JPWO2010001439A1 - 質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

試料上の指定された質量分析範囲内の各微小領域のMS分析が実行され、それにより得られたデータに基づいて、指定されたm/z又はm/z範囲の分布画像が作成されて表示画面上に描出される(S10〜S14)。オペレータがこれを見て関心物質を特定しそのm/zを指示すると(S15)、MSスペクトル上でそのm/zの強度が閾値以上である微小領域が抽出され、その微小領域に対して関心物質のm/zをプリカーサとしてMS/MS分析が実行される(S26、S27)。得られた各微小領域のMS/MSスペクトルデータから平均MS/MSスペクトルが算出され(S28)、平均MS/MSスペクトルに出現するピーク情報を利用して関心物質の同定が実行される(S19)。

Description

本発明は、試料上の二次元範囲に含まれる各微小領域についてそれぞれ質量分析を実行し、得られたデータを解析処理する質量分析装置に関し、さらに詳しくは、特定のイオンを開裂させ、それにより生成されたプロダクトイオンの質量分析を行うMS/MS分析が可能な質量分析装置に関する。
近年、ポストゲノム研究として生体組織中のタンパク質の構造や機能の解析が急速に進められている。このようなタンパク質の構造・機能解析手法(プロテオーム解析)の一つとして、近年、質量分析装置を用いたタンパク質の発現解析や一次構造解析が広く行われるようになってきている。そうした手法の1つとして、特定のイオンの選別と開裂操作とを伴うMS分析(n≧2)が可能な質量分析装置を用い、次のような手順でタンパク質のアミノ酸配列を決定する手法が知られている。
まず目的とするタンパク質を適当な酵素で消化しペプチド断片の混合物としてから、そのペプチド混合物を質量分析に供する。このとき、各ペプチドを構成する元素には質量の異なる安定同位体が存在するため、同一のアミノ酸配列から成るペプチドであっても、その同位体組成の相違によってm/zの異なる複数のピークを生じる。その複数のピークは、天然存在比が最大の同位体のみで構成されたイオン(主イオン)のピークと、それ以外の同位体を含むイオン(同位体イオン)のピークとから成り、これらは1価の場合には、1Daから数Da間隔で並んだ複数本のピークから成るピーク群、つまり同位体ピーク群を形成する。
続いて、上記のようなペプチド混合物のマススペクトルデータの中から、単一のペプチドに由来する一組の同位体ピーク群をプリカーサイオンとして選択し、このプリカーサイオンを開裂させることで生成されたイオン(プロダクトイオン)の質量分析、つまりMS/MS分析を行う。以上のようにして得られたプロダクトイオンのマススペクトルパターンや、プリカーサイオンのマススペクトルパターンをデータベース検索に供することにより、被検ペプチドのアミノ酸配列を決定しタンパク質を同定することができる(例えば特許文献1など参照)。
上述のようなタンパク質同定手法では基本的に、細胞などの生体組織からタンパク質を抽出し、精製・分離を経て試料を調製することを前提としている。しかしながら、生化学分野や医療分野などにおいては、生体内細胞をできるだけ壊すことなくその細胞に含まれるタンパク質の二次元的な分布情報を得たいという要求が非常に強い。こうした要求に応えるものとして、顕微鏡と質量分析装置との機能を兼ね備えた顕微質量分析装置(イメージング質量分析装置とも呼ばれる)の開発が鋭意進められている。顕微質量分析装置では、例えばプレパラートなどにセットされた試料上の二次元範囲の物質の分布情報(マッピング画像)を得ることが可能である。顕微質量分析装置において試料上の二次元範囲内の各微小領域に対するマススペクトルデータを取得するために、いくつかの構成が提案されている。
例えば、特許文献2、特許文献3、非特許文献1などに記載の質量分析装置では、イオン化のためのレーザ光や粒子線の照射位置を試料上で順次走査し、その照射位置が移動する毎に照射位置から発生したイオンをm/z毎に分離して検出する。また、非特許文献2に記載の質量分析装置では、試料上の物質の二次元分布を反映するようにイオンを二次元状にほぼ一斉に発生させ、これを飛行時間型質量分離器でm/z毎に分離して二次元検出器で検出する。
上記いずれの構成でも、試料上の二次元範囲内に存在する物質のマッピング画像を得るには、その二次元範囲内の各微小領域毎に得られるマススペクトルデータを解析処理し、それぞれの微小領域に存在する物質(典型的にはタンパク質)を特定する必要がある。また、MS/MS分析が可能である質量分析装置では、まずイオンを開裂させずに質量分析した結果として得られるマススペクトルデータを解析処理することによりプリカーサとして選択すべきイオンを特定し、次に各微小領域毎に適当なプリカーサを設定した上でMS/MS分析を行うことで取得したMS/MSスペクトルデータを解析処理することにより該微小領域に存在する物質を同定する。
