JP6624156B2 - 校正作業支援装置、校正作業支援方法、校正作業支援プログラム及び記録媒体 - Google Patents

校正作業支援装置、校正作業支援方法、校正作業支援プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、校正作業支援装置、校正作業支援方法、校正作業支援プログラム及び記録媒体に関する。
従来から、化学等の工業プラント、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等のプラントや工場等(以下、これらを総称する場合には「プラント」という)においては、フィールド機器と呼ばれる測定器又は操作器等の現場機器と、これらを制御する制御装置とが通信手段を介して接続された、分散制御システム(DCS:Distributed Control System)、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)システム等が構築されており、高度な自動操業が実現されている。
このような制御システムにおいては、プラントに設置されたフィールド機器を校正及び調整することによってフィールド機器の動作や精度が正常であることを示す健全性を維持することができる。フィールド機器の校正作業は、例えば、フィールド機器の運転状態を想定した模擬的な入力(模擬信号)を校正対象のフィールド機器に入力し、模擬信号の値(大きさ)に対応した出力値が動作状況で定められた許容範囲内にあるかどうか、又はどれだけ外れているかを確認することによって行われる。
模擬信号の値は、校正対象のフィールド機器によって予め定められている。模擬信号の値は、例えば、測定範囲の下限値と上限値を含む5点である。校正作業を実施する作業者は、模擬信号の値が所定の値になるように調整して、調整した入力値に対する出力値を記録していく。入力値の調整は、例えば、圧力を発生させる手動ポンプを操作することにより行われる。作業者は、圧力を測定するキャリブレータに表示される数値を目視で確認しながら、圧力が予め定められた入力値になるように手動ポンプの操作量を調整する(例えば、特許文献1を参照)。
特開2014−238361号公報
しかし、模擬信号を予め定められた値(所定の値)になるように調整するには熟練が必要な場合があり、作業者の熟練度によっては調整することが困難であること、また調整がうまくできず、所定の値以外で出力値を記録すると正確な校正を行えない。また、校正対象の機器の電子回路(圧力等の検知センサを含む)の構造や特性の違いによって、入力値の変化に対して、出力値が安定するまでの時間が異なる。従って、入力値を変化させた後に、出力値が安定するのに十分な時間が経過する前に出力値を測定すると校正精度が低下してしまう場合があった。
一方、入力値を変化させた後に出力値が安定するまでの時間を必要以上に取ると、校正作業に時間を要して作業効率が低下する場合があった。従って、校正精度や作業効率は、保全作業者のスキルに依存してばらつく場合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、校正精度と作業効率を向上させることができる、校正作業支援装置、校正作業支援方法、校正作業支援プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
(1)上記の課題を解決するため、本発明の校正作業支援装置は、機器の校正において前記機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定部と、前記機器に入力された前記模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得部と、取得された前記入力値が、設定された前記目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定部と、前記入力値が前記適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知部と、入力された前記模擬信号に応じて前記機器から出力される出力値を取得する出力値取得部と、取得された前記入力値又は前記出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定部と、前記条件を満たしていると判定された場合に、前記入力値と前記出力値とを記録する記録部とを備える。
(2)また、本発明の校正作業支援装置において、前記入力値の上限値又は下限値の少なくともいずれか一方において前記適正範囲を予め設定可能な適正範囲設定部をさらに備える。
(3)また、本発明の校正作業支援装置において、前記条件を予め設定可能にする、条件設定部をさらに備える。
(4)また、本発明の校正作業支援装置において、前記条件判定部は、取得された前記入力値が前記適正範囲内に所定時間あることを前記条件として判定する。
(5)また、本発明の校正作業支援装置において、前記条件判定部は、時系列で取得された前記入力値又は前記出力値の少なくともいずれか一方の変化量を算出し、算出した前記変化量が予め定められた量以内であることを前記条件として判定する。
(6)また、本発明の校正作業支援装置において、前記条件判定部は、前記条件が複数設定されている場合、前記条件の判定状況を前記ユーザに通知する条件判断通知部をさらに備える。
(7)また、本発明の校正作業支援装置において、記録された前記入力値と前記出力値とに基づき、校正の合否を判定する校正判定部をさらに備える。
(8)上記の課題を解決するため、本発明の校正作業支援方法は、機器の校正において前記機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定ステップと、前記機器に入力された前記模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得ステップと、取得された前記入力値が、設定された前記目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定ステップと、前記入力値が前記適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知ステップと、入力された前記模擬信号に応じて前記機器から出力される出力値を取得する出力値取得ステップと、取得された前記入力値又は前記出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定ステップと、前記条件を満たしていると判定された場合に、前記入力値と前記出力値とを記録する記録ステップとを含む。
(9)上記の課題を解決するため、本発明の校正作業支援プログラムは、機器の校正において前記機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定処理と、前記機器に入力された前記模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得処理と、取得された前記入力値が、設定された前記目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定処理と、前記入力値が前記適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知処理と、入力された前記模擬信号に応じて前記機器から出力される出力値を取得する出力値取得処理と、取得された前記入力値又は前記出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定処理と、前記条件を満たしていると判定された場合に、前記入力値と前記出力値とを記録する記録処理とをコンピュータに実行させる。
(10)上記の課題を解決するため、本発明の記録媒体は、機器の校正において前記機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定処理と、前記機器に入力された前記模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得処理と、取得された前記入力値が、設定された前記目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定処理と、前記入力値が前記適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知処理と、入力された前記模擬信号に応じて前記機器から出力される出力値を取得する出力値取得処理と、取得された前記入力値又は前記出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定処理と、前記条件を満たしていると判定された場合に、前記入力値と前記出力値とを記録する記録処理とをコンピュータに実行させる校正作業支援プログラムを記録している。
本発明によれば、校正精度と作業効率を向上させることができる、校正作業支援装置、校正作業支援方法、校正作業支援プログラム及び記録媒体を提供することができる。
実施形態における校正作業支援装置を含む校正作業支援システムの構成の一例を示すブロック図である。 実施形態における校正作業支援装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。 実施形態における校正作業支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 実施形態における校正作業支援装置の設定動作の一例を示すフローチャートである。 実施形態における校正作業支援装置の入力値と出力値の推移の一例を示す図である。 実施形態における校正作業支援装置の入力値又は出力値の安定性の一例を示す図である。 実施形態における校正作業支援装置の校正動作の一例を示すフローチャートである。 実施形態における校正作業支援装置の表示画面における表示の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における、校正作業支援装置、校正作業支援方法、校正作業支援プログラム及び記録媒体について詳細に説明する。
