JPWO2011055715A1 - ヒドロキシ脂肪酸類縁体およびそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、新規ヒドロキシ脂肪酸類縁体および、当該ヒドロキシ脂肪酸類縁体を簡便に製造する方法を提供することを課題とする。かかる課題は、一般式(1)で表されるヒドロキシ脂肪酸類縁体、および、一般式(4)で表される化合物とシトクロムP450 BM3とを反応させることを特徴とする一般式(1)で表されるヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法により解決される。本発明の製造方法によれば、ヒドロキシ部位が高度に立体制御されているヒドロキシ脂肪酸類縁体を得ることができる。

Description

本発明は、ヒドロキシ脂肪酸類縁体およびそれらの製造方法に関する。より詳細には、本発明はヒドロキシ脂肪酸エステルまたはヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸、およびそれらの製造方法に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2009-253640号および特願2010-074284号の優先権を請求する。
ヒドロキシ脂肪酸類縁体は、種々のポリマーを合成する際の原料として使用される。ヒドロキシ脂肪酸類縁体のうち、ヒドロキシ脂肪酸エステルは、ポリエステル繊維などの原料として使用され、たとえば、アセト酢酸エステルを出発物質として多段階を経て化学合成される。しかし、これらの合成法では生成するヒドロキシ脂肪酸エステルのヒドロキシ部位での立体制御が極めて困難であり、立体制御を実現するには高コストを要することが予測される。
ヒドロキシ部位が立体制御されたヒドロキシ脂肪酸エステルを得る方法として、ケト脂肪酸エステルのケトン基を、カンジダ・ギリエルモンティやピチア・ファリノサ等の微生物を用いて還元する方法(特許文献1および2)、あるいはR体およびS体を含むヒドロキシ脂肪酸エステルにリパーゼを用いることにより、S体のヒドロキシ基を立体選択的にエステル化して、R体のみを残存させる手法(特許文献3)が開示されている。
またヒドロキシ脂肪酸類縁体の1つであるヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸は、ポリアミドエステル繊維などの原料として使用され、たとえばヒドロキシ脂肪酸とアミノ酸よりアミド結合を構築する方法によって化学合成される。しかし、この合成法では用いるヒドロキシ脂肪酸のヒドロキシ基を保護してアミノ酸と反応させるか、またはヒドロキシ脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸エステルとしたのちアミノ酸を反応させる必要がある。また、ヒドロキシ基が結合している炭素が不斉中心にあるヒドロキシ脂肪酸の場合、その部分の立体制御が必要となる。
非特許文献1では、天然のバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)からヒドロキシル化活性をもつ粗酵素調製物を取得し、かかる粗酵素調製物を用いて、長鎖脂肪酸等への反応性を確認したことが開示されている。バチルス・メガテリウムから得た粗酵素調製物は、長鎖脂肪酸をω−1、ω−2、ω−3位でヒドロキシル化するが、脂肪酸メチルエステルについては、ヒドロキシル化しなかったこと、および、バチルス・メガテリウムから得た粗酵素調製物が、パルミチン酸アミドをヒドロキシル化することが開示されている。
バチルス・メガテリウム由来のシトクロムP450モノオキシゲナーゼとして、シトクロムP450 BM3が知られている(特許文献4)。バチルス・メガテリウム由来の野生型シトクロムP450 BM3は、長鎖脂肪酸を末端近傍のω−1位、ω−2位、ω−3位でヒドロキシル化することが知られている。またシトクロームP450 BM3の変異型タンパク質も種々作製されているが、これらの変異型タンパク質は、短鎖脂肪酸や、インドール類、アルカンをヒドロキシル化するものである。
脂肪酸類縁体のうち、脂肪酸エステルもしくは脂肪酸アミドカルボン酸のシトクロムP450 BM3によるヒドロキシル化は、これまでに報告された例がない。
特開平5−308977号公報 特開平6−153969号公報 特開2001−128694号公報 特表2006−525799号公報
Miura Y, Fulco AJ., Biochim Biophys Acta. 1975 Jun 23;388(3):305-17.
本発明は、ヒドロキシ部位が立体制御されたヒドロキシ脂肪酸類縁体、特にヒドロキシ脂肪酸エステルおよびヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸を簡便に製造する方法および、当該製造方法により得られたヒドロキシ脂肪酸類縁体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、シトクロムP450 BM3が、アルキル基またはアルコキシアルキル基を有する脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドカルボン酸をヒドロキシル化することを確認し、シトクロムP450 BM3を用いて簡便に立体制御されたヒドロキシ脂肪酸エステルおよびヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸を製造し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.下記の一般式(1):
Figure 2011055715
(一般式(1)中、Rは1つ以上のヒドロキシ基を有し、炭素数11〜17で、かつ、ω−1位、ω−2位またはω−3位に少なくとも1つのヒドロキシ基を有するアルキル基を表し、
は、以下の一般式(2)または(3)であり、
Figure 2011055715
(一般式(2)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ−炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
Figure 2011055715
(一般式(3)中、Rは側鎖を有さないもしくは側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基であり、側鎖が置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基より選択され、ここで置換基はヒドロキシ基、カルボニルアミド基、カルボキシル基、グアニジノ基、アミノ基、イミダゾイル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、メルカプト基、スルフィド基、インドリル基から選択され、Rは水素原子もしくは炭素数が1〜5のアルキル基である、あるいは、
とRが共同してこれらが結合する窒素原子と共に3員環から9員環の含窒素複素環を形成する。)
で表されるヒドロキシ脂肪酸類縁体。
2.一般式(1)中、Rは一般式(2)であり、一般式(2)中、Rが炭素数1〜4のアルコキシ−炭素数1〜4のアルキル基を表す、前項1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
