JPWO2010134536A1 - 導電膜パターンおよび導電膜パターンの形成方法 - Google Patents

導電膜パターンおよび導電膜パターンの形成方法 Download PDF

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Abstract

膜厚のばらつき及び表面の平坦性に優れ、基材との十分な密着性を有する導電膜パターンを、複雑、高価な設備、工程を必要とせずに形成する導電膜パターン及びその形成方法であって、金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、前記インクが正(または負)のゼータ電位を示すものであり、前記基材のインク被配置面に、負(または正)の電荷を有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする。

Description

本発明は、インクジェット法を利用した導電膜パターンの形成方法とそれにより形成された導電膜パターンに関する。
銀ナノインクなど、金属微粒子が分散された液体をインクとして用い、インクジェット法により所望のパターンが形成されるように基材上に吐出し、乾燥又は焼成させることで、電子回路の配線や電極などの導電膜パターンを形成する技術が知られている。これら導電膜パターンは従来、主にフォトリソグラフィー法により製造されてきたが、多数の複雑な工程や大掛かりな設備を必要とし、材料の使用効率も低く、製造コストが高いものであった。一方で、インクジェット法を用いると、工程が簡略であり、材料やエネルギーの使用量も比較的少量で済むことから、低コストで微細な配線パターンの形成が可能な技術として注目を集めている。
ところで、銀ナノインクのような微粒子分散溶液のパターンが固体上で乾燥する際には、一般的にマランゴニ効果、あるいはコーヒーステイン効果として知られる現象により、乾燥後の膜厚の不均一化が起こる場合がある。この現象は、液が乾燥する際の濃度勾配や気化熱による温度勾配に起因する表面張力の不均一化によって発生する対流に基づくものであるのだが、金属微粒子含有インクを用いて導電膜パターンを形成する際にこの現象が起こると、形成された膜厚の不均一、表面の非平坦化が生じてしまい、高周波特性の低下や比抵抗の増大、さらに程度が甚だしい場合は断線の発生にもつながるため、導電性パターンの性能や信頼性向上を図る上で懸念点の一つとなっていた。
そこで、特許文献1には、液滴の乾燥過程における対流を抑制するために、乾燥時の液滴の頂点部や周辺部の温度制御を行い、一様な膜を形成する旨の記載がある。
また、形成される配線の信頼性向上や微細化を行うために、基材表面に予めプライマー層を設けておき形成する配線パターンと基材との密着性を向上させたり(例えば、非特許文献1)、インクの浸透性がない基材上に配置された液滴の過剰な濡れ広がりを抑制するため、基材表面とインクとの接触角を所望の値に調整するような表面処理を行ったり(例えば、特許文献2)することが知られている。
さらに、受容層を有する基材上にインクジェット方式により金属コロイド粒子を含んだインクを吐出してパターンを形成する技術が知られている(例えば、特許文献3)。
特開2005−144324号公報 特開2008−159719号公報 特開2000−311527号公報
「表面技術」誌 Vol.59、No.11、732−736(2008)
特許文献1記載の方法は、乾燥時の液滴の頂点あるいは周辺部の温度を制御することで対流を抑制させるものであるが、実際に対流を抑制させるためには極めて高い精度での温度制御が必要となるばかりでなく、基材上の液滴がさまざまな形状、大きさのパターンを形成している場合、対流の抑制される温度条件は必ずしも全てが同じというわけでなくパターンの大きさによって異なるため、この方法により膜厚の均一化を達成させることは現実的でない。
また、基材上にプライマー層を設けることにより、基材と形成されたパターンとの密着性を向上させることは可能となるものの、膜厚のばらつきを抑制する効果を有するものはこれまで知られていなかった。
また、基材表面とインクとの接触角を所望の値に調整するような表面処理を行うことにより、基材上でのインクの過剰な濡れ広がりを抑制してインクの微細なパターンを形成することが可能となるものの、インクの乾燥後の膜厚のばらつきを抑制することはできなかった。
また、基材上にインク受容層を設けると、受容層内へインクが浸透して、元の液滴の形と大きさを保ったドットを形成することが可能となるものの、受容層自体は微細な多孔構造を有するものであるため、形成される導電膜には必然的に凹凸形状が生じてしまうという問題がある。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、膜厚のばらつきが少なく、表面の平坦性に優れ、基材との十分な密着性を有する導電膜パターンを、複雑、高価な設備、工程を必要とせずに形成する導電膜パターン及びその形成方法を提供することにある。
本発明の上記課題は下記の構成により達成することができた。
1.金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、
前記金属微粒子含有インクが負のゼータ電位を示すものであり、
前記基材のインク被配置面に、正の電荷を有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする導電膜パターン。
2.金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、
前記金属微粒子含有インクが負のゼータ電位を示すものであり、
前記基材のインク被配置面に、カチオン性化合物を含有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする導電膜パターン。
3.前記プライマー層が、第1級〜第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、第4級ホスホニウム塩基、あるいはスルホニウム塩基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有しているものであることを特徴とする前記1または2記載の導電膜パターン。
4.金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、
前記金属微粒子含有インクが正のゼータ電位を示すものであり、
前記基材のインク被配置面に、負の電荷を有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする導電膜パターン。
5.金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、
前記金属微粒子含有インクが正のゼータ電位を示すものであり、
前記基材のインク被配置面に、アニオン性化合物を含有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする導電膜パターン。
6.前記プライマー層が、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、硝酸基、炭酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、およびこれらの誘導体、から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有しているものであることを特徴とする前記4または5記載の導電膜パターン。
7.前記基材は、前記金属微粒子含有インクの浸透性を実質的に有さないことを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の導電膜パターン。
8.インクジェット装置により前記金属微粒子含有インクを基材上に配置することを特徴とする前記1〜7の何れか1項に記載の導電膜パターン。
9.前記インクジェット装置が、吐出孔を有するノズルプレート、吐出孔に連通する圧力室、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧力発生素子、及び圧力発生素子に電圧を印加する駆動電圧印加手段、を具備する液体吐出ヘッドから液滴を吐出させる装置であることを特徴とする前記8記載の導電膜パターン。
