JPWO2011013429A1 - 圧電体膜を用いた振動ジャイロ - Google Patents

圧電体膜を用いた振動ジャイロ Download PDF

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Abstract

本発明の1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体11と、リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部15と、輪状振動体の平面上またはその上方に置かれ圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のいずれかにより形成される複数の電極13a,13b,・・・,13hとを備えている。cosNθの振動モードでリング状振動体11の一次振動を励起する駆動電極13aの1つを基準駆動電極とした場合に、その他の複数の電極13b,・・・,13hが特定の箇所に配置される。この配置により、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンの振動モードを含めた2次振動を検出し、抑制電極13jにその二次振動を抑制する電圧が印加される。

Description

本発明は、圧電体膜を用いた振動ジャイロすなわち振動を利用するジャイロスコープ又は角速度センサに関する。より具体的には、本発明は、最大で3軸の角速度変化を測定しうる振動ジャイロに関する。
近年、圧電材料を用いた振動ジャイロすなわち振動を利用するジャイロスコープ又は角速度センサが盛んに開発されている。従来から、特許文献1に記載されているような振動体自体が圧電材料で構成されるジャイロが開発される。その一方、振動体上に形成される圧電体膜を利用するジャイロも存在する。例えば、特許文献2では、圧電材料であるPZT膜を用いることによって、振動体の一次振動を励起するとともに、その振動体に角速度が与えられた際に、その振動体に発生するコリオリ力によってジャイロの一部に生じる歪みをも検出する技術が開示されている。
他方、ジャイロが搭載される各種機器のサイズが日進月歩で小型化されている中で、ジャイロそれ自体の小型化も重要な課題である。ジャイロの小型化を達成するためには、ジャイロを構成する各部材の加工精度を格段に高めることが必要となる。また、単に小型化をするだけでなく、ジャイロとしての性能、換言すれば、角速度の検出精度を更に高めることが産業界の要望といえる。しかしながら、特許文献2に示されているジャイロの構造は、ここ数年来の小型化及び高性能化の要求を満足するものではない。
上述の技術的な課題に対し、本願出願人は、基本的に全ての製造工程をドライプロセスで行うことにより、高い加工精度を達成しつつ、振動ジャイロとしての高性能化の要求を同時に満足する技術思想の一つを提案している(特許文献3)。
また、上述の技術課題に加え、複数軸の回転に対する角速度をも測定する振動ジャイロに対する期待も高まっている(例えば、特許文献4)。しかし、小型化を可能にする簡便な構造を有する振動ジャイロの開発は未だ道半ばである。
特開平8−271258号公報 特開2000−9473号公報 特願2008−28835号 特表2005−529306号公報 特表2002−509615号公報 特表2002−510398号公報
上述の通り、圧電体膜を用いた振動ジャイロの小型化と高い加工精度を達成しつつ、ジャイロとしての高性能化の要求を同時に満足することは非常に難しい。一般的には、ジャイロが小型化されると、振動体に角速度が与えられた場合に、ジャイロの検出電極によって検出される信号が微弱になるという問題がある。従って、小型化された振動ジャイロは本来検出すべき信号と外部からの不意の衝撃(外乱)によって発生する信号との差が小さくなるため、ジャイロとしての検出精度を高めることが難しくなる。
ところで、外部からの不意の衝撃の中には、様々な種類の衝撃が存在する。例えば、上述の特許文献2に記載されたリング状の振動体では、リングの中心の固定ポストを軸として、リングの存在する面の上下方向にシーソーのような動きを与える衝撃がある。この衝撃により、ロッキングモードと呼ばれる振動が励起される。他方、前述の固定ポストに支持された振動体のリング状部材の全周が同時に、リングの存在する面の上方又は下方に曲げられる衝撃も存在する。この衝撃により、バウンスモードと呼ばれる振動が励起される。これらのような衝撃が振動ジャイロに生じたとしても、正確な角速度を検出する技術を確立することは極めて困難である。
本発明は、上述の技術課題を解決することにより、単数又は複数の回転軸に対する角速度を測定し得る圧電体膜を用いた振動ジャイロすなわち振動を利用するジャイロスコープ又は角速度センサの小型化及び高性能化に大きく貢献するものである。発明者らは、まず、上記の技術課題のうち、外乱に対する影響が比較的小さいと考えられるリング状の振動ジャイロを基本構造として採用した。その上で、発明者らは、一次振動の励起とコリオリ力により形成される二次振動の検出とを圧電体膜に担わせることによって上記各技術課題を解決する構造について鋭意研究を行った。その結果、圧電体膜によって振動体を振動させたり、圧電体膜によって振動体に生じるひずみを信号として取り出したりするための各種電極の配置とその電極を用いる電気的な処理を工夫することによって、衝撃となる入力がある場合であっても、単数の回転軸に対する角速度のみならず複数の回転軸に対する角速度をも精度よく測定されることを知見した。さらに、発明者らは、振動ジャイロに対して角速度が与えられたときに発生する二次振動による電気信号の処理を工夫することにより、従来に比べて、応答性を犠牲にすることなく、S/N比が飛躍的に高まることを見出した。本発明はこのような視点で創出された。なお、本出願では、「円環状又は多角形状の振動ジャイロ」を、簡略化して「リング状振動ジャイロ」とも呼ぶ。
本発明の1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体と、前述のリング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、前述のリング状振動体の前述の平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極とを備えている。加えて、それらの複数の電極は、次の(1)、(2)及び(3)、すなわち、
(1)Nを2以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された検出電極と、
(3)前述の検出電極からの信号に基づいて前述の二次振動を抑制し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された抑制電極とを有している。
さらに、前述駆動電極の各々は、前述のリング状振動体の前述の平面において、前述のリング状振動体の外周縁から前述の外周縁の近傍に至るまでの領域と、前述のリング状振動体の内周縁から前述の内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、前述の検出電極の各々及び前述の抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前述の駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面(例えば、X−Y平面)と同一平面内(以下、イン・プレーンともいう)で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、圧電素子が配置される平面を外れた振動モード(以下、アウト・オブ・プレーンの振動モードともいう)を用いて1軸(例えば、X軸)の角速度を検出することができる点が大きな利点といえる。なお、cosNθの振動モードの複数の例は、例えば、前述の特許文献4乃至6又は、本願出願人による特許出願である特願2007−209014に記載されている。また、全ての本出願に係る発明において、「柔軟な」とは「振動体が振動可能な程度に」という意味である。また、本出願では、電極の配置を記述するために、基準となる電極から「離れた角度」との表現が用いられる。ここでの角度は、基準となる電極の方位角を0度としたときの各電極の方位角の値である。各電極の方位角は、リング状振動体の円周又は円環の中央部に取った任意の点(例えば、リング状振動体が円形のときは、例えばその円の中心である。以下、この中心を「基準点」という。)からその電極に向かう直線の方位角とすることができる。この直線は、各電極を通過するような任意の直線とすることができ、代表的には、各電極の図形的な中心、重心、又は、いずれかの頂点と上記の基準点とを通過する直線とすることができる。例えば、基準駆動電極から30°離れた角度に配置された電極とは、その電極の中心と、基準駆動電極の中心とが、上記の基準となる電極の方位角に対して30°の角をなすような配置にある電極をいう。なお、特に断りのない限り、角度の表記は時計回りの向きを角度が増加する方向にとって説明するが、角度が増加する方向を反時計回りに定めても、規定された角度の条件を満たす限り、その角度の表記は本発明の範囲内である。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体と、前述のリング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、前述のリング状振動体の前述の平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極とを備えている。加えて、それらの複数の電極は、次の(1)、(2)及び(3)、すなわち、
(1)Nを2以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された検出電極と、
(3)前述の検出電極からの信号に基づいて前述の二次振動を抑制し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された抑制電極とを有している。
さらに、前述の駆動電極の各々は、前述のリング状振動体の前述の平面において、前述のリング状振動体の外周縁から前述の外周縁の近傍に至るまでの領域と、前述のリング状振動体の内周縁から前述の内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、前述の検出電極の各々及び前述の抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前述の駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている。
この振動ジャイロによっても、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面(例えば、X−Y平面)と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンの振動モードを用いて1軸(例えば、Y軸)の角速度を検出することができる点が大きな利点といえる。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体と、
前述のリング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、前述のリング状振動体の前述の平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極とを備えている。加えて、それらの複数の電極は、次の(1)、(2)及び(3)、すなわち、
(1)Nを3以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,N−2とした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された検出電極と、
(3)前述の検出電極からの信号に基づいて前述の二次振動を抑制し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された抑制電極とを有している。
さらに、前述の駆動電極の各々は、前述の駆動電極の各々は、前述のリング状振動体の前述の平面において、前述のリング状振動体の外周縁から前述の外周縁の近傍に至るまでの領域と、前述のリング状振動体の内周縁から前述の内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、前述の検出電極の各々及び前述の抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前述の第1電極配置領域と電気的に接続しないようにされている。
この振動ジャイロによっても、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面(例えば、X−Y平面)と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンの振動モードを用いて1軸(例えば、X軸)の角速度を検出することができる点が大きな利点といえる。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体と、
前述のリング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、前述のリング状振動体の前述の平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極とを備えている。それらの複数の電極は、次の(1)、(2)及び(3)、すなわち、
(1)Nを3以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極、Sを0,1,・・・,N−2とした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された検出電極と、
(3)前述の検出電極からの信号に基づいて前述の二次振動を抑制し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された抑制電極とを有している。
さらに、前述の駆動電極の各々は、前述のリング状振動体の前述の平面において、前述のリング状振動体の外周縁から前述の外周縁の近傍に至るまでの領域と、前述のリング状振動体の内周縁から前述の内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、前述の検出電極の各々及び前述の抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前述の第1電極配置領域と電気的に接続しないようにされている。
この振動ジャイロによっても、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面(例えば、X−Y平面)と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンの振動モードを用いて1軸(例えば、Y軸)の角速度を検出することができる点が大きな利点といえる。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体と、前述のリング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、前述のリング状振動体の前述の平面又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極とを備えている。それらの複数の電極は、次の(1)乃至(5)、すなわち、
