JPWO2010140365A1 - 乳管形成促進剤及びラテックス増産方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、プロスタグランジン類又はその誘導体である1種類以上の化合物を有効成分とする乳管形成促進剤、及びこの乳管形成促進剤を用いるラテックスの増産方法である。

Description

本発明は、乳管形成を促進する乳管形成促進剤、及び該乳管形成促進剤を用いるラテックスの増産方法に関する。
本願は、2009年06月02日に出願された日本国特許出願第2009−133041号に対して優先権を主張し、その内容をここに援用する。
天然ゴムは、弾性を有する高分子であり、主にゴムノキの乳管(laticifer)と呼ばれる細胞内で造られているラテックスという乳液を収集し、これに所望の加工をすることにより製造される(例えば、特許文献1参照。)。乳管は、ゴムノキの樹皮内の形成層の外側に年に数層発達する。ラテックスの収集は、一般的に、ゴムノキの幹にナイフ等を用いて溝状に傷をつけて(タッピング)、切断された乳管から流出するラテックスを回収することにより行われている。
天然ゴムは、ゴム製品の主原料として、様々な用途において幅広くかつ大量に用いられている。このため、より高収率でラテックスを得る方法の開発が求められている。より大量のラテックスを採取する方法としては、例えば、ゴムノキの幹に対してエチレンやEthephon(2−クロロエチルホスホン酸)による刺激を加える方法がある。エチレン等を樹皮に塗布することにより、乳管から流出してくるラテックスが傷口で凝固することが抑制されるため、より多くのラテックスを採取することができる。
また、ジャスモン酸やジャスモン酸前駆体のリノレン酸等を配合したラノリンを、パラゴムノキの幹に塗布することにより、乳管分化が促進され、乳管数(乳管密度)が増大することが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。ジャスモン酸は、リノレン酸を前駆体として生合成されるジャスミンの香気成分の一つであり、植物の成長阻害作用や老化促進作用を有する植物ホルモンの一種である。特に、傷害を受けた場合や病原菌に感染した場合等にジャスモン酸の合成が促進されることから、環境ストレスに対する抵抗性を獲得するために機能的に働く環境ストレスに対する抵抗性の誘導ホルモンとして知られている。なお、非特許文献1では、同じく環境ストレスに対する抵抗性の誘導ホルモンであるサリチル酸、アブシジン酸、Ethephon(エチレン)を同様に処理した場合には、ジャスモン酸とは異なり、二次乳管の形成は認められなかったことも報告されている。
特開2002−138102号公報
ハオ(Hao)、外1名、アナルズ・オブ・ボタニー(Annals of Botany)、2000年、第85巻、第37〜43ページ。
エチレン刺激によりラテックスを増産する方法は、幹に対し長期的に使用し続けると樹皮割れが生じ易くなる可能性がある。また、エチレン刺激は、乳管からのラテックスの流出をより円滑にする方法であり、樹木のラテックス生産能力そのものを改善する方法ではない。すなわち、エチレン刺激によるラテックスの増産には限界がある。
一方、ラテックスを生合成する為の主要部位である乳管の形成を促進することにより、樹木のラテックス生産能力そのものを改善することが期待できる。しかしながら、現在までに、ゴムノキの乳管形成を促進し得る化合物として、ジャスモン酸以外のものは報告されていない。また、このジャスモン酸刺激による乳管形成促進の作用機序も明らかではない。
本発明は、ゴムノキの乳管形成を促進し、ラテックス増産に有効な化合物、及びこの化合物を用いたラテックスの増産方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、プロスタグランジン類をゴムノキの幹又は茎に付着させることにより、乳管形成を促進し得ることを見出した。さらに、本発明者は、ラテックスの生産能力はラテックス生合成部位である乳管細胞の数に依存し、プロスタグランジン類の付着により、回収されるラテックス量を増大させることができることを見出した。以上より、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供している。
(1) 本発明の乳管形成促進剤は、プロスタグランジン類又はその誘導体である1種類以上の化合物を有効成分とする。
(2) 前記(1)記載の乳管形成促進剤であって、前記プロスタグランジン類が、下記一般式(I)、(II)、及び(III)からなる群より選択される一般式で表される。
[式中、Rは単結合又は2価の炭化水素基であり;Rは水素原子又はアルキル基であり;Rは1価の炭化水素基であり;R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は水酸基(但し、R及びRのいずれも水酸基である場合を除く。)である。]
