JPWO2010035686A1 - 昆虫の生息地域特定方法 - Google Patents

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Abstract

同一種類の昆虫において、前記昆虫の生息地域を特定するためのメルクマールの作製方法であって、以下の工程:(a)2又はそれ以上の生息地域由来の、1又はそれ以上の昆虫のDNAの塩基配列を決定する工程;(b)上記工程(a)で決定した塩基配列をアラインメントする工程;(c)上記工程(b)のアラインメントの結果、アラインメントに供した全ての上記塩基配列において保存されている、1又はそれ以上の塩基からなる部位を、上記塩基配列から除外する工程;(d)上記工程(c)の除外の結果、残った部位の全部又はその一部をタイプ識別部位とする工程;(e)上記工程(d)で得られたタイプ識別部位について、互いに対応する塩基を比較し、完全に一致するタイプ識別部位を同一タイプに、そして完全に一致しないタイプ識別部位を別の1又はそれ以上のタイプに、タイプ分けする工程;及び(f)上記工程(e)でタイプ分けされたそれぞれのタイプについて、各タイプに属する昆虫が生息する地域を決定することにより、各タイプのタイプ識別部位をメルクマールとする工程;を含む、前記方法。

Description

本発明は、同一種類の昆虫において、DNA解析により前記昆虫の生息地域を特定するためのメルクマールの作製方法に関する。
わが国は、世界最大の食料輸入国である。この食料には、食品のほか、大豆等の食品原料やとうもろこし等の飼料用穀物等も含まれる。そしてこれら食料がわが国に輸送される経路としては、輸出国からわが国までの輸送経路として飛行機による空輸、船舶による海上輸送が、また、輸出国内での陸路による輸送があげられる。
ところで、輸入した食料を国内の倉庫に保管している際、害虫が発生する場合がある。この原因として、保管倉庫に生息している虫が混入した場合と輸出元あるいは経由地でそこに生息する虫が混入した場合とが考えられ、いかなる経路で害虫が混入したかを追跡することは、安全対策を講じる上で非常に重要である。しかしながら、昆虫の中には、分布域が世界各地に広がっているものもあり、このように、同一形態の昆虫が各地に生息している場合、発生した害虫がどこで混入したのか、つまりその害虫の生息地域を形態上の特徴から判断することは困難であり、その害虫が混入した原因を突き止めることも困難であった。
本発明は、同一種類の昆虫において、DNA解析により前記昆虫の生息地域を特定するためのメルクマールの作製方法を提供する。
上記のように、例えば食料を港湾倉庫に保管している間にコクヌストモドキが発生した場合に、国内に生息していた虫が港湾倉庫で混入したのか、又は輸出元あるいは経由地でそこに生息する虫が混入してきたものかを特定する手段がないのが現状であり、害虫の混入場所を特定する技術の開発が強く望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。そして、日本国内及び世界各地由来のコクヌストモドキのミトコンドリア由来のCOI遺伝子及びND5遺伝子の塩基配列を解析したところ、各塩基配列中に生息地域に特有の多型が存在することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)同一種類の昆虫において、前記昆虫の生息地域を特定するためのメルクマールの作製方法であって、以下の工程:
(a)2又はそれ以上の生息地域由来の、1又はそれ以上の昆虫のDNAの塩基配列を決定する工程;
(b)上記工程(a)で決定した塩基配列をアラインメントする工程;
(c)上記工程(b)のアラインメントの結果、アラインメントに供した全ての上記塩基配列において保存されている、1又はそれ以上の塩基からなる部位を、上記塩基配列から除外する工程;
(d)上記工程(c)の除外の結果、残った部位の全部又はその一部をタイプ識別部位とする工程;
(e)上記工程(d)で得られたタイプ識別部位について、互いに対応する塩基を比較し、完全に一致するタイプ識別部位を同一タイプに、そして完全に一致しないタイプ識別部位を別の1又はそれ以上のタイプに、タイプ分けする工程;及び
(f)上記工程(e)でタイプ分けされた各タイプについて、各タイプに属する昆虫の生息地域から、各タイプの生息地域を決定することにより、各タイプのタイプ識別部位をメルクマールとする工程;を含む、前記方法。
(2) 同一種類の昆虫において、前記昆虫の生息地域がある地域か否かを特定するための地域識別メルクマールの作製方法であって、(1)記載の工程にさらに:
(g)(1)記載の工程(f)で得られたメルクマールについて、互いに対応する塩基を比較し、1のタイプのみに存在し、それ以外のタイプには存在しない塩基を抽出する工程;及び
(h)上記工程(g)で抽出した1又はそれ以上の塩基を、単独で又は複数個組み合わせて地域識別メルクマールとする工程;
を含む、前記方法。
(3)昆虫が鞘翅目に属する昆虫である、(1)又は(2)記載の方法。
(4)昆虫がゴミムシダマシ科に属する昆虫である、(1)〜(3)のいずれか1記載の方法。
(5)昆虫がコクヌストモドキである、(1)〜(4)のいずれか1記載の方法。
(6)DNAがミトコンドリア由来のDNAである、(1)〜(5)のいずれか1記載の方法。
(7)ミトコンドリア由来のDNAがCOI遺伝子及び/又はND5遺伝子である、(6)記載の方法。
(8)(1)〜(7)のいずれか1記載の方法によって得られたメルクマールを有する領域の塩基配列と、被検体である昆虫から得られた塩基配列中の前記メルクマールを有する領域の塩基配列に対応する塩基配列を比較し、被検体の前記塩基配列中のメルクマールに対応する部位の塩基が、メルクマールの塩基と一致するかを解析し、被検体の生息地域を特定することからなる、被検体である昆虫の生息地域を特定するための方法。
(9)(1)〜(7)の何れか1記載の方法によって得られたメルクマールの塩基を表すデータと、前記塩基の塩基配列位置を表すデータとを含むメルクマールテーブルを解析用コンピュータプログラムが動作したコンピュータに格納するステップと、被検体である昆虫から得られた塩基を表すデータを含む被検体塩基配列リストを前記コンピュータに格納するステップと、前記メルクマールテーブルの前記塩基配列位置を表すデータを参照して、被検体塩基配列リストと、前記メルクマールテーブルとの間の対応する塩基配列位置にある塩基を表すデータ同士を前記コンピュータが比較するステップと、を含む、被検体である昆虫の生息地域を特定するための方法。
(10)昆虫が鞘翅目に属する昆虫である、(8)又は(9)記載の方法。
(11)昆虫がゴミムシダマシ科に属する昆虫である、(8)〜(10)のいずれか1記載の方法。
(12)昆虫がコクヌストモドキである、(8)〜(11)のいずれか1記載の方法。
(13)DNAがミトコンドリア由来のDNAである、(8)〜(12)のいずれか1記載の方法。
(14)ミトコンドリア由来のDNAがCOI遺伝子及び/又はND5遺伝子である、(13)記載の方法。
(15)(1)〜(7)の何れか1記載の方法によって得られたメルクマールの塩基を表すデータと、前記塩基の塩基配列位置を表すデータとを含むメルクマールテーブルを備えた、被検体である昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラム。
(16)被検体である昆虫から得られた塩基を表すデータを含む被検体塩基配列リストを格納する手段と、メルクマールテーブルの前記塩基配列位置を表すデータを参照して、被検体塩基配列リストと、前記メルクマールテーブルとの間の対応する塩基配列位置にある塩基を表すデータ同士を比較する手段と、を含む手段としてコンピュータを機能させる、(15)に記載の被検体である昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラム。
(17)(15)又は(16)記載の解析用コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(18)(1)〜(7)のいずれか1記載の方法によって得られたメルクマール。
(19)コクヌストモドキの生息地域が日本国本州か否かを特定するための(2)の作製方法により得られる地域識別メルクマールであって、配列番号1で示されるコクヌストモドキCOI遺伝子由来の塩基配列の5’末端から、第229番目の塩基がG、第253番目の塩基がT、第298番目の塩基がGのいずれか又は2以上であり、及び/又は、配列番号8で示されるコクヌストモドキND5遺伝子由来の塩基配列の5’末端から、第248番目の塩基がAである、前記地域識別メルクマール。
(20)(1)〜(7)のいずれか1項記載の方法により作製されたメルクマールを構成する塩基のうちの少なくとも1の塩基を含む、プライマー。
(21)(1)〜(7)のいずれか1記載の方法により作製されたメルクマールを構成する塩基のうちの少なくとも1の塩基を含む、プローブ。
(22)コクヌストモドキの生息地域が日本国本州か否かを特定するための配列番号17〜29に示される核酸を含む、(20)記載のプライマー。
(23)(20)記載のプライマー及び/又は(21)記載のプローブを用いて、昆虫の生息地域を特定する方法であって、以下の:
(a)被検体である昆虫のDNAを抽出する工程;
(b)前記工程(a)で抽出したDNAを(20)記載のプライマー及び/又は(21)記載のプローブと接触させる工程;
(c)DNA断片を増幅する工程;及び
(d)被検体である昆虫の生息地域を特定する工程;
を含む、前記方法。
(24)(20)記載のプライマー及び(21)記載のプローブを用いて、昆虫の生息地域を特定する方法であって、以下の:
(a)被検体である昆虫のDNAを抽出する工程;
(b)前記工程(a)で抽出したDNAを(20)記載のプライマー及び(21)記載のプローブと接触させる工程;
(c)リアルタイムPCRを用いてDNA断片を増幅する工程;
(d)予めプローブに標識された蛍光物質を検出する工程;及び
(e)被検体である昆虫の生息地域を特定する工程;
を含む、前記方法。
(25)(22)記載のプライマーを用いて、コクヌストモドキの生息地域が日本国本州か否かを識別するための方法であって、以下の:
(a)被検体であるコクヌストモドキのDNAを抽出する工程;
(b)前記工程(a)で抽出したDNAを(22)記載のプライマーと接触させる工程;(c)DNA断片を増幅する工程;及び
(d)被検体であるコクヌストモドキが日本国本州に生息するコクヌストモドキかそれ以外の地域に生息するコクヌストモドキであるかを識別する工程;
を含む、前記方法。
(26)(21)記載のプローブ及び前記プローブを挟んでこれを増幅しうる一対のプライマーを用いて、昆虫の生息地域を特定する方法であって、以下の:
(a)被検体である昆虫のDNAを抽出する工程;
(b)前記工程(a)で抽出したDNAを(21)記載のプローブ及び前記プローブを挟んでこれを増幅しうる一対のプライマーと接触させる工程;
(c)リアルタイムPCRを用いてDNA断片を増幅する工程;
(d)予めプローブに標識された蛍光物質を検出する工程;及び
(e)被検体である昆虫の生息地域を特定する工程;
を含む、前記方法。
コクヌストモドキの生息地域の識別が可能になったことで、食料にコクヌストモドキが混入した場合にその混入地域を推定することにより混入原因を解明することが可能となり、より有効な安全対策を迅速に立てられるようになることが期待できる。
また、本発明の方法により作製されたメルクマールを構成する塩基の情報を用いて、生息地域を識別するためのプライマーやプローブを作製することができる。例えば、本発明のコクヌストモドキが日本国本州に生息するものか否かを特定するための本州産用プライマー及び海外産用プライマーを用いた場合、生息地域が不明のコクヌストモドキから抽出したDNAをテンプレートとしてPCRによる増幅を行うと、例えば、本州産用プライマーが陽性、海外産用プライマーが陰性であれば、該コクヌストモドキは本州産であると判別することができる。このように、当該プライマー及びプローブはまた、昆虫の生息地域を簡便に識別するのに役立つ。
また、加工食品などでは、混入した昆虫のDNAが断片化されていることが多い。DNAが断片化されると、PCR増幅領域が分断されてしまう可能性があり、その場合には、PCRによる増幅ができず、DNA解析もできないため、混入した昆虫の生息地域を判定することができない。そのため、予め解析対象のDNA領域であるPCR増幅断片を短く設定しておくことが望ましい。そのため、本発明のプライマー等はプライマーの領域を除いたPCR増幅産物の大きさを1〜200塩基(bp)、好ましくは1〜100塩基(bp)、さらに好ましくは10〜50塩基(bp)の短いものに設定することができる。このように、本発明のプライマー等を用いれば、上記DNA断片化の影響を極力小さくできる上で好ましい。
本発明では、加熱または加圧処理により人為的にコクヌストモドキのDNAを劣化させた場合や、ガンマ線照射により人為的にコクヌストモドキのDNAを劣化させた場合であっても、PCRによる増幅が観察され、またリアルタイムPCR法による生息地域の識別が可能であった。さらに、飼育中に自然死し、その後室温保管で5ヶ月経過したコクヌストモドキの場合であっても、PCRによる増幅が観察された。これらの結果から、本発明の応用範囲は極めて広いものとなる。
図1は、タイ産1及び沖縄産1のコクヌストモドキのミトコンドリアCOI遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図2は、カナダ産1のコクヌストモドキのミトコンドリアCOI遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図3は、千葉産1、浦和産1及び岡山産1のコクヌストモドキのミトコンドリアCOI遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図4は、タイ産2及びタイ産3のコクヌストモドキのミトコンドリアCOI遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図5は、カナダ産2、カナダ産3、沖縄産2、沖縄産3、千葉産2、千葉産3、岡山産2及び岡山産3、浦和産2、浦和産3のコクヌストモドキのミトコンドリアCOI遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図6は、タイ産4、タイ産5、沖縄産4、沖縄産5、カナダ産4及びカナダ産5のコクヌストモドキのミトコンドリアCOI遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図7は、宝塚産1、宝塚産2及び宝塚産3のコクヌストモドキのミトコンドリアCOI遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図8は、タイ産1のコクヌストモドキのミトコンドリアND5遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図9は、沖縄産1のコクヌストモドキのミトコンドリアND5遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図10は、タイ産2、タイ産3、岡山産1、浦和産1、千葉産1及びカナダ産1のコクヌストモドキのミトコンドリアND5遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図11は、浦和産2、浦和産3、岡山産2、岡山産3、千葉産2、千葉産3、沖縄産2、沖縄産3、カナダ産2及びカナダ産3のコクヌストモドキのミトコンドリアND5遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図12は、宝塚産1、宝塚産2及び宝塚産3のコクヌストモドキのミトコンドリアND5遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図13は、タイ産4、タイ産5、沖縄産4、沖縄産5、カナダ産4及びカナダ産5コクヌストモドキのミトコンドリアND5遺伝子領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図14は、異なるプライマーの組合わせを用いた宝塚産1及びカナダ産1のコクヌストモドキのミトコンドリア領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図15は、異なるプライマーの組合わせを用いた宝塚産1及びカナダ産1のコクヌストモドキのミトコンドリア領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図16は、異なるプライマーの組合わせを用いた宝塚産1及びカナダ産1のコクヌストモドキのミトコンドリア領域のDNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図17は、リアルタイムPCRのデータ解析において本州産の標識に用いた蛍光色素(VIC)の検出結果を示す図である。 図18は、リアルタイムPCRのデータ解析において本州産の標識に用いた蛍光色素(VIC)の検出結果を示す図である。 図19は、リアルタイムPCRのデータ解析において海外産の標識に用いた蛍光色素(FAM)の検出結果を示す図である。 図20は、リアルタイムPCRのデータ解析において海外産の標識に用いた蛍光色素(FAM)の検出結果を示す図である。 図21は、本発明の昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラムの概略図である。 図22は、昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラムに用いるコンピュータの概略図である。 図23は、昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラムに関するコンピュータが作動することを示す図である。 図24は、昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラムに用いるメルクマールテーブルを示す図である。 図25は、加熱または加圧処理により人為的に劣化させたコクヌストモドキ由来DNAの電気泳動のバンドを示す写真である。写真左は方法AのPCR(増幅サイズ435 bp)、写真右は方法BのPCR(増幅サイズ179 bp)の結果を示す。 図26は、自然死したコクヌストモドキ由来DNAの電気泳動のバンドを示す写真である。 図27は、ガンマ線照射により人為的に劣化させたコクヌストモドキ由来DNAの電気泳動のバンドを示す写真である。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、同一種類の昆虫において、前記昆虫の生息地域を特定するためのメルクマールの作製方法、当該メルクマール、当該メルクマールを用いて昆虫の生息地域を特定する方法、前記昆虫の生息地域を特定するためのプライマー及びプローブ及び昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラムに関する。