先ず、図1を用いて、校正作業支援システムの構成を説明する。図1は、実施形態における校正作業支援装置を含む校正作業支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1において、校正作業支援システム1は、校正作業支援装置10、圧力計20、圧力キャリブレータ30及び圧力発生器31を有する。校正作業支援装置10は、ケーブル41を介して圧力計20と接続されている。校正作業支援装置10は、ケーブル42を介して圧力キャリブレータ30と接続されている。圧力計20は、ケーブル43を介して圧力キャリブレータ30と接続されている。圧力発生器31と圧力計20は、エアチューブa1で接続されている。圧力発生器31と圧力キャリブレータ30は、エアチューブa2で接続されている。
校正作業支援装置10は、フィールド機器として例示する圧力計20の校正作業を支援する装置である。ここで、圧力計20は校正対象の機器である。先ずは圧力計20の校正作業について説明する。
校正作業とは、フィールド機器を保全する保全作業者によって実施される機器を校正する作業であり、校正作業を実施することによって、フィールド機器の健全性を確認することができる。機器の校正においては、機器に対して模擬信号を入力し、模擬信号に対する出力信号の値(出力値)の誤差が予め定められた許容範囲内にあるのか否かを確認する。模擬信号は予め定められた値において機器に入力される。校正における予め定められた模擬信号の値を校正ポイントという。校正作業においては、模擬信号が校正ポイントになるように調節して、模擬信号と、その模擬信号の値に応じた機器からの出力値を記録する。校正は1点又は複数点の校正ポイントにおいて行われる。校正ポイントのポイント数(校正ポイント数)及び模擬信号の値は、校正対象の機器によって予め定められている。校正においては、それぞれの校正ポイントの出力値の誤差が許容範囲内であるか否かを確認する。例えば、校正ポイントが5点の場合、5点の校正ポイントそれぞれにおいて出力値の誤差を確認する。なお、校正作業における校正ポイントの設定については、例えばJIS C1803−1995(工業プロセス計測制御機器の性能表示法通則)等に規定されている。圧力計20の校正作業において、模擬信号は圧力発生器31によって発生された圧力(空気圧)を用いる。
圧力発生器31は、保全作業者の操作によって所定の圧力を発生する。圧力発生器31は、例えば保全作業者がハンドルを手動操作することによってピストンが摺動されて圧力を発生するハンドポンプである。圧力発生器31において発生された圧力は、模擬信号として、エアチューブa1を介して圧力計20に入力されるとともにエアチューブa2を介して圧力キャリブレータ30に入力される。本実施形態においてエアチューブa1とエアチューブa2は、チューブ内の圧力差を無視できる長さ及び内径であるものとする。保全作業者は、手動ポンプのハンドルの操作回数、操作量等によって発生させる圧力を調整し、模擬信号として圧力計20に所定の圧力を入力する。
圧力計20は、圧力発生器31から入力された模擬信号(圧力)に応じた出力値を、ケーブル43を介して圧力キャリブレータ30に出力する。圧力計20は、入力された圧力(Souece)に応じた出力値(Measure)を圧力キャリブレータ30に出力する。圧力計20は、例えば、予め設定された入力(圧力)の範囲内において、4〜20mA等のアナログ電流値、又は1〜5Vのアナログ電圧値の出力値を出力する。
圧力キャリブレータ30は、圧力計20に対して電源を供給し、校正ポイントにおける出力値を圧力計20から取得し、模擬信号に基づく入力値とともに記録する。圧力計20の校正における模擬信号は圧力キャリブレータ30によって測定された模擬信号の圧力であり、模擬信号に基づく入力値とは、圧力キャリブレータ30によって測定された模擬信号の圧力を示す情報である。圧力キャリブレータ30は、例えば、入力値(KPA)と出力値(mA)を対応付けて記録することができる。
また、圧力キャリブレータ30は、模擬信号に基づく入力値(以下、「入力値」という場合がある。)と圧力計20から取得した出力値(以下、「出力値」という場合がある)とを対応付けて、ケーブル42を介して、校正作業支援装置10に対して出力する。模擬信号に基づく入力値と圧力計20から取得した出力値は、例えば同期して出力されることによって対応付けられる。圧力キャリブレータ30と校正作業支援装置10は、例えば所定の通信規格のシリアル通信によって双方向に通信可能に接続することができる。圧力キャリブレータ30は入力値と出力値を、校正作業支援装置10との通信で用いられるシリアル信号に変換して送信する。圧力キャリブレータ30は、例えば、所定のサンプリング間隔(周期)において入力値と出力値を校正作業支援装置10に対して送信する。圧力キャリブレータ30は、例えば、圧力キャリブレータ30内部に備えられたサンプリング間隔を計測するためのタイマに基づき、入力値と出力値を送信するようにしてもよい。また、圧力キャリブレータ30は、校正作業支援装置10から所定のサンプリング間隔で送信されるリクエスト信号に応じて入力値と出力値を送信するようにしてもよい。
また、圧力キャリブレータ30は、校正作業支援装置10から制御信号を受信してもよい。制御信号とは、圧力キャリブレータ30の動作を制御する信号である。圧力キャリブレータ30は、圧力キャリブレータ30が有するスイッチ等の操作と等価な制御信号を校正作業支援装置10から受信してもよい。例えば、圧力キャリブレータ30は、校正ポイントにおける入力値と出力値を記録するための「記録」スイッチを有している。圧力キャリブレータ30は、制御信号を介して校正作業支援装置10から記録スイッチを操作した時と等価な制御信号を受信して、入力値と出力値を記録してもよい。
なお、圧力キャリブレータ30は、例えば、校正ポイントのポイント数、及び校正ポイントの昇降パターンを予め設定できるようにしてもよい。
校正作業支援装置10は、圧力キャリブレータ30からケーブル42を介して、模擬信号に基づく入力値と圧力計20から取得された出力値(圧力計20から出力されたアナログ電流の電流値又はアナログ電圧の電圧値を示す情報であってもよい)とを対応付けて取得する。校正作業支援装置10は、取得した入力値と出力値に基づき圧力計20の校正作業を支援する。例えば、校正作業支援装置10は、取得した入力値に基づき、出力値と比較可能な校正の基準値を生成する。基準値は、所定の圧力が入力されたときの基準となる出力値である。基準値は、例えば予め定められた圧力と出力値の関係を示す関係式から算出される。圧力計20の校正は、基準値と圧力計20から取得された出力値との差分(誤差)が許容範囲内であるか否かで合否が判断される。校正作業支援装置10は、それぞれの校正ポイントにおける誤差を算出して、校正を実施する。
また、校正作業支援装置10は、ケーブル41を介して、例えば、ISA100、HART(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等のフィールド通信で圧力計20と通信するようにしてもよい。校正作業支援装置10は、フィールド通信のコマンドを用いて、圧力計20が有するパラメータを取得することができる。パラメータには、圧力計20の機器ID、タグ名、入力値の範囲、出力値の範囲等の機器情報を含めることができる。また、パラメータには、出力信号の現在値等を含めるようにしてもよい。また、校正作業支援装置10は、フィールド通信を介して圧力計20のパラメータ設定やゼロ点調整を行うことができるようにしてもよい。
また、校正作業支援装置10は、圧力キャリブレータ30に対して制御信号を送信するようにしてもよい。例えば、校正作業支援装置10は、圧力キャリブレータ30の操作部と等価な操作部をタッチパネルに生成して、タッチパネルの操作を制御信号として圧力キャリブレータ30に送信することができる。校正作業支援装置10は、上述した「記録」のスイッチの他、例えば、予め設定された入力順序における校正ポイントの記録を進捗させる操作を制御信号として出力するようにしてもよい。なお、校正作業支援装置10の機能の詳細は、図2を用いて後述する。
次に、図2を用いて、校正作業支援装置10のソフトウェア構成を説明する。図2は、実施形態における校正作業支援装置10のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2において、校正作業支援装置10は、校正目標設定部101、模擬信号取得部102、出力値取得部103、適正範囲設定部104a、適正範囲判定部104b、適正範囲通知部104c、条件設定部105a、条件判定部105b、記録部105c、データ保存部106、データ出力部107、操作部108、指示部109、機器調整部110、校正判定部111及び進捗データ生成部112の各機能を有する。校正作業支援装置10は、圧力計20と通信可能に接続されている。また、校正作業支援装置10は、圧力キャリブレータ30と通信可能に接続されている。
本実施形態における校正作業支援装置10の上記各機能は、校正作業支援装置10を制御する校正作業支援プログラム(ソフトウェア)によって実現される機能モジュールであるものとして説明する。
校正目標設定部101は、圧力計20の校正において圧力計20に入力される模擬信号の目標値(校正ポイント)と、校正における目標値の入力順序(校正ポイントの記録順序)とをユーザが設定可能にする。
