JPWO2010016376A1 - 光学素子及び光ピックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、フッ素化処理による光学性能の低下を防止することのできる光学素子及び光ピックアップ装置を提供する。本発明の光学素子は、樹脂材料から成形された成形部を有する光学素子であって、前記樹脂材料は、脂環式炭化水素構造を有し、単位構造中の三級炭素の数が3個以下の樹脂を含有し、前記成形部が表面に、前記脂環式炭化水素構造を構成する少なくとも一部の水素がフッ素に置換された樹脂を含有する層を有していることを特徴とする。

Description

本発明は、光学素子及び光ピックアップ装置に関する。
従来、脂環式構造を持つ樹脂材料は吸水率が低く、光学素子の材料として好ましく用いられている。また、このような光学素子には、透過率を高める観点から反射防止の処理が施されている。
ここで、反射防止の手法としては、無機材料による蒸着膜を付ける方法や、フッ素ガスで樹脂中のC−H結合をC−F結合に置換させるフッ素化処理をすることで反射防止効果を得る方法(例えば、特許文献1参照)などが知られている。
このうち、無機材料による蒸着膜を付ける方法では、大掛かりな装置が必要であり、面角度がきつくなると膜厚が不均一になり易い。また、無機層(蒸着膜)と樹脂層(基材)との密着性が悪く、ブルーレーザー等の短波長光を照射すると、膜剥がれが起こってしまう。
一方、フッ素化処理を行う手法は気相中で行われるため、面角度に関係なく均一な膜を付けることができて好ましい。
しかしながら、高NAとなる光ピックアップ装置の対物レンズや高画素数の撮像系レンズに対してフッ素化処理を適用すると、収差やMTFといった光学性能の低下が生じてしまう。
特開2005−274748号公報
本発明の課題は、フッ素化処理による光学性能の低下を防止することのできる光学素子及び光ピックアップ装置を提供することである。
本発明の一態様によれば、本発明の光学素子は、樹脂材料から成形された成形部を有する光学素子であって、
前記樹脂材料は、
脂環式炭化水素構造を有し、単位構造中の三級炭素の数が3個以下の樹脂を含有し、
前記成形部が表面に、前記脂環式炭化水素構造を構成する少なくとも一部の水素がフッ素に置換された樹脂を含有する層を有していることを特徴とする。
本発明の光学素子においては、
前記フッ素化膜の厚みは、50〜300nmであることが好ましい。
また、本発明の光学素子においては、
前記樹脂材料の密度は、1g/cm未満であることが好ましい。
また、本発明の光学素子においては、
前記フッ素化膜上に無機材料からなる反射防止コートが設けられていることが好ましい。
また、本発明の光学素子においては、
像側の開口数NAが0.8以上であり、
光ピックアップ装置の対物レンズであることが好ましい。
また、本発明の他の態様によれば、光ピックアップ装置において、
本発明の光学素子を対物レンズとして備えることを特徴とする。
フッ素化処理に伴う光学性能の低下について本発明者等が鋭意研究を行い、単一波長で使用される光ピックアップ装置用の対物レンズに対し405nm、650nm、780nmの各波長光を透過させて収差を測定したところ、650nmや780nmでは収差が発生せず、405nmでのみ収差が発生することがわかった。このことから、フッ素化処理により反射防止を行うと、短波長の光に対して光線経路がばらつくと考えられた。また、フッ素化処理されたレンズの断面を観察したところ、フッ素化処理されていない樹脂部分の層と、フッ素化処理された樹脂部分の層との界面が波打っている様子が観察され、更に検討を進めたところ、局所的にフッ素化が進むことで界面が波打つことが分かった。このことから、界面が波打つことで短波長の光線が曲げられる結果、光学性能が低下していると考えられた。
そして、このような界面の波打ちを防止するためには、フッ素に対する樹脂部分の反応性を分子レベルで均一にするのが有効であると考え、C−H結合がラジカル反応によってC−F結合に置換されるというフッ素化のメカニズムに着目したところ、不安定な三級炭素は樹脂中では出来るだけ少ない方が良いとの結論に至り、単位構造当りの三級炭素数を3個以下とすれば光学性能の低下が防止されることを見出した。
すなわち、本発明によれば、成形部の表面は、フッ素化処理されてフッ素化膜を形成、即ち、脂環式炭化水素構造を構成する少なくとも一部の水素がフッ素に置換された樹脂を含有する層を有しており、成形部の樹脂材料は脂環式炭化水素構造を有し、単位構造中の三級炭素の数が3個以下の樹脂を含有するので、フッ素化されていない樹脂部分の層と、フッ素化された樹脂部分の層との界面を平坦にすることができ、その結果、フッ素化処理による光学性能の低下を防止することができる。
本発明の好ましい実施形態で使用される光ピックアップ装置の概略構成を示す図面である。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
[1]光ピックアップ装置30
図1に示す通り、光ピックアップ装置30には、光源としての半導体レーザー発振器32が具備されている。半導体レーザー発振器32は、BD(Blu−ray Disc)用として波長380〜420nmの特定波長(例えば405nm)のブルー光(青紫色光)を出射するようになっている。半導体レーザー発振器32から出射される青紫色光の光軸上には、半導体レーザー発振器32から離間する方向に向かって、コリメータ33、ビームスプリッタ34、1/4波長板35、絞り36、対物レンズ37が順次配設されている。
ビームスプリッタ34と近接した位置であって、上述した青紫色光の光軸と直交する方向には、2組のレンズからなるセンサーレンズ群38、センサー39が順次配設されている。
[1−2]対物レンズ37
対物レンズ37は、高密度な光ディスクD(BD(Blu−ray Disc)用光ディスク)に対向した位置に配置されており、半導体レーザー発振器32から出射された青紫色光を光ディスクDの一面上に集光するようになっている。対物レンズ37は像側開口数NAが0.8以上となっている。対物レンズ37には、2次元アクチュエータ40が具備されており、2次元アクチュエータ40の動作により、対物レンズ37は光軸上を移動自在となっている。
図1中の拡大図に示す通り、対物レンズ37は主には成形部50で構成されており、その表面37a上にフッ素化膜55と反射防止膜60とが形成されている。
[1−2.1]成形部50
このうち、成形部50はレンズ形状に成形されており、集光機能などの本質的な光学機能を発揮するようになっている。また、成形部50は樹脂材料から成形され、この樹脂材料は、脂環式炭化水素構造を有するとともに、単位構造中の三級炭素の数が3個以下の樹脂を母材樹脂として含有しており、好ましくは密度が1g/cm未満となっている。
ここで、本発明における単位構造とは、モノマーにおける単位構造をいい、樹脂がコポリマーであれば、最も三級炭素の数が多いモノマーにおける単位構造を指す。
[1−2.1A]成形部50の樹脂材料
本発明で用いられる3級炭素の数が3個以下の脂環式炭化水素樹脂は、特に限定されないが、好ましくは下記の樹脂が用いられる。
脂環式構造を有する重合体としては、重合体全繰り返し単位中に、下記式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記式(2)及び/又は下記式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを、合計含有量が90質量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1質量%以上10質量%未満である脂環式炭化水素系共重合体が好ましい。
式(1)中、Xは脂環式炭化水素基であり、式(1)、式(2)、及び式(3)中、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基で置換された鎖状炭化水素基である。その中でも水素原子又は炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基の場合が、耐熱性、低吸水性に優れるので好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができる。極性基で置換された鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のハロゲン化アルキル基が挙げられる。鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアルキル基;炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のアルケニル基が挙げられる。
一般式(1)中のXは脂環式炭化水素基を表し、それを構成する炭素数は、通常4個〜20個、好ましくは4個〜10個、より好ましくは5個〜7個である。脂環式構造を構成する炭素数をこの範囲にすることで複屈折を低減することができる。
脂環式炭化水素基は、炭素−炭素不飽和結合を有してもよいが、その含有量は、全炭素−炭素結合の10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。脂環式炭化水素基の炭素−炭素不飽和結合をこの範囲とすることで、透明性、耐熱性が向上する。また、脂環式炭化水素基を構成する炭素には、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基等が結合していてもよく、中でも水素原子又は炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基が耐熱性、低吸水性の点で好ましい。
また、式(3)中の……は、主鎖中の炭素−炭素飽和、又は炭素−炭素不飽和結合を示すが、透明性、耐熱性を強く要求される場合、不飽和結合の含有率は、主鎖を構成する全炭素−炭素間結合の、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
式(1)で表される繰り返し単位の中でも、下記式(4)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
式(2)で表される繰り返し単位の中でも、下記式(5)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
式(3)で表される繰り返し単位の中でも、下記式(6)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
式(4)、式(5)、及び式(6)中の、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rnはそれぞれ独立に水素原子または低級鎖状炭化水素基を示し、水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
