JPWO2010007925A1 - 音響処理装置 - Google Patents

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Abstract

適応フィルタ処理に用いられる適応フィルタのフィルタ係数の収束状態を判断することができ、またフィルタ係数が収束できない場合において適応フィルタに最適なパラメータを自動的に設定すること。本発明に係る音響処理装置(1)では、騒音情報検出部(6)が、収録部(10)により収録されたマイク信号と音量変更部(3)により音量変更がなされたオーディオ信号とに対して適応フィルタを適用することにより騒音の音量に関する騒音情報を求める。収束状態判断部(7)は、求められる騒音情報と、マイク信号の音量に関するマイク情報とに基づいて、適応フィルタにおけるフィルタ係数の収束状態を判断する。

Description

本発明は、音響処理装置に関し、より詳細には、オーディオ信号の音量変更を行う音量変更部の音量補正を、騒音情報に基づいて行うことにより、騒音に対応したオーディオ信号の出力を行うことが可能な音響処理装置に関する。
聴取者がオーディオ装置で音楽を聴取する場合において、ノイズが発生しない防音性能の高い環境で音楽の聴取を行うことができれば、音源の音質を高く維持した状態で音楽を聴取することが可能となる。一方で、ノイズなどが発生しやすい環境において音楽を聴取する場合も多く存在する。例えば、車載用のオーディオ再生装置により車室内で音楽を聴く場合などがその一例として該当する。オーディオ再生装置を用いて音楽を聴取する場合には、車室外から進入する騒音や、車両の走行に伴って発生するロードノイズやエンジン音などの騒音が車室内に侵入するため、これらの騒音によって音源の音質が損なわれるという問題があった。このように車室内に侵入する騒音を考慮しつつ音源本来の音質を維持した音楽の聴取を実現するための方法が多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなオーディオ再生装置では、車室内の任意の場所に騒音(ノイズ)を収録するためのマイクが設置されている。この設置場所としては、例えば、サンバイザーやルームミラーユニットなど、車両において聴取者が着座する位置(運転席など)の近傍位置に設置される。
そして、オーディオ再生装置のスピーカにより音楽を出力すると共に、出力された音楽をマイクで録音することにより、オーディオ再生装置のスピーカから出力された音楽と騒音との両方の音を収録することができ、収録された音からスピーカより出力される音楽成分を差し引くことによって騒音成分だけを抽出することが可能となる。
このように収録された音から騒音を抽出するために、適応フィルタが用いられている。適応フィルタを用いて騒音信号を抽出し、抽出された騒音信号の音量レベルに応じてオーディオ再生装置における再生音楽の音量を制御することにより、聴取者に対して騒音を考慮した音量で音楽を提供することが可能となる。
このフィルタ処理においては、適応フィルタに対して、マイクにおいて収録された信号(以下、マイク信号とする)と、スピーカから出力される信号(厳密には、スピーカから出力される直前の信号、以下、リファレンス信号とする)との2つの信号が入力され、適応フィルタの出力信号として、マイク信号からリファレンス信号を差し引いた信号、つまり、騒音信号が求められることになる。
図14は、抽出した騒音信号に応じてスピーカから出力させる音楽の音量調整を行うことが可能なオーディオ再生装置を示している。
オーディオ再生装置50は、CDやMD等の音源のオーディオ信号を読み取って出力するオーディオ再生部51と、オーディオ再生部51により出力されたオーディオ信号の音量変更を行う音量制御部52と、音量制御部52により音量変更がなされたオーディオ信号の出力を行うオーディオ出力部53とを有している。ここで、オーディオ出力部53は、例えば、スピーカやヘッドフォンなどが該当し、オーディオ信号を現実に聴取者が聴覚で聴取可能な状態により出力することができる装置を意味している。
また、オーディオ再生装置50には、オーディオ再生部51による再生を行う際に聴取者が操作する操作ボタンや音量制御部52に対する音量調整用のボリューム調整つまみなどを備えた操作部54が設けられている。さらに、オーディオ再生装置50には、音量制御部52より出力されるリファレンス信号と車室内に設定される騒音収録マイク55により収録されたマイク信号とに基づいて、適応フィルタを用いて騒音レベルを求める騒音検出部56と、騒音検出部56により検出された騒音レベルに基づいて最適なボリュームレベルを求めて、音量制御部52における音量処理の補正情報(音量制御信号)を算出する音量算出部57が設けられている。
これらのオーディオ再生部51、音量制御部52、騒音検出部56、音量算出部57は、制御部58により制御されており、制御部58では操作部54より取得した聴取者の操作内容に応じて、オーディオ再生部51において再生されるソースの選択や、音量制御部52において設定すべきボリュームレベル制御や、騒音検出部56における適応フィルタの適用処理の制御等を行っている。
図14に示すオーディオ再生装置50では、上述したように、騒音検出部56で、騒音レベル(ノイズ成分)を求め、音量制御部52において騒音レベルに応じて音量制御が行われることによって、好適な音量でオーディオ出力部53から音を出力することが可能となっている。
騒音検出部56において適用される適応フィルタのフィルタ係数は、上述したマイク信号およびリファレンス信号に応じて常に変化し、時間経過と共に最適値に収束する。この騒音検出部56のフィルタ処理に用いられるフィルタの値は、一般的に、LMSアルゴリズム(Least Mean Square Algorithm)に基づいて設定され、このアルゴリズムに基づいて設定されるフィルタを適応フィルタ(adaptive filter)という。
適応フィルタのフィルタ係数wは常時更新され、その更新は次に示す式1により行われる。
(n+1)=w(n)+2μ(n)x(n−k) ・・・式1
ここで、kはフィルタのタップ位置を示し、0≦k<Nの範囲に設定される。nは時刻(サンプル数)を示し、μはステップサイズパラメータ(0.0<μ<1.0)を示し、xは参照信号であるリファレンス信号を示している(例えば、非特許文献1参照)。
特開2007−220266号公報
Rulph Chassaing著,「DSP Applications Using C and the TMS320C6x DSK」,(米国),Wiley-Interscience,2002年1月25日,P.216-217
上述した式1で示される適応フィルタにおいて、聴取者が予め設定しなければならい要素は、ステップサイズパラメータμのみであり、μの設定範囲は0.0<μ<1.0である。このμを適切に設定することができれば、フィルタ係数wは最終的に収束して適切なフィルタ特性を得ることが可能となる。
しかしながら、μを適切に設定することは容易ではなく、μの値が大きい値であるほど適応フィルタのフィルタ係数wが最適値に近づく速度が速くなるが、フィルタ係数wが大きく変動するため、μの設定値によってはフィルタ係数wが最適値に収束せず、騒音信号がうまく抽出できない場合があり得るという問題があった。また、μの値が小さい場合には、μが小さければ小さいほどフィルタ係数wが最適値に収束しやすいが、その収束速度が遅くなり迅速な適応フィルタ処理を行うことが困難になるという問題があった。
