JPWO2010016111A1 - 送信装置および調整値測定方法 - Google Patents

送信装置および調整値測定方法 Download PDF

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Abstract

各調整要素に対する調整を開始してから電力増幅器の歪補償を最適にするまでの時間を短縮することを課題とする。この課題を解決するため、送信条件に応じた最適なフィルタ係数を選択するための調整値を送信条件ごとに予め求めておく。そして、ある送信条件となった場合に、フィルタ係数を選択する処理部に対してその送信条件に対応する調整値を初期値として与える。こうすることによって、フィルタ係数の調整が最適なところから開始されるので、送信装置は、送信条件を変えて送信を再開する場合でも、各調整要素に対する調整を開始してから電力増幅器の歪補償を最適にするまでの時間を短縮することができる。

Description

この発明は、電力増幅器に対して適応型イコライザを含む歪補償部による歪補償を行なう送信装置および当該の送信装置において、歪補償部の一つである適応型イコライザのデジタルフィルタに設定されるフィルタ係数の選択に用いられる調整値を測定する調整値測定方法に関し、特に、各部の調整要素に対する調整を開始してから電力増幅器の歪補償を最適にするまでの時間を短縮することが可能な送信装置および調整値測定方法に関する。
従来、移動通信システムにおける基地局などの送信装置では、送信信号を増幅する電力増幅器の非線形特性に対して歪補償が行なわれる場合がある。歪補償を行なう処理部としては、送信装置の送信信号発生部の出力(基準信号)と、電力増幅器からフィードバックされるフィードバック信号を比較し、適応型歪補償アルゴリズムで歪補償を行なう適応型歪補償部が知られている。また、この適応型歪補償部による歪補償の効果を損なわないように、アナログ回路の周波数特性を適応的に等価する適応型イコライザが知られている。
適応型歪補償部や適応型イコライザにより歪補償を行なう場合には、送信装置は、基準信号とフィードバック信号を比較するために、フィードバック信号のタイミングを調整する遅延調整や、送信信号の振幅偏差を補正するイコライザ調整などさまざまな調整を行なう。
特開2003−298362号公報
しかしながら、各調整要素は互いに関係しており、送信装置は、各調整要素に対する調整を徐々に行い、両方の補正具合を確認しながら調整する必要があった。例えば、送信装置は、一方の調整を行なった結果、他方の調整量を判定して他方の調整を行い、他方の調整を行った結果、一方の調整量を判定して再度一方の調整を行っていた。その結果、送信装置において、各調整要素に対する調整が開始されてから電力増幅器の歪補償が最適になるまでに時間がかかるという問題があった。そこで、各調整要素に対する調整が開始されてから電力増幅器の歪補償が最適になるまでの時間を短縮することが課題とされた。
開示の技術は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、各調整要素に対する調整を開始してから電力増幅器の歪補償を最適にするまでの時間を短縮することが可能な送信装置および当該の送信装置において、歪補償部の一つである適応型イコライザのデジタルフィルタに設定されるフィルタ係数の選択に用いられる調整値を測定する調整値測定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この装置は、電力増幅器に対して適応型イコライザを含む歪補償部による歪補償を行なう送信装置であって、前記適応型イコライザのデジタルフィルタに設定するフィルタ係数を記憶するフィルタ係数記憶手段と、前記電力増幅器からのフィードバック信号に基づいて、前記フィルタ係数記憶手段からフィルタ係数を適応的に選択して前記デジタルフィルタに設定するフィルタ係数設定手段と、前記フィルタ係数設定手段が前記フィルタ係数の選択に用いる調整値を、送信周波数と対応付けて記憶する調整値記憶手段と、当該の送信装置に設定された送信周波数に対応する調整値を前記調整値記憶手段から読み出し、前記調整値の初期値に設定する初期値設定手段とを備えたことを要件とする。