(1)Nを2以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの第1の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第1検出電極と、
(3)前述の第1の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の第2の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2検出電極と、
(4)前述の第1検出電極からの信号に基づいて前述の第1の二次振動を抑制し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1抑制電極と、
(5)前述の第2検出電極からの信号に基づいて前述の第2の二次振動を抑制し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+1/4}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2抑制電極とを有している。
さらに、前述の駆動電極の各々は、前述のリング状振動体の前述の平面において、前述のリング状振動体の外周縁から前述の外周縁の近傍に至るまでの領域と、前述のリング状振動体の内周縁から前述の内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、前述の第1検出電極の各々、前述の第2検出電極の各々、前述の第1抑制電極の各々、及び前述の第2抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前述の駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、2軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面(例えば、X−Y平面)と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンの振動モードを用いて2軸(例えば、X軸及びY軸)の角速度を検出することができる点が大きな利点といえる。
なお、さらにもう一つの軸の角速度を検出するために、前述の検出電極、すなわち、前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された検出電極を第1検出電極とし、前述の抑制電極、すなわち、上記いずれかの角度に配置された抑制電極を第1抑制電極とし、前述の二次振動を第1の二次振動としたときに、前述の複数の電極が、次の(4)をさらに有し、前述の第2検出電極の各々、及び前述の第2抑制電極の各々が前述の第2電極配置領域上に配置されることができる。
(4)前述の第1の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の第2の二次振動を検出し、且つ前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2検出電極。
また、同様に、もう一つの軸の角速度を検出するために、前述の検出電極、すなわち、前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された検出電極を第2検出電極とし、前述の抑制電極すなわち、上記いずれかの角度に配置された抑制電極を第2抑制電極とし、前述の二次振動を第2の二次振動としたときに、前述の複数の電極が、次の(4)をさらに有し、前述の第1検出電極の各々、及び前述の第1抑制電極の各々が前述の第2電極配置領域上に配置されることができる。
(4)前述の第2の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の第1の二次振動を検出し、且つ前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1検出電極。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体と、前述のリング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、前述のリング状振動体の前述の平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極とを備えている。それらの複数の電極は、次の(1)乃至(5)、すなわち、
(1)Nを3以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、S=0,1,・・・,N−2とした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの第1の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第1検出電極と、
(3)前述の第1の二次振動に対して{90/(N−1)}°離れた角度の振動軸の第2の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2検出電極と、
(4)前述の第1検出電極からの信号に基づいて前述の第1の二次振動を抑制し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1抑制電極と、
(5)前述の第2検出電極からの信号に基づいて前述の第2の二次振動を抑制し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+1/4}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2抑制電極とを有している。
さらに、前述の駆動電極の各々は、前述のリング状振動体の前述の平面内において、前述のリング状振動体の外周縁から前述の外周縁の近傍に至るまでの領域と、前述のリング状振動体の内周縁から前述の内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
前述の第1検出電極の各々、前述の第2検出電極の各々、前述の第1抑制電極の各々、及び前述の第2抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前述の第1電極配置領域と電気的に接続しないようにされている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、2軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面(例えば、X−Y平面)と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンの振動モードを用いて2軸(例えば、X軸及びY軸)の角速度を検出することができる点が大きな利点といえる。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体と、
前述のリング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、前述のリング状振動体の前述の平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極とを備えている。それらの複数の電極は、次の(1)、すなわち、
(1)Nを2以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極
を有しており、前述の複数の電極は、次の(2)と(3)とのうちの少なくともいずれか又は両方、すなわち、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの第1の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1の検出電極と、
(3)前述の第1の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの第2の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された、前述の第1の検出電極とは異なる第2の検出電極と
のうちのいずれか又は両方を有しており、前述の複数の電極は、次の(4)及び(5)、すなわち、
(4)M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcosNθの振動モードの、前述の一次振動の振動軸から(90/N)°離れた角度の振動軸を持つ第3の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第3の検出電極と、
(5)前述の第3の検出電極からの信号に基づいて前述の二次振動を抑制し、M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前述の基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された抑制電極とを有している。
さらに、前述の駆動電極の各々は、前述のリング状振動体の前述の平面において、前述のリング状振動体の外周縁から前述の外周縁の近傍に至るまでの領域と、前述のリング状振動体の内周縁から前述の内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
前述の第1検出電極の各々、前述の第2検出電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前述の駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされており、
前述の第3検出電極の各々、及び前述の抑制電極の各々は、第1電極配置領域に配置されるとともに、前述の駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、一様な平面を備えたリング状振動体と、
前述のリング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、前述のリング状振動体の前述の平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極とを備えている。それらの複数の電極は、次の(1)、すなわち、
(1)Nを3以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極
を有しており、前述の複数の電極は、次の(2)と(3)とのうちの少なくともいずれか又は両方、すなわち、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,N−2とした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの第1の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1の検出電極と、
(3)前述の第1の二次振動に対して{90/(N−1)}°離れた角度の振動軸の、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの第2の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された、前述の第1の検出電極とは異なる第2の検出電極と
のうちの少なくともいずれか又は両方を有しており、前述の複数の電極は、次の(4)及び(5)、すなわち、
(4)M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcosNθの振動モードの、前述の一次振動の振動軸から(90/N)°離れた角度の振動軸を持つ第3の二次振動を検出し、前述の基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第3の検出電極と、
(5)前述の第3の検出電極からの信号に基づいて前述の二次振動を抑制し、M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前述の基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前述の基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された抑制電極と
を有している。
さらに、前述の駆動電極の各々は、前述のリング状振動体の前述の平面において、前述のリング状振動体の外周縁から前述の外周縁の近傍に至るまでの領域と、前述のリング状振動体の内周縁から前述の内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
前述の第1検出電極の各々、前述の第2検出電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前述の駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされており、
前述の第3検出電極の各々、及び前述の抑制電極の各々は、第1電極配置領域に配置されるとともに、前述の駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている。
これらの振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、3軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面(例えば、X−Y平面)と同一平面内で一次振動が励起され、その面におけるリング状振動体の二次振動を検出かつ抑制し、また、その面から外れる向きのリング状振動体の動きを検出する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンの振動モードを用いて2軸(例えば、X軸及びY軸)の角速度を検出することができ、さらに、Z軸周りの角速度による二次振動を抑制するフィードバックによる検出が可能となり、高いS/N比と応答性を両立できる点が大きな利点といえる。
なお、前述の1軸、2軸、又は3軸の振動ジャイロにおける複数の電極に、次の(8)の構成を備えたモニタ電極が追加されることは、特に小型化されたリング状振動体の限定された平面領域の中で他の電極群の配置及び/又は引き出し電極の配置を容易にすることになる点で好ましい一態様である。
(8)L=0,1,・・・,2N−1とした場合に、前記基準駆動電極から円周方向に(180/N)×{L+(1/2)}°離れた角度以外の角度に配置された一群のモニタ電極。
