JPWO2009154239A1 - 配線用電線導体、配線用電線および配線用電線導体の製造方法 - Google Patents

配線用電線導体、配線用電線および配線用電線導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金線材を複数本撚り合わせてなる配線用電線導体であって、前記銅合金線材の0.2%耐力と引張強さの比が0.70以上0.92以下であり、かつ加工硬化指数が0.04以上0.17以下である配線用電線導体;及び、この配線用電線導体に、絶縁被覆が設けられてなる配線用電線。

Description

この発明は、自動車、ロボット、電気・電子機器等の配線用電線導体、配線用電線および配線用電線導体の製造方法に関するものである。
従来、配線用電線の導体として、主にJIS C 3102に規定されるような軟銅線、またはこれに錫メッキ等を施した線を撚り合わせた撚線を導体とし、この導体に塩化ビニル、架橋ポリエチレン等の絶縁体を同心円状に被覆した電線が使用されてきた。
これらの電線を機器と接続する場合、通常、圧着端子と呼ばれる端子を用いて圧着接続される。圧着接続とは、板材で電線を包み込み、かしめを行って接続する方法である。
圧着による接続状態を確認する方法として圧着強度の測定がある。これは、電線を圧着端子に接続後、電線と端子とを掴んで引張試験を行い、破断が生じる時の強度を測定するものである。一般に圧着部はかしめにより導体の断面積が2〜3割小さくなっており(以下、かしめにより断面積が減少した割合を「断面減少率」とする)、導体の強度の絶対値は低下しているため、破断はかしめ部分で生じる。
ところで、特に自動車配線回路においては、制御用等の信号電流回路の占める割合が高まり、使用する電線の本数および重量が増加してきた。
一方、省エネルギの立場等からは、一つの手段として自動車重量の軽減化が要求されるようになってきた。そして、その対策の一つとして、電線導体の細径化による重量軽減化が求められている。しかしながら、従来の電線導体である銅の軟質材は、通電容量には十分余裕があるにもかかわらず、電線導体自体の機械的強度が低いため細径化することは困難であった。軟銅線の圧着強度は、かしめにより導体の断面積が低下しても、導体自身が加工硬化する余地があるため、圧着部の強度が未圧着部の強度とほぼ同等であり圧着強度の安定性は高いが、軟銅であるため強度そのものが低いという問題が大きい。
そこで、機械的強度の向上策として、たとえば銅合金の硬質材の使用が検討されている(特許文献1参照)。
特開2008−16284号公報
ところで、特許文献1に記載された電線導体は、それ自身の加工硬化がほぼ飽和していると考えられる。この場合には、圧着端子を電線導体に接続する際のかしめによる断面積低下により電線導体の圧着部における絶対強度が低下するため、安定した圧着強度が得られないおそれがある。
このような問題に鑑み、本発明はなされたもので、端子圧着強度に優れる配線用電線導体、ならびにその配線用電線導体の製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の組成の時効析出型銅合金を用い、0.2%耐力と引張強さとの比を0.70以上0.92以下、加工硬化指数を0.04以上0.17以下の銅合金線材を用いて構成することによって、引張強度に優れ、圧着時の絶対強度の低下が少なく端子圧着強度が高い配線用電線導体を製造し得ることを見出した。また、絶縁被覆層の形成前の最終工程で行う時効熱処理を特定の条件下で施すことによって、上記配線用電線導体を再現性よく得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、以下の手段が提供される:
(1)Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金線材を複数本撚り合わせてなる配線用電線導体であって、前記銅合金線材の0.2%耐力と引張強さの比が0.70以上0.92以下であり、かつ加工硬化指数が0.04以上0.17以下であることを特徴とする配線用電線導体、
(2)Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、さらにSnを0.005〜1.0質量%、Feを0.005〜0.2質量%、Crを0.005〜0.2質量%、Coを0.05〜2質量%、Pを0.005〜0.1質量%、Agを0.005〜0.3質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金線材を複数本撚り合わせてなる配線用電線導体であって、前記銅合金線材の0.2%耐力と引張強さの比が0.70以上0.92以下であり、加工硬化指数が0.04以上0.17以下であることを特徴とする配線用電線導体、
(3)前記銅合金線材の組成が、Mnを0.01〜0.5質量%、Mgを0.05〜0.5質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の配線用電線導体、
(4)前記銅合金線材の組成が、さらにZnを0.1〜1.5質量%含有することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の配線用電線導体、
