JPWO2011055553A1 - 親水性シリカ膜の製造方法および親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板 - Google Patents

親水性シリカ膜の製造方法および親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストかつ低温にて、親水性に優れたシリカ薄膜を製造する。【解決手段】本発明は、少なくとも、テトラアルキルオルソシリケート、有機溶媒および水を混和して反応させる反応工程(ステップS100)と、その反応工程によって得られる溶液を基板に供給して膜を形成する膜形成工程(ステップS200)と、その膜形成工程によって得られる膜を水に接触させて加水分解を行う後加水分解工程(ステップS400)とを含む親水性シリカ膜の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、親水性に富むシリカ膜の製造方法、親水性シリカ膜ならびに親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板に関する。
従来から、防曇性を付与して光学特性を向上させることを目的として、超親水性のコーティング材料が用いられている。当該コーティング材料は、防曇性以外にも、防汚性の付与や熱交換の高効率化も期待できるので、多用されている。
親水性材料としては、例えば、結晶性の酸化チタン微粒子等の光半導体を混合した塗料が知られている。塗料中に結晶性の粒子を用いると、塗膜の透明性、透過性が損なわれやすい。このため、その解決手段の一つとして、光半導体の含有率の低減が試みられており、光半導体の粒子の含有率が低くても、ある程度の超親水性を発揮できる材料も知られている(例えば、特許文献1参照)。また、以前より、酸化チタン等の光半導体の微粒子を含まない超親水性材料として、親水性ポリマー、界面活性剤が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−061042号公報 特開昭53−058492号公報
しかし、上記従来技術には、次のような問題もある。特許文献1に開示される材料は、超親水性の発現に光照射を必要とするため、暗所において防曇性を発現することは困難である。一方、特許文献2に開示される材料は、防曇性の発現に光照射を必要としないが、膜形成後の付着性に乏しいため、防曇性の効果が短期間で損なわれるという問題を有する。付着性を高めるために、コロイダルシリカを有機ポリマーや無機バインダーに複合化して被覆する方法も考えられているが、光の吸収、散乱による透明性の低下は避けられない。
本発明者らは、本発明に先立ち、粒子を一切含まないシリカ薄膜の開発を行い、極めて平滑で、光透過性の高い超親水性の薄膜を作製することに成功した。しかし、この製法には、親水性材料の製造工程において溶媒の制約があり、溶媒の交換プロセスを要する。また、同製造工程において300℃以上の高温に加熱する工程を必要とする。このような制約をできるだけ無くし、溶媒の交換プロセスを無くして低コストで、かつ耐熱性の低い材料にも親水性を付与できるようにすることが望まれている。
本発明は、かかる要望に応えるべくなされたものであって、低コストかつ低温にて、親水性に優れたシリカ膜ならびに親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板を製造することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の親水性シリカ膜の製造方法は、少なくとも、テトラアルキルオルソシリケート、有機溶媒および水を混和して反応させる反応工程と、反応工程によって得られる溶液を基板に供給して膜を形成する膜形成工程と、膜形成工程によって得られる膜を水に接触させて加水分解を行う後加水分解工程とを含む。
また、別の本発明の親水性シリカ膜の製造方法は、さらに、後加水分解工程の後に、100〜250℃の範囲内で加熱する加熱工程を行う。
また、別の本発明の親水性シリカ膜の製造方法は、特に、反応工程を、さらにヒドロキシケトン誘導体を加えて反応させる工程とする。
また、別の本発明の親水性シリカ膜の製造方法は、特に、有機溶媒をエタノールとする。
また、本発明の親水性シリカ膜は、膜上の水滴の接触角が20度以下であって、かつ平均細孔径が1〜10nmである。
また、本発明の親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板は、膜上の水滴の接触角が20度以下であって、当該膜を付けた状態のアクリル樹脂基板の可視光透過率が92%以上である。