10.前記インクジェット装置が、さらに静電電圧印加手段を有し、前記圧力変動に加えて静電力も利用して液滴を飛翔させることを特徴とする前記9記載の導電膜パターン。
11.負のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを、正の電荷を有するプライマー層の形成された基材上に配置する工程と、焼成工程と、を有することを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
12.負のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを、カチオン性化合物を含有するプライマー層が設けられた基材上に配置する工程と、焼成工程と、を有することを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
13.前記プライマー層が、第1級〜第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、第4級ホスホニウム塩基、あるいはスルホニウム塩基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有しているものであることを特徴とする前記11または12記載の導電膜パターンの形成方法。
14.正のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを、負の電荷を有するプライマー層の形成された基材上に配置する工程と、焼成工程と、を有することを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
15.正のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを、アニオン性化合物を含有するプライマー層が設けられた基材上に配置する工程と、焼成工程と、を有することを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
16.前記プライマー層が、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、硝酸基、炭酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、およびこれらの誘導体、から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有しているものであることを特徴とする前記14または15記載の導電膜パターンの形成方法。
17.前記基材は、前記金属微粒子含有インクの浸透性を実質的に有さないことを特徴とする前記11〜16の何れか1項に記載の導電膜パターンの形成方法。
18.インクジェット法により前記金属微粒子含有インクを基材上に配置することを特徴とする前記11〜17の何れか1項に記載の導電膜パターンの形成方法。
19.前記インクジェット法が、吐出孔を有するノズルプレート、吐出孔に連通する圧力室、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧力発生素子、及び圧力発生素子に電圧を印加する駆動電圧印加手段、を具備する液体吐出ヘッドから液滴を吐出させる方法であることを特徴とする前記18記載の導電膜パターンの形成方法。
20.前記インクジェット法が、さらに静電電圧印加手段を有し、前記圧力変動に加えて静電力も利用して液滴を飛翔させる方法であることを特徴とする前記19記載の導電膜パターンの形成方法。
本発明によれば、膜厚のばらつきが少なく、表面の平坦性に優れ、基材との十分な密着性を有する導電膜パターンを、複雑、高価な設備、工程を必要とせずに形成することができる。
すなわち、金属微粒子含有インクを基材上に配置して乾燥させることにより導電膜パターンを形成する際に、インクのゼータ電位とは逆の極性の電荷を有するプライマー層を基材上に予め設けておくことにより、形成される導電膜パターンの膜厚のばらつきを低減させることができる。
本実施形態に係るインクジェット記録装置の内部構成を示す斜視図である。 本発明に好ましく用いられる、静電力を利用した液滴吐出装置(インクジェット装置)の全体構成を示す模式図である。 本発明に用いられるインクジェットヘッドの一例として、マルチノズルヘッドを示す図である。 マルチノズルヘッドの断面図の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明者は、種々の金属微粒子含有インク滴を種々のプライマー層が形成された基材上に配置し、その乾燥後の膜物性についての詳細な検討を行った結果、特定の物性の金属微粒子含有インクと特定の性質を有するプライマー層を組み合わせた場合に、形成される導電膜の膜厚の均一性が向上することを見出したものである。
すなわち、インク中に分散されている金属微粒子は、正または負のゼータ電位を示す電荷を有しており、この電荷の作用で安定に分散されているのであるが、プライマー層の形成された基材上に配置された際に、インクとプライマー層の相互作用によりゼータ電位の絶対値が低下し、金属微粒子の分散安定性が低下したことで凝集、沈殿の生成が促進されたため、乾燥時における「コーヒーステイン効果」の影響を受けにくくなり、膜厚の均一性が向上したものだと推察するものである。尚、ここで言う「コーヒーステイン効果」とは、形成されたドットの周辺部の濃度が濃く、逆に中央部の濃度が薄いムラを生じさせることである。
具体的には、まず、インクとして負のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを用いる場合は、プライマー層が
正の電荷を有する、又は、
正の電荷を持つ官能基を有する、又は、
正の電荷を持つ化合物が含有されている、又は、
カチオン性化合物が含有されている
場合に、プライマー層と、プライマー層上に配置されたインクとの相互作用によりインクのゼータ電位の絶対値が低下し、金属微粒子の分散安定性が低下することで凝集、沈殿の生成が促進され、乾燥後の膜厚の均一性が向上する。
一方、インクとして正のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを用いる場合は、プライマー層が
負の電荷を有する、又は、
負の電荷を持つ官能基を有する、又は、
負の電荷を持つ化合物が含有されている、又は、
アニオン性化合物が含有されている
場合に、プライマー層と、プライマー層上に配置されたインクとの相互作用によりインクのゼータ電位の絶対値が低下し、金属微粒子の分散安定性が低下することで凝集、沈殿の生成が促進され、乾燥後の膜厚の均一性が向上する。
インクジェット法で用いられる微粒子分散インクとしては、従来から、主にホームユース、オフィス用途の分野で画像印刷などの利用を想定した、各種色材を含有させた着色樹脂微粒子分散インク、いわゆる顔料インクが知られていた。そして、ゼータ電位などの各種のインク物性を規定することによりさまざまな技術課題が改善されてきたことは、特に例を挙げるまでも無く良く知られたことである。しかし、本発明の分野と大きく異なるのは、ホームユース、オフィス用途では記録媒体として主に紙が用いられている点である。紙は、それがインク受容層の設けられたインクジェット専用紙である場合や、そうでないいわゆる普通紙である場合に関わらず、インク吸収性を有しているものであるため、インクは乾燥すると同時に吸収されることによって紙に定着する。従って、前記した「コーヒーステイン効果」による現象は発生しない、もしくは解決しなければならないほどの課題となるほど顕著にはならなかった。一方で、本発明が用いられる回路配線や電極などが形成される基材は、通常はインクなどの液体の浸透性を実質的に有さないものであるため上記の「コーヒーステイン効果」が顕著に現れる場合があり、さらに形成される導電膜パターンに要求される形状や厚みの精度が、画像印刷で用いられる場合よりも極めて高いものであるため、解決すべき課題となりうるのである。そして、この課題を解決する手段を提供するために本発明がなされたのである。
〈金属微粒子分散インク(金属ナノインク、銀ナノインク)〉
本発明において用いられる金属微粒子分散インク(以下、金属ナノインク、銀ナノインク又は単にインクとも言う。)は、金属微粒子と、分散剤、溶媒を含有するものであり、金属微粒子が、インク中で共存する各種の分散剤(以下、保護剤とも言う。)の作用、特に電気的反発力の作用によって溶媒中に安定に分散されているものである。このインクは、使用されている分散剤の種類によって正あるいは負のゼータ電位を示すものである。
