簡便な方法で、リチウム二次電池において電解液の枯渇を早期に検出する。【解決手段】本発明の一態様は、連続的に充電を行って所定の閉回路電圧V1に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放する工程(1-1)と、工程(1-1)においてリチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t1およびt2経過した後のリチウム二次電池の開回路電圧をそれぞれOCVt1、OCVt2としたときに、OCVt1とOCVt2の差分電圧ΔOCV1を算出し、記憶する工程(1-2)と、工程(1-1)と工程(1-2)を充電サイクルごとに実施し、サイクル回数の経過に伴う差分電圧ΔOCV1の変化に基づいて、リチウム二次電池が劣化したか否か判定する工程(1-3)と、を備えた、リチウム二次電池の劣化判定方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の劣化有無を判定する技術に関する。
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ等の携帯型コードレス製品は益々小型化、ポータブル化が進んでいる。また、大気汚染や二酸化炭素の増加等の環境問題の観点から、ハイブリッド自動車、電気自動車、電動船舶や、ドローンをはじめとする小型飛行体等の電動移動体の開発が進められ、実用化の段階となっている。これら電子機器や電気自動車等の電動移動体には、高効率、高出力、高エネルギー密度、軽量等の特徴を有する優れた二次電池が求められている。さらに、夜間電力や太陽光等の自然エネルギーで発電した電気を効率的に蓄電する手段としても、二次電池の有効利用に注目が集まっている。このような特性を有する二次電池の開発、研究が盛んに行われている。
電池において電解液の枯渇が起こった場合、そのまま電池の使用を続けていると引き続いてデンドライトの発生などが起こりやすくなり、その結果、電池が安全に使用できなくなる可能性がある。特に、リチウム金属二次電池のように、負極表面において大量に電解液と金属リチウムの副反応が発生するような電池では、電解液の枯渇が比較的早く起こりやすいうえ、エネルギー密度も高いため、枯渇が起こった後の危険も高い。そのため、早期に電解液の枯渇に伴う電池の劣化の予兆を検出する必要がある。
電池劣化の予兆を検知する方策が提案されている。例えば特許文献1には、充電可能電池の電解液の液面高さと満充電時におけるOCV(開回路電圧)との関係に基づき、当該OCVを所定の閾値と比較することにより電池の電解液に異常減液が生じているか否か判定するように構成したものが記載されている。
特開2022-44621号公報
特許文献1に記載された方法では、減液が進むことで、電解液の適正上限を示すラインから電解液の適正下限を示すラインに向かって変化する電解液面の複数の液面高さを観測し、各液面高さにおけるOCVを測定することで、充電可能電池の電解液の液面高さとOCVとの関係を求めている。しかし、このような方法は、例えば鉛蓄電池等、外部から電解液面の液面高さをモニタできる電池に限られ、リチウム二次電池のように外部から電解液面の液面高さをモニタできない電池には適用できないし、電解液の液面高さとOCVとの関係を予め求めるのは煩雑である。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、より簡便な方法で、リチウム二次電池において電解液の枯渇を早期に検出することにある。
本発明の第1の観点は、リチウム二次電池の劣化判定方法であって、
連続的に充電を行って所定の閉回路電圧V1に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放する工程(1-1)と、
前記工程(1-1)において前記リチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t1およびt2(但し、t1<t2)経過した後の前記リチウム二次電池の開回路電圧をそれぞれOCVt1、OCVt2としたときに、OCVt1とOCVt2の差分電圧ΔOCV1を算出し、記憶する工程(1-2)と、
前記工程(1-1)と前記工程(1-2)を充電サイクルごとに実施し、サイクル回数の経過に伴う差分電圧ΔOCV1の変化に基づいて、前記リチウム二次電池が劣化したか否か判定する工程(1-3)と、を備える。前記工程(1-3)では、
サイクル回数の経過に対して前記差分電圧ΔOCV1が略一定値を維持するサイクル回数領域Aと、サイクル回数領域Aに続き、前記差分電圧ΔOCV1が極大値となるサイクル回数を含むサイクル回数領域Bと、を特定した場合に、
前記サイクル回数領域Bのいずれかのサイクル回数において前記リチウム二次電池が劣化したと判定する。
本発明の第2の観点は、リチウム二次電池の劣化判定方法であって、
連続的に充電を行って所定の閉回路電圧V1に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放する工程(2-1)と、
前記工程(2-1)において前記リチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t3(但し、t3<0.1[sec])経過した後の前記リチウム二次電池の開回路電圧OCVt3を測定、記憶する工程(2-2)と、
前記工程(2-1)と前記工程(2-2)を充電サイクルごとに実施し、サイクル回数の経過に伴う開回路電圧OCVt3の変化に基づいて、前記リチウム二次電池が劣化したか否か判定する工程(2-3)と、を備える。前記工程(2-3)では、
サイクル回数の経過に対して前記開回路電圧OCVt3が連続的に減少するサイクル回数領域Cと、
前記サイクル回数領域Cに続き、前記開回路電圧OCVt3が略一定値を維持するサイクル回数領域Dと、
