JPWO2011033802A1 - 表示素子、及びこれを用いた電気機器 - Google Patents

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Abstract

上部基板(第1の基板)(2)と、下部基板(第2の基板)(3)と、上部基板(2)及び下部基板(3)の間に形成された表示用空間(S)の内部で有効表示領域(P1)側または非有効表示領域(P2)側に移動可能に封入された導電性液体(16)とを具備した表示素子(10)において、画素領域(P)の外部に引き出された信号電極(4)の端部に対して、電気的に絶縁する絶縁膜(絶縁部材)(19)を設ける。

Description

本発明は、導電性液体を移動させることにより、画像や文字などの情報を表示する表示素子、及びこれを用いた電気機器に関する。
近年、表示素子では、エレクトロウェッティング方式の表示素子に代表されるように、外部電界による導電性液体の移動現象を利用して、情報の表示を行うものが開発され、実用化されている。
具体的にいえば、上記のような従来の表示素子では、例えば下記特許文献1に記載されているように、第1及び第2の基板の間に表示用空間を形成するとともに、リブ(仕切壁)によって当該表示用空間の内部を複数の各画素領域に応じて区切っていた。また、この従来の表示素子では、上記の各画素領域において、導電性液体が封入されるとともに、信号電極と、互いに平行に設けられた走査電極及び基準電極(参照電極)とが交差するように設けられていた。そして、この従来の表示素子では、各画素領域において、信号電極、走査電極、及び基準電極に対し電圧印加を適宜行うことにより、導電性液体を走査電極側または基準電極側に移動させて、表示面側の表示色を変更するようになっていた。
国際公開第2008/155926号パンフレット
しかしながら、上記のような従来の表示素子では、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たとき、複数の信号電極を短絡させて、これらの信号電極に沿って設けられた複数の各画素領域において、表示不良を発生するおそれがあった。
具体的にいえば、従来の表示素子では、画素領域の内部での導電性液体の移動速度を向上させるために、画素領域はリブによって完全に密閉されておらず、異常な衝撃や振動が表示素子に加えられた場合などにおいて、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出るおそれがあった。また、従来の表示素子では、走査電極及び基準電極は導電性液体に対し電気的に絶縁されているのに対して、信号電極は導電性液体の応答性の向上を図るために、導電性液体と接触するように設けられていた。すなわち、信号電極は、導電性液体に対し電気的に絶縁されていない状態で画素領域の外部に引き出されて、信号ドライバ(信号電圧印加部)に接続されていた。このため、従来の表示素子では、異常な衝撃が加えられた場合などにおいて、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出て、その漏れ出た導電性液体が隣接する複数、例えば2つの信号電極を短絡するおそれがあった。この結果、従来の表示素子では、短絡を生じた複数の信号電極に沿って設けられた複数の各画素領域において、線状の表示不良を発生するおそれがあった。
以上のように、従来の表示素子では、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときに、当該導電性液体が漏れ出た画素領域だけでなく、導電性液体の漏れを生じていない正常な状態の画素領域までも、表示不良を生じせしめるおそれがあった。
上記の課題を鑑み、本発明は、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明にかかる表示素子は、表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動可能に封入された導電性液体とを具備し、前記導電性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
前記導電性液体と接触するように、前記表示用空間の内部に設置されるとともに、所定の配列方向に沿って設けられた複数の信号電極、
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設置されるように、前記導電性液体に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の参照電極、及び
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設置されるように、前記導電性液体及び前記参照電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の走査電極、
前記信号電極と前記走査電極との交差部単位に設けられた複数の画素領域、及び
前記複数の各画素領域に応じて、前記表示用空間の内部を区切るように、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方側に設けられたリブを備え、
前記画素領域の外部に引き出された前記信号電極の端部に対して、電気的に絶縁する絶縁部材を設けたことを特徴とするものである。
上記のように構成された表示素子では、絶縁部材が画素領域の外部に引き出された信号電極の端部を電気的に絶縁している。これにより、異常な衝撃や振動が表示素子に加えられた場合などにおいて、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときでも、漏れ出た導電性液体によって、複数の信号電極が短絡するのを防ぐことができ、線状の表示不良が発生するのを防止することができる。この結果、上記従来例と異なり、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子を構成することができる。
また、上記表示素子において、前記絶縁部材として、前記信号電極の前記端部を覆うように設けられた絶縁膜が用いられてもよい。
この場合、絶縁膜によって画素領域の外部に引き出された信号電極の端部を電気的に絶縁することができる。
また、上記表示素子において、前記絶縁部材として、前記信号電極の前記端部を覆うように、当該信号電極の設置方向に延設された前記リブの延設部が用いられてもよい。
この場合、リブの延設部によって画素領域の外部に引き出された信号電極の端部を電気的に絶縁することができる。
また、上記表示素子において、前記絶縁部材の表面には、撥水膜が形成されていることが好ましい。
この場合、撥水膜によって画素領域の外部に漏れ出た導電性液体が拡がるのを防ぐことができる。
また、上記表示素子において、前記絶縁部材として、前記第1及び第2の基板の間に設けられたシール材が用いられてもよい。
この場合、シール材によって画素領域の外部に引き出された信号電極の端部を電気的に絶縁することができる。
また、上記表示素子において、前記シール材は、前記第1及び第2の基板の外周の全周にわたって設けられて当該第1及び第2の基板の間を封止していることが好ましい。
この場合、画素領域の外部に引き出された信号電極の端部を電気的に絶縁するシール材を、第1及び第2の基板の間を封止するシール材と兼用することができ、構造簡単な表示素子を容易に構成することができる。
また、本発明の表示素子は、表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動可能に封入された導電性液体とを具備し、前記導電性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
前記導電性液体と接触するように、前記表示用空間の内部に設置されるとともに、所定の配列方向に沿って設けられた複数の信号電極、
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設置されるように、前記導電性液体に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の参照電極、及び
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設置されるように、前記導電性液体及び前記参照電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の走査電極、
前記信号電極と前記走査電極との交差部単位に設けられた複数の画素領域、及び
前記複数の各画素領域に応じて、前記表示用空間の内部を区切るように、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方側に設けられたリブを備え、
前記リブには、前記画素領域の外部に引き出された前記信号電極の端部を挟むように、当該信号電極の設置方向に沿って延長された延長部分が設けられていることを特徴とするものである。
上記のように構成された表示素子では、リブには、画素領域の外部に引き出された信号電極の端部を挟むように、当該信号電極の設置方向に沿って延長された延長部分が設けられている。これにより、異常な衝撃や振動が表示素子に加えられた場合などにおいて、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときでも、漏れ出た導電性液体によって、複数の信号電極が短絡するのを防ぐことができ、線状の表示不良が発生するのを防止することができる。この結果、上記従来例と異なり、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子を構成することができる。
