JPWO2011016256A1 - カンチレバー励振装置及び走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

簡単な構成でもって、共振特性の複雑化を防ぐことができるカンチレバー励振装置を提供する。カンチレバー励振装置(1)は、カンチレバー(7)と、カンチレバー(7)を保持するカンチレバーホルダー(3)と、カンチレバーホルダー(3)に取り付けられる圧電振動子(5)とを備える。カンチレバーホルダー(3)が、圧電振動子(5)と異なる音響インピーダンスを有し、圧電振動子の振動を弾性変形によって伝達するホルダー主部(11)(第1部分)と、第1部分と異なる音響インピーダンスを有し、音響波の伝播を遮断する材料境界を第1部分との間に形成する取付ピース(13)(第2部分)とを有する。圧電振動子(5)とカンチレバー(7)の間に第1部分及び第2部分が介在している。

Description

関連する出願
本出願では、2009年8月6日に日本国に出願された特許出願番号2009−183723の利益を主張し、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
本発明は、圧電振動子を用いてカンチレバーの振動を励起するカンチレバー励振装置に関する。
従来、走査型プローブ顕微鏡(SPM)が微小な試料の観察に用いられている。SPMとしては、原子間力顕微鏡(AFM)が知られている。
AFMは、鋭くとがった探針を試料に対して近づけて、探針と試料の間に働く相互作用力を検出する。相互作用力を検出する力センサーとしては、探針を先端にもつ片持ち梁であるカンチレバーが用いられる。AFMは、相互作用力を一定に保つように探針−試料間の距離をフィードバック制御し、さらに、フィードバック制御を維持した状態で探針(または試料)を水平方向に走査する。これにより、探針(または試料)は、試料の凹凸をなぞるように上下する。そして、走査の軌跡を記録することにより、試料表面の凹凸像が得られる。
一般的なAFMの一つとしてダイナミックモードAFMが知られている。ダイナミックモードAFMは、カンチレバーを微小振幅で振動させ、探針−試料間相互作用力をカンチレバー振動の周波数・位相・振幅の変化として検出する。ダイナミックモードAFMは、真空中、大気中だけでなく、液中環境で利用される。
ダイナミックモードAFMにおけるカンチレバーの励振手法としては、音響励振法が用いられる。音響励振法は、例えば、非特許文献1、非特許文献2及び非特許文献3に開示されている。
音響励振法は、圧電振動子で発生させた音響波をカンチレバーに伝えてカンチレバーを励振する。音響励振法は、構成が比較的簡単であるために広範に用いられる。しかし、音響励振法には、液中環境での安定性や定量性などに問題が残されている。以下、音響励振法とその問題点について説明する。
音響励振法は、圧電振動子に交流電位を印加することで音響波を発生させ、その音響波を媒質を介してカンチレバーへ効率的に伝搬して、カンチレバー振動を励起する。音響励振法では、カンチレバーホルダーなどを媒質として音響波が伝搬するため、ホルダー構造中の機械共振が励起される。液中ダイナミックモードAFMでは、この構造共振がホルダー構造中に加えて溶液中を伝搬してカンチレバーに伝わる。そのため、カンチレバー励振信号に対するカンチレバー振動の位相や振幅の応答特性、すなわち、周波数応答特性が複雑化するという問題がある。
さらに、真空中や大気中に比べ、液中では、カンチレバーの共振のQ値が著しく低い。そのため、構造共振の影響が大きくなり、このことが、ダイナミックモードAFM計測の安定性や信頼性を低下させる原因となる。
上記の問題を解決するために、カンチレバーを直接駆動することが考えられる。直接駆動法としては、磁気励振法(非特許文献4、非特許文献5)や光熱励振法(非特許文献6)が提案されている。磁気励振法では、カンチレバーに磁気コーティングが施され、又は磁気ビーズが付着される。光熱励振法では、カンチレバーに金薄膜が設けられ、赤外光又は紫外光が照射される。
しかし、直接駆動法では磁性体や金属の薄膜をカンチレバーの背面へコーティングするプロセスが必要となる。液中AFMの場合には、それらの背面コート材料が溶出することによるコンタミネーションの増加が問題となる。また、背面へのコーティングのプロセスにおいて、探針の形成されている表側へのコート材料の回り込みを避けることは困難であり、探針の先鋭性低下が問題となる。さらにカンチレバー振動の駆動力を得るために、磁気コイル又はレーザー変調装置などが必要である。そのため、装置構成が複雑となり、汎用性が低い。このような背景のため、結局のところ、直接駆動法の用途は限られている。
一方、音響励振法は、カンチレバー修飾を必要とせず、また、小さな圧電振動子と電位印加のための配線のみで実現できる。そのため、音響励振法はAFMの分野において広範に利用されている。そこで、液中環境でダイナミックモードAFMを使用する際にも、音響励振法を使うことが望まれる。しかしながら、既に説明したように、液中環境では、音響波の伝播により生じるカンチレバーホルダーの構造共振の影響でカンチレバーの周波数応答特性が複雑化するという問題がある。
そこで、音響励振法と同レベルに簡単な構成でもって、周波数応答特性の複雑化を抑制できるカンチレバー励振手法の開発が強く望まれる。このようなカンチレバー励振手法が提供されれば、簡単な構成でもって、液中ダイナミックモードAFMの安定性・信頼性を大幅に向上させることができると考えられる。
上記の説明では、ダイナミックモードAFMに関し、特に、液中環境で使用されるダイナミックモードAFMを取り上げて、背景技術を説明した。しかし、カンチレバーを液中などで励振する任意の場合に、同様の事項が問題になり得る。すなわち、任意の用途のカンチレバー励振装置において同様の問題が生じ得る。
特開平7−159422号公報 特開2006−153574号公報
C. Carrasco et al., "Cutting down the forest of peaks in acoustic dynamic atomic force microscopy in liquid" , Review of Scientific Instruments 79, American Institute of Physics, 2008, p. 126106-1-2 J. Kokavecz et al., "Investigation of fluid cell resonances in intermittent contact mode atomic force microscopy", Applied Physics Letters 91, American Institute of Physics, 2007, p. 023113-1-3 T. E. Schaffer et al., "Studies of vibrating atomic force microscope cantilevers