JPWO2010005118A1 - カーボンナノコイル製造用触媒及び該触媒を用いたカーボンナノコイルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
CVD法によるCNCの製造に用いる安価で供給不安の少ない触媒、特に、触媒成分としてInを含有しなくても、高い触媒活性を発揮できる触媒及び該触媒を用いたカーボンナノコイルの製造方法を提供することを課題とする。本発明は、炭素を含む熱分解性ガスを用いた化学気相成長法によりカーボンナノコイルを製造するための触媒であって、(1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有するカーボンナノコイル製造用触媒である。
Description
本発明は、カーボンナノコイル製造用触媒及び該触媒を用いたカーボンナノコイルの製造方法に関する。
カーボンナノコイル(CNC)は、ナノデバイス、ナノコンポジット材料等として使用することが期待されている。ナノデバイスとしては、電子源、微小磁場発生源、微小領域での磁場検出素子、バネ、アクチュエーター等が挙げられる。また、ナノコンポジット材料としては、例えば、電磁波吸収材、電極材料、制振性材料、高弾性材料等が挙げられる。
近年、CNCの製造方法としては、化学気相成長法(CVD法)を利用した方法が注目されている。CVD法は、連続的にCNCを製造できる点で、工業的量産化に適した方法と言える。一般的には、CVD法により金属触媒表面でCNCを成長させながら製造する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、Fe、Sn及びInからなる3成分系触媒を用いてCVD法によりCNCを製造する方法が報告されている。
また、特許文献2には、Fe及びSnからなる2成分系触媒、或いはFe、Sn及びInからなる3成分系触媒を用いてCVD法によりCNCを製造する方法が報告されている。
しかしながら、前記2成分系触媒は、CVD法によりCNCを製造する際の触媒活性が低く、効率よくCNCを製造できない。
また、前記3成分系触媒は、ある程度の触媒活性があるものの、前記触媒の含有成分であるInは、いわゆるレアメタルであり資源が特定の国に偏在しているため、安定した供給が難しい金属である。しかも、Inの需要は年々増加傾向にあり、今後、さらに入手が困難になることが予想される。
一方、カーボンナノコイル(CNC)は、ナノデバイス、ナノコンポジット材料等として使用するため、一層のコストダウンが要望されている。このため、カーボンナノコイル(CNC)を製造するための触媒活性を有する、安くて供給不安がなく資源制約の少ない汎用性の高い触媒が求められている。
中でも特に、Inを使用せずに、CNC製造において高い触媒活性を発揮できる触媒の開発が切望されている。
近年、CNCの製造方法としては、化学気相成長法(CVD法)を利用した方法が注目されている。CVD法は、連続的にCNCを製造できる点で、工業的量産化に適した方法と言える。一般的には、CVD法により金属触媒表面でCNCを成長させながら製造する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、Fe、Sn及びInからなる3成分系触媒を用いてCVD法によりCNCを製造する方法が報告されている。
また、特許文献2には、Fe及びSnからなる2成分系触媒、或いはFe、Sn及びInからなる3成分系触媒を用いてCVD法によりCNCを製造する方法が報告されている。
しかしながら、前記2成分系触媒は、CVD法によりCNCを製造する際の触媒活性が低く、効率よくCNCを製造できない。
また、前記3成分系触媒は、ある程度の触媒活性があるものの、前記触媒の含有成分であるInは、いわゆるレアメタルであり資源が特定の国に偏在しているため、安定した供給が難しい金属である。しかも、Inの需要は年々増加傾向にあり、今後、さらに入手が困難になることが予想される。
一方、カーボンナノコイル(CNC)は、ナノデバイス、ナノコンポジット材料等として使用するため、一層のコストダウンが要望されている。このため、カーボンナノコイル(CNC)を製造するための触媒活性を有する、安くて供給不安がなく資源制約の少ない汎用性の高い触媒が求められている。
中でも特に、Inを使用せずに、CNC製造において高い触媒活性を発揮できる触媒の開発が切望されている。
本発明は、CVD法によるCNCの製造に用いる安価で供給不安の少ない触媒、特に、触媒成分としてInを含有しなくても、高い触媒活性を発揮できる触媒及び該触媒を用いたカーボンナノコイルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の金属を含有する触媒が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のカーボンナノコイル製造用触媒及び該触媒を用いたカーボンナノコイルの製造方法に係る。
1. 炭素を含む熱分解性ガスを用いた化学気相成長法によりカーボンナノコイルを製造するための触媒であって、
(1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有するカーボンナノコイル製造用触媒。
2. 炭素を含む熱分解性ガスが、アセチレンである上記項1に記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
3. 前記触媒が、膜状物である上記項1又は2に記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
4. 前記(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である上記項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
5. (1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有割合が、原子比で(1)Fe:(2)Sn:(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属=1:0.01〜0.50:0.01〜0.50である上記項1〜4のいずれかに記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
6. 上記項1〜5のいずれかに記載の触媒存在下、炭素を含む熱分解性ガスを用いた化学気相成長法によりカーボンナノコイルを製造する方法。
即ち、本発明は、下記のカーボンナノコイル製造用触媒及び該触媒を用いたカーボンナノコイルの製造方法に係る。
1. 炭素を含む熱分解性ガスを用いた化学気相成長法によりカーボンナノコイルを製造するための触媒であって、
(1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有するカーボンナノコイル製造用触媒。
2. 炭素を含む熱分解性ガスが、アセチレンである上記項1に記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