本発明によれば、低コストかつ低温にて、親水性に優れたシリカ膜ならびに親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板を製造することができる。
図1は、本実施の形態に係る親水性シリカ膜の製造方法の一例(第一の製造方法)の大まかな流れを示すフローチャートである。 図2は、図1に示すフローチャートをさらに具体化した製造工程の一例を示すフローチャートである。 図3は、本実施の形態に係る親水性シリカ膜の製造方法の一例(第二の製造方法)の大まかな流れを示すフローチャートである。 図4は、実験例1において作製した各シリカ粉末の窒素吸脱着等温線のグラフである。 図5は、図4の各シリカ粉末の細孔径分布を示すグラフである。 図6は、実験例2において後加水分解処理を行わずに作製した各シリカ粉末の窒素吸脱着等温線のグラフである。 図7は、図6に示す各シリカ粉末の細孔径分布を示すグラフである。 図8は、実験例2において後加水分解処理を行って作製した各シリカ粉末の1000cm−1近傍の赤外吸収ピークを示すグラフである。 図9は、実験例2において後加水分解処理を行わずに作製した各シリカ粉末の1000cm−1近傍の赤外吸収ピークを示すグラフである。 図10は、実験例2において、溶媒にEtOHを用いて作製したシリカ粉末の後加水分解処理を行ったものおよび後加水分解処理を行わなかったもの各々の2900cm−1近傍の赤外吸収ピークを比較して示すグラフである。 図11は、実験例3においてヒドロキシアセトンを用いずに作製した各シリカ粉末の窒素吸脱着等温線のグラフである。 図12は、図11に示す各シリカ粉末の細孔径分布を示すグラフである。 図13は、実験例4において、紫外可視分光光度計を用いて分析した薄膜付きのPMMA基板と未成膜のPMMA基板の各透過率を示すグラフである。 図14は、実験例5において、溶媒にEtOHを用いて作製したシリカ粉末の後加水分解処理を行ったものおよび後加水分解処理を行わなかったもの各々の2900cm−1近傍の赤外吸収ピークを比較して示すグラフである。
次に、本発明の親水性シリカ膜、親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板ならびに親水性シリカ膜の製造方法の各実施の形態について説明する。
<1.親水性シリカ膜>
本実施の形態に係る親水性シリカ膜は、好適には、水滴の接触角が20度以下であり、かつ平均細孔径が1〜10nmである。この実施の形態において、平均細孔径の算出は、BET法により行われる。ここで、「シリカ膜」とは、シリカを主成分とする膜若しくは膜の積層体をいい、シリカ以外の副成分の種類や各副成分の割合、膜の厚さの大小は問わない。本実施の形態に係る親水性シリカ膜において、窒素吸脱着法にて測定される細孔容積は大きければ大きいほど好ましい。また、JIS K5600−5−4に基づく鉛筆硬度は大きければ大きいほど好ましい。
<2.親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板>
本実施の形態に係る親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板は、膜上の水滴の接触角が20度以下であって、当該膜を付けた状態のアクリル樹脂基板の可視光透過率が92%以上である。可視光透過率は、アクリル樹脂基板の片面に親水性シリカ膜を付けた状態で、紫外可視分光光度計により測定した値である。
<3.親水性シリカ膜の製造方法>
3.1 第一の製造方法
図1は、本実施の形態に係る親水性シリカ膜の製造方法の一例(第一の製造方法)の大まかな流れを示すフローチャートである。
図1に示すように、親水性シリカ膜の第一の製造方法は、少なくとも、テトラアルキルオルソシリケート、アルコール若しくはケトン(以後、「有機溶媒」または単に「溶媒」という)、水を混和して反応させる反応工程(ステップS100)と、上記反応工程(ステップS100)によって得られる溶液(コーティング用溶液)を基板に供給して膜を形成する膜形成工程(ステップS200)と、上記膜形成工程(ステップS200)によって得られる膜を40℃以下の温度で乾燥する乾燥工程(ステップS300)と、上記乾燥工程(ステップS300)によって得られた膜を加水分解する後加水分解処理工程(ステップS400)と、上記後加水分解処理工程(ステップS400)によって得られた膜を加熱する加熱工程(ステップS500)と、を含む。ただし、乾燥工程(ステップS300)は必須の工程ではなく、除外することもできる。
