本発明は、無線通信システムにおいて基地局間干渉を低減させる装置及び方法に関し、特に複数基地局の通信システムにおいて、隣接セルの基地局のリークリンク(leak link)の信号対雑音比(SNR)と干渉されたリンクのSNRとに基づいて、隣接セルの基地局のセル間干渉を抑制するか否かを決定する装置及び方法に関する。
無線通信システムにおいて、移動端末は所属するセルの基地局を介して、他の移動端末と通信する。無線通信の環境において、移動端末は所属するセルの基地局が送信した信号を受信するだけでなく、隣接セルの基地局が送信した信号も受信するが、隣接セルの基地局からの信号は当該移動端末が受信を望む通信信号ではなく、これらの信号は当該移動端末にとって干渉信号となる。すなわち、移動端末は通信プロセスにおいてセル間干渉を受ける。移動端末がセルエッジに位置する場合、セル間干渉は強くなる。これも信号のスループットを制限する主な原因になる。従って、セル間干渉の抑制は、無線通信システムの重要な課題である。
セル間干渉を除去するために、従来技術では複数基地局協調方式により通信を行い、セル間干渉を効果的に抑制している。複数基地局協調方式において、基地局には複数のアンテナが配置され、アンテナの指向性はアンテナアレイのプリコーディングベクトルによって変更可能である。複数基地局が協調する場合には、移動端末のチャネル情報は、バックステージトランクを介してそのユーザに干渉を及ぼす基地局に伝達される。このような場合、基地局はプリコーディングベクトルを設定して、当該移動端末に対する干渉を避けるとともに、所属する移動端末とのリンクを増強することができる。
図1は、従来技術で用いられる複数基地局のマルチアンテナがセル間干渉を除去するイメージ図を示す。図1に示すように、当該複数基地局のマルチアンテナシステムにおいて、基地局1(eNB1)は、関連リンクを介して移動端末1(UE1)と通信を行い、基地局2(eNB2)は関連リンクを介して移動端末2(UE2)と通信を行う。移動端末1及び移動端末2がセルエッジにある場合、基地局から移動端末までの下り方向で、基地局1が自セルの移動端末1に送信した信号は、干渉チャネルを通して隣接セルの移動端末2に対して干渉を与える。同様に、基地局2が自セルの移動端末2に送信した信号も、干渉チャネルを通して隣接セルの移動端末1に対して干渉を与える。セル間干渉を除去するために、基地局1及び基地局2のバックステージは、光ファイバ及び回線など有線方式又は無線方式により接続を行うことで、基地局1及び基地局2のバックステージ間で情報を交換することができる。基地局間の情報交換を通して、プリコーディングによりそれぞれの基地局におけるマルチアンテナを配列し、基地局1のアンテナを隣接セルの移動端末2に向かわせず、基地局2のアンテナを隣接セルの移動端末1に向かわせないようにすることで、セル間干渉を避けることができる。
従来のプリコーディングベクトルの設定方法は、信号対干渉雑音比(SINR)に対する最適化に基づく。図2はセル間干渉を算出するイメージ図を示す。図2において、基地局1(eNB1)は通信リンク11を介して移動端末1(UE1)と通信を行い、基地局2(eNB2)は通信リンク22を介して移動端末2(UE2)と通信を行う。また、基地局1が自セルの移動端末1に送信した信号は、干渉リンク12を通して隣接セルの移動端末2に対して干渉を与える。同様に、基地局2が自セルの移動端末2に送信した信号も、干渉リンク21を通して隣接セルの移動端末1に対して干渉を与える。セル間干渉を減少させるために、リンク11及びリンク22方向のプリコーディングベクトルを増強し、リンク12及びリンク21方向のプリコーディングベクトルを低減することが望まれる。
このようなプリコーディングベクトルを設定するために、従来技術ではSINRを最適化することで、セル間干渉を減少させることができるプリコーディングベクトルを設定していた。基地局側が複数のアンテナを有し、ユーザ側が1つのアンテナを有すると仮定すると、以下の式(1)によりSINRを表すことができる。
ここで、SINR1及びSINR2はそれぞれユーザ1及びユーザ2のSINRを表し、P1及びP2はそれぞれ基地局1及び基地局2の送信電力を表し、σ2はユーザの雑音電力を表し、w1→及びw2→はそれぞれ基地局1及び基地局2のプリコーディングベクトルを表し、hmn→は基地局mからユーザnまでのチャネルベクトルを表す(m=1,2、n=1,2)。
上記式(1)を最適化することにより、以下の式(2)を用いて、2つのユーザ局のレートの和を最大にするプリコーディング量を見つけ出すことができる。
2つのユーザ局のレートの和を最大にするプリコーディング量を見つけ出すことで、システムのスループットを効果的に向上させることができる。
しかし、上記のSINRに基づく方法には以下の欠点がある。まず、このような方法は、基地局1及び基地局2を同時最適化する、すなわち最適化ターゲットにおいて同時にw1→及びw2→を含む必要がある。そのため、システムが複雑になる。次に、このような方法は、基地局1及び基地局2のいずれに対しても全てのユーザのチャネル情報を知ることを要求するため、バックステージトランクでの大量の情報交換をもたらす。状況によっては、システムのバックステージは必ずしも十分な容量を備えて情報交換を行うとは限らない。
SINR方法の上記欠点に対して、SLNR(信号対リーク雑音比)の概念が提案されている。図3はSLNRに基づいてセル間干渉を算出するイメージ図を示す。SINRは受信側の概念であり、受信信号を所望信号と干渉信号との2つの部分に分け、その比率(ノイズを含む)を算出する。これに対し、SLNRは送信側の概念である。これは送信信号を信号とリークの部分に分ける。このようにして、基地局1はw
1→の信号及びリークの2部分のみを有し、基地局2はw
2→の信号及びリークの2部分のみを有する。その比率(ノイズを含む)を算出することにより、基地局1及び基地局2のSLNRを得ることができる。SLNRは以下の式(3)によって表すことができる。
ここで、SLNR1及びSLNR2はそれぞれユーザ1及びユーザ2のSLNRを表す。その他の数学記号は前記(1)に示された意味と同一である。
基地局1及び基地局2のSLNRであるSLNR
1及びSLNR
2を算出した後、以下の式(4)を用いてSLNRを最適化することができる。
ここから、SLNRの導入により、w1→及びw2→をそれぞれ最適化することが可能となることがわかる。これにより、システムの複雑性が低下する一方、必要なチャネル情報の交換量も相応に減少し、且つ依然としてセル間干渉を効果的に抑制し、信号の強度を増強することができる。
SLNRは上記のメリットを有しているが、状況によっては、SLNRに基づく最適化がその性能に影響を及ぼす可能性がある。
図4はSLNRに基づく最適化が最適化の効果に影響を与えるイメージ図を示す。図4において、ユーザ局(UE)1はセル1及びセル2のエッジに位置するため、基地局2(eNB2)はユーザ局1に対して強い干渉を有する。しかし、ユーザ局(UE)2はセル1とセル2とのエッジではなく、セル2においてセル1から離れたエッジに位置する。従って、基地局1(eNB1)のユーザ局2に対する干渉は小さい。図4に示すように、基地局1のユーザ局2に対する干渉が、基地局2がユーザ局2に送信する信号より大幅に小さい場合、基地局1はユーザ2に対するリークを抑制する必要はない。しかし、従来のSLNRでは、この場合、基地局1は依然としてユーザ2に対するリークを抑制する必要がある。
基地局1のユーザ2に対するリークを抑制する必要がなければ、基地局1に対するプリコーディングベクトルの設定は、|h11 H・w1→|2を最大化することができる1つのプリコーディングベクトルを見つけ出すだけでよい。しかし、リークを抑制する必要があれば、最適な(最大化したSLNR)プリコーディングベクトルは、|h11 H・w1→|2を増大させるだけでなく、|h12 H・w1→|2を低減させる必要があり、最終的な結果はこの2つの目的が両立する。従って、リークを抑制する必要がない場合にリークを抑制すると、得られた|h11 H・w1→|2は最適な場合に比べて小さくなり、通信リンクの品質が低下することで、性能が低下する。
本発明は、複数基地局のマルチアンテナ通信システムに応用する信号送信装置及び方法の提供を目的とする。本発明の装置及び方法は、SNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入することにより、従来のSINR及びSLNRに基づく方式について改善を行った。リーク電力の重み付け係数に基づいて、リークの抑制が必要か否かを自動調整することができる。
本発明の1つの形態は、ユーザ局が、自セル基地局と隣接セル基地局とから送信された信号を受信することにより、被干渉リンクのSNRと隣接セル基地局のリークリンクのSNRとを測定するステップと、測定した被干渉リンクのSNRと隣接セル基地局のリークリンクのSNRとに基づいて、リーク電力の重み付け係数を算出するステップと、算出した重み付け係数に基づいて、リーク電力を抑制する必要があるか否かを決定するステップと、を含む複数基地局の通信システムにおいて基地局間干渉を減少させる方法を提供する。
本発明の他の1つの形態は、受信したユーザ信号から、自セルチャネル情報及び隣接セルチャネル情報と、自セルのユーザSNRの比率及び隣接セルのユーザSNRの比率とを抽出する情報抽出装置と、受信した自セルチャネル情報と、自セルの隣接セルに対する干渉チャネル情報と、隣接セルユーザSNR比率情報とに基づいて、データの送信に用いるプリコーディング行列又はプリコーディングベクトルを算出するデータ送信パラメータ算出装置と、参照信号パラメータを設定して、自セル下りリンク情報又は自セルの隣接セルに対する干渉チャネル情報を推定する参照信号パラメータ設定装置と、基地局間で情報を交換する基地局情報交換装置と、設定された参照信号パラメータと算出されたプリコーディング行列又はプリコーディングベクトルとに基づいて、基地局からデータを送信する基地局信号送信装置と、を有する複数基地局の通信システムにおいて基地局間干渉を減少させる設備を提供する。
本発明の別の1つの形態は、基地局が送信した信号の中からデータチャネル情報と干渉チャネル情報とを抽出し、自セルSNRと隣接セルSNRとを推定する情報抽出及び推定装置と、推定された自セルSNRと隣接セルSNRとの比率を算出し、算出した比率をユーザ信号送信装置に提供するSNR比率算出装置と、算出された比率とユーザの上りデータとを送信するユーザ信号送信装置と、を含む複数基地局の通信システムにおいて基地局間干渉を減少させる設備を提供する。
SINRに基づく方法と比べ、本発明の方法は各基地局のプリコーディングベクトルを同時最適化する必要がなく、バックステージトランクの情報交換量を大きく低減することができる。