3. 前記触媒が、膜状物である上記項1又は2に記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
4. 前記(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である上記項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
5. (1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有割合が、原子比で(1)Fe:(2)Sn:(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属=1:0.01〜0.50:0.01〜0.50である上記項1〜4のいずれかに記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
6. 上記項1〜5のいずれかに記載の触媒存在下、炭素を含む熱分解性ガスを用いた化学気相成長法によりカーボンナノコイルを製造する方法。
本発明の触媒は、CVD法によるCNCの製造において、安価で安定供給性に優れ、高い触媒活性を有する。本発明の触媒は、特に触媒成分としてInを含有しないため、低コストで、且つ、安定した供給が可能である。
本発明の製造方法は、前記触媒を用いることにより、効率よくCNCを製造することができる。
本発明の製造方法は、前記触媒を用いることにより、効率よくCNCを製造することができる。
図1は、CNCを説明するための図である。
図2は、熱CVD法によりCNCを製造する方法の一例を示す図である。
図3は、実施例2で得られた触媒のSEM写真(上:上面図、下:断面図)である。
図4の(a)は実施例8で製造したCNCのSEM写真であり、(b)は実施例9で製造したCNCのSEM写真であり、(c)は実施例10で製造したCNCのSEM写真であり、(d)は比較例3で製造したCNCのSEM写真であり、(e)は比較例4で製造したCNCのSEM写真である。
図5は、実施例1〜7及び比較例1〜2で作製された触媒の活性の評価結果を示すグラフである。
図6は、実施例15〜18の触媒中の各金属成分の原子比を示すグラフである。
図7は、実施例15〜18で作製した触媒の活性の評価結果を示すグラフである。
図8は、比較例5〜9の触媒中の各金属成分の原子比を示すグラフである。
図9は、比較例5〜9で作製した触媒の活性の評価結果を示すグラフである。
図2は、熱CVD法によりCNCを製造する方法の一例を示す図である。
図3は、実施例2で得られた触媒のSEM写真(上:上面図、下:断面図)である。
図4の(a)は実施例8で製造したCNCのSEM写真であり、(b)は実施例9で製造したCNCのSEM写真であり、(c)は実施例10で製造したCNCのSEM写真であり、(d)は比較例3で製造したCNCのSEM写真であり、(e)は比較例4で製造したCNCのSEM写真である。
図5は、実施例1〜7及び比較例1〜2で作製された触媒の活性の評価結果を示すグラフである。
図6は、実施例15〜18の触媒中の各金属成分の原子比を示すグラフである。
図7は、実施例15〜18で作製した触媒の活性の評価結果を示すグラフである。
図8は、比較例5〜9の触媒中の各金属成分の原子比を示すグラフである。
図9は、比較例5〜9で作製した触媒の活性の評価結果を示すグラフである。
本発明のカーボンナノコイル(CNC)製造用触媒によれば、化学気相成長法(CVD法)によってCNCを効率よく製造できる。すなわち、本発明の触媒は、炭素を含む熱分解性ガスが分解し、CNCが生成する反応を促進させる。
カーボンナノコイルとは、図1に示すようなカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーが螺旋構造をしたものであり且つ、コイル長、コイル径、コイルピッチ及び繊維径が所定の範囲内にあるものを言う。
CNCの平均コイル長は、通常1μm程度以上100μm程度未満、好ましくは10〜50μm程度である。CNCの平均コイル径は、通常1μm程度未満、好ましくは10〜500nm程度である。CNCの平均コイルピッチは、通常1nm程度以上1μm程度未満、好ましくは10〜500nm程度である。CNCの平均繊維径は、通常1〜500nm程度、好ましくは50〜300nm程度である。
前記平均コイル長、平均コイル径、平均コイルピッチ及び平均繊維径は、CNCを任意で100本選択し、該CNCカーボンナノコイル100本を走査型電子顕微鏡(SEM)で2000倍の倍率で画像を撮影し、当該画像のコイル長、コイル径、コイルピッチ及び繊維径を目視で計測した場合の100本の平均値をいう。
なお、本明細書においては、平均コイル径が1μm程度未満であるカーボンナノツイストも前記カーボンナノコイルに含めることとする。
カーボンナノコイルを構成するカーボンナノチューブとは、炭素6員環の連なったグラフェンシートが筒状に丸まったものである。グラフェンシートが1枚の構造のカーボンナノチューブは単層(シングルウォール)カーボンナノチューブと、多層構造のものは多層(マルチウォール)カーボンナノチューブと、それぞれ呼ばれている。その円筒径(線径)は、通常1〜10nm程度である。
カーボンナノコイルを構成するカーボンナノファイバーとは、炭素6員環の連なったグラフェンシートが筒状に丸まってなる炭素繊維であり、その線径が10nmを超えるものである。
以下、本発明のCNC製造用触媒及び該触媒を用いたCNCの製造方法について詳細に説明する。
I.カーボンナノコイル製造用触媒
本発明のCNC製造用触媒は、炭素を含む熱分解性ガスを用いたCVD法によりCNCを製造するための触媒であって、(1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する。
本発明の触媒は、Fe及びSnに加え、さらにアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有することにより、CVD法によるCNC製造において高い触媒活性を発揮することができる。
前記アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs又はFrを使用できる。
前記アルカリ土類金属としては、Mg、Ca、Sr、Ba又はRaを使用できる。
本発明の触媒は、前記(3)成分として前記アルカリ金属及び前記アルカリ土類金属を一種単独で又は二種以上で含有する。
特に、本発明の触媒は、前記(3)成分として、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有することが好ましく、Na、K及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有することがより好ましい。
前記触媒中におけるFe、Sn、及び(3)成分の含有割合は、原子比でFe:Sn:(3)成分=1:0.01〜0.50:0.01〜0.50程度が好ましく、1:0.03〜0.33:0.03〜0.33程度がより好ましく、1:0.05〜0.20:0.05〜0.20程度がさらに好ましい。特に、Fe、Sn、及び(3)成分の含有割合が、原子比でFe:Sn:(3)成分=1:0.05〜0.20:0.05〜0.20程度の場合、触媒活性が顕著に向上する。