3.一般式(2)中、Rがメトキシエチル基を表す、前項2に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
4.一般式(1)中、Rは一般式(3)であり、Rが側鎖を有さないもしくは側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基であり、側鎖がメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メルカプトメチル基、メチルエチルスルフィド基、ベンジル基、ヒドロキシベンジル基、インドリルメチル基、アミドメチル基、アミドエチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、4−アミノブチル基、イミダゾイルメチル基、グアニジノプロピル基から選択され、Rは水素原子もしくは炭素数が1〜2のアルキル基である、あるいは、
とRが共同してこれらが結合する窒素原子と共にピロリジン環を形成する、
前項1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
5.一般式(3)中、Rが側鎖を有さない、もしくはメチル基である側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す、前項4に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
6.一般式(1)中、Rは炭素数11〜17で、かつ、ω−1位、ω−2位またはω−3位に1つのヒドロキシ基を有するアルキル基を表す、前項1〜5のいずれか1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
7.一般式(1)中、Rが炭素数11〜15で、かつ、ω−1位、ω−2位またはω−3位に1つのヒドロキシ基を有するアルキル基を表す、前項1〜6のいずれか1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
8.前項1〜7のいずれか1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法であり、下記の一般式(4):
Figure 2011055715
(一般式(4)中、Rは1つ以上のヒドロキシ基を有するもしくはヒドロキシ基を有さない炭素数11〜17のアルキル基を表し、Rは前述と同義である。)
で表される化合物と、シトクロムP450 BM3とを反応させることにより、Rのアルキル基のω−1位、ω−2位および/またはω−3位をヒドロキシル化することを特徴とする、ヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法。
9.シトクロムP450 BM3が、0.01〜100 nmol/mgタンパク質である、前項8に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法。
10.シトクロムP450 BM3が、組換えタンパク質である、前項8または9に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法。
本発明によると、一段階で、一般式(1)で表されるヒドロキシ脂肪酸類縁体を製造することができる。さらに、本発明の方法によると、シトクロムP450 BM3によるヒドロキシル化部位が高度に、たとえば鏡像体過剰率90%以上で立体制御されたヒドロキシ脂肪酸類縁体、特にヒドロキシ脂肪酸エステルおよびヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸を製造することができる。
本発明におけるヒドロキシ脂肪酸類縁体は、下記の一般式(1)で表わされる。
Figure 2011055715

一般式(1)中、Rは1つ以上のヒドロキシ基を有し、炭素数11〜17で、かつ、ω−1位、ω−2位またはω−3位に少なくとも1つのヒドロキシ基を有するアルキル基を表し、
は、以下の一般式(2)または(3)である。
Figure 2011055715
一般式(2)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ−炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Figure 2011055715
一般式(3)中、Rは側鎖を有さない、もしくは側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基であり、側鎖が置換された、もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基より選択され、ここで置換基はヒドロキシ基、カルボニルアミド基、カルボキシル基、グアニジノ基、アミノ基、イミダゾイル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、メルカプト基、スルフィド基、インドリル基から選択され、Rは水素原子もしくは炭素数が1〜5のアルキル基である、あるいは、RとRが共同してこれらが結合する窒素原子と共に3員環から9員環の含窒素複素環を形成する。
におけるヒドロキシ基の個数は、1以上であればよく特に制限されない。Rにおけるヒドロキシ基の位置は、少なくとも1つのヒドロキシ基がω−1位、ω−2位またはω−3位にあればよく、その他のヒドロキシ基の位置は特に制限されない。例えばRは、ω−1位、ω−2位およびω−3位にヒドロキシ基を2以上有する場合もある。Rは1つのヒドロキシ基を有することが好ましく、当該1つのヒドロキシ基はω−1位、ω−2位またはω−3位に存在する。
本発明においてRの表わす「1つ以上のヒドロキシ基を有し、炭素数11〜17で、かつ、ω−1位、ω−2位またはω−3位に少なくとも1つのヒドロキシ基を有するアルキル基」におけるアルキル基とは、直鎖状であっても分枝状であってもよいが好ましくは直鎖状であり、例えば、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基が挙げられる。好ましくは、Rにおけるアルキル基は、ω−1位、ω−2位またはω−3位に1のヒドロキシ基を有する。Rにおけるアルキル基は、好ましくは炭素数が11〜15である。またRにおけるアルキル基は、好ましくはヒドロキシ基以外に置換基を有さない、直鎖状のアルキル基である。
本発明において、一般式(1)においてRが一般式(2)である化合物とは、ヒドロキシ脂肪酸エステルと称される。
一般式(2)中、Rの表わす「炭素数1〜4のアルキル基」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよいが好ましくは直鎖状であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、「炭素数1〜4のアルコキシ−炭素数1〜4のアルキル基」とは、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基等が挙げられる。好ましくはRは炭素数1〜4のアルコキシ−炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2のアルコキシ−炭素数2〜4のアルキル基であり、特に好ましくはメトキシエチル基、エトキシエチル基である。
本発明において、一般式(1)においてRが一般式(3)である化合物とは、ヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸と称される。
