JPWO2010029612A1 - グルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーター遺伝子及びその用途 - Google Patents

グルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーター遺伝子及びその用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、グルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーター遺伝子及びその用途に関し、特に、オリゴ糖(マルトース、マルトトリオースなど)の資化性に優れた醸造酵母、該酵母を用いて製造した酒類、その製造方法などに関する。特に、本発明は、Mal21pなどのグルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーター、それをコードする遺伝子、それを利用した酒類の製造方法などに関する。

Description

本発明は、グルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーター遺伝子及びその用途に関し、特に、オリゴ糖(マルトース、マルトトリオースなど)の資化性に優れた醸造酵母、該酵母を用いて製造した酒類、その製造方法などに関する。
ビール、発泡酒、ウィスキーなどの麦芽発酵飲料の製造において、麦芽等をマッシングした麦汁に含まれる主な糖はグルコースとマルトースとマルトトリオースの3種類である。これらの麦芽由来の糖の比率はマッシングの方法で、若干変えることが可能だが、酵素剤の添加や、糖化スターチの添加などを行なわない場合は、大きく変わることはなく、1:5:1ぐらいの比であると言える。このうちグルコースは単糖で、酵母が最も好む糖として、はじめに資化される。
酵母には、グルコース存在下では転写過程において抑制される、数々の遺伝子がある。この抑制制御はグルコースリプレッションと呼ばれる。マルトースやマルトトリオースの酵母への取り込みに必要な数種のトランスポーターはいずれもこの抑制を受ける。また、これらグルコースリプレッションを受ける遺伝子の産物は、さらに翻訳後にもグルコースの存在下で不活化されるものがあることが知られている。α−グルコシドトランスポーターもその類に属し、グルコース存在下では、速やかに分解されることが知られている。マルトースやマルトトリオースの資化の第一段階が、このトランスポーターによる酵母細胞内への取り込みであるため、トランスポーターが分解されると、これらの資化は止まってしまう。これが、トランスポーターの発現が資化の律速段階であると呼ばれる由縁である。
Brondijk, T. H., van der Rest, M. E., Pluim, D., de Vries, Y. de., Stingl, K., Poolman, B., and Konings, W. N. (1998) J Biol Chem 273(25), 15352-15357 Medintz, I., Wang, X., Hradek, T., and Michels, C. A. (2000) Biochemistry 39(15), 4518-4526 Gadura, N., and Michels, C. A. (2006) Curr Genet 50(2), 101-114
このような状況において、グルコースによって不活化または分解されにくいオリゴ糖トランスポーターを発現し、マルトースなどのオリゴ糖の資化性を向上させた酵母を提供することが望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意努力し、グルコースによる不活化や分解を受けにくいトランスポーター(以下、「グルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーター」という)またはそれを発現する酵母をスクリーニングする新たな方法を開発し、そのスクリーニング方法に基づいて、グルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーターまたはそれを含む酵母を見いだして、本発明を完成した。
すなわち本発明は、グルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーターをコードする遺伝子、該遺伝子にコードされるトランスポータータンパク質、該遺伝子の発現が調節された形質転換酵母、該遺伝子の発現が調節された酵母を用いることによる酒類の製造方法などに関する。本発明は、具体的には、次に示すポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有するベクター、該ベクターが導入された形質転換酵母、該形質転換酵母を用いる酒類の製造方法などを提供する。
(1) 以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
(a)配列番号:1のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:1のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;および
(f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
(2) 以下の(g)〜(i)からなる群から選択される(1)に記載のポリヌクレオチド:
(g)配列番号:2のアミノ酸配列又は配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(h) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して97%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
(3) 配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する(1)または(2)に記載のポリヌクレオチド。
(4) 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する(1)または(2)に記載のポリヌクレオチド。
(5) DNAである、(1)〜(4)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質。
(7) (1)〜(5)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
(8) (7)に記載のベクターが導入された形質転換酵母。
(9) (7)に記載のベクターを導入することによって、オリゴ糖資化能が向上した(8)に記載の醸造用酵母。
(10) (6)に記載のタンパク質の発現量を増加させることによってオリゴ糖資化能が向上した(8)に記載の醸造用酵母。
(11) (8)〜(10)のいずれかに記載の酵母を用いた酒類の製造方法。
(12) 醸造する酒類が麦芽飲料である(11)に記載の酒類の製造方法。
(13) 醸造する酒類がワインである(12)に記載の酒類の製造方法。
(14) (11)〜(13)のいずれかに記載の方法で製造された酒類。
本発明に係る酵母を使用することによって、マルトースなどのオリゴ糖を含む醪の醗酵速度を早める事ができるという利点がある。本発明に係るトランスポーター遺伝子は、どのような醸造用酵母または実験室酵母にも導入可能である。特にグルコース、フラクトースなどの単糖を沢山含むような醗酵原液に、本発明に係るトランスポーターが取り込むことのできるオリゴ糖(マルトース、マルトトリオース、ツラノース、トレハロース等)を含むような場合はより有効である。