触媒中、Fe、Sn及び(3)成分は、それぞれ純粋な金属として存在していてもよいし、酸化物、炭化物等の状態で存在していてもよい。また、触媒中、前記各成分は、それぞれ単独で存在してもよいし、合金として存在していてもよい。前記合金としては、例えば、FeとSnとの合金、Feと(3)成分との合金、Snと(3)成分との合金、及びFeとSnと(3)成分との合金が挙げられる。触媒中、これらの合金は、純粋な合金として存在していてもよいし、酸化物、炭化物等の状態で存在していてもよい。
前記触媒には、触媒活性を十分に発揮できる限り、Fe、Sn及び(3)成分以外の金属が含まれていてもよい。
前記触媒の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、Fe、Sn及び(3)成分を含む膜状物、粒状物等が挙げられる。特に、CNCを効率よく製造できる点で、膜状物が好ましい。
以下、本明細書では、前記触媒が膜状物である場合を代表例として、CNC製造用触媒、該触媒の製造方法及びCNCの製造方法については、具体的に説明する。
本発明の触媒が膜状物である場合、前記膜状物の平均厚みは、通常0.01〜5μm程度、好ましくは0.05〜0.5μm程度である。前記平均厚みは、触媒断面をSEMで撮影することにより確認できる。
前記膜状物は、優れた触媒活性を発揮できる限り、膜の一部が欠落していてもよいし、Fe、Sn及び(3)成分からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む微細な塊を有していてもよい。
前記膜状物の製造方法としては、例えば、下記工程1及び工程2を経る方法が挙げられる。
工程1:(1)Fe、(2)Sn並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む溶液を基板に塗布することにより塗布物を得る工程。
工程2:工程1で得られた塗布物を焼成することにより、該基板上に膜状物を形成させる工程。
以下、上記工程1及び工程2について具体的に説明する。
<工程1>
工程1では、(1)Fe、(2)Sn並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む溶液を基板に塗布することにより塗布物を得る。
溶液の調製
前記溶液は、例えば、鉄塩、錫塩、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を溶媒に溶解させることにより調製できる。
前記鉄塩としては、例えば、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、アセチルアセトン鉄、酢酸鉄、フェロセン等が挙げられる。これらの鉄塩は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記錫塩としては、例えば、塩化第一錫、塩化第二錫、硫酸第二錫、硝酸第二錫、アセチルアセトン錫、シュウ酸錫等が挙げられる。これらの錫塩は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩としては、前記アルカリ金属及び前記アルカリ土類金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。具体的に、カリウム塩を例に取ると、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム等が挙げられる。これらアルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記鉄塩、前記錫塩、前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩の使用量は、触媒中における鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有割合が目的の範囲内になるよう適宜設定すればよい。通常は、使用した前記鉄塩、前記錫塩、前記アルカリ金属塩及び/又は前記アルカリ土類金属塩のモル比が、本発明の触媒中における鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の原子比となる。
前記溶媒としては、例えば、水;エタノール、メタノールなどのアルコール類、ギ酸、酢酸などの有機酸類;DMF、THF、ジオキサンなどの極性有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で又は二種以上の混合溶媒として使用できる。
前記各塩を前記溶媒に添加し撹拌することにより前記溶液を調製できる。
基板
前記基板としては、前記膜状物を好適に形成できる基板である限り特に限定されない。例えば、CNCの製造において熱CVD法を採用する場合は、熱CVD法における温度条件に耐え得る基板を用いることが望ましい。このような基板を用いることにより、膜状物を基板上に形成させた状態で触媒として熱CVD法に適用できる。熱CVD法における温度条件に耐え得る基板としては、例えば、アルミナ基板、酸化ケイ素基板、酸化ジルコニウム基板、シリコン基板、炭化ケイ素基板、窒化ケイ素基板等が挙げられる。
基板の厚みは、特に限定されないが、0.1〜5mm程度が好ましい。
基板の面積は、CNCを製造するための設備の規模等に応じて適宜設定すればよく、通常1〜100cm2程度である。
前記基板に前記溶液を塗布するのに先立って、必要に応じて、前記基板を前処理してもよい。前処理方法は、CVD処理を行う基板に対して一般的に行う方法を採用することができる。例えば、有機溶剤、酸、アルカリ等を用いて基板表面を洗浄する方法が挙げられる。
なお、工程1及び工程2では、基板上に触媒を形成させているが、本発明の触媒は、粒状物、中空体等の基板以外の表面にも形成できる。
塗布物の形成
前記溶液を前記基板に塗布することにより塗布物を得る。
前記溶液は、前記基板の両面に塗布してもよいし、片面のみに塗布してもよい。通常は、CVD法を実行する反応部の内壁面と接触しない面のみに触媒を形成させればよいので、基板の片面のみに前記溶液を塗布すればよい。
前記基板に対する前記溶液の塗布量は、特に限定されないが、0.01〜10g/m2程度が好ましく、0.1〜2g/m2程度がより好ましい。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、刷毛塗り法等が挙げられる。
前記溶液を塗布後、必要に応じて、塗布物に乾燥処理を施してもよい。乾燥は、溶媒を除去できる条件で行えばよい。例えば減圧脱気、200℃以下での加熱、又はそれらの組合せによって行うことができる。
<工程2>
工程2では、工程1で得られた塗布物を焼成することにより、該基板上に膜状物を形成させる。
焼成温度は、500〜1200℃程度が好ましく、700〜900℃程度がより好ましい。
焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜設定すればよいが、通常0.5〜3時間程度、好ましくは1〜2時間程度である。