また、上記表示素子において、複数の前記信号電極が、所定の配列方向に沿って設けられ、
複数の前記参照電極及び複数の前記走査電極が、互いに交互に、かつ、前記複数の信号電極と交差するように設けられ、
前記複数の信号電極に接続されるとともに、前記複数の各信号電極に対して、前記表示面側に表示される情報に応じて、所定の電圧範囲内の信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
前記複数の参照電極に接続されるとともに、前記複数の各参照電極に対して、前記導電性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記導電性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する参照電圧印加部と、
前記複数の走査電極に接続されるとともに、前記複数の各走査電極に対して、前記導電性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記導電性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する走査電圧印加部とを備えていることが好ましい。
この場合、優れた表示品位を有するマトリクス駆動方式の表示素子を構成することができる。
また、上記表示素子において、前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられてもよい。
この場合、複数の各画素において対応する導電性液体が適切に移動されることにより、カラー画像表示を行うことができる。
また、上記表示素子において、前記表示用空間の内部には、前記導電性液体と混じり合わない絶縁性流体が当該表示用空間の内部を移動可能に封入されていることが好ましい。
この場合、導電性液体の移動速度の高速化を容易に図ることができる。
また、上記表示素子において、前記参照電極及び前記走査電極の表面上には、誘電体層が積層されていることが好ましい。
この場合、誘電体層が導電性液体に印加する電界を確実に大きくして、当該導電性液体の移動速度をより容易に向上することができる。
また、上記表示素子において、前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた遮光膜によって設定され、
前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されてもよい。
この場合、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域を適切に、かつ、確実に設定することができる。
また、本発明の電気機器は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
前記表示部に、上記いずれかの表示素子を用いたことを特徴とするものである。
上記のように構成された電気機器では、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子が表示部に用いられているので、表示不良の発生が抑制された表示部を有する高性能な電気機器を容易に構成することができる。
本発明によれば、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供することが可能となる。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。 図2は、表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図3は、非表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図4(a)及び図4(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、図1に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。 図5は、上記表示素子の要部構成を示す平面図である。 図6(a)及び図6(b)は、それぞれ図5のVIa−VIa線及びVIb−VIb線断面図である。 図7(a)及び図7(b)は、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときにおける、本実施形態品及び従来品での表示不良をそれぞれ説明する図である。 図8は、上記画像表示装置の動作例を説明する図である。 図9は、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す平面図である。 図10(a)及び図10(b)は、それぞれ図9のXa−Xa線及びXb−Xb線断面図である。 図11は、本発明の第2の実施形態の変形例にかかる画像表示装置を説明する平面図である。 図12は、本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す平面図である。 図13(a)及び図13(b)は、それぞれ図12のXIIIa−XIIIa線及びXIIIb−XIIIb線断面図である。 図14は、本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す平面図である。 図15(a)及び図15(b)は、それぞれ図14のXVa−XVa線及びXVb−XVb線断面図である。 図16は、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときにおける、本実施形態品での表示不良をそれぞれ説明する図である。
以下、本発明の表示素子及び電気機器の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、カラー画像表示を表示可能な表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図1において、本実施形態の画像表示装置1では、本発明の表示素子10を用いた表示部が設けられており、この表示部には矩形状の表示面が構成されている。すなわち、表示素子10は、図1の紙面に垂直な方向で互いに重ね合うように配置された上部基板2及び下部基板3を備えており、これらの上部基板2と下部基板3との重なり部分によって上記表示面の有効表示領域が形成されている(詳細は後述。)。
また、表示素子10では、複数の信号電極4が互いに所定の間隔をおいて、かつ、X方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、表示素子10では、複数の参照電極5及び複数の走査電極6が、互いに交互に、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に設けられている。これら複数の信号電極4と、複数の参照電極5及び複数の走査電極6とは、互いに交差するように設けられており、表示素子10では、信号電極4と走査電極6との交差部単位に、複数の各画素領域が設定されている。
また、これら複数の信号電極4、複数の参照電極5、及び複数の走査電極6は、互いに独立して、第1の電圧としてのHigh電圧(以下、“H電圧”という。)と、第2の電圧としてのLow電圧(以下、“L電圧”という。)との間の所定の電圧範囲内の電圧が印加可能に構成されている(詳細は後述。)。
さらに、表示素子10では、後に詳述するように、上記複数の各画素領域が仕切壁にて区切られるとともに、複数の画素領域が、上記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている。そして、表示素子10では、マトリクス状に設けられた複数の画素(表示セル)毎に、エレクトロウェッティング現象にて後述の導電性液体を移動させ、表示面側での表示色を変更するようになっている。
また、複数の信号電極4、複数の参照電極5、及び複数の走査電極6では、各々一端部側が表示面の有効表示領域の外側に引き出されて、端子部4a、5a、及び6aが形成されている。
複数の信号電極4の各端子部4aには、配線7aを介して信号ドライバ7が接続されている。信号ドライバ7は、信号電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各信号電極4に対して、情報に応じた信号電圧Vdを印加するように構成されている。
また、複数の参照電極5の各端子部5aには、配線8aを介して参照ドライバ8が接続されている。参照ドライバ8は、参照電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各参照電極5に対して、参照電圧Vrを印加するように構成されている。
また、複数の走査電極6の各端子部6aには、配線9aを介して走査ドライバ9が接続されている。走査ドライバ9は、走査電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各走査電極6に対して、走査電圧Vsを印加するように構成されている。
また、走査ドライバ9では、複数の各走査電極6に対して、上記導電性液体が移動するのを阻止する非選択電圧と、導電性液体が信号電圧Vdに応じて移動するのを許容する選択電圧との一方の電圧を走査電圧Vsとして印加するようになっている。また、参照ドライバ8は、走査ドライバ9の動作を参照して動作するように構成されており、参照ドライバ8は、複数の各参照電極5に対して、上記導電性液体が移動するのを阻止する非選択電圧と、導電性液体が信号電圧Vdに応じて移動するのを許容する選択電圧との一方の電圧を参照電圧Vrとして印加するようになっている。