本発明の1つの振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸乃至3軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出と少なくとも1軸における二次振動の抑制が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面(例えば、X−Y平面)と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンの振動モードを含めた2次振動検出手段を用いて1軸乃至3軸の角速度を検出することができる。
本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の図2に相当する断面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図8のB−B断面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の1つの実施形態におけるcos2θの振動モードの一次振動を概念的に説明する図である。 本発明の1つの実施形態におけるZ軸の回りで角速度が加わる場合のイン・プレーンのcos2θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である。 第3検出電極の電気的信号の正負を概念的に説明する図である。 本発明の1つの実施形態におけるX軸の回りで角速度が加わる場合のアウト・オブ・プレーンのcos3θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である。 本発明の1つの実施形態におけるY軸の回りで角速度が加わる場合のアウト・オブ・プレーンのcos3θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるcos3θの振動モードの一次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるX軸の回りで角速度が加わる場合のアウト・オブ・プレーンのcos2θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である 本発明の他の実施形態におけるY軸の回りで角速度が加わる場合のアウト・オブ・プレーンのcos2θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるZ軸の回りで角速度が加わる場合のcos3θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である。
10 シリコン基板
11,11a,11b リング状振動体
12 交流電源
13a 駆動電極
13b,13c 第1検出電極
13d,13e 第2検出電極
13f,13g 第3検出電極
13h モニタ電極
13j,13k 第1抑制電極
13m,13n 第2抑制電極
13p,13q 第3抑制電極
14 引き出し電極
15 レッグ部
16 固定電位電極(グラウンド電極)
17 電極パッド用固定端部
18 電極パッド
19 支柱
20 シリコン酸化膜
30 下層金属膜
40 圧電体膜
50 上層金属膜
60 固定端
62,63,64 フィードバック制御回路
100,110,120,300,310,400,500,600,610,620,700,720,740,760,780,900,910,920,1000
リング状振動ジャイロ
つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態における3軸の角速度を測定するリング状振動ジャイロ100の中心的役割を果たす構造体の正面図である。図2は、図1のA−A断面図である。なお、説明の便宜上、図1には、X軸及びY軸が表記されている。
図1及び図2に示すとおり、本実施形態のリング状振動ジャイロ100は、大きく3つの構成に分類される。第1の構成は、シリコン基板10から形成されるリング状振動体11の上部の平面(以下、上面という)上に、シリコン酸化膜20を備え、さらにその上に、圧電体膜40が下層金属膜30及び上層金属膜50に挟まれることにより形成される複数の電極13a〜13hを備えた構成である。本実施形態では、複数の電極13a〜13hを構成する上層金属膜50の外側端部又は内側端部は、約40μm幅のリング状平面を有するリング状振動体11の外周縁又は内周縁から約1μm内側に形成され、その幅は約18μmである。また、その上層金属膜50のうち、幾つかの電極は、リング状振動体11の上面であるリング状平面の幅の両端間の中央を結ぶ線(以下、単に中央線という)よりも外側に形成され、その他の電極は、中央線よりも内側に形成されている。
ところで、本実施形態では、図20Aに示すイン・プレーンのcos2θの振動モードでリング状振動ジャイロ100の一次振動が励起される。また、本実施形態の二次振動の振動モードは、図20Dに示すX軸のcos3θのアウト・オブ・プレーンの振動モードと、図20Eに示すY軸のcos3θのアウト・オブ・プレーンの振動モードと、図20Bに示す1軸(Z軸)のcos2θのイン・プレーンの振動モードである。
従って、前述の複数の電極13a〜13hの内訳は、次のとおりである。まず、互いに円周方向に180°離れた角度に配置された2つの駆動電極13a,13aが配置される。また、前述の2つの駆動電極13a,13aの内の1つの駆動電極13a(例えば、図1において時計の12時方向の駆動電極13a)を基準電極とした場合に、その駆動電極13aから円周方向であって90°及び270°離れた角度に2つのモニタ電極13h,13hが配置される。また、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面に沿うように、つまり図1における紙面に含まれるようにX‐Y軸を定める場合に、リング状振動ジャイロ100にX軸まわりの角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する、第1検出電極13bが、基準電極から円周方向であって0°、120°、及び240°離れた角度に配置される。また、上記の第1の検出電極に加え、本実施形態では、リング状振動ジャイロ100のX軸まわりの角速度によって発生する二次振動を抑制する信号が印加される第1抑制電極13jが、基準電極からみて、円周方向に60°、180°、及び300°離れた角度に配置される。
リング状振動ジャイロ100には、Y軸まわりの角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出するために、第2検出電極13d,13eが、基準電極から円周方向であって30°、90°、150°、210°、270°及び330°離れた角度にさらに配置される。加えて、リング状振動ジャイロ100にZ軸、すなわち、図1に示すリング状振動ジャイロ100の配置された平面に垂直な軸(紙面に垂直な方向の軸、以下、単に「垂直軸」又は「Z軸」という)のまわりの角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する、第3検出電極13f,13gが配置される。なお、本実施形態の第3検出電極13f,13gは、基準電極から円周方向であって45°、135°、225°、及び315°離れた角度に配置される。
また、本実施形態では、下層金属膜30及び上層金属膜50の厚みは100nmであり、圧電体膜40の厚みは、3μmである。また、シリコン基板10の厚みは100μmである。
なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、各電極が配置されている領域が2つに分類される。1つは、リング状振動体11の上面の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域に配置される各々の駆動電極13aの領域及び第3検出電極13f,13gの領域である。これを、第1電極配置領域とする。もう1つは、リング状振動体11の上面であって、その第1電極配置領域と電気的に接しないように配置される、第1検出電極13b、第1抑制電極13j、第2検出電極13d,13e、及び第3検出電極13f,13gである。これを、第2電極配置領域とする。より具体的には、第1検出電極13b、第1抑制電極13j、第2検出電極13d,13e、及び第3検出電極13f,13gは、前述の2つの駆動電極13a,13aのいずれとも電気的に接続しないように配置される。
第2の構成は、リング状振動体11の一部と連結しているレッグ部15,・・・,15である。このレッグ部15,・・・,15もシリコン基板10から形成されている。また、レッグ部15,・・・,15上には、リング状振動体11上のそれらと連続する上述のシリコン酸化膜20、下層金属膜30、及び圧電体膜40がレッグ部15,・・・,15の上面全体に形成されている。さらに、圧電体膜40の上面には、幅約8μmの引き出し電極14,・・・,14である上層金属膜50が形成されている。
なお、本実施形態では、16本のレッグ部15,・・・,15のうち、4本のレッグ部15,・・・,15上には複数の引き出し電極14が形成されている。これらは、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域に配置された各電極から支柱19上の電極パッド18に引き出すための経路を確保するために創出された。特に、本実施形態では、第2検出電極13d,13eからの電気信号の偏りを解消するために、第2検出電極13d,13eのそれぞれの両端部から引き出し電極14,14が形成されている。なお、それぞれの第2電極検出13d,13eの片側のみから引き出し電極14,14が形成されている場合であっても、振動ジャイロとしての機能を失うことはない。
第3の構成は、上述のレッグ部15,・・・,15に連結しているシリコン基板10から形成される支柱19である。本実施形態では、支柱19が、図示しないリング状振動ジャイロ100のパッケージ部に連結し、固定端としての役割を果たしている。また、支柱19は、電極パッド18,・・・,18を備えている。また、図2に示すように、支柱19の上面には、グラウンド電極である固定電位電極16を除き、レッグ部15,・・・,15上のそれらと連続する上述のシリコン酸化膜20、下層金属膜30、及び圧電体膜40が形成されている。ここで、シリコン酸化膜20上に形成された下層金属膜30が固定電位電極16の役割を担っている。また、支柱19の上方に形成されている圧電体膜40の上面には、レッグ部15,・・・,15上のそれと連続する前述の引き出し電極14,・・・,14及び電極パッド18,・・・,18が形成されている。
次に、本実施形態のリング状振動ジャイロ100の製造方法について、図3A乃至図3Fに基づいて説明する。なお、図3A乃至図3Fは、図2における一部の範囲に対応する断面図である。
まず、図3Aに示すように、シリコン基板10上に、シリコン酸化膜20、下層金属膜30、圧電体膜40、及び上層金属膜50が積層されている。前述の各膜は公知の成膜手段によって形成されている。本実施形態では、シリコン酸化膜20は公知の手段による熱酸化膜である。また、下層金属膜30、圧電体膜40、及び上層金属膜50は、いずれも公知のスパッタリング法により形成されている。なお、これらの膜の形成は、前述の例に限定されず、他の公知の手段によっても形成され得る。
次に、上層金属膜50の一部がエッチングされる。本実施形態では、上層金属膜50上に公知のレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術により形成されたパターンに基づいてドライエッチングを行うことにより、図3Bに示される各電極が形成される。ここで、上層金属膜50のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われる。
その後、図3Cに示すように、圧電体膜40の一部がエッチングされる。まず、上述の同様、フォトリソグラフィ技術によりパターニングがされたレジスト膜に基づいて、圧電体膜40がドライエッチングされる。なお、本実施形態の圧電体膜40のドライエッチングは、アルゴン(Ar)とC2F6ガスの混合ガス、又はアルゴン(Ar)とC2F6ガスとCHF3ガスの混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われる。
続いて、図3Dに示すように、下層金属膜30の一部がエッチングされる。本実施形態では、下層金属膜30を利用した固定電位電極16が形成されるように、再度、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたレジスト膜を用いてドライエッチングされる。本実施形態では、固定電位電極16は、グラウンド電極として利用される。なお、本実施形態の下層金属膜30のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われる。
ところで、本実施形態では、前述の再び形成されたレジスト膜をエッチングマスクとして、その後のシリコン酸化膜20及びシリコン基板10を連続的にエッチングするため、このレジスト膜の厚みは、約4μmになるように形成されている。但し、万一、このレジスト膜がシリコン基板10のエッチング中に消失した場合であっても、シリコン基板10に用いられるエッチャントに対するエッチングレートの選択比が有利に働くため、前述のエッチングによって上層金属膜50、圧電体膜40、及び下層金属膜30の性能は実質的に影響を受けない。すなわち、本実施形態では、リング状振動体11をシリコン基板から形成するため、レジスト膜との選択比も十分に高い公知のシリコントレンチエッチング技術が適用できる。なお、仮にそのレジスト膜が消失しても、その下層にある上層金属膜又は圧電体膜がシリコンのエッチングの際のマスクとしての役割を果たす十分な選択比を備えている。
次に、図3E及び図3Fに示すように、上述の通り、下層金属膜30をエッチングするためのレジスト膜を利用して、シリコン酸化膜20及びシリコン基板10をドライエッチングする。本実施形態のシリコン酸化膜20のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われた。また、本実施形態のシリコン基板10のドライエッチングの条件は、公知のシリコントレンチエッチング技術が適用される。ここで、シリコン基板10は貫通エッチングされる。従って、前述のドライエッチングは、貫通時にシリコン基板10を載置するステージをプラズマに曝さないようにするための保護基板をシリコン基板10の下層に伝熱性の優れたグリース等により貼り付けた状態で行われる。そのため、例えば、貫通後にシリコン基板10の厚さ方向に垂直な方向の面、換言すればエッチング側面が侵食されることを防ぐために、特開2002−158214号公報に記載されているドライエッチング技術が採用されることは好ましい一態様である。
上述の通り、シリコン基板10及びシリコン基板10上に積層された各膜のエッチングによって、リング状振動ジャイロ100の中心的な構造部が形成されたのち、公知の手段によるパッケージへの収容工程、及び配線工程を経ることにより、リング状振動ジャイロ100が形成される。従って、この振動ジャイロ100によれば、リング状振動体11の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体11の平面上に形成された圧電素子のみにより、イン・プレーンの一次振動の励起と、最大で3軸のアウト・オブ・プレーン及びイン・プレーンの二次振動の検出が可能となる。その結果、上述の高精度で安価に量産が可能なドライプロセス技術を用いて振動ジャイロ100を製造することが可能となる。