校正目標設定部101は、例えば、校正ポイントのポイント数、及び校正ポイントの昇降パターンを予め設定できるようにする。校正ポイント数は、上述の通り校正対象の機器の校正に必要な予め定められた数である。また、校正ポイントの昇降パターンは、校正ポイントにおける出力信号の記録を0%から100%に順次上げて行うか(Up)、100%から0%に順次下げて行うか(Down)、あるいは、0%→100%→0%と往復して行うか(Up(上)/Down(下))の設定である。校正ポイントのポイント数と昇降パターンを決定することにより、校正ポイントにおける出力信号の記録順序は一意に決定される。例えば、校正ポイント数が1で昇降パターンがDownの場合、校正ポイントは、入力値の目標値が100%のポイントである。また、校正ポイントが5で昇降パターンがUp/Downである場合、校正ポイントは、目標値が0%→50%→100%→50%→0%の順序のポイントとなる。
なお、校正ポイントのポイント数は、目標値の種類を指定するようにしてもよい。例えば、目標値が0%、50%及び100%の3種類である場合、校正ポイントのポイント数を3として指定してもよい。校正ポイントと校正ポイントの記録順序を、以下、「校正ポイント情報」という場合がある。
また、校正目標設定部101において設定される校正ポイント情報は、圧力キャリブレータ30と共有できるようにしてもよい。例えば、校正目標設定部101は、圧力キャリブレータ30で設定された校正ポイント情報を圧力キャリブレータ30から読み出して設定するようにしてもよい。また、校正目標設定部101は、校正目標設定部101において設定された校正ポイントの情報を圧力キャリブレータ30に対して提供するようにしてもよい。校正ポイント情報を圧力キャリブレータ30と共有することによって、校正ポイント情報の設定工数を削減することが可能となる。
本実施形態において「ユーザ」とは、校正作業支援装置10のユーザであって、例えば、校正作業を実施する作業者である。また、「設定可能にする」とは、ユーザに対して設定用のUI(User Interface)を提供することである。例えば、校正目標設定部101は、校正ポイント情報を設定可能な表示画面を表示部に表示して、ユーザによる校正ポイント情報の入力又は選択等による設定を可能にする。なお、ユーザには、校正作業を補助する者、校正作業を監督する者又は校正結果に基づきフィールド機器を保全する者等を含んでもよい。
模擬信号取得部102は、圧力キャリブレータ30から模擬信号に基づく入力値を取得する。また、出力値取得部103は、圧力計20に入力された模擬信号に応じて圧力計20から出力される出力値を圧力キャリブレータ30から取得する。入力値と出力値は、圧力キャリブレータ30が取得してシリアル信号に変換し、校正作業支援装置10に対して送信する。すなわち、模擬信号取得部102は、シリアル信号に含まれる入力値を取得し、出力値取得部103は、シリアル信号に含まれる出力値を取得する。本実施形態において、入力値と出力値はシリアル信号において同時に(同期して)取得されるため、模擬信号取得部102と出力値取得部103は、例えば、一つの機能部にまとめるようにしてもよい。
模擬信号取得部102及び出力値取得部103は、例えば、所定のサンプリングで入力値及び出力値を取得する。サンプリング間隔は、校正対象の機器に応じて変更できるようにしてもよい。例えば、模擬信号として高圧の空気圧を使用する場合、保全作業者が圧力発生器31を手動操作して高圧を発生させるのに時間が掛る。その場合、サンプリング間隔は長めに変更することができる。また、サンプリング間隔は、入力値の変化量に応じて変更できるようにしてもよい。
模擬信号取得部102及び出力値取得部103は、取得した入力値と出力値をデータ出力部107を介してタッチパネルに表示する。サンプリング間隔で取得された入力値と出力値は、データ出力部107においてグラフを表示するための表示データにされてタッチパネルに表示される。
なお、入力値と出力値の取得方法は、上述した方法に限定されるものではない。例えば、模擬信号取得部102は、圧力キャリブレータ30を介さずに圧力発生器31から直接模擬信号を取得するようにしてもよい。また、出力値取得部103は、圧力キャリブレータ30を介さずに圧力計20から直接出力値を取得するようにしてもよい。
適正範囲設定部104aは、入力値の上限値又は下限値の少なくともいずれか一方において、模擬信号の目標値(校正ポイント)に対する適正範囲を予め設定可能にする。校正ポイントに対する適正範囲とは、校正において許容される模擬信号の入力値の誤差の大きさである。校正作業は、校正ポイントにおいて、入力値が適正範囲であるときに校正の合否を判定する。校正作業を実施する保全作業者は、圧力発生器31を手動操作して、模擬信号の圧力が適正範囲内になるように操作量を調整する。
適正範囲は、例えば、入力値の上限値から下限値までの範囲で設定することができる。例えば、模擬信号の目標値が28.330KPAであった場合、上限値を28.660KPA、下限値を28.000KPAとして設定することにより、適正範囲を28.000〜28.660KPAとして設定することができる。上限値と下限値は、例えば、目標値を中心とした誤差の大きさで設定してもよい。例えば、目標値28.330KPAに対して、誤差を±0.330KPAと設定した場合、同様に上限値28.660KPA、下限値28.000KPAと設定することができる。
なお、適正範囲設定部104aは、目標値と上限値の差と目標値と下限値の差は、異なる値を設定できるようにしてもよい。例えば、適正範囲設定部104aは、目標値28.330KPAに対して、上限値28.550KPA、下限値28.000KPAと設定できるようにしてもよい。また、適正範囲設定部104aは、目標値に対して上限値又は下限値のみを設定できるようにしてもよい。例えば、目標値が入力値0%である場合、目標値に対して上限値のみを設定できるようにしてもよい。また、目標値が入力値100%である場合、目標値に対して下限値のみを設定できるようにしてもよい。
適正範囲判定部104bは、模擬信号取得部102において取得された模擬信号の入力値が、適正範囲設定部104aにおいて設定された目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する。入力値は例えば所定のサンプリング間隔で取得される。適正範囲判定部104bは、サンプリング間隔で取得された入力値が適正範囲内になったか否かを判定する。適正範囲判定部104bは、ノイズによる影響をキャンセルするために、例えば、所定のサンプリング個数の入力値が連続して適正範囲内であるときに、入力値が適正範囲内になったと判定するようにしてもよい。
適正範囲通知部104cは、模擬信号取得部102において取得された入力値が適正範囲内であるか否かをユーザに通知する。入力値が適正範囲内であるか否かは、適正範囲判定部104bによって判定される。入力値が適正範囲内であるか否かの通知とは、入力値が適正範囲内であることのみの通知、入力値が適正範囲内でないことのみの通知、又は入力値が適正範囲内であること及び適正範囲内でないこと両方の通知のいずれか一の通知である。適正範囲通知部104cは、入力値が適正範囲内であると判定されたときに、模擬信号が適正範囲内である旨の情報を、文字等の表示によってユーザに通知する。ユーザは、適正範囲通知部104cによって通知される情報に基づき、圧力発生器31の操作を適切なタイミングで中断することができる。適正範囲通知部104cは、例えば、入力値の数値の表示色、フォント、背景等の表示態様を変更することによって模擬信号が適正範囲内である旨の情報を通知してもよい。
条件設定部105aは、模擬信号取得部102において取得された入力値又は出力値取得部103において取得された出力値を記録するための条件を予め設定可能にする。記録された入力値と出力値は、校正の合否を判定するためのデータとして使用される。すなわち、条件設定部105aにおいて設定される条件は、入力値又は出力値が校正の合否を判定するためのデータとして適しているか否かを判定するための条件である。条件設定部105aは、例えば、入力値と出力値の両方に対してそれぞれ条件を設定する。しかし、条件設定部105aは、入力値のみに対して条件を設定してもよい。また、条件設定部105aは、出力値のみに対して条件を設定してもよい。
条件設定部105aは、1つの校正ポイントについて1又は複数の条件を設定可能にする。条件設定部105aは、1つの校正ポイントに任意の数の条件を設定できるようにしてもよい。また、条件設定部105aは、複数の条件を設定する場合、設定された条件の判定順序を設定できるようにしてもよい。例えば、校正作業において保全作業者が入力値又は出力値について確認すべき作業手順が決められている場合、条件設定部105aは、作業手順に応じた順序で条件が判定されるように設定する。また、条件設定部105aは、入力値又は出力値について、判定のアルゴリズムを設定できるようにしてもよい。例えば、条件設定部105aは、条件Aの判定結果によって、条件B又は条件Cのいずれか一方の条件のみを判定するようにアルゴリズムを設定できるようにしてもよい。条件設定部105aは、例えば、熟練作業者が校正作業において実施する入力値又は出力値における確認事項を予め設定しておくことにより、作業者のスキルレベルにかかわらず、校正精度と作業効率を向上させることが可能となる。
条件設定部105aは、例えば、入力値が所定時間以上適正範囲内にあることを条件として設定することができる。条件設定部105aは、入力値が所定時間以上、適正範囲内よりもさらに狭い範囲内にあることを条件として設定してもよい。また、所定時間は、任意の時間を設定できるようにしてもよい。また、条件設定部105aは、入力値又は出力値が安定していることを条件として設定してもよい。入力値又は出力値が安定しているか否かを判定する具体的な条件は、図を用いて後述する。
条件判定部105bは、取得された入力値又は出力値の少なくともいずれか一方が条件設定部105aにおいて設定された条件を満たしているか否かをそれぞれの校正ポイントにおいて判定する。条件判定部105bは、例えば、複数の条件が設定されている場合、それぞれの条件毎に判定を行う。条件判定部105bは、入力値又は出力値が条件を満たしているか否かの判定以外に、例えば、条件を満たすまでの入力値又は出力値の状態を判定してもよい。例えば、入力値が10秒以上適正範囲内にあることを条件として設定された場合、条件判定部105bは、条件を満たすまでの残り秒数を判定するようにしてもよい。
