JP2019074371A - 質量分析装置を用いた特定物質監視システム - Google Patents

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Abstract

【課題】環境水、水道水等に含まれる有害物質の監視を行うシステムにおいて、作業者の負担を軽減しつつ検出漏れや検出遅れを防止する。【解決手段】試料取込部2は試料流路1から定期的に試料を採取し、測定部3は採取された試料に対するLC/MS分析を実施する。スペクトル一致判定部42は定常時スペクトルDB44に蓄積されている定常状態のマススペクトルを参照した画像認識により、実測マススペクトルが定常状態のマススペクトルか否かを判定する。定常状態でなかれば異常ピーク特定部45が定常状態では検出されない筈のピークを特定し、MSn分析実行指示部46の指示によって特定されたピークをターゲットとするMSn分析が測定部3で実施される。同定処理部47は得られたMSnスペクトルに基づくライブラリ検索により物質同定を行い、同定されると警告指示部49が警告報知を行う。これにより、高い精度で且つ自動的に有害物質を監視することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、河川水や工場排水、水道水、或いは大気など、各種の試料に含まれる監視対象である特定の物質を質量分析装置を利用して監視する監視システムに関し、特に、有害物質が試料に含まれるか否かを定期的に又は常時監視するのに好適な特定物質監視システムに関する。
我が国においては、工場等からの排水中に含まれる、人の健康を害するおそれのある有害物質の濃度は水質汚濁防止法により規制されている。また、水道水に含まれる化学物質の濃度は水道法に基づく水質基準等により規制されている。こうした様々な規制に適合しているか否かを確認するために、工場排水、河川水等の環境水、或いは水道水に含まれる有害物質を定期的に検査することが求められている。
現状では、工場排水や河川水等の環境水についての水質検査は一般に、担当者が定期的に現地(調査地)に出向いて水をサンプリングして研究施設等に持ち帰り、研究施設等においてその試料について分析のための前処理を行ったあとに分析装置で分析することで行われている。分析装置としては、液体クロマトグラフ(LC)、ガスクロマトグラフ(GC)、或いはLCやGCの検出器として質量分析計を用いたLC−MS、GC−MSなどが広く利用されている(特許文献1等参照)。LC−MSやGC−MSが利用される場合、通常、質量分析により取得されるマススペクトルを用いて試料に含まれる物質の確認が行われる。
しかしながら、上述したような従来の手法では検査の頻度を上げることが難しく、突発的に発生する有害物質の混入に対応することが困難である。そのため、有害物質の検出漏れが生じたり、検出遅れが生じて対策が後手に回ったりするおそれがあった。
また、一般に河川水等の環境水には有害物質以外に多数の多様な化合物が混入しており、LCやGCを用いてもそうした多種の化合物を完全に分離することは難しいため、マススペクトルには複数の化合物由来のイオンピークが観測される。そのため、作業者はマススペクトルにおいて観測される多数のピークの中から有害物質由来のピークを見つける作業を行わなければならず、作業が非常に煩雑であるのみならず、有害物質を見逃してしまうおそれもあった。
特開2014−44175号公報 国際特許公開第2014/155530号
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的とするところは、作業者に負担を掛けることなく、監視対象である有害物質の検出漏れや検出遅れを防止することができる特定物質監視システムを提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、MSn分析(nは2以上の整数)が可能である質量分析装置を利用して、試料に含まれる可能性がある一又は複数の特定物質を監視する特定物質監視システムであって、
a)測定対象である試料を所定のタイミングで以て繰り返し採取する試料採取部と、
b)前記試料採取部によって採取された試料について前記質量分析装置により質量分析を実施してマススペクトルを取得する質量分析実行制御部と、
c)前記特定物質を含まない試料である複数の定常状態の試料についてそれぞれ質量分析を行うことで得られたマススペクトルに基づいて作成されたデータベースを利用して、前記質量分析実行制御部の制御の下で得られたマススペクトルが定常状態であるか否かを判定するマススペクトル判定部と、
d)前記マススペクトル判定部により定常状態でないと判定されたマススペクトルについてその判定の要因となったピークを特定する異常ピーク特定部と、
e)前記異常ピーク特定部により特定されたピークに対応するイオンをターゲットとする前記試料採取部によって採取された試料についてのMSn分析を前記質量分析装置により実施してMSnスペクトルを取得するMSn分析実行制御部と、
f)前記MSn分析実行制御部の制御の下で得られたMSnスペクトルを用いたライブラリ検索を行うことで前記特定されたピークに対応する物質の同定を試みる物質同定部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る特定物質監視システムにおいて、MSn分析が可能である質量分析装置とは例えば、タンデム四重極型質量分析装置、四重極−飛行時間型質量分析装置(いわゆるQ−TOF型質量分析装置)、イオントラップ型質量分析装置、イオントラップ飛行時間型質量分析装置、TOF/TOF型質量分析装置などである。