また、この方法は、電力増幅器に対して歪補償を行なう歪補償部を備えた送信装置において、前記歪補償部の一つである適応型イコライザのデジタルフィルタに設定されるフィルタ係数の選択に用いられる調整値を測定する調整値測定方法であって、前記電力増幅器に対する前記歪補償を中断する歪補償中断工程と、当該の送信装置に複数の異なる送信周波数を設定する送信周波数設定工程と、前記送信周波数設定工程において設定された送信周波数ごとに、前記電力増幅器の出力電力の変化量を前記調整値として算出する算出工程とを含んだことを要件とする。
これらの態様によれば、各調整要素に対する調整を開始してから電力増幅器の歪補償を最適にするまでの時間を短縮することが可能となる。
図1は、送信装置の概要を説明するための図である。 図2は、送信装置1000の構成を示すブロック図である。 図3は、調整値選択テーブル1317の具体的な例を示す図である。 図4は、調整値の近似値の算出方法を説明するための図である。 図5は、適応型イコライザ1304の歪補償処理について説明するための図である。 図6は、適応型イコライザ1304の歪補償処理について説明するための図である。 図7は、初期値測定処理部1314による処理の流れを示すフローチャートである。 図8は、初期値設定部1318による処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1000 送信装置
1100 送信信号発生部
1200 送信周波数受付部
1300 送信増幅装置
1301 適応型歪補償部
1302 乗算器
1303 適応型歪補償アルゴリズム処理部
1304 適応型イコライザ
1305 デジタルフィルタ
1306 適応型等価処理部
1307 フィルタ係数群記憶部
1308 D/A変換部
1309 直交変調器
1310 電力増幅器
1311 直交検波器
1312 A/D変換部
1313 送信周波数設定情報
1314 初期値測定処理部
1315 基準搬送波生成部
1316 フィードバック電力検出部
1317 調整値選択テーブル
1318 初期値設定部
1400 方向性結合器
1500 アンテナ
以下に添付図面を参照して、本発明に係る送信装置および当該の送信装置において、歪補償部の一つである適応型イコライザのデジタルフィルタに設定されるフィルタ係数の選択に用いられる調整値を測定する調整値測定方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、図1を用いて本実施例に係る送信装置の概要を説明する。図1に示すように、送信装置1000は、自装置で生成された送信信号を送信増幅装置1300に入力し、送信増幅装置1300によって増幅した後、アンテナ1500から無線信号として出力する。
また、送信装置1000は、増幅した送信信号をアンテナ1500から無線信号として出力するほか、送信増幅装置1300にフィードバックする。このフィードバック信号により、送信増幅装置1300は、電力増幅器1310の歪補償を行なう。具体的には、送信増幅装置1300は、適応型歪補償部1301と適応型イコライザ1304を備え、各部により、それぞれ異なる歪補償を行う。送信増幅装置1300は、適応型歪補償部1301による歪補償では歪補償係数と呼ばれる係数を用い、適応型イコライザ1304による歪補償ではフィルタ係数と呼ばれる係数を用いる。各部で行われる歪補償はそれぞれ影響し合うので、送信増幅装置1300は、フィルタ係数の調整を行なうと、一方の歪補償係数の調整を行い、再度フィルタ係数の調整を行なうというように、それぞれの係数を少しずつ調整していき、電力増幅器1310に対する歪補償を最適にする。
しかし、従来の送信装置は、電力増幅器に対する歪補償を最適にしたとしても、送信条件を変えて送信を再開する場合には、電力増幅器に対する歪補償が最適になるまで再度各部の係数を調整する必要があるので、歪補償を再度最適にするまでに時間がかかっていた。そこで、本実施例に係る送信装置1000は、送信条件に応じた最適なフィルタ係数を選択するための調整値を送信条件ごとに予め求めておき、ある送信条件となった場合に、フィルタ係数を選択する処理部に対してその送信条件に対応する調整値を初期値として与える。こうすることによって、フィルタ係数の調整が最適なところから開始されるので、送信装置1000は、送信条件を変えて送信を再開する場合でも、各調整要素に対する調整を開始してから電力増幅器の歪補償を最適にするまでの時間を短縮することができる。
