JPWO2010024446A1 - 光電流による被検物質の特定的検出に用いられる電極部材 - Google Patents

光電流による被検物質の特定的検出に用いられる電極部材 Download PDF

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Abstract

光電流による被検物質の特異的検出に用いられる電極部材が開示されている。この電極部材は、導電性基材と、該導電性基材上の電子受容物質とを少なくとも有してなり、前記電子受容物質が、半導体からなる第一物質の層と、該第一物質の層の表面に担持された、前記半導体とは異なる種類の半導体または金属もしくは金属酸化物からなる第二物質とから少なくともなるものである。この電極部材によれば、光電流を用いた被検物質の特異的検出を行う際、低濃度における被検物質の検出感度の向上と、測定精度の向上が実現される。

Description

関連出願
本出願は、2008年9月1日に出願された日本国特許出願2008−223350号の優先権を主張するものであり、この日本出願の明細書は引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
本発明は光電流を用いた、核酸、外因性内分泌攪乱物質、抗原等の特異的結合性を有する被検物質の特異的な検出に用いられる電極部材およびその製造方法に関するものである。
近年、人の疾病の病症および進度に対する予測を可能にするホルモン、タンパク質を簡便で安価に検出できる検査システムの考案が試みられている。また、ダイオキシンを始めとする外因性内分泌撹乱物質(環境ホルモン)の生殖系および神経系等への障害が社会問題化しており、その簡便な検出方法が望まれている。
例えば、増感色素を用いて光から電気エネルギーを発生させる太陽電池の原理を利用して、増感色素の光励起により生じる光電流を、披検物質(DNA、蛋白などの生体分子)の検出に利用する提案がなされている(例えば、特開2002−181777号公報(特許文献1)、特開2005−251426号公報(特許文献2)、および特表2006−507491号公報(特許文献3)参照)。この方法は、電極に固定化された色素に励起光を照射することで生じた電流を測定し、検出された電流量から結合した色素量を測定するものである。したがって、従来の蛍光を画像として検出する方法と比較して、装置の小型化が可能となり、被検物質をある程度簡便に検出することができる。
また、増感色素の光励起により生じる光電流を用いて被検物質(DNA、蛋白などの生体分子)を特異的に検出する方法も提案されている(例えば、中村他「光電変換による新しいDNA二本鎖検出方法」日本化学会講演予稿集Vol. 81st. No.1(2002) 第947項(非特許文献1)参照)。
さらに、本発明者らの一部は先に、増感色素が結合した被検物質がプローブ物質を介して固定された作用電極を用いた検出方法を提案している(WO2007/037341号公報(特許文献4)。この公報の開示内容は引用することにより、本明細書の開示の一部とされる)。
核酸、外因性内分泌攪乱物質、抗原等の物質は一般に試料中に存在する濃度が低い。光電流による被検物質の検出に用いる電極は、理論的には、光透過性、生体分子担持量及び光電子変換効率が高いことが理想的である。しかしながら、本発明者らが得た知見によれば、単にそのような特性を有する作用電極を用いただけでは、低濃度域の被検物質の測定においては、必ずしも十分な測定値が得られるものではなかった。
特開2002−181777号公報 特開2005−251426号公報 特表2006−507491号公報 WO2007/037341号公報
中村他「光電変換による新しいDNA二本鎖検出方法」日本化学会講演予稿集Vol. 81st. No.1(2002) 第947項
本発明者らは今般、電極部材における電子受容物質として、半導体と、その半導体の表面にさらにもう一種の物質を存在させて用いることにより、特異的結合性を有する被検物質を、より高感度に検出し、より高精度に定量することができる、との知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
従って、本発明は、特異的結合性を有する被検物質を、より高感度に検出し、より高精度に定量することを可能にする電極部材の提供をその目的としている。
そして、本発明による電極部材は、光電流による被検物質の特異的検出に用いられる電極部材であって、導電性基材と、該導電性基材上の電子受容物質とを少なくとも有してなり、前記電子受容物質が、半導体からなる第一物質の層と、該第一物質の層の表面に担持された、前記半導体とは異なる種類の半導体または金属もしくは金属酸化物からなる第二物質とから少なくともなるものである。
本発明によれば、低濃度における被検物質の検出感度を向上させ、かつ、測定精度を向上させることができる。