そして、画像表示装置1では、走査ドライバ9が例えば図1の左側から右側の各走査電極6に対し、選択電圧を順次印加し、かつ、参照ドライバ8が走査ドライバ9の動作に同期して図1の左側から右側の各参照電極5に対し、選択電圧を順次印加することにより、ライン毎の走査動作が行われるように構成されている(詳細は後述。)。
また、信号ドライバ7、参照ドライバ8、及び走査ドライバ9には、直流電源または交流電源が含まれており、対応する信号電圧Vd、参照電圧Vr、及び走査電圧Vsを供給するようになっている。
また、参照ドライバ8は、参照電圧Vrの極性を所定の時間(例えば、1フレーム)毎に切り替えるように構成されている。さらに、走査ドライバ9は、参照電圧Vrの極性の切り替えに対応して、走査電圧Vsの各極性を切り替えるように構成されている。このように、参照電圧Vr及び走査電圧Vsの各極性が所定の時間毎に切り替えられるので、参照電極5及び走査電極6に対して常時同じ極性の電圧を印加するときに比べて、これらの参照電極5及び走査電極6での電荷の局在化を防ぐことができる。さらに、電荷の局在化に起因する表示不良(残像現象)や信頼性(寿命低下)の悪影響を防止することができる。
ここで、図2〜図4も参照して、表示素子10の画素構造について具体的に説明する。
図2は表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図であり、図3は非表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図4(a)及び図4(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、図1に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。なお、図2及び図3では、図面の簡略化のために、上記表示面に設けられた複数の画素のうち、図1の左上端部に配設された12個の画素を図示している。
図2〜図4において、表示素子10は、表示面側に設けられた第1の基板としての上記上部基板2と、上部基板2の背面側(非表示面側)に設けられた第2の基板としての上記下部基板3とを備えている。また、表示素子10では、上部基板2と下部基板3が互いに所定の間隔をおいて配置されることにより、これら上部基板2及び下部基板3の間に所定の表示用空間Sが形成されている。また、この表示用空間Sの内部には、上記導電性液体16及びこの導電性液体16と混じり合わない絶縁性のオイル17が当該表示用空間Sの内部で上記X方向(図4の左右方向)に移動可能に封入されており、導電性液体16は後述の有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動できるようになっている。
導電性液体16には、例えば溶媒としての水と、溶質としての所定の電解質を含んだ水溶液が用いられている。具体的には、例えば1mmol/Lの塩化カリウム(KCl)の水溶液が導電性液体16に用いられている。また、導電性液体16には、例えば自己分散型顔料によって黒色に着色されたものが使用されている。
また、導電性液体16は黒色に着色されているので、当該導電性液体16は、各画素において、光の透過を許容または阻止するシャッターとして機能するようになっている。つまり、表示素子10の各画素では、後に詳述するように、導電性液体16が表示用空間Sの内部を参照電極5側(有効表示領域P1側)または走査電極6側(非有効表示領域P2側)にスライド移動することによって表示色が黒色またはRGBのいずれかの色に変更されるよう構成されている。
また、オイル17には、例えば側鎖高級アルコール、側鎖高級脂肪酸、アルカン炭化水素、シリコーンオイル、マッチングオイルから選択された1種または複数種からなる無極性で、かつ、無色透明なオイルが用いられている。また、このオイル17は、導電性液体16のスライド移動に伴って、表示用空間Sの内部を移動するようになっている。
上部基板2には、無アルカリガラス基板などの透明なガラス材またはアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂等の透明な透明シート材が用いられている。また、上部基板2の非表示面側の表面には、カラーフィルタ層11及び信号電極4が順次形成されており、さらにはカラーフィルタ層11及び信号電極4を覆うように撥水膜12が設けられている。
また、下部基板3には、上部基板2と同様に、無アルカリガラス基板などの透明なガラス材またはアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂等の透明な透明シート材が用いられている。また、下部基板3の表示面側の表面には、上記参照電極5及び上記走査電極6が設けられており、さらに、これらの参照電極5及び走査電極6を覆うように、誘電体層13が形成されている。また、この誘電体層13の表示面側の表面には、Y方向及びX方向にそれぞれ平行となるように設けられたリブ14a及び14bが設けられている。さらに、下部基板3では、誘電体層13及びリブ14a、14bを覆うように、撥水膜15が設けられている。
また、下部基板3の背面側(非表示面側)には、例えば白色の照明光を発光するバックライト18が一体的に組み付けられており、透過型の表示素子10が構成されている。尚、バックライト18には、冷陰極蛍光管やLEDなどの光源が用いられている。
カラーフィルタ(Color Filter)層11には、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーフィルタ部11r、11g、及び11bと、遮光膜としてのブラックマトリクス部11sとが設けられており、RGBの各色の画素を構成するようになっている。つまり、カラーフィルタ層11では、図2に例示するように、RGBのカラーフィルタ部11r、11g、11bがX方向に沿って順次設けられるとともに、各々4つのカラーフィルタ部11r、11g、11bがY方向に沿って設けられており、X方向及びY方向にそれぞれ3個及び4個、合計12個の画素が配設されている。
また、表示素子10では、図2に例示するように、各画素領域Pにおいて、画素の有効表示領域P1に対応する箇所にRGBのいずれかのカラーフィルタ部11r、11g、及び11bが設けられ、非有効表示領域P2に対応する箇所にブラックマトリクス部11sが設けられている。つまり、表示素子10では、上記表示用空間Sに対し、ブラックマトリクス部(遮光膜)11sによって非有効表示領域P2(非開口部)が設定され、そのブラックマトリクス部11sに形成された開口部(つまり、いずれかのカラーフィルタ部11r、11g、及び11b)によって有効表示領域P1が設定されている。
また、表示素子10では、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各面積は、有効表示領域P1の面積に対し、同一または若干大きい値が選択されている。一方、ブラックマトリクス部11sの面積は、非有効表示領域P2の面積に対し、同一または若干小さい値が選択されている。尚、図2では、隣接する画素の境界部を明確にするために、隣接する画素に応じた2つのブラックマトリクス部11s間の境界線を点線にて示しているが、実際のカラーフィルタ層11では、ブラックマトリクス部11s間の境界線は存在しない。
また、表示素子10では、上記仕切壁としてのリブ14a、14bにより表示用空間Sが画素領域P単位に区切られている。すなわち、表示素子10では、各画素の表示用空間Sは、図3に例示するように、互いに対向する2つのリブ14aと、互いに対向する2つのリブ14bとによって区画されている。さらに、表示素子10では、リブ14a、14bによって導電性液体16が隣接する画素領域Pの表示用空間Sの内部に流入するのが防がれている。すなわち、リブ14a、14bには、例えば光硬化性樹脂が用いられており、これらのリブ14a、14bでは、隣接する画素間で導電性液体16の流入出が防止されるように、誘電体層13からの突出高さが決定されている。
尚、上記の説明以外に、リブ14a、14bに代えて、例えば下部基板3上で枠状に構成されたリブを画素単位に設けてもよい。また、上記の説明以外に、後述する第3及び第4の各実施形態のように、リブ14a、14bを上部基板(第1の基板)2側に設けてもよい。さらには、リブ14a及び14bをそれぞれ上部基板(第1の基板)2及び下部基板(第2の基板)3の一方側及び他方側に設けてもよい。
撥水膜12、15には、透明な合成樹脂例えばフッ素系樹脂が使用されている。これにより、表示素子10では、上部基板2及び下部基板3の表示用空間S側の各表面側での導電性液体16との間の濡れ性(接触角)を大きく変化させることができ、導電性液体16の移動速度の高速化を図ることができる。また、誘電体層13は、例えばパリレンや窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、あるいは酸化アルミニウムを含有した透明な誘電体膜によって構成されている。尚、各撥水膜12、15の具体的な厚さ寸法は、数十nm〜数μmであり、誘電体層13の具体的な厚さ寸法は、数百nmである。また、撥水膜12は、信号電極4と導電性液体16とを電気的に絶縁することはなく、導電性液体16の応答性向上を阻害しないようになっている。
参照電極5及び走査電極6には、酸化インジウム系(ITO)、酸化スズ系(SnO2)、または酸化亜鉛系(AZO、GZO、あるいはIZO)などの透明な電極材料が用いられている。これらの各参照電極5及び各走査電極6は、スパッタ法等の公知の成膜方法により、下部基板3上に帯状に形成されている。
信号電極4には、X方向に平行となるように配置された線状配線が用いられている。また、信号電極4は、カラーフィルタ層11上で、各画素領域PのY方向でのほぼ中心部を通るように設置されており、撥水膜12を介して導電性液体16に電気的に接触するように構成されている。これにより、表示素子10では、表示動作時での導電性液体16の応答性の向上が図られている。