(3) 前記(2)記載の乳管形成促進剤であって、前記Rが単結合、アルキレン基、又はアルケニレン基であり、前記Rが水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、前記Rがアルキル基又はアルケニル基である。
(4) 前記(1)記載の乳管形成促進剤にであって、前記Rが単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、又は炭素数2〜8のアルケニレン基である。
(5) 前記(1)記載の乳管形成促進剤であって、前記化合物を水溶性媒体に溶解又は分散させてなる。
(6) 前記(1)記載の乳管形成促進剤を含むラテックス増産剤。
(7) 前記(1)記載の乳管形成促進剤を、ラテックス産生植物の幹又は茎に付着させる工程を有するラテックス増産方法。
(8) 前記(7)記載のラテックス増産方法において、前記植物がパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)である。
(9) 本発明の乳管形成促進剤は、プロスタグランジンE1、プロスタグランジンE2、プロスタグランジンA1、プロスタグランジンA2、プロスタグランジンB1、及びプロスタグランジンB2からなる群より選択される1以上の化合物を有効成分とする。
(10) 前記(9)記載の乳管形成促進剤であって、前記化合物を水溶性媒体に溶解又は分散させてなる。
(11) 前記(9)記載の乳管形成促進剤を含むラテックス増産剤。
(12) 前記(9)記載の乳管形成促進剤を、ラテックス産生植物の幹又は茎に付着させる工程を有するラテックス増産方法。
(13) 前記(12)記載のラテックス増産方法において、前記植物がパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)である。
本発明の乳管形成促進剤により、乳管を有するラテックス産生植物の乳管数(乳管密度)を増大させ、ラテックス産生植物の木本来のラテックス生産能力を向上させることができる。このため、この乳管形成促進剤を用いたラテックス増産方法により、ラテックス収量を効率よく増量させることができる。
実施例1において、幹に塗布した乳管形成促進剤の有効成分であるプロスタグランジン類の種類と回収されたゴム量(mg)との関係を示した図である。 実施例1において、塗布部の組織切片のナイルレッド染色像を、幹に塗布したプロスタグランジン類の種類ごとに示した図である。 実施例1において、回収されたゴム量と観察された乳管形成の結果を纏めた図である。 比較例1において、プロスタグランジン類の種類と観察された乳管形成の結果を纏めた図である。
<乳管形成促進剤>
本発明及び本願明細書において、乳管形成促進剤とは、塗布又は注入等により、植物体に直接接触させた場合に、前記植物の乳管形成を促進し、乳管数を増大させる作用を有する化合物及びこの化合物を含む組成物を意味する。なお、前記化合物としては、乳管形成を直接促進させる化合物であってもよく、間接的に促進させる化合物であってもよい。
本発明の乳管形成促進剤は、プロスタグランジン類又はその誘導体である1種類以上の化合物を有効成分とする。プロスタグランジン類は、プロスタン酸を基本骨格とする生理活性物質である。5員環部分に結合する酸素原子と二重結合の有無及び位置や、側鎖の炭化水素基の二重結合の有無及び位置により分類されている。この各種類によって、標的器官と作用効果が異なる。なお、本発明におけるプロスタグランジン類誘導体は、プロスタグランジンE1等の公知のプロスタグランジン類から公知の合成反応により合成することができる誘導体であって、乳管形成促進作用を有する化合物であれば、特に限定されない。
乳管細胞からなる乳管は、ラテックスの生合成を行う部位であり、ラテックスの生産能力は、このラテックスの生合成を行う部位である乳管細胞の数に大きく依存する。一般的に、乳管細胞の形成は、自然環境下での木の生理状態や性質に影響される。しかしながら、本発明の乳管形成促進剤により植物体中の乳管細胞数を増加させることができるため、植物体そのもののラテックス生産能力を向上させ、ラテックス収量を増大させることができる。つまり、本発明の乳管形成促進剤を含ませることにより、良好なラテックス増産剤を製造することができる。
本発明の乳管形成促進剤の有効成分となるプロスタグランジン類又はその誘導体としては、一般式(I)、(II)、及び(III)からなる群より選択される一般式で表される化合物であることが好ましい。なお、一般式(I)はプロスタグランジンE群と同じ基本骨格を有する化合物、一般式(II)はプロスタグランジンA群の基本骨格を有する化合物、一般式(III)はプロスタグランジンB群の基本骨格を有する化合物である。
