JPWO2010079563A1 - 組電池の充電方法、及び電池充電システム - Google Patents

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智哉 菊地
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Abstract

互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池と、前記各二次電池に対応して設けられ、対応する二次電池をそれぞれ充電する複数の充電部とを備え、前記各充電部は、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させる多段定電流充電を実行する電池充電システムである。

Description

本発明は制御弁式鉛蓄電池からなる組電池の充電方法、及びこのような組電池を充電する電池充電システムに関する。
二酸化炭素の排出や石油資源の枯渇を抑制する気運が高まる中、鉛蓄電池などの二次電池のみを動力源とする小型車両の開発が嘱望されている。中でも鉛蓄電池は、タフユースに強く適度な重量を有しているため、例えば運搬車両の動力源として有用と考えられる。
鉛蓄電池は過充電の際に電解液(硫酸)における水分が電気分解する。この現象を踏まえ、水の電気分解によって失われる水を補充することを許容する液式鉛蓄電池と、電気分解した酸素ガスを再び水として戻すことで水の補充を不要とした制御弁式鉛蓄電池とがある。これまでフォークリフトなどの運搬車両の動力源としては、水の補充は必要だがタフユースに適した液式鉛蓄電池を用いるのが一般的であった。
複数個の液式鉛蓄電池からなる組電池の構成としては、複数個の液式鉛蓄電池を直列に接続(例えば60個の電池を直列に接続)するか、複数個の液式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路を並列に接続(例えば6個の電池を直列に接続した10つの直列回路を並列に接続)することになる。
上述した構成で充電することを考えた場合、前者の構成では高電圧仕様の充電装置で充電せざるを得ず、商用電源電圧を高圧化するなどの手間が生じる。一方、後者の構成では低電圧仕様の充電装置で充電できるので、商用電流をそのまま用いることも可能となる。そもそも液式鉛蓄電池は2時間率を超えるような高率で充電すると効率が低下するため、比較的小さな充電電流が用いられる。従って、後者の構成のように、複数の液式鉛蓄電池の直列回路を並列接続した構成において、各直列回路へ並列に充電電流を供給することが比較的容易である。
また、液式鉛蓄電池は、部品抵抗の影響が小さく、従って後者の構成のように複数の液式鉛蓄電池の直列回路を並列接続した場合であっても、各直列回路相互間での抵抗値の差異が小さいので、各回路へ分流する充電電流値の差は無視できる程度に小さくできる。そのため、液式鉛蓄電池の場合、後者の構成を採った場合のデメリットが少なく、前者の構成よりも有利である。
一方、部品抵抗より影響の大きい反応抵抗は、電解液量に反比例するため、電解液量が液式鉛蓄電池より少なくなる制御弁式鉛蓄電池の方が、反応抵抗が大きくなりやすい。そのため、内部抵抗(部品抵抗+反応抵抗)は制御弁式の方がバラツキやすい。そのため、制御弁式鉛蓄電池は、液式鉛蓄電池と比べて並列での充電に適さない。
したがって、液式鉛蓄電池では、複数の液式鉛蓄電池の直列回路を並列接続して各液式鉛蓄電池を並列に充電することで、良好な充電が可能である。そのため、液式鉛蓄電池からなる直列回路を並列接続した組電池の充電方法として、各々の直列回路を並列にした状態でそれぞれに充電装置を接続し、各直列回路の充電を個別に制御して充電するような方法(例えば特許文献1)は、煩雑な上に、かえってそれぞれの充電装置の定格電流範囲内での誤差によって直列回路ごとに充電容量がばらつく虞があるため、忌避されてきた。
特開昭55−053140号公報
ところが近年、24時間稼動の工場でフォークリフトなどの運搬車両を連続使用する機会が増すにつれ、水の補充が不要な制御弁式鉛蓄電池が動力源として嘱望されるようになった。これに応えるべく、複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路を並列に接続した組電池を構成したところ、充電を繰返すことにより著しい容量低下が見られることがわかった。
本発明の目的は、制御弁式鉛蓄電池を用いた組電池を、繰り返し充電した際の容量低下を低減することができる組電池の充電方法、及び電池充電システムを提案することである。
本発明の一局面に従う電池充電システムは、互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池と、前記各二次電池に対応して設けられ、対応する二次電池をそれぞれ充電する複数の充電部とを備え、前記各充電部は、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させる多段定電流充電を実行する。
また、本発明の一局面に従う組電池の充電方法は、互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池の充電方法であって、前記各二次電池に対応して設けられた複数の充電部によって、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させることにより、多段定電流充電を実行する充電工程を含む。
この構成によれば、制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池を多段定電流充電する際に、各二次電池は、端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電が、充電電流値を都度減少させつつ複数回繰り返される。そうすると、充電電流値が大きい初期の定電流充電においては、成層化が進んでいる(成層化が重篤な)二次電池の方が、成層化が進んでいない(成層化が軽度な)二次電池よりも端子電圧の上昇が早いため、短時間で定電流充電が終了する。
そして、大きな電流値で充電する初期の定電流充電が短時間で終了すると、多段定電流充電初期の定電流充電によって成層化が重篤な二次電池の充電される電気量は、成層化が軽度な二次電池より少なくなるため、成層化が重篤な二次電池では、その不足分が多段定電流充電末期の充電電流値が小さい定電流充電によって充電されることとなる。そうすると、成層化が重篤な二次電池は、成層化が軽度な二次電池よりも少ない電流値で充電される期間が長くなるから、多段定電流充電による充電時間全体が、成層化が軽度な二次電池よりも長くなる。従って、成層化が重篤なものは充電時間が長くなり、成層化が軽度なものは充電時間が短くなる。
ここで、成層化は、充電時間が長いほど解消されるので、並列接続された複数の二次電池相互間において、成層化の程度にバラツキがあったとしても、成層化が重篤なものの方が、成層化が軽度なものよりも充電時間が長くなって成層化がより多く解消される結果、成層化の程度のバラツキが低減される。そして、各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、最も成層化が重篤な制御弁式鉛蓄電池におけるその成層化の程度が軽減される結果、成層化に起因して電池容量が減少するおそれが低減される。そうすると、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
本発明に係る組電池の充電方法が適用された電池充電システムの第1実施形態を表すブロック図である。 図1に示す充電装置の構成の一例を示すブロック図である。 図1に示す制御弁式鉛蓄電池の一例を示す構成図である。 図3に示す正極板、及び負極板の一例を示す構造図である。 図1に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 n段定電流充電における二次電池ごとの充電挙動を表す模式図であって、図6Aは成層化の度合が軽度な二次電池の挙動を、図6Bは成層化の度合が重篤な二次電池の挙動を示すものである。 制御弁式鉛蓄電池における正極および負極の高さと充電受け入れ性との相関を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る電池充電システムの一例を示すブロック図である。 図8に示す充電装置の構成の一例を示すブロック図である。 図8に示す処理部による熱履歴値の算出動作の一例を示すフローチャートである。 図8に示す処理部による熱履歴値の算出動作の一例を示すフローチャートである。 図9に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図9に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図8に示す充電装置による充電に伴う二次電池の端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。 図8に示す充電装置による充電に伴う二次電池の端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。 n段定電流充電における二次電池ごとの充電挙動を表す模式図であって、(a)は成層化の度合が重篤な二次電池の挙動を、(b)は成層化の度合が軽微な二次電池の挙動を示すものである。 本発明の第4実施形態に係る電池充電システムの一例を示すブロック図である。 図17に示す充電装置の構成の一例を示すブロック図である。 各二次電池の配設状態の一例を示す説明図である。 記憶部に記憶されている温度情報の一例について説明するための説明図である。 処理部によって、各二次電池に対応して設定される充電終止電圧の一例を示す説明図である。 各二次電池の配設状態の他の一例を示す説明図である。 記憶部に記憶されている温度情報の一例について説明するための説明図である。 処理部によって、各二次電池に対応して設定される充電終止電圧の一例を示す説明図である。 図17に示す処理部の動作の一例を示すフローチャートである。 図18に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図18に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図18に示す充電装置による充電に伴う二次電池の端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。 図18に示す充電装置による充電に伴う二次電池の端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図を用いて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
ところで、鉛蓄電池の充電反応は、正極および負極の放電生成物である硫酸鉛を二酸化鉛または海綿状鉛に戻す反応であり、その際に、硫酸を生成する。生成された硫酸は、一時的に活物質の周辺における電解液の濃度を上昇させる。濃度の高い電解液は周りの電解液より比重が重いため、重力により電池の下部へ沈降する。
その結果、電池の下部で電解液の濃度が高くなり、上部で電解液の濃度が低くなる現象(以下、成層化と称する)が起こる。成層化によって硫酸の濃度が高くなった電解液の中では、一般にサルフェーションと呼ばれる硫酸鉛の結晶の粗大化と硫酸鉛結晶の蓄積が起こり、活物質の充電受入性が低下する。この現象を把握せずに無作為な充電を繰返すと、電池容量が急激に低下して短寿命となる。
発明者らが鋭意検討した結果、上述した成層化は、制御弁式鉛蓄電池の置かれる環境温度に相応して度合が変化することを知見した。具体的には、環境温度が低い場合、成層化は以下のように推測される理由によって顕著化しやすくなる。
すなわち、充電末期に正極から発生した酸素ガスは、正極活物質の孔の中に含まれる電解液と置換されることによって、この電解液を外側(セパレータ側)へと押し出すとともに、正極の表面から離脱した酸素ガスの気泡の一部は、電解液を含浸したセパレータ内を上昇して電解液を攪拌し、電解液の成層化を解消するものと考えられる。制御弁式鉛蓄電池は液式鉛蓄電池と比べて成層化の発生量は少ないものの、酸素ガスによって攪拌される電解液の量も少ないために上述した成層化の解消の効果も得られにくい。
加えて環境温度が低い(例えば10℃未満)場合、環境温度が高い(例えば40℃超過)場合と比較して充電末期における正極での酸素ガス発生量はさらに少なく、前記した成層化の解消作用が十分に得られなくなる。組電池に用いられる数が多くかつ短時間での充電を要求される制御弁式鉛蓄電池において、液式鉛蓄電池と比べて成層化は僅かであっても、組電池全体に与える影響は大きい。
また、液式鉛蓄電池に比べて、制御弁式鉛蓄電池の方が、環境温度が電池の劣化に与える影響が大きいことがわかった。1つは、温度に関わらず同じ充電終止電圧条件で充電すれば、高温になるほど充電終止電圧に到達するまでの時間が長くなり、すなわち充電電気量が多くなり、過充電が進んで水の電気分解が多量に起ることで電解液が高濃度になる。電解液が高濃度になると、正極格子の腐食が促進され、短寿命となる。制御弁式鉛蓄電池では、液式鉛蓄電池のように、補水と充電により電解液濃度を均等にする、ということができない。
そのため、複数の制御弁式鉛蓄電池を用いた組電池では、各制御弁式鉛蓄電池の温度にバラツキが生じると、各制御弁式鉛蓄電池における成層化の程度にもバラツキが生じる。そして、成層化の程度がバラついたまま各制御弁式鉛蓄電池を同じように充放電させると、成層化が進んだ制御弁式鉛蓄電池においてサルフェーションが起こり、活物質の充電受入性が低下し、その制御弁式鉛蓄電池の電池容量が減少する。そうすると、組電池全体の電池容量も減少する。
特に、制御弁式鉛蓄電池が複数直列接続されている場合には、その直列回路に含まれる制御弁式鉛蓄電池のうち最も電池容量が減少した制御弁式鉛蓄電池によって、直列回路全体の充放電可能な電気量が制限されてしまうので、成層化のバラツキにより生じる電池容量の減少が、さらに顕著となる。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであって、複数個の制御弁式鉛蓄電池(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池、特に複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池において、下記の構成を採用することで、以下に示す効果が得られるようになる。
第1に、各々の二次電池(二次電池)にそれぞれ充電装置を接続することで、環境温度が異なるそれぞれの二次電池に合わせて充電できるようになる。前述したように、各々の二次電池にそれぞれ充電装置を接続すれば、それぞれの充電装置の定格電流範囲内での誤差によって二次電池ごとに充電電気量がばらつく虞がある。しかしながら、液式鉛蓄電池の場合とは異なり、制御弁式鉛蓄電池からなる二次電池では、環境温度が異なる(すなわち成層化の度合が異なる)状況で並列に接続して1つの充電装置で充電する方が、充電装置の精度バラツキよりも、充電電気量のばらつきは大きくなる。
第2に、充電装置のそれぞれが各々の二次電池の充電電圧を検出してn段(多段)定電流充電を行うことで、以下に挙げる効果が得られる。
まず、成層化によって電解液である硫酸の濃度は電池の下部ほど高くなるものの、正極および負極のタブ(集電部)は電池の上部に設けられているので充電反応(放電生成物である硫酸鉛から硫酸成分が電解液に戻る反応)は電池の上部ほど進行しやすく(電池の上部ほど硫酸が電解液に戻されやすく)なる。成層化を着実に解消するためには時間を掛けて徐々に電池の上部から硫酸を電解液に戻す方が好ましいが、充電時間を短縮するためには公知のn段定電流充電(二次電池の充電電圧が所定の制御電圧に上昇して到達した時点で、段階的に電流値を小さくしていく充電)を適用することが好ましい。
ところが充電装置のそれぞれが各々の二次電池の充電電圧を検出してn段定電流充電を行うことで、成層化が著しい二次電池ほど充電所要時間が延びることになる。すなわち成層化が著しい二次電池は他の二次電池と比較して内部抵抗が高くなるため、充電開始直後の1段目の充電(最も電流値が大きい)において充電電圧が制御値に早く到達する一方、充電電流が徐々に小さくなる2段目以降の充電電気量が多くなり、結果として他の二次電池と比較して充電所要時間が延びる。
このように成層化が起こりやすい二次電池では充電所要時間に比例して成層化が着実に解消されるのだが、成層化が起こりにくい二次電池では充電所要時間が短いために成層化が十分に解消されない。この差によって結果的に各二次電池相互間の成層化の度合が揃うようになり、二次電池ごとの充電電気量の差に起因する不具合(過放電および次の充電における充電容量ばらつき)が軽減される。この第2の効果は、成層化が著しい制御弁式鉛蓄電池に対して、本発明に係る充電方法を適用した場合に特有の効果と考えられる。
以下、本発明に係る具体的な実施形態について、説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る組電池の充電方法、及び電池充電システムは、例えば複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池の充電方法を用いる。この充電方法は、各々の直列回路にそれぞれ充電装置を接続し、充電装置のそれぞれが各々の直列回路の充電電圧を検出して、電流値をn−1(但しnは2以上の整数)回変化させて定電流充電を複数回繰り返すn段定電流充電を行う。
図1は本発明に係る組電池の充電方法が適用された電池充電システムの第1実施形態を表すブロック図である。図1に示す電池充電システム100は、二次電池1a,1bと、充電装置(充電部)2a,2bと、ダイオード3a,3b,4a,4bとを備えている。二次電池1a,1bは、それぞれ複数の制御弁式鉛蓄電池Bが直列接続されて構成されている。そして、電池充電システム100の外部に負荷5が接続されるようになっている。
複数の制御弁式鉛蓄電池からなる二次電池1aは、同様の構成からなる二次電池1bと並列に接続され、組電池を構成している。二次電池1aと1bとにはそれぞれ、個別に充電装置2aと2bとが接続されている。放電の際にはダイオード3aおよび3bを介して二次電池1aおよび1bから電流が負荷5に供給される。充電の際にはダイオード3aおよび3bが閉じる一方でダイオード4aおよび4bを介して充電装置2aおよび2bから電流が二次電池1aおよび1bに供給される。
図2は、図1に示す充電装置2a,2bの構成の一例を示すブロック図である。図2に示す充電装置2a,2bは、例えばアナログデジタルコンバータ等を用いて構成され、二次電池1a,1bの端子電圧を検出する電圧検出部22と、二次電池1a,1bを充電するための充電電流を出力する定電流回路23と、制御部21とを備えて構成されている。定電流回路23は、例えばスイッチング電源回路等によって構成されている。
制御部21は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、その周辺回路等とを備えて構成されている。そして、制御部21は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、充電制御部211として機能する。
充電制御部211は、電圧検出部22によって検出された二次電池1a,1bの端子電圧Vに応じて、定電流回路23の出力電流値を制御する。
なお、並列接続されている二次電池の数や、これに対応する充電装置の数は、複数であればよく、2個に限らない。また、二次電池1a,1bは、複数の制御弁式鉛蓄電池Bが直列接続されたものに限られず、それぞれ1個の制御弁式鉛蓄電池Bから構成されていてもよい。以下、二次電池の数、及び充電装置の数が2個である場合を例に、説明する。
図3は、図1に示す制御弁式鉛蓄電池Bの一例を示す構成図であり、ポリプロピレン樹脂よりなる電槽B1には複数のセルB2が同一方向に連接されて構成されている。各セルB2には、正極板B3、負極板B4がガラス繊維を主体とするセパレータB5を介して積層されている。そして、同極性の極板同士がストラップB6によって一体化された極板群B7が電槽B1に収納されている。
この極板群B7は、隔壁B8を介して接続体B9により隣接セルの極板群と接続されている。さらに、電槽B1の上部には各セルからの排気構造B10を有した蓋B11が溶着一体化されて、制御弁式鉛蓄電池Bが構成されている。また、セパレータB5には、電解液が含浸されている。
図4は、図3に示す正極板B3、及び負極板B4の一例を示す構造図である。正極板B3、及び負極板B4は、格子状の中骨B31の上側の一端に、上枠骨B32が設けられ、中骨B31の下側の一端に、下枠骨B33が設けられ、上枠骨B32には集電耳部B34が連接され、さらに中骨B31(及び上枠骨B32、下枠骨B33の一部)には活物質B35が充填(塗布)されて、正極板B3、及び負極板B4の一部(大部分)が活物質B35で覆われている。
この場合、上枠骨B32及び下枠骨B33が上下方向となるように正極板B3、及び負極板B4を配置すると、図4に示す長さLが、活物質B35で覆われた部分の重力方向の長さとなる。正極板B3、及び負極板B4は、長さLが、例えば100mm以上、200mm以下にされている。
図5は、図1に示す充電装置2aの動作の一例、すなわち組電池の充電方法に係る多段(n段)定電流充電の一例を示すフローチャートである。なお、充電装置2bは、充電装置2aと並行して同様に動作するので、その説明を省略する。充電装置2a,2bは、それぞれが備える充電制御部211による制御動作によって、以下の多段定電流充電を実行する。
まず、複数回(n回)の定電流充電で用いられる充電電流値Ic1〜Icnが、例えば充電装置2a,2bにおける制御部21のROMに、予め記憶されている。充電電流Iは、1段目の定電流充電が最も電流値(Ic1)が大きく、2段目の定電流充電において電流値(Ic2)は電流値(Ic1)よりも小さくなり、最終のn段目の定電流充電が最も電流値(Icn)が小さい。
まず、ステップS01において、充電装置2aによって、充電電流Iが充電電流値Ic1に設定されて、1段目の定電流充電C1が開始され、二次電池1aが充電される。ステップS02において、充電装置2aに接続された二次電池1aの電圧Vが1段目の充電終止電圧Ve1以上であるか否かが判断され、VがVe1未満であれば(ステップS02でNO)1段目の定電流充電C1が継続され、Ve1以上であれば(ステップS02でYES)1段目の定電流充電C1を終止する。
次いでステップS03において、充電装置2aによって、充電電流Iが充電電流値Ic2に設定されて、2段目の定電流充電C2が開始される。ステップS04において、接続された二次電池1aの電圧Vが2段目の充電終止電圧Ve2以上であるか否かが判断され、電圧VがVe2未満であれば(ステップS04でNO)2段目の定電流充電C2が継続され、Ve2以上であれば(ステップS04でYES)2段目の定電流充電C2を終止する。
このようなステップを繰返した後、ステップS05において、n段目の定電流充電Cnが開始される。ステップS06において、接続された二次電池1aの電圧Vがn段目の充電終止電圧Ven以上であるか否かが判断され、電圧VがVen未満であれば(ステップS06でNO)n段目の定電流充電Cnが継続され、Ven以上であれば(ステップS06でYES)ステップS07に移行して充電を終止する。
本発明においては、それぞれの直列回路に接続された充電装置が、個々に上述したn段定電流充電を行うことになる。例えば、充電装置2bは、二次電池1bに対して上述のステップS01〜S07と同様の多段定電流充電を実行する。これによる効果は後ほど詳述する。なお同じ段目の充電終止電圧は直列回路ごとに異ならない方が好ましいが、各段目の充電終止電圧Ve1、Ve2およびVenは同じ値であっても異なる値であっても良い。
例えば、各段目の充電終止電圧Ve1、Ve2およびVenを、二次電池1a,1bの満充電電圧に設定しておけば、二次電池1a,1bを満充電することができる。以下、充電終止電圧Ve1〜Venを総称して充電終止電圧Veと称する。
ここで、鉛蓄電池は、SOC(State Of Charge)が増大するほど充電電流が流れることによる劣化が生じやすくなる性質がある。そのため、SOCが0%に近い状態から満充電に近い状態まで同じ電流値で定電流充電を行おうとすると、満充電に近い充電末期においても鉛蓄電池を劣化させないような小さな電流値で定電流充電を行う必要がある。
しかしながら、図1に示す充電装置2a,2bのように、段階的に充電電流値を減少させながら多段定電流充電を行うことで、充電初期のSOCが小さいときは、充電末期のSOCが大きいときよりも充電電流値を増大させることができる結果、充電時間を短縮することができる。
図6はn段定電流充電における二次電池ごとの充電挙動を表す模式図であって、図6Aは成層化の度合が軽度な二次電池の挙動を、図6Bは成層化の度合が重篤な二次電池の挙動を示すものである。なお図6A、図6Bにおける縦軸は充電電流(I)を示し、横軸は充電所要時間(t)を示す。
成層化の度合が軽度な二次電池は内部抵抗が比較的小さいため、内部抵抗に充電電流が流れることで生じる電圧が小さい。その結果、図6Aに示すように、大きな充電電流で充電する1段目の定電流充電C1において、制御値(図5のステップS02におけるVe1)に達するまでの所要時間(C1)が比較的長い。このように充電電流値が大きな値に設定された1段目の定電流充電C1にて十分に(長時間)充電された二次電池では、その後の2段目からn段目までの定電流充電C2〜Cnにおける制御値(図5のステップS04におけるVe2、・・・およびステップS06におけるVen)に達するまでの所要時間(定電流充電C2〜Cnの期間)が比較的短くなり、結果的に充電所要時間(C1+C2+・・・・+Cn−1+Cn)は、成層化の度合が軽度な二次電池の方が、成層化の度合が重篤な二次電池よりも短くなる。
成層化の度合が重篤な二次電池は内部抵抗が比較的大きいため、内部抵抗に充電電流が流れることで生じる電圧が大きい。その結果、図6Bに示すように、大きな充電電流で充電する1段目の定電流充電C1において、二次電池の端子電圧Vが制御値に達するまでの所要時間(C1)が比較的短い。このように1段目にて十分に充電されなかった二次電池では、電流値が小さくなるにつれて内部抵抗の影響が低下するため、2段目からn段目までの定電流充電C2〜Cnにおける制御値に達するまでの所要時間(定電流充電C2〜Cnの期間)が比較的長くなり、結果的に充電所要時間(C1+C2+・・・・+Cn−1+Cn)は、成層化の度合が重篤な二次電池の方が、成層化の度合が軽度な二次電池よりも長くなる。
例えば、制御弁式鉛蓄電池からなる二次電池1aに比べて二次電池1bが外気に晒されやすい箇所に配置された形で、図1に示す電池充電システム100が寒冷地において運搬車両の動力源として用いることを想定した場合、二次電池1bの方が低温になるから成層化は重篤になる。すなわち二次電池1aに対する多段定電流充電の実行経過が図6Aに該当し、二次電池1bに対する多段定電流充電の実行経過が図6Bに該当するようになり、成層化が軽度な二次電池1aの方が、成層化が重篤な二次電池1bと比較して充電所要時間は短くなる。
成層化を着実に解消するためには、時間を掛けて徐々に電池の上部から硫酸を電解液に戻す方が好ましい。すなわち成層化の解消度合は充電所要時間に比例するのだが、上述したように、電池充電システム100によれば、成層化が軽度な二次電池1aの方が、成層化が重篤な二次電池1bよりも充電時間が短くなるから、成層化が軽度な二次電池1aの方が、成層化が重篤な二次電池1bよりも成層化の解消作用が小さく、従って成層化の解消が不十分になるのに対して、成層化が重篤な二次電池1bの方が、成層化の解消作用が大きくなる。
しかしこのことによって、バラついていた各二次電池間の成層化の度合が揃うようになり、結果的に二次電池ごとの充電電気量の差に起因する不具合、例えば成層化が重篤で充電が不十分な二次電池における過放電や、充放電サイクルを重ねるほど拡がる二次電池ごとの充電電気量ばらつき(特定の二次電池の酷使につながる)などが軽減される。この第2の効果は、成層化が著しい制御弁式鉛蓄電池特有の効果と考えられる。