また、この信号電極4には、導電性液体16に対して電気化学的に不活性な材料が使用されており、当該信号電極4に上記信号電圧Vd(例えば、40V)が印加されたときでも、導電性液体16と電気化学反応を極力生じないように構成されている。これにより、信号電極4の電気分解の発生を防いで、表示素子10の信頼性及び寿命を向上させることができる。
具体的にいえば、信号電極4には、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを含んだ電極材料が用いられている。また、信号電極4は、上記金属材料からなる細線をカラーフィルタ層11上に固定したり、スクリーン印刷法などを用いて、カラーフィルタ層11上に金属材料を含んだ導電性ペースト材などのインク材を載置したりすることで形成されている。
また、信号電極4では、その形状が画素の有効表示領域P1の下方に設けられた参照電極5の透過率を用いて、定められている。具体的にいえば、信号電極4では、75%〜95%程度の参照電極5の透過率に基づき、有効表示領域P1の面積に対し、当該有効表示領域P1上での信号電極4の占有面積が30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下となるように、信号電極4の形状は決定されている。
さらに、信号電極4では、画素領域Pの外部に引き出された当該信号電極4の端部が、絶縁部材によって電気的に絶縁されており、たとえ導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、表示不良を極力最小限にすることができるように構成されている(詳細は後述。)。
上記のように構成された表示素子10の各画素では、図4(a)に例示するように、導電性液体16がカラーフィルタ部11rと参照電極5との間で保持されると、バックライト18からの光が導電性液体16により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図4(b)に例示するように、導電性液体16がブラックマトリクス部11sと走査電極6との間で保持されると、バックライト18からの光は導電性液体16に遮光されることなく、カラーフィルタ部11rを通過することにより、赤色表示(CF着色表示)が行われる。
ここで、図5〜図7も参照して、信号電極4の端部に対する、絶縁部材による電気的な絶縁状態、及びその効果について具体的に説明する。
図5は、上記表示素子の要部構成を示す平面図である。図6(a)及び図6(b)は、それぞれ図5のVIa−VIa線及びVIb−VIb線断面図である。図7(a)及び図7(b)は、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときにおける、本実施形態品及び従来品での表示不良をそれぞれ説明する図である。なお、図5〜図7では、図面の簡略化のために、上記表示面に設けられた複数の画素のうち、図1の右上端部に配設された9個の画素を図示している(後掲の図9、図10、及び図12〜図16においても、同様。)。
図5及び図6(a)に示すように、信号電極4では、画素領域Pの内部から信号ドライバ7側に引き出された端部に対して、上部基板2の表面上に設けられた絶縁部材としての絶縁膜19で被覆されている。つまり、信号電極4では、画素領域Pの外部に引き出された当該信号電極4の端部が、上部基板2と絶縁膜19によって電気的に絶縁されている。この絶縁膜19は、例えば二酸化ケイ素によって構成されている。また、絶縁膜19の具体的な厚さ寸法は、数百nmである。さらに、絶縁膜19は、上部基板2及び下部基板3の外周の全周にわたって設けられて、これら上部基板2及び下部基板3の間を封止するシール材(図示せず)の内側近傍まで設けられている。
また、図6(b)に示すように、画素領域Pの内部では、信号電極4は、絶縁膜19によって覆われておらず、上述したように、撥水膜12を介して導電性液体16に直接的に接触するようになっている。
以上のように構成された本実施形態品では、表示素子10に対して、異常な衝撃や振動が加えられた場合などに起因して、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、漏れ出た導電性液体16によって、複数の信号電極が短絡するのを防ぐことができる。すなわち、図7(a)に例示するように、右上の画素領域Pから導電性液体16xが信号ドライバ7側に漏れ出て、隣接する2本の信号電極4の下方に移動したときでも、これら2本の信号電極4は絶縁膜19によって電気的に絶縁されている。このため、隣接する2本の信号電極4において、導電性液体16xによって短絡するのが防がれる。この結果、本実施形態の表示素子10では、発生する表示不良は、図7(a)に点線Aにて示すように、導電性液体16xが漏れ出た右上の画素領域Pだけとなる。すなわち、本実施形態の表示素子10では、導電性液体16xが信号ドライバ7側に漏れ出たときでも、点欠陥の表示不良が生じるだけにとどめることができ、表示不良を極力最小限にすることができる。
これに対して、絶縁膜19を設けていない従来品では、図7(b)に例示するように、信号ドライバ7側に漏れ出た導電性液体16xが、隣接する2本の信号電極4a、4bを短絡することがある。このように、2本の信号電極4a、4bが短絡されると、図7(b)に点線Bにて例示するように、これらの信号電極4a、4bが設置された2行分の画素領域Pに表示不良が生じる。すなわち、従来品では、導電性液体16xが信号ドライバ7側に漏れ出たとき、線状の表示不良が発生するのを防止することができないことがあった。
ここで、上記のように構成された本実施形態の画像表示装置1の表示動作について、図8も参照して具体的に説明する。
図8は、上記画像表示装置の動作例を説明する図である。
図8において、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、例えば同図の左側から右側に向かう所定の走査方向で、参照電極5及び走査電極6に対して、それぞれ参照電圧Vr及び走査電圧Vsとして上記選択電圧を順次印加する。具体的には、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、参照電極5及び走査電極6に対して、選択電圧としてH電圧(第1の電圧)及びL電圧(第2の電圧)をそれぞれ順次印加して選択ラインとする走査動作を行う。また、この選択ラインでは、信号ドライバ7は外部からの画像入力信号に応じて、対応する信号電極4に対して、H電圧またはL電圧を信号電圧Vdとして印加する。これにより、選択ラインの各画素では、導電性液体16が有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動されて、表示面側の表示色が変更される。
一方、非選択ライン、つまり残り全ての参照電極5及び走査電極6に対しては、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、それぞれ参照電圧Vr及び走査電圧Vsとして上記非選択電圧を印加する。具体的には、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、残り全ての参照電極5及び走査電極6に対して、非選択電圧として、例えば上記H電圧とL電圧の中間の電圧である中間電圧(Middle電圧、以下、“M電圧”という。)を印加する。これにより、非選択ラインの各画素では、導電性液体16が有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側で不必要な変動を生じることなく静止され、表示面側の表示色が変更されない。
上記のような表示動作を行う場合、参照電極5、走査電極6、及び信号電極4への印加電圧の組み合わせは、表1に示されるものとなる。さらに、導電性液体16の挙動及び表示面側の表示色は、表1に示すように、印加電圧に応じたものとなる。なお、表1では、H電圧、L電圧、及びM電圧をそれぞれ“H”、“L”、及び“M”にて略記している(後掲の表2でも同様。)。また、H電圧、L電圧、及びM電圧の具体的な値は、それぞれ例えば+16V、0V、及び+8Vである。
Figure 2011033802
<選択ラインでの動作>
選択ラインでは、信号電極4に対して例えばH電圧が印加されているときでは、参照電極5と信号電極4との間では、共にH電圧が印加されているので、これらの参照電極5と信号電極4との間には、電位差が生じていない。一方、信号電極4と走査電極6との間では、走査電極6に対して、L電圧が印加されているので、電位差が生じている状態となる。このため、導電性液体16は、信号電極4に対して、電位差が生じている走査電極6側に表示用空間Sの内部を移動する。この結果、導電性液体16は、図4(b)に例示したように、非有効表示領域P2側に移動した状態となり、オイル17を参照電極5側に移動させて、バックライト18からの照明光がカラーフィルタ部11rに達するのを許容する。これにより、表示面側での表示色は、カラーフィルタ部11rによる赤色表示(CF着色表示)の状態となる。また、画像表示装置1では、隣接するRGBの3つの全画素において、それらの導電性液体16が非有効表示領域P2側に移動して、CF着色表示が行われたときに、当該RGBの画素からの赤色光、緑色光、及び青色光が白色光に混色して、白色表示が行われる。
一方、選択ラインにおいて、信号電極4に対してL電圧が印加されているときでは、参照電極5と信号電極4との間では、電位差が生じ、信号電極4と走査電極6との間には、電位差が生じていない。従って、導電性液体16は、信号電極4に対して、電位差が生じている参照電極5側に表示用空間Sの内部を移動する。この結果、導電性液体16は、図4(a)に例示したように、有効表示領域P1側に移動した状態となり、バックライト18からの照明光がカラーフィルタ部11rに達するのを阻止する。これにより、表示面側での表示色は、導電性液体16による黒色表示(非CF着色表示)の状態となる。