インクのゼータ電位は、用いられる金属微粒子の製造方法、分散方法、分散剤の種類、分散液のpH調整、などにより調整することができる。
金属微粒子としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、銅、ニッケル、コバルト、鉄、錫、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウムなどの金属、あるいはこれらの合金を用いることができ、特に、金、銀、パラジウム、銅を用いることが好ましい。金属微粒子の形状や大きさは特に限定されるものではないが、平均粒径が1nm以上100nm以下のものが好ましく用いられる。
金属ナノ粒子の製造方法としては、大きく二つに分類されている。一つは物理法で、もう一つは化学法である。物理法は、一般にバルク金属を粉砕して金属ナノ粒子を製造する方法であり、化学法は金属原子を発生させてその凝集を制御して作製する方法である。
化学法は大きくは、液中で行われる湿式法と、空気中もしくは減圧雰囲気中で行われる乾式法に分類される。湿式法として、よく知られている化学還元法は、金属イオン溶液に還元剤を添加すること、もしくは、還元剤を含む金属塩溶液を加熱することで、金属イオンを還元し、ナノ粒子を生成する手法である。湿式法を用いた金属ナノインク(例えば銀インク或いは銀合金インク)を作製しているメーカーには、住友電工、日本ペイントなどが挙げられる。インクの作製方法については、特許第3933138号公報などが挙げられる。
乾式法としてはガス中蒸発法が知られている。ガス中蒸発法は、不活性ガス中で金属を蒸発させ、ガスとの衝突により冷却凝集させてナノ粒子を生成する方法である。乾式法の方が湿式法よりも粒径を小さくできることが知られており、乾式法では数nm程度の粒径も可能である。この方法を用いた金属ナノ粒子含有インクを作製しているメーカーには、ハリマ化成(株)等が挙げられる。
分散剤は、インク中で金属微粒子に吸着して、金属微粒子を安定に分散させる作用を有するものである。分散剤として用いられる化合物の例として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸リチウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムなどの有機酸塩、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトブタン酸などのメルカプト酸、メルカプト酢酸ナトリウム、メルカプトプロピオン酸ナトリウム、メルカプトコハク酸ナトリウムなどのメルカプト酸塩、アミン、アルカノールアミン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリウレタンとアルカノールアミンなどとのブロック共重合体、等を挙げることができる。
溶媒は、金属微粒子の分散媒となるものであり、金属微粒子との親和性や、インクジェット用インクとして用いられる場合に必要とされる粘度や表面張力などの物性値の調整のため、必要に応じて各種の液体組成物を用いればよい。本発明において用いられる溶媒の例としては、水、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、トルエン、キシレン、デカリン、シクロドデセン、テトラデカン、などを挙げることができる。これらのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いても良い。
本発明においては、インクのゼータ電位が正である場合と負である場合とで、導電膜パターンを形成する基材上に異なる電荷を有するプライマー層を設けることを特徴としているものであるが、いずれの場合も、金属インクが基材上に配置された際に、プライマー層の作用によって金属インクの示すゼータ電位の絶対値が低下して金属微粒子の分散安定性が低下し、凝集や沈殿の生成が促進される現象を利用するものである。この観点から、本発明の効果をよく発現するためには、金属インクの示すゼータ電位の絶対値は100mV以下であることが好ましい。また、金属インク自体の分散安定性の観点から、ゼータ電位の絶対値は10mV以上であることが好ましい。
ゼータ電位の測定には、公知の各種の測定方法、装置を用いることができるが、例えば、大塚電子(株)製の「ELSZ−1」などを用いることができる。
本発明において用いられる金属インク中における金属微粒子の濃度は、用途に応じて適宜調整して使用することができるが、例えば、2〜50質量%とすることができる。
また、本発明において、金属インクをインクジェット法で用いる場合は、インクジェットヘッドからの吐出状態を良好なものとし、かつ基材上に配置された際に適度な濡れ広がり性を示すという観点から、インクの表面張力を20mN/m以上50mN/m以下の値に調整することが好ましい。また、インクの粘度を3mPa・s以上30mPa・s以下とすることが好ましい。
さらに、本発明の金属インクを静電力を利用したインクジェット法で用いる場合は、ヘッドからの吐出をより安定なものとし、吐出されたインク滴の基材上への配置される位置のばらつきを低減させるという観点から、インクの電気伝導度を0.1μS/cm以上、1000μS/cm以下とすることが好ましい。
〈基材〉
本発明で用いられる基材は、用途に応じて適宜選択して使用すればよいが、インクの浸透性を実質的に有さないものが好ましく用いられる。インクの浸透性を有さない基材を用いることにより、形成される導電膜パターンの基材側表面の平坦性を優れたものとすることが可能となる。
本発明で用いられる基材の例としては、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルム、ガラス−エポキシ基材、シリコン基材、セラミックス基材、ガラス基材等が挙げられる。
本発明で用いられる樹脂フィルムの材質としては、特に限定はないが、例えば、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR社製))、ゼオネックス、ゼオネア(以上、日本ゼオン社製)、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリアクリレート系フィルム、ポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。これらの素材を主成分とする異なる材質のフィルムを積層したフィルムであってもよい。
〈プライマー層〉
本発明で用いられるプライマー層は、基材表面に設けられており、金属微粒子含有インクが配置された際にその分散安定性を低下させ、インク中に含有されている金属微粒子の凝集を促進させる作用を有するものである。
尚、本発明のプライマー層には、多孔質膜等の層は包含されない。
本発明で用いられるプライマー層は、配置される金属微粒子含有インクのゼータ電位の極性に応じて、大きく2種類に分けられる。
(カチオン性のプライマー層)
第1種類目は、配置される金属微粒子含有インクが負のゼータ電位を示す場合に用いられるものであり、この場合プライマー層は正の電荷を有していることを特徴とする。
また、本発明で用いられるプライマー層は、正の電荷を有する組成物により形成されていることを特徴とする。
また、本発明で用いられるプライマー層は、カチオン性化合物を含む組成物により構成されていることを特徴とする。
また、本発明で用いられるプライマー層は、カチオン性の官能基を有する化合物を含む組成物により構成されていることを特徴とする。
また、本発明で用いられるプライマー層は、第1級〜第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、第4級ホスホニウム塩基、あるいはスルホニウム塩基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含む組成物により構成されていることを特徴とする。
本発明で用いられるプライマー層の好ましい一例は、カチオン性化合物としてカチオン性高分子化合物やカチオン性界面活性剤が含有された形態をとることを特徴とする。