上述のように複数の微小領域毎に得られたマススペクトルデータ又はMS/MSスペクトルデータに基づく結果の表示形態として、次の2つの例が知られている(例えば非特許文献3参照)。
(A)試料上の或る測定点(厳密には点とみなせる程度に面積の小さな微小領域)のマススペクトル又は複数点のマススペクトルの平均をとった平均マススペクトルを表示画面上に表示させ、これをオペレータが確認して着目するm/z範囲を指定する。すると、試料上の二次元範囲内の各測定点において、指定されたm/z範囲のスペクトル強度値に対応する色付けがなされたマッピング画像が表示画面上に描出される。
(B)試料表面の光学画像又は特定のm/z(又はm/z範囲)の二次元的分布を示すマッピング画像上で、オペレータは着目する部分を任意形状のROI(Region of Interest:関心領域)設定枠により指定する。すると、そのROI設定枠で囲まれる範囲に含まれる複数の測定点のマススペクトルの平均が計算され、それにより作成された平均マススペクトルが表示画面上に描出される。
上記(A)の技術によれば、試料上で空間的に局在する物質のm/zを知ることができる。そのため、例えば、鼻、顎などの部位には存在せず、脳に、或いは脳の特定部位に局在する物質のm/zを知ることができる。一方、(B)の技術によれば、試料の中で異なる空間的領域のマススペクトルを容易に比較することができる。したがって、例えば脳、鼻、顎などの各部位のマススペクトルを比較するのに便利である。
しかしながら、上記(A)、(B)の技術では、物質の分布は明らかになるが、局在が認められる物質の同定は行われない。そのため、或る物質が着目すべき物質(以下「関心物質」という)であるということはオペレータが認識できるが、その関心物質が具体的に何であるのかは分からない。関心物質を同定するためには、例えば、次のような手順で作業を進める必要がある。まず、(A)の技術により明らかになった関心物質の存在する部位を、(B)の技術により、光学画像又はマッピング画像上でオペレータがROI設定枠により指定し、関心物質のm/zをプリカーサとするMS/MS分析を実行させる。そして、その測定により得られた各測定点のMS/MSスペクトルの平均を計算して平均MS/MSスペクトルを求める。このMS/MSスペクトルに現れるピークの情報を、例えば既知のデータベース検索に供することで目的物質を同定する。
上記のような作業はオペレータにとって面倒で煩雑であり、作業効率が悪く時間も掛かる。また、光学画像やマッピング画像上でROI設定枠により指定できる範囲をあまり絞ることはできないため、平均MS/MSスペクトルを計算するためのMS/MSスペクトルには関心物質以外の不所望の物質由来のピーク、つまりノイズが多く含まれてしまい、S/Nが悪いために同定精度を高めることが難しいという問題もある。
特開2006−284509号公報 米国特許第5808300号明細書 特開2007−66533号公報 小河潔、ほか5名、「顕微質量分析装置の開発」、島津評論 、株式会社島津製作所、2006年3月31日発行、第62巻、第3・4号、p.125−135 内藤康秀、「生体試料を対象にした質量顕微鏡」、日本質量分析学会誌、Vol.53、No.3、2005年 「エムエスイメージング バイオマップ(msimaging BioMap)」、[online]、エムエス・イメージング(MS imaging)、[平成20年7月3日検索]、インターネット<URL : http://www.maldi-msi.org/index.php?option=com_content&task=view&id=14&Itemid=32>
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、簡単な作業で且つ効率よく、試料上に局在している関心物質の同定を行うことができる質量分析装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、同定のために使用するMS/MSスペクトルのS/Nを改善することで、同定精度を向上させることができる質量分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された第1発明は、試料上の二次元範囲内に設定された複数の微小領域についてそれぞれMS分析及びMS/MS分析を実行可能な質量分析装置であって、
a)試料上の所定の二次元範囲内の各微小領域に対しMS分析を実行してMSスペクトルデータを収集するMS分析実行手段と、
b)前記MSスペクトルデータを参照してオペレータが1乃至複数の関心物質又はそのm/zを指定するための関心物質指定手段と、
c)指定された1乃至複数の関心物質のm/zをプリカーサとしたMS/MS分析を、前記所定の二次元範囲内の各微小領域に対して実行しMS/MSスペクトルデータを収集するMS/MS分析実行手段と、