in liquid", J. Appl. Phys., American Institute of Physics, 1 October 1996, Vol. 80, No. 7, pp. 3622-3627 Wenhai Han et al., "A magnetically driven oscillating probe microscope for operation in liquids", Appl. Phys. Lett., American Institute of Physics, 23 December 1996, Vol. 69, No. 26, pp. 4111-4113 S. P. Jarvis et al., "A novel force microscope and point contact probe", Rev. Sci. Instrum., American Institute of Physics, December 1993, Vol. 64, No. 12, pp. 3515-3520 N. Umeda et al., "Scanning attractive force microscope using photothermal vibration", J. Vac. Sci. Technol. B, American Vacuum Society, March/April 1991, Vol. 9, No. 2, pp. 1318-1322
本発明は、上記背景の下でなされたものであり、その目的は、簡単な構成でもって、カンチレバーの周波数応答特性の複雑化を防ぐことができるカンチレバー励振装置を提供することにある。
本発明の一態様は、カンチレバーの振動を励起するカンチレバー励振装置であって、カンチレバーと、前記カンチレバーを保持するカンチレバーホルダーと、前記カンチレバーホルダーに取り付けられる圧電振動子とを備え、前記カンチレバーホルダーが、前記圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有し、前記圧電振動子の振動を弾性変形によって伝達する第1部分と、前記第1部分と異なる音響インピーダンスを有し、音響波の伝播を遮断する材料境界を前記第1部分との間に形成する第2部分とを有し、前記圧電振動子と前記カンチレバーの間に前記第1部分及び前記第2部分が介在している。
なお、本願発明に関連する先行技術として、圧電振動子およびカンチレバーを支持する支持部に圧電振動素子の音響振動を伝えないように構成された装置(特許文献1)や、カンチレバーを保持するホルダーに圧電振動子の音響振動を伝えないように構成された装置(特許文献2)があるが、これらの先行技術はいずれも音響振動によってカンチレバーを励振させるのに対して、本願発明は、音響振動はカンチレバーに伝えないようにするとともに、弾性変形でカンチレバーを励振させるという点で、これらの先行技術とはまったく異なる技術思想に基づく発明である。
前記第1部分の音響インピーダンスが、前記圧電振動子の音響インピーダンスの2分の1以下でよく、前記第2部分の音響インピーダンスが、前記第1部分の音響インピーダンスの2倍以上でよい。前記第1部分の弾性率が前記第2部分の弾性率の10分の1以下でよい。
前記圧電振動子と前記第2部分との間に前記第1部分が介在し、前記第1部分と前記カンチレバーとの間に前記第2部分が介在してよい。
前記第1部分が、弾性ヒンジを有するホルダー主部であってよく、前記第2部分が、前記ホルダー主部に前記カンチレバーを取り付ける取付部材であってよく、前記圧電振動子及び前記取付部材が前記弾性ヒンジの一方及び他方にそれぞれ取り付けられていてよい。
前記カンチレバーホルダーが、前記カンチレバーの変位の測定光を透過させる光学窓部材を有してよく、前記光学窓部材が前記ホルダー主部と異なる音響インピーダンスを有してよく、前記ホルダー主部との間に音響波の伝播を遮断する材料境界を形成してよい。
前記圧電振動子の全周が、前記圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有する少なくとも一の部材で取り囲まれてよい。
本発明の別の態様は、上述したカンチレバー励振装置を備えた走査型プローブ顕微鏡である。この走査型プローブ顕微鏡において、前記カンチレバー励振装置が、前記カンチレバー及び前記カンチレバーを保持する前記カンチレバーホルダーの部分が液体に浸されていてよく、かつ、前記圧電振動子が取り付けられる前記カンチレバーホルダーの部分が液体から分離した状態で用いられてよい。
本発明の別の態様は、圧電振動子の振動をカンチレバーに伝達して前記カンチレバーの振動を励起するカンチレバー励振方法であって、前記圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有し、前記圧電振動子の振動を弾性変形によって伝達する第1部分と、前記第1部分と異なる音響インピーダンスを有し、音響波の伝播を遮断する材料境界を前記第1部分との間に形成する第2部分とを備えるカンチレバーホルダーを設け、前記第1部分及び前記第2部分が前記圧電素子及び前記カンチレバーの間に介在するように、前記圧電振動子と前記カンチレバーを配置し、前記圧電振動子に励振電圧信号を印加し、前記材料境界によって前記圧電振動子の音響波の伝播を制限しつつ、前記第1部分の弾性変形により前記圧電振動子の振動を前記カンチレバーに伝えて前記カンチレバーを励振する。
本発明の別の態様は、圧電振動子の振動をカンチレバーに伝達して前記カンチレバーの振動を励起するカンチレバー励振装置の製造方法であって、カンチレバーホルダーの構成部品として第1部分及び第2部分を用意し、前記第1部分は、前記圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有し、前記圧電振動子の振動を弾性変形によって伝達するための部品であり、前記第2部分は、前記第1部分と異なる音響インピーダンスを有し、音響波の伝播を遮断する材料境界を前記第1部分との間に形成するための部品であり、前記第1部分及び前記第2部分が前記圧電素子及び前記カンチレバーの間に介在するように、前記圧電振動子、前記カンチレバー、前記第1部分及び前記第2部分を配置する。
本発明は、簡単な構成でもって、カンチレバーの周波数応答特性の複雑化を防ぐことができるカンチレバー励振装置を提供することができる。
以下に説明するように、本発明には他の態様が存在する。したがって、この発明の開示は、本発明の一部の態様の提供を意図しており、ここで記述され請求される発明の範囲を制限することは意図していない。