そして、このようにして各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、最も成層化が進んだ制御弁式鉛蓄電池であってもその成層化の程度が軽減される結果、サルフェーションにより電池容量が減少するおそれが低減される。そうすると、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
なお、多段定電流充電においては、充電電流を減少させる段数を増加させるほど、SOCに応じて鉛蓄電池を劣化させない最大限度に近い充電電流を、各段の定電流充電において設定することが可能になるから、段数を増加させるほど、充電時間が短くなる。しかしながら、充電時間が短くなると、制御弁式鉛蓄電池における成層化解消の効果が減少してしまう。従って、成層化解消の効果と充電時間短縮効果とのバランスによって、適宜充電電流を減少させる段数(複数回数)を設定することが望ましい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る組電池の充電方法、及び電池充電システムは、最後に実行する定電流充電Cnの終了条件を、二次電池の端子電圧Vに関わらず、所定の補充電時間tnの間、継続するものである。
電流値をn回変化させるn段定電流充電においては、最後のn段目の充電における第n定電流は非常に小さい値で設定することが多いので、二次電池の電圧Vの時間に対する変化が微小となる。そのため、充電終止電圧Ven付近でノイズの影響を受け易く、電圧による充電終止条件の判定(図5のステップS06における充電終止電圧Venと電圧Vとの比較による充電終了条件の判定)において、誤判定が生じやすい。そこで、最後に実行する定電流充電Cnを、二次電池の端子電圧Vに関わらず、所定の補充電時間tnの間、継続した後に終了することで、微妙な判定が要求される充電終止電圧Venと電圧Vとの比較を実行する必要が無くなり、僅かな電圧の変化で左右されることなく、比較的精度よく充電終了条件を判定することができる結果、充電終了条件を誤判定してしまうおそれが低減される。
なお、定電流充電C1で要した充電時間や二次電池1a,1bの温度に応じて補充電時間tnを設定する変形例が考えられるが、このような変形例については、後述する他の実施形態において説明する。
次に、制御弁式鉛蓄電池における正極および負極の高さを100mm以上としたことの効果について説明する。なお、本明細書において、正極および負極の高さは、極板の一要素である集電体において、活物質が充填された部分の高さ、すなわち極板の活物質で覆われた部分の重力方向の長さを意味し、集電耳部およびこれに連設された上枠骨、および下枠骨等、活物質が充填されていない部分の高さ寸法は含まれない。但し、活物質の充填厚みを集電体厚みよりも大とし、上枠骨や下枠骨の一部あるいはすべてに活物質が充填されている場合はその限りではない。
図7は、制御弁式鉛蓄電池における正極および負極の高さと充電受け入れ性との相関を示す図であり、縦軸は充電受け入れ性指標を(%)を示し、横軸は制御弁式鉛蓄電池の正極および負極の極板高さ、すなわち、本明細書においては、活物質充填部の高さ(mm)を示す。
なお、本明細書において、充電受け入れ性として、充電受け入れ性指標で表し、それぞれの定義は以下によるものとした。
まず、各種の極板高さを有する制御弁式鉛蓄電池から構成される二次電池を、各電池温度で、3時間率電流で1.75V/セルまで連続して定電流放電して、二次電池の放電容量Qdを計測する。
その後、各二次電池を、放電時の温度で、1段目の充電電流を0.8CAとし、セル電圧が2.4V/セルとなった時点で、充電電流を、0.8CAから0.6CA、0.4CA、0.2CAおよび0.1CAへと順次切り替えていく、5段充電を行い、この5段充電の1段目で充電された充電電気量Qc1を計測した。ここで、1CA=1Itである。また、1It(電池容量(Ah)/1(h))は、二次電池の公称容量値を1Itの電流値で放電した場合に、1時間で二次電池の残容量がゼロとなるような電流値である。
そして、前記した放電容量Qdに対する充電電気量Qc1の比率(Qc1/Qd)を充電受け入れ性ηとした。さらに、電池温度25℃であって、かつ極板高さ100mmの制御弁式鉛蓄電池から構成される二次電池の充電受け入れ性ηを標準の充電受け入れ性ηrとし、各温度、各極板高さの二次電池の充電受け入れ性ηをηrに対する百分率として表し、これを充電受け入れ性指標(%)として図7の縦軸とした。
上述したように、制御弁式鉛蓄電池は液式鉛蓄電池と比べて電解液の量が少ないため、電池の下部と上部との硫酸濃度の差が緩和しにくい(SO4 2-の拡散が困難である)。中でも図7に示すように、正極および負極の高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池の場合、電池の下部と上部との硫酸濃度の差が特に緩和しにくくなって、成層化が顕著となり、特に低温環境での充電受け入れ性が低下する。また、電流値が大きい高率充電が困難になる。
しかし、電池充電システム100によれば、このような高率充電を1段目とするようなn段定電流充電を想定した場合、繰り返し述べたように、低温環境に置かれた制御弁式鉛蓄電池(二次電池)の充電所要時間が高温環境に置かれた制御弁式鉛蓄電池(二次電池)の充電所要時間よりも長くなり、二次電池ごとの成層化の度合が揃うようになる。図7の結果は、正極および負極の高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池において、成層化がより顕著になる一方、極板高さが100mmに満たない制御弁式鉛蓄電池では、成層化が僅かしか生じないことを示している。
そうすると、極板高さが100mmに満たない制御弁式鉛蓄電池を複数組み合わせた組電池では、そもそも成層化が僅かしか生じないのに対し、極板高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池を複数組み合わせた組電池では、各制御弁式鉛蓄電池における成層化が顕著となる結果、各制御弁式鉛蓄電池間での成層化のバラツキも増大する。従って、電池充電システム100における制御弁式鉛蓄電池Bとして、必ずしも極板高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池を用いる必要はないが、極板高さが100mmに満たない制御弁式鉛蓄電池を用いた場合よりも、成層化の程度のバラツキが大きい、極板高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池を用いた場合の方が、電池充電システム100における成層化のバラツキを低減する効果(成層化度合の平準化)のメリットが大きくなる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る組電池の充電方法、及び電池充電システムは、例えば複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池の充電方法であって、各々の直列回路にそれぞれ充電装置を接続し、充電装置のそれぞれが各々の直列回路の充電電圧を検出して、電流値をn−1(但しnは2以上の整数)回変化させて定電流充電を複数回繰り返すn段定電流充電を行うに当たり、各々の直列回路の熱履歴に基づいて、各々の直列回路における通電電気量を変化させる。
この構成によれば、各々の直列回路が経た熱履歴(例えば組電池がどのような地域でどのように使用され、結果的に各々の直列回路間でどの程度の環境温度差が生じるか)という予測が困難な因子を考慮して、直近の環境温度のみに頼らず各々の直列回路における通電電気量を変化させる。これにより、成層化がより重篤な(低温環境下の履歴が長い)直列回路を正確に判定し、この通電直列回路の通電電気量を大きくしてより活発に成層化解消反応(酸素ガス発生反応)を促して、直列回路間の成層化の解消度合をより揃えることが可能となる。
なお、充電電気量とは、二次電池(制御弁式鉛蓄電池)に実際に蓄えられた電気量を意味し、通電電気量とは、充電装置から二次電池へ供給された電気量を意味するものとする。
以下、第3実施形態に係る具体的な実施形態について、説明する。図8は、第3実施形態に係る電池充電システムの一例を示すブロック図である。
図8に示す電池充電システム100’は、図1に示す電池充電システム100とは、処理部6(通電電気量設定部)、温度測定部7a,7b、及び後述する電流検出部をさらに備える点、及び充電装置2a’,2b’の構成が異なる。その他の構成は図1に示す電池充電システム100と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
温度測定部7a,7bは、例えばサーミスタや熱電対等を用いて構成された温度センサである。温度測定部7a,7bは、例えば二次電池1a,1bの近傍に配設されて、二次電池1a,1bの温度をそれぞれ検出する。なお、温度測定部7a,7bは、例えば制御弁式鉛蓄電池Bの電槽B1内や外壁面に配設されて直接二次電池1a,1bの温度を検出するものであってもよく、二次電池1a,1bの近傍の温度を検出することで、間接的に二次電池1a,1bの温度を検出するものであってもよい。
処理部6は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成された制御回路である。処理部6は、通電電気量設定部の一例に相当している。処理部6は、温度測定部7a,7bによって測定される二次電池1a,1bの温度の、予め設定された設定期間における積算値を、熱履歴を示す熱履歴値Hrとしてそれぞれ算出し、熱履歴値Hrが大きい二次電池ほど多段定電流充電における総通電電気量を減少させるように、充電装置2a’,2b’における充電終止電圧Ve1〜Venを設定する。
具体的には、処理部6は、例えばROMによって構成された記憶部61(第1記憶部)が設けられており、記憶部61には、熱履歴値Hr(積算値、最大値)が大きいほど、充電終止電圧Ve1〜Venが低下するように、熱履歴値Hrと充電終止電圧Ve1〜Venとが対応付けられたルックアップテーブル(LUT)である熱履歴値テーブルが予め記憶されている。
ここで、充電終止電圧Ve1〜Venが高いほど、充電装置2a’,2b’によって実行される多段定電流充電において二次電池1a,1bへ供給される総通電電気量が増大するので、充電終止電圧Ve1〜Venは、総通電電気量を示す情報となる。また、熱履歴値Hrは、温度測定部7a,7bによって検出された温度から算出されており、各温度に関する情報に相当している。
処理部6は、熱履歴値テーブルを参照し、熱履歴値Hrが大きいほど、充電装置2a’,2b’における充電終止電圧Ve1〜Venを小さな値に設定することで、熱履歴値Hrが大きい二次電池ほど多段定電流充電における総通電電気量を減少させるように、その通電電気量を制御する。
また、上記設定期間としては、例えば、充電装置2a,2bによって、前回、多段定電流充電が実行された後、新たに多段定電流充電が開始されるまでの期間が設定されている。
図9は、図8に示す充電装置2a’,2b’の構成の一例を示すブロック図である。図9に示す充電装置2a’,2b’は、図2に示す充電装置2a,2bとは、制御部21’の構成が異なる。制御部21’は、計時部212、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、補充電時間補正部216、及び記憶部217(第2記憶部)をさらに備える点で、図2に示す制御部21と異なる。
なお、計時部212、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、補充電時間補正部216、及び記憶部217が、充電装置2a’,2b’にそれぞれ設けられる例を示したが、これら各部が例えば処理部6に設けられて、補充電時間算出部215や補充電時間補正部216によって得られた各二次電池に対応する補充電時間tnを、処理部6から充電装置2a’,2b’における制御部21’へ送信する構成としてもよい。
また、充電制御部211’は、処理部6によって設定された充電終止電圧Ve1〜Venに基づいて、多段定電流充電を実行する点、及び最後の定電流充電Cnを、補充電時間算出部215によって算出され、あるいはさらに補充電時間補正部216によって補正された補充電時間の間、二次電池の端子電圧Vに関わらず継続する点で、図2に示す充電制御部211とは異なる。
計時部212は、例えばタイマ回路を用いて構成されており、多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最初に実行される定電流充電C1の継続時間tc1を計時する。
記憶部217は、例えばROMを用いて構成されており、継続時間tc1と二次電池1a,1bを満充電にするために必要な通電電気量である通電電気量Qfとを対応付けるルックアップテーブル(LUT)である通電電気量テーブルが、予め記憶されている。すなわち、最初の定電流充電C1の実行を開始した際の二次電池1a,1bのSOCが小さいほど、定電流充電C1の継続時間tc1は長くなるから、二次電池1a,1bのSOCと継続時間tc1との間には相関関係がある。また、二次電池1a,1bのSOCが小さいほど通電電気量Qfは大きくなるから、継続時間tc1と通電電気量Qfとの間にも相関関係がある。そこで、例えば実験的に継続時間tc1と通電電気量Qfとの対応関係を測定し、予め通電電気量テーブルとして記憶部217に記憶されている。
また、記憶部217には、熱履歴値Hrと充電効率係数Kcとを対応付けるルックアップテーブル(LUT)である充電効率係数テーブルが、予め記憶されている。充電効率係数Kcは、充電装置2a’,2b’から二次電池1a,1bへ供給された通電電気量Qcに対する、二次電池1a,1bに実際に充電された充電電気量Qrの比(Qr/Qc)である充電効率の、逆数(Qc/Qr)である。
制御弁式鉛蓄電池Bは、温度が高くなるほど成層化が生じにくく、充電効率が向上する性質がある。従って、熱履歴値Hrが大きくなるほど充電効率が向上し、充電効率係数Kcが小さくなる。このような、熱履歴値Hrと充電効率係数Kcとの対応関係が、例えば予め実験的に求められて充電効率係数テーブルとして、記憶部217に記憶されている。
そして、制御部21’は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、及び補充電時間補正部216として機能する。
なお、図8においては図示を省略したが、二次電池1aとダイオード3aの間には、電流検出部8aが接続され、二次電池1bとダイオード3bの間には、電流検出部8bが接続されている。
電流検出部8a,8bは、例えば電流検出用のシャント抵抗やホール素子等の電流検出素子や、アナログデジタルコンバータ等を用いて構成されている。そして、電流検出部8a,8bは、二次電池1a,1bに流れる電流を検出してその電流値を示す信号を、制御部21’へ出力する。
目標通電電気量取得部213は、記憶部217を参照し、計時部212によって計時された継続時間tc1と対応付けて記憶されている通電電気量を、多段定電流充電において二次電池1a,1bに供給するべき通電電気量の目標値である目標通電電気量Qtとして取得する。
通電電気量検出部214は、多段定電流充電が開始されてから最後に実行される定電流充電Cnが開始される前までの期間、例えば電流検出部8a,8bによって検出された電流値を単位時間毎に積算することによって、定電流回路23から二次電池1a,1bへ供給された通電電気量Qcを検出する。
補充電時間補正部216は、記憶部217に記憶されている充電効率係数テーブルを参照し、処理部6によって算出された熱履歴値Hrと対応付けられている充電効率係数Kcを、目標通電電気量取得部213によって取得された目標通電電気量Qtに乗算することにより、目標通電電気量Qtを補正する。
ここで、充電効率係数テーブルには、熱履歴値Hrが大きくなるほど充電効率係数Kcが小さくなるように対応付けられているから、熱履歴値Hrが大きくなるほど目標通電電気量Qtが小さくなるように補正される。そして、目標通電電気量Qtが小さくなると、後述するように補充電時間算出部215によって算出される補充電時間tnが短くなるから、補充電時間補正部216は、目標通電電気量Qtを補正することによって、結果的に熱履歴値Hrが大きくなるほど補充電時間tnを短くするように補正することとなる。なお、補充電時間補正部216は、目標通電電気量Qtを補正する例に限られず、補充電時間算出部215によって算出される補充電時間tnを直接補正するようにしてもよい。
補充電時間算出部215は、目標通電電気量取得部213によって取得され、あるいは補充電時間補正部216によって補正された目標通電電気量Qt、通電電気量検出部214によって検出された通電電気量Qc、及び最後に実行される定電流充電Cnにおける充電電流値(設定電流値)Icnに基づき、下記の式(1)を用いて補充電時間tnを算出する。
補充電時間tn=(Qt−Qc)/Icn ・・・(1)
次に、上述のように構成された電池充電システム100’の動作について説明する。図10は、図8に示す処理部6による二次電池1aについての熱履歴値Hrの算出動作の一例を示すフローチャートである。まず、処理部6は、充電装置2a’から多段定電流充電の終了通知が有るまで待機し(ステップS11でNO)、終了通知を受信すると(ステップS11でYES)、ステップS12に移行して、積算値Xaの算出を開始する。
ステップS12において、処理部6は、温度測定部7aによって測定された温度taを、単位時間毎にそれぞれ積算し、積算値Xaを算出する(ステップS12)。処理部6は、充電装置2a’による新たな充電が開始されるまで積算値Xaの積算を継続する(ステップS13でNO)。そして、充電が開始されると(ステップS13でYES)、それまで積算された積算値Xaを熱履歴値Hrとして、充電装置2a’へ送信する(ステップS14)。
ここで、制御弁式鉛蓄電池Bは、温度が低いほど成層化が生じやすいと考えられるから、熱履歴値Hrは、二次電池1aの成層化の程度を表す指標として用いることができる。すなわち、熱履歴値Hrが小さいほど、成層化が進んでいると考えられる。
さらに、処理部6は、熱履歴値テーブルを参照して、熱履歴値Hrと対応付けて記憶されている充電終止電圧Ve1〜Venを取得し、充電装置2a’へ送信する(ステップS15)。
一方、処理部6は、ステップS11〜S15と並行して、図11に示すステップS21〜S25を実行することで、ステップS11〜S15と同様の処理を二次電池1b及び充電装置2b’に対して実行し、二次電池1bの温度に応じた熱履歴値Hrと充電終止電圧Ve1〜Venとを充電装置2b’へ送信する。
なお、処理部6は、充電開始時(ステップS13,S23でYES)に、例えばまだ1回も多段定電流充電が実行されていないなどして熱履歴値Hrが算出されていない場合は、予め設定された標準的な熱履歴値Hrと充電終止電圧Ve1〜Venとを充電装置2a’,2b’へ送信するようにしてもよい。
以上、ステップS11〜S15、S21〜S25の処理により、処理部6は、熱履歴値Hrが大きい二次電池ほど多段定電流充電における総通電電気量を減少させるように、充電装置2a’,2b’による通電電気量を制御することができる。
また、電池充電システム100’によれば、電池充電システム100と同様、多段定電流充電を実行した後、各二次電池相互間での成層化の程度のバラツキが低減される。従って、もし仮に、多段定電流充電の実行状況と無関係に、累積的に温度を積算して熱履歴値Hrを算出したとすれば、多段定電流充電の実行によって成層化のバラツキが既に解消している期間の温度状況まで含んで熱履歴値Hrが算出される結果となり、熱履歴値Hrが、成層化の程度を正しく反映しなくなるおそれがある。
しかしながら、処理部6は、ステップS11〜S14、S21〜S24において、前回の多段定電流充電が終了してから次の多段定電流充電が開始されるまでの設定期間において、熱履歴値Hrを算出するので、前回の多段定電流充電によって解消したと考えられる成層化の影響を、熱履歴値Hrから排除することで、熱履歴値Hrに成層化の程度を反映させる精度を向上させることができる。
なお、設定期間は、前回の多段定電流充電が終了してから次の多段定電流充電が開始されるまでに限られず、例えば予め固定的に設定された期間であってもよい。
図12、図13は、図9に示す充電装置2a’,2b’の動作の一例を示すフローチャートである。充電装置2a’,2b’は、図12、図13に示す処理を並行してそれぞれ実行する。以下、充電装置2a’,2b’の動作を一括して説明する。
また、図14は図9に示す充電装置2a’による充電に伴う二次電池1aの端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。図15は充電装置2b’による充電に伴う二次電池1bの端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。図14、図15においては、二次電池1b(図15)の方が二次電池1a(図14)よりも成層化が進んでいる例を示している。
まず、制御部21’は、二次電池1a,1bの充電開始前に、処理部6から熱履歴値Hrと充電終止電圧Ve1〜Venとを受信する(ステップS31)。
次に、通電電気量検出部214によって、電流検出部8a,8bによって検出された電流値が例えば単位時間毎に積算されて、通電電気量Qcの積算が開始され(ステップS32)、さらに計時部212によって、定電流充電C1の継続時間tc1の計時が開始される(ステップS33)。
そして、ステップS34において、充電制御部211によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Ic1に設定されて、1段目の定電流充電C1が開始され(タイミングT1)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS34)。次に、充電制御部211によって、二次電池1a,1bの電圧Vが1段目の充電終止電圧Ve1以上であるか否かが判断され、端子電圧VがVe1未満であれば1段目の定電流充電C1が継続され(ステップS35でNO)、Ve1以上であれば1段目の定電流充電C1を終止する(ステップS35でYES、タイミングT2)。
ここで、例えば二次電池1aの方が二次電池1bよりも高温の温度環境に置かれていた場合、処理部6によって算出された熱履歴値Hrは、二次電池1aの方が二次電池1bよりも大きな値になる結果、処理部6によって充電装置2a’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venは、充電装置2b’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venより低い電圧にされている。
図14においては、充電装置2a’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venが、電圧Vaであり、図15においては、充電装置2b’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venが、電圧Vbである例を示しており、この場合、Va<Vbとなっている。これにより、高温の温度環境に置かれて成層化の影響が少なく、充電効率が高くなっていると考えられる二次電池1aへ供給される通電電気量の方が、低温の温度環境に置かれて成層化が進み、充電効率が低くなっていると考えられる二次電池1bへ供給される通電電気量より少なくされる結果、実際に二次電池1a,1bに充電される充電電気量の差(バラツキ)が小さくなるようにされている。
そして、定電流充電C1が終了すると(ステップS35でYES、タイミングT2)、計時部212によって計時された継続時間tc1が、目標通電電気量取得部213によって取得され(ステップS36)、目標通電電気量取得部213によって、記憶部217の通電電気量テーブルが参照されて、継続時間tc1と対応付けて記憶されている通電電気量が、目標通電電気量Qtとして取得される(ステップS37)。
次に、補充電時間補正部216によって、記憶部217に記憶されている充電効率係数テーブルが参照されて、処理部6から受信された熱履歴値Hrと対応付けられている充電効率係数Kcが取得される(ステップS38)。そして、補充電時間補正部216によって、充電効率係数Kcが、目標通電電気量取得部213によって取得された目標通電電気量Qtに乗算されて、目標通電電気量Qtが補正される(ステップS39)。
これにより、熱履歴値Hrが大きいほど充電効率係数Kcが小さくなるから、熱履歴値Hrが大きくなるほど、目標通電電気量Qtが小さく、補充電時間tnが短くなるように補正される。ここで、もし仮に、補充電時間補正部216による目標通電電気量Qt(補充電時間tn)の補正が実行されなかったとすれば、処理部6によるステップS11〜S15、S21〜S25の処理により、熱履歴値Hrが大きい二次電池ほど多段定電流充電における通電電気量を減少させるように充電終止電圧Ve1〜Venが小さな値に設定されて、上述したように実際に二次電池1a,1bに充電される充電電気量の差(バラツキ)を低減しようとしているにもかかわらず、熱履歴値Hrが大きな二次電池は、通電電気量Qcが減少してステップS45において、補充電時間tnが長い時間に設定されて、最終の定電流充電Cnの充電時間が延びて通電電気量が増大し、処理部6による充電電気量のバラツキ低減効果が相殺されてしまうおそれがある。
しかしながら、電池充電システム100’によれば、補充電時間補正部216によって、熱履歴値Hrが大きくなるほど、目標通電電気量Qtが小さく、補充電時間tnが短くなるように補正されるので、処理部6による充電電気量のバラツキ低減効果が相殺されるおそれが低減される。
次に、ステップS41において、充電制御部211によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Ic2に設定されて、2段目の定電流充電C2が開始され(タイミングT2)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS41)。次に、充電制御部211によって、二次電池1a,1bの端子電圧Vが2段目の充電終止電圧Ve2以上であるか否かが判断され、端子電圧Vが充電終止電圧Ve2未満であれば2段目の定電流充電C2が継続され(ステップS42でNO)、充電終止電圧Ve2以上であれば2段目の定電流充電C2を終止する(ステップS42でYES)。
以降、充電電流値を順次減少させながら定電流充電を繰り返し、n−1回目(最後の一つ前)の定電流充電(n−1)が終了すると(ステップS44でYES)、補充電時間算出部215によって、通電電気量検出部214によって積算された通電電気量Qc、目標通電電気量Qt、及び充電電流値(設定電流値)Icnに基づき、上記式(1)を用いて補充電時間tnが算出される(ステップS45)。
次に、充電制御部211によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Icnに設定されて、n段目(最終)の定電流充電Cnが開始され(タイミングT3)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS46)。
そして、計時部212によって、定電流充電Cnの開始後の経過時間tが計時され、充電制御部211によって、経過時間tと補充電時間tnとが比較される(ステップS47)。そして、経過時間tが補充電時間tn以上になると(ステップS47でYES)、充電制御部211は、定電流回路23による電流出力をゼロにして、多段定電流充電を終了する(ステップS48)。
さらに、充電制御部211によって、処理部6へ、多段定電流充電が終了した旨、通知され(ステップS49)、処理を終了する。
以上、ステップS46〜S48の処理により、補充電時間算出部215は、多段定電流充電全体を通じての二次電池1a,1bへの通電電気量が、目標通電電気量取得部213によって取得され、さらに補充電時間補正部216によって温度の影響(成層化の影響)が補正された目標通電電気量Qtになるように、最後の定電流充電Cnで充電されるから、二次電池1a,1bを満充電する精度が向上する。