記録部105cは、条件判定部105bにおいて条件を満たしていると判定された場合に、入力値と出力値とをそれぞれの校正ポイントにおいて記録する。記録部105cは、複数の条件が設定されている場合、条件判定部105bにおいて全ての条件が満たされたと判定された場合に入力値と出力値とを記録する。記録された入力値と出力値は、校正の合否を判定するためのデータとして使用される。
データ保存部106は、データを保存する。データ保存部106は、例えば、校正目標設定部101において設定された目標値、校正目標設定部101において設定された入力順序、模擬信号取得部102において取得された模擬信号に基づく入力値、出力値取得部103において取得された出力値、適正範囲設定部104aにおいて設定された適正範囲、適正範囲判定部104bにおいて判定された判定結果、適正範囲通知部104cにおいて通知された通知内容、条件設定部105aにおいて設定された条件(アルゴリズムを含んでいてもよい)、条件判定部105bにおいて判定された判定結果、記録部105cにおいて記録された記録内容、校正判定部111で判定された判定結果、進捗データ生成部112で生成された進捗データ等の情報(データ)を保存する。データ保存部106は、上記のようなデータを機器の情報と併せた校正履歴として保存するようにしてもよい。校正履歴には、例えば、校正作業の実施日時、保全作業者、校正の結果、実施した又は実施予定の対処、保全作業者のメモ、カメラで撮影された画像等の情報を含んでいてもよい。なお、機器の情報は、例えば、後述する機器調整部110において取得することができる。機器の情報は、保全作業者の手入力、機器に取り付けられた2次元コードの読取り情報等を含んでいてもよい。機器の情報を併せて保存することによって、保存した上記データの利用を容易にすることができる。例えば、保存されたデータを機器IDで検索し、検索された機器IDで特定される機器についてのデータを解析することができる。
データ出力部107は、データ保存部106に保存されたデータを校正作業支援装置10の外部に出力する。例えば、データ出力部107は、保存されたデータを、表示装置に表示するための表示データとして出力する。また、データ出力部107は、保存されたデータをプリンタに出力するための印字データ、通信回線を介して他のコンピュータに送信するための送信データ等として出力してもよい。例えば、データ出力部107は、データ保存部106に保存された校正履歴を予め定められたフォーマットの報告書として出力するようにしてもよい。
操作部108は、ユーザにUIを提供し、校正作業支援装置10に対する操作を可能にする。例えば、操作部108は、タッチパネルにスイッチを表示して、ユーザによるスイッチ押下を可能にする。操作部108は、例えば、校正の開始、表示画面の切替え、入力値と出力値の手動記録等のスイッチを操作可能にタッチパネルに表示する。操作部108は、ハードキーの操作等を検出するようにしてもよい。
指示部109は、圧力キャリブレータ30に対する制御信号を送信する。指示部109は、例えば、圧力キャリブレータ30が有するスイッチ等の操作と等価な制御信号を送信し、圧力キャリブレータ30の動作を制御してもよい。
機器調整部110は、フィールド機器として例示する圧力計20の調整及び設定を行う機能を有する。例えば、機器調整部110は、圧力計20に設定された機器情報(パラメータ)を読出し、圧力計20に設定された機器情報を変更し、又は圧力計20に機器情報を設定することができる。機器調整部110は、圧力計20の機器情報を記録する機能を有していてもよい。また、機器調整部110は、入力ループテストをサポートする機能、ゼロ点調整をする機能、報告書を作成する機能等を有していてもよい。校正作業支援装置10は、機器調整部110の機能を有することにより、フィールド機器の調整又は設定とフィールド機器機器の校正作業を行うことが可能となり、作業性を向上させることができる。例えば、機器調整部110は、圧力キャリブレータ30において実施された校正の結果に基づき、フィールド機器のゼロ点を調整するようにしてもよい。フィールド機器のゼロ点調整は、校正結果を用いることにより、調整の工数を削減することができる。校正作業支援装置10は、機器調整部110の機能を有することにより、校正作業の作業効率を向上させるとともに、調整作業の作業効率を向上させることができる。
校正判定部111は、校正の判定を行う。校正判定部111は、記録部105cにおいて記録された、校正ポイントにおける入力値と出力値に基づき、出力値の誤差が所定の範囲内であるか否かを判定する。例えば、校正判定部111は、取得した入力値に基づき、出力値と比較可能な校正の基準値を生成する。基準値は、所定の圧力が入力されたときの基準となる出力値である。校正判定部111は、生成した基準値と取得した出力値との差分(誤差)が許容範囲内であるか否かを判定する。校正判定部111は、算出した差分が許容範囲内であると判定した場合、その校正ポイントにおいて「PASS」の判定結果を生成する。一方、校正判定部111は、算出した差分が許容範囲内ではない判定した場合、その校正ポイントにおいて「FAIL」の判定結果を生成する。校正判定部111は、例えば全ての校正ポイントにおいて「PASS」の判定結果を生成した場合、校正が合格であるとの判定結果を生成するようにしてもよい。許容範囲となる誤差の大きさが予め設定されている場合、校正判定部111は、設定された許容範囲を取得して判定結果を生成するようにしてもよい。
なお、校正判定部111において生成された判定結果は、進捗データ生成部112おいて生成される進捗データに反映されるようにしてもよい。例えば、進捗データには、「PASS」又は「FAIL」の判定結果が含まれるようにしてもよい。また、校正判定部111において生成された判定結果は、データ保存部106において保存され、又はデータ出力部107において出力されるようにしてもよい。
進捗データ生成部112は、校正目標設定部101において設定された校正ポイントの入力順序における校正の進捗状況を示す進捗データを生成する。進捗データ生成部112は、進捗データを、模擬信号の入力予定と入力結果のリスト形式で生成する。例えば、校正ポイントが、0%→50%→100%→50%→0%の順序で設定された場合において、進捗データ生成部112は、模擬信号の入力予定をリスト形式で生成し、記録された入力結果を順次更新していく。すなわち、進捗データ生成部112は、校正がどの校正ポイントまで完了しているかを視認可能な表示データを生成する。例えば、進捗データ生成部112は、記録が完了した校正ポイントにおける出力値をそれぞれの校正ポイントに表示していくことにより、保全作業者は、出力値が表示されていない校正ポイントを視認して校正の進捗を認識することが可能となる。
なお、校正作業支援装置10において表示画面に表示される表示データは、データ出力部107から出力されるが、データ出力部107は、例えば、表示データに含まれる入力値と出力値の推移を示すグラフの表示データを生成するようにしてもよい。データ出力部107は、横軸を入力値及び出力値を取得した時間、縦軸を入力値及び出力値(%)とするグラフを生成する。例えば、保全作業者の操作によって模擬信号に基づく入力値が増加した場合、データ出力部107は、入力値と出力値の増加を示すグラフを生成する。グラフには保全作業者が模擬信号を増減させた量とそれに応じて変化する出力値が表される。例えば、保全作業者が模擬信号を急激に増減させた場合、グラフの傾きは大きくなり、一方、保全作業者が模擬信号をゆっくり増減させた場合、グラフの傾きは小さくなる。また、出力値は入力値の増減に遅延して追随する。出力値は、入力値が安定してから遅延して安定する。保全作業者は、生成されたグラフを目視することによって、入力値と出力値の差分、及び入力値の増減に対して出力値が安定する時間的な経過を視認することが可能となる。なお、校正目標設定部101において設定された目標値は、例えば、所定の入力値を示すグラフ上の水平線として生成される。校正目標設定部101において設定された目標値は、上述の通り、校正ポイントの記録順序に従い遷移する。例えば、校正ポイントの目標値が、0%→50%→100%→50%→0%の順序で設定されたとすると、グラフには、それぞれの校正ポイントにおける入力値と出力値の記録が完了したか否かを視認できる表示をしてもよい。
また、図2において、校正作業支援装置10は、圧力計20又は圧力キャリブレータ30のそれぞれ1台に対して校正作業支援装置10が1台接続される場合を例示したが、校正作業支援装置10に接続される圧力計20又は圧力キャリブレータ30の数は任意である。
また、校正作業支援装置10が有する、校正目標設定部101、模擬信号取得部102、出力値取得部103、適正範囲設定部104a、適正範囲判定部104b、適正範囲通知部104c、条件設定部105a、条件判定部105b、記録部105c、データ保存部106、データ出力部107、操作部108、指示部109、機器調整部110、校正判定部111及び進捗データ生成部112の各機能は、上述の通り、ソフトウェアによって実現されるものとして説明した。しかし、校正作業支援装置10が有する上記機能の中で少なくとも1つ以上の機能は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
また、校正作業支援装置10が有する上記何れかの機能は、1つの機能を複数の機能に分割して実施してもよい。また、校正作業支援装置10は、上記何れか2つ以上の機能を1つの機能に集約して実施してもよい。
また、校正作業支援装置10は、1つの筐体によって実現される装置であっても、ネットワーク等を介して接続された複数の装置から実現されるシステムであってもよい。例えば、校正作業支援装置10は、クラウドコンピューティングシステムによって提供されるクラウドサービス等、仮想的な装置であってもよい。また、校正作業支援装置10は、サーバ装置等の汎用のコンピュータであってもよく、機能が限定された専用の装置であってもよい。
