JPWO2009157335A1 - 破砕ローラ - Google Patents

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Abstract

石炭火力発電所等で問題となる竪型ローラミルの各種要因による振動の発生を効果的、効率的に防止できる竪型ローラミル用の破砕ローラを提供する。竪型ローラミルに使用される破砕ローラ(10)において、ローラ外周面に、周方向に所定間隔で配置され各々が周方向に連続すると共に回転中心軸に対して傾斜した複数のスクリュー溝(11)を設ける。複数のスクリュー溝(11)は、ミル中心部から回転テーブル上に投入された粉砕原料が、ローラの回転に伴って中心部へ押し戻される方向に、半周以上にわたって形成されている。各スクリュー溝(11)のローラ中心軸に対する傾斜角度θは55〜85度である。

Description

本発明は、竪型ローラミルに使用される破砕ローラに関し、更に詳しくは、石炭火力発電所の低負荷操業時やバイオマス発電における木材チップと石炭との混合粉砕、水分含有量の多い亜瀝青炭の粉砕時等に発生するローラの異常回転の防止、及びその異常回転に伴うミルの異常振動の防止に有効な破砕ローラに関する。
原子力発電所の新設が困難な昨今、火力発電所の価値が再認識されており、そのなかでも石炭火力発電所の価値が、原油価格の高騰に伴い高まっている。その一方で、石炭火力発電所には、二酸化炭素の排出量が多いという環境上の問題点がある。しかし、石炭ガス化発電の実証化も推進され、この環境上の問題も大幅に改善される方向に向かっている。このため、石炭火力発電所における石炭粉砕技術の重要性が増している。
石炭火力発電所における石炭粉砕機としては、竪型ローラミルが多用されている。竪型ローラミル粉砕機構は、水平回転する1個の駆動テーブルと、その回転中心線を包囲するように駆動テーブル上に配置された複数個の破砕ローラとにより構成されており、ミル中央部からテーブル中心部上に供給された粉砕原料が遠心力により外方へ搬送されローラとテーブル間に噛み込まれることにより、粉砕原料を次々と粉砕していく。粉砕された原料は搬送気流により上方に気流搬送されて分級機により分級され、必要とする粒度の原料が捕捉されて後段へ搬送され、それより大きい粒度の原料は再度ミル内部へ返送される。
竪型ローラミルにおける破砕ローラは、駆動テーブルの回転に伴って回転する従動輪であり、テーブル回転中心に向かって外周面が漸次縮径する円錐台形状のものや、二輪車のタイヤのように外周面が湾曲したタイヤ型のものが使用されている。タイヤ型のローラは、そのローラが嵌合する環状の湾曲溝を表面に有する溝付きテーブルと組み合わされることが多い。破砕ローラの個数は2〜4個であり、それらがテーブル回転方向に等間隔で配置される。このような竪型ローラミルは石炭の他、スラグ、石灰石、セメント原料、タルク等の粉砕に広く使用されている。
竪型ローラミルにおける粉砕メカニズムを更に詳しく説明すると、次のとおりである。従動ローラの円滑な回転は、ローラとテーブルとの間に噛み込まれた粉砕原料との摩擦力、及びローラに付加された面圧により確保されるので、そのバランスが崩れると、ローラの円滑回転に多大の影響を与え、粉砕機全体の振動に大きな悪影響を与える。また、粉砕粒度は、ローラとテーブルとの間のクリアランス調整と、ローラ面圧調整との組合せにより決定される。クリアランスを小さくしローラ面圧を増大させると、粉砕粒度は小さくなるものの、ローラやテーブルの磨耗が顕著となり、ミル駆動部の軸電流も上昇して、コストアップを招く。
竪型ローラミルの大きな欠点は、粉砕された原料の粒子が非常に細かくなると、テーブル上に存在する微細粒子がローラ面に転着することである。この現象は、ローラとテーブルとの間のクリアランスが狭くなり、ローラ面圧が高くなるほど顕著になる傾向がある。粉砕原料の付着性、凝集性は、当然この転着現象と大いに関係があるが、付着性の無いか少ない原料でさえ、微粉砕されると付着性を持つようになる。これは、雪の中で円筒物を回転させると、その表面に雪が転着して筒径が大きくなる現象と良く似ている。
例えば、石灰石粉砕実験からは、ローラクリアランスが0mmではローラ表面への転着が著しく、10分経過すると回転が不安定になり振動を発生し始めるが、クリアランスを1mmにすると転着は発生するものの非常に少なく、これが回転には影響を与えず、全試験時間中に振動が発生しなかった。このことから、ローラクリアランスがローラ表面への微粒子転着に最も大きな影響を与えていることがわかる。
更に詳しく説明すると、ローラに転着が発生すると、ローラの見掛けの外径が大きくなって周速を増加させ、回転のバランスを失うと同時に、転着が均等に発生しないので、回転むらが生じ、ローラの回転が円滑で無くなる。その結果、粉砕機全体に振動を与えるようになる。例えば、付着性、凝集性の高い石灰石粉砕において、外周面平滑ローラも、ローラ表面に噛み込み性を改善するために外周面に歯車状に溝を形成したスリットローラ(特許文献1)も共に、粉砕原料が微粉砕されて細かくなるとローラ表面に付着を発生するようになる。
石灰石のような付着性物質であろうと、付着性の無い高硬度物質であろうと、微粉になるとローラ面に付着を発生し易くなる。ローラ表面の付着量は、スリットローラと平滑面ローラとの間でも大差が無い。いかなる種類の粉砕原料であろうと、微粉砕されると比表面積が非常に大きくなり、付着し易くなると想定されるので、粉砕原料の噛み込み性から判断して、噛み込み性の優れたスリットローラを当初から採用すべきである。その理由はスリットローラは粉砕を生業とする生産工場においては非常に生産量を高め、粉砕機の軸電流を低減する結果、電力コストの低減につながり、さらに微粉砕を行うので粉砕物質の付加価値を高める能力を持っているからである。
