JPWO2010058550A1 - 抗ヒトggt抗体による肝疾患治療剤又は予防剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は,肝線維症又は肝硬変を予防又は治療する抗GGT抗体を含有する剤を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明は,抗GGT抗体によって,肝線維症及び肝硬変モデル動物の肝線維症を改善することができるという知見に基づくものである。また,本発明は,抗GGT抗体によって,肝機能マーカー(ALT及びAST)が回復するという知見に基づくものである。また,本発明は,抗GGT抗体によって,TNF−αの発現を抑制することができるという知見に基づくものである。【選択図】図8

Description

本発明は、抗ヒトGGT抗体を有効成分として含有する肝疾患治療剤又は予防剤などに関する。
肝線維化は,肝臓が損傷した場合におこる過程の一つである。このような損傷の原因として,例えば,ウイルス(例:慢性肝炎),化学物質(例:薬剤,アルコール),代謝性疾患(例:脂質代謝障害,グリコーゲン代謝障害,金属代謝障害),癌(原発性肝臓癌,転移性肝臓癌),細菌などによる感染があげられる。このような原因より生じる肝線維化が進行すると肝硬変を惹起し,最終的に肝不全が引き起こされため,肝の線維化を予防する又は治療する剤が望まれた。
特開2006−22088号公報には,ビタミンB12又はその類縁体を有効成分とする含む肝線維化抑制剤が開示されている。ビタミンB12又はその類縁体は,多くの生体各組織で作用する。そのため,ビタミンB12又はその類縁体を多く含む剤は,生体組織各所で副作用が起きる問題があった。そのため,肝線維化抑制作用を示すのに十分なビタミンB12又はその類縁体量を接取することが難しく,新たな薬剤が望まれた。
特開2006−22088号公報
本発明は,肝線維症又は肝硬変を予防又は治療する抗GGT抗体を含有する剤を提供することを目的とする。
本発明は,抗GGT抗体によって,肝線維症及び肝硬変モデル動物の肝線維症を改善することができるという知見に基づくものである。また,本発明は,抗GGT抗体によって,肝機能マーカー(ALT及びAST)が回復するという知見に基づくものである。また,本発明は,抗GGT抗体によって,TNF−αの発現を抑制することができるという知見に基づくものである。
本発明の第1の側面は,抗γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)抗体を有効成分として含有する肝線維症治療剤又は予防剤に関する。前記抗GGT抗体は,破骨細胞形成阻害作用を有する抗体である。本発明の抗GGT抗体は,AGT−3であることが好ましい。後述する実施例に示されたとおり,本発明の抗GGT抗体は,肝組織の線維化を抑制することができる。よって,本発明の抗GGT抗体は,肝線維症治療剤として又は予防剤として好適に用いることができる。
本発明の第2の側面は,抗GGT抗体を有効成分として含有する肝硬変治療剤又は予防剤に関する。前記抗GGT抗体は,破骨細胞形成阻害作用を有する抗体である。本発明の抗GGT抗体は,AGT−3であることが好ましい。後述する実施例で示されたとおり,本発明の抗GGT抗体は,肝硬変モデルマウスの肝機能を改善することができる。よって肝硬変治療剤として好適に用いることができる。さらに,後述する実施例で示されたとおり,本発明の抗GGT抗体は,肝組織の線維化を抑制することができる。肝硬変は,肝組織の線維化が悪化することによって起こる。よって,本発明の抗GGT抗体は,肝硬変の予防剤として好適に用いることができる。
本発明の第3の側面は,抗GGT抗体を有効成分として含有する慢性肝炎の治療剤又は予防剤に関する。前記抗GGT抗体は,破骨細胞形成阻害作用を有する抗体である。本発明の抗GGT抗体は,AGT−3であることが好ましい。慢性肝炎では,肝臓の炎症が繰り返されることによって,肝組織の線維化が進行する。後述する実施例で示されたとおり,本発明の抗GGT抗体は,肝組織の線維化を抑制することができる。そして,後述するとおり,肝疾患(肝障害)によって誘導されるGGTは,炎症性サイトカインの産出を誘導する。本発明の抗GGT抗体は,このGGTの作用を阻害する。すなわち,本発明の抗GGT抗体は,炎症性サイトカインの産出を抑制することができる。よって,本発明の抗GGT抗体を用いれば,慢性肝炎で繰り返される肝臓の炎症反応を軽減させることができる。よって,本発明の抗GGT抗体は,慢性肝炎の治療剤又は予防剤として好適に用いることができる。
本発明の第4の側面は,抗GGT抗体を有効成分として含有する肝線維症誘発性TNF−α発現抑制剤又は肝硬変誘発性TNF−α発現抑制剤に関する。前記抗GGT抗体は,破骨細胞形成阻害作用を有する抗体である。本発明の抗GGT抗体は,AGT−3であることが好ましい。後述する実施例で示されたとおり,肝線維症及び肝硬変モデルマウスにおいて,本発明の抗GGT抗体を投与することによって,TNF−αの発現が抑制される。よって,本発明の抗GGT抗体は,肝線維症誘発性TNF−α発現抑制剤又は肝硬変誘発性TNF−α発現抑制剤として好適に用いることができる。
本発明によれば,肝線維症又は肝硬変を予防又は治療する抗GGT抗体を含有する剤を提供できる。
図1は,ヒト腎臓を用いたAGT−1の免疫染色結果を示す図面に替わる写真である。図1Aは,AGT−1抗体で免疫染色した結果を示す図面に替わる写真である。図1Bは,HE染色した結果を示す図面に替わる写真である。図1Cは,陽性コントロールであるCSLEX−1抗体で免疫染色した結果を示す図面に替わる写真である。図1Dは,染色を行っていない組織を示す図面に替わる写真である。 図2は,ヒト腎臓を用いたAGT−3の免疫染色結果を示す図面に替わる写真である。図2Aは,AGT−3抗体で免疫染色した結果を示す図面に替わる写真である。図2Bは,HE染色した結果を示す図面に替わる写真である。図2Cは,陽性コントロールであるCSLEX−1抗体で免疫染色した結果を示す図面に替わる写真である。図2Dは,染色を行っていない組織を示す図面に替わる写真である。 図3は,骨ミネラル密度の測定結果を示す図面に替わるグラフである。 図4は,ラット大腿骨のμCT3D像を示す図面に替わる写真である。図4Aは,胆管結紮していないラット大腿骨のμCT3D像を示す図面に替わる写真である。図4Bは,胆管結紮していないラットの大腿骨の切断面を示す図面に替わる写真である。図4Cは,胆管結紮したラットの大腿骨のμCT3D像を示す図面に替わる写真である。図4Dは,胆管結紮したラットの大腿骨の切断面を示す図面に替わる写真である。 図5は,大腿骨遠位骨幹部のHE染色組織像,海綿骨量面積率,破骨細胞数を示す図面に替わる写真又はグラフである。図5Aは,胆管結紮を行っていないラットの大腿骨遠位骨幹部のHE染色組織を示す図面に替わる写真である。図5Bは,胆管結紮したラットの大腿骨遠位骨幹部のHE染色組織を示す図面に替わる写真である。図5Cは,大腿骨遠位骨幹部の海綿骨梁面積率を示す図面に替わるグラフである。図5Dは,大腿骨遠位骨幹部の破骨細胞数を示す図面に替わるグラフである。 図6は,ラットの大腿骨遠位骨幹部のCT撮影及び骨密度測定結果を示す図面に替わる写真およびグラフである。図6A〜図6Cは,ラットの大腿骨遠位骨患部のμCT像を示す。図6Aは,胆管結札を行っていないラットの大腿骨遠位骨患部のμCT像示す図面に替わる写真である。図6Bは,胆管結紮を行ったラットの大腿骨遠位骨患部のμCT像示す図面に替わる写真である。図6Cは,胆管結札を行い,ATG−3を投与したラットの大腿骨遠位骨患部のμCT像示す図面に替わる写真である。図6Dは,骨密度の結果を示す図面に替わるグラフである。 図7は,血清中肝機能マーカーの生化学検査の結果を示す図面に替わるグラフである。図7AはGGT値,図7BはALT値,図7CはAST値の結果を示す図面に替わるグラフである。 図8は,肝組織切片をHEで染色した結果を示す図面に替わる写真である。図8Aは,胆管結紮を行っていないラットの肝組織切片のHE染色の結果を示す図面に替わる写真である。図8Bは,胆管結紮を行っていないラットの肝組織切片のTNF−α免疫染色の結果を示す図面に替わる写真である。図8C,図8E及び図8Fは,胆管結紮を行ったラットの肝組織切片のHE染色の結果を示す図面に替わる写真である。図8Dは,胆管結紮を行ったラットの肝組織切片のTNF−α免疫染色の結果を示す図面に替わる写真である。図8G,図8I及び図8Jは,胆管結札を行い,かつAGT−3を投与したラットの肝組織切片のHE染色の結果を示す図面に替わる写真である。図8Hは,胆管結札を行い,かつAGT−3を投与したラットの肝組織切片のTNF−α免疫染色の結果を示す図面に替わる写真である。 図9は,アザン・マロリー染色で線維組織のコラーゲン線維を染色した図面に替わる写真である。図9A及び図9Bは,胆管結紮を行わなかった動物の肝組織を示す図面に替わる写真である。図9C及び図9Dは,胆管結紮して2週間飼育した動物の肝組織を示す図面に替わる写真である。図9E及び図9Fは,胆管結紮して更にAGT−3抗体を投与して2週間飼育した動物の肝組織を示す図面に替わる写真である。