また、SLNRに基づく方法と比べ、本発明の方法はSNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入する。従って、従来のSLNRに対する本発明のメリットは、リークリンクが被干渉リンクより弱い場合でも作用することができる。
従来技術で用いられる複数基地局のマルチアンテナがセル間干渉を除去するイメージ図
従来技術における、SINRに基づいて、セル間干渉を減少させる基地局のプリコーディング量を算出するイメージ図
従来技術における、SLNRに基づいて、セル間干渉を減少させる基地局のプリコーディング量を算出するイメージ図
従来技術における、SLNRに基づく最適化が最適化の効果に影響を与えるイメージ図
本発明に係る、SNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入するイメージ図
本発明のシグナリングフローに係る実施の形態1のフローチャート
本発明のシグナリングフローに係る実施の形態2のフローチャート
本発明のシグナリングフローに係る実施の形態3のフローチャート
複数の基地局とユーザ局とが通信を行うイメージ図
本発明に係る基地局間干渉を減少させる基地局側装置の構造の一例を示すイメージ図
本発明に係る基地局間干渉を減少させるユーザ局側装置の構造の一例を示すイメージ図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明にとって不要である詳細な部分及び機能については説明を省略し、本発明の理解に混濁を生じることを防ぐ。
以下の記述において、同一の装置又は設備は、異なる図面の中で同一の符号を用いる。
図5は本発明に係る、SNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入するイメージ図を示す。
以下、図5を参考にして、本発明に係る、SNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入する具体例を説明する。図5に示す状況は、本発明を説明するためにのみ示される一例である。本発明は当該具体例に限らず、基本的な思想及び構想はその他の状況にも応用可能である。
図5に示すように、基地局1(eNB1)は通信リンク11を介してユーザ局1(UE1)と通信を行い、基地局2(eNB2)は通信リンク22を介してユーザ局2(UE2)と通信を行う。また、基地局1が自セルのユーザ局1に送信した信号は、干渉リンク12を通して隣接セルのユーザ局2に対して干渉を与える。ここで、ユーザ局(UE)1がセル1内のセル2から離れたエッジに位置すると仮定すると、基地局2(eNB2)のユーザ局1に対する干渉を、基地局1がユーザ局1に送信する信号より大幅に小さくすることができる。基地局2はユーザ局1に対するリークを抑制する必要はなく、基地局1はユーザ局2に対する干渉を抑制する必要がある。
リークリンクのSNRが小さい場合でも相応の基地局のリークを抑制することで、通信リンクの品質が低下し、性能が低下するという問題を解決するために、本発明はSNRの比率の重み付けによるSLNRの信号伝送方法を提供する。
本発明により、リーク電力に1つの重み付け係数を付加することができる。この重み付け係数は、リークリンクと被干渉リンクとの相対的な強弱を反映しているため、重み付け係数によって、隣接セルの基地局の、自セルにおける相応のユーザ局に対するセル間干渉を抑制するか否かを制御できる。具体的には、リークリンクが被干渉リンクより大幅に弱い場合、この重み付け係数は小さくなり、相応のSLNRの最適化は、リークを抑制することではない。一方、リークリンクが被干渉リンクより強い場合、この重み付け係数は大きくなり、相応のSLNRの最適化は、リークを極力抑制しようとする。
このため、具体例として、リークリンクのSNRと被干渉リンクのSNRとの比率を、可能な重み付け係数として選択でき、修正後のSLNRを表す式(5)が得られる。
式(5)において、SNR12はリークリンクのSNRを示し、SNR22は被干渉リンクのSNRを示し、その他の前記式(1)〜(4)における符号と同一の符号は、同一のパラメータを示す。この重み付け係数を適用すると、この改良されたSLNRの最適化に基づき、リークリンクと被干渉リンクとのリンクの品質に応じて、対応するリーク電力を抑制する必要があるか否かを決定することにより、従来のSLNRの課題を改善できる。
具体的には、前記式(1)に示すように、式(5)における|h12 H→・w1→|2・P1は、基地局1がユーザ局2に対して干渉を生じるリーク電力である。SNR12/SNR22は当該リーク干渉の重み付け係数となり、リークリンクと被干渉リンクとの相対的な強弱を反映する。リークリンクが被干渉リンクより大幅に弱い場合、SNR12/SNR22の比の値は小さく、リークリンクを無視して、リークを抑制しようとしないため、リークを考慮する場合に、SLNRのプリコーディングベクトルを最適化することで、通信リンクの品質が低下する問題を避けることができる。一方、リークリンクが被干渉リンクより強い場合、SNR12/SNR22の比の値は無視できない。このような場合、基地局1のユーザ局2に対するリーク干渉|h12 H→・w1→|2・P1を考慮し、SLNRのプリコーディングベクトルを最適化し、セル間のリーク干渉を減少させる必要がある。
上記の基地局1のSLNRを例に、リークリンクに対して重み付け係数を加えた式が導き出される。同様に、基地局2に対するSLNRは、以下の式(6)によって表すことができる。
以下の実施の形態に示される方法を用いて、リーク干渉の重み付け係数SNR12/SNR22及びSNR21/SNR11を得ることができる。
(実施の形態1)
図6は本発明のシグナリングフローに係る実施の形態1のフローチャートを示す。説明を簡単にするため、ここでは、隣接する2つの基地局及び2つの基地局がそれぞれサービスを提供する2つのユーザ局を例に、基地局とユーザ局とが行うシグナリングのフローを示す。
図6に示すように、ステップS601では、基地局1(eNB1、第1基地局と称することもある)がユーザ局1(UE1、第1ユーザ局と称することもある)及びユーザ局2(UE2、第2ユーザ局と称することもある)に対して信号を送信する。ユーザ局1及びユーザ局2は、基地局1から送信された信号を受信し、例えば、ユーザ局1及びユーザ局2は、基地局が送信したプリアンブル(preamble)信号から、基地局1からユーザ局1までのデータリンクのSNRであるSNR11及びユーザ局2までのリークリンクのSNRであるSNR12を測定することができる。同様に、基地局2(eNB2、第2基地局と称することもある)は、ユーザ局2(UE2)及びユーザ局1(UE1)に対して信号を送信する。ユーザ局2及びユーザ局1は基地局2から送信された信号を受信し、例えば、ユーザ局2及びユーザ局1は、基地局2が送信したプリアンブル信号から、基地局2からユーザ局2までのデータリンクのSNRであるSNR22及びユーザ局1までのリークリンクのSNRであるSNR21を測定することができる。ユーザ局1及びユーザ局2は、基地局から受信した信号に基づき、パラメータw、P、σを得る。パラメータσが示すユーザ局のノイズの平均二乗偏差は、以下の2種類の方法のうち、1種類の方法により得られる。
方法1:ノイズの平均二乗偏差はユーザ局の特性であることに鑑み、この特性が設備の出荷後に基本的に変更されていないと考えると、ユーザ局はすでにこの情報を知っていると考えられる。ユーザ局はネットワークに入った場合(基地局と接続が確立した場合)、この情報を基地局に通知することができる。
方法2:ノイズの平均二乗偏差が変わる可能性があると考えると、ユーザ局は基地局が信号を送信しない場合に、受信した電力を測定することができ、この電力はノイズの平均二乗偏差の二乗となる。
Pは基地局の送信電力を示す。最大送信電力は基地局において既知である。実質送信電力は通常、最大送信電力と同等である。状況によっては、実質送信電力は基地局のスケジューラ(scheduler)によって決定される。
wは最適化が必要なプリコーディングベクトルを示す。このベクトルは、基地局のデータ送信パラメータ算出装置により特定される。
そして、ステップS602では、ユーザ局1はそれぞれ例えば基地局1と基地局2とから受信したパイロット(pilot)信号により、基地局1からユーザ局1までのデータチャネルのデータチャネル係数h11→及び基地局2からユーザ局1までのリークチャネルのリークチャネル係数h21→を測定する。ユーザ局2はそれぞれ例えば基地局2と基地局1とから受信したパイロット信号により、基地局2からユーザ局2までのデータチャネルのデータチャネル係数h22→及び基地局1からユーザ局2までのリークチャネルのリークチャネル係数h12→を測定する。
ステップS603では、ユーザ局1は得られたリークチャネル係数h21→、データチャネル係数h11→及び基地局2のユーザ局1に対するリーク電力の重み付け係数SNR21/SNR11を基地局1にフィードバックする。同様に、ユーザ局2は得られたリークチャネル係数h12→、データチャネル係数h22→及び基地局1のユーザ局2に対するリーク電力の重み付け係数SNR12/SNR22を基地局2にフィードバックする。
ステップS604では、基地局1はバックステージトランクを介して、h21→と比率SNR21/SNR11とを基地局2に通知する。同様に、基地局2はバックステージトランクを介して、h12→と比率SNR12/SNR22とを基地局1に通知する。
ステップS605では、基地局1と基地局2とは、それぞれ式(5)及び式(6)に示されるSLNRを最適化する原則に基づき、それぞれのプリコーディングベクトルを算出し、算出したプリコーディングベクトルに基づいて、それぞれのユーザ局1及びユーザ局2に対してデータを送信する。
上記実施の形態におけるシグナリングのフローでは、基地局がその送信するプリコーディングベクトルを算出するため、基地局が必要な情報を収集する。しかし、本発明はこれに限定されず、ユーザ局がプリコーディングベクトルを算出し、プリコーディングベクトルを基地局側にフィードバックしてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、ユーザ局がプリコーディングベクトルを算出し、ユーザ局が算出したプリコーディングベクトルを基地局側にフィードバックするシグナリングのフローを示す。
図7は本発明のシグナリングフローに係る実施の形態2のフローチャートを示す。実施の形態2では、ユーザ局1は基地局1のプリコーディングベクトルを決定し、基地局1にフィードバックし、ユーザ局2は基地局2のプリコーディングベクトルを決定し、基地局2にフィードバックする。図7に示すように、実施の形態2において、ステップS701及びステップS702のフローは実施の形態1におけるステップS601及びステップS602のフローと同一であり、ここでは説明を省略する。