式(2)及び式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位の中では、式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位の方が、得られる炭化水素系重合体の強度特性に優れている。
本発明においては、炭化水素共重合体中の、式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、式(2)及び/又は式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)との合計含有量は、質量基準で、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。合計含有量を上記範囲にすることで、低複屈折性、耐熱性、低吸水性、機械強度が高度にバランスされる。
脂環式炭化水素系共重合体における鎖状構造の繰り返し単位(b)の含有量は使用目的に応じて適宜選択されるが、通常、質量基準で1%以上10%未満、好ましくは1%以上8%以下、より好ましくは2%以上6%以下の範囲である。繰り返し単位(b)の含有量が上記範囲にあると、低複屈折性、耐熱性、低吸水性が高度にバランスされる。
また、繰り返し単位(a)の連鎖長は、脂環式炭化水素系共重合体の分子鎖長に対して十分に短く、具体的には、A=(脂環式構造を有する繰り返し単位(a)の連鎖の重量平均分子量)、B=(脂環式炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)×(脂環式構造を有する繰り返し単位(a)の数/脂環式炭化水素系共重合体を構成する全繰り返し単位数))とした時、AがBの30%以下であり、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下の範囲である。Aがこの範囲外では、低複屈折性に劣る。
さらに、繰り返し単位(a)の連鎖長が特定の分布を有しているもの好ましい。具体的には、A=(脂環式構造を有する繰り返し単位(a)の連鎖の重量平均分子量)、C=(脂環式構造を有する繰り返し単位(a)の連鎖の数平均分子量)としたとき、A/Cが、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.3〜8、最も好ましくは1.7〜6の範囲である。A/Cが過度に小さいとブロック程度が増加し、過度に大きいとランダムの程度が増加して、いずれの場合にも低複屈折性に劣る。
本発明の脂環式炭化水素系共重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPC)により測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは50,000〜250,000の範囲である。脂環式炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと成形物の複屈折が大きくなる。
かかる共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、通常2.5以下、好ましくは2.3以下、より好ましくは2以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、機械強度と耐熱性が高度にバランスされる。
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50℃〜250℃、好ましくは70℃〜200℃、より好ましくは90℃〜180℃である。
(脂環式炭化水素系共重合体の製造方法)
本発明の脂環式炭化水素系共重合体の製造方法としては、(1)芳香族ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、主鎖及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法、(2)脂環式ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、必要に応じて水素化する方法等が挙げられる。
上記の方法で本発明の脂環式炭化水素系共重合体を製造する場合には、芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物(a’)と共重合可能なその他のモノマー(b’)との共重合体で、共重合体中の化合物(a’)由来の繰り返し単位が、D=(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位連鎖の重量平均分子量)、E=(炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)×(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位数/炭化水素系共重合体を構成する全繰り返し単位数))、とした時、DがEの30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である連鎖構造を有する共重合体の、主鎖、及び芳香環やシクロアルケン環等の不飽和環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法により効率的に得ることができる。Dが上記範囲外では、得られる脂環式炭化水素系共重合体の低複屈折性が劣る。
本発明では(1)の方法がより効率的に脂環式炭化水素系共重合体を得ることができるので好ましい。
上記水素化前の共重合体は、さらに、F=(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位の連鎖の数平均分子量)、としたときの、D/Fが一定の範囲であるのが好ましい。具体的には、D/Fが、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.3以上、8以下、最も好ましくは1.7以上、6以下の範囲である。D/Fがこの範囲外では、得られる脂環式炭化水素系共重合体の低複屈折性が劣る。
上記化合物(a’)由来の繰り返し単位の連鎖の重量平均分子量および数平均分子量は、例えば、文献Macromorecules 1983, 16,1925−1928記載の、芳香族ビニル系共重合体の主鎖中不飽和二重結合をオゾン付加した後還元分解し、取り出した芳香族ビニル連鎖の分子量を測定する方法等により確認できる。
水素化前の共重合体の分子量は、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000の範囲である。共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと、それから得られる脂環式炭化水素系共重合体の成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと水素化反応性に劣る。
上記(1)の方法において使用する芳香族ビニル系化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等が挙げられ、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。
上記(2)の方法において使用する脂環式ビニル系化合物の具体例としては、例えば、シクロブチルエチレン、シクロペンチルエチレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘプチルエチレン、シクロオクチルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレン、α−t−ブチルシクロヘキシルエチレン、シクロペンテニルエチレン、シクロヘキセニルエチレン、シクロヘプテニルエチレン、シクロオクテニルエチレン、シクロデケニルエチレン、α−メチルシクロヘキセニルエチレン、及びα−t−ブチルシクロヘキセニルエチレン等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレンが好ましい。
これらの芳香族ビニル系化合物及び脂環式ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合可能なその他のモノマーとしては、格別な限定はないが、鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエン化合物等が用いられ、鎖状共役ジエンを用いた場合、製造過程における操作性に優れ、また得られる脂環式炭化水素系共重合体の強度特性に優れる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー;1−シアノエチレン(アクリロニトリル)、1−シアノ−1−メチルエチレン(メタアクリロニトリル)、1−シアノ−1−クロロエチレン(α−クロロアクリロニトリル)等のニトリル系モノマー;1−(メトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸メチルエステル)、1−(エトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸エチルエステル)、1−(プロポキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸プロピルエステル)、1−(ブトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸ブチルエステル)、1−メトキシカルボニルエチレン(アクリル酸メチルエステル)、1−エトキシカルボニルエチレン(アクリル酸エチルエステル)、1−プロポキシカルボニルエチレン(アクリル酸プロピルエステル)、1−ブトキシカルボニルエチレン(アクリル酸ブチルエステル)などの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、1−カルボキシエチレン(アクリル酸)、1−カルボキシ−1−メチルエチレン(メタクリル酸)、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系モノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエンは、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これら鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの鎖状ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