光電流検出の際に使用する電極ユニットの一例を示す断面図である。 例1において得られた光電流値を示す図である。 例2において得られた光電流値を示す図である。 例4において得られた光電流値を示す図である。 例5において得られた光電流値を示す図である。 例6において得られたZnOスパッタ電極の倍率45万倍のTEM分析写真である。 例6において得られたZnOスパッタ電極の倍率180万倍のTEM分析写真である。 例6において得られたZnO硝酸処理電極の倍率45万倍のTEM分析写真である。 例6において得られたZnO硝酸処理電極の倍率180万倍のTEM分析写真である。
光電流による被検物質の特異的検出方法
光電流を用いた被検物質の特異的検出方法は、被検物質を含む試料液と該被検物質と直接または間接的に結合可能なプローブ物質を表面に備えた作用電極と、対極とを用意し、増感色素の共存下、前記試料液を前記作用電極に接触させて、前記プローブ物質に前記被検物質を直接又は間接的に特異的に結合させ、該結合により前記増感色素を前記作用電極に固定させ、前記作用電極と前記対電極とを電解質媒体に接触させ、そして、前記作用電極に光を照射して前記作用電極と前記対電極との間に流れる光電流を検出することを含んでなるものである。
電極部材
本発明による電極部材は上記光電流による被検物質の特異的検出法において、被検物質を電極表面に固定化することで、作用電極として用いられる。
導電性基材
本発明による電極部材を構成する導電性基材としては、導電性を有する材料のみならず、ガラス、プラスチックのような非導電性の支持体の表面に導電性を有する材料を担持させ導電性を確保した構成のものであってもよい。
導電性を有する材料としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属; 炭素、炭化物、窒化物等の導電性セラミックス; およびインジウム− スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの、酸化スズにアンチモンをドープしたもの、酸化亜鉛にガリウムをドープしたもの、または酸化亜鉛にアルミニウムをドープしたもの等の導電性の金属酸化物が挙げられ、より好ましくは、インジウム-スズ複合酸化物(I T O ) 、酸化スズにフッ素をドープした金属酸化物( F T O ) である。なお、電子受容物質自体が導電性基材としても機能する場合にあっては、導電性基材をこれとは別に設ける必要はなく、導電性を有した電子受容物質として使用することが出来る。また、本発明において、導電性基材は、それ自体では支持体としての強度を有しない薄膜状またはスポット状の形状のものも包含するものとする。
本発明の好ましい態様によれば、導電性基材が実質的に透明、具体的には、光の透過率が10%以上であるのが好ましく、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。これにより、作用電極の裏側(すなわち導電性基材) から光を照射させて、作用電極(すなわち導電性基材および電子受容層) を透過した光が増感色素を励起するようにセルを構成することができる。また、本発明の好ましい態様によれば、導電性機材の厚みは、0.02〜10μm程度であるのが好ましい。さらに、本発明の好ましい態様によれば、導電性基材の表面抵抗が1 0 0Ω/cm以下であり、さらに好ましくは40Ω/cm以下であるのが好ましい。導電性基材の表面抵抗の下限は特に限定されないが、通常0.1Ω/cm程度であろう。
電子受容物質
本発明による電極部材は、上記導電性基材上に置かれた電子受容物質を有してなり、この電子受容物質は、半導体からなる第一物質の層と、この第一物質の層の表面に担持された、前記半導体とは異なる種類の半導体または金属もしくは金属酸化物からなる第二物質とから少なくとも構成される。
上記第一物質は半導体であり、より好ましくは酸化物半導体であり、さらに好ましくは金属酸化物半導体であり、最も好ましくはn型金属酸化物半導体である。半導体のバンドギャップの利用により、色素から効率良く電子を取り出すことができる。また、本発明の好ましい態様によれば、半導体は多孔体あるいは表面の凹凸形状といった構造を有するものであってよく、これにより表面積の大きい作用電極を作製することができ、プローブ固定化量を増加させることができるとの利点が得られる。
本発明における電子受容物質とは、プローブ物質を介して固定された増感色素が光励起に応じて放出する電子を受容可能な電子受容物質を含んでなる。すなわち、電子受容物質は、光励起された標識色素からの電子注入が可能なエネルギー準位を取り得る物質である。ここで、光励起された標識色素からの電子注入が可能なエネルギー準位(A)とは、例えば、電子受容性材料として半導体を用いる場合には、伝導帯(コンダクションバンド:CB)を意味し、電子受容性材料として金属を用いる場合には、フェルミ準位を意味する。すなわち、本発明に用いる電子受容物質は、このAの準位が、増感色素の最低非占有分子軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital:LUMO)のエネルギー準位よりも卑な準位、換言すれば、増感色素のLUMOのエネルギー準位よりも低いエネルギー準位を有するものであればよい。