<非選択ラインでの動作>
非選択ラインでは、信号電極4に対して例えばH電圧が印加されているときでは、導電性液体16は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極5及び走査電極6の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極5と信号電極4との間の電位差及び走査電極6と信号電極4との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。この結果、表示色は、現状の黒色表示またはCF着色表示から変更されずに維持される。
同様に、非選択ラインにおいて、信号電極4に対してL電圧が印加されているときでも、導電性液体16は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極5及び走査電極6の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極5と信号電極4との間の電位差及び走査電極6と信号電極4との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。
以上のように、非選択ラインにおいては、信号電極4がH電圧及びL電圧のいずれかの電圧であっても、導電性液体16は移動せずに、静止して、表示面側での表示色は変化しない。
一方、選択ラインにおいては、信号電極4への印加電圧に応じて、上述のように、導電性液体16を移動させることができ、表示面側での表示色を変更させることができる。
また、画像表示装置1では、表1に示した印加電圧の組み合わせによって、選択ライン上の各画素での表示色は、例えば図8に示すように、各画素に対応する信号電極4への印加電圧に応じて、カラーフィルタ部11r、11g、11bによるCF着色(赤色、緑色、あるいは青色)または導電性液体16による非CF着色(黒色)となる。また、参照ドライバ8及び走査ドライバ9が、それぞれ参照電極5及び走査電極6の選択ラインを、例えば図8の左から右へ走査動作を行う場合、画像表示装置1の表示部での各画素の表示色もまた同図8の左から右に向かって順次変化することとなる。したがって、参照ドライバ8及び走査ドライバ9による選択ラインの走査動作を高速で行うことにより、画像表示装置1において、表示部での各画素の表示色も高速に変化させることが可能となる。さらに、選択ラインの走査動作に同期させて信号電極4への信号電圧Vdの印加を行うことにより、画像表示装置1では、外部からの画像入力信号に基づいて、動画像を含んだ種々の情報を表示することが可能となる。
また、参照電極5、走査電極6、及び信号電極4への印加電圧の組み合わせは、表1に限定されるものではなく、表2に示すものでもよい。
Figure 2011033802
すなわち、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、例えば同図の左側から右側に向かう所定の走査方向で、参照電極5及び走査電極6に対して、選択電圧としてL電圧(第2の電圧)及びH電圧(第1の電圧)をそれぞれ順次印加して選択ラインとする走査動作を行う。また、この選択ラインでは、信号ドライバ7は外部からの画像入力信号に応じて、対応する信号電極4に対して、H電圧またはL電圧を信号電圧Vdとして印加する。
一方、非選択ライン、つまり残り全ての参照電極5及び走査電極6に対しては、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、非選択電圧としてM電圧を印加する。
<選択ラインでの動作>
選択ラインでは、信号電極4に対して例えばL電圧が印加されているときでは、参照電極5と信号電極4との間では、共にL電圧が印加されているので、これらの参照電極5と信号電極4との間には、電位差が生じていない。一方、信号電極4と走査電極6との間では、走査電極6に対して、H電圧が印加されているので、電位差が生じている状態となる。従って、導電性液体16は、信号電極4に対して、電位差が生じている走査電極6側に表示用空間Sの内部を移動する。この結果、導電性液体16は、図4(b)に例示したように、非有効表示領域P2側に移動した状態となり、オイル17を参照電極5側に移動させて、バックライト18からの照明光がカラーフィルタ部11rに達するのを許容する。これにより、表示面側での表示色は、カラーフィルタ部11rによる赤色表示(CF着色表示)の状態となる。また、表1に示した場合と同様に、隣接するRGBの3つの全画素において、CF着色表示が行われたときには、白色表示が行われる。
一方、選択ラインにおいて、信号電極4に対してH電圧が印加されているときでは、参照電極5と信号電極4との間では、電位差が生じ、信号電極4と走査電極6との間には、電位差が生じていない。従って、導電性液体16は、信号電極4に対して、電位差が生じている参照電極5側に表示用空間Sの内部を移動する。この結果、導電性液体16は、図4(a)に例示したように、有効表示領域P1側に移動した状態となり、バックライト18からの照明光がカラーフィルタ部11rに達するのを阻止する。これにより、表示面側での表示色は、導電性液体16による黒色表示(非CF着色表示)の状態となる。
<非選択ラインでの動作>
非選択ラインでは、信号電極4に対して例えばL電圧が印加されているときでは、導電性液体16は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極5及び走査電極6の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極5と信号電極4との間の電位差及び走査電極6と信号電極4との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。この結果、表示色は、現状の黒色表示またはCF着色表示から変更されずに維持される。
同様に、非選択ラインにおいて、信号電極4に対してH電圧が印加されているときでも、導電性液体16は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極5及び走査電極6の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極5と信号電極4との間の電位差及び走査電極6と信号電極4との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。
以上のように、表2に示した場合でも、表1に示した場合と同様に、非選択ラインにおいては、信号電極4がH電圧及びL電圧のいずれかの電圧であっても、導電性液体16は移動せずに、静止して、表示面側での表示色は変化しない。
一方、選択ラインにおいては、信号電極4への印加電圧に応じて、上述のように、導電性液体16を移動させることができ、表示面側での表示色を変更させることができる。
また、本実施形態の画像表示装置1では、表1及び表2に示した印加電圧の組み合わせ以外に、信号電極4への印加電圧を、H電圧またはL電圧の2値だけではなく、これらのH電圧とL電圧との間の電圧を、表示面側に表示される情報に応じて変化させることもできる。すなわち、画像表示装置1では、信号電圧Vdを制御することにより、階調表示が可能となる。これにより、表示性能に優れた表示素子10を構成することができる。
以上のように構成された本実施形態の表示素子10では、上部基板(第1の基板)2と絶縁膜(絶縁部材)19とが、画素領域Pの外部に引き出された信号電極4の端部を電気的に絶縁している。これにより、本実施形態では、異常な衝撃や振動が表示素子10に加えられた場合などにおいて、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、漏れ出た導電性液体16によって、複数の信号電極4が短絡するのを防ぐことができ、線状の表示不良が発生するのを防止することができる。この結果、本実施形態では、上記従来例と異なり、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子10を構成することができる。
また、本実施形態の画像表示装置(電気機器)1では、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子10が表示部に用いられているので、表示不良の発生が抑制された表示部を有する高性能な画像表示装置(電気機器)1を容易に構成することができる。
また、本実施形態の表示素子10では、信号ドライバ(信号電圧印加部)7、参照ドライバ(参照電圧印加部)8、及び走査ドライバ(走査電圧印加部)9が信号電極4、参照電極5、及び走査電極6に対して、信号電圧Vd、参照電圧Vr、及び走査電圧Vsを印加するようになっている。これにより、本実施形態では、優れた表示品位を有するマトリクス駆動方式の表示素子10を容易に構成することができるとともに、各画素領域の表示色を適切に変更することができる。
また、本実施形態の表示素子10では、絶縁膜19の表面には撥水膜12が形成されているので、撥水膜12によって画素領域Pの外部に漏れ出た導電性液体16が拡がるのを防ぐことができる。
[第2の実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す平面図である。図10(a)及び図10(b)は、それぞれ図9のXa−Xa線及びXb−Xb線断面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、上記絶縁膜の代わりに、上部基板及び下部基板の間に設けられたシール材を用いた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