本発明において、一般式(3)中、Rの表わす「側鎖を有さないもしくは側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基」とは、炭素数1〜6のアルキル基を主鎖とし、当該主鎖に側鎖が結合していてもよいし、結合していなくてもよいことを意味する。主鎖のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。
一般式(3)中、上記Rが、側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基である場合、側鎖は「置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基」より選択される。「置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基」は、1以上の(好ましくは1の)置換基を有する、もしくは置換基を有さない炭素数1〜3のアルキル基を意味する。また前記側鎖が、置換基を有するアルキル基である場合は、アルキル基における1以上の水素原子が、ヒドロキシ基、カルボニルアミド基、カルボキシル基、グアニジノ基、アミノ基、イミダゾイル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、メルカプト基、スルフィド基、インドリル基から選択される置換基により置換されていることを意味する。好ましくはRにおける側鎖は、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メルカプトメチル基、メチルエチルスルフィド基、ベンジル基、ヒドロキシベンジル基、インドリルメチル基、アミドメチル基、アミドエチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、4−アミノブチル基、イミダゾイルメチル基、グアニジノプロピル基から選択される。
本発明において、一般式(3)におけるRは水素原子もしくは炭素数が1〜5のアルキル基である。ここでアルキル基は直鎖状であることが好ましく、かつ、置換基を有さないことが好ましい。
あるいは、本発明において一般式(3)におけるRとRは、共同してこれらが結合する窒素原子と共に3員環から9員環の含窒素複素環を形成していてもよく、好ましくは5員または6員の単環式含窒素複素環を形成していてもよい。かかる含窒素複素環としては、ピペリジン環やピロリジン環が例示されるが、より好ましくはピロリジン環である。
一般式(3)中、Rが側鎖を有さない炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基であり、Rが水素原子であることが特に好適である。
本発明における、ヒドロキシ脂肪酸エステルまたはヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸であるヒドロキシ脂肪酸類縁体は、複数種のヒドロキシ脂肪酸類縁体の混合物であってもよく、各ヒドロキシ脂肪酸類縁体ごとに分離された状態で存在してもよい。
例えば、本発明のヒドロキシ脂肪酸類縁体は、ω−1位にヒドロキシ基を有するヒドロキシ脂肪酸エステル、ω−2位にヒドロキシ基を有するヒドロキシ脂肪酸エステル、およびω−3位にヒドロキシ基を有するヒドロキシ脂肪酸エステルの2以上の混合物として存在してもよいし、各ヒドロキシ脂肪酸エステルごとに分離された状態で存在してもよい。また、本発明のヒドロキシ脂肪酸類縁体は、ω−1位にヒドロキシ基を有するヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸、ω−2位にヒドロキシ基を有するヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸、およびω−3位にヒドロキシ基を有するヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸の2以上の混合物として存在してもよいし、各ヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸ごとに分離された状態で存在してもよい。
ヒドロキシ脂肪酸類縁体の混合物は、そのままポリマーの生成に用いることができ有用である。混合物中の各ヒドロキシ脂肪酸類縁体の割合は特に限定されない。
また本発明のヒドロキシ脂肪酸類縁体は光学活性体であり、鏡像体過剰率が80%以上であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。さらに本発明のヒドロキシ脂肪酸類縁体はR体が過剰であることが好ましい。
本発明のヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法は、一般式(4)の化合物と、シトクロムP450 BM3とを反応させる工程を少なくとも含むものであればよい。
本発明の製造方法の原料物質である化合物は、下記の一般式(4)にて表わされる。
Figure 2011055715
一般式(4)中、Rは1つ以上のヒドロキシ基を有するもしくはヒドロキシ基を有さない炭素数11〜17のアルキル基を表し、Rは本明細書にて先に定義したとおりである。なおRは、一般式(1)におけるRと比較して、ヒドロキシ基の個数が少ない。好ましくはRは、一般式(1)におけるRと比較して、ヒドロキシ基の個数が1つ少ない。
一般式(4)中、Rが1つ以上のヒドロキシ基を有する場合、ヒドロキシ基の個数は1以上であればよく特に制限されない。ヒドロキシ基の位置は特に制限されず、少なくともω−1位、ω−2位またはω−3位のいずれかにヒドロキシル化される部位が残っていればよい。例えばRは、ω−1位、ω−2位およびω−3位に1以上のヒドロキシ基を有していてもよい。好ましくはRは、ヒドロキシ基を有さないアルキル基であり、この場合一般式(4)で表される化合物は脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドカルボン酸である。
における「炭素数11〜17のアルキル基」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよいが好ましくは直鎖状であり、例えば、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基が挙げられる。好ましくは、Rにおけるアルキル基は炭素数が11〜15である。
一般式(4)にて表わされる化合物、例えば脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドカルボン酸は、化学合成により製造することもできるし、市販のものを購入してもよい。
一般式(4)の化合物のうち、Rが一般式(2)で表される化合物(脂肪酸エステル等)は、一般式(5)
Figure 2011055715
(一般式(5)中、Rは本明細書にて先に定義したとおりである)
で表わされる脂肪酸と、一般式(6)
Figure 2011055715
(一般式(6)中、Rは本明細書にて先に定義したとおりである)
で表わされるアルコールとを、酸の存在下、無溶媒または有機溶媒中で反応させることにより化学合成して、容易に製造することができる。かかる反応において用いられる酸としては塩酸、硫酸等が挙げられ、用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族化合物等が挙げられる。得られた一般式(4)の化合物は、当業者に公知の手法、例えば有機溶媒を減圧留去といった手法により分離して、本発明の製造方法に用いることができる。