このように、μを適切に設定することができない場合には、正常な騒音信号を抽出することができず、騒音に応じて適切な音量調整を行うことが困難であるという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、適応フィルタ処理に用いられる適応フィルタのフィルタ係数の収束状態を判断することができ、またフィルタ係数が収束できない場合において適応フィルタに最適なパラメータを自動的に設定することが可能な音響処理装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る音響処理装置は、入力されるオーディオ信号の音量変更を行う音量変更部と、該音量変更部により音量変更されたオーディオ信号の出力を行うオーディオ出力部と、該オーディオ出力部により出力された音と当該音以外の騒音とを収録する収録部と、該収録部により収録されたマイク信号と前記音量変更部により音量変更がなされたオーディオ信号とに対して適応フィルタを適用することにより前記騒音の音量に関する騒音情報を求める騒音情報検出部と、該騒音情報検出部により求められた騒音情報に基づいて、前記音量変更部の音量変更処理に対する音量補正値を求めて前記音量変更部に出力する音量補正値算出部と、前記騒音情報検出部により求められる騒音情報と、前記マイク信号の音量に関するマイク情報とに基づいて、前記適応フィルタにおけるフィルタ係数の収束状態を判断する収束状態判断部とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る音響処理装置によれば、収束状態判断部が、騒音情報検出部により求められる騒音情報と、マイク信号の音量に関するマイク情報とに基づいて、適応フィルタにおけるフィルタ係数の収束状態を判断するので、フィルタ係数が収束状態にあるか否かを判別することができる。従って、フィルタ係数が収束しないと収束状態判断部により判断された場合には、音量補正値に基づく音量変更部の音量変更処理を停止させることにより、収束しないフィルタ係数に基づいて求められた騒音情報(正常でない騒音情報)によって、オーディオ信号の音量変更が行われてしまうことを防止することができる。
また、上記音響処理装置は、前記収束状態判断部が、前記騒音の音量と前記マイク信号の音量との大小関係およびその大小関係の変化状態に基づいて前記フィルタ係数が収束状態にあるか否かを判断するものであってもよい。
収録部は、オーディオ出力部により出力された音と当該音以外の騒音とを収録するため、収録部により収録されたマイク信号の音量は、騒音の音量よりも大きなボリュームレベルとなるはずである。このため、収束状態判断部は、騒音の音量と前記マイク信号の音量との大小関係を求めて、騒音の音量がマイク信号の音量よりも大きい場合には、騒音情報検出部により求められた騒音情報が、正常な騒音情報でないと判断することが可能となる。
従って、収束状態判断部は、騒音の音量とマイク信号の音量との大小関係を求めることによって、求められた騒音情報が正常か否かを判断することができ、正常でない騒音情報に基づいてオーディオ信号の音量変更が行われてしまうことを防止することができる。
さらに、騒音信号もマイク信号も常時値が変動するため、騒音情報が正常な場合であっても、騒音の音量とマイク信号の音量との大小関係が逆転してしまう場合が少ない頻度で発生し得る。このため、騒音の音量とマイク信号の音量との大小関係の変化状態を求めることにより、単発的に騒音の音量がマイク信号の音量よりも大きくなった場合であっても、その変化状態(発生頻度)に基づいて騒音情報の適否を判断することにより、正常に求められた騒音情報が、正常でないとして判断されてしまうことを回避することが可能となる。
また、上述した音響処理装置において、前記収束状態判断部により前記フィルタ係数が収束状態にないと判断された場合に、前記適応フィルタのフィルタ係数を算出するための要素であるステップサイズパラメータの値を低減させるものであってもよい。
適応フィルタのフィルタ係数におけるステップサイズパラメータの値によって、フィルタ係数を最適値に収束させることができるか否かが決定される。このため、ステップサイズパラメータを最適な値に設定することが必要となるが、ステップサイズパラメータの値が大きすぎると、フィルタ係数が最適値に収束せず、ステップサイズパラメータの値が小さすぎるとフィルタ係数が最適値に収束する速度が遅くなり迅速な適応フィルタ処理を行うことが困難となる。このため、ステップサイズパラメータの値を高い値から順次減算させて自動的に変更させることにより、最適なステップサイズパラメータの値を自動的に求めることができ、適応フィルタのフィルタ係数を最適値へ迅速に収束させることが可能となる。
また、上述した音響処理装置では、前記オーディオ出力部から前記オーディオ信号が出力されている状況における前記マイク信号の出力値に基づいて、前記収録部による収録処理に関するエラーを判断する収録エラー検出部を有するものであってもよい。
正常な騒音情報を取得できない場合として考えられるのは、適応フィルタのフィルタ係数が収束しない場合だけでなく、収録部により収録されたマイク信号が騒音情報検出部に伝達されるまでの経路の断線や回路のショートなどにより発生する場合もある。このため、本発明のように、オーディオ信号が出力されている場合においてマイク信号の出力値を求めると、通常はマイク信号にオーディオ出力部により出力される音が収録されるため、マイク信号の出力が検出されるはずだが、マイク信号の出力が検出されない場合には、収録部の断線や内部回路のショートなどの収録処理に関するエラーが発生したものと判断することが可能となる。
本発明に係る音響処理装置によれば、収束状態判断部が、騒音情報検出部により求められる騒音情報と、マイク信号の音量に関するマイク情報とに基づいて、適応フィルタにおけるフィルタ係数の収束状態を判断するので、フィルタ係数が収束状態にあるか否かを判別することができる。従って、フィルタ係数が収束しないと収束状態判断部により判断された場合において、音量補正値に基づく音量変更部の音量変更処理を停止させることにより、収束しないフィルタ係数に基づいて求められた騒音情報(正常でない騒音情報)により、オーディオ信号の音量変更が行われてしまうことを防止することができる。
本実施の形態に係るオーディオ再生装置の概略構成を示したブロック図である。 本実施の形態に係る音量算出部における音量制御信号の算出例を示したグラフである。 本実施の形態に係る騒音検出部の概略構成を示したブロック図である。 (a)は、A特性フィルタ(A-weighting filter)の周波数特性を示した図であり、(b)は、(a)に示すA特性フィルタを用いて求められたインパルス応答の出力結果を示した図である。 (a)は、本実施の形態に係る騒音検出部におけるLMS適応フィルタ処理部の概略構成を示したブロック図であり、(b)は、フィルタ係数wが最適値に収束するときのフィルタ係数の状態を示したグラフである。 本実施の形態に係るエラー検知・回復部の概略構成を示したブロック図である。 制御部のメインCPUによる処理を示したフローチャートである。 エラー検知・回復部のサブCPUによるエラー検知・回復処理を示したフローチャートである。 (a)〜(c)は、μの値を自動的に変化させて適応フィルタのフィルタ係数が収束するまでの過程を示した第1のグラフである。 (a)〜(c)は、μの値を自動的に変化させて適応フィルタのフィルタ係数が収束するまでの過程を示した第2のグラフである。 他の実施の形態に係るオーディオ再生装置の概略構成を示したブロック図である。 他の実施の形態に係る騒音検出部の概略構成を示したブロック図である。 他の実施の形態に係る制御部のメインCPUによる処理を示したフローチャートである。 従来のオーディオ再生装置の概略構成を示したブロック図である。
以下、本発明に係る音響処理装置を備えた車載用のオーディオ再生装置について、図面を用いて詳細に説明を行う。
図1は、車載用のオーディオ再生装置の概略構成を示したブロック図である。オーディオ再生装置1は、図1に示すように、オーディオ再生部2と、音量制御部(音量変更部)3と、オーディオ出力部4と、操作部5と、騒音検出部(騒音情報検出部)6と、エラー検知・回復部(収束状態判断部、収録エラー検出部)7と、音量算出部(音量補正値算出部)8と、制御部(収束状態判断部、収録エラー検出部)9と、騒音収録マイク(収録部)10とを有している。
なお、図1に示す黒太矢印は、制御部9から各機能部2、3、6、7、8に対する制御信号の入出力状態を示しており、白抜矢印は、音楽(オーディオ信号、リファレンス信号)および騒音(マイク信号)の入出力状態を示しており、黒細矢印は、各種情報・信号の入出力状態を示している。
オーディオ再生部2には、CD、MD、DVD、ラジオなどの所定のメディアから音楽情報を読み出して再生(出力)する機能を有している。具体的には、再生対象とするメディアの選択、読み出した音楽情報の再生、一時停止、停止などの処理を行う。これらの具体的な処理は、制御部9の指示に従って行われる。オーディオ再生部2により再生されたオーディオ信号は、音量制御部3に出力される。
音量制御部3は、オーディオ再生部2により再生されたオーディオ信号の音量変更を行う機能を有している。具体的には、一般的なオーディオ再生装置のアンプ機能部が該当する。この音量制御部3による音量は、制御部9の指示に応じて増減される。また、音量制御部3には音量算出部8より音量制御信号(音量補正値)が入力されており、音量制御部3においてこの音量制御信号を受信した場合においても、音量制御信号に応じてオーディオ信号の音量変更が行われる。また、音量制御部3では、音量変更処理により変更したオーディオ信号の音量情報を記憶する。