本発明において好ましく用いられるプライマー層含有化合物として、高分子アミン化合物を挙げることができる。ここで高分子アミン化合物とは、主鎖又は側鎖に第1級〜第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を有する高分子化合物であり、さらに他の官能基を有する構造をとっていてもよい。高分子アミン化合物の具体例としては、ポリエチレンイミン及びその誘導体、ポリプロピレンアミン、ポリビニルアミン及びその誘導体、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリエーテルアミン、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチンなどを挙げることができる。これらの高分子アミン化合物は単独で使用しても良いし、あるいは複数の化合物を併用しても良い。
高分子アミン化合物は市販品でも使用可能であり、例えば、日東紡績製のPAS−21CL、PAS−M−1L、PAS−M−1、PAS−22SA、PAS−M−1A、PAS−H−1L、PAS−H−5L、PAS−H−10L、PAS−92、PAS−92A、PAS−2401、PAS−2201CL、PAS−A−1、PAS−A−5、PAS−J−81L、PAS−J−81、PAS−880などをあげることができる。
高分子アミン化合物のなかで好ましく用いられる化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンを挙げることができ、ポリアリルアミンを用いることが特に好ましい。ポリアリルアミンは市販品でも使用可能であり、例えば、日東紡績製のPAA−01、PAA−03、PAA−05、PAA−08、PAA−15、PAA−15B、PAA−10C、PAA−25、PAA−H−10C、PAA−03−E、PAA−HCl−01、PAA−HCl−03、PAA−HCl−05、PAA−HCl−3L、PAA−HCl−10L、PAA−H−HCl、PAA−HCl−3S、PAA−HCl−10S、PAA−SA、PAA−D11−HCl、PAA−D41−HCl、PAA−D19−HCl、PAA−D19A、PAA−1112CL、PAA−1112などを挙げることができる。
本発明で用いられるカチオン性高分子化合物は、重量平均分子量が300〜500000の範囲内にあるものが好ましく、さらに500〜100000の範囲内にあるものがより好ましい。重量平均分子量が300より大きくすることにより、プライマー層として用いた場合に、導電膜パターンと基材との密着性が良好となるため好ましい。また、重量平均分子量が500000より小さくすることによりプライマー層を形成する際の塗布液の粘度が高くなり過ぎず取り扱いが容易となり、均一なプライマー層を形成することが出来るため好ましい。
また、本発明においては、プライマー層にカチオン性界面活性剤が含有されていても良い。本発明で用いられるカチオン性界面活性剤は、特に限定されることは無く、公知のカチオン性界面活性剤を使用することができる。例えば、疎水基として高級アルキル基、高級脂肪酸、複素環又は芳香環を含むアルキル基などを有し、親水基として第4級アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩などを有する、任意の分子量を有する化合物を用いることができる。また、カチオン性界面活性剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いても良い。さらに、カチオン性界面活性剤をカチオン性高分子化合物、特に高分子アミン化合物と併用してプライマー層を構成する形態も好ましく用いられる。
(アニオン性のプライマー層)
次に、本発明で用いられるプライマー層の第2種類目について説明する。第2種類目は、配置される金属微粒子含有インクが正のゼータ電位を示す場合に用いられるものであり、この場合プライマー層は負の電荷を有していることを特徴とする。
また、本発明で用いられるプライマー層は、負の電荷を有する組成物により形成されていることを特徴とする。
また、本発明で用いられるプライマー層は、アニオン性化合物を含む組成物により構成されていることを特徴とする。
また、本発明で用いられるプライマー層は、アニオン性の官能基を有する化合物を含む組成物により構成されていることを特徴とする。
また、本発明で用いられるプライマー層は、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、硝酸基、炭酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、およびこれらの誘導体、から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含む組成物により構成されていることを特徴とする。
本発明で用いられるプライマー層の好ましい一例は、アニオン性化合物としてアニオン性高分子化合物やアニオン性界面活性剤が含有された形態をとることを特徴とする。
本発明において好ましく用いられるプライマー層含有化合物の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、などを挙げることができる。
本発明で用いられるアニオン性高分子化合物は、重量平均分子量が300〜500000の範囲内にあるものが好ましく、さらに500〜100000の範囲内にあるものがより好ましい。重量平均分子量が300より大きくすることにより、プライマー層として用いた場合に、導電膜パターンと基材との密着性が良好となるため好ましい。また、重量平均分子量が500000より小さくすることによりプライマー層を形成する際の塗布液の粘度が高くなり過ぎず取り扱いが容易となり、均一なプライマー層を形成することが出来るため好ましい。
また、本発明においては、プライマー層にアニオン性界面活性剤が含有されていても良い。本発明で用いられるアニオン性界面活性剤は、特に限定されることは無く、公知のアニオン性界面活性剤を使用することができる。本発明で用いられるアニオン性界面活性剤の例として、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等を挙げることができる。また、アニオン性界面活性剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いても良い。さらに、アニオン性界面活性剤をアニオン性高分子化合物と併用してプライマー層を構成する形態も好ましく用いられる。
(プライマー層に含有されるその他の組成物)
また、本発明で用いられるプライマー層では、使用される金属インクのゼータ電位が正負いずれの場合においても、上記の他に各種化合物を含有させることができる。その化合物の例として、非イオン性高分子化合物、フッ素系界面活性剤、無機塩、有機塩などが挙げられる。
〈非イオン性高分子化合物〉
本発明のプライマー層に非イオン性高分子化合物を含有させることにより、本発明の効果、即ち、導電膜パターンの膜厚の均一性、を損ねることなく、導電膜パターンと基材との密着性を向上させることが可能になる場合があり、好ましく用いられる。
本発明で用いられる非イオン性高分子化合物の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、多糖類、ラテックスなどを挙げることができる。
〈フッ素系界面活性剤〉
本発明のプライマー層にフッ素系界面活性剤を含有させることにより、プライマー層上に配置された金属インクの濡れ広がりを所望の程度に制御することができ、金属インクにより形成されるパターンの大きさや形状を精度の良いものにすることができる。特に、微細なパターンを形成する場合に好ましく用いられる。
本発明のプライマー層に用いられるフッ素系界面活性剤は、アニオン型、ノニオン型、カチオン型のいずれでもよく、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基・(親水性基。親油性基)含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基・親油性基含有ウレタン、パーフルオロアルキル燐酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルアミン化合物、パーフルオロアルキル第四級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルベタイン、非解離性パーフルオロアルキル化合物、フッ素シリコーンオイルなどフッ素原子含有の低分子化合物が挙げられる。