<本発明の概要>
本発明は、メルクマールを用いて同一種類の昆虫の生息地域を特定することを特徴とする。具体的には、被検体の昆虫のDNAを抽出して、本発明のメルクマールの塩基配列に対応する領域の塩基配列を解析し、当該塩基配列がメルクマールと対応する塩基配列と一致するか否かを解析して、一致する場合は、被検体の昆虫の生息地域をメルクマール由来の生息地域と特定するものである。
<本発明の昆虫>
本発明の「同一種類の昆虫」とは、生息地域に特徴的な形態上の差異が認められない昆虫をいい、同一種の昆虫のみに限定されるものではなく、生息地域に特徴的な形態上の差異が認められない昆虫であればいずれの昆虫であってもメルクマール作製の対象とすることができる。現在の分類学では主として形態の差によって種を分類しているため、同一種に属する昆虫は同一の形態を有する。同一の形態を有する昆虫が世界各地域に分布している場合、これらの昆虫の生息地域をその形態的特徴から特定することは困難であった。本発明では、形態的特徴から容易に生息地域が特定できないような昆虫を分子生物学的観点から迅速かつ簡便にその生息地域を特定することを特徴とするものである。本発明の昆虫は、節足動物門のうちの、昆虫網の大部分を占める有翅昆虫亜網に属するものであり、好ましくは、鞘翅目、双翅目、膜翅目、鱗翅目、半翅目、直翅目、蜻蛉目に属する昆虫であるが、これらに限定されない。より具体的には、上記したように、カブトムシ等の鞘翅目(甲虫目);ハエ、カ、アブ等の双翅目(ハエ目);ハチ、アリ等の膜翅目(ハチ目);チョウやガ等の鱗翅目(チョウ目);セミ、カメムシ等の半翅目(カメムシ目);バッタ、コオロギ等の直翅目(バッタ目)(などの仲間);トンボ等の蜻蛉目(トンボ目)等があげられるがこれらに限定されない。
鞘翅目の中のゴミムシダマシ科(Tenebrionidae)に属するコクヌストモドキ(Tribolium castaneum)は、小麦粉などの穀粉をはじめ、菓子、パン類などその2次加工品の害虫として最も普遍的に知られ、家庭や食品店、製粉工場や飼料工場においてしばしば発生する昆虫であり、アメリカ大陸北部、シベリア、イギリスなどの年平均気温15℃以下の寒冷地を除いて、ほぼ全世界的に分布している。そして国内外を問わず、生息地域に特徴的な形態上の差異は認められないため、本発明の昆虫として好ましい。
本発明のメルクマールの作製に用いる昆虫は、例えば昆虫販売業者や昆虫取扱業者から分譲又は購入することもできるし、倉庫や工場、家屋、あるいは雑木林や草むら等の野外で採集したものや、食料に混入していたものを使用することもできる。なお分譲又は購入、採集等により入手した昆虫は、各由来どうしが混じり合わないように由来ごとに隔離した状態で飼育する。
<本発明の昆虫の生息地域>
本発明の「昆虫の生息地域」とは、昆虫が生息している地をいう。昆虫の生息域と国とは必ずしも一致せず、同一国内であっても海で隔たれた地方や、隣接する地域であっても川や山脈等に隔たれた地域では、昆虫の多様性が見られる場合もある。その一方で、国が異なっても、同一大陸に属する場合は、複数の国にまたがって分子生物学的に同一の昆虫が生育する場合もある。さらに、世界的な輸送手段が発達した結果、空港や港湾等の物資の経由地では、荷積み時に混入した荷積み地域由来の昆虫が生息している場合もある。また、そのような荷積み地域由来の昆虫が混入した荷が、さらに工場等に輸送されて梱包を解かれた結果、当該工場等の周辺地域で生息する場合もある。従って、本発明の「地域」とは、国を基準とするものに加え、大陸、同一国内の地方や地域、空港や港湾等の物資の経由地、及び上記したような倉庫や工場等も含まれる。
<本発明のメルクマール>
本発明の「メルクマール」とは、昆虫の生息地域を特定するための指標をいい、下記に詳しく説明するように、1塩基多型に基づいてタイプ分けしたタイプごとに、相当する生息地域を決定する。なお、1のタイプに相当する生息地域は1地域であっても、また2以上の地域であってもよい。例えば、荷積み時に混入した荷積み地域由来の昆虫が経由地に生息している場合には、荷積み地域に生息する昆虫と経由地に生息する昆虫のタイプ識別部位は同じタイプに属すると考えられ、この場合、1のタイプに荷積み地域と経由地の2地域が相当することになる。また以下の実施例や表1に示すように、1の地域に複数のタイプが存在する場合があってもよい。具体的には、以下に示す表1によれば、日本国本州由来の塩基を除いては、各地域ごとにそれぞれ2種類のハプロタイプが存在することが示されている。ここで、ハプロタイプとは、同じ種類の生体でありながら、相同なDNA上で異なる多型、すなわち、複数の1塩基多型(SNP)を含む塩基配列が異なる箇所全体のパターンを示す場合をいう。例えば、以下に示す表1のうち、日本2タイプの沖縄産2〜5と日本3タイプの沖縄産1、海外1タイプのタイ産1及び3〜5と海外2タイプのタイ産2、海外3タイプのカナダ産1、4及び5と海外4タイプのカナダ産2及び3がハプロタイプの関係にある。このような場合は、1の地域に複数のタイプが存在することになる。
本発明のメルクマール作製に用いる昆虫のDNA塩基配列(以下「シークエンスデータ」ともいう)は、ミトコンドリアDNAに由来するものであっても、核DNAに由来するものであってもよい。特にミトコンドリアDNAの場合には核DNAに比べて塩基置換の起こる速度が速く各生息地域間の差異が多く見出される可能性が高いと考えられ、しかも細胞あたりの数が多く大量に調製できるため、分析が容易であり、好ましい。
本発明のメルクマールの例としては、以下の表1に示すようなメルクマールがあげられる。表1はコクヌストモドキの2つのミトコンドリア遺伝子COI領域及びND5領域における1塩基多型の塩基解析の結果を示し、それぞれの生息地域に特徴的である、多型がCOI領域で15個及びND5領域で5個見られ、現在のところ7タイプにタイプ分けされる。当該メルクマールを用いると、例えば、被検体であるコクヌストモドキのミトコンドリアDNAのCOI領域(379塩基長)とND5領域(473塩基長)を解析し、どのタイプに属するかを判定することによって当該コクヌストモドキが生息する地域を特定することができる。現在判定が可能な地域として、日本国本州、沖縄、タイ、カナダをあげることができるが、さらに他の生息地域に由来するコクヌストモドキのミトコンドリアDNAを解析し多型を調べることにより、メルクマールの種類を増やし、より多くの地域を判定することができる。
<本発明のメルクマールの作製方法>
本発明は、同一種類の昆虫において、前記昆虫の生息地域を特定するためのメルクマールの作製方法に関し、具体的には、以下の工程:
(a)2又はそれ以上の地域由来の、1又はそれ以上の昆虫のDNAの塩基配列を決定する工程;
(b)上記工程(a)で決定した塩基配列をアラインメントする工程;
(c)上記工程(b)のアラインメントの結果、上記塩基配列から、全ての上記塩基配列において保存されている、1又はそれ以上の塩基からなる部位を除外する工程;
(d)上記工程(c)の除外の結果、残った部位の全部又はその一部をタイプ識別部位とする工程;
(e)上記工程(d)で得られたタイプ識別部位について、互いに対応する塩基を比較し、完全に一致するタイプ識別部位を同じタイプに、そして完全に一致しないタイプ識別部位を別の1又はそれ以上のタイプに、タイプ分けする工程;及び
(f)上記工程(e)でタイプ分けされたタイプについて、各タイプに属する昆虫の生息地域から、各タイプの生息地域を決定することにより、各タイプのタイプ識別部位をメルクマールとする工程;
を含む。ただし、本発明はこれらの方法に限定されるものではなく、一般的に知られている他の方法を適宜改変して用いてもよい。
(a)2以上の生息地域由来の1以上の昆虫のDNAの塩基配列を決定する工程
本発明におけるメルクマールの作製には、2又はそれ以上の生息地域由来の、1又はそれ以上の昆虫のDNAを使用する。
本発明の「2又はそれ以上の生息地域由来のDNA」とは、同じ形態を有しかつ互いに生息地域が異なる昆虫のシークエンスデータを2又はそれ以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上用いる。使用する昆虫の生息地域はメルクマールの利用目的に応じて適宜、選択することができるが、各生息地域間での差異が見られるよう、なるべく地理的に隔離されていると考えられる地域ごとに選択するとよい。また、「1又はそれ以上の昆虫のDNA」とは、上記各生息地域由来の昆虫のシークエンスデータを1又はそれ以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上用いることを意味する。それにより、生息地域に特異的でかつ信頼性が高いメルクマールを作製することが可能となるからである。
本発明のメルクマール作製に用いる昆虫のシークエンスデータは、独自に昆虫から抽出したDNAを常法に従って決定した塩基配列でもよい。以下、独自に昆虫からDNAを抽出して塩基配列を決定する方法を例示する。
(1)昆虫の入手
まず、本発明で用いる「DNA」は、昆虫の全体もしくは一部(触角、胸部、翅、脚等)からDNAの抽出することにより行うことができる。好ましくは、ノミバエ等の小型昆虫については、1匹又は数匹の個体全体を使用し、イエバエやそれ以上の体長を有する大型昆虫では、昆虫の体の一部(触角、胸部(又はその筋肉)、前翅、後翅、脚等のいずれか)を使用する。
(2)DNAの抽出
DNAの抽出は、CTAB(Cetyltrimethyl ammonium bromide)法や市販キットのQiagen DNeasy Tissue Kit(キアゲン社)やISOPLANTII(ニッポンジーン社)等の当業界で公知の方法を用いて抽出することができる。操作性と経済性の点からCTAB法が好ましい。
(3)DNA断片の増幅
上記のように抽出したDNAをPCR法により増幅する。本発明で用いるPCR法は特に限定されず、公知のPCR法に加え、種々の改良方法を含む。以下はその一例である。すなわち、プライマーのセット、鋳型DNAの他にTris−HCl、KCl、MgCl、各dNTP、TaqDNAポリメラーゼ等の試薬類を混合してPCR反応液とする。PCRの1サイクルは、熱変性、アニーリング、DNAポリメラーゼによるDNA鎖の延長(合成)反応の3つのステップからなる。各ステップはそれぞれ異なる、場合により同一の反応温度と反応時間を必要とし、これらは増幅すべきDNA領域の塩基配列、その長さ等により適宜決定される。このような操作は市販のthermal cyclerを用いて行うことができる。
本発明に使用するプライマーの一例としては、実施例に記載したような、昆虫の系統解析で用いられる既存のミトコンドリアチトクロームオキシダーゼサブユニット(cytochrome oxidase subunit)I(COI)遺伝子由来のプライマーセット(L6625/H7005(配列番号13及び14))及び/又はNADHデヒドロゲナーゼサブユニット(dehydrogenase subunit)5(ND5)遺
伝子由来のプライマーセット(F6999/R7495(配列番号15及び16))を用いることができる。
また、一部の昆虫種については、既存のプライマーでは目的とするバンドを増幅することができない場合があり、そのような場合は、メルクマールの塩基をはさむ形で、すなわちメルクマールの塩基を含有する領域をはさむ形で、適切なプライマーを設計し、用いる。上記プライマーは、より多くの昆虫種で目的とするバンドを増幅することができるものを選択することが好ましい。
(4)PCRによる増幅の確認
PCRの結果(PCR産物)の評価方法として、特定のDNA断片を同定しうる任意の方法、例えば、電気泳動、ゲルろ過、ハイブリダイゼーションを用いて目的の大きさのDNA断片が増幅されていることを確認する。例えば、上記ミトコンドリアCOI遺伝子由来のプライマーセットを使用した場合は、大きさが435塩基長、同様にND5遺伝子由来のプライマーセットを使用した場合は、大きさが513塩基長が増幅されていることを確認する。
(5)PCR産物の精製
増幅されたPCR産物は、サイクルシークエンス反応の鋳型として用いるために、余剰のプライマー等の反応に用いた成分と分離する。この精製は、例えば、市販のQIAquick PCR Purification Kit(キアゲン社)を使用し、その製品に添付のプロトコールに従って行うことができる。
(6)サイクルシークエンス反応及びシークエンス産物の精製
上記のように精製したPCR産物のシークエンスを行うため、それを鋳型にして、サイクルシークエンス反応を実施する。この方法は、PCR法に類似し、thermal cyclerを用いて、熱変性、アニーリング、DNAポリメラーゼによるDNA鎖の延長反応の3つのステップを繰り返し実施するが、どちらか1種類のプライマーを用い、塩基ごとに異なる4種類の蛍光色素で標識したターミネーター存在下で長さの異なる種々の1本鎖DNAを合成する方法である。サイクルシークエンスの方法は、例えば、市販のBigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(ABI社)を用いてよい。具体的には、当該キットの日本語版プロトコール(p.22「1本鎖DNA、2本鎖DNAのサイクルシークエンス」、p.25「GeneAmpPCR System9700,9600,2700,2400でのサイクルシークエンス」及びp.38−40「スピンカラム(やスピンプレート)での精製法」)に基いて実施することができる。なお、用いるプライマーの塩基配列は、目的のDNA断片のPCRによる増幅に用いるものと同じでよい。すなわち、PCR産物の精製液を必要があれば滅菌蒸留水で希釈したものに、所定の物質を加えて、サイクルシークエンス反応液を作製する。これをPCR用マイクロチューブに入れ、PCR装置にセットし、変性(例えば、96℃、1分)を行った後、変性(例えば、96℃、10秒)、アニーリング(例えば、50℃、5秒)、鎖伸長(例えば、60℃、4分)の反応を例えば25回繰り返す。なお、反応終了後、サンプルをすぐに取り出せない場合には、サンプルブロックの温度を下げて保持してよい。
その後、上記で得られた反応液から、シークエンシング産物、すなわち1本鎖DNAの混合液を精製し、以降のシークエンサーに供する試料を調製する。この方法の一例として、CENTRISEP Spin Column(ABI社)を用いる方法があげられ、添付のプロトコールに従って操作し、目的の試料を得る。
(7)DNA断片のシークエンス
上記Dye Terminator法で得られたシークエンス産物につき、シークエンスを行う。方法としては電気泳動法を用いるのが一般的であり、一例として、ABI PRISM 310 Genetic Analyzerを用いて電気泳動を行い、標識に用いた蛍光物質が塩基ごとに異なることを利用して、レーザー蛍光検出器により順次塩基配列を決定することがあげられる。
(8)塩基配列の解析
決定された塩基配列を解析し、シークエンスデータを得る。例えばミトコンドリアCOI遺伝子及びND5遺伝子由来のプライマーセットの場合、5’側(プライマーL6625、又はF6999側)と3’側(プライマーH7005、又はR7495側)からそれぞれ300〜600塩基の長さのシークエンスデータが得られる。それぞれ得られたシークエンスデータを照合して正確な塩基配列を決定した。
本発明のメルクマールに用いる昆虫のシークエンスデータは、上記のように独自に昆虫から抽出したDNAを常法に従って決定した塩基配列であっても、また公開データベースから得られる既知のシークエンスデータを用いてもよい。既知のシークエンスデータとしては、例えばGeneBank(NIH genetic sequence database)や、DDBJ(DNA Data Bank of Japan)等のデータベースに登録されている昆虫のシークエンスデータを使用することができる。これらのデータベースから検索してダウンロードしたシークエンスデータはそのまま、又は連続した一定領域を取り出してからアラインメント(マルチプルアラインメント解析)に供することができる。その場合、データベースに登録されているシークエンスデータの由来する昆虫の採集地等、その生息地域が確認されているものを用いるのがよい。
(b)塩基配列をアラインメントする工程
上記のようにして得られた実分析の結果や既知データについて、2以上の生息地域ごとに少なくとも1個体の昆虫のシークエンスデータを選択し、上記したアラインメントを行う。