(a)実施の形態におけるカンチレバー励振装置の底面図、(b)実施の形態におけるカンチレバー励振装置の断面図、(c)実施の形態におけるカンチレバー励振装置の断面図である。 (a)ホルダー主部の底面図、(b)ホルダー主部の断面図、(c)ホルダー主部の側面図である。 部品材料のヤング率、密度及び音響インピーダンスを示す図である。 カンチレバー励振装置が備えられる走査型プローブ顕微鏡の例を示す図である。 (a)本発明のカンチレバー励振装置における音響波の発生及び伝播の抑制を説明する図である。(b)比較用の参考図であって、ホルダー主部の材料がステンレスである場合の音響波の発生及び伝播の様子を示す図である。 カンチレバー励振装置におけるカンチレバーホルダー断面の振動振幅分布の計算結果を示す図である。 カンチレバーの周波数応答特性を示す図である。
以下に本発明の詳細な説明を述べる。ただし、以下の詳細な説明と添付の図面は発明を限定するものではない。代わりに、発明の範囲は添付の特許請求の範囲により規定される。
以下、本発明の実施の形態のカンチレバー励振装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、カンチレバー励振装置が、ダイナミックモードAFMに適用される。特に、本実施の形態では、ダイナミックモードAFMが液中で使用される。ただし、本発明はダイナミックモードAFMに限定されず、その他の装置に適用されてよい。
本発明では、圧電振動子を固定するホルダー部材が、圧電振動子と音響インピーダンスが大きく異なる材料で作られる。このような材料を選択することで、音響波の発生を抑制する。更に、本発明は、圧電振動子の周囲に音響インピーダンスが大きく変わる材料境界を形成し、音響波の伝搬経路を遮断することで、カンチレバーホルダーの不要な構造共振の励起ならびに伝搬を制限する。したがって、構造共振の影響を抑え、カンチレバー周波数応答特性が複雑化するのを防ぐことができる。
本発明は、音響波の代わりに弾性変形を利用してカンチレバーを励振する。弾性変形を効率的に利用するために、本発明は、ホルダー部材に弾性率の比較的低い材料を選択し、また、圧電振動子を設置する部分に弾性ヒンジ構造を設ける。その結果、弾性ヒンジの変位を利用してカンチレバーを振動させることができ、ホルダー内の構造共振の影響を抑えながらカンチレバーを励振可能である。
本発明の装置は、ホルダー部材に保持された圧電振動子に電圧信号を印加する構成により実現される。したがって、装置構造は音響励振法と同様に簡単でよい。本発明は、圧電振動子を用いた簡便な装置構成によるカンチレバー励振法であっても、液中ダイナミックモードAFMおよびフォースカーブ測定の定量性、安定性を著しく向上できる。
従来の音響励振法と本実施の形態を比較すると、それらは圧電振動子を用いた簡便な構成という点で共通している。しかし、従来の音響励振法が音響波を積極的に伝播するのと異なり、本発明は、音響波の発生及び伝播を抑制し、代わりに弾性変位によってカンチレバーを励振する。このような観点で、本発明の手法は、「弾性駆動機構(flexure drive mechanism)」と呼ぶことができる。
図1(a)〜図1(c)は、本実施の形態のカンチレバー励振装置を示している。図1(a)は底面図であり、図1(b)、図1(c)は、図1(a)の線A−A、線B−Bに沿った断面図である。
装置概要としては、カンチレバー励振装置1が、円形のカンチレバーホルダー3と、カンチレバーホルダー3の上部及び下部にそれぞれ取り付けられた圧電振動子5及びカンチレバー7で構成されている。カンチレバーホルダー3は、ホルダー主部11と、ホルダー主部11にカンチレバー7を取り付けるための取付ピース13と、光学窓部材15とで構成される。ホルダー主部11は本発明の第1部分に相当し、取付ピース13は本発明の第2部分に相当し、また、取付部材に相当する。
ホルダー主部11には、弾性変形を増大するために弾性ヒンジ25が形成されている。弾性ヒンジ25の片側に圧電振動子5が取り付けられ、反対側に取付ピース13が取り付けられている。そして、取付ピース13に、カンチレバー7のレバーベース部33が取り付けられている。
カンチレバー励振装置1は、カンチレバー7が溶液に浸るように配置される。圧電振動子5はホルダー主部11の反対側に位置しているので、溶液との接触を避けられる。したがって、圧電振動子5と溶液の電気的絶縁を保つことができる。これにより、圧電振動子の絶縁被覆の溶出による溶液の汚染を防ぐことができる。
ホルダー主部11は、圧電振動子5と音響インピーダンスが大きく異なり、かつ弾性率が小さい材料でできている。また、取付ピース13は、ホルダー主部11と音響インピーダンスが大きく異なる材料でできている。これにより、後述にて詳細に説明するように、圧電振動子5からの音響波の発生及び伝播が効果的に抑制される。そして、本実施の形態では、音響波の代わりに弾性変位を利用してカンチレバー7が励振される。すなわち、圧電振動子5の振動が、弾性ヒンジ25の弾性変位によって、カンチレバー7へと伝達され、カンチレバー7が振動する。弾性変位による励振についても後述にて詳細に説明する。
光学窓部材15は、カンチレバー7の変位を光てこ法で検出するためのレーザー光路を確保している。光学窓部材15もホルダー主部11と音響インピーダンスが大きく異なる材料でできており、音響波の伝播を効果的に抑制する。
以上にカンチレバー励振装置1の概要を説明した。次に、カンチレバー励振装置1の構成の詳細を説明する。
図2(a)〜図2(c)は、ホルダー主部11を示している。図2(a)は底面図であり、図2(b)は図2(a)の線C−Cに沿った断面図であり、図2(c)は図2(b)の矢印Dの方向から見た側面図である。
ホルダー主部11は、円柱形状を有しており、取付領域21と窓領域23に分けられる。取付領域21は、圧電振動子5及びカンチレバー7が取り付けられる領域であり、窓領域23は光学窓部材15が取り付けられる領域である。取付領域21と窓領域23は、図示のように中心からずれた直線で分けられる。取付領域21と窓領域23の間に段差が設けられており、窓領域23の方が取付領域21よりも厚く形成されている。
取付領域21には弾性ヒンジ25が設けられている。弾性ヒンジ25とは、局部的に弾変形量が大きくなる部分である。本実施の形態では、図示のように、弾性ヒンジ25は、取付領域21の中央に設けられた局部的な薄肉部分であり、すなわち、ホルダー主部11の両面に凹部27、29が設けられた部分である。
弾性ヒンジ25の両側には圧電振動子5及び取付ピース13が取り付けられている。圧電振動子5は、弾性ヒンジ25の片面に取り付けられる。図の例では、圧電振動子5が弾性ヒンジ25の上面、すなわち、ホルダー主部11の取付領域21における上側の凹部27の底に取り付けられている。圧電振動子5はピエゾ素子であり、印加される電圧に応じて変形する。カンチレバー励振装置1では、交流電位信号が印加されて、圧電振動子5が振動する。圧電振動子5は薄板形状を有している。
取付ピース13は、カンチレバー7をホルダー主部11に取り付けるための部材である。取付ピース13は弾性ヒンジ25の一方側に取り付けられ、圧電振動子5は弾性ヒンジ25の他方側に取り付けられ、これにより取付ピース13と圧電振動子5が弾性ヒンジ25を挟んでいる。図の例では、取付ピース13が、弾性ヒンジ25の下面、すなわち、ホルダー主部11における下側の凹部29の底に取り付けられている。