電子受容物質の好ましい例としては、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体;チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物半導体;チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等のペロブスカイト型半導体;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物半導体;カドミウム、鉛のセレン化物半導体;カドミウムのテルル化物半導体;亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物半導体;ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物の化合物半導体が挙げられ、より好ましくは、シリコン、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、チタン酸ストロンチウム、酸化インジウム、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe、C60であり、さらに好ましくは、TiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、チタン酸ストロンチウム、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2であり、最も好ましくはTiO2である。なお、上記の列挙した半導体は、真性半導体および不純物半導体のいずれであってもよい。
本発明の好ましい態様によれば、半導体の伝導帯の電位は、増感色素のLUMOの電位よりも低いことが好ましく、より好ましくは、増感色素のLUMO>半導体の伝導帯>電解質の酸化還元電位>増感色素のHOMOの関係を満たす電位である。このような関係にあることで、効率良く電子を取出すことが可能となる。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、電子受容物質として、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)またはフッ素がドープされた酸化スズ(FTO)を用いることができる。ITOおよびFTOは電子受容物質のみならず導電性基材としても機能する性質を有しているため、これらの材料を使用する場合は、導電性を有した電子受容層を構成することが可能であり、導電性基材を導入することなく使用することが可能である。
本発明による電極部材の電子受容物質を構成する第二物質は、第一物質の半導体と異なる種類の半導体または金属もしくは金属酸化物からなる。第二物質を構成する半導体の具体例としては、上述の第一物質の半導体として例示した物が挙げられる。また金属としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、ニッケル等を挙げることが出来る。上記金属は、金属結合を有する、いわゆる狭義の金属のみならず、「金属元素」をも包含するものである。また第二物質を構成する金属酸化物としては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の非半導体性の酸化物が挙げられる。
この第二物質は、第一物質の層の表面に担持される。ここで、「表面に担持される」とは、第一物質の層と、第二物質とが電気的にまたは物理的に接触して存在している限り特に限定されず、例えば、層状に積層された形態であっても、また第一物質の層の表面の一部に、その表面を部分的に被覆する形態で置かれたものであってもよい。後者の場合、第二物質を、前記第一物質の層の表面に被着させた後、それを一部除去する工程に付して形成してよい。さらに本発明には、第二物質が粒子のような形で第一物質の層の表面に局在する存在形態も包含される。
本発明の好ましい態様によれば、第一物質を構成する金属元素に対する、第二物質を構成する金属元素の表面存在元素比(物質量比)が0超過、1未満であり、より好ましくはこの表面存在元素比が0超過0.27未満であり、さらに好ましくは0超過0.15以下であり、最も好ましくは0超過0.10以下である。ここで、表面存在元素比の測定は、X線光電子分析法を用いた分析によって求めることができる。
また、第二物質が、第一物質の表面を部分的に被覆してなる態様において、第二物質の被覆膜厚は好ましくは0超過、2nm未満である。
また、「第二物質が、第一物質の層の表面に担持される」とは、第二物質が、界面を介して第一物質の層の表面と接触している態様のみならず、第一物質の層の表面から一定の深さの領域に、第一物質が検出される態様も含むものとする。本発明の好ましい態様によれば、第二物質は、好ましくは第一物質の表面から内部へ4nmの深さの領域に存在し、より好ましくは2nm以下の領域に存在する。