d)前記MSスペクトルデータに基づいて、前記1乃至複数の関心物質が存在する微小領域を関心物質毎に抽出する領域抽出手段と、
e)前記MS/MSスペクトルデータの中から前記領域抽出手段により抽出された微小領域のMS/MSスペクトルデータを選別し、それらを用いて前記関心物質毎に平均MS/MSスペクトルを算出する平均スペクトル算出手段と、
f)前記関心物質の平均MS/MSスペクトルを用いて該関心物質を同定する同定手段と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第2発明は、試料上の二次元範囲内に設定された複数の微小領域についてそれぞれMS分析及びMS/MS分析を実行可能な質量分析装置であって、
a)試料上の所定の二次元範囲内の各微小領域に対しMS分析を実行してMSスペクトルデータを収集するMS分析実行手段と、
b)前記MSスペクトルデータを参照してオペレータが1乃至複数の関心物質又はそのm/zを指定するための関心物質指定手段と、
c)前記MSスペクトルデータに基づいて、前記1乃至複数の関心物質が存在する微小領域を関心物質毎に抽出する領域抽出手段と、
d)前記1乃至複数の関心物質のm/zをプリカーサとしたMS/MS分析を、前記領域抽出手段により抽出された微小領域に対してそれぞれ実行してMS/MSスペクトルデータを収集するMS/MS分析実行手段と、
e)前記MS/MSスペクトルデータを用いて前記関心物質毎に平均MS/MSスペクトルを算出する平均スペクトル算出手段と、
f)前記関心物質の平均MS/MSスペクトルを用いて該関心物質を同定する同定手段と、
を備えることを特徴としている。
第1発明及び第2発明に係る質量分析装置は、一般に、イメージング質量分析装置、顕微質量分析装置、或いは質量分析顕微装置などと呼称される種類の質量分析装置である。試料をイオン化するイオン源はMALDIを代表とするLDIが利用されることが多いが、これに限るものではない。また、MS/MS分析を行うために、CIDによるイオンの開裂を行うイオントラップを備えるのが一般的であるが、イオンの開裂の手法はこれに限るものではない。また、質量分析部は高い質量分解能を達成できることからTOFMSが利用されることが多いが、これに限定されるものでもない。
第1発明及び第2発明に係る質量分析装置において、同定手段は、例えば既知のデータベース検索エンジンを利用して、平均MS/MSスペクトルから得られるピーク情報をデータベースと照合し、ヒットする物質を同定候補として挙げるものとすることができる。検索エンジンやデータベースは、対象とする物質に応じて適宜選択される。
第1発明及び第2発明に係る質量分析装置の一態様として、前記MSスペクトルデータに基づいて任意のm/z又はm/z範囲の空間的分布を示すm/z分布画像を描出する分布画像描出手段をさらに備え、オペレータが前記関心物質指定手段により1乃至複数の関心物質又はそのm/zを指定する際にm/z分布画像を利用できるようにすることができる。オペレータ(ユーザ)は、例えば上記m/z分布画像を確認しながら、試料上で特異な空間分布を有する関心物質又はそのm/zを関心物質指定手段により指定する。すると、領域抽出手段は先に収集されたMSスペクトルデータに基づいて、その関心物質が存在する微小領域を抽出する。
好ましくは、上記領域抽出手段は、或る微小領域のMSスペクトルにおいて前記関心物質のm/zのスペクトル強度が所定の閾値以上であるときに、その微小領域にその関心物質が存在すると判断する構成とするとよい。この構成によれば、関心物質が或る程度以上の量存在すると推定される微小領域を抽出することができる。スペクトル強度の判定基準である上記閾値は一義的に定めておいてもよいが、ユーザが適宜入力設定できるようにするとさらに好ましい。何故なら、領域抽出手段により抽出される微小領域の数は閾値のレベルによって異なり、それによって、算出される平均MS/MSスペクトルのS/Nが影響を受け、関心物質の同定精度も変化するからである。
第1発明に係る質量分析装置では、平均スペクトル算出手段は、上述のように抽出された微小領域に対し既に収集されているMS/MSスペクトルデータを用いて平均MS/MSスペクトルを算出する。一方、第2発明に係る質量分析装置では、MS/MS分析実行手段が上述のように抽出された微小領域に対しMS/MS分析を実行し、平均スペクトル算出手段は、それによって収集された全てのMS/MSスペクトルデータを用いて平均MS/MSスペクトルを算出する。したがって、第1発明に係る質量分析装置では、平均MS/MSスペクトルに反映されない微小領域のMS/MS分析も実行されるのに対し、第2発明に係る質量分析装置では、平均MS/MSスペクトルに反映される微小領域しかMS/MS分析は実行されない。