化合物(a’)を重合する方法は、格別制限はないが、一括重合法(バッチ法)、モノマー逐次添加法(モノマー全使用量の内の一部を用いて重合を開始した後、残りのモノマーを逐次添加して重合を進めていく方法)等が挙げられ、特にモノマー逐次添加法を用いると、好ましい連鎖構造を有する炭化水素系共重合体が得られる。水素化前の共重合体は、前述のDの値がより小さい程、及び/又は、D/Fが大きな値を示す程、よりランダムな連鎖構造を有する。共重合体がどの程度のランダム性を有しているかは、芳香族ビニル系化合物の重合速度と共重合可能なその他のモノマーの重合速度との速度比で決まり、この速度比が小さい程、よりランダムな連鎖構造を有していることになる。
前記モノマー逐次添加法によれば、均一に混合された混合モノマーが重合系内に逐次的に添加されるため、バッチ法とは異なり、ポリマーの重合による成長過程においてモノマーの重合選択性をより下げることができるので、得られる共重合体がよりランダムな連鎖構造になる。また、重合系内での重合反応熱の蓄積が小さくてすむので重合温度を低く安定に保つことがでる。
モノマー逐次添加法の場合、まずモノマーの全使用量のうち、通常0.01質量%〜60質量%、好ましくは0.02質量%〜20質量%、より好ましくは0.05質量%〜10質量%のモノマーを初期モノマーとして予め重合反応器内に存在させた状態で開始剤を添加して重合を開始する。初期モノマー量をこのような範囲にすると、重合開始後の初期反応において発生する反応熱除去を容易にすることができ、得られる共重合体をよりランダムな連鎖構造にすることができる。
上記初期モノマーの重合転化率を70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上になるまで反応を継続すると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。その後、前記モノマーの残部を継続的に添加するが、添加の速度は重合系内のモノマーの消費速度を考慮して決定される。
通常は、初期モノマーの重合添加率が90%に達するまでの所要時間をT、初期モノマーの全使用モノマーに対する比率(%)をIとしたとき、関係式[(100−I)×T/I]で与えられる時間の0.5〜3倍、好ましくは0.8〜2倍、より好ましくは1〜1.5倍となる範囲内で残部モノマーの添加が終了するように決定される。具体的には通常0.1〜30時間、好ましくは0.5時間〜5時間、より好ましくは1時間〜3時間の範囲となるように、初期モノマー量と残りモノマーの添加速度を決定する。また、モノマー添加終了直後の全モノマー重合転化率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。モノマー添加終了直後の全モノマー重合転化率を上記の範囲とすると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。
重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等、特別な制約はないが、重合操作、後工程での水素化反応の容易さ、及び最終的に得られる炭化水素系共重合体の機械的強度を考えると、アニオン重合法が好ましい。
ラジカル重合の場合は、開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜150℃で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法を用いることができるが、特に樹脂中への不純物等の混入等を防止する必要のある場合は、塊状重合、懸濁重合が望ましい。ラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムに代表される水溶性触媒やレドックス開始剤などが使用可能である。
アニオン重合の場合には、開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において、塊状重合、溶液重合、スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重合が好ましい。この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いる。溶液反応で用いる不活性溶媒は、例えばn−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用モノマー100質量部に対して200〜10,000質量部となるような割合で用いられる。
上記アニオン重合の開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
重合反応においては、また、重合促進剤や、ランダマイザー(或る1成分の連鎖が長くなるのを防止する機能を有する添加剤)などを使用できる。アニオン重合の場合には、例えばルイス塩基化合物をランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記のラジカル重合やアニオン重合により得られた重合体は、例えばスチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法で回収できる。また、重合時に、水素化反応で不活性な溶媒を用いた場合には、重合溶液から重合体を回収せず、そのまま水素添加工程に使用することができる。
(不飽和結合の水素化方法)
水素化前の共重合体の芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素二重結合や主鎖の不飽和結合等の水素化反応を行う場合は、反応方法、反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、且つ水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一触媒、均一触媒のいずれも使用可能である。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、又は適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、通常0.01〜80質量%、好ましくは0.05〜60質量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が用いられる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム等が好適に用いられる。
有機金属錯体触媒の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン)錯体等の金属錯体が使用される。これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体に対して、質量基準にて、通常、0.01〜100部、好ましくは0.05〜50部、より好ましくは0.1〜30部である。
水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、通常0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、水素化物の水素化率は、1H−NMRによる測定において、主鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環の炭素−炭素二重結合、不飽和環の炭素−炭素二重結合のいずれも、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
水素化反応終了後に水素化物を回収する方法は特に限定されていない。通常、濾過、遠心分離等の方法により水素化触媒残渣を除去した後、水素化物の溶液から溶媒を直接乾燥により除去する方法、水素化物の溶液を水素化物にとっての貧溶媒中に注ぎ、水素化物を凝固させる方法を用いることができる。
脂環式構造を有する重合体としては、重合体ブロック〔A〕および重合体ブロック〔B〕を有するブロック共重合体が更に好ましい。重合体ブロック〔A〕は、下記式(1)で表される繰り返し単位〔1〕を含有する。重合体ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R−R12はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはハロゲン基である。尚、前記R−R12は、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12である。以降同様。)
上記式(1)で表される繰り返し単位〔1〕の好ましい構造は、Rが水素またはメチル基で、R−R12がすべて水素のものである。重合体ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕の含有量が上記範囲にあると、透明性および機械的強度に優れる。重合体ブロック〔A〕における、前記繰り返し単位〔1〕以外の残部は、鎖状共役ジエンや鎖状ビニル化合物由来の繰り返し単位を水素化したものである。
重合体ブロック〔B〕は、前記繰り返し単位〔1〕ならびに下記式(2)で表される繰り返し単位〔2〕および/または下記式(3)で表される繰り返し単位〔3〕を含有する。重合体ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔1〕の含有量は、好ましくは40〜95モル%、より好ましくは50〜90モル%である。繰り返し単位〔1〕の含有量が上記範囲にあると、透明性および機械的強度に優れる。ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔2〕のモル分率をm2(モル%)および、繰り返し単位〔3〕のモル分率をm3(モル%)としたときに、2×m2+m3が、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5〜60モル%、最も好ましくは10〜50モル%である。
(式中、R13は、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
上記式(2)で表される繰り返し単位〔2〕の好ましい構造は、R13が水素またはメチル基のものである。
(式中、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
上記式(3)で表される繰り返し単位〔3〕の好ましい構造は、R14が水素で、R15がメチル基またはエチル基のものである。