また、質量分析装置は上記のような各種の質量分析装置単体であってもよいが、その前段に液体クロマトグラフ(LC)又はガスクロマトグラフ(GC)が接続された液体クロマトグラフ質量分析装置(LC−MS)又はガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)を用いてもよい。LCやGCで試料中の物質が時間的に分離される場合には、質量分析装置では保持時間毎にマススペクトルを得ることができる。したがって、この場合、マススペクトル判定部は、データベース中の同じ保持時間を有する又は保持時間ずれを考慮した所定の保持時間範囲内のマススペクトルに基づいて目的とするマススペクトルが定常状態であるか否かを判定するとよい。
本発明に係る特定物質監視システムにおいて、試料採取部は、監視すべき試料を所定のタイミングで以て繰り返し採取する。この採取は定期的でもよいし不定期でもよい。また、試料採取部は作業者の指示や操作に応じて試料を採取するものでもよいが、好ましくは、指定された時間間隔で又は指定された時刻に自動的に試料を採取するものとするとよい。これにより、作業者の指示や操作忘れなどによる検査漏れをなくすことができる。また、試料採取に関する作業者の負担も軽減することができる。
また、試料は気体試料、液体試料、固体試料など様々な形態があり得るから、試料採取部の態様もその試料の形態に応じたものとすることができる。例えば試料が気体試料や液体試料などの流体である場合、試料採取部は、圧力差や高低差などを利用して流路に導入された試料を一定時間通過させるバルブを備えたものとすることができる。
或るタイミングで試料が採取されると、質量分析実行制御部は質量分析装置により、その試料に対する通常の(つまりはイオンの解離操作を伴わない)質量分析を実施しマススペクトルを取得する。
マススペクトル判定部は、特定物質を含まない定常状態の試料について質量分析を行うことで得られるマススペクトルに基づいて事前に作成されたデータベースを利用して、そのときに得られたマススペクトルが定常状態であるか否かを判定する。このマススペクトル判定部における判定のアルゴリズムは特に限定されず、例えば従来の一般的なデータベース検索法或いはライブラリ検索法のように、質量電荷比値や信号強度値(相対強度値)の一致度合いから類似度を計算し、その類似度を閾値と比較することで判定を行うものとしてもよい。また、より好ましくは、近年、監視カメラで撮影された映像に基づく異常事象の認識などに利用されている画像認識技術を用い、特に人工知能(AI)による画像認識技術を用いてマススペクトルのパターンの一致性を判定し、目的のマススペクトルが定常状態であるか否かを判定するとよい。
マススペクトル判定部においてマススペクトルが定常状態でないと判定された場合、異常ピーク特定部がそのマススペクトルについて定常状態でないとの判定の要因となった一又は複数のピークを特定する。このピークは定常状態の試料には含まれない物質に由来するピークである可能性があるが、このピークの質量電荷比値から物質を同定するのは困難である。そこで、MSn分析実行制御部は質量分析装置により、その特定されたピークに対応する質量電荷比をターゲットとするMSn分析を実施してMSnスペクトルを取得する。
MSnスペクトルが求まると物質同定部は、MSnスペクトルを用いたライブラリ検索により物質同定を試みる。ライブラリ検索に利用されるライブラリには、監視対象である特定物質の標準的なMSnスペクトルを予め登録しておけばよい。物質同定部においてライブラリ検索により何らかの物質が同定された場合、そのときの試料に含まれている未知の物質は監視対象の特定物質である。一方、物質同定部において物質が同定できなかった場合には、そのときの試料に含まれている未知の物質は監視対象の特定物質ではないことになる。そこで、本発明に係る特定物質監視システムでは、こうした物質同定の結果を表示部等に出力して監視者(ユーザー)に知らせればよい。
本発明に係る特定物質監視システムは特に試料に含まれる有害物質を監視するシステムとして有用である。その場合、上記物質同定部は、有害物質のMSnスペクトルが予め登録された有害物質ライブラリを用いたライブラリ検索を行うものであり、
ライブラリ検索によって物質が同定されたときに警告報知を行う警告報知部をさらに備える構成とするとよい。
また本発明に係る特定物質監視システムにおいて、物質同定に利用されるMSnスペクトルはnが2であるMS2スペクトルのみであってもよいが、好ましくは、MS2スペクトルとMS3スペクトルとの両方を利用するとよい。
即ち、本発明に係る特定物質監視システムにおいて、
前記MSn分析実行制御部は、前記試料採取部によって採取された試料についてのMS2分析及びMS3分析を前記質量分析装置により実施してMS2スペクトル及びMS3スペクトルを取得し、
前記物質同定部は、前記MSn分析実行制御部の制御の下で得られたMS2スペクトル及びMS3スペクトルを用いたライブラリ検索を行うことで物質の同定を試みる構成とするとよい。
なお、MS3スペクトルを取得するMS3分析は、MS2スペクトルにおいて観測されるピークの中で例えば信号強度が最も高いピークをターゲットとすればよい。
MS2スペクトルとMS3スペクトルとの両方を物質同定に利用することで、化学構造が類似していてMS2スペクトルにおいても区別することが困難である物質同士を、MS3スペクトルにおいて区別することが可能となる。そのため、例えば試料に含まれる複数の物質をLCやGCにより十分に分離することができない場合でも、或いはLCやGCを用いず複数の物質を含む試料を直接質量分析装置に導入して質量分析する場合でも、精度良く物質同定を行うことができる又はライブラリに存在しない物質であることを確認することができる。