いずれにしても、第1発明及び第2発明に係る質量分析装置によれば、平均MS/MSスペクトルを算出するための複数の微小領域が自動的に又は簡単な操作のみよって設定されるので、関心物質同定のためのオペレータによる作業は非常に簡単になり、作業効率も上がり、処理に要する時間を短縮することができる。また、関心物質が存在する微小領域のMS/MSスペクトルデータのみを利用して平均MS/MSスペクトルが算出されるため、平均MS/MSスペクトルにおいて関心物質由来のイオンの強度が高くなり、不所望のノイズの強度は低くなる。つまり、平均MS/MSスペクトルのS/Nが向上する。それによって、関心物質の同定の精度と信頼性を向上させることができる。
また第2発明に係る質量分析装置によれば、関心物質の平均MS/MSスペクトルに反映されない微小領域についてはMS/MS分析が実施されないので、MS/MS分析の実施回数自体を減らすことができ、分析開始から同定終了までの所要時間を短縮するのに有利である。
本発明の一実施例によるイメージング質量分析装置の要部の構成図。 本実施例のイメージング質量分析装置における分析動作の手順を示すフローチャート。 図2に示した分析動作における表示画像の一部を示す概略図。 図2に示した分析動作における表示画像の一部を示す概略図。 図2に示した分析動作における表示画像の一部を示す概略図。 実測により得られたMS/MSスペクトルの一例であり、(a)はスペクトル強度が大きなイオンをプリカーサに設定したときのMS/MSスペクトル、(b)はスペクトル強度が小さなイオンをプリカーサに設定したときのMS/MSスペクトル。 別の実施例のイメージング質量分析装置における分析動作の手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…気密室
2…試料ステージ
3…試料
3a…レーザ光照射位置
4…レーザ照射部
5…レーザ光
6…レンズ
7…イオン輸送管
10…真空チャンバ
11…イオンレンズ
12…イオントラップ
13…TOFMS
14…リフレクトロン電極
15…検出器
20…A/D変換器
21…データ処理部
22…データ記憶部
23…制御部
24…ステージ駆動部
25…操作部
26…表示部
30…ガイド
31…CCDカメラ
32…レンズ
33…透過照明部
50…光学画像
51…質量分析範囲
52…微小領域
53…MSスペクトル
54a、54b…m/z分布画像
以下、本発明に係る質量分析装置の一実施例であるイメージング質量分析装置の構成と動作を、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施例によるイメージング質量分析装置の要部の構成図である。このイメージング質量分析装置では、略大気圧雰囲気に維持される気密室1内に、試料を大気圧MALDIイオン化法(AP−MALDI)によりイオン化するイオン化部、及び試料の顕微観察を行う顕微観察部、が配置されている。即ち、試料3は試料ステージ2上に載置され、試料ステージ2はステージ駆動部24により少なくともx軸、y軸の二軸方向に移動自在である。試料ステージ2が図1中に実線で示す位置にあるとき、レーザ照射部4から出射され、レンズ6により収束されたレーザ光5は試料3の上面に当たる。このレーザ光5の照射により、試料3上でレーザ光照射位置3a付近から試料由来のイオンが発生する。
気密室1内で試料3から発生したイオンは、イオン輸送管7を通して真空チャンバ10内に輸送される。真空チャンバ10は図示しない真空ポンプにより真空排気された状態にある。真空チャンバ10内において、イオンはイオンレンズ11により収束されてその後段のイオントラップ12に送り込まれる。イオントラップ12はリング電極と一対のエンドキャップ電極とから成る3次元四重極型の構成である。イオントラップ12の内部には四重極電場が形成され、これによってイオンを一時的に蓄積・保持し、所定のタイミングでほぼ一斉にそれらイオンを吐き出して飛行時間型質量分析器(TOFMS)13に送り込む。TOFMS13はリフレクトロン電極14を備え、リフレクトロン電極14により形成される直流電場によりイオンを折返し飛行させる。ほぼ一斉にTOFMS13に導入された各種イオンはm/zに応じて時間的に分離されて検出器15に到達する。検出器15は到達したイオンの量に応じた検出信号を出力する。
イオントラップ12は、各種イオンを一旦内部に保持した後に、特定のm/zを有するイオンをプリカーサイオンとして選別し、そのプリカーサイオンをCID(衝突誘起解離)により開裂させることができる。そして、開裂によって生成されたプロダクトイオンをイオントラップ12の内部に保持した後にTOFMS13に向けて一斉に出射させ、これを質量分析することによりMS/MS分析を実施することができる。なお、イオントラップ12内でイオンの選別と開裂とを複数回繰り返すことにより、MS分析を行うこともできる。