実験室酵母株の2−デオキシグルコース存在下での生育の違いを示す図である。 MAL21遺伝子の塩基配列を示す。 Mal21pのアミノ酸配列を示す。 Mal21p/Mal31p/Mal61pのアミノ酸配列のアラインメント図である。 Mal21p/Mal31p/Mal61pのヌクレオチド配列のアラインメント図である。 (図4−2の続き) (図4−3の続き) MAL21/MAL61遺伝子を持つ株の2−デオキシグルコース存在下での生育の違いを示す図である。 Mal21pおよびMal61pのグルコース存在下での分解速度を示す図である。 MAL21/MAL61遺伝子を高発現させた実験室株のマルトース培地での生育を示す図である。 MAL21遺伝子を高発現させた下面ビール酵母株の発泡酒あるいは発泡酒(グルコースリッチ)麦汁におけるマルトース発酵速度を示す図である。 Mal21pトランスポーターを高発現した上面ビール酵母の麦汁におけるマルトース発酵速度を示す図である。 プラスミド pJHXSBの構成を示す図である。 プラスミド pJHIXSBの構成を示す図である。 プラスミド pYCGPYの構成を示す図である。 プラスミド pUP3GLPの構成を示す図である。
本発明者らは、翻訳後のトランスポーターのグルコースによる不活性化または分解を制御することができれば、グルコース存在下でも、より効率よくマルトース及びマルトトリオースを酵母に資化させる事ができるのではないかという着想に基づいて、鋭意努力した結果、自然界から分解されにくいα−グルコシドトランスポーターであるMal21pを発見し、Mal21pが他のトランスポーターに比べ、はるかに分解速度が遅いことを確認した。
また、新たに取得した、グルコースによる不活化または分解を受けにくいトランスポーターを高発現することによって、実際にマルトース培地での増殖速度を上げる事に成功した。また、ビール醸造においては、マルトースの資化速度を早める事ができた。本発明はこのような着想と研究の成果によって完成したものである。
なお、本発明中、配列番号:1〜6は次の遺伝子の塩基配列又は次のトランスポーターのアミノ酸配列を示す。
[配列番号:1] MAL21ヌクレオチド配列
[配列番号:2] Mal21pα−グルコシドトランスポーターアミノ酸配列
[配列番号:3] MAL31ヌクレオチド配列
[配列番号:4] Mal31pα−グルコシドトランスポーターアミノ酸配列
[配列番号:5] MAL61ヌクレオチド配列
[配列番号:6] Mal61pα−グルコシドトランスポーターアミノ酸配列。
本明細書中で使用される「α−グルコシドトランスポーター」とは、α−グルコシドの輸送に関するタンパク質であり、α−グルコシドトランスポーターとしては、マルトーストランスポーター、マルトトリオーストランスポーターなどが含まれる。
1.本発明のポリヌクレオチド
まず、本発明は、(a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び(b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよい。
本発明で対象とするポリヌクレオチドは、上記配列のタンパク質をコードするポリヌクレオチドに限定されるものではなく、このタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする他のポリヌクレオチドを含む。機能的に同等なタンパク質としては、例えば、(c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜15個(好ましくは、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。
このようなタンパク質としては、配列番号:2のアミノ酸配列において、例えば、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加の数は、一般的には小さい程好ましい。また、このようなタンパク質としては、(d) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上または99.9%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。上記相同性の数値は一般的に大きい程好ましい。
<グルコース誘導性不活化/分解耐性の評価>
本発明において、グルコース誘導性不活化/分解耐性は、例えば次のようにして評価することができる。最初に、各トランスポータータンパクを発現する株が、0〜2 mMの2−デオキシグルコースを含有する、2 %のマルトースを含む完全合成培地(SCM) (Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトース20 g/L、アデニン硫酸 20 mg/ml、ウラシル20 mg/ml、L-トリプトファン20 mg/ml、L-ヒスチジン塩酸塩 20 mg/ml、L-アルギニン塩酸塩20 mg/ml、L-メチオニン20 mg/ml、L-チロシン30 mg/ml、L-ロイシン30 mg/ml、L-イソロイシン30 mg/ml、L-リジン塩酸塩30 mg/ml、L-フェニルアラニン50 mg/ml、L-グルタミン酸 100 mg/ml、L-アスパラギン酸 100 mg/ml、L-バリン150 mg/ml、L-トレオニン200 mg/ml、L-セリン400 mg/ml)、あるいは0〜2 mMの2−デオキシグルコースを含有する、マルトース等の最少培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトースなど 5 g/L、ただし、栄養要求性のある形質転換株については、その栄養素を含む)で生育することを確認し、グルコース誘導性の不活化/分解シグナルが生じている状態の酵母においても、そのトランスポーターがマルトース取り込み活性を持ち機能している株を選択する。次に、この株をYPD(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, グルコース 20 g/L)に植菌して、30 ℃にて一晩震盪培養する。培養液を、OD660=1.0になるようにYPM培地(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, マルトース 5 g/L)に植菌し、30 ℃にて2.5時間、震盪培養し、集菌する。60 OD660unitの細胞を測り取り、あらかじめ30 ℃にてインキュベートしておいた分解速度測定用培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids and ammonia 1.7 g/L、 グルコース 20 g/L、シクロヘキシミド 25μg/L)30mlに懸濁し、30 ℃でインキュベートする。 細胞懸濁液は適当な時間(0、10、20、30および40 分あるいは、0、30、60、90および120 分)5mlサンプリングし、速やかに遠心して上澄みを捨て、細胞をエタノールドライアイスで凍結する。凍結した細胞から常法にしたがってトランスポータータンパク質を検出し、タンパクバンドのインテンシティーを測定し、その減少速度から半減期を求める。本発明において好ましいトランスポータータンパク質は、例えば、Mal31pまたはMal61pと比較して、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上または8倍以上の半減期を有する。
また、本発明は、(e)配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び(f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドも提供する。