なお、処理部6は、ステップS12〜14、S22〜S24において、上記設定期間における温度ta,tbの最大値を熱履歴値Hrとして取得するようにしてもよい。これにより、熱履歴値Hrの取得処理を簡素化できる。
なお、処理部6は、二次電池1aおよび1bに近接させた温度測定部7aおよび7bからの温度情報に基づいて、処理部6が二次電池1aおよび1bが経た熱履歴を求め、かつこれら直列回路に接続された充電装置2aおよび2bからの通電電気量を変えるように指令するようにしてもよい。なお「直列回路が経た熱履歴に基づいて、各々の直列回路における通電電気量を変える」とは、少なくとも以下の2つの方法から選択できる。
第1の方法は、処理部6が、二次電池1aおよび1bのうち、温度が高かった時間が長いものほど通電電気量を小さくするようにする。具体的には、温度測定部7aおよび7bが測定した温度を、タイマー(図示せず)が測定した時間とともに処理部6が処理する。ここでいう処理とは、例えば温度(Ta・・・Tz)とその温度に置かれた時間(ta・・・tz)との積(Tata・・・Tztz)の総和(T=Tata+・・・+Tztz)を算出し、その総和に応じて充電装置2aおよび2bが出力すべき通電電気量を導き出す過程をいう。そして仮に二次電池1bの方が二次電池1aより温度が高かった時間が長ければ(この例に従えば、二次電池1bのTが二次電池1aのTより大きければ)、処理部6は充電装置2aに対し、双方の総和Tの差に相応して、充電装置2bより通電電気量が小さくなるように指令するようにしてもよい。
第2の方法は、処理部6が、二次電池1aおよび1bのうち、温度がより高かったものほど通電電気量を小さくするようにする。具体的には、温度測定部7aおよび7bが測定した温度のうち、それぞれにおける最高温度(Tmax)を処理部6が記憶する。そして仮に二次電池1bの最高温度Tmaxの方が二次電池1aの最高温度Tmaxより大きければ、処理部6は充電装置2aに対し、双方のTmaxの差に相応して、充電装置2bより通電電気量が小さくなるように指令する。
上記第1、第2いずれの方法の場合も、例えば二次電池1bに対して1aの方が低温環境下の履歴が長ければ(またはより低温であれば)、充電装置2bより2aの方がより大きな通電電気量を発することになる。このような構成を採ることで、低温下の履歴が長かったために成層化がより重篤となったのは二次電池1aであることを正確に導き出し、かつその後で、二次電池1aを二次電池1bよりも多い電気量で充電して酸素ガスをより多く発生させることで、成層化の解消を進ませることができる。一方、成層化が軽微な二次電池1bは二次電池1bよりも少ない電気量で充電されるために酸素ガス発生量が少なくなり、結果的に成層化の解消が進みにくくなる。これら双方の結果に伴って、直列回路間の成層化の解消度合が揃いやすくなり、「直列回路間の劣化度合バラツキ」という組電池における最大の劣化要因が解消されやすくなる。なお通電電気量は、充電装置2aおよび2bにおいて充電電流もしくは充電終止電圧を変えることで、変化させることができる。
図16はn段定電流充電における直列回路ごとの充電挙動を表す模式図であって、(a)は成層化の度合が重篤な直列回路の挙動を、(b)は成層化の度合が軽微な直列回路の挙動を示すものである。なお図3における縦軸は充電電流(I)を示し、横軸は充電所要時間(t)を示す。
図16に示すように、図6A、図6Bと同様、成層化の度合が重篤な二次電池(a)の方が、成層化の度合が軽度な二次電池(b)よりも充電所要時間が長くなる結果、バラついていた二次電池ごとの成層化の度合が揃うようになる。そして、このようにして各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
さらに、図16に示すように、各々の直列回路が経た熱履歴に基づいて、各々の直列回路における通電電気量(充電電流値)を変化させることで、成層化がより重篤な(低温環境下の履歴が長い)直列回路ほど、より活発に成層化解消反応(酸素ガス発生反応)を促すことができる。すなわち、直列回路間の成層化の解消度合をより揃えることが可能となる。
また、制御弁式鉛蓄電池の熱履歴に相応して通電電気量を決定するテーブルに基づいて、直列回路ごとに通電電気量を変化させるようにしてもよい。処理部6が数値化した熱履歴に基づいて充電装置2aおよび2bに出力すべき通電電気量を都度細かく指令する方法よりも、処理部6が熱履歴に相応して通電電気量を決定するテーブルを有しており、数値化した熱履歴とテーブルとを照合しながら直列回路ごとに通電電気量を変える方が、通電電気量を細かく指令する(すなわち充電装置2aおよび2bの出力条件を細かく変化させる)ことによる煩雑さ(複雑な微調整を伴う)から解放されるので好ましい。なお「制御弁式鉛蓄電池の熱履歴に相応して通電電気量を決定するテーブルに基づいて、直列回路ごとに通電電気量を変える」とは、少なくとも以下の2つの方法から選択できる。
第1の方法は、制御弁式鉛蓄電池の温度が高かった時間が長いものほど通電電気量を小さくするようにテーブルが設定されているものである。具体的には、温度測定部7aおよび7bが測定した温度を、タイマー(図示せず)が測定した時間とともに処理部6が処理する。ここでいう処理とは例えば、温度に関する因子(Ta・・・Tz)とその温度に置かれた時間(ta・・・tz)との積(Tata・・・Tztz)の総和(T=Tata+・・・+Tztz)を算出する過程をいう。そして処理部6は双方の総和Tの差を処理部6が記憶したテーブルと照合する。テーブルは総和Tの差が一定範囲であれば一定の充電電流に一本化されるように設定されている。そして処理部6はこのテーブルとの照合結果に基づいて、仮に二次電池1bの方が二次電池1aより温度が高かった時間が長ければ(この例に従えば、二次電池1bのTが二次電池1aのTより大きければ)、充電装置2aに対し、充電装置2bより通電電気量が小さくなるように指令する。
第2の方法は、制御弁式鉛蓄電池の温度がより高温であったものほど通電電気量を小さくするようにテーブルが設定されているものである。具体的には、温度測定部7aおよび7bが測定した温度のうち、それぞれにおける最高温度(Tmax)を処理部6が記憶する。そして処理部6は双方のTmaxの差を処理部6が記憶したテーブルと照合する。テーブルはTmaxの差が一定範囲であれば一定の充電電流に一本化されるように設定されている。そして処理部6はこのテーブルとの照合結果に基づいて、仮に二次電池1bの最高温度Tmaxの方が二次電池1aの最高温度Tmaxより大きければ、充電装置2aに対し、充電装置2bより通電電気量が小さくなるように指令する。
(第4実施形態)
従来、電池温度により適切な充電制御とするため、各電池の表面温度を測定して、その温度により充電制御を変更する検討もなされている。しかしながら、充電器の発熱部が組電池近くにあると、電池表面温度が発熱体の影響を受けてしまい、正しく電池内部の温度を測定できず、適切な温度制御ができない、という問題があった。その影響は、発熱体と電池の位置関係により異なる。
そこで、本発明の第4実施形態に係る組電池の充電方法、及び電池充電システムは、例えば複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池の充電方法を用いる。この充電方法は、各々の直列回路にそれぞれ充電装置を接続し、充電装置のそれぞれが各々の直列回路の充電電圧を検出して、電流値をn−1(但しnは2以上の整数)回変化させるn段定電流充電を行う。そして、各々の直列回路が曝される環境温度を加味して、各々の直列回路における充電電気量を変化させる。
このように、各々の直列回路が曝される環境温度の影響(例えば直列回路どうしの配列や、車載された他の機器からの発熱およびその機器の配置によって生じる輻射熱)に基づいて、各々の直列回路における充電電気量を変化させることで、成層化がより重篤な(環境温度の影響を受けないために低温に曝されやすい)直列回路ほど、充電電気量を大きくしてより活発に成層化解消反応(酸素ガス発生反応)を促すことができる。すなわち、直列回路間の成層化の解消度合をより揃えることが可能となる。
以下、第4実施形態に係る具体的な実施形態について、説明する。図17は、第4実施形態に係る電池充電システム100’’の一例を示すブロック図である。また、図18は、図17に示す充電装置2a’’,2b’’の構成の一例を示すブロック図である。
電池充電システム100’’は、二次電池1aおよび1bが曝される環境温度を加味して、これら直列回路に接続された充電装置2aおよび2bからの充電電流を処理部6の指令によって変える。なお「直列回路が曝される環境温度を加味して、各々の直列回路における充電電流を変える」とは、予め実験結果およびシミュレーションで明確になった環境温度の影響(例えば、直列回路どうしの配列や、車載された他の機器からの発熱およびその機器の配置によって生じる輻射熱の影響を受けた電池表面の温度と、電池内部の温度との温度差Td)を処理部9が記憶しており、その記憶に基づいて二次電池1aと1bとで充電電流もしくは充電終止電圧を変える方法である。例えば二次電池1bに対して1aの方が環境温度の影響を受けないために低温に曝されやすいのであれば、処理部9からの指令に基づいて、二次電池1aに接続した充電装置2aの方が、二次電池1bに接続した充電装置2bより高い充電終止電圧を設定するなどして、二次電池1aにより大きな充電電気量を与えることになる。
この方法によれば、環境温度の影響を受けないために低温に曝されやすく成層化がより重篤となる二次電池1aは、二次電池1bよりも酸素ガス発生量が多くなり、結果的に成層化の解消が進みやすくなる。一方、成層化が軽微な二次電池1bは二次電池1aよりも酸素ガス発生量が少なくなり、結果的に成層化の解消が進みにくくなる。これら双方の結果に伴って、直列回路間の成層化の解消度合が揃いやすくなり、「直列回路間の劣化度合バラツキ」という組電池における最大の劣化要因が解消されやすくなる。
具体的には、図17に示す電池充電システム100’’は、図8に示す電池充電システム100’とは、処理部9(通電電気量設定部)の動作が処理部6と異なる点、温度測定部7bを備えない点、及び充電装置2a’’,2b’’が、充電制御部211の代わりに充電制御部211’を備え、補充電時間補正部216の代わりに補充電時間補正部216’を備える点で異なる。
図18に示す充電装置2a’’,2b’’における制御部21’’が備える充電制御部211’は、処理部9によって設定された充電終止電圧Ve1〜Venに基づいて、多段定電流充電を実行する点で、図9に示す充電制御部211と異なる。
また、補充電時間補正部216’は、処理部9によって推定された二次電池1a,1bの内部温度に基づき、充電効率係数Kcを取得する点で、図9に示す補充電時間補正部216と異なる。また、記憶部217’に予め記憶される充電効率係数テーブルは、内部温度Tiと充電効率係数Kcとを対応付けるルックアップテーブル(LUT)である点で、記憶部217と異なる。
その他の構成は図8に示す電池充電システム100’と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
なお、計時部212、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、補充電時間補正部216’、及び記憶部217’が、充電装置2a’’,2b’’にそれぞれ設けられる例を示したが、これら各部が例えば処理部9に設けられて、補充電時間算出部215や補充電時間補正部216’によって得られた各二次電池に対応する補充電時間tnを、処理部9から充電装置2a’’,2b’’における制御部21’’へ送信する構成としてもよい。
処理部9は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成された制御回路である。処理部9には、例えばROMによって構成された記憶部91(温度情報記憶部)が設けられている。記憶部91には、二次電池1a,1bについて、二次電池1a,1bの内部温度と温度測定部7aによって測定される温度との差(関係)である温度差Tdを示す温度情報が、例えば予め実験的に求められて記憶されている。
温度差Tdは、例えば二次電池1a,1bの内部温度から温度測定部7aによって測定された実測温度が減算されて算出されており、内部温度が実測温度より高いとき、温度差Tdはプラスの値となり、内部温度が実測温度より低いとき、温度差Tdはマイナスの値を示すようになっている。
処理部9は、二次電池1a,1bの予め設定された基準温度T0における満充電電圧Vf、温度と満充電電圧との関係を表す温度係数k、温度測定部7aによって測定された実測温度Tr、記憶部91に記憶された温度差Tdに基づいて、下記の式(A)を用いて、充電終止電圧Veを算出し、設定する。
Ve=Vf−k×(Tr+Td−T0) ・・・(A)
温度係数kは、温度変化1℃あたりの充電終止電圧Ve1〜Venの変化量を示す係数であり、二次電池1a,1bが鉛蓄電池の場合は、例えばk=0.03である。また、式(A)における(Tr+Td)が、内部温度Tiとなる。
また、処理部9は、実測温度Trと温度差Tdとを加算することにより、二次電池1a,1bの内部温度Tiを推定し、その推定値を、それぞれ充電装置2a’’,2b’’へ送信する。
図19は、二次電池1a,1bに、二次電池1cを加えた三つの二次電池が、略密着して配設された状態を示す説明図である。図20は、記憶部91に記憶されている温度情報の一例について説明するための説明図である。図20に示す温度情報は、図19に示すように二次電池1a,1b,1cが配置された状態で、二次電池1a,1b,1c近傍の外気温Ta、二次電池1a,1b,1cの表面温度Ts、及び内部温度Tiを測定した測定結果の一例を示す説明図である。各温度は、二次電池1a,1b,1cの実使用状態で想定される標準的な充放電電流を流した状態で測定されている。
図20に示すように、外気温Taが25.6℃のとき、二次電池1a,1b,1cの充放電に伴う自己発熱によって、二次電池1a,1b,1cの表面温度Tsは、30.6℃、35.8℃、31.2℃となり、両側を他の二次電池で挟まれた二次電池1bの表面温度が最も高くなった。
このとき、二次電池1a,1b,1cに穴を空けて内部温度Tiを測定すると、その内部温度Tiは、31.6℃,33.9℃,32.3℃であった。そうすると、二次電池1a,1b,1cにおける、内部温度Tiと表面温度Tsとの温度差Tis(=内部温度Ti−表面温度Ts)は1.0℃,−1.9℃,1.1℃、表面温度Tsと外気温Taとの温度差Tsa(=表面温度Ts−外気温Ta)は5.0,10.2℃,5.6℃、二次電池1aの表面温度と各二次電池の表面温度との温度差Tss(=表面温度Ts−二次電池1aの表面温度Ts)は0.0℃、5.2℃,0.6℃となった。
ここで、温度測定部7aが二次電池1a,1b,1cの近傍の外気温Taを測定するように配設されているときは、図20に示す温度情報における温度差Tsa+温度差Tis+温度差Tssが、温度差Tdを示す。また、温度測定部7aが二次電池1aの表面温度Tsを測定するように配設されているときは、図20に示す温度情報における温度差Tis+温度差Tssが、温度差Tdを示す。
図21は、温度測定部7aが二次電池1aの表面温度Tsを測定するように配設されており、温度測定部7aにより測定された実測温度Trが30.6℃、基準温度T0が25℃、満充電電圧Vfが14.4Vであった場合に、処理部9によって、二次電池1a,1b,1cに対応して設定される充電終止電圧Veを示している。
図22は、二次電池1a,1b,1cが略密着して配設され、かつ二次電池1c側に、発熱体である電源が配設された状態を示す説明図である。図23は、記憶部91に記憶されている温度情報の一例について説明するための説明図である。図23に示す温度情報は、図22に示すように二次電池1a,1b,1c及び電源が配置され、二次電池1cが最も電源からの輻射熱の影響を受けやすい状態で、二次電池1a,1b,1c近傍の外気温Ta、電源の表面温度Tp、二次電池1a,1b,1cの表面温度Ts、及び内部温度Tiを測定した測定結果の一例を示す説明図である。各温度は、二次電池1a,1b,1cの実使用状態で想定される標準的な充放電電流を流した状態で測定されている。
図23に示すように、外気温Taが26.3℃、電源表面温度Tpが49.2℃のとき、二次電池1a,1b,1cの表面温度Tsは、30.6℃、31.3℃、34.0℃となり、電源からの輻射熱の影響を受けやすい二次電池1cの表面温度が最も高くなった。
このとき、二次電池1a,1b,1cに穴を空けて内部温度Tiを測定すると、その内部温度Tiは、31.6℃,32.3℃,31.5℃であった。そうすると、二次電池1a,1b,1cにおける、内部温度Tiと表面温度Tsとの温度差Tis(=内部温度Ti−表面温度Ts)は1.0℃,1.0℃,−2.5℃、表面温度Tsと外気温Taとの温度差Tsa(=表面温度Ts−外気温Ta)は3.1℃,4.2℃,5.8℃、二次電池1aの表面温度と各二次電池の表面温度との温度差Tss(=表面温度Ts−二次電池1aの表面温度Ts)は0.0℃、1.5℃,4.0℃となった。
ここで、温度測定部7aが二次電池1a,1b,1cの近傍の外気温Taを測定するように配設されているときは、図23に示す温度情報における温度差Tsa+温度差Tis+温度差Tssが、温度差Tdを示す。また、温度測定部7aが二次電池1aの表面温度Tsを測定するように配設されているときは、図23に示す温度情報における温度差Tis+温度差Tssが、温度差Tdを示す。
図24は、温度測定部7aが二次電池1aの表面温度Tsを測定するように配設されており、温度測定部7aにより測定された実測温度Trが30.6℃、基準温度T0が25℃、満充電電圧Vfが14.4Vであった場合に、処理部9によって、二次電池1a,1b,1cに対応して設定される充電終止電圧Veを示している。
次に、上述のように構成された電池充電システム100’’の動作について説明する。図25は、図17に示す処理部9の動作の一例を示すフローチャートである。まず、処理部9は、記憶部91を参照し、記憶部91に記憶されている温度情報から、二次電池1aに対応する温度差Tdを取得する(ステップS51)。
次に、処理部9は、温度測定部7aによって測定された実測温度Trと温度差Tdとを加算して、二次電池1aの内部温度Tiを推定する(ステップS52)。そして、処理部9は、二次電池1aに対応する温度差Tdと式(A)とを用いて、充電終止電圧Veを算出し(ステップS53)、充電装置2a’’へ、推定された二次電池1aの内部温度Tiと充電終止電圧Veとを送信する(ステップS54)。
以下、ステップS55〜S58において、処理部9は、ステップ51〜S54と同様の処理を二次電池1bについて実行することにより、二次電池1bについて推定された内部温度Tiと充電終止電圧Veとを充電装置2b’’へ送信する。
以上、ステップS51〜S58の処理により、例えば他の二次電池に挟まれて配設されたり、電源などの発熱源からの熱輻射の影響を受けやすかったりといった、曝される温度条件が異なる二次電池1a,1bについて実際の内部温度Tiを推定し、この内部温度Tiに応じて充電終止電圧Veが設定される。
そして、ステップS51〜S58の処理によれば、曝される温度条件によって、温度差Tdが大きく、すなわち内部温度Tiが高く成層化が生じ難い(成層化が軽度な)二次電池ほど、充電終止電圧Veが低い電圧に設定されて総通電電気量が減少される結果、後述する多段定電流充電における充電所要時間が短縮されて成層化の解消効果が減少される。
一方、曝される温度条件によって、温度差Tdが小さく、すなわち内部温度Tiが低く成層化が生じ易い(成層化が重篤な)二次電池ほど、充電終止電圧Veが高い電圧に設定されて総通電電気量が増大される結果、多段定電流充電における充電所要時間が延長されて成層化の解消効果が増大される。
そうすると、成層化が生じ難い(成層化が軽度な)二次電池ほど成層化の解消効果が減少され、成層化が生じ易い(成層化が重篤な)二次電池ほど成層化の解消効果が増大されるから、各二次電池間における成層化のバラツキが低減される。
そして、このようにして各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、最も成層化が進んだ制御弁式鉛蓄電池であってもその成層化の程度が軽減される結果、サルフェーションにより電池容量が減少するおそれが低減される。そうすると、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
図26、図27は、図18に示す充電装置2a’’,2b’’の動作の一例を示すフローチャートである。充電装置2a’’,2b’’は、図26、図27に示す処理を並行してそれぞれ実行する。以下、充電装置2a’’,2b’’の動作を一括して説明する。
また、図28は、図18に示す充電装置2a’’による充電に伴う二次電池1aの端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。図29は充電装置2b’’による充電に伴う二次電池1bの端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。図28、図29においては、二次電池1b(図29)の方が、二次電池1a(図28)よりも、低温に曝されやすい温度条件にされており、温度差Tdが小さく成層化が進んでいる例を示している。
まず、制御部21’’は、処理部9から充電終止電圧Ve1〜Venと内部温度Tiとを受信する(ステップS61)。
次に、通電電気量検出部214によって、電流検出部8a,8bによって検出された電流値が例えば単位時間毎に積算されて、通電電気量Qcの積算が開始され(ステップS62)、さらに計時部212によって、定電流充電C1の継続時間tc1の計時が開始される(ステップS63)。
そして、ステップS64において、充電制御部211’によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Ic1に設定されて、1段目の定電流充電C1が開始され(タイミングT11)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS64)。次に、充電制御部211’によって、二次電池1a,1bの電圧Vが1段目の充電終止電圧Ve1以上であるか否かが判断され、端子電圧VがVe1未満であれば1段目の定電流充電C1が継続され(ステップS65でNO)、Ve1以上であれば1段目の定電流充電C1を終止する(ステップS65でYES、タイミングT12)。
ここで、例えば二次電池1aの方が二次電池1bよりも高温に曝されやすい(内部が高温になりやすい)温度条件の環境に置かれていた場合、記憶部91に記憶されている温度情報で示される温度差Tdは、二次電池1aの方が二次電池1bよりも大きな値になる結果、処理部9によって充電装置2a’’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venは、充電装置2b’’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venより低い電圧にされている。
図28においては、充電装置2a’’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venが、電圧Vaであり、図29においては、充電装置2b’’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venが、電圧Vbである例を示しており、この場合、Va<Vbとなっている。これにより、高温に曝されやすい温度条件の環境に置かれて成層化の影響が少なく、充電効率が高くなっていると考えられる二次電池1aへ供給される通電電気量の方が、低温に曝されやすい温度条件の環境に置かれて成層化が進み、充電効率が低くなっていると考えられる二次電池1bへ供給される通電電気量より少なくされる結果、実際に二次電池1a,1bに充電される充電電気量の差(バラツキ)が小さくなるようにされている。
そして、定電流充電C1が終了すると(ステップS65でYES、タイミングT12)、計時部212によって計時された継続時間tc1が、目標通電電気量取得部213によって取得され(ステップS66)、目標通電電気量取得部213によって、記憶部217の通電電気量テーブルが参照されて、継続時間tc1と対応付けて記憶されている通電電気量が、目標通電電気量Qtとして取得される(ステップS67)。
次に、補充電時間補正部216’によって、記憶部217に記憶されている充電効率係数テーブルが参照されて、処理部9から受信された内部温度Tiと対応付けられている充電効率係数Kcが取得される(ステップS68)。そして、補充電時間補正部216’によって、充電効率係数Kcが、目標通電電気量取得部213によって取得された目標通電電気量Qtに乗算されて、目標通電電気量Qtが補正される(ステップS69)。
これにより、内部温度Tiが高くなるほど、目標通電電気量Qtが小さく、補充電時間tnが短くなるように補正される。ここで、もし仮に、補充電時間補正部216’による目標通電電気量Qt(補充電時間tn)の補正が実行されなかったとすれば、処理部9によるステップS51〜S58の処理により、内部温度Tiが高い二次電池ほど多段定電流充電における通電電気量を減少させるように充電終止電圧Ve1〜Venが小さな値に設定されて、上述したように実際に二次電池1a,1bに充電される充電電気量の差(バラツキ)を低減しようとしているにもかかわらず、内部温度Tiが高い二次電池は、通電電気量Qcが減少してステップS75において、補充電時間tnが長い時間に設定されて、最終の定電流充電Cnの充電時間が延びて通電電気量が増大し、処理部9による充電電気量のバラツキ低減効果が相殺されてしまうおそれがある。
しかしながら、電池充電システム100’’によれば、補充電時間補正部216’によって、内部温度Tiが高くなるほど、目標通電電気量Qtが小さく、補充電時間tnが短くなるように補正されるので、処理部9による充電電気量のバラツキ低減効果が相殺されるおそれが低減される。
次に、ステップS71において、充電制御部211’によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Ic2に設定されて、2段目の定電流充電C2が開始され(タイミングT12)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS71)。次に、充電制御部211’によって、二次電池1a,1bの端子電圧Vが2段目の充電終止電圧Ve2以上であるか否かが判断され、端子電圧Vが充電終止電圧Ve2未満であれば2段目の定電流充電C2が継続され(ステップS72でNO)、充電終止電圧Ve2以上であれば2段目の定電流充電C2を終止する(ステップS72でYES)。
以降、充電電流値を順次減少させながら定電流充電を繰り返し、n−1回目(最後の一つ前)の定電流充電(n−1)が終了すると(ステップS74でYES)、補充電時間算出部215によって、通電電気量検出部214によって積算された通電電気量Qc、目標通電電気量Qt、及び充電電流値(設定電流値)Icnに基づき、上記式(1)を用いて補充電時間tnが算出される(ステップS75)。
次に、充電制御部211’によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Icnに設定されて、n段目(最終)の定電流充電Cnが開始され(タイミングT13)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS76)。
そして、計時部212によって、定電流充電Cnの開始後の経過時間tが計時され、充電制御部211’によって、経過時間tと補充電時間tnとが比較される(ステップS77)。そして、経過時間tが補充電時間tn以上になると(ステップS77でYES)、充電制御部211’は、定電流回路23による電流出力をゼロにして、多段定電流充電を終了する(ステップS78)。