一般式(4)の化合物のうち、Rが一般式(3)で表される化合物(脂肪酸アミドカルボン酸等)は、一般式(7)
Figure 2011055715
(一般式(7)中、Rは本明細書にて先に定義したとおりである。)
で表わされる脂肪酸クロリドと、一般式(8)
Figure 2011055715
(一般式(8)中、RとRは本明細書にて先に定義したとおりである。)
で表わされるアミノ酸とを、塩基の存在下、水溶液中で反応させることにより化学合成して、容易に製造することができる。一般式(8)にて表される化合物は、グリシンやアラニンといったα−アミノ酸が例示される。かかる一般式(4)の化合物の化学合成反応において用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、および/または水酸化カリウム等が挙げられ、これらを水で10〜30%に希釈して水溶液として使用すればよい。得られた一般式(4)の化合物は、当業者に公知の手法、例えば酸性化後、ろ過といった手法により分離して、本発明の製造方法に用いることができる。
本発明の製造方法において、一般式(4)の化合物、例えば脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドカルボン酸のヒドロキシル化を触媒するために用いられる酵素は、シトクロムP450 BM3である。脂肪酸ヒドロキシル化活性について、他の膜結合型(哺乳動物型)P450(例えばCYP4A3(Aoyama T, Hardwick JP, Imaoka S, Funae Y, Gelboin HV, Gonzalez FJ., J Lipid Res. 1990 Aug;31(8):1477-82.))は、パルミチン酸のヒドロキシル化活性が3.2 mol/min/mol P450タンパク質であるが、シトクロムP450 BM3の場合には1600 mol/min/mol P450タンパク質(Boddupalli SS, Pramanik BC, Slaughter CA, Estabrook RW, Peterson JA.Arch Biochem Biophys. 1992 Jan;292(1):20-8.)と、約500倍の比活性を持つ。脂肪酸のヒドロキシル化には、シトクロムP450 BM3が高い優位性を持つと考えられる。
シトクロムP450 BM3(Cytochrome P450 BM3 (CYP102A1))とは、バチルス・メガテリウム由来の可溶性のモノオキシゲナーゼである。シトクロムP450 BM3は、多領域構造を有すること、すなわち1048残基からなる119kDaのポリペチド鎖1つに融合している3つの領域、FAD1つ、FMN1つ及びヘム領域1つからなることを特徴とする。また、シトクロムP450 BM3は配列の35%程度がミクロソームのNADPH−シトクロムP450レダクターゼと相同性が高く、分子内に酸化酵素領域と還元酵素領域を併せ持つ天然型の融合酵素として知られている。
本発明におけるシトクロムP450 BM3は、一般式(4)の化合物をヒドロキシル化するものであれば野生型(配列番号1)(ProteinID AAA87602.1、GenBank Accession No.J04832の1541番目〜4690番目の配列)であっても、改変型であってもよい。改変型とは、野生型と比較して1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有する変異型や、糖鎖などの修飾がなされたものを意味する。本発明におけるシトクロムP450 BM3は、好ましくは野生型である。また、本発明におけるシトクロムP450 BM3は、一般式(4)の化合物を、1つのみヒドロキシル化するものであってもよいが、連続して2つ以上ヒドロキシル化するものであってもよい。
また本発明において用いられるシトクロムP450 BM3は、0.01〜100 nmol/mgタンパク質の量で用いられることが好ましい。すなわち、反応溶液中に存在する全タンパク質1 mg当たり、0.01〜100 nmolのシトクロムP450 BM3を含むことが好ましい。より好ましくはシトクロムP450 BM3は0.5〜75 nmol/mgタンパク質であり、さらに好ましくは1〜50 nmol/mgタンパク質であり、特に好ましくは5〜25 nmol/mgタンパク質である。
本発明におけるシトクロムP450 BM3は、天然のバチルス・メガテリウムから精製したもの等いかなる手法によって得たものでもよく、市販品を使用してもよいが、組換えタンパク質として産生されたもの使用することが好ましい。組換えタンパク質として産生することにより、目的のシトクロムP450 BM3を高純度で多量に得ることができるため、上記の0.01〜100 nmol/mgタンパク質の量で用いることが可能となる。例えば、遺伝子組換えを行っていないバチルス・メガテリウム菌からは、シトクロムP450 BM3が0.025nmol/mgタンパク質しか得られないことが報告されているが(Bok Hoi Kim, Armand J. Fulco, Biochemical and Biophysical Research Communications, Volume 116, Issue 3, 15 November 1983, Pages 843-850)、例えば後述の実施例の方法により組換えタンパク質としてシトクロムP450 BM3を産生した場合、12.5nmol/mgタンパク質のシトクロムP450 BM3を得ることができる。
組換えタンパク質であるシトクロムP450 BM3の産生は、公知の遺伝子工学的手法を適宜組み合わせることにより行うことができる。目的のシトクロムP450 BM3をコードする遺伝子を適宜改変して作製し、組換え発現ベクターを構築し、宿主細胞に導入して形質転換細胞を作製し、当該形質転換細胞内で組換えタンパク質を発現させ、所望の程度に精製して取得するといった一連の操作を行えばよい。発現ベクターの選択、遺伝子の導入、発現方法は、例えばSambrook, J., Russel,D. W., Molecular Cloning A Laboratory Manual, 3rd Edition, CSHL Press, 2001、Hopwood, D. A., Bibb, M. J., Chater, K. F., Bruton, C. J., Kieser, H. M., Lydiate, D. J., Smith, C. P., Ward, J. M., Schrempf, H. Genetic manipulation of Streptomyces: A laboratory manual, The John Innes Institute, Norwich, UK, 1985等を参照することができる。発現ベクターを導入する宿主細胞は大腸菌、枯草菌等の細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞等のいかなる細胞であってもよいが、大腸菌であることが好ましい。