そして、ステップS703では、ユーザ1は測定された基地局2のユーザ局1に対するリークチャネル係数h21→を基地局1に報告する。同様に、ユーザ局2は測定された基地局1のユーザ局2に対するリークチャネル係数h12→を基地局2に通知する。
ステップS704では、基地局1はバックステージトランクを介して、h21→を基地局2に報告し、同様に、基地局2はバックステージトランクを介して、h12→を基地局1に報告する。
ステップS705では、基地局1は基地局2から報告された、基地局1のユーザ局2に対するリークチャネル係数h12→をユーザ局1に報告し、基地局2は基地局1から報告された、基地局2のユーザ局1に対するリークチャネル係数h21→をユーザ局2に報告する。
ステップS706では、ユーザ局1はステップS701で得られたSNRであるSNR11、SNR21及び基地局1から伝送された、基地局1のユーザ局2に対するリークチャネル係数h12→に基づいて、SLNRを最大化する原則(式(5))に従い、基地局1のプリコーディングベクトルを算出する。同様に、ユーザ局2はステップS701で得られたSNRであるSNR12、SNR22及び基地局2から伝送された、基地局2のユーザ局1に対するリークチャネル係数h21→に基づいて、SLNRを最大化する原則(式(6))に従い、基地局2のプリコーディングベクトルを算出する。そして、ユーザ局1は基地局1に対して、算出された基地局1のプリコーディングベクトルを通知し、ユーザ局2は基地局2に対して、算出された基地局2のプリコーディングベクトルを通知する。
ステップS707では、基地局1と基地局2とは、それぞれユーザ局1とユーザ局2とにより報告されたプリコーディングベクトルに基づいて、それぞれのユーザ局に対してデータを送信する。
実施の形態1において、従来のフローでは、全てのチャネル情報を上りチャネルにおいて報告する必要があった。一方、実施の形態2において、シグナリングのフローでは、半分のチャネル情報を下りチャネルにおいて報告し、半分のチャネル情報を上りチャネルにおいて報告する必要がある。大多数の通信システムでは、下りチャネルの容量が上りチャネルの容量より大きいことを考慮すると、実施の形態2はより容易に実施することができる。
(実施の形態3)
実施の形態2では、ユーザ局がプリコーディングベクトルを算出した後、プリコーディングベクトルを基地局側にフィードバックする状況を説明した。実施の形態2では、ユーザ局1及びユーザ局2はそれぞれ自セルの基地局のプリコーディングベクトルを算出する。以下の実施の形態3では、ユーザ局1及びユーザ局2はそれぞれ隣接セルの基地局のプリコーディングベクトルを算出する。
図8は本発明のシグナリングフローにかかる実施の形態3のフローチャートを示す。実施の形態3において、ユーザ局1は基地局2のプリコーディングベクトルを決定し、基地局1にフィードバックし、ユーザ局2は基地局1のプリコーディングベクトルを決定し、基地局2にフィードバックする。図8に示すように、実施の形態3において、ステップS801及びステップS802のフローは実施の形態2におけるステップS701及びステップS702(すなわち、実施の形態1におけるステップS601及びステップS602)のフローと同一であり、ここでは説明を省略する。
そして、ステップS803では、ユーザ1は測定された基地局1のユーザ局1に対するデータチャネル係数h11→を基地局1に報告する。同様に、ユーザ2は測定された基地局2のユーザ局2に対するデータチャネル係数h22→を基地局2に通知する。
ステップS804では、基地局1及び基地局2はバックステージトランクを介して、チャネル情報h11→とh22→とを交換し、すなわち基地局1はバックステージトランクを介して、h11→を基地局2に報告し、同様に、基地局2はバックステージトランクを介して、h22→を基地局1に報告する。
ステップS805では、基地局1は基地局2から報告されたh22→をユーザ局1に提供し、基地局2は基地局1から報告されたh11→をユーザ局2に提供する。
ステップS806では、ユーザ局1はステップS701で得られたSNRであるSNR11、SNR21、及び基地局1から伝送されたh22→に基づいて、SLNRを最大化する原則(式(6))に従い、基地局2のプリコーディングベクトルを算出する。同様に、ユーザ局2はステップS701で得られたSNRであるSNR12、SNR22、及び基地局2から伝送されたh11→に基づいて、SLNRを最大化する原則(式(5))に従い、基地局2のプリコーディングベクトルを算出する。そして、ユーザ局1は基地局1に対して、算出された基地局2のプリコーディングベクトルを通知し、ユーザ局2は基地局2に対して、算出された基地局1のプリコーディングベクトルを通知する。
ステップS807では、基地局1はバックステージトランクを介して、ユーザ局1により算出された基地局2のプリコーディングベクトルを基地局2に通知し、基地局2はバックステージトランクを介して、ユーザ局2により算出された基地局1のプリコーディングベクトルを基地局1に通知する。
ステップS808では、基地局1と基地局2とは、それぞれユーザ局2とユーザ局1とにより算出されたプリコーディングベクトルに基づいて、それぞれのユーザ局に対してデータを送信する。
実施の形態3におけるシグナリングのフローは、バックステージでデータ交換を2回行って初めてデータの伝送を開始できるため、遅延は他の2つの方法よりも長くなる。
実施の形態1〜実施の形態3におけるシグナリングのフローでは、各ステップは異なる実施方法を有することができ、例えば、実施の形態1では、ユーザ局は基地局に対して比率SNR12/SNR22を通知する必要がある。リンク帯域幅は制限されるため、この比率は量子化されることができる。1ビットでこの比率を示すと、値が0であれば、リークの抑制が不要であることを表し、値が1であれば、リークの抑制が必要であることを表す。2ビットでこの比率を表すと、値が00であれば、リークの抑制が不要であることを表し、値が01であれば、リークを少し抑制する必要があることを表し、値が10であれば、リークを考慮する必要があることを表し、値が11であれば、リークリンクが非常に強く、全力でリークを抑制する必要があることを表す。SNRの変化率が非常に低いと仮定した場合、より多くのビットでこの値を表すことも可能である。例えば、1つのビットでこの比率を示すと、比率が0.5より小さい場合にはこのビットを0と設定でき、そうでない場合にはこのビットを1と設定できる。2つのビットでこの比率を示すと、例えば、比率が0.25より小さい場合、フィードバック情報を00と設定でき、比率が0.25〜0.5の場合、フィードバック情報を01と設定でき、比率が0.5〜1の場合、フィードバック情報を10と設定でき、比率が1より大きい場合、フィードバック情報を11と設定できる。上記の数字は、説明の便宜上示された一例にすぎない。本発明はこれに限定されず、本発明の範囲において、具体的な状況に応じてその他の数値を設定できる。
状況によっては、SNR22は他の方法によってすでに取得されている可能性がある(例えば、移動検出)。このような場合、ユーザ局2は基地局2に対して、SNRの比率SNR12/SNR22ではなく、量子化されたSNRであるSNR12を伝送する必要がある。なぜなら、比率を伝送する場合、1ビットを例にすると、SNRの比率は2種類の値:0又は1を有する可能性があるからである。しかし、SNR自身を伝送する場合、SNRの比率は3種類の値:0/1(リークを抑制する必要がない)、0/0又は1/1(リークを抑制する必要がある)、1/0(リークを全力で抑制する必要がある)を有する可能性がある。従って、最後の状況がプリコーディングベクトルの性能をより最適化できる可能性がある。
また、交換するチャネル情報は瞬時のチャネル情報(例えば、h11→)に限られず、チャネル情報の統計的特性(例えば、E[h11 H→h11→])である可能性もある。チャネルの統計的特性の変化はその瞬時のチャネル特性より大幅に遅いことにより、バックステージトランクで交換するデータ量を効果的に低減させることができる。チャネルの相関性が高い場合、統計的特性もユーザの指向性を効果的に表すことにより、セル間干渉を抑制し、必要なチャネルを増強することができる。この場合、SLNRの数式における、あるチャネル係数が統計的変数となることを考慮すると、SLNRを最適化する方法はSLNRを最適化する数学的期待値に変更する必要がある。
また、上記では、基地局が複数のアンテナを有し、ユーザ局が1つのアンテナを有する場合を示した。因みに、本発明はこれに限定されず、ユーザ局が複数のアンテナを有する場合にも応用できる。このような場合、以下の式(7)を用いて、拡散されたSLNRを示すことができる。
式(7)において、プリコーディングベクトルとチャネルベクトルとは、それぞれプリコーディング行列(T1)とチャネル行列(H11とH12)とに変化する。その他の変数の定義は上記と同じである。
また、上記では、2つの基地局と2つのユーザ局とのセル間干渉を例に、SLNRに基づいて、相応の基地局のプリコーディングベクトルを特定する状況を説明した。本発明はこれに限定されず、複数の基地局と複数のユーザとの場合にも応用できる。図9は3つの基地局及び3つのユーザ局の場合を示す。図9において、基地局2及び基地局3はユーザ局1に対してリーク干渉を生じ、基地局1はユーザ局2及びユーザ局3に対してリーク干渉を生じる。このような場合、相応の重み付け係数を加えることにより、相応の基地局の最適化されたプリコーディングベクトルを示すことができる。その式は以下の式(8)のように示される。
式(8)における各変数の意味と前記に示されたSLNRの式における変数の意味とは同一である。
また、上記実施の形態では、リークリンクと被干渉リンクとのSNRの比率を重み付け係数とした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、リークリンクのSNRを重み付け係数としてもよい。例えば、以下の式(9)に示すように、リークリンクのSNRを重み付け係数とする。
また、リークリンクのSNRと被干渉リンクのSNRとの比率の平方根を重み付け係数として、以下の式(10)のように示す。
以下、図10及び図11を参照して、本発明に係る基地局及びユーザ局の構造及び動作を説明する。
図10は本発明に係る基地局の構造のイメージ図を示す。図10に示すように、基地局側は、ユーザ信号受信装置1001と、自セルチャネルフィードバック情報抽出装置1002と、隣接セルチャネルフィードバック情報抽出装置1003と、自セルユーザSNR比率抽出装置1004と、上りデータ抽出基地局装置1005と、バックステージトランク1006と、基地局信号受信装置1007と、自セル対隣接セル干渉チャネルフィードバック情報抽出装置1008と、隣接セルユーザSNR比率抽出装置1009と、バックステージトランク1010と、参照信号パラメータ設定装置1011と、データ送信パラメータ算出装置1012と、基地局信号送信装置1013と、を備える。