[式中、Rは単結合又は2価の炭化水素基であり;Rは水素原子又はアルキル基であり;Rはアルキル基であり;R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は水酸基(但し、R及びRのいずれも水酸基である場合を除く。)である。]
一般式(I)〜(III)中、Rは単結合又は2価の炭化水素基である。Rの2価の炭化水素基としては、特に限定されない。すなわち、直鎖状の炭化水素基であってもよく、分岐鎖状の炭化水素基であってもよく、環状の炭化水素基であってもよい。また、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。なお、本発明において、炭化水素基とは、炭素原子と水素原子からなる官能基を意味する。
2価の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等が挙げられる。一方、2価の環状の炭化水素基としては、例えば、シクロアルキレン基、アリーレン基等が挙げられる。なお、シクロアルキレン基は、単環式基であるモノシクロアルキレン基であってもよく、多環式基であるポリシクロアルキレン基であってもよい。
のアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基であることがより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、2−メチルブチレン基、ネオペンチレン基、1−エチルプロピレン基、n−ヘキシレン基、イソヘキシレン基、4−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、1−メチルペンチレン基、3,3−ジメチルブチレン基、2,2−ジメチルブチレン基、1,1−ジメチルブチレン基、1,2−ジメチルブチレン基、1,3−ジメチルブチレン基、2,3−ジメチルブチレン基、2−エチルブチレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基等が挙げられる。
のアルケニレン基としては、炭素数2〜20のアルケニレン基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルケニレン基であることがより好ましい。具体的には、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ペンタジエニレン基、ヘキセニレン基、ヘキサジエニレン基、ヘプテニレン基、ヘプタジエニレン基、オクテニレン基、オクタジエニレン基、デセニレン基等が挙げられる。
のアルキニレン基としては、炭素数2〜20のアルキニレン基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキニレン基であることがより好ましい。具体的には、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ブタジイニレン基、ペンチニレン基、ペンタジイニレン基、ヘキシニレン基、ヘキサジイニレン基、ヘプチニレン基、ヘプタジイニレン基、オクチニレン基、オクタジイニレン基等が挙げられる。
のシクロアルキレン基としては、炭素数3〜20のシクロアルキレン基であることが好ましく、炭素数3〜8のモノシクロアルキレン基、炭素数4〜10のポリシクロアルキレン基であることがより好ましい。具体的には、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。
のアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基であることが好ましい。具体的には、フェニレン基、1−ナフチレン基、2−ナフチレン基、トリレン基、キシリレン基等が挙げられる。
本発明において、一般式(I)〜(III)のRとしては、単結合、アルキレン基、又はアルケニレン基であることが好ましく、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、又は炭素数2〜8のアルケニレン基であることがより好ましい。中でも、炭素数1〜8の直鎖状アルキレン基又は炭素数2〜8の直鎖状アルケニレン基であることが好ましく、炭素数4〜7の直鎖状アルキレン基又は炭素数4〜7の直鎖状アルケニレン基であることがより好ましく、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、ペンテニレン基、又はヘキセニレン基であることがさらに好ましく、n−ヘキシレン基又はペンテニレン基であることが特に好ましい。
一般式(I)〜(III)中、Rは水素原子又はアルキル基である。
のアルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基等が挙げられる。