上述した人工知能による画像認識技術では、機械学習、特にディープラーニングが容易であり、正常であると判定したマススペクトルの画像パターンの学習を繰り返すことでデータベースを充実させ、判定の正確性を向上させることができる。
即ち、本発明に係る特定物質監視システムにおいて、前記マススペクトル判定部は、定常状態であると判定されたマススペクトルを用いてデータベースの情報を更新するデータベース更新部を含む構成とするとよい。
また上述したように、物質同定部において物質が同定されず、そのときの試料に含まれている未知の物質が少なくとも監視対象の特定物質ではないと判定されたとすると、元の実測のマススペクトルは定常状態であるとみなすことができる。
そこで、本発明に係る特定物質監視システムにおいて、好ましくは、前記データベース更新部は、前記物質同定部により物質が同定されなかったとき、その同定されなかった物質由来のピークが観測されるマススペクトルは定常状態のマススペクトであるとしてデータベースを更新する構成とするとよい。
この構成によれば、過去に検出されなかった物質が試料に含まれていて該試料についてのマススペクトルが定常状態でないと判定された場合でも、その物質が有害物質等の特定物質でなければ、それ以降の測定では同じ物質が含まれる試料のマススペクトルは定常状態であると判定されるようになる。このようにして、特定物質が含まれる試料についてのマススペクトルをできるだけ正確に判定できるように、機械学習によってデータベース自体の的確性を逐次的に向上させることができる。
なお、質量分析装置としてLC−MSやGC−MSが用いられる場合、特許文献2等に記載のオートMS2機能のように、通常の質量分析に引き続いてMSn分析を即座に実行してもよいし、1回の試料導入に対応するLC/MS分析やGC/MS分析が終了したあとに、同じ試料についての2回目以降のLC/MS分析やGC/MS分析においてMSn分析を実施してもよい。後者の場合、1回目と2回目以降とで同じ試料についてのLC/MS分析又はGC/MS分析を行うために、試料採取部は同時に複数回分の試料を採取しておき、それを分割してそれぞれLC/MS分析又はGC/MS分析を行うとよい。
上述したように通常の質量分析に引き続いて即座に(リアルタイムで)MSn分析を実施することで、例えば水道水から採取された試料に有害物質が含まれているか否かを迅速に確認し、有害物質が含まれていることが確認できると直ちに警告報知を行うことができる。それによって、例えばその水道水の供給を停止する等の緊急の対策を迅速に採ることができる。
また本発明に係る特定物質監視システムの一実施態様は、測定対象である試料が液体試料であり、前記質量分析装置は液体クロマトグラフ質量分析装置であって、前記試料採取部は、
液体試料の入口流路及び出口流路が設けられ、且つ一部の壁面がセプタムで封止された貯留部を有する試料容器と、
ニードルを含み、該ニードルを通して液体試料を吸引・吐出する試料吸引・吐出部と、
液体クロマトグラフ部に試料を注入する試料注入口部と
前記ニードルが前記試料容器のセプタムを貫通する位置と前記試料注入口部との間で、該ニードルを移動させる駆動部と、
前記ニードルを前記試料容器のセプタムを貫通する位置まで移動させて前記試料容器の貯留部に収容されている液体試料を吸引したあと、該ニードルを前記試料注入口部まで移動させて該試料注入口部に液体試料を吐出するように、前記駆動部及び試料吸引・吐出部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴としている。
この実施態様のシステムでは、試料容器の入口流路、貯留部、及び出口流路からなる流路に液体試料を流通させることで、該貯留部に液体試料を満たす。そして、所定のタイミングでニードルをセプタムに貫通させ、その時点で貯留部に溜まっている液体試料の一部を試料吸引・吐出部により吸引する。そのあと、その吸引した液体試料を試料注入口部に吐出して液体クロマトグラフ部に注入する。この構成によれば、例えば配管中などに連続的に流れる液体試料の一部を任意のタイミングで採取して分析に供することができる。
また上記実施態様においては、前記試料採取部は、液体試料を一旦貯留する分取用試料容器をさらに有し、
前記駆動部は、前記ニードルが前記試料容器のセプタムを貫通する位置と、前記試料注入口部と、前記分取用試料容器との間で、該ニードルを移動させることが可能であり、
前記制御部は、前記ニードルを前記試料容器のセプタムを貫通する位置まで移動させて前記試料容器の貯留部に収容されている液体試料を吸引したあと、該ニードルを前記分取用試料容器まで移動させて該分取用試料容器中に液体試料を吐出するとともに、前記ニードルを前記分取用試料容器まで移動させて該分取用試料容器中に貯留されている液体試料を吸引したあと、該ニードルを前記試料注入口部まで移動させて該試料注入口部に液体試料を吐出するように、前記駆動部及び試料吸引・吐出部の動作を制御する構成とすることが好ましい。
この構成によれば、試料容器から吸引した液体試料をそのまま液体クロマトグラフ部に注入するのではなく、一旦、分取用試料容器に取り分けたあと、適宜の時点で液体クロマトグラフ部に注入することができる。そのため、分取用試料容器を複数用意しておけば、液体クロマトグラフ質量分析装置における一連の分析に要する時間よりも短い時間間隔で液体試料を採取し、あとでバッチ的に分析することができる。