また、校正作業支援装置10の上記各機能のうち、少なくとも1以上の機能を他の装置において実現するようにしてもよい。すなわち、校正作業支援装置10は上記全ての機能を有している必要はなく、一部の機能を有するものであってもよい。
次に、図3を用いて、校正作業支援装置10のハードウェア構成を説明する。図3は、実施形態における校正作業支援装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
校正作業支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、HDD(hard disk drive)14、タッチパネル15、通信I/F(Interface)16、及び通信I/F17を有する。
校正作業支援装置10は、サーバ装置、デスクトップ型PC、タブレット型PC等の汎用装置、若しくは校正作業支援専用の装置である。校正作業支援装置10は、図2で説明した校正作業支援プログラムを実行する。
CPU11は、RAM12、ROM13又はHDD14に記憶された校正作業支援プログラムを実行することにより、校正作業支援装置10の制御を行う。校正作業支援プログラムは、例えば、校正作業支援プログラムを記録した記録媒体、又はネットワークを介したプログラム配信サーバ等から取得されて、HDD14にインストールされ、RAM12にCPU11から読出し可能に記憶される。
タッチパネル15は、操作入力機能と表示機能とを有する操作表示機能を有する。タッチパネル15は、オペレータに対して指先又はタッチペン等を用いた操作入力を可能にする。本実施形態における校正作業支援装置10は操作表示機能を有するタッチパネル15を用いる場合を説明するが、校正作業支援装置10は、表示機能を有する表示装置と操作入力機能を有する操作入力装置とを別個有するものであってもよい。その場合、タッチパネル15の表示画面は表示装置の表示画面、タッチパネル15の操作は操作入力装置の操作として実施することができる。なお、タッチパネル15は、ヘッドマウント型、メガネ型、腕時計型のディスプレイ等の種々の形態によって実現されてもよい。なお、データ出力部107は、ヘッドマウント型、メガネ型、腕時計型のディスプレイ等に対して表示データを出力してもよい。
通信I/F16は、圧力キャリブレータ30との通信を制御する。通信I/F17は、圧力計20との通信を制御する。通信I/F17は、例えばフィールド機器との通信で使用されるフィールド通信を制御する。
次に、図4を用いて、校正作業支援装置10の設定動作を説明する。図4は、実施形態における校正作業支援装置の設定動作の一例を示すフローチャートである。設定動作とは、校正を行う前にユーザに対して提供される各所の設定を可能とする動作である。図4に示す動作は、例えば、ユーザが設定モードにモードを切り替える等の操作を行ったときに実行される。
図4において、校正作業支援装置10は、校正目標設定が選択されたか否かを判断する(ステップS11)。校正目標設定が選択されたか否かは、例えばユーザが校正目標設定の選択ボタンを押下したことを検出することにより判断することができる。校正目標設定が選択されたと判断した場合(ステップS11:YES)、校正作業支援装置10は、校正目標設定処理を実行する(ステップS12)。校正目標設定処理は、例えば、校正目標設定部101が、校正目標を設定するためのUIをユーザに提供することにより実行することができる。校正目標設定処理は、例えばユーザによって入力された校正目標の設定を保存することによって終了される。
一方、校正目標設定が選択されていないと判断した場合(ステップS11:NO)、校正作業支援装置10は、適正範囲設定が選択されたか否かを判断する(ステップS13)。適正範囲設定が選択されたか否かは、例えばユーザが適正範囲設定の選択ボタンを押下したことを検出することにより判断することができる。適正範囲設定が選択されたと判断した場合(ステップS13:YES)、校正作業支援装置10は、適正範囲設定処理を実行する(ステップS14)。適正範囲設定処理は、例えば、適正範囲設定部104aが、入力値の適正範囲を設定するためのUIをユーザに提供することにより実行することができる。適正範囲設定処理は、例えばユーザによって入力された適正範囲の設定を保存することによって終了される。
一方、適正範囲設定が選択されていないと判断した場合(ステップS13:NO)、校正作業支援装置10は、条件設定が選択されたか否かを判断する(ステップS15)。条件設定が選択されたか否かは、例えばユーザが条件設定の選択ボタンを押下したことを検出することにより判断することができる。条件設定が選択されたと判断した場合(ステップS15:YES)、校正作業支援装置10は、条件設定処理を実行する(ステップS16)。条件設定処理は、例えば、条件設定部105aが、入力値又は出力値の少なくともいずれか一方の条件を設定するためのUIをユーザに提供することにより実行することができる。条件設定処理は、例えばユーザによって入力された条件の設定を保存することによって終了される。
一方、条件設定が選択されていないと判断した場合(ステップS15:NO)、校正作業支援装置10は、ステップS11〜ステップS15の処理を繰り返し、いずれかの選択がされるのを待機する。また、ステップS12の処理、ステップS14の処理又はステップS16の処理が実行された後、校正作業支援装置10は、フローチャートに示す処理を終了する。校正作業支援装置10がフローチャートに示す処理を実行することによって、ユーザが各種設定を実施することが可能となる。なお、図4に示す動作は、ステップS12の処理、ステップS14の処理又はステップS16の処理が実行された後に図4に示す設定モードの処理を終了するため、例えば、校正目標、適正範囲又は条件のいずれか2以上の設定を行う場合、ユーザは、再度設定モードにモードを切り替える。なお、設定モードの連続設定をユーザの操作によって可能とすることで、校正目標、適正範囲又は条件のいずれか2以上の設定を連続して行うようにしてもよい。
次に、図5を用いて、図4のステップS14で設定される適正範囲とステップS16で設定される条件の一例について説明する。図5は、実施形態における校正作業支援装置10の入力値と出力値の推移の一例を示す図である。
図5において、横軸は時間を示し、縦軸は入力値と出力値を示す。校正ポイントは、入力値の目標値である。校正ポイントに対して、下限値と上限値で設定される適正範囲が予め設定される(ステップS14の処理)。校正作業を実施する保全作業者は、圧力発生器31を操作して、入力値(実線)を上昇させることにより、入力値は、時刻t1において下限値を超えて適正範囲に入る。入力値が適正範囲内に入ると、適正範囲判定部104bが判定し、適正範囲通知部104cが通知を行う。保全作業者は、適正範囲に入ったことを通知されることにより、圧力発生器31の操作量を調節して、入力値を適正範囲の中で安定させる。
一方、入力値が適正範囲に入ったことを条件判定部105bが判定して、時刻t1から入力値が適正範囲内にある時間をカウントする。時間T1は、入力値が適正範囲内にある時間の条件である。すなわち、時刻t2が、t1+T1になったときに設定されている条件が満たされて成立する。出力値(破線)は入力値の上昇に遅延して上昇する。時刻t1において、出力値はまだ安定しておらず、入力値とかい離している。一方、条件が成立した時刻t2においては出力値は安定している。条件判定部105bにおいて、時刻t2がt1+T1になったと判定されると、記録部105cは、時刻t2における入力値と出力値を記録する。校正判定部111は、時刻t2において記録された入力値に基づき基準値を算出し、基準値と出力値の誤差が所定の範囲内であるか否かに基づき、校正の合否を判定する。
なお、図5は条件設定部105aで設定される条件の一例を示したものであり、条件設定部105aで設定される条件を限定するものではない。条件設定部105aで設定される他の条件について、図6を用いて説明する。
次に、図6を用いて、ステップS16で設定される他の条件の一例を説明する。図6は、実施形態における校正作業支援装置10の入力値又は出力値の安定性の一例を示す図である。すなわち、図6は、入力値又は出力値の安定性を条件として設定する場合を説明するものである。横軸は時間の経過を示し、縦軸は入力値又は出力値を示す。以下の説明では、出力値の安定性を判定する場合について説明する。
[第1の方法]
図6において、出力値a(n)は入力値が安定した後に測定されたものである。出力値は入力値と同期して、サンプリング間隔T2において取得される。出力値は時間の経過によって、a(1)からT2毎に取得され、a(7)が出力値の最新値である。ここで出力値の変化量Dは式(1)で表される。
D=σ/(s−1) ・・・(1)
ここで、σは変化量の総和、sは評価数である。
変化量の総和σは式(2)で表される。
σ=|a(n)-a(n-1)|+|a(n-1)-a(n-2)|+・・・+|a(n-s)-a(n-s-1)| ・・・(2)
評価数sは、条件を判定するのに用いる評価対象の出力値の数であり、評価数s=4とすると、評価対象は、図6に図示する最新値a(7)から新しい4つの出力値である、a(4)〜a(7)となる。s=4において、変化量Dは式(3)で表される。
D={|a(7)-a(6)|+|a(6)-a(5)|+|a(5)-a(4)|}/3 ・・・(3)
すなわち、条件設定部105aにおいて評価数s=4として設定された場合、条件判定部105bは、式(3)の変化量Dの大きさが条件設定部105aで設定された値より小さくなったときに条件成立と判定する。条件設定部105aで設定された値は、入力値と出力値で異なる値であってもよい。なお、安定性の条件成立は第1の方法において式(1)を用いた方法に限定されるものではなく、また、評価数も4に限定されるものではない。例えば、変化量を前後する出力値の差の二乗平均によって算出するようにしてもよい。条件設定部105aは、複数の算出式の中から1の算出式を選択して変化量を算出するようにしてもよい。また、出力値の安定性と入力値の安定性を別の式で算出するようにしてもよい。