本発明は,抗GGT抗体を有効成分として含有する肝疾患の治療剤及び予防剤に関する。本明細書の肝疾患として,肝の線維化が関与する疾患があげられる。肝の線維化が関与する疾患として,肝線維症,肝硬変,又は慢性肝炎があげられる。
本明細書において,“GGT”とは,γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−グルタミルトランスフェラーゼ)を示す。GGTは,γ−グルタミル基をペプチドまたはアミノ酸に転移する反応を触媒する酵素である。また,GGTはグルタチオンなどのγ−グルタミル化合物を加水分解する活性を有する。また,GGTは腎臓,すい臓,肝臓などの細胞の細胞膜に存在し,細胞外アミノ酸の細胞内への取り込みに関与する酵素であり,肝機能診断マーカーとして知られている。
抗体とは,生物体内に誘導されるタンパク質である。このような生物として,哺乳類,
鳥類などがあげられる。本発明の抗体としては,ヒト,マウス,ラットなど哺乳動物由来の抗GGT抗体があげられる。本発明の抗体は,ヒト以外にも,イヌやネコなどの動物医薬として用いることもできる。投与後の副作用を避けるため,投与する生物由来の抗体とすることが好ましい。ヒトに投与する抗体のタイプとしては,マウス抗体,キメラ抗体,ヒト化抗体,(完全)ヒト抗体などがあげられる。
抗GGT抗体とは,GGTと結合しGGTの機能を抑える抗体,GGTが結合するリガンドと結合しGGTの機能を抑える抗体,GGTが結合するGGT受容体と結合しGGTの機能を抑える抗体があげられる。本発明の抗体は,GGTと結合しGGT機能を抑える抗体であることが好ましい。
このような抗体は,公知の方法で製造することができる(例えば,竹縄忠臣編,タンパク質実験ハンドブック,2003,p86−p105,(株)羊土社発行)。また,市販のものを用いてもよい(例えば,エーシーバイオテクノロジーズ社製AGT−3)。抗体が結合する抗原であるタンパク質やペプチドを,抗体を産生する免疫動物に注射する。免疫動物は,マウス,ラット,ハムスター,ウサギ,ヤギなど免疫動物として利用される公知の動物を用いることができる。免疫動物への抗原の注入は,1回又は2回以上で定期的(例えば,2〜4週間ごと)に行う。抗原の注入後,一定期間ごと(例えば1〜2週間),採血を行い,目的とする抗体が産生されていることを確認する(抗体価を調べる)。抗体価を調べる方法は,公知の方法を用いることができる。たとえば,ウエスタンブロッティング,ELISAなどがあげられる。このような方法を用いることで,免疫動物由来の抗体(マウスであれば,マウス抗体)を得ることができる。
キメラ抗体とは,マウス抗体の可変領域をヒト抗体の定常領域に連結したもので,公知の方法(例えば,特開平7−194384号公報など)によって製造することができる。ヒト化抗体とは,マウス抗体の相補鎖決定領域(complementarity determining region:CDR)をヒト抗体の可変領域に移植した抗体であり,公知の方法(特許2828340号公報,特開平11−4694号公報など)で製造することができる。ヒト抗体は,免疫動物が本来有している免疫グロブリンを破壊したノックアウト動物に,ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入し,産生させた抗体であり,公知の方法(特開平10−146194号公報,特開平10−155492号公報など)で,製造することができる。完全ヒト抗体とは,ヒトの細胞から産生される抗体であり,公知の方法(特開2007−141号公報,特開2005−034154号公報など)。当業者であれば,このような抗体の公知の作製方法を適宜採用して,本発明の抗体を製造することができる。
[ポリクローナル抗体]
ポリクローナル抗体の作製方法の例を以下にあげるが,当業者にとって公知の方法を用いて適宜変更することができる。ポリクローナル抗体は,上記した免疫動物に抗原(免疫原)を注入することで作製することができる。免疫動物に注入する抗原(免疫原)としては,抗原発現細胞,(粗)精製タンパク質,組換えタンパク質,又は合成ペプチドなどを用いることができる。このような抗原として,例えば,配列番号1に記載のアミノ酸配列(ヒトGGT1全長ORF(NCBI No.CR456494))と同一,又は1〜10個のアミノ酸残基が置換,欠失,付加又は挿入されたアミノ酸配列からなるペプチドがあげられる。抗原は,好ましくは配列番号1に記載のアミノ酸配列と同一,又は1〜5個のアミノ酸残基が置換,欠失,付加又は挿入されたアミノ酸配列からなるペプチドであることが好ましく,前記アミノ酸配列に置換,欠失,付加又は挿入されるアミノ酸残基の数は1〜2個がより好ましく,さらに好ましくは1個である。本発明の抗GGT抗体は,GGTの機能を抑える抗体であることが好ましい。よって,このような抗体を製造する際に用いる抗原は,配列番号1に記載のアミノ酸配列よりも短いアミノ酸配列のペプチドを用いてもよい。このようなペプチドの長さは,当業者であれば適宜調整することができる。
ポリクローナル抗体を作製する際,抗原は,アジュバンドと混合して免疫動物に注入する。ここで,アジュバンドとは,抗原に対する免疫応答を強化する目的で用いられる物質をさし,例えば,アルミニウムアジュバンド,完全(不完全)フロイントアジュバンド,百日咳菌アジュバンドなどである。免疫動物への抗原の注入は,2〜4週間ごとに行う。2回以上注入をした後,注入日後1〜2週間後に採血を行い,抗体価検定(antibody titer check)を行う。免疫動物への注入量,注入回数(免疫回数)は,免疫動物の種類やその個体ごとに異なる。当業者であれば,抗体価検定の結果に応じて,適宜調整することができる。抗体価検定としては,公知の方法を用いることができ,たとえばELISAやウエスタンブロッティングがあげられる。免疫終了後,全血を搾取し,遠心分離など公知の方法を用いて,血清を分離する。血清は,血清中に含まれる内在性の抗体などを取り除くため,精製を行う。精製方法は,たとえばアフィニティークロマトグラフィーなど公知の方法を用いることができる。このようにしてポリクローナル抗体を作製することができる。
[抗原発現細胞]
抗原として用いる抗原発現細胞は,培養細胞などの細胞膜上に抗原となるタンパク質が発現した細胞が好ましい。このような抗原発現細胞は,公知の方法で作製することができる。具体的には,抗原となるタンパク質をコードするDNAを培養細胞に導入し発現させればよい。抗原を発現させる培養細胞(以下,「宿主」ともよぶ)は,特に限定されず公知の細胞を用いればよい。たとえば,抗原提示細胞としてしられるB細胞や樹状細胞などがあげられる。このような細胞に抗原となるタンパク質を発現させる方法としては,抗原となるタンパク質をコードするDNAを組み込んだ抗原発現ベクターを作製し,抗原を発現させる細胞に導入する。発現ベクターに組み込むDNAが細胞膜ドメイン配列を含まない場合には,発現ベクターを導入する宿主が有する細胞膜ドメインの配列を含ませておくことが好ましい。このような配列を含むことで,効率的に細胞膜上にタンパク質(抗原)を発現させることができる。このような細胞膜ドメイン配列は,当業者であれば,適宜取得し,発現ベクターに組み込むDNA配列に含ませることができる。このような発現ベクターとしては,プロモーター,エンハンサー,スプライシングシグナル,ポリA付加シグナル,選択マーカー,SV40複製オリジンなどを含有しているものを用いることができる。宿主が動物細胞である場合,プロモーターとしては,例えば,SRαプロモーター、SV40プロモーター、HIV・LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーターなどがあげられる。選択マーカーとしては,例えば,ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(メソトレキサート(MTX)耐性),アンピシリン耐性遺伝子,ネオマイシン耐性遺伝子(G418耐性),ハイドロマイシン耐性遺伝子,ブラストサイジン耐性遺伝子等があげられる。このような発現ベクターは,公知のものを使用すればよく,当業者であれば,宿主に応じて適宜選択することができる。抗原発現ベクターを導入する方法としては,リン酸カルシウム法,リポフェクション法,エレクトロポレーション法など公知の方法を用いることができる。細胞に抗原が発現していることを確認する方法は,免疫染色法など公知の方法を適宜用いればよい。このように抗原を発現させた細胞は,公知の方法で回収し,免疫動物に注入する抗原として用いることができる。