本発明において好ましいポリヌクレオチドは、上記の(a)〜(f)に規定されるポリヌクレオチド、配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、あるいは配列番号:1のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドであり、より好ましくは、配列番号:1で特定されたポリヌクレオチドである。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、例えば、配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド又は配列番号:2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの全部または一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチド(例えば、DNA)をいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えばMolecular Cloning 3rd Ed.、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons 1987-1997などに記載されている方法を利用することができる。
本明細書でいう「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なDNAとしては、FASTA、BLASTなどの相同性検索ソフトウェアにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:2又は4のアミノ酸配列をコードするDNAと約90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するDNAをあげることができる。
なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(proc. Natl. Acad.Sci. USA 872264-2268, 1990; proc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al: J Mol Biol 215: 403, 1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
2.本発明のタンパク質
本発明は、上記ポリヌクレオチド(a)〜(i)のいずれかにコードされるタンパク質も提供する。本発明の好ましいタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜15個(好ましくは、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質である。
このようなタンパク質としては、配列番号:2のアミノ酸配列において、上記したような数のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。また、このようなタンパク質としては、配列番号:2のアミノ酸配列と上記したような相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。このようなタンパク質は、「モレキュラークローニング第3版」、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
本発明のポリヌクレオチドに係るタンパク質のアミノ酸配列において1〜15個(好ましくは、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個)のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたとは、同一配列中の任意かつ1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個のアミノ酸配列中の位置において、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/又は付加があることを意味し、欠失、置換、挿入及び付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、o-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン; B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸; C群:アスパラギン、グルタミン; D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸; E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン; F群:セリン、スレオニン、ホモセリン; G群:フェニルアラニン、チロシン。
また、本発明のタンパク質は、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっても製造することができる。また、アドバンスドケムテック社製、パーキンエルマー社製、ファルマシア社製、プロテインテクノロジーインストゥルメント社製、シンセセルーベガ社製、パーセプティブ社製、島津製作所等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
3.本発明のベクター及びこれを導入した形質転換酵母
次に、本発明は、上記したポリヌクレオチドを含有するベクターを提供する。本発明のベクターは、好ましくは、上記(a)〜(i)のいずれかに記載のポリヌクレオチド(DNA)、又は配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド又は配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する。また、本発明のベクターは、通常、(x)酵母細胞内で転写可能なプロモーター;(y)該プロモーターにセンス方向またはアンチセンス方向で結合した、上記のいずれかに記載のポリヌクレオチド(DNA);及び(z)RNA分子の転写終結およびポリアデニル化に関し、酵母で機能するシグナルを構成要素として含む発現カセットを含むように構成される。なお、上記本発明のタンパク質を高発現させる場合は、上記(a)〜(i)の何れかに記載のポリヌクレオチド(DNA)の発現を促進するようにこれらのポリヌクレオチドを該プロモーターに対してセンス方向に導入するのが好ましい。
酵母に導入する際に用いるベクターとしては、多コピー型(YEp型)、単コピー型(YCp型)、染色体組み込み型(YIp型)のいずれもが利用可能である。例えば、YEp型ベクターとしてはYEp24 (J. R. Broach et al., Experimental Manipulation of Gene Expression, Academic Press, New York, 83, 1983) 、YCp型ベクターとしてはYCp50 (M. D. Rose et al., gene, 60, 237, 1987) 、YIp型ベクターとしてはYIp5 (K. Struhl et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USP, 76, 1035, 1979) が知られており、容易に入手することができる。また、染色体組み込み型のpUP3GLP(Omura, F. et al., FEMS Microbiol. Lett., 194, 207, 2001)(図13)、pJHIXSB(図11)や、pYCGPY (Kodama, Y. et al., Appl. Environ. Microbiol., 67, 3455, 2001)(図12)、pJHXSB(図10)等の単コピー複製型のプラスミドも使用可能である。
酵母での遺伝子発現を調節するためのプロモーター/ターミネーターとしては、醸造用酵母中で機能するとともに、もろみ中の糖やアミノ酸などの成分の濃度に影響を受けなければ、任意の組み合わせでよい。例えばグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH3)のプロモーター、3-ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子(PGK1)のプロモーターなどが利用可能である。これらの遺伝子はすでにクローニングされており、例えばM. F. Tuite et al., EMBO J., 1, 603 (1982) に詳細に記載されており、既知の方法により容易に入手することができる。発現ベクターにおいて、使用するプロモーターは、醗酵もろみの糖組成や糖濃度であるとか、複数のトランスポーターの組み合わせなどによって、適当な転写活性を持つものに、変えることが有効である。
