JPWO2010073396A1 - 運用管制装置 - Google Patents

Abstract

本発明の運用管制装置３００は、人工衛星が備える機器の発熱量条件と人工衛星の軌道位置および姿勢に対応した温度環境条件とを保持するデータベース３３１と、人工衛星から送信されるテレメトリデータ１０１と、発熱量条件と温度環境条件とに基づいて熱解析条件を作成する熱解析条件作成部３３２と、熱解析条件に基づいて人工衛星内部の温度を算出する熱解析を行う解析部３３３と、熱解析によって得られた温度値に基づいて人工衛星内部の全体又は一部の３次元表示の温度分布データを作成する温度分布データ作成部３３５と、温度分布データを表示する表示部３４０と、を備える。

Description

本発明は、運用管制装置に関し、特に人工衛星内部の温度状態を把握するための運用管制装置に関するものである。

従来、宇宙空間に打ち上げられた人工衛星の温度状態を知るために、人工衛星から送信されたテレメトリデータを取得することが行われている（特許文献１参照）。

特開平２−８３４２３号公報

しかし、人工衛星から送信されるテレメトリデータからは、人工衛星の定点の温度しか得ることができない。衛星運用者は、温度分布を知りたい場合には、温度分布を解析するための作業を衛星設計者等に依頼していた。そのため、衛星運用者は、人工衛星の温度分布をすぐに把握することができないという問題があった。温度分布の把握が遅れることで、温度異常等の不具合の発見が遅れてしまうという問題も生じる。

本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、人工衛星内部の温度状態を３次元表示の温度分布データとして運用管制装置に表示させることで、衛星運用者が衛星内部の３次元表示の温度分布を容易かつ早期に把握できる運用管制装置を提供することを目的とする。

上記の課題を解決するために本発明の運用管制装置は、人工衛星から送信されるテレメトリデータに基づいて熱解析条件を作成する熱解析条件作成部と、熱解析条件に基づいて人工衛星内部の温度を算出する熱解析を行う解析部と、熱解析によって得られた温度値に基づいて人工衛星内部の全体又は一部の３次元表示の温度分布データを作成する温度分布データ作成部と、を有する熱解析部と、温度分布データを表示する表示部と、を備える。

本発明によれば、熱解析部が３次元表示の温度分布データを作成するので、衛星運用者の手を煩わせることなく容易に人工衛星内部の温度状態を衛星運用者に把握させることができるとともに、人工衛星内部の温度異常等の早期発見に寄与することもできる。

図１は、本発明の実施の形態に係る運用管制装置を有して構成される管制システムの概略構成を示す図である。 図２は、運用管制装置の概略構成を示す図である。 図３は、表示部に表示された３次元温度分布データを示す図である。

符号の説明

Ｓ 運用管制システム
１００ 人工衛星
１０１ テレメトリデータ
２００ 地上受信装置
２０１ データ受信部
３００ 運用管制装置
３１０ データ処理部
３１１ 衛星機器動作モードテレメトリデータ
３１２ 衛星軌道位置テレメトリデータ
３１３ 衛星姿勢テレメトリデータ
３１４ 衛星温度テレメトリデータ
３３０ 熱解析部
３３１ データベース
３３２ 熱解析条件作成部
３３３ 解析部
３３４ 熱解析条件最適化部
３３５ 温度分布データ作成部
３４０ 表示部

以下に、本発明にかかる運用管制装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。

実施の形態１．
図１に本発明の実施の形態１に係る運用管制装置を有して構成される管制システムの概略構成を示す。図２は、運用管制装置の概略構成を示す。管制システムＳは、人工衛星１００、地上受信装置２００、運用管制装置３００を有して構成される。

人工衛星１００は、テレメトリデータ１０１を地上受信装置２００に向けて送信する。人工衛星１００から送信されるテレメトリデータ１０１には、人工衛星１００が備える各種機器の動作状態やモード状態を示す衛星機器動作モードテレメトリデータ３１１、人工衛星１００の軌道位置を示す衛星軌道位置テレメトリデータ３１２、人工衛星１００の姿勢を示す衛星姿勢テレメトリデータ３１３、人工衛星１００が備える熱電対等の温度センサによって実測された温度を示す衛星温度テレメトリデータ３１４が含まれる。

ここで、テレメトリデータ１０１は、人工衛星１００が備える各種機器等から出力されたそのままの値であり、例えば、衛星温度テレメトリデータ３１４であれば、熱電対などで計測された電位差となる。また、衛星機器動作モードテレメトリデータ３１１であれば、機器のＯＮ／ＯＦＦを示すための「０」や「１」といった数値データがテレメトリデータ１０１となる。これらのデータは後述するデータ処理部３１０によって、衛星運用者が一見して認識できる値等に変換される。