図2は、図1に示すフローチャートをさらに具体化した製造工程の一例を示すフローチャートである。
親水性シリカ膜の第一の製造方法は、テトラアルキルオルソシリケートと溶媒とを混合する第一の混合工程(ステップS110)と、少なくとも水および溶媒とを混合する第二の混合工程(ステップS120)と、第一の混合工程(ステップS110)により作製したテトラアルキルオルソシリケート溶液と第二の混合工程(ステップS120)により作製した溶液とを混合して両溶液を反応させる反応工程(ステップS130)と、当該反応工程(ステップS130)後に、反応後の溶液を静置する静置工程(ステップS140)と、当該静置工程(ステップS140)後の溶液を基板に供給して膜を形成する膜形成工程(ステップS200)と、上記乾燥工程(ステップS300)と、上記後加水分解処理工程(ステップS400)と、上記加熱工程(ステップS500)と、を含む。第一の混合工程(ステップS110)、第二の混合工程(ステップS120)、反応工程(ステップS130)および静置工程(ステップS140)は、図1に示す反応工程(ステップS100)を具体的に細分化した工程である。
次に、図2に示すフローチャートに基づいて、各工程の詳細を説明する。
(1)反応工程(ステップS100)
(1.a)第一の混合工程(ステップS110)
混合対象のテトラアルキルオルソシリケートは、一般式がSi(OR)で表わされるシラン化合物である(式中のORは、アルコキシ基である)。アルコキシ基としては、直鎖、分岐及び環状のいずれの官能基であっても良く、炭素数は、1〜20、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜4である。テトラアルキルオルソシリケートとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等を挙げることができる。これらのテトラアルキルオルソシリケートの内で、好適には、テトラメチルオルソシリケート(テトラメトキシシラン)を用いることができる。また、これらのテトラアルキルオルソシリケートの内の1種のみ、あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。
テトラアルキルオルソシリケートと混合する溶媒には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類を用いることができる。上記溶媒としては、上記の一種のみを、あるいは上記の2種以上を混合したものを用いても良い。この実施の形態では、比較的低温にてミクロ孔から成る高硬度のシリカ膜を得やすいメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールあるいはアセトンを用いるのがより好ましい。
上記溶媒の量は、ステップS110およびS120にて用いられる各溶媒の合計のモル数/テトラアルキルオルソシリケートのモル数が0.5〜1.5の範囲になる量とするのが好ましく、さらには、0.8〜1.2の範囲になる量とするのが好ましい。
溶媒とテトラアルキルオルソシリケートとの混合方法は、攪拌羽根を取り付けた攪拌機を用いて、容器に入れた溶媒とテトラアルキルオルソシリケートとの混合溶液を掻き混ぜる方法、容器に入れた前述の混合溶液内に攪拌子を入れて当該容器をマグネチックスターラー上に載せて攪拌子を回転させる方法、前述の混合溶液を入れた容器を、水を入れた超音波振動機内に漬けて振動攪拌させる方法などを採用することができる。ただし、溶媒とテトラアルキルオルソシリケートとの混合方法は、前述の例示に限定されず、公知のいかなる混合方法をも含む。
混合時の温度は、溶媒が揮発しにくい温度を選択するのが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールあるいはアセトンを溶媒として選択する場合には、5〜60℃の範囲、特にその範囲内でも40℃以下が好ましい。また、混合する時間は、15〜180分、特に30〜90分、さらには45〜75分が好ましい。
(1.b)第二の混合工程(ステップS120)
溶媒は、ステップS110で用いられる溶媒と同様のものを使用することができる。ステップS120で用いられる溶媒は、ステップS110で用いられる溶媒と異なる種類の溶媒であっても良いが、ステップS110で用いられる溶媒と同種の溶媒であるのが好ましい。
水は、不純物(水素イオン、水酸イオン以外のイオンなども不純物に含まれる)の少ないイオン交換水であるのが好ましい。水の量は、テトラアルキルオルソシリケートあるいはヒドロキシケトン誘導体1モルに対して2〜10モル、特に3〜7モル、さらには4〜6モルの範囲とするのが好ましい。