電子受容物質としての半導体または金属もしくは金属酸化物は、単結晶、多結晶のいずれであってもよい。
電極部材の製造方法
導電性基材上への電子受容物質の好ましい形成方法としては、電子受容物質の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法、半導体微粒子の前駆体を導電性支持体上に塗布し空気中の水分によって加水分解して微粒子膜を得る方法(ゾル−ゲル法)、スパッタリング法、CVD法、PVD法、蒸着法などが挙げられる。電子受容物質としての半導体微粒子の分散液を作製する方法としては、前述のゾル−ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。このときの分散媒としては水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレート剤などを分散助剤として使用してもよい。
電子受容物質の分散液またはコロイド溶液の塗布方法の好ましい例としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分でできるものとして、特公昭58−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、導電性基材の上面に被着する電子受容物質において、第一物質の半導体の膜厚は、0.1〜200μmであるのが好ましく、より好ましくは0.1〜100μmであり、さらに好ましくは1〜30μm、最も好ましくは2〜25μmである。これにより、単位投影面積当たりのプローブ物質および固定される増感色素量を増加して光電流が多くなるとともに、電荷再結合による生成した電子の損失をも低減することができる。
本発明の好ましい態様によれば、電子受容物質がインジウム-スズ複合酸化物(ITO)または酸化スズにフッ素をドープした金属酸化物(FTO)を含んでなる場合、電子受容物質の層の膜厚が1nm以上であるのが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。
第二物質の第一物質の層の表面への担持の手法は上記第一物質の形成方法に準じて適宜決定されてよいが、例えば、蒸着法を用いることができる。
本発明の好ましい他の態様による電極部材は、第一物質の層の表面に被着した第二物質の一部を除去して製造される。第二の金属もしくは金属酸化物の除去方法として、物理的除去、化学的除去が挙げられる。物理的除去方法とは、熱、超音波、電気化学的除去、シールによる除去などを用いた方法である。また、化学的除去とは、酸、アルカリ溶液や薬品による溶解を用いた除去である。
さらに、第二物質が酸化亜鉛である場合、酸性溶液によって被着物質の一部の除去を行うことが好ましい。例えば、硝酸、塩酸、酢酸、過酸化水素水、硫酸、有機スルホン酸、クエン酸溶液等であり、pHを2.9未満に調製した緩衝液、例えばコハク酸緩衝液、酢酸緩衝液なども使用することが出来る。ここで、好ましくは酸性溶液のpHを2.9未満、より好ましくは2.5以下にすることで、処理時間を短縮することが可能である。この時酸性溶液への電極の浸漬時間は1分以上あればよい。
被検物質
本発明における被検物質としては、プローブ物質と特異的な結合性を有する物質であれば特に限定はない。本発明による電極部材にあっては、被検物質と直接または間接的に特異的に結合可能なプローブ物質を電極部材表面、好ましくは電子受容物質に担持させておくことにより、被検物質をプローブ物質に直接または間接的に特異的に結合させて検出することが可能となる。
プローブ物質
本発明に用いる電極部材は、被検物質と直接または間接的に結合が可能なプローブ物質を表面に備えた電極とされることが好ましい。好適なプローブ物質としては生体分子が挙げられる。すなわち、プローブ物質は、被検物質と直接、特異的に結合する物質のみならず、被検物質を受容体蛋白質分子等の媒介物質に特異的に結合させて得られる結合体と特異的に結合可能な物質であってよい。ついで、増感色素の共存下、試料液を作用電極に接触させて、プローブ物質に被検物質を直接または間接的に特異的に結合させ、この結合により増感色素を作用電極に固定させる。増感色素は、光励起に応じて作用電極に電子を放出可能な物質であり、被検物質の特異的結合法がサンドイッチ法である場合、プローブ物質は1次抗体で、増感色素は2次抗体に標識されてなり、被検物質の特異的検出法が競合法である場合、増感色素はプローブ物質に特異的に結合可能な第二の被検物質に標識される。