次に、リング状振動ジャイロ100が備える各電極の作用について説明する。上述の通り、本実施形態はイン・プレーンのcos2θの振動モードの一次振動が励起される。なお、固定電位電極16が接地されるため、固定電位電極16と連続して形成されている下層電極膜30は一律に0Vになっている。
最初に、図1に示すように、2つの駆動電極13a,13aに1VP−0の交流電圧が印加される。その結果、圧電体膜40が伸縮して一次振動が励起される。ここで、本実施形態では、正面視においてリング状振動体11の上面における中央線よりも外側に上層金属膜50が形成されている。このため、リング状振動体11の側面に圧電素子を形成しなくても、圧電体膜40の伸縮運動をリング状振動体11の一次振動に変換することが可能となる。なお、実際の交流電源12は、導電性ワイヤに接続される電極パッド18を介して駆動電極13aに印加するが、本実施形態及び他の実施形態では、説明の便宜上、省略される。
次に、図1に示すモニタ電極13h,13hが、上述の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。本実施形態のフィードバック制御回路は、モニタ電極13h,13hの信号を用いて、駆動電極13a,13aに印加される交流電圧の周波数をリング状振動体11が持つ固有周波数と一致するように制御するとともに、リング状振動体11の振幅がある一定の値となるように制御している。その結果、リング状振動体11においては、一定の振動が持続される。
上述の一次振動が励起された後、垂直軸(Z軸)の回りで角速度が加わると、イン・プレーンのcos2θの振動モードである本実施形態では、コリオリ力により図20Aに示す一次振動の振動軸に対して両側に45°傾いた新たな振動軸を有する図20Bに示す二次振動が生じる。
この二次振動が2つの検出電極(第3検出電極)13f,13fと、別の2つの検出電極(第3検出電極)13g,13gによって検出される。本実施形態では、図1に示すように、各検出電極13f,13gは、それぞれイン・プレーンの二次振動の振動軸に対応して配置されている。また、上述の各検出電極13f,13gは、リング状振動体11の上面における中央線よりも内側に形成されている。従って、角速度を受けて励起されるイン・プレーンの二次振動によって生じる各検出電極13f,13gの電気的信号の正負が逆になる。これは、図20Cに示すように、例えば、リング状振動体11が縦に楕円となる振動体11aの振動状態に変化した場合、中央線より内側に配置されている第3検出電極13fの角度の圧電体膜40は、A1に示す矢印の方向に縮む一方、中央線より内側に配置されている第3検出電極13gの角度の圧電体膜40は、A2に示す矢印の方向に伸びるため、それらの電気的信号は逆になる。同様に、リング状振動体11が横に楕円となる振動体11bの振動状態に変化した場合、第3検出電極13fの角度の圧電体膜40は、B1に示す矢印の方向に伸びる一方、第3検出電極13gの角度の圧電体膜40は、B2に示す矢印の方向に縮むため、この場合も、それらの電気的信号が逆になる。
ここで、公知の差分回路である演算回路において、各第3検出電極13f,13gの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号はいずれか一方の検出電極の場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
次に、上述の一次振動が励起された後、X軸の回りで角速度が加わる場合について説明する。この場合、図20Dに示すcos3θの振動モードの二次振動が生じる。
この二次振動が3つの検出電極(第1検出電極)13b,13b,13bによって検出される。本実施形態では、図1に示すように、それぞれアウト・オブ・プレーンのcos3θモードの二次振動の振動軸に対応して各検出電極13bが配置されている。
なお、本実施形態では、上述の各検出電極13bは、リング状振動体11の上面における中央線よりも外側又は内側に形成されているが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。他の電極配置の態様としては、図1の3つの検出電極13b,13b,13bのうち、12時方向にある検出電極13bを12時方向にある駆動電極13aと入れ替え、かつ、3つの第1抑制電極13j,13j,13jのうち、6時方向にある第1抑制電極13jを6時方向にある駆動電極13aと入れ替える配置を用いることができる。この場合であっても、X軸周りの角速度に対応するcos3θモードの二次振動(図20D)において、3つの検出電極13b,13b,13bによって出力される信号は互いに同位相の信号となるため適切に二次振動を検出することができ、また、3つの第1抑制電極13j,13j,13jに対して与える電圧によってその様な二次振動を適切に抑制することができる。
また、さらに他の電極配置の態様として、上述の各検出電極13bを、リング状振動体11の平面において中央線を含むように配置することができる。この態様は、上記の電極配置の態様に比べて、イン・プレーンの一次振動又はZ軸に対応する二次振動によって圧電体膜の歪みが最も生じにくいため、一層好ましい一態様となる。
各検出電極13bの電気信号は、電圧を検出することができる公知の回路によって検出される。ここで、本実施形態のリング状振動ジャイロ100は、これらの第1検出電極13bによって検出された二次振動に関する電圧信号を打ち消すように、すなわち、それらの電圧信号の値をゼロにするように、第1抑制電極13jに与える電圧を指示又は制御する第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路62を備えている。振動ジャイロとしてのX軸まわりの角速度に関する結果出力には、その第1抑制電極13jに与える電圧値、又はその電圧に対応する値が用いられる。なお、本出願において、振動軸とは、記述している振動の振幅が最も大きくなるような方位をいい、リング状振動体上の方向によって示す。例えば、図20Dに示した二次振動では、時計の12時方向から反時計回りに方向をとって、0°、60°、120°180°、240°、300°の位置が振動軸となる。
次に、上述の一次振動が励起された後、Y軸の回りで角速度が加わる場合について説明する。この場合、図20Eに示すcos3θの振動モードの二次振動が生じる。なお、この二次振動は、図20Dに示されたcos3θの振動モードとは振動軸の角度が30°離れたもう一つのアウト・オブ・プレーンのcos3θモードである。
この二次振動が3つの検出電極(第2検出電極)13d,13d,13dと、別の3つの検出電極(第2検出電極)13e,13e,13eによって検出される。本実施形態では、図1に示すように、各検出電極13d,13eは、それぞれアウト・オブ・プレーンの二次振動の振動軸に対応して配置されている。なお、本実施形態では、上述の各検出電極13d,13eは、リング状振動体11の上面における中央線よりも外側に形成されているが、これに限定されない。むしろ、上述の各検出電極13d,13eは、イン・プレーンの一次振動又はZ軸に対応する二次振動によって圧電体膜の歪みが最も生じにくい中央線を含むように配置されていることは好ましい一態様である。本実施形態の各検出電極13d,13eの配置では、角速度を受けて励起されるアウト・オブ・プレーンの二次振動によって生じる各検出電極13d,13eの電気的信号の正負が逆になる。
従って、上述と同様、公知の差分回路である演算回路において、各検出電極13d,13eの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号はいずれか一方の検出電極の場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
本実施形態では、第1検出電極13bからの電圧信号に基づいて二次振動を抑制するための第1抑制電極13jを備え、そこに第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路62によって二次振動を抑制するような電気信号を印加する。これにより、リング状振動ジャイロ100は、X軸周りの角速度によってリング状振動体11に発生する二次振動、すなわち、図20Dのようなモードの二次振動を殆ど発生させることなく、振動ジャイロとしての性能を発揮することができる。なお、本実施形態のリング状振動ジャイロ100は、第1抑制電極13j及び第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路が設けられていない振動ジャイロと比べて、ノイズ性能に非常に優れている。具体的には、本実施形態のリング状振動ジャイロ100は、本願の出願人が以前に提案したPCT/JP2009/052960に記載された振動ジャイロの一例(第1の実施形態の振動ジャイロ)と比較して、X軸周りの角速度の検出における低周波領域のノイズの大きさが半分以下となる。従って、X軸周りの角速度の検出において、応答性を犠牲にすることなく、S/N比が飛躍的に高められる。なお、上述の第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路62は、公知のフィードバック制御回路を適用することができる。
ところで、上述の第1の実施形態では、便宜上、角速度を検出する対象となる3軸のそれぞれを検出する検出電極に対して第1検出電極乃至第3検出電極の名称を与えていたが、各軸用の検出電極の名称は、第1検出電極乃至第3検出電極のうち、任意の重複しない1つの名称が与えられてもよい。
<第1の実施形態の変形例(1)>
次に、図4によって、第1の実施形態の変形例(1)について説明する。図4は、3軸の角速度を測定するリング状振動ジャイロ110の中心的役割を果たす構造体の正面図である。
本変形例のリング状振動ジャイロ110では、Z軸周りの角速度が与えられたときに発生する二次振動を抑制するための第3抑制電極13pを用いる。なお、リング状振動ジャイロ110においては、図1に示した実施形態のリング状振動ジャイロ100における第1抑制電極13jを用いず、それらの角度には第1検出電極13cを用いる。このため、リング状振動ジャイロ110では、X軸まわりの角速度の検出についても、リング状振動ジャイロ100のY軸まわりの角速度の検出と同様に、公知の差分回路である演算回路を用いて各検出電極13b,13cの電気信号の差を算出する。
リング状振動ジャイロ110において、第3抑制電極13pは、図中12時方向に記載された基準電極から、円周方向に135°、及び315°離れた角度に配置され、図1のリング状振動ジャイロ100の第3検出電極13gを置き換えるように配置される。そして、第3抑制電極13pには、第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路64を接続する。この第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路64には、第3検出電極13fからの出力信号が入力される。第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路64としては、公知のフィードバック制御回路を用いることができる。
第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路64は、第3検出電極13fによって検出された二次振動に関する電圧信号を打ち消すように、換言すればそれらの電圧信号の値をゼロにするように、第3抑制電極13pに与える電圧を指示又は制御する。振動ジャイロとしてのZ軸周りの角速度の結果出力には、その第3抑制電極13pに与える電圧値、又はその電圧に対応する値が用いられる。
この変形例の場合、上述の第1の実施形態においてX軸周りの角速度に応じた二次振動を抑制したのと同様に、Z軸周りの角速度に応じた二次振動(図20Bの二次振動)が抑制される。このため、Z軸周りの角速度の測定について、S/N比と応答性の両立が実現する。
<第1の実施形態の変形例(2)>
次に、図5によって、第1の実施形態の変形例(2)について説明する。図5は、3軸の角速度を測定するリング状振動ジャイロ120の中心的役割を果たす構造体の正面図である。本変形例においては、X、Y、Z軸の周りの角速度が与えられたときに発生する二次振動を抑制するために抑制電極を用いる。
まず、本変形例のリング状振動ジャイロ120におけるリング状振動体11の平面における電極配置を、図1に示した実施形態のリング状振動ジャイロ100からの変更点によって説明する。図1に示した実施形態では、X軸周りの角速度によって生じる二次振動を抑制するために、基準電極からの円周方向が60°、180°、及び300°離れた角度に第1抑制電極13jが配置されるが、これらに加え、上述の変形例(1)のリング状振動ジャイロ110と同様に、Z軸周りの角速度によって生じる二次振動を抑制するために、第3抑制電極13pも用いる。第3抑制電極13pの配置は、リング状振動ジャイロ110と同様である。そしてこれらに加え、リング状振動ジャイロ120では、Y軸周りの角速度によって生じる二次振動を抑制するために、第2抑制電極13mを配置する。この第2抑制電極13mの配置は、基準電極からの円周方向が90°、210°、及び330°離れた角度であり、図1のリング状震動ジャイロ100の第2検出電極13bを置き換えるように配置される。
そして、本変形例のリンク状振動ジャイロ120では、第1抑制電極13jに接続される第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路62に加え、リング状振動ジャイロ110と同様に、第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路64が第3抑制電極13pに接続され、さらに、第2の二次振動抑制用フィードバック制御回路63が第2抑制電極13mに接続される。第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路62及び第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路64は、それぞれ、リング状振動ジャイロ100及び110と同様に動作する。
第2の二次振動抑制用フィードバック制御回路63は、第2検出電極13dによって検出された二次振動(図20Eの二次振動)に関する電圧信号を打ち消すように、換言すればそれらの電圧信号の値をゼロにするように、第2抑制電極13mに与える電圧を指示又は制御する。Y軸まわりの角速度の結果出力は、その第2抑制電極13mに与える電圧値、又はその電圧に対応する値が用いられる。
この変形例では、X軸、Y軸、およびZ軸のいずれの軸の周りの角速度に対して、二次振動を抑制する動作が実現するため、任意の方向を軸とする角速度に対して、S/N比と応答性の両立が実現する。
<第1の実施形態の変形例(3)>
図6は、第1の実施形態の一部を変形したリング状振動ジャイロ300の中心的役割を果たす構造体の正面図である。