本発明に係る質量分析装置を用いた特定物質監視システムによれば、定常的な状態では試料に含まれていない筈である物質を迅速に且つ確実に検出することができ、さらにその物質が監視対象である特定物質であるか否かを迅速に且つ自動的に確認することができる。それにより、作業者に過度な負担を掛けることなく、水道水や環境水、或いは大気などに有害物質が含まれているか否かを高い頻度で確認することが可能となる。
本発明に係る特定物質監視システムの一実施例である有害物質監視システムの概略構成図。 本実施例の有害物質監視システムにおける有害物質監視処理のフローチャート。 本実施例の有害物質監視システムにおける有害物質監視動作の説明図。 本実施例の有害物質監視システムにおけるオートサンプラの一例を示す概略構成図。
以下、本発明に係る特定物質監視システムの一実施例である有害物質監視システムについて、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例の有害物質監視システムの概略構成図である。この有害物質監視システムは、河川水や工場排水、或いは水道水などに有害物質(例えば法的な規制物質)が含まれているか否かを定期的に監視し、そうした有害物質が検出されたときに該物質を特定して報知するシステムである。
本実施例の有害物質監視システムは、監視対象である水(又は他の流体)が流通する試料流路1の採取口1aから試料を取り込む試料取込部2と、取り込まれた試料の一部についての測定を実施する測定部3と、測定部3で得られたデータを解析処理するデータ処理部4と、試料取込部2、測定部3、及びデータ処理部4の動作をそれぞれ制御する制御部5と、ユーザーインターフェイスである入力部6、及び表示部7と、を備える。
試料取込部2は例えば制御部5の指示に応じて開閉するバルブを備え、該バルブが開放している期間に試料を流通させることで採取口1aから試料を取り込んで測定部3に供給する。
測定部3はLC−MSであり、オートサンプラ31と、液体クロマトグラフ部(LC部)32と、MSn分析が可能である質量分析装置(MS部)33と、を含む。図示しないが、LC部32は、移動相を一定流量で送給する送液ポンプ、送給される移動相中に試料を注入するインジェクタ、試料中の化合物を時間方向に分離するカラム、などを含む。MS部33は例えば、エレクトロスプレーイオン源を備えたイオントラップ飛行時間型質量分析装置である。オートサンプラ31は試料取込部2から供給される試料を所定量だけ保持してLC部32のインジェクタに供給する。
データ処理部4は後述する特徴的な処理を行うために、機能ブロックとして、データ収集部41、スペクトル一致判定部42、データベース(DB)更新部43、定常時スペクトルデータベース44、異常ピーク特定部45、MSn分析実行指示部46、同定処理部47、有害物質ライブラリ48、及び、警告指示部49、を含む。なお、データ処理部4の実体は通常、パーソナルコンピュータ又はより高性能なワークステーションであり、そうしたコンピュータにインストールされた専用のデータ処理ソフトウェアを該コンピュータ上で動作させることでデータ処理部4における各機能ブロックを具現化する構成とすることができる。
ここで、オートサンプラ31の具体的な構成の一例を図4を参照して説明する。
オートサンプラ31は、試料流通容器311と、分取容器312と、試料注入口部313と、ニードル314と、該ニードル314と流路315を通して接続されたシリンジポンプ316と、を含む。図示しないが、ニードル314を所定範囲で上下動させる駆動機構と、水平面内で(例えば互いに直交する2軸方向に)移動させる駆動機構とが設けられている。試料流通容器311は、試料が貯留される貯留部311aと、該貯留部311aとそれぞれ連通する入口流路311b及び出口流路311cと、試料流通容器311の上壁面に形成されている開口に取り付けられて貯留部311aを封止するセプタム311dと、を有する。また、分取容器312の開口にも該容器内に空間を封止するセプタム312aが取り付けられている。なお、図4では分収容器312を一つのみ記載してあるが、複数の分収容器312を用意しておくこともできる。
オートサンプラ31におけるLC部32への試料の導入動作について述べる。
試料を採取する際には、試料取込部2から入口流路311b、貯留部311a、出口流路311cと順に試料を流通させ、貯留部311aを試料で満たす。そのあと、試料流通容器311の直上に位置させたニードル314を図4中に314aで示す点線の位置まで降下させ、ニードル314をセプタム311dに貫通させる。そして、シリンジポンプ316を動作させ貯留部311aから所定量の試料を吸引し、ニードル314を所定位置まで引き上げる。このあと、制御部5による制御の下で、直接注入モード又は分収注入モードのいずれかのモードで、試料をLC部32に注入することができる。
[直接注入モード]
直接注入モードでは、シリンジポンプ316により試料を吸引したあと、試料注入口部313の直上までニードル314を移動させる。そして、ニードル314を図4中に314cで示す点線の位置まで降下させ、該ニードル314を試料注入口部313の注入開口313aに挿入する。そして、シリンジポンプ316を動作させて流路315及びニードル314を通して試料を吐き出す。吐き出された試料は流路313bを通ってLC部32に導入される。
[分収注入モード]