重合体ブロック〔B〕中の、前記繰り返し単位〔2〕または繰り返し単位〔3〕の含有量が少なすぎると、機械的強度が低下する。したがって、繰り返し単位〔2〕および繰り返し単位〔3〕の含有量が上記範囲にあると、透明性および機械的強度に優れる。重合体ブロック〔B〕は、さらに、下記式(X)で表される繰り返し単位〔X〕を含有していてもよい。繰り返し単位〔X〕の含有量は、本発明のブロック共重合体の特性を損なわない範囲の量であり、好ましくはブロック共重合体全体に対し、30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
(式中、R25は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R26はニトリル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、もしくはハロゲン基を表し、R27は水素原子を表す。または、R26とR27とは相互に結合して、酸無水物基、もしくはイミド基を形成してもよい。)
また、本発明に用いるブロック共重合体は、重合体ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率をa、重合体ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率をbとした場合に、a>bの関係があることが好ましい。これにより、透明性、および機械的強度に優れる。
さらに、本発明に用いるブロック共重合体は、ブロック〔A〕を構成する全繰り返し単位のモル数をma、ブロック〔B〕を構成する全繰り返し単位のモル数をmbとした場合に、その比(ma:mb)が、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは30:70〜95:5、特に好ましくは40:60〜90:10である。(ma:mb)が上記範囲にある場合に、機械的強度および耐熱性に優れる。
本発明に用いるブロック共重合体の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(以下、Mwと記す。)で、好ましくは10,000〜300,000、より好ましくは15,000〜250,000、特に好ましくは20,000〜200,000の範囲である。ブロック共重合体のMwが上記範囲にあると、機械的強度、耐熱性、成形性のバランスに優れる。
ブロック共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算のMwと数平均分子量(以下、Mnと記す。)との比(Mw/Mn)で、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、機械的強度や耐熱性に優れる。
ブロック共重合体のガラス転移温度(以下、Tgと記す。)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、示差走査型熱量計(以下、DSCと記す。)による、高温側の測定値で、好ましくは70℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃、特に好ましくは90℃〜160℃である。
本発明に用いる上記ブロック共重合体は、重合体ブロック〔A〕および重合体ブロック〔B〕を有し、(〔A〕−〔B〕)型のジブロック共重合体であっても、(〔A〕−〔B〕−〔A〕)型や(〔B〕−〔A〕−〔B〕)型のトリブロック共重合体であっても、重合体ブロック〔A〕と重合体ブロック〔B〕とが、交互に合計4個以上つながったブロック共重合体であってもよい。また、これらのブロックがラジアル型に結合したブロック共重合体であってもよい。
本発明に用いるブロック共重合体は、以下の方法により得ることができる。その方法としては、芳香族ビニル化合物または/および環に不飽和結合を有する脂環族ビニル化合物を含有するモノマー混合物、および、ビニル系モノマー(芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル化合物を除く)を含有するモノマー混合物を重合して、芳香族ビニル化合物または/および脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック、および、ビニル系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロックを有するブロック共重合体を得る。そして該ブロック共重合体の芳香環または/および脂肪族環を水素化する方法や、飽和脂環族ビニル化合物を含有するモノマー混合物、および、ビニル系モノマー(芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル化合物を除く)を含有するモノマー混合物を重合して、脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック、および、ビニル系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロックを有するブロック共重合体を得る方法などが挙げられる。中でも、本発明に用いるブロック共重合体としてより好ましいものは、例えば、以下の方法により得ることができる。
(1)第一の方法としては、まず、芳香族ビニル化合物または/および環に不飽和結合を有する脂環族ビニル化合物を50モル%以上含有するモノマー混合物〔a’〕を重合して、芳香族ビニル化合物または/および環に不飽和結合を有する脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック〔A’〕を得る。ビニル系モノマー(芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル化合物を除く)を2モル%以上含有し、且つ、芳香族ビニル化合物および/または環に不飽和結合を有する脂環族ビニル化合物をモノマー混合物〔a’〕中の割合よりも少ない割合の量で含有するモノマー混合物〔b’〕を重合して、芳香族ビニル化合物および/または前記脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位とビニル系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック〔B’〕を得る。これらの工程を少なくとも経て、前記重合体ブロック〔A’〕および重合体ブロック〔B’〕を有するブロック共重合体を得た後、該ブロック共重合体の芳香環または/および脂肪族環を水素化する。
(2)第二の方法としては、まず、飽和脂環族ビニル化合物を50モル%以上含有するモノマー混合物〔a〕を重合して、飽和脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック〔A〕を得る。ビニル系モノマー(芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル化合物を除く)を2モル%以上含有し、且つ、飽和脂環族ビニル化合物をモノマー混合物〔a〕中の割合よりも少ない割合の量で含有するモノマー混合物〔b〕を重合して、飽和脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位とビニル系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック〔B〕を得る。これらの工程を少なくとも経て、前記重合体ブロック〔A〕および重合体ブロック〔B〕を有するブロック共重合体を得る。
上記方法の中で、モノマーの入手容易性、重合収率、重合体ブロック〔B’〕への繰り返し単位〔1〕の導入のし易さ等の観点から、上記(1)の方法がより好ましい。
上記(1)の方法における芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等や、これらにヒドロキシル基、アルコキシ基などの置換基を有するもの等が挙げられる。中でもスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。
上記(1)方法における不飽和脂環族ビニル系化合物の具体例としては、シクロヘキセニルエチレン、α−メチルシクロヘキセニルエチレン、およびα−t−ブチルシクロヘキセニルエチレン等や、これらにハロゲン基、アルコキシ基、またはヒドロキシル基等の置換基を有するもの等が挙げられる。
これらの芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできるが、本発明においては、モノマー混合物〔a’〕および〔b’〕のいずれにも、芳香族ビニル化合物を用いるのが好ましく、中でも、スチレンまたはα−メチルスチレンを用いるのがより好ましい。
上記方法で使用するビニル系モノマーには、鎖状ビニル化合物および鎖状共役ジエン化合物が含まれる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエンは、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、および1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これら鎖状ビニル化合物および鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物および鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のモノマーを含有するモノマー混合物を重合する場合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等のいずれの方法で重合反応を行ってもよいが、アニオン重合によるのが好ましく、不活性溶媒の存在下にリビングアニオン重合を行うのが最も好ましい。
アニオン重合は、重合開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において行う。開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
使用する不活性溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用モノマー100質量部に対して200〜10,000質量部となるような割合で用いられる。
それぞれの重合体ブロックを重合する際には、各ブロック内で、或る1成分の連鎖が長くなるのを防止するために、重合促進剤やランダマイザーなどを使用することができる。特に重合反応をアニオン重合により行う場合には、ルイス塩基化合物などをランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
リビングアニオン重合によりブロック共重合体を得る方法は、従来公知の、逐次付加重合反応法およびカップリング法などが挙げられるが、本発明においては、逐次付加重合反応法を用いるのが好ましい。