上記水および溶媒の他に、ヒドロキシケトン誘導体を加えて混合するのが好ましい。ヒドロキシケトン誘導体としては、ヒドロキシアセトン、アセトイン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、およびフルクトースなどを使用でき、特に、ヒドロキシアセトンが好ましい。ヒドロキシケトン誘導体は、テトラアルキルオルソシリケート1モルに対して、0.3〜3.0モル、特に0.5〜2.0モル、さらには0.8〜1.2モルの範囲とするのが好ましい。
溶媒と水、あるいは溶媒と水とヒドロキシケトン誘導体の混合方法は、ステップS110の混合方法と同様の方法の他、公知のいかなる混合方法をも含む。混合時の温度は、ステップS110で述べたように、溶媒が揮発しにくい温度を選択するのが好ましい。
(1.c)反応工程(ステップS130)
反応工程は、ステップS110にて混合した溶液とステップS120にて混合した溶液とを混合して、ゾル溶液を得る工程である。反応工程における混合方法は、ステップS110およびS120の混合方法と同様の方法の他、公知のいかなる混合方法をも含む。混合時の温度は、ステップS110およびS120と同様、溶媒が揮発しにくい温度を選択するのが好ましい。混合する時間は、8〜72時間、特に12〜48時間、さらには18〜36時間が好ましい。
(1.d)静置工程(ステップS140)
静置工程は、テトラアルキルオルソシリケートの加水分解および縮合重合をゆっくりと進行させるための熟成工程である。静置時の温度は、前述の加水分解および縮合重合を徐々に進行させる温度を選択するのが好ましい。例えば、テトラアルキルオルソシリケートとしてテトラメトキシシランを用いる場合には、静置時の温度としては、20〜55℃、さらには、35〜45℃が好ましい。また、静置する時間は、24〜168時間、特に48〜144時間とするのが好ましい。
上記のステップS110〜S140を経て、反応工程(ステップS100)が終了し、膜形成用のゾル溶液が出来上がる。
(2)膜形成工程(ステップS200)
膜形成用のゾル溶液であるシリカ溶液を塗布する基板としては、特にその材質を問わないが、その後の工程にて最高温度200℃で加熱することを考慮すると、200℃で軟化若しくは溶けない材料が好ましい。膜形成工程は、シリカ溶液を基板上に塗布する工程であり、公知のいずれの方法をも採用できる。例えば、スピンコート法、ブレードコート法、ロールコート法、ディッピング法、スプレー法などの塗工法の他、転写法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの各種印刷法も採用可能である。この実施の形態では、簡便かつ均一な膜厚の膜を形成できるスピンコート法を好適に使用することができる。
膜形成工程にてスピンコート法を使用する場合、基板の回転数および回転時間を、所望の膜厚に応じてそれぞれ決定するのが好ましい。例えば、膜厚60〜150nmの膜を形成するためには、60秒回転させる場合には、基板を1000〜5000rpmで回転するのが好ましい。また、膜厚は、シリカ溶液中の溶媒の種類や液温および溶液の粘度により変化しやすい。例えば、基板を60秒回転させて膜厚60〜150nmの膜を形成するためには、溶媒にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールまたはアセトンを用いた場合には、1000〜3000rpmで基板を回転するのが好ましい。その際の溶液の温度は10〜30℃が好ましく、その際の溶液の粘度は2.0〜5.0mPa・sであることが好ましい。
(3)乾燥工程(ステップS300)
乾燥工程は、膜中の溶媒および水を低減する工程、さらに形成された膜の定着工程であり、スピンコートにより得られた膜の状態に応じて、乾燥温度および乾燥時間を決定するのが好ましい。なるべく、低温で長時間乾燥する方が好ましい傾向がある。標準的な乾燥温度と乾燥時間を例示すれば、15〜35℃、好ましくは20〜28℃にて、12〜48時間、好ましくは18〜36時間、乾燥する。なお、この工程は除外することもできる。
(4)後加水分解処理工程(ステップS400)
後加水分解処理工程は、基板に形成された膜を水に浸けて(基板ごと浸漬させるか、膜のみを水に接触させるかを問わない)、膜のさらなる加水分解を行わせる工程である。水温は、0℃以上であれば良いが、40〜95℃、特に70〜90℃、さらには75〜85℃の範囲が好ましい。加水分解の効果を高め、かつ膜の剥離若しくは破壊を有効に防ぐことができるからである。後加水分解処理は、ディッピング、シャワー、流水式等のいかなる方法も採用できる。この実施の形態では、簡便かつ加水分解効果の高いディッピングを採用するのが好ましい。後加水分解処理の時間としては、30〜240分、特に60〜180分、さらには90〜150分が好ましい。