市販のフッ素系界面活性剤としては、大日本インキ製造(株)製メガファックF−110、同F−120、同F−142D、同F−144D、同F−177、同F−191、住友スリーエム(株)製フロラードFC−93、同FC−95、同FC−129、同FC−170C、同FC−171、同FC−430、同FC−431、三菱金属(株)製エフトップEF−122B、同EF802等が挙げられる。
〈無機塩、有機塩〉
本発明のプライマー層においては、各種の有機塩あるいは無機塩を含有される形態も好ましく用いられる。本発明で用いられる有機塩及び無機塩は、前記金属インクの溶媒の存在下でイオンを生じる性質を有するものである。この性質を有する有機塩あるいは無機塩がプライマー層に含有されている場合、プライマー層へインクが配置された際にプライマー層に含有されている塩が乖離してイオンを生じる。そうすると、配置されたインク中のイオン濃度が増加することになるため、インク中に分散されている金属微粒子の分散安定性が低下し、凝集、沈殿の生成が促進される。結果として、金属微粒子の乾燥後の膜厚の均一性が向上することになり、本発明の効果がより一層顕著に発現されるのである。
この観点から、本発明で用いられる有機塩及び無機塩は、金属微粒子含有インク中で乖離して陽イオン及び陰イオンの形態を生じるものであれば特に種類は問わず、使用するインクの種類やプライマー層の種類に応じて適切なものを使用すればよい。例えば、金属微粒子インクの溶媒として水が含まれている場合は、プライマー層に含有される有機塩及び無機塩は水溶性のものが用いられる。
本発明で用いられる有機塩の例としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、サリチル酸などの塩、などを挙げることができる。
本発明で用いられる無機塩の例としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リン、チタン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛などの各種塩類、第4級アンモニウム塩、などを挙げることができる。
〈基材へのプライマー層の形成方法〉
本発明において用いられるプライマー層は、基材表面のうち、インクが配置される片面のみに形成させても、両面に形成させても良い。両面にプライマー層を形成させた場合は、両面に導電膜パターンを形成させても良い。
基材上にプライマー層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、プライマー層を構成する組成物を溶媒で希釈した溶液あるいは分散液を塗布液として用い、基材表面に対してスプレーコート、スピンコート、ディップコート、ロールコート、インクジェットなどの方法で付与する方法を挙げることが出来る。この場合、溶媒は用いるプライマー層形成組成物の種類に応じて適当なものを選択して用いることが出来るが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類などを挙げることができる。
また、塗布液の濃度は任意の値にすることが出来るが、取り扱い性や基材上へ均一に付与すること、形成されたプライマー層が所望の物性を発現するため、例えば0.01〜20質量%の範囲の中で任意の値に設定することが好ましい。
また、プライマー層形成用塗布液を付与された基材は、熱風循環炉(オーブン)やホットプレートなどを用いて加熱乾燥される。加熱乾燥されることにより、基材に付与された組成物が基材表面において所望の物性、機能を発現することになる。
また、基材上にプライマー層を形成するのに先立って、基材とプライマー層との密着性を高めると言う観点から、基材に予め表面処理を行うことが好ましい。表面処理の例として、プラズマ処理、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、化学薬品処理を挙げることができる。但し、基材表面が大きく粗面化されてしまうと、形成される導電膜パターンの表面の平坦性が損なわれることにつながるため、これらの処理は、基材表面が大きく粗面化されない程度に行われることが好ましい。
〈基材上へのインクの配置方法(導電膜形成方法)〉
本発明において、金属微粒子含有インクの液滴を基材上に配置する方法は特に限定されるものではないが、インクジェット方法を用いることが好ましい。
(インクジェット方法、装置)
本発明で用いられるインクジェット装置について説明する。
インクジェット法として静電力を利用する方法のインクジェット装置を用いることにより、微小な液滴を良好な位置精度で基材上に配置することが容易になり、本発明の、微細形状を有する膜パターンの形成に対して好ましく用いることができる。
(インクジェット記録装置の概要)
以下、本発明に係るインクジェット記録装置の実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の主要構成を示す斜視図である。本実施形態におけるインクジェット記録装置100は、底板1と、水平ガイドレール2を下方から所定高さ位置で支持するガイドレール支持台3を備えている。水平ガイドレール2は、垂直ガイドレール6を介してキャリッジ7を支持しており、垂直ガイドレール6とキャリッジ7は、一体となって、図示しない移動機構により所定の搬送方向である水平な主走査方向Xに、水平ガイドレール2に沿って往復移動するようになっている。また、キャリッジ7は、図示しない移動機構により垂直方向Zに、垂直ガイドレール6に沿って往復移動するようになっている。
底板1には、図示しない基材を非記録面側から支持する支持台4が配設されている。支持台4は、図示しない搬送機構により主走査方向Xと直交する副走査方向Yに、記録媒体を搬送するものである。
また、支持台4は、静電吸引力を利用してインクを吐出させる場合には、静電電圧印加手段の電極としての機能も具備する。
キャリッジ7には、本発明に係るインクを基材に対して吐出するインクジェット記録ヘッド8が搭載されている。インクジェット記録ヘッドについては後に詳述する。
本発明において上記のインクジェット記録装置を使用する際には、支持台上に配置された基材上に、インクジェット記録ヘッドから吐出されたインクによって任意のパターンを描画するように、キャリッジと支持台を任意に移動できるように制御するとともに、記録ヘッドからのインクの吐出制御を行う。
(静電力を利用した液滴吐出手段)
図2は、本発明に好ましく用いられる、静電力を利用した液滴吐出装置(インクジェット装置)の全体構成を示す模式図である。なお、本発明で用いられるインクジェット記録ヘッド402は、いわゆるシリアル方式あるいはライン方式等の各種の液体吐出装置に適用可能である。
本実施形態の液滴吐出装置401は、帯電可能な液体Lの液滴Dを吐出するノズル410が形成された液体吐出ヘッド402と、液体吐出ヘッド402のノズル410に対向する対向面を有すると共にその対向面で液滴Dの着弾を受ける基材Kを支持する対向電極403とを備えている。
インクジェット記録ヘッド(以下、液体吐出ヘッドともいう)402の対向電極403に対向する側には、複数のノズル410を有する樹脂製のノズルプレート411が設けられている。液体吐出ヘッド402は、ノズルプレート411の対向電極403に対向する吐出面412からノズル410が突出していないフラットな吐出面を有するヘッドとして構成されている。
各ノズル410は、ノズルプレート411に穿孔されて形成されており、各ノズル410には、それぞれノズルプレート411の吐出面412に吐出孔413を有する小径部414とその背後に形成されたより大径の大径部415との2段構造とされている。本実施形態では、ノズル410の小径部414および大径部415は、それぞれ断面円形で対向電極側がより小径とされたテーパ状に形成されており、小径部414の吐出孔413の内部直径(以下、ノズル径という。)が例えば10μm、大径部415の小径部414から最も離れた側の開口端の内部直径が、例えば75μmとなるように構成されている。
ノズルプレート411の吐出面412と反対側の面には、例えばニッケル等の導電性部材よりなりノズル410内の液体Lを帯電させるための帯電用電極416が設けられている。本実施形態では、帯電用電極416は、ノズル410の大径部415の内周面417まで延設されており、ノズル内の液体Lに接するようになっている。