[(粗)精製タンパク質]
抗原として用いる(粗)精製タンパク質は,培養細胞などが発現するタンパク質を精製したものである。このようなタンパク質は,細胞のシグナル伝達経路に作用したり,転写因子に作用したりする薬剤や因子で培養細胞などを刺激することによって発現させればよい。発現したタンパク質は,公知の方法で精製し,精製タンパク質として用いることができる。たとえば,分泌タンパク質であれば,培養上清を回収し,例えば塩析やカラムクロマトグラフィー,膜処理などで精製することができる。カラムクロマトグラフィーとしては,イオン交換クロマトグラフィー,ゲル濾過クロマトグラフィー,アフィニティークロマトグラフィー,疎水性クロマトグラフィーなどがあげられ,当業者であれば,タンパク質の性質に応じて適宜使用することができる。細胞外に分泌されないタンパク質であれば,培養細胞を回収し,超音波処理などで細胞を破砕し,タンパク質を回収することができる。そして,上記した方法でタンパク質を精製すればよい。このような精製タンパク質を取得する方法は,公知であり,当業者であればタンパク質の特性に合わせて適宜用いることができる。
[組換えタンパク質]
抗原として用いる組換えタンパク質は,公知の方法で作製することができる。具体的には,抗原として用いる組換えタンパク質をコードするDNAを公知の方法でベクターに挿入し,組換えタンパク質を発現させる宿主に導入する。ベクターは公知のものを用いればよく,当業者であれば導入する宿主に応じて選択することができる。このような宿主としては,細菌,昆虫細胞,植物細胞,動物細胞など公知の宿主を用いることができる。そして,宿主にベクターを導入する方法は,エレクトロポレーション法,リン酸カルシウム法,リポフェクション法など,宿主に応じて,適宜公知の方法を用いることができる。組換えタンパク質は,GST(glutathion S transferase),HA(hemagglutinin),又は(オリゴ)ヒツチジンなどのタグとの融合タンパク質としてもよい。このようなタグは,目的とする抗原をコードするDNAのN末端側又はC末端側に結合させればよい。このようなタグを結合させた融合タンパク質とすることで,発現したタンパク質を簡単に精製することが可能になる。宿主に発現させたタンパク質は,例えば分泌タンパク質であれば培養上清を回収することによって,分泌タンパク質でなければ,超音波処理などで宿主細胞を破砕するなどして回収することができる。タンパク質の精製方法は,上記したように,たとえば,HPLCやアフィニティーカラムなどを用いることができる。また,インビトロでのタンパク発現系や昆虫,動物,植物などの生体を用いて組換えタンパク質を得ることもできる。このような方法は,公知であり,当業者であれば,適宜変更を加えることができる。
[合成ペプチド]
ペプチドを合成する方法として,固相法や液相法などがあげられる。ペプチド合成では,目的とするアミノ酸配列をN末端またはC末端から逐次結合させていくステップワイズ延長法,またはアミノ酸配列を適当なフラグメントに分け,それらのフラグメントを縮合させて目的のペプチドを合成するフラグメント縮合法があげられる。また,ペプチド合成法として不溶性の樹脂にアミノ酸を結合し,アミノ酸配列情報に基づいて,その樹脂上でアミノ酸を1個ずつ結合させていき鎖を伸長させていく固相法や,樹脂などの担体を用いない液相法があげられる。さらにそれらの方法を組み合わせて効率的に合成することも可能である。このような方法は公知であり,当業者であれば,目的のアミノ酸配列を合成するために,適宜用いることができる。また,合成したペプチドは,精製を行ってもよい。合成ペプチドの精製は,沈殿法,HPLC,イオン交換クロマトグラフィー,ゲル濾過クロマトグラフィーなど公知の方法を用いることができる。抗原として合成ペプチドを用いる場合は,そのままでは抗原性に乏しいので,BSA(Bovine Serum Albumin)やKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)などのキャリアに架橋剤(例えば,MBS(m−maleimidobenxoic acid)エステル,DMS(dimethyl suberimidate)など)を用いて共有結合させて用いる方がよい。
[モノクローナル抗体]
モノクローナル抗体は,公知の方法で製造することができる。具体的には,免疫動物(例えば,マウスなど)に上記した抗原を2〜4週間間隔で1〜6ヶ月間注入(免疫)し,ポリクローナル抗体の製造方法と同様に,抗体価検定を行う。検定により所望する抗体価が得られたら,免疫動物から脾臓を単離する。単離した脾臓は無血清培地(例えば,イスコフ培地(GIBCO社製))で懸濁し,脾臓細胞懸濁液とする。脾臓細胞とミエローマ細胞(骨髄腫細胞)を混合し,ポリエチレングリコール(PEG)を加えて,細胞を融合させる。その後,ヒポキサンチン(hypoxanthine)−アミノプテリン(aminopterine)−チミジン(thymidine)(HAT)選択培地で培養することで,ハイブリドーマ(脾臓細胞とミエローマ細胞が融合した細胞)のみを増殖させる。さらに,目的とする抗体を産生するハイブリドーマを選択するために,目的とする抗体の有無の検定と同時に,検定陽性ハイブリドーマのクローニングを行う。この操作を数回繰り返すことによって,目的とする抗体を産生するクローン化ハイブリドーマを得ることができる。その後,クローン化ハイブリドーマを免疫動物の腹腔内に注射し,2〜4週間後に腹水を回収し,精製することでモノクローナル抗体を得ることができる。腹水を精製する方法は,公知の方法を用いればよく,たとえばアフィニティークロマトグラフィーやゲル濾過クロマトグラフィーなどがあげられる。
[リコンビナント抗体の製造方法]
また,本発明の抗体は,リコンビナント抗体としてもよい。リコンビナント抗体とは,抗体産生工程でハイブリドーマを用いない組換え型モノクローナル抗体である。例として最小の抗原結合部位のみを有したもの、多価型の抗原結合部位を具有したもの、IgGとIgAを組み合わせ分泌型にしたもの、異種動物間でのキメラやヒューマニゼーション(humanization)を施したものなどがあげられる。このようなリコンビナント抗体は,各アイソタイプの免疫グロブリン遺伝子を宿主で発現させることによって得ることができる。このような宿主を用いる産生系のとしては,大腸菌を用いる方法,培養細胞を用いる方法,植物に産生させる方法,トランスジェニックマウスに産生させる方法などがあげられる。
このようなリコンビナント抗体の製造は公知の方法を用いればよい。具体的な例として,ファージディスプレイ法(例えば,Ricombinant antibody expression system(Amersham Biosciences)など)があげられる。ファージディスプレイ法は,大腸菌ウイルスの一種であるM13などの繊維状ファージのコートタンパク質にファージの感染能を失わないように外来遺伝子を融合タンパクとして発現させるシステムである。ファージとは,細菌に感染するウイルスであり,そのDNAに外来性遺伝子を組み込めば感染に際して宿主内に侵入し,増殖する能力を有する。
[ファージディスプレイ法]
ファージディスプレイ法によるモノクローナル抗体の作製方法の1例を以下にあげるが,本発明は以下の作製方法に限定されるものではなく,当業者は各工程を他の公知の方法を用いて,適宜変更することができる。また,当業者であれば,それぞれの工程において,温度,反応時間,使用溶液濃度,使用溶液量などのパラメータを適宜設定して,また変更を加えて実施することができる。ファージディスプレイ法では,まずファージ抗体ライブラリーの作製を行い,その後抗体産生ファージのスクリーニングを行うことで,モノクローナル抗体を作製する。
ファージ抗体ライブラリーの作製
(1)B細胞からmRNAを抽出し,RT−PCRを行って,cDNAライブラリーを作製する。