(5)加熱工程(ステップS500)
加熱工程は、基板に形成された膜の内部に含まれる水等を除去する工程および膜の硬度を向上させる工程である。加熱する温度に応じて、乾燥機、電熱炉等を適宜選択できる。加熱温度は、100〜250℃の範囲で、より低温とするのが好ましい。加熱時間は、吸着水および残存する有機物をできるだけ除去するのに十分な時間であれば特に限定されるものではないが、例示するならば、15〜240分、特に30〜180分、さらには60〜150分が好ましい。
3.2 第二の製造方法
図3は、本実施の形態に係る親水性シリカ膜の製造方法の一例(第二の製造方法)の大まかな流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、親水性シリカ膜の第二の製造方法では、前述の第一の製造工程と比べ、加熱工程(ステップS500)を行わない点のみが異なる。したがって、加熱工程(ステップS500)以外の各工程は、第一の製造方法で説明した内容と共通するので、重複した説明を省略する。
「実験例1」
1.コーティング用溶液の作製
ビーカー(ビーカーAとする)に、ヒドロキシアセトン(Hydroxy Acetone: HA)0.926gと、水1.125gと、各種溶媒(10ml)を入れて、25℃で約1時間攪拌した。攪拌は、攪拌子を投入し、KOMET社製の攪拌機(型式:VARIOMAG POLY15)を用いた。攪拌速度は、550rpmとした。溶媒は、表1に示すメタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1−プロパノール(1−PrOH)および2−プロパノール(2−PrOH)の4種類とした。各溶媒の比重が異なるため、各溶媒10mlの質量(Xg)は、表1のように異なる質量となった。一方、別のビーカー(ビーカーBとする)に、テトラメトキシシラン(Tetramethoxysilane: TMOS)1.903gと、各種溶媒10mlを入れて、ビーカーAと同一条件で攪拌した。ビーカーAとビーカーBに用いた溶媒は同種の溶媒とした。
次に、別のビーカー(ビーカーCとする)を用意し、各ビーカーA,Bの攪拌後の内容物を投入し、25℃で約24時間攪拌した。攪拌には、前述と同タイプの攪拌機を用い、攪拌時の温度および攪拌速度を、それぞれ、25℃および550rpmとした。その後、ビーカーCの内容物の攪拌を停止し、40℃にてビーカーCを静置した。静置時間は、溶媒にMeOHまたは1−PrOHを用いた場合には48時間とし、溶媒にEtOHまたは2−PrOHを用いた場合には72時間とした。この一連の処理を経て、コーティング用溶液の作製を完了した。溶媒の種類を変えてもTMOS:溶媒:水をモル比にて1:1:5とし、Si換算モル濃度が0.52Mとなるように統一した。
Figure 2011055553
2.薄膜の作製
次に、シリコン基板(SUMCO社製、25mm×25mm×1mm)を用意し、スピンコータ(MIKASA社製、型式:SPINCOATER 1H−D7)の回転板に上記基板を固定した。次に、各種基板の回転数を1000、2000および3000rpmになるようにスピンコータの回転数をセットして回転板の回転を始動し、回転している基板上に、先に作製したコーティング用溶液を、60秒間供給して基板の表面に膜を形成し、その後、回転板の回転を停止させた。次に、表面に膜を形成した基板を、25℃で、約24時間、乾燥させた。次に、約20℃のイオン交換水を入れたビーカー(ビーカーDとする)に、乾燥後の基板を浸漬させて、ビーカーDをウォーターバス内に設置し、80℃に加熱し、2時間静置した。次に、ビーカーDから基板を取り出し、200℃にて2時間の加熱を行った。加熱後の基板は、25℃にて保管した。
3.評価
シリカの比表面積および細孔容積の評価には、窒素吸脱着測定装置(マイクロメリティクス・インスツルメント・コーポレーション製、型式:ASAP2010)を用いた。平均細孔径の算出にはBET法を用いた。細孔径分布の導出にはBJH法を用いた。