例えば、以下の方法により、シトクロムP450 BM3を発現する形質転換細胞を作製することができる。バチルス・メガテリウムから常法により調製したcDNAを鋳型とし、化学合成した異なる制限酵素サイトを有する2種類のPCR増幅用プライマーを用いてPCR反応を行う。PCR反応は、反応条件を適宜調整して常法により行えばよい。次に、約3.6kb付近にPCR増幅物があることを電気泳動法にて確認し、これらのPCR産物とプラスミドを、適切な制限酵素で各々制限処理を行う。次に、プラスミドのプロモーターの下流へ、PCR産物として得られた完全長シトクロムP450 BM3 cDNA(配列番号1)(ProteinID AAA87602.1、GenBank Accession No.J04832の1541番目〜4690番目の塩基配列)を、順方向に挿入してシトクロムP450 BM3プラスミドを作製する。当該シトクロムP450 BM3プラスミドを、常法により大腸菌等の細胞に形質転換することにより、細胞へのシトクロムP450 BM3の遺伝子導入を行う。この場合、プラスミドの細胞への導入確認は、薬剤耐性能等を評価することにより行うことができる。
シトクロムP450 BM3を発現する形質転換細胞の培養は常法に従って行うことができる。
本発明の製造方法においてシトクロムP450 BM3は、シトクロムP450 BM3を発現する形質転換細胞を破砕して得ることのできる細胞破砕物として調製したものや、形質転換細胞から公知の手法により精製したものを用いてもよいし、大腸菌等の形質転換細胞自体をそのまま用いてもよい。当該形質転換細胞からのシトクロムP450 BM3の精製は、常法により行うことができる。
シトクロムP450 BM3を発現する形質転換細胞を破砕して得ることのできる細胞破砕物は、以下のようにして調製することができる。まず形質転換細胞の培養液を遠心して回収し、超音波等により破砕処理を行い、形質転換細胞を破砕する。次に、得られた細胞破砕液を例えば12,000 rpmで10分間、遠心して、沈殿物を分離し、得られた上清を可溶性タンパク質を含む画分である細胞破砕物(例えば、形質転換細胞が大腸菌の場合は菌体破砕物)とすればよい。
本発明の製造方法における反応溶液は限定されず、シトクロムP450 BM3が細胞破砕物である場合は、公知の緩衝液(pH6.5〜pH8.0)、例えば0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)を用いればよく、シトクロムP450 BM3が形質転換細胞である場合は、公知の培養液、例えばTB培地を用いればよい。シトクロムP450 BM3による一般式(4)の化合物のヒドロキシル化は、補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(nicotinamide adenin dinucleotide phosphate)(以下「NADPH」とも称する)の存在下で行うことが好ましい。さらに、NADPH再生系の存在下で、ヒドロキシル化を行うことにより、NADPHの添加量を少量にできる。NADPH再生系はNADP+をNADPHに再生する系であればいかなるものであってもよいが、例えばNADPH再生系として、グルコース-6-リン酸(Glucose-6-phosphate)(以下「G6P」とも称する)とグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(Glucose-6-phosphate dehydrogenase)(以下「G6PD」とも称する)を、本発明の製造方法における反応溶液中に存在させることが好ましい。
例えば、シトクロムP450 BM3として細胞破砕物を用いる場合は、NADPH、G6P、G6DPを反応溶液中に添加することが好ましく、シトクロムP450 BM3として形質転換細胞を用いる場合は、NADPH、G6P、G6DPは細胞内に存在するため、別途添加する必要はない。
さらに本発明の製造方法では、反応溶液中にシトクロムP450 BM3安定化剤を添加してもよく、例えば20%のグリセロールを添加してもよい。
本発明の製造方法において、基質とシトクロムP450 BM3との量の割合は、用いる基質の種類や濃度によって異なるが、反応溶液中、基質100 mgに対して、シトクロムP450 BM3を10〜50 pmol、好ましくは20〜40 pmol存在させることが好ましい。
本発明の製造方法における、反応温度、反応時間は用いる基質の種類や濃度によって異なるが、通常15℃〜40℃、好ましくは25℃〜40℃、より好ましくは約37℃の温度下で、通常12時間〜48時間、好ましくは約24時間行えばよい。
反応終了後、反応液を有機溶媒と水の混合溶媒で希釈し、ろ液を分液する。用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族化合物、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素等があげられる。有機層を濃縮して、本発明の目的物である一般式(1)のヒドロキシ脂肪酸類縁体を光学活性体として得ることができる。
得られたヒドロキシ脂肪酸類縁体のうち、ヒドロキシ脂肪酸エステルは、例えば、リパーゼのような酵素の存在下で反応させることによりポリマーであるポリエステルを製造するのに用いることができると考えられる(Ebata H, Toshima K, Matsumura S., Macromol Biosci. 2008 Jan 9;8(1):38-45.)。また、ヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸は、例えば、カルボン酸部分をエステルとした後、リパーゼのような酵素の存在下で反応させることによりポリアミドエステルを製造することができると考えられる(Ebata H, Toshima K, Matsumura S., Macromol Biosci. 2008 Jan 9;8(1):38-45.)。
本発明の理解を深めるために、以下の実施例および参考例により更に詳細に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことは明らかである。
(実施例1)2'-メトキシエチル ヒドロキシドデカノエート(2'-Methoxyethyl hydroxydodecanoate)の製造
(1)大腸菌を用いたシトクロムP450 BM3の産生
バチルス・メガテリウムから常法により調製したcDNAを鋳型とし、化学合成した2種類の制限酵素サイトを有するPCR増幅用プライマー(Primer-FBM3:5'-aaggatccatgacaattaaagaaatgcctcagc-3'(配列番号2)、 Primer-RBM3:5'-aagctagctacccagcccacacgtcttttgcg-3'(配列番号3))を用いてPCR反応を行った。PCR反応は、PrimeSTAR(タカラ社製)DNAポリメラーゼ酵素を用い、98℃で10分間と68℃で5分間を1サイクルとして30サイクル繰り返すようにプログラムして行った。次に、約3.6kb付近にPCR増幅物があることをアガロースゲル電気泳動法にて確認し、これらのPCR産物と大腸菌発現用プラスミドpET-28a+(米国ノバジェン社)を、制限酵素BamHIおよびNheIで各々制限処理を行った。次に、pET-28a+のT7プロモーター下流へ、PCR産物として得られた完全長シトクロムP450 BM3 cDNA(配列番号1)(ProteinID AAA87602.1、GenBank Accession No.J04832の1541番目〜4690番目の配列)を、順方向に挿入して大腸菌発現用シトクロムP450 BM3プラスミドを作製した。当該大腸菌発現用シトクロムP450 BM3プラスミドを、常法により大腸菌コンピテントセルDH5α(東洋紡社)に形質転換することにより、大腸菌へのシトクロムP450 BM3の遺伝子導入を行った。プラスミドの大腸菌への導入確認は、LB培地に添加した抗生物質カナマイシンによる薬剤耐性能を評価することにより行った。