形質転換の際に用いる選択マーカーとしては、醸造用酵母の場合は栄養要求性マーカーが利用できないので、ジェネチシン耐性遺伝子(G418r)、銅耐性遺伝子(CUP1)(Marin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 337 1984)、セルレニン耐性遺伝子(fas2m, PDR4)(それぞれ猪腰淳嗣ら, 生化学, 64, 660, 1992; Hussain et et al., gene, 101, 149, 1991)などが利用可能である。上記のように構築されるベクターは、宿主酵母に導入される。
本発明において利用される宿主酵母としては、醸造用に使用可能な任意の酵母、例えばビール,ワイン、清酒等の醸造用酵母等が挙げられる。具体的には、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等の酵母が挙げられるが、本発明においては、ビール酵母、例えばサッカロマイセス パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)W34/70等、サッカロマイセス カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)NCYC453、NCYC456等、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)NBRC1951、NBRC1952、NBRC1953、NBRC1954等が使用できる。さらにウイスキー酵母、例えばサッカロマイセス セレビシエNCYC90等、ワイン酵母、例えば協会ぶどう酒用1号、同3号、同4号等、清酒酵母、例えば協会酵母 清酒用7号、同9号等も用いることができるが、これに限定されない。本発明においては、ビール酵母、例えばサッカロマイセス パストリアヌスが好ましく用いられる。
本明細書中に記載される各トランスポーター遺伝子の調製に用いる染色体DNAは、サッカロミセス・セレビジエー ATCC20598、ATCC96955などの株に限定するものではなく、各遺伝子を有するサッカロミセス・セレビジエーに属する酵母であれば何れの酵母から調製されたものであってもよい。
酵母の形質転換方法としては一般に用いられる公知の方法が利用できる。例えば、エレクトロポレーション法“Meth. Enzym., 194, p182 (1990)”、スフェロプラスト法“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929(1978)”、酢酸リチウム法“J.Bacteriology, 153, p163(1983)”、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929 (1978)、Methods in yeast genetics, 2000 Edition : A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載の方法で実施可能であるが、これに限定されない。
また、形質転換株は、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子、例えばURA3を発現プラスミドに組み込むことにより、ウラシルを含まない寒天培地で選択することができる。あるいは、発現プラスミドに薬剤耐性遺伝子、例えばシクロヘキシミドに対する薬剤耐性遺伝子、YAP1、あるいはジェネティシン耐性遺伝子、G418Rを組込むことにより、シクロヘキシミド(例えば0.3μg/ml)、あるいはジェネティシン(例えば300μg/ml)を含む寒天培地で選択することができる。
より具体的には、宿主酵母を標準酵母栄養培地(例えばYEPD培地“Genetic Engineering. Vo1.1, Plenum Press, New York, 117(1979)”等)で、OD600nmの値が1〜6となるように培養する。この培養酵母を遠心分離して集め、洗浄し、濃度約1〜2Mのアルカリイオン金属イオン、好ましくはリチウムイオンで前処理する。この細胞を約30℃で、約60分間静置した後、導入するDNA(約1〜20μg)とともに約30℃で、約60分間静置する。ポリエチレングリコール、好ましくは約4,000ダルトンのポリエチレングリコールを、最終濃度が約20%〜50%となるように加える。約30℃で、約30分間静置した後、この細胞を約42℃で約5分間加熱処理する。好ましくは、この細胞懸濁液を標準酵母栄養培地で洗浄し、所定量の新鮮な標準酵母栄養培地に入れて、約30℃で約60分間静置する。その後、選択マーカーとして用いる抗生物質等を含む標準寒天培地上に植えつけ、形質転換体を取得する。
その他、一般的なクローニング技術に関しては、「モレキュラークローニング第3版」、“Methods in Yeast Genitics、A laboratory manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, NY)”等を参照することができる。
4.本発明の酒類の製法及びその製法によって得られる酒類
上述した本発明のベクターを製造対象となる酒類の醸造に適した酵母に導入し、その酵母を用いることによってアミノ酸の組成に特徴のある酒類を製造することができる。対象となる酒類としては、これらに限定されないが、例えば、ビール、ワイン、ウイスキー、清酒などが挙げられる。
これらの酒類を製造する場合は、親株の代わりに本発明において得られた醸造酵母を用いる以外は公知の手法を利用することができる。したがって、原料、製造設備、製造管理等は従来法と全く同一でよく、発酵期間の短縮された酒類を製造するためのコストの増加はない。つまり、本発明によれば、既存の施設を用い、コストを増加させることなく製造することができる。
5.本発明の酵母の評価方法
取得したポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを構築し、それを定法に基づいて酵母に導入し、その遺伝子導入した酵母をオリゴ糖培地(例えば、マルトース・マルトトリオース培地)で培養する。その培養の際、その酵母に含まれるトランスポーターのグルコース誘導性不活化/分解耐性、その酵母のオリゴ糖資化能、増殖速度、麦汁での醗酵速度などを測定することによって、その酵母の適性を評価することができる。グルコース誘導性不活化/分解耐性、オリゴ糖資化能、増殖速度、麦汁での醗酵速度などは、後述の実施例において用いられた方法によって評価することができる。
以下に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されない点に注意すべきである。
試験方法:
本実施例で用いた試験項目および試験方法を以下に示す。特に断りのない限り、本実施例における試験方法はこれに準じた。
<MAL61, MAL31及びMAL21遺伝子の取得>
酵母サッカロミセス・セレビジエーのMAL61及びMAL31遺伝子は既にクローニングされており、その塩基配列が報告されている。本明細書中で使用したMAL31(配列番号:3)はSaccharomyces Genome Database登録番号:YBR298Cより、MAL61(配列番号:5)はGenBank登録番号:X17391より入手した。MAL61及びMAL31遺伝子は、その塩基配列情報をもとに、それぞれの遺伝子を持つ、酵母サッカロミセス・セレビジエーから調製した染色体DNAをPCRの鋳型に使用して、MAL61及びMAL31遺伝子をPCRによって増幅、単離することにより取得した。
酵母サッカロミセス・セレビジエーのMAL21については、染色体III番にコードされていることが知られていたが、DNA配列は知られていなかった。しかし、染色体II番にコードされるMAL31, 染色体VIII番にコードされるMAL61遺伝子が99 %以上のアイデンティティーを持つことから考えて、MAL21もかなり高いアイデンティティーを持つことが予想された。