のアルキル基は、1又は2以上の水素原子が、水酸基、アルキルオキシ基、スルホニル基、スルホキシ基、ニトロ基、アミノ基等により置換されていてもよい。このような置換基を有する炭化水素基として、ヒドロキシエチル基、ジヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基、メトキシエチル基等のアルキルオキシアルキル基等が挙げられる。
本発明において、一般式(I)〜(III)のRとしては、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
一般式(I)〜(III)中、Rは1価の炭化水素基である。Rの1価の炭化水素基としては、特に限定されない。すなわち、直鎖状の炭化水素基であってもよく、分岐鎖状の炭化水素基であってもよく、環状の炭化水素基であってもよい。また、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。
1価の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。一方、1価の環状の炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基は、単環式基であるモノシクロアルキル基であってもよく、多環式基であるポリシクロアルキル基であってもよい。
のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基等が挙げられる。
のアルケニル基としては、炭素数2〜20のアルケニル基であることが好ましく、炭素数2〜6のアルケニル基であることがより好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、メチルペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
のアルキニル基としては、炭素数2〜20のアルキニル基であることが好ましく、炭素数2〜6のアルキニル基であることがより好ましい。具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
のシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数4〜10のポリシクロアルキル基であることがより好ましい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
のアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
本発明において、一般式(I)〜(III)のRとしては、アルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基であることがより好ましい。中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、又はヘキセニル基であることが好ましく、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ブテニル基、ペンテニル基、又はヘキセニル基であることがより好ましく、n−ペンチル基又はペンテニル基であることがさらに好ましく、n−ペンチル基であることが特に好ましい。
一般式(I)〜(III)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は水酸基である。但し、R及びRのいずれも水酸基である場合は除く。
本発明において、一般式(I)で表される化合物としては、Rが水素原子であり、Rが水酸基であることが好ましい。
本発明において、一般式(II)で表される化合物としては、RとRのいずれも水素原子であることが好ましい。
本発明において、一般式(III)で表される化合物としては、RとRのいずれも水素原子であることが好ましい。
上記一般式(I)〜(III)で表される化合物は、少なくとも1つの不斉炭素原子を有するため、光学異性体が存在する。本発明においては、乳管形成促進作用を有する限り、これらの立体異性体のいずれを有効成分としてもよい。
一般式(I)〜(III)で表される化合物として、具体的には、下記式(I−1)〜(I−30)、下記式(II−1)〜(II−30)、下記式(III−1)〜(III−30)で表される化合物等が挙げられる。