気密室1内で試料ステージ2は、x軸方向に延伸するガイド30に沿って図1中に点線で示す位置(観察位置)2Bに移動可能である。観察位置2Bの上方で気密室1の外側にはCCDカメラ31が配置され、観察位置2Bの下方には透過照明部33が設置されている。試料ステージ2が観察位置2Bに来るように移動された状態では、透過照明部33から出射した光が試料ステージ2に形成されている開口を通して試料3の下面に当たり、その透過光による試料像をレンズ32を通してCCDカメラ31で撮影可能である。CCDカメラ31で撮影された顕微画像は後述する制御部23を介して表示部26の画面上に表示可能である。もちろん、このような透過観察のほかに反射観察や蛍光観察のための照明系を別途設けてもよい。また、CCDカメラ31で撮像する代わりに、光学顕微鏡を設け、オペレータが直接的に顕微観察画像を観察できるようにしてもよい。
MS分析、MS/MS分析等により検出器15で得られた検出信号は、A/D変換器20によりデジタル値に変換されてデータ処理部21に入力される。データ処理部21は、イオンがイオントラップ12から出射された時点を起点とした飛行時間と信号強度との関係を示す飛行時間スペクトルをMSスペクトルやMS/MSスペクトルに変換し、これをデータ記憶部22に格納する。さらにデータ処理部21は、データ記憶部22に格納されたスペクトルデータを用いた後述するデータ処理を実行し、最終的には、試料上に存在する物質を同定し、その同定結果を制御部23を通して表示部26の画面上に表示する。
制御部23は試料3に対する質量分析動作を実行するためにステージ駆動部24を始めとする各部を制御する(図1では煩雑になるためにそうした制御信号線の記載は省略している)とともに、顕微観察画像や分析結果などを表示部26に表示する。また、操作部25はキーボードやポインティングデバイスなどであり、分析のための各種のパラメータの入力設定や各種の指示に利用される。
制御部23やデータ処理部21は例えば汎用のパーソナルコンピュータをハードウエアとして、該コンピュータにインストールされた専用の制御/処理ソフトウエアを実行することにより、各種の制御やデータ処理の機能を達成する構成とすることができる。
次に、本実施例のイメージング質量分析装置における特徴的な分析動作を、図2〜図5を参照しつつ説明する。図2はこの分析動作の手順を示すフローチャート、図3〜図5は分析動作の中で表示部26に表示される画像の一部を示す概略図である。
分析対象である生体由来の試料3が試料ステージ2上に載置され、オペレータが操作部25から分析の開始を指示すると、制御部23による制御の下に、まずCCDカメラ31による試料3の光学的撮影が行われ、表示部26の画面上には試料3の表面を拡大した光学画像が表示される(ステップS10)。オペレータはこの光学画像を見て操作部25を操作することにより、興味のある部位を質量分析範囲として指定する(ステップS11)。ここでは、図3に示すように、試料の光学画像50が表示され、その光学画像50上でオペレータが矩形状の質量分析範囲51を指定したものとする。なお、指定可能な質量分析範囲は矩形状である必要はなく、任意の形状とすることができる。
上記のように質量分析範囲51が指定されると、制御部23は指定された質量分析範囲51内の各微小領域毎にそれぞれMS分析を実行する(ステップS12)。即ち、図4に示したように、指定された二次元状の質量分析範囲51内をx軸、y軸の二軸方向に格子状に細かく区画した、Δx×Δyの大きさの微小領域52を考え、各微小領域52毎にm/zと信号強度との関係を表すMSスペクトルデータを取得する。ステージ駆動部24により試料ステージ2がx軸、y軸方向に所定距離ステップ(Δx、Δy)移動される毎に、試料3に向けてレーザ光5が照射され、それに伴って試料3上のレーザ照射位置(実際には図4に示したように略円形の範囲)から発生したイオンが質量分析に供される。
但し、1回のレーザ光照射だけで十分な量のイオン発生が期待できない場合には、同一の微小領域52に対して短時間のレーザ光照射を複数回繰り返し、各レーザ光照射毎に発生したイオンを前述の如くイオントラップ12に蓄積した上でTOFMS13により質量分析するようにするとよい。このようにして、図4に示したような細かく区画した多数の微小領域52のそれぞれについて、各微小領域52に存在する物質を反映したMSスペクトルデータが得られ、これがデータ記憶部22に格納される。