前記サイクル回数領域Dに続き、前記開回路電圧OCVt3が再度連続的に減少するサイクル回数領域Eと、を特定した場合に、
前記サイクル回数領域Dまたは前記サイクル回数領域Eのいずれかのサイクル回数において前記リチウム二次電池が劣化したと判定する。
本発明の第3の観点は、リチウム二次電池の劣化判定方法であって、
連続的に放電を行って所定の閉回路電圧V2に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放する工程(3-1)と、
前記工程(3-1)において前記リチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t4およびt5(但し、t4<t5)経過した後の前記リチウム二次電池の開回路電圧をそれぞれOCVt4、OCVt5としたときに、OCVt4とOCVt5の差分電圧ΔOCV2を算出し、記憶する工程(3-2)と、
前記工程(3-1)と前記工程(3-2)を放電サイクルごとに実施し、サイクル回数の経過に伴う差分電圧ΔOCV2の変化に基づいて、前記リチウム二次電池が劣化したか否か判定する工程(3-3)と、を備える。前記工程(3-3)では、
サイクル回数の経過に対して前記差分電圧ΔOCV2が略一定値を維持するサイクル回数領域Fと、サイクル回数領域Fに続き、前記差分電圧ΔOCV2が極小値となるサイクル回数を含むサイクル回数領域Gと、を特定した場合に、
前記サイクル回数領域Gのいずれかのサイクル回数において前記リチウム二次電池が劣化したと判定する。
本発明の第4の観点は、リチウム二次電池の劣化判定方法であって、
連続的に放電を行って所定の閉回路電圧V2に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放する工程(4-1)と、
前記工程(4-1)において前記リチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t6(但し、t6<0.1[sec])経過した後の前記リチウム二次電池の開回路電圧OCVt6を測定、記憶する工程(4-2)と、
前記工程(4-1)と前記工程(4-2)を放電サイクルごとに実施し、サイクル回数の経過に伴う開回路電圧OCVt6の変化に基づいて、前記リチウム二次電池が劣化したか否か判定する工程(4-3)と、を備える。前記工程(4-3)では、
サイクル回数の経過に対して前記開回路電圧OCVt6が連続的に増加するサイクル回数領域Hと、
前記サイクル回数領域Hに続き、前記開回路電圧OCVt6が略一定値を維持する、もしくは極大値を経て減少に転じるサイクル回数を含むサイクル回数領域Jと、を特定した場合に、
前記サイクル回数領域Jのいずれかのサイクル回数において前記リチウム二次電池が劣化したと判定する。
本発明のある態様によれば、より簡便な方法で、リチウム二次電池において電解液の枯渇を早期に検出することができる。
一実施形態の二次電池セルの充電休止後のOCV挙動について説明する図である。 例示的な二次電池セルにおいてサイクル回数に応じた充電休止後のOCV挙動を示す図である。 例示的な二次電池セルにおいてサイクル回数に応じた充電休止後のOCVの指標値を示す図である。 図3に対して電解液を変化させたときの充電休止後のOCVの指標値を示す図である。 サイクル回数に応じた電解液量の変化を示す図である。 一実施形態の二次電池セルの放電休止後のOCV挙動について説明する図である。 例示的な二次電池セルにおいてサイクル回数に応じた放電休止後のOCV挙動を示す図である。 例示的な二次電池セルにおいてサイクル回数に応じた放電休止後のOCVの指標値を示す図である。 一実施形態の電池劣化判定装置の構成を示す図である。 一実施形態の電池劣化判定装置に格納されるOCVデータセットのデータ構成例を示す図である。 一実施形態の電池劣化判定装置の充電休止後の動作を示すフローチャートである。 一実施形態の電池劣化判定装置の充電休止後の動作を示すフローチャートである。 一実施形態の電池劣化判定装置の放電休止後の動作を示すフローチャートである。 一実施形態の電池劣化判定装置の放電休止後の動作を示すフローチャートである。
本開示において二次電池の「開回路電圧」(又は「OCV」ともいう。)とは、二次電池が負荷に対して開放しているときの電圧を意味する。すなわち、本開示における「開回路電圧」とは、二次電池の端子間を開放状態(端子間を通電状態から遮断状態)にして長時間緩和させて平衡状態になったときの電圧に限られず、二次電池の端子間を開放させた直後から平衡状態に至るまでの過渡的な二次電池の端子間の電圧をも包括的に含むように表現したものである。
本願の発明者は、リチウム二次電池の開回路電圧と当該電池の劣化の相関関係について鋭意研究を進めた結果、電解質の枯渇が進行するにつれて、リチウム二次電池についてSOC100%近くまで充電、又は、最大放電深度近くまで放電して休止した直後のOCVに特徴的な挙動が見られることを見出し、それによってリチウム二次電池の劣化を早期に検出できることを突き止めた。
特に、負極が、あらかじめ負極集電体上に金属リチウム層が形成されているか、又は、充電時に負極集電体上に金属リチウムが析出するリチウム二次電池である場合には、上記OCVの特徴的な挙動が明確に表出することを見出した。
先ず、充電休止直後のOCV挙動に基づく特徴的な変化について図1に示す。
図1は、一実施形態の二次電池セルの充電休止後のOCV挙動を示している。
図1では、リチウム金属二次電池セル(以下、単に「二次電池セル」という。)をSOC100%近くまで充電してから二次電池セルを負荷から開放して通電状態から遮断状態にしてからの時間(以下、「休止時間」という。)と二次電池セルの開回路電圧OCVの関係を示している。
休止直前の二次電池セルの閉回路電圧V1は、4.0V以上4.3V以下であることが好ましい。