逐次付加重合反応法により、重合体ブロック〔A’〕および重合体ブロック〔B’〕を有する上記ブロック共重合体を得る場合には、重合体ブロック〔A’〕を得る工程と、重合体ブロック〔B’〕を得る工程は、順次連続して行われる。具体的には、不活性溶媒中で、上記リビングアニオン重合触媒存在下、モノマー混合物〔a’〕を重合して重合体ブロック〔A’〕を得、引き続きその反応系にモノマー混合物〔b’〕を添加して重合を続け、重合体ブロック〔A’〕とつながった重合体ブロック〔B’〕を得る。さらに所望に応じて、再びモノマー混合物〔a’〕を添加して重合し、重合体ブロック〔A’〕をつなげてトリブロック体とし、さらには再びモノマー混合物〔b’〕を添加して重合し、重合体ブロック〔B’〕をつなげたテトラブロック体を得る。
得られたブロック共重合体は、例えばスチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法によって回収する。重合反応において、水素化反応で不活性な溶媒を用いた場合には、重合溶液そのままを水素化反応工程にも使用することができるので、重合溶液からブロック共重合体を回収しなくてもよい。
上記(1)の方法において得られる、重合体ブロック〔A’〕および重合体ブロック〔B’〕を有するブロック共重合体(以下、水素化前ブロック共重合体という。)のうち下記の構造の繰り返し単位を有するものが好ましい。
好ましい水素化前ブロック共重合体を構成する重合体ブロック〔A’〕は、下記式(4)で表される繰り返し単位〔4〕を50モル%以上含有する重合体ブロックである。
(式中、R16は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R17−R21は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基またはハロゲン基である。尚、上記〔R17−R21〕は、R17、R18、・・およびR21を表す。)
また、好ましい重合体ブロック〔B’〕は、前記繰り返し単位〔4〕を必ず含み、下記式(5)で表される繰り返し単位〔5〕および下記式(6)で表される繰り返し単位〔6〕のいずれかを少なくとも1つ含む重合体ブロックである。また、重合体ブロック〔A’〕中の繰り返し単位〔4〕のモル分率をa’、ブロック〔B’〕中の繰り返し単位〔4〕のモル分率をb’とした場合、a’>b’である。
(式中、R22は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
(式中、R23は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R24は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
さらに、ブロック〔B’〕中には、下記式(Y)で示される繰り返し単位〔Y〕を含有していてもよい。
(式中、R28は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R29はニトリル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、またはハロゲン基を表し、R30は水素原子を表す。または、R29とR30とは相互に結合して、酸無水物基、またはイミド基を形成してもよい。)
さらに、好ましい水素化前ブロック共重合体は、ブロック〔A’〕を構成する全繰り返し単位のモル数をma’、ブロック〔B’〕を構成する全繰り返し単位のモル数をmb’とした場合に、その比(ma’:mb’)が、5:95〜95:5、より好ましくは30:70〜95:5、特に好ましくは40:60〜90:10である。(ma’:mb’)が上記範囲にある場合に、機械的強度や耐熱性に優れる。
好ましい水素化前ブロック共重合体の分子量は、THFを溶媒としてGPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算Mwで、12,000〜400,000、より好ましくは19,000〜350,000、特に好ましくは25,000〜300,000の範囲である。ブロック共重合体のMwが過度に小さいと、機械的強度が低下し、過度に大きいと、水素添加率が低下する。
好ましい水素化前のブロック共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算のMwとMnとの比(Mw/Mn)で、5以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、水素添加率が向上する。
好ましい水素化前のブロック共重合体のTgは、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、DSCによる高温側の測定値で、70℃〜150℃、より好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃である。
上記の、水素化前のブロック共重合体の、芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素不飽和結合、および主鎖や側鎖の不飽和結合等を水素化する方法および反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、およびレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一系触媒、均一系触媒のいずれも使用可能である。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、または適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは0.05〜60質量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が用いられる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム等が好適に用いられる。
有機金属錯体触媒の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン錯体等の金属錯体が使用される。これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.05〜50質量部、特に好ましくは0.1〜30質量部である。
水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、好ましくは0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、より好ましくは1MPa〜20MPa、特に好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、ブロック共重合体の水素化率は、1H−NMRによる測定において、主鎖および側鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環やシクロアルケン環の炭素−炭素不飽和結合のいずれも、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
水素化反応終了後、ブロック共重合体は、例えば濾過、遠心分離等の方法により反応溶液から水素化触媒を除去した後、溶媒を直接乾燥により除去する方法、反応溶液を、ブロック共重合体にとっての貧溶媒中に注ぎ、凝固させる方法等によって回収できる。
[1−2.1B]樹脂材料に対する配合剤
上記の本発明における重合体には、必要に応じて各種配合剤を配合することができる。ブロック共重合体に配合することができる配合剤については、格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラーなどが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
本発明においては、重合体に、上記配合剤の中でも、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および耐光安定剤を配合するのが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成形時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る重合体100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミディルメチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三−ブチル−5’−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中でも、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミディルメチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどが耐熱性、低揮発性などの観点から好ましい。
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSと記す。)の中でも、THFを溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算のMnが1000〜10000であるものが好ましく、2000〜5000であるものがより好ましく、2800〜3800であるものが特に好ましい。Mnが小さすぎると、該HALSを重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合できなかったり、射出成形等の加熱溶融成形時に発泡やシルバーストリークが生じるなど加工安定性が低下する。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、ブロック共重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れたレンズが得られる。
このようなHALSの具体例としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−〔4,6−ビス− {ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALSなどが挙げられる。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などのMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
