JPWO2011070653A1 - スローアウェイ式回転工具 - Google Patents

スローアウェイ式回転工具

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Abstract

【課題】生産性を向上できると共に、切削ヘッドのボデーへの取り付け作業性および取り外し作業性に優れるスローアウェイ式回転工具を提供すること。【解決手段】凸状連結部23の外周壁24の一部として形成される突条部24aは、凸状連結部23及び立設部13を連結するときの相対回転に伴って、立設部13の内周壁13aに後端側から接触し接触面積が漸増するようにねじれ角およびねじれ方向が設定されているので、突条部24aが内周壁13aから受ける反作用の力により、凸状連結部23は立設部13の後端側に引き込まれて立設部13間に安定に保持される。その結果、厳格な寸法管理と高い加工精度が必要な部位を少なくできるため、生産性を向上できる。また、突条部24aは凸状連結部23の外周壁24の一部として形成されているので、相対回転に要する力を軽減でき、取り外し作業性および取り付け作業性を向上させる。【選択図】図3

Description

本発明は、スローアウェイ式回転工具に関し、特に、生産性を向上できると共に、切削ヘッドのボデーへの取り付け作業性および取り外し作業性に優れるスローアウェイ式回転工具に関するものである。
スローアウェイ式回転工具は、切れ刃を有する切削ヘッドがボデーに着脱可能に保持される工具である。従来のスローアウェイ式回転工具として、切削ヘッドが後端側に拡径する凸状部(凸状連結部)を備え、工具シャンク(ボデー)が先端側に縮径する凹状部を備えるものが知られている(特許文献1)。特許文献1に開示されるスローアウェイ式回転工具は、ボデー及び切削ヘッドの軸心回りの位相をずらした状態で凸状連結部を凹状部に挿入した後、切削ヘッドを軸心回りに相対回転させることにより、ボデーの凹状部の弾性変形を利用して、凸状連結部および凹状部を係合させるものである。
特表2002−501441号公報(図1、図8など)
ここで、特許文献1に開示される技術では、凸状連結部および凹状部の係合によって、切削ヘッドの軸心からのずれが規制される。凸状連結部および凹状部の係合は、凸状連結部が凹状部に密接することによって達成されるので、凸状連結部を凹状部に密接させるために、凸状連結部の外径および長さ、凹状部の内径および深さ、凸状連結部の外周面および凹状部の内周面の傾斜角などを全て厳密に規定する必要があった。そのため、スローアウェイ式回転工具を製造するときには、厳格な寸法管理と高い加工精度が必要となり、生産性を向上し難いという問題点があった。
また、凸状連結部の外周面の全面が凹状部に密接することで嵌合されるので、凹状部への凸状連結部の取り付け及び取り外しのためには、凹状部と凸状連結部との間に生じる摩擦力に抗する多大な力を加えて、切削ヘッドを軸心回りに相対回転させる必要がある。そのため、切削ヘッドのボデーへの取り付け作業性や取り外し作業性に欠けるという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、生産性を向上できると共に、切削ヘッドのボデーへの取り付け作業性および取り外し作業性に優れるスローアウェイ式回転工具を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
この目的を達成するために、請求項1記載のスローアウェイ式回転工具によれば、切削ヘッドをボデーに取り付けるときには、凸状連結部を立設部の内側に挿入すると共に、ボデー及び切削ヘッドを軸心回りに相対回転させ、突条部を内周壁間に押し込んでいく。突条部が押し込まれた立設部は外周側にわずかに傾動し、内周壁間に挟持される突条部は、突条部と直交する後端側斜め方向に反作用の力を受ける。突条部が内周壁から受ける反作用の力により、凸状連結部は立設部の後端側に引き込まれて、凸状連結部は立設部間に安定に保持され、軸心からのずれが規制される。以上のように、凸状連結部の外周壁の一部に形成される突条部と立設部の内周壁との接触によって凸状連結部は立設部間に保持されるので、凸状連結部を作成するときには、突条部以外の寸法管理を軽減できる。また、立設部の内周壁および突条部の寸法管理は、凸状連結部を軸心に合致させることを目標に行えば良く、それ以外の寸法管理を軽減できる。このように厳格な寸法管理と高い加工精度が必要な部位を少なくできるため、スローアウェイ式回転工具の生産性を向上できるという効果がある。