しかし、これは、あくまで生産性を向上するために効果をもたらす破砕面部材であるがゆえに有効な対策であり、火力発電所のように電力事情に応じて負荷調整を行う操業には適合しない。発電所は、直接燃焼方式を採用しており、石炭粉砕後、微粉炭は直ちにボイラーに直接吹き込まれるので、生産量の増加は却ってエネルギー過剰を発生して損失を与えるようになる。夏場の電力需要の旺盛な時期には、微粉炭生産量の増加は好ましいことでもあるが、1年間を通じてその需要は変動するので、生産工場のようには旨くはいかない。
生産工場で需要が減少した場合には粉砕機を一時停止すれば生産調整ができるが、火力発電所では粉砕機を停止することは困難である。生産工場のようにストックビンに粉砕物を蓄えるシステムならば効果を発揮したものと想定される。
ところで、竪型ローラミルは、前述したとおり、石炭火力発電所での石炭の粉砕に多数使用されている。石炭火力発電所における大きな問題点は、低負荷操業時に竪型ローラミルが大きく振動を発生して操業に支障来す現象が多数発生していることであり、これの早期解決が望まれている。
すなわち、石炭火力発電所においては、電力需要が低下した時期に石炭ミルは低負荷状況で運転される。なぜなら、原子力発電所は常にフル操業されるので、比較的運転を調整し易い石炭ミルが電力調整運転用に使用され、この観点からも低負荷操業を頻繁に強いられる。
低負荷操業は、定常運転から段階的に石炭投入量を減少して負荷を少なくするのであるが、定常状態でミルに供給される石炭量の約35〜40%程度に減少され、最小では約20%まで減少されると言われている。これは、微粉炭がバーナーノズルからボイラー燃焼室に吹き込まれる量が、低負荷操業時に上述した減少%にまでに抑制されると言われているので、その前工程である微粉炭粉砕においても同じ減少率で粉砕負荷が低減されると想定される。
石炭の投入量が減少し始めると、ローラと石炭間とに充分な摩擦力が得られず、ローラの回転が不安定になり出す。微粉炭がローラ表面に転着されて更にローラ回転が不安定になり、最終的にミル自体が大きく振動して操業に異常を来すようになる。
更に近年、二酸化炭素排出削減の指導方針を受け、木材チップを石炭と混合粉砕するバイオマス発電が行われているが、木材チップの混合量は高々3〜4%までに限られ、それ以上混合すると既存の竪型粉砕機では振動を発生して粉砕できないのが現状である。
近年、資源ナショナリズムの影響を受けて高品質石炭は異常に高騰し資源小国のわが国では非常に安価な粗悪石炭、亜瀝青炭の使用を余儀なくされている。しかし、これら石炭は非常に硬い種類のものや水分を多量に含有した種類があり、既存の粉砕機では振動を発生して粉砕に支障を来たしている。
特許第1618574号公報
本発明の目的は、石炭火力発電所等で問題となる竪型ローラミルの各種要因による振動の発生を効果的、効率的に防止できる竪型ローラミル用の破砕ローラを提供することにある。
竪型ローラミルにおける低負荷操業時の振動防止対策の一つとして、本発明者は破砕ローラに対して原料との摩擦接触力を増加させること、及びテーブル上の微粉粒子の影響を少なくすることが有効と考え、次のような対策を立案した。
本出願人が既に取得した特許第1618574号“粉砕機に使用される破砕面部材”(特許文献1)は石炭、高炉スラグ等の高効率粉砕に多数適用されている。わが国では化石燃料を輸入に依存しており、近年の資源ナショナリズムによる輸入良炭の高騰により安価な粗悪炭や亜瀝青炭の使用を余儀なくされている。
これら安価な石炭はHGIが低く非常に高硬度の種類が多いので、従来のスリットの無い平滑面ローラやテーブルでは石炭の噛み込性が悪く所定の粉砕量を得る事が困難となり、生産量を向上させるためにローラ面圧を上昇させるとミルの軸電流が上昇して電力コストに跳ね返り、仮に粉砕量は所定の量を得る事が出来ても、微粉度が低下して燃焼効率に悪影響を与えていた。
本発明者のスリットローラ(特許文献1)は噛み込み性に優れ低いローラ面圧でも所定の数量以上の石炭を微粉砕し、しかも粉砕粒度が非常に細かくなって例えば製鐵所における高炉微粉炭吹き込みに置いてコークス使用量を削減し、更にその優れた微粉度により高炉燃焼効率を著しく向上させ、大幅なコスト低減に多大なる貢献を行っている。更に製鐵所では二酸化炭素排出削減のために排出量の多いコークスの使用削減を図るために微粉炭の吹き込み量の増量が望まれており、その目的にスリットローラは日本における5大製鐵所の内で4大製鉄所までが採用し、コスト低減と二酸化炭素削減に多大の貢献をもたらしている
スリットローラはこのように生産性の向上や微粉の生産量の増加に多大の貢献をもたらす反面、大きな欠点がある。
例えば、円錐台形状の破砕ローラの破砕面にローラ軸と平行のスリットを適当な間隔で取り付けたと仮定する。これを低速度回転させても粉砕原料の噛み込み性能は平滑面ローラに比べ優れた噛み込み性能を示す。卑近な事例で説明すると、ゴマをすり潰すのに使用するすり鉢を想定すると、人間はゴマを磨り潰す時にはゆっくりと擂り粉木をすり鉢の溝と直角方向に回して護摩をする。すり鉢にスリットが着いていなければゴマを噛み込まないので、すり潰すことが困難になる。すなわちスリットローラが、溝を多数持つすり鉢に相当し、溝のないすり鉢が平滑面ローラに相当する。
これを逆に高速回転させたと仮定すると、スリットローラは粉砕原料を外部に多量飛散させ、粉砕面における粉砕原料の減少をもたらすが、平滑面ローラは表面に引っかかりがないので、粉砕原料の外部飛散は前者に比べ大幅に減少する。水車は低速回転させて水の汲み上げ能力のみを利用しているが、これを高速回転させると、水を汲み上げる能力が減少して飛散能力の方が向上する。
火力発電所における低負荷操業においては、石炭粉砕機に投入される石炭量が減少するので、石炭との接触摩擦力が減少して振動発生に至る。このような状況下でスリットローラを使用すると、より粉砕原料の飛散を生じ、ローラとテーブルとの間の粉砕空間の石炭量が減少して、より振動を助長することになる。