次にオペレータは、先に指定した質量分析範囲51内の任意の位置を操作部25で指定する。すると、データ処理部21はデータ記憶部22から、指定された位置(微小領域)に対応するMSスペクトルデータを読み出し、表示部26の画面上にMSスペクトルを表示する。そのMSスペクトルを見てオペレータは、適宜のm/z又はm/z範囲を指定する(ステップS13)。この指定を受けたデータ処理部21は、各微小領域に対応するMSスペクトルデータから、指定されたm/z又はm/z範囲に対応するスペクトル強度を抽出し、その強度を色分けで示すm/z分布(マッピング)画像を作成して表示部26の画面上に表示する(ステップS14)。例えば図5に示すように、表示されたMSスペクトル53上でオペレータが特定のピークを指示すると、そのピークに対応したm/zのm/z分布画像54a、54bが描出される。このようにMSスペクトル上で異なるm/z又はm/z範囲をオペレータが指定することで、それぞれのm/z又はm/z範囲の分布画像を描出することができる。
オペレータはこのm/z分布画像を目視で確認し、関心物質のm/zを特定して操作部25により指示する(ステップS15)。即ち、図5に示したようなm/z分布画像を確認し、オペレータが着目している試料上の部位に局所的に存在している物質を関心物質とし、そのm/zを指示する。例えば、m/z分布画像54bで示される物質が関心物質であると判断すれば、m/z=M2を指示する。このとき指示する関心物質は1つである必要はなく、複数であってもよい。
オペレータにより関心物質のm/zが指定されると、制御部23は、ステップS12でMS分析を実行した質量分析範囲51内の各微小領域52について、それぞれ、指定されたm/zをプリカーサイオンに設定したMS/MS分析を実行するように各部を動作させる。これに伴い、データ処理部21は各微小領域52毎にMS/MSスペクトルデータを収集してデータ記憶部22に保存する(ステップS16)。複数の関心物質のm/zが指定されている場合には、各m/zをプリカーサイオンに設定したMS/MS分析をそれぞれ実行する必要があり、その分だけMS/MS分析に要する時間は長くなる。
次にデータ処理部21は、ステップS12で収集した各微小領域毎のMSスペクトルデータから、関心物質のm/zに対するスペクトル強度が閾値以上であるような微小領域を抽出する(ステップS17)。判断基準である閾値は、オペレータが操作部25から入力設定できるようにしてもよいし、或いは予め決められたデフォルト値を用いるようにしてもよい。ここで抽出された微小領域については全てMS/MSスペクトルデータが収集されている筈であるから、データ処理部21は抽出された微小領域のMS/MSスペクトルデータをデータ記憶部22から読み出し、各m/z毎にスペクトル強度値を平均した平均MS/MSスペクトルを算出する(ステップS18)。これが関心物質に対する平均MS/MSスペクトルである。関心物質が複数ある場合には、各関心物質についてステップS17、S18の処理を実行する。したがって、関心物質の数と同数の平均MS/MSスペクトルが作成される。
その後、平均MS/MSスペクトルに現れているピークの情報(m/z、スペクトル強度など)を収集し、そのピーク情報を既存のデータベースと照合することによりヒットする物質を見つけ、関心物質を同定する(ステップS19)。一例として、関心物質がタンパク質である場合には、マトリックスサイエンス社が提供するマスコット(MASCOT)と呼ばれるデータベース検索エンジンを用いることでアミノ酸配列を推定し、タンパク質を同定することができる。また、関心物質が脂質である場合には、東京大学が開発したリピッドサーチ(Lipid Search)と呼ばれる検索ツールを利用することができる。例えば前者の場合、マスコットのMS/MSイオンサーチを利用すると、アミノ酸配列同定用データベースからヒットするタンパク質・ペプチドがそのヒットの信頼度を示すスコアとともに出力される。そこで、所定以上のスコアが得られたタンパク質・ペプチドをスコアの高い順に並べ、それを同定結果として表示部26に表示する(ステップS20)。
以上のように本実施例のイメージング質量分析装置によれば、試料上の任意の二次元範囲に存在する各種物質の中で着目する関心物質の分布を確認し、その関心物質の同定まで連続的に且つ自動的に行うことができる。それによって、例えば生体組織の中の特定部位に局在する物質の同定などを高いスループットで実施することができる。
上記ステップS17、S18の処理の効果を確認するために行った実測により得られたMS/MSスペクトルを図6に示す。図6(a)はMSスペクトルにおいてスペクトル強度が大きなイオンをプリカーサに設定してMS/MS分析を実行して得られたMS/MSスペクトルの例、図6(b)はMSスペクトルにおいてスペクトル強度が小さなイオンをプリカーサに設定してMS/MS分析を実行して得られたMS/MSスペクトルの例である。いずれも、関心物質由来のプロダクトイオンピークを太線で示してある。(a)と(b)とを比較すれば明らかなように、(a)では関心物質由来のプロダクトイオンピークの強度が相対的に高いのに対し、(b)では関心物質由来のプロダクトイオンピークの強度が低く、これよりも高い強度のピークが散見される。このような傾向の多数のMS/MSスペクトルを平均化して平均MS/MSスペクトルを求めてしまうと、結果的に関心物質由来のプロダクトイオンピーク(例えば図中のP1)の強度は低くなり、関心物質とは関連がない、つまりノイズであるイオンピーク(例えば図中のP2)の強度が上がる。それにより、平均MS/MSスペクトルのS/Nは悪くなる。