本実施形態のリング状振動ジャイロ300は、第1の実施形態における上層金属膜50を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法は一部を除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の一次振動の振動モード及び二次振動の振動モードは、第1の実施形態のそれらと同じ振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
図6に示すように、本実施形態のリング状振動ジャイロ300においては、各検出電極13b,13c,13d,および13g、ならびに第2抑制電極13mが1つずつ配置されている。また、図6に示すように、第1検出電極13b,13cは、その電極領域が中央線を越えた範囲にまで広がっている。このような各検出電極の配置であっても、本発明の効果が実質的に奏される。すなわち、各検出電極13b,13c,13d,13gが存在することにより、3軸、すなわち、2軸(X軸とY軸)のアウト・オブ・プレーンの振動モードを用いた角速度の検出及び1軸(Z軸)のイン・プレーンの振動モードを用いた角速度の検出が可能となる。
ここで、第2抑制電極13mには、第2の二次振動抑制用フィードバック制御回路(図示しない)が接続される。第2の二次振動抑制用フィードバック制御回路には第2検出電極13dからの信号が入力される。第2の二次振動抑制用フィードバック制御回路は、第2検出電極13dによって検出されたY軸まわりの角速度によって生じる二次振動(図20Eの二次振動)に関する電圧信号を打ち消すように、換言すればそれらの電圧信号の値をゼロにするように、第2検出電極13dの出力に基づいて、第2抑制電極13mに与える電圧を指示又は制御する。Y軸まわりの角速度の結果出力は、その第2抑制電極13mに与える電圧値、又はその電圧に対応する値が用いられる。このため、この変形例の場合、上述の第1の実施形態においてX軸周りの角速度に応じた二次振動を抑制したのと同様に、Y軸周りの角速度に応じた二次振動(図20Eの二次振動)が抑制される。このため、リング状振動ジャイロ300においてはY軸周りの角速度の測定について、S/N比と応答性の両立が実現する。
なお、本実施形態において、リング状振動ジャイロ300のように、第1検出電極13b,13cを中央線を含むように配置することは好ましい一態様である。この理由は、イン・プレーンの振動モードとなる一次振動や二次振動によって圧電体膜の歪みが最も生じにくいためである。さらに、前述の第1検出電極13b,13cは、イン・プレーンの振動モードでは中央線を境にして歪みの方向が逆になるから、中央線に対して対称な形状となるように配置されていることが、さらに好ましい一様態である。
また、たとえ複数の第1検出電極13b,13cが中央線に対して対象となるように配置されていなくても、採用する振動モードに応じてイン・プレーンの振動モードを検出しにくい各第1検出電極13b,13cの配置は多様に存在する。従って、既述のとおり、各検出電極13b,13c,13d,13mが配置される第2電極配置領域は、第1電極配置領域と電気的に接しないリング状振動体11の上面の領域として定義される。
なお、本実施形態では、第1検出電極13b,13cの単体の電極面積が第1の実施形態のそれらと比較して増えている。このような第1検出電極13b,13cは、これらの電極によって検出する二次振動(図20Dの二次振動)の振動軸に対して左右対称に配置されていることが好ましい。また、本実施形態では、第1検出電極13b,13cのみの電極面積が増加されているが、これに限定されない。例えば、駆動電極の面積、モニタ電極の面積、又は他の検出電極の面積が増加することにより、駆動能力、又は検出能力が向上することは好ましい一態様である。
また、本実施形態では、各電極が偏在しているため、引き出し電極14が形成されていないレッグ部15が存在するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、引き出し電極14が形成されていないレッグ部15が無くなっても、本実施形態と同等の効果が奏される。但し、無秩序なレッグ部15の不在はリング状振動体11の均質な振動に支障が生じ得るため、均等な角度だけ離れるように割り振られる位置にあるレッグ部15のみを無くした構造が好ましい。
<第1の実施形態の変形例(4)>
図7は、第1の実施形態の一部を変形したリング状振動ジャイロ310の中心的役割を果たす構造体の正面図である。
本実施形態のリング状振動ジャイロ310は、第1の実施形態における上層金属膜50を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備えており、特に、リング状振動ジャイロ300における第1検出電極13cを第1抑制電極13jに置き換えものである。これに応じて、第1抑制電極13jには、第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路(図示しない)が接続される。第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路には第1検出電極13bからの信号が入力される。第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路は、第1検出電極13bによって検出されたX軸まわりの角速度によって生じる二次振動(図20Dの二次振動)に関する電圧信号を打ち消すように、換言すればそれらの電圧信号の値をゼロにするように、第1検出電極13bの出力に基づいて、第1抑制電極13jに与える電圧を指示又は制御する。X軸まわりの角速度の結果出力は、その第1抑制電極13jに与える電圧値、又はその電圧に対応する値が用いられる。
本実施形態のリング状振動ジャイロ310では、本実施形態のリング状振動ジャイロ300と同様にY軸周りの角速度の検出におけるS/N比と応答性の両立に加え、X軸周りの角速度の検出においても、S/N比と応答性を両立させることができる。
<第1の実施形態の変形例(5)>
図8は、第1の実施形態の一部を変形したリング状振動ジャイロ400の中心的役割を果たす構造体の図2に相当する断面図である。
本実施形態では、図8に示すように、実質的に上層金属膜50が形成されている領域に合わせて圧電体膜40がエッチングされている。このため、下層金属膜30が形成されている領域に影響されずに、上層金属膜50に印加された交流電圧が鉛直下向きのみに印加されるため、圧電体膜40の望ましくない伸縮や電気信号の発信を防止することができる。なお、本実施形態では、上層金属膜50のドライエッチング工程の後、上層金属膜50上の残留レジスト膜又は上記金属膜50それ自体をエッチングマスクとして、引き続いて第1の実施形態と同条件によるドライエッチングを行うことにより、前述の圧電体膜40が形成される。また、図8に示すように、本実施形態では圧電体膜40が傾斜状(例えば、傾斜角が75°)にエッチングされている。しかしながら、図8のような急峻な傾斜を有する圧電体膜40は、図1に示すリング状振動ジャイロ100の正面視においては、他の領域と比較して実質的に視認されないものとして本出願では取り扱われる。加えて、この実施形態で開示された圧電体膜40がエッチングされた態様は、少なくとも本出願の全ての実施形態で適用され得る。
<第1の実施形態の変形例(6)>
上述の第1の実施形態及びその変形例(1)乃至(5)では、3軸の角速度を検出し得る振動ジャイロの構造が説明され、1軸、2軸および3軸のまわりの角速度に関する二次振動が抑制されるような抑制電極を備えているが、2軸又は1軸の角速度検出のための各検出電極の配置も第1の実施形態から導き出される。
例えば、第1乃至第3の検出電極13b,13c,13d,13e,13f,13gのうち、X軸の角速度測定用の第1検出電極13b,13cとY軸の角速度測定用の第2検出電極13d,13eのみがリング状振動体11上に配置されることにより、2軸の角速度を検出する振動ジャイロが製造される。すなわち、第1乃至第3の検出電極のうちの2つの軸に対応する検出電極が選択されることにより、2軸の角速度を検出する振動ジャイロを得ることができる。なお、例えば、各第1検出電極13b,13cのうち、1つの第1検出電極(例えば、13b)のみをリング状振動体11上に配置し、第1抑制電極13jを用いることによって、第1検出電極13bの出力によってX軸周りの角速度による二次振動を抑制することができる。
また、上述と同様の考え方は、1軸の角速度を検出し得る振動ジャイロの構造にも適用される。例えば、第1乃至第3の検出電極13b,13c,13d,13e,13f,13gのうち、X軸の角速度測定用の第1検出電極13bのみをリング状振動体11上に配置することにより、1軸の角速度を検出する振動ジャイロを製造することができる。第1抑制電極13jを用いて二次振動を抑制しうる点についても同様である。
<第1の実施形態の変形例(7)>
図9は、第1の実施形態の一部を変形したリング状振動ジャイロ500の中心的役割を果たす構造体の正面図である。また、図10は、図9のB−B断面図である。
本実施形態のリング状振動ジャイロ500は、第1の実施形態と比較して、リング状振動体11の周囲に溝又はレッグ部17を介して固定端60が形成されている。また、レッグ部17及び固定端60上には、駆動電極13a,13a及び第2検出電極13d,13eを起点とする引き出し電極14及び電極パッド18が形成されている。さらに、前述のレッグ部17上の引き出し電極14が形成されたために、レッグ部15及び固定端19上の引き出し電極14及び電極パッド18は取り除かれている。本実施形態のリング状振動ジャイロ500は、上述の点以外は、第1の実施形態と同じ構成を備えている。また、その製造方法は一部を除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の一次振動の振動モード及び二次振動の振動モードは、第1の実施形態のそれらと同じ振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。また、本実施形態では、図面を見やすくするために、駆動電極13a,13aに接続する交流電源は図示されていない。
本実施形態のリング状振動ジャイロ500における固定端60及び固定端60とリング状振動体11とを結ぶレッグ部17の形成により、リング状振動体11の内部のレッグ部15上に複数の引き出し電極14を配置する必要がなくなる。従って、製造工程の不具合等による引き出し電極間の短絡の危険性が大きく軽減する。図9に示すとおり、各電極の幅の中央部に引き出し電極14が接続しているため、第1の実施形態における駆動電極13a,13a及び第2検出電極13d,13eからの電気信号の偏りは生じない。他方、固定端60が形成されることにより、振動ジャイロのサイズが第1の実施形態のそれと比較して大きくなる。
このリング状振動ジャイロ500の構成においても、第1抑制電極13jを用いるため、X軸周りの角速度によって発生する二次振動を抑制することができる。
<第2の実施形態>
図11は、本実施形態におけるもう一つの3軸の角速度を測定するリング状振動ジャイロ600の中心的役割を果たす構造体の正面図である。
本実施形態のリング状振動ジャイロ600は、駆動電極13a、モニタ電極13h、第1の実施形態における第1検出電極13b、第1抑制電極13j、第2検出電極13d,13e、第3検出電極13f,13gの内の一部の検出電極の配置、及び交流電源12の配置と数を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法は、第1の実施形態と同じである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。但し、本実施形態の一次振動の振動モードは、図21A示すイン・プレーンのcos3θの振動モードである。また、本実施形態の二次振動の振動モードとは、図21Bに示すX軸のcos2θのアウト・オブ・プレーンの振動モードと、図21Cに示すY軸のcos2θのアウト・オブ・プレーンの振動モードと、図21Dに示す1軸(Z軸)のcos3θのイン・プレーンの振動モードである。
図11に示すとおり、本実施形態のリング状振動ジャイロ600でも、複数の電極13a〜13hを構成する上層金属膜50の外側端部は、約40μm幅のリング状平面を有するリング状振動体11の外周縁から約1μm内側に形成され、その幅は約18μmである。また、その上層金属膜50は、中央線よりも外側又は内側に形成されている。
ところで、本実施形態では、イン・プレーンのcos3θの振動モードでリング状振動ジャイロ600の一次振動が励起される。また、本実施形態の二次振動の振動モードは、図21B乃至図21Dに示す振動モードである。従って、前述の複数の電極13a〜13hの内訳は、次のとおりである。まず、互いに円周方向に120°離れた角度に配置された3つの駆動電極13a,13a,13aが配置される。また、前述の3つの駆動電極13a,13a,13aの内の1つの駆動電極13a(例えば、図11において時計の12時方向の駆動電極13a)を基準電極とした場合に、その駆動電極13aから円周方向であって60°、180°、及び300°離れた角度に3つのモニタ電極13h,13h,13hが配置される。また、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面、換言すれば、図11における紙面をX‐Y平面とした場合に、リング状振動ジャイロ600にX軸まわりの角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する、第1検出電極13bが、基準電極から円周方向であって0°、及び180°離れた角度に配置される。また、第1抑制電極13jが、基準電極から円周方向であって90°及び270°方向に配置される。リング状振動ジャイロ600にY軸まわりの角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出するためには、第2検出電極13d,13eが、基準電極から円周方向であって45°、135°、225°、及び315°離れた角度に配置される。さらに、リング状振動ジャイロ600にZ軸、すなわち、図11に示すリング状振動ジャイロ600の配置された平面に垂直な軸(紙面に垂直な方向の軸、以下、単に「垂直軸」又は「Z軸」という)のまわりの角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する、第3検出電極13f,13gが配置される。なお、本実施形態の第3検出電極13f,13gは、基準電極から円周方向であって30°、90°、150°、210°、270°、及び330°離れた角度に配置される。
次に、リング状振動ジャイロ600が備える各電極の作用について説明する。上述の通り、本実施形態はイン・プレーンのcos3θの振動モードの一次振動が励起される。なお、固定電位電極16が接地されるため、固定電位電極16と連続して形成されている下層電極膜30は一律に0Vになっている。