焼成雰囲気としては、特に限定されず、例えば、含酸素雰囲気、不活性ガス雰囲気等のいずれでもよい。含酸素雰囲気で焼成する場合、例えば、空気、高純度酸素等を使用できる。不活性ガス雰囲気で焼成する場合、不活性ガスとして、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、クリプトン、キセノン等を使用できる。
含酸素雰囲気で焼成する場合、前記塗布物表面に存在する鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の全部又は一部は酸化物に変化してもよい。特に、工程1の「溶液の調製」において、鉄塩、錫塩、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を用いる場合、鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属は、酸化物として前記塗布物表面に存在する傾向がある。
以上の工程を経ることにより、基板上に膜状物(本発明の触媒)を形成させることができる。
その他、上記方法以外にも、物理蒸着法(PVD法)によって基板上に前記膜状物を形成させることもできる。
PVD法としては、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザアブレーション法、アークプラズマガン法等が挙げられる。
PVD法により前記膜状物を形成させる場合、出発原料として、前記鉄塩、前記錫塩、前記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を用いることもできるし、鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の単体やこれら単体の酸化物、炭化物、窒化物等を用いることもできる。
また、Feを含む粒子等を用いたメカノケミカル法によって、基板上に前記膜状物を形成させることもできる。
II.カーボンナノコイルの製造方法
本発明のCNCの製造方法は、前記触媒存在下、炭素を含む熱分解性ガスを用いたCVD法によりCNCを製造する方法である。CVD法を採用することにより、CNCを連続的に製造することができる。
本発明の製造方法では、前記触媒の表面上及び内部で炭素を含む熱分解性ガスが分解し、CNCが生成する反応が進行する。
本発明の製造方法では、触媒の一部がCNCの先端に付着した状態でCNCが成長する、いわゆる先端成長過程を経るものと考えられる。
前記炭素を含む熱分解性ガスとしては、CNCを好適に形成できるものであればよい。例えば、アセチレン、エチレン、ベンゼン、メタン、アルコール等が挙げられる。これらのガスは、一種単独で又は二種以上の混合ガスとして使用できる。特に、本発明の製造方法では、アセチレンを用いることが好ましい。
CVD法によりCNCを製造する方法としては、前記触媒を用いる以外は、公知の方法を採用すればよい。
例えば、図2に示すように、前記触媒を形成させた基板を配置した水平型反応部に、前記炭素を含む熱分解性ガスをキャリアガスとともに流入させながら、前記基板を加熱する方法(熱CVD法)が挙げられる。
以下、熱CVD法を代表例として、本発明の製造方法について具体的に説明する。
熱CVD法では、基板を加熱した状態で、炭素を含む熱分解性ガスを基板上の触媒に接触させることにより、炭素を含む熱分解性ガスが熱分解してCNCが生成する。
本発明の製造方法における前記触媒の使用量は、特に限定されず、CNC製造設備の規模等に応じて決定されるが、基板1cm2を用いた場合10μg程度以上が好ましく、30〜300μg程度がより好ましい。
前記キャリアガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、クリプトン、キセノン等が挙げられる。これらのキャリアガスは、一種単独で又は二種以上で使用できる。特に、キャリアガスとして、ヘリウム又はアルゴンを用いることが好ましい。
前記炭素を含む熱分解性ガスは、前記キャリアガスとの混合ガスとして反応部に供給される。具体的には、熱分解性ガス供給源から供給された炭素を含む熱分解性ガスとキャリアガス供給源から供給されたキャリアガスとを混合させながら反応部に流入させる。
炭素を含む熱分解性ガスの供給速度は、特に限定されないが、10〜1000ml/min程度が好ましく、20〜100ml/min程度がより好ましい。
キャリアガスの供給速度は、200〜1800ml/min程度が好ましく、400〜800ml/min程度がより好ましい。
本発明の製造方法では、前記基板を加熱することにより、前記基板の温度を、好ましくは400〜1200℃程度、より好ましくは500〜900℃程度に調整する。前記基板の温度が、700〜800℃程度である場合、CNCを好適に成長させることができる。
加熱時間は、CNCの成長状況等に応じて適宜調整すればよい。例えば、5〜100分間程度、基板を加熱すればよい。
加熱には、公知の加熱装置を用いることができる。加熱装置としては、例えば、電気ヒーターを使用できる。
反応部内の圧力は、通常500〜1200Torr程度、好ましくは700〜800Torr程度である。
未反応の前記熱分解性ガスは、キャリアガスと伴に、反応部外へ排出される。反応部外へ排出された前記熱分解性ガス等は、公知の排ガス処理装置を用いて処理してもよいし、反応部へ流入させる熱分解性ガス等として再利用してもよい。
カーボンナノコイルとは、図1に示すようなカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーが螺旋構造をしたものであり且つ、コイル長、コイル径、コイルピッチ及び繊維径が所定の範囲内にあるものを言う。
CNCの平均コイル長は、通常1μm程度以上100μm程度未満、好ましくは10〜50μm程度である。CNCの平均コイル径は、通常1μm程度未満、好ましくは10〜500nm程度である。CNCの平均コイルピッチは、通常1nm程度以上1μm程度未満、好ましくは10〜500nm程度である。CNCの平均繊維径は、通常1〜500nm程度、好ましくは50〜300nm程度である。
前記平均コイル長、平均コイル径、平均コイルピッチ及び平均繊維径は、CNCを任意で100本選択し、該CNCカーボンナノコイル100本を走査型電子顕微鏡(SEM)で2000倍の倍率で画像を撮影し、当該画像のコイル長、コイル径、コイルピッチ及び繊維径を目視で計測した場合の100本の平均値をいう。
なお、本明細書においては、平均コイル径が1μm程度未満であるカーボンナノツイストも前記カーボンナノコイルに含めることとする。
カーボンナノコイルを構成するカーボンナノチューブとは、炭素6員環の連なったグラフェンシートが筒状に丸まったものである。グラフェンシートが1枚の構造のカーボンナノチューブは単層(シングルウォール)カーボンナノチューブと、多層構造のものは多層(マルチウォール)カーボンナノチューブと、それぞれ呼ばれている。その円筒径(線径)は、通常1〜10nm程度である。
カーボンナノコイルを構成するカーボンナノファイバーとは、炭素6員環の連なったグラフェンシートが筒状に丸まってなる炭素繊維であり、その線径が10nmを超えるものである。
以下、本発明のCNC製造用触媒及び該触媒を用いたCNCの製造方法について詳細に説明する。