取付ピース13は、ホルダー主部11への被取付面と反対側に、レバー取付面31を有している。レバー取付面31は、ホルダー下面に対して傾斜しており、傾斜角は13度である。このレバー取付面31にカンチレバー7が取り付けられる。
カンチレバー7は、シリコン製であり、板状のレバーベース部33と、レバーベース部33の先端から突き出すレバー部35とで構成され、レバー部35は先端にプローブ(探針)を有する。レバーベース部33、レバー部35及びプローブは一体の部材である。取付ピース13のレバー取付面31が傾斜しているので、図示のようにカンチレバー7は、先端が下がるように斜めに取り付けられる。また、カンチレバー7は、レバー部35の先端が光学窓部材15に面する位置まで突き出し、光学窓部材15に臨むように配置されている。
上述のようにカンチレバー7は溶液に浸るように配置される。一方、図2(b)に示されるように、ホルダー主部11において取付ピース13が取り付けられる取り付け領域21は、窓領域23よりも薄く形成されている。この構成により、図1(b)に示されるように、光学窓部材15の底面が溶液に接するとともに、ホルダー主部11の取付領域21の底面は溶液に浸らないようにな溶液の量を設定できる。
また、取付領域21には更に、弾性ヒンジ25の両側に取付孔37が設けられている。取付孔37は、カンチレバー励振装置1をAFM等に固定するために用いられる。
窓領域23には光学窓部材15が設けられている。光学窓部材15は円形であり、窓領域23の円形の貫通孔に嵌め込まれている。光学窓部材15は透明であり、本実施の形態ではガラスである。カンチレバー7の変位を測定するために、レーザ光が光学窓部材15を通ってカンチレバー7に照射され、反射光が光学窓部材15を通ってセンサ(図示せず)に受光される。
次に、カンチレバー励振装置1の各部品の適当な材料について説明する。既に述べたように、ホルダー主部11は、圧電振動子5と比べて音響インピーダンスが大きく異なり、かつ、弾性率が小さい材料から作られる。取付ピース13及び光学窓部材15は、ホルダー主部11と比べて音響インピーダンスが大きく異なる材料で作られる。
図3は、圧電振動子5、ホルダー主部11、取付ピース13、光学窓部材15の適当な材料を例示している。図3には、各材料のヤング率E、密度、音響インピーダンスZが示されている。
圧電振動子5の材料は、図3の最も上に示される通り、一般的な圧電材料としてのチタン酸ジルコン酸鉛(Lead zirconate titanate、PZT)である。
材料群Aは、取付ピース13及び光学窓部材15に適した材料である。このうち、ステンレス鋼SUS304、SUS316は、取付ピース13に適している。BK7はガラスであり、光学窓部材15に適している。
材料群Bは、ホルダー主部11に適した材料であり、特に、音響インピーダンスと弾性率が適当であり、化学的耐性も有する材料である。図3では、3種のエンジニアリングプラスチック、すなわち、PEEK(登録商標)(ポリエーテルエーテルケトン、polyetheretherketone)、POM(ポリオキシメチレン、polyoxymethylene、ジェラコン(登録商標))、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、polytetrafluoroethylene、テフロン(登録商標))が示されている。
図3より、材料群A(取付ピース13、光学窓部材15)の音響インピーダンスは、10kg/ms以上であり、材料群B(ホルダー主部11)の音響インピーダンスは、5kg/ms以下である。ホルダー主部11の音響インピーダンスが、圧電振動子5の音響インピーダンスの2分の1以下であり、取付ピース13、光学窓部材15の音響インピーダンスが、ホルダー主部11の音響インピーダンスの2倍以上であるということもできる。
また、図3より、材料群Aのヤング率が100GPa以上であり、材料群Bのヤング率が10GPa以下である。ホルダー主部11の弾性率が取付ピース13の弾性率の10分の1以下であるということもできる。
具体的に材料を選択する際に、溶液接触部分には化学耐性が必要であり、イオンが溶出するような材料は使用できない。また機械加工性も要求される。本実施の形態の例では、ホルダー主部11の材料が、PEEK(登録商標)であり、取付ピース13の材料がSUS316であり、光学窓部材15の材料がBK7である。これらは化学耐性、加工性の要求を好適に満たしている。
次に、カンチレバー励振装置1のサイズについて説明する。本実施の形態の例では、図3に示すように、ホルダー主部11の直径は10mmである。取付領域21の厚さは2.2mmであり、窓領域23の厚さは3mmである。
取付領域21と窓領域23の境界線は、ホルダー中心から1mmずれており、したがって、半径方向の弾性ヒンジ25の長さは、4mmである。弾性ヒンジ25の幅は、2mmである。凹部27の深さは0.7mmであり、凹部29の深さは0.5mmであり、弾性ヒンジ25の厚さは、1mmである。光学窓部材15の直径は5mmであり、窓中心はホルダー中心から1.5mmずれている。
取付ピース13の長さは3.5mmであり、幅は2mmであり、厚さは1.5mmである。そして、レバー取付面31の傾斜は既に述べたように13度である。
その他、取付孔37の直径は1.5mmであり、2つの取付孔37のピッチは5mmである。
なお、ホルダー主部11のヤング率、サイズ、構造は、弾性ヒンジ25の共振周波数がカンチレバー7の共振周波数付近ないしはそれ以上の周波数になるように設計される。カンチレバー7の液中での共振周波数は、一般的には、1kHz〜1MHz程度であり、カンチレバー7の母材のサイズは、一般的には、幅1.6mm、長さ3.4mm、厚さ0.3mm程度である。例えば、このサイズの母材を支持するのに適当な大きさで、かつこの範囲の周波数において変形可能な弾性ヒンジ25を実現するためには、ホルダー主部11としては1Gpa以上のヤング率をもつ材料が好適である。
次に、カンチレバー励振装置1の製造方法の一例を説明する。まず、構成部品であるホルダー主部11、取付ピース13、光学窓部材15、圧電振動子5及びカンチレバー7を用意する。
そして、ホルダー主部11及び取付ピース13が、圧電振動子5及びカンチレバー7の間に介在するように、圧電振動子5、カンチレバー7、ホルダー主部11及び取付ピース13を配置する。例えば、取付ピース13にカンチレバー7が取り付けられ、取付ピース13がホルダー主部11に取り付けられ、圧電振動子5もホルダー主部11に取り付けられる。また、光学窓部材15がホルダー主部11の貫通孔に嵌め込まれる。
こうして、カンチレバー励振装置1が作られる。カンチレバー励振装置1は例えば下記のAFMに取り付けられる。