以上、ステップS76〜S78の処理により、補充電時間算出部215は、多段定電流充電全体を通じての二次電池1a,1bへの通電電気量が、目標通電電気量取得部213によって取得され、さらに補充電時間補正部216’によって温度の影響(成層化の影響)が補正された目標通電電気量Qtになるように、最後の定電流充電Cnで充電されるから、二次電池1a,1bを満充電する精度が向上する。
さらに、図16に示すように、各々の直列回路が曝される環境温度を加味して、各々の直列回路における通電電気量(充電電流値)を変化させる。仮に同じ充電所要時間であっても、通電電気量が適度に大きければ酸素ガスの発生による成層化の解消が進みやすくなるので、環境温度が低く成層化が重篤になるところに配置された直列回路ほど成層化の解消が進むため、直列回路間の成層化の解消度合を揃えることが可能となる。
ここまではn段定電流充電のみを用いた組電池の充電方法を示したが、n段定電流充電を主構成として、他の充電方法(例えばパルス充電やトリクル充電)を組み合わせても、本発明の効果が得られることは言うまでもない。
なお、電池充電システム100’,100’’は、制御部21’,21’’において、計時部212、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、補充電時間補正部216,216’、及び記憶部217,217’を備えず、ステップS32,S33,S36〜S39、S45、S49、S62、S63、S66〜S69、S75を実行せず、ステップS47,S77の代わりにステップS06と同様の処理を行う構成としてもよい。
また、制御部21’,21’’は、補充電時間補正部216,216’を備えず、ステップS38,S39,S68,S69を実行しない構成としてもよい。
すなわち、本発明の一局面に従う電池充電システムは、互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池と、前記各二次電池に対応して設けられ、対応する二次電池をそれぞれ充電する複数の充電部とを備え、前記各充電部は、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させる多段定電流充電を実行する。
また、本発明の一局面に従う組電池の充電方法は、互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池の充電方法であって、前記各二次電池に対応して設けられた複数の充電部によって、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させることにより、多段定電流充電を実行する充電工程を含む。
この構成によれば、制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池を多段定電流充電する際に、各二次電池は、端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電が、充電電流値を都度減少させつつ複数回繰り返される。そうすると、充電電流値が大きい初期の定電流充電においては、成層化が進んでいる(成層化が重篤な)二次電池の方が、成層化が進んでいない(成層化が軽度な)二次電池よりも端子電圧の上昇が早いため、短時間で定電流充電が終了する。
そして、大きな電流値で充電する初期の定電流充電が短時間で終了すると、多段定電流充電初期の定電流充電によって成層化が重篤な二次電池の充電される電気量は、成層化が軽度な二次電池より少なくなるため、成層化が重篤な二次電池では、その不足分が多段定電流充電末期の充電電流値が小さい定電流充電によって充電されることとなる。そうすると、成層化が重篤な二次電池は、成層化が軽度な二次電池よりも少ない電流値で充電される期間が長くなるから、多段定電流充電による充電時間全体が、成層化が軽度な二次電池よりも長くなる。従って、成層化が重篤なものは充電時間が長くなり、成層化が軽度なものは充電時間が短くなる。
ここで、成層化は、充電時間が長いほど解消されるので、並列接続された複数の二次電池相互間において、成層化の程度にバラツキがあったとしても、成層化が重篤なものの方が、成層化が軽度なものよりも充電時間が長くなって成層化がより多く解消される結果、成層化の程度のバラツキが低減される。そして、各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、最も成層化が重篤な制御弁式鉛蓄電池におけるその成層化の程度が軽減される結果、成層化に起因して電池容量が減少するおそれが低減される。そうすると、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
また、前記二次電池は、複数の制御弁式鉛蓄電池が直列接続されて構成されていることが好ましい。
制御弁式鉛蓄電池が複数直列接続されている場合には、その直列回路に含まれる制御弁式鉛蓄電池のうち最も電池容量が減少した制御弁式鉛蓄電池によって、直列回路全体の充放電可能な電気量が制限されてしまうので、成層化のバラツキにより生じる電池容量の減少が、さらに顕著となる。従って、上述のようにして成層化のバラツキが低減されることによる効果、すなわち電池容量の減少を低減する効果が、制御弁式鉛蓄電池一つで二次電池が構成されている場合よりも大きい。
また、前記正極及び負極における、活物質で覆われた部分の重力方向の長さが、100mm以上であることが好ましい。
正極及び負極における、活物質で覆われた部分の重力方向の長さが、100mm以上である場合、当該長さが100mmに満たない場合よりも、成層化が生じやすく、従って各二次電池間の成層化のバラツキも生じやすい。従って、上述のようにして成層化のバラツキが低減されることによる効果、すなわち電池容量の減少を低減する効果が、前記長さが100mm以上である制御弁式鉛蓄電池を用いた場合の方が、当該長さが100mmに満たない制御弁式鉛蓄電池を用いた場合よりも、より多く期待できる。
また、前記各二次電池の温度をそれぞれ測定する複数の温度測定部と、前記多段定電流充電の実行開始前における予め設定された設定期間において前記各温度測定部によって測定された各温度に基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定部とをさらに備えることが好ましい。
また、前記多段定電流充電の実行開始前における予め設定された設定期間において、前記各二次電池の温度をそれぞれ測定する温度測定工程と、前記温度測定工程によって測定された各温度に基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定工程とをさらに含むようにしてもよい。
制御弁式鉛蓄電池の成層化は、温度が低いほど生じやすい。従って、多段定電流充電を開始する前に、低温になっていた二次電池は成層化が重篤になり、高温になっていた二次電池は成層化が軽度になっていると考えられる。そして、成層化が重篤になるほど充電効率が低下するから、充電開始前に低温になっていた二次電池と高温になっていた二次電池とに、同一の通電電気量を供給して充電すると、実際に充電される充電電気量は、充電開始前に低温になっていた二次電池の方が少なくなる。
そこで、多段定電流充電の実行開始前における設定期間における各二次電池の温度に基づいて、複数回の定電流充電、すなわち多段定電流充電において対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定することで、各二次電池に実際に充電される充電電気量のバラツキを低減することが可能となる。
また、前記通電電気量設定部は、前記各温度測定部によって測定される各温度の、前記設定期間における積算値を前記各二次電池にそれぞれ対応して算出し、当該積算値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定することが好ましい。
制御弁式鉛蓄電池の成層化は、低温になっていた時間が長いほど生じやすい。そこで、各温度測定部によって測定される各二次電池の温度の、設定期間における積算値を各二次電池にそれぞれ対応して算出し、当該積算値が大きい二次電池ほど総通電電気量を減少させ、すなわち当該積算値が小さい二次電池ほど総通電電気量を増大させるように、当該各総通電電気量を設定する。これにより、低温になっていた時間が長く、成層化が進んで充電効率が低下していると考えられる二次電池ほど、総通電電気量が増大されるので、各二次電池に実際に充電される充電電気量のバラツキを低減することができる。
また、前記通電電気量設定部は、前記各温度測定部によって測定される各温度の、前記設定期間における最大値を前記各二次電池にそれぞれ対応して取得し、当該最大値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定するようにしてもよい。
この構成によれば、各二次電池の温度を設定期間中積算する場合と比べて処理を簡素化することができる。
また、前記二次電池の各温度を示す情報と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、前記通電電気量設定部は、前記第1記憶部によって、前記各温度測定部によって測定された各温度と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、前記各総通電電気量を設定することが好ましい。
また、前記積算値と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、前記通電電気量設定部は、前記第1記憶部によって、前記積算値と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、当該積算値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定するようにしてもよい。
また、前記積算値と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、前記通電電気量設定部は、前記第1記憶部によって、前記最大値と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、当該最大値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定するようにしてもよい。
これらの構成によれば、第1記憶部を参照することで、各温度に基づき各総通電電気量を設定することができるので、処理を簡素化することができる。
また、前記複数の二次電池に関する温度を測定する温度測定部と、前記各二次電池が曝される温度と前記温度測定部によって測定される温度との関係を示す温度情報を、予め記憶する温度情報記憶部と、前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報と前記温度測定部によって測定された温度とに基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定部とをさらに備えることが好ましい。
また、前記複数の二次電池に関する温度を測定する温度測定工程と、前記各二次電池が曝される温度と前記温度測定工程によって測定される温度との関係を示す温度情報を、予め記憶する温度情報記憶工程と、前記温度情報記憶工程において記憶された温度情報と前記温度測定工程において測定された温度とに基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定工程とをさらに含むようにしてもよい。
二次電池の成層化は、温度条件によって程度が異なる。そして、各二次電池が曝される温度条件には、発熱体と二次電池との位置関係等の影響によって、差異が生じる。そこで、これらの構成によれば、各二次電池の温度条件が、実際に各二次電池が曝される温度と温度測定部による温度測定工程で測定される温度との関係を示す温度情報として予め記憶されており、この温度情報と実際に測定された温度とに基づいて、各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量がそれぞれ設定される。ここで、総通電電気量が多いほど、充電所要時間が長くなって成層化の解消効果が増大するから、各二次電池が曝される温度条件の差異に起因して生じる成層化を低減することが容易となる。
また、前記温度情報は、前記温度測定部によって測定される実測温度と前記各二次電池の内部温度との温度差を、当該各二次電池について示す情報であり、前記通電電気量設定部は、前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報において、前記内部温度が前記実測温度より高い値を示す二次電池について、前記温度測定部によって測定された実測温度に前記温度情報で示される温度差を加算することによって、当該二次電池の内部温度を推定し、前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報において、前記内部温度が前記実測温度より低い値を示す二次電池について、前記温度測定部によって測定された実測温度から前記温度情報で示される温度差を減算することによって、当該二次電池の内部温度を推定し、当該推定された内部温度が高い二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、前記各総通電電気量を設定することが好ましい。
この構成によれば、内部温度が実測温度より高い値を示す二次電池については、温度測定部によって測定された実測温度に温度情報で示される温度差が加算されて、当該二次電池の内部温度が推定される。また、内部温度が実測温度より低い値を示す二次電池については、温度測定部によって測定された実測温度から温度情報で示される温度差が減算されて、当該二次電池の内部温度が推定される。そして、推定された内部温度が高い二次電池ほど、すなわち成層化の程度が軽いと考えられる二次電池ほど、総通電電気量が減少されて充電所要時間が短縮され、成層化の低減効果が減少される一方、推定された内部温度が低い二次電池ほど、すなわち成層化が進んでいると考えられる二次電池ほど、総通電電気量が増大されて充電所要時間が長くされ、成層化の低減効果が増大されるように、各総通電電気量が設定される。その結果、各二次電池間における成層化の程度のバラツキが低減される。
また、前記通電電気量設定部は、前記各充電部によって実行される多段定電流充電における前記複数回の定電流充電において、前記充電終止電圧を低下させることで前記総通電電気量を減少させ、前記充電終止電圧を上昇させることで前記総通電電気量を増大させることによって、前記総通電電気量を設定することが好ましい。
この構成によれば、通電電気量設定部は、各充電部によって実行される各定電流充電で用いられる充電終止電圧を低下させることで総通電電気量を減少させ、充電終止電圧を上昇させることで総通電電気量を増大させることで、総通電電気量を設定することができる。
また、前記通電電気量設定部は、前記各二次電池の予め設定された基準温度T0における満充電電圧をVf、温度と満充電電圧との関係を表す温度係数をk、前記温度測定部によって測定された実測温度をTr、前記温度情報によって示される温度差をTdとした場合、下記の式(A)を用いて、前記充電終止電圧Veを算出し、設定することが好ましい。
Ve=Vf−k×(Tr+Td−T0) ・・・(A)
この構成によれば、通電電気量設定部は、式(A)を用いて充電終止電圧Veを算出、設定することで、各二次電池が曝される温度条件が反映された温度差Tdが大きいほど総通電電気量を減少させて充電所要時間を短縮することができるので、各二次電池間における成層化の程度のバラツキを低減することが可能となる。
また、前記通電電気量設定部は、前記各充電部によって実行される多段定電流充電における前記複数回の定電流充電において、前記充電終止電圧を低下させることで前記総通電電気量を減少させ、前記充電終止電圧を上昇させることで前記総通電電気量を増大させることによって、前記総通電電気量を設定することが好ましい。
この構成によれば、充電終止電圧の設定を変更するだけで、総通電電気量を変化させることができるので、簡素な処理で総通電電気量を変化させることが可能となる。
また、前記設定期間は、前記各充電部によって、前回、前記多段定電流充電が実行された後、新たに前記多段定電流充電が開始されるまでの期間であることが好ましい。
上述の多段定電流充電が実行されると、上述したように各二次電池相互間での成層化の程度のバラツキが低減される。従って、もし仮に、前回の多段定電流充電の実行前の温度に基づいて総通電電気量を設定すると、既に解消されている成層化の影響まで考慮して総通電電気量が設定されることとなり、実際の各二次電池の成層化の状態が総通電電気量に正しく反映されない。しかしながら、前回、前記多段定電流充電が実行された後、新たに前記多段定電流充電が開始されるまでの期間を設定期間として用いると、前回の多段定電流充電によって解消したと考えられる成層化の影響が、総通電電気量から排除されるので、総通電電気量に成層化の程度を反映させる精度を向上させることができる。
また、前記各充電部は、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続することが好ましい。
また、前記充電工程における多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続する補充電工程をさらに含むようにしてもよい。
設定電流値、すなわち充電電流値は、多段定電流充電において定電流充電を繰り返す都度減少されるから、最後の定電流充電における充電電流は微少な値となり、充電に伴う端子電圧の変化が微小となる。そのため、充電終止電圧付近でノイズの影響を受け易く、充電終了条件の判定において、誤判定が生じやすい。そこで、最後に実行する定電流充電を、二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続した後に終了することで、微妙な判定が要求される充電終止電圧と端子電圧との比較を実行する必要が無くなり、充電終了条件を誤判定してしまうおそれが低減される。
また、前記各充電部は、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって当該各充電部に対応する二次電池に対応して算出された積分値が増大するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、各補充電時間が、積分値が増大するほど短く、すなわち積分値が減少するほど長くなるように補正される。これにより、積分値が小さく、すなわち成層化が進んで充電効率が低下していると考えられる場合ほど、最後の定電流充電の充電時間が長くなって、二次電池に充電される電気量が増大するので、各二次電池間における実際に充電される充電電気量のバラツキが低減される。
また、前記各充電部は、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって当該各充電部に対応する二次電池に対応して取得された最大値が増大するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備えるようにしてもよい。
この構成によれば、各補充電時間が、前記最大値が増大するほど短く、すなわち前記最大値が減少するほど長くなるように補正される。これにより、前記最大値が小さく、すなわち成層化が進んで充電効率が低下していると考えられる場合ほど、最後の定電流充電の充電時間が長くなって、二次電池に充電される電気量が増大するので、各二次電池間における実際に充電される充電電気量のバラツキが低減される。
また、前記各充電部は、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって推定された内部温度が上昇するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、各補充電時間が、各二次電池の内部温度の推定値が高いほど短く、当該内部温度の推定値が低いほど長くなるように補正される。これにより、内部温度が低く、すなわち成層化が進んで充電効率が低下していると考えられる場合ほど、最後の定電流充電の充電時間が長くなって、二次電池に充電される電気量が増大するので、各二次電池間における実際に充電される充電電気量のバラツキが低減される。
また、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最初に実行される定電流充電の継続時間を、前記各二次電池についてそれぞれ計時する計時部と、前記各二次電池に対して前記最初に実行される定電流充電の継続時間と当該充電対象の二次電池を満充電にするために必要な通電電気量とを対応させて記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部によって、前記計時部によって計時された各二次電池についての前記最初に実行される定電流充電の継続時間と対応付けて記憶されている通電電気量を、前記多段定電流充電において前記各二次電池に供給するべき通電電気量の目標値である目標通電電気量として取得する目標通電電気量取得部と、前記多段定電流充電が開始されてから前記最後に実行される定電流充電が開始される前までに、前記各充電部によって各二次電池へ供給された通電電気量をそれぞれ検出する通電電気量検出部と、前記目標通電電気量取得部によって取得された目標通電電気量と前記通電電気量検出部によって検出された通電電気量との差を、前記最後に実行される定電流充電における設定電流値で除算することにより、前記補充電時間を算出する補充電時間算出部とをさらに備えることが好ましい。
二次電池に充電されている充電電気量と、最初に実行される定電流充電の継続時間との間には相関関係がある。そこで、最初に実行される定電流充電の継続時間と二次電池を満充電にするために必要な通電電気量とを対応させて第2記憶部に記憶させておく。そして、第2記憶部によって各二次電池についての最初に実行される定電流充電の継続時間と対応付けて記憶されている通電電気量が、目標通電電気量取得部によって、多段定電流充電において各二次電池に供給するべき通電電気量の目標値である目標通電電気量として得られる。さらに、目標通電電気量取得部によって取得された目標通電電気量と通電電気量検出部によって検出された通電電気量との差が、補充電時間算出部によって、最後に実行される定電流充電における設定電流値で除算されて、補充電時間が算出される。
そうすると、多段定電流充電全体で二次電池に供給される通電電気量が、目標通電電気量になるように、最後に実行される定電流充電の充電時間が設定される。そして、目標通電電気量は、二次電池を満充電にするために必要な通電電気量として得られたものであるから、二次電池を精度よく満充電にすることが可能となる。
本発明に係る鉛蓄電池の制御方法および電源システムは、運搬車両の動力源等の目的で制御弁式鉛蓄電池からなる組電池を構成して寒冷地で使用する場合などに適しており、産業の発展に与える影響は大きい。
本発明は制御弁式鉛蓄電池からなる組電池の充電方法、及びこのような組電池を充電する電池充電システムに関する。
二酸化炭素の排出や石油資源の枯渇を抑制する気運が高まる中、鉛蓄電池などの二次電池のみを動力源とする小型車両の開発が嘱望されている。中でも鉛蓄電池は、タフユースに強く適度な重量を有しているため、例えば運搬車両の動力源として有用と考えられる。
鉛蓄電池は過充電の際に電解液(硫酸)における水分が電気分解する。この現象を踏まえ、水の電気分解によって失われる水を補充することを許容する液式鉛蓄電池と、電気分解した酸素ガスを再び水として戻すことで水の補充を不要とした制御弁式鉛蓄電池とがある。これまでフォークリフトなどの運搬車両の動力源としては、水の補充は必要だがタフユースに適した液式鉛蓄電池を用いるのが一般的であった。
複数個の液式鉛蓄電池からなる組電池の構成としては、複数個の液式鉛蓄電池を直列に接続(例えば60個の電池を直列に接続)するか、複数個の液式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路を並列に接続(例えば6個の電池を直列に接続した10つの直列回路を並列に接続)することになる。
上述した構成で充電することを考えた場合、前者の構成では高電圧仕様の充電装置で充電せざるを得ず、商用電源電圧を高圧化するなどの手間が生じる。一方、後者の構成では低電圧仕様の充電装置で充電できるので、商用電流をそのまま用いることも可能となる。そもそも液式鉛蓄電池は2時間率を超えるような高率で充電すると効率が低下するため、比較的小さな充電電流が用いられる。従って、後者の構成のように、複数の液式鉛蓄電池の直列回路を並列接続した構成において、各直列回路へ並列に充電電流を供給することが比較的容易である。
また、液式鉛蓄電池は、部品抵抗の影響が小さく、従って後者の構成のように複数の液式鉛蓄電池の直列回路を並列接続した場合であっても、各直列回路相互間での抵抗値の差異が小さいので、各回路へ分流する充電電流値の差は無視できる程度に小さくできる。そのため、液式鉛蓄電池の場合、後者の構成を採った場合のデメリットが少なく、前者の構成よりも有利である。
一方、部品抵抗より影響の大きい反応抵抗は、電解液量に反比例するため、電解液量が液式鉛蓄電池より少なくなる制御弁式鉛蓄電池の方が、反応抵抗が大きくなりやすい。そのため、内部抵抗(部品抵抗+反応抵抗)は制御弁式の方がバラツキやすい。そのため、制御弁式鉛蓄電池は、液式鉛蓄電池と比べて並列での充電に適さない。
したがって、液式鉛蓄電池では、複数の液式鉛蓄電池の直列回路を並列接続して各液式鉛蓄電池を並列に充電することで、良好な充電が可能である。そのため、液式鉛蓄電池からなる直列回路を並列接続した組電池の充電方法として、各々の直列回路を並列にした状態でそれぞれに充電装置を接続し、各直列回路の充電を個別に制御して充電するような方法(例えば特許文献1)は、煩雑な上に、かえってそれぞれの充電装置の定格電流範囲内での誤差によって直列回路ごとに充電容量がばらつく虞があるため、忌避されてきた。
特開昭55−053140号公報
ところが近年、24時間稼動の工場でフォークリフトなどの運搬車両を連続使用する機会が増すにつれ、水の補充が不要な制御弁式鉛蓄電池が動力源として嘱望されるようになった。これに応えるべく、複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路を並列に接続した組電池を構成したところ、充電を繰返すことにより著しい容量低下が見られることがわかった。
本発明の目的は、制御弁式鉛蓄電池を用いた組電池を、繰り返し充電した際の容量低下を低減することができる組電池の充電方法、及び電池充電システムを提案することである。
本発明の一局面に従う電池充電システムは、互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池と、前記各二次電池に対応して設けられ、対応する二次電池をそれぞれ充電する複数の充電部とを備え、前記各充電部は、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させる多段定電流充電を実行する。
また、本発明の一局面に従う組電池の充電方法は、互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池の充電方法であって、前記各二次電池に対応して設けられた複数の充電部によって、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させることにより、多段定電流充電を実行する充電工程を含む。
この構成によれば、制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池を多段定電流充電する際に、各二次電池は、端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電が、充電電流値を都度減少させつつ複数回繰り返される。そうすると、充電電流値が大きい初期の定電流充電においては、成層化が進んでいる(成層化が重篤な)二次電池の方が、成層化が進んでいない(成層化が軽度な)二次電池よりも端子電圧の上昇が早いため、短時間で定電流充電が終了する。