また、帯電用電極416は、静電吸引力を生じさせる静電電圧を印加する静電電圧印加手段としての帯電電圧電源418に接続されており、単一の帯電用電極416が全てのノズル410内の液体Lに接触しているため、帯電電圧電源418から帯電用電極416に静電電圧が印加されると、全ノズル410内の液体Lが同時に帯電され、液体吐出ヘッド402と対向電極403との間、特に液体Lと基材Kとの間に静電吸引力が発生されるようになっている。
帯電用電極416の背後には、ボディ層419が設けられている。ボディ層419の各ノズル410の大径部415の開口端に面する部分には、それぞれ開口端にほぼ等しい内径を有する略円筒状の空間が形成されており、各空間は、吐出される液体Lと連通したキャビティ420になっている。
ボディ層419の背後には、可撓性を有する金属薄板やシリコン等よりなる可撓層421が設けられており、可撓層421により液体吐出ヘッド402が外界と画されている。
なお、ボディ層419には、キャビティ420に液体Lを供給するための図示しない流路が形成されている。具体的には、ボディ層419としてのシリコンプレートをエッチング加工してキャビティ420、共通流路、及び共通流路とキャビティ420とを結ぶ流路が設けられており、共通流路には、外部の図示しない液体タンクから液体Lを供給する図示しない供給管が連絡されており、供給管に設けられた図示しない供給ポンプにより或いは液体タンクの配置位置による差圧により流路やキャビティ420、ノズル410等の液体Lに所定の供給圧力が付与されるようになっている。
可撓層421の外面の各キャビティ420に対応する部分には、それぞれ圧力発生手段としての圧電素子アクチュエータであるピエゾ素子422が設けられており、ピエゾ素子422には、素子に駆動電圧を印加して素子を変形させるための駆動電圧電源423が接続されている。ピエゾ素子422は、駆動電圧電源423からの駆動電圧の印加により変形して、ノズル内の液体Lに圧力を生じさせてノズル410の吐出孔413に液体Lのメニスカスを形成させるようになっている。なお、圧力発生手段は、本実施形態のような圧電素子アクチュエータの他に、例えば、静電アクチュエータや発熱素子等を採用することも可能である。
駆動電圧電源423および帯電用電極416に静電電圧を印加する前記帯電電圧電源418は、それぞれ動作制御手段424に接続されており、それぞれ動作制御手段424による制御を受けるようになっている。
動作制御手段424は、本実施形態では、CPU425やROM426、RAM427等が図示しないBUSにより接続されて構成されたコンピュータからなっており、CPU425は、ROM426に格納された電源制御プログラムに基づいて帯電電圧電源418および各駆動電圧電源423を駆動させてノズル410の吐出孔413からインクである液体Lを吐出させるようになっている。
なお、本実施形態では、液体吐出ヘッド402のノズルプレート411の吐出面412には、吐出孔413からの液体Lの滲み出しを抑制するための撥液層428が吐出孔413以外の吐出面412全面に設けられている。撥液層428は、例えば、液体Lが水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体Lが油性であれば撥油性を有する材料が用いられるが、一般に、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布や蒸着等の方法で吐出面412に成膜されている。なお、撥液層428は、ノズルプレート411の吐出面412に直接成膜してもよいし、撥液層428の密着性を向上させるために中間層を介して成膜することも可能である。
液体吐出ヘッド402の下方には、基材Kを支持する平板状の対向電極403が液体吐出ヘッド402の吐出面412に平行に所定距離離間されて配置されている。対向電極403と液体吐出ヘッド402との離間距離は、0.1mm〜3mm程度の範囲内で適宜設定される。
本実施形態では、対向電極403は接地されており、常時接地電位に維持されている。そのため、前記帯電電圧電源418から帯電用電極416に静電電圧が印加されると、ノズル410の吐出孔413の液体Lと対向電極403の液体吐出ヘッド402に対向する対向面との間に電界が生じるようになっている。また、帯電した液滴Dが基材Kに着弾すると、対向電極403はその電荷を接地により逃がすようになっている。また、これとは逆に、基材側の電極403に静電電圧を印加し、液体Lに接している電極416を接地ささせるような構成にしても良い。
なお、対向電極403または液体吐出ヘッド402には、液体吐出ヘッド402と基材Kとを相対的に移動させて位置決めするための図示しない位置決め手段が取り付けられており、これにより液体吐出ヘッド402の各ノズル410から吐出された液滴Dは、基材Kの表面に任意の位置に着弾させることが可能とされている。
次に、以下、図面を参照しながら本発明に好ましく用いられるインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)の好ましい一態様について説明する。但し、本発明はこれらに限定されない。
本発明に用いられるインクジェットヘッドの一例として、マルチノズルヘッド500が図3に示されている。マルチノズルヘッド500はノズルプレート531、ボディプレート532及び圧電素子533を有している。ノズルプレート531は150μm〜300μm程度の厚みを有したシリコン基材また酸化シリコン基材である。ノズルプレート531には複数のノズル501が形成されており、これら複数のノズル501が1列に配列されている。
ボディプレート532は、200μm〜500μm程度の厚みを有したシリコン基材である。ボディプレート532にはインク供給口601、インク貯留室602、複数のインク供給路603及び複数の圧力室604が形成されている。
インク供給口601は直径が400μm〜1500μm程度の円形状の貫通孔である。
インク貯留室602は幅が400μm〜1000μm程度で深さが50μm〜200μm程度の溝である。
インク供給路603は幅が50μm〜150μm程度で深さが30μm〜150μm程度の溝である。圧力室604は幅が150μm〜350μm程度で深さが50μm〜200μm程度の溝である。
ノズルプレート531とボディプレート532とは互いに接合されるようになっており、接合した状態ではノズルプレート531のノズル501とボディプレート532の圧力室604とが1対1で対応するようになっている。
ノズルプレート531とボディプレート532とが接合された状態でインク供給口601にインクが供給されると、当該インクはインク貯留室602に一時的に貯留され、その後にインク貯留室602から各インク供給路603を通じて各圧力室604に供給されるようになっている。
圧電素子533はボディプレート532の圧力室604に対応した位置に接着されるようになっている。圧電素子533はPZTと電極からなるアクチュエータであり、電圧の印加を受けると変形して圧力室604の内部のインクをノズル501から吐出させるようになっている。
次に、マルチノズルヘッド500の断面図の一例を図4に示す。図3では図示しないが、ノズルプレート531とボディプレート532と間には硼珪酸ガラスプレート534(図4参照。)が介在している。また、ノズル内部の液体に静電電圧を印加するための図示しない帯電用電極が設けられている。
図4に示す通り、1つの圧電素子に対応してノズル501と圧力室604とが1つずつ構成されている。
ノズルプレート531においてノズル501には段が形成されており、ノズル501は下段部501aと上段部501bとで構成されている。下段部501aと上段部501bとは共に円筒形状を呈しており、下段部501aの直径D1(図4中左右方向の距離)が上段部501bの直径D2(図3中左右方向の距離)より小さくなっている。
ノズル501の下段部501aは上段部501bから流通してきたインクを直接的に吐出する部位である。下段部501aは直径D1が1μm〜10μmで、長さL(図4中上下方向の距離)が1.0μm〜5.0μmとなっている。下段部501aの長さLを1.0μm〜5.0μmの範囲に限定するのは、インクの着弾精度を飛躍的に向上させることができるからである。
他方、ノズル501の上段部501bは圧力室604から流通してきたインクを下段部501aに流通させる部位であり、その直径D2が10μm〜60μmとなっている。