本発明のアラインメントとは、個体ごとに得られた複数の塩基配列を横列に並べ、縦列に相同な座がくるように整列させて、互いに塩基配列の異同を調べることをいう。このような操作は、マルチプルアラインメントともいい、分子生物学の分野で、ある塩基配列中のモチーフの抽出、特定の塩基配列が有する構造又は機能の予測、進化系統樹の作成に慣用されるものである。従って、本発明のアラインメントは、DNAspace(日立ソフト社製)等の解析用コンピュータプログラムを用いる等、これらの解析に通常用いられるいかなる操作も含まれる。本発明においてアラインメントに供するシークエンスデータとしては、20塩基以上、好ましくは50塩基以上、より好ましくは20〜10000塩基、さらに好ましくは50〜5000塩基の長さの塩基配列を用いることができる。
また本発明で用いる、複数の昆虫由来のシークエンスデータは、上記したようにアラインメントに供するため、共通した領域(以下「共通領域」ともいう)を含有するものでなければならない。そのため、例えば、実分析で得られたシークエンスデータすなわち所望のプライマーを用いて増幅されシークエンスされた領域を共通領域と定め、公開データベースからはこの領域を含むシークエンスデータを選択し、そのまま、又は連続した一定領域を取り出して使用する。より具体的には、種や亜種の名称と遺伝子によってコードされる蛋白質(酵素等)の名称等をキーワードにして検索するか、あるいは、実分析で得られたシークエンスデータに基づいて相同性検索(BLAST検索)を行い、実分析で得られたシークエンスデータの領域を有するシークエンスデータで選択しダウンロードする。ダウンロードしたシークエンスデータはそのまま、又は連続した一定領域を取り出してからアラインメント(マルチプルアラインメント解析)に使用することができる。この共通領域の選択にあたっては、特に制限はなく、ミトコンドリアND5遺伝子等の特定の機能又は構造を発現する領域であってもよく、遺伝子として機能していない領域であってもよい。各生息地域間で差異が多く見られる領域が予め分かっている場合は、当該領域を選択するのが好ましい。例えば、ミトコンドリアゲノムは、それ自体コピー数が多いことに加え、修復機能がなく、進化速度が速いため、各生息地域間での差異が多く見出される可能性が高いと考えられ、さらに母性遺伝であり系統関係をより反映しているとされており、好ましい。また、ミトコンドリアCOI遺伝子及びND5遺伝子は進化速度が速く、各生息地域間での差異が多く見出される可能性が高いと考えられ、メルクマールの共通領域として特に好ましい。また当該領域は、PCR法で増幅可能な領域であることが好ましい。例えば、実施例に記載したプライマーを用いて増幅される領域があげられる。また共通領域の大きさは、シークエンスの信頼性が高い約20〜2000塩基、約50〜1000塩基、好ましくは、100〜700塩基、さらに好ましくは100〜500塩基である。
なお、メルクマールを作製するための共通領域は、1の領域に限定されるものではなく、複数の領域を選択することもできる。複数の領域を選択することによってより生息地域特性の高いメルクマールが作製できる。具体的には、以下の実施例に記載するように、コクヌストモドキのCOI遺伝子領域内及びND5遺伝子領域内において配列同士をインターネット上でEMBL−EBIのClustalW2などの解析用コンピュータプログラムを用いてマルチプルアライメント解析を行い、各領域に1塩基多型(SNP)が存在することを確認し、これらを組み合わせることにより、コクヌストモドキの生息地域に特有なメルクマールを作製することができる。
(c)全ての上記塩基配列で保存されている塩基を除外する工程
このようにして、アラインメントした結果、上記塩基配列から、全ての上記塩基配列において保存されている、1又はそれ以上の塩基からなる部位を除外する。このように、全ての上記塩基配列で保存されている塩基の領域を除外することにより、1塩基多型の存在を明確に確認することができ、また、後の工程において1塩基多型に基づくタイプ分けを容易に行うことができる。
具体的には、アラインメントにより得られたデータから、全個体の塩基配列において塩基が保存されている部位を抽出する。「塩基が保存されている」とは、得られたアラインメントデータの縦列が全個体の塩基配列において全て同じ塩基であることを意味する。抽出された部位を全て除外する。保存された部位を全て除外する理由は以下のとおりである。
すなわち、同一形態である昆虫の塩基配列を比較する場合、大部分の塩基が全個体に共通して存在すると考えられる。しかし、本発明では、全個体に共通する部分を除いた1塩基多型の部分に着目することを特徴としており、当該1塩基多型が生息地域と相関性を有することを見出したことに基づいて、メルクマールを作製するものであるからである。
抽出する方法は、全個体の塩基配列において保存された塩基を抽出できる方法であれば、目視、機械操作等どのような方法を用いてもよい。
(d)タイプ識別部位を作製する工程
上記の除外を行った後に残った部位の全部又はその一部をタイプ識別部位とする。本発明のタイプ識別部位は、同一形態であり、かつ、互いに異なる生息地域由来の昆虫の塩基配列全てにおいて、保存されていない塩基の部位の全部又はその一部からなる。「保存されていない塩基」とは、得られたアラインメントデータの縦列が全個体の塩基配列において全て同じ塩基でないことを意味し、1個体由来の塩基でも異なっている場合は保存されているとは判断されない。本発明のメルクマールにおけるタイプ識別部位とは、当該保存されていない塩基から構成されるが、著しく信頼性が低い部位や、生息地域特性にはほとんど関与しないと判断される部位等がある場合は、タイプ識別部位から当該部位を除いてもよい。タイプ識別部位に含まれる塩基数は、1個以上、好ましくは3〜50個、より好ましくは5〜30個、さらに好ましくは15〜30個である。
(e)タイプ分けする工程
その後、全個体の上記タイプ識別部位において、互いに対応する塩基を比較し、タイプ分けする。すなわち、完全に一致するタイプ識別部位を同一タイプに、そして完全に一致しないタイプ識別部位を別の1又はそれ以上のタイプに、タイプ分けする。ここで「完全に一致するタイプ識別部位」とは、タイプ識別部位を構成する全塩基がすべて同じものを意味し、「完全に一致しないタイプ識別部位」とは、タイプ識別部位を構成する全塩基の中で一箇所以上、異なる塩基があるものを意味する。この結果、別のタイプは、1又はそれ以上であってもよい。
(f)メルクマールを作製する工程
最後に、タイプ分けされたそれぞれのタイプについて、各タイプに属する昆虫が由来する生息地域から、各タイプの生息地域を決定することにより、各タイプのタイプ識別部位をメルクマールとすることができる。具体的には、あるタイプに属する昆虫が由来する生息地域及び他のタイプに属する昆虫が由来する生息地域との地理的関係や、あるタイプに属する昆虫の入手方法等の由来などを総合的に判断した上で、あるタイプに相当すると考える生息地域を決定する。
例えば以下の表1に示すようなコクヌストモドキのメルクマールの場合、一例として、日本1タイプに属する昆虫が由来する生息地域は浦和、岡山、千葉、宝塚であり、日本2タイプに属する昆虫が由来する生息地域は沖縄、また日本3タイプに属する昆虫が由来する生息地域も沖縄であり、海外1タイプに属する昆虫が由来する生息地域はタイである。このことから日本1タイプに相当すると考える生息地域は海で隔たれた日本国本州と決定し、日本1タイプのタイプ識別部位を日本国本州のメルクマールと決定することができる。また日本2タイプ及び日本3タイプのタイプ識別部位を沖縄のメルクマールと決定することができる。
なお、本発明のメルクマールは、それまでに蓄積されたシークエンスデータに新たなシークエンスデータを追加して上記メルクマール作製の工程(b)以降を行うことにより、より精度が高いメルクマールに改良していくことができる。例えば、日本国本州の上記浦和、岡山、千葉、宝塚以外の地域に生息する昆虫のシークエンスデータを追加してメルクマールを作製することにより、場合によっては、日本1タイプとは別の本州のメルクマールが追加されることもあり得る。またタイ周辺の地理的に隔離されていない地域に生息する昆虫のシークエンスデータを追加してメルクマールを作製することにより、海外1タイプに相当する地域がタイからタイ及びその周辺地域に変更されることもありうる。
<本発明の地域識別メルクマール>
本発明ではまた、昆虫の生息する地域がある地域か否かを特定するための地域識別メルクマールを作製することもできる。
本発明の「地域識別メルクマール」とは、上記のように、昆虫の生息する地域がある地域か否かを特定するためのメルクマールをいい、例えば、一例としては、被検体である昆虫が日本国本州内を生息地域とするコクヌストモドキか、それ以外の地域に生息するコクヌストモドキかを判断できるようなメルクマールをいう。
本発明の「地域識別メルクマール」は、以下のように作製することができる。すなわち、上記<本発明のメルクマールの作製方法>に記載された方法で得られたメルクマールについて、互いに対応する塩基を比較し、1のタイプのみに存在し、それ以外のタイプには存在しない塩基を抽出する工程及び上記工程で抽出した1又はそれ以上の塩基を、単独で又は複数個組み合わせて地域識別メルクマールとする工程を含む方法である。なお、1のタイプのみに存在し、それ以外のタイプには存在しない塩基であれば本発明の地域識別メルクマールとすることが可能であるが、さらにそれ以外のタイプの塩基が同一である場合には、より精度の高い識別が可能となる。
本発明の地域識別メルクマールの例としては、以下の表1に示すようなメルクマールのうち、例えばCOI領域の第229番目の塩基は、日本1タイプがGであるのに対し、それ以外のタイプではAとなっており「第229番目の塩基がG」は日本1タイプを他のタイプと識別するための指標、すなわち地域識別メルクマールとすることができる。同様に第253番目の塩基がT、及び第298番目の塩基がG、ND5領域の第248番目の塩基がAもそれぞれ日本1タイプに固有の塩基であり日本1タイプを他のタイプと識別するための指標とすることができる。また、例えばCOI領域の第22番目の塩基は、カナダタイプ(海外3タイプ及び海外4タイプ)がTであるのに対し、それ以外のタイプではAとなっており「第22番目の塩基がT」はカナダタイプをそれ以外のタイプと識別するための指標、すなわち地域識別メルクマールとすることができる。同様に第142番目の塩基がGもカナダタイプに固有の塩基であり、カナダタイプをそれ以外のタイプと識別するための指標とすることができる。表1はコクヌストモドキの2つのミトコンドリア遺伝子COI領域及びND5領域における1塩基多型の塩基解析の結果を示す。当該メルクマールを用いると、例えば、被検体であるコクヌストモドキの(1)COI領域の第229番目の塩基がG、第253番目の塩基がT、第298番目の塩基がGのいずれか又は2以上であり、及び/又は、(2)ND5領域の第248番目の塩基がAであれば、当該コクヌストモドキが日本国本州を生息地域とするものであることがわかる。また被検体であるコクヌストモドキのCOI領域の第22番がT及び/又は第142番目の塩基がGであれば、当該コクヌストモドキがカナダを生息地域とするものであることがわかる。
本発明の地域識別メルクマールは、1の地域を特定するメルクマールは1の地域識別メルクマールとは限らず、複数の地域識別メルクマールであってもよい。
<本発明のメルクマールを用いて昆虫の生息地域を特定する方法>
本発明はまた、昆虫の生息地域を特定するための方法を提供する。具体的には、上記本発明のメルクマールを有する領域の塩基配列と、被検体である昆虫から得られた塩基配列中の前記メルクマールを有する領域の塩基配列に対応する塩基配列を比較し、被検体の前記塩基配列中のメルクマールに対応する部位の塩基が、メルクマールの塩基と一致するかを解析し、被検体の生息地域を特定することからなる、被検体である昆虫の生息地域を特定するための方法である。
(a)塩基配列の比較
本発明のメルクマールを用いて昆虫の生息地域を特定する方法では、まず、上記本発明のメルクマールを有する領域の塩基配列と、被検体である昆虫から得られた塩基配列中の前記メルクマールを有する領域の塩基配列に対応する塩基配列を比較する。
比較は、視覚的検査や数学的計算により行うことができる。又は、コンピュータプログラムを用いることもできる。
以下に、具体的な比較の方法を、解析用コンピュータプログラムを用いた場合について例示する。すなわち、上記の方法により得られたメルクマールの塩基を表すデータと、前記塩基の塩基配列位置を表すデータとを含むメルクマールテーブルを予め、SeqScape(ABI社)等の解析用コンピュータプログラムが動作したコンピュータに格納する。格納するメルクマールテーブルは1つでも又は複数であってもよい。そして、被検体である昆虫から得られた塩基を表すデータを含む被検体塩基配列のリストを前記コンピュータに格納する。被検体由来の塩基配列については、上記<本発明のメルクマールの作製方法>「(a)2以上の生息地域由来の1以上の昆虫のDNAの塩基配列を決定する工程」に記載したのと同様の方法で、DNAを抽出し、被検体の塩基配列を解析することにより得ることができる。この場合、被検体の塩基配列は、基準とするメルクマールと同じ領域を含むものを調製する。そして、前記メルクマールテーブルの前記塩基配列位置を表すデータを参照して、被検体塩基配列リストと、前記メルクマールテーブルとの間の対応する塩基配列位置にある塩基を表すデータを前記コンピュータで比較させる。比較は、前記解析用コンピュータプログラムにより両者の塩基配列をアラインメントすることにより行うことができる。
(b)メルクマールと被検体の塩基の解析
本発明のメルクマールを用いて昆虫の生息地域を特定する方法では、上記の(a)の比較の後、被検体の前記塩基配列中のメルクマールに対応する部位の塩基が、メルクマールの塩基と一致するかを解析することにより、被検体の生息地域を特定する。
具体的には、被検体の塩基配列中のメルクマールに相当する部位の塩基と前記メルクマールの塩基が完全に一致するかを解析し、完全に一致する場合は、被検体は前記メルクマールが属する生息地域由来の昆虫であるといえる。また、完全一致しない場合であっても、被検体の生息地域を予測することができる。例えば、メルクマールの塩基のうち1又は数個が一致しない場合であってもそれ以外の塩基が一致する場合は、そのメルクマールの生息地域からある程度、地域を予測できる場合もある。
このように、本発明のメルクマールを用いると、被検体である昆虫の生息地域を特定することができる。コンピュータを用いて解析をする場合、予め複数の生息地域に関するメルクマールを有する領域の塩基配列が記録されている場合は、被検体の塩基配列を各生息地域の塩基配列と順次、比較・解析を行うことにより、簡易かつ迅速に被検体である昆虫の生息地域を特定することができる。
なお、メルクマールとして決定した特定の塩基をマーキングする等の標識することにより、上記した比較を容易に実行することもできる。すなわち、まず、着色された対照の塩基(メルクマール)を有する塩基配列と、被検体由来の塩基配列のアラインメントを行った後に、着色された塩基だけを抜き出して両者を比較した表を作成する。これにより塩基の種類と存在する位置の全てが一致するか否かの識別が容易になり、被検体である昆虫がそのメルクマールの生息地域に属するか否かということが容易に識別できる。なお、この方法は複数の被検体についての解析も同時にできるため好ましい。
<昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラム>
本発明は、コンピュータに、本発明の昆虫の生息地域を特定するための手順を実行させる解析用コンピュータプログラムをも提供する。
本発明のメルクマールを用いて昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラムは、メルクマールの塩基を表すデータ、及び前記塩基の塩基配列位置を示すデータを含むメルクマールテーブルを備えている。具体的には、解析に用いるホストコンピュータを、被検体である昆虫から得られた塩基を表すデータを含む被検体塩基配列リストを格納する手段(1)と、前記メルクマールテーブルの前記塩基配列位置を示すデータを参照して、被検体塩基配列リストと、前記メルクマールテーブルとの間の対応する塩基配列位置にある塩基を表すデータ同士を比較する手段(2)とを含む手段として、上記昆虫の生息地域の特定を実行するためにそのハードウェア資源を相互に協調させて機能させることができるコンピュータ用のプログラムである(図21)。本発明に関する上記コンピュータは、入力装置(3)、出力装置(4)、記憶装置(5)、及びCPU(6)等、一般的なハードウェア資源を備えている(図22)。本発明の手段が当該ハードウェア資源の組み合わせにより実現できることは、当業者には明らかであろう。
上記本発明の解析用コンピュータプログラムを用いて昆虫の生息地域を特定するためには、昆虫の各生息地域に関連した複数のメルクマールテーブルを備えていることが望ましい。ここで、1つのメルクマールテーブルは、1つの生息地域にのみ関連することも、2つ以上の生息地域に関連することもできる。また、本発明の解析用コンピュータプログラムは、ネットワークに接続されたコンピュータがアクセス可能な情報記憶手段(ROM、RAM等)に格納され、コンピュータを上記生息地域の特定に必要な手段として機能させ、必要な処理を実行させることができる。従って、本発明の解析用コンピュータプログラムは、本発明において使用するコンピュータ上、又はネットワークを介して利用できるような任意のプログラム言語で記載することができる。具体的には、SeqScape(ABI社)等の解析用コンピュータプログラムが動作したコンピュータに、各昆虫の生息地域ごとのメルクマールが格納されたものを用いてもよい。または、本発明の解析用コンピュータプログラムは、コンピュータを以下のように作動させることができるプログラムであってもよい。(図23)。すなわち、メルクマールテーブルは少なくとも1つ以上存在し、予めコンピュータの記憶装置に格納されているか、または格納することができ(S0)、各々は番号で区別できる。また、メルクマールテーブルは、塩基配列中のメルクマールの塩基を表すデータを第1の列として、前記の塩基の塩基配列位置を示すデータを第2の列として含む(図24)。例えば、塩基A、T、G、Cは、それぞれアスキーコードの「A」「T」「G」「C」にコード化してデータとして表すことができる。なお、本明細書及び図面中、m番目のメルクマールテーブルの第r行第c列のデータを、「メルクマールm[c][r]」と表記する。