これに対し、上記ステップS17、S18の処理によれば、関心物質の存在しない又は存在量が少ない微小領域のMS/MSスペクトルは平均MS/MSスペクトルの算出に利用されない。つまり図6(a)のようなMS/MSスペクトルは平均MS/MSスペクトルの算出に利用されるが、図6(b)のようなMS/MSスペクトルは平均MS/MSスペクトルの算出に利用されない。そのため、平均MS/MSスペクトルにおいて関心物質由来のイオンピークの強度が高くなり、ノイズであるイオンピークの強度は低くなる。それにより、平均MS/MSスペクトルのS/Nは良好になり、これに基づく関心物質の同定精度も高まる。
なお、上記実施例のデータ処理では、ステップS17で抽出した微小領域のMS/MSスペクトルデータのみを用い、ステップS18で平均MS/MSスペクトルを算出しているので、収集されたものの使用されないMS/MSスペクトルデータが少なからず存在する。つまり、実際には無駄なMS/MS分析が実行されていることになり、まだ処理時間を短縮できる余地がある。この点を改良したのが、図7に示すフローチャートである。図2に示したフローチャートの中でステップS16〜S18がS26〜S28に入れ替えられている以外は、全く同じ処理動作である。
具体的には、MS/MS分析を実行する前に、ステップS17に相当するステップS26の処理を実行することで、関心物質が或る程度以上存在している微小領域を絞る。そして、質量分析範囲51内全体ではなく、上記のように関心物質が存在するとして選択した微小領域に対してのみ、その関心物質のm/zをプリカーサとしたMS/MS分析を実行し、MS/MSスペクトルデータを収集する(ステップS27)。もともと関心物質が或る程度以上存在している微小領域をMS/MS分析しているから、図6(a)に示したように、関心物質由来のプロダクトイオンピークのスペクトル強度が高く現れるMS/MSスペクトルが得られ易い。そして、得られた全てのMS/MSスペクトルを平均化処理して平均スペクトルを算出する(ステップS28)。
これにより、一般にMS/MS分析の実行回数は上記実施例の処理に比べて大幅に少なくて済むので、処理時間を短縮するのに有効である。また、平均MS/MSスペクトルには、図6(b)に示したようなノイズ成分が相対的に大きなMS/MSスペクトルは反映されなくなるので、平均MS/MSスペクトルにおいて関心物質由来のプロダクトイオンに関するS/Nが良好になる。その結果、ステップS19における関心物質の同定の精度が向上する。
また、上記実施例では、ステップS13〜S15の処理で関心物質を特定する際に、特定のm/z又はm/z範囲の分布画像を1つずつ描出し、それに基づいてオペレータが関心物質であるか否かを判断できるようにしていたが、MSスペクトルデータに対し主成分分析などの多変量解析の手法を適用してその解析結果を表示し、それを利用して複数の関心物質を同時に特定できるようにしてもよい。
具体例を簡単に説明する。例えば、各微小領域毎に得られたMSスペクトルデータを多変量の入力値として多変量解析の一手法である主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)により分析する。主成分分析は、多数の変数を少数の指標値でもって表わすようにするもので、詳しくは、例えば、宮下芳勝、佐々木慎一著「ケモメトリックス」、共立出版(1995年)などの文献にその方法が記載されている。また、主成分分析の演算処理をパーソナルコンピュータやワークステーション上で行うためのソフトウエアは種々のものが入手可能である。
主成分分析では、複数の微小領域の関係を示すスコアと、変数つまりMSピークの相関関係を示すローディングとを求めることができ、主成分を軸とするグラフ上にローディング値をプロットしたローディングプロットにより、質量分析範囲に含まれる微小領域に特的に分布するマスピークを抽出することができる。それに基づき、複数の関心物質を同時に特定することが可能となり、解析時間の短縮、解析の信頼性の向上が図れる。例えば、酵素により消化した試料の癌細胞にのみ局在する複数個の物質(ペプチド)を特定し、各ペプチドの平均MS/MSスペクトルを算出し、それら複数の平均MS/MSスペクトルから共通に同定されるタンパク質を見つけることで、タンパク質の同定精度の向上が期待できる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更、修正、追加を行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