最初に、図11に示すように、3つの駆動電極13a,13a,13aに1VP−0の交流電圧が印加される。その結果、圧電体膜40が伸縮して一次振動が励起される。ここで、本実施形態では上層金属膜50がリング状振動体11の上面における中央線よりも外側に形成されているため、リング状振動体11の側面に形成されることなく圧電体膜40の伸縮運動をリング状振動体11の一次振動に変換することが可能となる。
次に、図11に示すモニタ電極13h,13h,13hが、上述の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。本実施形態のフィードバック制御回路は、駆動電極13a,13a,13aに印加される交流電圧の周波数とリング状振動体11が持つ固有周波数が一致するように制御するとともに、リング状振動体11の振幅がある一定の値となるようにモニタ電極13h,13h,13hの信号を用いて制御している。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
上述の一次振動が励起された後、垂直軸(Z軸)の回りで角速度が加わると、イン・プレーンのcos3θの振動モードである本実施形態では、コリオリ力により図21Aに示す一次振動の振動軸に対して両側に30°傾いた新たな振動軸を有する図21Dに示す二次振動が生じる。
この二次振動が3つの検出電極(第3検出電極)13f,13f,13fと、別の3つの検出電極(第3検出電極)13g,13g,13gによって検出される。本実施形態でも、第1の実施形態と同様、公知の差分回路である演算回路において、各第3検出電極13f,13gの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号はいずれか一方の検出電極の場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
次に、上述の一次振動が励起された後、X軸の回りで角速度が加わる場合について説明する。この場合、図21Bに示すアウト・オブ・プレーンのcos2θの振動モードの二次振動が生じる。
この二次振動が2つの検出電極(第1検出電極)13bによって検出される。そして、その出力信号は図示しない第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路に入力されて、第1抑制電極13jには、第1の二次振動抑制用フィードバック制御回路からの出力が入力される。本実施形態では、図11に示すように、各検出電極13b及び第1抑制電極13jは、それぞれアウト・オブ・プレーンの二次振動の振動軸に対応して配置されている。なお、本実施形態では、上述の各検出電極13b及び第1抑制電極13jは、リング状振動体11の上面における中央線よりも内側に形成されているが、これに限定されない。むしろ、上述の各検出電極13b及び第1抑制電極13jは、イン・プレーンの振動モードとなる一次振動や二次振動によって圧電体膜の歪みが最も生じにくい中央線を含むように配置されていることは好ましい一態様である。さらに、上述の各検出電極13b及び第1抑制電極13jは、イン・プレーンの振動モードでは中央線を境にして歪みの方向が逆になるから、中央線に対して対称な形状となるように配置されていることが、さらに好ましい一様態である。
本実施形態の2つの第1検出電極13bの配置により、角速度を受けて励起されるアウト・オブ・プレーンの二次振動によって生じる2つの第1検出電極13bの電気的信号は、本来は全く同じ波形の信号となる。しかし、実際のリング状振動ジャイロでは、多少なりとも、各電極を形成するパターンと、リング状振動体11を形成するパターンとがアライメントのエラーを起こす。このような場合には、12時方向にある第1検出電極13bと6時方向にある第1検出電極13bとが、リング状振動体11に対して互いに逆にずれる。例えば、12時方向の第1検出電極13bがリング状振動体11の外周縁側にずれると、6時方向の第1検出電極13bは、内周縁側にずれる。このため、リング状振動体11の平面上の位置、特に、円環の半径方向のズレが互いにキャンセルするようにずれる。この性質は、第1検出電極13b,13bによって検出される電気信号を並列接続して取り出す場合には、出力の絶対値がアライメントエラーの影響を受けにくくなることを意味するため、好適である。
次に、上述の一次振動が励起された後、Y軸の回りで角速度が加わる場合について説明する。この場合、前述のcos2θの振動モードとは角度が45°離れた振動軸を持つ図21Cに示すcos2θの振動モードの二次振動が生じる。
この二次振動が2つの検出電極(第2検出電極)13d,13dと、別の2つの検出電極(第2検出電極)13e,13eによって検出される。本実施形態では、図11に示すように、各検出電極13d,13eは、それぞれアウト・オブ・プレーンの二次振動の振動軸に対応して配置されている。なお、本実施形態では、上述の各検出電極13d,13eは、リング状振動体11の上面における中央線よりも内側に形成されているが、これに限定されない。むしろ、上述の各検出電極13d,13eは、イン・プレーンの振動モードとなる一次振動や二次振動によって圧電体膜の歪みが最も生じにくい中央線を含むように配置されていることは好ましい一態様である。また、イン・プレーンの振動モードでは中央線を境にして歪みの方向が逆になるから、中央線に対して対称な形状となるように配置されていることが、さらに好ましい一様態である。
本実施形態の各検出電極13d,13eの配置により、角速度を受けて励起されるアウト・オブ・プレーンの二次振動によって生じる各検出電極13d,13eの電気的信号の正負が逆になる。従って、公知の差分回路である演算回路において、各検出電極13d,13eの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号はいずれか一方の検出電極の場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
なお、上述の第1の実施形態では、便宜上、角速度を検出する対象となる3軸のそれぞれを検出する検出電極に対して第1検出電極乃至第3検出電極の名称を与えていたが、各軸用の検出電極の名称は、第1検出電極乃至第3検出電極のうち、任意の重複しない1つの名称が与えられてもよい。
<第2の実施形態の変形例(1)>
次に、図12によって、第2の実施形態の変形例(1)について説明する。図12は、3軸の角速度を測定するリング状振動ジャイロ610の中心的役割を果たす構造体の正面図である。
本変形例のリング状振動ジャイロ610では、Z軸周りの角速度が与えられたときに発生する二次振動を抑制するための第3抑制電極13p,13p,13pを用いる。なお、リング状振動ジャイロ610においては、図11に示した実施形態のリング状振動ジャイロ600における第1抑制電極13jを用いず、それらの角度には第1検出電極13cを用いる。このため、リング状振動ジャイロ610では、X軸まわりの角速度の検出についても、リング状振動ジャイロ600のY軸まわりの角速度の検出と同様に、公知の差分回路である演算回路を用いて各検出電極13b,13cの電気信号の差を算出する。
リング状振動ジャイロ610において、第3抑制電極13pは、図中12時方向に記載された基準電極から、円周方向に90°、210°、及び330°離れた角度に配置され、図11のリング状振動ジャイロ600の第3検出電極13gを置き換えるように配置される。そして、第3抑制電極13pには、第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路(図示しない)を接続する。この第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路には、第3検出電極13fからの出力信号が入力される。第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路としては、公知のフィードバック制御回路を用いることができるのはこれまでの各実施形態と同様である。
第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路は、第3検出電極13fによって検出された二次振動に関する電圧信号を打ち消すように、換言すればそれらの電圧信号の値をゼロにするように、第3抑制電極13pに与える電圧を指示又は制御する。振動ジャイロとしてのZ軸周りの角速度の結果出力には、その第3抑制電極13pに与える電圧値、又はその電圧に対応する値が用いられる。
この変形例の場合、上述の第1の実施形態においてX軸周りの角速度に応じた二次振動を抑制したのと同様に、Z軸周りの角速度に応じた二次振動(図21Dの二次振動)が抑制される。このため、Z軸周りの角速度の測定について、S/N比と応答性の両立が実現する。
<第2の実施形態の変形例(2)>
次に、図13によって、第2の実施形態の変形例(2)について説明する。図13は、3軸の角速度を測定するリング状振動ジャイロ620の中心的役割を果たす構造体の正面図である。本変形例においては、X、Y、Z軸の周りの角速度が与えられたときに発生する二次振動を抑制するために抑制電極を用いる。
本変形例のリング状振動ジャイロ620におけるリング状振動体11の平面における電極配置を、図11に示した実施形態のリング状振動ジャイロ600からの変更点によって説明すると、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100からの変更点によって第1の実施形態の変形例(2)のリング状振動ジャイロ120の構成を説明したのと同様の説明になる。つまり、リング状振動ジャイロ620では、図11に示した実施形態のリング状振動ジャイロ600と同様の第1抑制電極13jを用い、第2抑制電極13mを用い、そして、上述の変形例(1)のリング状振動ジャイロ610と同様の第3抑制電極13pも用いる。
そして、本変形例のリンク状振動ジャイロ620においても、第1、第2、及び第3抑制電極13j,13m,13pには、それぞれ、第1、第2、及び第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路が接続される。第1、第2、及び第3の二次振動抑制用フィードバック制御回路には、第1、第2及び第3検出電極13b,13d,13fからの信号が入力される。このような構成によって、第1、第2、及び第3検出電極13b,13d,13fよって検出された二次振動(順に、図17B、C、及びDの二次振動)に関する電圧信号を打ち消すように、第1、第2、及び第3抑制電極に電圧が印加される。そうして、この変形例では、X軸、Y軸、およびZ軸のいずれの軸の周りの角速度に対して、二次振動を抑制する動作が実現するため、任意の方向を軸とする角速度に対して、S/N比と応答性の両立が実現する。
ところで、上述の第1の実施形態及びその変形例(1)乃至(7)並びに第2の実施形態及びその変形例(1)及び(2)においては、各実施形態内でモニタ電極13h,13hが同じ位置乃至領域内に配置されていたが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、モニタ電極13hは、Nを2以上又は3以上の自然数とした場合であって、駆動電極13aの1つを基準駆動電極とし、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、必ずしも、その基準駆動電極13aから円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置される必要はない。例えば、cosNθの振動モードの場合であって、L=0,1,・・・,2N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、各モニタ電極13hが、基準駆動電極から、円周方向に(180/N)×{L+(1/2)}°離れた以外の角度の配置、又はその角度の位置に対して線対称となるような配置を避けるように配置される。加えて、各モニタ電極13hは、リング幅方向の中央線に対して対称となるような配置を避けるようにも配置される。各モニタ電極13hがそのように配置されることにより、第1の実施形態又はその変形例による効果が実質的に奏される。
上述の具体的な一例は、図14Aに示すリング状振動ジャイロ700である。リング状振動ジャイロ700のモニタ電極13h,・・・,13hは、Nを2以上又は3以上の自然数とした場合であって、駆動電極13aの1つを基準駆動電極とし、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、必ずしも、その基準駆動電極13aから円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置されていない。しかしながら、図14Aに示すモニタ電極13h,・・・,13hの配置であっても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
また、他の一例は、図14Bに示すリング状振動ジャイロ720である。リング状振動ジャイロ720のモニタ電極13h,13hは、図14Aのリング状振動ジャイロ700のモニタ電極13h,・・・,13hのうちの2つが取り除かれた状態となるように配置されている。しかしながら、図14Bに示すモニタ電極13h,13hの配置であっても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
また、他の一例は、図14Cに示すリング状振動ジャイロ740である。リング状振動ジャイロ740のモニタ電極13h,13hは、図14Aのリング状振動ジャイロ700のモニタ電極13h,・・・,13hのうちの他の2つが取り除かれた状態となるように配置されている。しかしながら、図14Cに示すモニタ電極13h,13hの配置であっても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
加えて、他の一例は、図14Dに示すリング状振動ジャイロ760である。リング状振動ジャイロ760のモニタ電極13h,13hは、図14Aのリング状振動ジャイロ700のモニタ電極13h,・・・,13hのうちの上述とは別の2つが取り除かれた状態となるように配置されている。しかしながら、図14Dに示すモニタ電極13h,13hの配置であっても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
さらに、他の一例は、図14Eに示すリング状振動ジャイロ780である。リング状振動ジャイロ780のモニタ電極13h,・・・,13hの幾つかは、リング状振動体11の内周縁から中央線に至るまでの領域上に配置されている。他方、第2検出電極13dの電極面積は縮小されている。しかしながら、図14Eに示すモニタ電極13h,・・・,13hの配置であっても第1の実施形態の少なくとも一部の効果が奏される。但し、モニタ電極13hの対象性を考慮すれば、図14Eに示すリング状振動ジャイロ760よりも、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100の方が好ましい。同様に、モニタ電極13h,・・・,13hの幾つか又は全てが、中央線に対して対称となるような配置を避けるようにリング状振動体11の外周縁から中央線に至るまでの領域上に配置されていても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