ここで、BET法について簡単に説明する。BET法は、窒素分子が多層吸着して細孔を満たしていると仮定して細孔径を算出する方法であり、シリカ中の細孔径を求めるのに有効である。BET法によって相対圧(P/P)をx座標とし、(P/P)/V(1−(P/P))をy座標とする点をx−y平面上にプロットし、各プロットした点を通る最近接線(直線)の切片と傾きを求め、当該切片と当該傾きから細孔の容積および面積を求める方法である。また、BJH法は円筒形細孔と仮定し、細孔の表面積の積算値が、得られたBET比表面積に近い値になるよう、変数を導入し、シミュレートして細孔径の分布を算出する手法である。
シリカ中の結合種の分析には、FT−IR(株式会社島津製作所製、型式: IR−Prestige21)を用いた。測定に供した試料は、コーティング用溶液(シリカ溶液)を減圧乾燥し、80℃で2時間の後加水分解処理を行った後に200℃で2時間加熱して作製したシリカ粉末とした。以後、各実験例において、スピンコートによる膜形成工程を除く工程を共通にした各工程で作製したシリカ粉末を、比表面積、細孔容積および結合種の各分析に供した。
シリカ膜上の水滴の接触角の測定には、接触角計(協和界面科学株式会社製、型式:Drop Master 300)を用いた。測定環境は、室温(25℃)、湿度40%R.H.とした。接触角は、2μLの水滴を滴下して5秒後に測定した。測定箇所は、5箇所とし、当該5箇所の接触角の値の中位3点の平均を求めた。比較として未成膜の状態のSi基板も評価に供した。
基板表面の膜上の表面粗さは、走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツル株式会社製、型式:SPA400)を用いて調べた。
基板表面上の膜の硬度は、鉛筆硬度測定法(JIS K5600−5−4)に基づき、鉛筆硬度測定計(株式会社安田精機製作所製、型式:No.553−S)を用いて測定した。
基板表面上の膜の厚さは、分光エリプソメータ(堀場ジョバンイボン社製、型式:UVISEL)を用いて測定した。
4.実験結果
表2に、実験例1にて作製したシリカ粉末の評価結果を示す。表3に、実験例1にて作製した薄膜の評価結果および比較としてのSi基板の親水性評価結果を示す。図4は、各シリカ粉末の窒素吸脱着等温線のグラフである。図4中、白抜きの印は吸着のプロットを、黒塗りの印は脱着のプロットを意味する。以後の窒素吸脱着等温線のグラフについても同様である。図5は、図4の各シリカ粉末の細孔径分布を示すグラフである。
Figure 2011055553
Figure 2011055553
表3に示すように、いずれの溶媒を用いた場合でも、接触角が10度以下の親水性に富んだシリカ膜が得られた。また、各溶媒において、基板の回転数が大きいほど、膜厚が小さくなり、接触角が小さく、かつ鉛筆硬度が小さい傾向が認められた。図4に示すように、溶媒にMeOHまたはEtOHを用いるとその吸脱着等温線はI型になり、溶媒に1−PrOHまたは2−PrOHを用いるとその吸脱着等温線はIV型になった。I型の場合、窒素分子がラングミュア(Langmuir)吸着(単層での吸着)していると判断できる。一方、IV型の場合、窒素分子が多層で吸着していると判断できる。また、表2および図5に示すように、溶媒にMtOHまたはEtOHを用いると、他の溶媒を用いる場合に比べて細孔が小さなシリカが得られることがわかった。これらの粉末試料は白色であった。
「実験例2」
1.コーティング用溶液の作製、薄膜の作製および評価
後加水分解処理の効果を調べるため、実験例1の薄膜の作製から後加水分解処理の工程を除外する方法および実験例1と同一の方法の2種類の方法にて薄膜を作製した。スピンコータの回転数は、2000rpmの一種類に固定した。また、コーティング用溶液の作製および評価は、実験例1と同様とした。
2.実験結果
表4に、実験例2にて作製したシリカ粉末の評価結果を示す。表5に、実験例2にて作製した薄膜の評価結果を示す。図6は、後加水分解処理を行わずに作製した各シリカ粉末の窒素吸脱着等温線のグラフである。図7は、図6に示す各シリカ粉末の細孔径分布を示すグラフである。
Figure 2011055553
Figure 2011055553
表5に示すように、いずれの溶媒を用いた場合でも、後加水分解処理を行う方が親水性に富み、膜厚が小さく、かつ硬度の低いシリカ膜が得られることがわかった。後加水分解処理を行わないと、接触角が30度を超えてしまい、後加水分解処理を行った場合と比べて大きく親水性に劣る結果となった。また、図6に示すように、溶媒にMeOHまたはEtOHを用いるとその吸脱着等温線はI型になり、溶媒に1−PrOHまたは2−PrOHを用いるとその吸脱着等温線はIV型になった。ただし、後加水分解処理を行う場合と比べて、窒素の吸着量は少なかった。粉末試料は黄色から茶色に変色しており、試料内に有機物の含有が予想される。表4および図7に示すように、溶媒にMtOHまたはEtOHを用いると、他の溶媒を用いる場合に比べて細孔の小さなシリカが得られることがわかった。しかし、溶媒による差は、実験例1と比べて小さかった。