I.カーボンナノコイル製造用触媒
本発明のCNC製造用触媒は、炭素を含む熱分解性ガスを用いたCVD法によりCNCを製造するための触媒であって、(1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する。
本発明の触媒は、Fe及びSnに加え、さらにアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有することにより、CVD法によるCNC製造において高い触媒活性を発揮することができる。
前記アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs又はFrを使用できる。
前記アルカリ土類金属としては、Mg、Ca、Sr、Ba又はRaを使用できる。
本発明の触媒は、前記(3)成分として前記アルカリ金属及び前記アルカリ土類金属を一種単独で又は二種以上で含有する。
特に、本発明の触媒は、前記(3)成分として、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有することが好ましく、Na、K及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有することがより好ましい。
前記触媒中におけるFe、Sn、及び(3)成分の含有割合は、原子比でFe:Sn:(3)成分=1:0.01〜0.50:0.01〜0.50程度が好ましく、1:0.03〜0.33:0.03〜0.33程度がより好ましく、1:0.05〜0.20:0.05〜0.20程度がさらに好ましい。特に、Fe、Sn、及び(3)成分の含有割合が、原子比でFe:Sn:(3)成分=1:0.05〜0.20:0.05〜0.20程度の場合、触媒活性が顕著に向上する。
触媒中、Fe、Sn及び(3)成分は、それぞれ純粋な金属として存在していてもよいし、酸化物、炭化物等の状態で存在していてもよい。また、触媒中、前記各成分は、それぞれ単独で存在してもよいし、合金として存在していてもよい。前記合金としては、例えば、FeとSnとの合金、Feと(3)成分との合金、Snと(3)成分との合金、及びFeとSnと(3)成分との合金が挙げられる。触媒中、これらの合金は、純粋な合金として存在していてもよいし、酸化物、炭化物等の状態で存在していてもよい。
前記触媒には、触媒活性を十分に発揮できる限り、Fe、Sn及び(3)成分以外の金属が含まれていてもよい。
前記触媒の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、Fe、Sn及び(3)成分を含む膜状物、粒状物等が挙げられる。特に、CNCを効率よく製造できる点で、膜状物が好ましい。
以下、本明細書では、前記触媒が膜状物である場合を代表例として、CNC製造用触媒、該触媒の製造方法及びCNCの製造方法については、具体的に説明する。
本発明の触媒が膜状物である場合、前記膜状物の平均厚みは、通常0.01〜5μm程度、好ましくは0.05〜0.5μm程度である。前記平均厚みは、触媒断面をSEMで撮影することにより確認できる。
前記膜状物は、優れた触媒活性を発揮できる限り、膜の一部が欠落していてもよいし、Fe、Sn及び(3)成分からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む微細な塊を有していてもよい。
前記膜状物の製造方法としては、例えば、下記工程1及び工程2を経る方法が挙げられる。
工程1:(1)Fe、(2)Sn並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む溶液を基板に塗布することにより塗布物を得る工程。
工程2:工程1で得られた塗布物を焼成することにより、該基板上に膜状物を形成させる工程。
以下、上記工程1及び工程2について具体的に説明する。
<工程1>
工程1では、(1)Fe、(2)Sn並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む溶液を基板に塗布することにより塗布物を得る。
溶液の調製
前記溶液は、例えば、鉄塩、錫塩、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を溶媒に溶解させることにより調製できる。
前記鉄塩としては、例えば、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、アセチルアセトン鉄、酢酸鉄、フェロセン等が挙げられる。これらの鉄塩は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記錫塩としては、例えば、塩化第一錫、塩化第二錫、硫酸第二錫、硝酸第二錫、アセチルアセトン錫、シュウ酸錫等が挙げられる。これらの錫塩は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩としては、前記アルカリ金属及び前記アルカリ土類金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。具体的に、カリウム塩を例に取ると、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム等が挙げられる。これらアルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記鉄塩、前記錫塩、前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩の使用量は、触媒中における鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有割合が目的の範囲内になるよう適宜設定すればよい。通常は、使用した前記鉄塩、前記錫塩、前記アルカリ金属塩及び/又は前記アルカリ土類金属塩のモル比が、本発明の触媒中における鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の原子比となる。
前記溶媒としては、例えば、水;エタノール、メタノールなどのアルコール類、ギ酸、酢酸などの有機酸類;DMF、THF、ジオキサンなどの極性有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で又は二種以上の混合溶媒として使用できる。
前記各塩を前記溶媒に添加し撹拌することにより前記溶液を調製できる。
基板
前記基板としては、前記膜状物を好適に形成できる基板である限り特に限定されない。例えば、CNCの製造において熱CVD法を採用する場合は、熱CVD法における温度条件に耐え得る基板を用いることが望ましい。このような基板を用いることにより、膜状物を基板上に形成させた状態で触媒として熱CVD法に適用できる。熱CVD法における温度条件に耐え得る基板としては、例えば、アルミナ基板、酸化ケイ素基板、酸化ジルコニウム基板、シリコン基板、炭化ケイ素基板、窒化ケイ素基板等が挙げられる。
基板の厚みは、特に限定されないが、0.1〜5mm程度が好ましい。
基板の面積は、CNCを製造するための設備の規模等に応じて適宜設定すればよく、通常1〜100cm2程度である。