抗生物質カナマイシンを含むLB寒天培地上の単一大腸菌コロニーを、2.5 mlのTB液体培地へと植菌することにより組換え大腸菌の培養を開始した。前培養は、16時間、37℃の条件下で行った。次に、終濃度500μg/mlのアミノレブリン酸および終濃度50μg/mlのカナマイシンを含む500 mlのTB培地中で、OD値が0.3前後になるまで約3時間培養した。次に、37℃の培養後、培養温度を28℃まで下げると同時に終濃度1 mMの遺伝子発現誘導剤イソプロピルチオガラクトシド(isopropyl thiogalactoside、IPTG)を添加し、引き続き24時間培養を行った。
組換え大腸菌株は、遠心分離操作により大腸菌培養液から回収した。次に、沈殿物である大腸菌菌体を20 mlのP450保存緩衝液(20%グリセロールを含む0.1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5))に分散させた。シトクロムP450 BM3の大腸菌内における発現量については、還元型CO差スペクトルを測定する事により評価した。還元型CO差スペクトルは、常法に従い還元条件下でCOを通気することにより測定した。シトクロムP450 BM3のモル数は、佐藤・大村ら(Omura,T. and Sato, R. (1964)J.Biol.Chem. 239, 2370-2378)の定数を用いて算出した。
シトクロムP450 BM3の代謝活性については、酵素基質として2'-メトキシエチル ドデカノエート(2'-methoxyethyl dodecanoate)を用いて測定した。酵素反応は、47.8 pmolのシトクロムP450 BM3を含む大腸菌株の菌体破砕物に対して直接、基質を添加する方法を用いた。
シトクロムP450 BM3を発現している組換え大腸菌株の菌体破砕物を以下の方法により調製した。500 mlのTB培養液を3,000 gで10分間遠心して集菌した後、120秒ずつ計5回の超音波破砕処理を行い大腸菌菌体を破砕した。次に、この大腸菌菌体破砕液を12,000 rpmで10分間遠心することにより、大腸菌残渣を分離し、遠心分離操作後に得られた上清を大腸菌株の菌体破砕物とした。
(2)2'-メトキシエチル ヒドロキシドデカノエートの製造
2'-メトキシエチル ドデカノエートとシトクロムP450 BM3との反応は、以下の方法により行った。まず実施例1(1)にて得られた大腸菌株の菌体破砕物20ml(47.8 pmolのシトクロムP450 BM3を含む)に対して、200 mgの2'-メトキシエチル ドデカノエート(ドデカン酸と2−メトキシエタノールとを塩酸の存在下で反応させて合成した)、20 unitのグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD) 、終濃度10 mMのグルコース-6-リン酸(G6P)および終濃度0.5 mMのNADPHを添加し、120 rpmの振盪条件下、37℃、24時間、反応を行った。反応終了後、反応液に水20 mlとジクロロメタン30 mlを加えた後、ろ過して菌体破砕物を除いた。ろ液を分液して得たジクロロメタン層を減圧濃縮して、120 mgの油状物を得た。
油状物のH−NMR:δppm (300 MHz, CDCl3):0.86 - 1.20 (~3H, m, CH3), 1.20 - 1.30 (~10H, m, CH2), 1.42 - 1.50 ( ~2H, m, CH2) 1.62 (2H, t, J = 6 H, CH2), 2.34 (2H, t, J = 6 Hz, CH2), 3.34 (3H, s, CH3O), 3.60 (2H, t, J = 4 Hz, CH2), 3.60 - 3.80 (~ 0.4 H, m, CH), 4.23 (3H, t, J = 4 Hz, CH2)
得られた油状物のH−NMRによるω位のメチル基の分析の結果、油状物は、原料の2'-メトキシエチル ドデカノエート[62%, (δ=0.88, t, J = 6 Hz)]の他に、2'-メトキシエチル 11-ヒドロキシドデカノエート[15%, (δ=1.18, d, J = 6 Hz)]、2'-メトキシエチル 10-ヒドロキシドデカノエート[8%, (δ=0.92, t, J = 6 Hz)]、および2'-メトキシエチル 9-ヒドロキシドデカノエート[15%, (δ=0.94, t, J = 6 Hz)]を含んでいることがわかった。油状物から、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、2'-メトキシエチル 11-ヒドロキシドデカノエート5 mgを精製し、光学活性カラム(キラルセルOB(ダイセル社)を用いて分析したところ、鏡像体過剰率は90%でR体が過剰に得られた。
(実施例2)メチル ヒドロキシヘキサデカノエート(Methyl hydroxyhexadecanoate)の製造
メチル ヘキサデカノエート(methyl hexadecanoate)(ヘキサデカン酸とメタノールとを塩酸の存在下で反応させて合成した)とシトクロムP450 BM3(実施例1(1)と同様の手法により産生)との反応は、基質として200 mgの2'-メトキシエチル ドデカノエートの代わりに、200 mgのメチル ヘキサドデカノエートを用いた以外は、実施例1と同様の手法により行った。反応終了後、反応液に水20 mlとジクロロメタン30 mlを加えた後、ろ過して菌体破砕物を除いた。ろ液を分液して得たジクロロメタン層を減圧濃縮して、40 mgの油状物を得た。
油状物のH−NMR:δppm (300 MHz, CDCl3):0.86 - 1.20 (~3H, m, CH3), 1.20 - 1.30 (~16H, m, CH2), 1.52 - 1.70 ( 2H, m, CH2), 2.28 - 2.38 (2H, m, CH2), 3.66 (3H, s, CH3O)
得られた油状物のH−NMRによるω位のメチル基の分析の結果、油状物は、原料のメチル ヘキサデカノエート[82%, (δ=0.87, t, J = 6 Hz)]の他に、メチル 15-ヒドロキシヘキサデカノエート[5%, (δ=1.18, d, J = 6 Hz)]、メチル 14-ヒドロキシヘキサデカノエート[3%, (δ=0.93, t, J = 6 Hz)]、およびメチル 13-ヒドロキシヘキサデカノエート[10%, (δ=0.94, t, J = 6 Hz)]を含んでいることがわかった。油状物から、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、メチル 15-ヒドロキシヘキサデカノエート1 mgを精製し、光学活性カラム(キラルセルOB)を用いて分析したところ、鏡像体過剰率は95%であった。
(参考例1)メチル 11-ヒドロキシドデカノエート(Methyl 11-hydroxydodecanoate)を用いたポリマーの合成
メチル 11-ヒドロキシドデカノエート 300 mg(1.30 mmol)と リパーゼ(CHIRAZYME(登録商標):ロッシエ(株)製)180 mgの混合物に、トルエン2 mlを加え、アルゴン気流下80℃の条件下で8日間撹拌した。室温に戻した後、吸引濾過を行い、リパーゼを取り除いた。ろ液を減圧濃縮して、白色油状物質を269 mg得た。これを高速カラムクロマトグラフィーで分析したところ、最大で分子量が60,000程度の重合体(メチル 11-ヒドロキシドデカノエートのポリマー)が形成されていた。