オーディオ出力部4は、音量制御部3を経て再生(出力)されたオーディオ信号を、聴取者が聴覚により聴取できるように出力する機能を有している。オーディオ出力部4として、一般的なスピーカが用いられる。
操作部5は、オーディオ再生装置1のフロントパネル部などに設置される操作ボタンであって、聴取者が各種設定などを行うために用いるものである。本実施の形態に係るオーディオ再生装置1では、少なくとも、オーディオ再生部2における音楽の再生ボタン、停止ボタン、音源メディア(ソース)選択ボタン、音量調整用のボリュームボタンを供えている。これらのボタンが聴取者に操作されると、操作されたボタン(操作内容)に関する操作情報が制御部9に伝達される。また、操作部5には、後述する音量制御処理(オートボリュームコントロール(AVC:Automatic Volume Control)処理)の実行/停止を設定するためのAVC設定ボタンが設けられている。
騒音収録マイク10は、車内における音楽信号を収録する役割を有している。騒音収録マイク10は、例えば、サンバイザーやルームミラーのヘッドユニット等の聴取者の近傍位置に設置されている。車内には、走行時のロードノイズや、エンジン等の装置駆動音などが進入する。さらに、オーディオ再生装置1において所定の音楽の再生がなされている場合には、オーディオ出力部4より出力される音楽も車内に出力される。このため、騒音収録マイク10により収録される音は、オーディオ出力部4より出力される音とロードノイズなどの騒音とが加算された音(車室音)となる。騒音収録マイク10により収録される音は、マイク信号として騒音検出部6に出力される。
騒音検出部6は、騒音収録マイク10により収録されたマイク信号を受信し、このマイク信号から騒音信号の実効値を示す騒音レベル(騒音情報)を算出する役割を有している。騒音検出部6には、図1に示すように、騒音収録マイク10により出力されたマイク信号と、音量制御部3により音量変更がなされたオーディオ信号であって、オーディオ出力部4において出力される直前の信号(以下、この信号をリファレンス信号という)とが伝達される。騒音検出部6における詳細な構成については後述する。
エラー検知・回復部7は、騒音検出部6により出力された騒音レベルと、騒音収録マイク10によって出力されたマイク信号と、音量制御部3よって出力されるリファレンス信号とに基づいて、騒音検出部6におけるエラーの有無を検知し、エラーが検知された場合には所定の処理を行う役割を有している。また、エラー検知・回復部7は、必要に応じて騒音レベルの修正を行い、音量算出部8に修正された騒音レベルを出力する。エラー検知・回復部7における詳細な構成および処理内容については後述する。
音量算出部8は、エラー検知・回復部7により出力された騒音レベルに基づいて、音量制御部3における音量の変更を行うための音量制御信号を算出する役割を有している。音量算出部8では、音量制御部3において設定されているボリュームレベル(音量レベル)を取得し、音量制御部3で設定されるボリュームレベルに対して、騒音レベルにより求められる音量補正量を加算することにより、最適な音量制御信号を算出して、音量制御部3に出力する。
図2は、音量算出部8における音量制御信号の算出例を示したグラフである。入力される騒音レベルが0dBから20dBに増加するに従って、ボリュームレベルも増加する。図2では、騒音レベルとボリュームレベルとの関係が正比例する場合を例として示したが、騒音レベルとボリュームレベルとの関係は正比例関係には限定されない。騒音レベルの増加によりボリュームレベルも増加する関係であればよいため、2つのレベルが任意の増加曲線に基づいて増加する関係となるものであってもよい。
音量制御部3では、上述したように、音量算出部8より音量制御信号を受信すると、受信した音量制御信号に応じて音量変更を行い、音量変更されたオーディオ信号をオーディオ出力部4より出力させる。このようにしてオーディオ出力部4により出力される音は、車内における騒音を考慮して調整された状態で出力されることになる。
制御部9は、操作部5およびエラー検知・回復部7より各種情報を受信し、受信された各種情報に基づいて、オーディオ再生部2、音量制御部3、騒音検出部6、エラー検知・回復部7、音量算出部8における動作制御を行う役割を有している。制御部9は、図示を省略するメインCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えている。ROMには、後述するメインCPUの処理を行うためのプログラムや、必要となる情報(後述する処理において予め設定される定数、条件値など)などが記録されている。RAMは、メインCPUにおける処理のワークエリアとして使用されるメモリである。また、RAMには、操作部5により聴取者に設定される音量制御処理(オートボリュームコントロール(AVC:Automatic Volume Control)処理)の実行あるいは停止の設定内容が記録される。メインCPUは、オーディオ再生装置1における様々な処理を行う機能を有している。メインCPUにおける具体的な処理内容については、後述する。
図3は、騒音検出部6の概略構成を示したブロック図である。騒音検出部6は、図3に示すように、ダウンサンプリング処理部21と、A特性フィルタ処理部22と、遅延処理部23とLMS適応フィルタ処理部24と、実効値(RMS:Root Mean Square Value)算出部25とを有している。
ダウンサンプリング処理部21は、騒音収録マイク10により収録されたマイク信号と、音量制御部3より入力されるリファレンス信号とのダウンサンプリング処理を行う役割を有している。例えば、CDで使用されるサンプリング周波数は、44.1kHzとなっているが、車室内に進入するロードノイズ等はより低い周波数が主な成分となっているため、高い周波数域の情報の必要性は低い。このため、騒音の判断にあまり必要とされない高い周波数の情報をダウンサンプリング処理によって除き、約1.5kHzまでサンプリング周波数の低減を図ることにより、騒音検出部6およびエラー検知・回復部7の処理負担の軽減を図ることが可能となる。
A特性フィルタ処理部22は、騒音の大きさを人間の聴覚特性に合わせて補正するために、マイク信号に対してA特性に基づくフィルタリング処理を行う役割を有している。A特性は、人間の聴覚との一致性が極めて高い特性を有しており、このA特性に基づいてフィルタリング処理を行うことによって、聴取者の聴感の周波数による依存性を低減して信号の平滑化を図ることが可能となる。
図4(a)は、A特性に基づくフィルタリング処理に用いられるA特性フィルタ(A-weighting filter)の周波数特性を示しており、図4(b)は、図4(a)に示すA特性フィルタを用いて求められたインパルス応答の出力結果を示している。なお、A特性フィルタを用いてフィルタリング処理を行う場合、上述したダウンサンプリング処理部21によるダウンサンプリング処理によってマイク信号の周波数の低減が行われているため、図4(a)に示した周波数のうち低域の部分のみがフィルタリング処理の対象となる。
遅延処理部23は、A特性フィルタ処理部22によるマイク信号の処理の遅延を考慮して、リファレンス信号に遅延処理を行う。この遅延処理により、LMS適応フィルタ処理部24に入力されるマイク信号とリファレンス信号との入力タイミングの調整を図ることができる。
LMS適応フィルタ処理部24は、LMSアルゴリズム(Least Mean Square Algorithm)を用いたLMS適応フィルタ(LMS adaptive filter、以下、適応フィルタという)を用いて、騒音信号を算出する処理を行う。図5(a)は、LMS適応フィルタ処理部24の概略構成を示している。図5(a)に示すように、LMS適応フィルタ処理部24では、マイク信号とリファレンス信号とを入力信号とし、適応フィルタ24aによりフィルタ処理されたリファレンス信号とマイク信号との差を騒音信号として出力する。
適応フィルタ24aのフィルタ係数wは、既に説明したように式1に基づいて算出され、常時更新される。
(n+1)=w(n)+2μ(n)x(n−k) ・・・式1
ここで、kはフィルタのタップ位置を示し、0≦k<Nの範囲に設定される。また、nは時刻(サンプル数)を示し、μはステップサイズパラメータ(0.0<μ<1.0)を示し、xは参照信号であるリファレンス信号を示している。