次に、図4を参照し、本実施の形態のカンチレバー励振装置1が備えられる走査型プローブ顕微鏡(SPM)の例を説明する。この例では、SPMがAFMであり、特に、FM(Frequency Modulation)−AFMである。FM−AFMは、カンチレバーを共振周波数で自励発振させ、カンチレバーと試料の相互作用による共振周波数のシフト量を一定値に維持するようにZ方向のフィードバック制御(Z位置制御)を行う。FM−AFMは、空間分解能が高く、また、非接触モードでも使用できる。
図4において、AFM51は、カンチレバー53と試料ホルダ55を備える。試料ホルダ55がスキャナ装置56に取り付けられている。カンチレバー53はレバーホルダ57に保持されている。カンチレバー53は探針59を有しており、試料ホルダ55上の試料に近接するように配置される。
AFM51は、カンチレバー53のZ方向の変位を検出する変位センサ61を備える。レバー駆動制御部63はレバー変位に基づいてレバーアクチュエータ65(圧電素子)を制御し、カンチレバー53を自励発振させる。カンチレバー53が自励発振した状態で探針59が試料に接近すると、探針59と試料の相互作用に応じてカンチレバー53の共振周波数がシフトする。共振周波数シフト検出回路67は、レバー変位に基づいてカンチレバー53の共振周波数シフトを検出する。フィードバック回路69は、共振周波数シフトの検出値と目標値の差分に応じたフィードバック信号を生成する。走査制御部71は、フィードバック信号に従ってスキャナ装置56のZ軸方向の駆動を制御する。また、走査制御部71は、コンピュータ73から供給されるXY走査の制御データに従ってスキャナ装置56にXY方向の走査を行わせる。
このようにして、スキャナ装置56は、XY走査を行いながら、探針59と試料の距離を一定に保つZ位置制御を行う。Z位置制御のフィードバック回路の出力信号は、試料のZ方向の高さに対応する。コンピュータ73は、XY走査の制御データとZ位置制御のフィードバック回路の出力信号とに基づいて、試料表面の画像を生成してモニタ75に表示する。3次元画像が好適に生成され、表示される。
図4においては、カンチレバー53、レバーホルダ57、レバーアクチュエータ65が、上述の本実施の形態のカンチレバー7、カンチレバーホルダー3及び圧電振動子5とそれぞれ対応し、本発明のカンチレバー励振装置1を構成する。図4に示されないが、レバーホルダ57は、上述のようにホルダ主部、取付ピース及び光学窓部材で構成される。変位センサ61は、光てこ式であり、光学窓部材を通してレバー変位を検出する。また、AFM51は液中にて好適に使用される。
以上に本実施の形態のカンチレバー励振装置1が設けられるSPMの例を説明した。次に、カンチレバー励振装置1による励振動作を説明する。
カンチレバー7を励振するために、圧電振動子5に励振信号が印加される。励振信号は、AFMの回路から供給される電圧信号であり、周期的に変化する。励振信号は典型的には正弦波(余弦波)である。
励振信号が印加されると、圧電振動子5が振動し、この振動が、カンチレバーホルダー3を介してカンチレバー7へ伝達される。ここで、本実施の形態の特徴として、音響波の発生及び伝播が抑制され、その代わりに弾性変形によって振動が伝達されて、カンチレバー7が振動する。
以下、音響波の発生及び伝播の抑制と、ホルダー弾性変形による励振について、それぞれ説明する。
「音響波の発生及び伝搬の抑制」
圧電振動子5による音響波の発生および伝搬は、圧電振動子5とそれを固定する部材の音響インピーダンス(Z)の値が大きく異なるときに抑制される。本装置は、この特性を利用して音響波の発生および伝搬を抑え、音響波に起因した構造共振の影響を著しく低下させて、カンチレバー7の周波数応答特性の複雑化を防ぐ。
図5(a)は、本実施の形態による音響波の抑制を説明するための図である。一方、図5(b)は、比較を目的とした参考図であり、ホルダー主部の材料が取付ピースと同じステンレス鋼(SUS316)である場合の音響波の発生と伝播を示している。
図5(a)に示すように、本実施の形態では、圧電振動子5の材料がPZT(Z=33×10kg/ms)であり、ホルダー主部11の材料がエンジニアリングプラスチック(PEEK(登録商標)、Z=3.2×10kg/ms)である。したがって、圧電振動子5の音響インピーダンスよりもホルダー主部11の音響インピーダンスが1桁以上低い。このように音響インピーダンスが異なる部材で圧電振動子5を保持することにより、音響波の発生を抑えられ、発生する音響波の強さが大幅に小さくなる。
更に、本実施の形態は、発生する音響波の強さを小さくするだけでなく、音響波の伝播を抑制する。これは下記の材料境界により実現される。
図5(a)において、ピース側境界81は、ホルダー主部11と取付ピース13の間の境界であり、窓側境界83は、ホルダー主部11と光学窓部材15の間の境界である。前述したように、本実施の形態では、取付ピース13の材料がステンレス鋼(SUS316、Z=36×10kg/ms)であり、光学窓部材15の材料がガラス(BK7、Z=11×10kg/ms)である。したがって、ホルダー主部11の音響インピーダンスは、これらの取付ピース13、光学窓部材15の音響インピーダンスより大幅に小さい。
音響インピーダンスのマッチングは、材料境界における音響波の透過率に影響する。音響インピーダンスがそれぞれZa1とZa2の値をもつ2種の材料が形成する境界を考える。このような材料境界に対して音響波が垂直に入射される場合、音響波のエネルギーの透過率は以下の式で表わされる。この式は、音響インピーダンスのミスマッチが大きくなれば、透過率が低下することを示している。
Te=(4・Za1・Za2)/(Za1+Za2
本実施の形態において、ピース側境界81(ホルダー主部11と取付ピース13の間)では、透過率Teが約0.31であり、窓側境界83(ホルダー主部11と光学窓部材15の間)では透過率Teが約0.71である。
このように、ピース側境界81、窓側境界83では透過率が低く、音響波はこれら境界で反射、減衰する。これらピース側境界81、窓側境界83は、圧電振動子5とカンチレバー7の間に位置しており、圧電振動子5の周囲の材料境界として機能し、圧電振動子5からカンチレバー7への音響波の伝達経路を遮断する。
図5(a)と図5(b)を比較する。図5(b)ではホルダー主部11の材料が取付ピース13と同じステンレス鋼である。この場合、ホルダー主部11の音響インピーダンスが、取付ピース13と同じであり、更に、圧電振動子5とほぼ同じであり、光学窓部材15とも近い。そのため、音響波の発生が抑制されない。また、圧電振動子の周囲に存在する境界においても音響波が反射されず、透過率が高くなる。これに対して、本実施の形態では、音響波の発生及び伝播が抑制され、カンチレバー振動特性への音響波の影響を大幅に低減できる。
図5(a)から明らかなように、本実施の形態では、材料境界は、圧電振動子5の周囲の全部を覆ってはいない。このように、本発明の範囲内で、材料境界は、音響波の影響を十分に低減でき、本発明の効果を十分に得られる範囲に設けられてよい。ただし、本発明の範囲で、材料境界が、圧電振動子5の周囲の全部に設けられてもよい。例えば、圧電振動子の全周がプラスチック等の材料で覆われ、さらにその全周がステンレス等の材料で覆われてよい。