上述の各例に示すように、本発明のリング状振動ジャイロは、いずれもイン・プレーンの振動モードの一次振動が励起されるため、リング状振動体11の平面上のモニタ電極の配置は、高い自由度が与えられることになる。但し、例えば、cosNθの振動モードの場合であって、L=0,1,・・・,2N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、各モニタ電極13hは、基準駆動電極から、円周方向に(180/N)×{L+(1/2)}°離れた以外の角度の配置、又はその角度の位置に対して線対称となるような配置を避けるように配置される。前者の理由は、その位置に配置されるとリング状振動子11の歪みがゼロ(0)となるからである。また、後者の理由は、歪み方向が互いに逆方向のため、その歪みが相殺されるからである。加えて、各モニタ電極13hは、中央線に対して対称となるような配置を避けるようにも配置される。この理由も、歪み方向が互いに逆方向のため、その歪みが相殺されるからである。なお、特に小型化されたリング状振動体11の限定された平面領域の中では、第1の実施形態で示したようなモニタ電極13hの配置が、他の電極群の配置及び/又は引き出し電極の配置を容易にすることになる。具体的には、モニタ電極13hは、Nを2以上又は3以上の自然数とした場合であって、駆動電極13aの1つを基準駆動電極とし、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、その基準駆動電極13aから円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置されることは好ましい一態様といえる。
<第3の実施形態>
上記第1の実施形態のより好ましい実施形態を第3の実施形態として図15乃至図18を用いて説明する。
図15は、本実施形態における3軸の角速度を測定するリング状振動ジャイロ900の中心的役割を果たす構造体の正面図である。
リング状振動ジャイロ900のリング状振動体11では、中央線を含む平面状の領域にも電極を配置し、リング状振動体の円環部分には、内周縁から内周縁近傍までの部分、中央線を含む部分、そして、外周縁から外周縁近傍までの部分の3つの部分に電極が配置される。このリング状振動ジャイロ900は、X軸、Y軸及びZ軸の全ての軸に対する角速度が生じさせる二次振動を抑制するものである。
このように配置すると、イン・プレーンの振動(励起される振動、Z軸周りの角速度による二次振動)にかかわる電極である駆動電極13a、モニタ電極13h、第3検出電極13f、第3抑制電極13pを、内周縁から内周縁近傍までの部分と外周縁から外周縁近傍までの部分とに配置し、アウト・オブ・プレーンの振動(X軸およびY軸周りの角速度による二次振動)かかわる電極である第1及び第2検出電極13b,13dと第1及び第2抑制電極13j,13mとを中央線を含む部分に配置することができる。このため、図15に示すリング状振動ジャイロ900においては、イン・プレーンの振動とアウト・オブ・プレーンの振動との間において、駆動のための信号、検出信号、抑制のための信号が、それぞれが目的としない振動と関連しにくくなり、好ましい一態様となる。
図16には、リング状振動ジャイロ900において、二次振動の抑制をZ軸まわりの角速度のみに利用するように変形した変形例のリング状振動ジャイロ910の電極配置を示す。この場合も、上述のように、イン・プレーンの振動とアウト・オブ・プレーンの振動との間において、駆動のための信号、検出信号、抑制のための信号が、それぞれが目的としない振動と関連しにくくなり、好ましい一態様となる。
図17には、リング状振動ジャイロ900において、Z軸周りの角速度の検出の精度を高めるように変形した二次振動の抑制をZ軸まわりの角速度のみに利用するように変形した変形例のリング状振動ジャイロ920の電極配置を示す。このリング状振動ジャイロ920では、第3検出電極として検出電極13fに加え、検出電極13gも用い、さらに、第3抑制電極として抑制電極13pに加え、抑制電極13qも用いる。Z軸周りの角速度の検出の際には、に関しては、第3検出電極13f,13gを用いて正負の信号を得ることができ、これらに接続する公知の差分回路(図示しない)によって、高い精度での検出が可能となる。また、Z軸周りの角速度による二次振動を抑制するために、第3抑制電極13p,13qを用いてリング状振動体11を内周縁付近と外周縁付近との両側から抑制するための駆動力を作用させることができ、S/N比と応答性の両立をさらに良好に行うことができる。
図18には、さらに他の変形例を示す。ここに示すリング状振動ジャイロ1000は、リング状振動ジャイロ900に比べて、内周縁から内周縁近傍までの部分と、外周縁から外周縁近傍までの部分とにおける電極配置が異なる。すなわち、外周縁から外周縁近傍までの部分には、一次振動にかかわる電極すなわち駆動電極13aとモニタ電極13hが配置され、内周縁から内周縁近傍までの部分には、Z軸周りの角速度による二次振動にかかわる電極すなわち第3検出電極13f、第3抑制電極13pが配置される。
このような配置では、電極の広がりすなわち角度方向の範囲を広く確保できるため、一次振動の励起が容易となり、また、Z軸周りの角速度による二次振動の検出及び抑制が容易となる。これらによって、Z軸周りのみならずX軸及びY軸周りの角速度の検出においても、高いS/N比と応答性の両立に有利となる。
<その他の変形例>
第2の実施形態は、上述の第1の実施形態の各変形例と同様の変形例が適用され得る。従って、それぞれの構成による有利な効果が奏される。
ところで、上述の各実施形態は、円環状の振動体を用いた振動ジャイロで説明されているが、円環状の代わりに、多角形状の振動体であってもよい。例えば、正六角形、正八角形、正十二角形、正二十角形等の正多角形状の振動体であっても、本発明の効果と実質的に同様の効果が奏される。また、図19に示すリング状振動ジャイロ800の十二角形状の振動体111のような振動体であってもよい。振動体の正面視において点対称形状またはn回対称形状(nは任意の自然数)となる多角形を外周縁又は内周縁とするようなリング形状の振動体が採用されれば、振動体の振動時の安定性の観点で好ましい。なお、「円環状」には楕円形状が含まれる。また、図19では、図1等とは異なり、図を見やすくするために、レッグ部及び支柱は図示されていない。
さらに、上述の各実施形態では、シリコンを母材とするリング状振動ジャイロが採用されているが、これにも限定されない。例えば、振動ジャイロの母材がゲルマニウム又はシリコンゲルマニウムであってもよい。上述のうち、特に、シリコン又はシリコンゲルマニウムの採用は、公知の異方性ドライエッチング技術を適用することができるため、振動体を含めたジャイロ全体の加工精度の向上に大きく寄与する。
また、上述の各実施形態では、上層金属膜をパターニングすることによって各電極が形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、下層金属膜のみ、又は上層金属膜及び下層金属膜の両方がパターニングされることによって各電極が形成されても、本発明の効果と同等の効果が奏され得る。但し、製造の容易性を考慮すれば、上述の各実施形態のように上層金属膜のみがパターニングされることは好ましい一態様である。以上、述べたとおり、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明は、振動ジャイロとして種々のデバイスの一部として適用され得る。

Claims (19)

  1. 一様な平面を備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、
    前記リング状振動体の前記平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極と
    を備え、前記複数の電極は、次の(1)、(2)及び(3)、すなわち、
    (1)Nを2以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された検出電極と、
    (3)前記検出電極からの信号に基づいて前記二次振動を抑制し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された抑制電極と
    を有しており、
    前記駆動電極の各々は、前記リング状振動体の前記平面において、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域と、前記リング状振動体の内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
    前記検出電極の各々及び前記抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前記駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている、
    振動ジャイロ。
  2. 一様な平面を備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、
    前記リング状振動体の前記平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極と
    を備え、前記複数の電極は、次の(1)、(2)及び(3)、すなわち、
    (1)Nを2以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された検出電極と、
    (3)前記検出電極からの信号に基づいて前記二次振動を抑制し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された抑制電極と
    を有しており、
    前記駆動電極の各々は、前記リング状振動体の前記平面において、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域と、前記リング状振動体の内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
    前記検出電極の各々及び前記抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前記駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている、
    振動ジャイロ。
  3. 一様な平面を備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、
    前記リング状振動体の前記平面又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極と
    を備え、前記複数の電極は、次の(1)乃至(5)、すなわち、
    (1)Nを2以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの第1の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第1検出電極と、
    (3)前記第1の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の第2の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2検出電極と、
    (4)前記第1検出電極からの信号に基づいて前記第1の二次振動を抑制し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1抑制電極と、
    (5)前記第2検出電極からの信号に基づいて前記第2の二次振動を抑制し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+1/4}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2抑制電極と
    を有しており、
    前記駆動電極の各々は、前記リング状振動体の前記平面において、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域と、前記リング状振動体の内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
    前記第1検出電極の各々、前記第2検出電極の各々、前記第1抑制電極の各々、及び前記第2抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前記駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている、
    振動ジャイロ。
  4. 前記検出電極を第1検出電極とし、前記抑制電極を第1抑制電極とし、前記二次振動を第1の二次振動としたときに、前記複数の電極が、次の(4)、すなわち、
    (4)前記第1の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の第2の二次振動を検出し、且つ前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2検出電極
    をさらに有しており、
    前記第2検出電極の各々、及び前記第2抑制電極の各々が前記第2電極配置領域上に配置される、
    請求項1に記載の振動ジャイロ。
  5. 前記検出電極を第2検出電極とし、前記抑制電極を第2抑制電極とし、前記二次振動を第2の二次振動としたときに、前記複数の電極が、次の(4)、すなわち、
    (4)前記第2の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の第1の二次振動を検出し、且つ前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1検出電極
    をさらに有しており、
    前記第1検出電極の各々、及び前記第1抑制電極の各々が前記第2電極配置領域上に配置される、
    請求項2に記載の振動ジャイロ。
  6. 一様な平面を備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、
    前記リング状振動体の前記平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極と
    を備え、前記複数の電極は、次の(1)、(2)及び(3)、すなわち、
    (1)Nを3以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,N−2とした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された検出電極と、
    (3)前記検出電極からの信号に基づいて前記二次振動を抑制し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された抑制電極と
    を有しており、前記駆動電極の各々は、前記リング状振動体の前記平面において、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域と、前記リング状振動体の内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