地上受信装置２００は、人工衛星１００から送信されたテレメトリデータ１０１を受信するデータ受信部２０１を有する。データ受信部２０１に受信されたテレメトリデータ１０１は、運用管制装置３００に向けて送信される。

運用管制装置３００は、データ処理部３１０、熱解析部３３０、表示部３４０を有する。データ処理部３１０は、受信したテレメトリデータ１０１を、衛星運用者が一見して認識できる値、例えば、衛星温度テレメトリデータ３１４であれば、熱電対で計測された電位差を温度に変換する。また、衛星機器動作モードテレメトリデータ３１１であれば、「０」をＯＦＦの文字列に、「１」をＯＮの文字列に変換する。また、衛星姿勢テレメトリデータ３１３であれば、人工衛星１００の角度を示す値に変換して表示部３４０に表示させる。データ処理部３１０は、各テレメトリデータを変換して得られた温度や文字列を表示部３４０に表示させる。

また、データ処理部３１０は、テレメトリデータ１０１のうち衛星機器動作モードテレメトリデータ３１１と、衛星軌道位置テレメトリデータ３１２と、衛星姿勢テレメトリデータ３１３を後述する熱解析条件作成部３３２に受け渡し、温度テレメトリデータ３１４を後述する熱解析条件最適化部３３４へ受け渡す。

熱解析部３３０は、データベース３３１、熱解析条件作成部３３２、解析部３３３、熱解析条件最適化部３３４、温度分布データ作成部３３５を有する。

データベース３３１は、熱解析部３３０における温度解析や３次元温度分布データの作成のために必要な情報を保持する。データベース３３１は、人工衛星１００が備える各種機器のＯＮ／ＯＦＦ等に対応した発熱量条件を保持する。また、データベース３３１は、人工衛星１００の軌道位置や姿勢に対応した温度環境条件を保持する。また、データベース３３１は、人工衛星１００に設けられた温度センサの位置を示す温度センサ位置情報、人工衛星１００の３次元ＣＡＤモデルを保持している。

熱解析条件作成部３３２は、テレメトリデータ１０１に含まれる衛星機器動作モードテレメトリデータ３１１・衛星軌道位置テレメトリデータ３１２・衛星姿勢テレメトリデータ３１３から、データベース３３１に保持された発熱量条件や温度環境条件を参照して、人工衛星１００の熱解析条件を作成する機能を有する。

解析部３３３は、熱解析条件作成部３３２で作成された熱解析条件に基づいて温度解析を行い、人工衛星１００内部の温度値を算出する。解析部３３３は、温度解析によって得られた温度値を熱解析条件最適化部３３４に受け渡す。なお、解析部３３３には、熱解析モデルが予め入力されている。熱解析モデルとは、人工衛星の詳細な形状が省略された３次元モデルであって、固定の熱伝導要素、流体の対流要素、輻射を含み、熱の定常・非定常解析が３次元で可能なモデルである。なお、熱解析モデルのモデル化の手法は問わない。

熱解析条件最適化部３３４は、温度解析によって得られた温度値のうち温度センサが設けられた位置に対応する部分（定点）の温度値と、温度センサによる実測の温度値（温度テレメトリデータ３１４から得られる温度値）とを比較して、その差を算出する。熱解析条件最適化部３３４は、温度解析によって得られた温度値と実測の温度値との差が所定値以下とならない場合には、熱解析条件作成部３３２に熱解析条件を変更させる。熱解析条件最適化部３３４は、熱解析条件の変更とあわせて、データベース３３１に保持された発熱量条件や温度環境条件の変更も行う。

熱解析部３３０では、温度解析によって得られた温度値と実測の温度値との差が所定値以下となるまで、熱解析条件の変更、熱解析、温度解析で算出された温度値と実測の温度値との比較が繰り返される。これにより、温度解析によって得られた温度値のうち実測値が得られない部分の温度値の信頼性も高めることができる。

温度分布データ作成部３３５は、データベース３３１に保持された人工衛星１００の３次元ＣＡＤモデル上に温度解析によって得られた温度値を表示することで、３次元表示による人工衛星１００全体の内部の温度分布データ（以下、３次元温度分布データという。）をリアルタイムに作成する。また、温度分布データ作成部３３５は、３次元温度分布データを作成する際に３次元ＣＡＤモデルに温度センサ位置情報を埋め込む。また、温度分布データ作成部３３５は、人工衛星１００の全体の３次元温度分布データを作成することもできるし、人工衛星１００の一部の３次元温度分布データを作成することもできる。

