JPWO2010137404A1 - 細菌のバイオフィルムを接種した種子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、病害に対する耐性を有する種子の提供、及び病害の防除を目的として種子に微生物を接種する方法を提供することを課題とする。本発明者らは、鋭意研究の結果、バチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種することにより、作物の病害を防除できることを見出し、上記課題を解決した。すなわち、本発明は、バチルス属細菌のバイオフィルムを接種した種子を提供する。また、本発明はバチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種する方法を提供する。

Description

本発明は、バチルス(Bacillus)属細菌のバイオフィルムを接種した種子及び、バチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種する方法に関する。
植物、特に農作物の病害の防除は重要な課題である。近年、化学農薬や肥料の過度の使用により、土壌肥沃度が低下し、その一方で、農薬抵抗性の病原体の出現をもたらしているといわれ、植物の病害の防除は益々重要な課題である。植物の病害の防除の方法として、これまでに、農薬の散布、抵抗性品種の開発などがなされてきた。しかしながら、上述のような悪循環を引き起こすほか、食に対する安全、環境保護が求められる昨今、これらの方法は必ずしも望ましいものではない。
一方、微生物を土壌、種子、根部、塊茎などに導入することにより、病害を防除したり、また、作物の生長を改善したりする試みがなされている。微生物は植物栄養素、生物的賦活剤および生物的殺菌剤を分泌する場合があり、微生物が植物に接種等された際、栄養素、生物的賦活作用、生物的殺菌作用などを提供し、その結果、上記のような効果がもたらされると考えられる。微生物の導入による、植物の病害の防除、あるいは、生長の改善は、安全性、及び環境保護という観点において、望ましく、消費者のイメージもよい。また、時間、費用および手間が農薬や肥料を用いる従来の方法と比較して、低いという点においても優れている。
これまでに、シュードモナス(Pseudomonas)属の種および、一部のグラム陰性菌など、根圏細菌を植物に導入することにより、その植物に誘導全身抵抗性(induced systemic resistance:ISR)を誘発した例が報告されている(非特許文献1)。
一方、バチルス属細菌は、水中や土壌に普遍的に存在し、その特性がよく研究されていると共に、発酵食品や酵素の生産などに用いられており、安全性、環境への影響などが少なく、植物に導入する微生物として望ましい。バチルス属細菌は、好気性、または通性嫌気性の桿菌で通常グラム陽性を示す。環境によっては、前胞子を経て、胞子(芽胞)を形成する。バチルス属の種は高度耐性の芽胞をつくり、広域抗生物質を生成することが知られる(非特許文献2)。バチルス(Bacillus)属の植物への導入に関してはこれまでに報告がない。
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病害に対する耐性を有する種子の提供、及び病害の防除を目的として種子に微生物を接種する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、バチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種することにより、作物の病害を防除できることを見出し、本発明を完成した。本発明は、バチルス属細菌のバイオフィルムを接種した種子を提供する。また、本発明はバチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種する方法を提供する。
図1は、枯草菌RB14のBFコーティング種子、液体振とう培養のコーティング種子、滅菌したBFに液体培養のRB14を添加したコーティングした種子を用いた、R.ソラニK1のプレート上での生育阻害試験結果である。