図1では、サイクル回数Nが1の場合(N=1)の場合とサイクル回数Nがmの場合(N=m)(m≧2)について示しているが、いずれの場合も休止時間が経過するに伴って開回路電圧が低下(緩和)していく。このとき、N=1の場合とN=mの場合とでは、休止時間に対する開回路電圧の挙動(OCV挙動)が変化する。
ここで、休止時間が時間t1のときの開回路電圧OCVt1と、休止時間が時間t2(但し、t1<t2)のときの開回路電圧OCVt2との差分である差分電圧ΔOCV1(=OCVt2-OCVt1)を定義したときに、サイクル回数の経過に伴う差分電圧ΔOCV1の変化を観察したところ、図1に示すように、あるサイクル回数CMAXのときにΔOCV1が極大値をとることが判明した。
差分電圧ΔOCV1があるサイクル回数において極大値をとる理由は、以下のように推定される。すなわち、初期からある程度のサイクル回数が経過するまでは電解液が十分に存在するため、時間t1から時間t2までの開回路電圧の緩和量は概ね一定である。サイクル回数が経過して電解液が枯渇し始めるとリチウムイオンの電極間での授受が抑制され、いったん緩和し難い方向(つまり、ΔOCV1がゼロに近付く方向)に進む。ここで、電解液の枯渇の進行程度は、極板の表面ばらつき等に応じて表面上でばらつきがあるため、電解液の枯渇が極板の全面で進行すると、電解液が完全に枯渇していない局所的な位置でリチウムイオンの授受が促進され、その位置で電極間の短絡に近い挙動となりΔOCV1が急激に低下する(絶対値が増加する)ものと推察される。
そこで、一実施形態では、図1に示すように、サイクル回数の経過に対して差分電圧ΔOCV1が略一定値を維持するサイクル回数領域Aと、サイクル回数領域Aに続き、差分電圧ΔOCV1が極大値となるサイクル回数を含むサイクル回数領域Bと、を特定した場合に、サイクル回数領域Bのいずれかのサイクル回数において二次電池セルが劣化したと判定し、二次電池セルの使用を停止することができる。
一実施形態では、差分電圧ΔOCV1が極大値となるサイクル回数において二次電池セルが劣化したと判定してもよく、その場合にはより早期に電解液の枯渇を進行したと判断することができる。
差分電圧ΔOCV1を定義するときの休止時間t1は、60[sec]以上であることが好ましい。休止直後しばらくは、休止直後の開回路電圧からの変動(緩和)量が大きくかつ一定しない傾向があるが、t1が60[sec]以上であると、開回路電圧の変化速度が相対的に小さくかつ概ね一定になる。そして、この変化速度が相対的に小さくかつ概ね一定になった後の、開回路電圧の差分と、電解液の枯渇の進行程度とがほぼ比例関係にある。
上記極大値が認識しやすいデータが得られる点で、休止時間t1,t2の差は上記の開回路電圧の緩和量が概ね一定であるか否かを判断するに十分な時間である60[sec]以上であることが好ましい。
別の観点では、二次電池セルを負荷から開放した直後の時間、すなわち、二次電池セルが過電圧の影響を受けて急激に開回路電圧OCVが低下する時間に着目したところ、休止時間が時間t3(但し、t3<0.1[sec])のときの開回路電圧OCVt3を定義したときに、サイクル回数の経過に伴うOCVt3の変化において、図1に示す特徴的な変化が生ずることが判明した。
一般的には、サイクル回数が経過するに伴って二次電池セルの極板間の内部抵抗が増加していくため、負荷から開放した直後の開回路電圧は、サイクル回数の増加に対してリニアに低下する。しかし、二次電池セルの電解液が枯渇してくると、開回路電圧OCVt3は、図1に示す特徴的な挙動を示すことが判明した。
すなわち、図1に示すように、サイクル回数の経過に対して開回路電圧OCVt3が連続的に減少するサイクル回数領域Cと、開回路電圧OCVt3が略一定値を維持するサイクル回数領域Dと、開回路電圧OCVt3が再度連続的に減少するサイクル回数領域Eとが、連続的に生起することが判明した。したがって、このサイクル回数領域C,D,Eを特定した場合に、サイクル回数領域Dまたはサイクル回数領域Eのいずれかのサイクル回数において二次電池セルが劣化したと判定することができる。
一実施形態では、サイクル回数領域Dからサイクル回数領域Eに転じた時点において、二次電池セルが劣化したと判定してもよく、その場合にはより早期に電解液の枯渇を進行したと判断することができる。
図2は、例示的な二次電池セルにおいてサイクル回数に応じた充電休止後の実際のOCV挙動の一例を示す図である。このOCV挙動のデータを取得する際には、以下の仕様のリチウム金属二次電池を使用した。
[リチウム金属二次電池の仕様]
・セル容量…1.2[Ah]
・正極…容量密度:3.7[mAh/cm]、空孔率:30[vol%]、集電体:厚み10μmのAl
・負極…主材:厚み30μmのLi薄膜、集電体:厚み6μmのCu
・セパレータ:厚み16μmのポリプロピレン(PP)に対して無機物粒子の層として厚み4μmのアルミナ(Al)の層を形成したもの
・電解液
電解質に含まれるリチウム塩:濃度3.0[M]のLiFSI
溶媒:21[wt%]の1,2-ジメトキシエタン(DME)に補助溶媒として41[wt%]のハイドロフルオロエーテル(HFE)を添加したもの
液量係数:1.5
ここで、「液量係数」とは、電池に注入される電解液の体積の、発電要素(正極、負極)が吸液しうる電解液の体積に対する比率であり、この値が大きいほど電解液の枯渇が生じにくくなる。例えば、発電要素がちょうど吸液しうるだけの電解液を注液することにより作製された電池の液量係数は1であり、注液される電解液の体積が、発電要素がちょうど吸液しうるだけの電解液の体積よりも多くなるほど、液量係数の値は大きくなる。
図2は、充電のサイクル回数が1~105における休止時間と開回路電圧OCVの関係をプロットしたものである。このとき、休止直前の二次電池セルの閉回路電圧V1を4.30Vとした。
図2に示すように、いずれのサイクル回数においても二次電池セルを負荷から開放した直後から開回路電圧が低下(緩和)していくが、緩和の程度はサイクル回数が進行するのに伴って大きくなる。