また、突条部は凸状連結部の外周壁の一部として形成されているので、凸状連結部の外周壁の全面が立設部の内周壁に接触する場合と比較して、立設部の内周壁との接触面積を小さくすることができる。その結果、切削ヘッドのボデーへの取り付け及び取り外しのための相対回転に要する力を軽減できる。さらに、切削ヘッドとボデーとの相対回転によって切削ヘッドをボデーに取り付けるときは、突条部と内周壁との接触面積は漸増し、突条部を内周壁間に押し込んでいく力も漸増する。一方、切削ヘッドをボデーから取り外すときは、突条部と内周壁との接触面積は漸減するので、突条部を内周壁間から抜き去る力も漸減する。これにより、切削ヘッドを交換する場合、切削ヘッドをボデーから緩やかに取り外すことができ、取り外し作業性を向上させる効果がある。切削ヘッドをボデーに取り付けるのも比較的軽微な力で行うことができ、取り付け作業性を向上させる効果がある。
請求項2記載のスローアウェイ式回転工具によれば、軸心を中心とする同一半径の円弧状の曲線の集合として形成される内周壁と溝との相対回転方向を望む側の稜線は、溝の一部であり溝に沿って作られるため、ねじれの向きは溝と同じ向きであり、ねじれ角は溝のねじれ角と同一である。一方、複数の突条部のねじれ方向は、稜線のねじれ方向と同一の向きに設定されると共に、ねじれ角は、稜線のねじれ角より大きな角度に設定されているので、切削ヘッド及びボデーを軸心回りに相対回転させると、突条部の後端側から内周壁に接触し、相対回転に伴って突条部と内周壁との接触面積は漸増し、突条部は内周壁間に挟持される。このような内周壁は、ボデーの先端面の中心から軸方向に沿って溝の一部を切り取るように円筒状に穿孔して製造できる。また、突条部のねじれ角は溝のねじれ角を基準にして設定できるため、請求項1記載のスローアウェイ式回転工具の奏する効果に加え、内周壁および突条部の製造が容易であり生産性を向上できる効果がある。
請求項3記載のスローアウェイ式回転工具によれば、立設部の先端側に位置し軸方向と交差する面として形成される第1面と、凸状連結部から外周側に突設され軸方向と交差する面として形成される第1受け部とを備え、その第1受け部は、軸心回りにボデー及び切削ヘッドを相対回転させて突条部が立設部の内周壁間に挟持されると、第1面に重なりつつ押圧する位置に形成されているので、突条部が内周壁から受ける反作用の力により凸状連結部が立設部の後端側に引き込まれる力と、第1受け部が第1面を押圧する力とにより、切削ヘッドはボデーの軸方向に対して強固に保持される。ここで、第1受け部および第1面の軸方向の位置関係は、第1受け部が第1面を押圧する程度に設定すればよく、第1受け部および第1面の加工公差を緩く設定できる。これにより、請求項1又は2に記載のスローアウェイ式回転工具の奏する効果に加え、切削ヘッドの軸方向に対する移動を、比較的緩い加工公差によって規制できるので、スローアウェイ式回転工具の生産性を向上できる効果がある。
請求項4記載のスローアウェイ式回転工具によれば、切削ヘッドの先端側の外周に形成される第2受け部と、内周壁の先端側に連設されると共に軸心に向かって傾斜する第2面とを備え、その第2面は、軸心回りにボデー及び切削ヘッドを相対回転させて突条部が立設部の内周壁間に挟持されると第2受け部と重なる位置に形成されているので、立設部の内周壁間に挟持された突条部が軸方向に移動しても、切削ヘッドの第2受け部が立設部の第2面に当接し、それ以上の軸方向への移動が規制される。これにより、請求項1から3のいずれかに記載のスローアウェイ式回転工具の奏する効果に加え、万が一、内周壁間に挟持された突条部が軸方向に移動したとしても、ボデーに保持された切削ヘッドがボデーから外れることを防止できる効果がある。