次に、図2を用いて、送信装置1000の構成を説明する。図2は、送信装置1000の構成を示すブロック図である。図2に示すように、送信装置1000は、送信信号発生部1100と、送信周波数受付部1200と、送信増幅装置1300と、方向性結合器1400と、アンテナ1500とを備える。また、送信増幅装置1300は、適応型歪補償部1301と、乗算器1302と、適応型歪補償アルゴリズム処理部1303と、適応型イコライザ1304と、デジタルフィルタ1305と、適応型等価処理部1306と、フィルタ係数群記憶部1307と、D/A変換部1308と、直交変調器1309と、電力増幅器1310と、直交検波器1311と、A/D変換部1312と、送信周波数設定情報1313と、初期値測定処理部1314と、基準搬送波生成部1315と、フィードバック電力検出部1316と、調整値選択テーブル1317と、初期値設定部1318とを備える。
送信信号発生部1100は、デジタルデータ列を送信信号として出力する。送信周波数受付部1200は、送信装置1000に対する送信条件の変更を受け付け、送信周波数の設定に係る送信周波数情報を出力する。
適応型歪補償部1301は、乗算器1302と、適応型歪補償アルゴリズム処理部1303とを有する。乗算器1302は、送信信号発生部1100からの送信信号に、適応型歪補償アルゴリズム処理部1303から入力される歪補償係数を乗算した信号を出力する。適応型歪補償アルゴリズム処理部1303は、送信信号発生部1100からの送信信号と、後述する電力増幅器1310からフィードバックされるフィードバック信号とに基づいて、電力増幅器1310の非線形特性を補償するための歪補償係数を適応アルゴリズムで演算し、演算結果である歪補償係数を乗算器1302に出力する。
適応型イコライザ1304は、デジタルフィルタ1305と、適応型等価処理部1306と、フィルタ係数群記憶部1307とを有する。デジタルフィルタ1305は、乗算器1302から出力された信号を入力され、入力信号に対して所定のフィルタ処理を行ない、信号を出力する。適応型等価処理部1306は、後述する初期値設定部1318によって設定された調整値を初期値とし、フィルタ係数群記憶部1307に記憶されているフィルタ係数群の中から、設定された調整値に対応するフィルタ係数を選択し、デジタルフィルタ1305に設定する。デジタルフィルタ1305にフィルタ係数を設定後、適応型等価処理部1306は、電力増幅器1310からのフィードバック信号に基づいて帯域外輻射電力を求め、帯域外輻射電力が最小となるように調整値を調整する。そして、適応型等価処理部1306は、調整後の調整値に対応するフィルタ係数をフィルタ係数群記憶部1307から選択し、再度デジタルフィルタ1305に設定する。
D/A変換部1308は、デジタルフィルタ1305からの出力信号をデジタル/アナログ変換し、直交変調器1309へ出力する。直交変調器1309は、D/A変換部1308からの出力信号に対して、無線周波数を生成する基準搬送波生成部1315の出力を乗算加算することにより直交変調を行い、電力増幅器1310へ出力する。
電力増幅器1310は、直交変調された無線周波数信号を電力増幅して出力する。方向性結合器1400は、電力増幅器1310からの出力信号をアンテナ1500へ出力するとともに、出力信号をフィードバックする。方向性結合器1400によってフィードバックされたフィードバック信号は、直交検波器1311を通り、A/D変換部1312でデジタル信号に変換され、適応型歪補償部1301や適応型イコライザ1304に入力される。