図3は、図2の充電休止後のOCV挙動を基に、サイクル回数と、休止時間が時間t3のときの開回路電圧OCVt3、及び、差分電圧ΔOCV1(休止時間t1の開回路電圧OCVt1と休止時間t2の開回路電圧OCVt2との差分)をそれぞれプロットしたものである。なお、この例では、t1=60[sec]、t2=120[sec]、t3=0.05[sec]としている。
図3に示すように、サイクル回数と開回路電圧OCVt3の関係(充電休止0.05sec後のOCV(液量係数=1.5))では、初期からサイクル回数が約70まで比較的リニアに開回路電圧OCVt3が低下するが、サイクル回数が約70に達してからは、サイクル回数が進行しても開回路電圧OCVt3が概ね一定となることが確認された。
また、図3に示すように、サイクル回数と差分電圧ΔOCV1の関係(充電休止後のΔOCV1(液量係数=1.5))では、初期からサイクル回数が約70までΔOCV1が概ね一定であるが、サイクル回数が約70より大きくなると緩和し難くなる方向(つまり、ΔOCV1がゼロに近付く方向)に変化し、サイクル回数が85以降になると緩和する速さが大きくなる傾向となった。すなわち、サイクル回数が85(図1のCMAXが85)のときに差分電圧ΔOCV1が極大値をとることが確認された。
次いで、上記リチウム金属二次電池と正極と負極、セパレータは同一の仕様であって、セル容量が0.8[Ah]であり、電解液の組成を、リチウム塩:濃度2.6[M]のLiFSI、溶媒:スルホラン(SL)及び1,2-ジメトキシエタン(DME)に補助溶媒として32[wt%]のハイドロフルオロエーテル(HFE)を添加したものについて、電解液の体積を変動させた場合(つまり、液量係数を変化させた場合)、図3と同様に、サイクル回数と、開回路電圧OCVt3、及び、差分電圧ΔOCV1をそれぞれプロットしたものを図4に示す。図4では、液量係数が1.3及び1.9の場合についてそれぞれ示している。この例でも、t1=60[sec]、t2=120[sec]、t3=0.05[sec]としている。
図4に示すように、サイクル回数と開回路電圧OCVt3の関係では、液量係数が1.3の場合にサイクル回数が約55に達してからは、開回路電圧OCVt3が概ね一定となり、液量係数が1.9の場合にサイクル回数が約85に達してからは、開回路電圧OCVt3が概ね一定となることが確認された。
サイクル回数と差分電圧ΔOCV1の関係では、液量係数が1.3の場合にはサイクル回数が65のときに差分電圧ΔOCV1が極大値をとり、液量係数が1.9の場合にはサイクル回数が80のときに差分電圧ΔOCV1が極大値をとることが確認された。
すなわち、初期の電解液量に関わらず、電解液の量が枯渇してくると同様のOCV挙動が生ずる。初期の電解液量に応じてOCV挙動に特徴的な変化が生ずるときのサイクル回数が変動するものの、その特徴的なOCV挙動を検出することで電解液の枯渇を早期に検出することができ、二次電池セルの劣化を捉えることができる。
図5に、液量係数が1.3の場合にサイクル回数が30および60のときの二次電池セルを解体し、セパレータの濡れ度合いを示す写真の画像と、液量係数が1.9の場合にサイクル回数が60および100のときの二次電池セルを解体し、セパレータの濡れ度合いを示す写真の画像とを示す。
図5に示すように、液量係数が1.3の場合には、サイクル回数が30のときに電解液が残っているためセパレータが電解液により濡れており、上記極大値をとるときのサイクル回数(65)に近いサイクル回数が60のときに電解液がほとんど残っていないことがわかる。
図5に示すように、液量係数が1.9の場合には、サイクル回数が60のときに電解液が残っているためセパレータが電解液により濡れており、上記極大値をとるときのサイクル回数(80)の後のサイクル回数が100のときに電解液がほとんど残っていないことがわかる。
このように、セパレータの電解液による濡れ具合を観測することによって、差分電圧ΔOCV1が極大値をとる前後において電解液の枯渇が生ずることが確認された。
以上は、充電直後の休止時間についてのOCV挙動に基づく二次電池セルの劣化判定方法であるが、放電直後の休止時間についても同様に二次電池セルの劣化を判定することができる。
すなわち、本願の発明者は、二次電池セルを十分に放電してから一定時間休止した後に測定した開回路電圧のサイクル回数の経過に伴う変化を観察したところ、二次電池セルが劣化した場合に開回路電圧に特徴的な変化が生ずることを見出した。この特徴的な変化について図6に示す。
図6は、一実施形態の二次電池セルの放電休止後のOCV挙動を示している。
図6では、二次電池セルをSOC0%近くまで放電してから二次電池セルを負荷から開放して通電状態から遮断状態にしてからの時間(以下、充電の場合と同様に「休止時間」という。)と二次電池セルの開回路電圧OCVの関係を示している。
休止直前の二次電池セルの閉回路電圧V1は、2.7V以上3.0V以下であることが好ましい。
図6では、サイクル回数Nが1の場合(N=1)の場合とサイクル回数Nがmの場合(N=m)(m≧2)について示しているが、いずれの場合も休止時間が経過するに伴って開回路電圧が増加(緩和)していく。このとき、N=1の場合とN=mの場合とでは、休止時間に対する開回路電圧の挙動(OCV挙動)が変化する。
ここで、休止時間が時間t4のときの開回路電圧OCVt4と、休止時間が時間t5(但し、t4<t5)のときの開回路電圧OCVt5との差分である差分電圧ΔOCV2(=OCVt4-OCVt5)を定義したときに、サイクル回数の経過に伴う差分電圧ΔOCV2の変化を観察したところ、図6に示すように、あるサイクル回数CMINのときにΔOCV2が極小値をとることが判明した。