(i)被検体塩基配列リストが記憶装置に格納される(S1)。なお、被検体塩基配列リストは、被検体である昆虫から得られた塩基を表すデータを含む(図24)。なお、n番目のデータは、塩基配列位置nの塩基に対応している。被検体塩基配列リストのn番目のデータを、「被検体塩基配列[n]」と表記する。
(ii)記憶装置に記憶されている1つ以上のメルクマールテーブルのうち、1つを選択する。この処理は、例えばプログラム上では、比較するメルクマールテーブルの番号を示す変数mに、適当な値(ここでは、値1)を代入することで実現できる(S2)。
(iii)m番目のメルクマールテーブルの全ての行の第1の列のデータと、それに対応する被検体塩基配列リストのデータとを比較する。この対応関係は、メルクマールテーブルの第2の列を参照することにより解決できる(図24)。当該処理は、例えばプログラム上では、参照すべきメルクマールテーブルの行を示す変数rを用いて、ループ処理をすることで実現できる(S3〜S8)。
(iv)(iii)において、m番目のメルクマールテーブルの全ての行を比較した後、比較したデータが全て一致した場合、このメルクマールテーブルに関連している地域を、被検体である昆虫の生息地域として特定できる。この場合、生息地域を特定できた場合の処理を実行する(S10)。当該処理は、出力装置によるこのメルクマールテーブルに関連している地域の通知をすること等である。
(v)(iii)において、m番目のメルクマールテーブルに対する比較中、一度でも不一致のデータ同士が存在した場合、別のメルクマールテーブルに対し(iii)の処理を繰り返す(S12)。既に全てのメルクマールテーブルについて繰り返していた場合(S11)、完全一致するメルクマールテーブルがなかったときの処理を実行する(S13)。この処理は、出力装置による適当なメッセージの通知をすること等である。
<本発明のメルクマールを用いて昆虫の生息地域を特定する方法>(b)で説明しているように、メルクマールの塩基配列と被検体である昆虫のメルクマールに対応する領域の塩基配列とが完全一致しない場合であっても、被検体の生息地域を予測することができる。例えば、メルクマールの塩基のうち1又は数個が一致しない場合であってもそれ以外の塩基が一致する場合は、そのメルクマールの生息地域からある程度、地域を予測できる場合もある。従って、本発明の上記解析用コンピュータプログラムにおいては、メルクマールテーブルではなく、メルクマール中の、ある生息地域の昆虫においてのみ保存されている塩基を表すデータと、前記塩基の塩基配列位置を示すデータとを含む保存領域テーブルに対して上記の処理を実行することにより、被検体である昆虫の生息地域を特定することもできる。この保存領域テーブルのデータ構造は、メルクマールテーブルと同一である。
なお、本発明の解析用コンピュータプログラムをコンピュータ上で動作させるためには、本発明の解析用コンピュータプログラムの他に、通常のコンピュータネットワークを介して利用するのに必要なプログラム、例えば周知のオペレーティングシステム(OS)やインターネットブラウザプログラム等も使用される。周知のオペレーティングシステムには、Windows(登録商標)、Mac OS、Linux、FreeBSD、Solaris等があげられるが、これらに限定されない。
また、本発明の解析用コンピュータプログラムは、昆虫ごと、生息地域ごと等のメルクマールの標準データ及びそれを用いて特定を行うプログラムを分類ごとに格納して保存しておくことができる。これにより、被検体の生息する地域の特定を迅速に行うことができるため、好ましい。
<コンピュータ読み取り可能な記録媒体>
本発明の解析用コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体又はコンピュータに接続しうる記憶手段に記録しておくことができ、必要に応じて読み取ることにより、コンピュータ上で動作させ、使用することができる。従って、本発明の解析用コンピュータプログラムを含有するコンピュータ用記録媒体又は記憶手段も本発明に包含される。このような記録媒体又は記憶手段には、フレキシブルディスク、ハードディスク、メモリストレージ等の磁気的媒体、CD、DVD等の光学的媒体、MO、MD等の磁気光学的媒体などがあるが、これらに限定されない。
また、本発明の解析用コンピュータプログラムは、情報伝送媒体を介して又はワイヤレスでネットワーク接続された別のコンピュータから必要に応じてダウンロードすることにより、コンピュータ上で実行させ、使用することができる。情報伝送媒体とは、本発明の解析用コンピュータプログラムを、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体をいい、このような情報伝送媒体としては、10BASE−Tケーブル、100BASE−TXケーブル、1000BASE−TXケーブル等があげられるが、これらに限定されない。
本発明の解析用コンピュータプログラムは、情報伝送媒体を介して又はワイヤレスでネットワーク接続された別のコンピュータ上で動作させて、コンピュータ上で動作するクライアントプログラムによってアクセスすることにより、使用することができる。コンピュータネットワークシステムとしては、LAN(Local Area Network)、インターネット等のWAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、イントラネット、SAN(Storage Area Network)、無線通信ネットワーク等のシステムがあげられるがこれらに限定されない。通信媒体としては、光ファイバーや無線回線等があげられるが、これらに限定されない。クライアントプログラムとしては、WEBブラウザ、ターミナルソフト、本解析用コンピュータプログラム専用のクライアントソフト等があげられるが、これらに限定されない。
<昆虫の生息地域を特定する方法に用いるプライマー及びプローブ>
本発明はまた、昆虫の生息地域を特定する方法に用いるプライマー及びプローブを提供する。
本発明のメルクマールの1塩基多型が認められる塩基のうち、ある生息地域に特異的な塩基を選択して、当該塩基を中心にプライマー及びプローブを設計することができる。このプライマー及びプローブを用いて、被検体の昆虫由来のDNAをテンプレートとしてPCRによる増幅を行うと、増幅された場合(陽性)をその生息地域由来の昆虫と特定することができ、増幅がされなかった場合(陰性)は当該生息地域由来の昆虫ではないことがわかる。ある生息地域に特異的な塩基は、具体的には、上記<本発明の地域識別メルクマール>に記載された方法で選択することができる。
例えば、表1のコクヌストモドキのCOI遺伝子の解析領域において、5’末端から第229番目と298番目の塩基に1塩基多型が認められる。すなわち、日本1タイプでは、これらの塩基がGであるのに対し、日本国本州以外の地域に生息するもの(以後、「海外産」と記載することもある)は、これらの塩基はAである。この違いに着目して、以下の実施例に記載するように、例えば、日本1タイプに特異的なプライマー(以後、「本州産用プライマー」と記載することもある)及び海外産に特異的なプライマー(以後、「海外産用プライマー」と記載することもある)を設計することができる。具体的には、以下の実施例に示す配列番号17〜24に示される核酸を含むプライマーを設計することができる。このように、本発明の上記1塩基多型における塩基の違いがA及びGであることから、本州産用プライマーで陽性を示し、かつ海外産用プライマーで陰性を示したものは、日本国本州に生息しているものであることがより精度よく特定できるため、好ましい。すなわち、1のタイプのみに存在し、それ以外のタイプには存在しない塩基であれば本発明のプライマーとすることが可能であるが、さらにそれ以外のタイプの塩基が同一である場合には、より精度の高い識別が可能となる。
本発明のプライマーは、具体的に、コクヌストモドキが日本国本州に生息しているものか否かを特定することもできる。具体的には、上記プライマーの対を適宜組合わせたり、各プライマーに含まれる塩基を改変等することにより、コクヌストモドキが日本国本州に生息しているものか否かを特定するプライマーを作製することができる。例えば、表1に示すように、コクヌストモドキのND5遺伝子の解析領域においては、5’末端から第248番目の塩基が日本1タイプではAであるのに対し、海外産ではGであり、以下の実施例に記載された配列番号25〜29に示される核酸を含むプライマー及び共通のプライマー(3’側)を設計することができる。このようなプライマー及びプローブを用いて、日本1タイプ、すなわち日本国本州に生息する昆虫由来のDNAのみで陽性であり、それ以外の地域由来の昆虫由来のDNAでは陰性であるプライマー及びプローブを作製することができる。例えば、この日本1タイプにのみ陽性結果をもたらすプライマーを用いることにより、被検体である昆虫が日本国本州に生息しているものか否かを特定することができる。
<本発明のプライマーやプローブを用いて、昆虫の生息地域を特定する方法>
本発明は、上記プライマーやプローブを用いて、昆虫の生息地域を特定する方法を提供する。具体的には、(a)被検体である昆虫のDNAを抽出する工程;(b)前記工程(a)で抽出したDNAを本発明のプライマー及び/又はプローブと接触させる工程;(c)DNA断片を増幅する工程;及び(d)被検体である昆虫の生息地域を特定する工程;を含む方法である。以下、各工程を具体的に説明する。
(a)被検体である昆虫のDNAを抽出する工程は、上記<本発明のメルクマールの作製方法>「(a)2以上の生息地域由来の1以上の昆虫のDNAの塩基配列を決定する工程」のうち、「(2)DNAの抽出」に記載したのと同様の方法で、DNAを抽出することができる。
(b)抽出したDNAを本発明のプライマー及び/又はプローブと接触させる工程
PCRの増幅反応に適する条件で接触させるのであれば、どのような方法を用いることができ、市販のキット等を用いてもよい。例えば、PerfectShot Ex Taq (Loading dye mix)(タカラバイオ株式会社)を用い、添付のマニュアルに準じてPCR反応液(50μl;0.2ml容のマイクロチューブ)を調製し、適当な終濃度となるように、プライマー及び/又はプローブとテンプレート(鋳型DNA)を添加してPCR反応液とすることができる。
(c)DNA断片を増幅する工程
DNA断片の増幅は、公知の方法を用いてよい。例えばリアルタイムPCRを用いることもできる。PCRの増幅条件としては、陽性になるべきプライマー及び/又はプローブと鋳型が増幅する条件であれば、どのような条件も用いることができる。例えば、上記のPCR反応液を用いて、94℃、3分間の変性を行った後、変性(94℃、30秒)、アニーリング(55℃、45秒)、鎖伸長(72℃、60秒)の反応を40回繰り返すようなPCR条件で行ってもよい。
(d)被検体である昆虫の生息地域を特定する工程
被検体である昆虫の生息地域を特定するには、上記(c)で行ったPCRによる増幅の有無を確認し、その結果を解析することを行う。
具体的には、上記で得られたPCR反応液の適当量を適当な条件でアガロースゲル電気泳動に供した後、臭化エチジウム溶液中で染色して、UV照射下で増幅産物の写真撮影を行い、目的のDNA断片が増幅されているか否かを確認する。例えば、コクヌストモドキのCOI遺伝子の期待される大きさは110塩基長であり、ND5遺伝子の期待される大きさは139塩基長である。増幅された場合は、目的とするDNA断片のバンドが目視できるため、バンドが目視された場合は、被検体由来のDNAは当該プライマーに対して陽性であると認められ、被検体である昆虫は、当該プライマーの生息地域に由来する昆虫であると特定することができる。
本発明はまた、工程(c)のDNA断片を増幅する工程として、リアルタイムPCR法を用いることもできる。この場合、本発明のメルクマールの1塩基多型が認められる塩基のうち、ある生息地域に特異的な塩基を選択して、当該塩基を中心にして設計し、合成したプローブ及びプライマーを用いることができる。例えば、プライマー及びプローブの設計及び合成にはABI社のCustom TaqMan(R) Gene Expression/SNP Genotyping Assaysサービスを利用してもよい。このABI社のTaqMan(登録商標)MGBプローブを用いる場合の原理を以下に説明する。
まず、ゲノム上でSNPを含む領域を増幅できるPCRプライマーを1セットとゲノムDNAの1塩基変異に対応するTaqman(登録商標)MGBプローブを2種類用意する。基本的には、当該プライマーとアレル1とアレル2に相補的な配列を有する2種類のTaqman(登録商標)MGBプローブ、鋳型DNAを混合し、PCRを行い、2種類のアレルのSNPを検出する。具体的に、本発明で用いるプローブは、5’末端をFAM又はVICのリポーター蛍光色素でラベルしたほか、さらに3’末端に非蛍光性クエンチャー(NFQ)とMinor Groove Binder(MGB)をつけたものである。すなわち、このプローブが単体で存在している場合、リポーター励起光(488nm)を照射するとリポーター蛍光色素が励起し蛍光(530−560nm前後)を発するが、このリポーターの蛍光波長がクエンチャーに吸収され、しかもクエンチャーは蛍光を発しないため、リポーターの蛍光が抑制される。このTaqMan(登録商標)MGBプローブをPCR反応に用いると、伸長ステップでPCRプライマーと共に鋳型DNAにハイブリダイズした当該プローブが、AmpliTaq DNAポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性により加水分解される。その結果、リポーター蛍光色素が遊離し、リポーターの蛍光強度が増加するのに加え、NFQについているMGBがプローブと鋳型DNAがハイブリダイズした小さな溝(隙間)に入り込んで結合する。これにより、プローブと鋳型DNAの結合力が高まり、Tm値が上昇する。Tm値が上がると短い配列でも、1塩基の差をより明確に識別することが可能になる。PCRの結果は、予めプローブに標識されている蛍光物質を検出する検出器を用いて、増幅の有無を確認することにより得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
1.昆虫からのシークエンスデータ
(ア)昆虫
DNA抽出に用いた昆虫は、鞘翅目ゴミムシダマシ科に属するコクヌストモドキであり、日本を含む世界各地に生息し同一形態である昆虫として、また、小麦粉などの穀粉の大害虫として最も普遍的に知られる。本実施例で用いたコクヌストモドキは7地域に生息していたものを採集し、それぞれ個別に飼育したものである。その内訳は、千葉県内の新築家屋にて採集された千葉産、浦和の野外にて採集された浦和産、岡山県内の新築ではない家屋にて採集された岡山産、住化テクノサービス社が宝塚にて採集し、飼育したものを購入した宝塚産、沖縄県内で採集された沖縄産、2006年5月にタイで購入したカシューナッツに混入していたタイ産、カナダから香港に輸出された小麦粉に混入していたカナダ産である。DNAの抽出には、通常、これらの昆虫の全体を用いた。
(イ)DNA抽出
DNA抽出にあたっては、以下に説明するように、CTAB法を用いて抽出したDNAをPCRで増幅して、シークエンスを行い、シークエンスデータを得た。
CTAB法によるDNAの抽出方法は以下のとおりである。
2%(w/v)CTAB(Calbiochem社製)、100mM Tris−HCl(pH8.0)、20mM EDTA(pH8.0)、1.4M NaCl、1%(w/v)PVP(Polyvinylpyrrolidone)を組成とするCTAB液を調製した。このCTAB液650μlを昆虫の検体と共にマイクロホモジナイザーに入れた。次に、この検体とCTAB液の入ったマイクロホモジナイザーを内部の試料が浸るように65℃の恒温水槽に漬けて10分間インキュベートした。続いてマイクロホモジナイザーのガラス管(底が磨りガラス状)とセットになった、先端が球状で磨りガラスになったガラス棒(ガラス管の底に合うように加工されたもの)で検体をすりつぶした後、1mg/ml RNaseA溶液2μlを加え、65℃、1時間インキュベートして昆虫の細胞を破砕した。これを、1.5ml容のマイクロチューブに移し変え、等量(650μl)のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)を加え、手で3分間転倒混和した。短時間の遠心分離(Beckman Allegra 21R Centrifuge F2402H;15,000rpm(約15,000×g)で1〜5分間))を行い、有機溶媒層(下層)と水層(上層)に分画し、水層(約400μl)を新しいチューブに移した。等量のイソプロピルアルコールを加え、転倒混和後、上記と同様に遠心分離を行った。上清を捨て、沈殿を70%エタノールでリンスし、乾燥させたものを、20〜50μlのTEバッファーに溶解してDNA試料とした。
(ウ)PCR
DNA断片の増幅は、PerfectShot Ex Taq (Loading dye mix)(タカラバイオ株式会社)を用い、添付のマニュアルに準じてPCR反応液(50μl;0.2ml容のマイクロチューブ)を調製した。ただし、プライマーとテンプレート(鋳型DNA)の添加量(終濃度)、及びPCR条件は以下のようにした。
1)ミトコンドリアCOI遺伝子の解析
プライマーセット;
L6625 5’−CCGGATCCTTYTGRTTYTTYGGNCAYCC−3’(配列番号13)1μM
H7005 5’−CCGGATCCACANCRTARTANGTRTCRTG−3’(配列番号14)1μM