本発明の乳管形成促進剤においては、特に、プロスタグランジンE1{(13E)−(15S)−11α,15−dihydroxy−9−oxoprost−13−en−1−oic acid、上記式(I−1)}、プロスタグランジンE2{(5Z,13E)−(15S)−11α,15−dihydroxy−9−oxoprosta−5,13−dien−1−oic acid、上記式(I−10)}、プロスタグランジンA1{(13E)−(15S)−15−hydroxy−9−oxoprosta−10,13−dien−1−oic acid、上記式(II−1)}、プロスタグランジンA2{(5Z,13E)−(15S)−15−hydroxy−9−oxoprosta−5,10,13−trien−1−oic acid、上記式(II−10)}、プロスタグランジンB1{(13E)−(15S)−15−hydroxy−9−oxoprosta−8(12),13−dien−1−oic acid、上記式(III−1)}、及びプロスタグランジンB2{(5Z,13E)−(15S)−15−hydroxy−9−oxoprosta−5,8(12),13−trien−1−oic acid、上記式(III−10)}からなる群より選択される1種類以上の化合物を有効成分とすることが好ましい。
また、上記一般式(I)〜(III)で表される化合物は、いずれも公知化合物又は公知化合物から公知の合成反応により簡便に合成し得る化合物である。したがって、常法により製造することができる。
例えば、上記式(I)〜(III)において、Rが水素原子である化合物は、プロスタグランジン三成分連結法等の公知の合成法により合成することができる。また、こうして得られた化合物にアルキルアルコールを反応させ、前記化合物をエステル化することにより、Rがアルキル基である化合物を合成することができる。その他、市販されているプロスタグランジン類を用いてもよい。
また、プロスタグランジン類又はプロスタグランジン類誘導体は、塩として本発明の乳管形成促進剤に有効成分として含有させてもよい。塩としては、プロスタグランジン類誘導体等の乳管形成促進作用を阻害しない限り、特に限定されず、無機塩であってもよく、有機塩であってもよい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩、グルコサミン塩、エチレンジアミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩等のアミン塩; 塩酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、りんご酸塩、フマ-ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩が挙げられる。
本発明の乳管形成促進剤は、乳管形成促進作用を有する1種類の化合物を有効成分とするものであってもよく、乳管形成促進作用を有する2種類以上の化合物を有効成分とするものであってもよい。
本発明の乳管形成促進剤は、乳管形成促進作用を有する1種類又は2種類以上の有効成分である化合物を、適当な媒体に溶解又は分散させて希釈させることにより、得ることができる。この媒体は、乳管形成促進作用を有する化合物を、その乳管形成促進作用を阻害することなく十分に溶解又は分散させることが可能な媒体であれば、特に限定されない。すなわち、有効成分である化合物の性質、使用方法等を考慮して、公知の溶媒の中から媒体として望ましい溶媒を適宜選択して用いることができる。
該媒体として、例えば、水;カルナバロウ、密ロウ等のワックス類;ラノリン等のグリース類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエ-テル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチル、エチレングリコールアセテート、マレイン酸ジブチル、コハク酸ジエチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;ニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;アセトニトリル等のニトリル類;及び、ピリジン類等が挙げられる。
本発明の乳管形成促進剤の媒体としては、5〜50℃において液状であるものが好ましい。この温度において液状であれば、十分に粘度が低い。そのため、ラノリン等の粘度が高く半固形状の媒体よりも、より簡便に植物体に付着させることができる。具体的には、水、ハロゲン化炭化水素類、ケトン類、アルコール類等の水溶性媒体が好ましい。中でも、水やアルコール類等であることがより好ましい。なお、本発明において水溶性媒体とは、水と容易に混和し得る媒体を意味する。
また、本発明の乳管形成促進剤の媒体としては、1種類を用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、水とアルコールとの混合溶液であってもよく、水とケトン類との混合溶液であってもよい。
本発明の乳管形成促進剤中の乳管形成促進作用を有する化合物の濃度は、植物体へ付着させた場合に、乳管形成促進効果を奏するために十分な濃度であればよい。すなわち、乳管形成促進作用を有する化合物の種類、用いる媒体の種類、植物体への付着方法等を考慮して、前記化合物の濃度を適宜決定することができる。