図2は、枯草菌RB14BFコーティング種子、液体振とう培養のコーティング種子、滅菌したBFに液体培養のRB14を添加したコーティングした種子を用いた、R.ソラニK1のトマト植物における生育阻害試験結果である。
図3は、ホモジナイズされたバイオフィルム中(A)と液中(B)コート接種の枯草菌RB14BFの顕微鏡像。さらに両種子の拡大領域を示す(スケールバーは200μm)。
本発明は、バチルス属細菌のバイオフィルムを接種した種子を提供する。バチルス属細菌は、細菌そのもの、前胞子、胞子(芽胞)、いずれの形態でもよく、また、接種された際に、生存していてもよいし、生存してなくてもよい。バチルス属細菌の種類は限定されず、例として、枯草菌(Bacillus subtilis)、炭疽菌やセレウス菌などを挙げることができるが、本発明においては、とりわけ、枯草菌が好ましく用いられ、さらには、枯草菌の菌株の例として、枯草菌RB14を挙げることができる。枯草菌RB14はリポペプチド抗生物質イチュリンAおよびサーファクチン(非特許文献3、4、5)、を生成することができる桿状グラム陽性土壌細菌として知られる。
バイオフィルムとは、微生物を静置培養することにより得られる、微生物の構造体をいう。バイオフィルムは膜状の構造体である場合が多いが、そのほかの形状をとる場合もある。枯草菌のバイオフィルムについては、様々な報告がなされている(非特許文献8,9,10、11)。バイオフィルムは微生物の自然の状態と考えられ、バイオフィルム中で、微生物は固体または液体表面に存在する細胞外重合物質(EPS)内の共同体で生存すると考えられている。
接種とは、コーティングともいい、種子に接種するとは、バイオフィルムあるいはその他の状態の微生物に種子が接触し、種子に微生物が付着することを指す。バイオフィルムの接種は、種子をバイオフィルムに浸漬する、噴霧する、などして行うことができる。また、接種の際は必要に応じ、撹拌、混合などを加えてもよく、さらに、接種の過程あるいは、接種前後に、温度、圧力、湿度を変化させてもよい。
種子の種類は、植物の種子であれば、なんら限定されることはなく、例えば、トマト、稲、麦、トウモロコシ、アスパラガス、エダマメ、オクラ、カボチャ、キャベツ、キュウリ、コマツナ、ダイコン、タマネギ、ナス、ニンジン、ネギ、ハクサイ、パセリ、ピーマン、トウガラシ、ブロッコリー、ホウレンソウ、メロン、レタスの種子をあげることができる。
本発明の種子は植物の病害を防除するという特徴を有する。特にカビ性の病害を防除し、病害の例としては、門枯れ、株枯れ、立枯れ、根腐れなどを挙げられるが、より具体的には、枝枯病・胴枯病、斑点性の病気(ごま色斑点病、灰斑病、角斑病、褐色円星病、褐色せん孔病、褐斑病、褐紋病、黒枯病、黒星病、黒点病、黒斑病、紫斑病、実炭そ病、炭そ病、白さび病、白星病、心腐れ症(胴枯病菌)、すす斑症、そうか病、つる枯病、つる割病、葉枯病、輪斑病、輪紋病)、灰色かび病、菌核病、花腐菌核病、苗立枯病、白紋羽病、立枯病、いもち病、すそ枯病、フォモプシス腐敗病、萎黄病、果実軟腐病、芽枯病、灰色腐敗病、灰星病、株腐病、乾腐病、茎枯病、黒あざ病、黒とう病、根星斑病、枝膨病、小菌核腐敗病、半身萎ちょう病、萎ちょう病、晩腐病、腐らん病、葉かび病、葉腐病(ブラウンパッチ)、落葉病、球根腐敗病、貯蔵病害(青かび病、緑かび病、軸腐病、炭そ病、黒斑病)、芽枯症、輪紋葉枯病、黒根病、白斑病、苗立枯病、萎縮病、青枯病、うどんこ病、葉かび病、灰色かび病、根茎腐敗病、白斑葉枯病、灰星病、斑点病などを挙げることができる。
また、本発明は、バチルス属細菌を静置培養してバイオフィルムを形成し、前記バイオフィルムに種子を浸漬する工程を含む、バチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種する方法を提供する。
この場合も、バチルス属細菌は、細菌そのもの、前胞子、胞子(芽胞)、いずれの形態でもよく、また、接種された際に、生存していてもよいし、生存してなくてもよい。また、バチルス属細菌の種類は限定されず、例として、枯草菌(Bacillus subtilis)、炭疽菌やセレウス菌などを挙げることができるが、本発明においては、とりわけ、枯草菌が好ましく用いられ、さらには、枯草菌の菌株の例として、枯草菌RB14を挙げることができる。