いずれにしても、第1発明及び第2発明に係る質量分析装置によれば、平均MS/MSスペクトルを算出するための複数の微小領域が自動的に又は簡単な操作のみよって設定されるので、関心物質同定のためのオペレータによる作業は非常に簡単になり、作業効率も上がり、処理に要する時間を短縮することができる。また、関心物質が存在する微小領域のMS/MSスペクトルデータのみを利用して平均MS/MSスペクトルが算出されるため、平均MS/MSスペクトルにおいて関心物質由来のイオンの強度が高くなり、不所望のノイズの強度は低くなる。つまり、平均MS/MSスペクトルのS/Nが向上する。それによって、関心物質の同定の精度と信頼性を向上させることができる。
主成分分析では、複数の微小領域の関係を示すスコアと、変数つまりMSピークの相関関係を示すローディングとを求めることができ、主成分を軸とするグラフ上にローディング値をプロットしたローディングプロットにより、質量分析範囲に含まれる微小領域に特的に分布するマスピークを抽出することができる。それに基づき、複数の関心物質を同時に特定することが可能となり、解析時間の短縮、解析の信頼性の向上が図れる。例えば、酵素により消化した試料の癌細胞にのみ局在する複数個の物質(ペプチド)を特定し、各ペプチドの平均MS/MSスペクトルを算出し、それら複数の平均MS/MSスペクトルから共通に同定されるタンパク質を見つけることで、タンパク質の同定精度の向上が期待できる。

Claims (4)

  1. 試料上の二次元範囲内に設定された複数の微小領域についてそれぞれMS分析及びMS/MS分析を実行可能な質量分析装置であって、
    a)試料上の所定の二次元範囲内の各微小領域に対しMS分析を実行してMSスペクトルデータを収集するMS分析実行手段と、
    b)前記MSスペクトルデータを参照してオペレータが1乃至複数の関心物質又はそのm/zを指定するための関心物質指定手段と、
    c)指定された1乃至複数の関心物質のm/zをプリカーサとしたMS/MS分析を、前記所定の二次元範囲内の各微小領域に対して実行しMS/MSスペクトルデータを収集するMS/MS分析実行手段と、
    d)前記MSスペクトルデータに基づいて、前記1乃至複数の関心物質が存在する微小領域を関心物質毎に抽出する領域抽出手段と、
    e)前記MS/MSスペクトルデータの中から前記領域抽出手段により抽出された微小領域のMS/MSスペクトルデータを選別し、それらを用いて前記関心物質毎に平均MS/MSスペクトルを算出する平均スペクトル算出手段と、
    f)前記関心物質の平均MS/MSスペクトルを用いて該関心物質を同定する同定手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  2. 試料上の二次元範囲内に設定された複数の微小領域についてそれぞれMS分析及びMS/MS分析を実行可能な質量分析装置であって、
    a)試料上の所定の二次元範囲内の各微小領域に対しMS分析を実行してMSスペクトルデータを収集するMS分析実行手段と、
    b)前記MSスペクトルデータを参照してオペレータが1乃至複数の関心物質又はそのm/zを指定するための関心物質指定手段と、
    c)前記MSスペクトルデータに基づいて、前記1乃至複数の関心物質が存在する微小領域を関心物質毎に抽出する領域抽出手段と、
    d)前記1乃至複数の関心物質のm/zをプリカーサとしたMS/MS分析を、前記領域抽出手段により抽出された微小領域に対してそれぞれ実行しMS/MSスペクトルデータを収集するMS/MS分析実行手段と、
    e)前記MS/MSスペクトルデータを用いて前記関心物質毎に平均MS/MSスペクトルを算出する平均スペクトル算出手段と、
    f)前記関心物質の平均MS/MSスペクトルを用いて該関心物質を同定する同定手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の質量分析装置であって、
    前記領域抽出手段は、或る微小領域のMSスペクトルにおいて前記関心物質のm/zのスペクトル強度が所定の閾値以上であるときに、その微小領域にその関心物質が存在すると判断することを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項1又は2に記載の質量分析装置であって、
    前記MSスペクトルデータに基づいて任意のm/z又はm/z範囲の空間的分布を示すm/z分布画像を描出する分布画像描出手段をさらに備え、オペレータが前記関心物質指定手段により1乃至複数の関心物質又はそのm/zを指定する際にm/z分布画像を利用できるようにしたことを特徴とする質量分析装置。
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