本発明の乳管形成促進剤の剤型は、植物体に付着させることが可能な剤型であれば、特に限定されない。例えば、液剤、水和剤、エマルジョン、懸濁剤、ゾル剤、ペースト剤、シート剤等が挙げられる。植物への付着が簡便であるため、液剤、水和剤、エマルジョン、懸濁剤、ゾル剤等であることが好ましく、液剤であることがより好ましい。
本発明の乳管形成促進剤は、本発明の効果を阻害しない限り、乳管形成促進作用を有する化合物と媒体のほかに、分散剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、保存剤、安定化剤、殺菌剤、殺虫剤、栄養剤等を含有していてもよい。
分散剤としては、例えば、公知の界面活性剤の中から適宜選択して用いることができる。この界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤のいずれであってもよく、1種類を用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましい分散剤としては、例えば、2種以上のアルキレンオキシドのブロック縮重合体、ポリオキシアルキレンエーテル系化合物、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル系化合物、多価アルコール系脂肪酸エステル化合物、ポリオキシアルキレン多価アルコール系脂肪酸エステル化合物、ポリオキシアルキレンアルキルアミン化合物、アルキルアルカノールアミド化合物等が挙げられる。
粘度調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose,CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子の中から適宜選択して用いることができる。特に、カルボキシメチルセルロースを用いることが好ましい。
本発明の乳管形成促進剤は、本発明の効果を阻害しない限り、乳管形成促進作用を有する化合物以外の他の植物ホルモンを含有していてもよい。このような植物ホルモンとして、例えば、オーキシン類、インドール酢酸、ジベレリン、サイトカイニン、アブシジン酸、エチレン、Ethephon、ブラシノステロイド類、フロリゲン、サリチル酸等が挙げられる。
<ラテックス増産方法>
本発明のラテックス増産方法は、本発明の乳管形成促進剤を、ラテックス産生植物の幹又は茎に付着させる工程を有する。本発明の乳管形成促進剤を幹等に付着させることにより、この付着させた部位及びその近傍の乳管の分化形成が促進され、乳管数が増大する。そのことにより、乳管で生産されるラテックス量が増大し、タッピングによって、より大量のラテックスを回収することができる。
本発明において、本発明の乳管形成促進剤を付着させるラテックス産生植物は、ラテックス(主にポリイソプレン)を産生する植物であれば、特に限定されない。例えば、乳管を有しており、乳管中にラテックスが含まれている植物であってもよく、乳管細胞内ではなく細胞間隙中にラテックスが含まれている植物であってもよい。このようなラテックス産生植物として、例えば、トウダイグサ科のパラゴムノキ(Havea brasiliensis)、セアラゴムノキ(Manihot glaziovii)、クワ科のインドゴムノキ(Ficus elastica)、パナゴムノキ(Castilloa elastica)、ラゴスゴムノキ(Ficus lutea Vahl)、マメ科のアラビアゴムノキ(Accacia senegal)、トラガントゴムノキ(Astragalus gummifer)、キョウチクトウ科のクワガタノキ(Dyera costulata)、ザンジバルツルゴム(Landolphia kirkii)、フンツミアエラスチカ(Funtumia elastica)、ウルセオラ(Urceola elastica)、キク科のグアユールゴムノキ(Parthenium argentatum)、ゴムタンポポ(Taraxacum kok−saghyz)、アカテツ科のガタパーチャノキ(palaguium gatta)、バラタゴムノキ(Mimusops balata)、サポジラ(Achras zapota)、ガガイモ科のオオバナアサガオ(Cryptostegia grandiflora)、トチュウ科のトチュウ(Eucommia ulmoides)等が挙げられる。特に、乳管細胞を有するパラゴムノキ、セアラゴムノキ、ゴムタンポポ等であることが好ましく、工業用天然ゴム原料として汎用されているパラゴムノキであることがより好ましい。