以下、図10を参照して、本発明に係る基地局間干渉を減少させる基地局側装置の動作を説明する。ユーザ信号受信装置1001は、自セルのユーザから送信されてきた信号を受信し、受信した信号に基づいてチャネル同期、チャネル等化を行い、受信した信号を復調しサンプリングする。ユーザ信号受信装置1001の出力はそれぞれ、自セルチャネルフィードバック情報抽出装置1002と、隣接セルチャネルフィードバック情報抽出装置1003と、自セルユーザSNR比率抽出装置1004と、上りデータ抽出基地局装置1005とに提供される。
自セルチャネルフィードバック情報抽出装置1002は、受信したユーザ信号の中から、(ユーザから基地局にフィードバックされる)自セルの下りチャネル情報を抽出し、データ送信パラメータ算出装置1012に提供する。隣接セルチャネルフィードバック情報抽出装置1003は、受信したユーザ信号の中から、(ユーザから基地局にフィードバックされる)隣接セルの下りチャネル情報を抽出し、バックステージトランク1006に提供する。自セルユーザSNR比率抽出装置1004は、受信したユーザ信号の中から、(ユーザから基地局にフィードバックされる)自セルユーザのSNRの比率を抽出し、バックステージトランク1006に提供する。上りデータ基地局抽出装置1005は、受信したユーザ信号の中から、ユーザから基地局に伝送された上りデータを抽出する。バックステージトランク1006は、受信した自セルユーザ情報を他セルの基地局に送る。基地局信号受信装置1007は、バックステージトランクからの情報を受信し、すなわち他セルの基地局から送られてくる他セルユーザ情報を受信し、自セル対隣接セル干渉チャネルフィードバック情報抽出装置1008と隣接セルユーザSNR比率抽出装置1009とに提供する。
自セル対隣接セル干渉チャネルフィードバック情報抽出装置1008は、受信した他セルユーザ情報の中から、自セルの隣接セルに対する干渉チャネル情報を抽出し、当該干渉情報をデータ送信パラメータ算出装置1012に提供する。隣接セルユーザSNR比率抽出装置1009は、基地局信号受信装置1007からの他セルユーザ情報を受信し、受信した他セルユーザ情報の中から、隣接セルユーザのSNRの比率を抽出し、当該干渉情報をデータ送信パラメータ算出装置1012に提供する。
バックステージトランク1010は、基地局が送信するユーザ情報を受信し、送信するユーザ情報を基地局信号送信装置1013に提供する。参照信号パラメータ設定装置1011は、参照信号パラメータを設定する。参照信号は自セルの下りリンク情報、又は自セルの隣接セルに対する干渉チャネル情報を推定するために用いられる。データ送信パラメータ算出装置1012は、受信した自セルチャネル情報と、自セル対隣接セル干渉チャネル情報と、隣接セルユーザSNR比率情報とに従い、データ送信に用いられるプリコーディング行列又はプリコーディングベクトルを算出し、算出されたプリコーディング行列又はプリコーディングベクトルを基地局信号送信装置1013に提供する。基地局信号送信装置1013は、受信した参照信号パラメータと、データ送信パラメータと、発射する必要があるユーザデータとに基づいて、下りユーザデータと、参照信号と、変調多値数、符号レート、再送するか否かなどの他の制御信号とを、基地局から送信する。
図10に示す装置において、自セルチャネルフィードバック情報抽出装置1002と、隣接セルチャネルフィードバック情報抽出装置1003と、自セルユーザSNR比率抽出装置1004と、上りデータ抽出基地局装置1005と、自セル対隣接セル干渉チャネルフィードバック情報抽出装置1008と、隣接セルユーザSNR比率抽出装置1009とは情報抽出装置を構成可能であり、前記情報抽出装置は、受信したユーザ情報及び基地局間で転送される信号の中から、SLNR、プリコーディング行列又はプリコーディングベクトルなどの算出に必要なパラメータを抽出する。例えば、データチャネル係数、リークチャネル係数などである。バックステージトランク1006とバックステージトランク1010とは、基地局間で情報を交換するための基地局情報交換装置を構成することができる。
図11は、本発明に係る基地局間干渉を減少させるユーザ局側装置の構造のイメージ図を示す。図11に示すように、ユーザ局側装置は、基地局信号受信装置1101と、自セルチャネル情報推定装置1102と、隣接セルチャネル情報推定装置1103と、自セルSNR推定装置1104と、隣接セルSNR推定装置1105と、SNR比率算出装置1106と、下りデータ抽出ユーザ装置1107と、ユーザ下り端末1108と、ユーザ上り端末1109と、上りデータ収集ユーザ装置1110と、ユーザ信号送信装置1111とを備える。
以下、図11を参照して、本発明に係る基地局間干渉を減少させるユーザ局側装置の動作を説明する。基地局信号受信装置1101は、自セルの基地局及び/又は隣接セルの基地局から伝送されてきた信号を受信し、受信した信号に基づいてチャネル同期、チャネル等化を行い、受信した信号を復調しサンプリングする。基地局から伝送されてきた信号は、下りユーザデータ、参照信号、その他の制御信号などを含むことができる。基地局信号受信装置1101は、受信した信号を、自セルチャネル情報推定装置1102と、隣接セルチャネル情報推定装置1103と、自セルSNR推定装置1104と、隣接セルSNR推定装置1105と、下りデータ抽出ユーザ装置1107とにそれぞれ提供する。
自セルチャネル情報推定装置1102は、基地局信号受信装置1101から提供された自セル参照信号の中から、自セルのデータチャネル係数、リークチャネル係数などの下りチャネル情報を推定し、推定した自セルの下りチャネル情報をユーザ信号送信装置1111に伝送する。隣接セルチャネル情報推定装置1103は、基地局信号受信装置1101から提供された隣接セル参照信号の中から、隣接セルの下りチャネル情報を収集し、推定した隣接セルの下りチャネル情報をユーザ信号送信装置1111に伝送する。自セルSNR推定装置1104は、基地局信号受信装置1101が提供した自セル基地局からの信号の中から、自セル信号のSNRを推定し、推定した自セル信号のSNRをSNR比率算出装置1106に提供する。隣接セルSNR推定装置1105は、基地局信号受信装置1101が提供した隣接セル基地局からの信号の中から、隣接セル信号のSNRを推定し、推定した隣接セル信号のSNRをSNR比率算出装置1106に提供する。SNR比率算出装置1106は、受信した自セル信号のSNRと隣接セル信号のSNRとから、その比率を算出し、算出した比率をユーザ信号送信装置1111に提供する。
下りデータ抽出ユーザ装置1107は、基地局信号受信装置1101が提供した基地局信号の中から、ユーザが必要とする下りデータを抽出し、下りデータをユーザ下り端末1108に伝送する。ユーザ下り端末1108は、下りデータをユーザ、例えばユーザのスピーカーやスクリーンなどに送る。ユーザ上り端末1109は、ユーザが送信したい上りデータ、例えばマイクから入力される音声、又はキーボードから入力されるデータなどを収集し、収集した上りデータを上りデータ収集ユーザ装置1110に伝送する。上りデータ収集ユーザ装置1110は、ユーザの上りデータに対して、アナログデジタル変換、情報源符号化、データ圧縮などのデジタル化を行い、ユーザ信号送信装置1111を介して送信する。
図11に示すユーザ局側装置において、自セルチャネル情報推定装置1102と、隣接セルチャネル情報推定装置1103と、自セルSNR推定装置1104と、隣接セルSNR推定装置1105と、下りデータ抽出ユーザ装置1107とは情報抽出及び推定装置を構成でき、前記情報抽出及び推定装置は、基地局が送信した信号の中から、データチャネル係数、リークチャネル係数などのデータチャネル及び干渉チャネルの情報を抽出し、自セルSNR及び隣接セルSNRを推定するとともに、下りデータを抽出する。情報交換として、SNR比率算出装置は、算出した比率に基づいて、自セルの基地局のプリコーディングベクトルを算出し、又は算出した比率に基づいて、隣接セルの基地局のプリコーディングベクトルを算出し、ユーザ信号送信装置1111によって、算出したプリコーディングベクトルを自セルの基地局に送信することができる。
なお、本発明は複数基地局協調の場合だけでなく、以下の場合にも応用できる。
(1)複数基地局協調による干渉抑制だけでなく、複数基地局協調による結合処理(joint processing)の場合。
(2)同種ネットワーク(Homogeneous network)における複数基地局協調だけでなく、異種ネットワーク(Heterogeneous Network)における複数基地局協調の場合。同種ネットワークでは、異なる基地局は同様のタイプを有する。異種ネットワークでは、異なる基地局は同様のタイプを有するとは限らず、異なるタイプの基地局である可能性がある。基地局のタイプは、1)一般的な基地局(eNodeB)と、2)中継局(relay)と、3)リモートラジオヘッド(remote radio head)と、4)フェムト(Femto)(Home eNodeB)とを含むが、これらに限定されない。
(3)複数基地局協調だけでなく、単一基地局複数ユーザの場合。
以上、実施の形態を用いて、本発明について説明した。なお、当業者は本発明の精神及び範囲を超えない前提において、各種の変更、更新、追加を行うことができる。そのため、本発明の範囲は上記特定の実施の形態に限定されず、添付の「請求の範囲」により限定される。
なお、上記実施の形態ではアンテナとして説明したが、アンテナポートでも同様に適用できる。
アンテナポート(antenna port)とは、1本または複数の物理アンテナから構成される、論理的なアンテナを指す。すなわち、アンテナポートは必ずしも1本の物理アンテナを指すとは限らず、複数のアンテナから構成されるアレイアンテナ等を指すことがある。
例えばLTEにおいては、アンテナポートが何本の物理アンテナから構成されるかは規定されず、基地局が異なるReference signalを送信できる最小単位として規定されている。
また、アンテナポートはPrecoding vectorの重み付けを乗算する最小単位として規定されることもある。
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