適応フィルタ24aにおいて、ステップサイズパラメータμは、予め聴取者が設定する必要がある定数であり、0.0<μ<1.0の範囲で設定される。μを適切に設定することによりフィルタ係数を最適値に収束させることができ、正常な騒音信号を求めることが可能となる。図5(b)は、Nが252タップに設定される場合において、フィルタ係数wが最適値に収束したときのフィルタ係数wの状態を示したグラフである。
一方で、μを適切に設定することができなければ、フィルタ係数wが最適値に収束することができない。フィルタ係数wが最適値に収束している場合には、正常な騒音信号を求めることができるが、フィルタ係数wが最適値に収束しない場合には、求められる騒音信号の騒音レベルが実際の騒音レベルよりも大きい値であったり、または小さい値であったりして、正常な騒音信号を抽出することができず、動作に不具合が生じる場合があった。
また、フィルタ係数wが最適値に収束する場合であっても、マイク信号の入力が正常に行われていない場合、例えば、騒音収録マイク10から騒音検出部6に伝達されるマイク信号の経路が断線している場合や、騒音収録マイク10の回路がショートして正常なマイク入力が行われていない場合には、正常な騒音信号を求めることができない。
本実施の形態に係るオーディオ再生装置1では、次述するエラー検知・回復部7によりマイク信号の入力状態(マイク情報)を判断し、また、μの値を適切な値に修正することにより、正常な騒音信号の算出を行うことを特徴とする。
LMS適応フィルタ処理部24では、エラー検知・回復部7より受信するμの設定値情報に基づいて適応フィルタ24aのステップサイズパラメータμを変更する機能を有している。また、LMS適応フィルタ処理部24では、更新されるフィルタ係数wを記憶する記憶部を備えると共に、エラー検知・回復部7より受信する適応フィルタリセット情報に基づいてフィルタ係数wの値をリセットする機能を備えている。このμの設定値情報および適応フィルタリセット情報が、エラー検知・回復部7より出力されるタイミングについては後述する。
実効値算出部25は、LMS適応フィルタ処理部24により求められた騒音信号の実効値を求めて騒音レベルとしてエラー検知・回復部7に出力する。
エラー検知・回復部7は、マイク信号の実効値(マイクレベル)とリファレンス信号の実効値(リファレンスレベル)と、騒音検出部6により求められる騒音レベルとに基づいて、騒音検出部6のエラー検出を行う役割を有している。
図6は、エラー検知・回復部7の概略構成を示したブロック図である。エラー検知・回復部7は、2つの実効値算出部31、32と、エラー制御部33とを有している。
実効値算出部31は、騒音収録マイク10により収録されたマイク信号の実効値を求める役割を有しており、求められたマイク信号の実効値はマイクレベルとしてエラー制御部33に出力される。また、実効値算出部32は、リファレンス信号の実効値を求める役割を有しており、求められたリファレンス信号の実効値はリファレンスレベルとしてエラー制御部33に出力される。
エラー制御部33では、取得したマイクレベル、リファレンスレベルおよび騒音レベルに基づいて、騒音検出部6により求められる騒音レベルのエラー検知を行う。エラー制御部33は、図示を省略したサブCPU、ROM、RAMを備えている。ROMには、後述するサブCPUの処理を行うためのプログラムや、必要となる情報などが記録されている。RAMは、サブCPUにおける処理のワークエリアとして使用されるメモリである。サブCPUは、上述した騒音レベルのエラー検知およびエラー回復処理を行う機能を有している。
正常な騒音レベルを求めることができない理由としては、上述したように、(1)騒音収録マイク10における回路の断線などのように、正常なマイク信号の取得ができない場合と、(2)適応フィルタ24aにおけるμの値が適切に設定されていないことによりフィルタ係数wが最適値に収束されない場合との2つの場合が考えられる。このため、エラー制御部33のサブCPUでは、エラー検知処理として、(A−1)マイク入力の不具合判断処理と、(A−2)適応フィルタのフィルタ係数の収束判断処理とを行い、また、エラー検知処理の検知結果に基づいて、エラー回復処理を実行する。
(A−1)マイク入力の不具合判断処理
エラー制御部33のサブCPUでは、まず、リファレンスレベルが0より大きい値となっているか否かを判断する。リファレンスレベルが0より大きいか否かの判断により、オーディオ再生装置1において音楽の再生が行われていることを確認することができる。
そして、リファレンスレベルが0より大きい場合に、サブCPUでは、マイクレベルの状態を所定時間MCT(MicChkTime[sec])だけ検出し、検出される間、マイクレベルが所定値MML(MicMinLevel)以下であったか否かを判断する。
所定時間MCTの範囲は、0より大きく数秒以内となる時間が設定される。所定時間MCTとして0が除外される(MicChkTime≠0)のは、オーディオ出力部4(スピーカ)より出力された音が騒音収録マイク10で収録されるまでの遅延を考慮したためである。所定時間MCTとして、例えば、1secよりも大きく5secよりも小さい値を設定することができる。
また、所定時間MCTだけ経過しても、マイクレベルが所定値MML以下であるか否かを判断する理由は、騒音収録マイク10の断線などによりマイク入力に不具合があるか否かを判断するためである。騒音収録マイク10に異常がない場合には、騒音収録マイク10より収録されたマイク信号にオーディオ出力部4より出力されるオーディオ信号が含まれるため、マイク信号の実効値を示すマイクレベルは0よりも大きい値となる。
さらに、マイクレベルが0であるか否かという判断を行わず、マイクレベルが所定値(MML)よりも小さいか否かの判断を行う理由は、騒音収録マイク10より音がきちんと収録されていない場合であっても、回路のノイズなどによりわずかにマイク信号の検出が行われる場合があるため、この回路のノイズによる誤差を除去することを目的としたものである。
従って、所定値MMLは、マイクの回路におけるノイズレベルを考慮して設定される値であり、サブCPUは、マイクレベルが0より大きい場合であっても所定値MMLより小さい場合には、回路のノイズだけが検出された状態であってマイク信号の検出にエラーがあるものと判断し、マイクレベルが所定値MMLよりも大きい場合には、正常な車室内の音が収録されているものと判断する。
(A−2)適応フィルタのフィルタ係数の収束判断処理
また、エラー検知・回復部7のサブCPUは、下記の2つの条件を両方とも満たすか否かに基づいて、フィルタ係数wの収束判断を行う。
まず、第1の条件として、サブCPUは、マイクレベルにある定数Kを積算した値が騒音レベルよりも小さい値であるか否か(マイクレベル×K<騒音レベル)の判断を行う。ここで定数Kは任意の定数であるが、1.0〜2.0の間に設定することが好ましい。
車室内の騒音は、騒音収録マイク10により収録される音からオーディオ出力部4で出力される音の成分を差し引いた値となるはずである。このため、騒音収録マイク10により収録されるマイク信号のマイクレベルが正常であるならば、マイクレベルは騒音レベルよりも大きな値となるはずである。このため、サブCPUは、マイクレベルと騒音レベルとの比較を行うことによって、検出される騒音レベルのエラーを検出する。
次に、第2の条件として、サブCPUは、第1の条件(マイクレベル×K<騒音レベル)が所定時間FCT(FilterChkTime[sec])内に、所定頻度ER(ErrRate[%])以上の割合で発生するか否かの判断を行う。このような頻度に関する判断を行う理由は、μの値が適切に設定されてフィルタ係数wが収束に向かって正常に動作している場合であっても、第1の条件(マイクレベル×K<騒音レベル)に該当する状態となる場合があるためである。このため、サブCPUは、第1の条件に該当する場合であっても、該当する頻度が低い場合(所定頻度ER(ErrRate[%])以下の場合)には、正常に適応フィルタ24aのフィルタ係数wが収束しているものと判断し、該当する頻度が高い場合(所定頻度ER(ErrRate[%])より大きい場合)には、フィルタ係数wが収束していない状態であると判断する。
この所定時間FCTおよび所定頻度ERは聴取者によって自由に設定することが可能である。本実施の形態における所定時間FCTは、処理単位(フレーム)を128サンプルとしたときに10フレームにおいて第1の条件(マイクレベル×K<騒音レベル)に該当する場合の頻度を指標として決定しており、所定時間FCTとして0.027secを設定した。また、本実施の形態に係る所定頻度ERは、20%から80%までのいずれかの値を、適切な判断値として設定している。