本発明のラテックス増産方法は、本発明の乳管形成促進剤を、植物の幹又は茎に付着させる。幹等に付着させることにより、植物における乳管の多い場所へ効率的に乳管形成促進作用を働きかけることができる。付着方法は、乳管形成促進剤を幹に直接付着させることが出来る方法であれば、特に限定されない。例えば、有効成分を水溶性媒体に希釈させた乳管形成促進剤を、刷毛等を用いて直接幹等に塗布してもよく、スプレー等を用いて噴霧してもよい。さらに、注射器等を用いて、幹中に注入させてもよい。また、植物への乳管形成促進剤の付着量は、乳管形成促進作用による効果が得られる量であれば、特に限定されない。すなわち、乳管形成促進剤の有効成分の種類や濃度、付着方法、植物の樹齢や種類等を考慮して、植物への乳管形成促進剤の付着量を適宜決定することができる。
また、塗布期間は、植物において乳管が形成される数ヶ月〜1年程度で十分である。従来法のエチレン刺激による方法の場合には、長期的なエチレン刺激により、幹に悪影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、本発明のラテックス増産方法では、本発明の乳管形成促進剤による処理期間は乳管が形成されるまでの短期間であるため、植物への負担を顕著に軽減することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下「%」とは、特に記載が無い限り、「%(w/v)」を意味する。
[実施例1]<乳管形成促進剤の調製>
プロスタグランジンE1(PGE1、シグマ社製、カタログ番号P8908)、プロスタグランジンE2(PGE2、シグマ社製、カタログ番号P0409)、プロスタグランジンA2(PGA2、シグマ社製、カタログ番号P4547)、及びプロスタグランジンB2(PGB2、シグマ社製、カタログ番号P5390)を、それぞれ有効成分とする乳管形成促進剤を調製した。
具体的には、各PG類を、最終濃度が0.1%となるように、1%CMC溶液を用いて希釈し、得られた0.1%希釈液を乳管形成促進剤として用いた。
<乳管形成促進剤の付着>
スプレーによる噴霧又は刷毛による塗布により、樹齢1年目のパラゴムノキに、上記で調製した乳管形成促進剤を、幹表面に0.1mL/cmとなるように、2ヶ月間にわたり2週間ごとに1回(合計4回)塗布した。1種類の乳管形成促進剤に対して、それぞれ3本の木に対して行った。その後、タッピングにより塗布部分から回収されたゴム(ラテックス)量を測定した。タッピングは2日おきに3回実施し、各回の平均値を、回収されたゴム量とした。なお、コントロール(陰性対照)として、1%CMC溶液を同様にしてパラゴムノキに付着させ、回収したゴム量を測定した。
図1は幹に塗布した乳管形成促進剤の有効成分であるプロスタグランジン類の種類と回収されたゴム量(mg)との関係を示した図である。図中、「Cont」はコントロールを示す。この結果、PGE1、PGE2、PGA2を有効成分とした場合には、コントロールに比べて明らかに回収されたゴム量が増大していた。PGB2を有効成分とした場合にも、他のPG類に比べて少ないものの、コントロールに比べてゴム量が増大していることが確認された。
また、同時に、各パラゴムノキの木における塗布部の乳管数(乳管層の数)を調べた。具体的には、乳管形成促進剤塗布前と、塗布処理開始2ヶ月後のゴムを回収した時点において、それぞれ塗布部の組織切片を作成し、これに対してナイルレッドによる色素染色を行うことにより調べた。
図2は、塗布部の組織切片のナイルレッド染色像を、幹に塗布したプロスタグランジン類の種類ごとに示した図である。上段は塗布前の染色像であり、下段は塗布処理開始2ヶ月後の染色像である。図中、矢頭(▲)は、塗布処理により増加した乳管を示す。
この結果、未処理の木ではいずれも乳管リング(乳管層)数は1本(1層)であった。これに対して、塗布処理開始2ヶ月後では、コントロールでは乳管数は1本であり、特に変化はなかったが、PGE2及びPGA2では乳管リング数が2本、PGE1では乳管リング数が3本となっており、いずれも乳管数が増大し、乳管形成が促進されたことが確認された。また、PGB2では部分的に乳管リング数が2本となっており、やはり、PGB2刺激により乳管形成が促進されることが確認された。
図3は、回収されたゴム量と観察された乳管形成の結果を纏めた図である。図中の数値は、ゴム量(mg)を示す。種類によって程度の差はあれども、いずれのプロスタグランジン類を塗布した場合も、乳管形成が促進され、かつ回収できるゴム量が増大した。また、乳管形成が顕著であったPGE1が最もゴム量が多く、乳管形成と回収されるゴム量は相関することも確認された。
比較例
次に比較例を説明する。ただし、本発明は以下の比較例に限定されるものではない。なお、以下「%」とは、特に記載が無い限り、「%(w/v)」を意味する。
[比較例1]<乳管形成促進剤の調製>