前記基板に前記溶液を塗布するのに先立って、必要に応じて、前記基板を前処理してもよい。前処理方法は、CVD処理を行う基板に対して一般的に行う方法を採用することができる。例えば、有機溶剤、酸、アルカリ等を用いて基板表面を洗浄する方法が挙げられる。
なお、工程1及び工程2では、基板上に触媒を形成させているが、本発明の触媒は、粒状物、中空体等の基板以外の表面にも形成できる。
塗布物の形成
前記溶液を前記基板に塗布することにより塗布物を得る。
前記溶液は、前記基板の両面に塗布してもよいし、片面のみに塗布してもよい。通常は、CVD法を実行する反応部の内壁面と接触しない面のみに触媒を形成させればよいので、基板の片面のみに前記溶液を塗布すればよい。
前記基板に対する前記溶液の塗布量は、特に限定されないが、0.01〜10g/m2程度が好ましく、0.1〜2g/m2程度がより好ましい。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、刷毛塗り法等が挙げられる。
前記溶液を塗布後、必要に応じて、塗布物に乾燥処理を施してもよい。乾燥は、溶媒を除去できる条件で行えばよい。例えば減圧脱気、200℃以下での加熱、又はそれらの組合せによって行うことができる。
<工程2>
工程2では、工程1で得られた塗布物を焼成することにより、該基板上に膜状物を形成させる。
焼成温度は、500〜1200℃程度が好ましく、700〜900℃程度がより好ましい。
焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜設定すればよいが、通常0.5〜3時間程度、好ましくは1〜2時間程度である。
焼成雰囲気としては、特に限定されず、例えば、含酸素雰囲気、不活性ガス雰囲気等のいずれでもよい。含酸素雰囲気で焼成する場合、例えば、空気、高純度酸素等を使用できる。不活性ガス雰囲気で焼成する場合、不活性ガスとして、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、クリプトン、キセノン等を使用できる。
含酸素雰囲気で焼成する場合、前記塗布物表面に存在する鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の全部又は一部は酸化物に変化してもよい。特に、工程1の「溶液の調製」において、鉄塩、錫塩、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を用いる場合、鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属は、酸化物として前記塗布物表面に存在する傾向がある。
以上の工程を経ることにより、基板上に膜状物(本発明の触媒)を形成させることができる。
その他、上記方法以外にも、物理蒸着法(PVD法)によって基板上に前記膜状物を形成させることもできる。
PVD法としては、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザアブレーション法、アークプラズマガン法等が挙げられる。
PVD法により前記膜状物を形成させる場合、出発原料として、前記鉄塩、前記錫塩、前記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を用いることもできるし、鉄、錫、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の単体やこれら単体の酸化物、炭化物、窒化物等を用いることもできる。
また、Feを含む粒子等を用いたメカノケミカル法によって、基板上に前記膜状物を形成させることもできる。
II.カーボンナノコイルの製造方法
本発明のCNCの製造方法は、前記触媒存在下、炭素を含む熱分解性ガスを用いたCVD法によりCNCを製造する方法である。CVD法を採用することにより、CNCを連続的に製造することができる。
本発明の製造方法では、前記触媒の表面上及び内部で炭素を含む熱分解性ガスが分解し、CNCが生成する反応が進行する。
本発明の製造方法では、触媒の一部がCNCの先端に付着した状態でCNCが成長する、いわゆる先端成長過程を経るものと考えられる。
前記炭素を含む熱分解性ガスとしては、CNCを好適に形成できるものであればよい。例えば、アセチレン、エチレン、ベンゼン、メタン、アルコール等が挙げられる。これらのガスは、一種単独で又は二種以上の混合ガスとして使用できる。特に、本発明の製造方法では、アセチレンを用いることが好ましい。
CVD法によりCNCを製造する方法としては、前記触媒を用いる以外は、公知の方法を採用すればよい。
例えば、図2に示すように、前記触媒を形成させた基板を配置した水平型反応部に、前記炭素を含む熱分解性ガスをキャリアガスとともに流入させながら、前記基板を加熱する方法(熱CVD法)が挙げられる。
以下、熱CVD法を代表例として、本発明の製造方法について具体的に説明する。
熱CVD法では、基板を加熱した状態で、炭素を含む熱分解性ガスを基板上の触媒に接触させることにより、炭素を含む熱分解性ガスが熱分解してCNCが生成する。
本発明の製造方法における前記触媒の使用量は、特に限定されず、CNC製造設備の規模等に応じて決定されるが、基板1cm2を用いた場合10μg程度以上が好ましく、30〜300μg程度がより好ましい。
前記キャリアガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、クリプトン、キセノン等が挙げられる。これらのキャリアガスは、一種単独で又は二種以上で使用できる。特に、キャリアガスとして、ヘリウム又はアルゴンを用いることが好ましい。
前記炭素を含む熱分解性ガスは、前記キャリアガスとの混合ガスとして反応部に供給される。具体的には、熱分解性ガス供給源から供給された炭素を含む熱分解性ガスとキャリアガス供給源から供給されたキャリアガスとを混合させながら反応部に流入させる。
炭素を含む熱分解性ガスの供給速度は、特に限定されないが、10〜1000ml/min程度が好ましく、20〜100ml/min程度がより好ましい。
キャリアガスの供給速度は、200〜1800ml/min程度が好ましく、400〜800ml/min程度がより好ましい。
本発明の製造方法では、前記基板を加熱することにより、前記基板の温度を、好ましくは400〜1200℃程度、より好ましくは500〜900℃程度に調整する。前記基板の温度が、700〜800℃程度である場合、CNCを好適に成長させることができる。
加熱時間は、CNCの成長状況等に応じて適宜調整すればよい。例えば、5〜100分間程度、基板を加熱すればよい。
加熱には、公知の加熱装置を用いることができる。加熱装置としては、例えば、電気ヒーターを使用できる。
反応部内の圧力は、通常500〜1200Torr程度、好ましくは700〜800Torr程度である。
未反応の前記熱分解性ガスは、キャリアガスと伴に、反応部外へ排出される。反応部外へ排出された前記熱分解性ガス等は、公知の排ガス処理装置を用いて処理してもよいし、反応部へ流入させる熱分解性ガス等として再利用してもよい。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜2(CNC製造用触媒の作製)