[第2の方法]
最新の出力値を出力値a(i)(iは整数)とした場合、a(i)より前に取得した出力値の評価数sの全ての平均値θを算出し、次の式(4)で算出される差分値E(i)の大きさが、全ての出力値a(i)においてそれぞれ所定の値以内であるときに安定性の条件成立を判定するようにする。
E(i)=|a(i)―θ| ・・・(4)
例えば、評価数s=10である場合、出力値a(1)〜a(10)において平均値θを求める。ここで差分値E(i)は全ての出力値a(i)に対して求める。具体的には、差分値E(i)=|a(i)―θ|(i=1〜10)が全て所定の値以内であるときに安定性の条件が成立したと判定する。
第2の方法を用いることにより、例えば、次のような出力値の変化について第1の方法とは異なる判定結果を得ることができる。評価数s=10において、次のケース1とケース2の場合の安定性を判定する。
ケース1:a(1)=1、a(2)=2、a(3)=1、a(4)=2、a(5)=1、a(6)=2、a(7)=1、a(8)=2、a(9)=1、a(10)=2
ケース2:a(1)=1、a(2)=1、a(3)=1、a(4)=1、a(5)=1、a(6)=1、a(7)=1、a(8)=1、a(9)=1、a(10)=10
第1の方法においては、式(1)において、
ケース1:D=9/(10−1)=1
ケース2:D=9/(10−1)=1
となり、ケース1及びケース2ともに変化量D=1と算出されて、ケース1の判定結果とケース2の判定結果は同じ結果となって、例えばD≦1であることを安定性の成立条件とした場合、いずれも安定であると判定される。
一方、第2の方法においては、式(4)において、10個全ての出力値に対して差分値E(i)を算出する。ここで、出力値a(1)〜a(9)に対する差分値E(i)は、安定性の条件を差分値E<1とした場合、所定の値以内であるが、出力値a(10)に対する差分値E(10)は以下のように算出される。
ケース1:E(10)=|2−15/10|=0.5
ケース2:E(10)=|10−19/10|=8.1
すなわち、差分値E(10)において、上記のケース1は所定の値以内で安定性の条件が成立したと判定され、一方、上記ケース2は所定の値以内ではないので安定性の条件が成立していないと判定される。
上記ケース2の出力値a(10)=10は、出力値a(1)〜a(9)に対して大きく変化しており、安定しているとは言えない。そこで、第1の方法では安定していると判定されても、第2の方法を用いることで安定していないと判定できるので、このようなケース2の場合においては、より適切な安定性の判定が可能となる。
なお、安定性の条件の判定には、第1の方法と第2の方法のいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。また、安定性の条件の判定には、第1の方法による条件と第2の方法による条件の両方の成立を判定の条件としてもよい。また、第1の方法と第2の方法においては、出力値のみを安定性の算出に用いる場合を示したが、例えば、時間的な要素を安定性の算出に用いるようにしてもよい。
次に、図7を用いて、校正作業支援装置10の校正動作を説明する。図7は、実施形態における校正作業支援装置の校正動作の一例を示すフローチャートである。
図7において、校正作業支援装置10は、入力値及び出力値を取得したか否かを判断する(ステップS21)。入力値及び出力値は、例えば所定のサンプリング間隔T2で取得される。入力値が取得されたか否かは、例えば、模擬信号取得部102が入力値を取得したか否かで判断することができる。また、出力値が取得されたか否かは、例えば、出力値取得部103が出力値を取得したか否かで判断することができる。但し、上述の通り、入力値と出力値は、圧力キャリブレータ30から同期して取得されるため、例えば、入力値のみ又は出力値のみを取得したか否かを判断するようにしてもよい。入力値及び出力値を取得していないと判断した場合(ステップS21:NO)、校正作業支援装置10は、ステップS21の処理を繰返して、入力値及び出力値の取得を待機する。
一方、入力値及び出力値を取得したと判断した場合(ステップS21:YES)、校正作業支援装置10は、取得した入力値と出力値を表示する(ステップS22)。入力値と出力値の表示は、例えば、データ出力部107がタッチパネル15に、入力値及び出力値の数値を表示することにより実行することができる。また、入力値と出力値の表示は、データ出力部107が入力値と出力値の推移を示すグラフを生成して表示するようにしてもよい。また、取得された入力値と出力値は、例えば、データ保存部106に一時的に保存するようにしてもよい。
ステップS22の処理を実行した後、校正作業支援装置10は、ステップS23からステップS29の処理において、入力値と出力値を記録するための条件を判断する。
先ず、校正作業支援装置10は、入力値が適正範囲内であるか否かを判断する(ステップS23)。入力値が適正範囲内であるか否かは、例えば、適正範囲判定部104bが、適正範囲設定部104aで設定された校正ポイントにおける適正範囲に入力値があるか否かによって判断することができる。入力値が適正範囲内ではないと判断した場合(ステップS23:NO)、校正作業支援装置10は、ステップS21の処理に戻って、次に取得される入力値が適正範囲内になるのを待機する。
一方、入力値が適正範囲内であると判断した場合(ステップS23:YES)、校正作業支援装置10は、入力値が適正範囲内であることを通知して、入力値が適正範囲になってからの経過時間を表示する(ステップS24)。入力値が適正範囲内であることの通知と経過時間の表示は、例えば、適正範囲通知部104cが、データ出力部107を介してタッチパネル15に入力値が適正範囲内である旨の表示をするとともに、経過時間を表示することによって実行することができる。入力値が適正範囲内であることを通知することにより、校正作業を実施する保全作業者は、模擬信号を発生させる手動操作を調整して安定させることが可能になり、作業効率が向上する。また、経過時間を表示することにより、保全作業者は、入力値を保持する時間を把握することが可能となる。
ステップS24の処理を実行した後、校正作業支援装置10は、入力値が適正範囲になってから所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS25)。入力値が適正範囲になってから所定の時間が経過したか否かは、例えば、条件判定部105bが、条件設定部105aで設定された時間の結果を判定することにより実行することができる。入力値が適正範囲になってから所定の時間が経過していないと判断した場合(ステップS25:NO)、校正作業支援装置10は、ステップS21の処理に戻って、入力値が適正範囲になってから所定の時間が経過するのを待機する。
一方、入力値が適正範囲になってから所定の時間が経過したと判断した場合(ステップS25:YES)、校正作業支援装置10は、所定の時間が経過して条件を満たした旨を表示する(ステップS26)。条件を満たした旨の表示は、例えば、条件判定部105bによる判定結果をデータ出力部107がタッチパネル15に表示することにより実行することができる。
ステップS26の処理を実行した後、校正作業支援装置10は、入力値が安定したか否かを判断する(ステップS27)。入力値が安定したか否かは、例えば、条件判定部105bが、式(1)において変化量Dを算出して安定性を判定することにより実行することができる。入力値が安定していないと判断した場合(ステップS27:NO)、校正作業支援装置10は、ステップS21の処理に戻って、入力値が安定するのを待機する。なお、ステップS27の処理における安定性の判断は、ステップS25において入力値が所定時間適正範囲にあるときに実行されるため、例えば、校正ポイントと離れた入力値における安定性は判断対象とならない。
一方、入力値が安定したと判断した場合(ステップS27:YES)、校正作業支援装置10は、入力値が安定した旨を表示する(ステップS28)。入力値が安定した旨の表示は、例えば、条件判定部105bによる判定結果をデータ出力部107がタッチパネル15に表示することにより実行することができる。
ステップS28の処理を実行した後、校正作業支援装置10は、出力値が安定したか否かを判断する(ステップS29)。出力値が安定したか否かは、例えば、条件判定部105bが、式(1)において変化量Dを算出して安定性を判定することにより実行することができる。出力値が安定していないと判断した場合(ステップS29:NO)、校正作業支援装置10は、ステップS21の処理に戻って、出力値が安定するのを待機する。
一方、出力値が安定したと判断した場合(ステップS29:YES)、校正作業支援装置10は、出力値が安定した旨を表示する(ステップS30)。出力値が安定した旨の表示は、例えば、条件判定部105bによる判定結果をデータ出力部107がタッチパネル15に表示することにより実行することができる。
ステップS30の処理を実行した後、校正作業支援装置10は、取得した最新の入力値と出力値を記録する(ステップS31)。取得した入力値と出力値の記録は、例えば、記録部105cがデータ保存部106に最新の入力値と出力値を保存することによって実行することができる。
ステップS31の処理を実行した後、校正作業支援装置10は、ステップS31において記録された入力値と出力値に基づき、校正の合否を判定する(ステップS32)。校正の合否の判定は、例えば、校正判定部111が、入力値に基づく基準値を算出して、基準値と出力値の誤差を判定することにより実行することができる。