本発明者は、ローラ軸と平行方向のスリットは、原料の噛み込み性能には優れているが、外部に飛散させる能力が著しく高いことを認知した。そこで発明者は、ローラ軸と平行なスリットを90度回転させて、ローラ軸と90度の角度で交わるスリットを思いついた。少なくともローラ軸と直角のスリットは、原料を外部に飛散させる能力は平滑面ローラと同程度と推測した。
しかし、ローラ軸と直角なスリットでは、粉砕原料の噛み込み性能が得られないので、スリットをスクリュー状として、粉砕原料をテーブル中心側に掻き戻す方向に形成することを考えた。そして、様々な形状のスクリュー溝を直角溝や平行溝と比較検討した結果、竪型ローラミルにおいては、粉砕原料はテーブル中心部に投下され、テーブル回転による遠心力でテーブル外方に追いやられるので、破砕ローラのスクリュー破砕面により原料に逆方向の流れ力を加えてその原料を掻き戻すならば、ローラとテーブルとの間に形成される粉砕空間において粉砕原料の挿入量が増加して、同じローラクリアランスの場合にもローラとの接触摩擦力が増大し、火力発電所における低負荷操業時等におけるミル振動が効果的に防止されることが判明した。
本発明の破砕ローラは、かかる知見を基礎として完成されたものであり、竪型ローラミルに使用される破砕ローラにおいて、ローラ外周面に、周方向に所定間隔で配置され各々が周方向に連続すると共に回転中心軸に対して傾斜した複数のスクリュー溝を有している。
複数のスクリュー溝の傾斜方向は、ミル中心部から回転テーブル上に投入された粉砕原料が、ローラの回転に伴って中心部へ押し戻される方向でもよいし、反対にテーブル外方への原料排出を促進する方向でもよい。低負荷操業時におけるミルの振動防止のためには前者の、原料をテーブル中心部の方へ掻き戻す方向がよい。反対に原料の転着によるミル振動が問題になる場合は、後者のテーブル外方への原料排出を促進する方向がよい。
原料を掻き戻す方法は、ローラの回転によりスクリューが原料を押し出す方向に螺旋を形成すれば良い。テーブル中心から遠心力でテーブル外方の破砕空間に原料が追いやられるが、これに対抗して粉砕原料はスクリュー溝により押し返されてローラ噛み込み口の石炭量が多くなる。しかし、いくら原料をローラ噛み込み口に溜め込んでも、これを粉砕空間に充分に充填させなければ、粉砕原料の層厚が薄くなり振動は停止しないので、原料の噛み込み性能が必要となる。
そこで、ローラ軸と直角な溝を寝かしていくと(溝のローラ中心軸に対する傾斜角度θを90度からに小さくしていくと)、次第に噛み込み性能が向上していく反面、飛散現象が顕著となる。例えばこの傾斜角度θを45度にした場合、飛散量は実験機によれば平滑面ローラと平滑面テーブルとの組み合わせと同じ程度の飛散量を生じるので、既に平滑面ローラでは低負荷振動が発生していることを考慮するならば、スクリュー溝の傾斜角度θは45度超、具体的には55度以上必要となる。
傾斜角度θの上限については、原料にテーブル半径方向の推力を付与するために、90度未満、具体的には85度以下とすることが必要である。特に好ましいスクリュー溝の傾斜角度は45度と90度の中間の67.5度を挟む60〜75度である。
また、破砕ローラの外径及び中心軸方向の厚みを一定とした場合、スクリュー溝の傾斜角度θが大きいほど、その溝の周長が長くなる。反対にスクリュー溝の傾斜角度θを小さくすると、溝長は短くなる。スクリュー溝の機能発現のためには、個々のスクリュー溝の周長はローラの1/4周以上であることが望ましく、スクリュー溝の傾斜角度θが50〜85度の範囲内にあっても破砕ローラのサイズによっては、スクリュー溝の周長が1/4周未満となることもある。この場合はスクリュー溝の周長が1/4周以上となるように、その傾斜角度θを55〜85度の範囲内で選択することが望まれる。
スクリュー溝の傾斜角度θの選択により、ローラ近辺に蓄えられた粉砕原料はローラ粉砕空間に噛みこまれ、ローラとテーブルとの間における原料層の層厚が大きくなり、投入原料量が少ない場合のローラとテーブルとのメタルタッチが減少して、振動現象の要因の一つが除去され、更にローラと原料との摩擦力が向上してミルの振動が防止されるようになる。
本発明者が先に開発したスリットローラ(特許文献1)の場合、溝はローラ軸と平行方向のスリット(傾斜角度0)であるため、テーブル回転方向における噛み込み性は優れているが、テーブル半径方向における推力は生まない。また、原料の外部への飛散量は溝のの傾斜角度θが0度の場合が最も多い。このため、低負荷操業において少ない原料供給量の場合、追加投入しない限りローラとテーブル間に出来る原料層厚が非常に薄くなり、実験では約1mm程度となってミル振動を生じた。従って、このスリットローラは低負荷操業には適用できないと想定された。
しかし、ローラ中心軸に対して傾斜して周方向に取り巻くスクリュー溝、特に原料をテーブル中心方向に掻き戻すスクリュー溝は、ローラとテーブルとの間に形成される粉砕空間に原料を強制的に押し込む能力が高い。一方では生産量を高めることができ、他方では粉砕能力に関して前者より多少劣るかもしれないが、外部への飛散量を減少させ、さらに粉砕空間に強制的に効率よく原料を押し込む効果により、層厚が厚くなり、振動抑制を可能にし、竪型粉砕機が持つ性能の幅をオールランドに発揮可能にした。
竪型ローラミルの破砕ローラには円錐台型形状をしたローラとタイヤ型ローラとがある。これらの破砕ローラでは、ローラ中心軸方向の位置によってローラ径が異なり周長が異なる。円錐台型形状の破砕ローラにおける1本のスクリュー溝を例にとって考える。図4に示すにように、最もローラ径が大きいテーブル外周側でのスクリュー溝の傾斜角度θをθaとする。最もローラ径が小さいテーブル中心側までこのθaを維持してもよいし、軸方向位置によってθを変化させてもよい。傾斜角度θが一定の場合、テーブル外周側からテーブル中心側へ向かうにつれて、すなわちローラ径が小さくなるにしたがってローラ中心軸方向の溝間ピッチPが小さくなる。逆にローラ中心軸方向の溝間ピッチPを一定としてもよい。この場合はスクリュー溝のローラ中心軸に対する傾斜角度θは、テーブル外周側からテーブル中心側へ向かうにつれて、すなわちローラ径が小さくなるにしたがって小さくなる。この場合のスクリュー溝の傾斜角度θは平均角度(大径側の最大角度+小径側の最小角度/2)となり、この平均角度が前記範囲内に入るように選択される。タイヤ型ローラの場合も同様であり、ローラ中心軸方向において傾斜角度θを一定としてもよいし、ローラ中心軸方向の溝間ピッチPを一定としてもよい。