硝酸第二鉄、塩化第二錫及び下記表1又は表2に示す金属塩をモル比で1:0.1:0.1の割合でエタノールに溶解させることにより、濃度0.3Mのエタノール溶液を調製した。
得られたエタノール溶液を厚さ1mm、面積1cm2のアルミナ基板の片面に塗布することにより、塗布物を作製した。前記アルミナ基板については、予め、ミクロ天秤で秤量することにより、面積が1cm2であることを確認しておいた。また、前記エタノール溶液を塗布する方法としては、スピンコート法を採用した。
前記塗布物を800℃で1時間焼成した後、室温(25℃程度)まで冷却することにより、前記アルミナ基板上に平均厚み90μmのCNC製造用触媒(膜状物)を形成させた。実施例2で得られた触媒のSEM写真を図3に示す。図3の断面図からアルミナ基板上に形成された触媒(膜状物)の厚さを見積ることができる。
冷却後、前記触媒及びアルミナ基板からなる積層体をミクロ天秤で秤量することにより、触媒の生成量(触媒量(g))を求めた。
得られた触媒中の金属成分を表1又は表2に示す。
なお、本実施例及び比較例で得られる触媒中の各金属成分の原子比は、使用した硝酸第二鉄、塩化第二錫、並びに上記表1〜2に示す金属塩又はInCl3のモル比に比例する。具体的に、実施例1〜7及び比較例1の触媒中の各金属成分の原子比は、Fe/Sn/下記表1又は表2に示す金属塩由来の金属=1/0.10/0.10である。また、比較例2の触媒中の各金属成分の原子比は、Fe/Sn=1/0.10である。
実施例8(CNCの製造)
図2に示すように、実施例1で得られた積層体を、該積層体を構成する基板と石英管とが接するように、石英管内部の中央部に固定した。
アセチレン供給源から供給されたアセチレンとヘリウム供給源から供給されたヘリウムとを混合して得られた混合ガスを、前記石英管(反応部)に連続的に流入させた。アセチレン供給源から供給される際のアセチレンの供給速度については25ml/minとした。また、ヘリウム供給源から供給される際のヘリウムの供給速度については580ml/minとした。未反応のアセチレン及びヘリウムについては、石英管外へ排出し排ガス処理装置を用いて処理した。
前記混合ガスを連続的に流入させながら、前記基板の温度が700℃になるよう前記積層体を加熱した。加熱には、電気ヒーターを用いた。前記基板の温度が700℃である状態を30分間保持した後、室温(25℃)まで冷却した。
以上の方法により、前記触媒上にCNCを形成させた。
得られたCNCをSEMを用いて撮影した写真を図4−1に示す。
また、触媒1g当たりのCNC生成量(g)を算出することにより、触媒の活性を評価した。具体的には、触媒上にCNCが形成された積層体をミクロ天秤で秤量することによりCNCの生成量(g)を求めた後、該CNCの生成量(g)を前記触媒量(g)で除することにより、触媒1g当たりのCNC生成量(g)を算出した。
結果を図5に示す。
実施例9〜14及び比較例3〜4(CNCの製造)
実施例1で作製した触媒を用いる代わりに、実施例2〜7及び比較例1〜2で作製した触媒を用いる以外は、実施例8と同様の方法により、CNCを製造し、触媒の活性を評価した。
実施例9(実施例2で作製した触媒を使用)及び実施例10(実施例3で作製した触媒を使用)で製造したCNCをSEMで撮影した写真を図4−1に示し、比較例3(比較例1で作製した触媒を使用)及び比較例4(比較例2で作製した触媒を使用)で製造したCNCをSEMで撮影した写真を図4−2に示す。
図4から、実施例1の触媒(Fe/Sn/K)、実施例2の触媒(Fe/Sn/Na)及び実施例3の触媒(Fe/Sn/Mg)を用いる場合、比較例1(Fe/Sn/In)の触媒及び比較例2の触媒(Fe/Sn)を用いる場合と同様に、良好な形態のCNCが得られることがわかる。
また、実施例2〜7及び比較例1〜2で作製された触媒の活性の評価結果を図5に示す。
図5から、実施例1の触媒(Fe/Sn/K)、実施例2の触媒(Fe/Sn/Na)及び実施例3の触媒(Fe/Sn/Mg)は、比較例1の触媒(Fe/Sn/In)に比べ、高い触媒活性を発揮することがわかる。すなわち、Inの代わりにMg、K又はNaを使用した場合、触媒活性が向上することがわかる。
また、図5から、実施例4の触媒(Fe/Sn/Sr)、実施例5の触媒(Fe/Sn/Ba)、実施例6の触媒(Fe/Sn/Cs)及び実施例7の触媒(Fe/Sn/Li)は、比較例2の触媒(Fe/Sn)に比べ、高い触媒活性を発揮することがわかる。すなわち、Fe及びSnだけでなく、さらにSr、Ba、Cs又はLiを含有させることにより、触媒活性が向上することがわかる。
実施例15〜18(CNC製造用触媒の作製)
得られる触媒中の各金属成分の原子比が、図6に示す比率となるように、使用する硝酸第二鉄、塩化第二錫及びMgCl2のモル比を設定する以外は、実施例3と同様の方法により、CNC製造用触媒を作製した。
実施例19〜22(CNCの製造)
実施例1で作製した触媒の代わりに、実施例15〜18で作製した触媒を用いる以外は、実施例8と同様の方法により、CNCを作製した。
さらに、実施例8と同様の方法により、実施例15〜18で作製した触媒の活性を評価した。
結果を図7に示す。
図7から、実施例17で作製した触媒が、最も高い触媒活性を示すことがわかる。
比較例5〜9(CNC製造用触媒の作製)
得られる触媒中の各金属成分の原子比が、図8に示す比率となるように、使用する硝酸第二鉄、塩化第二錫及びInCl3のモル比を設定する以外は、比較例1及び2と同様の方法により、CNC製造用触媒を作製した。
比較例10〜14(CNCの製造)
実施例1で作製した触媒の代わりに、比較例5〜9で作製した触媒を用いる以外は、実施例8と同様の方法により、CNCを作製した。
さらに、実施例8と同様の方法により、比較例5〜9で作製した触媒の活性を評価した。
結果を図9に示す。
図9から、比較例5〜9の触媒中、比較例7の触媒が最も高い触媒活性を発揮することがわかる。しかし、比較例7の触媒は、Inの代わりにMgを含む実施例17の触媒に比べ、約80%の触媒活性しかない。すなわち、Inの代わりにMgを含有させることにより、触媒活性の向上が図れることがわかる。
比較例15(CNC製造用触媒の作製)
MgCl2をエタノールに溶解させることにより、濃度0.45Mのエタノール溶液を調製した以外は、実施例1と同様の方法によりCNC製造用触媒(金属膜)を形成させた。
比較例16(CNCの製造)
実施例1で作製した触媒の代わりに、比較例15で作製した触媒を用いる以外は、実施例8と同様の方法により、CNCの製造を試みた。
しかし、CNCは全く生成しなかった(生成量0g)。
実施例1〜7及び比較例1〜2(CNC製造用触媒の作製)
硝酸第二鉄、塩化第二錫及び下記表1又は表2に示す金属塩をモル比で1:0.1:0.1の割合でエタノールに溶解させることにより、濃度0.3Mのエタノール溶液を調製した。
得られたエタノール溶液を厚さ1mm、面積1cm2のアルミナ基板の片面に塗布することにより、塗布物を作製した。前記アルミナ基板については、予め、ミクロ天秤で秤量することにより、面積が1cm2であることを確認しておいた。また、前記エタノール溶液を塗布する方法としては、スピンコート法を採用した。