「弾性変形を利用したカンチレバー励振」
既に述べたように、本実施の形態では、音響波の発生及び伝搬を抑える代わりに、弾性ヒンジの弾性変形を利用してカンチレバー振動を励起する。
図1(c)に示したように、本実施の形態では、ホルダー主部11に、ヒンジ構造を有する弾性ヒンジ25が設けられている。弾性ヒンジ25の片側(上面)に圧電振動子5が固定され、反対側(下面)に取付ピース13が固定されている。この構成は、圧電振動子5は弾性ヒンジ25の変形を効率的に誘起し、反対側に固定された取付ピース13を直接振動させることができる。
図6は、本発明者が弾性変形による振動振幅を調べるために行った、二次元モデルを用いた有限要素法(FEM)による計算の結果を示している。上側は、本発明のカンチレバー励振装置の計算結果であり、ホルダー主部11の材料がエンジニアリングプラスチック(PEEK(登録商標))であり、取付ピース13の材料がステンレス鋼(SUS316)である。下側は、比較のための計算の結果であり、ホルダー主部11及び取付ピース13の材料が共にステンレス鋼(SUS316)である。計算の条件としては、圧電振動子5へ印加される励振信号が、交流電位Vp−p=1(V)、加振周波数f=148kHzに設定された。
上側の計算結果に示されるように、本実施の形態では、ホルダー主部11の弾性率が低いため(ヤング率E=3.5GPa)、変位振幅が大きくなった。弾性ヒンジ25の反対側(取付ピース側)の部分と、そこに取り付けられた取付ピース13の振幅が大きくなり、取付ピース13及びカンチレバー7を効率的に励振できることが明らかとなった。
一方、下側の計算結果に示されるように、ホルダー主部11の材料をステンレス鋼に置き換えた場合、ステンレス鋼の弾性率が高いため(E=197GPa)、弾性変形が大幅に小さく、振幅もほぼ0であった。
「防水機能について」
本実施の形態は、以下に説明するように、圧電振動子5の防水の観点でも有利である。本実施の形態では、カンチレバーホルダー3を挟んで片側に圧電振動子5が配置され、反対側にカンチレバー7が配置され、カンチレバー7が液中に浸される。更に、光学窓部材15も好適に設けられる。このような構成により、圧電振動子5と溶液との接触を避けることができ、圧電振動子5と溶液の電気的絶縁を保つことができる。
圧電振動子5と液体の接触を避けるためには、防水ポリマーで圧電振動子5を覆うことも考えられる。しかし、防水ポリマーは溶液を吸収して膨潤し、探針の試料に対する相対位置を変動させるため、測定精度低下の要因になる。このような防水ポリマーを使わなくても圧電振動子5と溶液の接触を避けることができるので、本実施の形態は有利であり、測定精度を向上できる。
上記の防水機能は、本発明の主要な利点である音響波の影響の抑制と周波数応答特性の向上にも関係している。この点について従来の音響励振法に言及しながら説明する。
既に本発明の背景技術として説明したように、音響励振法では、音響波が、圧電振動子とカンチレバーの間のホルダー部材の構造共振を励起し、カンチレバーの周波数応答特性を複雑化する。圧電振動子とカンチレバーが遠いと、音響波の経路が多く、複雑であり、その結果、カンチレバーの周波数応答特性が複雑になる。そこで、周波数応答特性を改善するためには、圧電振動子とカンチレバーを近づけることが考えられる。カンチレバーの近くに圧電振動子を配置する場合には圧電振動子の防水が必要である。しかし、一般的な防水手段としての防水ポリマーを使うと、防水ポリマーが膨潤し、測定精度を低下させる要因になる。
これに対して、本実施の形態では、圧電振動子5とカンチレバー7が、カンチレバーホルダー3(ホルダー主部11及び取付ピース13)を介して離れて位置しているが、音響波の影響が少ない。そして、このような構成により、圧電振動子5と液体の直接接触を避けることができている。このように、本発明は、簡単な構成で音響波の悪影響を防ぎつつ良好な共振特性を得られるだけでなく、更には圧電振動子5の防水機能を容易に実現できるという利点をも得られる。
上述のように、ホルダー主部11の取付領域21が窓領域23よりも薄く形成されており、かつ、圧電振動子5には、ホルダー主部11の取付領域21及び取付ピース13を介してカンチレバー7が取付けられる。この構成により、カンチレバー7を溶液に浸すために、カンチレバー7が取り付けられる取付ピース13の一部も同時に溶液に浸したとしても、ホルダー主部11の取付領域21までも溶液に浸す必要はなく、従って、取付領域21に対して取付ピース13とは反対側に取り付けられた圧電振動子5が溶液に接触することを確実に防止できる。
なお、本実施の形態ではホルダー主部11の取付領域21が液面に接触しない構成を作用しているが、このことは圧電振動子15が溶液に接触しないようにするための必須の構成ではない。重要なことは、圧電振動子15と、溶液に浸されるカンチレバー7との間に、取付ピース13およびホルダー主部11が介在することによって、圧電振動子5と液体の直接接触を回避しているということである。
「周波数応答特性」
図7は、本実施の形態のカンチレバー励振装置1を用いて計測したカンチレバー7の振幅・位相対周波数曲線を示している。使用したカンチレバー7はシリコン製であり、共振周波数は148kHzであり、Q値(Q−factor)は7.6であった。
図7において、左側の2つのグラフ(a)(b)は、比較のためのデータであり、ホルダー主部11の材料としてステンレス鋼(SUS316)が用いられたときの計測結果である。上側のグラフ(a)が、振幅−周波数曲線であり、すなわち、横軸が周波数、縦軸が振幅である。また、下側のグラフ(b)は、位相−周波数曲線であり、すなわち、横軸が周波数、縦軸が位相である。グラフ(a)(b)の測定において、ホルダー材料以外の構成(部品形状、部品材料等)は、本実施の形態のカンチレバー励振装置1と同様であった。
左上のグラフ(a)は、励振信号電圧が50mV、100mV、150mVのときの測定結果を示している。図示のように、ステンレス鋼を用いた場合、音響波が発生及び伝搬することで、カンチレバーホルダー3中の構造共振を励起し、その結果、多数の不要な振動ピークがカンチレバー共振周波数(148kHz)付近に生じている。
左下のグラフ(b)においては、測定結果の位相−周波数曲線が、カンチレバー7のQ値から計算された曲線と共に示されている。励振信号電圧が50mV、100mV、150mVで測定結果が概ね同じであったため、1つの測定結果が示されている。
グラフ(b)に示されるように、計算された位相−周波数曲線においては、位相が共振周波数付近で一定のスロープに沿って変化する。しかし、実測結果の位相−周波数曲線では、共振周波数付近に大きな乱れが生じており、また位相遅れが大きくなっている。
本実施の形態のカンチレバー励振装置1は、例えば前出の周波数変調原子間力顕微鏡(FM−AFM)に好適に適用される。FM−AFMは、共振周波数付近の位相スロープを用いて探針−試料間距離を制御する。そのため、位相−周波数曲線の乱れは、定量性や安定性を著しく低下させる要因となる。