本発明にあっては、被検物質およびプローブ物質として互いに特異的に結合可能なものを選択することができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、特異的な結合性を有する物質を被検物質とし、被検物質と特異的に結合する物質をプローブ物質として作用電極に担持させるのが好ましい。これにより、作用電極上に被検物質を直接、特異的に結合させて検出することができる。この態様における、被検物質およびプローブ物質の組合せの好ましい例としては、一本鎖の核酸および核酸に対して相補性を有する一本鎖の核酸の組合せ、ならびに抗原および抗体、およびレセプター蛋白質とリガンドの組合せが挙げられる。
本発明にあっては、被検物質とプローブ物質が間接的に特異的に結合するものであってもよい。すなわち、本発明の別の好ましい態様によれば、特異的な結合性を有する物質を被検物質とし、この被検物質と特異的に結合する物質を媒介物質として共存させ、この媒介物質と特異的に結合可能な物質をプローブ物質として作用電極に担持させるのが好ましい。これにより、プローブ物質に特異的に結合できない物質であっても、媒介物質を介して作用電極上に間接的に特異的に結合させて検出することができる。この態様における、被検物質、媒介物質、およびプローブ物質の組合せの好ましい例としては、リガンド、このリガンドを受容可能な受容体蛋白質分子、およびこの受容体蛋白質分子と特異的に結合可能な二本鎖の核酸の組合せが挙げられる。リガンドの好ましい例としては、外因性内分泌攪乱物質(環境ホルモン)が挙げられる。外因性内分泌撹乱物質とは、受容体蛋白質分子を介してDNAもしくはペプチドなどに結合し、その遺伝子発現に影響して毒性を生じる物質であるが、本発明の方法によれば、被検物質によりもたらされる受容体等のタンパク質のDNA、ペプチドなどに対する結合性を簡便にモニタリングすることができる。
電極部材上へのプローブ物質の担持は公知の方法に従い行う事ができる。本発明の好ましい態様によれば、プローブ物質として一本鎖の核酸を用いる場合には、作用電極表面に直接もしくは間接的に核酸プローブを結合させることにより行うことができる。これにより官能基が導入された核酸プローブはそのまま固定化反応により担体上に固定化されることができる。核酸末端への官能基の導入は、酵素反応もしくはDNA合成機を用いて行う事ができる。
本発明の好ましい態様によれば、プローブ物質の作用電極への固定化のための官能基として、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、水酸基、リン酸基、ジオール基が好適に使用できる。また、本発明の好ましい態様によれば、プローブ物質を作用電極に強固に固定化するためには、作用電極とプローブ物質の間を架橋する材料を用いることもできる。そのような架橋材料の好ましい例としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤や、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性ポリマーが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、プローブ物質の固定化を物理吸着という、より簡単な操作で効率よく行うことも可能である。電極表面へのプローブ物質の物理吸着は、例えば、以下のように行うことができる。まず、電極表面を、超音波洗浄機を用いて超純水、アセトンで洗浄する。その後、電極上へプローブ物質を含有する緩衝液を滴下し、静置後、洗浄することによりプローブ物質を電極表面へ吸着させる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、検出の装置は、基本的に図1に示される構成とした。すなわち、対向部材1に対電極2を固定し、電解質パット3を介して本発明による電極部材を作用電極4として置いた。さらに、光源5により作用電極に光を照射し、電極ユニット6により電極上の各スポットへレーザーを照射し、光電流を得た。
例1:異なる作用電極を用いたタンパク質の光電流による特異的検出
作用電極の作製
FTO電極
作用電極用の基材として、フッ素をドープした酸化スズ(F−SnO2:FTO)コートガラス(エイアイ特殊硝子社製、U膜、シート抵抗:12Ω/cm、形状:50mm×26mm)を用意した。
ZnO/FTO電極
上記のFTO電極上にスパッタ法によってZnOを0.44nm(スパッタ時間20秒、50W、スパッタレート1.3nm/min)、1.08nm(スパッタ時間50秒、50W、スパッタレート1.3nm/min)50nm(スパッタ時間8分、100W、スパッタレート6.25nm/min)に成膜した電極(膜厚はスパッタレートから概算)を用意した。
ZnO/FTO 電極
上記のFTO電極上にスパッタ法によってZnOを厚さ50nm(200W、スパッタ時間8分、スパッタレート6.25nm/min)に成膜した電極を用意した(膜厚はスパッタレートから概算)。この電極をアセトン、超純水、アセトンの順に1分間ずつ超音波洗浄を行い、1M硝酸溶液(pH0.2)に浸漬し5分間振盪を行った。その後超純水で十分すすぎ、この電極をZnO/FTOとした。
プローブタンパク質の固定化