本発明は作物の病害からの防除を目的として行われる。特にカビ性の病害を防除を目的とすることができ、病害の例としては、門枯れ、株枯れ、立枯れ、根腐れなどを挙げられるが、より具体的には、枝枯病・胴枯病、斑点性の病気(ごま色斑点病、灰斑病、角斑病、褐色円星病、褐色せん孔病、褐斑病、褐紋病、黒枯病、黒星病、黒点病、黒斑病、紫斑病、実炭そ病、炭そ病、白さび病、白星病、心腐れ症(胴枯病菌)、すす斑症、そうか病、つる枯病、つる割病、葉枯病、輪斑病、輪紋病)、灰色かび病、菌核病、花腐菌核病、苗立枯病、白紋羽病、立枯病、いもち病、すそ枯病、フォモプシス腐敗病、萎黄病、果実軟腐病、芽枯病、灰色腐敗病、灰星病、株腐病、乾腐病、茎枯病、黒あざ病、黒とう病、根星斑病、枝膨病、小菌核腐敗病、半身萎ちょう病、萎ちょう病、晩腐病、腐らん病、葉かび病、葉腐病(ブラウンパッチ)、落葉病、球根腐敗病、貯蔵病害(青かび病、緑かび病、軸腐病、炭そ病、黒斑病)、芽枯症、輪紋葉枯病、黒根病、白斑病、苗立枯病、萎縮病、青枯病、うどんこ病、葉かび病、灰色かび病、根茎腐敗病、白斑葉枯病、灰星病、斑点病などを挙げることができる。
以下に本発明の実施例を示す。ただし、本発明は実施例に制限されるものではない。
本実施例では、バチルス属細菌として、枯草菌を用い、これを静置培養してバイオフィルムを形成し、あるいはバイオフィルムの対照として、液体振とう培養液とし、これらをトマト種子に接種し、病原体感染に対する防除効果を観察した。
病原体としては、神奈川県園芸試験場から分離されたリゾクトニア・ソラニK−1(非特許文献6)を用いた。リゾクトニア・ソラニは植物の病原微生物として知られるカビの一種で、特に多種の植物に門枯れ、株枯れ、立枯れ、根腐れなどを引き起こすことが知られる。特にトマトの苗立枯病の特性は、詳細に報告されている(非特許文献7)。
培地組成
枯草菌RB14は、前培養として、改変LB培地(ポリペプトン(Nihon Pharmaceutical社、Tokyo、Japan)10g/L、酵母抽出物(Oriental社、Tokyo)5g/LおよびNaCl 5g/Lを含み、pH7.0に調節)を用い液、体振とう培養を行った。
また、改変LB培地の1.5%寒天(清水食品株式会社)を加えたL寒天プレートを、コロニー形成単位(cfu)計数のために用いた。
枯草菌RB14の本培養には、魚肉タンパク質(Kamaboko company、Odawara、Japanによって提供された)50g/L、グルコース67g/L、KHPO 5g/L、MgSO・7HO 0.5g/L、FeSO・7HO 25mg/L、MnSO・7HO 22mg/LおよびCaCl 184mg/Lを含む培地を用いた。
リゾクトニア・ソラニK1は、ジャガイモ浸出液200g/L、グルコース20g/Lおよびポリペプトン10g/Lを含み、pH5.6に調節したジャガイモデキストロースブロス(PDB)培地で培養した。
枯草菌RB14の培養
枯草菌株RB14(非特許文献4)の凍結ストック溶液(10%グリセロール溶液に−80℃で保存)5mlを改変LB培地に加え、前培養のために1分間に120ストローク(spm)の振盪を加えながら、37℃で16時間インキュベートした。一晩培養した枯草菌RB14の400μlを、200ml三角フラスコ内の40mlの魚肉タンパク質培地に接種した。次に、フラスコを、静的条件下で25℃で3日間した。バイオフィルムは培養液表面に膜として形成された。同様に、120spmの下の30℃で3日間振とう培養し、液体振とう培養液を得た。これはバイオフィルムの対照として以後の実験に用いられた。
R.ソラニK1の培養
R.ソラニK1は、PDA寒天培地上で培養した後、200mlフラスコ内の40ミリリットルのPDBに一部を接種し、28℃の暗所で7日間インキュベートした。
種子に付着したRB14の計測
バイオフィルムあるいは液体振とう培養液を接種した種子に付着しているRB14の細菌数を計測するために、10個の接種済み種子を滅菌ポリプロピレン試験管にとり、1分間撹拌した後に、試験管を0.85%NaClで連続希釈してL寒天プレート上に広げた。プレートを37℃で16時間インキュベートし、コロニー数を数えた。
土壌中のRB14の計測
土壌中の生存するRB14の計測のためには、RB14を含有する3gの土壌を、50ml三角フラスコ内の8mlの0.85%NaCl溶液(pH7.0)に懸濁して、150spmで15分間振とうし、先に述べたL寒天プレートを用いて生存するRB14を計測した。