(5)断面積が0.03〜0.13mmであることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の配線用電線導体、
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の配線用電線導体が、その周囲に絶縁被覆を有してなることを特徴とする配線用電線、
(7)Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金を鋳造し、得られた鋳塊又はそれから得た丸棒に溶体化処理を施し、これを所定の線径に伸線加工して銅合金線材を得て、該銅合金線材を複数本撚り合わせ、さらに圧縮した後、350〜550℃で、1分〜5時間時効焼鈍を行う各工程を含んでなることを特徴とする配線用電線導体の製造方法、および、
(8)Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、さらにSnを0.005〜1.0質量%、Feを0.005〜0.2質量%、Crを0.005〜0.2質量%、Coを0.05〜2質量%、Pを0.005〜0.1質量%、Agを0.005〜0.3質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金を鋳造し、得られた鋳塊又はそれから得た丸棒に溶体化処理を施し、これを所定の線径に伸線加工して銅合金線材を得て、該銅合金線材を複数本撚り合わせ、さらに圧縮した後、350〜550℃で、1分〜5時間時効焼鈍を行う各工程を含んでなることを特徴とする配線用電線導体の製造方法。
ここで、鋳塊にはビレットも含むものとする。
本発明の配線用電線導体は、端子圧着強度に優れる。
また、本発明の配線用電線導体は、導体を製造する際の熱間割れが抑制され、細径に伸線加工する時の加工性に優れたものとすることができる。
本発明の配線用電線導体の製造方法によれば、上述の優れた物性を有する配線用電線導体を製造できる。
本発明の配線用電線は、導体の細径化により電線重量を低減することができ、自動車およびロボット用その他の信号用電線や、電気・電子機器等の配線用電線として好適である。
本発明の配線用電線の製造方法によれば、上述の優れた特性を有する配線用電線を製造できる。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の配線用電線導体に用いられる銅(Cu)合金線材の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。まず、各合金元素の作用効果とその含有量の範囲について説明する。
ニッケル(Ni)とケイ素(Si)は、NiとSiの含有比を制御することによりマトリクス中にNi−Si析出物(NiSi)を形成させて析出強化を行い銅合金の強度を向上させるために含有する元素である。
Niの含有量は1.0〜4.5質量%であり、1.2〜4.2質量%であることが好ましい。Ni量が少なすぎるとその析出硬化量が小さく強度が不足する。多すぎれば熱処理時に粒界析出が生じ、強度が低下する。
Siは質量%で計算するときはNi含有量の約1/4の時に最も強化量が大きくなる(強度が向上する)ことが知られている。本発明において、Siの含有量は0.2〜1.1質量%であり、0.3〜1.0質量%であることが好ましい。
また、本発明に用いられる銅合金材は、スズ(Sn)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、リン(P)および銀(Ag)の少なくとも1種を含有することが好ましい。これらの元素は強度を向上させるという点で類似の機能を有しているものであり、含有させる場合には、Sn、Fe、Cr、Co、P、Agの中から選ばれる少なくとも1種を、合計量として0.005〜2質量%含有させることが好ましく、0.01〜1.5質量%含有させることがより好ましい。
Snは銅に固溶し、格子を歪ませることで強度を向上させることができる。ただし、Snの含有量が多すぎると導電率が低下する。よって、Snを添加する場合の好ましい含有範囲は0.005〜1.0質量%であり、0.05〜0.2質量%であることがさらに好ましい。
Fe、CrはSiと結合し、Fe−Si化合物、Cr−Si化合物を形成し、強度を向上させる。また、Niとの化合物を形成せずにCuマトリクス中に残存するSiをトラップし、導電性を改善する効果がある。一方で、Fe−Si化合物、Cr−Si化合物は析出硬化能(時効硬化能)が低いため、これらの化合物を必要以上に多く生成させることは強度向上の観点から得策ではない。また、Fe、Crはそれぞれその含有量が多すぎると強度が低下してくる。これらの観点から、Fe、Crを含有させる場合の含有量は、それぞれ0.005〜0.2質量%であることが好ましく、それぞれ0.03〜0.15質量%であることがより好ましい。
CoはNiと同様にSiと化合物を形成し、強度を向上させる。CoはNiに比べて高価であるため、本発明の好ましい実施形態としての配線用電線導体はCu−Ni−Si系合金を利用しているが、コスト的に許されるのであれば、Cu−Co−Si系合金やCu−Ni−Co−Si系合金を選択してもよい。Cu−Co−Si系合金は時効析出させた場合に、Cu−Ni−Si系合金より強度、導電性ともにわずかによくなる傾向がある。したがって、これらを重視する用途には有効である。以上の観点から、Coを含有させる場合の含有量は、0.05〜2質量%であることが好ましく、0.08〜1.5質量%であることがより好ましい。