テンプレート;1μl/50μl反応液
このマイクロチューブをPCR装置(DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR System 9600;
旧Perkin Elmer社製又はTaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL)にセットして、PCR増幅を以下の条件で行った。
変性:94℃、1分
アニーリング:60℃、1分
鎖伸長:70℃、2分
上記反応を50回繰り返した。なお、反応終了後、サンプルをすぐに取り出せない場合には、サンプルブロックの温度を4℃に下げて保持した。
2)ミトコンドリアND5遺伝子の解析
プライマーセット;
F6999 5’−AAACAGTTAAAMCARTWGAA−3’(配列番号15)1μM
R7495 5’−CCTGTWTCWDCTTTAGTWCA−3’(配列番号16)1μM

テンプレート;1μl/50μl反応液
このマイクロチューブをPCR装置(DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR System 9600;旧Perkin Elmer社製又はTaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL)にセットして、PCR増幅を以下の条件で行った。
プレ変性:94℃、3分間
変性:94℃、30秒
アニーリング:45℃、45秒
鎖伸長:72℃、60秒
プレ変性以外の上記反応を40回繰り返した。なお、反応終了後、サンプルをすぐに取り出せない場合には、サンプルブロックの温度を4℃に下げて保持した。
(エ)PCRによる増幅の確認
上記で得られたPCR反応液の5μlをアガロースゲル電気泳動に供した。この際、ミニゲル電気泳動システム「Mupid」を用いて電気泳動を実施(ゲル;3%NuSieve3:1Agarose(FMCバイオプロダクツ社製、又はCambrex Bio Science Rockland社製、泳動条件;100V、30分)し、2μg/ml臭化エチジウム溶液中で約40分間染色後、UV照射下で増幅産物の写真撮影を行い、目的のDNA断片(大きさが、COI;435塩基長、ND5;513塩基長)が増幅されていることを確認した(図1〜7(COI)、図8〜13(ND5)で、それぞれ囲ったバンド)。
図1のレーン1はタイ産コクヌストモドキ−1を、レーン2は沖縄産コクヌストモドキ−1を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMは100塩基長のladder marker(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図2のレーン1はカナダ産コクヌストモドキ−1を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図3のレーン1は千葉産コクヌストモドキ−1を、レーン2は浦和産コクヌストモドキ−1を、レーン3は岡山産コクヌストモドキ−1を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図4のレーン1はタイ産コクヌストモドキ−2を、レーン2はタイ産コクヌストモドキ−3を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図5のレーン1〜10はそれぞれ、コクヌストモドキのカナダ産−2、−3、沖縄産−2、−3、千葉産−2、−3、岡山産−2、−3、浦和産−2、−3を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)をそれぞれ示す。図6のレーン1〜6はそれぞれ、タイ産コクヌストモドキ−4、−5、沖縄産コクヌストモドキ−4、−5、カナダ産コクヌストモドキ−4、−5を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図7のレーン1は宝塚産コクヌストモドキ−1を、レーン2は宝塚産コクヌストモドキ−2を、レーン3は宝塚産コクヌストモドキ−3を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図8のレーン1はタイ産コクヌストモドキ−1を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図9のレーン1は沖縄産コクヌストモドキ−1を、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図10のレーン1〜6は、タイ産コクヌストモドキ−2、−3、岡山産コクヌストモドキ−1、浦和産コクヌストモドキ−1、千葉産コクヌストモドキ−1、カナダ産コクヌストモドキ−1を、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図11のレーン1〜10は、コクヌストモドキの浦和産−2、−3、岡山産−2、−3、千葉産−2、−3、沖縄産−2、−3、カナダ産−2、−3を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図12のレーン1〜3は、宝塚産コクヌストモドキ−1、−2、−3を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。図13のレーン1〜6は、コクヌストモドキのタイ産−4、−5、沖縄産−4、−5、カナダ産−4、−5を、レーンBは鋳型を添加していないブランクを、レーンMはサイズマーカー(100−bp ladder)を、それぞれ示す。
(オ)PCR産物の精製
上記PCR産物の精製にはQIAquick PCR Purification Kit(50)(キアゲン社)を使用し、プロトコ−ルに基づいて以下の方法で行った。すなわち、PCR反応液(残量約45μl)にPBI緩衝液を5倍量(225μl)加えて、混和した。次に、この液をQIA quickspinに入れ、13,000rpm(約11,000×g)で1分間遠心分離した。ろ液を捨て、750μlPE緩衝液を添加した後、13,000rpmで1分間遠心分離した。ろ液を捨て、再度14,000rpm(約13,000×g)で1分間遠心分離した。ろ液を捨て、新しい1.5ml容のマイクロチューブにカラムを移し、30μlEB緩衝液を添加し、1分間放置後、13,000rpmで2分間遠心分離して、ろ液をサンプルとした。
(カ)サイクルシークエンス反応及びシークエンス産物の精製
BigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(ABI社)を用い、その日本語版プロトコール(第22頁「1本鎖DNA、2本鎖DNAのサイクルシークエンス」、第25頁「GeneAmp PCR System9700、9600、2700、2400でのサイクルシークエンス」及び第38〜40頁「スピンカラム(やスピンプレート)での精製法」)に基いて以下のように実施した。なお、用いたプライマーの塩基配列は、目的のDNA断片のPCRによる増幅に用いたものと同じである。すなわち、PCR産物の精製液を5〜20ng/μlになるように滅菌蒸留水で希釈し、このうちの2μlにSequence premix(Big dye)を8μlと1μMに希釈した上記プライマー;L6625、H7005(COI領域解析用)、又はF6999、R7495(ND5領域解析用)をそれぞれ単独で3.2μl添加し、滅菌蒸留水にて最終20μlに調整したサイクルシークエンス反応液を得た。これを0.2ml容のマイクロチューブ(PCR用)に入れ、PCR装置(DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR System 9600;旧Perkin Elmer社製)にセットして、変性(96℃、1分)を行った後、変性(96℃、10秒)、アニーリング(50℃、5秒)、鎖伸長(60℃、4分)の反応を25回繰り返した。なお、反応終了後、サンプルをすぐに取り出せない場合には、サンプルブロックの温度を4℃に下げて保持した。
シークエンス産物は、CENTRI-SEP SpinColumn(ABI社)にて精製した。すなわち、充填剤を室温で2時間以上膨潤させて前処理の完了しているCENTRI-SEP SpinColumnの中心部に上記シークエンス産物(約20μl)を載せるように添加し、1.5ml容のマイクロチューブを下部に受け、2,700rpm(約500×g)、2分間遠心分離を行い、マイクロチューブ内に集まった溶液を精製DNAとして回収した。この溶液を減圧下で乾燥させた後、20μlのTSR又はHi−Diホルムアミドを添加し、10分間程度放置した後、よく混和した。この液を0.2ml容のマイクロチューブ(PCR用)に移し、DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR System 9600にて変性(95℃、2分)を行い、直ちに氷中に挿入して急冷し、そのまま10分間以上放置した。
(キ)DNAシークエンス
ABI PRISM 310 Genetic Analyzerを使用し、「ABI PRISM 310 Genetic Analyzer操作ガイド」に基づいて実施した。すなわち、上記の急冷後の試料をサンプルチューブに移し、チューブセプタで蓋をし、48穴サンプルトレーにセットした。その後は、操作ガイドに従ってダイターミネーター法によりシークエンスを実施した。
(ク)塩基配列の解析
5’側(プライマーL6625、又はF6999側)と3’側(プライマーH7005、又はR7495側)からそれぞれ得られたシークエンスデータを照合して正確な塩基配列を決定した。こうして得られた配列データを以下に示した。