そこで、一実施形態では、図6に示すように、サイクル回数の経過に対して差分電圧ΔOCV2が略一定値を維持するサイクル回数領域Fと、差分電圧ΔOCV2が極小値となるサイクル回数を含むサイクル回数領域Gと、を特定した場合に、サイクル回数領域Gのいずれかのサイクル回数において二次電池セルが劣化したと判定し、二次電池セルの使用を停止することができる。
一実施形態では、差分電圧ΔOCV2が極小値となるサイクル回数において二次電池セルが劣化したと判定してもよく、その場合にはより早期に電解液の枯渇を進行したと判断することができる。
差分電圧ΔOCV2を定義するときの休止時間t4は、60[sec]以上であることが好ましい。休止直後しばらくは、休止直後の開回路電圧からの変動(緩和)量が大きくかつ一定しない傾向があるが、t1が60[sec]以上であると、開回路電圧の変化速度が相対的に小さくかつ概ね一定になる。そして、この変化速度が相対的に小さくかつ概ね一定になった後の、開回路電圧の差分と、電解液の枯渇の進行程度とがほぼ比例関係にある。
上記極小値が認識しやすいデータが得られる点で、休止時間t4,t5の差は上記の開回路電圧の緩和量が概ね一定であるか否かを判断するに十分な時間である180[sec]以上であることが好ましい。
別の観点では、放電後の休止時間が時間t6(但し、t6<0.1[sec])のときの開回路電圧OCVt6を定義したときに、サイクル回数の経過に伴うOCVt6の変化を観察したところ、図6に示す特徴的な変化を生ずることが判明した。
すなわち、図6に示すように、サイクル回数の経過に対して開回路電圧OCVt6が連続的に増加するサイクル回数領域Hと、開回路電圧OCVt6が略一定値を維持する、もしくは極大値(図6には図示せず)を経て減少に転じるサイクル回数を含むサイクル回数領域Jと、を特定した場合に、サイクル回数領域Jのいずれかのサイクル回数において二次電池セルが劣化したと判定することができる。
一実施形態では、サイクル回数領域Hからサイクル回数領域Jに転じた時点において、二次電池セルが劣化したと判定してもよく、その場合にはより早期に電解液の枯渇を進行したと判断することができる。
図7は、例示的な二次電池セルにおいてサイクル回数に応じた放電休止後の実際のOCV挙動の一例を示す図である。このOCV挙動のデータを取得する際には、以下の仕様のリチウム金属二次電池を使用した。
[リチウム金属二次電池の仕様]
・正極…容量密度:3.7[mAh/cm]、空孔率:30[vol%]、集電体:厚み10μmのAl
・負極…主材:厚み30μmのLi薄膜、集電体:厚み6μmのCu
・セパレータ:厚み16μmのポリプロピレン(PP)に対して無機物粒子の層として厚み4μmのアルミナ(Al)の層を形成したもの
・電解液
電解質に含まれるリチウム塩:濃度2.6[M]のLiFSI
溶媒:12[wt%]のスルホラン(SL)及び21[wt%]の1,2-ジメトキシエタン(DME)に補助溶媒として32[wt%]のハイドロフルオロエーテル(HFE)を添加したもの
液量係数:1.3
図7は、放電のサイクル回数が1~70における休止時間と開回路電圧OCVの関係(放電休止後のOCV挙動)をプロットしたものである。このとき、休止直前の二次電池セルの閉回路電圧V2を2.8Vとした。
図7では、放電休止後のOCV挙動のA部とB部を拡大した図も示す。図7に示すように、いずれのサイクル回数においても二次電池セルを負荷から開放した直後から開回路電圧が増加(緩和)していくが、緩和の程度はサイクル回数が進行するのに伴って大きくなる。
図8は、図7の放電休止後のOCV挙動を基に、サイクル回数と、休止時間が時間t6のときの開回路電圧OCVt6、及び、差分電圧ΔOCV2(休止時間t4の開回路電圧OCVt4と休止時間t5の開回路電圧OCVt5との差分)をそれぞれプロットしたものである。なお、この例では、t4=60[sec]、t5=240[sec]、t6=0.05[sec]としている。
図8に示すように、サイクル回数と開回路電圧OCVt6の関係(放電休止0.05sec後のOCV)では、初期からサイクル回数が約65まで比較的リニアに開回路電圧OCVt6が増加するが、サイクル回数が約65に達してからは、サイクル回数が進行しても開回路電圧OCVt3が一定又は低下することが確認された。
また、図8に示すように、サイクル回数と差分電圧ΔOCV2の関係(放電休止後のΔOCV2)では、初期からサイクル回数が約40までΔOCV2が概ね一定であるが、サイクル回数が約40より大きくなると緩和し難くなる方向(つまり、ΔOCV2がゼロに近付く方向)に変化し、サイクル回数が65以降になると緩和する速さが大きくなる傾向となった。すなわち、サイクル回数が65(図6のCMINが65)のときに差分電圧ΔOCV2が極小値をとることが確認された。
以上説明したように、充電後又は放電後の休止時間のOCV挙動における所定の特徴量(ΔOCV1,OCVt3,ΔOCV2,OCVt6)をモニタすることにより、電解液の枯渇に伴うに田電池セルの劣化を簡便な方法で早期に検出することができる。
次に、図9及び図10を参照して、一実施形態に係る二次電池セルの電池劣化判定装置1について説明する。電池劣化判定装置1は、電池モジュール2に接続され、上述したようにOCV挙動をモニタすることにより電池モジュール2の劣化有無を判定するように構成されている。
電池モジュール2は、例えば、複数の二次電池セルを直列及び/又は並列に接続してモジュール化したものである。
図9に示すように、電池劣化判定装置1は、プロセッサ11、記憶装置12、セル監視部13、及び、通信部14を備える。
プロセッサ11は、所定のプログラムを実行することで、電池劣化判定装置1の動作を制御する。
記憶装置12(記憶部の一例)は、不揮発性メモリであり、OCVデータセットを格納する。OCVデータセットは、サイクル回数ごとの電池モジュール2の開回路電圧OCVに関する指標値(充電休止後のOCVt3、ΔOCV1(図1参照)、及び、放電休止後のOCVt6、ΔOCV2(図6参照)の各値)を含む。OCVデータセットは、電池モジュール2の各電池セルの劣化の有無を判定するためにプロセッサ11により参照される。