分収注入モードでは、シリンジポンプ316により試料を吸引したあと、分収容器312の直上までニードル314を移動させる。そして、ニードル314を図4中に314bで示す点線の位置まで降下させ、該ニードル314を分収容器312のセプタム312aに貫通させる。シリンジポンプ316を動作させて流路315及びニードル314を通して試料を吐き出す。これにより、試料は一旦、分収容器312中に貯留される。そのあとの所定のタイミングで、分収容器312中に貯留されている試料をニードル314を通して吸引し、試料注入口部313の注入開口313a中に吐き出すことでLC部32に導入する。測定部3での測定には所定の時間が掛かるが、複数の分取容器312に順番に試料を採取することで、測定所要時間よりも短い時間間隔で試料を採取することができる。
次に、本実施例の有害物質監視システムにおける監視動作を、図1に加え、図2、図3を参照して説明する。図2は本実施例の有害物質監視システムにおける有害物質監視処理のフローチャート、図3は有害物質監視動作の説明図である。
有害物質ライブラリ48には、事前に、例えば法的に規制されている健康を害するおそれのある各種の化合物の標準的なMS2(MS/MS)スペクトル及びMS3(MS/MS/MS)スペクトルが、化合物名、分子式、分子量などの化合物情報に対応付けて登録されている。なお、この有害物質ライブラリ48はユーザー自身が作成してもよいが、通常、本装置を製造するメーカーにより提供され、必要に応じて更新される。
一方、定常時スペクトルデータベース44には、後述するように異常ピークを検出するための情報として、試料に有害物質が含まれない定常状態であるときのマススペクトルが保持時間情報とともに多数登録される。監視対象が例えば河川水である場合、その定常状態は河川毎に相違するし同じ河川でも場所によって相違することがある。そのため、通常、決まった試料流路1の決まった採取口1aから取り込まれる試料を繰り返し実測したマススペクトルを或る程度蓄積することで定常時スペクトルデータベース44を作成しておく。
本実施例のシステムでは、LC部32で試料に含まれる各種物質を分離したあとにMS部33で検出しているので、LC部32において同じ分離条件の下で得られたデータ同士であれば、同じ保持時間におけるマススペクトル同士を比較することにより、その保持時間に現れる異常ピークを検出することができる。換言すれば、分離条件が変わると同じ保持時間におけるマススペクトル同士の比較の意味がなくなるから、LC部32における分離条件を常に一定に保った状態で測定を行うものとする。また一般に、いずれの保持時間に異常ピークが現れるのかは分からないから、基本的に全測定時間範囲に亘る保持時間毎のマススペクトルを定常時スペクトルデータベース44に登録しておく。
ただし、こうした登録ではデータベース44に登録すべきマススペクトルが多くなりすぎる場合には、全測定時間範囲の中で全ての保持時間に対するマススペクトルではなく、適宜に間引いた所定の時間間隔の保持時間毎のマススペクトルを定常時スペクトルデータベース44に登録するようにしてもよい。また、検出すべき特定物質(有害物質)が決まっている等、その物質の保持時間が予測可能である場合には、その保持時間又はその保持時間を含む狭い時間範囲における保持時間毎のマススペクトルを定常時スペクトルデータベース44に登録するようにしてもよい。これにより、登録するマススペクトルの数をかなり減らすことができる。なお、この例では、マススペクトルは画像認識に利用可能な所定形式の画像データとして登録しておくものとする。
有害物質を監視するために、制御部5は所定の時間間隔(例えば1時間間隔等)で定期的に試料流路1から試料を取り込むように試料取込部2を制御する。具体的には、予め決められた試料採取のタイミングが来ると、試料取込部2におけるバルブを所定時間だけ開放し、試料流路1に流通する河川水の一部をバルブを通してオートサンプラ31に供給する。これにより測定対象の試料がオートサンプラ31に採取される(ステップS1)。
次いで制御部5は測定部3の各部を制御し、採取された試料に対するLC/MS分析を実行する。即ち、LC部32では上述したように決まった分離条件の下でオートサンプラ31から注入された試料に含まれる各種物質を時間方向に分離し、MS部33はLC部32で分離された各種物質を含む溶出液に対し所定の質量電荷比m/z範囲のスキャン測定を所定時間間隔で繰り返し実行する。データ収集部41は所定の質量電荷比範囲に亘る質量電荷比と信号強度との関係を示すマススペクトルデータを収集する(ステップS2)。このマススペクトルにはMS部33に導入された溶出液に含まれる物質由来のピークが現れる(図3(a)参照)。
スペクトル一致判定部42は試料に対するマススペクトルが得られる毎に、或いは、所定の時間間隔の保持時間毎のマススペクトルが定常時スペクトルデータベース44に登録されている場合にはその時間間隔毎に、定常時スペクトルデータベース44に保存されている、その取得されたマススペクトルと保持時間が同じである又は保持時間ずれを考慮した所定の保持時間幅の範囲内に含まれる定常時マススペクトルと上記実測により得られたマススペクトルとで、スペクトルパターンが一致しているか否かを人工知能(AI)による画像認識によって判定する(ステップS3:図3(b)参照)。なお、画像認識技術ではなく、一般的なデータベース検索法などと同様に、質量電荷比値の一致度合い、或いは、質量電荷比値と信号強度値(複数のピーク間の相対的な信号強度比)の一致度合いなどに基づいて所定のアルゴリズムにより類似度を計算し、その類似度が所定の閾値以上であるときにスペクトルパターンが一致していると判定する等、スペクトルパターンの一致判定手法は特に限定されない。