表示部３４０は、３次元温度分布データ等を表示するためのものであり、例えば、液晶ディスプレイ等が用いられる。図３に表示部３４０に表示された３次元温度分布データを示す。

以上のように、本実施の形態に係る運用管制装置３００は、３次元温度分布データをリアルタイムに作成する温度分布データ作成部３３５を有するので、衛星運用者が人工衛星１００内部の温度分布をリアルタイムで確認することができる。

また、３次元温度分布データが、３次元ＣＡＤモデルに温度センサ位置情報を埋め込んで作成されるので、例えば、３次元温度分布データ上の温度センサが設置された位置をクリックすることで、温度センサ位置情報で関連付けられた実測値を呼び出して表示させることもできる。これにより、温度分布と実測値の両方が把握しやすくなる。なお、衛星温度テレメトリデータ３１４から得られた実測値を、３次元温度分布データ上に直接表示させてもよい。

また、解析部３３３による温度解析で算出された温度値と、実測の温度値との差が所定値となるまで熱解析条件の変更が繰り返されるので、熱解析モデルの妥当性を高めることができる。また、データベース３３１に保持された発熱量条件や温度環境条件も変更されるので、次機種開発への熱解析モデルの構築に対する迅速なフィードバックも可能となる。

なお、本実施の形態では温度分布データ作成部３３５が、３次元ＣＡＤモデル上に温度解析によって得られた温度値を表示して３次元温度分布データを作成しているが、熱解析モデル上に温度解析によって得られた温度値を表示して３次元温度分布データを作成してもよい。なお、３次元ＣＡＤモデルは、設計データであり、人工衛星１００の詳細な形状が表されている。

また、本実施の形態では３次元温度分布データをリアルタイムに作成しているが、過去のテレメトリデータに基づいて３次元温度分布データを作成できるようにしてもよい。これにより、過去の３次元温度分布データとの比較が可能となる。

また、温度分布データ作成部３３５が、人工衛星１００の部分的な３次元温度分布データを作成するものであってもよい。

なお、通常、衛星運用者は、テレメトリデータから得られた実測値等の数値情報のみをモニタリングしている場合が多い。そこで、３次元温度分布データを表示させる呼び出しボタン等を、数値情報が表示されている画面の一部に設けて、衛星運用者がすぐに３次元温度分布データを見ることができるように構成してもよい。また、温度センサの実測値が表示されたリストの一部がクリックされた際に、温度分布データ作成部３３５によって、３次元温度分布データのうち当該温度センサが設けられた部分の３次元温度分布データが作成されて拡大表示されたりするように構成してもよい。

以上のように、本発明にかかる運用管制装置は、人工衛星の運用システムに有用であり、特に、人工衛星内部の温度状態を把握することに適している。

Claims (5)

1. 人工衛星が備える機器の発熱量条件と前記人工衛星の軌道位置および姿勢に対応した温度環境条件とを保持するデータベースと、
   前記人工衛星から送信されるテレメトリデータと、前記発熱量条件と前記温度環境条件とに基づいて熱解析条件を作成する熱解析条件作成部と、
   前記熱解析条件に基づいて前記人工衛星内部の温度を算出する熱解析を行う解析部と、
   前記熱解析によって得られた温度値に基づいて前記人工衛星内部の全体又は一部の３次元表示の温度分布データを作成する温度分布データ作成部と、
   前記温度分布データを表示する表示部と、を備えることを特徴とする運用管制装置。
2. 前記熱解析部は、前記熱解析によって得られた温度値と前記テレメトリデータに含まれる前記人工衛星内部の実測の温度値との温度差を算出し、該温度差が所定値より大きい場合には前記熱解析条件作成部に前記熱解析条件を変更させる熱解析条件最適化部をさらに有することを特徴とする請求項１に記載の運用管制装置。
3. 前記温度分布データ作成部は、前記人工衛星の３次元ＣＡＤモデル上に前記熱解析によって得られた温度値を表示して前記温度分布データを作成することを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の運用管制装置。
4. 前記解析部は、前記人工衛星の３次元熱解析モデルを保持し、
   前記温度分布データ作成部は、前記３次元熱解析モデル上に前記熱解析によって得られた温度値を表示して前記温度分布データを作成することを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の運用管制装置。
5. 前記温度分布データ作成部は、前記温度分布データ上に前記実測の温度値を表示させることを特徴とする請求項３又は請求項４に記載の運用管制装置。

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