すなわち、図9及び図10(a)に例示するように、本実施形態の表示素子10では、画素領域Pの内部から信号ドライバ7側に引き出された信号電極4の端部に対して、上部基板2と、当該上部基板2と下部基板3の間に設けられた絶縁部材としてのシール材20が被覆されている。つまり、信号電極4では、画素領域Pの外部に引き出された当該信号電極4の端部が、上部基板2とシール材20によって電気的に絶縁されている。このシール材20は、例えばアクリル系樹脂によって構成されている。さらに、シール材20は、上部基板2及び下部基板3の外周の全周にわたって設けられて、これら上部基板2及び下部基板3の間を封止するシール材(図示せず)の内側近傍まで設けられている。
また、図10(b)に示すように、画素領域Pの内部では、信号電極4は、シール材20によって覆われておらず、上述したように、撥水膜12を介して導電性液体16に直接的に接触するようになっている。
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、シール材(絶縁部材)20によって画素領域Pの外部に引き出された信号電極4の端部を電気的に絶縁することができ、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる。すなわち、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、図7(a)に例示したように、導電性液体16xが信号ドライバ7側に漏れ出たときでも、点欠陥の表示不良が生じるだけにとどめることができ、表示不良を極力最小限にすることができる。
[第2の実施形態の変形例]
図11は、本発明の第2の実施形態の変形例にかかる画像表示装置を説明する平面図である。図において、本実施形態と上記第2の実施形態との主な相違点は、上部基板及び下部基板の外周の全周にわたって設けられて当該上部基板及び下部基板の間を封止するシール材を用いた点である。なお、上記第2の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
すなわち、図11に例示するように、本実施形態の表示素子10では、シール材20’が画素領域Pの内部から信号ドライバ7側に引き出された信号電極4の端部を電気的に絶縁している。また、このシール材20’は、表示素子10に本来的に設けられたものであり、上部基板2及び下部基板3の外周の全周にわたって設けられて当該上部基板2及び下部基板3の間を封止している。
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、上部基板(第1の基板)2及び下部基板(第2の基板)3の間を封止するシール材20’が画素領域Pの外部に引き出された信号電極4の端部を電気的に絶縁するシール材(絶縁部材)と兼用しているので、構造簡単な表示素子10を容易に構成することができる。さらに、本実施形態では、絶縁部材の設置スペースを割愛することができるので、表示素子10のコンパクト化を容易に図ることができる。
[第3の実施形態]
図12は、本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す平面図である。図13(a)及び図13(b)は、それぞれ図12のXIIIa−XIIIa線及びXIIIb−XIIIb線断面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、上記絶縁膜の代わりに、信号電極の設置方向に延設されたリブの延設部を上記絶縁部材として用いた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
すなわち、図12、図13(a)、及び図13(b)に示すように、本実施形態の表示素子10では、第1の実施形態と異なり、リブ14a、14bが上部基板2側に設けられている。また、図12及び図13(a)に例示するように、本実施形態の表示素子10では、画素領域Pの内部から信号ドライバ7側に引き出された信号電極4の端部に対して、上部基板2の表面上に設けられた絶縁部材としてのリブ14の延設部21が被覆されている。つまり、信号電極4では、画素領域Pの外部に引き出された当該信号電極4の端部が、上部基板2と延設部21によって電気的に絶縁されている。また、この延設部21は、信号ドライバ7側に設けられた複数の各画素領域P(すなわち、図1の右端部の画素領域P)において、信号ドライバ7側のリブ14aに対して、信号電極4の設置方向に一体的に延設されたものである。さらに、延設部21は、上部基板2及び下部基板3の外周の全周にわたって設けられて、これら上部基板2及び下部基板3の間を封止するシール材(図示せず)の内側近傍まで設けられている。
また、図13(b)に示すように、画素領域Pの内部では、信号電極4は、延設部21によって覆われておらず、上述したように、撥水膜12を介して導電性液体16に直接的に接触するようになっている。
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、リブ14の延設部(絶縁部材)21によって画素領域Pの外部に引き出された信号電極4の端部を電気的に絶縁することができ、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる。すなわち、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、図7(a)に例示したように、導電性液体16xが信号ドライバ7側に漏れ出たときでも、点欠陥の表示不良が生じるだけにとどめることができ、表示不良を極力最小限にすることができる。
[第4の実施形態]
図14は、本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す平面図である。図15(a)及び図15(b)は、それぞれ図14のXVa−XVa線及びXVb−XVb線断面図である。図において、本実施形態と上記第3の実施形態との主な相違点は、上記リブの延設部(絶縁部材)の代わりに、リブにおいて、画素領域の外部に引き出された信号電極の端部を挟むように、当該信号電極の設置方向に沿って延長された延長部分を設けた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
すなわち、図14に例示するように、本実施形態の表示素子10では、信号ドライバ7側に設けられた複数の各画素領域P(すなわち、図1の右端部の画素領域P)において、信号電極4と平行に設けられるリブ22bは、画素領域Pの内部から信号ドライバ7側に延長されている。具体的にいえば、このリブ22bには、画素領域Pの内部側に設けられ、当該画素領域Pを仕切る仕切部分22b1と、画素領域Pの外部側で、信号電極の設置方向に沿って延長された延長部分22b2とが設けられている。また、図14に例示するように、隣接する2つのリブ22bでは、それらの延長部分22b2が画素領域Pの外部に引き出された信号電極4の端部を挟むように、設けられている。
さらに、図15(a)に例示するように、延長部分22b2では、その上部基板2からの突出寸法は当該延長部分22b2が下部基板3にほぼ密接するように設定されており、導電性液体16が隣接する2つの延長部分22b2の間の空間に漏れ出たときでも、その導電性液体16が延長部分22b2と下部基板3との間を通って上記空間(隣接する2本の信号電極4の一方の下側の空間)に隣り合う空間(隣接する2本の信号電極4の他方の下側の空間)の内部に移動するのを完全に防止できるようになっている。
具体的にいえば、本実施形態品では、表示素子10に対して、異常な衝撃や振動が加えられた場合などに起因して、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、漏れ出た導電性液体16によって、複数の信号電極が短絡するのを防ぐことができる。すなわち、図16に例示するように、右上の画素領域Pから導電性液体16xが信号ドライバ7側に漏れ出たときでも、この導電性液体16xは延長部分22b2によって図16の下側に移動するのが阻止されるようになっている。これにより、隣接する2本の信号電極4において、導電性液体16xによって短絡するのが防がれる。この結果、本実施形態の表示素子10では、発生する表示不良は、図16に点線Aにて示すように、導電性液体16xが漏れ出た右上の画素領域Pだけとなる。すなわち、本実施形態の表示素子10では、導電性液体16xが信号ドライバ7側に漏れ出たときでも、点欠陥の表示不良が生じるだけにとどめることができ、表示不良を極力最小限にすることができる。
また、図15(b)に示すように、画素領域Pの内部では、信号電極4は、絶縁膜19によって覆われておらず、上述したように、撥水膜12を介して導電性液体16に直接的に接触するようになっている。さらに、仕切部分22b1では、その上部基板2からの突出寸法は上記実施形態のものと同様に、隣接する画素間で導電性液体16の流入出が防止されるようになっている。
以上の構成により、本実施形態の表示素子10のリブ22bには、画素領域Pの外部に引き出された信号電極4の端部を挟むように、当該信号電極4の設置方向に沿って延長された延長部分22b2が設けられている。これにより、本実施形態では、異常な衝撃や振動が表示素子10に加えられた場合などにおいて、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、漏れ出た導電性液体16によって、複数の信号電極4が短絡するのを防ぐことができ、線状の表示不良が発生するのを防止することができる。この結果、本実施形態では、上記従来例と異なり、導電性液体16が画素領域Pの外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子10を構成することができる。