上段部501bの直径D2の下限を10μm以上に限定するのは、10μmを下回ると、ノズル501全体(下段部501aと上段部501b)の流路抵抗に対し上段部501bの流路抵抗が無視できない値となり、インクの吐出効率が低下しやすいからである。
逆に、上段部501bの直径D2の上限を60μm以下に限定するのは、上段部501bの直径D2が大きくなるほど、インクの吐出部位としての下段部501aが薄弱化して(下段部501aが面積増大して機械的強度が小さくなる。)、インクの吐出時に変形し易くなり、その結果インクの着弾精度が低下するからである。すなわち、上段部501bの直径D2の上限が60μmを上回ると、接着剤液の吐出に伴い下段部501aの変形が非常に大きくなり、着弾精度を規定値(=0.5°)以内に抑えることができなくなる可能性があるからである。
ノズルプレート531とボディプレート532との間には数百μm程度の厚みを有した硼珪酸ガラスプレート534が設けられており、硼珪酸ガラスプレート534にはノズル501と圧力室604とを連通させる開口部534aが形成されている。開口部534aは、圧力室604とノズル501の上段部501bとに通じる貫通孔であり、圧力室604からノズル501に向けてインクを流通させる流路として機能する部位である。圧力室604は、圧電素子533の変形を受けて当該圧力室604の内部のインクに圧力を与える部位である。
以上の構成を具備するマルチノズルヘッド500では、圧電素子533が変形すると、圧力室604の内部のインクに圧力を与え、当該インクは圧力室604から硼珪酸ガラスプレート534の開口部534aを流通してノズル501に至り、最終的にノズル501の下段部501aから吐出されるようになっている。
なお、本発明に係るインクジェット記録装置の一態様としては、マルチノズルヘッド500のノズルプレート531に対向する位置に基材電極が設けられており(図示略)、ノズル501と当該基材電極との間に静電電圧を印加できるようになっている。
従って、圧電素子による液体への圧力付与と帯電用電極による液体への静電吸引力との相乗効果により効率的に液滴を吐出できる液滴吐出ヘッドとすることが出来る。換言すると、静電吸引力が働かない場合には飛翔中の空気抵抗の影響により飛翔速度が低下して正規の着弾位置まで到達できないような微小な液滴を吐出する場合においても、静電吸引力の作用により正規の着弾位置に高い精度で着弾させることができ、良好な形状のパターンを形成することができる。
〈焼成条件〉
本発明では、プライマー層の形成された基材上に配置された金属インクは、焼成されることによりインク中に含有される分散剤などの有機物質や溶媒が蒸発あるいは分解され、導電性が発現して所望の導電膜パターンとなる。焼成には熱風循環炉(オーブン)やホットプレートなどの任意の加熱機器を用いればよい。従来は、加熱した際の「コーヒーステイン現象」により、加熱条件によっては形成される導電膜パターンの膜厚の不均一化が生じる場合があったのだが、本発明の構成を採用することにより「コーヒーステイン現象」の発生は抑制されるため、加熱条件は任意とすることができる。そこで、金属インクやプライマー層、基材の物性に応じて、焼成の際の加熱温度や時間を適宜設定すればよい。
本発明は、金属微粒子含有インクを基材上に配置して乾燥させることにより導電膜パターンを形成する際に用いられるものであるが、別の実施形態として、導電膜パターンを形成した後、さらに無電解めっき処理を行うことによりめっき金属層を設ける形態を挙げることができる。この場合、先に形成した導電膜パターンを無電解めっきの触媒として作用させることになる。本発明の構成によって膜厚の均一性の高い導電膜パターンを触媒として用いることにより、めっき金属層についても膜厚の均一性が高いものとすることが出来るため、回路配線や電極などに好ましく用いることが出来る。
無電解めっき処理に用いるめっき液は、めっき材料として析出させる金属イオンが溶解された溶液が用いられ、金属塩とともに還元剤が含有されるものであり、公知の無電解めっき液を用途に応じて特に制限なく使用することができる。
めっき液に含有される金属塩の例としては、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Feから選択される少なくとも1種の金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などが挙げられる。
還元剤としては、ヒドラジン、ヒドラジン塩、ボロハライド塩、次亜燐酸塩、次亜硫酸塩、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸塩などが適用可能である。これらの還元剤に含有されるボロン、燐、窒素などの元素が、金属とともに析出して含有されていてもよい。或いは2種類以上の金属塩を含有するめっき液を用いて、合金が析出するような形態をとっても良い。
めっき液には、必要に応じて、pH調整のための緩衝剤、界面活性剤などの添加物を含有させることができる。また、溶媒として、水以外にアルコール、ケトン、エステルなどの有機溶剤を添加するようにしてもよい。
めっき液の組成は、析出させる金属の金属塩、還元剤、及び必要に応じて添加物、有機溶媒を添加した組成で構成されるが、析出速度に応じて濃度や組成を調整することができる。また、めっき液の温度を調節して析出速度を調整することもできる。この温度調整の方法としては、めっき液の温度を調整する方法、また例えばめっき液中に浸漬する場合、浸漬前に基材を加熱、冷却して温度調節する方法などが挙げられる。さらに、めっき液に浸漬する時間で析出する金属の膜厚を調整することもできる。
また、導電膜パターンが形成された基材をめっき液で処理するに先立って、基材に前処理を行うことが好ましい。前処理の例として、基材の加熱乾燥処理、洗浄処理、触媒活性化処理などが挙げられ、公知の処理方法を必要に応じて選択して処理を行えばよい。特に、先に形成された導電膜パターンに対して選択的に触媒能を付与する処理工程を行うことが好ましい。
また、無電解めっき処理を行って配線パターンを形成した後に、さらに電気めっきを行って配線の厚みを増すようにしてもよい。
(実施例1)
(プライマー層形成用塗布液の調製)
カチオン性高分子化合物であるPAA−1112(日東紡績製、15質量%溶液)6.5gを水13.5gと混合、溶解させて、塗布液No.1を調製した。
同様の方法により、表1に記載の化合物による塗布液No.2〜7を調製した。
(基材準備、プライマー層形成)
ガラス基材(松浪硝子工業(株)製スライドグラス)に対して、酸素プラズマ処理を施し表面洗浄したものを準備した。
このガラス基材上に、表1記載の塗布液No.1〜7をスピンコート法により塗布し、ドライヤーを用いて乾燥させることで、各々プライマー層を有する基材No.1〜7を形成した。
《金属微粒子インクの調製》
〈負のゼータ電位を有する銀ナノインク1の調製〉
クエン酸ナトリウムを分散剤として、平均粒径が15nmの銀ナノ粒子を合成した。分散媒として水及びエチレングリコールを用いて、25℃における粘度が3mPa・s、表面張力が30mN/m、金属濃度が20質量%となるように調製し、銀ナノインク1を得た。このインクのゼータ電位を大塚電子(株)製「ELSZ−2」で測定したところ、負の値を示した。
〈正のゼータ電位を有する銀ナノインク2の調製〉
メチルジエタノールアミンを分散剤として、平均粒径が20nmの銀ナノ粒子を合成した。分散媒として水及びエチレングリコールを用いて、25℃における粘度が3mPa・s、表面張力が30mN/m、金属濃度が20質量%となるように調製し、銀ナノインク2を得た。このインクのゼータ電位を大塚電子(株)製「ELSZ−2」で測定したところ、正の値を示した。
〈インクジェット法による導電膜パターンの作製〉
銀ナノインク1及び2を、図1〜図4(静電・圧電によるインクジェット装置)に記載したインクジェット装置を用いて、ヘッド(ノズル径10μm)から吐出することにより、各種プライマー層を形成した基材No.1〜7上に、直径30μmの銀ナノインクの円形ドットパターンを100個ずつ形成し、試料No.1−1〜1−14を得た。
ドットの形成された基材は、150℃で30分間乾燥した。
(評価1)
各基材上に形成された100個のドットパターンを顕微鏡により観察し、ドットの様子を以下の判断基準により評価した。評価結果を表2に示す。
◎:観察した全てのドットについて、ドットにムラはみられず、析出状態は良好であった