2009年3月20日出願の200910126854.3の中国出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明は、無線通信システムにおいて基地局間干渉を低減させる装置及び方法に関し、特に複数基地局の通信システムにおいて、隣接セルの基地局のリークリンク(leak link)の信号対雑音比(SNR)と干渉されたリンクのSNRとに基づいて、隣接セルの基地局のセル間干渉を抑制するか否かを決定する装置及び方法に関する。
無線通信システムにおいて、移動端末は所属するセルの基地局を介して、他の移動端末と通信する。無線通信の環境において、移動端末は所属するセルの基地局が送信した信号を受信するだけでなく、隣接セルの基地局が送信した信号も受信するが、隣接セルの基地局からの信号は当該移動端末が受信を望む通信信号ではなく、これらの信号は当該移動端末にとって干渉信号となる。すなわち、移動端末は通信プロセスにおいてセル間干渉を受ける。移動端末がセルエッジに位置する場合、セル間干渉は強くなる。これも信号のスループットを制限する主な原因になる。従って、セル間干渉の抑制は、無線通信システムの重要な課題である。
セル間干渉を除去するために、従来技術では複数基地局協調方式により通信を行い、セル間干渉を効果的に抑制している。複数基地局協調方式において、基地局には複数のアンテナが配置され、アンテナの指向性はアンテナアレイのプリコーディングベクトルによって変更可能である。複数基地局が協調する場合には、移動端末のチャネル情報は、バックステージトランクを介してそのユーザに干渉を及ぼす基地局に伝達される。このような場合、基地局はプリコーディングベクトルを設定して、当該移動端末に対する干渉を避けるとともに、所属する移動端末とのリンクを増強することができる。
図1は、従来技術で用いられる複数基地局のマルチアンテナがセル間干渉を除去するイメージ図を示す。図1に示すように、当該複数基地局のマルチアンテナシステムにおいて、基地局1(eNB1)は、関連リンクを介して移動端末1(UE1)と通信を行い、基地局2(eNB2)は関連リンクを介して移動端末2(UE2)と通信を行う。移動端末1及び移動端末2がセルエッジにある場合、基地局から移動端末までの下り方向で、基地局1が自セルの移動端末1に送信した信号は、干渉チャネルを通して隣接セルの移動端末2に対して干渉を与える。同様に、基地局2が自セルの移動端末2に送信した信号も、干渉チャネルを通して隣接セルの移動端末1に対して干渉を与える。セル間干渉を除去するために、基地局1及び基地局2のバックステージは、光ファイバ及び回線など有線方式又は無線方式により接続を行うことで、基地局1及び基地局2のバックステージ間で情報を交換することができる。基地局間の情報交換を通して、プリコーディングによりそれぞれの基地局におけるマルチアンテナを配列し、基地局1のアンテナを隣接セルの移動端末2に向かわせず、基地局2のアンテナを隣接セルの移動端末1に向かわせないようにすることで、セル間干渉を避けることができる。
従来のプリコーディングベクトルの設定方法は、信号対干渉雑音比(SINR)に対する最適化に基づく。図2はセル間干渉を算出するイメージ図を示す。図2において、基地局1(eNB1)は通信リンク11を介して移動端末1(UE1)と通信を行い、基地局2(eNB2)は通信リンク22を介して移動端末2(UE2)と通信を行う。また、基地局1が自セルの移動端末1に送信した信号は、干渉リンク12を通して隣接セルの移動端末2に対して干渉を与える。同様に、基地局2が自セルの移動端末2に送信した信号も、干渉リンク21を通して隣接セルの移動端末1に対して干渉を与える。セル間干渉を減少させるために、リンク11及びリンク22方向のプリコーディングベクトルを増強し、
リンク12及びリンク21方向のプリコーディングベクトルを低減することが望まれる。
このようなプリコーディングベクトルを設定するために、従来技術ではSINRを最適化することで、セル間干渉を減少させることができるプリコーディングベクトルを設定していた。基地局側が複数のアンテナを有し、ユーザ側が1つのアンテナを有すると仮定すると、以下の式(1)によりSINRを表すことができる。
ここで、SINR1及びSINR2はそれぞれユーザ1及びユーザ2のSINRを表し、P1及びP2はそれぞれ基地局1及び基地局2の送信電力を表し、σ2はユーザの雑音電力を表し、w1→及びw2→はそれぞれ基地局1及び基地局2のプリコーディングベクトルを表し、hmn→は基地局mからユーザnまでのチャネルベクトルを表す(m=1,2、n=1,2)。
上記式(1)を最適化することにより、以下の式(2)を用いて、2つのユーザ局のレートの和を最大にするプリコーディング量を見つけ出すことができる。
2つのユーザ局のレートの和を最大にするプリコーディング量を見つけ出すことで、システムのスループットを効果的に向上させることができる。
しかし、上記のSINRに基づく方法には以下の欠点がある。まず、このような方法は、基地局1及び基地局2を同時最適化する、すなわち最適化ターゲットにおいて同時にw1→及びw2→を含む必要がある。そのため、システムが複雑になる。次に、このような方法は、基地局1及び基地局2のいずれに対しても全てのユーザのチャネル情報を知ることを要求するため、バックステージトランクでの大量の情報交換をもたらす。状況によっては、システムのバックステージは必ずしも十分な容量を備えて情報交換を行うとは限らない。
SINR方法の上記欠点に対して、SLNR(信号対リーク雑音比)の概念が提案されている。図3はSLNRに基づいてセル間干渉を算出するイメージ図を示す。SINRは受信側の概念であり、受信信号を所望信号と干渉信号との2つの部分に分け、その比率(ノイズを含む)を算出する。これに対し、SLNRは送信側の概念である。これは送信信号を信号とリークの部分に分ける。このようにして、基地局1はw
1→の信号及びリークの2部分のみを有し、基地局2はw
2→の信号及びリークの2部分のみを有する。その比率(ノイズを含む)を算出することにより、基地局1及び基地局2のSLNRを得ること
ができる。SLNRは以下の式(3)によって表すことができる。
ここで、SLNR1及びSLNR2はそれぞれユーザ1及びユーザ2のSLNRを表す。その他の数学記号は前記(1)に示された意味と同一である。
基地局1及び基地局2のSLNRであるSLNR
1及びSLNR
2を算出した後、以下の式(4)を用いてSLNRを最適化することができる。
ここから、SLNRの導入により、w1→及びw2→をそれぞれ最適化することが可能となることがわかる。これにより、システムの複雑性が低下する一方、必要なチャネル情報の交換量も相応に減少し、且つ依然としてセル間干渉を効果的に抑制し、信号の強度を増強することができる。
SLNRは上記のメリットを有しているが、状況によっては、SLNRに基づく最適化がその性能に影響を及ぼす可能性がある。
図4はSLNRに基づく最適化が最適化の効果に影響を与えるイメージ図を示す。図4において、ユーザ局(UE)1はセル1及びセル2のエッジに位置するため、基地局2(eNB2)はユーザ局1に対して強い干渉を有する。しかし、ユーザ局(UE)2はセル1とセル2とのエッジではなく、セル2においてセル1から離れたエッジに位置する。従って、基地局1(eNB1)のユーザ局2に対する干渉は小さい。図4に示すように、基地局1のユーザ局2に対する干渉が、基地局2がユーザ局2に送信する信号より大幅に小さい場合、基地局1はユーザ2に対するリークを抑制する必要はない。しかし、従来のSLNRでは、この場合、基地局1は依然としてユーザ2に対するリークを抑制する必要がある。
基地局1のユーザ2に対するリークを抑制する必要がなければ、基地局1に対するプリコーディングベクトルの設定は、|h11 H・w1→|2を最大化することができる1つのプリコーディングベクトルを見つけ出すだけでよい。しかし、リークを抑制する必要があれば、最適な(最大化したSLNR)プリコーディングベクトルは、|h11 H・w1→|2を増大させるだけでなく、|h12 H・w1→|2を低減させる必要があり、最終的な結果はこの2つの目的が両立する。従って、リークを抑制する必要がない場合にリークを抑制すると、得られた|h11 H・w1→|2は最適な場合に比べて小さくなり、通信リンクの品質が低下することで、性能が低下する。
本発明は、複数基地局のマルチアンテナ通信システムに応用する信号送信装置及び方法の提供を目的とする。本発明の装置及び方法は、SNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入することにより、従来のSINR及びSLNRに基づく方式について改善を行った。リーク電力の重み付け係数に基づいて、リークの抑制が必要か否かを自動調整することができる。
本発明の1つの形態は、ユーザ局が、自セル基地局と隣接セル基地局とから送信された信号を受信することにより、被干渉リンクのSNRと隣接セル基地局のリークリンクのSNRとを測定するステップと、測定した被干渉リンクのSNRと隣接セル基地局のリークリンクのSNRとに基づいて、リーク電力の重み付け係数を算出するステップと、算出した重み付け係数に基づいて、リーク電力を抑制する必要があるか否かを決定するステップと、を含む複数基地局の通信システムにおいて基地局間干渉を減少させる方法を提供する。
本発明の他の1つの形態は、受信したユーザ信号から、自セルチャネル情報及び隣接セルチャネル情報と、自セルのユーザSNRの比率及び隣接セルのユーザSNRの比率とを抽出する情報抽出装置と、受信した自セルチャネル情報と、自セルの隣接セルに対する干渉チャネル情報と、隣接セルユーザSNR比率情報とに基づいて、データの送信に用いるプリコーディング行列又はプリコーディングベクトルを算出するデータ送信パラメータ算出装置と、参照信号パラメータを設定して、自セル下りリンク情報又は自セルの隣接セルに対する干渉チャネル情報を推定する参照信号パラメータ設定装置と、基地局間で情報を交換する基地局情報交換装置と、設定された参照信号パラメータと算出されたプリコーディング行列又はプリコーディングベクトルとに基づいて、基地局からデータを送信する基地局信号送信装置と、を有する複数基地局の通信システムにおいて基地局間干渉を減少させる設備を提供する。
本発明の別の1つの形態は、基地局が送信した信号の中からデータチャネル情報と干渉チャネル情報とを抽出し、自セルSNRと隣接セルSNRとを推定する情報抽出及び推定装置と、推定された自セルSNRと隣接セルSNRとの比率を算出し、算出した比率をユーザ信号送信装置に提供するSNR比率算出装置と、算出された比率とユーザの上りデータとを送信するユーザ信号送信装置と、を含む複数基地局の通信システムにおいて基地局間干渉を減少させる設備を提供する。
SINRに基づく方法と比べ、本発明の方法は各基地局のプリコーディングベクトルを同時最適化する必要がなく、バックステージトランクの情報交換量を大きく低減することができる。