実測マススペクトルのスペクトルパターンが定常時スペクトルデータベース44中のスペクトルパターンと一致している場合には該実測マススペクトルは定常状態であると判定され(ステップS4でYes)、ステップS4からS10へと進む。この場合、実測マススペクトルは有害物質を含まないマススペクトルであるから、データベース更新部43は実測マススペクトルを定常状態のマススペクトルの一つとして追加するように定常時スペクトルデータベース44を更新する(図3(c)参照)。このようにして、有害物質を含まない試料についての測定を実行すればするほど、つまりは試料中の有害物質を監視する時間が長いほど定常時スペクトルデータベース44は充実してゆき、この定常時スペクトルデータベース44に基づくマススペクトルの判定精度が向上する。
そのあと、ステップS1で採取された試料に対するLC/MS分析が終了したか否かを判定し(ステップS11)、分析が終了していなければステップS2へと戻ってLC/MS分析を続行する。
例えば何らかの原因で試料に有害物質が混入していた場合、その有害物質がLC部32のカラムで溶出するタイミング(保持時間)において得られた実測マススペクトルには、その有害物質に由来するピークが現れる。このピークは定常時スペクトルデータベース44に登録されている同じ保持時間におけるマススペクトルには存在しない筈のものであるから、ステップS3及びS4の処理においてスペクトルパターンが一致せず、実測マススペクトルは定常状態ではないと判定される(ステップS4でNo)。この場合、異常ピーク特定部45はスペクトルパターンが一致しない、つまりは実測マススペクトル中には存在する一方、定常時スペクトルデータベース44に登録されているマススペクトルには存在しないピークを異常ピークとして抽出し、そのピークの質量電荷比値を異常である質量電荷比値として特定する(ステップS5:図3(d)参照))。
異常である質量電荷比値が特定されると、MSn分析実行指示部46は、その質量電荷比値をターゲットとする(つまりはプリカーサイオンとする)解離操作を伴うMS/MS分析及びMS3分析を実行するように制御部5に指示を送る。この指示に応じて制御部5は即座に、特定された質量電荷比をプリカーサイオンとしたMS/MS分析(プロダクトイオンスキャン測定)を実行するようにMS部33を制御する。さらにまた、そのプロダクトイオンスキャン測定で得られたMS/MSスペクトル(プロダクトイオンスペクトル)において観測される所定のピーク、例えば最も信号強度が大きいピークに対応するイオンを2段階目の解離操作のターゲットとするMS3分析を引き続き実行するようにMS部33を制御する。即ち、定常状態では検出されない物質、つまりは有害物質である可能性がある物質が検出されると、即座に、その物質についてのMS/MS分析及びMS3分析が実施され、MS/MSスペクトル及びMS3スペクトルが取得される(ステップS6:図3(e)参照)。
次いで同定処理部47は、取得されたMS/MSスペクトル及びMS3スペクトルを有害物質ライブラリ48に登録されているMS/MSスペクトル及びMS3スペクトルとそれぞれ照合するライブラリ検索を行うことで、上記有害物質である可能性がある物質の同定を試みる(ステップS7:図3(f)参照)。ここでは、有害物質ライブラリ48に予め登録されている物質のみが監視の対象であって、それ以外の物質については監視対象外であり混入が許容される。そのため、有害物質ライブラリ48を用いたライブラリ検索により物質の同定が成功すると(ステップS8でYes:図3(g)参照)、警告指示部49は、同定された物質の化合物名などの情報とともに有害物質が検出されたことを示す警告表示を表示部7に出力する(ステップS9)。表示のみならず、ブザーなどの音による警告を発してもよい。
一方、有害物質ライブラリ48を用いたライブラリ検索により物質が同定されなかった場合には(ステップS8でNo)、ステップS5において異常ピークとして特定されたピークに対応する物質は少なくとも規制対象の有害物質ではないと判断できる。そのため、警告報知は行わない。また、この場合、解離操作を伴わない実測マススペクトルはその時点では定常時スペクトルデータベース44に基づいてスペクトルパターンが一致しないために定常状態でないと判定されたものの、実際には有害物質を含まないので本来は定常状態であると判定されるべきである。そこで、上述したステップS10へと進み、データベース更新部43が実測マススペクトルを定常時スペクトルデータベース44に加えるように該データベース44を更新する(図3(h)参照)。これにより、以降の処理では、上記の規制対象の有害物質ではないと判断された物質由来のピークが観測されるマススペクトルは、ステップS3及びS4において定常状態であると判定されることになる。
こうして、LC部32への1回の試料注入に対する所定の測定時間が経過したならば分析終了と判断し(ステップS11でYes)、測定部3はLC/MS分析を終了して次の試料採取のタイミングまで待機する。所定の時間間隔で以て図2に示したフローチャートに従った一連の処理を実施することにより、試料流路1に流れる水に含まれる有害物質をほぼ常時検出することが可能となる。また、有害物質が含まれている場合にその有害物質の化合物名等を速やかに監視者に知らせることができるので、有害物質の混入原因の特定やその対策を迅速に行うことが可能である。
なお、図2に示した処理においてステップS4でマススペクトルが定常状態でないと判定されたときに、監視者の注意を促す表示等の報知を行うようにしてもよい。上述したように、マススペクトルが定常状態でないと判定された場合であっても混入している物質が有害物質でない可能性はあるが、マススペクトルが定常状態でないと判定された時点で監視者の注意を促す報知を行うことによって、実際に有害物質が混入している場合の対応を一層迅速に採ることができるようになる。