調整値選択テーブル1317は、図3に示すように、調整値と送信周波数の組み合わせが登録されたテーブルである。調整値は、適応型イコライザ1304の適応型等価処理部1306がフィルタ係数を決定するために用いる値である。送信周波数は、基準搬送波生成部1315によって生成される搬送波の周波数である。なお、調整値選択テーブル1317は、調整値と送信周波数の組み合わせが、それぞれ異なる電力増幅器ごとに登録されたテーブルであってもよい。電力増幅器の出力電力の周波数特性は電力増幅器ごとに異なる。したがって、一つの電力増幅器についてかかる組み合わせを登録したテーブルを記憶する場合と比較して、そのようなテーブルを記憶する場合には、電力増幅器ごとに歪補償に要する時間がばらつくのを防止することが可能となる。
初期値設定部1318は、適応型イコライザ1304の適応型等価処理部1306に対し、デジタルフィルタ1305のフィルタ係数を決定するための調整値の初期値を設定する。具体的には、初期値設定部1318は、送信周波数受付部1200が受け付けた送信周波数情報を取得すると、新たに設定された送信周波数に対応する調整値、および、前回設定されていた送信周波数に対応する調整値それぞれを調整値選択テーブル1317から検索して読み出す。対応する調整値が調整値選択テーブル1317にない場合には、初期値設定部1318は、送信周波数に対応する調整値の近似値を求める。以下にその算出方法を説明する。
図4に示すように、曲線20の点31における接線41の傾きと送信周波数の組み合わせが、図3に示した調整値選択テーブル1317の調整値「A」と送信周波数「H1」の組み合わせに対応し、曲線20の点32における接線42の傾きと送信周波数の組み合わせが、図3に示した調整値選択テーブル1317の調整値「B」と送信周波数「H2」の組み合わせに対応するものとする。
初期値設定部1318は、送信周波数「H1」より大きく、送信周波数「H2」より小さい送信周波数「Hx」に対応する調整値を調整値選択テーブル1317から検索する場合、対応する調整値が調整値選択テーブル1317にないので、送信周波数「Hx」より小さく、送信周波数「Hx」に最も近い送信周波数「H1」と、送信周波数「H1」に対応する調整値「A」と、送信周波数「Hx」より大きく、送信周波数「Hx」に最も近い値である送信周波数「H2」と、送信周波数「H2」に対応する調整値「B」とを調整値選択テーブル1317から読み出す。
そして、初期値設定部1318は、以下の式1に基づいて送信周波数「Hx」に対応する調整値を算出する。算出された調整値は、図4に示す曲線20の点33における接線43の傾きの近似値となる。
Figure 2010016111
このように、送信装置1000の送信周波数が変更され、適応型等価処理部1306に対する調整値の初期値設定を行う際、調整値選択テーブル1317にその送信周波数に対応する調整値が登録されていない場合でも、初期値設定部1318は、対応する調整値の近似値を計算する。こうすることによって、調整値選択テーブル1317に登録する調整値と送信周波数の組み合わせを減らすことができ、その分だけ初期値測定処理部1314が調整値選択テーブル1317を作成する時間を短縮することが可能となる。
そして、初期値設定部1318は、今回設定された送信周波数に対応する調整値から前回設定されている送信周波数に対応する調整値を減算する。そして、初期値設定部1318は、適応型等価処理部1306が現在フィルタ係数を決定するために用いている調整値の収束値を適応型等価処理部1306から読み出し、減算結果に加算する。そして、初期値設定部1318は、加算結果を適応型等価処理部1306に設定する。適応型等価処理部1306から読み出した収束値は、現在の温度や経年変化の影響が反映された電力増幅器1310に最適な調整値である。その調整値に対して、調整値選択テーブル1317から読み出した、あるいは、計算した各調整値の差分を加えることによって、温度変化分、経年変化分を含めた最適な調整値を初期値として設定することが可能となる。また、初期値設定部1318による初期値設定により、適応型イコライザ1304の適応型等価処理部1306が、フィルタ係数の調整を最適なところから開始するので、送信増幅器100は、送信条件を変えて送信を再開する場合でも、各調整要素に対する調整を開始してから電力増幅器の歪補償を最適にするまでの時間を短縮することができる。