OCVデータセットのデータ構成例を図10に示す。図10に例示するように、OCVデータセットには、サイクル数に対する各電池セルのΔOCV1、ΔOCV2、OCVt3、及び、OCVt6の値が含まれる。ここで、OCVt3、ΔOCV1については「サイクル回数」は充電サイクル回数を意味し、OCVt6、ΔOCV2については「サイクル回数」は放電サイクル回数を意味する。
セル監視部13は、電池モジュール2の各電池セルの状態を監視する部分であり、電圧センサ131及び電流センサ132を含む。
電圧センサ131は、電池モジュール2の各電池セルの開回路電圧を検出するように構成される。電流センサ132は、電池モジュール2の各電池セルを流れる電流を検出するように構成される。
電圧センサ131及び電流センサ132の検出信号は、逐次プロセッサ11に送信される。
通信部14は、電池モジュール2の充電時において図示しない充電機器と予め定められた充電仕様に準拠した通信プロトコルで通信を行うとともに、電池モジュール2の放電時において図示しない負荷装置と予め定められた通信プロトコルで通信を行う通信インタフェースとして機能する。
一実施形態では、各充電サイクルにおいてプロセッサ11がプログラムを実行することで、以下の算出部及び判定部として機能する。
すなわち、プロセッサ11は、連続的に充電を行って所定の閉回路電圧V1に達した後に電池モジュール2を負荷から開放してから一定時間t1およびt2(但し、t1<t2)経過した後の各電池セルの開回路電圧をそれぞれOCVt1、OCVt2としたときに、OCVt1とOCVt2の差分電圧ΔOCV1を、充電サイクルごとに算出する算出部として機能する。プロセッサ11は、充電サイクルごとに算出した差分電圧ΔOCV1をOCVデータセットに書き込む。
プロセッサ11は、サイクル回数の経過に伴う差分電圧ΔOCV1の変化に基づいて、各電池セルが劣化したか否か判定する判定部として機能する。
この実施形態のプロセッサ11の動作を図11に示す。図11は、各充電サイクルの直後(充電休止後)にプロセッサ11によって実行される一連の処理を示すフローチャートである。
電池劣化判定装置1は、電池モジュール2を図示しない充電装置(負荷の一例)に接続して充電する際、電池モジュール2の端子電圧が所定の閉回路電圧V1に達した後に、充電装置との接続が遮断されて負荷から開放される。
プロセッサ11は、充電装置からの通知、あるいは電流センサ132の検出値に基づき、負荷から開放されたことを検出すると、タイマの動作を開始することで休止時間をカウントする(ステップS4)。プロセッサ11は、電圧センサ131の検出値に基づいて、休止時間t1,t2のときのOCVt1,OCVt2を順に取得する(ステップS6,S8)。プロセッサ11は、ΔOCV1(=OCVt1-OCVt2)を算出し、充電サイクル回数に関連付けてΔOCV1をOCVデータセットに書き込む(記録する)(ステップS10)。
次いでプロセッサ11は、OCVデータセットを基に各電池セルの劣化の有無を判定する(ステップS12)。ステップS12では、プロセッサ11は、サイクル回数の経過に対して差分電圧ΔOCV1が略一定値を維持するサイクル回数領域Aと、サイクル回数領域Aに続き、差分電圧ΔOCV1が極大値となるサイクル回数を含むサイクル回数領域Bと、を特定した場合に、サイクル回数領域Bのいずれかのサイクル回数において各電池セルが劣化したと判定する。
ここで、サイクル回数領域A,Bを特定する際には、サイクル回数が1の場合から処理実行時点のサイクル回数までの複数のサイクル回数に対応するΔOCV1の値を基に、ΔOCV1が略一定値を継続しているか否か、及び、ΔOCV1が極大値に達したか否かについて判断する。
プロセッサ11は、いずれかの電池セルが劣化したと判断した場合には(ステップS14:YES)、通信部14を介して図示しない上位装置に警告出力を行う(ステップS16)。
一実施形態では、各充電サイクルにおいてプロセッサ11がプログラムを実行することで、以下の測定部及び判定部として機能する。
すなわち、プロセッサ11は、各電池セルが所定の閉回路電圧V1に達した後に電池モジュール2を負荷から開放してから一定時間t3(但し、t3<0.1[sec])経過した後の各電池セルの開回路電圧OCVt3を、充電サイクルごとに測定する測定部として機能する。
プロセッサ11は、充電サイクルごとに測定した開回路電圧OCVt3をOCVデータセットに書き込む。
プロセッサ11は、サイクル回数の経過に伴う開回路電圧OCVt3の変化に基づいて、各電池セルが劣化したか否か判定する判定部として機能する。
この実施形態のプロセッサ11の動作を図12に示す。図12は、各充電サイクルの直後(充電休止後)にプロセッサ11によって実行される一連の処理を示すフローチャートである。図12において、図11と同じ処理については同一のステップを示す符号を付し、重複説明を行わない。
図12において、休止時間がカウントされると、プロセッサ11は、電圧センサ131の検出値に基づいて、休止時間t3のときのOCVt3を取得してOCVデータセットに記録する(ステップS5)。次いでプロセッサ11は、OCVデータセットを基に各電池セルの劣化の有無を判定する(ステップS12A)。ステップS12Aでは、プロセッサ11は、サイクル回数の経過に対してOCVt3が連続的に減少するサイクル回数領域Cと、サイクル回数領域Cに続き、OCVt3が略一定値を維持するサイクル回数領域Dと、サイクル回数領域Dに続き、OCVt3が再度連続的に減少するサイクル回数領域Eと、を特定した場合に、サイクル回数領域Dまたはサイクル回数領域Eのいずれかのサイクル回数において電池セルが劣化したと判定する。