前記塗布物を800℃で1時間焼成した後、室温(25℃程度)まで冷却することにより、前記アルミナ基板上に平均厚み90μmのCNC製造用触媒(膜状物)を形成させた。実施例2で得られた触媒のSEM写真を図3に示す。図3の断面図からアルミナ基板上に形成された触媒(膜状物)の厚さを見積ることができる。
冷却後、前記触媒及びアルミナ基板からなる積層体をミクロ天秤で秤量することにより、触媒の生成量(触媒量(g))を求めた。
得られた触媒中の金属成分を表1又は表2に示す。
実施例8(CNCの製造)
図2に示すように、実施例1で得られた積層体を、該積層体を構成する基板と石英管とが接するように、石英管内部の中央部に固定した。
アセチレン供給源から供給されたアセチレンとヘリウム供給源から供給されたヘリウムとを混合して得られた混合ガスを、前記石英管(反応部)に連続的に流入させた。アセチレン供給源から供給される際のアセチレンの供給速度については25ml/minとした。また、ヘリウム供給源から供給される際のヘリウムの供給速度については580ml/minとした。未反応のアセチレン及びヘリウムについては、石英管外へ排出し排ガス処理装置を用いて処理した。
前記混合ガスを連続的に流入させながら、前記基板の温度が700℃になるよう前記積層体を加熱した。加熱には、電気ヒーターを用いた。前記基板の温度が700℃である状態を30分間保持した後、室温(25℃)まで冷却した。
以上の方法により、前記触媒上にCNCを形成させた。
得られたCNCをSEMを用いて撮影した写真を図4−1に示す。
また、触媒1g当たりのCNC生成量(g)を算出することにより、触媒の活性を評価した。具体的には、触媒上にCNCが形成された積層体をミクロ天秤で秤量することによりCNCの生成量(g)を求めた後、該CNCの生成量(g)を前記触媒量(g)で除することにより、触媒1g当たりのCNC生成量(g)を算出した。
結果を図5に示す。
実施例9〜14及び比較例3〜4(CNCの製造)
実施例1で作製した触媒を用いる代わりに、実施例2〜7及び比較例1〜2で作製した触媒を用いる以外は、実施例8と同様の方法により、CNCを製造し、触媒の活性を評価した。
実施例9(実施例2で作製した触媒を使用)及び実施例10(実施例3で作製した触媒を使用)で製造したCNCをSEMで撮影した写真を図4−1に示し、比較例3(比較例1で作製した触媒を使用)及び比較例4(比較例2で作製した触媒を使用)で製造したCNCをSEMで撮影した写真を図4−2に示す。
図4から、実施例1の触媒(Fe/Sn/K)、実施例2の触媒(Fe/Sn/Na)及び実施例3の触媒(Fe/Sn/Mg)を用いる場合、比較例1(Fe/Sn/In)の触媒及び比較例2の触媒(Fe/Sn)を用いる場合と同様に、良好な形態のCNCが得られることがわかる。
また、実施例2〜7及び比較例1〜2で作製された触媒の活性の評価結果を図5に示す。
図5から、実施例1の触媒(Fe/Sn/K)、実施例2の触媒(Fe/Sn/Na)及び実施例3の触媒(Fe/Sn/Mg)は、比較例1の触媒(Fe/Sn/In)に比べ、高い触媒活性を発揮することがわかる。すなわち、Inの代わりにMg、K又はNaを使用した場合、触媒活性が向上することがわかる。
また、図5から、実施例4の触媒(Fe/Sn/Sr)、実施例5の触媒(Fe/Sn/Ba)、実施例6の触媒(Fe/Sn/Cs)及び実施例7の触媒(Fe/Sn/Li)は、比較例2の触媒(Fe/Sn)に比べ、高い触媒活性を発揮することがわかる。すなわち、Fe及びSnだけでなく、さらにSr、Ba、Cs又はLiを含有させることにより、触媒活性が向上することがわかる。
実施例15〜18(CNC製造用触媒の作製)
得られる触媒中の各金属成分の原子比が、図6に示す比率となるように、使用する硝酸第二鉄、塩化第二錫及びMgCl2のモル比を設定する以外は、実施例3と同様の方法により、CNC製造用触媒を作製した。
実施例19〜22(CNCの製造)
実施例1で作製した触媒の代わりに、実施例15〜18で作製した触媒を用いる以外は、実施例8と同様の方法により、CNCを作製した。
さらに、実施例8と同様の方法により、実施例15〜18で作製した触媒の活性を評価した。
結果を図7に示す。
図7から、実施例17で作製した触媒が、最も高い触媒活性を示すことがわかる。
比較例5〜9(CNC製造用触媒の作製)
得られる触媒中の各金属成分の原子比が、図8に示す比率となるように、使用する硝酸第二鉄、塩化第二錫及びInCl3のモル比を設定する以外は、比較例1及び2と同様の方法により、CNC製造用触媒を作製した。
比較例10〜14(CNCの製造)
実施例1で作製した触媒の代わりに、比較例5〜9で作製した触媒を用いる以外は、実施例8と同様の方法により、CNCを作製した。
さらに、実施例8と同様の方法により、比較例5〜9で作製した触媒の活性を評価した。
結果を図9に示す。
図9から、比較例5〜9の触媒中、比較例7の触媒が最も高い触媒活性を発揮することがわかる。しかし、比較例7の触媒は、Inの代わりにMgを含む実施例17の触媒に比べ、約80%の触媒活性しかない。すなわち、Inの代わりにMgを含有させることにより、触媒活性の向上が図れることがわかる。
比較例15(CNC製造用触媒の作製)
MgCl2をエタノールに溶解させることにより、濃度0.45Mのエタノール溶液を調製した以外は、実施例1と同様の方法によりCNC製造用触媒(金属膜)を形成させた。
比較例16(CNCの製造)
実施例1で作製した触媒の代わりに、比較例15で作製した触媒を用いる以外は、実施例8と同様の方法により、CNCの製造を試みた。
しかし、CNCは全く生成しなかった(生成量0g)。
Claims (6)
- 炭素を含む熱分解性ガスを用いた化学気相成長法によりカーボンナノコイルを製造するための触媒であって、
(1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有するカーボンナノコイル製造用触媒。 - 炭素を含む熱分解性ガスが、アセチレンである請求項1に記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
- 前記触媒が、膜状物である請求項1又は2に記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
- 前記(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
- (1)Fe、(2)Sn、並びに(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有割合が、原子比で(1)Fe:(2)Sn:(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属=1:0.01〜0.50:0.01〜0.50である請求項1〜4のいずれかに記載のカーボンナノコイル製造用触媒。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の触媒存在下、炭素を含む熱分解性ガスを用いた化学気相成長法によりカーボンナノコイルを製造する方法。
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