また、SLNRに基づく方法と比べ、本発明の方法はSNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入する。従って、従来のSLNRに対する本発明のメリットは、リークリンクが被干渉リンクより弱い場合でも作用することができる。
従来技術で用いられる複数基地局のマルチアンテナがセル間干渉を除去するイメージ図
従来技術における、SINRに基づいて、セル間干渉を減少させる基地局のプリコーディング量を算出するイメージ図
従来技術における、SLNRに基づいて、セル間干渉を減少させる基地局のプリコーディング量を算出するイメージ図
従来技術における、SLNRに基づく最適化が最適化の効果に影響を与えるイメージ図
本発明に係る、SNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入するイメージ図
本発明のシグナリングフローに係る実施の形態1のフローチャート
本発明のシグナリングフローに係る実施の形態2のフローチャート
本発明のシグナリングフローに係る実施の形態3のフローチャート
複数の基地局とユーザ局とが通信を行うイメージ図
本発明に係る基地局間干渉を減少させる基地局側装置の構造の一例を示すイメージ図
本発明に係る基地局間干渉を減少させるユーザ局側装置の構造の一例を示すイメージ図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明にとって不要である詳細な部分及び機能については説明を省略し、本発明の理解に混濁を生じることを防ぐ。
以下の記述において、同一の装置又は設備は、異なる図面の中で同一の符号を用いる。
図5は本発明に係る、SNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入するイメージ図を示す。
以下、図5を参考にして、本発明に係る、SNRの比率をリーク電力のウェイト値として導入する具体例を説明する。図5に示す状況は、本発明を説明するためにのみ示される一例である。本発明は当該具体例に限らず、基本的な思想及び構想はその他の状況にも応用可能である。
図5に示すように、基地局1(eNB1)は通信リンク11を介してユーザ局1(UE1)と通信を行い、基地局2(eNB2)は通信リンク22を介してユーザ局2(UE2)と通信を行う。また、基地局1が自セルのユーザ局1に送信した信号は、干渉リンク12を通して隣接セルのユーザ局2に対して干渉を与える。ここで、ユーザ局(UE)1がセル1内のセル2から離れたエッジに位置すると仮定すると、基地局2(eNB2)のユーザ局1に対する干渉を、基地局1がユーザ局1に送信する信号より大幅に小さくすることができる。基地局2はユーザ局1に対するリークを抑制する必要はなく、基地局1はユーザ局2に対する干渉を抑制する必要がある。
リークリンクのSNRが小さい場合でも相応の基地局のリークを抑制することで、通信リンクの品質が低下し、性能が低下するという問題を解決するために、本発明はSNRの比率の重み付けによるSLNRの信号伝送方法を提供する。
本発明により、リーク電力に1つの重み付け係数を付加することができる。この重み付け係数は、リークリンクと被干渉リンクとの相対的な強弱を反映しているため、重み付け係数によって、隣接セルの基地局の、自セルにおける相応のユーザ局に対するセル間干渉を抑制するか否かを制御できる。具体的には、リークリンクが被干渉リンクより大幅に弱い場合、この重み付け係数は小さくなり、相応のSLNRの最適化は、リークを抑制することではない。一方、リークリンクが被干渉リンクより強い場合、この重み付け係数は大きくなり、相応のSLNRの最適化は、リークを極力抑制しようとする。
このため、具体例として、リークリンクのSNRと被干渉リンクのSNRとの比率を、可能な重み付け係数として選択でき、修正後のSLNRを表す式(5)が得られる。
式(5)において、SNR12はリークリンクのSNRを示し、SNR22は被干渉リンクのSNRを示し、その他の前記式(1)〜(4)における符号と同一の符号は、同一のパラメータを示す。この重み付け係数を適用すると、この改良されたSLNRの最適化に基づき、リークリンクと被干渉リンクとのリンクの品質に応じて、対応するリーク電力を抑制する必要があるか否かを決定することにより、従来のSLNRの課題を改善できる。
具体的には、前記式(1)に示すように、式(5)における|h12 H→・w1→|2・P1は、基地局1がユーザ局2に対して干渉を生じるリーク電力である。SNR12/SNR22は当該リーク干渉の重み付け係数となり、リークリンクと被干渉リンクとの相対的な強弱を反映する。リークリンクが被干渉リンクより大幅に弱い場合、SNR12/SNR22の比の値は小さく、リークリンクを無視して、リークを抑制しようとしないため、リークを考慮する場合に、SLNRのプリコーディングベクトルを最適化することで、通信リンクの品質が低下する問題を避けることができる。一方、リークリンクが被干渉リンクより強い場合、SNR12/SNR22の比の値は無視できない。このような場合、基地局1のユーザ局2に対するリーク干渉|h12 H→・w1→|2・P1を考慮し、SLNRのプリコーディングベクトルを最適化し、セル間のリーク干渉を減少させる必要がある。
上記の基地局1のSLNRを例に、リークリンクに対して重み付け係数を加えた式が導き出される。同様に、基地局2に対するSLNRは、以下の式(6)によって表すことができる。
以下の実施の形態に示される方法を用いて、リーク干渉の重み付け係数SNR12/SNR22及びSNR21/SNR11を得ることができる。
(実施の形態1)
図6は本発明のシグナリングフローに係る実施の形態1のフローチャートを示す。説明を簡単にするため、ここでは、隣接する2つの基地局及び2つの基地局がそれぞれサービスを提供する2つのユーザ局を例に、基地局とユーザ局とが行うシグナリングのフローを示す。
図6に示すように、ステップS601では、基地局1(eNB1、第1基地局と称することもある)がユーザ局1(UE1、第1ユーザ局と称することもある)及びユーザ局2(UE2、第2ユーザ局と称することもある)に対して信号を送信する。ユーザ局1及びユーザ局2は、基地局1から送信された信号を受信し、例えば、ユーザ局1及びユーザ局2は、基地局が送信したプリアンブル(preamble)信号から、基地局1からユー
ザ局1までのデータリンクのSNRであるSNR11及びユーザ局2までのリークリンクのSNRであるSNR12を測定することができる。同様に、基地局2(eNB2、第2基地局と称することもある)は、ユーザ局2(UE2)及びユーザ局1(UE1)に対して信号を送信する。ユーザ局2及びユーザ局1は基地局2から送信された信号を受信し、例えば、ユーザ局2及びユーザ局1は、基地局2が送信したプリアンブル信号から、基地局2からユーザ局2までのデータリンクのSNRであるSNR22及びユーザ局1までのリークリンクのSNRであるSNR21を測定することができる。ユーザ局1及びユーザ局2は、基地局から受信した信号に基づき、パラメータw、P、σを得る。パラメータσが示すユーザ局のノイズの平均二乗偏差は、以下の2種類の方法のうち、1種類の方法により得られる。
方法1:ノイズの平均二乗偏差はユーザ局の特性であることに鑑み、この特性が設備の出荷後に基本的に変更されていないと考えると、ユーザ局はすでにこの情報を知っていると考えられる。ユーザ局はネットワークに入った場合(基地局と接続が確立した場合)、この情報を基地局に通知することができる。
方法2:ノイズの平均二乗偏差が変わる可能性があると考えると、ユーザ局は基地局が信号を送信しない場合に、受信した電力を測定することができ、この電力はノイズの平均二乗偏差の二乗となる。
Pは基地局の送信電力を示す。最大送信電力は基地局において既知である。実質送信電力は通常、最大送信電力と同等である。状況によっては、実質送信電力は基地局のスケジューラ(scheduler)によって決定される。
wは最適化が必要なプリコーディングベクトルを示す。このベクトルは、基地局のデータ送信パラメータ算出装置により特定される。
そして、ステップS602では、ユーザ局1はそれぞれ例えば基地局1と基地局2とから受信したパイロット(pilot)信号により、基地局1からユーザ局1までのデータチャネルのデータチャネル係数h11→及び基地局2からユーザ局1までのリークチャネルのリークチャネル係数h21→を測定する。ユーザ局2はそれぞれ例えば基地局2と基地局1とから受信したパイロット信号により、基地局2からユーザ局2までのデータチャネルのデータチャネル係数h22→及び基地局1からユーザ局2までのリークチャネルのリークチャネル係数h12→を測定する。
ステップS603では、ユーザ局1は得られたリークチャネル係数h21→、データチャネル係数h11→及び基地局2のユーザ局1に対するリーク電力の重み付け係数SNR21/SNR11を基地局1にフィードバックする。同様に、ユーザ局2は得られたリークチャネル係数h12→、データチャネル係数h22→及び基地局1のユーザ局2に対するリーク電力の重み付け係数SNR12/SNR22を基地局2にフィードバックする。
ステップS604では、基地局1はバックステージトランクを介して、h21→と比率SNR21/SNR11とを基地局2に通知する。同様に、基地局2はバックステージトランクを介して、h12→と比率SNR12/SNR22とを基地局1に通知する。
ステップS605では、基地局1と基地局2とは、それぞれ式(5)及び式(6)に示されるSLNRを最適化する原則に基づき、それぞれのプリコーディングベクトルを算出し、算出したプリコーディングベクトルに基づいて、それぞれのユーザ局1及びユーザ局2に対してデータを送信する。
上記実施の形態におけるシグナリングのフローでは、基地局がその送信するプリコーディングベクトルを算出するため、基地局が必要な情報を収集する。しかし、本発明はこれに限定されず、ユーザ局がプリコーディングベクトルを算出し、プリコーディングベクトルを基地局側にフィードバックしてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、ユーザ局がプリコーディングベクトルを算出し、ユーザ局が算出したプリコーディングベクトルを基地局側にフィードバックするシグナリングのフローを示す。
図7は本発明のシグナリングフローに係る実施の形態2のフローチャートを示す。実施の形態2では、ユーザ局1は基地局1のプリコーディングベクトルを決定し、基地局1にフィードバックし、ユーザ局2は基地局2のプリコーディングベクトルを決定し、基地局2にフィードバックする。図7に示すように、実施の形態2において、ステップS701及びステップS702のフローは実施の形態1におけるステップS601及びステップS602のフローと同一であり、ここでは説明を省略する。