実際に我々は、GENBANK登録番号X17391より入手したMAL61のDNA配列からプライマー(5’AGAGCTCAGCATATAAAGAGACA 3’ (配列番号:7)と5’TGGATCCGTATCTACCTACTGG 3’ (配列番号:8)を設計した。そしてMAL21遺伝子を持つが、他のα−グルコシドトランスポーター遺伝子を持たない酵母の染色体DNAを鋳型として、PCRでMAL21を取得することができた。具体的には、MAL31はサッカロミセス・セレビジエー S288C (ATCC204508 (Rose, M.D., Winston, F. and Hieter, P. (1990): Methods in Yeast Genetics: A Laboratory Course Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY))から、MAL21はサッカロミセス・セレビジエー ATCC20598から、そしてMAL61はサッカロミセス・セレビジエーATCC96955から、同じプライマーを用いてPCRによって取得した。取得したDNA断片は、Invitrogen社のTOPO TA cloning kitを用いて、ベクター、pCR(登録商標)2.1-TOPOに挿入した後、DNAシークエンスにより挿入した遺伝子配列を確認した。
MAL31及びMAL61については、データバンクに登録されている配列(それぞれSaccharomyces Genome Database登録番号:YBR298CおよびGenBank登録番号:X17391)と同様であることを確認した。MAL21については、独立に10クローン以上をシークエンスして、配列を確定した(配列番号:1)。
なお、使用したプライマーには開始コドンの上流にXbaIあるいはSacIサイト、終始コドンの下流にBamHIサイトがあり、発現ベクターに組み込めるようになっている。染色体DNAを用いたPCRによる目的遺伝子の増幅およびその後の単離は、PCRプライマーの調製を含め、当業者に周知な方法で行うことができる。MAL21の塩基配列を図2にアミノ酸配列を図3に示す。
<発現プラスミド・ライブラリー構築プラスミド>
本発明においては(1)〜(4)の4つの発現ベクターを用いた。
(1)pJHXSB(図10)
(2)pJHIXSB(図11)
(3)pYCGPY(図12)
(4)pUP3GLP(図13)
<酵母株>
本発明においては、トランスポーター遺伝子の取得と株間比較には株(1)〜(5)を、トランスポーターを高発現した株で、生育速度、醗酵速度を確認するのには、(6)〜(8)を用いた。
(1) S.cerevisiae S288C (ATCC204508) (MATalpha SUC2 mal mel gal2 CUP1)
(2) S.cerevisiae ATCC96955(MATa MAL61 MAL62 MAL63 mal64 mal11 MAL12 mal13 ura3-52 leu2-3 leu2-112 trp1 his)
(3)S.cerevisiae ATCC20598(MATa suc MAL2 MEL1 his4 leu2)
(4)S.cerevisiae CB11 (Berkley Stock Center)(MATa ade1 MAL61 MAL62 MAL63 AGT1 MAL12 MAL31 MAL32)
(5)S.cerevisiae HH1001 (MATa SUC2 mal mel gal2 CUP1 TPI1::TPI1pr-MAL32-G418R ura3)
(6)S.cerevisiaeΔ152MS (MATa mal61::TRP1 MAL62 MAL63 mal64 mal11 MAL12 mal13 leu2-3 leu2-112 his URA3::TDH3p::MAL62)
(7)上面ビール酵母 AH135
(8)下面ビール酵母 Weihenstephan 194
<トランスポータータンパクのマルトースあるいはマルトトリオース取り込み活性の評価>
天然型トランスポーターの形質転換株(α−グルコシドトランスポーター遺伝子を持たない株を宿主とする)における、導入したトランスポーター遺伝子の発現は、0.5 %のマルトースあるいはマルトトリオースを唯一の炭素源とし、アンチマイシン 3 mg/Lを含む最少培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトースあるいはマルトトリオース 5 g/L、アンチマイシン 3 mg/L)での生育の有無により調べることができる。α−グルコシドトランスポーターが機能していない株でも、マルトースあるいはマルトトリオースを唯一の炭素源とした最少培地において、わずかながらに増殖する。しかし、呼吸阻害剤であるアンチマイシンを加えると、マルトースあるいはマルトトリオースを唯一の炭素源とした最少培地には、その株は生育できなくなるため、はっきりとα−グルコシドトランスポーターの機能を確認する事ができる。例えば、供試菌株をYPDプレート(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, グルコース 20 g/L)から一白金耳とって、1 mlの滅菌水で一度洗浄した後、OD660=0.2になるように滅菌水に再懸濁した。これを集菌して、もう一度1 mlの滅菌水に懸濁した後、細胞懸濁液をマルトースあるいはマルトトリオースを唯一の炭素源とする試験培地に直接ストリークして生育を確認することにより、マルトースあるいはマルトトリオースの取り込み活性を持つことを確認した。
<トランスポータータンパクの2-デオキシグルコース耐性の評価>
2-デオキシグルコース(2-DOG)は 2-DOG-6リン酸以上に代謝されないため、炭素源にはなり得ない糖アナログであるが、グルコースと同じレベルにグルコースリプレッション、あるいはグルコースによる不活化を起こすことが知られている。従って、このプレートで生育する株は、グルコースによる不活化を受けにくいα−グルコシドトランスポーターを持つ可能性が高い。2-DOGに対する耐性を調べるため、マルトース最少培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトース 20 g/L、0-2.0 mM 2-デオキシグルコース)あるいは、マルトースを含む完全合成培地(SCM) (Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトース20 g/L、アデニン硫酸 20 mg/ml、ウラシル20 mg/ml、L-トリプトファン20 mg/ml、L-ヒスチジン塩酸塩 20 mg/ml、L-アルギニン塩酸塩20 mg/ml、L-メチオニン20 mg/ml、L-チロシン30 mg/ml、L-ロイシン30 mg/ml、L-イソロイシン30 mg/ml、L-リジン塩酸塩30 mg/ml、L-フェニルアラニン50 mg/ml、L-グルタミン酸 100 mg/ml、L-アスパラギン酸 100 mg/ml、L-バリン150 mg/ml、L-トレオニン200 mg/ml、L-セリン400 mg/ml)に2-デオキシグルコース(2-DOG)を0 mM〜2 mM加えたプレートを作製した。各トランスポーター発現株のOD660=0.2の細胞懸濁液の希釈系列を試験培地に各々3μlスポットし、30 ℃にて2〜3日培養することによって調べた。
<トランスポータータンパクの菌体内蓄積量の測定>