本発明の一実施の形態におけるスローアウェイ式回転工具の側面図である。 スローアウェイ式回転工具のボデーの斜視図である。 スローアウェイ式回転工具の切削ヘッドの斜視図である。 位相をずらした状態で切削ヘッドをボデーに挿着したスローアウェイ式回転工具の側面図である。 (a)は位相をずらした状態でボデーに挿着された切削ヘッドを相対回転させる前の切削ヘッド及びボデーを模式的に示す模式図であり、(b)は相対回転させる切削ヘッド及びボデーを模式的に示す模式図であり、(c)は相対回転させた切削ヘッド及びボデーを模式的に示す模式図である。
1 スローアウェイ式回転工具
10 ボデー
11 第1溝(溝の一部)
13 立設部
13a 内周壁
13a1 稜線
13b 第1面
13e 第2面
20 切削ヘッド
22 第2溝(溝の一部)
23 凸状連結部
24 外周壁
24a 突条部
27 第1受け部
28 第2受け部
O 軸心
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるスローアウェイ式回転工具1の斜視図である。なお、図1では、ボデー10の軸方向長さの図示が省略されている。
まず、図1を参照して、スローアウェイ式回転工具1の概略構成について説明する。図1に示すように、スローアウェイ式回転工具1は、ボデー10と、そのボデー10に装着される切削ヘッド20とを備えて構成され、ボデー10を保持するホルダ(図示せず)を介してマシニングセンタ等の加工機械の回転力が伝達されることで、被加工物の切削加工を行う回転工具である。
ボデー10は、加工機械の回転力を切削ヘッド20に伝達するためのものであり、高速度工具鋼から略軸状体に構成され、その一端側が上述したホルダを介して加工機械に取り付けられる。本実施の形態においては、ボデー10の外周面に、切削加工時における切り屑の排出を行うために所定のねじれ角で形成された第1溝11が設けられている。
切削ヘッド20は、先端に設けられる切れ刃21によって被加工物の切削加工を行うためのものであり、ボデー10よりも硬質の超硬合金から構成され、ボデー10に着脱可能に装着されている。これにより、切れ刃21が寿命に達した場合でも、他のヘッドと交換することで、切削ヘッド20を再研削する必要なく切削加工を継続することができる。本実施の形態においては、切削ヘッド20も、切削加工時における切り屑の排出を行うための第2溝22が、第1溝11と同じねじれ角で設けられており、切削ヘッド20がボデー10に取り付けられた場合に第2溝22が第1溝11と連接されるように構成されている。なお、本実施の形態では、切削ヘッド20が2つの切れ刃21と2つの第2溝22とを有している。
次に、図2を参照して、ボデー10の詳細構成について説明する。図2はスローアウェイ式回転工具1のボデー10の斜視図である。なお、図2では、ボデー10の軸方向の長さの図示が省略されている。ボデー10は、ランド12を外周面とすると共に第1溝11の一部を側面として延設され第1溝11のねじれ角にあわせて軸心Oの周りに立設された複数(本実施の形態においては2つ)の立設部13と、その立設部13の後端部側に設けられる底部14とを主に備えて構成されている。立設部13は切削ヘッド20を保持する部位であり、軸心Oを中心として等角ピッチ(本実施の形態では180°)で立設されており、切削ヘッド20の凸状連結部23(後述する)が立設部13の内側に挿入される。また、底部14は、ボデー10の軸心Oと直交して形成されており、軸心Oと合致する中心位置に孔部14aが凹設されている。孔部14aは、切削ヘッド20の凸状連結部23(後述する)の後端部25に凸設される凸部25aが嵌挿される部位である。