Pは強度を上昇させる効果を有する。ただし多量の含有は導電率を低下させ、また粒界析出を助長して強度を低下させる。よって、Pを添加する場合の好ましい含有範囲は0.005〜0.1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.05質量%である。
Agは強度を向上させる。Ag含有量が少なすぎではその効果が充分に得られず、多すぎると特性上に悪影響はないもののその効果が飽和し、コスト高になる。これらの観点から、Agを含有させる場合の含有量は0.005質量%〜0.3質量%とすることが好ましく、0.01〜0.2質量%とすることがより好ましい。
さらに、本発明においては、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)の少なくとも1種を含有することが好ましい。これらの元素は加熱時の脆化を防ぎ熱間加工性を改善するという点で類似の機能を有している。特に、本発明では銅合金線材を細径化して用いるが、素材に脆化した部分が内在している場合には細径にまで伸線加工ができないため、これらの元素を含有させることが好ましい。MgないしはMnを含有させる場合には、Mg、Mnの中から少なくとも1種を、合計量として0.01〜0.5質量%含有させることが好ましく、0.05〜0.3質量%含有させることがより好ましい。
Mgの含有量は0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.09〜0.3質量%であることがさらに好ましい。その含有量が少なすぎるとその効果が小さく、多すぎると導電性を劣化させ、さらに冷間加工性を低下させ細径にまで伸線加工ができなくなる。
Mnはその含有量が少なすぎるとその効果が小さく、多すぎても、含有量に見合った効果が得られないばかりでなく、導電性を劣化させ得る。よって、Mnの含有量は0.01〜0.5質量%が好ましく、0.1〜0.35質量%とすることがより好ましい。
さらに、本発明においては亜鉛(Zn)を含有することが好ましい。Znは、加熱による銅合金線材と半田との密着力低下を防止する効果を有する。本発明において、Znを含有させることにより、銅合金線材をその端部において他の導体等と半田接合した際の界面の脆化を著しく改善する。本発明におけるZnの含有量は、0.1〜1.5質量%が好ましく、0.4〜1.2質量%であることがさらに好ましい。その含有量が少なすぎると前記効果がなく、含有量が多すぎると導電率が低下する場合がある。
次いで、本発明に用いられる銅合金線材の製造工程および機械的特性について述べる。
本発明に用いられる銅合金は時効析出型の合金であり、例えば以下のようにしてこの銅合金の線材を得ることができる。まず、本発明で規定する合金組成となるように常法により鋳造して得た鋳塊や該鋳塊から熱間押出、熱間鍛造等で得た丸棒や荒引き線(以下、これらの鋳塊と丸棒、荒引き線とを併せて線材の材料ともいう)に溶体化処理を施し、この溶体化した線材の材料を所定の直径(線径)に伸線加工後、時効熱処理を施す。時効熱処理では、前述のNiSiの析出が生じ、強度の向上および導電率の向上が見られるが、同時に伸線加工で導入された歪の開放が生じるために引張強さ(T)に対する0.2%耐力(Y)の割合(これをY/T比と呼ぶ)が低下する。Y/T比が低下する時効熱処理条件は伸線加工度(η)により異なるが、本発明においては、時効熱処理条件として、350〜550℃で1分〜5時間保持することが好ましい。伸線加工前の線材の材料の直径をD(mm)とし、伸線加工後の線材の直径をD(mm)とすると、伸線加工度はη=2×ln(D/D)で表される。例えば、伸線加工度(η)が0の場合、好ましい時効熱処理温度は450〜550℃であり、また、伸線加工度(η)が0より大きい場合、好ましい時効熱処理温度は380〜500℃である。後者においては、伸線加工度(η)が0より大きく4以下の場合、好ましい時効熱処理温度は400〜500℃であり、さらに、伸線加工度(η)が4より大きい(通常、4より大きく15以下)場合、好ましい時効熱処理温度は380〜480℃である。
本発明においては、このY/T比は0.70〜0.92であり、好ましくは0.72〜0.90である。Y/T比をこの範囲とすることにより、端子圧着時の導体自身の加工硬化を大きくすることができ、圧着部の強度低下が少ない配線用電線導体とすることができる。Y/T比が0.70未満となるような時効熱処理条件では、過時効により強度が低下しており、電線として使用するのに適さない。また、Y/T比が0.92を超える条件では歪の解放が不十分であるため圧着時の導体自身の加工硬化が小さく、時効熱処理上がりの強度が低くなるような成分や製造工程となった場合に、圧着端子の断面減少率が40%以下であっても圧着部の強度低下が大きくなる。