土壌の調製
土壌として10.5%全炭素および0.6%全窒素を含有する、pH4.2の市販の黒色土壌(Nittai社、Tokyo、Japan)を用いた。土壌は4:1(w/w)の比でバーミキュライトと混合し、調製土壌をポリプロピレンの袋に入れて、12時間間隔で3回、121℃で20分間加圧滅菌した。その後、土壌を肥料で改良し:N−0.04%、P−0.09%、K−0.06%、Ca−0.06%、Mg−0.06%、Fe−0.001%、滅菌蒸留水(SDW)を加えて最大容水量の約60%にした。
液体振とう培養液の接種
上記培養での通り培養された液体振とう培養液30mlを、4℃で10分間10,000×gで遠心分離し、培養液中の細菌細胞の密度を、約10cfu/mlに調製した。それに滅菌トマト種子を15分間に浸し、種子を30℃の暗所で3日間、2%寒天プレート上で発芽させた。
バイオフィルムの接種
上記の通り培養されたバイオフィルムを含む魚肉タンパク質培地から界面のバイオフィルムを収集した。2g湿重量の新しいバイオフィルムを8ml滅菌水と混合し、Physcotronホモジナイザ(NS−310E、NITI−ON社、Tokyo、Japan)を用いて15秒間ホモジナイズし、このホモジナイズした試料を用いて種子にコーティングした。ホモジナイズしたバイオフィルム中の細菌細胞の密度は、10cfu/mlであった。トマト種子を接種材料中に15分間浸し、上記と同様に種子を発芽させた。なお、加圧滅菌したバイオフィルムはXXXXのように調製された。
対照(コントロール)となる種子の調製
トマト種子は70%エタノールで、次に0.5%次亜塩素酸ナトリウムで消毒した。滅菌水で数回すすいだ。上記と同様に発芽させた。
植物栽培試験
滅菌土壌(150g)を、直径約90mm、高さ80mmのプラスチックポットに入れた。各ポットに9個の発芽種子を播種して、16時間の光(約6,000ルクス)条件下の、90%相対湿度を有する30℃の生育箱の中に置いた。
感染土壌を用いた実験では、病原真菌R.ソラニ株K1で感染した土壌を用いた。すなわち、PDBの表面に形成したR.ソラニの菌糸体マットを、滅菌水中でホモジナイザ(ACEホモジナイザ、Nihonseiki社、Tokyo、Japan)によって4,000rpmで2分間ホモジナイズし、発芽トマト種子を播種する6日前に土壌に接種した。接種材料は、土壌100gにつき菌糸体1gの投与量で土壌に導入した。
統計分析
各植物試験は4回繰り返し、各データ平均をフィッシャーの分散分析によって分析した。
土壌中のイチュリンAの測定
各ポットからの土壌(3g)を、50ml三角フラスコ内の21mlの溶媒[アセトニトリルおよび3.8mmトリフルオロ酢酸(4:1 v/v)]に懸濁し、室温で1時間振盪機(140spm)内に保った。土壌懸濁液をワットマンno.2ろ紙(Advantec社、Tokyo、Japan)でろ過し、ろ液を蒸発乾固させた。沈殿物を2mlのメタノールに溶解し、1.5mlエッペンドルフ試験管に分配した。溶液を、15,000×gで2分間遠心分離した。上清を、0.2μmポアサイズのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(Advantec社)によってろ過した。ろ過した溶液を、ODSカラム(Chromolith Performance RP−18e 100−4.6、Merck KgaA社、Darmstad、Germany)で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量化した。イチュリンAの測定のために、システム(LC−800システム、JASCO社、Tokyo、Japan)を2.0ml/分の流速で作動させ、アセトニトリル:10mm酢酸アンモニウム(35:65v/v)の溶離液により、205nmでモニタリングした。
プレート上での真菌抑制評価
試験はジャガイモデキストロース寒天培地(PDA)プレートの上で実施し、真菌病原体の小さなマットを中央に置き、次にバイオフィルムあるいは液体振とう培養液を接種した種子を側に植え、プレートを、28℃の静的条件で5日間インキュベートした。真菌の増殖の阻害は、後に阻止円のサイズ(mm)を測定することによって評価した。また、殺菌した種子を、対照として植えた。供試真菌の増殖は、式:(a1−a2/a1)×100を用いて百分率(%)で計算し、式中、a1は抗菌なしの場合の真菌の増殖(直径測定値から面積として計算される)(陰性対照)を表し、a2は、RB14の投与下の真菌の増殖である。測定値を100から引いて、増殖阻害率を求めた。