図8は、後加水分解処理を行って作製した各シリカ粉末の1000cm−1近傍の赤外吸収ピークを示すグラフである。図9は、後加水分解処理を行わずに作製した各シリカ粉末の1000cm−1近傍の赤外吸収ピークを示すグラフである。また、図10は、溶媒にEtOHを用いて作製したシリカ粉末の後加水分解処理を行ったものおよび後加水分解処理を行わなかったもの各々の2900cm−1近傍の赤外吸収ピークを比較して示すグラフである。
図8と図9を比較すると明らかなように、後加水分解処理を行って作製したシリカ粉末には、980cm−1付近にSi−OH結合を示すピークが認められた。当該結合を示すピークは、後加水分解処理を行わずに作製したシリカ粉末には認められなかった。さらに、図10から明らかなように、後加水分解処理を行って作製したシリカ粉末には、2800〜3000cm−1付近にピークは認められなかったが、後加水分解処理を行わずに作製したシリカ粉末には、−CHや−CHに起因するピークが認められた。この結果から、後加水分解は、−CHや−CHなどの疎水性を有する官能基の除去と、それに伴うSi−OH結合の生成に寄与し、膜を形成した際に、膜の親水性を高める効果があると考えられる。
「実験例3」
1.コーティング用溶液の作製
ビーカーA1に、EtOH7.93gと、水1.125gと、HA0.926gを入れて、25℃で約1時間攪拌した。また、ビーカーA2に、上記のHA0.926gの代わりにEtOH0.576gを入れると共に、そこに水1.125gと、EtOH8.031gを入れ、25℃で約1時間攪拌した。ビーカーA1およびビーカーA2の攪拌条件は、実験例1のビーカーAの攪拌条件と同一である。一方、ビーカーB1およびビーカーB2に、それぞれ、TMOS1.903gとEtOH7.93gを入れて、実験例1のビーカーBと同一条件で攪拌した。
次に、ビーカーC1とビーカーC2を用意し、ビーカーC1には、ビーカーA1とビーカーB1の両内容物を投入し、25℃で約24時間攪拌した。同様に、ビーカーC2には、ビーカーA2とビーカーB2の両内容物を投入し、25℃で約24時間攪拌した。攪拌速度は550rpmとした。その後、ビーカーC1およびビーカーC2の各内容物の攪拌を停止し、40℃にて96時間、ビーカーC1およびビーカーC2を静置した。この一連の処理を経て、2種類のコーティング用溶液の作製を完了した。
2.薄膜の作製および評価
次に、スピンコータの回転数を2000rpmの一種類に固定する以外の条件を、実験例1と同一条件にして2種類の薄膜を作製した。評価方法は、実験例1と同一とした。
3.実験結果
表6に、実験例3にて作製したシリカ粉末の評価結果を示す。表7に、実験例3にて作製した薄膜の評価結果を示す。図11は、ヒドロキシアセトンを用いずに作製した各シリカ粉末の窒素吸脱着等温線のグラフである。図12は、図11に示す各シリカ粉末の細孔径分布を示すグラフである。
Figure 2011055553
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表6、表7および図12に示すように、200℃の加熱工程を行った場合、ヒドロキシアセトンの有無により、平均細孔径に差があるにもかかわらず、シリカ膜の親水性について大きな差は認められなかった。
「実験例4」
1.コーティング用溶液の作製、薄膜の作製および評価
加熱処理の効果を調べるため、実験例1の薄膜の作製から加熱処理の工程を除外する方法にて薄膜を作製した。スピンコータの回転数は、2000rpmの一種類に固定した。基板には、シリコン基板以外に、アクリル樹脂(PMMA樹脂という)製の基板(サンプラテック社製、25mm×50mm×1mm)も用いた。PMMA樹脂製の基板は、成膜前に、コロナ放電装置(新光電気計装株式会社製、型式:コロナフィット CFG−500)を用いたコロナ処理を施した。評価には、紫外可視分光光度計(株式会社日立製作所製、型式:U−4100)を用いた光透過率も加えた。上記以外のコーティング用溶液の作製および評価は、実験例1と同一とした。比較として未成膜の状態のSi基板およびPMMA製の基板も接触角の評価に供した。
2.実験結果
表8に、実験例4にて作製した各Si基板上の薄膜の評価結果を示す。表9に、実験例4にて作製した各PMMA基板上の薄膜の評価結果を示す。図13は、紫外可視分光光度計を用いて分析した薄膜付きのPMMA基板と未成膜のPMMA基板の各透過率を示すグラフである。