トランスポータータンパクの菌体内蓄積量は、例えばウエスタンブロッティングにより調べることができる。例えば、供試菌株を10 mlの培養液から対数増殖期で回収し、溶解バッファー(8 M 尿素、5 % (w/v) SDS、40 mM Tris-HCl (pH6.8)、0.1 mM EDTA、1 % β−メルカプトエタノール)中でグラスビーズによる撹拌によって破壊し、細胞抽出液を得た。総タンパク60 μgのサンプルをSDS-ゲル電気泳動で展開し、ニトロセルロース膜に転写した後にウサギポリクローナル抗Mal61p抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った。ウサギポリクローナル抗Mal61p抗体は以下のようにして取得した。Mal61pのN末領域 (Met1-Leu181) をコードするDNAをpET Expression vector(Novagen社)のGST tagの下流につなぎ、大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、その形質転換体の細胞破砕液をGST bind resin columnにアプライして、カラムに結合したタンパクを溶出する事によって調製した。詳しくは、Novagen 社のpET Expression System, GST・BindTM Affinity Resins(Novagen社)に添付されたマニュアルのとおりである。調製した融合タンパクは、SDS-PAGEにて純度を確認した後、これを抗原としてウサギを免疫し、ポリクローナル抗体を得た。抗体の有効性については、α−グルコシドトランスポーター遺伝子を発現させた酵母株と、当遺伝子を持たないその宿主株とをYPM培地(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, マルトース 5.0 g/L)で培養し、その細胞破砕液を、本抗体を用いて上記方法にてウエスターンブロッティングを行なうことにより確認した。本抗体により、α−グルコシドトランスポーター遺伝子を発現させた酵母株破砕液だけに、68 kDaのα−グルコシドトランスポーターの分子量に一致するポジティブバンドを検出した。
<トランスポータータンパクの分解速度の測定>
各トランスポータータンパクを発現する株をYPDに植菌して、30 ℃にて一晩震盪培養した。培養液を、OD660=1.0になるようにYPM培地に植菌し、30 ℃にて2.5時間、震盪培養し、集菌した。60 OD660unitの細胞を測り取り、あらかじめ30 ℃にてインキュベートしておいた分解速度測定用培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids and ammonia 1.6 g/L、 グルコース 20 g/L、シクロヘキシミド 25 μg/L)30mlに懸濁し、30 ℃でインキュベートした。 細胞懸濁液は適当な時間(0、10、20、30及び40分あるいは0、30、60、90及び120 分)5mlサンプリングし、速やかに遠心して上澄みを捨て、細胞をエタノールドライアイスで凍結した。凍結した細胞は、上記の方法にてトランスポータータンパクを検出し、タンパクバンドのインテンシティーを測定し、その減少速度から半減期を求めた。
<マルトース資化能の評価>
トランスポータータンパク質を構成的に発現している酵母によるマルトースの資化について、当該酵母に適した条件下にて酵母を好気培養あるいは醗酵させ、培地中のマルトース量を測定することにより評価した。糖の測定は、当業者に周知の方法、例えばIR検出器を用いた液体クロマトグラフィーにより測定した。後述の本発明のヌクレオチド配列を含む形質転換酵母では、マルトースの取り込み能が改善された。
実施例1:グルコース誘導性不活化/分解耐性を有するα−グルコシドトランスポーターのスクリーニング
2 %のマルトースを含む完全合成培地(SCM)に2-デオキシグルコース(2-DOG)を0 mM〜2 mM加えたプレートを作製した。2-DOGは2-DOG-6リン酸以上に代謝されないため、炭素源にはなり得ない糖アナログであるが、グルコースと同じレベルにグルコースリプレッション、あるいはグルコースによる不活化を起こすことが知られている。従って、このプレートで生育する株は、グルコースによる不活化を受けにくいα−グルコシドトランスポーターを持つ可能性が高い。数々の酵母株について、細胞懸濁液をスポットし、30 ℃でインキュベートした。その結果、MAL21を持つ酵母株ATCC20598が他の株とは異なり、1 mMの2-DOGを含むプレートでも生育し、MAL21がグルコースによる分解を受けにくいトランスポーターであると予測可能であった (図1)。そこで、MAL61の5’上流と3’下流の塩基配列情報からプライマー(配列番号:7及び8)を設計し、MAL21遺伝子をATCC20598のゲノムDNAを鋳型としてPCRにて増幅し、Invitrogen社のpCR2.1-TOPOにクローニングし、DNAシークエンスを行なった。塩基配列(配列番号:1)を図2にアミノ酸配列(配列番号:2)を図3に示す。Mal21p/Mal31p/Mal61pのアミノ酸配列のアラインメントを図4−1に、ヌクレオチド配列のアラインメント図を図4−2〜4−4に示す。
このMAL21遺伝子をプラスミドpJHIXSB(図11)のSacI-BamHIサイトに組込んだ。このプラスミドpJHIMAL21をURA3遺伝子上にあるEcoRVで切断後、TPI1プロモーターによって構成的に転写される発現ユニットとして、酵母HH1001に組み込み、HH206株とした。HH1001はmal-株であるX2180-1Aのura3-のシブリングであり、TPI1p::MAL32(マルターゼ遺伝子をコードしている)が組み込まれているので、マルターゼが構成的に発現している。HH206株を0 mM〜2 mMの2-DOGを含むSCMプレートにて生育を調べたところ、MAL61及びMAL31遺伝子を持つ、HH108株およびHH227株が1.0 mMの2-DOGプレートではいずれも生育できないのに対し、HH206株は2.0 mMの2-DOGプレートで生育した(図5)。
さらに、抗Mal61p抗体を用いて、Mal21pのグルコース誘導分解速度をウエスターンブロッティングにて調べたところ、半減期が約2時間であった。それに対し、Mal31pとMal61pの半減期は約20分であり、Mal21pは他のトランスポーターに比べて、はるかに長い半減期を持つことを確認した(図6)。
実施例2:MAL61高発現株とMAL21株高発現株のマルトース培地での生育
MAL61とMAL21をプラスミドpYCGPYのTDH3プロモーターの下流SacI-BamHIサイトに組み込み、各々のプラスミドをpYCGPYMAL61およびpYCGPYMAL21とした。プラスミドpYCGPYはCEN-ARSを持つYCp型プラスミドであり、G418耐性遺伝子、Ap耐性遺伝子などを持つ(図12)。pYCGPYMAL61およびpYCGPYMAL21をΔ152MS株に形質転換した。Δ152MS株はATCC96955 が持つMAL61をTRP1マーカーで破壊し、TDH3プロモーター制御下にあるMAL62(マルターゼ遺伝子)を導入した株である。Δ152MS(pYCGPYMAL61)とΔ152MS(pYCGPYMAL21)をYPM(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, マルトース 5.0 g/L)にOD660=になるように、植菌し、30℃で振とう培養した。OD660を1.5時間ごとに測定した(図7)。Δ152MS(pYCGPYMAL21)はΔ152MS(pYCGPYMAL61)よりも早く、マルトースで生育し、実験室株において、グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーターの効果を確認した。
実施例3:MAL21を高発現させた下面ビール酵母による、発泡酒麦汁醗酵試験
グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーター、MAL21をプラスミドpUP3GLPのXbaI(あるいはSacI)-BamHIサイトに組み込んだ。pUP3GLPを図13に示す。pUP3GLP はYIp型プラスミドであり、トランスポーター遺伝子はグリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(TDH3p)によって発現する。各プラスミドをURA3の中にあるEcoRVサイトで切断後、下面ビール酵母(Weihenstephan 194)に形質転換し、0.3μg/mlのシクロヘキシミドを含むYPGプレート((イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, ガラクトース 20 g/L)に塗布した。目的の発現カセットがWeihenstephan 194の染色体上のURA3遺伝子に挿入されたことはPCRによって確認した。