騒音レベルおよびマイクレベルはそれぞれ値が変動するため、正常な騒音レベルの検出が行われているにも拘わらず、一時的に騒音レベルがマイクレベルよりも大きくなってしまう場合もある。このため、エラー検知・回復部7では、第1の条件(マイクレベル×K<騒音レベル)において、1以上の定数Kをマイクレベルに積算し、また、第1の条件(マイクレベル×K<騒音レベル)に該当する場合であっても、その正常であると判断可能な発生頻度を、所定頻度ERを基準として判断することにより、正常な場合に生じ得るマイクレベルと騒音レベルとの変動誤差(誤差)の影響をなくすことが可能となる。
エラー検知・回復部7のサブCPUでは、上述した(A−1)マイク入力の不具合判断処理および(A−2)適応フィルタのフィルタ係数の収束判断処理によりエラーを検出した場合には、それぞれの処理に応じてエラー回避処理を実行する。
まず、(A−1)マイク入力の不具合判断処理に基づいてエラーを検出した場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、制御部9に対して、騒音検出部6における適応フィルタ処理を停止させるための情報(適応フィルタ処理停止情報)を出力する。制御部9では、エラー検知・回復部7より受信した適応フィルタ処理停止情報に基づいて、騒音検出部6による処理を停止させることにより、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を停止させ、その停止情報を設定情報としてRAMに記録する。
そして、エラー検知・回復部7では、騒音レベルを0(−∞[dB])に設定して音量算出部8に出力する。音量算出部8では、0が設定された騒音レベルを受信し、受信された騒音レベルに基づいて音量制御信号を算出する。ただし、騒音レベルが0に設定されているため、算出される音量制御信号は音量の変更を行わない制御信号となる。
一方で、(A−2)適応フィルタのフィルタ係数の収束判断処理に基づいてエラーを検出した場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、制御部9に対して、騒音検出部6における適応フィルタ処理を停止させるための情報(適応フィルタ処理停止情報)を出力した後に、μの値を変更可能であるか否かの判断を行う。
まず、エラー検知・回復部7のサブCPUは、μが所定値ARM(AdaptRateMin)以上であるか否かの判断を行う。ここで、所定値ARMは、0.0より大きく、1.0より小さい値とする。所定値ARMの範囲が0.0<所定値ARM<1.0となるのは、比較対象となるμの範囲が0.0<μ<1.0であるためである。ただし、μの初期値および所定値ARMの関係は、0.0<所定値ARM<μの初期値<1.0となっている。この所定値ARMの値は、聴取者が自由に設定することができるが、所定値ARMを大きい値(1.0に近い値)に設定すると、μが大きくなって、フィルタ係数wを最適値に収束することができない恐れがあり、所定値ARMを小さい値(0.0に近い値)に設定すると、μが小さくなって、フィルタ係数を最適値に収束させる速度が大きく遅延してしまう恐れがある。このため、所定値ARMの値は、処理速度などを考慮して値を設定する必要がある。
μが所定値ARM(AdaptRateMin)以上であって、変更可能であると判断された場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、μの値から所定値ARD(AdaptRateDecay)を減じた新たなμの設定値情報を求めて騒音検出部6に出力すると共に、騒音検出部6に対して、フィルタ係数wをリセットさせるための適応フィルタリセット情報を出力する。また、エラー検知・回復部7は、騒音レベルを0(−∞[dB])に設定して音量算出部8に出力し、さらに、制御部9に対して、騒音検出部6のLMS適応フィルタ処理部24における適応フィルタ処理を再開させるための情報(適応フィルタ処理再開情報)を出力する。
ここで、所定値ARDの範囲は0.0より大きく、1.0より小さい値となる。ただし、実際に固定値として設定する場合には、十分小さい値として例えば0.001程度に設定される。また、この処理では新たなμの値を変更前のμの値よりも小さな値に設定することができればよいので、μの値を求めるために補正前のμの値から所定値ARMを減じるのではなく、μの値を半減させる(つまり1/2にする)ように構成してもよい。
騒音検出部6に出力されたμの設定値情報および適応フィルタリセット情報は、騒音検出部6のLMS適応フィルタ処理部24に伝達され、LMS適応フィルタ処理部24では、取得したμの設定値情報に基づいて式1に用いられるμの値を修正するとともに、LMS適応フィルタ処理部24に記憶されるフィルタ係数wの値をリセットする処理を行う。
また、制御部9では、エラー検知・回復部7より受信した適応フィルタ処理再開情報に基づいて、騒音検出部6による処理を再開させる。騒音検出部6におけるLMS適応フィルタ処理部24のフィルタ処理において、新たに設定されたμの値を用いて騒音レベルの算出を行うことにより、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)が再開される。制御部9は、この音量制御処理の再開情報を設定情報としてRAMに記録する。
一方で、音量算出部8では、0が設定された騒音レベルを受信し、受信された騒音レベルに基づいて音量制御信号を算出する。ただし、騒音レベルが0に設定されているため、算出される音量制御信号は音量の変更を行わない制御信号となる。
μが所定値ARM(AdaptRateMin)以上でなく、変更不可能であると判断された場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、制御部9に対して、騒音検出部6のLMS適応フィルタ処理部24における適応フィルタ処理を停止させるための情報(適応フィルタ処理停止情報)を出力する。制御部9では、エラー検知・回復部7より受信した適応フィルタ処理停止情報に基づいて、騒音検出部6による処理を停止させることにより、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を停止させ、その停止情報を設定情報としてRAMに記録する。
そして、エラー検知・回復部7では、騒音レベルを0(−∞[dB])に設定して音量算出部8に出力する。音量算出部8では、0が設定された騒音レベルを受信し、受信された騒音レベルに基づいて音量制御信号を算出する。ただし、騒音レベルが0に設定されているため、算出される音量制御信号は音量の変更を行わない制御信号となる。
次に、騒音レベルに基づく音量調整処理について説明する。
図7は、制御部9のメインCPUによる処理内容を示したフローチャートである。
まず、メインCPUは、制御部9のRAMに記録される聴取者の設定情報に基づいて、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)の設定内容が実行(オン)状態となっているか否かの判断を行う(ステップS.1)。音量制御処理が実行状態に設定されていない場合(ステップS.1においてNoの場合)、メインCPUは、騒音レベルに基づく音量調整処理(ステップS.2〜ステップS.5)を実行することなく、音量制御部3に現在の音量情報を記憶させた後に(ステップS.6)、音量制御部3より音量調整されたオーディオ信号をオーディオ出力部4に出力させて(ステップS.7)、音量調整処理を終了する。
一方で、音量制御処理が実行状態に設定されている場合(ステップS.1においてYesの場合)、メインCPUは、騒音検出部6を制御して、騒音信号の実効値である騒音レベルを求めさせて、求められた騒音レベルをエラー検知・回復部7に送信させる(ステップS.2)。そして、制御部9のメインCPUは、エラー検知・回復部7を制御して、図7に示すエラー検知・回復処理を実行させる(ステップS.3)。
図7に示すエラー検知・回復処理をエラー検知・回復部7に実行させた後に、制御部9のメインCPUは、音量算出部8を制御して、エラー検知・回復部7より騒音レベルを受信させ、受信された騒音レベルに基づいて音量制御信号を算出させる(ステップS.4)。そして、制御部9のメインCPUは、音量算出部8を制御して、算出された音量制御信号を音量制御部3に出力させる。