また上記実施例の有害物質監視システムでは、制御部5の制御の下で試料取込部2によって自動的に試料が採取されるようにしていたが、この試料の採取は自動でなく、監視者の手動操作によって行うようにしてもよい。また、自動で定期的に試料を採取して有害物質の有無を判定するほかに、監視者が不定期で試料を採取するように指示を行い、有害物質の有無を判定できるようにしてもよい。
また上記実施例の有害物質監視システムでは測定部3としてLC−MSを用いたが、混入している複数の化合物をMS部33による質量分離によって分離可能である場合、具体的には、多段階の解離操作により異なる構造の化合物を十分に識別可能である場合や、質量精度や質量分解能が非常に高く僅かな分子量の相違も識別可能であるような場合には、LC−MSの代わりに質量分析装置単体を用いてもよい。一般的にいえば、MS/MS分析までしか実施しない場合にはLC部を省略することは難しいが、nが3以上のMSn分析(MS3、MS4、MS5など)を実施する場合にはLC部を省略しても複数の化合物を十分に分離して検出することが可能である。もちろん、LC部を用いない場合、マススペクトルのスペクトルパターンの一致性を判断する際に保持時間の情報は不要である。
また上記実施例の有害物質監視システムでは、LC部32への1回の試料注入に対する一連のLC/MS分析において、通常の質量分析により得られたマススペクトルで有害物質に由来すると推定されるピークが検出されると、引き続いてMSn分析が実行される。このようにリアルタイムでMSn分析を実行することで有害物質を迅速に検出できるという利点はあるものの、マススペクトルの一致判定等の処理を高速に行う必要がある。そこで、リアルタイムでMSn分析を実行することが難しい場合には、1回の試料導入に対応するLC/MS分析が終了したあとに、同じ試料について2回目のLC/MS分析を実施し、その分析の際にMSn分析を行うようにしてもよい。この場合には、試料取込部2は複数回のLC/MS分析のための試料をオートサンプラ31に供給し、オートサンプラ31はそれを分割して同じ試料についての複数回のLC/MS分析を実施するように試料を注入すればよい。
また本発明に係る特定物質監視システムは、上記実施例のように試料流路1中の液体試料ではなく、気体試料中の有害物質を監視する際にも適用することができる。その場合には、測定部3としてGC−MSを用いるか或いはGC部を省略したMS部のみを利用してもよい。
さらにまた、特定物質が含まれるか否かを監視する対象の試料は、バルブを備えた試料取込部2で採取されたものに限定されない。例えば、工場で製造される各種製品を定期的又は不定期でサンプリングして該製品に含まれる不純物を検出するシステムに本発明を利用することもできる。この場合、試料は固体であってもよく、サンプリングした製品の一部を削り取る等の方法で試料を採取するものとすればよい。
このように、定期的又は不定期的のいずれかに拘わらず、繰り返し与えられる同種の試料について特定の物質が含まれるか否かを監視するシステム全般に本発明を適用することができる。
また、上記実施例や上記記載の各種変形例も本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…試料流路
1a…採取口
2…試料取込部
3…測定部
31…オートサンプラ
32…LC部
33…MS部
4…データ処理部
41…データ収集部
42…スペクトル一致判定部
43…データベース更新部
44…定常時スペクトルデータベース
45…異常ピーク特定部
46…MSn分析実行指示部
47…同定処理部
48…有害物質ライブラリ
49…警告指示部
5…制御部
6…入力部
7…表示部

Claims (10)

  1. MSn分析(nは2以上の整数)が可能である質量分析装置を利用して、試料に含まれる可能性がある一又は複数の特定物質を監視する特定物質監視システムであって、
    a)測定対象である試料を所定のタイミングで以て繰り返し採取する試料採取部と、
    b)前記試料採取部によって採取された試料について前記質量分析装置により質量分析を実施してマススペクトルを取得する質量分析実行制御部と、
    c)前記特定物質を含まない試料である複数の定常状態の試料についてそれぞれ質量分析を行うことで得られたマススペクトルに基づいて作成されたデータベースを利用して、前記質量分析実行制御部の制御の下で得られたマススペクトルが定常状態であるか否かを判定するマススペクトル判定部と、
    d)前記マススペクトル判定部により定常状態でないと判定されたマススペクトルについてその判定の要因となったピークを特定する異常ピーク特定部と、
    e)前記異常ピーク特定部により特定されたピークに対応するイオンをターゲットとする前記試料採取部によって採取された試料についてのMSn分析を前記質量分析装置により実施してMSnスペクトルを取得するMSn分析実行制御部と、
    f)前記MSn分析実行制御部の制御の下で得られたMSnスペクトルを用いたライブラリ検索を行うことで前記特定されたピークに対応する物質の同定を試みる物質同定部と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    前記質量分析装置はその前段に液体クロマトグラフ又はガスクロマトグラフが接続された液体クロマトグラフ質量分析装置又はガスクロマトグラフ質量分析装置であり、