(実施例3)2-(ヒドロキシドデカナミド)酢酸(2-(hydroxydodecanamido)acetic acid)の製造
(1)大腸菌を用いたシトクロムP450 BM3の産生
バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)から常法により調製したcDNAを鋳型とし、化学合成した2種類の制限酵素サイトを有するPCR増幅用プライマー(Primer-FBM3:5'-aaggatccatgacaattaaagaaatgcctcagc-3'(配列番号2)、 Primer-RBM3:5'-aagctagctacccagcccacacgtcttttgcg-3'(配列番号3))を用いてPCR反応を行った。PCR反応は、PrimeSTAR(タカラ社製)DNAポリメラーゼ酵素を用い、98℃で10分間と68℃で5分間を1サイクルとして30サイクル繰り返すようにプログラムして行った。次に、約3.6kb付近にPCR増幅物があることをアガロースゲル電気泳動法にて確認し、これらのPCR産物と大腸菌発現用プラスミドpET-28a+(米国ノバジェン社)を、制限酵素BamHIおよびNheIで各々制限処理を行った。次に、pET-28a+のT7プロモーター下流へ、PCR産物として得られた完全長シトクロムP450 BM3 cDNA(GenBank Accession No.J04832(配列番号1))を含む断片を、順方向に挿入して大腸菌発現用シトクロムP450 BM3プラスミドを作製した。当該大腸菌発現用シトクロムP450 BM3プラスミドを、常法により大腸菌コンピテントセルDH5α(東洋紡社)に形質転換することにより、大腸菌へのシトクロムP450 BM3の遺伝子導入を行った。プラスミドの大腸菌への導入確認は、LB培地に添加した抗生物質カナマイシンによる薬剤耐性能を評価することにより行った。
抗生物質カナマイシンを含むLB寒天培地上の単一大腸菌コロニーを、2.5 mlのTB液体培地へと植菌することにより組換え大腸菌の培養を開始した。前培養は、16時間、37℃の条件下で行った。次に、終濃度500μg/mlのアミノレブリン酸および終濃度50μg/mlのカナマイシンを含む500 mlのTB培地中で、OD値が0.3前後になるまで約3時間培養した。次に、37℃の培養後、培養温度を28℃まで下げると同時に終濃度1 mMの遺伝子発現誘導剤イソプロピルチオガラクトシド(isopropyl thiogalactoside、IPTG)を添加し、引き続き24時間培養を行った。
組換え大腸菌株は、遠心分離操作により大腸菌培養液から回収した。次に、沈殿物である大腸菌菌体を20 mlのP450保存緩衝液(20%グリセロールを含む0.1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5))に分散させた。シトクロムP450 BM3の大腸菌内における発現量については、還元型CO差スペクトルを測定する事により評価した。還元型CO差スペクトルは、常法に従い還元条件下でCOを通気することにより測定した。シトクロムP450 BM3のモル数は、佐藤・大村ら(Omura,T. and Sato, R. (1964)J.Biol.Chem. 239, 2370-2378)の定数を用いて算出した。
シトクロムP450 BM3の代謝活性については、酵素基質として2−ドデカナミド酢酸(2-dodecanamidoacetic acid)を用いて測定した。酵素反応は、47.8 pmolのシトクロムP450 BM3を含む大腸菌株の菌体破砕物に対して直接、基質を添加する方法を用いた。
シトクロムP450 BM3を発現している組換え大腸菌株の菌体破砕物を以下の方法により調製した。500 mlのTB培養液を3,000 gで10分間遠心して集菌した後、120秒ずつ計5回の超音波破砕処理を行い大腸菌菌体を破砕した。次に、この大腸菌菌体破砕液を12,000 rpmで10分間遠心することにより、大腸菌残渣を分離し、遠心分離操作後に得られた上清を大腸菌株の菌体破砕物とした。
かかる菌体破砕物中、シトクロムP450 BM3が12.5nmol/mgタンパク質で存在していることが、還元型CO差スペクトル測定によるシトクロムP450 BM3量の定量およびプロテインアッセイ(バイオラッド社製)によるタンパク質定量を用いた測定により、わかった。
(2)2-(ヒドロキシドデカナミド)酢酸の製造
2-ドデカナミド酢酸とシトクロムP450 BM3との反応は、以下の方法により行った。まず実施例3(1)にて得られた大腸菌株の菌体破砕物20ml(47.8 pmolのシトクロムP450 BM3を含む)に対して、50 mgの2−ドデカナミド酢酸(ドデカン酸クロリドとグリシンとを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて合成した)、20 unitのグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD) 、終濃度10 mMのグルコース-6-リン酸(G6P)および終濃度0.5 mMのNADPHを添加し、120 rpmの振盪条件下、37℃、24時間、反応を行った。反応終了後、反応液に水20 mlとジクロロメタン30 mlを加えた後、ろ過して菌体破砕物を除いた。ろ液を分液して得たジクロロメタン層を減圧濃縮して、45 mgの白色固体を得た。
白色固体のH−NMR:δppm (300 MHz, CDCl3):0.86 - 1.20 (~3H, m, CH3), 1.20 - 1.30 (~10H, m, CH2), 1.42 - 1.50 ( ~2H, m, CH2) 1.62 (2H, t, J = 6 H, CH2), 2.26 (2H, t, J = 6 Hz, CH2), 3.60 - 3.80 (~ 0.8 H, m, CH), 4.16 - 4.18 (2H, m, CH2), 4.23 (3H, t, J = 4 Hz, CH2),6.05 (1H, bs, NH)
得られた白色固体のH−NMRによるω位のメチル基の分析の結果、白色固体は、原料の2-ドデカナミド酢酸[20%, (δ=0.88, t, J = 6 Hz)]の他に、2-(11-ヒドロキシドデカナミド)酢酸[35%, (δ=1.18, d, J = 6 Hz)]、2-(10-ヒドロキシドデカナミド)酢酸[35%, (δ=0.94, t, J = 6 Hz)]、および2-(9-ヒドロキシドデカナミド)酢酸[10%, (δ=0.92, t, J = 6 Hz)]を含んでいることがわかった。白色固体から、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、2-(11-ヒドロキシドデカナミド)酢酸3 mgを精製し、光学活性カラム(キラルセルOB(ダイセル社)を用いて分析したところ、鏡像体過剰率は92%でR体が過剰に得られた。
(実施例4)6-(ヒドロキシドデカナミド)ヘキサン酸(6-(hydroxydodecanamido)hexanoic acid)の製造