立設部13は、軸心Oを中心とする同一半径の円弧状の曲線の集合として内周壁13aが形成されている。内周壁13aは第1溝11の一部を円筒状に切り取るようにして形成されているので、内周壁13aと第1溝11との稜線13a1,13a2のねじれ角は、第1溝11のねじれ角と同一とされている。本実施の形態においてはボデー10の外径は16mm、内周壁13aの高さは約8mm、内周壁13aの軸心Oからの距離は約4mm、稜線13a1,13a2のねじれ角は15°に設定されている。
立設部13は、軸心Oと略直交する面として形成されると共に底部14と略平行に形成される第1面13bを、立設部13の先端側で切削加工時のボデー10の回転前方側に備えている。第1面13bには、切削加工時のボデー10の回転後方側に第1面13bとのなす角が略垂直ないしは鋭角のトルク伝達壁13cが立設されている。トルク伝達壁13cの幅は、切削加工時のボデー10の回転方向に対して第1面13bの幅より少し狭めに形成されている。段差面13dは、第1面13bと同一平面上に位置しつつ、内周壁13aの円弧状に形成された上端から外周のランド12に向かって段差状に形成される面である。
第2面13eは、段差面13dを介して内周壁13aの先端側に連設される面である。第2面13eは、トルク伝達壁13cと稜線を介して交わると共に、内周壁13aから先端側に離れるにつれて軸心Oからの半径が漸減する円弧状の曲線の集合として、第1溝11のねじれ角にあわせて立設部13の先端側に形成されており、内周壁13aから先端側に離れるにつれて軸心Oに向かって傾斜して形成されている。本実施の形態においては、第2面13eの軸心に対する傾斜角は10°に設定されている。
次に、図3を参照して、切削ヘッド20の詳細構成について説明する。図3はスローアウェイ式回転工具1の切削ヘッド20の斜視図である。切削ヘッド20は、図3に示すように、先端に切れ刃21が設けられ、後端(切れ刃21が設けられる側とは反対側)に軸心Oと同軸に凸設される軸状の凸状連結部23を主に備えて構成されている。
凸状連結部23は、略円筒状に形成される外周壁24と、外周壁24の後端側に連絡される後端部25とを主に備えて構成されている。外周壁24は、所定のねじれ角で外周壁24の先端から後端部25の全長に亘って突条状に形成される複数の突条部24aと、突条部24a間に第2溝22の一部として形成される外周壁溝部24bとを備えて構成されている。突条部24aの頂部の軸心Oからの距離は、ボデー10(図2参照)の内周壁13aの軸心Oからの距離と略同一に設定されている。これにより、突条部24aをボデー10の内周壁13a間に嵌挿させることができる。
本実施の形態では、突条部24aは凸状連結部23の外周面24の2か所に等角ピッチ(180°)で形成されている。これにより、ボデー10の立設部13に形成される内周壁13aに突条部24aが挟持されることで、凸状連結部23は立設部13間に保持される。また、突条部24aのねじれ方向は外周壁溝部24b及び第2溝22のねじれ方向と同一の向きに設定されており、突条部24aのねじれ角は外周壁溝部24b及び第2溝22のねじれ角より大きな角度に設定されている。
凸状連結部23の後端部25の中心には、位相をずらした状態で凸状連結部23をボデー10(図2参照)の立設部13の内側に挿入したときに、底部14に凹設された孔部14aに挿入される凸部25aが凸設されている。これにより、切削ヘッド20のボデー10への取り付け及び取り外しのときには、孔部14a及び凸部25aを中心にしてボデー10及び切削ヘッド20を軸心O回りに相対回転させることができる。なお、突条部24aの頂部は面取り加工が施されているので、ボデー10及び切削ヘッド20を軸心O回りに相対回転させるときには、突条部24aは内周壁13aを滑らかに摺動できる。
なお、本実施の形態においては、凸状連結部23の長さはボデー10(図2参照)の内周壁13aの高さと略同一の長さに設定されており、凸状連結部23の長さは約8mm、突条部24aのねじれ角は20°、突条部24aの頂部の軸心Oからの距離は約4mm、凸部25aの直径は約3mm、凸部25aの長さは約2mmに設定されている。