ステップS32の処理を実行した後、校正作業支援装置10は、進捗データを更新する(ステップS33)。進捗データの更新は、例えば進捗データ生成部112が、校正目標設定部101において設定された校正ポイントの入力順序における校正の進捗状況を示す進捗データを更新することにより実行することができる。進捗データ生成部112は、進捗データを生成することにより、どこまでの校正ポイントにおける記録が完了したかを視認可能な表示データを生成する。保全作業者は、進捗データを視認することによって、次の校正ポイントに対する移行を促され、圧力発生器31をミスなく操作することが可能となる。
ステップS33の処理を実行した後、校正作業支援装置10は、全ての校正ポイントが終了したか否かを判断する(ステップS34)。例えば、校正目標設定部101において校正ポイントのポイント数を5に設定した場合、5つの校正ポイントにおける圧力計20の出力値の記録が終了している場合、校正ポイントが終了したと判断される。校正ポイントが終了していないと判断した場合(ステップS34:NO)、校正作業支援装置10は、ステップS21の処理に戻り、ステップS21からステップS34までの処理を繰返し、全ての校正ポイントにおける校正終了を待機する。一方、全ての校正ポイントにおける校正が終了したと判断した場合(ステップS34:YES)、校正作業支援装置10は、フローチャートに示した動作を終了する。
なお、図7においては、全ての校正ポイントにおける校正終了を待機する場合を示したが、例えば、途中の校正ポイントまでの校正を実行した後校正作業を中断し、後に中断した校正作業を再開するようにしてもよい。例えば、校正作業支援装置10は、中断するまでの進捗データをデータ保存部106に保存しておき、保存された進捗データに基づき校正作業を再開するようにしてもよい。
また、図7においては、校正までの動作を説明したが、校正結果に基づき機器調整部110において圧力計20を調整する処理を実行するようにしてもよい。
次に、図8を用いて、校正作業支援装置10の表示画面の表示を説明する。図8は、実施形態における校正作業支援装置の表示画面における表示の一例を示す図である。
図8において、表示領域1000は、例えばデータ出力部107から出力されてタッチパネル15の表示画面に表示される表示データに含まれる表示領域を示す。表示領域1000は、表示領域1001〜表示領域1007を含む。
表示領域1001は、校正ポイントのポイント数と昇降パターンを表示する。校正ポイントのポイント数と昇降パターンは、校正目標設定部101において設定することができる。表示領域1001は、ポイント数が3、昇降パターンが上下(Up/Down)であることを示している。
表示領域1002は、模擬信号の入力値を表示する。模擬信号の入力値は、圧力キャリブレータ30から取得される入力値を模擬信号取得部102が取得することにより表示される。図は、入力値が28.700KPAであることを示している。
表示領域1003は、次の校正ポイントにおける模擬信号の目標値と適正範囲を表示する。模擬信号の目標値は、校正目標設定部101において設定することができる。また、適正範囲は、適正範囲設定部104aにおいて設定することができる。図は、目標値が28.330KPAであり、適正範囲が28.000〜28.660KPAであることを示している。校正作業を実施する保全作業者は、表示領域1003の表示と表示領域1002の表示を参照しながら圧力発生器31を手動操作する。
表示領域1004は、出力値を表示する。出力値は、模擬信号の入力値に対応して圧力キャリブレータ30から取得される数値であり、4〜20mAの電流出力における出力値を示す。図は、入力値28.700KPAに対して、出力値が13.040mAであることを示している。
表示領域1005は、入力値が適正範囲内であるか否かを表示する。入力値が適正範囲内であるか否かの表示は、適正範囲通知部104cによって実行される。図は、「圧力値が適正範囲内に入りました」の文字を表示することによって入力値が適正範囲内である旨を通知する例を示している。入力値が適正範囲内である旨は、例えば、所定の記号や図形、文字の点滅、文字のフォントや色の変更等によって通知するようにしてもよい。入力値が適正範囲内である旨を通知することにより、保全作業者は、圧力発生器31の操作を中断して入力値を安定させることが可能となり、作業性を向上させることができる。
また、表示領域1005は、条件の判定状況を通知する。条件は、条件設定部105aにおいて設定されて、条件判定部105bにおいて判定状況が更新される。図は、「条件1」と「条件2」の2つの条件が設定され、条件1においては、入力値を適正範囲に保持する残り時間(5秒)を表示している。条件判定部105bは、残り時間が0秒になったときに、条件1が満たされたことを通知するようにしてもよい。また、表示領域1005は、条件2において、入力値と出力値のそれぞれの安定性についての判定結果を表示している。入力値と出力値の安定性は、例えば上述した式(1)を用いて判定することができる。図は、入力値が安定である旨を表示し、出力値が不安定である旨を表示していることを示している。条件の判定状況を通知することによって、保全作業者は校正ポイントにおける入力値と出力値の状況に基づき校正作業が正しく進行していることを認識することができるので、作業ミス等の発生を防止して、作業効率を向上させることが可能となる。
表示領域1006は、時間の経過による入力値と出力値の推移を示すグラフを表示する。KP1、KP2、KP3は、校正ポイントを示す。例えば、KP1は目標値0%の校正ポイント、KP2は目標値50%の校正ポイント、またKP3は目標値100%の校正ポイントを示している。入力値の推移は実線のグラフで示し、出力値の推移は破線のグラフで示す。出力値は入力値の増減に対して遅延して追随していることを視認することができる。
RP1、RP2及びRP3の黒丸の表示は、それぞれの校正ポイントにおいて入力値と出力値が記録されたことを示している。図は、RP1は目標値0%において入力値と出力値の記録が完了したことを示す。同様に、RP2は目標値50%における記録の完了、RP3は目標値100%における記録の完了を示している。また、Down方向における目標値50%における記録は完了していないことを示している。保全作業者は、表示領域1006に表示されるグラフによって入力値と出力値の推移を視認することができるため、圧力発生器31の操作を適切な操作量で操作することが可能となる。
また、図8においては、現在実施している校正作業における入力値と出力値のグラフを表示する場合を示したが、例えば、過去に記録された入力値及び出力値のグラフを併せて表示するようにしてもよい。例えば、過去に記録された熟練作業者が実施した入力値と出力値の推移を例示した例示グラフ(お手本グラフ)を併せて表示することにより、新人の保全作業者であっても表示された例示グラフをトレースするように圧力発生器31を操作して、熟練作業者の操作を学習することが可能となる。
表示領域1007は、校正作業の進捗状況を表示する。表示領域1007は、校正ポイントにおける昇降パターン、目標値、圧力(KPA)、電流(mA)、誤差、指示値、及び評価の表示項目を有する。昇降パターンは、模擬信号の増減方向を示し、「上り」又は「下り」を表示する。目標値は、模擬信号の目標値を示し、「0%」、「50%」及び「100%」を表示する。圧力(KPA)は、校正ポイントにおいて記録された入力値を示す。電流(mA)は、校正ポイントにおいて記録された出力値を示す。誤差は、入力値に対する基準値と出力値との誤差(%表示)を示す。図では、それぞれの校正ポイントにおける誤差が0.00%だったことを表示している。評価は、誤差の大きさが所定の範囲内であるか否かで判定される校正の合否の結果を示す。校正が合格した校正ポイントにおいては「PASS」の文字が表示がされる。また、校正が不合格であった校正ポイントにおいては「FAIL」の文字が表示される。図は、「上り」「50%」の校正ポイントと、「上り」「100%」の校正ポイントにおいては、校正の合否が完了していることを示している。また、「下り」「50%」の校正ポイントにおいては、校正が判定されていないことを示している。保全作業者は、表示領域1007の表示によって校正作業の進捗状況を視認することが可能となり、例えば校正ポイントにおける入力値と出力値に記録忘れ等の作業ミスを低減し、作業効率を向上させることができる。なお、表示領域1007は、校正ポイントのポイント数が多いときには、スクロール表示をすることができる。
以上説明したように、本実施形態における校正作業支援装置は、機器の校正において機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定部と、機器に入力された模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得部と、取得された入力値が、設定された目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定部と、入力値が適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知部と、入力された模擬信号に応じて機器から出力される出力値を取得する出力値取得部と、取得された入力値又は出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定部と、条件を満たしていると判定された場合に、入力値と出力値とを記録する記録部とを備える。この校正によって、校正精度と作業効率を向上させることができる。
なお、上述した校正作業支援装置は、上述した機能を有する装置であればよく、例えば、複数の装置の組合せで構成されてそれぞれの装置を通信可能に接続したシステムで実現されるものであってもよい。また、校正作業支援装置は、ネットワークで接続された他の装置の機能の一部として実現されるものであってもよい。