本発明に係るブロック共重合体に対する上記紫外線吸収剤およびHALSの配合量は、重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生したり、重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下する。
また、本発明に係る重合体に、最も低いガラス転移温度が30℃以下である軟質重合体を配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
上記軟質重合体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などのオレフィン系軟質重合体;ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンゴム、イソブチレン−スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン・ブロック共重合体、イソプレン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン・ブロック共重合体などのジエン系軟質重合体;ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのアクリル系軟質重合体;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素系軟質重合体;天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体などが挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。
上記軟質重合体の中でもジエン系軟質重合体が好ましく、特に該軟質重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化した水素化物が、ゴム弾性、機械的強度、柔軟性、および分散性の点で優れる。軟質重合体の配合量は、化合物の種類に応じて異なるが、一般に、配合量が多すぎれば、重合体のガラス転移温度や透明性が大きく低下し、レンズとして使用することができない。また配合量が少なすぎれば、高温高湿下において成形物の白濁を生じる場合がある。配合量は、ブロック共重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.02〜5質量部、特に好ましくは0.05〜2質量部である。
本発明で用いる重合体に上記配合剤を配合して重合体組成物を形成する方法は、例えば、ミキサー、二軸混錬機、ロール、ブラベンダー、押出機などでブロック共重合体を溶融状態にして配合剤と混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させ凝固する方法などが挙げられる。二軸混練機を用いる場合、混錬後に通常は溶融状態でストランド状に押し出し、ペレタイザーにてペレット状にカットして用いられることが多い。
[1−2.2]フッ素化膜55
フッ素化膜55は成形部50に対しフッ素化処理が実行されることで形成された層であり、対物レンズ37の表面反射率を低下させる機能を有している。フッ素化膜55はd線に対する屈折率が1.35〜1.45となっており、当該屈折率の値は表面反射率により測定することができる。フッ素化膜55の層厚(成形部50の表面37aから内部への厚み)は好ましくは50〜300nmである。層厚が300nmを超えると、干渉縞の影響が光の波長に大きく依存し、その上に反射防止膜60を形成してもその機能を発揮させるのが難しくなり、逆に層厚が50nm未満であると、フッ素化膜55の機能を十分に発揮させるのが難しくなるからである。
[1−2.3]反射防止膜60
反射防止膜60は、無機材料から構成されており、基本的には2層構造を有している。フッ素化膜55に対し直に第1層61が形成されており、その上に第2層62が形成されている。
第1層61は屈折率1.7以上の高屈折率材料から構成された層であり、好ましくはTa,TaとTiOとの混合物、ZrO,ZrOとTiOとの混合物のいずれかで構成されている。第1層61はTiO,Nb,HfOで構成されてもよい。第2層62は屈折率1.7未満の低屈折率材料から構成された層であり、好ましくはSiO,MgFから構成されている。
対物レンズ37では、第1層61,第2層62の上にさらに第1層61,第2層62を交互に積層し、反射防止膜60を全体で2〜7層構造としてもよい。この場合、フッ素化膜55に直に接触する層は成形部50の種類に応じて、高屈折率材料の層(第1の層61)としてもよいし、低屈折率材料の層(第2の層62)としてもよい。本実施形態ではフッ素化膜55に直に接触する層が高屈折率材料の層となっている。
なお、対物レンズ37では、表面37aに対してフッ素化膜55と反射防止膜60とが形成されているのと同様に、裏面37bにもフッ素化膜55と反射防止膜60とが形成されており、表面37aと裏面37bとの両面に対しフッ素化膜55と反射防止膜60とが形成されている。但し、対物レンズ37は反射防止膜60を有していなくても良い。
[1−2.4]対物レンズ37の製造方法
続いて、対物レンズ37の製造方法について説明する。
始めに、上記の樹脂材料を一定条件下で金型に対し射出成形し、所定形状を有する成形部50を形成する。その後、成形部50に対してフッ素化処理を実行し、成形部50上にフッ素化膜55を形成する。
フッ素化処理では、成形部50をフッ素ガス雰囲気中に晒し、その表面にフッ素化膜55を形成する。これにより、高分子材料(樹脂)の屈折率を低下させ、対物レンズ37の表面反射率を低下させることができる。
フッ素ガス雰囲気中のフッ素ガス濃度、フッ素ガス雰囲気中に曝露する温度や時間を適宜選択することにより、フッ素化率及びフッ素化膜55の膜厚を任意に制御でき、所望の波長の表面反射率を低下させることが出来る。
ここで、フッ素ガス雰囲気とは、フッ素ガスを含む気体に覆われていることを意味し、フッ素ガスと窒素,アルゴン等の不活性ガスとの混合ガスに覆われていることも含まれる。
また、フッ素ガス雰囲気中のフッ素ガスの濃度は、所望の屈折率およびフッ素化膜55の厚さに応じて適宜選択することができる。
また、成形部50とは、樹脂の構成元素が炭素と水素から成る重合体で、上記の例のほかにも、炭素と水素からなる重合体であるならば、特に限定されるものではない。
なお、成形部50に添加される酸化防止剤や紫外線吸収剤、可塑剤のような、全質量に対して添加量が5%以下である添加剤の構成元素は、炭素と水素以外でも構わない。
また、成形部50を製造する際に使用される触媒や反応停止剤のような重合副資材が残留している場合でも、全質量に対して残留量が1%未満であれば、その構成元素が炭素と水素に限定されるものではない。
本実施形態において、成形部50としては、特に上記条件が満たされていれば限定されないが、高透明性、高耐熱性、低吸水性、高純度、低複屈折性を加味すると、上述の樹脂材料の重合体であることがより好ましい。
この重合体を例えば窒素ガス等で希釈した種々の濃度のフッ素ガス中に、所定温度、所定時間曝すことにより、高分子材料の表面から内部に向かって徐々に分子内でのフッ素の導入が起こり、材料のフッ素含有率が増加してゆくことになる。
材料表面からのフッ素の浸透深さ、フッ素処理後の材料中のフッ素含有率は、フッ素処理中のフッ素ガスの濃度、フッ素処理温度、フッ素処理時間に依存して変化する。
これらの条件については特に制限はないが、フッ素濃度が高い場合、処理時間が長い場合、処理温度が高い場合に、フッ素の浸透深さが深くなり、またフッ素処理後の高分子材料のフッ素含有率が高くなる。
フッ素含有率の増加に伴ってフッ素化された部分の屈折率が低減するので、フッ素濃度、処理温度、処理時間を適宜選択すれば、所望の厚さの低屈折フッ素化膜55を形成することが可能である。
ただし、極端にフッ素濃度を高くしたり、極端な高温長時間でのフッ素処理を行うと分子が劣化するため、通常のフッ素処理条件としてはフッ素濃度が1ppm〜25%、処理温度が0〜100℃、処理時間が0.1秒〜120分が好適である。
その後、フッ素化膜55上に反射防止膜60を形成する。詳しくは、第1層61を構成する蒸着源を用いて第1層61を形成する。例えば、第1層61として(Ta+5%TiO)膜を形成する場合には、蒸発源としてオプトラン社製OA600を用い、電子銃加熱により当該蒸着源を蒸発させればよい。蒸着中は、真空蒸着装置内部の圧力が1.0×10−2PaまでOガスを導入し、蒸着速度を5Å/secの条件にコントロールしながら成膜するのがよい。そして成膜温度(蒸着装置内の温度)を適切な温度範囲内で保持する。
その後、成形部50の反対面にも第1層61を形成するため、蒸着装置内部の反転機構により成形部50を反転させ、上記と同様にしてその反対面にも第1層61を形成する(第2層62の裏面への成膜についても同様である。)。
その後、第1層61の上に続けて、第2層62を構成する蒸着源を用いて第2層62を形成する。例えば、第2層62としてSiO膜を形成する場合には、真空蒸着装置内部の圧力が1.0×10−2PaまでOガスを導入し、蒸着速度を5Å/secの条件にコントロールしながら成膜するのがよい。そして成膜温度(蒸着装置内の温度)を適切な温度範囲内で保持する。
以上の工程により対物レンズ37が製造される。
[2]光ピックアップ装置30の動作
続いて、光ピックアップ装置30の動作について説明する。
光ディスクDへの情報の記録動作時や光ディスクDに記録された情報の再生動作時に、半導体レーザー発振器32から青紫色光が出射される。出射された青紫色光は、コリメータ33を透過して無限平行光にコリメートされた後、ビームスプリッタ34を透過して、1/4波長板35を透過する。さらに、当該青紫色光は絞り36及び対物レンズ37を透過した後、光ディスクDの保護基板Dを介して情報記録面Dに集光スポットを形成する。
集光スポットを形成した青紫色光は、光ディスクDの情報記録面Dで情報ビットによって変調され、情報記録面Dによって反射される。そして、この反射光は、対物レンズ37及び絞り36を順次透過した後、1/4波長板35によって偏光方向が変更され、ビームスプリッタ34で反射する。その後、当該反射光は、センサーレンズ群38を透過して非点収差が与えられ、センサー39で受光されて、最終的には、センサー39によって光電変換されることによって電気的な信号となる。
以後、このような動作が繰り返し行われ、光ディスクDに対する情報の記録動作や、光ディスクDに記録された情報の再生動作が完了する。
以上の本実施形態によれば、成形部50の表面はフッ素化処理されてフッ素化膜55を形成しており、成形部50の樹脂材料は脂環式炭化水素構造を有し、単位構造中の三級炭素の数が3個以下の樹脂を含有するので、フッ素化処理されていない樹脂部分の層と、フッ素化処理された樹脂部分の層との界面を平坦にすることができ、その結果、フッ素化処理による光学性能の低下を防止することができる。