破砕ローラについて更に説明する。スクリュー溝のローラ破砕面は基本的にローッシェミルローラのような円錐台形型ローラ面に付与することが有効である。その理由は、ローラと回転テーブルとの粉砕面が面同士で粉砕を行うため、スクリューの掻き出し、掻き戻し効果が発揮されやすいが、タイヤ型ローラは回転テーブルとの粉砕面が、ローラ軸方向に延びる面粉砕というより、ローラ周方向のR形状の線状粉砕になるので、スクリュー効果が発揮され難い。
例えば、タイヤ型ローラにローラ中心軸に対して67.5度の小角度のスクリュー溝をつけると、そのスクリュー溝がローラとテーブルとのローラ周方向の線状粉砕線に対して横切る形になり、掻き込みや掻き戻しの効果が薄れ、逆に粉砕原料を飛散させてしまう結果を招くようになる。したがって、タイヤ型ローラにスクリュー溝を形成する場合はスクリュー溝のローラ中心軸に対する傾斜角度θが直角に近い80〜85度が好ましい。これにより、ローラとテーブルとのローラ周方向の線状粉砕線に対して平行に近いスクリュー溝が形成され、掻き込み効果、掻き戻し効果を補足することが可能となる。
テーブル側のローラ対向部分に溝類を形成することができる。周方向に直角な半径方向溝、半径方向に対して傾斜した傾斜溝、更には螺旋溝などであり、これらは原料の噛み込み性の向上に寄与するのみならず、傾斜溝はその傾斜の方向によって原料に外周側への推力や中心側への推力を付与することができる。とは言うものの、破砕ローラにスクリュー溝を形成すれば、テーブル側の対向部分には特に溝類の必要はない。ローラ側にのみスクリュー状溝を形成して使用する場合、火力発電所の低負荷操業が極端ではない場合や、さして水分の多くない石炭を粉砕する場合、木材チップの混合粉砕を行わない軽微な低負荷操業では十分に効果がある。
ローラ、テーブルともに溝を形成して同じ方向に原料を送り込む場合は、低負荷操業が著しく過酷でミルへの原料投入量が非常に絞られており、ローラと石炭との摩擦力が十分に得られない状況下で採用するか、もしくは時間当たりの粉砕量を多くしてボイラーに対する微粉炭吹き込み量を増加したい場合等の両極端を求める場合に採用する。さらに両者の溝の角度を変化させ、原料の送り込み速度に位相差を与えると、両者の粉砕空間への原料供給が安定して送り込まれるので、効率よく粉砕作用が促進される。
ローラ、テーブルに施した溝がお互いに逆方向へ原料を推進する組み合わせの使用事例は、水分の多い石炭、灰分の多い硬い石炭、強粘結炭、その他非常に粘りのある材質を粉砕する場合、例えばプラスチック、木材チップのような繊維が錯綜している材質の粉砕に適する。両破砕部材から逆方向に送られてくる粉砕材料は粉砕位置で滞留しやすく粉砕室の中で粉砕作用を受ける時間が長くなるので充分に揉み解されて粉砕が進行する。水分の多い石炭ではスクリュー作用で脱水され易く非常に好ましい。通常、脱水は遠心分離機で行われ、それに使用される機械装置は高速回転するスクリューである。
破砕ローラに関して、溝の方向がローラ軸と直角の場合は単なる円周を一周した直角のリング溝を形成したに過ぎない。この形状は自動車エンジンのピストンリングと同じ形状である。このリング溝を螺旋状にローラ円周上に連続して巻き付けて行くと、スクリュー溝がローラ表面上に形成される。
テーブルの場合もこれとまったく同じであり、テーブル回転方向と平行に巻きつければ単なるリング溝がテーブル円周上に1個形成されるに過ぎない。このリング溝を螺旋状に連続して形成するとスクリュー溝がテーブル表面上に形成される。それぞれの破砕面に関して、螺旋状に形成される溝の角度は、ローラの場合は前述したとおりローラ軸に対して、テーブルの場合にはテーブル回転方向(周方向)となす角度で考える。
竪型ローラミルにおける破砕ローラの表面及びテーブル表面は耐磨耗性金属からなる。破砕ローラの外周面にスクリュー溝を形成するには、特許文献1の“粉砕機に使用される破砕面部材”にて言及するところと全く同じ方法の採用が可能である。スクリュー溝を形成する部分に他の部分より耐磨耗性の劣る材料を配置し、破砕ローラの使用よりスクリュー溝を形成していく。より具体的には、破砕ローラの母材表面のスクリュー溝形成位置に軟鋼等の耐磨耗性の劣る材料からなるリブを取付け、リブ以外の部分に耐磨耗性の優れた材料を溶接肉盛り或いはキャスティングする。その他の方法として、肉盛ワイヤでローラの外周面全体を溶接肉盛した後に、スクリュー溝形成部分からアークガウジングにより硬化金属を除去する。様々な方法で耐磨耗性金属からなるローラ表面にスクリュー溝を形成することができる。耐摩耗性に劣った部分は、粉砕操業において他の部分に比べ早期磨耗を自然発生的に生じて、スクリュー溝を形成する。粉砕操業開始時点から送り込み効果を得たい場合には当初から、耐磨耗性の低い材料の高さを他の部分のところより3〜5mm、若しくはそれ以上凹ませておけばよい。
スクリュー溝の溝幅をw、隣接するスクリュー溝の溝間距離をWとすると(図1参照)、両者は0.1W≦w≦Wを満足するのが適切である。Wに比してwが小さすぎる場合は粉砕原料のスクリュー溝による送り込み効果が小さくなりやすく、反対にWに比してwが大きすぎる場合は送り込み効果が増大する反面、破砕ローラとしての有効粉砕面積が減少し、十分な破砕量を確保するのが難しくなる。