そして、制御部9のメインCPUは、音量制御部3を制御して、音量算出部8により算出された音量制御信号に応じてオーディオ信号の音量調整を行わせて(ステップS.5)、音量調整に基づく音量情報を記憶させた後に(ステップS.6)、音量調整されたオーディオ信号をオーディオ出力部4に出力させる(ステップS.7)。そして、制御部9は音量調整処理を終了する。
図8は、図7のフローチャートに示したエラー検知・回復部7におけるエラー検知・回復処理(ステップS.3)の内容を示したフローチャートである。エラー検知・回復部7のサブCPUは、制御部9のメインCPUの制御指示に応じて、エラー検知・回復処理を実行する。
まず、エラー検知・回復部7のサブCPUは、実効値算出部31を用いてマイク信号の実効値であるマイクレベルを算出し、また、実効値算出部32を用いてリファレンス信号の実効値であるリファレンスレベルを算出する(ステップS.11)。
次に、エラー検知・回復部7のサブCPUは、上述した(A−1)マイク入力の不具合判断処理を行う(ステップS.12)。具体的に、サブCPUは、リファレンスレベルが0より大きい場合において、所定時間MCT(MicChkTime[sec])が経過してもマイクレベルが所定値MML(MicMinLevel)以下であった場合に、マイク入力に不具合があったものと判断する。
マイク入力に不具合があると判断する場合(ステップS.12においてYesの場合)、サブCPUは、制御部9に対して適応フィルタ処理停止情報を出力し(ステップS.13)、また、騒音検出部6に対して適応フィルタリセット情報を出力する(ステップS.14)。制御部9では、エラー検知・回復部7より受信した適応フィルタ処理停止情報に基づいて騒音検出部6による処理を停止させることにより、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を停止させる。また、騒音検出部6では、エラー検知・回復部7より受信した適応フィルタリセット情報に基づいて、LMS適応フィルタ処理部24に記憶されるフィルタ係数wの値をリセットする。
そして、サブCPUは、騒音レベルを0に設定し、設定された騒音レベルを音量算出部8に出力して(ステップS.15)、エラー検知・回復処理を終了する。音量算出部8では、エラー検知・回復部7より受信した騒音レベルに基づいて音量制御信号を算出するが、騒音レベルが0に設定されているため、音量制御信号の音量変更を行わない。
一方で、マイク入力に不具合があると判断されなかった場合(ステップS.12においてNoの場合)、サブCPUは、上述した(A−2)適応フィルタのフィルタ係数の収束判断処理を行う(ステップS.16)。具体的に、サブCPUは、第1の条件である(マイクレベル×K<騒音レベル)が、所定時間FCT(FilterChkTime[sec])内に、所定頻度ER(ErrRate[%])以上の割合で発生する場合に、適応フィルタ24aにおけるフィルタ係数wが最適値に収束されないものと判断する。
適応フィルタ24aのフィルタ係数wが収束されると判断された場合(ステップS.16においてNoの場合)、エラー検知・回復部7のサブCPUは、そのまま、エラー検知・回復処理を終了する。一方で、適応フィルタ24aのフィルタ係数wが収束されないと判断された場合(ステップS.16においてYesの場合)、エラー検知・回復部7のサブCPUは、制御部9に対して適応フィルタ処理停止情報を出力し(ステップS.17)、また、騒音検出部6に対して適応フィルタリセット情報を出力する(ステップS.18)。
この処理により制御部9では、エラー検知・回復部7より受信した適応フィルタ処理停止情報に基づいて騒音検出部6による処理を停止させることにより、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を停止させる。また、騒音検出部6では、エラー検知・回復部7より受信した適応フィルタリセット情報に基づいて、LMS適応フィルタ処理部24に記憶されるフィルタ係数wの値をリセットする。
そして、エラー検知・回復部7のサブCPUは、ステップサイズパラメータμの値を変更することが可能であるか否かの判断を行う(ステップS.19)。具体的に、サブCPUは、μが所定値ARM(AdaptRateMin)以上である場合に、μの値を変更することが可能であると判断する。
μの値を変更することが可能である場合(ステップS.19においてYesの場合)、エラー検知・回復部7のサブCPUは、μの値を低減させる処理を行う(ステップS.20)。そして、エラー検知・回復部7のサブCPUは、制御部9に対して、適応フィルタ処理再開情報を出力する(ステップS.21)。この処理により、制御部9では、エラー検知・回復部7より受信した適応フィルタ処理再開情報に基づいて、騒音検出部6における処理を再開させて音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を実行する。この場合、騒音検出部6では、エラー検知・回復部7のサブCPUにより低減されたμを式1に適用して新たなフィルタ係数wを求めて、適応フィルタ処理を行う。
ステップS.19において、μの値を低減させる処理を行うことができないと判断された場合(ステップS.19においてNoの場合)、および、ステップS.21において、制御部9に対して適応フィルタ処理再開情報を出力した場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、騒音レベルを0に設定して騒音レベルを音量算出部8に出力し(ステップS.15)、エラー検知・回復処理を終了する。音量算出部8では、エラー検知・回復部7より受信した騒音レベルに基づいて音量制御信号を算出するが、騒音レベルが0に設定されているため、音量制御信号の音量変更を行わない。
このようにして、エラー検知・回復部7のサブCPUが、(A−1)マイク入力の不具合判断処理を行うことによって、算出された騒音レベルが正常な値であるか否かを、騒音収録マイク10によるマイク回路の断線等の観点から判断することが可能となる。また、エラー検知・回復部7のサブCPUが、(A−2)フィルタ係数の収束判断処理を行うことによって、算出された騒音レベルが正常な値であるか否かを、フィルタ係数の収束状態に基づいて判断することが可能となる。
また、(A−1)マイク入力の不具合があった場合および(A−2)フィルタ係数の収束ができないと判断された場合には、エラー検知・回復部7のサブCPUが、制御部9に対して適応フィルタ処理停止情報を出力することにより音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を停止させるので、エラーが検出された騒音レベルに基づいて音量制御処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、エラー検知・回復部7のサブCPUが、騒音検出部6に対して適応フィルタリセット情報を出力することによりLMS適応フィルタ処理部24に記憶されるフィルタ係数wの値がリセットされるので、後で適応フィルタ処理を再開させる場合において、エラーが検出されたフィルタ係数wに基づいてフィルタ処理が行われてしまうことを防止することができる。
さらに、エラー検知・回復部7のサブCPUが、騒音レベルを0に設定し、設定された騒音レベルを音量算出部8に出力するので、音量算出部8において音量制御信号の音量変更は行われないことになる。このように、音量算出部8から音量制御部3に出力される音量制御信号の内容が音量変更を行わない旨の制御信号となるので、エラーの検出された騒音レベルに基づいて算出された音量制御信号により、音量制御部3において不適正な音量変更が行われてしまうことを防止することが可能となる。
さらに、本実施の形態に係るエラー検知・回復部7のサブCPUでは、フィルタ係数wが収束されないと判断された場合において、μの値を変更することが可能であるか否かを判断し、可能である場合には、変更されたμの値をμの設定値情報として騒音検出部6に出力し、さらに、適応フィルタ処理再開情報を制御部9に出力することにより、新たなμの値に基づいたフィルタ係数wを用いて、適応フィルタ処理を再開させることが可能となる。このように、μの値を低減させてフィルタ係数wを最適値に収束させやすい状態で適応フィルタ処理を再開させることによって、最初に設定されるμの設定値が適切な値でなくてもμの値を自動的に変化(修正)させることができ、最適なμの値を設定値とすることが可能となる。