また、フッ素化膜55の層厚が50〜300nmであるので、層厚が300nmを超えた場合と比較して、反射防止膜60による反射防止機能を向上させることができ、層厚が50nm未満の場合と比較して、フッ素化膜55による反射防止機能を向上させることができる。
また、成形部50の樹脂材料の密度が1g/cm未満であるので、1g/cm以上の場合と比較して、フッ素化処理による成形部50内部へのフッ素の導入速度を高めることができる。従って、フッ素化処理されていない樹脂部分の層と、フッ素化処理された樹脂部分の層との界面をより確実に平坦化することができ、これにより、光学性能の低下をより確実に防止することができる。
なお、上記の実施形態においては、本発明に係る光学素子を対物レンズ37として説明したが、他の種類・用途の光学素子としても良い。
以下、実施例および比較例を挙げることにより、本発明に係る光学素子をさらに具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
(1)サンプルの作製
本発明の実施例,比較例として、以下の表1〜表5に示すようなサンプルを作製した。以下、各サンプルについて具体的に説明する。
(1.1)実施例1
攪拌装置を備えたステンレス製反応器内を十分に乾燥、窒素置換した。その後、この反応器に対し脱水シクロヘキサン300質量部、スチレン60質量部及びジブチルエーテル0.38質量部を仕込み、これらを60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.36質量部を添加して重合反応を開始させた。
1時間重合反応を行い、その後、反応溶液中に、スチレン8質量部、イソプレン12質量部及び1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート0.8質量部からなる混合モノマーを添加し、さらに1時間重合反応を行い、その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2質量部を添加して反応を停止させた。
次に、上記重合反応溶液300質量部を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、シリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(日揮科学工業社製:E22U、ニッケル担持型量60%)10質量部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換して、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度を160℃に設定し、その後圧力4.5MPaにて8時間水素化反応を行った。
反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去し、シクロヘキサン800質量部を加えて希釈し、その後当該反応溶液を3500質量部のイソプロパノール中に注いで共重合体を析出させた。その後、この共重合体をろ過し取り出し、80℃にて48時間減圧乾燥させて「樹脂材料1」を得た。なお、この「樹脂材料1」における母材樹脂の単位構造当りの三級炭素数は2個であり、「樹脂材料1」の密度を測定したところ0.94g/cmであった。
この「樹脂材料1」を70℃で6時間乾燥させて水分を除去し、その後射出成形機により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度30mm/sec、射出圧80MPaにてNA0.85の光ピックアップ用対物レンズを成形した。
次に、上記対物レンズを1.1気圧、常温、Fガス濃度5%の雰囲気下に5分間曝すことにより、当該対物レンズに対してフッ素化処理を行い、得られた対物レンズを「実施例1」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は50nmであった。また、同様の条件(1.1気圧、常温、Fガス濃度5%)で100nmのフッ素化膜の形成時間を測定したところ、10分であった(表4参照)。
(1.2)実施例2
実施例1のサンプルにおいてフッ素化処理時間を10分とし(それ以外は実施例1のサンプルと同じ。)、これにより作製した対物レンズを「実施例2」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は100nmであった。
(1.3)実施例3
実施例1のサンプルにおいてフッ素化処理時間を30分とし(それ以外は実施例1のサンプルと同じ。)、これにより作製した対物レンズを「実施例3」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は300nmであった。
(1.4)比較例1
攪拌装置を備えたステンレス製反応器内を十分に乾燥、窒素置換した。その後、この反応器に対し脱水シクロヘキサン300質量部、2,4−ジメチルスチレン60質量部及びジブチルエーテル0.38質量部を仕込み、これらを60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.36質量部を添加して重合反応を開始させた。
1時間重合反応を行い、その後、反応溶液中に、2,4−ジメチルスチレン8質量部、イソプレン12質量部及び1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート0.8質量部からなる混合モノマーを添加し、さらに1時間重合反応を行い、その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2質量部を添加して反応を停止させた。
次に、上記重合反応溶液300質量部を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、シリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(日揮科学工業社製:E22U,ニッケル担持型量60%)10質量部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換して、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度を160℃に設定し、その後圧力4.5MPaにて8時間水素化反応を行った。
反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去し、シクロヘキサン800質量部を加えて希釈し、その後当該反応溶液を3500質量部のイソプロパノール中に注いで共重合体を析出させた。その後、この共重合体をろ過し取り出し、80℃にて48時間減圧乾燥させて「樹脂材料2」を得た。なお、この「樹脂材料2」における母材樹脂の単位構造当りの三級炭素数が多いモノマーは4個であり、「樹脂材料2」の密度を測定したところ0.97g/cmであった。
この「樹脂材料2」を70℃で6時間乾燥させて水分を除去し、その後射出成形機により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度30mm/sec、射出圧80MPaにてNA0.85の光ピックアップ用対物レンズを成形した。
次に、上記対物レンズを1.1気圧、常温、Fガス濃度5%の雰囲気下に6分間曝すことにより、当該対物レンズに対してフッ素化処理を行い、得られた対物レンズを「比較例1」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は50nmであった。
(1.5)比較例2
比較例1のサンプルにおいてフッ素化処理時間を11分とし(それ以外は比較例1のサンプルと同じ。)、これにより作製した対物レンズを「比較例2」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は100nmであった。
(1.6)比較例3
比較例1のサンプルにおいてフッ素化処理時間を35分とし(それ以外は比較例1のサンプルと同じ。)、これにより作製した対物レンズを「比較例3」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は300nmであった。
(1.7)比較例4
エチレン及びテトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]ドデカ−3−エンのランダム共重合体100質量部と、界面活性剤としてのペンタエリスリトールジステアレート0.5質量部と、安定剤としてのペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3質量部とを、二軸混練機にて混練し「樹脂材料3」を得た。なお、この「樹脂材料3」における母材樹脂の単位構造当りの三級炭素数は8個であり、「樹脂材料3」の密度を測定したところ1.04g/cmであった。
この「樹脂材料3」を70℃で6時間乾燥させて水分を除去し、その後射出成形機により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度30mm/sec、射出圧80MPaにてNA0.85の光ピックアップ用対物レンズを成形した。
次に、上記対物レンズを1.1気圧、常温、Fガス濃度5%の雰囲気下に8分間曝すことにより、当該対物レンズに対してフッ素化処理を行い、得られた対物レンズを「比較例4」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は50nmであった。
(1.8)比較例5
比較例4のサンプルにおいてフッ素化処理時間を15分とし(それ以外は比較例4のサンプルと同じ。)、これにより作製した対物レンズを「比較例5」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は100nmであった。
(1.9)比較例6
比較例4のサンプルにおいてフッ素化処理時間を50分とし(それ以外は比較例4のサンプルと同じ。)、これにより作製した対物レンズを「比較例6」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は300nmであった。
(1.10)実施例1’〜3’,比較例1’〜6’
4枚のレンズで構成される3Mピクセル用の撮像系レンズのうち、2枚目のレンズを、硝材K−BaSF12から成形した。
また、1、3、4枚目のレンズについては、上記の実施例1〜3,比較例1〜6と同様に、成形した後フッ素化処理を行った。
そして、これら4枚のレンズによって撮像系レンズを構成し、「実施例1’」〜「実施例3’」,「比較例1’」〜「比較例6’」のサンプルとした。