そして、ステップS703では、ユーザ1は測定された基地局2のユーザ局1に対するリークチャネル係数h21→を基地局1に報告する。同様に、ユーザ局2は測定された基地局1のユーザ局2に対するリークチャネル係数h12→を基地局2に通知する。
ステップS704では、基地局1はバックステージトランクを介して、h21→を基地局2に報告し、同様に、基地局2はバックステージトランクを介して、h12→を基地局1に報告する。
ステップS705では、基地局1は基地局2から報告された、基地局1のユーザ局2に対するリークチャネル係数h12→をユーザ局1に報告し、基地局2は基地局1から報告された、基地局2のユーザ局1に対するリークチャネル係数h21→をユーザ局2に報告する。
ステップS706では、ユーザ局1はステップS701で得られたSNRであるSNR11、SNR21及び基地局1から伝送された、基地局1のユーザ局2に対するリークチャネル係数h12→に基づいて、SLNRを最大化する原則(式(5))に従い、基地局1のプリコーディングベクトルを算出する。同様に、ユーザ局2はステップS701で得られたSNRであるSNR12、SNR22及び基地局2から伝送された、基地局2のユーザ局1に対するリークチャネル係数h21→に基づいて、SLNRを最大化する原則(式(6))に従い、基地局2のプリコーディングベクトルを算出する。そして、ユーザ局1は基地局1に対して、算出された基地局1のプリコーディングベクトルを通知し、ユーザ局2は基地局2に対して、算出された基地局2のプリコーディングベクトルを通知する。
ステップS707では、基地局1と基地局2とは、それぞれユーザ局1とユーザ局2とにより報告されたプリコーディングベクトルに基づいて、それぞれのユーザ局に対してデータを送信する。
実施の形態1において、従来のフローでは、全てのチャネル情報を上りチャネルにおいて報告する必要があった。一方、実施の形態2において、シグナリングのフローでは、半分のチャネル情報を下りチャネルにおいて報告し、半分のチャネル情報を上りチャネルにおいて報告する必要がある。大多数の通信システムでは、下りチャネルの容量が上りチャネルの容量より大きいことを考慮すると、実施の形態2はより容易に実施することができ
る。
(実施の形態3)
実施の形態2では、ユーザ局がプリコーディングベクトルを算出した後、プリコーディングベクトルを基地局側にフィードバックする状況を説明した。実施の形態2では、ユーザ局1及びユーザ局2はそれぞれ自セルの基地局のプリコーディングベクトルを算出する。以下の実施の形態3では、ユーザ局1及びユーザ局2はそれぞれ隣接セルの基地局のプリコーディングベクトルを算出する。
図8は本発明のシグナリングフローにかかる実施の形態3のフローチャートを示す。実施の形態3において、ユーザ局1は基地局2のプリコーディングベクトルを決定し、基地局1にフィードバックし、ユーザ局2は基地局1のプリコーディングベクトルを決定し、基地局2にフィードバックする。図8に示すように、実施の形態3において、ステップS801及びステップS802のフローは実施の形態2におけるステップS701及びステップS702(すなわち、実施の形態1におけるステップS601及びステップS602)のフローと同一であり、ここでは説明を省略する。
そして、ステップS803では、ユーザ1は測定された基地局1のユーザ局1に対するデータチャネル係数h11→を基地局1に報告する。同様に、ユーザ2は測定された基地局2のユーザ局2に対するデータチャネル係数h22→を基地局2に通知する。
ステップS804では、基地局1及び基地局2はバックステージトランクを介して、チャネル情報h11→とh22→とを交換し、すなわち基地局1はバックステージトランクを介して、h11→を基地局2に報告し、同様に、基地局2はバックステージトランクを介して、h22→を基地局1に報告する。
ステップS805では、基地局1は基地局2から報告されたh22→をユーザ局1に提供し、基地局2は基地局1から報告されたh11→をユーザ局2に提供する。
ステップS806では、ユーザ局1はステップS701で得られたSNRであるSNR11、SNR21、及び基地局1から伝送されたh22→に基づいて、SLNRを最大化する原則(式(6))に従い、基地局2のプリコーディングベクトルを算出する。同様に、ユーザ局2はステップS701で得られたSNRであるSNR12、SNR22、及び基地局2から伝送されたh11→に基づいて、SLNRを最大化する原則(式(5))に従い、基地局2のプリコーディングベクトルを算出する。そして、ユーザ局1は基地局1に対して、算出された基地局2のプリコーディングベクトルを通知し、ユーザ局2は基地局2に対して、算出された基地局1のプリコーディングベクトルを通知する。
ステップS807では、基地局1はバックステージトランクを介して、ユーザ局1により算出された基地局2のプリコーディングベクトルを基地局2に通知し、基地局2はバックステージトランクを介して、ユーザ局2により算出された基地局1のプリコーディングベクトルを基地局1に通知する。
ステップS808では、基地局1と基地局2とは、それぞれユーザ局2とユーザ局1とにより算出されたプリコーディングベクトルに基づいて、それぞれのユーザ局に対してデータを送信する。
実施の形態3におけるシグナリングのフローは、バックステージでデータ交換を2回行って初めてデータの伝送を開始できるため、遅延は他の2つの方法よりも長くなる。
実施の形態1〜実施の形態3におけるシグナリングのフローでは、各ステップは異なる実施方法を有することができ、例えば、実施の形態1では、ユーザ局は基地局に対して比率SNR12/SNR22を通知する必要がある。リンク帯域幅は制限されるため、この比率は量子化されることができる。1ビットでこの比率を示すと、値が0であれば、リークの抑制が不要であることを表し、値が1であれば、リークの抑制が必要であることを表す。2ビットでこの比率を表すと、値が00であれば、リークの抑制が不要であることを表し、値が01であれば、リークを少し抑制する必要があることを表し、値が10であれば、リークを考慮する必要があることを表し、値が11であれば、リークリンクが非常に強く、全力でリークを抑制する必要があることを表す。SNRの変化率が非常に低いと仮定した場合、より多くのビットでこの値を表すことも可能である。例えば、1つのビットでこの比率を示すと、比率が0.5より小さい場合にはこのビットを0と設定でき、そうでない場合にはこのビットを1と設定できる。2つのビットでこの比率を示すと、例えば、比率が0.25より小さい場合、フィードバック情報を00と設定でき、比率が0.25〜0.5の場合、フィードバック情報を01と設定でき、比率が0.5〜1の場合、フィードバック情報を10と設定でき、比率が1より大きい場合、フィードバック情報を11と設定できる。上記の数字は、説明の便宜上示された一例にすぎない。本発明はこれに限定されず、本発明の範囲において、具体的な状況に応じてその他の数値を設定できる。
状況によっては、SNR22は他の方法によってすでに取得されている可能性がある(例えば、移動検出)。このような場合、ユーザ局2は基地局2に対して、SNRの比率SNR12/SNR22ではなく、量子化されたSNRであるSNR12を伝送する必要がある。なぜなら、比率を伝送する場合、1ビットを例にすると、SNRの比率は2種類の値:0又は1を有する可能性があるからである。しかし、SNR自身を伝送する場合、SNRの比率は3種類の値:0/1(リークを抑制する必要がない)、0/0又は1/1(リークを抑制する必要がある)、1/0(リークを全力で抑制する必要がある)を有する可能性がある。従って、最後の状況がプリコーディングベクトルの性能をより最適化できる可能性がある。
また、交換するチャネル情報は瞬時のチャネル情報(例えば、h11→)に限られず、チャネル情報の統計的特性(例えば、E[h11 H→h11→])である可能性もある。チャネルの統計的特性の変化はその瞬時のチャネル特性より大幅に遅いことにより、バックステージトランクで交換するデータ量を効果的に低減させることができる。チャネルの相関性が高い場合、統計的特性もユーザの指向性を効果的に表すことにより、セル間干渉を抑制し、必要なチャネルを増強することができる。この場合、SLNRの数式における、あるチャネル係数が統計的変数となることを考慮すると、SLNRを最適化する方法はSLNRを最適化する数学的期待値に変更する必要がある。
また、上記では、基地局が複数のアンテナを有し、ユーザ局が1つのアンテナを有する場合を示した。因みに、本発明はこれに限定されず、ユーザ局が複数のアンテナを有する場合にも応用できる。このような場合、以下の式(7)を用いて、拡散されたSLNRを示すことができる。
式(7)において、プリコーディングベクトルとチャネルベクトルとは、それぞれプリコーディング行列(T1)とチャネル行列(H11とH12)とに変化する。その他の変
数の定義は上記と同じである。
また、上記では、2つの基地局と2つのユーザ局とのセル間干渉を例に、SLNRに基づいて、相応の基地局のプリコーディングベクトルを特定する状況を説明した。本発明はこれに限定されず、複数の基地局と複数のユーザとの場合にも応用できる。図9は3つの基地局及び3つのユーザ局の場合を示す。図9において、基地局2及び基地局3はユーザ局1に対してリーク干渉を生じ、基地局1はユーザ局2及びユーザ局3に対してリーク干渉を生じる。このような場合、相応の重み付け係数を加えることにより、相応の基地局の最適化されたプリコーディングベクトルを示すことができる。その式は以下の式(8)のように示される。
式(8)における各変数の意味と前記に示されたSLNRの式における変数の意味とは同一である。
また、上記実施の形態では、リークリンクと被干渉リンクとのSNRの比率を重み付け係数とした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、リークリンクのSNRを重み付け係数としてもよい。例えば、以下の式(9)に示すように、リークリンクのSNRを重み付け係数とする。
また、リークリンクのSNRと被干渉リンクのSNRとの比率の平方根を重み付け係数として、以下の式(10)のように示す。
以下、図10及び図11を参照して、本発明に係る基地局及びユーザ局の構造及び動作を説明する。
図10は本発明に係る基地局の構造のイメージ図を示す。図10に示すように、基地局側は、ユーザ信号受信装置1001と、自セルチャネルフィードバック情報抽出装置1002と、隣接セルチャネルフィードバック情報抽出装置1003と、自セルユーザSNR比率抽出装置1004と、上りデータ抽出基地局装置1005と、バックステージトランク1006と、基地局信号受信装置1007と、自セル対隣接セル干渉チャネルフィードバック情報抽出装置1008と、隣接セルユーザSNR比率抽出装置1009と、バックステージトランク1010と、参照信号パラメータ設定装置1011と、データ送信パラ