B細胞は,マウスやヒトなどから採取した細胞を用いればよい。B細胞のRNAの抽出は,例えば,AGPC法(Acid−Guanidinium−Phenol−Chloroform法)などを用いることができる。AGPC法では,まずB細胞にグア二仁チオシアネイト溶液を加えて,ホモジナイズする。その後,細胞のホモジネート溶液に酢酸ナトリウム,フェノール,クロロホルムを加えて混和し,遠心する。遠心後,溶液の水層を回収する。回収した水層にイソプロパノールを加え,混和後,遠心し,RNAを沈殿させる。沈殿物(RNA)は再度グア二ジンチオシアネイト溶液に溶解後,酢酸ナトリウム,フェノール,クロロホルムを加えて振とうする。振とう後,遠心して再度水層を回収する。回収した水層に再度イソプロパノールを加えて遠心し,RNAを沈殿させる。沈殿させたRNAに70%エタノールを加え,懸濁し再度遠心して,RNAを沈殿させることで,トータルRNA(totalRNA)を得ることができる。次に,トータルRNAからmRNAの抽出は,mRNAのC末端側に存在するポリA配列に結合するプライマー(オリゴdTプライマー)を用いて,PCRにてmRNAを増幅させ,オリゴdTカラム(例えば,QIAGEN社製)などで抽出・精製することができる。また,オリゴdTがコーティングされた磁性ビーズ(例えば,ナカライテスク社製)を用いたアフィニティクロマトグラフィーなどで抽出・精製してもよい。精製したmRNAは,逆転写酵素を含む反応溶液中で,PCRによってcDNAライブラリーを作製することができる。
(2)L鎖(Light chain)とH鎖(Heavy chain)の可変領域に特異的なプライマーを用いてそれぞれPCRで増幅する。
抗体(免疫グロブリン(Ig)分子)のH鎖およびL鎖の可変領域であるV及びVの配列は,たとえばGenBankなどから入手することができる。たとえばIgA型のヒト抗体を得るには,ヒトのIgAのV及びV配列を入手し,それら配列を増やすためのプライマー設計を行い,テンプレートとして上記cDNAを用いて,PCRにて両配列を増幅させればよい。当業者であれば,どのような抗体を得るかによって,プライマー設計は適宜行うことができ,またPCR等の条件も適宜決めることができる。増幅させたVとVは,公知の方法で精製すればよい。
(3)ライブラリーの構築
精製したVとVは,それぞれをリンカーでつなぎ,一本鎖とし,ファージミドベクターに挿入して,一本鎖Fv(可変領域断片)遺伝子ライブラリーを構築する。リンカーとは,各断片を接続する配列である。このようなリンカーとしては,リンカーとして公知の配列を用いればよい。ファージミドベクターとは,M13ファージあるいはf1ファージの一本鎖DNAの生成に必要な複製起点(IG領域)を組み込んだプラスミドベクターである。ファージミドベクターは,プラスミドとしての特性と一本鎖DNAファージとしての特性を備えており,通常の二本鎖DNAプラスミドとして操作することが可能なだけでなく,プラスミドの一方のDNA鎖を含む線状ファージ粒子を産生させることができる。ファージミドベクターとしては,公知のものを用いればよい(例えば,pCANTAB5E(Amersham Biosciences社製))。また,別の方法として,抗体H鎖Fd部分(VおよびC1領域)及びL鎖部分に特異的なプライマーを用いてPCRにより抗体遺伝子断片を増幅し,これらの遺伝子断片をファージミドベクターに挿入することにより抗体Fabに対応する遺伝子ライブラリーを構築してもよい。
抗体産生ファージのスクリーニング
(4)抗体提示ファージライブラリーの濃縮
ファージミドベクターを用いて構築した抗体遺伝子ライブラリーを大腸菌に導入し,ヘルパーファージ(M13KO7,VCSM13など)を感染させることにより,抗体提示ファージライブラリーを作製する。この抗体提示ファージライブラリーの濃縮方法としては,パニング法があげられる。この方法によって,精製した抗原(上記方法などにより精製した抗原)を用いて固相法によりファージライブラリーから目的とする抗体を提示するファージ集団を濃縮することができる。パニング法では,固相化抗原とファージライブラリーの反応,洗浄(固相化抗原と結合しないファージライブラリーの除去),抗原結合ファージの溶出,大腸菌への感染による増幅というステップを数回(例えば4〜5回)繰り返す。これにより抗原特異的ファージ(抗体産生ファージ)を濃縮することができる。
(5)抗原特異的ファージクローンの選択及びモノクローナル抗体の取得
抗原特異的ファージクローンの選択法としては,例えばELISA法などを用いることができる。精製抗原をコートしたELISAプレートに,抗体産生ファージを反応させ,精製抗原との反応性(結合性)を調べる。この工程を繰り返し,クローンを選別していくことで,モノクローナル抗体を産生するファージを得ることができる。そして,このようなファージを大腸菌で増殖させ,抗体を回収することでモノクローナル抗体を取得することができる。このような抗体は,たとえばアフィニティークロマトグラフィーなどの公知の精製方法を用いて精製することが可能である。
[抗体の評価]
作製した抗体は,抗体価を調べることで評価することができる。抗体価は,公知の方法を用いて評価すればよい。たとえば,ELISAやウエスタンブロッティングなどがあげられる。作製した抗体が破骨細胞形成阻害作用を有することは,抗GGT抗体によるGGTの破骨細胞形成活性阻害を調べることで評価することができる。たとえば,「Journal of Bone and Mineral Research,volume22,Number12,p1933−1942,2007」に記載の方法を適宜もちいることができる。また,当業者であれば,上記公知の方法に適宜変更を加えることができる。具体的には,初代軟骨細胞と骨髄造血細胞(BMHCs)を同じ培養皿に播種し,7日間共培養する。その後,1)GGT単独,2)GGTと抗GGT抗体の併用,3)PBS(コントロール)をそれぞれ添加し,2〜3日培養する。その後,パラホルムアルデヒドで細胞を培養皿に固定し,TRAP(酒石酸耐性酸性ホスファターゼ)染色(株式会社プライマリーセル社製など)を行う。TRAP染色後,破骨細胞数を計測する。細胞にPBS(コントロール)を添加したディッシュの破骨細胞数を「PBS」,細胞にGGT単独を添加したディッシュの破骨細胞数「GGT」,細胞にGGTと抗GGT抗体を併用したディッシュの破骨細胞数を「GGT+抗体」とすると,作製した抗体が破骨細胞の形成を阻害すると評価するためには,(「GGT+抗体」−「PBS」)/(「GGT」−「PBS」)の値が,0.9以下であればよく,0.7以下が好ましく,0.5以下がより好ましい。このような評価に用いる初代軟骨細胞及び骨髄造血細胞は,作製した抗GGT抗体が対象とする生物から公知の方法で採取すればよい。当業者であれば,これら細胞は,公知の培養培地(例えば,10%ウシ血清含有αMEM培地)で適宜培養し,使用することができる。
本発明の好ましい態様として,肝線維症の治療剤又は予防剤,肝硬変の治療剤又は予防剤,慢性肝炎の治療剤又は予防剤,肝線維症誘発性TNF−α発現抑制剤又は肝硬変誘発性TNF−α発現抑制剤を製造のために本発明の抗体を使用することがあげられる。すなわち,本発明は,肝線維症の治療剤又は予防剤を製造するための抗GGT抗体の使用;肝硬変の治療剤又は予防剤を製造するための抗GGT抗体の使用;慢性肝炎の治療剤又は予防剤を製造するための抗GGT抗体の使用;肝線維症誘発性TNF−α発現抑制剤又は肝硬変誘発性TNF−α発現抑制剤を製造するための抗GGT抗体の使用をも提供する。そして,抗GGT抗体の使用において,先に説明したそれぞれのパターンを組み合わせて用いることができる。
本発明の剤は,当業者に公知の方法で製造すればよい。本発明の剤は,経口用製剤および非経口用製剤として製造することができる。本発明の剤は,公知の製剤化技術を用いて行えばよい。非経口用製剤は,液剤(水性液剤,非水性液剤,懸濁性液剤,乳濁性液剤など)としてもよいし,固形剤(粉末充填製剤,凍結乾燥製剤など)としてもよい。また,本発明の剤は,徐放製剤としてもよい。固形剤を製造する方法は,凍結乾燥法,スプレードライ(噴霧乾燥)法,無菌再結晶法など,公知の方法を用いればよい。
液剤を製造する方法は,公知の方法で製造することができる。例えば,抗体を薬学的に許容された溶剤に溶解し,滅菌された液剤用の容器に充填することで製造することができる。薬学的に許容された溶剤としては,たとえば,注射用水,蒸留水,生理食塩水,電解質溶液剤などがあげられ,滅菌された溶剤を用いることが好ましい。滅菌された液剤用の容器としては,アンプル,バイアル,バッグ、などがあげられる。これら容器は,ガラス製やプラスチック製など公知の容器を用いることができる。具体的には,プラスチック製容器としては,ポリ塩化ビニル,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン・酢酸ビニル・コポリマーなどの材質を用いたものがあげられる。これら容器や溶剤の滅菌法は,加熱法(火炎法,乾燥法,高温蒸気法,流通蒸気法,煮沸法など),濾過法,照射法(放射線法,紫外線法,高周波法など),ガス法,薬液法などがあげられる。このような滅菌法は,容器の材質,溶剤の性質に応じて,当業者であれば適宜選択して用いることができる。