作製した作用電極をそれぞれアセトン、超純水、アセトンの順に1分ずつ超音波洗浄を行った。その後、直径3mmの大きさの開口部が形成された粘着性シール(厚さ:0.5mm)を載置して密着させた。ヤギ由来抗体(抗ルシフェラーゼ ポリクローナル抗体 : Promega社製)を10μg/mlになるように調製した。この時溶媒は250mM NaCl、0.05%Tween20含有 10mMリン酸緩衝液(pH7)を用いた。このタンパク質溶液を、電極上のシールによる開口部にそれぞれ5μlずつ滴下し、37℃で30分間インキュベートを行った。その後、電極を超純水中で10分間振盪し、洗浄を行った。
被検タンパク質の結合反応
色素標識抗原(Cy5−抗ヤギ抗体(ウサギ): chemicon製)を100ng/mlに調製した。この時溶媒は、250mM NaCl、0.05%Tween20含有10mMリン酸緩衝液(pH7)を用いた。調製した抗原溶液を、先にプローブタンパク質を固定化した作用電極上のシール開口部に5μlずつ滴下し、37℃で1時間インキュベートを行った。その後電極上のシールを剥がし、超純水で表面を流し洗浄した。
光電流による被検タンパク質の特異的検出
上述の方法で作製した、被検物質結合作用電極と、ガラス板上に白金が蒸着されてなる対電極とを用意した。両電極間に電解液(0.4Mテトラプロピルアンモニウムヨージド)を含有した電解質シートを挟み、密着させた。この時、作用電極のタンパク質が固定化された面と対電極の白金蒸着面とが対向するように配置した。両電極を電気化学アナライザーに接続した状態で、作用電極にレーザー光源(出力120mW、照射領域の直径1mm 波長650nm赤色レーザー)を照射し、そのときに観察される電流値を記録した。結果は図2に示されるとおりであった。
FTO電極と比較し、ZnO/FTO(0.44nm、1.08nm)、ZnO/FTO電極では、検出精度が向上することが明らかとなった。
例2:硝酸処理による一部除去
電極の作製
作用電極用の基材として、フッ素をドープした酸化スズ(F−SnO2:FTO)コートガラス(エイアイ特殊硝子社製、U膜、シート抵抗:12Ω/cm、形状:50mm×26mm)を用意した。この電極に膜厚50nmでZnOをスパッタした電極(ZnO/FTO)を例1に記載した方法で作製した。この電極をアセトン、超純水、アセトンの順に1分間ずつ超音波洗浄した後、各濃度に調製した硝酸溶液に浸漬した。硝酸を次の8つのpH(濃度)に調製した。調製した硝酸溶液と電極の浸漬時間を表1に示した。各溶液に浸漬後、電極を超純水十分濯ぎ洗浄を行った。
イムノアッセイ
作製した電極に直径3mmの大きさの開口部が形成された粘着性シール(厚さ:0.5mm)を載置して密着させた。この開口部に10μg/ml(10mMリン酸緩衝液[pH7] 0.05% Tween20、250mM NaCl)に調製したヤギ由来抗体溶液を5μlずつ滴下し、37℃で30分間インキュベートした。その後、超純水中で10分間振盪し洗浄した。その後10ng/ml、100ng/ml、1μg/ml(10mMリン酸緩衝液、0.05%Tween20、250mM NaCl)に調製したCy5標識抗ヤギ抗体をシール開口部に5μlずつ滴下し、37℃で60分間インキュベートを行った。
光電流測定
例1に記載した条件を用い、光電流の測定を行った。その結果は、図3に示されるとおりであった。この結果より、硝酸のpHに依存し作製された電極の特性が変化することが判った。
例3:電極の表面元素分析
例1で作製したZnO/FTO電極(ZnO膜厚0.44nm、1.03nm、50nm)と、ZnO/FTO電極(硝酸処理濃度:1M、5mM、3.2mM、2mM、0.1mM)、さらにFTO電極の計9種類の電極をX線光電子分析法を用いて表面元素分析を行った。分析はアルバック・ファイ製PHI1800型 X線光電子分光装置を用い、X線源 MgKα(100w) 分析領域 0.8×2.0mmの条件で行った。その結果は表2に示されるとおりであった。
表2より、亜鉛のスパッタ時間および、硝酸溶液のpHによって亜鉛の電極表面の残存量は、変化することが明らかとなった。
例4:各種スパッタ表面へ硝酸処理を行った電極を用いたタンパク質の光電流による特異的検出
作用電極の作製
FTO電極
作用電極用の基材として、フッ素をドープした酸化スズ(F-SnO2:FTO)コートガラス(エイアイ特殊硝子社製、U膜、シート抵抗:12Ω/ cm2、形状:50mm×26mm)を用意した。
ITO/FTO電極
上記のFTO電極上にスパッタ法によってITOを50nm(スパッタ時間8分、100W、スパッタレート6.25nm/min)に成膜した電極(膜厚はスパッタレートから概算)を用意した。
WO /FTO電極
上記のFTO電極上にスパッタ法によってWOを50nm(スパッタ時間8分、100W、スパッタレート6.25nm/min)に成膜した電極(膜厚はスパッタレートから概算)を用意した。
SrTiO /FTO電極
上記のFTO電極上にスパッタ法によってSrTiOを50nm(スパッタ時間8分、100W、スパッタレート6.25nm/min)に成膜した電極(膜厚はスパッタレートから概算)を用意した。