1)COI領域(全長379塩基)
日本1タイプ(配列番号1):浦和産(1〜3)、岡山産(1〜3)、千葉産(1〜3)、宝塚産(1〜3)
日本2タイプ(配列番号2):沖縄産(2〜5)
日本3タイプ(配列番号3):沖縄産(1)
海外1タイプ(配列番号4):タイ産(1、3〜5)
海外2タイプ(配列番号5):タイ産(2)
海外3タイプ(配列番号6):カナダ産(1,4,5)
海外4タイプ(配列番号7):カナダ産(2,3)
2)ND5領域(全長473塩基)
日本1タイプ(配列番号8):浦和産(1〜3)、岡山産(1〜3)、千葉産(1〜3)、宝塚産(1〜3)
日本2タイプ及び海外1、2タイプ(配列番号9):沖縄産(2〜5)及びタイ産(1〜5)
日本3タイプ(配列番号10):沖縄産(1)
海外3タイプ(配列番号11):カナダ産(1、4、5)
海外4タイプ(配列番号12):カナダ産(2、3)
上記塩基配列につき、それぞれの領域内(COI、又はND5)における配列をインターネット上でEMBL−EBIのClustalW2などの解析用コンピュータプログラムを用いて比較した(マルチプルアラインメント解析)。その結果、上記配列のうち網掛けで示した、COI領域において15箇所、ND5領域においては5箇所に1塩基多型(SNP)が認められた。これらの多型を組み合わせることにより、7つのタイプにタイプ分けでき、各タイプに属する昆虫の由来地域等から総合的に判断し、各タイプに相当する生息地域を、日本国本州、沖縄、タイ、カナダと特定した。すなわち、日本1タイプ(浦和、岡山、千葉、宝塚の各地域3個体ずつ計12個体;ハプロタイプI−1(COI−ND5の順、以下同じ)には主として日本の本州地域が、日本2タイプ(沖縄地域4個体;II−2)及び日本3タイプ(沖縄地域1個体;III−3(タイプL)には主として沖縄が、海外1タイプ(タイ地域4個体;IV−2)及び海外2タイプ(タイ地域1個体;III−2)には主としてタイが、海外3タイプ(カナダ地域3個体;V−4)及び海外4タイプ(カナダ地域2個体;VI−5)には主としてカナダが相当すると決定した(表1)。なお、日本国本州由来の塩基を除いては、各地域ごとにそれぞれ2種類のハプロタイプが存在することが示されている。例えば、以下に示す表1のうち、日本2タイプの沖縄産2〜5と日本3タイプの沖縄産1、海外1タイプのタイ産1及び3〜5と海外2タイプのタイ産2、海外3タイプのカナダ産1、4及び5と海外4タイプのカナダ産2及び3である。
なお、さらに詳細な解析の結果、以下のような地域別の特徴が明らかとなった。日本1タイプとは、主として日本国のうち、生息地域を本州地域とするタイプをいい、COI遺伝子領域の5’末端から数えて第229、298番目がGであり、第253番目がT、ND5領域の248番目がAであることを特徴とする。日本2タイプ及び日本3タイプとは、生息地域を主として沖縄周辺とするタイプをいうが、タイ国周辺をその生息地域とする海外1タイプ由来のDNAと極めて類似することが示され、地理的関係からいっても、互いに近縁であることが示唆された。海外1タイプ及び海外2タイプについては、ND5遺伝子領域の第248番目がGである以外は日本1タイプと一致する。海外3タイプ及び海外4タイプとは、主としてカナダ国周辺をその生息地域とするタイプをいい、COI遺伝子領域の第22番目がT、第142番目がGであることを特徴とする。
2.コクヌストモドキの生息地域が日本国本州か否かを特定するための方法に用いるプライマーの開発
COIの解析領域において、5’−末端から229番目と298番目の塩基に違いが認められた。すなわち、日本1タイプでは、これらの塩基がGであるのに対し、海外産である沖縄を含む海外に生息するものは、これらの塩基はAである。この違いに着目して、下記の塩基配列において枠で囲った位置にそれぞれ特異的なプライマーを設計した。
設計したプライマーを以下に記す。
KN識別用プライマー及び改良プライマー