また,本発明は,本発明の抗GGT抗体を含む剤と医療用具を組み合わせたキット製品として提供することも可能である。例えば,本発明の抗GGT抗体を含む剤を注射筒等の医療用具にあらかじめ充填したもの,1つのソフトバックに離壁を介して一方に固形剤を,他方に溶剤を充填し,使用時に離壁を開通して混合できるようにしたものなどがあげられる。このようにすることで,使用時に医療従事者が調製する負担を軽減できるだけでなく,細菌汚染や異物混入などを防止することができ,好適に使用することができる。このような注射筒やソフトバックは公知であるので,医療従事者であれば適宜使用することができる。
本発明の抗GGT抗体を含む剤は,静脈内投与,動脈内投与,筋肉内投与,皮下投与,腹腔内投与,鼻腔内投与などの公知の投与方法を用いて投与することができる。好ましくは,注射による投与であり,点滴によって注入することも可能である。また、本発明の剤は,外科手術により患部を開口し,直接患部に投与してもよい。本発明の剤は,経口用製剤および非経口用製剤として調整することができ,好ましくは非経口用製剤である。このような非経口用製剤は,液剤(水性液剤,非水性液剤,懸濁性液剤,乳濁性液剤など)としてもよいし,固形剤(粉末充填製剤,凍結乾燥製剤など)としてもよい。固形剤は,投与する際に,薬学的に許容された溶剤で所望濃度に用時溶解または懸濁化して用いる。このような非経口用製剤は,注射や点滴などの投与方法で用いることができる。
本発明の抗GGT抗体を含む剤を製剤化する場合,薬学的に許容される担体又は媒体などと適宜組み合わせて製剤化することもできる。さらに,薬剤を含ませてもよい。また,本発明の抗GGT抗体を含む剤は,アルブミン,リポタンパク質,グロブリンなどの本発明の抗体の作用を阻害しないタンパク質を含ませてもよい。このようにタンパク質を含ませることで,液剤中に含まれる抗体の安定性向上させることができる。このようなタンパク質は,液剤として本発明の剤を製剤化する場合は,液剤中に含ませればよい。固形剤として,製剤化する場合は,本発明の抗GGT抗体を固形化するときに上記タンパク質を含ませてもよいし,固形剤を溶解する溶剤に上記タンパク質を含ませてもよい。このようなタンパク質の含量は,投与時の液量を100重量部としたときに,0.01重量部〜5重量部があげられ,当業者であれば,投与する抗体の量やその他に含まれる物質に応じて適宜調整することができる。
[薬学的に許容される担体又は媒体]
薬学的に許容される担体又は媒体は,例えば,賦形剤,安定化剤,溶解補助剤,乳化剤,懸濁化剤,緩衝剤,等張化剤,抗酸化剤,又は保存剤など薬学的に許容される物質があげられる。また,ポリエチレングリコール(PEG)などの高分子材料やシクロデキストリン等の抱合化防物を使用することもできる。以下,具体例をあげるが,本発明はそれらに限定されるものではなく,公知のものを使用することができる。賦形剤としては,デンプンや乳糖などそれ自体が薬理作用を有さないものが好ましい。安定化剤としては,アルブミン,ゼラチン,ソルビトール,マンニトール,乳糖,ショ糖,トレハロース,マルトース,グルコースなどがあげられる。これらのうちでは,ショ糖又はトレハロースが好ましい。溶解補助剤としては,エタノール,グリセリン,プロピレングリコール,ポリエチレングリコールなどがあげられる。乳化剤としては,レシチン,ステアリン酸アルミニウム,またはセスキオレイン酸ソルビタンなどがあげられる。懸濁化剤としては,マクロゴール,ポリビニルピロリドン(PVP),またはカルメロース(CMC)などがあげられる。等張化剤としては,塩化ナトリウム,グルコースなどがあげられる。緩衝剤としては,クエン酸塩,酢酸塩,ホウ酸,またはリン酸塩などがあげられる。抗酸化剤としては,アスコルビン酸,亜硫酸水素ナトリウム,ピロ亜硫酸ナトリウムなどがあげられる。保存剤としては,フェノール,チメロサール,塩化ベンザルコニウムなどがあげられる。
本発明の抗体と組み合わせる薬剤として,抗炎症剤,鎮痛剤,抗生物質,肝炎治療薬,または肝疾患に用いられる公知の薬剤があげられる。また,本発明の抗GGT抗体を含む剤を注射などによって投与する際,注射による疼痛が起こりうるので,無痛化剤を含ませてもよい。このような薬剤は1種または2種以上組み合せてもよい。
抗炎症剤として,ステロイド性抗炎症剤や非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)などがあげられる。ステロイド性抗炎症剤は,たとえば,デキサメタゾン,コルチゾン,ヒドロコルチゾン,プレドニゾロン,メチルプレドニゾロン,ベタメタゾン,トリアムシノロン,トリアムシノロンアセトニド,フルオシノロンアセトニド,フルオシノニド,ベクロメタゾン,エテンザミドなどがあげられる。非ステロイド性抗炎症剤として,たとえば,アスピリン,イブプロフェン,ナプロキセン,ジクロフェナク,インドメタシン,ナブトメン,フェニルブタゾン,ロフェコキシブ,セレコキシブ,オキシカム,ピロキシカム,ピラゾロン,アザプロパゾンなどがあげられる。
鎮痛剤として,鎮痛作用を有するNSAIDsやオピオイド系鎮痛剤などがあげられる。NSAIDsとしては,アスピリン,イブプロフェン,ナプロキセン,ジクロフェナク,インドメタシン,ナブトメン,フェニルブタゾン,ロフェコキシブ,セレコキシブ,オキシカム,ピロキシカム,ピラゾロン,アザプロパゾンなどがあげられる。オピオイド系鎮痛剤としては,たとえば,エンドルフィン,ダイノルフィン,エンケファリン,コデイン,ジヒドロコデイン,デキストロプロポキシフェンなどがあげられる。
抗生物質として,ペニシリン系抗生物質,セフェム系抗生物質,アミノグリコシド系抗生物質,マクロライド系抗生物質,テトラサイクリン系抗生物質,ペプチド系抗生物質などの抗生物質があげられる。ペニシリン系抗生物質としては,ベンジルペニシリン,フェノキシメチルペニシリン,メチシリン,フルクロキサシリン,アモキシシリン,アンピシリン,ピペラシリン,アズロシリン,チカルシリンなどがあげられる。セフェム系抗生物質としては,セファゾリン,セフロキシム,セファマンドール,セフォタキシム,セフォペラゾン,セフピラミド,セファレキシン,セファクロール,セフィキシム,セフテラムなどがあげられる。アミノグリコシド系抗生物質としては,ゲンタマイシン,ネチルマイシン,トブラマイシン,ストレプトマイシン,ネオマイシン,カナマイシン,アミカシンなどがあげられる。マクロライド系抗生物質としては,エリスロマイシン,クラリスロマイシン,ロキシスロマイシン,ロキタマイシン,クリンダマイシン,アジスロマイシンなどがあげられる。テトラサイクリン系抗生物質として,テトラサイクリン,ミノサイクリン,土岐氏再クリンなどがあげられる。この他に,β−ラクタム系抗生物質として,ラタモキセフ,フロモキセフ,アズスレオナム,イミペネム,パニペネムがあげられる。また,この他にバンコマイシン,リファンピシン,クロラムフェニコールなどがあげられる。
肝炎治療薬としては,インターフェロン,インターロイキン,ステロイド,強力ミノファーゲン,ウルソ,リバビリン,ラミブジンなどがあげられる。
上記のように製造された本発明の抗GGT抗体を有効成分として含む剤は,肝線維症,肝硬変もしくは慢性肝炎の患者に有効量投与する治療方法又は予防方法として利用することができる。また,本発明の抗GGT抗体を有効成分として含む剤は,肝線維症誘発性TNF−α発現又は肝硬変誘発性TNF−α発現を抑制するために,患者に有効量を投与する治療方法または予防方法として利用することができる。すなわち,本発明は,対象に有効量の抗GGT抗体を投与する肝線維症治療方法又は予防方法;対象に有効量の抗GGT抗体を投与する肝硬変治療方法又は予防方法;対象に有効量の抗GGT抗体を投与する慢性肝炎の治療方法又は予防方法;対象に有効量の抗GGT抗体を投与する肝線維症誘発性TNF−α発現抑制方法又は肝硬変誘発性TNF−α発現抑制方法をも提供する。そして,この抗GGT抗体の使用において,先に説明したそれぞれのパターンを組み合わせて用いることができる。
本発明の剤は,経口用,または非経口用製剤として用いられる。非経口用製剤の投与方法は,公知の方法を用いればよく,特に限定されない。例えば,静脈注射,動脈注射,皮下注射,筋肉注射,点滴等があげられる。当業者であれば,適宜,患者に適した投与方法を選択することができる。本発明の剤の主成分である抗GGT抗体は,本発明の剤に有効量含まれていればよい。本発明の剤に含まれる抗GGT抗体の割合は,全重量を100重量部としたときに,1×10−3〜1×10重量部であればよく,1×10−2〜1×10−1重量部が好ましく,5×10−2〜5×10−1重量部がより好ましい。投与量は,投与する対象,年齢,症状などによって変化する。一般的には,1日の投与量は,抗体の有効成分で個体あたり1×10−3〜1×10mgがあげられ,好ましくは5×10−1〜5×10mgであり,より好ましくは1×10〜1×10mgである。または,体重1kg当たり1.5×10−4〜1.5×10mgがあげられ,好ましくは1×10−2〜1×10mgであり,より好ましくは1×10−1〜5×10mgである。好ましくは,1日分の投与量を2〜5回に分けて投与することが好ましい。また,本発明の剤を徐放製剤として,1日当たりの投与回数を減らすことも可能である。このような徐放製剤とするには,公知の方法を利用すればよい。分けて投与したり,徐放製剤としたりすることで,生体内の薬剤濃度を一定に保ちやすくなるので,持続した薬効が得やすくなり,さらに副作用が軽減されうるので,患者への負担を減らすことができる。