切削ヘッド20は、凸状連結部23の先端側(後端部25と反対側)で第1溝11及び第2溝22のねじれ角だけずれた位置に、軸心Oと直交する方向に外周壁24から突設されランド26と交わる第1受け部27を備えている。
また、切削ヘッド20は、第1受け部27と同一平面上に第1受け部27から延設される延設部27aを備えている。延設部27aは、凸状連結部23から軸心Oと直交する方向に突設されており、ボデー10(図2参照)の段差面13dと接する部位である。第1受け部27及び延設部27aは、軸心Oを中心とする回転対称状に切削ヘッド20の所定位置に形成されている。
第2受け部28は、軸心Oからの距離が、軸心Oから突条部24aの頂部までの距離より大きく、かつ軸心Oからランド26までの距離より短く設定されると共に、延設部27aと交わる部位である。第2受け部28は、切削ヘッド20の先端に向かうにつれ軸心Oに向かって傾斜して形成されており、ボデー10(図2参照)の立設部13の第2面13eと重なる位置に湾曲状に形成されている。なお、軸心Oから第2受け部28までの距離は、第2受け部28と対応するボデー10の第2面13eにおいて、軸心Oから対応する第2面13eの各部位までの距離より小さく設定されている。
第2受け部28には、切削加工時の切削ヘッド20の回転前方側に第2受け部28とのなす角が略垂直ないしは鋭角の伝達壁受け部28aが立設されている。伝達壁受け部28aは、ボデー10(図2参照)のトルク伝達壁13cと接する部位である。なお、本実施の形態においては、第2受け部28の軸心Oに対する傾斜角は約10°に設定されている。
次に、図4及び図5を参照して、ボデー10に切削ヘッド20を取り付けるときの動作について説明する。図4は、位相をずらした状態で切削ヘッド20をボデー10に挿着したスローアウェイ式回転工具1の側面図であり、図5(a)は、位相をずらした状態でボデー10に挿着された切削ヘッド20を相対回転させる前の切削ヘッド20及びボデー10を模式的に示す模式図であり、図5(b)は、相対回転させる切削ヘッド20及びボデー10を模式的に示す模式図であり、図5(c)は、相対回転させた切削ヘッド20及びボデー10を模式的に示す模式図である。なお、図5(a)及び図5(b)における左向きの矢印は、切削ヘッド20の回転の向きを示しており、図5(b)及び図5(c)における矢印P1,P2,P3は、突条部24a又は第1受け部27に作用する力の向き及び大きさを示している。
ボデー10に切削ヘッド20を取り付けるときは、図4に示すように、切削ヘッド20の凸状連結部23を立設部13の内側に位相をずらした状態で挿入し、ボデー10の底部14(図2参照)に凹設される孔部14aに凸状連結部23の後端部25(図3参照)に凸設される凸部25aを嵌挿する。第2面13eは軸心O側に傾斜して形成されているが、切削ヘッド20とボデー10との位相をずらした状態では、第2面13eの位置に切削ヘッド20の第2溝22が存在しており、第2溝22は軸心O側に凹んでいるため、第2面13eに妨げられることなく、切削ヘッド20の凸状連結部23を立設部13の内側に挿入できる。次いで、切削ヘッド20の先端縁部に形成された外周溝29に図示しない取替工具を挿入し、その取替工具を掴んで、切削ヘッド20の伝達壁受け部28aがボデー10のトルク伝達壁13cに当接するまで、軸心Oを中心に切削ヘッド20及びボデー10を相対回転させる。
切削ヘッド20及びボデー10を相対回転させると、図5(a)に示す状態から図5(b)に示す状態に移行し、突条部24aは内周壁13a(図5紙面奥側)に後端側から接触する。突条部24aは、内周壁13aとの接触面積を次第に大きくしながら内周壁13aの内側面を摺動し、立設部13(図2参照)の内周壁13a間に押し込まれる。突条部24aが押し込まれた立設部13は外周側にわずかに傾動し、内周壁13a間に挟持される突条部24aは、突条部24aと直交する後端側斜め方向に反作用の力P1を受ける(図5(b)参照)。突条部24aが内周壁13aから受ける反作用の力P1により、突条部24aは後端側(図5下側)に向かう力を受け、凸状連結部23(図3参照)は立設部13の後端側に引き込まれる。これにより、凸状連結部23は立設部13間に安定に保持され、軸心Oからのずれが規制される。