スクリュー溝の溝幅wが大きいと、多量の原料を低速度で送り込む性能が高まり、溝幅wが狭くなると、送り込む能力が落ちる。原料の流れの抵抗から判断して、テーブル中心側ではスクリュー溝の溝幅wを広めに取って一気に原料を送り込み、テーブル外周側に向かうにつれて暫時溝幅wを狭めて送り込み速度を遅くしてローラとテーブルに形成される粉砕空間に確実に送り込むことが重要である。特に低負荷操業においては、供給原料量が極端に絞られているので、粉砕空間に確実に少量の石炭を送り込むことが重要である。粉砕空間以外に漏れることは層厚を薄くすることに繋がり振動発生の原因になる。
破砕ローラ表面及びテーブル表面の材質は、高クロム鋳鉄、14〜20%オーステナイト系マンガン鋼、その他耐摩耗性を持つ鋼、鋳鋼、鋳鉄などであり、あらゆる竪型ミルのローラ、テーブルに使用されるものの適用が可能である。
本発明の破砕ローラは、竪型ローラミルに使用される破砕ローラにおいて、ローラ外周面に、周方向に所定間隔で配置され各々が周方向に連続すると共に回転中心軸に対して傾斜した複数のスクリュー溝を有することにより、ミル中心部からテーブルの回転中心部に投入されたは原料を、ローラとテーブルとの間に形成される粉砕空間に滞留させたり、粉砕空間から積極的に排出することができるので、石炭火力発電所における低負荷操業や付着性の強い原料を粉砕する場合等で問題となる竪型ローラミルの振動の発生を効果的、効率的に防止することができる。
本発明の一実施形態を示す破砕ローラの構成図である。 本発明の別の実施形態を示す破砕ローラの構成図である。 本発明の有効性を調査するための実験用小型粉砕機の構成図である。 破砕ローラにおけるスクリュー溝の傾斜角度θ及びピッチPの説明図である。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態の破砕ローラ10は、竪型ローラミルに回転テーブル20と組み合わせて使用されるものである。回転テーブル20は水平な円盤状の駆動テーブルであり、表面を耐磨耗性材料で被覆されている。破砕ローラ10は、テーブル20の外周部上に複数個が周方向に所定間隔で放射状に配置されている。個々の破砕ローラ10は、テーブル外周側からテーブル内周側へ向けて外径が漸減する円錐台形状のフリーローラであり、外周面がテーブル20の表面に平行となるように回転中心軸がテーブル中心に向けて下降傾斜している。
フリーローラである破砕ローラ10は、テーブル20との間に所定の隙間Gを有した状態でテーブル外周部に対向し、所定の力で下方へ押圧されている。この隙間Gの大きさがローラクリアランスである。破砕原料は、ローラ中心部上に投入される。その破砕原料はテーブル20の回転に伴う遠心力により外周側へ移動し、破砕ローラ10との間の隙間Gに押し込まれる。これにより、テーブル20の回転力が破砕ローラ10に伝達される。かくして、複数の破砕ローラ10は、破砕原料を介してテーブル20の回転に追従し回転する。
個々の破砕ローラ10の外周面には、耐磨耗性金属が溶接肉盛りにより被覆されている。その外周面には複数のスクリュー溝11がアークガウジング加工により形成されている。複数のスクリュー溝11は、ローラ周方向に等間隔で配置されている。個々のスクリュー溝11は、ローラ外周面にスパイラル状に連続形成されており、ローラ中心軸に対しては軸方向の全域で同一角度θで傾斜している。このため、隣接するスクリュー溝11,11の溝間距離Wは、破砕ローラ10の大径側(テーブル外周側)から小径側(テーブル中心側)にかけて漸次縮小することになる。なぜなら、破砕ローラ10の大径側(テーブル外周側)から小径側(テーブル中心側)にかけて破砕ローラ10の周長が漸次縮小するからである。
また、スクリュー溝11の傾斜方向は、テーブル20の回転に伴う破砕ローラ10の回転によって噛み込み原料がテーブル中心側へ押し戻される方向とされている。スクリュー溝11の溝幅wは、隣接するスクリュー溝11,11の溝間距離Wに対して、0.1W≦w≦Wを満足を満足している。溝間距離Wはスクリュー溝11に直角な最短の離間距離である。スクリュー溝11の深さは3〜20mmが適当である。スクリュー溝11が浅すぎると粉砕原料に与える推力が不足し、深すぎる場合は、粉砕原料に異物が混入しているときに、硬くて脆い硬化金属の鋭角なエッジ部が欠損、脱落しやすくなる。スクリュー溝11の周長は、ここではスクリュー溝の傾斜角度が80度の場合で軸方向の一端から他端へ至る間に2周と設定されている。
回転テーブル20が回転する状態でその中心部に破砕原料が投入される。投入原料は回転テーブル20の回転に伴う遠心力によりテーブル上を外周側へ移動し、破砕ローラ10との間の隙間Gに噛み込まれる。破砕ローラ10のテーブル中心側(小径側)は導入部であり、主たる破砕は破砕ローラ10のテーブル外周側(大径側)で行われる。
このとき、破砕ローラ10の外周面には複数のスクリュー溝11が設けられている。複数のスクリュー溝11の傾斜方向は、破砕ローラ10の回転に伴って破砕原料をテーブル中心側へ押し戻す方向に設定されている。このため、破砕ローラ10と回転テーブル20の間の隙間Gに投入原料が滞留する傾向が大となる。このため、石炭火力発電所での低負荷操業で原料投入量が少ない場合にも、破砕ローラ10と回転テーブル20の間の隙間Gに十分な量の原料が滞留し、原料とローラとの間に充分な摩擦力が得られることにより、ローラが安定に回転し続ける。微粉原料がローラ表面に転着される現象も抑制される。これらのため、低負荷操業でもローラ回転が安定し、ミル振動が防止される。
ちなみに近年、二酸化炭素排出削減の指導方針を受け、木材チップを石炭と混合粉砕するバイオマス発電が行われているが、木材チップの混合量は高々3〜4%までに限られ、それ以上混合すると既存の竪型ローラミルでは振動が発生して粉砕できないが、本実施形態の破砕ローラ10を使用すると、木材チップの混合量を増加させることができる。