抗GGT抗体作製
組換えヒトGGT(rh−GGT)(Ikeda Y et al,Proc Natl.Acad.Sci.USA,vol.92,p126−130,1995)をマウスに感作して,そのリンパ球を細胞融合し,新規ハイブリドーマを作製した。
抗体作製法
1.感作
Balb/c雌6週齢マウス(日本チャールズリバー社)を25℃飼育室にて,12時間ごとのライトコントロール下,餌,水を与えて飼育した。1週間の慣らし買いの後に免疫を開始した。感作スケジュールは初回から3回まで50μg/100μLアジュバンド(液性アジュバンド)を2週間おきに腹腔内投与,最終回のみ3日後にブーストとして50μg/50μL PBSを尾静脈注射した。
2.細胞融合
最終免疫より3日後に感作済みのマウスより,ジエチルエーテル麻酔下に外科的摘出された脾臓を無菌的に分散し脾臓細胞を調整した。融合は基本的にケラーとミルスタインの方法(Nature,vol.256,p495,1975)に従って行った。はじめに取り出した脾臓を70%アルコールに軽く通して除菌し,滅菌済みの外科用先鋭刀と先曲ピンセットを用いて60mm dish中に用意した5mL無血清培地中で脾臓を分散した。よく分散したら無菌ガーゼを通して線維質のみを取り除き,ファルコン15mL遠心管(Falcon 2096)に集めた。更に無血清培地5mLを加えてよく分散し,遠心分離(1000rpm×5min RT)した。これを計3回行って最後に10mLに分散した。この分散液100μLを取って900μLのギムザ染色液と混合し,細胞計測盤にて有核リンパ球数を数えた。別に培養準備した骨髄腫細胞P3−X63−Ag8−U1(P3U1)も同様に遠心操作を行って洗浄し,最後に分散液100μLを取って900μLのトリパンブルー染色液と混合し細胞数と生存率(Viability)を測定した。結果より融合割合を決定し,1本の別チューブに2種分散液の必要量を入れる。融合比率は脾臓細胞数1×10個に対して骨髄腫細胞P3−X63−Ag8−U1(P3U1)5×10個で,5:1であった。遠心操作を行って細胞を集めたら,1mL PEG(ポリエチレングリコール:PEG6000)[メルク社]液を用いて脾細胞と骨髄腫細胞P3−X63−Ag8−U1(P3U1)を融合させた。PEGは1滴ずつ壁に滴下してムラがないようにし,PEGを加えたら1分後に無血清培地を加えて細胞を洗浄した。はじめに1滴/秒で10mL,次に1mL/1回で10mL,最後に10mLを1回で加えることでTotal 30mLにした。遠心分離(1000rpm×5min RT)によって上清を捨て,融合細胞は10%FBS[INVITROGEN社]α−MEM[GIBCO社]HAT[GIBCO社]培地10mLに分散し,数と融合状態を観察した。必要細胞量をとり,96ウェルマイクロタイターカルチャープレート[Falcon社]1枚に対して10mLの計算で必要液量にあわせる。先太ピペットにてプレートへ細胞液を分注して37℃,5%CO条件にて培養した。その後,途中3日,6日,10日後に培地を加えた。
3.スクリーニング1
約2週間後にコロニーの生育を確認してスクリーニングを実施した。スクリーニングの実施法を以下に述べる。スクリーニング用プレートを作製するために精製したrh−GGTを50mMリン酸緩衝液(pH7.0)中に溶解し,0.5μg/100μL/wellとなるように96ウェルプレート[Nunc製]に分注した。96ウェルプレートを4℃で2晩静置した後に0.05%Tween20を含むトリス緩衝液で3回洗浄し,非特異的反応を抑えるために1.5%BSA溶液を200μL分注して,更に4℃で1晩静置した。完成したプレートを0.05%Tween20を含むトリス緩衝液で3回洗浄した後に培養上清100μLを反応させ,更に洗浄を行った後に2次抗体であるHRP標識抗マウスイムノグロブリン抗体[DAKO社製]を加えて反応させた。洗浄後にHRPの発色基質である3mg/mLOPD[和光純薬製]を加えて一定時間後にOD490(吸光度)を測定した。上記のようにして陽性になったクローンは限界希釈法によって再クローニングすることで上清を再度チェックした。
4.スクリーニング2
上記rh−GGT抗原プレートを0.05%Tween20を含む緩衝液で3回洗浄した後に培養上清100μLを室温で1時間反応させ,更に洗浄を行った後にGGTの酵素活性を測定した。目的はrh−GGTに結合するが,GGT酵素活性を阻害しないモノクローナル抗体の作製であり,rh−GGTに抗体を結合させた状態で酵素活性を有するクローンを選択した。GGTの酵素活性測定法は,市販の活性測定キット(デタミナーL)[協和メディックス社製]の反応試薬を各ウェルに50μL添加して,5分後にOD410(吸光度)を測定した。吸光度が0.1以下のクローンを陰性と判断して除外した。
5.抗体の確認
本実験では,合計1500ウェルのスクリーニングから84クローン(6%)を確立し,目的とする特異性を有する抗体は18クローン(1.2%)であった。しかしその内4クローンは陰性コントロールのBSAプレートとも反応する非特異抗体であった。結果としてrh−GGTと反応する抗原特異的抗体は15クローン(0.9%)であった。結果より15種類のクローンの抗体をモノクローナル抗体タイピングキット[アマシャム社製]にて検定した結果,表1のような結果であった。それぞれクローンをIgGタイプの4クローンをAGT−1,AGT−2,AGT−3,AGT−4とし,IgMタイプの11クローンを番号順にAGTm−1からAGTm−11と命名した。
Figure 2010058550
6.抗体の調製
ハイブリドーマを血清含有RPMI−1640培地等で増殖させ,無血清のRPMI−1640培地やASF104培地で抗体を産生させ,その培養上清からモノクローナル抗体を精製する。また,大量の抗体を得るには,Balb/cマウスの腹腔内にハイブリドーマを移植して,増殖させ腹水化させる。この腹水から抗体を回収することもできる。この際,移植前にプリスタン等の鉱油を腹腔内に投与しておくと抗体産生能が上がる。
培養上清や腹水中の抗体は,公知の方法,例えば硫酸アンモニウム沈殿や限外濾過して抗体濃度をあげた後,IgGであれば,Protein A FFカラム[アマシャムバイオサイエンス社製]を用いた.IgMであれば,HiTrap IgM HPカラム[アマシャムバイオサイエンス社製]を用いたクロマトグラフィーで精製した。
抗rh−GGTモノクローナル抗体を用いた免疫学的実験
交通事故患者の同意を得て,摘出されたヒト腎臓(出血による赤血球などの浸潤以外に異常は認められない)をパラフィン包埋後,切片を作製して抗rh−GGTモノクローナル抗体(AGT−1,AGT−3)(以下,「抗GGT中和抗体」,「抗GGT抗体」ともよぶ)を用いた免疫染色とHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色を行った。陽性コントロールにはCSLEX−1抗体(抗Sialyl Leモノクローナル抗体)で免疫染色を行った。その結果を図1,図2に示した。
図1及び図2は,ヒト腎臓を用いたAGT−1(図1)及びAGT−3(図2)の免疫染色結果を示す。図1Aは,AGT−1抗体で免疫染色した結果を示す。図1Bは,HE染色した結果を示す。図1Cは,陽性コントロールであるCSLEX−1抗体で免疫染色した結果を示す。図1Dは,染色を行っていない組織を示す。図2Aは,AGT−3抗体で免疫染色した結果を示す。図2Bは,HE染色した結果を示す。図2Cは,陽性コントロールであるCSLEX−1抗体で免疫染色した結果を示す。図2Dは,染色を行っていない組織を示す。陽性コントロールであるCSLEX−1とGGTは近位尿細管に存在する。図1C及び図2Cで示されたとおり,CSLEX−1が特異的に染色された。そして,図1A及び図2Aで示されたとおり,AGT−1及びAGT−3はバックがあるものの,GSLEX−1と同様に管上皮細胞に陽性であった。このことから,AGT−1及びAGT−3は天然の膜結合型GGTを認識していることがしめされた。
抗rh−GGTモノクローナル抗体による破骨細胞形成阻害
1.マウス骨髄細胞の調製