以上のように、凸状連結部23の外周壁24(図3参照)の一部として形成される突条部24aと立設部13(図3参照)の内周壁13aとの接触によって凸状連結部23は立設部13間に保持されるので、凸状連結部23を作成するときには、突条部24a以外の寸法管理を軽減できる。また、立設部13の内周壁13a及び突条部24aの寸法管理は、凸状連結部23を軸心Oに合致させることを目標に行えば良く、それ以外の寸法管理を軽減できる。このように厳格な寸法管理と高い加工精度が必要な部位を少なくできるため、スローアウェイ式回転工具1の生産性を向上できる。
さらに、相対回転を続けることにより突条部24aと内周壁13aとの接触面積は漸増し、突条部24aが受ける力も漸増する。上述のように、ボデー10は、立設部13の先端側に位置し軸方向と交差する面として形成される第1面13bを備え、切削ヘッド20は、凸状連結部23から外周側に突設され軸方向と交差する面として形成される第1受け部27を備えている。その第1受け部27は、突条部24aが立設部13の内周壁13a間に挟持されると、第1面13bに重なりつつ押圧する位置に形成されている。これにより、図5(c)に示すように、突条部24aが内周壁13aから受ける反作用の力P2により凸状連結部23(図3参照)が立設部13(図2参照)の後端側に引き込まれる力(図5(c)下向きの矢印)と、第1受け部27が第1面13bから受ける反作用の力P3とにより、切削ヘッド20はボデー10の軸方向に対する移動が規制される。
ここで、第1受け部27及び第1面13bの軸方向の位置関係は、第1受け部27が第1面13bを押圧する程度に設定すればよいため、第1受け部27及び第1面13bの加工公差を緩く設定できる。これにより、切削ヘッド20の軸方向に対する移動を、比較的緩い加工公差によって規制できるので、スローアウェイ式回転工具1の生産性を向上できる。
さらに、切削ヘッド20(図3参照)は、切削ヘッド20の先端側の外周に形成される第2受け部28を備え、ボデー10(図2参照)は、内周壁13の先端側に連設されると共に軸心Oに向かって傾斜する第2面13eを備えており、その第2面13eは、突条部24aが立設部13の内周壁13a間に挟持されると第2受け部28と重なる位置に形成されている(図1参照)。これにより、立設部13の内周壁13a間に挟持された突条部24aが軸方向に移動しても、切削ヘッド20の第2受け部28が立設部13の第2面13eに当接し、それ以上の軸方向への移動が規制される。その結果、万が一、内周壁13a間に挟持された突条部24aが軸方向に移動したとしても、ボデー10に保持される切削ヘッド20がボデー10から外れることを防止できる。
また、ボデー10(図2参照)においては、軸心Oを中心とする同一半径の円弧状の曲線の集合として形成される内周壁13aと第1溝11との相対回転方向を望む側の稜線13a1は、第1溝11の一部であり第1溝11に沿って作られるため、第1溝11と同じ向きにねじれている。その稜線13a1のねじれ角は第1溝11のねじれ角と同一である。一方、突条部24a(図3参照)のねじれ方向は、稜線13a1(図2参照)のねじれ方向と同一の向きに設定されると共に、ねじれ角は、稜線13a1のねじれ角より大きな角度に設定されている。その結果、切削ヘッド20及びボデー10を軸心O回りに相対回転させると、突条部24aの後端側から内周壁13aに接触し、相対回転に伴って突条部24aと内周壁13aとの接触面積は漸増し、突条部24aは内周壁13a間に挟持される。このような内周壁13aは、ボデー10の先端面の中心から軸心Oに沿って第1溝11の一部を切り取るように円筒状に穿孔して製造できるため、内周壁13aの製造が容易である。また、突条部24aのねじれ角は第1溝11及び第2溝22のねじれ角を基準にして設定できるため、突条部24aの製造も容易である。