Weihenstephan 194 (URA3::TDH3p::MAL21)と親株Weihenstephan 194 を2種類の発泡酒麦汁に植菌した。発泡酒麦汁は水を除く原料中の麦芽の使用比率が25%未満で、糖化スターチ、ホップなどを用いた麦汁である。発泡酒用麦汁のうちの1つは初期エキス濃度が14.0 %で、グルコース 1.2 %、マルトース 6.6 %、マルトトリオース 2.2 %の組成比で糖が含まれている。もう一つのグルコースリッチ発泡酒麦汁は、初期エキス濃度が15.6 %で、グルコース 4.7 %、マルトース 5.4 %、マルトトリオース 1.7 %の組成比で糖が含まれている。それぞれ、同じ量の麦汁(終濃度、麦芽比率25 %未満)に対して、糖組成の異なる糖化スターチを加えることにより調製した。各発泡酒麦汁に湿菌体を7.5 g/Lになるようにピッチングし、15 ℃にて醗酵を行い、醗酵中のもろみのマルトース濃度を測定した。その結果を図8に示す。
どちらの発泡酒麦汁においても、MAL21高発現株のマルトースの資化速度は、親株のWeihenstephan 194よりも著しく早くなった。特にグルコースリッチ発泡酒麦汁の場合、その効果は顕著であった。初期エキス濃度が高いということは、グルコース濃度が高いことを意味しており、グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーターの効果が十分見られた。
実施例4:MAL21を高発現させた上面ビール酵母による、麦汁醗酵試験
グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーター、MAL21をプラスミドpUP3GLPのXbaI(あるいはSacI)-BamHIサイトに組み込んだ。pUP3GLPを図13に示す。pUP3GLP はYIp型プラスミドであり、トランスポーター遺伝子はグリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(TDH3p)によって発現する。各プラスミドをURA3の中にあるEcoRVサイトで切断後、上面ビール酵母AH135に形質転換し、0.3μg/mlのシクロヘキシミドを含むYPGプレート((イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, ガラクトース 20 g/L)に塗布した。目的の発現カセットがAH135の染色体上のURA3遺伝子に挿入されたことはPCRによって確認した。AH135(URA3::TDH3p::MAL21)を初期エキス濃度が13 %あるいは20 %の100 %麦芽麦汁に湿菌体を5 g/Lになるようにピッチングし、15 ℃にて醗酵を行い、醗酵中のもろみのマルトース濃度を測定した。その結果を図9に示す。
どちらの株を用いてもマルトースの資化速度は、親株のAH135よりも早くなった。特に初期エキス濃度が20 %の場合、その効果は顕著であった。初期エキス濃度が高いということは、グルコース濃度が高いことを意味しており、グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーターの効果が見られたと言える。グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーターの高発現は下面ビール酵母だけでなく、上面ビール酵母でも有効であることを確認した。
(まとめ)
以上記載のように、いくつかの酵母に元来存在するMal21pが、他のα−グルコシドトランスポーターとは異なり、グルコースによって分解されにくいことを発見した。また、そのトランスポーターを発現する酵母(実験室株、醸造用酵母を問わない)を用いると、もろみ中のマルトースなど、そのトランスポーターが取り込むことのできる糖の資化を早めることができることを確認した。特にグルコースなど単糖の濃度が高い時にはより有効である。
本発明に係るグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポーターを含む酵母は、オリゴ糖資化能が向上しており、マルトースなどのオリゴ糖を資化する能力がすぐれている。このような酵母は、ビールやワインの醸造に有効に用いることができる。
(1) 以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
(a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:1の塩基配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;および
(f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
(2) 以下の(g)〜(i)からなる群から選択される(1)に記載のポリヌクレオチド:
(g)配列番号:2のアミノ酸配列又は配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(h) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して97%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
(3) 配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する(1)または(2)に記載のポリヌクレオチド。
(4) 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する(1)または(2)に記載のポリヌクレオチド。
(5) DNAである、(1)〜(4)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質。
(7) (1)〜(5)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
(8) (7)に記載のベクターが導入された形質転換酵母。
(9) (7)に記載のベクターを導入することによって、オリゴ糖資化能が向上した(8)に記載の醸造用酵母。
(10) (6)に記載のタンパク質の発現量を増加させることによってオリゴ糖資化能が向上した(8)に記載の醸造用酵母。
(11) (8)〜(10)のいずれかに記載の酵母を用いた酒類の製造方法。
(12) 醸造する酒類が麦芽飲料である(11)に記載の酒類の製造方法。
(13) 醸造する酒類がワインである(12)に記載の酒類の製造方法。
(14) (11)〜(13)のいずれかに記載の方法で製造された酒類。
1.本発明のポリヌクレオチド
まず、本発明は、(a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び(b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよい。
本発明で対象とするポリヌクレオチドは、上記配列のタンパク質をコードするポリヌクレオチドに限定されるものではなく、このタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする他のポリヌクレオチドを含む。機能的に同等なタンパク質としては、例えば、(c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜15個(好ましくは、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。