図2に示すように、第2実施形態の破砕ローラ10は、竪型ローラミルに使用されるタイヤ型破砕ローラである。タイヤ型破砕ローラ10は、外周面が軸方向で外側へ凸に湾曲したものであり、回転テーブル20の外周部上に周方向に所定間隔で縦列状に配置されている。個々の破砕ローラ10は、円錐台形状の破砕ローラ10と同様にテーブル中心側に分かって下方に傾斜し、回転テーブル20の表面との間に所定の間隔Gをあけた状態で下方に押圧されている。
個々の破砕ローラ10のタイヤ型外周面には、耐磨耗性金属が溶接肉盛りにより被覆されている。その外周面には複数のスクリュー溝11がアークガウジング加工により形成されている。複数のスクリュー溝11は、ローラ周方向に等間隔で配置されている。個々のスクリュー溝11は、ローラ外周面にスパイラル状に連続形成されており、ローラ回転軸に対しては軸方向の全域で同一角度θで傾斜している。
スクリュー溝11の傾斜方向は、テーブル20の回転に伴う破砕ローラ10の回転によって噛み込み原料がテーブル中心側へ押し戻される方向とされている。スクリュー溝11の溝幅wは、隣接するスクリュー溝11,11の溝間距離Wに対して、0.1W≦w≦Wを満足を満足している。溝間距離Wはスクリュー溝11に直角な最短の離間距離である。スクリュー溝11の深さは3〜20mmが適当である。スクリュー溝11が浅すぎると粉砕原料に与える推力が不足し、深すぎる場合は、粉砕原料に異物が混入しているときに、硬くて脆い硬化金属の鋭角なエッジ部が欠損、脱落しやすくなる。スクリュー溝11の周長は、ここでは軸方向の一端から他端へ至る間に半周と設定されている。
回転テーブル20の表面は、複数の破砕ローラ10が対向する外周部において、破砕ローラ10の外周面に対応する環状のU溝21が形成されたものになっいる。
回転テーブル20が回転する状態でその中心部に破砕原料が投入される。投入原料は回転テーブル20の回転に伴う遠心力によりテーブル上を外周側へ移動し、破砕ローラ10との間の隙間Gに噛み込まれる。破砕ローラ10のテーブル中心側(小径側)は導入部であり、主たる破砕は破砕ローラ10のテーブル外周側(大径側)で行われる。
このとき、破砕ローラ10の外周面には複数のスクリュー溝11が設けられている。複数のスクリュー溝11の傾斜方向は、破砕ローラ10の回転に伴って破砕原料をテーブル中心側へ押し戻す方向に設定されている。このため、破砕ローラ10と回転テーブル20の間の隙間Gに投入原料が滞留する傾向が大となる。このため、石炭火力発電所での低負荷操業で原料投入量が少ない場合にも、破砕ローラ10と回転テーブル20の間の隙間Gに十分な量の原料が滞留し、原料とローラとの間に充分な摩擦力が得られることにより、ローラが安定に回転し続ける。微粉原料がローラ表面に転着される現象も抑制される。これらのため、低負荷操業でもローラ回転が安定し、ミル振動が防止される。
本発明の破砕ローラの有効性を調査するために、竪型ローラミルの一種であるロッシエミルに類似した実験用の小型粉砕機を作製した。この破砕機は、図3に示すように、ベース部材である水平な回転テーブル1の外周部表面に破砕ローラ2が対向する構造とした。破砕ローラ2は円錐台形状の竪型ローラであり、大径側を外周側に小径側を中心側に向け、テーブル1との対向面が水平となるように傾斜配置されている。実験機であるためにローラ個数は1とした。
この破砕ローラ1の外周面には複数のスクリュー溝7が設けられている。複数のスクリュー溝7は、回転にとなって噛み込み原料を中心側へ押し戻す方向とされている。
回転テーブル1においては、破砕ローラ2と対向する外周部が環状の破砕部3となり、環状の粉砕部3は、試験機であるため、テーブル本体4に対して脱着可能とした。破砕部3としては、表面が平坦なのも、表面に45度のスリット溝6を有するものの2種類を用意した。破砕部3とのクリアランスを任意に調節できるように、破砕ローラ2はその支持機構5に対して回転自在かつ昇降自在に取り付けられている。また、破砕に伴う衝撃を逃がし、且つ粉砕原料に所定の加圧力を付加するために、破砕ローラ2はスプリングにより、破砕部3へ押し付けられる方向へ付勢されている。回転テーブル1の回転により、回転テーブル1と破砕ローラ2は、相対的な旋回運動を行う。破砕部3上のローラ付近に原料を保持するために、破砕部3の内周部及び外周部に壁を設けた。試験機の更なる詳細は以下のとおりである。
ローラ寸法: 太径:200mm、小径:170mm、幅:57mm
テーブル径: 外径470mm×内径330mm
周速度: 30RPM(約44M/分)
ローラ加圧: スプリング加圧方式
ローラとテーブルとの間のクリアランス:0mm
試験時間: 30分間
粉砕原料: 石炭
テーブル溝(粉砕部3)に散布する石炭の量:1,000g(一定)
試験に使用した石炭: 製鉄原料炭
初期粒度分布 20メッシュ以上 40g
60メッシュ以上 34g
120メッシュ以上 3g
200メッシュ以上 13g
235メッシュ以上 2g
P 9g
水分量 5%
温度、湿度範囲 8〜15℃、 45〜62%
スクリュー状溝付きローラの寸法:
大径200mm×小径170mm×幅57mm
ローラ中心軸に対する傾斜角度 80度、67.5度
溝幅 3mm
溝深さ 3〜4mm
送り羽根部の幅 10mm
上記実験用粉砕機において、破砕面の相違によるテーブル外周への粉砕原料飛散量の変化、粉砕終了後の層厚の変化を調査した。ローラとテーブルとの組み合わせは以下のとおりである。結果を表1に示す。
(1)平滑面ローラ+平滑面テーブル
(2)ローラ軸と平行の直角スリット+平滑面テーブル
(3)原料をテーブル中心側に掻き戻す45度斜めスリットを持つローラ+原料をテーブル外周側に排出する45度斜めスリット付きテーブル
(4)原料をテーブル中心側に送りこむ80度のスクリュー溝付きローラ+原料をテーブル外周側に排出する45度斜めスリット付きテーブル
(5)原料をテーブル中心側に送りこむ80度のスクリュー溝付きローラ+原料をテーブル中心側に掻き戻す45度斜めスリット付きテーブル