プロスタグランジンH2(PGH2)、プロスタグランジンF2α(PGF2α)、プロスタグランジンD2(PGD2)を、それぞれ有効成分とする乳管形成促進剤を調製した。具体的には、各PG類を、最終濃度が0.1%となるように、1%DMSO溶液を用いて希釈し、得られた0.1%希釈液を乳管形成促進剤として用いた。なお、陽性対照として、ジャスモン酸を有効成分とする乳管形成促進剤を同様に調整して用いた。また、陰性対照として、1%DMSO溶液を用いた。
<乳管形成促進剤の付着>
前述の実施例1と同条件で、上記各乳管形成促進剤、陽性対照および陰性対照を幹表面にそれぞれ塗布した。その後、各パラゴムノキの木における塗布部の乳管数(乳管層、乳管リングの数)を調べた。具体的には、乳管形成促進剤塗布前と、塗布処理開始2ヶ月後のゴムを回収した時点において、それぞれ塗布部の組織切片を作成し、これに対してナイルレッドによる色素染色を行うことにより調べた。
図4は、この比較例1に挙げた化合物に対して観察された乳管形成の結果を纏めた図である。塗布処理開始2ヶ月後において、コントロールでは乳管数は1本であり、PGH2、PGF2α、PGD2でも乳管リング数が1本であった。一方、ジャスモン酸(陽性対照)では、乳管リング数が3本であった。すなわち、比較例1として挙げたPGH2、PGF2α、PGD2では、いずれも乳管数は増大せず、乳管形成が促進されないことが確認された。すなわち、プロスタグランジン類およびその誘導体における乳管形成促進作用に関して、9位にカルボニル基を有するPGE1、PGE2およびPGA2が、9位にカルボニル基を有していないPGH2およびPGF2αよりも優れた乳管形成促進作用を備えていることが確認できた。
以上の結果より、プロスタグランジン類及びその誘導体を有効成分とする本発明の乳管形成促進剤を植物の幹等に付着させることにより、乳管形成が促進され、乳管数を増加させることができ、この結果、ラテックス(ゴム)を増産できることが明らかである。
本発明の乳管形成促進剤及びこの乳管形成促進剤を用いるラテックスの増産方法は、ラテックス産生植物の乳管数(乳管密度)を増大させ、ラテックス産生植物の木本来のラテックス生産能力を向上させることができる。そのため、天然ゴムの産生の分野において、本発明の乳管形成促進剤及びこの乳管形成促進剤を用いるラテックスの増産方法は特に有用である。

Claims (13)

  1. プロスタグランジン類又はその誘導体である1種類以上の化合物を有効成分とする乳管形成促進剤。
  2. 前記化合物が、下記一般式(I)、(II)、及び(III)からなる群より選択される一般式で表される請求項1記載の乳管形成促進剤。
    [式中、Rは単結合又は2価の炭化水素基であり;Rは水素原子又はアルキル基であり;Rは1価の炭化水素基であり;R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は水酸基(但し、R及びRのいずれも水酸基である場合を除く。)である。]
  3. 前記Rが単結合、アルキレン基、又はアルケニレン基であり、前記Rが水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、前記Rがアルキル基又はアルケニル基である請求項1記載の乳管形成促進剤。
  4. 前記Rが単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、又は炭素数2〜8のアルケニレン基であることを特徴とする請求項1記載の乳管形成促進剤。
  5. 前記化合物を、水溶性媒体に溶解又は分散させてなる請求項1記載の乳管形成促進剤。
  6. 請求項1記載の乳管形成促進剤を含むラテックス増産剤。
  7. 請求項1記載の乳管形成促進剤を、ラテックス産生植物の幹又は茎に付着させる工程を有するラテックス増産方法。
  8. 前記植物がパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)である請求項7記載のラテックス増産方法。
  9. プロスタグランジンE1、プロスタグランジンE2、プロスタグランジンA1、プロスタグランジンA2、プロスタグランジンB1、及びプロスタグランジンB2からなる群より選択される1種類以上の化合物を有効成分とする乳管形成促進剤。
  10. 前記化合物を、水溶性媒体に溶解又は分散させてなることを特徴とする請求項5記載の乳管形成促進剤。
  11. 請求項5記載の乳管形成促進剤を含むラテックス増産剤。
  12. 請求項5のいずれかに記載の乳管形成促進剤を、ラテックス産生植物の幹又は茎に付着させる工程を有するラテックス増産方法。
  13. 前記植物がパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)である請求項12記載のラテックス増産方法。
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