ここで、サイクル回数領域C~Eを特定する際には、サイクル回数が1の場合から特定時点のサイクル回数までの複数のサイクル回数に対応するOCVt3の値を基に、OCVt3が連続的に減少しているか、及び、OCVt3が略一定値を継続しているか否かについて判断する。
一実施形態では、各放電サイクルにおいてプロセッサ11がプログラムを実行することで、以下の算出部及び判定部として機能する。
すなわち、プロセッサ11は、連続的に放電を行って各電池セルが所定の閉回路電圧V2に達した後に電池モジュール2を負荷から開放してから一定時間t4およびt5(但し、t4<t5)経過した後の各電池セルの開回路電圧をそれぞれOCVt4、OCVt5としたときに、OCVt4とOCVt5の差分電圧ΔOCV2を、放電サイクルごとに算出する算出部として機能する。
プロセッサ11は、放電サイクルごとに算出した差分電圧ΔOCV2をOCVデータセットに書き込む。
プロセッサ11は、サイクル回数の経過に伴う差分電圧ΔOCV2の変化に基づいて、各電池セルが劣化したか否か判定する判定部として機能する。
この実施形態のプロセッサ11の動作を図13に示す。図13は、各放電サイクルの直後(放電休止後)にプロセッサ11によって実行される一連の処理を示すフローチャートである。
電池劣化判定装置1は、電池モジュール2を図示しない負荷装置(例えば動力伝達装置)に接続して放電する際、各電池セルの端子電圧が所定の閉回路電圧V2に達した後に、電池モジュール2が負荷装置から開放される。
プロセッサ11は、負荷装置からの通知、あるいは電流センサ132の検出値に基づき、負荷装置から開放されたことを検出すると、タイマの動作を開始することで休止時間をカウントする(ステップS24)。プロセッサ11は、電圧センサ131の検出値に基づいて、休止時間t4,t5のときのOCVt4,OCVt5を順に取得する(ステップS26,S28)。プロセッサ11は、ΔOCV2(=OCVt5-OCVt4)を算出し、放電サイクル回数に関連付けてΔOCV2をOCVデータセットに書き込む(記録する)(ステップS30)。
次いでプロセッサ11は、OCVデータセットを基に各電池セルの劣化の有無を判定する(ステップS32)。ステップS32では、プロセッサ11は、サイクル回数の経過に対して差分電圧ΔOCV2が略一定値を維持するサイクル回数領域Fと、サイクル回数領域Fに続き、差分電圧ΔOCV2が極小値となるサイクル回数を含むサイクル回数領域Gと、を特定した場合に、サイクル回数領域Gのいずれかのサイクル回数において各電池セルが劣化したと判定する。
ここで、サイクル回数領域F,Gを特定する際には、サイクル回数が1の場合から処理実行時点のサイクル回数までの複数のサイクル回数に対応するΔOCV2の値を基に、ΔOCV2が略一定値を継続しているか否か、及び、ΔOCV2が極小値に達したか否かについて判断する。
プロセッサ11は、いずれかの電池セルが劣化したと判断した場合には(ステップS34:YES)、通信部14を介して図示しない上位装置に警告出力を行う(ステップS36)。
一実施形態では、各放電サイクルにおいてプロセッサ11がプログラムを実行することで、以下の測定部及び判定部として機能する。
すなわち、プロセッサ11は、所定の閉回路電圧V2に達した後に電池モジュール2を負荷から開放してから一定時間t6(但し、t6<0.1[sec])経過した後の各電池セルの開回路電圧OCVt6を、放電サイクルごとに測定する測定部として機能する。プロセッサ11は、放電サイクルごとに測定した開回路電圧OCVt6をOCVデータセットに書き込む。
プロセッサ11は、サイクル回数の経過に伴う開回路電圧OCVt6の変化に基づいて、各電池セルが劣化したか否か判定する判定部として機能する。
この実施形態のプロセッサ11の動作を図14に示す。図14は、各放電サイクルの直後(放電休止後)にプロセッサ11によって実行される一連の処理を示すフローチャートである。図14において、図13と同じ処理については同一のステップを示す符号を付し、重複説明を行わない。
図14において、休止時間がカウントされると、プロセッサ11は、電圧センサ131の検出値に基づいて、休止時間t6のときのOCVt6を取得してOCVデータセットに記録する(ステップS25)。次いでプロセッサ11は、OCVデータセットを基に各電池セルの劣化の有無を判定する(ステップS32A)。ステップS32Aでは、プロセッサ11は、サイクル回数の経過に対してOCVt6が連続的に増加するサイクル回数領域Hと、サイクル回数領域Hに続き、OCVt6が略一定値を維持する、もしくは極大値を経て減少に転じるサイクル回数を含むサイクル回数領域Jと、を特定した場合に、サイクル回数領域Jのいずれかのサイクル回数において各電池セルが劣化したと判定する。
ここで、サイクル回数領域H,Jを特定する際には、サイクル回数が1の場合から処理実行時点のサイクル回数までの複数のサイクル回数に対応するOCVt6の値を基に、OCVt6が連続的に増加もしくは減少しているか、OCVt6が極大値に達したか否か、及び、OCVt3が略一定値を継続しているか否かについて判断する。
以上、本発明のリチウム二次電池の劣化判定方法、及び、電池劣化判定装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述した各実施形態及び各変形例に記載した個々の技術的特徴は、技術的矛盾がない限り、適宜組み合わせることが可能である。
1…電池劣化判定装置
2…電池モジュール
11…プロセッサ
12…記憶装置
13…セル監視部
131…電圧センサ
132…電流センサ
14…通信部

Claims (8)

  1. リチウム二次電池の劣化判定方法であって、
    連続的に充電を行って所定の閉回路電圧V1に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放する工程(1-1)と、