結果
プレート上での阻害活性
バイオフィルム、液体振とう培養液、あるいは加圧滅菌したバイオフィルムを接種した種子のプレート上での阻害活性の比較を、図1に示す。バイオフィルムを接種した種子は、最も高い阻害率(34%)を示した。液体振とう培養を接種した種子は、28%の病原体阻害を可能にした。そして加圧滅菌したバイオフィルムを接種した種子は、約30%の阻害率を示した。対照種子は、阻害活性を示さなかった。
植物実験
図2は、バイオフィルム、液体振とう培養液、あるいは加圧滅菌したバイオフィルムを接種した種子をR.ソラニ感染土壌に使用したときの、植物試験におけるトマト苗の真菌増殖阻害を示す。対照とした種子をR.ソラニ感染土壌に播種した場合は、植物の77%が苗立枯病を起こした。液体振とう培養を接種した種子は、苗立枯病は30%であり、バイオフィルムを接種した種子では、苗立枯病は6%と、顕著に減少していた。
顕微鏡解析
図3は、バイオフィルムおよび液体振とう培養を接種した種子表面の顕微鏡画像を示す。図3Aはバイオフィルムを接種した種子、頭3Bは液体振とう培養を接種した種子である。バイオフィルムを接種した種子は細胞の凝集塊を含んでいるが、液体振とう培養を接種した種子は主に分散細胞を含むことが観察された。バイオフィルムは多量の多糖類を含んでいるため、種子表面への細胞の付着がより強固であるためこのような結果が得られたと推測される。
枯草菌数及びイチュリンA濃度
バイオフィルム、液体振とう培養液、あるいは加圧滅菌したバイオフィルムを接種した種子の枯草菌数およびイチュリンA濃度を測定した結果を表1に示す。
各種子は接種後1〜2×10個程度の枯草菌を有していた。これらを播種した後、土壌中の枯草菌は1〜2×10cfu/gとなった。バイオフィルムを接種した種子では液体振とう培養でコーティングした種子よりも2倍多くの細胞を有しており、播種後の土壌中でも2倍程度の菌数が観察された。枯草菌は、リポペプチド抗生物質のイチュリンAを生成することが知られている。土壌中のイチュリンAを測定したところ、種子播種の前には土壌中にイチュリンAは存在していなかったが、最終的な刈り取り時までにはかなりの量のイチュリンAがトマト植物の根部から測定された(表1)。
以上の結果より、枯草菌RB14のバイオフィルムを接種した種子が、R.ソラニK1の増殖および生長に対する直接阻害効果を有し、それによってトマト植物の苗立枯病を抑制したことが示された。この活性は、リポペプチド抗生物質、特にイチュリンAの生成とバイオフィルムに存在するEPSに起因したものと推測される。また、本実施例は、枯草菌のバイオフィルムを接種した種子が、病害の防除に効果があることを示すものであり、特にカビ性の病害であれば、R.ソラニK1に対するのと同様の効果があるものと示唆される。
この出願は2009年5月28日に出願された日本国特許出願番号2009−128816からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。

Claims (5)

  1. バチルス(Bacillus)属細菌のバイオフィルムを接種した種子。
  2. バチルス属細菌が枯草菌(Bacillus subtilis)である請求項1の種子。
  3. バチルス属細菌を静置培養してバイオフィルムを形成し、前記バイオフィルムに種子を浸漬する工程を含む、バチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種する方法。
  4. バチルス属細菌が枯草菌である請求項3に記載のバチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種する方法。
  5. 作物の病害からの防除を目的として行う請求項3または4のいずれかに記載のバチルス属細菌のバイオフィルムを種子に接種する方法。
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