このように内周壁13a及び突条部24aの製造を容易にすることができ、スローアウェイ式回転工具1の生産性を向上できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法等)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記実施の形態では、ボデー10が高速度工具鋼製、切削ヘッド20が超硬合金製の場合について説明したが、これらに限定されるものではなく、他の材料を採用することも可能である。他の材料としては、例えば、ボデー10が合金工具鋼製、切削ヘッド20がサーメット製、超微粒子超硬合金製、被覆超硬合金製等を挙げることができる。
上記形態の形態では、軸心Oに対して所定のねじれ角で第1溝11及び第2溝22が形成されたツイストドリルの場合を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第1溝11及び第2溝22が軸心Oと平行な直刃ドリルに適用することも可能である。また、ボデー10に溝が形成されていないスローアウェイ式回転工具に適用することも可能である。
上記実施の形態では、立設部13の内周壁13aと軸心Oとの距離が、内周壁13aの高さ方向に亘って一定の場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。内周壁13aの高さ方向につれて距離を漸次増加させ、或いは内周壁13aの高さ方向につれて距離を漸次減少させるように設定することも可能である。本発明のスローアウェイ式回転工具1は、ボデー10の内周壁13aに切削ヘッド20の突条部24aが接触することによりボデー10に切削ヘッド20が固定されるので、内周壁13aに突条部24aをガタつかないように接触させることができれば、内周壁13aや凸状連結部23の軸心Oからの距離の軸方向における大小は、切削ヘッド20の固定に影響を与えないからである。
また、上記実施の形態では、ボデー10の立設部13に形成される内周壁13aが面内に凹凸の形成されていない湾曲面である場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。内周壁13aを、凸状連結部23に形成される突条部24aと接触可能な突条状に形成される凹凸面とすることも可能である。内周壁13aが突条状に形成される場合でも、凸状連結部23に形成される突条部24aのねじれ角およびねじれ方向を設定することで、凸状連結部23及び立設部13を連結するときのボデー10及び切削ヘッド20の相対回転に伴って、立設部13の内周壁13aに突条部24aを後端側から接触させ、接触面積が漸増するように設定できる。この場合も、突条部24aに、内周壁13aから凸状連結部23を後端側へ引き込む力(図5に示す矢印P1,P2)が生ずるので、上記実施の形態と同様の作用を得ることが可能である。
上記実施の形態では、ボデー10に段差面13dが形成され、切削ヘッド20に延設部27aが形成された場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、段差面13d及び延設部27aを設けない構成とすることも可能である。この場合も、ボデー10のトルク伝達壁13cと切削ヘッド20の伝達壁受け部28aとの接触により、ボデー10を介して切削ヘッド20にマシニングセンタ等の加工機械の回転力を伝達できると共に、ボデー10の第1面13bと切削ヘッド20の第1受け部27との接触により、切削ヘッド20をボデー10に強固に固定できる。
上記実施の形態では、切削ヘッド20の先端の2箇所に切れ刃21が形成されたスローアウェイ式回転工具1について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、切れ刃が3箇所若しくはそれ以上に形成された切削ヘッド20及びボデー10を用いることも可能である。また、切削ヘッド20に応じて、ボデー10の立設部13の数を3個以上に適宜設定することも可能である。