硝酸処理電極の作製
上記のITO/FTO、WO/FTO、SrTiO/FTO電極をそれぞれ、アセトン、超純水、アセトンの順に1分間ずつ超音波洗浄を行い、1M硝酸溶液(pH0.2)に浸漬し15分間振盪を行った。その後超純水で十分すすぎ、この電極をそれぞれITO/FTO、WO/FTO、SrTiO/FTOとした。
プローブタンパク質の固定化
作製した作用電極をそれぞれアセトン、超純水、アセトンの順に1分ずつ超音波洗浄を行った。その後、直径3mmの大きさの開口部が形成された粘着性シール(厚さ:0.5mm)を載置して密着させた。ヤギ由来抗体(抗ルシフェラーゼ ポリクローナル抗体 : Promega社製)を10μg/mlになるように調製した。この時溶媒は250mM NaCl、0.05%Tween20含有 10mMリン酸緩衝液(pH7)を用いた。このタンパク質溶液を、電極上のシールによる開口部にそれぞれ5μlずつ滴下し、37℃で30分間インキュベートを行った。その後、電極を超純水中で10分間振盪し、洗浄を行った。
被検タンパク質の結合反応
色素標識抗原(Cy5−抗ヤギ抗体(ウサギ): chemicon製)を100ng/mlに調製した。この時溶媒は、250mM NaCl、0.05%Tween20含有 10mMリン酸緩衝液(pH7)を用いた。調製した抗原溶液を、先にプローブタンパク質を固定化した作用電極上のシール開口部に5μlずつ滴下し、37℃で1時間インキュベートを行った。その後電極上のシールを剥がし、超純水で表面を流し洗浄した。
光電流による被検タンパク質の特異的検出
上述の方法で作製した、被検物質結合作用電極と、ガラス板上に白金が蒸着されてなる対電極とを用意した。両電極間に電解液(0.4Mテトラプロピルアンモニウムヨージド)を含有した電解質シートを挟み、密着させた。この時、作用電極のタンパク質が固定化された面と対電極の白金蒸着面とが対向するように配置した。両電極を電気化学アナライザーに接続した状態で、作用電極にレーザー光源(出力120mW、照射領域の直径1mm 波長650nm赤色レーザー)を照射し、そのときに観察される電流値を記録した。結果は図4に示されるとおりであった。この結果より、第二物質として、ITO、WO、SrTiOを用いた場合においても、硝酸処理を行った後に、光電流による被検タンパク質の特異的検出が可能であることが示された。
例5:作製電極を用いた、サンドイッチイムノアッセイによる被検物質の特異的検出
作用電極の作製
FTO電極
作用電極用の基材として、フッ素をドープした酸化スズ(F-SnO2:FTO)コートガラス(エイアイ特殊硝子社製、U膜、シート抵抗:12Ω/ cm2、形状:50mm×26mm)を用意した。
ZnO/FTO電極
上記のFTO電極上にスパッタ法によってZnOを50nm(スパッタ時間8分、100W、スパッタレート6.25nm/min)に成膜した電極(膜厚はスパッタレートから概算)を用意した。
硝酸処理電極の作製
上記のZnO/FTO電極を、アセトン、超純水、アセトンの順に1分間ずつ超音波洗浄を行い、1M硝酸溶液(pH0.2)に浸漬し15分間振盪を行った。その後超純水で十分すすぎ、この電極をZnO/FTOとした。
プローブタンパク質の固定化
作製した作用電極をそれぞれアセトン、超純水、アセトンの順に1分ずつ超音波洗浄を行った。その後、直径3mmの大きさの開口部が形成された粘着性シール(厚さ:0.5mm)を載置して密着させた。抗Prostate Specific antigen抗体(Fitzgerald社製)を15μg/mlになるように調製した。この時溶媒には、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)を用いた。抗体溶液を電極場のシールによる開口部にそれぞれ5μlずつ滴下し、37℃で10分間インキュベートを行った。その後、電極を10mM リン酸緩衝液中で10分間振盪し、洗浄を行った。
被検タンパク質の結合反応
Cy5標識抗Prostate Specific Antigen抗体(Biodesign社製)を5μg/mlに調製した。この時溶媒は、10mMリン酸緩衝液(pH7)、150mM NaCl、0.05%Tween20を用いた。調製した抗原溶液に抗原(Prostate Specific Antigen)を各濃度で添加し、ピペッテイングによって十分撹拌したのちに、先にプローブタンパク質を固定化した作用電極上のシール開口部に5μlずつ滴下し、37℃で10分間インキュベートを行った。その後電極上のシールを剥がし、緩衝液と超純水で表面を流し洗浄した。
光電流による被検タンパク質の特異的検出