以下では、送信増幅装置1300において、調整値測定方法に関連する各部や情報について説明する。各部は、例えば、送信装置1000の工場試験時に動作する。送信周波数設定情報1313は、初期値測定処理部1314が、基準搬送波生成部1315に対して値の異なる複数の周波数を設定するための制御情報である。
初期値測定処理部1314は、適応型イコライザ1304の適応型等価処理部1306がフィルタ係数を決定するために用いる値である調整値の周波数特性を測定し、調整値と送信周波数の組み合わせを調整値選択テーブル1317に登録する。
ここで、適応型イコライザ1304の歪補償処理について図5および図6を用いて説明する。図5は、電力増幅器1310の出力電力の周波数特性を示す図である。図5の曲線20に示すように、電力増幅器1310の出力電力は、送信周波数ごとにその値が異なっている。このような電力増幅器1310の出力電力の周波数特性に対して、適応型イコライザ1304は、図6に示すように、例えば、送信帯域10におけるどの送信周波数でも出力電力が同値となるように、電力増幅器1310の出力電力の周波数特性をフラットに補正する。つまり、適応型イコライザ1304の適応型等価処理部1306は、図5において、曲線20における点30の接線40の傾きに応じたフィルタ係数をフィルタ係数群記憶部1307から選択し、デジタルフィルタ1305に設定する。
初期値測定処理部1314は、予め、曲線20におけるいくつかの点における接線の傾きを調整値として求め、調整値と送信周波数の組み合わせを調整値選択テーブル1317に登録する。具体的には、初期値測定処理部1314は、電力増幅器1310そのものの特性を測定するため、乗算器1302に出力される歪補償係数やデジタルフィルタ1305に設定されるフィルタ係数を初期化し、電力増幅器1310に対して歪補償が掛けられていない状態にする。
そして、初期値測定処理部1314は、送信周波数設定情報1313を読み込み、基準搬送波生成部1315に対して所定の周波数で搬送波を出力するよう指示し、その後、所定の周波数から微小な値だけずらした周波数で搬送波を出力するよう指示する。
初期値測定処理部1314は、後述するフィードバック電力検出部1316から、所定の周波数の搬送波に対する電力増幅器1310の出力電力の値と、所定の周波数から微小な値だけずらした周波数の搬送波に対する電力増幅器1310の出力電力の値とを通知される。
初期値測定処理部1314は、フィードバック電力検出部1316から通知された出力電力の差分を、搬送波の周波数をずらした分の値で割ることにより、所定の送信周波数における電力増幅器1310の出力電力の変化量を求める。
初期値測定処理部1314は、送信周波数設定情報1313に基づいて、値が異なる他の送信周波数における電力増幅器1310の出力電力の変化量についても同様に求める。そして、初期値測定処理部1314は、求めた電力増幅器1310の出力電力の変化量を調整値とし、送信周波数と組み合わせて調整値選択テーブル1317に登録する。なお、初期値測定処理部1314が出力電力の変化量を算出する際の処理手順は、曲線20における各点の接線の傾きが求められればどの順番であってもよい。
フィードバック電力検出部1316は、電力増幅器1310からのフィードバック信号に基づいて電力増幅器1310の出力電力を測定し、測定結果を初期値測定処理部1314に通知する。
次に、初期値測定処理部1314による処理の流れを図7のフローチャートを用いて説明する。図7は、初期値測定処理部1314による処理の流れを示すフローチャートである。なお、図7に示した処理フローは、工場試験において送信装置1000の装置調整が行なわれる際に実行される。
まず、初期値測定処理部1314は、電力増幅器1310に対する歪補償が掛けられていない状態にするため、歪補償係数およびフィルタ係数を初期化し(ステップS101)初期値測定処理部1314は、送信周波数設定情報1313を読み出す(ステップS102)。