そして、大きな電流値で充電する初期の定電流充電が短時間で終了すると、多段定電流充電初期の定電流充電によって成層化が重篤な二次電池の充電される電気量は、成層化が軽度な二次電池より少なくなるため、成層化が重篤な二次電池では、その不足分が多段定電流充電末期の充電電流値が小さい定電流充電によって充電されることとなる。そうすると、成層化が重篤な二次電池は、成層化が軽度な二次電池よりも少ない電流値で充電される期間が長くなるから、多段定電流充電による充電時間全体が、成層化が軽度な二次電池よりも長くなる。従って、成層化が重篤なものは充電時間が長くなり、成層化が軽度なものは充電時間が短くなる。
ここで、成層化は、充電時間が長いほど解消されるので、並列接続された複数の二次電池相互間において、成層化の程度にバラツキがあったとしても、成層化が重篤なものの方が、成層化が軽度なものよりも充電時間が長くなって成層化がより多く解消される結果、成層化の程度のバラツキが低減される。そして、各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、最も成層化が重篤な制御弁式鉛蓄電池におけるその成層化の程度が軽減される結果、成層化に起因して電池容量が減少するおそれが低減される。そうすると、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
本発明によれば、制御弁式鉛蓄電池を用いた組電池を、繰り返し充電した際の容量低下を低減することができる。
本発明に係る組電池の充電方法が適用された電池充電システムの第1実施形態を表すブロック図である。 図1に示す充電装置の構成の一例を示すブロック図である。 図1に示す制御弁式鉛蓄電池の一例を示す構成図である。 図3に示す正極板、及び負極板の一例を示す構造図である。 図1に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 n段定電流充電における二次電池ごとの充電挙動を表す模式図であって、図6Aは成層化の度合が軽度な二次電池の挙動を、図6Bは成層化の度合が重篤な二次電池の挙動を示すものである。 制御弁式鉛蓄電池における正極および負極の高さと充電受け入れ性との相関を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る電池充電システムの一例を示すブロック図である。 図8に示す充電装置の構成の一例を示すブロック図である。 図8に示す処理部による熱履歴値の算出動作の一例を示すフローチャートである。 図8に示す処理部による熱履歴値の算出動作の一例を示すフローチャートである。 図9に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図9に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図8に示す充電装置による充電に伴う二次電池の端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。 図8に示す充電装置による充電に伴う二次電池の端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。 n段定電流充電における二次電池ごとの充電挙動を表す模式図であって、(a)は成層化の度合が重篤な二次電池の挙動を、(b)は成層化の度合が軽微な二次電池の挙動を示すものである。 本発明の第4実施形態に係る電池充電システムの一例を示すブロック図である。 図17に示す充電装置の構成の一例を示すブロック図である。 各二次電池の配設状態の一例を示す説明図である。 記憶部に記憶されている温度情報の一例について説明するための説明図である。 処理部によって、各二次電池に対応して設定される充電終止電圧の一例を示す説明図である。 各二次電池の配設状態の他の一例を示す説明図である。 記憶部に記憶されている温度情報の一例について説明するための説明図である。 処理部によって、各二次電池に対応して設定される充電終止電圧の一例を示す説明図である。 図17に示す処理部の動作の一例を示すフローチャートである。 図18に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図18に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図18に示す充電装置による充電に伴う二次電池の端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。 図18に示す充電装置による充電に伴う二次電池の端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図を用いて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
ところで、鉛蓄電池の充電反応は、正極および負極の放電生成物である硫酸鉛を二酸化鉛または海綿状鉛に戻す反応であり、その際に、硫酸を生成する。生成された硫酸は、一時的に活物質の周辺における電解液の濃度を上昇させる。濃度の高い電解液は周りの電解液より比重が重いため、重力により電池の下部へ沈降する。
その結果、電池の下部で電解液の濃度が高くなり、上部で電解液の濃度が低くなる現象(以下、成層化と称する)が起こる。成層化によって硫酸の濃度が高くなった電解液の中では、一般にサルフェーションと呼ばれる硫酸鉛の結晶の粗大化と硫酸鉛結晶の蓄積が起こり、活物質の充電受入性が低下する。この現象を把握せずに無作為な充電を繰返すと、電池容量が急激に低下して短寿命となる。
発明者らが鋭意検討した結果、上述した成層化は、制御弁式鉛蓄電池の置かれる環境温度に相応して度合が変化することを知見した。具体的には、環境温度が低い場合、成層化は以下のように推測される理由によって顕著化しやすくなる。
すなわち、充電末期に正極から発生した酸素ガスは、正極活物質の孔の中に含まれる電解液と置換されることによって、この電解液を外側(セパレータ側)へと押し出すとともに、正極の表面から離脱した酸素ガスの気泡の一部は、電解液を含浸したセパレータ内を上昇して電解液を攪拌し、電解液の成層化を解消するものと考えられる。制御弁式鉛蓄電池は液式鉛蓄電池と比べて成層化の発生量は少ないものの、酸素ガスによって攪拌される電解液の量も少ないために上述した成層化の解消の効果も得られにくい。
加えて環境温度が低い(例えば10℃未満)場合、環境温度が高い(例えば40℃超過)場合と比較して充電末期における正極での酸素ガス発生量はさらに少なく、前記した成層化の解消作用が十分に得られなくなる。組電池に用いられる数が多くかつ短時間での充電を要求される制御弁式鉛蓄電池において、液式鉛蓄電池と比べて成層化は僅かであっても、組電池全体に与える影響は大きい。
また、液式鉛蓄電池に比べて、制御弁式鉛蓄電池の方が、環境温度が電池の劣化に与える影響が大きいことがわかった。1つは、温度に関わらず同じ充電終止電圧条件で充電すれば、高温になるほど充電終止電圧に到達するまでの時間が長くなり、すなわち充電電気量が多くなり、過充電が進んで水の電気分解が多量に起ることで電解液が高濃度になる。電解液が高濃度になると、正極格子の腐食が促進され、短寿命となる。制御弁式鉛蓄電池では、液式鉛蓄電池のように、補水と充電により電解液濃度を均等にする、ということができない。
そのため、複数の制御弁式鉛蓄電池を用いた組電池では、各制御弁式鉛蓄電池の温度にバラツキが生じると、各制御弁式鉛蓄電池における成層化の程度にもバラツキが生じる。そして、成層化の程度がバラついたまま各制御弁式鉛蓄電池を同じように充放電させると、成層化が進んだ制御弁式鉛蓄電池においてサルフェーションが起こり、活物質の充電受入性が低下し、その制御弁式鉛蓄電池の電池容量が減少する。そうすると、組電池全体の電池容量も減少する。
特に、制御弁式鉛蓄電池が複数直列接続されている場合には、その直列回路に含まれる制御弁式鉛蓄電池のうち最も電池容量が減少した制御弁式鉛蓄電池によって、直列回路全体の充放電可能な電気量が制限されてしまうので、成層化のバラツキにより生じる電池容量の減少が、さらに顕著となる。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであって、複数個の制御弁式鉛蓄電池(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池、特に複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池において、下記の構成を採用することで、以下に示す効果が得られるようになる。
第1に、各々の二次電池(二次電池)にそれぞれ充電装置を接続することで、環境温度が異なるそれぞれの二次電池に合わせて充電できるようになる。前述したように、各々の二次電池にそれぞれ充電装置を接続すれば、それぞれの充電装置の定格電流範囲内での誤差によって二次電池ごとに充電電気量がばらつく虞がある。しかしながら、液式鉛蓄電池の場合とは異なり、制御弁式鉛蓄電池からなる二次電池では、環境温度が異なる(すなわち成層化の度合が異なる)状況で並列に接続して1つの充電装置で充電する方が、充電装置の精度バラツキよりも、充電電気量のばらつきは大きくなる。
第2に、充電装置のそれぞれが各々の二次電池の充電電圧を検出してn段(多段)定電流充電を行うことで、以下に挙げる効果が得られる。
まず、成層化によって電解液である硫酸の濃度は電池の下部ほど高くなるものの、正極および負極のタブ(集電部)は電池の上部に設けられているので充電反応(放電生成物である硫酸鉛から硫酸成分が電解液に戻る反応)は電池の上部ほど進行しやすく(電池の上部ほど硫酸が電解液に戻されやすく)なる。成層化を着実に解消するためには時間を掛けて徐々に電池の上部から硫酸を電解液に戻す方が好ましいが、充電時間を短縮するためには公知のn段定電流充電(二次電池の充電電圧が所定の制御電圧に上昇して到達した時点で、段階的に電流値を小さくしていく充電)を適用することが好ましい。
ところが充電装置のそれぞれが各々の二次電池の充電電圧を検出してn段定電流充電を行うことで、成層化が著しい二次電池ほど充電所要時間が延びることになる。すなわち成層化が著しい二次電池は他の二次電池と比較して内部抵抗が高くなるため、充電開始直後の1段目の充電(最も電流値が大きい)において充電電圧が制御値に早く到達する一方、充電電流が徐々に小さくなる2段目以降の充電電気量が多くなり、結果として他の二次電池と比較して充電所要時間が延びる。
このように成層化が起こりやすい二次電池では充電所要時間に比例して成層化が着実に解消されるのだが、成層化が起こりにくい二次電池では充電所要時間が短いために成層化が十分に解消されない。この差によって結果的に各二次電池相互間の成層化の度合が揃うようになり、二次電池ごとの充電電気量の差に起因する不具合(過放電および次の充電における充電容量ばらつき)が軽減される。この第2の効果は、成層化が著しい制御弁式鉛蓄電池に対して、本発明に係る充電方法を適用した場合に特有の効果と考えられる。
以下、本発明に係る具体的な実施形態について、説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る組電池の充電方法、及び電池充電システムは、例えば複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池の充電方法を用いる。この充電方法は、各々の直列回路にそれぞれ充電装置を接続し、充電装置のそれぞれが各々の直列回路の充電電圧を検出して、電流値をn−1(但しnは2以上の整数)回変化させて定電流充電を複数回繰り返すn段定電流充電を行う。
図1は本発明に係る組電池の充電方法が適用された電池充電システムの第1実施形態を表すブロック図である。図1に示す電池充電システム100は、二次電池1a,1bと、充電装置(充電部)2a,2bと、ダイオード3a,3b,4a,4bとを備えている。二次電池1a,1bは、それぞれ複数の制御弁式鉛蓄電池Bが直列接続されて構成されている。そして、電池充電システム100の外部に負荷5が接続されるようになっている。
複数の制御弁式鉛蓄電池からなる二次電池1aは、同様の構成からなる二次電池1bと並列に接続され、組電池を構成している。二次電池1aと1bとにはそれぞれ、個別に充電装置2aと2bとが接続されている。放電の際にはダイオード3aおよび3bを介して二次電池1aおよび1bから電流が負荷5に供給される。充電の際にはダイオード3aおよび3bが閉じる一方でダイオード4aおよび4bを介して充電装置2aおよび2bから電流が二次電池1aおよび1bに供給される。
図2は、図1に示す充電装置2a,2bの構成の一例を示すブロック図である。図2に示す充電装置2a,2bは、例えばアナログデジタルコンバータ等を用いて構成され、二次電池1a,1bの端子電圧を検出する電圧検出部22と、二次電池1a,1bを充電するための充電電流を出力する定電流回路23と、制御部21とを備えて構成されている。定電流回路23は、例えばスイッチング電源回路等によって構成されている。
制御部21は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、その周辺回路等とを備えて構成されている。そして、制御部21は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、充電制御部211として機能する。
充電制御部211は、電圧検出部22によって検出された二次電池1a,1bの端子電圧Vに応じて、定電流回路23の出力電流値を制御する。
なお、並列接続されている二次電池の数や、これに対応する充電装置の数は、複数であればよく、2個に限らない。また、二次電池1a,1bは、複数の制御弁式鉛蓄電池Bが直列接続されたものに限られず、それぞれ1個の制御弁式鉛蓄電池Bから構成されていてもよい。以下、二次電池の数、及び充電装置の数が2個である場合を例に、説明する。
図3は、図1に示す制御弁式鉛蓄電池Bの一例を示す構成図であり、ポリプロピレン樹脂よりなる電槽B1には複数のセルB2が同一方向に連接されて構成されている。各セルB2には、正極板B3、負極板B4がガラス繊維を主体とするセパレータB5を介して積層されている。そして、同極性の極板同士がストラップB6によって一体化された極板群B7が電槽B1に収納されている。
この極板群B7は、隔壁B8を介して接続体B9により隣接セルの極板群と接続されている。さらに、電槽B1の上部には各セルからの排気構造B10を有した蓋B11が溶着一体化されて、制御弁式鉛蓄電池Bが構成されている。また、セパレータB5には、電解液が含浸されている。
図4は、図3に示す正極板B3、及び負極板B4の一例を示す構造図である。正極板B3、及び負極板B4は、格子状の中骨B31の上側の一端に、上枠骨B32が設けられ、中骨B31の下側の一端に、下枠骨B33が設けられ、上枠骨B32には集電耳部B34が連接され、さらに中骨B31(及び上枠骨B32、下枠骨B33の一部)には活物質B35が充填(塗布)されて、正極板B3、及び負極板B4の一部(大部分)が活物質B35で覆われている。
この場合、上枠骨B32及び下枠骨B33が上下方向となるように正極板B3、及び負極板B4を配置すると、図4に示す長さLが、活物質B35で覆われた部分の重力方向の長さとなる。正極板B3、及び負極板B4は、長さLが、例えば100mm以上、200mm以下にされている。
図5は、図1に示す充電装置2aの動作の一例、すなわち組電池の充電方法に係る多段(n段)定電流充電の一例を示すフローチャートである。なお、充電装置2bは、充電装置2aと並行して同様に動作するので、その説明を省略する。充電装置2a,2bは、それぞれが備える充電制御部211による制御動作によって、以下の多段定電流充電を実行する。
まず、複数回(n回)の定電流充電で用いられる充電電流値Ic1〜Icnが、例えば充電装置2a,2bにおける制御部21のROMに、予め記憶されている。充電電流Iは、1段目の定電流充電が最も電流値(Ic1)が大きく、2段目の定電流充電において電流値(Ic2)は電流値(Ic1)よりも小さくなり、最終のn段目の定電流充電が最も電流値(Icn)が小さい。
まず、ステップS01において、充電装置2aによって、充電電流Iが充電電流値Ic1に設定されて、1段目の定電流充電C1が開始され、二次電池1aが充電される。ステップS02において、充電装置2aに接続された二次電池1aの電圧Vが1段目の充電終止電圧Ve1以上であるか否かが判断され、VがVe1未満であれば(ステップS02でNO)1段目の定電流充電C1が継続され、Ve1以上であれば(ステップS02でYES)1段目の定電流充電C1を終止する。
次いでステップS03において、充電装置2aによって、充電電流Iが充電電流値Ic2に設定されて、2段目の定電流充電C2が開始される。ステップS04において、接続された二次電池1aの電圧Vが2段目の充電終止電圧Ve2以上であるか否かが判断され、電圧VがVe2未満であれば(ステップS04でNO)2段目の定電流充電C2が継続され、Ve2以上であれば(ステップS04でYES)2段目の定電流充電C2を終止する。
このようなステップを繰返した後、ステップS05において、n段目の定電流充電Cnが開始される。ステップS06において、接続された二次電池1aの電圧Vがn段目の充電終止電圧Ven以上であるか否かが判断され、電圧VがVen未満であれば(ステップS06でNO)n段目の定電流充電Cnが継続され、Ven以上であれば(ステップS06でYES)ステップS07に移行して充電を終止する。
本発明においては、それぞれの直列回路に接続された充電装置が、個々に上述したn段定電流充電を行うことになる。例えば、充電装置2bは、二次電池1bに対して上述のステップS01〜S07と同様の多段定電流充電を実行する。これによる効果は後ほど詳述する。なお同じ段目の充電終止電圧は直列回路ごとに異ならない方が好ましいが、各段目の充電終止電圧Ve1、Ve2およびVenは同じ値であっても異なる値であっても良い。
例えば、各段目の充電終止電圧Ve1、Ve2およびVenを、二次電池1a,1bの満充電電圧に設定しておけば、二次電池1a,1bを満充電することができる。以下、充電終止電圧Ve1〜Venを総称して充電終止電圧Veと称する。
ここで、鉛蓄電池は、SOC(State Of Charge)が増大するほど充電電流が流れることによる劣化が生じやすくなる性質がある。そのため、SOCが0%に近い状態から満充電に近い状態まで同じ電流値で定電流充電を行おうとすると、満充電に近い充電末期においても鉛蓄電池を劣化させないような小さな電流値で定電流充電を行う必要がある。
しかしながら、図1に示す充電装置2a,2bのように、段階的に充電電流値を減少させながら多段定電流充電を行うことで、充電初期のSOCが小さいときは、充電末期のSOCが大きいときよりも充電電流値を増大させることができる結果、充電時間を短縮することができる。
図6はn段定電流充電における二次電池ごとの充電挙動を表す模式図であって、図6Aは成層化の度合が軽度な二次電池の挙動を、図6Bは成層化の度合が重篤な二次電池の挙動を示すものである。なお図6A、図6Bにおける縦軸は充電電流(I)を示し、横軸は充電所要時間(t)を示す。
成層化の度合が軽度な二次電池は内部抵抗が比較的小さいため、内部抵抗に充電電流が流れることで生じる電圧が小さい。その結果、図6Aに示すように、大きな充電電流で充電する1段目の定電流充電C1において、制御値(図5のステップS02におけるVe1)に達するまでの所要時間(C1)が比較的長い。このように充電電流値が大きな値に設定された1段目の定電流充電C1にて十分に(長時間)充電された二次電池では、その後の2段目からn段目までの定電流充電C2〜Cnにおける制御値(図5のステップS04におけるVe2、・・・およびステップS06におけるVen)に達するまでの所要時間(定電流充電C2〜Cnの期間)が比較的短くなり、結果的に充電所要時間(C1+C2+・・・・+Cn−1+Cn)は、成層化の度合が軽度な二次電池の方が、成層化の度合が重篤な二次電池よりも短くなる。
成層化の度合が重篤な二次電池は内部抵抗が比較的大きいため、内部抵抗に充電電流が流れることで生じる電圧が大きい。その結果、図6Bに示すように、大きな充電電流で充電する1段目の定電流充電C1において、二次電池の端子電圧Vが制御値に達するまでの所要時間(C1)が比較的短い。このように1段目にて十分に充電されなかった二次電池では、電流値が小さくなるにつれて内部抵抗の影響が低下するため、2段目からn段目までの定電流充電C2〜Cnにおける制御値に達するまでの所要時間(定電流充電C2〜Cnの期間)が比較的長くなり、結果的に充電所要時間(C1+C2+・・・・+Cn−1+Cn)は、成層化の度合が重篤な二次電池の方が、成層化の度合が軽度な二次電池よりも長くなる。
例えば、制御弁式鉛蓄電池からなる二次電池1aに比べて二次電池1bが外気に晒されやすい箇所に配置された形で、図1に示す電池充電システム100が寒冷地において運搬車両の動力源として用いることを想定した場合、二次電池1bの方が低温になるから成層化は重篤になる。すなわち二次電池1aに対する多段定電流充電の実行経過が図6Aに該当し、二次電池1bに対する多段定電流充電の実行経過が図6Bに該当するようになり、成層化が軽度な二次電池1aの方が、成層化が重篤な二次電池1bと比較して充電所要時間は短くなる。
成層化を着実に解消するためには、時間を掛けて徐々に電池の上部から硫酸を電解液に戻す方が好ましい。すなわち成層化の解消度合は充電所要時間に比例するのだが、上述したように、電池充電システム100によれば、成層化が軽度な二次電池1aの方が、成層化が重篤な二次電池1bよりも充電時間が短くなるから、成層化が軽度な二次電池1aの方が、成層化が重篤な二次電池1bよりも成層化の解消作用が小さく、従って成層化の解消が不十分になるのに対して、成層化が重篤な二次電池1bの方が、成層化の解消作用が大きくなる。
しかしこのことによって、バラついていた各二次電池間の成層化の度合が揃うようになり、結果的に二次電池ごとの充電電気量の差に起因する不具合、例えば成層化が重篤で充電が不十分な二次電池における過放電や、充放電サイクルを重ねるほど拡がる二次電池ごとの充電電気量ばらつき(特定の二次電池の酷使につながる)などが軽減される。この第2の効果は、成層化が著しい制御弁式鉛蓄電池特有の効果と考えられる。
そして、このようにして各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、最も成層化が進んだ制御弁式鉛蓄電池であってもその成層化の程度が軽減される結果、サルフェーションにより電池容量が減少するおそれが低減される。そうすると、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
なお、多段定電流充電においては、充電電流を減少させる段数を増加させるほど、SOCに応じて鉛蓄電池を劣化させない最大限度に近い充電電流を、各段の定電流充電において設定することが可能になるから、段数を増加させるほど、充電時間が短くなる。しかしながら、充電時間が短くなると、制御弁式鉛蓄電池における成層化解消の効果が減少してしまう。従って、成層化解消の効果と充電時間短縮効果とのバランスによって、適宜充電電流を減少させる段数(複数回数)を設定することが望ましい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る組電池の充電方法、及び電池充電システムは、最後に実行する定電流充電Cnの終了条件を、二次電池の端子電圧Vに関わらず、所定の補充電時間tnの間、継続するものである。
電流値をn回変化させるn段定電流充電においては、最後のn段目の充電における第n定電流は非常に小さい値で設定することが多いので、二次電池の電圧Vの時間に対する変化が微小となる。そのため、充電終止電圧Ven付近でノイズの影響を受け易く、電圧による充電終止条件の判定(図5のステップS06における充電終止電圧Venと電圧Vとの比較による充電終了条件の判定)において、誤判定が生じやすい。そこで、最後に実行する定電流充電Cnを、二次電池の端子電圧Vに関わらず、所定の補充電時間tnの間、継続した後に終了することで、微妙な判定が要求される充電終止電圧Venと電圧Vとの比較を実行する必要が無くなり、僅かな電圧の変化で左右されることなく、比較的精度よく充電終了条件を判定することができる結果、充電終了条件を誤判定してしまうおそれが低減される。
なお、定電流充電C1で要した充電時間や二次電池1a,1bの温度に応じて補充電時間tnを設定する変形例が考えられるが、このような変形例については、後述する他の実施形態において説明する。
次に、制御弁式鉛蓄電池における正極および負極の高さを100mm以上としたことの効果について説明する。なお、本明細書において、正極および負極の高さは、極板の一要素である集電体において、活物質が充填された部分の高さ、すなわち極板の活物質で覆われた部分の重力方向の長さを意味し、集電耳部およびこれに連設された上枠骨、および下枠骨等、活物質が充填されていない部分の高さ寸法は含まれない。但し、活物質の充填厚みを集電体厚みよりも大とし、上枠骨や下枠骨の一部あるいはすべてに活物質が充填されている場合はその限りではない。
図7は、制御弁式鉛蓄電池における正極および負極の高さと充電受け入れ性との相関を示す図であり、縦軸は充電受け入れ性指標を(%)を示し、横軸は制御弁式鉛蓄電池の正極および負極の極板高さ、すなわち、本明細書においては、活物質充填部の高さ(mm)を示す。
なお、本明細書において、充電受け入れ性として、充電受け入れ性指標で表し、それぞれの定義は以下によるものとした。
まず、各種の極板高さを有する制御弁式鉛蓄電池から構成される二次電池を、各電池温度で、3時間率電流で1.75V/セルまで連続して定電流放電して、二次電池の放電容量Qdを計測する。
その後、各二次電池を、放電時の温度で、1段目の充電電流を0.8CAとし、セル電圧が2.4V/セルとなった時点で、充電電流を、0.8CAから0.6CA、0.4CA、0.2CAおよび0.1CAへと順次切り替えていく、5段充電を行い、この5段充電の1段目で充電された充電電気量Qc1を計測した。ここで、1CA=1Itである。また、1It(電池容量(Ah)/1(h))は、二次電池の公称容量値を1Itの電流値で放電した場合に、1時間で二次電池の残容量がゼロとなるような電流値である。
そして、前記した放電容量Qdに対する充電電気量Qc1の比率(Qc1/Qd)を充電受け入れ性ηとした。さらに、電池温度25℃であって、かつ極板高さ100mmの制御弁式鉛蓄電池から構成される二次電池の充電受け入れ性ηを標準の充電受け入れ性ηrとし、各温度、各極板高さの二次電池の充電受け入れ性ηをηrに対する百分率として表し、これを充電受け入れ性指標(%)として図7の縦軸とした。
上述したように、制御弁式鉛蓄電池は液式鉛蓄電池と比べて電解液の量が少ないため、電池の下部と上部との硫酸濃度の差が緩和しにくい(SO4 2-の拡散が困難である)。中でも図7に示すように、正極および負極の高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池の場合、電池の下部と上部との硫酸濃度の差が特に緩和しにくくなって、成層化が顕著となり、特に低温環境での充電受け入れ性が低下する。また、電流値が大きい高率充電が困難になる。
しかし、電池充電システム100によれば、このような高率充電を1段目とするようなn段定電流充電を想定した場合、繰り返し述べたように、低温環境に置かれた制御弁式鉛蓄電池(二次電池)の充電所要時間が高温環境に置かれた制御弁式鉛蓄電池(二次電池)の充電所要時間よりも長くなり、二次電池ごとの成層化の度合が揃うようになる。図7の結果は、正極および負極の高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池において、成層化がより顕著になる一方、極板高さが100mmに満たない制御弁式鉛蓄電池では、成層化が僅かしか生じないことを示している。