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記の説明では、カラー画像表示を表示可能な表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部が設けられた電気機器であれば何等限定されるものではなく、例えば電子手帳等のPDAなどの携帯情報端末、パソコンやテレビなどに付随する表示装置、あるいは電子ペーパーその他、各種表示部を備えた電気機器に好適に用いることができる。
また、上記の説明では、導電性液体への電界印加に応じて、当該導電性液体を移動させるエレクトロウェッティング方式の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明の表示素子は、これに限定されるものではなく、外部電界を利用して、表示用空間の内部で導電性液体を動作させることにより、表示面側の表示色を変更可能な電界誘導型の表示素子であれば何等限定されるものではなく、電気浸透方式、電気泳動方式、誘電泳動方式などの他の方式の電界誘導型表示素子に適用することができる。
但し、上記各実施形態のように、エレクトロウェッティング方式の表示素子を構成する場合の方が、導電性液体を低い駆動電圧で高速に移動させることが可能となる。しかも、3つの電極を設けて、導電性液体をスライド移動させているので、導電性液体の形状を変化させるものに比べて、表示面側の表示色の切換速度の高速化及び省力化を容易に図ることができる。また、エレクトロウェッティング方式の表示素子では、導電性液体の移動に応じて表示色が変更されるので、液晶表示装置等と異なり、視野角依存性がない点でも好ましい。さらには、画素毎にスイッチング素子を設ける必要がないので、構造簡単で高性能なマトリクス駆動方式の表示素子を低コストで構成できる点でも好ましい。しかも、液晶層などの複屈折材料を用いていないので、情報表示に使用される、バックライトからの光や外光の光利用効率に優れた高輝度な表示素子を容易に構成できる点でも好ましい。
また、上記の説明では、バックライトを備えた透過型の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、拡散反射板などの光反射部を有する反射型や、前記光反射部とバックライトとを併用した半透過型の表示素子にも適用することができる。
また、上記の説明では、信号電極を上部基板(第1の基板)側に設けるとともに、参照電極及び走査電極を下部基板(第2の基板)側に設けた場合について説明した。しかしながら、本発明は、導電性液体と接触するように、表示用空間の内部に信号電極を設置し、かつ、導電性液体及び互いに電気的に絶縁された状態で、参照電極及び走査電極を第1及び第2の基板の一方側に設けるものであればよい。具体的にいえば、例えば信号電極を第2の基板側やリブ上に設けるとともに、参照電極及び走査電極を第1の基板側に設けてもよい。
また、上記の説明では、参照電極及び走査電極を有効表示領域側及び非有効表示領域側にそれぞれ設置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、参照電極及び走査電極を非有効表示領域側及び有効表示領域側にそれぞれ設置してもよい。
また、上記の説明では、参照電極及び走査電極を下部基板(第2の基板)の表示面側の表面に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁材料からなる上記第2の基板の内部に埋設した参照電極及び走査電極を用いることもできる。このように構成した場合には、第2の基板を誘電体層として兼用させることができ、当該誘電体層の設置を省略することができる。さらに、誘電体層を兼用した第1及び第2の基板上に信号電極を直接的に設け、表示用空間の内部に当該信号電極を設置する構成でもよい。
また、上記の説明では、透明な電極材料を用いて参照電極及び走査電極を構成した場合について説明したが、本発明は参照電極及び走査電極のうち、画素の有効表示領域に対向するように設置される一方の電極だけを透明な電極材料によって構成すればよく、有効表示領域に対向されない他方の電極には、アルミニウム、銀、クロム、その他の金属などの不透明な電極材料を使用することができる。
また、上記の説明では、帯状の参照電極及び走査電極を用いた場合について説明したが、本発明の参照電極及び走査電極の各形状はこれに何等限定されない。例えば透過型に比べて、情報表示に用いられる光の利用効率が低下する反射型の表示素子では、線状や網状などの光ロスが生じ難い形状としてもよい。
また、上記の説明では、信号電極に線状配線を用いた場合について説明したが、本発明の信号電極はこれに限定されるものではなく、網状配線などの他の形状に形成された配線も使用することができる。
但し、上記の各実施形態のように、透明な透明電極が用いられた参照電極及び走査電極の透過率を用いて、信号電極の形状を定める場合の方が、不透明な材料を使用して信号電極を構成したときでも、当該信号電極の影が表示面側に現れるのを防ぐことができ、表示品位が低下するのを抑えることができる点で好ましく、さらには線状配線を用いた場合には、上記表示品位の低下を確実に抑えることができる点でより好ましい。
また、上記の説明では、塩化カリウムの水溶液を導電性液体に用いるとともに、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを用いて、信号電極を構成した場合について説明したが、本発明は表示用空間の内部に設置されて、導電性液体と接触する信号電極に、当該導電性液体に対して電気化学的に不活性な材料を用いたものであれば何等限定されない。具体的にいえば、導電性液体には、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アルカリ金属水酸化物、酸化亜鉛、塩化ナトリウム、リチウム塩、リン酸、アルカリ金属炭酸塩、酸素イオン伝導性を有するセラミックスなどの電解質を含んだものを使用することができる。また、溶媒には、水以外に、アルコール、アセトン、ホルムアミド、エチレングリコールなどの有機溶媒を使用することもできる。さらに、本発明の導電性液体には、ピリジン系、脂環族アミン系、または脂肪族アミン系などの陽イオンと、フッ化物イオンやトリフラート等のフッ素系などの陰イオンとを含んだイオン液体(常温溶融塩)を使用することもできる。
但し、上記の各実施形態のように、所定の電解質を溶かした水溶液を導電性液体に使用する場合の方が、取扱性に優れるとともに、製造が簡単な表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。
また、本発明の信号電極には、例えばアルミニウム、ニッケル、鉄、コバルト、クロム、チタン、タンタル、ニオブあるいはそれらの合金などの導電性を有する金属を用いた電極本体と、この電極本体の表面を覆うように設けられた酸化被膜とを備えた不動態を使用することができる。
但し、上記の各実施形態のように、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを信号電極に用いる場合の方が、イオン化傾向の小さい金属を使用することとなり、当該電極の簡略化を図りつつ、導電性液体との間での電気化学反応を確実に防ぐことが可能となって信頼性の低下が防がれた長寿命な表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。また、イオン化傾向の小さい金属は導電性液体との間の界面に生じる界面張力を比較的小さくすることができることから、導電性液体を移動させないときでは、その固定位置で当該導電性液体を安定した状態で容易に保持できる点でも好ましい。
また、上記の説明では、無極性のオイルを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導電性液体と混じり合わない絶縁性流体であればよく、例えばオイルに代えて、空気を使用してもよい。また、オイルとして、シリコーンオイル、脂肪系炭化水素などを使用することができる。
但し、上記の各実施形態のように、導電性液体と相溶性がない無極性のオイルを用いた場合の方が、空気と導電性液体とを用いる場合よりは、無極性のオイル中で導電性液体の液滴がより移動し易くなって、当該導電性液体を高速移動させることが可能となり、表示色を高速に切り換えられる点で好ましい。
また、上記の説明では、黒色に着色された導電性液体及びカラーフィルタ層を用いて、RGBの各色の画素を表示面側に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の画素領域が、表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられているものであればよい。具体的には、RGB、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のCMY、またはRGBYCなどに着色された複数色の導電性液体を用いることもできる。
また、上記の説明では、カラーフィルタ層を上部基板(第1の基板)の非表示面側の表面に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の基板の表示面側の表面や下部基板(第2の基板)側にカラーフィルタ層を設置することもできる。このように、カラーフィルタ層を用いる場合の方が、複数色の導電性液体を用意する場合に比べて、製造簡単な表示素子を容易に構成できる点で好ましい。また、このカラーフィルタ層に含まれたカラーフィルタ部(開口部)及びブラックマトリクス部(遮光膜)により、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域をそれぞれ適切に、かつ、確実に設定することができる点でも好ましい。