具体的には、実施例1と同様に「樹脂材料1」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに5分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「実施例1’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ50nmであった。
また、実施例2と同様に「樹脂材料1」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに10分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「実施例2’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ100nmであった。
また、実施例3と同様に「樹脂材料1」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに30分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「実施例3’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ300nmであった。
また、比較例1と同様に「樹脂材料2」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに6分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「比較例1’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ50nmであった。
また、比較例2と同様に「樹脂材料2」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに11分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「比較例2’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ100nmであった。
また、比較例3と同様に「樹脂材料2」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに35分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「比較例3’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ300nmであった。
また、比較例4と同様に「樹脂材料3」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに8分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「比較例4’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ50nmであった。
また、比較例5と同様に「樹脂材料3」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに15分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「比較例5’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ100nmであった。
また、比較例6と同様に「樹脂材料3」から1,3,4枚目のレンズを成形し、各レンズに50分のフッ素化処理を行った後、2枚目のレンズと組み合わせ、得られた撮像系レンズを「比較例6’」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚はそれぞれ300nmであった。
(1.11)実施例4
実施例1のサンプルにおいてフッ素化処理時間を2分とし(それ以外は実施例1のサンプルと同じ。)、これにより作製した対物レンズを「実施例4」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は20nmであった。
(1.12)実施例5
実施例1のサンプルにおいてフッ素化処理時間を60分とし(それ以外は実施例1のサンプルと同じ。)、これにより作製した対物レンズを「実施例5」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は500nmであった。
(1.13)実施例6
ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エン100質量部及び1−ヘキセン7.6質量部をトルエン300質量部に溶解し、ここにジエチルアルミニウムクロライド溶液を2質量部、六塩化タングステンを0.003質量部加えて、80℃で3時間攪拌した。攪拌後、大量のメタノールを混合液中に投入し凝固させ、凝固したポリマーを乾燥させた。
得られたポリマー100質量部をテトラヒドロフランに溶解させ、これに水素化触媒として10質量部のパラジウム/アルミナを添加し、170℃4MPaの圧力下で4時間加熱攪拌しつつ水素化反応を行った。その後、触媒を濾過して「樹脂材料4」を得た。なお、この「樹脂材料4」における母材樹脂の単位構造当りの三級炭素数は2個であり、「樹脂材料4」の密度を測定したところ1.01g/cmであった。
この「樹脂材料4」を70℃で6時間乾燥させて水分を除去し、その後射出成形機により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度30mm/sec、射出圧80MPaにてNA0.85の光ピックアップ用対物レンズを成形した。
次に、上記対物レンズを1.1気圧,常温,Fガス濃度5%の雰囲気下に12分間曝すことにより、当該対物レンズに対してフッ素化処理を行い、得られた対物レンズを「実施例6」のサンプルとした。ここで、得られたフッ素化膜の膜厚は100nmであった。「樹脂材料1」において、同様の条件(1.1気圧,常温,Fガス濃度5%)では、100nmのフッ素化膜の形成時間が10分であった(表4参照)。
(1.14)実施例7
実施例1のサンプルにおけるフッ素化膜の上に、反射防止膜としてTiO層及びSiO層を交互に6層成膜し、得られた対物レンズを「実施例7」のサンプルとした。
(2)サンプルの評価
(2.1)収差の評価
作製した実施例1〜3,6及び比較例1〜6の各サンプル(対物レンズ)について、フッ素化処理前後で波長405nmのレーザー光を透過させた場合の収差を測定し、以下の基準に従って評価したところ、上述の表1,表4に示す通りとなった。
◎ :フッ素化処理前後で変化が無い
○ :フッ素化処理前後で10mλ以下の変化を生じた
× :フッ素化処理前後で10mλより大きく、50mλ以下の変化を生じた
××:フッ素化処理前後で50mλより大きい変化を生じた
(2.2)MTFの評価
作製した実施例1’〜3’及び比較例1’〜6’の各サンプル(撮像系レンズ)について、ナノテックス(株)製のMATRIXプラスを使用してMTFを測定し、以下の基準に従って評価したところ、上述の表2に示す通りとなった。
○:フッ素化処理前後でのMTFの差が、10%未満
△:フッ素化処理前後でのMTFの差が、10%以上、30%以下
×:フッ素化処理前後でのMTFの差が、30%より大きい
(2.3)耐光性の評価
作成した実施例1〜5,7の各サンプル(対物レンズ)に対し80℃で20mW、405nmのレーザーを照射し、以下の基準に従って耐光性を評価したところ、上述の表3,表5に示す通りとなった。
◎:5000hのレーザー照射前後で変化がない。
○:3000hのレーザー照射前後で変化がない。
(2.4)光線透過率の測定
作成した実施例1,7のサンプル(対物レンズ)について、波長450nmの光線透過率を測定したところ、上述の表5に示す通り、実施例1では97%、実施例7では99%であった。
(3)まとめ
表1の結果から、実施例1〜3のサンプルでは、比較例1〜6のサンプルと比較してフッ素化処理による収差の発生が防止されることが分かる。
また、表2の結果から、実施例1’〜3’のサンプルでは、比較例1’〜6’のサンプルと比較してフッ素化処理によるMTFの低下が防止されることが分かる。
これらから、脂環式炭化水素構造を有し、単位構造中の三級炭素の数が3個以下の樹脂を含有する樹脂材料で成形された光学素子(成形部)の表面がフッ素化処理されている場合には、光学性能の低下が防止されることが分かる。
また、表4の結果から、樹脂材料の密度が1g/cm未満であれば、フッ素化処理による光学性能の低下がより確実に防止されることが分かる。
また、表3の結果から、フッ素化膜の厚みが50〜300nmであれば、耐光性が向上することが分かる。
30 光ピックアップ装置
32 半導体レーザー発振器
33 コリメータ
34 ビームスプリッタ
35 1/4波長板
36 絞り
37 対物レンズ
37a 表面
37b 裏面
38 センサーレンズ群
39 センサー
40 2次元アクチュエータ
50 成形部
55 フッ素化膜
60 反射防止膜
61 第1層
62 第2層
D 光ディスク
保護基板
情報記録面

Claims (6)

  1. 樹脂材料から成形された成形部を有する光学素子であって、
    前記樹脂材料は、
    脂環式炭化水素構造を有し、単位構造中の三級炭素の数が3個以下の樹脂を含有し、
    前記成形部が表面に、
    前記脂環式炭化水素構造を構成する少なくとも一部の水素がフッ素に置換された樹脂を含有する層を有していることを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記フッ素化膜の厚みは、50〜300nmであることを特徴とする光学素子。
  3. 請求項1または2に記載の光学素子において、
    前記樹脂材料の密度は、1g/cm未満であることを特徴とする光学素子。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の光学素子において、
    前記フッ素化膜上に無機材料からなる反射防止コートが設けられていることを特徴とする光学素子。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の光学素子において、
    像側の開口数NAが0.8以上であり、
    光ピックアップ装置の対物レンズであることを特徴とする光学素子。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の光学素子を対物レンズとして備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
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