圧着時の断面減少率とは、圧着時にかしめにより断面積が減少した割合であって、圧着前の導体撚り線全体の断面積をA(mm)、圧着後の導体撚り線全体の断面積をA(mm)とすると、(A−A)/Aで表される。断面減少率が40%を超えると、Y/T比にかかわらず絶対強度の低下が大きくなる傾向があるため、圧着端子の断面減少率は好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。また、圧着時の断面減少率が5%を下回ると、端子のかしめ部より導体部が抜けやすく、本来の目的である電気的な接合が不十分となるため、圧着時の断面減少率は好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である。
なお、本発明は、前記線材の材料を伸線加工後、撚線工程を経た後に時効熱処理を行っても良い。さらに、撚線工程後であって時効熱処理前に圧縮工程を追加しても良い。また、時効熱処理後に圧縮を行っても良いが、その場合は、圧着の断面減少率は圧縮における断面減少も加味して40%以下となるようにすることが好ましい。
また、加工硬化指数(以下、n値と呼ぶ)は加工性を表す値であり、降伏点以上の塑性域における応力σとひずみεとの関係(曲線)をσ=Cε(Cは係数)で近似させた時の指数nのことである。このn値が大きい方が歪の分布が平均化されやすい。本発明では、鋭意検討の結果、本合金系においては、上記Y/T比が0.70〜0.92の範囲を満たし、n値が0.04〜0.17の時に優れた圧着強度が得られることを見出した。
本発明において、前記線材の材料の製造方法に制約は無い。例えば、ビレットの熱間押出、鋳塊の熱間鍛造、あるいは連続鋳造などの製造方法のいずれでも本発明の配線用電線導体を構成する銅合金線材の材料を製造することが可能である。
本発明の配線用電線導体は、電線導体として適しているだけでなく、これに絶縁被覆が設けられた配線用電線としても好適なものとなる。絶縁被覆の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル(PVC)樹脂等が好ましい。また、オレフィン系樹脂に関しては、これらに難燃剤や架橋剤等を添加して難燃性や機械強度等を高めたものとしてもよい。
本発明の配線用電線においては、撚り合わされる導体素線としての銅合金線材の本数やその各素線の直径、また撚り線上に配される絶縁被覆層の層厚については特に制限はなく、配線用電線の用途に応じて適宜決めることができる。例えば、直径0.1〜0.4mmの銅合金線材を7〜100本撚り合わせ、厚さ0.1〜1.0mmの絶縁被覆を設けることができる。
本発明の考え方は、本発明のCu−Ni−Si系以外の時効析出型合金にも適用できる。例えば、強度よりも導電性を重視する場合はCu−Fe系やCu−Cr系などの時効析出型合金を採用しても良い。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
表1の合金成分で示される組成の合金を高周波溶解炉にて溶解し、各ビレットを鋳造した。次に、前記ビレットを900℃で熱間押出して、直ちに水中焼入れを行い、丸棒(直径16mm)を得た。次いで前記丸棒を冷間にて伸線し、直径0.14mmの断面円形状の銅合金線材を得た。丸棒から伸線への伸線加工度(η)は9.5であった(なお、以下の実施例2、比較例、参考例においても伸線加工度は同一であった。)。前記線材を7本撚り合わせ、さらに圧縮して断面積約0.1mmの撚線とした。前記撚線を430℃で2時間時効熱処理を行い、さらに絶縁体(ポリエチレン)で被覆し、長さ1kmの配線用電線を製造した。
このようにして得られた各々の銅合金線材と配線用電線とについて、[1]引張強度、[2]0.2%耐力、[3]圧着強度、[4]n値を下記方法により調べた。各評価項目の測定方法は以下の通りである。
[1]引張強度
JIS Z 2241に準じて、1種の銅合金線材ごとに供試材3本について測定し、その平均値を引張強度(MPa)とした。
[2]0.2%耐力
JIS Z 2241に記載のオフセット法に準じ、0.2%の永久伸びが生じる時の応力を求めた。1種の銅合金線材ごとに供試材3本について測定し、その平均値を0.2%耐力(MPa)とした。
[3]端子圧着強度
得られた配線用電線を常法により圧着端子に接続し、電線と端子とを掴んで引張試験を行い、破断が生じた時の強度を求めた。圧着の断面減少率は20%とした。なお、実用上、圧着強度が50N未満であると、配線時または配線後に断線が生じる可能性が高くなる。
[4]n値
上記[3]の引張試験で得られた応力−歪線図を真応力−真歪線図に変換し、その傾きからn値を読み取った。
結果を表1に示す。いずれも、Y/T比は0.70以上0.92以下で、n値は0.04以上0.17以下であり、圧着強度として実用上差し支えない50N以上が得られている。
Figure 2009154239
(実施例2)
表1の本発明例4および11について、圧着の断面減少率を10、20、30、40%とした時の圧着強度の結果を表2に示す。圧着の断面減少率が増加するにつれ、圧着強度の低下が見られるが、いずれも圧着強度として実用上差し支えない50N以上が得られている。
Figure 2009154239
(比較例、参考例)