そうすると、極板高さが100mmに満たない制御弁式鉛蓄電池を複数組み合わせた組電池では、そもそも成層化が僅かしか生じないのに対し、極板高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池を複数組み合わせた組電池では、各制御弁式鉛蓄電池における成層化が顕著となる結果、各制御弁式鉛蓄電池間での成層化のバラツキも増大する。従って、電池充電システム100における制御弁式鉛蓄電池Bとして、必ずしも極板高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池を用いる必要はないが、極板高さが100mmに満たない制御弁式鉛蓄電池を用いた場合よりも、成層化の程度のバラツキが大きい、極板高さが100mm以上の制御弁式鉛蓄電池を用いた場合の方が、電池充電システム100における成層化のバラツキを低減する効果(成層化度合の平準化)のメリットが大きくなる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る組電池の充電方法、及び電池充電システムは、例えば複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池の充電方法であって、各々の直列回路にそれぞれ充電装置を接続し、充電装置のそれぞれが各々の直列回路の充電電圧を検出して、電流値をn−1(但しnは2以上の整数)回変化させて定電流充電を複数回繰り返すn段定電流充電を行うに当たり、各々の直列回路の熱履歴に基づいて、各々の直列回路における通電電気量を変化させる。
この構成によれば、各々の直列回路が経た熱履歴(例えば組電池がどのような地域でどのように使用され、結果的に各々の直列回路間でどの程度の環境温度差が生じるか)という予測が困難な因子を考慮して、直近の環境温度のみに頼らず各々の直列回路における通電電気量を変化させる。これにより、成層化がより重篤な(低温環境下の履歴が長い)直列回路を正確に判定し、この通電直列回路の通電電気量を大きくしてより活発に成層化解消反応(酸素ガス発生反応)を促して、直列回路間の成層化の解消度合をより揃えることが可能となる。
なお、充電電気量とは、二次電池(制御弁式鉛蓄電池)に実際に蓄えられた電気量を意味し、通電電気量とは、充電装置から二次電池へ供給された電気量を意味するものとする。
以下、第3実施形態に係る具体的な実施形態について、説明する。図8は、第3実施形態に係る電池充電システムの一例を示すブロック図である。
図8に示す電池充電システム100’は、図1に示す電池充電システム100とは、処理部6(通電電気量設定部)、温度測定部7a,7b、及び後述する電流検出部をさらに備える点、及び充電装置2a’,2b’の構成が異なる。その他の構成は図1に示す電池充電システム100と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
温度測定部7a,7bは、例えばサーミスタや熱電対等を用いて構成された温度センサである。温度測定部7a,7bは、例えば二次電池1a,1bの近傍に配設されて、二次電池1a,1bの温度をそれぞれ検出する。なお、温度測定部7a,7bは、例えば制御弁式鉛蓄電池Bの電槽B1内や外壁面に配設されて直接二次電池1a,1bの温度を検出するものであってもよく、二次電池1a,1bの近傍の温度を検出することで、間接的に二次電池1a,1bの温度を検出するものであってもよい。
処理部6は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成された制御回路である。処理部6は、通電電気量設定部の一例に相当している。処理部6は、温度測定部7a,7bによって測定される二次電池1a,1bの温度の、予め設定された設定期間における積算値を、熱履歴を示す熱履歴値Hrとしてそれぞれ算出し、熱履歴値Hrが大きい二次電池ほど多段定電流充電における総通電電気量を減少させるように、充電装置2a’,2b’における充電終止電圧Ve1〜Venを設定する。
具体的には、処理部6は、例えばROMによって構成された記憶部61(第1記憶部)が設けられており、記憶部61には、熱履歴値Hr(積算値、最大値)が大きいほど、充電終止電圧Ve1〜Venが低下するように、熱履歴値Hrと充電終止電圧Ve1〜Venとが対応付けられたルックアップテーブル(LUT)である熱履歴値テーブルが予め記憶されている。
ここで、充電終止電圧Ve1〜Venが高いほど、充電装置2a’,2b’によって実行される多段定電流充電において二次電池1a,1bへ供給される総通電電気量が増大するので、充電終止電圧Ve1〜Venは、総通電電気量を示す情報となる。また、熱履歴値Hrは、温度測定部7a,7bによって検出された温度から算出されており、各温度に関する情報に相当している。
処理部6は、熱履歴値テーブルを参照し、熱履歴値Hrが大きいほど、充電装置2a’,2b’における充電終止電圧Ve1〜Venを小さな値に設定することで、熱履歴値Hrが大きい二次電池ほど多段定電流充電における総通電電気量を減少させるように、その通電電気量を制御する。
また、上記設定期間としては、例えば、充電装置2a,2bによって、前回、多段定電流充電が実行された後、新たに多段定電流充電が開始されるまでの期間が設定されている。
図9は、図8に示す充電装置2a’,2b’の構成の一例を示すブロック図である。図9に示す充電装置2a’,2b’は、図2に示す充電装置2a,2bとは、制御部21’の構成が異なる。制御部21’は、計時部212、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、補充電時間補正部216、及び記憶部217(第2記憶部)をさらに備える点で、図2に示す制御部21と異なる。
なお、計時部212、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、補充電時間補正部216、及び記憶部217が、充電装置2a’,2b’にそれぞれ設けられる例を示したが、これら各部が例えば処理部6に設けられて、補充電時間算出部215や補充電時間補正部216によって得られた各二次電池に対応する補充電時間tnを、処理部6から充電装置2a’,2b’における制御部21’へ送信する構成としてもよい。
また、充電制御部211’は、処理部6によって設定された充電終止電圧Ve1〜Venに基づいて、多段定電流充電を実行する点、及び最後の定電流充電Cnを、補充電時間算出部215によって算出され、あるいはさらに補充電時間補正部216によって補正された補充電時間の間、二次電池の端子電圧Vに関わらず継続する点で、図2に示す充電制御部211とは異なる。
計時部212は、例えばタイマ回路を用いて構成されており、多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最初に実行される定電流充電C1の継続時間tc1を計時する。
記憶部217は、例えばROMを用いて構成されており、継続時間tc1と二次電池1a,1bを満充電にするために必要な通電電気量である通電電気量Qfとを対応付けるルックアップテーブル(LUT)である通電電気量テーブルが、予め記憶されている。すなわち、最初の定電流充電C1の実行を開始した際の二次電池1a,1bのSOCが小さいほど、定電流充電C1の継続時間tc1は長くなるから、二次電池1a,1bのSOCと継続時間tc1との間には相関関係がある。また、二次電池1a,1bのSOCが小さいほど通電電気量Qfは大きくなるから、継続時間tc1と通電電気量Qfとの間にも相関関係がある。そこで、例えば実験的に継続時間tc1と通電電気量Qfとの対応関係を測定し、予め通電電気量テーブルとして記憶部217に記憶されている。
また、記憶部217には、熱履歴値Hrと充電効率係数Kcとを対応付けるルックアップテーブル(LUT)である充電効率係数テーブルが、予め記憶されている。充電効率係数Kcは、充電装置2a’,2b’から二次電池1a,1bへ供給された通電電気量Qcに対する、二次電池1a,1bに実際に充電された充電電気量Qrの比(Qr/Qc)である充電効率の、逆数(Qc/Qr)である。
制御弁式鉛蓄電池Bは、温度が高くなるほど成層化が生じにくく、充電効率が向上する性質がある。従って、熱履歴値Hrが大きくなるほど充電効率が向上し、充電効率係数Kcが小さくなる。このような、熱履歴値Hrと充電効率係数Kcとの対応関係が、例えば予め実験的に求められて充電効率係数テーブルとして、記憶部217に記憶されている。
そして、制御部21’は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、及び補充電時間補正部216として機能する。
なお、図8においては図示を省略したが、二次電池1aとダイオード3aの間には、電流検出部8aが接続され、二次電池1bとダイオード3bの間には、電流検出部8bが接続されている。
電流検出部8a,8bは、例えば電流検出用のシャント抵抗やホール素子等の電流検出素子や、アナログデジタルコンバータ等を用いて構成されている。そして、電流検出部8a,8bは、二次電池1a,1bに流れる電流を検出してその電流値を示す信号を、制御部21’へ出力する。
目標通電電気量取得部213は、記憶部217を参照し、計時部212によって計時された継続時間tc1と対応付けて記憶されている通電電気量を、多段定電流充電において二次電池1a,1bに供給するべき通電電気量の目標値である目標通電電気量Qtとして取得する。
通電電気量検出部214は、多段定電流充電が開始されてから最後に実行される定電流充電Cnが開始される前までの期間、例えば電流検出部8a,8bによって検出された電流値を単位時間毎に積算することによって、定電流回路23から二次電池1a,1bへ供給された通電電気量Qcを検出する。
補充電時間補正部216は、記憶部217に記憶されている充電効率係数テーブルを参照し、処理部6によって算出された熱履歴値Hrと対応付けられている充電効率係数Kcを、目標通電電気量取得部213によって取得された目標通電電気量Qtに乗算することにより、目標通電電気量Qtを補正する。
ここで、充電効率係数テーブルには、熱履歴値Hrが大きくなるほど充電効率係数Kcが小さくなるように対応付けられているから、熱履歴値Hrが大きくなるほど目標通電電気量Qtが小さくなるように補正される。そして、目標通電電気量Qtが小さくなると、後述するように補充電時間算出部215によって算出される補充電時間tnが短くなるから、補充電時間補正部216は、目標通電電気量Qtを補正することによって、結果的に熱履歴値Hrが大きくなるほど補充電時間tnを短くするように補正することとなる。なお、補充電時間補正部216は、目標通電電気量Qtを補正する例に限られず、補充電時間算出部215によって算出される補充電時間tnを直接補正するようにしてもよい。
補充電時間算出部215は、目標通電電気量取得部213によって取得され、あるいは補充電時間補正部216によって補正された目標通電電気量Qt、通電電気量検出部214によって検出された通電電気量Qc、及び最後に実行される定電流充電Cnにおける充電電流値(設定電流値)Icnに基づき、下記の式(1)を用いて補充電時間tnを算出する。
補充電時間tn=(Qt−Qc)/Icn ・・・(1)
次に、上述のように構成された電池充電システム100’の動作について説明する。図10は、図8に示す処理部6による二次電池1aについての熱履歴値Hrの算出動作の一例を示すフローチャートである。まず、処理部6は、充電装置2a’から多段定電流充電の終了通知が有るまで待機し(ステップS11でNO)、終了通知を受信すると(ステップS11でYES)、ステップS12に移行して、積算値Xaの算出を開始する。
ステップS12において、処理部6は、温度測定部7aによって測定された温度taを、単位時間毎にそれぞれ積算し、積算値Xaを算出する(ステップS12)。処理部6は、充電装置2a’による新たな充電が開始されるまで積算値Xaの積算を継続する(ステップS13でNO)。そして、充電が開始されると(ステップS13でYES)、それまで積算された積算値Xaを熱履歴値Hrとして、充電装置2a’へ送信する(ステップS14)。
ここで、制御弁式鉛蓄電池Bは、温度が低いほど成層化が生じやすいと考えられるから、熱履歴値Hrは、二次電池1aの成層化の程度を表す指標として用いることができる。すなわち、熱履歴値Hrが小さいほど、成層化が進んでいると考えられる。
さらに、処理部6は、熱履歴値テーブルを参照して、熱履歴値Hrと対応付けて記憶されている充電終止電圧Ve1〜Venを取得し、充電装置2a’へ送信する(ステップS15)。
一方、処理部6は、ステップS11〜S15と並行して、図11に示すステップS21〜S25を実行することで、ステップS11〜S15と同様の処理を二次電池1b及び充電装置2b’に対して実行し、二次電池1bの温度に応じた熱履歴値Hrと充電終止電圧Ve1〜Venとを充電装置2b’へ送信する。
なお、処理部6は、充電開始時(ステップS13,S23でYES)に、例えばまだ1回も多段定電流充電が実行されていないなどして熱履歴値Hrが算出されていない場合は、予め設定された標準的な熱履歴値Hrと充電終止電圧Ve1〜Venとを充電装置2a’,2b’へ送信するようにしてもよい。
以上、ステップS11〜S15、S21〜S25の処理により、処理部6は、熱履歴値Hrが大きい二次電池ほど多段定電流充電における総通電電気量を減少させるように、充電装置2a’,2b’による通電電気量を制御することができる。
また、電池充電システム100’によれば、電池充電システム100と同様、多段定電流充電を実行した後、各二次電池相互間での成層化の程度のバラツキが低減される。従って、もし仮に、多段定電流充電の実行状況と無関係に、累積的に温度を積算して熱履歴値Hrを算出したとすれば、多段定電流充電の実行によって成層化のバラツキが既に解消している期間の温度状況まで含んで熱履歴値Hrが算出される結果となり、熱履歴値Hrが、成層化の程度を正しく反映しなくなるおそれがある。
しかしながら、処理部6は、ステップS11〜S14、S21〜S24において、前回の多段定電流充電が終了してから次の多段定電流充電が開始されるまでの設定期間において、熱履歴値Hrを算出するので、前回の多段定電流充電によって解消したと考えられる成層化の影響を、熱履歴値Hrから排除することで、熱履歴値Hrに成層化の程度を反映させる精度を向上させることができる。
なお、設定期間は、前回の多段定電流充電が終了してから次の多段定電流充電が開始されるまでに限られず、例えば予め固定的に設定された期間であってもよい。
図12、図13は、図9に示す充電装置2a’,2b’の動作の一例を示すフローチャートである。充電装置2a’,2b’は、図12、図13に示す処理を並行してそれぞれ実行する。以下、充電装置2a’,2b’の動作を一括して説明する。
また、図14は図9に示す充電装置2a’による充電に伴う二次電池1aの端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。図15は充電装置2b’による充電に伴う二次電池1bの端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。図14、図15においては、二次電池1b(図15)の方が二次電池1a(図14)よりも成層化が進んでいる例を示している。
まず、制御部21’は、二次電池1a,1bの充電開始前に、処理部6から熱履歴値Hrと充電終止電圧Ve1〜Venとを受信する(ステップS31)。
次に、通電電気量検出部214によって、電流検出部8a,8bによって検出された電流値が例えば単位時間毎に積算されて、通電電気量Qcの積算が開始され(ステップS32)、さらに計時部212によって、定電流充電C1の継続時間tc1の計時が開始される(ステップS33)。
そして、ステップS34において、充電制御部211によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Ic1に設定されて、1段目の定電流充電C1が開始され(タイミングT1)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS34)。次に、充電制御部211によって、二次電池1a,1bの電圧Vが1段目の充電終止電圧Ve1以上であるか否かが判断され、端子電圧VがVe1未満であれば1段目の定電流充電C1が継続され(ステップS35でNO)、Ve1以上であれば1段目の定電流充電C1を終止する(ステップS35でYES、タイミングT2)。
ここで、例えば二次電池1aの方が二次電池1bよりも高温の温度環境に置かれていた場合、処理部6によって算出された熱履歴値Hrは、二次電池1aの方が二次電池1bよりも大きな値になる結果、処理部6によって充電装置2a’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venは、充電装置2b’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venより低い電圧にされている。
図14においては、充電装置2a’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venが、電圧Vaであり、図15においては、充電装置2b’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venが、電圧Vbである例を示しており、この場合、Va<Vbとなっている。これにより、高温の温度環境に置かれて成層化の影響が少なく、充電効率が高くなっていると考えられる二次電池1aへ供給される通電電気量の方が、低温の温度環境に置かれて成層化が進み、充電効率が低くなっていると考えられる二次電池1bへ供給される通電電気量より少なくされる結果、実際に二次電池1a,1bに充電される充電電気量の差(バラツキ)が小さくなるようにされている。
そして、定電流充電C1が終了すると(ステップS35でYES、タイミングT2)、計時部212によって計時された継続時間tc1が、目標通電電気量取得部213によって取得され(ステップS36)、目標通電電気量取得部213によって、記憶部217の通電電気量テーブルが参照されて、継続時間tc1と対応付けて記憶されている通電電気量が、目標通電電気量Qtとして取得される(ステップS37)。
次に、補充電時間補正部216によって、記憶部217に記憶されている充電効率係数テーブルが参照されて、処理部6から受信された熱履歴値Hrと対応付けられている充電効率係数Kcが取得される(ステップS38)。そして、補充電時間補正部216によって、充電効率係数Kcが、目標通電電気量取得部213によって取得された目標通電電気量Qtに乗算されて、目標通電電気量Qtが補正される(ステップS39)。
これにより、熱履歴値Hrが大きいほど充電効率係数Kcが小さくなるから、熱履歴値Hrが大きくなるほど、目標通電電気量Qtが小さく、補充電時間tnが短くなるように補正される。ここで、もし仮に、補充電時間補正部216による目標通電電気量Qt(補充電時間tn)の補正が実行されなかったとすれば、処理部6によるステップS11〜S15、S21〜S25の処理により、熱履歴値Hrが大きい二次電池ほど多段定電流充電における通電電気量を減少させるように充電終止電圧Ve1〜Venが小さな値に設定されて、上述したように実際に二次電池1a,1bに充電される充電電気量の差(バラツキ)を低減しようとしているにもかかわらず、熱履歴値Hrが大きな二次電池は、通電電気量Qcが減少してステップS45において、補充電時間tnが長い時間に設定されて、最終の定電流充電Cnの充電時間が延びて通電電気量が増大し、処理部6による充電電気量のバラツキ低減効果が相殺されてしまうおそれがある。
しかしながら、電池充電システム100’によれば、補充電時間補正部216によって、熱履歴値Hrが大きくなるほど、目標通電電気量Qtが小さく、補充電時間tnが短くなるように補正されるので、処理部6による充電電気量のバラツキ低減効果が相殺されるおそれが低減される。
次に、ステップS41において、充電制御部211によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Ic2に設定されて、2段目の定電流充電C2が開始され(タイミングT2)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS41)。次に、充電制御部211によって、二次電池1a,1bの端子電圧Vが2段目の充電終止電圧Ve2以上であるか否かが判断され、端子電圧Vが充電終止電圧Ve2未満であれば2段目の定電流充電C2が継続され(ステップS42でNO)、充電終止電圧Ve2以上であれば2段目の定電流充電C2を終止する(ステップS42でYES)。
以降、充電電流値を順次減少させながら定電流充電を繰り返し、n−1回目(最後の一つ前)の定電流充電(n−1)が終了すると(ステップS44でYES)、補充電時間算出部215によって、通電電気量検出部214によって積算された通電電気量Qc、目標通電電気量Qt、及び充電電流値(設定電流値)Icnに基づき、上記式(1)を用いて補充電時間tnが算出される(ステップS45)。
次に、充電制御部211によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Icnに設定されて、n段目(最終)の定電流充電Cnが開始され(タイミングT3)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS46)。
そして、計時部212によって、定電流充電Cnの開始後の経過時間tが計時され、充電制御部211によって、経過時間tと補充電時間tnとが比較される(ステップS47)。そして、経過時間tが補充電時間tn以上になると(ステップS47でYES)、充電制御部211は、定電流回路23による電流出力をゼロにして、多段定電流充電を終了する(ステップS48)。
さらに、充電制御部211によって、処理部6へ、多段定電流充電が終了した旨、通知され(ステップS49)、処理を終了する。
以上、ステップS46〜S48の処理により、補充電時間算出部215は、多段定電流充電全体を通じての二次電池1a,1bへの通電電気量が、目標通電電気量取得部213によって取得され、さらに補充電時間補正部216によって温度の影響(成層化の影響)が補正された目標通電電気量Qtになるように、最後の定電流充電Cnで充電されるから、二次電池1a,1bを満充電する精度が向上する。
なお、処理部6は、ステップS12〜14、S22〜S24において、上記設定期間における温度ta,tbの最大値を熱履歴値Hrとして取得するようにしてもよい。これにより、熱履歴値Hrの取得処理を簡素化できる。
なお、処理部6は、二次電池1aおよび1bに近接させた温度測定部7aおよび7bからの温度情報に基づいて、処理部6が二次電池1aおよび1bが経た熱履歴を求め、かつこれら直列回路に接続された充電装置2aおよび2bからの通電電気量を変えるように指令するようにしてもよい。なお「直列回路が経た熱履歴に基づいて、各々の直列回路における通電電気量を変える」とは、少なくとも以下の2つの方法から選択できる。
第1の方法は、処理部6が、二次電池1aおよび1bのうち、温度が高かった時間が長いものほど通電電気量を小さくするようにする。具体的には、温度測定部7aおよび7bが測定した温度を、タイマー(図示せず)が測定した時間とともに処理部6が処理する。ここでいう処理とは、例えば温度(Ta・・・Tz)とその温度に置かれた時間(ta・・・tz)との積(Tata・・・Tztz)の総和(T=Tata+・・・+Tztz)を算出し、その総和に応じて充電装置2aおよび2bが出力すべき通電電気量を導き出す過程をいう。そして仮に二次電池1bの方が二次電池1aより温度が高かった時間が長ければ(この例に従えば、二次電池1bのTが二次電池1aのTより大きければ)、処理部6は充電装置2aに対し、双方の総和Tの差に相応して、充電装置2bより通電電気量が小さくなるように指令するようにしてもよい。
第2の方法は、処理部6が、二次電池1aおよび1bのうち、温度がより高かったものほど通電電気量を小さくするようにする。具体的には、温度測定部7aおよび7bが測定した温度のうち、それぞれにおける最高温度(Tmax)を処理部6が記憶する。そして仮に二次電池1bの最高温度Tmaxの方が二次電池1aの最高温度Tmaxより大きければ、処理部6は充電装置2aに対し、双方のTmaxの差に相応して、充電装置2bより通電電気量が小さくなるように指令する。
上記第1、第2いずれの方法の場合も、例えば二次電池1bに対して1aの方が低温環境下の履歴が長ければ(またはより低温であれば)、充電装置2bより2aの方がより大きな通電電気量を発することになる。このような構成を採ることで、低温下の履歴が長かったために成層化がより重篤となったのは二次電池1aであることを正確に導き出し、かつその後で、二次電池1aを二次電池1bよりも多い電気量で充電して酸素ガスをより多く発生させることで、成層化の解消を進ませることができる。一方、成層化が軽微な二次電池1bは二次電池1bよりも少ない電気量で充電されるために酸素ガス発生量が少なくなり、結果的に成層化の解消が進みにくくなる。これら双方の結果に伴って、直列回路間の成層化の解消度合が揃いやすくなり、「直列回路間の劣化度合バラツキ」という組電池における最大の劣化要因が解消されやすくなる。なお通電電気量は、充電装置2aおよび2bにおいて充電電流もしくは充電終止電圧を変えることで、変化させることができる。
図16はn段定電流充電における直列回路ごとの充電挙動を表す模式図であって、(a)は成層化の度合が重篤な直列回路の挙動を、(b)は成層化の度合が軽微な直列回路の挙動を示すものである。なお図3における縦軸は充電電流(I)を示し、横軸は充電所要時間(t)を示す。
図16に示すように、図6A、図6Bと同様、成層化の度合が重篤な二次電池(a)の方が、成層化の度合が軽度な二次電池(b)よりも充電所要時間が長くなる結果、バラついていた二次電池ごとの成層化の度合が揃うようになる。そして、このようにして各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
さらに、図16に示すように、各々の直列回路が経た熱履歴に基づいて、各々の直列回路における通電電気量(充電電流値)を変化させることで、成層化がより重篤な(低温環境下の履歴が長い)直列回路ほど、より活発に成層化解消反応(酸素ガス発生反応)を促すことができる。すなわち、直列回路間の成層化の解消度合をより揃えることが可能となる。
また、制御弁式鉛蓄電池の熱履歴に相応して通電電気量を決定するテーブルに基づいて、直列回路ごとに通電電気量を変化させるようにしてもよい。処理部6が数値化した熱履歴に基づいて充電装置2aおよび2bに出力すべき通電電気量を都度細かく指令する方法よりも、処理部6が熱履歴に相応して通電電気量を決定するテーブルを有しており、数値化した熱履歴とテーブルとを照合しながら直列回路ごとに通電電気量を変える方が、通電電気量を細かく指令する(すなわち充電装置2aおよび2bの出力条件を細かく変化させる)ことによる煩雑さ(複雑な微調整を伴う)から解放されるので好ましい。なお「制御弁式鉛蓄電池の熱履歴に相応して通電電気量を決定するテーブルに基づいて、直列回路ごとに通電電気量を変える」とは、少なくとも以下の2つの方法から選択できる。
第1の方法は、制御弁式鉛蓄電池の温度が高かった時間が長いものほど通電電気量を小さくするようにテーブルが設定されているものである。具体的には、温度測定部7aおよび7bが測定した温度を、タイマー(図示せず)が測定した時間とともに処理部6が処理する。ここでいう処理とは例えば、温度に関する因子(Ta・・・Tz)とその温度に置かれた時間(ta・・・tz)との積(Tata・・・Tztz)の総和(T=Tata+・・・+Tztz)を算出する過程をいう。そして処理部6は双方の総和Tの差を処理部6が記憶したテーブルと照合する。テーブルは総和Tの差が一定範囲であれば一定の充電電流に一本化されるように設定されている。そして処理部6はこのテーブルとの照合結果に基づいて、仮に二次電池1bの方が二次電池1aより温度が高かった時間が長ければ(この例に従えば、二次電池1bのTが二次電池1aのTより大きければ)、充電装置2aに対し、充電装置2bより通電電気量が小さくなるように指令する。