6〜12週齢のC3H/HeJマウス(日本エスエルシー社)の大腿骨及び頚骨を無菌的に摘出し,それらの骨端を切除してから両端から1回ずつ26Gの針を突き刺して1mLの培地(α−MEM,10%FBS,100U/mLペニシリン,100μg/mLストレプトマイシンを含む。)で骨髄細胞を押し出して,細胞塊をピペッティングした。その後,メッシュ(セルストレーナー:BD Bioscience)で組織残渣を除いてから細胞数(2×10個細胞/mL)を調整してマウス骨髄細胞とした。
2.破骨細胞誘導阻害系
前記マウス骨髄細胞を96ウェルプレートに1ウェル/180μL添加し,それに10μLのrh−GGT(625ng)と抗体(AGT−1とAGT−3及びコントロールIgG抗体)を同時に添加して培養を開始した。3日目に培地の3/4を交換して,前記サンプルも同量を添加し,更に4日間培養した。
3.TRAP(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ)染色
TRAP染色は,破骨細胞の同定法の1つであり,破骨細胞のマーカーであるTRAPを基質で染色する方法である。上記破骨細胞誘導系(プレート)の細胞をアセトン−クエン酸で固定し,酒石酸存在下で,基質(Naphthol AS−MX phosphate)と色素(Past red violet LB salt)を37℃で30分間反応させて染色した。この反応はPBSで反応液を洗い流して乾燥させることによって停止させた(Endcrinology,vol122,p1373,1988)。その結果,破骨細胞培養系でrh−GGTはRANKLを発現誘導することでTRAP陽性細胞(破骨細胞)の形成を促進させた(データ未掲載)。コントロールIgG抗体では,TRAP陽性細胞数に変化はないが,AGT−3の添加では,用量依存的にTRAP陽性細胞数は減少した(データ未掲載)。このことから,AGT−3によって,破骨細胞の誘導(形成)が阻害されることが示された。一方,AGT−1添加では,破骨細胞の形成が促進され,AGT−3添加とは逆の結果となった(データ未掲載)。
大腿骨遠位骨幹部の骨形成阻害
1.胆汁うっ滞性肝疾患ラットモデルの作成
実験には,7週齢Wistar系雄性ラットを各群10匹,合計2群20匹用いた。抱水クロナール(44.8mg/100g B.W.)を用いて全身麻酔下にて腹部の毛を剃り,70%アルコールで消毒後,開腹を行った。コントロール群(Sham ore)はその後,即座に閉腹した。肝線維症及び肝硬変モデルである胆管結紮ラット群(BDL)は,開腹後,総胆管を剖出し5−0絹糸にて2箇所結紮した後,閉腹した。
閉腹直後(0W),1週間後(1W),2週間後(2W)の骨ミネラル密度の測定を測定した(図3)。また,閉腹2週間後,CT撮影装置を用いて大腿骨のμCT3D像を撮影した(図4)。さらに,閉復2週間後の大腿骨遠位骨幹部をHE染色し,界面骨梁面積率,破骨細胞数を測定した(図5)。図3〜図5中,「Sham ope」は胆管結紮を行わず開腹のみをしたコントロールのラットを示す。図3〜図5中「BDL」は,胆管結紮したラットを示す。
図3は,骨ミネラル密度の測定結果を示す。図3中,縦軸は骨ミネラル密度[g/cm]を示し,横軸は胆管結紮直後(0W),1週間後(1W),2週間後(2W)を示す。図3中,Pは棄却率を示す。図3では,縦軸の値が高いほど,骨ミネラル密度が高い,すなわち骨形成が進んでいることを示す。この結果,胆管結札を行っていないラット(Sham ope)は,手術後,骨ミネラル密度が高くなることが示された。それに対して,胆管結紮したラット(BDL)は,手術後,骨ミネラル密度が高くならないことが示された。このことから,胆管結紮することによって,骨形成が阻害されることが示された。
図4は,ラット大腿骨のμCT3D像を示す。図4Aは,胆管結紮していないラットの大腿骨を示す。図4Bは,胆管結紮していないラットの大腿骨の切断面を示す。図4Cは,胆管結紮したラットの大腿骨を示す。図4Dは,胆管結紮したラットの大腿骨の切断面を示す。この結果,胆管結紮したラット(BDL)の大腿骨(図4D)は,胆管結紮していないラット(Sham ope)(図4B)と比較して骨密度が低いことがわかる。このことからも胆管結紮することによって,骨形成が阻害されることが示された。
図5A及び図5Bは,大腿骨遠位骨幹部のHE染色組織を示す。図5Cは,大腿骨遠位骨幹部の海綿骨梁面積率を示す。図5C中,縦軸は骨量(%)を示す。図5Dは,大腿骨遠位骨幹部の破骨細胞数を示す。図5D中,縦軸は1mmあたりの破骨細胞数を示す。図中,Pは棄却率を示す。この結果,胆管結紮したラット(BDL)は,胆管結紮していないラット(Sham ope)と比較して,骨量が低いことが示された(図5C)。そして,胆管結紮したラット(BDL)は,胆管結紮していないラット(Sham ope)と比較して,破骨細胞数が多いことが示された(図5D)。
図3〜図5の結果より,肝線維症及び肝硬変モデルである胆管結紮ラットでは,破骨細胞数が増大し,骨量が低下することが示された。
胆汁うっ滞性肝疾患に伴う高GGT血症が骨組織に及ぼす影響及び抗GGT血症に伴う骨量減少に及ぼす抗GGT中和抗体投与の影響
1−a.胆汁うっ滞性肝疾患ラットモデルの作成
実験には,7週齢Wistar系雄性ラットを各群10匹,合計2群20匹用いた。抱水クロナール(44.8mg/100g B.W.)を用いて全身麻酔下にて腹部の毛を剃り,70%アルコールで消毒後,開腹を行った。コントロール(Sham ope)群はその後,即座に閉腹した。肝線維症及び肝硬変モデルである胆管結紮ラット群は,開腹後,総胆管を剖出し5−0絹糸にて2箇所結紮した後,閉腹した。
1−b.抗rh−GGT中和抗体(AGT−1またはAGT−3)投与
7週齢Wistar系雄性ラット10匹を用いた。抱水クロナール(44.8mg/100gB.W.)を用いて全身麻酔下にて腹部の毛を剃り,70%アルコールで消毒後,開腹して総胆管を剖出し5−0絹糸にて2箇所結紮した後,閉復した。抗rh−GGT中和抗体(AGT−1,AGT−3(0.1mg/200g/day))は,結紮前2日前から実験期間中(2週間)毎日腹腔内に投与した。なお,抗rh−GGT中和抗体AGT−1及びAGT−3は,株式会社エーシーバイオテクノロジーズ社製のものを用いた。BDLラットは,通常1ヶ月で死亡する。しかし,AGT−3を投与したBDLラットは,死亡しないことが明らかとなった。一方,AGT−1を投与したBDLラットは,2週間で死亡することが明らかとなった。
2.抗rh−GGT中和抗体投与による骨形成への影響
実験開始2週間後に,ラットの大腿骨遠位骨幹部のCT撮影及び骨密度測定を行った。図6にその結果を示した。図6A〜図6Cは,ラットの大腿骨遠位骨患部のμCT像を示す。図6Aは,胆管結札を行っていないコントロールのラット(Sham ope)の結果を示す。図6Bは,胆管結紮を行ったラット(BDL)の結果を示す。図6Cは,胆管結札を行い,抗rh−GGT中和抗体(AGT−3)を投与したラット(BDL&AGT−3)の結果を示す。図6Dは,骨密度の結果を示す。
図6の結果より,胆管結紮によって骨密度が減少する(図6B)。しかし,AGT−3を投与することによって骨密度が回復することが示された(図6C)。図5で示したとおり,胆管結紮したラットは,破骨細胞数が増大し,骨量が低下する。すなわち,胆管結紮したラットの骨密度現象は,破骨細胞によるものと考えられる。よって,胆管結紮したラットにAGT−3を投与することによって骨密度が回復することから,AGT−3は破骨細胞形成を阻害することによって骨密度を回復させると考えられる。よって,AGT−3は,破骨細胞形成阻害作用を有するといえる。一方,胆管結紮したラットにAGT−1を投与すると,骨密度は減少し,破骨細胞形成が促進されることが示された(データ未記載)。よって,AGT−1は,破骨細胞形成促進作用を有するといえる。なお,AGT−2及びAGT−4を用いて同様の実験を行ったところ,AGT−2及びAGT−4は,破骨細胞形成に作用しないことが分かった。
3.血清中肝機能マーカーの生化学検査
実験開始2週間後に,断頭により堵殺し血液を採取した。採取した血液を10分間遠心分離機(2.5×10RPM)にかけ,血清を採取し,総ビリルビン,AST(,ALT,γGTP(GGT),ALPを測定した。
図7にその結果を示した。図7AはGGT値,図7BはALT値,図7CはAST値の結果を示す。図7中「2W」は,胆管結札後2週間を示す。図7中,「Sham ope」は胆管結紮を行わず開腹のみをしたコントロールのラットを示す。図7中「BDL」は,胆管結紮したラットを示す。図7中「BDL+AGT−3」は,胆管結紮したラットに抗GGT抗体(AGT−3)を投与したラットを示す。その結果,図7A〜図7Cともに,胆管結紮することによって値が上昇した。胆管結紮により,肝機能マーカーであるAST及びALTがともに上昇していることから,ラットが肝機能障害を起こしていることがわかる。しかし,図7A〜図7Cともに,抗GGT抗体AGT−3を投与することで,各値が低下(回復)した。このことから,抗GGT抗体AGT−3投与により肝機能障害が抑制されることが分かった。よって,本発明の抗GGT抗体は,肝機能障害の治療薬として好適に用いることができる。上記したとおり,胆管結紮したラットは,肝線維症及び肝硬変モデルとして広く用いられている。本発明の抗GGT抗体は,このようなモデル動物の肝機能障害を改善することから,肝線維症及び肝硬変の治療剤としても用いることができると考えられる。