そして、初期値測定処理部1314は、読み出した送信周波数設定情報1313に基づいて所定の周波数で搬送波を出力するように基準搬送波生成部1315に指示する(ステップS103)。そして、初期値測定処理部1314は、所定の周波数から微小な値だけずれた値の周波数で搬送波を出力するように基準搬送波生成部1315に指示する(ステップS104)。
そして、初期値測定処理部1314は、フィードバック電力検出部1316から電力増幅器1310の出力電力の値を通知されるので、所定の送信周波数における電力増幅器1310の出力電力の変化量を求める(ステップS105)。そして、初期値測定処理部1314は、送信周波数設定情報1313に基づく全ての送信周波数における電力増幅器1310の出力電力の変化量を求めると(ステップS106肯定)、出力電力の変化量を調整値として、送信周波数と組み合わせて調整値選択テーブル1317に登録し(ステップS108)、処理を終了する。
一方、送信周波数設定情報1313に基づく全ての送信周波数における電力増幅器1310の出力電力の変化量を求めていない場合には(ステップS106否定)、初期値測定処理部1314は、送信周波数設定情報1313に基づいて次の所定の周波数で搬送波を出力するように基準搬送波生成部1315に指示し(ステップS107)、ステップS104で示した処理に戻る。
次に、初期値設定部1318による処理の流れを図8のフローチャートを用いて説明する。図8は、初期値設定部1318による処理の流れを示すフローチャートである。なお、図8に示した処理フローは、送信装置1000に現在設定されている送信周波数とは異なる送信周波数が設定されるたびに繰り返し実行される。
まず、初期値設定部1318は、適応型等価処理部1306がフィルタ係数を決定するために用いる値である調整値の収束値を適応型等価処理部1306から読み出す(ステップS201)。そして、初期値設定部1318は、今回設定された送信周波数に対応する調整値を調整値選択テーブル1317から検索する(ステップS202)。検索の結果、対応する調整値が調整値選択テーブル1317にある場合には(ステップS203肯定)、初期値設定部1318は、調整値を読み出し、第1の調整値とする(ステップS205)。一方、検索の結果、対応する調整値が調整値選択テーブル1317にない場合には(ステップS203否定)、初期値設定部1318は、調整値の近似値を計算し、計算結果を第1の調整値とする(ステップS204)。
そして、初期値設定部1318は、前回設定された送信周波数に対応する調整値を調整値選択テーブル1317から検索する(ステップS206)。検索の結果、対応する調整値が調整値選択テーブル1317にある場合には(ステップS207肯定)、初期値設定部1318は、調整値を読み出し、第2の調整値とする(ステップS209)。一方、検索の結果、対応する調整値が調整値選択テーブル1317にない場合には(ステップS207否定)、初期値設定部1318は、調整値の近似値を計算し、計算結果を第2の調整値とする(ステップS208)。
そして、初期値設定部1318は、第1の調整値から第2の調整値を減算し(ステップS210)、ステップS201において適応型等価処理部1306から読み出した収束値に減算結果を加算する(ステップS211)。そして、初期値設定部1318は、加算結果を適応型等価処理部1306の調整値の初期値に設定し(ステップS212)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例に係る送信装置1000は、調整値と送信周波数の組み合わせが登録された調整値選択テーブル1317を記憶する。そして、送信周波数が変更された場合には、初期値設定部1318が、その送信周波数に対応する調整値を調整値選択テーブル1317から読み出し、適応型等価処理部1306に対し、デジタルフィルタ105のフィルタ係数を決定するための調整値の初期値として設定する。こうすることによって、デジタルフィルタ1305のフィルタ係数の調整が最適なところから開始されるので、送信装置1000は、送信条件を変えて送信を再開する場合でも、各調整を開始してから電力増幅器の歪補償を最適にするまでの時間を短縮することができる。