第2の方法は、制御弁式鉛蓄電池の温度がより高温であったものほど通電電気量を小さくするようにテーブルが設定されているものである。具体的には、温度測定部7aおよび7bが測定した温度のうち、それぞれにおける最高温度(Tmax)を処理部6が記憶する。そして処理部6は双方のTmaxの差を処理部6が記憶したテーブルと照合する。テーブルはTmaxの差が一定範囲であれば一定の充電電流に一本化されるように設定されている。そして処理部6はこのテーブルとの照合結果に基づいて、仮に二次電池1bの最高温度Tmaxの方が二次電池1aの最高温度Tmaxより大きければ、充電装置2aに対し、充電装置2bより通電電気量が小さくなるように指令する。
(第4実施形態)
従来、電池温度により適切な充電制御とするため、各電池の表面温度を測定して、その温度により充電制御を変更する検討もなされている。しかしながら、充電器の発熱部が組電池近くにあると、電池表面温度が発熱体の影響を受けてしまい、正しく電池内部の温度を測定できず、適切な温度制御ができない、という問題があった。その影響は、発熱体と電池の位置関係により異なる。
そこで、本発明の第4実施形態に係る組電池の充電方法、及び電池充電システムは、例えば複数個の制御弁式鉛蓄電池を直列に接続した直列回路(二次電池)を並列に接続して負荷に接続する組電池の充電方法を用いる。この充電方法は、各々の直列回路にそれぞれ充電装置を接続し、充電装置のそれぞれが各々の直列回路の充電電圧を検出して、電流値をn−1(但しnは2以上の整数)回変化させるn段定電流充電を行う。そして、各々の直列回路が曝される環境温度を加味して、各々の直列回路における充電電気量を変化させる。
このように、各々の直列回路が曝される環境温度の影響(例えば直列回路どうしの配列や、車載された他の機器からの発熱およびその機器の配置によって生じる輻射熱)に基づいて、各々の直列回路における充電電気量を変化させることで、成層化がより重篤な(環境温度の影響を受けないために低温に曝されやすい)直列回路ほど、充電電気量を大きくしてより活発に成層化解消反応(酸素ガス発生反応)を促すことができる。すなわち、直列回路間の成層化の解消度合をより揃えることが可能となる。
以下、第4実施形態に係る具体的な実施形態について、説明する。図17は、第4実施形態に係る電池充電システム100’’の一例を示すブロック図である。また、図18は、図17に示す充電装置2a’’,2b’’の構成の一例を示すブロック図である。
電池充電システム100’’は、二次電池1aおよび1bが曝される環境温度を加味して、これら直列回路に接続された充電装置2aおよび2bからの充電電流を処理部6の指令によって変える。なお「直列回路が曝される環境温度を加味して、各々の直列回路における充電電流を変える」とは、予め実験結果およびシミュレーションで明確になった環境温度の影響(例えば、直列回路どうしの配列や、車載された他の機器からの発熱およびその機器の配置によって生じる輻射熱の影響を受けた電池表面の温度と、電池内部の温度との温度差Td)を処理部9が記憶しており、その記憶に基づいて二次電池1aと1bとで充電電流もしくは充電終止電圧を変える方法である。例えば二次電池1bに対して1aの方が環境温度の影響を受けないために低温に曝されやすいのであれば、処理部9からの指令に基づいて、二次電池1aに接続した充電装置2aの方が、二次電池1bに接続した充電装置2bより高い充電終止電圧を設定するなどして、二次電池1aにより大きな充電電気量を与えることになる。
この方法によれば、環境温度の影響を受けないために低温に曝されやすく成層化がより重篤となる二次電池1aは、二次電池1bよりも酸素ガス発生量が多くなり、結果的に成層化の解消が進みやすくなる。一方、成層化が軽微な二次電池1bは二次電池1aよりも酸素ガス発生量が少なくなり、結果的に成層化の解消が進みにくくなる。これら双方の結果に伴って、直列回路間の成層化の解消度合が揃いやすくなり、「直列回路間の劣化度合バラツキ」という組電池における最大の劣化要因が解消されやすくなる。
具体的には、図17に示す電池充電システム100’’は、図8に示す電池充電システム100’とは、処理部9(通電電気量設定部)の動作が処理部6と異なる点、温度測定部7bを備えない点、及び充電装置2a’’,2b’’が、充電制御部211の代わりに充電制御部211’を備え、補充電時間補正部216の代わりに補充電時間補正部216’を備える点で異なる。
図18に示す充電装置2a’’,2b’’における制御部21’’が備える充電制御部211’は、処理部9によって設定された充電終止電圧Ve1〜Venに基づいて、多段定電流充電を実行する点で、図9に示す充電制御部211と異なる。
また、補充電時間補正部216’は、処理部9によって推定された二次電池1a,1bの内部温度に基づき、充電効率係数Kcを取得する点で、図9に示す補充電時間補正部216と異なる。また、記憶部217’に予め記憶される充電効率係数テーブルは、内部温度Tiと充電効率係数Kcとを対応付けるルックアップテーブル(LUT)である点で、記憶部217と異なる。
その他の構成は図8に示す電池充電システム100’と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
なお、計時部212、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、補充電時間補正部216’、及び記憶部217’が、充電装置2a’’,2b’’にそれぞれ設けられる例を示したが、これら各部が例えば処理部9に設けられて、補充電時間算出部215や補充電時間補正部216’によって得られた各二次電池に対応する補充電時間tnを、処理部9から充電装置2a’’,2b’’における制御部21’’へ送信する構成としてもよい。
処理部9は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成された制御回路である。処理部9には、例えばROMによって構成された記憶部91(温度情報記憶部)が設けられている。記憶部91には、二次電池1a,1bについて、二次電池1a,1bの内部温度と温度測定部7aによって測定される温度との差(関係)である温度差Tdを示す温度情報が、例えば予め実験的に求められて記憶されている。
温度差Tdは、例えば二次電池1a,1bの内部温度から温度測定部7aによって測定された実測温度が減算されて算出されており、内部温度が実測温度より高いとき、温度差Tdはプラスの値となり、内部温度が実測温度より低いとき、温度差Tdはマイナスの値を示すようになっている。
処理部9は、二次電池1a,1bの予め設定された基準温度T0における満充電電圧Vf、温度と満充電電圧との関係を表す温度係数k、温度測定部7aによって測定された実測温度Tr、記憶部91に記憶された温度差Tdに基づいて、下記の式(A)を用いて、充電終止電圧Veを算出し、設定する。
Ve=Vf−k×(Tr+Td−T0) ・・・(A)
温度係数kは、温度変化1℃あたりの充電終止電圧Ve1〜Venの変化量を示す係数であり、二次電池1a,1bが鉛蓄電池の場合は、例えばk=0.03である。また、式(A)における(Tr+Td)が、内部温度Tiとなる。
また、処理部9は、実測温度Trと温度差Tdとを加算することにより、二次電池1a,1bの内部温度Tiを推定し、その推定値を、それぞれ充電装置2a’’,2b’’へ送信する。
図19は、二次電池1a,1bに、二次電池1cを加えた三つの二次電池が、略密着して配設された状態を示す説明図である。図20は、記憶部91に記憶されている温度情報の一例について説明するための説明図である。図20に示す温度情報は、図19に示すように二次電池1a,1b,1cが配置された状態で、二次電池1a,1b,1c近傍の外気温Ta、二次電池1a,1b,1cの表面温度Ts、及び内部温度Tiを測定した測定結果の一例を示す説明図である。各温度は、二次電池1a,1b,1cの実使用状態で想定される標準的な充放電電流を流した状態で測定されている。
図20に示すように、外気温Taが25.6℃のとき、二次電池1a,1b,1cの充放電に伴う自己発熱によって、二次電池1a,1b,1cの表面温度Tsは、30.6℃、35.8℃、31.2℃となり、両側を他の二次電池で挟まれた二次電池1bの表面温度が最も高くなった。
このとき、二次電池1a,1b,1cに穴を空けて内部温度Tiを測定すると、その内部温度Tiは、31.6℃,33.9℃,32.3℃であった。そうすると、二次電池1a,1b,1cにおける、内部温度Tiと表面温度Tsとの温度差Tis(=内部温度Ti−表面温度Ts)は1.0℃,−1.9℃,1.1℃、表面温度Tsと外気温Taとの温度差Tsa(=表面温度Ts−外気温Ta)は5.0,10.2℃,5.6℃、二次電池1aの表面温度と各二次電池の表面温度との温度差Tss(=表面温度Ts−二次電池1aの表面温度Ts)は0.0℃、5.2℃,0.6℃となった。
ここで、温度測定部7aが二次電池1a,1b,1cの近傍の外気温Taを測定するように配設されているときは、図20に示す温度情報における温度差Tsa+温度差Tis+温度差Tssが、温度差Tdを示す。また、温度測定部7aが二次電池1aの表面温度Tsを測定するように配設されているときは、図20に示す温度情報における温度差Tis+温度差Tssが、温度差Tdを示す。
図21は、温度測定部7aが二次電池1aの表面温度Tsを測定するように配設されており、温度測定部7aにより測定された実測温度Trが30.6℃、基準温度T0が25℃、満充電電圧Vfが14.4Vであった場合に、処理部9によって、二次電池1a,1b,1cに対応して設定される充電終止電圧Veを示している。
図22は、二次電池1a,1b,1cが略密着して配設され、かつ二次電池1c側に、発熱体である電源が配設された状態を示す説明図である。図23は、記憶部91に記憶されている温度情報の一例について説明するための説明図である。図23に示す温度情報は、図22に示すように二次電池1a,1b,1c及び電源が配置され、二次電池1cが最も電源からの輻射熱の影響を受けやすい状態で、二次電池1a,1b,1c近傍の外気温Ta、電源の表面温度Tp、二次電池1a,1b,1cの表面温度Ts、及び内部温度Tiを測定した測定結果の一例を示す説明図である。各温度は、二次電池1a,1b,1cの実使用状態で想定される標準的な充放電電流を流した状態で測定されている。
図23に示すように、外気温Taが26.3℃、電源表面温度Tpが49.2℃のとき、二次電池1a,1b,1cの表面温度Tsは、30.6℃、31.3℃、34.0℃となり、電源からの輻射熱の影響を受けやすい二次電池1cの表面温度が最も高くなった。
このとき、二次電池1a,1b,1cに穴を空けて内部温度Tiを測定すると、その内部温度Tiは、31.6℃,32.3℃,31.5℃であった。そうすると、二次電池1a,1b,1cにおける、内部温度Tiと表面温度Tsとの温度差Tis(=内部温度Ti−表面温度Ts)は1.0℃,1.0℃,−2.5℃、表面温度Tsと外気温Taとの温度差Tsa(=表面温度Ts−外気温Ta)は3.1℃,4.2℃,5.8℃、二次電池1aの表面温度と各二次電池の表面温度との温度差Tss(=表面温度Ts−二次電池1aの表面温度Ts)は0.0℃、1.5℃,4.0℃となった。
ここで、温度測定部7aが二次電池1a,1b,1cの近傍の外気温Taを測定するように配設されているときは、図23に示す温度情報における温度差Tsa+温度差Tis+温度差Tssが、温度差Tdを示す。また、温度測定部7aが二次電池1aの表面温度Tsを測定するように配設されているときは、図23に示す温度情報における温度差Tis+温度差Tssが、温度差Tdを示す。
図24は、温度測定部7aが二次電池1aの表面温度Tsを測定するように配設されており、温度測定部7aにより測定された実測温度Trが30.6℃、基準温度T0が25℃、満充電電圧Vfが14.4Vであった場合に、処理部9によって、二次電池1a,1b,1cに対応して設定される充電終止電圧Veを示している。
次に、上述のように構成された電池充電システム100’’の動作について説明する。図25は、図17に示す処理部9の動作の一例を示すフローチャートである。まず、処理部9は、記憶部91を参照し、記憶部91に記憶されている温度情報から、二次電池1aに対応する温度差Tdを取得する(ステップS51)。
次に、処理部9は、温度測定部7aによって測定された実測温度Trと温度差Tdとを加算して、二次電池1aの内部温度Tiを推定する(ステップS52)。そして、処理部9は、二次電池1aに対応する温度差Tdと式(A)とを用いて、充電終止電圧Veを算出し(ステップS53)、充電装置2a’’へ、推定された二次電池1aの内部温度Tiと充電終止電圧Veとを送信する(ステップS54)。
以下、ステップS55〜S58において、処理部9は、ステップ51〜S54と同様の処理を二次電池1bについて実行することにより、二次電池1bについて推定された内部温度Tiと充電終止電圧Veとを充電装置2b’’へ送信する。
以上、ステップS51〜S58の処理により、例えば他の二次電池に挟まれて配設されたり、電源などの発熱源からの熱輻射の影響を受けやすかったりといった、曝される温度条件が異なる二次電池1a,1bについて実際の内部温度Tiを推定し、この内部温度Tiに応じて充電終止電圧Veが設定される。
そして、ステップS51〜S58の処理によれば、曝される温度条件によって、温度差Tdが大きく、すなわち内部温度Tiが高く成層化が生じ難い(成層化が軽度な)二次電池ほど、充電終止電圧Veが低い電圧に設定されて総通電電気量が減少される結果、後述する多段定電流充電における充電所要時間が短縮されて成層化の解消効果が減少される。
一方、曝される温度条件によって、温度差Tdが小さく、すなわち内部温度Tiが低く成層化が生じ易い(成層化が重篤な)二次電池ほど、充電終止電圧Veが高い電圧に設定されて総通電電気量が増大される結果、多段定電流充電における充電所要時間が延長されて成層化の解消効果が増大される。
そうすると、成層化が生じ難い(成層化が軽度な)二次電池ほど成層化の解消効果が減少され、成層化が生じ易い(成層化が重篤な)二次電池ほど成層化の解消効果が増大されるから、各二次電池間における成層化のバラツキが低減される。
そして、このようにして各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、最も成層化が進んだ制御弁式鉛蓄電池であってもその成層化の程度が軽減される結果、サルフェーションにより電池容量が減少するおそれが低減される。そうすると、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
図26、図27は、図18に示す充電装置2a’’,2b’’の動作の一例を示すフローチャートである。充電装置2a’’,2b’’は、図26、図27に示す処理を並行してそれぞれ実行する。以下、充電装置2a’’,2b’’の動作を一括して説明する。
また、図28は、図18に示す充電装置2a’’による充電に伴う二次電池1aの端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。図29は充電装置2b’’による充電に伴う二次電池1bの端子電圧Vと、充電電流Iの変化の一例を示す説明図である。図28、図29においては、二次電池1b(図29)の方が、二次電池1a(図28)よりも、低温に曝されやすい温度条件にされており、温度差Tdが小さく成層化が進んでいる例を示している。
まず、制御部21’’は、処理部9から充電終止電圧Ve1〜Venと内部温度Tiとを受信する(ステップS61)。
次に、通電電気量検出部214によって、電流検出部8a,8bによって検出された電流値が例えば単位時間毎に積算されて、通電電気量Qcの積算が開始され(ステップS62)、さらに計時部212によって、定電流充電C1の継続時間tc1の計時が開始される(ステップS63)。
そして、ステップS64において、充電制御部211’によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Ic1に設定されて、1段目の定電流充電C1が開始され(タイミングT11)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS64)。次に、充電制御部211’によって、二次電池1a,1bの電圧Vが1段目の充電終止電圧Ve1以上であるか否かが判断され、端子電圧VがVe1未満であれば1段目の定電流充電C1が継続され(ステップS65でNO)、Ve1以上であれば1段目の定電流充電C1を終止する(ステップS65でYES、タイミングT12)。
ここで、例えば二次電池1aの方が二次電池1bよりも高温に曝されやすい(内部が高温になりやすい)温度条件の環境に置かれていた場合、記憶部91に記憶されている温度情報で示される温度差Tdは、二次電池1aの方が二次電池1bよりも大きな値になる結果、処理部9によって充電装置2a’’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venは、充電装置2b’’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venより低い電圧にされている。
図28においては、充電装置2a’’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venが、電圧Vaであり、図29においては、充電装置2b’’へ送信(設定)された充電終止電圧Ve1〜Venが、電圧Vbである例を示しており、この場合、Va<Vbとなっている。これにより、高温に曝されやすい温度条件の環境に置かれて成層化の影響が少なく、充電効率が高くなっていると考えられる二次電池1aへ供給される通電電気量の方が、低温に曝されやすい温度条件の環境に置かれて成層化が進み、充電効率が低くなっていると考えられる二次電池1bへ供給される通電電気量より少なくされる結果、実際に二次電池1a,1bに充電される充電電気量の差(バラツキ)が小さくなるようにされている。
そして、定電流充電C1が終了すると(ステップS65でYES、タイミングT12)、計時部212によって計時された継続時間tc1が、目標通電電気量取得部213によって取得され(ステップS66)、目標通電電気量取得部213によって、記憶部217の通電電気量テーブルが参照されて、継続時間tc1と対応付けて記憶されている通電電気量が、目標通電電気量Qtとして取得される(ステップS67)。
次に、補充電時間補正部216’によって、記憶部217に記憶されている充電効率係数テーブルが参照されて、処理部9から受信された内部温度Tiと対応付けられている充電効率係数Kcが取得される(ステップS68)。そして、補充電時間補正部216’によって、充電効率係数Kcが、目標通電電気量取得部213によって取得された目標通電電気量Qtに乗算されて、目標通電電気量Qtが補正される(ステップS69)。
これにより、内部温度Tiが高くなるほど、目標通電電気量Qtが小さく、補充電時間tnが短くなるように補正される。ここで、もし仮に、補充電時間補正部216’による目標通電電気量Qt(補充電時間tn)の補正が実行されなかったとすれば、処理部9によるステップS51〜S58の処理により、内部温度Tiが高い二次電池ほど多段定電流充電における通電電気量を減少させるように充電終止電圧Ve1〜Venが小さな値に設定されて、上述したように実際に二次電池1a,1bに充電される充電電気量の差(バラツキ)を低減しようとしているにもかかわらず、内部温度Tiが高い二次電池は、通電電気量Qcが減少してステップS75において、補充電時間tnが長い時間に設定されて、最終の定電流充電Cnの充電時間が延びて通電電気量が増大し、処理部9による充電電気量のバラツキ低減効果が相殺されてしまうおそれがある。
しかしながら、電池充電システム100’’によれば、補充電時間補正部216’によって、内部温度Tiが高くなるほど、目標通電電気量Qtが小さく、補充電時間tnが短くなるように補正されるので、処理部9による充電電気量のバラツキ低減効果が相殺されるおそれが低減される。
次に、ステップS71において、充電制御部211’によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Ic2に設定されて、2段目の定電流充電C2が開始され(タイミングT12)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS71)。次に、充電制御部211’によって、二次電池1a,1bの端子電圧Vが2段目の充電終止電圧Ve2以上であるか否かが判断され、端子電圧Vが充電終止電圧Ve2未満であれば2段目の定電流充電C2が継続され(ステップS72でNO)、充電終止電圧Ve2以上であれば2段目の定電流充電C2を終止する(ステップS72でYES)。
以降、充電電流値を順次減少させながら定電流充電を繰り返し、n−1回目(最後の一つ前)の定電流充電(n−1)が終了すると(ステップS74でYES)、補充電時間算出部215によって、通電電気量検出部214によって積算された通電電気量Qc、目標通電電気量Qt、及び充電電流値(設定電流値)Icnに基づき、上記式(1)を用いて補充電時間tnが算出される(ステップS75)。
次に、充電制御部211’によって、定電流回路23から出力される充電電流Iが充電電流値Icnに設定されて、n段目(最終)の定電流充電Cnが開始され(タイミングT13)、二次電池1a,1bが充電される(ステップS76)。
そして、計時部212によって、定電流充電Cnの開始後の経過時間tが計時され、充電制御部211’によって、経過時間tと補充電時間tnとが比較される(ステップS77)。そして、経過時間tが補充電時間tn以上になると(ステップS77でYES)、充電制御部211’は、定電流回路23による電流出力をゼロにして、多段定電流充電を終了する(ステップS78)。
以上、ステップS76〜S78の処理により、補充電時間算出部215は、多段定電流充電全体を通じての二次電池1a,1bへの通電電気量が、目標通電電気量取得部213によって取得され、さらに補充電時間補正部216’によって温度の影響(成層化の影響)が補正された目標通電電気量Qtになるように、最後の定電流充電Cnで充電されるから、二次電池1a,1bを満充電する精度が向上する。
さらに、図16に示すように、各々の直列回路が曝される環境温度を加味して、各々の直列回路における通電電気量(充電電流値)を変化させる。仮に同じ充電所要時間であっても、通電電気量が適度に大きければ酸素ガスの発生による成層化の解消が進みやすくなるので、環境温度が低く成層化が重篤になるところに配置された直列回路ほど成層化の解消が進むため、直列回路間の成層化の解消度合を揃えることが可能となる。
ここまではn段定電流充電のみを用いた組電池の充電方法を示したが、n段定電流充電を主構成として、他の充電方法(例えばパルス充電やトリクル充電)を組み合わせても、本発明の効果が得られることは言うまでもない。
なお、電池充電システム100’,100’’は、制御部21’,21’’において、計時部212、目標通電電気量取得部213、通電電気量検出部214、補充電時間算出部215、補充電時間補正部216,216’、及び記憶部217,217’を備えず、ステップS32,S33,S36〜S39、S45、S49、S62、S63、S66〜S69、S75を実行せず、ステップS47,S77の代わりにステップS06と同様の処理を行う構成としてもよい。
また、制御部21’,21’’は、補充電時間補正部216,216’を備えず、ステップS38,S39,S68,S69を実行しない構成としてもよい。
すなわち、本発明の一局面に従う電池充電システムは、互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池と、前記各二次電池に対応して設けられ、対応する二次電池をそれぞれ充電する複数の充電部とを備え、前記各充電部は、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させる多段定電流充電を実行する。
また、本発明の一局面に従う組電池の充電方法は、互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池の充電方法であって、前記各二次電池に対応して設けられた複数の充電部によって、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させることにより、多段定電流充電を実行する充電工程を含む。
この構成によれば、制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池を多段定電流充電する際に、各二次電池は、端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電が、充電電流値を都度減少させつつ複数回繰り返される。そうすると、充電電流値が大きい初期の定電流充電においては、成層化が進んでいる(成層化が重篤な)二次電池の方が、成層化が進んでいない(成層化が軽度な)二次電池よりも端子電圧の上昇が早いため、短時間で定電流充電が終了する。
そして、大きな電流値で充電する初期の定電流充電が短時間で終了すると、多段定電流充電初期の定電流充電によって成層化が重篤な二次電池の充電される電気量は、成層化が軽度な二次電池より少なくなるため、成層化が重篤な二次電池では、その不足分が多段定電流充電末期の充電電流値が小さい定電流充電によって充電されることとなる。そうすると、成層化が重篤な二次電池は、成層化が軽度な二次電池よりも少ない電流値で充電される期間が長くなるから、多段定電流充電による充電時間全体が、成層化が軽度な二次電池よりも長くなる。従って、成層化が重篤なものは充電時間が長くなり、成層化が軽度なものは充電時間が短くなる。
ここで、成層化は、充電時間が長いほど解消されるので、並列接続された複数の二次電池相互間において、成層化の程度にバラツキがあったとしても、成層化が重篤なものの方が、成層化が軽度なものよりも充電時間が長くなって成層化がより多く解消される結果、成層化の程度のバラツキが低減される。そして、各二次電池間の、成層化のバラツキが低減されることによって、最も成層化が重篤な制御弁式鉛蓄電池におけるその成層化の程度が軽減される結果、成層化に起因して電池容量が減少するおそれが低減される。そうすると、組電池全体の電池容量が減少するおそれも低減される。
また、前記二次電池は、複数の制御弁式鉛蓄電池が直列接続されて構成されていることが好ましい。
制御弁式鉛蓄電池が複数直列接続されている場合には、その直列回路に含まれる制御弁式鉛蓄電池のうち最も電池容量が減少した制御弁式鉛蓄電池によって、直列回路全体の充放電可能な電気量が制限されてしまうので、成層化のバラツキにより生じる電池容量の減少が、さらに顕著となる。従って、上述のようにして成層化のバラツキが低減されることによる効果、すなわち電池容量の減少を低減する効果が、制御弁式鉛蓄電池一つで二次電池が構成されている場合よりも大きい。
また、前記正極及び負極における、活物質で覆われた部分の重力方向の長さが、100mm以上であることが好ましい。
正極及び負極における、活物質で覆われた部分の重力方向の長さが、100mm以上である場合、当該長さが100mmに満たない場合よりも、成層化が生じやすく、従って各二次電池間の成層化のバラツキも生じやすい。従って、上述のようにして成層化のバラツキが低減されることによる効果、すなわち電池容量の減少を低減する効果が、前記長さが100mm以上である制御弁式鉛蓄電池を用いた場合の方が、当該長さが100mmに満たない制御弁式鉛蓄電池を用いた場合よりも、より多く期待できる。
また、前記各二次電池の温度をそれぞれ測定する複数の温度測定部と、前記多段定電流充電の実行開始前における予め設定された設定期間において前記各温度測定部によって測定された各温度に基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定部とをさらに備えることが好ましい。
また、前記多段定電流充電の実行開始前における予め設定された設定期間において、前記各二次電池の温度をそれぞれ測定する温度測定工程と、前記温度測定工程によって測定された各温度に基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定工程とをさらに含むようにしてもよい。