表3は、表1の本発明例4および11について、撚線加工後の時効熱処理条件を以下のようにそれぞれ変えて、Y/T比を0.93および0.69で、かつ、n値をそれぞれ0.03、0.18と、いずれも本発明の範囲外とした比較例と、並びに圧着の断面減少率を50%、60%にしたときの参考例を、それぞれ試験結果とともに示すものである。前記時効熱処理条件は、比較例1〜4では390℃で2時間であり、比較例5〜8では500℃で2時間であった。
Y/T比が0.93の例(比較例1〜4)では、圧着の断面減少率が10〜30%までは本発明例と変わらない圧着強度が得られているが、40%では断面積低下による絶対強度の低下が大きくなり50Nを下回っている。また、Y/T比が0.69の例(比較例5〜8)では、圧着の断面減少率が10、20%までは圧着強度は50N以上が得られているが、30、40%では50Nを下回っている。
なお、圧着の断面減少率が50%、60%である参考例1〜4を併せて示すが、これらはいずれも圧着強度が50Nを下回っている。
Figure 2009154239
(従来例)
表4に従来例をそれぞれ試験結果とともに示す。
従来例は以下の工程で製造した。すなわち、従来例1、2は軟銅(タフピッチ銅)を、従来例3、4は表4の合金成分で示される組成の合金について、特許文献1の段落0032に記載された方法により連続鋳造圧延装置にて荒引き線を製造し、次いで冷間にて伸線し、直径0.14mmの素線を得た。前記素線を7本撚り合わせ、さらに圧縮して断面積約0.1mmの撚線を得て、さらに絶縁体(ポリエチレン)で被覆して配線用電線とした。前記撚線を通電加熱装置で焼鈍を行ったものを従来例1および3、焼鈍を行っていないものを従来例2および4とした。
各特性の測定は、前述の[1]〜[4]と同じ方法とした。従来例では、いずれも圧着強度は50N未満であり、実用的ではない。
Figure 2009154239
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2008年6月17日に日本国で特許出願された特願2008-157599に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

Claims (8)

  1. Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金線材を複数本撚り合わせてなる配線用電線導体であって、前記銅合金線材の0.2%耐力と引張強さの比が0.70以上0.92以下であり、かつ加工硬化指数が0.04以上0.17以下であることを特徴とする配線用電線導体。
  2. Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、さらにSnを0.005〜1.0質量%、Feを0.005〜0.2質量%、Crを0.005〜0.2質量%、Coを0.05〜2質量%、Pを0.005〜0.1質量%、Agを0.005〜0.3質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金線材を複数本撚り合わせてなる配線用電線導体であって、前記銅合金線材の0.2%耐力と引張強さの比が0.70以上0.92以下であり、加工硬化指数が0.04以上0.17以下であることを特徴とする配線用電線導体。
  3. 前記銅合金線材の組成が、Mnを0.01〜0.5質量%、Mgを0.05〜0.5質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の配線用電線導体。
  4. 前記銅合金線材の組成が、さらにZnを0.1〜1.5質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線用電線導体。
  5. 断面積が0.03〜0.13mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線用電線導体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線用電線導体が、その周囲に絶縁被覆を有してなることを特徴とする配線用電線。
  7. Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金を鋳造し、得られた鋳塊又はそれから得た丸棒に溶体化処理を施し、これを所定の線径に伸線加工して銅合金線材を得て、該銅合金線材を複数本撚り合わせ、さらに圧縮した後、350〜550℃で、1分〜5時間時効焼鈍を行う各工程を含んでなることを特徴とする配線用電線導体の製造方法。
  8. Niを1.0〜4.5質量%、Siを0.2〜1.1質量%含有し、さらにSnを0.005〜1.0質量%、Feを0.005〜0.2質量%、Crを0.005〜0.2質量%、Coを0.05〜2質量%、Pを0.005〜0.1質量%、Agを0.005〜0.3質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金を鋳造し、得られた鋳塊又はそれから得た丸棒に溶体化処理を施し、これを所定の線径に伸線加工して銅合金線材を得て、該銅合金線材を複数本撚り合わせ、さらに圧縮した後、350〜550℃で、1分〜5時間時効焼鈍を行う各工程を含んでなることを特徴とする配線用電線導体の製造方法。
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