また、本実施形態は、機器の校正として圧力計(圧力伝送器)を校正する場合を例示したが、本実施形態を実施し得る機器は圧力計に限定されるものではない。例えば、本実施形態は、流量計、レベル計、温度伝送器、分析計等の機器の校正においても実施することができる。この場合、模擬信号として、流量、レベル、温度等を表す模擬信号を用いることができる。また、本実施形態は、圧力計又は流量計等の制御装置にデータを入力する入力機器の校正に限らず、バルブポジショナ、電空ポジショナ又は電空変換器等の制御装置から出力されるデータに基づいて動作する出力機器の校正においても実施することができる。例えば、本実施形態をバルブポジショナにおいて実施する場合、バルブポジショナに対して出力する操作信号を模擬信号として取得し、バルブ開度を目標値として設定し、操作信号のグラフを生成してもよい。
また、本実施形態において「取得」するという場合、他の装置から取得する場合であっても、同じ装置の中の他の機能部から取得する場合であってもよい。また、本実施形態において「出力」するという場合、他の装置に対して出力する場合であっても、同じ装置の中の他の機能部に対して出力する場合であってもよい。例えば、模擬信号取得部は、他の装置から模擬信号に基づく入力値を取得してもよく、一方、模擬信号を発生させる装置に対して発生する模擬信号の数値を、模擬信号に基づく入力値として、校正作業支援装置内の他の機能部から取得するようにしてもよい。同様に、データ出力部は、校正作業支援装置が有する表示装置に表示データを出力してもよく、一方、ヘッドマウント型ディスプレイ等の他の装置に表示データを出力するようにしてもよい。
また、本実施形態における校正作業支援方法は、機器の校正において機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定ステップと、機器に入力された模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得ステップと、取得された入力値が、設定された目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定ステップと、入力値が適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知ステップと、入力された模擬信号に応じて機器から出力される出力値を取得する出力値取得ステップと、取得された入力値又は出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定ステップと、条件を満たしていると判定された場合に、入力値と出力値とを記録する記録ステップとを含む。この校正によって、校正精度と作業効率を向上させることができる。
なお、本実施形態で説明した、校正作業支援方法における各ステップ、若しくは校正作業支援プログラム及び記録媒体における各処理は、実行順序を限定するものではない。例えば、機器に入力された模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得ステップと、入力された模擬信号に応じて機器から出力される出力値を取得する出力値取得ステップにおいて、入力値と出力値の取得順序はこれを限定するものではない。なお、実施形態においては同時に実行される場合を例示している。
また、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
10 校正作業支援装置
101 校正目標設定部
102 模擬信号取得部
103 出力値取得部
104a 適正範囲設定部
104b 適正範囲判定部
104c 適正範囲通知部
105a 条件設定部
105b 条件判定部
105c 記録部
106 データ保存部
107 データ出力部
108 操作部
109 指示部
110 機器調整部
111 校正判定部
112 進捗データ生成部
20 圧力計
30 圧力キャリブレータ
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 HDD
15 タッチパネル
16 通信I/F
17 通信I/F

Claims (10)

  1. 機器の校正において前記機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定部と、
    前記機器に入力された前記模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得部と、
    取得された前記入力値が、設定された前記目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定部と、
    前記入力値が前記適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知部と、
    入力された前記模擬信号に応じて前記機器から出力される出力値を取得する出力値取得部と、
    取得された前記入力値又は前記出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定部と、
    前記条件を満たしていると判定された場合に、前記入力値と前記出力値とを記録する記録部と
    を備える、校正作業支援装置。
  2. 前記入力値の上限値又は下限値の少なくともいずれか一方において前記適正範囲を予め設定可能な適正範囲設定部をさらに備える、請求項1に記載の校正作業支援装置。
  3. 前記条件を予め設定可能にする、条件設定部をさらに備える、請求項1又は2に記載の校正作業支援装置。
  4. 前記条件判定部は、取得された前記入力値が前記適正範囲内に所定時間あることを前記条件として判定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の校正作業支援装置。
  5. 前記条件判定部は、時系列で取得された前記入力値又は前記出力値の少なくともいずれか一方の変化量を算出し、算出した前記変化量が予め定められた量以内であることを前記条件として判定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の校正作業支援装置。
  6. 前記条件判定部は、前記条件が複数設定されている場合、前記条件の判定状況を前記ユーザに通知する条件判断通知部をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の校正作業支援装置。
  7. 記録された前記入力値と前記出力値とに基づき、校正の合否を判定する校正判定部をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の校正作業支援装置。
  8. 機器の校正において前記機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定ステップと、
    前記機器に入力された前記模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得ステップと、
    取得された前記入力値が、設定された前記目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定ステップと、
    前記入力値が前記適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知ステップと、
    入力された前記模擬信号に応じて前記機器から出力される出力値を取得する出力値取得ステップと、
    取得された前記入力値又は前記出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定ステップと、
    前記条件を満たしていると判定された場合に、前記入力値と前記出力値とを記録する記録ステップと
    を含む、校正作業支援方法。
  9. 機器の校正において前記機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定処理と、
    前記機器に入力された前記模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得処理と、
    取得された前記入力値が、設定された前記目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定処理と、
    前記入力値が前記適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知処理と、
    入力された前記模擬信号に応じて前記機器から出力される出力値を取得する出力値取得処理と、
    取得された前記入力値又は前記出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定処理と、
    前記条件を満たしていると判定された場合に、前記入力値と前記出力値とを記録する記録処理と
    をコンピュータに実行させる、校正作業支援プログラム。
  10. 機器の校正において前記機器に入力される模擬信号の目標値を設定可能にする校正目標設定処理と、
    前記機器に入力された前記模擬信号に基づく入力値を取得する模擬信号取得処理と、
    取得された前記入力値が、設定された前記目標値に対する適正範囲内であるか否かを判定する適正範囲判定処理と、
    前記入力値が前記適正範囲内であるか否かをユーザに通知する適正範囲通知処理と、
    入力された前記模擬信号に応じて前記機器から出力される出力値を取得する出力値取得処理と、
    取得された前記入力値又は前記出力値の少なくとも何れか一方が予め定められた条件を満たしているか否かを判定する条件判定処理と、
    前記条件を満たしていると判定された場合に、前記入力値と前記出力値とを記録する記録処理と
    をコンピュータに実行させる校正作業支援プログラムを記録した記録媒体。
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