一方、図7において、右側の2つのグラフ(c)(d)は、本発明に係るカンチレバー励振装置1におけるレバー励振特性の測定結果であり、ホルダー主部11の材料がエンジニアリングプラスチック(具体的にはPEEK(登録商標))である。ここでも、上側のグラフ(c)が、振幅−周波数曲線であり、下側のグラフ(d)が位相−周波数曲線である。
本発明によれば、カンチレバー7の共振周波数と一致した単一ピークが観察されている。位相−周波数曲線も単調に変化する。また位相遅れも、ステンレス鋼を用いた場合と比較して極めて小さくなっている。位相−周波数曲線が共振周波数付近で単調に変化していることから、計測後に定量的な補正が可能である。
また、振幅特性のグラフ(a)(c)を比較すると、ステンレス鋼を用いた場合と比較して、本発明の方が振幅が大きい。すなわち、本発明では、励振電圧に対する振幅の値が大きくなる。このことは、弾性ヒンジ構造の弾性変形によって、カンチレバー振動が効率的に励起されていることを示している。
実際、現状の音響励振法では、図7の左側のグラフ(a)(b)に示されるようにカンチレバーの周波数応答特性がかなり複雑である。音響励振法は、ホルダーを介してカンチレバーを駆動しており、間接駆動といえる。間接駆動は構造が簡単であるが、ホルダーの構造共振が、カンチレバーの周波数応答特性を複雑化する。これに対して、本発明は、図7の右側のグラフ(c)(d)に示されるように、構造が簡単な間接駆動法でありながらも、周波数応答特性の複雑化を避けることができ、そして、磁気励振法や光熱励振法といった直接駆動法よりも簡便に実装および利用できるという極めて優れた効果が得られる。
以上に本発明の好適な実施の形態について説明した。上記の実施の形態では、ホルダー主部11及び取付ピース13が、本発明の第1部分及び第2部分に相当する。本発明では、第1部分が、圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有し、圧電振動子の振動を弾性変形によって伝達する。第2部分は、第1部分と異なる音響インピーダンスを有し、音響波の伝播を遮断する材料境界を第1部分との間に形成する。そして、これら第1部分及び第2部分が、圧電振動子とカンチレバーの間に介在している。
このような構成により、圧電振動子と第1部分の音響インピーダンスが異なるので、音響波の発生が抑制される。また、第1部分と第2部分との間に、音響インピーダンスが変化する材料境界が形成され、音響波の伝播経路が遮断される。その一方、第1部分が、弾性変形することによって圧電振動子の振動を伝達する。
上記発明では、カンチレバー励振装置が、従来の音響励振法と同様に圧電振動子を用いた簡単な構成を有する。しかし、従来の音響励振法が積極的に音響波を伝達するのと大きく異なり、本発明は音響波の発生及び伝播を抑える。これにより、本発明は、音響波に起因する構造共振の励起及び伝播を制限し、構造共振の影響を抑え、カンチレバー周波数応答特性の複雑化を防いでいる。音響波の代わりとして、本発明は、弾性変形を利用して圧電振動子の振動を伝達し、カンチレバーを励振する。このようにして、簡単な構成でもって、周波数応答特性の複雑化を抑えることができるカンチレバー励振装置を提供できる。
また、図3を参照して説明したように、本発明では、第1部分(ホルダー主部11)の音響インピーダンスが、圧電振動子の音響インピーダンスの2分の1以下であり、第2部分(取付ピース13)の音響インピーダンスが、第1部分の音響インピーダンスの2倍以上でよい。このような音響インピーダンスの設定により、音響波の発生を効果的に抑制できる。また、音響波の伝播経路を効果的に遮断するように材料境界を形成できる。
また、第1部分の弾性率が第2部分の弾性率の10分の1以下でよい。このような弾性率の設定により、圧電振動子の振動を効果的にカンチレバーに伝達できる。
また、上述の実施の形態では、第1部分が、ホルダー主部11であり、第2部分が、ホルダー主部11にカンチレバー7を取り付ける取付ピース13(取付部材)であり、ホルダー主部11に弾性ヒンジ25が設けられ、圧電振動子5及び取付ピース13が弾性ヒンジ25の一方及び他方にそれぞれ取り付けられている。このような構成により、弾性ヒンジ25を利用して圧電振動子5の振動を効果的にカンチレバー7に伝達できる。
本発明の範囲内で、弾性ヒンジは図1の構成に限定されない。弾性ヒンジは、ヒンジ領域(部材の少なくとも一部の領域)の弾性変形をヒンジ領域周囲よりも増大する構造を有する。典型的には、局所的な薄肉部によって弾性ヒンジが形成される。各種の弾性ヒンジが本発明に適用されてよい。
ヒンジ構造の変形例としては、2つの薄肉部が、圧電振動子5及び取付ピース13の取付位置の両側に設けられてよい。この場合、2つの薄肉部とそれらにより挟まれた部分が、弾性ヒンジとして機能する。
また、別の変形例では、ヒンジ領域の部材が、周囲部分の部材と異なってよい。例えば板状の部材がホルダー主部の開口などに取り付けられる。板状部材の弾性率が周囲のホルダー主部より小さくてよい。この板状部材の両側に圧電振動子と取付部材が固定されてよい。
また、上述の実施の形態では、カンチレバーホルダーがホルダー主部と取付ピースで構成されており、つまり、1つの第1部分と1つの第2部分で構成されている。しかし、本発明の範囲内で、カンチレバーホルダーは、複数の第1部分を備えてよい。また、カンチレバーホルダーは、複数の第2部分を備えてよい。例えば、複数の第1部分及び複数の第2部分が交互に積層されてよい。
また、上述の実施の形態で説明されたように、カンチレバーホルダー3が、カンチレバー7の変位の測定光を透過させる光学窓部材15を有してよく、光学窓部材15がホルダー主部11と異なる音響インピーダンスを有し、ホルダー主部11との間に音響波の伝播を遮断する材料境界を形成してよい。
このような構成により、光学窓部材15も音響波の伝播経路の遮断に寄与し、構造共振の影響の低減に寄与する。したがって、光学窓部材を設けた構成においても、カンチレバーの周波数応答特性の複雑化を効果的に防ぐことができる。
また、上述の実施の形態では、圧電振動子5の一部が露出しており、ホルダー主部11と接していない。また、材料境界も圧電振動子5の周囲の全体には形成されていない。しかし、本発明の範囲で、圧電振動子5の全周が、圧電振動子5と異なる音響インピーダンスを有する少なくとも一の部材で取り囲まれてよい。さらにその周囲が、異なる音響インピーダンスを有する部材で囲まれてよい。このような構成により、更に確実に音響波の影響を抑え、カンチレバーの周波数応答特性の複雑化を効果的に防ぐことができる。
また、本発明の一態様は、上記のカンチレバー励振装置1を備えた走査型プローブ顕微鏡である。この構成により、カンチレバーの周波数応答特性の複雑化を防ぎ、良好な特性を用いて測定を行える。
本発明は、特に、液中ダイナミックモードAFMに適しており、周波数応答特性が複雑でないので、フォースカーブ測定の定量性、安定性を著しく向上でき、測定の安定性及び信頼性を向上できる。