制御弁式鉛蓄電池の成層化は、温度が低いほど生じやすい。従って、多段定電流充電を開始する前に、低温になっていた二次電池は成層化が重篤になり、高温になっていた二次電池は成層化が軽度になっていると考えられる。そして、成層化が重篤になるほど充電効率が低下するから、充電開始前に低温になっていた二次電池と高温になっていた二次電池とに、同一の通電電気量を供給して充電すると、実際に充電される充電電気量は、充電開始前に低温になっていた二次電池の方が少なくなる。
そこで、多段定電流充電の実行開始前における設定期間における各二次電池の温度に基づいて、複数回の定電流充電、すなわち多段定電流充電において対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定することで、各二次電池に実際に充電される充電電気量のバラツキを低減することが可能となる。
また、前記通電電気量設定部は、前記各温度測定部によって測定される各温度の、前記設定期間における積算値を前記各二次電池にそれぞれ対応して算出し、当該積算値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定することが好ましい。
制御弁式鉛蓄電池の成層化は、低温になっていた時間が長いほど生じやすい。そこで、各温度測定部によって測定される各二次電池の温度の、設定期間における積算値を各二次電池にそれぞれ対応して算出し、当該積算値が大きい二次電池ほど総通電電気量を減少させ、すなわち当該積算値が小さい二次電池ほど総通電電気量を増大させるように、当該各総通電電気量を設定する。これにより、低温になっていた時間が長く、成層化が進んで充電効率が低下していると考えられる二次電池ほど、総通電電気量が増大されるので、各二次電池に実際に充電される充電電気量のバラツキを低減することができる。
また、前記通電電気量設定部は、前記各温度測定部によって測定される各温度の、前記設定期間における最大値を前記各二次電池にそれぞれ対応して取得し、当該最大値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定するようにしてもよい。
この構成によれば、各二次電池の温度を設定期間中積算する場合と比べて処理を簡素化することができる。
また、前記二次電池の各温度を示す情報と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、前記通電電気量設定部は、前記第1記憶部によって、前記各温度測定部によって測定された各温度と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、前記各総通電電気量を設定することが好ましい。
また、前記積算値と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、前記通電電気量設定部は、前記第1記憶部によって、前記積算値と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、当該積算値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定するようにしてもよい。
また、前記最大値と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、前記通電電気量設定部は、前記第1記憶部によって、前記最大値と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、当該最大値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定するようにしてもよい。
これらの構成によれば、第1記憶部を参照することで、各温度に基づき各総通電電気量を設定することができるので、処理を簡素化することができる。
また、前記複数の二次電池に関する温度を測定する温度測定部と、前記各二次電池が曝される温度と前記温度測定部によって測定される温度との関係を示す温度情報を、予め記憶する温度情報記憶部と、前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報と前記温度測定部によって測定された温度とに基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定部とをさらに備えることが好ましい。
また、前記複数の二次電池に関する温度を測定する温度測定工程と、前記各二次電池が曝される温度と前記温度測定工程によって測定される温度との関係を示す温度情報を、予め記憶する温度情報記憶工程と、前記温度情報記憶工程において記憶された温度情報と前記温度測定工程において測定された温度とに基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定工程とをさらに含むようにしてもよい。
二次電池の成層化は、温度条件によって程度が異なる。そして、各二次電池が曝される温度条件には、発熱体と二次電池との位置関係等の影響によって、差異が生じる。そこで、これらの構成によれば、各二次電池の温度条件が、実際に各二次電池が曝される温度と温度測定部による温度測定工程で測定される温度との関係を示す温度情報として予め記憶されており、この温度情報と実際に測定された温度とに基づいて、各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量がそれぞれ設定される。ここで、総通電電気量が多いほど、充電所要時間が長くなって成層化の解消効果が増大するから、各二次電池が曝される温度条件の差異に起因して生じる成層化を低減することが容易となる。
また、前記温度情報は、前記温度測定部によって測定される実測温度と前記各二次電池の内部温度との温度差を、当該各二次電池について示す情報であり、前記通電電気量設定部は、前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報において、前記内部温度が前記実測温度より高い値を示す二次電池について、前記温度測定部によって測定された実測温度に前記温度情報で示される温度差を加算することによって、当該二次電池の内部温度を推定し、前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報において、前記内部温度が前記実測温度より低い値を示す二次電池について、前記温度測定部によって測定された実測温度から前記温度情報で示される温度差を減算することによって、当該二次電池の内部温度を推定し、当該推定された内部温度が高い二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、前記各総通電電気量を設定することが好ましい。
この構成によれば、内部温度が実測温度より高い値を示す二次電池については、温度測定部によって測定された実測温度に温度情報で示される温度差が加算されて、当該二次電池の内部温度が推定される。また、内部温度が実測温度より低い値を示す二次電池については、温度測定部によって測定された実測温度から温度情報で示される温度差が減算されて、当該二次電池の内部温度が推定される。そして、推定された内部温度が高い二次電池ほど、すなわち成層化の程度が軽いと考えられる二次電池ほど、総通電電気量が減少されて充電所要時間が短縮され、成層化の低減効果が減少される一方、推定された内部温度が低い二次電池ほど、すなわち成層化が進んでいると考えられる二次電池ほど、総通電電気量が増大されて充電所要時間が長くされ、成層化の低減効果が増大されるように、各総通電電気量が設定される。その結果、各二次電池間における成層化の程度のバラツキが低減される。
また、前記通電電気量設定部は、前記各充電部によって実行される多段定電流充電における前記複数回の定電流充電において、前記充電終止電圧を低下させることで前記総通電電気量を減少させ、前記充電終止電圧を上昇させることで前記総通電電気量を増大させることによって、前記総通電電気量を設定することが好ましい。
この構成によれば、通電電気量設定部は、各充電部によって実行される各定電流充電で用いられる充電終止電圧を低下させることで総通電電気量を減少させ、充電終止電圧を上昇させることで総通電電気量を増大させることで、総通電電気量を設定することができる。
また、前記通電電気量設定部は、前記各二次電池の予め設定された基準温度T0における満充電電圧をVf、温度と満充電電圧との関係を表す温度係数をk、前記温度測定部によって測定された実測温度をTr、前記温度情報によって示される温度差をTdとした場合、下記の式(A)を用いて、前記充電終止電圧Veを算出し、設定することが好ましい。
Ve=Vf−k×(Tr+Td−T0) ・・・(A)
この構成によれば、通電電気量設定部は、式(A)を用いて充電終止電圧Veを算出、設定することで、各二次電池が曝される温度条件が反映された温度差Tdが大きいほど総通電電気量を減少させて充電所要時間を短縮することができるので、各二次電池間における成層化の程度のバラツキを低減することが可能となる。
また、前記通電電気量設定部は、前記各充電部によって実行される多段定電流充電における前記複数回の定電流充電において、前記充電終止電圧を低下させることで前記総通電電気量を減少させ、前記充電終止電圧を上昇させることで前記総通電電気量を増大させることによって、前記総通電電気量を設定することが好ましい。
この構成によれば、充電終止電圧の設定を変更するだけで、総通電電気量を変化させることができるので、簡素な処理で総通電電気量を変化させることが可能となる。
また、前記設定期間は、前記各充電部によって、前回、前記多段定電流充電が実行された後、新たに前記多段定電流充電が開始されるまでの期間であることが好ましい。
上述の多段定電流充電が実行されると、上述したように各二次電池相互間での成層化の程度のバラツキが低減される。従って、もし仮に、前回の多段定電流充電の実行前の温度に基づいて総通電電気量を設定すると、既に解消されている成層化の影響まで考慮して総通電電気量が設定されることとなり、実際の各二次電池の成層化の状態が総通電電気量に正しく反映されない。しかしながら、前回、前記多段定電流充電が実行された後、新たに前記多段定電流充電が開始されるまでの期間を設定期間として用いると、前回の多段定電流充電によって解消したと考えられる成層化の影響が、総通電電気量から排除されるので、総通電電気量に成層化の程度を反映させる精度を向上させることができる。
また、前記各充電部は、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続することが好ましい。
また、前記充電工程における多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続する補充電工程をさらに含むようにしてもよい。
設定電流値、すなわち充電電流値は、多段定電流充電において定電流充電を繰り返す都度減少されるから、最後の定電流充電における充電電流は微少な値となり、充電に伴う端子電圧の変化が微小となる。そのため、充電終止電圧付近でノイズの影響を受け易く、充電終了条件の判定において、誤判定が生じやすい。そこで、最後に実行する定電流充電を、二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続した後に終了することで、微妙な判定が要求される充電終止電圧と端子電圧との比較を実行する必要が無くなり、充電終了条件を誤判定してしまうおそれが低減される。
また、前記各充電部は、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって当該各充電部に対応する二次電池に対応して算出された積値が増大するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、各補充電時間が、積値が増大するほど短く、すなわち積値が減少するほど長くなるように補正される。これにより、積値が小さく、すなわち成層化が進んで充電効率が低下していると考えられる場合ほど、最後の定電流充電の充電時間が長くなって、二次電池に充電される電気量が増大するので、各二次電池間における実際に充電される充電電気量のバラツキが低減される。
また、前記各充電部は、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって当該各充電部に対応する二次電池に対応して取得された最大値が増大するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備えるようにしてもよい。
この構成によれば、各補充電時間が、前記最大値が増大するほど短く、すなわち前記最大値が減少するほど長くなるように補正される。これにより、前記最大値が小さく、すなわち成層化が進んで充電効率が低下していると考えられる場合ほど、最後の定電流充電の充電時間が長くなって、二次電池に充電される電気量が増大するので、各二次電池間における実際に充電される充電電気量のバラツキが低減される。
また、前記各充電部は、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって推定された内部温度が上昇するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、各補充電時間が、各二次電池の内部温度の推定値が高いほど短く、当該内部温度の推定値が低いほど長くなるように補正される。これにより、内部温度が低く、すなわち成層化が進んで充電効率が低下していると考えられる場合ほど、最後の定電流充電の充電時間が長くなって、二次電池に充電される電気量が増大するので、各二次電池間における実際に充電される充電電気量のバラツキが低減される。
また、前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最初に実行される定電流充電の継続時間を、前記各二次電池についてそれぞれ計時する計時部と、前記各二次電池に対して前記最初に実行される定電流充電の継続時間と当該充電対象の二次電池を満充電にするために必要な通電電気量とを対応させて記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部によって、前記計時部によって計時された各二次電池についての前記最初に実行される定電流充電の継続時間と対応付けて記憶されている通電電気量を、前記多段定電流充電において前記各二次電池に供給するべき通電電気量の目標値である目標通電電気量として取得する目標通電電気量取得部と、前記多段定電流充電が開始されてから前記最後に実行される定電流充電が開始される前までに、前記各充電部によって各二次電池へ供給された通電電気量をそれぞれ検出する通電電気量検出部と、前記目標通電電気量取得部によって取得された目標通電電気量と前記通電電気量検出部によって検出された通電電気量との差を、前記最後に実行される定電流充電における設定電流値で除算することにより、前記補充電時間を算出する補充電時間算出部とをさらに備えることが好ましい。
二次電池に充電されている充電電気量と、最初に実行される定電流充電の継続時間との間には相関関係がある。そこで、最初に実行される定電流充電の継続時間と二次電池を満充電にするために必要な通電電気量とを対応させて第2記憶部に記憶させておく。そして、第2記憶部によって各二次電池についての最初に実行される定電流充電の継続時間と対応付けて記憶されている通電電気量が、目標通電電気量取得部によって、多段定電流充電において各二次電池に供給するべき通電電気量の目標値である目標通電電気量として得られる。さらに、目標通電電気量取得部によって取得された目標通電電気量と通電電気量検出部によって検出された通電電気量との差が、補充電時間算出部によって、最後に実行される定電流充電における設定電流値で除算されて、補充電時間が算出される。
そうすると、多段定電流充電全体で二次電池に供給される通電電気量が、目標通電電気量になるように、最後に実行される定電流充電の充電時間が設定される。そして、目標通電電気量は、二次電池を満充電にするために必要な通電電気量として得られたものであるから、二次電池を精度よく満充電にすることが可能となる。
本発明に係る電池の充電方法、及び電池充電システムは、運搬車両の動力源等の目的で制御弁式鉛蓄電池からなる組電池を構成して寒冷地で使用する場合などに適しており、産業の発展に与える影響は大きい。

Claims (24)

  1. 互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池と、
    前記各二次電池に対応して設けられ、対応する二次電池をそれぞれ充電する複数の充電部とを備え、
    前記各充電部は、
    それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させる多段定電流充電を実行する電池充電システム。
  2. 前記二次電池は、
    複数の制御弁式鉛蓄電池が直列接続されて構成されている
    請求項1記載の電池充電システム。
  3. 前記正極及び負極における、活物質で覆われた部分の重力方向の長さが、100mm以上である請求項1又は2記載の電池充電システム。
  4. 前記各二次電池の温度をそれぞれ測定する複数の温度測定部と、
    前記多段定電流充電の実行開始前における予め設定された設定期間において前記各温度測定部によって測定された各温度に基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電を実行することにより対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定部とをさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池充電システム。
  5. 前記通電電気量設定部は、
    前記各温度測定部によって測定される各温度の、前記設定期間における積算値を前記各二次電池にそれぞれ対応して算出し、当該積算値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定する請求項4記載の電池充電システム。
  6. 前記通電電気量設定部は、
    前記各温度測定部によって測定される各温度の、前記設定期間における最大値を前記各二次電池にそれぞれ対応して取得し、当該最大値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定する請求項4記載の電池充電システム。
  7. 前記二次電池の各温度を示す情報と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、
    前記通電電気量設定部は、
    前記第1記憶部によって、前記各温度測定部によって測定された各温度と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、前記各総通電電気量を設定する請求項4記載の電池充電システム。
  8. 前記積算値と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、
    前記通電電気量設定部は、
    前記第1記憶部によって、前記積算値と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、当該積算値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定する請求項5記載の電池充電システム。
  9. 前記積算値と、前記総通電電気量に関する情報とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、
    前記通電電気量設定部は、
    前記第1記憶部によって、前記最大値と対応付けて記憶されている総通電電気量に関する情報に応じて、当該最大値が大きい二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、当該各総通電電気量を設定する請求項6記載の電池充電システム。
  10. 前記複数の二次電池に関する温度を測定する温度測定部と、
    前記各二次電池が曝される温度と前記温度測定部によって測定される温度との関係を示す温度情報を、予め記憶する温度情報記憶部と、
    前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報と前記温度測定部によって測定された温度とに基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定部とをさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池充電システム。
  11. 前記温度情報は、
    前記温度測定部によって測定される実測温度と前記各二次電池の内部温度との温度差を、当該各二次電池について示す情報であり、
    前記通電電気量設定部は、
    前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報において、前記内部温度が前記実測温度より高い値を示す二次電池について、前記温度測定部によって測定された実測温度に前記温度情報で示される温度差を加算することによって、当該二次電池の内部温度を推定し、前記温度情報記憶部に記憶されている温度情報において、前記内部温度が前記実測温度より低い値を示す二次電池について、前記温度測定部によって測定された実測温度から前記温度情報で示される温度差を減算することによって、当該二次電池の内部温度を推定し、当該推定された内部温度が高い二次電池ほど前記総通電電気量を減少させるように、前記各総通電電気量を設定する請求項10記載の電池充電システム。
  12. 前記通電電気量設定部は、
    前記各充電部によって実行される多段定電流充電における前記複数回の定電流充電において、前記充電終止電圧を低下させることで前記総通電電気量を減少させ、前記充電終止電圧を上昇させることで前記総通電電気量を増大させることによって、前記総通電電気量を設定する請求項11記載の電池充電システム。
  13. 前記通電電気量設定部は、
    前記各二次電池の予め設定された基準温度T0における満充電電圧をVf、温度と満充電電圧との関係を表す温度係数をk、前記温度測定部によって測定された実測温度をTr、前記温度情報によって示される温度差をTdとした場合、下記の式(A)を用いて、前記充電終止電圧Veを算出し、設定するものである
    Ve=Vf−k×(Tr+Td−T0) ・・・(A)
    請求項12記載の電池充電システム。
  14. 前記通電電気量設定部は、
    前記各充電部によって実行される多段定電流充電における前記複数回の定電流充電において、前記充電終止電圧を低下させることで前記総通電電気量を減少させ、前記充電終止電圧を上昇させることで前記総通電電気量を増大させることによって、前記総通電電気量を設定する請求項5〜10のいずれか1項に記載の電池充電システム。
  15. 前記設定期間は、
    前記各充電部によって、前回、前記多段定電流充電が実行された後、新たに前記多段定電流充電が開始されるまでの期間である請求項4〜9のいずれか1項に記載の電池充電システム。
  16. 前記各充電部は、
    前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続する請求項1〜15のいずれか1項に記載の電池充電システム。
  17. 前記各充電部は、
    前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、
    前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって当該各充電部に対応する二次電池に対応して算出された積分値が増大するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備える請求項5又は8に記載の電池充電システム。
  18. 前記各充電部は、
    前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、
    前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって当該各充電部に対応する二次電池に対応して取得された最大値が増大するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備える請求項6又は9に記載の電池充電システム。
  19. 前記各充電部は、
    前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続し、
    前記各充電部において用いられる前記各補充電時間を、前記通電電気量設定部によって推定された内部温度が上昇するほど短くなるように補正する補充電時間補正部をさらに備える請求項11〜13のいずれか1項に記載の電池充電システム。
  20. 前記多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最初に実行される定電流充電の継続時間を、前記各二次電池についてそれぞれ計時する計時部と、
    前記各二次電池に対して前記最初に実行される定電流充電の継続時間と当該充電対象の二次電池を満充電にするために必要な通電電気量とを対応させて記憶する第2記憶部と、
    前記第2記憶部によって、前記計時部によって計時された各二次電池についての前記最初に実行される定電流充電の継続時間と対応付けて記憶されている通電電気量を、前記多段定電流充電において前記各二次電池に供給するべき通電電気量の目標値である目標通電電気量として取得する目標通電電気量取得部と、
    前記多段定電流充電が開始されてから前記最後に実行される定電流充電が開始される前までに、前記各充電部によって各二次電池へ供給された通電電気量をそれぞれ検出する通電電気量検出部と、
    前記目標通電電気量取得部によって取得された目標通電電気量と前記通電電気量検出部によって検出された通電電気量との差を、前記最後に実行される定電流充電における設定電流値で除算することにより、前記補充電時間を算出する補充電時間算出部とをさらに備える請求項16〜19のいずれか1項に記載の電池充電システム。
  21. 互いに対向配置された板状の正極と負極との間に、電解液を含浸するセパレータが配設された電池である制御弁式鉛蓄電池を用いた二次電池が複数並列接続された組電池の充電方法であって、
    前記各二次電池に対応して設けられた複数の充電部によって、それぞれ対応する二次電池へ当該各対応する二次電池の端子電圧が所定の充電終止電圧になるまで所定の設定電流値の電流を供給する定電流充電を予め設定された複数回数繰り返すと共に、当該定電流充電を繰り返す都度、前記設定電流値を減少させることにより、多段定電流充電を実行する充電工程を含む組電池の充電方法。
  22. 前記多段定電流充電の実行開始前における予め設定された設定期間において、前記各二次電池の温度をそれぞれ測定する温度測定工程と、
    前記温度測定工程によって測定された各温度に基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定工程とをさらに含む請求項21記載の組電池の充電方法。
  23. 前記複数の二次電池に関する温度を測定する温度測定工程と、
    前記各二次電池が曝される温度と前記温度測定工程によって測定される温度との関係を示す温度情報を、予め記憶する温度情報記憶工程と、
    前記温度情報記憶工程において記憶された温度情報と前記温度測定工程において測定された温度とに基づいて、前記各充電部が前記複数回の定電流充電によって対応する二次電池へ供給する電気量である総通電電気量をそれぞれ設定する通電電気量設定工程とをさらに含む請求項21記載の組電池の充電方法。
  24. 前記充電工程における多段定電流充電において繰り返される定電流充電のうち、最後に実行される定電流充電を、前記二次電池の端子電圧に関わらず、所定の補充電時間の間、継続する補充電工程をさらに含む請求項21〜23のいずれか1項に記載の組電池の充電方法。
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