(6)原料をテーブル中心側に送りこむ67.5度のスクリュー溝付きローラ+原料をテーブル外周側に排出する45度斜めスリット付きテーブル
Figure 2009157335
飛散量を比較すると、(2)のローラ軸と平行のスリットを持つローラの飛散量が最大であり、次いで(3)45度の斜めスリットを持つローラ、(6)の67.5度のスクリュウー状スリットとなり、ローラ溝の傾斜角度がローラ軸に対して暫時大きく成るに従い飛散量が減少する傾向が見られた。
(4)(5)の飛散量がこの傾向に乗らない理由はスクリュー溝の傾斜角度が80度とローラ軸にほぼ直角に近かったのでローラ幅全域にスクリュー溝が螺旋状に完全に巻きつける事が出来て石炭を送り込む能力が向上したために、仕事量が大幅に向上してその結果飛散量が増加したものと想定される。
67.5度の場合には、ローラ軸に対して傾斜角度が小さくなり、ローラ幅全域に螺旋が収まらない約2/5周のスパイラル溝となる。スパイラル形状の溝ではあるが、螺旋状が完成していなかったために、掻き込み量が不足して仕事量が減少し飛散量が少なくなった。(3)の斜め45度スリットと同じ効果を与えるスリットとなった。
いずれにしても低負荷操業時における破砕ローラの振動を抑制するための重要な因子は石炭層厚であり、スクリュー状溝がローラ幅全面に対して完全螺旋を形成していようがいまいか(4)(5)(6)はそれを満足させた。
特筆すべきは(4)の組み合わせであり、飛散量が外部、内部ともに最も多いにも拘わらず層厚が最も厚くなった。これこそが火力発電所における低負荷操業において石炭の供給量が減少しても粉砕空間の層厚を充分に保持できて、ローラとの摩擦力を保持しローラの安定回転を可能にする組み合わせである。(5)の組み合わせも(4)より幾分低下するが同じ傾向を示している。
飛散量の合計量が(4)(5)で最も多いので、テーブルに残存している原料の量が少なくなり、層厚も薄く成らねば不自然と思われるが、実際には測定対象にしていないテーブル内外壁への付着が他の破砕面に比べ少ないからである。逆に(1)(3)のトータル飛散量が少ないのに層厚が薄い理由は測定外の箇所への石炭付着量が多量発生しているからである。
低負荷操業に適切な破砕面かどうかの判断は試験終了後のテーブルに残存する微粉炭の層厚を測定することと、ローラの石炭噛み込み口の石炭たまり量、粉砕後の石炭の粒度分布を試みその微粉度の差異等の3要因で比較した。粒度分布は正確性を増すために3回粉砕を行い、その平均値を採用した。
本実験機は、低負荷操業を再現出来る粉砕機である。これは、粉砕原料を定量散布したままで一切試験時間中には補給しないことによる。即ち、粉砕機では、当初粗粒の原料の粉砕から始められ、時間の経過とともに原料は微粉砕され、軽くなる。軽くなった粉砕原料はテーブルの遠心力によりテーブル内外部に飛散するため、テーブル溝内部に散布された原料は次第にその量が減少して行く。この現象は丁度、石炭ミルにおいて低負荷操業を行うために石炭のフィード量を次第に絞ったときの現象と同じになる。
次に、各種破砕面形状を持つローラの粉砕現象について説明する。(1)の平滑面同士のローラ、テーブルの組み合わせの場合、当初粉砕原料の層厚が厚い時点(10〜11mm)では非常に安定した粉砕を行っていたが、次第にローラの石炭噛み込み口に石炭たまりが発生して10分経過後最大のたまりを発生し,それが粉砕終了時点まで消失されなかった。たまりができる要因は石炭が粉砕空間に噛み込まれる量が少なく、ローラからのOUT−PUTが少量であるから、ますます石炭だまりが大きくなったことによる。噛み込み量とローラからの排出量とがバランスしていないために原料だまりが大きくなった要因である。石炭のテーブル外への排出は当初多量飛び出したが時間の経過につれて少なくなった。原料だまりは粉砕開始時点から始まっていたので平滑破砕面の噛み込み性が極端に悪いことを示していた。粉砕終了後の石炭層の厚みは僅か1mmであった。テーブル外周への粉砕石炭の排出量は約370gで少量であったが、層厚は1mmと薄く振動を発生した。
(2)のローラ軸と平行なスリットを持つローラ破砕面は飛び出し量が最も多く、層厚も1mmと非常に薄くなった。このスリットは最も仕事量が多くなる破砕面形状であり、多量の生産量が欲しい場合に採用すべき形状であり、(3)の45度斜めスリットを持つローラは(2)と比べ飛散量は少ないが、層厚は1mmと少なかった。
(4)のスクリュー溝を形成したローラと粉砕原料をテーブル外周に押し出す45度斜めスリットを取り付けたテーブルとの組み合わせの場合、粉砕開始後、直ちにテーブル内壁に石炭が多量付着して2〜3分後に多く付着しすぎてテーブル粉砕面に落下した。スクリューの掻き込み効果が顕著に見られた。石炭原料だまりが形成されたが平滑面ローラに比べ非常に小さいだまりで粉砕終了時点では消失していた。粉砕石炭のテーブル外周への飛散はやはり多く発生した。それにも拘らず粉砕終了時点の石炭層厚は2〜3mmであり、平滑面に比べ厚い層厚が得られた。このことはスクリュー溝が充分に石炭を破砕面に送り込んでいる証拠である。スクリュー角度は80度と、ローラ中心軸に直角な面からの傾斜角度が非常に少ないにも拘らず、優れた送り込み性能を示した
(6)の67.5度の傾斜角度を持つスクリュー状スリットの場合、300gと飛散量が6種類の破砕面形状の内で最も少なく平滑面ローラよりも少なかった。ローラ噛み込み口の石炭溜まりは非常に大きくなり最後まで消失しなかった。これは平滑面ローラとテーブルとの組み合わせと同じ傾向を示したが、大きく異なる点は石炭の層厚であり、層厚は非常に厚く2〜3mmを与えた。スクリュー状スリットではあるが、ローラ幅全面に完全螺旋が施せなかったので、完全螺旋が持っ原料送り込み能力に不足しており、仕事量が若干劣っていた。完全螺旋が得られていれば当然仕事量が増加して飛散量も増加していたものと推側される。