また、上記の説明では、信号ドライバ(信号電圧印加部)側のみに、上記絶縁部材またはリブの延長部分を設けた構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、信号電圧印加部とは反対側において、絶縁部材またはリブの延長部分を設けて、その反対側の信号電極の端部を電気的に絶縁する構成でもよい。
また、上記の説明では、信号電圧印加部が信号電極の一方の端部側に設けられている構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、信号電極の一方及び他方の端部側に信号電圧印加部を設置する構成でもよい。このように構成した場合には、絶縁部材またはリブの延長部分は信号電極の一方及び他方の端部側の双方に設けられる。
また、上記第1〜第3の実施形態では、それぞれ上部基板(第1の基板)と、絶縁膜(絶縁部材)、シール材(絶縁部材)、及びリブの延設部(絶縁部材)とにより、画素領域の外部に引き出された信号電極の端部を電気的に絶縁する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁膜、シール材、またはリブの延設部だけによって上記信号電極の端部を電気的に絶縁する構成でもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態では、リブを下部基板(第2の基板)側に設けるとともに、第3及び第4の実施形態では、リブを上部基板(第1の基板)側に設ける構成について説明したが、本発明のリブは第1及び第2の基板の少なくとも一方側に設けられていればよい。
また、上記の説明以外に、第1〜第4の各実施形態を適宜組み合わせたものでもよい。
本発明は、導電性液体が画素領域の外部に漏れ出たときでも、表示不良を最小限に抑えることができる表示素子、及びこれを用いた電気機器に対して有用である。
1 画像表示装置(電気機器)
2 上部基板(第1の基板)
3 下部基板(第2の基板)
4 信号電極
5 参照電極
6 走査電極
7 信号ドライバ(信号電圧印加部)
8 参照ドライバ(参照電圧印加部)
9 走査ドライバ(走査電圧印加部)
10 表示素子
11 カラーフィルタ層
11r、11g、11b カラーフィルタ部(開口部)
11s ブラックマトリクス部(遮光膜)
12 撥水膜
13 誘電体層
14、14a、14b、22b リブ(仕切壁)
22b2 延長部分
16 導電性液体
17 オイル(絶縁性流体)
19 絶縁膜(絶縁部材)
20、20’ シール材(絶縁部材)
21 (リブの)延設部(絶縁部材)
S 表示用空間
P 画素領域
P1 有効表示領域
P2 非有効表示領域

Claims (13)

  1. 表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動可能に封入された導電性液体とを具備し、前記導電性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
    前記導電性液体と接触するように、前記表示用空間の内部に設置されるとともに、所定の配列方向に沿って設けられた複数の信号電極、
    前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設置されるように、前記導電性液体に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の参照電極、及び
    前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設置されるように、前記導電性液体及び前記参照電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の走査電極、
    前記信号電極と前記走査電極との交差部単位に設けられた複数の画素領域、及び
    前記複数の各画素領域に応じて、前記表示用空間の内部を区切るように、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方側に設けられたリブを備え、
    前記画素領域の外部に引き出された前記信号電極の端部に対して、電気的に絶縁する絶縁部材を設けた、
    ことを特徴とする表示素子。
  2. 前記絶縁部材として、前記信号電極の前記端部を覆うように設けられた絶縁膜が用いられている請求項1に記載の表示素子。
  3. 前記絶縁部材として、前記信号電極の前記端部を覆うように、当該信号電極の設置方向に延設された前記リブの延設部が用いられている請求項1に記載の表示素子。
  4. 前記絶縁部材の表面には、撥水膜が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
  5. 前記絶縁部材として、前記第1及び第2の基板の間に設けられたシール材が用いられている請求項1に記載の表示素子。
  6. 前記シール材は、前記第1及び第2の基板の外周の全周にわたって設けられて当該第1及び第2の基板の間を封止している請求項5に記載の表示素子。
  7. 表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動可能に封入された導電性液体とを具備し、前記導電性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
    前記導電性液体と接触するように、前記表示用空間の内部に設置されるとともに、所定の配列方向に沿って設けられた複数の信号電極、
    前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設置されるように、前記導電性液体に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の参照電極、及び
    前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設置されるように、前記導電性液体及び前記参照電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の走査電極、
    前記信号電極と前記走査電極との交差部単位に設けられた複数の画素領域、及び
    前記複数の各画素領域に応じて、前記表示用空間の内部を区切るように、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方側に設けられたリブを備え、
    前記リブには、前記画素領域の外部に引き出された前記信号電極の端部を挟むように、当該信号電極の設置方向に沿って延長された延長部分が設けられている、
    ことを特徴とする表示素子。
  8. 複数の前記信号電極が、所定の配列方向に沿って設けられ、
    複数の前記参照電極及び複数の前記走査電極が、互いに交互に、かつ、前記複数の信号電極と交差するように設けられ、
    前記複数の信号電極に接続されるとともに、前記複数の各信号電極に対して、前記表示面側に表示される情報に応じて、所定の電圧範囲内の信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
    前記複数の参照電極に接続されるとともに、前記複数の各参照電極に対して、前記導電性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記導電性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する参照電圧印加部と、
    前記複数の走査電極に接続されるとともに、前記複数の各走査電極に対して、前記導電性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記導電性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する走査電圧印加部とを備えている請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
  9. 前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示素子。
  10. 前記表示用空間の内部には、前記導電性液体と混じり合わない絶縁性流体が当該表示用空間の内部を移動可能に封入されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示素子。
  11. 前記参照電極及び前記走査電極の表面上には、誘電体層が積層されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示素子。
  12. 前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた遮光膜によって設定され、
    前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の表示素子。
  13. 文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
    前記表示部に、請求項1〜12のいずれか1項に記載の表示素子を用いたことを特徴とする電気機器。
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