Honndo-F AATTATTGCTGTCCCAACCGGG(配列番号17)
Honndo-F2 AATTATTGCTGTCCCAACCGAG(配列番号18)

Honndo-R GGAATACAAATCCTAGTGCC(配列番号19)
Honndo-R2 GGAATACAAATCCTAGTGAC(配列番号20)

Kaigai-F AATTATTGCTGTYCCAACCGGA(配列番号21)
Kaigai-F2 AATTATTGCTGTYCCAACCGAA(配列番号22)

Kaigai-R RGAATACAAATCCTAGTGCT(配列番号23)
Kaigai-R2 RGAATACAAATCCTAGTGAT(配列番号24)

また、ND5の解析領域においては、同様に248番目の塩基が日本1タイプではAであるのに対し、海外産ではGであり、枠で囲った位置に特異的なプライマー及び共通のプライマー(3’−側)を設計した(下記ND5領域の塩基配列)。
ND-Honndo-F GAGTCAATAAATGGAAGAAA(配列番号25)
ND-Honndo-F2 GAGTCAATAAATGGAAGATA(配列番号26)

ND-Kaigai-F GAGTCAATAAATGGAAGAAG(配列番号27)
ND-Kaigai-F2 GAGTCAATAAATGGAAGATG(配列番号28)

ND-Kyoutsuu-R TTTATGTCCGGGTTAGGGGCGAG(配列番号29)

PCR
DNA断片の増幅は、PerfectShot Ex Taq (Loading dye mix)(タカラバイオ株式会社)を用い、添付のマニュアルに準じてPCR反応液(50μl;0.2ml容のマイクロチューブ)を調製した。ただし、プライマーとテンプレート(鋳型DNA)の添加量(終濃度)、及びPCR条件は以下のようにした。

プライマー;
Forwardプライマー(1μM)/Reverseプライマー(1μM)の組み合わせとして、
1.Honndo−F/Honndo−R
2.Kaigai−F/Kaigai−R
3.ND−Honndo−F/ND−Kyoutsuu−R
4.ND−Kaigai−F/ND−Kyoutsuu−R

テンプレート;1μl/50μl反応液
1.日本国本州産の代表として、浦和産(1)から抽出したDNA
2.海外産の代表として、カナダ産(1)から抽出したDNA

このマイクロチューブをPCR装置(DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR System 9600;旧Perkin Elmer社製、又はTaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL)にセットして、PCR増幅を以下の条件で行った。
プレ変性:94℃、3分間
変性:94℃、30秒
アニーリング:45℃、45秒
鎖伸長:72℃、60秒
プレ変性以外の上記反応を40回繰り返した。
なお、反応終了後、サンプルをすぐに取り出せない場合には、サンプルブロックの温度を4℃に下げて保持した。

3.PCRによる増幅の有無の確認と結果の解析
上記で得られたPCR反応液の5μlをアガロースゲル電気泳動に供した。この際、ミニゲル電気泳動システム「Mupid」を用いて電気泳動を実施(ゲル;3%NuSieve 3:1 Agarose(FMCバイオプロダクツ社製、又はCambrex Bio Science Rockland社製)、泳動条件;100V、30分)し、2μg/ml臭化エチジウム溶液中で約40分間染色後、UV照射下で増幅産物の写真撮影を行い、目的のDNA断片(期待される大きさが、COI;110塩基長、ND5;139塩基長)が増幅されているか否かを確認した(図14)。図14において、各レーンの説明は以下のとおりである。
結果は、レーン1,5,7,11において、期待される増幅産物が認められたが、ネガティブが期待されたレーン2,4,8,10にも類似のバンドが認められた。
そこで、上記PCR条件において、アニーリングの温度を45℃から55℃に変更してPCRを実施したところ、レーン4と8のバンドが薄くなったが、レーン2と10については、ポジティブなバンド(レーン1や11)と同程度の濃さのバンドが認められていた(図15)。図15において、各レーンの説明は表2と同様である。
そこで次に、上記のように3’−末端の隣の塩基を別のAやTに置き換えて、特異性をやや減少させたプライマーを合成した。これらを同様に以下のような組み合わせで用いてPCRを実施した。
Forwardプライマー(1μM)/Reverseプライマー(1μM)の組み合わせとして、
1.Honndo−F2/Honndo−R2
2.Kaigai−F2/Kaigai−R2
3.ND−Honndo−F2/ND−Kyoutsuu−R
4.ND−Kaigai−F2/ND−Kyoutsuu−R

その結果、レーン2のバンドが消失し、レーン1との対比が明確になった(図16)。すなわち、日本1タイプが陽性となり、海外産が陰性となる条件を見つけることができた。図16における、各レーンの説明は以下の表のとおりである。
リアルタイムPCR法を用いたコクヌストモドキの生息地域の識別検定
(ア)昆虫
本実施例で用いたコクヌストモドキは、埼玉県(浦和)の野外にて採集されたもの(浦和産2)、カナダから香港に輸出された小麦粉に混入していたもの(カナダ産4)である。
(イ)DNA抽出
実施例1と同様にしてDNAを抽出した。
(ウ)TaqMan(登録商標)MGBプローブの合成
COI遺伝子の5’末端から数えて第229番目の塩基が本州産ではGであるのに対して海外産ではAであることに注目して、以下のMGBプローブを合成した。
本州産用(KN_CO1−C229V1;レポーターダイVIC)
CAACCGGGATTAAAA(配列番号30)
海外産用(KN_CO1−C229M1;レポーターダイFAM)
CAACCGGAATTAAAA(配列番号31)
また、以下のようなPCR用のプライマーを合成した。
KN_CO1−C229F:
AGCCTATTTCACTTCAGCCACAAT(配列番号32)
KN_CO1−C229R:
ATGAATTTGCTAAGATTACTCCTGTTAGTCC(配列番号33)
これらの位置関係は以下のようになる。すなわち、以下の配列のうち、下線部分がプライマーに相当し、二重下線の部分がMGBプローブに相当する。以下の配列は、プライマーセットを含め179塩基長の増幅断片に相当する。
なお、上記のプローブ及びプライマーの設計及び合成はABI社のCustom TaqMan(R) Gene Expression/SNP Genotyping Assaysサービスを利用した。
(エ)PCR
Custom TaqMan(R) Gene Expression/SNP Genotyping Assaysサービス (TaqMan MGB probes, FAM and VIC dye-labeled)により作製されたプライマー及びプローブに添付のマニュアルに準じてPCRを実施した。すなわち、TaqMan Universal PCR Master Mixを12.5μl、40xAssayMixを0.625μl、前記20μlに溶解したDNA試料0.5又は1μlを単独又は混合して添加し、純水で最終25μlに調整した。これらの調製液をMicroAmp Optical 8-Tube Strip(0.2ml)に入れて、7500 Real-Time PCR Systemを用いて所定の条件(95℃−10分、(92℃−15秒及び60℃−1分)×40サイクル)にて、リアルタイムPCRを実施した。
(オ)結果
図17及び18は本州産用の検出(VIC)の場合であるが、浦和産2のDNAの場合に、増幅を示す立ち上がりが認められた(A,B)。これに対し、カナダ産4のDNAの場合には増幅は認められなかった(C,D)。ここで、図17は、1μlのデータを示しており、Aが浦和産2、Cがカナダ産4、Eがブランクをそれぞれ示す。図18は、0.5μlのデータを示しており、Bが浦和産2、Dがカナダ産4、Eがブランクをそれぞれ示す。一方、図19,20は海外産用の検出(FAM)の場合であるが、カナダ産4の場合に顕著な立ち上がりが認められた(C,D)。一方、浦和産2の場合にはPCR増幅が認められなかった(A,B)。ここで、図19は、1μlのデータを示しており、Aが浦和産2、Cがカナダ産4、Eがブランクをそれぞれ示す。図20は、0.5μlのデータを示しており、Bが浦和産2、Dがカナダ産4、Eがブランクをそれぞれ示す。このように、日本国本州由来とそれ以外(海外由来)の場合を明確に区別することができた。
1.昆虫からのシークエンスデータ
(ア)昆虫
DNA抽出に用いた昆虫は、鞘翅目ナガシンクイムシ科に属するコナナガシンクイムシであり、日本を含む世界各地に生息し同一形態である昆虫として、また、米、麦等のイネ科穀物を加害する、コクゾウムシ類と並ぶ大害虫として知られる。本実施例で用いたコナナガシンクイムシは日本国内及び中国国内に生息していたものを採集し、それぞれ個別に飼育したものである。
(イ)DNA抽出〜(ク)塩基配列の解析
実施例1と同様の操作によりCOI領域のDNAを抽出し、PCRを実施して、シークエンスを行い、シークエンスデータを得た。得られた配列データを以下に示した。