メータ算出装置1012と、基地局信号送信装置1013と、を備える。
以下、図10を参照して、本発明に係る基地局間干渉を減少させる基地局側装置の動作を説明する。ユーザ信号受信装置1001は、自セルのユーザから送信されてきた信号を受信し、受信した信号に基づいてチャネル同期、チャネル等化を行い、受信した信号を復調しサンプリングする。ユーザ信号受信装置1001の出力はそれぞれ、自セルチャネルフィードバック情報抽出装置1002と、隣接セルチャネルフィードバック情報抽出装置1003と、自セルユーザSNR比率抽出装置1004と、上りデータ抽出基地局装置1005とに提供される。
自セルチャネルフィードバック情報抽出装置1002は、受信したユーザ信号の中から、(ユーザから基地局にフィードバックされる)自セルの下りチャネル情報を抽出し、データ送信パラメータ算出装置1012に提供する。隣接セルチャネルフィードバック情報抽出装置1003は、受信したユーザ信号の中から、(ユーザから基地局にフィードバックされる)隣接セルの下りチャネル情報を抽出し、バックステージトランク1006に提供する。自セルユーザSNR比率抽出装置1004は、受信したユーザ信号の中から、(ユーザから基地局にフィードバックされる)自セルユーザのSNRの比率を抽出し、バックステージトランク1006に提供する。上りデータ基地局抽出装置1005は、受信したユーザ信号の中から、ユーザから基地局に伝送された上りデータを抽出する。バックステージトランク1006は、受信した自セルユーザ情報を他セルの基地局に送る。基地局信号受信装置1007は、バックステージトランクからの情報を受信し、すなわち他セルの基地局から送られてくる他セルユーザ情報を受信し、自セル対隣接セル干渉チャネルフィードバック情報抽出装置1008と隣接セルユーザSNR比率抽出装置1009とに提供する。
自セル対隣接セル干渉チャネルフィードバック情報抽出装置1008は、受信した他セルユーザ情報の中から、自セルの隣接セルに対する干渉チャネル情報を抽出し、当該干渉情報をデータ送信パラメータ算出装置1012に提供する。隣接セルユーザSNR比率抽出装置1009は、基地局信号受信装置1007からの他セルユーザ情報を受信し、受信した他セルユーザ情報の中から、隣接セルユーザのSNRの比率を抽出し、当該干渉情報をデータ送信パラメータ算出装置1012に提供する。
バックステージトランク1010は、基地局が送信するユーザ情報を受信し、送信するユーザ情報を基地局信号送信装置1013に提供する。参照信号パラメータ設定装置1011は、参照信号パラメータを設定する。参照信号は自セルの下りリンク情報、又は自セルの隣接セルに対する干渉チャネル情報を推定するために用いられる。データ送信パラメータ算出装置1012は、受信した自セルチャネル情報と、自セル対隣接セル干渉チャネル情報と、隣接セルユーザSNR比率情報とに従い、データ送信に用いられるプリコーディング行列又はプリコーディングベクトルを算出し、算出されたプリコーディング行列又はプリコーディングベクトルを基地局信号送信装置1013に提供する。基地局信号送信装置1013は、受信した参照信号パラメータと、データ送信パラメータと、発射する必要があるユーザデータとに基づいて、下りユーザデータと、参照信号と、変調多値数、符号レート、再送するか否かなどの他の制御信号とを、基地局から送信する。
図10に示す装置において、自セルチャネルフィードバック情報抽出装置1002と、隣接セルチャネルフィードバック情報抽出装置1003と、自セルユーザSNR比率抽出装置1004と、上りデータ抽出基地局装置1005と、自セル対隣接セル干渉チャネルフィードバック情報抽出装置1008と、隣接セルユーザSNR比率抽出装置1009とは情報抽出装置を構成可能であり、前記情報抽出装置は、受信したユーザ情報及び基地局間で転送される信号の中から、SLNR、プリコーディング行列又はプリコーディングベ
クトルなどの算出に必要なパラメータを抽出する。例えば、データチャネル係数、リークチャネル係数などである。バックステージトランク1006とバックステージトランク1010とは、基地局間で情報を交換するための基地局情報交換装置を構成することができる。
図11は、本発明に係る基地局間干渉を減少させるユーザ局側装置の構造のイメージ図を示す。図11に示すように、ユーザ局側装置は、基地局信号受信装置1101と、自セルチャネル情報推定装置1102と、隣接セルチャネル情報推定装置1103と、自セルSNR推定装置1104と、隣接セルSNR推定装置1105と、SNR比率算出装置1106と、下りデータ抽出ユーザ装置1107と、ユーザ下り端末1108と、ユーザ上り端末1109と、上りデータ収集ユーザ装置1110と、ユーザ信号送信装置1111とを備える。
以下、図11を参照して、本発明に係る基地局間干渉を減少させるユーザ局側装置の動作を説明する。基地局信号受信装置1101は、自セルの基地局及び/又は隣接セルの基地局から伝送されてきた信号を受信し、受信した信号に基づいてチャネル同期、チャネル等化を行い、受信した信号を復調しサンプリングする。基地局から伝送されてきた信号は、下りユーザデータ、参照信号、その他の制御信号などを含むことができる。基地局信号受信装置1101は、受信した信号を、自セルチャネル情報推定装置1102と、隣接セルチャネル情報推定装置1103と、自セルSNR推定装置1104と、隣接セルSNR推定装置1105と、下りデータ抽出ユーザ装置1107とにそれぞれ提供する。
自セルチャネル情報推定装置1102は、基地局信号受信装置1101から提供された自セル参照信号の中から、自セルのデータチャネル係数、リークチャネル係数などの下りチャネル情報を推定し、推定した自セルの下りチャネル情報をユーザ信号送信装置1111に伝送する。隣接セルチャネル情報推定装置1103は、基地局信号受信装置1101から提供された隣接セル参照信号の中から、隣接セルの下りチャネル情報を収集し、推定した隣接セルの下りチャネル情報をユーザ信号送信装置1111に伝送する。自セルSNR推定装置1104は、基地局信号受信装置1101が提供した自セル基地局からの信号の中から、自セル信号のSNRを推定し、推定した自セル信号のSNRをSNR比率算出装置1106に提供する。隣接セルSNR推定装置1105は、基地局信号受信装置1101が提供した隣接セル基地局からの信号の中から、隣接セル信号のSNRを推定し、推定した隣接セル信号のSNRをSNR比率算出装置1106に提供する。SNR比率算出装置1106は、受信した自セル信号のSNRと隣接セル信号のSNRとから、その比率を算出し、算出した比率をユーザ信号送信装置1111に提供する。
下りデータ抽出ユーザ装置1107は、基地局信号受信装置1101が提供した基地局信号の中から、ユーザが必要とする下りデータを抽出し、下りデータをユーザ下り端末1108に伝送する。ユーザ下り端末1108は、下りデータをユーザ、例えばユーザのスピーカーやスクリーンなどに送る。ユーザ上り端末1109は、ユーザが送信したい上りデータ、例えばマイクから入力される音声、又はキーボードから入力されるデータなどを収集し、収集した上りデータを上りデータ収集ユーザ装置1110に伝送する。上りデータ収集ユーザ装置1110は、ユーザの上りデータに対して、アナログデジタル変換、情報源符号化、データ圧縮などのデジタル化を行い、ユーザ信号送信装置1111を介して送信する。
図11に示すユーザ局側装置において、自セルチャネル情報推定装置1102と、隣接セルチャネル情報推定装置1103と、自セルSNR推定装置1104と、隣接セルSNR推定装置1105と、下りデータ抽出ユーザ装置1107とは情報抽出及び推定装置を構成でき、前記情報抽出及び推定装置は、基地局が送信した信号の中から、データチャネ
ル係数、リークチャネル係数などのデータチャネル及び干渉チャネルの情報を抽出し、自セルSNR及び隣接セルSNRを推定するとともに、下りデータを抽出する。情報交換として、SNR比率算出装置は、算出した比率に基づいて、自セルの基地局のプリコーディングベクトルを算出し、又は算出した比率に基づいて、隣接セルの基地局のプリコーディングベクトルを算出し、ユーザ信号送信装置1111によって、算出したプリコーディングベクトルを自セルの基地局に送信することができる。
なお、本発明は複数基地局協調の場合だけでなく、以下の場合にも応用できる。
(1)複数基地局協調による干渉抑制だけでなく、複数基地局協調による結合処理(joint processing)の場合。
(2)同種ネットワーク(Homogeneous network)における複数基地局協調だけでなく、異種ネットワーク(Heterogeneous Network)における複数基地局協調の場合。同種ネットワークでは、異なる基地局は同様のタイプを有する。異種ネットワークでは、異なる基地局は同様のタイプを有するとは限らず、異なるタイプの基地局である可能性がある。基地局のタイプは、1)一般的な基地局(eNodeB)と、2)中継局(relay)と、3)リモートラジオヘッド(remote
radio head)と、4)フェムト(Femto)(Home eNodeB)とを含むが、これらに限定されない。
(3)複数基地局協調だけでなく、単一基地局複数ユーザの場合。
以上、実施の形態を用いて、本発明について説明した。なお、当業者は本発明の精神及び範囲を超えない前提において、各種の変更、更新、追加を行うことができる。そのため、本発明の範囲は上記特定の実施の形態に限定されず、添付の「請求の範囲」により限定される。
なお、上記実施の形態ではアンテナとして説明したが、アンテナポートでも同様に適用できる。
アンテナポート(antenna port)とは、1本または複数の物理アンテナから構成される、論理的なアンテナを指す。すなわち、アンテナポートは必ずしも1本の物理アンテナを指すとは限らず、複数のアンテナから構成されるアレイアンテナ等を指すことがある。
例えばLTEにおいては、アンテナポートが何本の物理アンテナから構成されるかは規定されず、基地局が異なるReference signalを送信できる最小単位として規定されている。
また、アンテナポートはPrecoding vectorの重み付けを乗算する最小単位として規定されることもある。
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field
Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
2009年3月20日出願の200910126854.3の中国出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。