このようなタンパク質としては、配列番号:2のアミノ酸配列において、例えば、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加の数は、一般的には小さい程好ましい。また、このようなタンパク質としては、(d) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上または99.9%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。上記相同性の数値は一般的に大きい程好ましい。
より具体的には、宿主酵母を標準酵母栄養培地(例えばYEPD培地“Genetic Engineering. Vo1.1, Plenum Press, New York, 117(1979)”等)で、OD600nmの値が1〜6となるように培養する。この培養酵母を遠心分離して集め、洗浄し、濃度約1〜2Mのアルカリ金属イオン、好ましくはリチウムイオンで前処理する。この細胞を約30℃で、約60分間静置した後、導入するDNA(約1〜20μg)とともに約30℃で、約60分間静置する。ポリエチレングリコール、好ましくは約4,000ダルトンのポリエチレングリコールを、最終濃度が約20%〜50%となるように加える。約30℃で、約30分間静置した後、この細胞を約42℃で約5分間加熱処理する。好ましくは、この細胞懸濁液を標準酵母栄養培地で洗浄し、所定量の新鮮な標準酵母栄養培地に入れて、約30℃で約60分間静置する。その後、選択マーカーとして用いる抗生物質等を含む標準寒天培地上に植えつけ、形質転換体を取得する。
実施例1:グルコース誘導性不活化/分解耐性を有するα−グルコシドトランスポーターのスクリーニング
2 %のマルトースを含む完全合成培地(SCM)に2-デオキシグルコース(2-DOG)を0 mM〜2 mM加えたプレートを作製した。2-DOGは2-DOG-6リン酸以上に代謝されないため、炭素源にはなり得ない糖アナログであるが、グルコースと同じレベルにグルコースリプレッション、あるいはグルコースによる不活化を起こすことが知られている。従って、このプレートで生育する株は、グルコースによる不活化を受けにくいα−グルコシドトランスポーターを持つ可能性が高い。数々の酵母株について、細胞懸濁液をスポットし、30 ℃でインキュベートした。その結果、MAL21を持つ酵母株ATCC20598が他の株とは異なり、1 mMの2-DOGを含むプレートでも生育し、MAL21がグルコースによる分解を受けにくいトランスポーターであると予測可能であった (図1)。そこで、MAL61の5'上流と3'下流の塩基配列情報からプライマー(配列番号:7および8)を設計し、MAL21遺伝子をATCC20598のゲノムDNAを鋳型としてPCRにて増幅し、Invitrogen社のpCR2.1-TOPOにクローニングし、DNAシークエンスを行なった。塩基配列(配列番号:1)を図2にアミノ酸配列(配列番号:2)を図3に示す。Mal21p/Mal31p/Mal61pのアミノ酸配列のアラインメントを図4−1に、ヌクレオチド配列のアラインメントを図4−2〜4−4に示す。
このMAL21遺伝子をプラスミドpJHIXSB(図11)のSacI-BamHIサイトに組込んだ。このプラスミドpJHIMAL21をURA3遺伝子上にあるEcoRVで切断後、TPI1プロモーターによって構成的に転写される発現ユニットとして、酵母HH1001に組み込み、HH206株とした。HH1001はmal-株であるX2180-1Aのura3-のシブリングであり、TPI1p::MAL32(マルターゼ遺伝子をコードしている)が組み込まれているので、マルターゼが構成的に発現している。HH206株を0 mM〜2 mMの2-DOGを含むSCMプレートにて生育を調べたところ、MAL61及びMAL31遺伝子を持つ、HH108株およびHH227株が1.0 mMの2-DOGプレートではいずれも生育できないのに対し、HH206株は2.0 mMの2-DOGプレートで生育した(図5)。
さらに、抗Mal61p抗体を用いて、Mal21pのグルコース誘導分解速度をウエスターンブロッティングにて調べたところ、半減期が約2時間であった。それに対し、Mal31pとMal61pの半減期は約20分であり、Mal21pは他のトランスポーターに比べて、はるかに長い半減期を持つことを確認した(図6)。
実施例2:MAL61高発現株とMAL21株高発現株のマルトース培地での生育
MAL61とMAL21をプラスミドpYCGPYのPYK1プロモーターの下流SacI-BamHIサイトに組み込み、各々のプラスミドをpYCGPYMAL61およびpYCGPYMAL21とした。プラスミドpYCGPYはCEN-ARSを持つYCp型プラスミドであり、G418耐性遺伝子、Ap耐性遺伝子などを持つ(図12)。pYCGPYMAL61およびpYCGPYMAL21をΔ152MS株に形質転換した。Δ152MS株はATCC96955 が持つMAL61をTRP1マーカーで破壊し、TDH3プロモーター制御下にあるMAL62(マルターゼ遺伝子)を導入した株である。Δ152MS(pYCGPYMAL61)とΔ152MS(pYCGPYMAL21)をYPM(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, マルトース 5.0 g/L)にOD660=約0.5になるように、植菌し、30℃で振とう培養した。OD660を1.5時間ごとに測定した(図7)。Δ152MS(pYCGPYMAL21)はΔ152MS(pYCGPYMAL61)よりも早く、マルトースで生育し、実験室株において、グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーターの効果を確認した。

Claims (14)

  1. 以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
    (a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (d) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (e)配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;および
    (f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  2. 以下の(g)〜(i)からなる群から選択される請求項1に記載のポリヌクレオチド:
    (g)配列番号:2のアミノ酸配列又は配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (h) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して97%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
    (i)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  3. 配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
  4. 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
  5. DNAである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
  8. 請求項7に記載のベクターが導入された形質転換酵母。
  9. 請求項7に記載のベクターを導入することによって、オリゴ糖資化能が向上した請求項8に記載の醸造用酵母。
  10. 請求項6に記載のタンパク質の発現量を増加させることによってオリゴ糖資化能が向上した請求項9に記載の醸造用酵母。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の酵母を用いた酒類の製造方法。
  12. 醸造する酒類が麦芽飲料である請求項11に記載の酒類の製造方法。
  13. 醸造する酒類がワインである請求項12に記載の酒類の製造方法。
  14. 請求項11〜13のいずれかに記載の方法で製造された酒類。
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