○:一部のドットについて、ドットの周辺部の濃度が濃く、逆に中央部の濃度が薄いムラ(いわゆる、コーヒーステイン現象)が見られたが、このムラが見られたドットの数は、観察したドットの10%未満であった
△:観察したドットのうち10%以上50%未満のものについて、ムラが見られた
×:観察したドットの50%以上について、ムラが見られた
表2に示した結果から明らかなように、基材上のプライマー層を本発明の構成、即ちインクのゼータ電位とプライマー層の電荷を逆の符号となる構成とすることにより、銀ナノインクにより形成されたドットの濃度ムラの発生が抑制されている。ドットの濃度ムラの発生は、インクが乾燥された後に析出した金属微粒子による導電膜の膜厚が不均一であることが観察されたものであることから、この濃度ムラの発生が抑制されていることは即ち、膜厚の均一性が向上していることを示すものであり、本発明が、厚みの均一性が向上した導電膜を形成する手段を提供することを示すものである。
1 底板
2 水平ガイドレール
3 ガイドレール支持台
4 基材を支持する支持台
6 垂直ガイドレール
7 キャリッジ
8、11、402 インクジェット記録ヘッド
401 液滴吐出装置
403 対向電極
410、501 ノズル
416 帯電用電極
500 マルチノズルヘッド
533 圧電素子
604 圧力室

Claims (20)

  1. 金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、
    前記金属微粒子含有インクが負のゼータ電位を示すものであり、
    前記基材のインク被配置面に、正の電荷を有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする導電膜パターン。
  2. 金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、
    前記金属微粒子含有インクが負のゼータ電位を示すものであり、
    前記基材のインク被配置面に、カチオン性化合物を含有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする導電膜パターン。
  3. 前記プライマー層が、第1級〜第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、第4級ホスホニウム塩基、あるいはスルホニウム塩基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有しているものであることを特徴とする請求項1または2記載の導電膜パターン。
  4. 金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、
    前記金属微粒子含有インクが正のゼータ電位を示すものであり、
    前記基材のインク被配置面に、負の電荷を有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする導電膜パターン。
  5. 金属微粒子含有インクを基材上に配置し、焼成することにより形成される導電膜パターンにおいて、
    前記金属微粒子含有インクが正のゼータ電位を示すものであり、
    前記基材のインク被配置面に、アニオン性化合物を含有するプライマー層が形成されているものであることを特徴とする導電膜パターン。
  6. 前記プライマー層が、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、硝酸基、炭酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、およびこれらの誘導体、から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有しているものであることを特徴とする請求項4または5記載の導電膜パターン。
  7. 前記基材は、前記金属微粒子含有インクの浸透性を実質的に有さないことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の導電膜パターン。
  8. インクジェット装置により前記金属微粒子含有インクを基材上に配置することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の導電膜パターン。
  9. 前記インクジェット装置が、吐出孔を有するノズルプレート、吐出孔に連通する圧力室、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧力発生素子、及び圧力発生素子に電圧を印加する駆動電圧印加手段、を具備する液体吐出ヘッドから液滴を吐出させる装置であることを特徴とする請求項8記載の導電膜パターン。
  10. 前記インクジェット装置が、さらに静電電圧印加手段を有し、前記圧力変動に加えて静電力も利用して液滴を飛翔させることを特徴とする請求項9記載の導電膜パターン。
  11. 負のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを、正の電荷を有するプライマー層の形成された基材上に配置する工程と、焼成工程と、を有することを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
  12. 負のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを、カチオン性化合物を含有するプライマー層が設けられた基材上に配置する工程と、焼成工程と、を有することを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
  13. 前記プライマー層が、第1級〜第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、第4級ホスホニウム塩基、あるいはスルホニウム塩基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有しているものであることを特徴とする請求項11または12記載の導電膜パターンの形成方法。
  14. 正のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを、負の電荷を有するプライマー層の形成された基材上に配置する工程と、焼成工程と、を有することを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
  15. 正のゼータ電位を示す金属微粒子含有インクを、アニオン性化合物を含有するプライマー層が設けられた基材上に配置する工程と、焼成工程と、を有することを特徴とする導電膜パターンの形成方法。
  16. 前記プライマー層が、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、硝酸基、炭酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、およびこれらの誘導体、から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有しているものであることを特徴とする請求項14または15記載の導電膜パターンの形成方法。
  17. 前記基材は、前記金属微粒子含有インクの浸透性を実質的に有さないことを特徴とする請求項11〜16の何れか1項に記載の導電膜パターンの形成方法。
  18. インクジェット法により前記金属微粒子含有インクを基材上に配置することを特徴とする請求項11〜17の何れか1項に記載の導電膜パターンの形成方法。
  19. 前記インクジェット法が、吐出孔を有するノズルプレート、吐出孔に連通する圧力室、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧力発生素子、及び圧力発生素子に電圧を印加する駆動電圧印加手段、を具備する液体吐出ヘッドから液滴を吐出させる方法であることを特徴とする請求項18記載の導電膜パターンの形成方法。
  20. 前記インクジェット法が、さらに静電電圧印加手段を有し、前記圧力変動に加えて静電力も利用して液滴を飛翔させる方法であることを特徴とする請求項19記載の導電膜パターンの形成方法。
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