1)COI領域(全長379塩基)
日本1タイプを配列番号34とし、中国1タイプを配列番号35として以下に示す。
上記の配列中、「国産」と記載されているものが配列番号34の日本1タイプであり、「中国産」と記載されているものが配列番号35の中国1タイプである。
上記塩基配列について、実施例1と同様の操作により解析を行った。その結果、得られた379塩基中5’末端から数えて160番目の塩基に日本1タイプが「T」であり、中国1タイプが「C」であるSNP(一塩基多型)が認められた。
加熱または加圧処理した検体由来DNAのPCRによる増幅確認
加熱または加圧処理によりコクヌストモドキのDNAを人為的に劣化させた場合のPCRによる増幅の有無、およびリアルタイムPCR法による生息地域識別の可否を検討した。
(ア)昆虫
本実施例では、実施例1に記載の住化テクノサービス社から購入したコクヌストモドキ(宝塚産;日本1タイプ)を用いた。
(イ)検体の処理
A.ミリQ水1ml中(マイクロチューブ中)に上記昆虫を2匹入れ、30分または60分煮沸(電磁加熱機使用)後氷中で急冷した。
B.100mlトールビーカーにミリQ水約30mlと上記昆虫2匹を入れ、121℃、15分の条件でオートクレーブ処理し、50℃台で取り出し、自然放冷した。
(ウ)DNA抽出
実施例1(イ)と同様にしてDNAを抽出した。
(エ)TaqMan(登録商標)MGBプローブ
実施例2(ウ)に記載したものを使用した。
(オ)PCR
以下の3通りの方法で実施した。
A.実施例1(ウ)に記載のミトコンドリアCOI遺伝子の解析に使用したプライマーセット(L6625/H7005、増幅サイズ435 bp)を用い、実施例1(ウ)と同様にして実施した。
B.実施例2(ウ)に記載のプライマーセット(KN_CO1-C229F/KN_CO1-C229R、増幅サイズ179 bp)を使用し、ABI社のVeriti 96 Well Thermal Cyclerを用いて所定の条件(95℃-1 min、(92℃-15sec+60℃-1min)x 40 cycles)にて、PCRを実施した。
C.実施例2と同様にしてMGBプローブを用いたリアルタイムPCRを実施した。
(カ)結果
煮沸30分処理した検体では、上記Aの方法において、メルクマール全体を比較することが可能な領域である435bpのサイズの増幅バンドが認められた(図25 写真左Lane2;矢印、表5)。しかし、煮沸60分やオートクレーブ(121℃、15分)処理した検体では、このバンドは認められなかった(図25 写真左Lane 3, 4、表5)。しかしながら上記Bの方法を実施したところ、いずれの場合にも日本1タイプを特定することが可能な領域である179 bpのバンドが認められた(図25 写真右;矢印、表5)。更にMGBプローブを用いたリアルタイムPCR(上記Cの方法)を行ったところ、いずれの検体を用いた場合でも、これら検体の特徴である日本1(本州)タイプのコクヌストモドキであることを明確に確認することができた(表6)。このように検体である昆虫のDNAが断片化されてしまった場合、メルクマール全体を比較して生息地域を特定することが困難となるが、ある生息地域に特異的な塩基を選択して当該塩基を基準に設計されたプライマー及びプローブを用いることにより、断片化DNAであっても生息地域の識別検定が可能である。
自然死個体由来DNAのPCRによる増幅確認
自然死したコクヌストモドキDNAのPCRによる増幅の有無を検討した。
(ア)昆虫
本実施例では飼育中に自然死し、その後室温保管で5ヶ月経過したコクヌストモドキ(生息地域不明)を使用した。
(イ)DNA抽出とPCR
上記昆虫の2個体から実施例1と同様にしてDNAを抽出し、実施例4の(オ)Aに記載の方法と同様にしてPCRを行った。
(ウ)結果
上記2個体ともに、メルクマール全体を比較することが可能な領域である435 bpの増幅バンドが認められた(図26、矢印)。
ガンマ線照射検体由来DNAのPCRによる増幅確認
ガンマ線照射によりコクヌストモドキのDNAを人為的に劣化させた場合のPCRによる増幅の有無、およびリアルタイムPCR法による生息地域識別の可否を検討した。
(ア)昆虫
本実施例では、つくば市の精米所にて採取されたコクヌストモドキ(日本1タイプと非日本1タイプが混在)を用いた。
(イ)検体の処理
上記昆虫(日本1タイプと非日本1タイプが混在)にガンマ線照射装置(Nordion社製のGamma Cell 220)にて60-Coガンマ線を線源として照射して検体を調製した。線量(Gy)としては、1.5K,2Kの2水準を設定し、照射時間は、それぞれ810秒、18分とした。なお、この照射条件による正確な線量を、アラニン素子(Allanine Pellet Dosimeter ES200-2106,Bruker Biospin)を用いて作成した検量線から求めたところ、それぞれ1623,2142Gyであった。
(ウ)DNA抽出とPCR
上記の通り、設定水準1.5KGyと2 KGyの条件下でダメージを受けた検体(各条件につき2検体を試験に供した。図27および表7中ではそれぞれ1.5K-1, 1.5K-2, 2K-1, 2K-2と表記)について実施例1と同様にしてDNAを抽出し、実施例4の(オ)A及びCに記載の方法と同様にしてPCRを行った。
(エ)結果
供試した4検体(それぞれ1.5K-1, 1.5K-2, 2K-1, 2K-2)についてDNAを抽出し、それを鋳型にしたときの通常のPCR(実施例4、(オ)Aに記載の方法)を実施したところ、4検体中、2 KGy を照射した1検体を除き3検体に目的の435 bpのサイズの増幅バンドが認められず、DNA断片化が進行していると考えられた(図27、矢印)。そこで同じ鋳型DNAについて、MGBプローブを用いたリアルタイムPCR(実施例4(オ)Cに記載の方法)を実施したところ、4検体いずれにもPCR反応が認められ、更に2K-1, 2K-2, 1.5K-2が本州タイプであり、1.5K-1のみが非本州タイプであることがわかり、明確な生息地域識別まで可能であった(表7)。
配列番号13:プライマー
配列番号14:プライマー
配列番号15:プライマー
配列番号16:プライマー
配列番号17:プライマー
配列番号18:プライマー
配列番号19:プライマー
配列番号20:プライマー
配列番号21:プライマー
配列番号22:プライマー
配列番号23:プライマー
配列番号24:プライマー
配列番号25:プライマー
配列番号26:プライマー
配列番号27:プライマー
配列番号28:プライマー
配列番号29:プライマー
配列番号30:プローブ
配列番号31:プローブ
配列番号32:プライマー
配列番号33:プライマー

Claims (26)

  1. 同一種類の昆虫において、前記昆虫の生息地域を特定するためのメルクマールの作製方法であって、以下の工程:
    (a)2又はそれ以上の生息地域由来の、1又はそれ以上の昆虫のDNAの塩基配列を決定する工程;
    (b)上記工程(a)で決定した塩基配列をアラインメントする工程;
    (c)上記工程(b)のアラインメントの結果、アラインメントに供した全ての上記塩基配列において保存されている、1又はそれ以上の塩基からなる部位を、上記塩基配列から除外する工程;
    (d)上記工程(c)の除外の結果、残った部位の全部又はその一部をタイプ識別部位とする工程;
    (e)上記工程(d)で得られたタイプ識別部位について、互いに対応する塩基を比較し、完全に一致するタイプ識別部位を同一タイプに、そして完全に一致しないタイプ識別部位を別の1又はそれ以上のタイプに、タイプ分けする工程;及び
    (f)上記工程(e)でタイプ分けされた各タイプについて、各タイプに属する昆虫の生息地域から、各タイプの生息地域を決定することにより、各タイプのタイプ識別部位をメルクマールとする工程;
    を含む、前記方法。
  2. 同一種類の昆虫において、前記昆虫の生息地域がある地域か否かを特定するための地域識別メルクマールの作製方法であって、請求項1記載の工程にさらに:
    (g)請求項1記載の工程(f)で得られたメルクマールについて、互いに対応する塩基を比較し、1のタイプのみに存在し、それ以外のタイプには存在しない塩基を抽出する工程;及び
    (h)上記工程(g)で抽出した1又はそれ以上の塩基を、単独で又は複数個組み合わせて地域識別メルクマールとする工程;
    を含む、前記方法。
  3. 昆虫が鞘翅目に属する昆虫である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 昆虫がゴミムシダマシ科に属する昆虫である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 昆虫がコクヌストモドキである、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. DNAがミトコンドリア由来のDNAである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. ミトコンドリア由来のDNAがCOI遺伝子及び/又はND5遺伝子である、請求項6記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の方法によって得られたメルクマールを有する領域の塩基配列と、被検体である昆虫から得られた塩基配列中の前記メルクマールを有する領域の塩基配列に対応する塩基配列を比較し、被検体の前記塩基配列中のメルクマールに対応する部位の塩基が、メルクマールの塩基と一致するかを解析し、被検体の生息地域を特定することからなる、被検体である昆虫の生息地域を特定するための方法。
  9. 請求項1〜7の何れか1項記載の方法によって得られたメルクマールの塩基を表すデータと、前記塩基の塩基配列位置を表すデータとを含むメルクマールテーブルを解析用コン
    ピュータプログラムが動作したコンピュータに格納するステップと、被検体である昆虫から得られた塩基を表すデータを含む被検体塩基配列リストを前記コンピュータに格納するステップと、前記メルクマールテーブルの前記塩基配列位置を表すデータを参照して、被検体塩基配列リストと、前記メルクマールテーブルとの間の対応する塩基配列位置にある塩基を表すデータ同士を前記コンピュータが比較するステップと、を含む、被検体である昆虫の生息地域を特定するための方法。
  10. 昆虫が鞘翅目に属する昆虫である、請求項8又は9記載の方法。
  11. 昆虫がゴミムシダマシ科に属する昆虫である、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 昆虫がコクヌストモドキである、請求項8〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. DNAがミトコンドリア由来のDNAである、請求項8〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. ミトコンドリア由来のDNAがCOI遺伝子及び/又はND5遺伝子である、請求項13記載の方法。
  15. 請求項1〜7の何れか1項記載の方法によって得られたメルクマールの塩基を表すデータと、前記塩基の塩基配列位置を表すデータとを含むメルクマールテーブルを備えた、被検体である昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラム。
  16. 被検体である昆虫から得られた塩基を表すデータを含む被検体塩基配列リストを格納する手段と、メルクマールテーブルの前記塩基配列位置を表すデータを参照して、被検体塩基配列リストと、前記メルクマールテーブルとの間の対応する塩基配列位置にある塩基を表すデータ同士を比較する手段と、を含む手段としてコンピュータを機能させる、請求項15に記載の被検体である昆虫の生息地域を特定するための解析用コンピュータプログラム。
  17. 請求項15又は16記載の解析用コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  18. 請求項1〜7のいずれか1項記載の方法によって得られたメルクマール。
  19. コクヌストモドキの生息地域が日本国本州か否かを特定するための請求項2の作製方法により得られる地域識別メルクマールであって、配列番号1で示されるコクヌストモドキCOI遺伝子由来の塩基配列の5’末端から、第229番目の塩基がG、第253番目の塩基がT、第298番目の塩基がGのいずれか又は2以上であり、及び/又は、配列番号8で示されるコクヌストモドキND5遺伝子由来の塩基配列の5’末端から、第248番目の塩基がAである、前記地域識別メルクマール。
  20. 請求項1〜7のいずれか1項記載の方法により作製されたメルクマールを構成する塩基のうちの少なくとも1の塩基を含む、プライマー。
  21. 請求項1〜7のいずれか1項記載の方法により作製されたメルクマールを構成する塩基のうちの少なくとも1の塩基を含む、プローブ。
  22. コクヌストモドキの生息地域が日本国本州か否かを特定するための配列番号17〜29
    に示される核酸を含む、請求項20記載のプライマー。
  23. 請求項20記載のプライマー及び/又は請求項21記載のプローブを用いて、昆虫の生息地域を特定する方法であって、以下の:
    (a)被検体である昆虫のDNAを抽出する工程;
    (b)前記工程(a)で抽出したDNAを請求項20記載のプライマー及び/又は請求項21記載のプローブと接触させる工程;
    (c)DNA断片を増幅する工程;及び
    (d)被検体である昆虫の生息地域を特定する工程;
    を含む、前記方法。
  24. 請求項20記載のプライマー及び請求項21記載のプローブを用いて、昆虫の生息地域を特定する方法であって、以下の:
    (a)被検体である昆虫のDNAを抽出する工程;
    (b)前記工程(a)で抽出したDNAを請求項20記載のプライマー及び請求項21記載のプローブと接触させる工程;
    (c)リアルタイムPCRを用いてDNA断片を増幅する工程;
    (d)予めプローブに標識された蛍光物質を検出する工程;及び
    (e)被検体である昆虫の生息地域を特定する工程;
    を含む、前記方法。
  25. 請求項22記載のプライマーを用いて、コクヌストモドキの生息地域が日本国本州か否かを識別するための方法であって、以下の:
    (a)被検体であるコクヌストモドキのDNAを抽出する工程;
    (b)前記工程(a)で抽出したDNAを請求項22記載のプライマーと接触させる工程;
    (c)DNA断片を増幅する工程;及び
    (d)被検体であるコクヌストモドキが日本国本州に生息するコクヌストモドキかそれ以外の地域に生息するコクヌストモドキであるかを識別する工程;
    を含む、前記方法。
  26. 請求項21記載のプローブ及び前記プローブを挟んでこれを増幅しうる一対のプライマーを用いて、昆虫の生息地域を特定する方法であって、以下の:
    (a)被検体である昆虫のDNAを抽出する工程;
    (b)前記工程(a)で抽出したDNAを請求項21記載のプローブ及び前記プローブを挟んでこれを増幅しうる一対のプライマーと接触させる工程;
    (c)リアルタイムPCRを用いてDNA断片を増幅する工程;
    (d)予めプローブに標識された蛍光物質を検出する工程;及び
    (e)被検体である昆虫の生息地域を特定する工程;
    を含む、前記方法。
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