Figure 2011055553
Figure 2011055553
実験例1との比較から明らかなように、加熱工程を除外すると、接触角が大きくなる傾向が認められた。ただし、溶媒にEtOHを用いて作製したシリカ膜は、加熱工程の有無によらず小さな接触角を維持していた。溶媒にMtOHまたはEtOHを用いると、加熱工程がなくても、比較的高い硬度を持つシリカ膜が得られた。また、表9に示すように、いずれの溶媒を用いた場合でも接触角が15.1度以下であった。また、図13に示すように、溶媒にEtOHを用いてシリカ膜を成膜したPMMA基板と未成膜のPMMA基板の可視光透過率を比べると、ほとんど等しい透過率を有することがわかった。
「実験例5」
1.コーティング用溶液の作製、薄膜の作製および評価
加熱処理を行わない条件の下、後加水分解処理の効果を調べるため、実験例4の薄膜の作製から後加水分解処理の工程を除外する方法および実験例4と同一の方法の2種類の方法にて薄膜を作製した。上記以外のコーティング用溶液の作製および評価は、実験例4と同一とした。
2.実験結果
表10および表11に、実験例5にて作製した薄膜の評価結果を示す。
Figure 2011055553
Figure 2011055553
いずれの溶媒を用いた場合でも、後加水分解処理を行う方が親水性に富み、膜厚が小さく、かつ硬度の低いシリカ膜が得られることがわかった。後加水分解処理を行わないと親水性に劣ることから、基板の種類を問わず、後加水分解処理は必要な工程であると考えられる。
図14は、溶媒にEtOHを用いて作製したシリカ粉末の後加水分解処理を行ったものおよび後加水分解処理を行わなかったもの各々の2900cm−1近傍の赤外吸収ピークを比較して示すグラフである。
図14から明らかなように、後加水分解処理を行って作製したシリカ粉末には、2800〜3000cm−1付近にピークは認められなかったが、後加水分解処理を行わずに作製したシリカ粉末には、−CHや−CHに起因するピークが認められた。この結果は、実験例2にて図10に示す結果と同様の結果であり、後加水分解は、−CHや−CHなどの疎水性を有する官能基の除去と、それに伴うSi−OH結合の生成に寄与し、膜を形成した際に、膜の親水性を高める効果があると考えられる。
「実験例6」
1.コーティング用溶液の作製、薄膜の作製および評価
実験例3と同一のコーティング用溶液を作製し、加熱処理の工程を除外した実験例4と同一の工程にて薄膜を作製し、評価を行った。なお、コーティング用溶液の作製工程における静置時間は、96時間とした。
2.実験結果
表12に、実験例6にて作製した薄膜の評価結果を示す。
Figure 2011055553
表12に示すように、実験例3との比較からも明らかなように、200℃の加熱工程を行わない場合、ヒドロキシアセトンを用いて作製したシリカ膜の方が、接触角が小さく、親水性に優れていることがわかった。したがって、特に加熱工程を行わない場合には、ヒドロキシアセトンを用いる方が好ましいと考えられる。
本発明の製造方法は、例えば、防曇性を必要とする基材への成膜に利用可能である。

Claims (6)

  1. 少なくとも、テトラアルキルオルソシリケート、有機溶媒および水を混和して反応させる反応工程と、
    上記反応工程によって得られる溶液を基板に供給して膜を形成する膜形成工程と、
    上記膜形成工程によって得られる膜を水に接触させて加水分解を行う後加水分解工程と、
    を含むことを特徴とする親水性シリカ膜の製造方法。
  2. 前記後加水分解工程の後に、100〜250℃の範囲内で加熱する加熱工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の親水性シリカ膜の製造方法。
  3. 前記反応工程は、さらにヒドロキシケトン誘導体を加えて反応させる工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の親水性シリカ膜の製造方法。
  4. 前記有機溶媒をエタノールとすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の親水性シリカ膜の製造方法。
  5. 膜上の水滴の接触角が20度以下であって、かつ平均細孔径が1〜10nmであることを特徴とする親水性シリカ膜。
  6. 膜上の水滴の接触角が20度以下であって、当該膜を付けた状態のアクリル樹脂基板の可視光透過率が92%以上であることを特徴とする親水性シリカ膜付きのアクリル樹脂基板。
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