    前記工程(1-1)において前記リチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t1およびt2(但し、t1<t2)経過した後の前記リチウム二次電池の開回路電圧をそれぞれOCVt1、OCVt2としたときに、OCVt1とOCVt2の差分電圧ΔOCV1を算出し、記憶する工程(1-2)と、
    前記工程(1-1)と前記工程(1-2)を充電サイクルごとに実施し、サイクル回数の経過に伴う差分電圧ΔOCV1の変化に基づいて、前記リチウム二次電池が劣化したか否か判定する工程(1-3)と、を備え、
    前記工程(1-3)では、
    サイクル回数の経過に対して前記差分電圧ΔOCV1が略一定値を維持するサイクル回数領域Aと、サイクル回数領域Aに続き、前記差分電圧ΔOCV1が極大値となるサイクル回数を含むサイクル回数領域Bと、を特定した場合に、
    前記サイクル回数領域Bのいずれかのサイクル回数において前記リチウム二次電池が劣化したと判定する、
    リチウム二次電池の劣化判定方法。
  2. 前記差分電圧ΔOCV1が前記極大値となるサイクル回数において、前記リチウム二次電池が劣化したと判定する、
    請求項1に記載のリチウム二次電池の劣化判定方法。
  3. リチウム二次電池の劣化判定方法であって、
    連続的に充電を行って所定の閉回路電圧V1に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放する工程(2-1)と、
    前記工程(2-1)において前記リチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t3(但し、t3<0.1[sec])経過した後の前記リチウム二次電池の開回路電圧OCVt3を測定、記憶する工程(2-2)と、
    前記工程(2-1)と前記工程(2-2)を充電サイクルごとに実施し、サイクル回数の経過に伴う開回路電圧OCVt3の変化に基づいて、前記リチウム二次電池が劣化したか否か判定する工程(2-3)と、を備え、
    前記工程(2-3)では、
    サイクル回数の経過に対して前記開回路電圧OCVt3が連続的に減少するサイクル回数領域Cと、
    前記サイクル回数領域Cに続き、前記開回路電圧OCVt3が略一定値を維持するサイクル回数領域Dと、
    前記サイクル回数領域Dに続き、前記開回路電圧OCVt3が再度連続的に減少するサイクル回数領域Eと、を特定した場合に、
    前記サイクル回数領域Dまたは前記サイクル回数領域Eのいずれかのサイクル回数において前記リチウム二次電池が劣化したと判定する、
    リチウム二次電池の劣化判定方法。
  4. 前記サイクル回数領域Dから前記サイクル回数領域Eに転じた時点において、前記リチウム二次電池が劣化したと判定する、
    請求項3に記載のリチウム二次電池の劣化判定方法。
  5. 前記閉回路電圧V1が4.0V以上4.3V以下である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池の劣化判定方法。
  6. 前記リチウム二次電池は、負極が、あらかじめ負極集電体上に金属リチウム層が形成されているか、又は、充電時に負極集電体上に金属リチウムが析出するものである、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池の劣化判定方法。
  7. リチウム二次電池の劣化有無を判定する電池劣化判定装置であって、
    連続的に充電を行って所定の閉回路電圧V1に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t1およびt2(但し、t1<t2)経過した後の前記リチウム二次電池の開回路電圧をそれぞれOCVt1、OCVt2としたときに、OCVt1とOCVt2の差分電圧ΔOCV1を、充電サイクルごとに算出する算出部と、
    充電サイクルごとの前記差分電圧ΔOCV1を記憶する記憶部と、
    サイクル回数の経過に伴う前記差分電圧ΔOCV1の変化に基づいて、前記リチウム二次電池が劣化したか否か判定する判定部と、を備え、
    前記判定部は、
    サイクル回数の経過に対して前記差分電圧ΔOCV1が略一定値を維持するサイクル回数領域Aと、サイクル回数領域Aに続き、前記差分電圧ΔOCV1が極大値となるサイクル回数を含むサイクル回数領域Bと、を特定した場合に、
    前記サイクル回数領域Bのいずれかのサイクル回数において前記リチウム二次電池が劣化したと判定する、
    電池劣化判定装置。
  8. 連続的に充電を行ってリチウム二次電池の劣化有無を判定する電池劣化判定装置であって、
    所定の閉回路電圧V1に達した後にリチウム二次電池を負荷から開放してから一定時間t3(但し、t3<0.1[sec])経過した後の前記リチウム二次電池の開回路電圧OCVt3を、充電サイクルごとに測定する測定部と、
    充電サイクルごとの前記開回路電圧OCVt3を記憶する記憶部と、
    サイクル回数の経過に伴う開回路電圧OCVt3の変化に基づいて、前記リチウム二次電池が劣化したか否か判定する判定部と、を備え、
    前記判定部は、
    サイクル回数の経過に対して前記開回路電圧OCVt3が連続的に減少するサイクル回数領域Cと、
    前記サイクル回数領域Cに続き、前記開回路電圧OCVt3が略一定値を維持するサイクル回数領域Dと、
    前記サイクル回数領域Dに続き、前記開回路電圧OCVt3が再度連続的に減少するサイクル回数領域Eと、を特定した場合に、
    前記サイクル回数領域Dまたは前記サイクル回数領域Eのいずれかのサイクル回数において前記リチウム二次電池が劣化したと判定する、
    電池劣化判定装置。
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