また、適応型等価処理部1306から調整値の収束値を読み出し、その調整値に対して、調整値選択テーブル1317から読み出した各調整値の差分を加えることによって、温度変化分、経年変化分を含めた最適な調整値を初期値として設定することが可能となる。
また、デジタルフィルタ1305のフィルタ係数の調整が最適なところから開始されることにより、フィルタ係数の調整が大きくずれることもない。その結果、フィルタ係数の調整が他の調整要素の計算に悪影響を与え、最悪の場合に歪補償のフィードバック制御が発散することを防ぐことが可能となる。
また、送信装置1000の送信周波数が変更され、適応型等価処理部1306に対する調整値の初期値設定を行う際、調整値選択テーブル1317にその送信周波数に対応する調整値が登録されていない場合でも、初期値設定部1318は、対応する調整値の近似値を計算する。こうすることによって、調整値選択テーブル1317に登録する調整値と送信周波数の組み合わせを減らすことができ、その分だけ初期値測定処理部1314が調整値選択テーブル1317を作成する時間を短縮することが可能となる。

Claims (6)

  1. 電力増幅器に対して適応型イコライザを含む歪補償部による歪補償を行なう送信装置であって、
    前記適応型イコライザのデジタルフィルタに設定するフィルタ係数を記憶するフィルタ係数記憶手段と、
    前記電力増幅器からのフィードバック信号に基づいて、前記フィルタ係数記憶手段からフィルタ係数を適応的に選択して前記デジタルフィルタに設定するフィルタ係数設定手段と、
    前記フィルタ係数設定手段が前記フィルタ係数の選択に用いる調整値を、送信周波数と対応付けて記憶する調整値記憶手段と、
    当該の送信装置に設定された送信周波数に対応する調整値を前記調整値記憶手段から読み出し、前記フィルタ係数の選択に用いる調整値の初期値に設定する初期値設定手段と
    を備えたことを特徴とする送信装置。
  2. 前記初期値設定手段は、新たに設定された送信周波数に対応する第1の調整値と、当該の送信装置に前回設定された送信周波数に対応する第2の調整値とを前記記憶手段から読み出し、前記第1の調整値から第2の調整値を減算し、減算結果を前記フィルタ係数設定手段がフィルタ係数の選択に現在用いている調整値に加算し、加算結果を前記初期値に設定することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
  3. 前記初期値設定手段は、当該の送信装置に設定された送信周波数に対応する調整値の近似値を、前記調整値記憶手段によって記憶された情報を用いて算出することを特徴とする請求項1または2に記載の送信装置。
  4. 前記初期値設定手段は、第1の送信周波数と、前記第1の送信周波数に対応する第1の近似用調整値と、第2の送信周波数と、前記第2の送信周波数に対応する第2の近似用調整値を前記記憶手段から読み出し、前記設定された送信周波数と前記第1の送信周波数の差と、前記第2の近似用調整値と前記第1の近似用調整値の差との積を、前記第2の送信周波数と前記第1の送信周波数との差で割った値に前記第1の近似用調整値を加え、前記送信周波数に対応する調整値として算出することを特徴とする請求項3に記載の送信装置。
  5. 前記調整値記憶手段は、前記送信周波数に対応付けられた調整値を、電力増幅器ごとにそれぞれ記憶することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
  6. 電力増幅器に対して歪補償を行なう歪補償部を備えた送信装置において、前記歪補償部の一つである適応型イコライザのデジタルフィルタに設定されるフィルタ係数の選択に用いられる調整値を測定する調整値測定方法であって、
    前記電力増幅器に対する前記歪補償を中断する歪補償中断工程と、
    当該の送信装置に複数の異なる送信周波数を設定する送信周波数設定工程と、
    前記送信周波数設定工程において設定された送信周波数ごとに、前記電力増幅器の出力電力の変化量を前記調整値として算出する算出工程と
    を含んだことを特徴とする調整値測定方法。
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