上記実施の形態では、突条部24aが180°のピッチで凸状連結部23の2箇所に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、3箇所以上に形成することも当然可能である。上記実施の形態におけるスローアウェイ式回転工具1は、立設部13の内周壁13aに突条部24aが接触して凸状連結部23と立設部13とが連結されるものなので、突条部24aは任意の数に設定できるからである。
また、上記実施の形態では、突条部24aが凸状連結部23の先端から後端部25までの全長に亘って形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、凸状連結部23の先端から後端部25に亘る一部に形成することも可能である。上記実施の形態におけるスローアウェイ式回転工具1は、立設部13の内周壁13aに突条部24aが接触して凸状連結部23と立設部13とが連結されるものなので、突条部24aは内周壁13aとの接触面積を確保できれば、任意の長さに設定できるからである。
上記実施の形態では、ボデー10の底部14に孔部14aが形成され、切削ヘッド20に孔部14aに嵌挿される凸部23cが形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、孔部14aや凸部23cを設けない場合もある。孔部14aや凸部23cを設けない場合であっても、ボデー10の立設部13の内側に切削ヘッド20の凸状連結部23を挿入して、軸心Oを中心にボデー10及び切削ヘッド20の相対回転が可能だからである。

Claims (4)

  1. 互いに間隔をあけて軸心の周りに立設される複数の立設部を有するボデーと、そのボデーよりも硬質の材料から構成されると共に後端に凸設される凸状連結部を有する切削ヘッドとを備え、前記凸状連結部を前記立設部の内側に挿入すると共に軸心回りに相対回転させて前記凸状連結部および前記立設部を連結するスローアウェイ式回転工具において、
    前記凸状連結部の外周壁の一部として所定のねじれ角で突条状に形成され、前記立設部の内周壁間に挟持される複数の突条部を備え、
    それら複数の突条部は、前記凸状連結部および前記立設部を連結するときの前記ボデー及び前記切削ヘッドの相対回転に伴って、前記立設部の内周壁に後端側から接触し接触面積が漸増するように前記ねじれ角およびねじれ方向が設定されていることを特徴とするスローアウェイ式回転工具。
  2. 前記内周壁は、軸心を中心とする同一半径の円弧状の曲線の集合として形成されており、
    前記複数の突条部は、前記ねじれ方向が、前記ボデーの外周に凹設される溝と前記内周壁との相対回転方向を望む側の稜線のねじれ方向と同一の向きに設定されると共に、前記ねじれ角が、前記稜線のねじれ角より大きな角度に設定されていることを特徴とする請求項1記載のスローアウェイ式回転工具。
  3. 前記立設部の先端側に位置し軸方向に対して交差する面として形成される第1面と、
    前記凸状連結部から外周側に突設され軸方向に対して交差する面として形成される第1受け部とを備え、
    その第1受け部は、前記ボデー及び前記切削ヘッドを軸心回りに相対回転させて前記突条部が前記立設部の内周壁間に挟持されると、前記第1面と重なりつつ前記第1面を押圧する位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスローアウェイ式回転工具。
  4. 前記切削ヘッドの先端側の外周に形成される第2受け部と、
    前記内周壁の先端側に連設されると共に、軸心に向かって傾斜する第2面とを備え、
    その第2面は、前記ボデー及び前記切削ヘッドを軸心回りに相対回転させて前記突条部が前記立設部の内周壁間に挟持されると、前記第2受け部と重なる位置に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスローアウェイ式回転工具。
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