上述の方法で作製した、被検物質結合作用電極と、ガラス板上に白金が蒸着されてなる対電極とを用意した。両電極間に電解液(0.4Mテトラプロピルアンモニウムヨージド)を含有した電解質シートを挟み、密着させた。この時、作用電極のタンパク質が固定化された面と対電極の白金蒸着面とが対向するように配置した。両電極を電気化学アナライザーに接続した状態で、作用電極にレーザー光源(出力120mW、照射領域の直径1mm 波長650nm赤色レーザー)を照射し、そのときに観察される電流値を記録した。結果は図5に示されるとおりであった。この結果より、光電流によるサンドイッチイムノアッセイを用いた被検物質の検出が可能であることが示された。
例6:ZnO硝酸処理電極のTEMによる分析
例1に示した方法で作製した、ZnOスパッタ電極と、ZnO硝酸処理電極のTEMおよび、EDS分析を実施した。TEM分析には日本電子製 JEM-2010F型 電界放射型透過電子顕微鏡を用い、加速電圧200kVで測定を行った。またEDS分析にはノーラン製 UTW型Si(Li)半導体検出器を用い分析領域1nmの分析を実施した。
ZnOスパッタ電極のTEM観察写真は図6および図7に示される通りであった。ZnO/FTOではFTO層上に約50nmのZnO層が観察された。EDSスペクトルより、ZnO層/FTO層界面のFTO層側(スポット3、4、7)にZnが認められた。同界面より約4nmFTO層内部(スポット5)ではEDSの検出下限付近のZn濃度と考えられ議論が困難であるが、Zn-Lピークがわずかに認められ、Znが存在する可能性がある。界面より約10nm内部(スポット6)ではZnは認められなかった。同様に、FTO層の粒界(スポット8)にもZnが認められ、約10nmFTO層内部(スポット9)ではピークは明確に認められないが、Znが存在する可能性があり、約20nm内部(スポット10)ではZnは認められなかった。
ZnO硝酸処理電極のTEM観察写真を撮影した。それは図8および図9に示されるとおりであった。FTO層表面にZnO層の残り等、特別な層は観察されなかった。EDSスペクトルより、FTO層の表面(スポット1、4)にZnが存在する可能性がある。約2nmFTO層内部(スポット2)ではZnは認められなかった。同様に、粒界(スポット5)にもZnが存在する可能性があり、約10nmFTO層内部(スポット6)ではZnは認められなかった。
多くの分析点でZn濃度がEDSの検出下限(%オーダー)以下であるが、以上の分析よりZnOスパッタ電極ではZnO層/FTO層界面のFTO層側に4nm程度Znが拡散していると考えられる。一方、硝酸処理電極ではFTO層の表面2nm未満の部分にZnが存在する可能性がある。このことから、硝酸処理により約50nmのZnO層と共に、FTO層表面のZn拡散部分が取り除かれていると推察される。

Claims (13)

  1. 光電流による被検物質の特異的検出に用いられる電極部材であって、
    導電性基材と、該導電性基材上の電子受容物質とを少なくとも有してなり、
    前記電子受容物質が、半導体からなる第一物質の層と、該第一物質の層の表面に担持された、前記半導体とは異なる種類の半導体または金属もしくは金属酸化物からなる第二物質とから少なくともなる、電極部材。
  2. 前記第二物質が、前記第一物質の層の表面に被着された後、それを一部除去する工程に付されてなるものである、請求項1に記載の電極部材。
  3. 前記第一物質を構成する金属元素に対する、前記第二物質を構成する金属元素の表面存在元素比(物質量比)が0超過、1未満である、請求項1に記載の電極部材。
  4. 前記表面存在元素比が、0.27未満である、請求項3に記載の電極部材。
  5. 前記第二物質が、前記第一物質の表面を部分的に被覆してなり、かつ第二物質の被覆膜厚が0超過、2nm未満である、請求項1に記載の電極部材。
  6. 前記第二物質が、前記第一物質の表面から内部へ4nmの深さの領域に存在する、請求項1に記載の電極部材。
  7. 前記第一物質が、インジウム−スズ複合酸化物またはフッ素がドープされた酸化スズである、請求項1に記載の電極部材。
  8. 前記第二物質が、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、酸化タングステン、またはチタン酸ストロンチウムである、請求項1に記載の電極部材。
  9. 前記電子受容物質にプローブ物質がさらに担持されてなる、請求項1に記載の電極部材。
  10. 請求項1に記載の電極部材の製造方法であって、
    導電性基材上に、半導体を含んでなる層を形成して、前記第一物質の層を形成する工程と、
    前記層の表面に前記半導体とは異なる半導体または金属もしくは金属酸化物を被着させ、前記第二物質を被着させる工程とを少なくとも含んでなる、方法。
  11. 前記第二物質を被着させた後、それを一部除去する工程に付する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記除去が、第二物質を酸性水溶液と接触させることにより行われる、請求項11に記載の方法。
  13. 前記酸性水溶液のpHが2.9未満のものである、請求項12に記載の方法。
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