6-ドデカナミドヘキサン酸(6-dodecanamidohexanoic acid)(ドデカンサン酸クロリドと6-アミノヘキサン酸とを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて合成した)とシトクロムP450 BM3(実施例3(1)と同様の手法により産生)との反応は、基質として50 mgの2-ドデカナミド酢酸の代わりに、50 mgの6-ドデカナミドヘキサン酸を用いた以外は、実施例3と同様の手法により行った。反応終了後、反応液に水20 mlとジクロロメタン30 mlを加えた後、ろ過して菌体破砕物を除いた。ろ液を分液して得たジクロロメタン層を減圧濃縮して、40 mgの白色固体を得た。
白色固体のH−NMR:δppm (300 MHz, CDCl3):0.86 - 1.20 (~3H, m, CH3), 1.20 - 1.30 (~12H, m, CH2), 1.52 - 1.70 ( 6H, m, CH2), 2.28 - 2.38 (4H, m, CH2), 3.20 (2H, q, CH2), 3.60 - 3.80 (~ 0.6 H, m, CH), 5.55 (1H, bs, NH)
得られた白色固体のH−NMRによるω位のメチル基の分析の結果、白色固体は、原料の6-ドデカナミドヘキサン酸[30%, (δ=0.88, t, J = 6 Hz)]の他に、6-(11-ヒドロキシドデカナミド)ヘキサン酸[20%, (δ=1.18, d, J = 6 Hz)]、6-(10-ヒドロキシドデカナミド)ヘキサン酸[40%, (δ=0.94, t, J = 6 Hz)]、および6-(9-ヒドロキシドデカナミド)ヘキサン酸[10%, (δ=0.92, t, J = 6 Hz)]を含んでいることがわかった。白色固体から、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、6-(11-ヒドロキシドデカナミド)ヘキサン酸1 mgを精製し、光学活性カラム(キラルセルOB)を用いて分析したところ、鏡像体過剰率は95%であった。
本発明の製造方法は、ヒドロキシ脂肪酸類縁体を、一段階で立体制御された状態で製造することができ、有用である。得られたヒドロキシ脂肪酸類縁体は、ポリマーを合成するために用いられる。本発明のヒドロキシ脂肪酸類縁体により合成されたポリマーは生分解性を有すると予測され、種々の分野に応用可能であると考えられる。また本発明のヒドロキシ脂肪酸類縁体は高度に立体制御されているため、かかるヒドロキシ脂肪酸類縁体、特にヒドロキシ脂肪酸エステルまたはヒドロキシ脂肪酸アミドカルボン酸により合成されたポリマーは、従来のヒドロキシ脂肪酸類縁体により合成されたポリマーと比べて、新規な特性を有する可能性がある。

Claims (10)

  1. 下記の一般式(1):
    Figure 2011055715
    (一般式(1)中、Rは1つ以上のヒドロキシ基を有し、炭素数11〜17で、かつ、ω−1位、ω−2位またはω−3位に少なくとも1つのヒドロキシ基を有するアルキル基を表し、
    は、以下の一般式(2)または(3)であり、
    Figure 2011055715
    (一般式(2)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ−炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
    Figure 2011055715
    (一般式(3)中、Rは側鎖を有さないもしくは側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基であり、側鎖が置換もしくは非置換の炭素数1〜3のアルキル基より選択され、ここで置換基はヒドロキシ基、カルボニルアミド基、カルボキシル基、グアニジノ基、アミノ基、イミダゾイル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、メルカプト基、スルフィド基、インドリル基から選択され、Rは水素原子もしくは炭素数が1〜5のアルキル基である、あるいは、
    とRが共同してこれらが結合する窒素原子と共に3員環から9員環の含窒素複素環を形成する。)
    で表されるヒドロキシ脂肪酸類縁体。
  2. 一般式(1)中、Rは一般式(2)であり、一般式(2)中、Rが炭素数1〜4のアルコキシ−炭素数1〜4のアルキル基を表す、請求項1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
  3. 一般式(2)中、Rがメトキシエチル基を表す、請求項2に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
  4. 一般式(1)中、Rは一般式(3)であり、Rが側鎖を有さないもしくは側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基であり、側鎖がメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メルカプトメチル基、メチルエチルスルフィド基、ベンジル基、ヒドロキシベンジル基、インドリルメチル基、アミドメチル基、アミドエチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、4−アミノブチル基、イミダゾイルメチル基、グアニジノプロピル基から選択され、Rは水素原子もしくは炭素数が1〜2のアルキル基である、あるいは、
    とRが共同してこれらが結合する窒素原子と共にピロリジン環を形成する、
    請求項1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
  5. 一般式(3)中、Rが側鎖を有さない、もしくはメチル基である側鎖を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す、請求項4に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
  6. 一般式(1)中、Rは炭素数11〜17で、かつ、ω−1位、ω−2位またはω−3位に1つのヒドロキシ基を有するアルキル基を表す、請求項1〜5のいずれか1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
  7. 一般式(1)中、Rが炭素数11〜15で、かつ、ω−1位、ω−2位またはω−3位に1つのヒドロキシ基を有するアルキル基を表す、請求項1〜6のいずれか1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法であり、下記の一般式(4):
    Figure 2011055715
    (一般式(4)中、Rは1つ以上のヒドロキシ基を有するもしくはヒドロキシ基を有さない炭素数11〜17のアルキル基を表し、Rは前述と同義である。)
    で表される化合物と、シトクロムP450 BM3とを反応させることにより、Rのアルキル基のω−1位、ω−2位および/またはω−3位をヒドロキシル化することを特徴とする、ヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法。
  9. シトクロムP450 BM3が、0.01〜100 nmol/mgタンパク質である、請求項8に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法。
  10. シトクロムP450 BM3が、組換えタンパク質である、請求項8または9に記載のヒドロキシ脂肪酸類縁体の製造方法。
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