粒度分布比較を示した結果を表2に示す。
Figure 2009157335
(4)及び(5)のローラ軸と直角方向のスクリュー溝の角度が80度の場合には、完全螺旋のスクリュースリットの効果によりローラとテーブル間との粉砕空間に石炭を送り込む能力に優れ石炭層厚が増加した。しかし層厚方向の加圧力が減少したためか微粉度が低下した。その低下は既存のフラットローラ+フラットテーブルとの組み合わせの微粉度より約8〜9%低下した。ローラ面に対する加圧力を増加すれば微粉度は改善されるが、ローラ軸電流が増加して電力コストをアップし不経済になる。
(6)の67.5度の傾斜角度では石炭層厚が厚いにも拘わらず微粉度が改善され200メッシュアンダーが77%になり、ほぼ平滑面ローラと平滑面テーブルとの組み合わせと同じ占有率になった。やはり傾斜角度が減少するとスリットの噛み込み作用が向上して微粉砕され易くなった。火力発電所では通常、200メッシュ、75〜80%アンダーの微粉度が求められるのでこの範囲を満足し、理論的には既に述べたが67.5度が相応しいのかも知れない。飛散量が最も少なく層厚が厚くなったにも拘わらず、噛み込み性が増加してその結果、微粉の量が増加し、低負荷操業において非常に適切な角度と想定される。このスクリュー状スリットがローラ幅全面に対して完全螺旋が得られれば更に石炭の送り込み能力が増加して、仕事量もより向上し大きな効果が得られたものと推測される。実験機に使用したローラ幅が狭かったので完全螺旋溝をつける事が出来なかった。しかし、それでもこのような効果を発揮した。
低負荷操業においてローラやテーブルに形成するスクリュー状溝の傾斜角度θは、大きな範囲として85度≧θ≧55度であるが、最も適切な角度範囲θは60度≦α≦75度と判断される。75度より大きい角度になると噛み込み性が平滑面ローラに近似し、粉砕された石炭の微粉度が低下して発電所で要求される微粉度の200メッシュ75%以下が満たされないからであり、60度の場合にはこれ以下の角度になると噛み込み性が良くなる反面、粉砕された石炭の飛散量が増加して石炭層厚が薄く成りローラとテーブル面とのメタルタッチが発生して振動を生じやすくなる。
75度から90度までの範囲は、ローラ幅に対してスクリュー状螺旋を最大2周と、多く形成することができ、これにより石炭の押し込み効果が著しく増大して石炭層厚を厚くする事が可能と成るが、その反面、微粉度が得られ難くなり、ローラ面への加圧力を増加することにより微粉度を確保することが出来る。
しかし、この角度範囲は木材チップと石炭とを同時に粉砕するバイオマス発電所において効果がある。繊維質の多い木材チップを全く性状の異なる石炭と同時粉砕する場合には、多数のスクリュー状溝で粉砕空間に木材を切り込んで送り込む事が重要である。80度の角度で木材チップを粉砕したが非常に細かく粉砕された。更に亜瀝青炭の様に水分を多量に含有している石炭を粉砕する場合にはローラ面に多数のスクリュー溝が形成されていると、これが高速回転するとスクリュー溝で脱水作用が生じて粉砕室に石炭が到達する時点では水分が減少してローラにスリップを発生させずに安定粉砕が維持される。
角度が60度未満になると、ローラ幅に対して螺旋を1/2周形成することが困難になる。使用されるローラ幅は多岐に亘り異なっているので、ローラ幅の如何にかかわらず1/2周の螺旋が形成できる角度範囲としては60度が最小である。
実験から明らかなように、45度の斜めスリット付きテーブルは、仕事量の大きい破砕面形状をもち、噛み込み性に優れ飛散量が多く石炭層厚が1mmと少なくなり、低負荷操業には不向きではあるが、ローラ幅全面に完成した螺旋溝が1周形成できればその局面が大きく変わり、石炭の押し込み作用が増加して45度であっても層厚が厚くなって低負荷操業に適切になる。
上述したように、スクリュー溝の形成がローラ中心軸方向において最低でも1/4周、できれば1/2周に及ぶことが望ましく、これにより石炭の押し込み効果が倍加されることにより、仕事量が向上して粉砕能率が大幅に向上するようになる。
10 破砕ローラ
11 スクリュー溝
20 回転テーブル

Claims (7)

  1. 竪型ローラミルに使用される破砕ローラにおいて、ローラ外周面に、周方向に所定間隔で配置され各々が周方向に連続すると共に回転中心軸に対して傾斜した複数のスクリュー溝を有する破砕ローラ。
  2. 請求項1に記載の破砕ローラにおいて、複数のスクリュー溝は当該ローラの使用開始前より予め形成されている破砕ローラ。
  3. 請求項1に記載の破砕ローラにおいて、複数のスクリュー溝は、それらの溝に対応する部分に耐磨耗性の低い材料が配置されており、当該ローラの使用に伴って形成されるものである破砕ローラ。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の破砕ローラにおいて、複数のスクリュー溝の傾斜方向が、ミル中心部から回転テーブル上に投入された粉砕原料が、ローラの回転に伴って中心部へ押し戻される方向である破砕ローラ。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の破砕ローラにおいて、複数のスクリュー溝がローラ周方向に1/4周以上形成されており、且つ各スクリュー溝のローラ中心軸に対する傾斜角度θが55〜85度である破砕ローラ。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の破砕ローラにおいて、スクリュー溝の溝幅をw、隣接するスクリュー溝の溝間距離をWとしたとき、両者が0.1W≦w≦Wを満足する破砕ローラ。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の破砕ローラにおいて、スクリュー溝の溝幅が溝長手方向で変化する破砕ローラ。

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