また、本発明は、可能な範囲で液中ダイナミックモードAFM以外にも適用されてよい。例えば、本発明はSNOM(走査型近接場光学顕微鏡;scanning near-field optical microscope)に適用されてよい。SNOMはAFMの原理を応用しており、AFMの一種ということもできる。
本発明の別の態様は、上述したように圧電振動子の振動をカンチレバーに伝達してカンチレバーの振動を励起するカンチレバー励振方法である。また、本発明の別の態様は、上述したようなカンチレバー励振装置の製造方法である。
これら別の態様によっても本発明の利点が同様に得られる。また、本発明の各種の付加的構成は、上述のカンチレバー励振装置以外の各種態様にも適用されてよい。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
以上に現時点で考えられる本発明の好適な実施の形態を説明したが、本実施の形態に対して多様な変形が可能なことが理解され、そして、本発明の真実の精神と範囲内にあるそのようなすべての変形を添付の請求の範囲が含むことが意図されている。
以上のように、本発明にかかるカンチレバー励振装置は、カンチレバーの周波数応答特性を改善できるという効果を有し、液中ダイナミックモードAFMなどに好適に用いられる。
1 カンチレバー励振装置
3 カンチレバーホルダー
5 圧電振動子
7 カンチレバー
11 ホルダー主部
13 取付ピース
15 光学窓部材
21 取付領域
23 窓領域
25 弾性ヒンジ
31 レバー取付面
33 レバーベース部
35 レバー部
37 取付孔
81 ピース側境界
83 窓側境界

Claims (11)

  1. カンチレバーの振動を励起するカンチレバー励振装置であって、
    カンチレバーと、
    前記カンチレバーを保持するカンチレバーホルダーと、
    前記カンチレバーホルダーに取り付けられる圧電振動子とを備え、
    前記カンチレバーホルダーが、
    前記圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有し、前記圧電振動子の振動を弾性変形によって伝達する第1部分と、
    前記第1部分と異なる音響インピーダンスを有し、音響波の伝播を遮断する材料境界を前記第1部分との間に形成する第2部分とを有し、
    前記圧電振動子と前記カンチレバーの間に前記第1部分及び前記第2部分が介在していることを特徴とするカンチレバー励振装置。
  2. 前記第1部分の音響インピーダンスが、前記圧電振動子の音響インピーダンスの2分の1以下であり、
    前記第2部分の音響インピーダンスが、前記第1部分の音響インピーダンスの2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のカンチレバー励振装置。
  3. 前記第1部分の弾性率が前記第2部分の弾性率の10分の1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカンチレバー励振装置。
  4. 前記圧電振動子と前記第2部分との間に前記第1部分が介在し、前記第1部分と前記カンチレバーとの間に前記第2部分が介在することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカンチレバー励振装置。
  5. 前記第1部分が、弾性ヒンジを有するホルダー主部であり、
    前記第2部分が、前記ホルダー主部に前記カンチレバーを取り付ける取付部材であり、
    前記圧電振動子及び前記取付部材が前記弾性ヒンジの一方及び他方にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のカンチレバー励振装置。
  6. 前記カンチレバーホルダーが、前記カンチレバーの変位の測定光を透過させる光学窓部材を有し、前記光学窓部材が前記ホルダー主部と異なる音響インピーダンスを有し、前記ホルダー主部との間に音響波の伝播を遮断する材料境界を形成していることを特徴とする請求項5に記載のカンチレバー励振装置。
  7. 前記圧電振動子の全周を前記圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有する少なくとも一の部材で取り囲むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のカンチレバー励振装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のカンチレバー励振装置を備えた走査型プローブ顕微鏡。
  9. 前記カンチレバー励振装置は、前記カンチレバー及び前記カンチレバーを保持する前記カンチレバーホルダーの部分が液体に浸され、かつ、前記圧電振動子が取り付けられる前記カンチレバーホルダーの部分が液体から分離した状態で用いられることを特徴とする請求項8に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  10. 圧電振動子の振動をカンチレバーに伝達して前記カンチレバーの振動を励起するカンチレバー励振方法であって、
    前記圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有し、前記圧電振動子の振動を弾性変形によって伝達する第1部分と、前記第1部分と異なる音響インピーダンスを有し、音響波の伝播を遮断する材料境界を前記第1部分との間に形成する第2部分とを備えるカンチレバーホルダーを設け、
    前記第1部分及び前記第2部分が前記圧電素子及び前記カンチレバーの間に介在するように、前記圧電振動子と前記カンチレバーを配置し、
    前記圧電振動子に励振電圧信号を印加し、
    前記材料境界によって前記圧電振動子の音響波の伝播を制限しつつ、前記第1部分の弾性変形により前記圧電振動子の振動を前記カンチレバーに伝えて前記カンチレバーを励振することを特徴とするカンチレバー励振方法。
  11. 圧電振動子の振動をカンチレバーに伝達して前記カンチレバーの振動を励起するカンチレバー励振装置の製造方法であって、
    カンチレバーホルダーの構成部品として第1部分及び第2部分を用意し、前記第1部分は、前記圧電振動子と異なる音響インピーダンスを有し、前記圧電振動子の振動を弾性変形によって伝達するための部品であり、前記第2部分は、前記第1部分と異なる音響インピーダンスを有し、音響波の伝播を遮断する材料境界を前記第1部分との間に形成するための部品であり、
    前記第1部分及び前記第2部分が前記圧電素子及び前記カンチレバーの間に介在するように、前記圧電振動子、前記カンチレバー、前記第1部分及び前記第2部分を配置することを特徴とするカンチレバー励振装置の製造方法。
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