また、最適なμの値に基づいて適応フィルタ処理を行って、正常な騒音レベルを算出し、正常な騒音レベルに基づいて音量制御部3における音量変更を行うことによって、予期しない不具合(例えば、突然に音量が大きくなってしまう等)を回避することが可能となる。
図9(a)〜図9(c)および図10(a)〜10(c)は、μの値を自動的に変化させて適応フィルタのフィルタ係数が収束するまでの過程を示したグラフである。図9(a)〜図9(c)および図10(a)〜10(c)に示す処理では、処理フレームとして1フレーム=128サンプルに設定し、第1の条件(マイクレベル×K<騒音レベル)に用いられるKの値を2.0に設定し、所定時間FCT(FilterChkTime)を0.027sec(48kHz動作時で、1フレーム=128サンプルのときの10フレームに該当)に設定し、所定頻度ER(ErrRate)を30%に設定し、所定値ARM(AdaptRateMin)を0.001に設定し、所定値ARD(AdaptRateDecay)をμ値の1/2の値として設定している。また、μの初期値は0.4に設定されている。
図9(a)は、初期状態を示しており、フィルタ係数wが0の状態を示している。図9(b)は、図9(a)に示す初期状態から761フレームが経過した時点におけるフィルタ係数wの状態を示しており、この時点で、エラー検知・回復部7のサブCPUの判断により、適応フィルタ24aのフィルタ係数wが最適値に収束されないものと判断されている。この場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、エラー回復処理としてμの値からμの1/2の値を減算する処理(0.4から0.2にμを変更)を行う。
図9(c)は、792フレームが経過した時点におけるフィルタ係数wの状態を示しており、この時点で、エラー検知・回復部7のサブCPUの判断により、適応フィルタ24aのフィルタ係数wが最適値に収束されないものと判断されている。この場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、エラー回復処理としてμの値からμの1/2の値を減算する処理(0.2から0.1にμを変更)を行う。
図10(a)は、3282フレームが経過した時点におけるフィルタ係数wの状態を示しており、この時点で、エラー検知・回復部7のサブCPUの判断により、適応フィルタ24aのフィルタ係数wが最適値に収束されないものと判断されている。なお、図10(a)のグラフではフィルタ係数wが収束しているようにも見えるが、上述したように、第1の条件(マイクレベル×K<騒音レベル)が、所定時間FCT(FilterChkTime[sec])内に、所定頻度ER(ErrRate[%])以上の割合で発生する場合に、適応フィルタにおけるフィルタ係数wが最適値に収束されないと判断されるため、図10(a)は、この発生頻度により、フィルタ係数wが最適値に収束されないと判断された場合を示している。この場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、エラー回復処理としてμの値からμの1/2の値を減算する処理(0.1から0.05にμを変更)を行う。
図10(b)は、3411フレームが経過した時点におけるフィルタ係数wの状態を示しており、この時点で、エラー検知・回復部7のサブCPUの判断により、適応フィルタ24aのフィルタ係数wが最適値に収束されないものと判断されている。この場合、エラー検知・回復部7のサブCPUは、エラー回復処理としてμの値からμの1/2の値を減算する処理(0.05から0.025にμを変更)を行う。
図10(c)は、27847フレームが経過した時点におけるフィルタ係数wの状態を示している。図10(c)に示す時点では、エラー検知・回復部7のサブCPUによるエラー検出は行われていないため、フィルタ係数wが最適値に収束可能な状態になっているものと判断することができる。
以上、本発明に係る音響処理装置について、図面を用いて詳細に説明したが、本発明に係る音響処理装置は、上述した実施の形態に示した例に限定されるものではない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本実施の形態に係るオーディオ再生装置1では、エラー検知・回復部7を設けて、エラー検知・回復部7のサブCPUにより、マイク入力の不具合判断処理(図8に示すステップS.12の判断)、適応フィルタ24aにおけるフィルタ係数wの収束判断処理(図8に示すステップS.16の判断)、および、μの値を変更することが可能であるか否かの判断(図8に示すステップS.19の判断)を行う構成として説明を行った。
しかしながら、エラー検知・回復部7のサブCPUによりエラー検知を行った場合において、オーディオ再生装置1における音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を停止させるためには、騒音検出部6の制御を行っている制御部9を介して騒音検出部6を停止する必要があるため、エラー検知・回復部7により直接、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を停止させることができない。このため、エラー検知・回復部7で行っている判断処理を、制御部9で判断して処理する構成とすることにより、制御部9で、マイク入力の不具合判断処理、適応フィルタにおけるフィルタ係数wの収束判断処理、および、μの値を変更することが可能であるか否かの判断を行い、さらに、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)の停止処理/再開処理を行うことが可能となる。
図11は、図1に示したエラー検知・回復部7を排除し、代わりにエラー検知・回復部7のサブCPUで行っていた判断を制御部9で行う構成を備えたオーディオ再生装置40を示している。なお、実施の形態において説明した機能部については同一の符号を附し、その説明を省略する。
実施の形態に示したオーディオ再生装置1と異なり、制御部9には、騒音検出部41より、騒音信号の実効値である騒音レベルと、マイク信号の実効値であるマイクレベルと、リファレンス信号の実効値であるリファレンスレベルとが入力される。このため、騒音検出部41では、図12に示すように、エラー検知・回復部7に設けられていた実効値算出部31、32が設けられており、騒音検出部41において、騒音信号とマイク信号とリファレンス信号の実効値を算出して制御部9に出力することが可能となっている。
図13は、図11に示すオーディオ再生装置40における制御部9の音量調整処理を示したフローチャートである。制御部9のメインCPUは、制御部9のRAMに記録される聴取者の設定情報に基づいて、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)の設定内容が実行(オン)状態となっているか否かの判断を行う(ステップS.31)。音量制御処理が実行状態に設定されていない場合(ステップS.31においてNoの場合)、メインCPUは、騒音レベルに基づく音量調整処理(ステップS.32〜ステップS.44)を実行することなく、音量制御部3に現在の音量情報を記憶させた後に(ステップS.45)、音量調整されたオーディオ信号を、音量制御部3よりオーディオ出力部4に出力させて(ステップS.46)、音量調整処理を終了する。
一方で、音量制御処理が実行状態に設定されている場合(ステップS.31においてYesの場合)、メインCPUは、騒音検出部6を制御して、騒音信号の実効値である騒音レベルと、マイク信号の実効値であるとマイクレベルと、リファレンス信号の実効値であるリファレンスレベルとを求めさせ、求められた騒音レベル、マイクレベルおよびリファレンスレベルを制御部9に送信させる(ステップS.32)。そして、制御部9のメインCPUは、取得した騒音レベル、マイクレベルおよびリファレンスレベルに基づいて、マイク入力の不具合判断処理を行う(ステップS.33)。具体的に、制御部9のCPUは、リファレンスレベルが0より大きい場合において、所定時間MCT(MicChkTime[sec])が経過してもマイクレベルが所定値MML(MicMinLevel)以下であった場合に、マイク入力に不具合があったものと判断する。