4.組織学的観察
堵殺後に肝臓,大腿骨,上顎骨を摘出し,PLP固定液に1日間浸漬した。肝臓はその後通法に従って,パラフィン切片を作成し,ヘマトキシリン・エオジン染色,TNF−α免疫染色,アザン・マロリー(Azan−Mallory)染色を施した。染色後,光学顕微鏡にてそれぞれの組織学的特徴変化を観察した。その結果を図8(ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色),TNF−α免疫染色),及び図9(アザン・マロリー染色)に示した。
図8は,肝組織切片をHEで染色した結果を示す。図8A〜図8Bは,胆管結紮を行っていないラット(Sham ope)の肝組織切片を示す。図8Aは,HE染色の結果を示す。図8Bは,TNF−α免疫染色の結果を示す。図8C〜図8Fは,胆管結紮を行ったラット(BDL2W)の肝組織切片を示す。図8C,図8E及び図8Fは,HE染色の結果を示す。図8Dは,TNF−α免疫染色の結果を示す。図8G〜図8Jは,胆管結札を行い,かつAGT−3を投与したラット(AGT−3 2W)の肝組織切片を示す。図8G,図8I及び図8Jは,HE染色の結果を示す。図8Hは,TNF−α免疫染色の結果を示す。
図8A及び図8Bより,Sham opeのラットの肝組織には変化が見られなかった。そして,TNF−αの発現は少なく,TNF−α陽性マクロファージ量は非常に少なかった。それに対して,図8C,図8E及び図8Fより,胆管結紮を行ったラット(BDL2W)では,門脈領域の線維化及び中心静脈の膨張が顕著であった。また,肝細胞の顕著なネクローシス及び胆管の増殖がはっきりと認められた。そして,炎症細胞が湿潤している肉芽組織も認められた。さらに,微小膿瘍巣も観察された。図8Dでは,線維組織が増大して,線維組織にTNF−αの発現が認められた。そして,線維性結合組織中には,TNF−α陽性マクロファージが点在していた。胆管結紮を行ったラット(BDL2W)と比較して,胆管結紮後AGT−3を投与したラット(AGT−3 2W)では,胆管結紮によって引き起こされる様々な組織応答(線維組織の増大,TNF−αの発現など)が減少していた(図8G〜図8J)。
図8より,AGT−3によって門脈領域の線維化,中心静脈の膨張,肝細胞のネクローシス,胆管の増殖,炎症細胞が湿潤している肉芽組織,微小膿瘍巣,及びTNF−αの発現が抑制されることが示された。これらの現象は,肝疾患で認められる病態,又は様々な肝疾患を引き起こす病因でもある。このことから,ATG−3は,肝疾患の治療剤及び予防剤として有効に用いることができる。
図9は,アザン・マロリー染色で線維組織のコラーゲン線維を染色した写真である。アザン・マロリー染色では,コラーゲン量に応じて青く染まる。すなわち,青くなるほど線維組織が多い(線維化が進行した)ことを示す。図9A及び図9Bは,胆管結紮を行わなかったラットの肝組織を示す。図9C及び図9Dは,胆管結紮して2週間飼育したラットの肝組織を示す。図9E及び図9Fは,胆管結紮して更にAGT−3抗体を投与して2週間飼育したラットの肝組織を示す。図9B,図9D,図9Fは,それぞれ図9A,図9C,図9Eを拡大して撮影した写真である。
図8及び図9の結果から,AGT−3によって肝組織の線維化が抑制されることが示された。一方,同様の実験をAGT−1で行ったところ,AGT−1を投与したラットでは,肝組織の線維化が促進された(データ未記載)。実験の結果からこのことから,破骨細胞形成阻害作用を有するAGT−3は,肝線維化を抑制することが示された。一方,破骨細胞形成促進作用を有するAGT−1では,肝線維症を促進し,死期を早めることが明らかになった(データ未記載)。なお,破骨細胞形成に影響を及ぼさない抗GGT抗体(AGT−2,AGT−4)は,肝線維症に影響を及ぼさなかった。
上記のとおり,AGT−1とAGT−3は,抗GGT抗体である。しかし,AGT−1が破骨細胞形成を促進するのに対し,AGT−3は破骨細胞形成を阻害する。このように,両抗体は逆の作用を有する。そして,破骨細胞形成に影響を及ぼさない抗GGT抗体(AGT−2,AGT−4)は,肝線維症に影響を及ぼさない。以上より,破骨細胞形成と肝線維化との関係は明らかではないが,破骨細胞形成阻害作用を有する抗GGT抗体は,肝線維化抑制作用を有するといえる。よって,破骨細胞形成阻害作用を有する抗GGT抗体は,肝線維症治療剤又は予防剤として用いることができると考えられる。
上記のとおり,抗GGT抗体であるAGT−1とAGT−3は,反対の作用を有する。よって,AGT−1とAGT−3を組み合わせることで,たとえば一方の抗体の薬効を他方の抗体の作用で調製するような新たな医薬用組成物を得ることが可能になる。
本発明の抗GGT抗体は,破骨細胞形成阻害作用を有し,GGTと結合してGGTの機能を阻害する抗体である。肝組織が障害をうける(肝疾患をわずらう)と,GGTが誘導され,GGT量が増大する。このGGTは,ST−2細胞(骨芽細胞様ストローマ細胞(繊維芽細胞))やRAW細胞(マクロファージ様細胞)にあるGGT受容体に結合し,サイトカインの産出を誘導する。このサイトカインには炎症性サイトカイン(IL−1,IL−6,MIP−1など)が含まれる。そのため,肝疾患によってGGTが増大すると,炎症症状が惹起されうる。このようなGGTによる効果は,GGTと生体内結合タンパク質とが複合体を形成し,その複合体が細胞膜上の受容体に結合することで引き起こされると考えられる。本発明の抗GGT抗体は,GGTと結合タンパク質の複合体に結合することで,その複合体が複合体の受容体に結合することを阻害すると考えられる。このように,本発明の抗GGT抗体は,受容体を介するシグナル伝達を阻害することでGGTによって惹起される症状を抑えることができると考えられる。よって,本発明の抗GGT抗体を用いれば,肝疾患によって惹起される炎症症状などを予防することもできる。
さらに今回の実験で,GGTは,TNF−αを介してアポトーシスを誘導することが明らかになった。そして,AGT−1はアポトーシスを促進し,AGT−3はアポトーシスを抑制することが明らかとなった。この抗GGT抗体によるアポトーシス促進作用又はアポトーシス抑制作用には,TNF−αが関与していることも明らかとなった。このことから,AGT−1又はAGT−3のいずれか又は両方を組み合わせて用いることで,アポトーシスが関連する肝疾患,又はTNF−αが関連する肝疾患などに対して,薬効を調整できる医薬組成物を提供できると考えられる。
本発明は,医薬産業で使用されうる。

Claims (8)

  1. 抗γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)抗体を有効成分として含有する肝線維症治療剤又は予防剤であって,
    前記抗GGT抗体は,
    破骨細胞形成阻害作用を有する抗体である,
    肝線維症治療剤又は予防剤。
  2. 前記抗GGT抗体は,
    AGT−3である,
    請求項1に記載の肝線維症治療剤又は予防剤。
  3. 抗GGT抗体を有効成分として含有する肝硬変治療剤又は予防剤であって,
    前記抗GGT抗体は,
    破骨細胞形成阻害作用を有する抗体である,
    肝硬変治療剤又は予防剤。
  4. 前記抗GGT抗体は,
    AGT−3である,
    請求項3に記載の肝硬変治療剤又は予防剤。
  5. 抗GGT抗体を有効成分として含有する慢性肝炎の治療剤又は予防剤であって,
    前記抗GGT抗体は,
    破骨細胞形成阻害作用を有する抗体である,
    慢性肝炎の治療剤又は予防剤。
  6. 前記抗GGT抗体は,
    AGT−3である,
    請求項5に記載の慢性肝炎の治療剤又は予防剤。
  7. 抗GGT抗体を有効成分として含有する肝線維症又は肝硬変誘発性TNF−α発現抑制剤であって,
    前記抗GGT抗体は,
    破骨細胞形成阻害作用を有する抗体である,
    肝線維症誘発性TNF−α発現抑制剤又は肝硬変誘発性TNF−α発現抑制剤。
  8. 前記抗GGT抗体は,
    AGT−3である,
    請求項7に記載の肝線維症誘発性TNF−α発現抑制剤又は肝硬変誘発性TNF−α発現抑制剤。
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