    前記マススペクトル判定部は、前記データベース中の同じ保持時間を有する又は保持時間ずれを考慮した所定の保持時間範囲内のマススペクトルに基づいて目的とするマススペクトルが定常状態であるか否かを判定することを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  3. 請求項1に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    前記試料採取部は、指定された時間間隔で又は指定された時刻に自動的に試料を採取するものであることを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  4. 請求項1に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    前記マススペクトル判定部は、人工知能による画像認識技術を用いてマススペクトルのパターンの一致性を判定し、目的のマススペクトルが定常状態であるか否かを判定することを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  5. 請求項1に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    前記物質同定部は、有害物質のMSnスペクトルが予め登録された有害物質ライブラリを用いたライブラリ検索を行うものであり、
    該ライブラリ検索によって物質が同定されたときに警告報知を行う警告報知部をさらに備えることを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  6. 請求項1に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    前記MSn分析実行制御部は、前記試料採取部によって採取された試料についてのMS2分析及びMS3分析を前記質量分析装置により実施してMS2スペクトル及びMS3スペクトルを取得し、
    前記物質同定部は、前記MSn分析実行制御部の制御の下で得られたMS2スペクトル及びMS3スペクトルを用いたライブラリ検索を行うことで物質の同定を試みることを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  7. 請求項1に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    前記マススペクトル判定部は、定常状態であると判定されたマススペクトルを用いてデータベースの情報を更新するデータベース更新部を含むことを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  8. 請求項7に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    前記データベース更新部は、前記物質同定部により物質が同定されなかったとき、その同定されなかった物質由来のピークが観測されるマススペクトルは定常状態のマススペクトであるとしてデータベースを更新することを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  9. 請求項2に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    測定対象である試料は液体試料であり、前記質量分析装置は液体クロマトグラフ質量分析装置であって、前記試料採取部は、
    液体試料の入口流路及び出口流路が設けられ、且つ一部の壁面がセプタムで封止された貯留部を有する試料容器と、
    ニードルを含み、該ニードルを通して液体試料を吸引・吐出する試料吸引・吐出部と、
    液体クロマトグラフ部に試料を注入する試料注入口部と
    前記ニードルが前記試料容器のセプタムを貫通する位置と前記試料注入口部との間で、該ニードルを移動させる駆動部と、
    前記ニードルを前記試料容器のセプタムを貫通する位置まで移動させて前記試料容器の貯留部に収容されている液体試料を吸引したあと、該ニードルを前記試料注入口部まで移動させて該試料注入口部に液体試料を吐出するように、前記駆動部及び試料吸引・吐出部の動作を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
  10. 請求項9に記載の質量分析装置を用いた特定物質監視システムであって、
    前記試料採取部は、液体試料を一旦貯留する分取用試料容器をさらに有し、
    前記駆動部は、前記ニードルが前記試料容器のセプタムを貫通する位置と、前記試料注入口部と、前記分取用試料容器との間で、該ニードルを移動させることが可能であり、
    前記制御部は、前記ニードルを前記試料容器のセプタムを貫通する位置まで移動させて前記試料容器の貯留部に収容されている液体試料を吸引したあと、該ニードルを前記分取用試料容器まで移動させて該分取用試料容器中に液体試料を吐出するとともに、前記ニードルを前記分取用試料容器まで移動させて該分取用試料容器中に貯留されている液体試料を吸引したあと、該ニードルを前記試料注入口部まで移動させて該試料注入口部に液体試料を吐出するように、前記駆動部及び試料吸引・吐出部の動作を制御することを特徴とする質量分析装置を用いた特定物質監視システム。
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