    前記検出電極の各々及び前記抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前記第1電極配置領域と電気的に接続しないようにされる、
    振動ジャイロ。
  7. 一様な平面を備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、
    前記リング状振動体の前記平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極と
    を備え、前記複数の電極は、次の(1)、(2)及び(3)、すなわち、
    (1)Nを3以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極、Sを0,1,・・・,N−2とした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された検出電極と、
    (3)前記検出電極からの信号に基づいて前記二次振動を抑制し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された抑制電極と
    を有しており、
    前記駆動電極の各々は、前記リング状振動体の前記平面内において、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域と、前記リング状振動体の内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置され、
    前記検出電極各々、及び前記抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前記第1電極配置領域と電気的に接続しないようにされる、
    振動ジャイロ。
  8. 一様な平面を備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、
    前記リング状振動体の前記平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極と
    を備え、前記複数の電極は、次の(1)乃至(5)、すなわち、
    (1)Nを3以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とし、S=0,1,・・・,N−2とした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの第1の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第1検出電極と、
    (3)前記第1の二次振動に対して{90/(N−1)}°離れた角度の振動軸の第2の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2検出電極と、
    (4)前記第1検出電極からの信号に基づいて前記第1の二次振動を抑制し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1抑制電極と、
    (5)前記第2検出電極からの信号に基づいて前記第2の二次振動を抑制し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+1/4}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2抑制電極と
    を有しており、前記駆動電極の各々は、前記リング状振動体の前記平面内において、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域と、前記リング状振動体の内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
    前記第1検出電極の各々、前記第2検出電極の各々、前記第1抑制電極の各々、及び前記第2抑制電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前記第1電極配置領域と電気的に接続しないようにされている、
    振動ジャイロ。
  9. 前記検出電極を第1検出電極とし、前記抑制電極を第1抑制電極とし、前記二次振動を第1の二次振動としたときに、前記複数の電極が、次の(4)、すなわち、
    (4)前記第1の二次振動に対して{90/(N−1)}°離れた角度の振動軸の第2の二次振動を検出し、且つ前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第2検出電極
    をさらに有しており、
    前記第2検出電極の各々、及び前記第2抑制電極の各々が、前記第2電極配置領域上に配置される、
    請求項6に記載の振動ジャイロ。
  10. 前記検出電極を第2検出電極とし、前記抑制電極を第2抑制電極とし、前記二次振動を第2の二次振動としたときに、前記複数の電極が、次の(4)、すなわち、
    (4)前記第2の二次振動に対して{90/(N−1)}°離れた角度の振動軸の第1の二次振動を検出し、且つ前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1検出電極
    をさらに有しており、
    前記第1検出電極の各々、及び前記第1抑制電極の各々が、前記第2電極配置領域上に配置される、
    請求項7に記載の振動ジャイロ。
  11. 前記複数の電極が、次の(6)、すなわち、
    (6)前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcosNθの振動モードの第3の二次振動を検出し、M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前記基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第3検出電極
    をさらに有しており、
    前記第3検出電極の各々が前記第1電極配置領域上に配置される、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の振動ジャイロ。
  12. 前記複数の電極が、次の(7)、すなわち、
    (7)前記第3検出電極からの信号に基づいて前記第3の二次振動を抑制し、M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前記基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第3抑制電極
    をさらに有し、前記第3抑制電極の各々が前記第1電極配置領域上に配置される、
    請求項11に記載の振動ジャイロ。
  13. 一様な平面を備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、
    前記リング状振動体の前記平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極と
    を備え、前記複数の電極は、次の(1)、すなわち、
    (1)Nを2以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極
    を有しており、前記複数の電極は、次の(2)と(3)とのうちの少なくともいずれか又は両方、すなわち、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,Nとした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの第1の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1の検出電極と、
    (3)前記第1の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの第2の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された、前記第1の検出電極とは異なる第2の検出電極と
    のうちのいずれか又は両方を有しており、前記複数の電極は、次の(4)及び(5)、すなわち、
    (4)M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcosNθの振動モードの、前記一次振動の振動軸から(90/N)°離れた角度の振動軸を持つ第3の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第3の検出電極と、
    (5)前記第3の検出電極からの信号に基づいて前記二次振動を抑制し、M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前記基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された抑制電極と
    を有しており、
    前記駆動電極の各々は、前記リング状振動体の前記平面において、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域と、前記リング状振動体の内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
    前記第1検出電極の各々、前記第2検出電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前記駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされており、
    前記第3検出電極の各々、及び前記抑制電極の各々は、第1電極配置領域に配置されるとともに、前記駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている、
    振動ジャイロ。
  14. 一様な平面を備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するレッグ部と、
    前記リング状振動体の前記平面上又はその上方に置かれ、圧電体膜を厚み方向に挟む上層金属膜及び下層金属膜のうちの少なくともいずれかにより形成される複数の電極と
    を備え、前記複数の電極は、次の(1)、すなわち、
    (1)Nを3以上のある自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された駆動電極
    を有しており、前記複数の電極は、次の(2)と(3)とのうちの少なくともいずれか又は両方、すなわち、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とし、Sを0,1,・・・,N−2とした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの第1の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された第1の検出電極と、
    (3)前記第1の二次振動に対して{90/(N−1)}°離れた角度の振動軸の、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの第2の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかの角度に配置された、前記第1の検出電極とは異なる第2の検出電極と
    のうちのいずれか又は両方を有しており、前記複数の電極は、次の(4)及び(5)、すなわち、
    (4)M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcosNθの振動モードの、前記一次振動の振動軸から(90/N)°離れた角度の振動軸を持つ第3の二次振動を検出し、前記基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された第3の検出電極と、
    (5)前記第3の検出電極からの信号に基づいて前記二次振動を抑制し、M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前記基準駆動電極から〔(360/N)×{M+(1/4)}〕°離れた角度と、前記基準駆動電極から〔(360/N)}×{M+(3/4)}〕°離れた角度とのうちの少なくともいずれかに配置された抑制電極と
    を有しており、
    前記駆動電極の各々は、前記リング状振動体の前記平面において、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域と、前記リング状振動体の内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域とのいずれか又は両方を含む第1電極配置領域上に配置されており、
    前記第1検出電極の各々、前記第2検出電極の各々は、第2電極配置領域上に配置されるとともに、前記駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされており、
    前記第3検出電極の各々、及び前記抑制電極の各々は、第1電極配置領域に配置されるとともに、前記駆動電極のいずれとも電気的に接続しないようにされている、
    振動ジャイロ。
  15. 前記複数の電極が、
    (8)L=0,1,・・・,2N−1とした場合に、前記基準駆動電極から円周方向に(180/N)×{L+(1/2)}°離れた角度以外の角度に配置された一群のモニタ電極
    をさらに有する、
    請求項1乃至請求項10、及び請求項13乃至請求項14のいずれか1項に記載の振動ジャイロ。
  16. 前記複数の電極が、
    (8)M=0,1,・・・,N−1とした場合に、前記基準駆動電極から円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置されたモニタ電極
    をさらに有する、
    請求項1乃至請求項10、及び請求項13乃至請求項14のいずれか1項に記載の振動ジャイロ。
  17. 前記第2電極配置領域が、前記外周縁から前記内周縁までの幅の中央を結ぶ中央線を含む、
    請求項1乃至請求項10、及び請求項13乃至請求項14のいずれか1項に記載の振動ジャイロ。
  18. 前記リング状振動体がシリコン基板から形成され、
    正面視で実質的に前記上層金属膜、前記圧電体膜、及び前記下層金属膜のみが観察される
    請求項1乃至請求項10、及び請求項13乃至請求項14のいずれか1項に記載の振動ジャイロ。
  19. 前記リング状振動体がシリコン基板から形成され、
    正面視で実質的に前記上層金属膜及び前記下層金属膜のみが観察される
    請求項1乃至請求項10、及び請求項13乃至請求項14のいずれか1項に記載の振動ジャイロ。
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