マイク入力に不具合があると判断する場合(ステップS.33においてYesの場合)、制御部9のCPUは、騒音検出部6に対して適応フィルタリセット情報を出力することにより適応フィルタ24aのフィルタ係数wの値をリセットさせ(ステップS.34)、その後、騒音検出部41における適応フィルタ処理を停止させる(ステップS.35)。この処理により、騒音検出部41におけるフィルタ係数wのリセット処理および適応フィルタ処理の停止処理を、制御部9で直接制御することが可能となる。なお、騒音検出部41における適応フィルタ処理の停止により、オーディオ再生装置40における音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)が停止される。
一方で、マイク入力に不具合があると判断されなかった場合(ステップS.33においてNoの場合)、制御部9のCPUは、適応フィルタ24aのフィルタ係数wの収束判断処理を行う(ステップS.36)。具体的に、CPUは、第1の条件である(マイクレベル×K<騒音レベル)が、所定時間FCT(FilterChkTime[sec])内に、所定頻度ER(ErrRate[%])以上の割合で発生する場合に、適応フィルタ24aにおけるフィルタ係数wが最適値に収束されないものと判断する。
適応フィルタ24aのフィルタ係数wが収束されないと判断された場合(ステップS.36においてYesの場合)、制御部9のCPUは、騒音検出部6に対して適応フィルタリセット情報を出力することにより適応フィルタ24aのフィルタ係数wの値をリセットさせ(ステップS.37)、その後、騒音検出部41における適応フィルタ処理を停止させる(ステップS.38)。この処理により、騒音検出部41におけるフィルタ係数wのリセット処理および適応フィルタ処理の停止処理を、制御部9で直接制御することが可能となる。
そして、制御部9のCPUは、ステップサイズパラメータμの値を変更することが可能であるか否かの判断を行う(ステップS.39)。具体的に、CPUは、μが所定値ARM(AdaptRateMin)以上である場合に、μの値を変更することが可能であると判断する。
μの値を変更することが可能である場合(ステップS.39においてYesの場合)、制御部9のCPUは、μの値を低減させる処理を行う(ステップS.40)。そして、制御部9のCPUは、騒音検出部41を制御して、騒音検出部41における適応フィルタ処理を再開させる(ステップS.41)。この処理により、オーディオ再生装置40における音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)を再開させることができる。
ステップS.35において騒音検出部41における適応フィルタ処理を停止させた場合、ステップS.39においてμの値を低減させる処理を行うことができないと判断された場合(ステップS.39においてNoの場合)、および、ステップS.41において、騒音検出部41における適応フィルタ処理を再開させた場合、制御部9のCPUは、騒音レベルを0に設定して騒音レベルを音量算出部8に出力する(ステップS.42)。音量算出部8では、制御部9より受信した騒音レベルに基づいて音量制御信号を算出するが、騒音レベルが0に設定されているため、音量制御信号の音量変更を行わない。
ステップS.42において、騒音レベルを0に設定して騒音レベルを音量算出部8に出力した場合、および、適応フィルタ24aのフィルタ係数wが収束されると判断された場合(ステップS.36においてNoの場合)、制御部9のCPUは、音量算出部8を制御して、騒音レベルに基づいて音量制御信号を算出させ(ステップS.43)、算出された音量制御信号を音量制御部3に出力させる。
そして、制御部9のメインCPUは、音量制御部3を制御して、音量算出部8により算出された音量制御信号に応じてオーディオ信号の音量調整を行わせる(ステップS.44)。ステップS.44において、音量制御部3に音量調整を行わせた後、あるいは、音量制御処理(オートボリュームコントロール処理)の設定内容が実行(オン)状態に設定されていない場合(ステップS.31においてNoの場合)、制御部9のCPUは、音量制御部3に音量調整に基づく音量情報を記録させ(ステップS.45)、音量調整されたオーディオ信号をオーディオ出力部4に出力させる(ステップS.46)。そして、制御部9は、音量調整処理を終了する。
図11〜図13に示したように、制御部9のCPUにおいて、マイク入力の不具合判断処理(図13に示すステップS.33の判断)、適応フィルタ24aにおけるフィルタ係数wの収束判断処理(図13に示すステップS.36の判断)、および、μの値を変更することが可能であるか否かの判断(図13に示すステップS.39の判断)を行う構成とすることによって、騒音検出部41における適応フィルタ処理の停止および再開を直接制御部9から制御することが可能となるので、処理手順の簡略化および迅速化を図ることが可能となる。また、制御部9のCPUにより、マイク入力の不具合判断処理、適応フィルタ24aにおけるフィルタ係数wの収束判断処理、および、μの値を変更することが可能であるか否かの判断を行うことにより、エラー検知・回復部7を設ける必要がなくなるので、構造の簡略化を図ることが可能となる。
1、40 …オーディオ再生装置(音響処理装置)
2 …オーディオ再生部
3 …音量制御部(音量変更部)
4 …オーディオ出力部
5 …操作部
6、41 …騒音検出部(騒音情報検出部)
7 …エラー検知・回復部(収束状態判断部、収録エラー検出部)
8 …音量算出部(音量補正値算出部)
9 …制御部(収束状態判断部、収録エラー検出部)
10 …騒音収録マイク(収録部)
21 …(騒音検出部における)ダウンサンプリング処理部
22 …(騒音検出部における)A特性フィルタ処理部
23 …(騒音検出部における)遅延処理部
24 …(騒音検出部における)LMS適応フィルタ処理部
24a …(LMS適応フィルタ処理部における)適応フィルタ
25 …(騒音検出部における)実効値算出部
31 …(エラー検知・回復部における)実効値算出部
32 …(エラー検知・回復部における)実効値算出部
33 …(エラー検知・回復部における)エラー制御部
50 …(従来の)オーディオ再生装置
51 …(従来のオーディオ再生装置における)オーディオ再生部
52 …(従来のオーディオ再生装置における)音量制御部
53 …(従来のオーディオ再生装置における)オーディオ出力部
54 …(従来のオーディオ再生装置における)操作部
55 …(従来のオーディオ再生装置における)騒音収録マイク
56 …(従来のオーディオ再生装置における)騒音検出部
57 …(従来のオーディオ再生装置における)音量算出部
58 …(従来のオーディオ再生装置における)制御部

Claims (4)

  1. 入力されるオーディオ信号の音量変更を行う音量変更部と、
    該音量変更部により音量変更されたオーディオ信号の出力を行うオーディオ出力部と、
    該オーディオ出力部により出力された音と当該音以外の騒音とを収録する収録部と、
    該収録部により収録されたマイク信号と前記音量変更部により音量変更がなされたオーディオ信号とに対して適応フィルタを適用することにより前記騒音の音量に関する騒音情報を求める騒音情報検出部と、
    該騒音情報検出部により求められた騒音情報に基づいて、前記音量変更部の音量変更処理に対する音量補正値を求めて前記音量変更部に出力する音量補正値算出部と、
    前記騒音情報検出部により求められる騒音情報と、前記マイク信号の音量に関するマイク情報とに基づいて、前記適応フィルタにおけるフィルタ係数の収束状態を判断する収束状態判断部と
    を備えたことを特徴とする音響処理装置。
  2. 前記収束状態判断部は、前記騒音の音量と前記マイク信号の音量との大小関係およびその大小関係の変化状態に基づいて前記フィルタ係数が収束状態にあるか否かを判断すること
    を特徴とする請求項1に記載の音響処理装置。
  3. 前記収束状態判断部により前記フィルタ係数が収束状態にないと判断された場合には、前記適応フィルタのフィルタ係数を算出するための要素であるステップサイズパラメータの値を低減させること
    を特徴とする請求項2に記載の音響処理装置。
  4. 前記オーディオ出力部から前記オーディオ信号が出力されている状況における前記マイク信号の出力値に基づいて、前記収録部による収録処理に関するエラーを判断する収録エラー検出部
    を有することを特徴とする請求項1に記載の音響処理装置。
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