JPWO2009148163A1 - 膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩剤 - Google Patents

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Abstract

[要約][課題] 膀胱排尿筋の収縮増強作用および尿道括約筋の弛緩作用を併せ持ち、排尿効果が強く、かつ安全性が高い、優れた低活動膀胱の予防、治療および/または症状改善剤を提供すること。[解決手段] 一般式(I)で示される化合物は、膀胱排尿筋の収縮増強および尿道括約筋の弛緩作用を有するので、膀胱収縮障害および尿道弛緩障害を改善し、低活動膀胱予防および/または治療剤として有効である。さらに、一般式(I)で示される化合物は、PGE1、PGE2、EP1アゴニストあるいはEP3アゴニストによる膀胱刺激症状等の副作用を誘発しない。以上のことから、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、安全性が高く、極めて優れた低活動膀胱の予防、治療および/または症状改善剤として有用である。[選択図] なし

Description

本発明は、一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物を含有してなる膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩剤、ならびに膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害の予防、治療および/または症状改善剤に関する。
近年、十分な排尿収縮ができず、膀胱を完全に空にできない(Incomplete bladder emptying)症状に関し、低活動膀胱という新しい概念が提唱されている。
低活動膀胱は、膀胱収縮障害、すなわち膀胱排尿筋の収縮力が低下(排尿筋低活動)している病態、あるいは尿道弛緩障害(下部尿路通過障害)、すなわち尿道括約筋の弛緩が不十分な病態と膀胱収縮障害との合併によるものであり、その要因によって、神経因性の低活動膀胱、筋原性の低活動膀胱、薬剤性の低活動膀胱、加齢による低活動膀胱、およびその他の要因による低活動膀胱(例えば、下部尿路閉塞、感染、ストレス等による低活動膀胱)に分類される。
神経因性の低活動膀胱の原因疾患としては、糖尿病、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、ギラン・バレー症候群または帯状疱疹による末梢神経炎等の末梢神経障害、核上型の脊髄損傷、脊髄腫瘍、頚椎症、脊髄血管障害、二分脊椎、脊髄髄膜瘤または脊髄係留症候群(Tethered cord syndrome)等の脊髄疾患、認知症、脳血管障害、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、オリーブ橋小脳萎縮症(Olivopontocerebellar atrophy:OPCA)、シャイ・ドレーガー(Shy-Drager)症候群、脳腫瘍、多発性硬化症、脳外傷または脳炎等の脳疾患等があり、また、骨盤内臓器の手術(子宮癌や直腸癌)による排尿機能を調節する骨盤神経、下腹神経あるいは陰部神経への外科的損傷によっても低活動膀胱が惹き起こされることがある。
筋原性の低活動膀胱は、大部分が原因不明の膀胱排尿筋の活動低下によるものである。
薬剤性の低活動膀胱としては、抗コリン薬、アセチルコリンの放出を抑制する薬剤等による低活動膀胱が挙げられる。
また、一般的に高齢者では、膀胱活動の低下による排尿障害が見受けられる場合が多く、加齢に伴う低活動膀胱は、高齢化社会における重要な問題のひとつとなっている。
低活動膀胱を引き起こすその他の要因としては、前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症または子宮脱等による下部尿路閉塞、膀胱炎または尿道炎等の感染、またはストレス等が挙げられる。(非特許文献1、2および3参照。)。
低活動膀胱の治療には、現在、膀胱排尿筋の収縮力を増強させる薬剤、または、尿道括約筋を弛緩し、尿道抵抗を減弱させる薬剤が用いられている。膀胱排尿筋の収縮力を増強させる薬剤としては、例えばベタネコール等のコリン作働薬、ジスチグミン等のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬等が使用されている。しかしながら、例えば、ベタネコールは蓄尿期の膀胱排尿筋も収縮させ膀胱の蓄尿機能を損なうと共に、流涙、発汗、胃腸障害、腹痛等の副作用があり、妊婦や、消化性潰瘍、器質的腸管閉塞、喘息、甲状腺機能亢進症等の患者には禁忌であるという問題がある。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬としては、例えば、ジスチグミン、ネオスチグミン等が用いられている。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は排尿時に骨盤神経終末から遊離されるアセチルコリンの作用を増強し排尿時の膀胱排尿筋の収縮を増強するので、排尿の生理機構を考えると優れた薬剤であるが、例えば、ジスチグミンは膀胱排尿筋を収縮させる一方で、その強いニコチン様作用により尿道括約筋も収縮させ、尿道抵抗を増大させるために排尿効率が悪く、臨床での効果が不十分であり、また、高圧排尿の危険性も指摘されている(非特許文献4参照。)。
また、尿道括約筋を弛緩し、尿道抵抗を減弱させる薬剤としては、例えば、タムスロシン、プラゾシン、アルフゾシン、ナフトピジル、ウラピジル等のα1受容体拮抗薬が用いられ、残尿感、夜間頻尿等の自覚症状の改善に効果があることが報告されているが、副作用として起立性低血圧等の降圧作用があるため、その投与には注意が必要であるうえ、低活動膀胱に対して十分な効果があるとの報告はない。
すなわち、現在低活動膀胱の治療に用いられている薬剤は、その効果と安全性の面から臨床上満足して使用できるものではない。そこで、膀胱収縮作用もしくは尿道弛緩作用のみを単独で有する薬剤よりも、効率的な排尿効果が望める膀胱排尿筋の収縮増強作用および尿道括約筋の弛緩作用を併せ持つ薬剤の開発が望まれていた。また、自律神経系に作用のない、安全な薬剤が望まれていた。
ところで、プロスタグランジン(PG)Eは、生理的あるいは薬理的に異なった役割を担うEP1、EP2、EP3またはEP4と呼ばれる4つのPGE受容体サブタイプに結合し、細胞保護作用、子宮収縮作用、発痛作用、消化管の蠕動運動促進作用、覚醒作用、胃酸分泌抑制作用、血圧降下作用、利尿作用等の多彩な生理的、薬理的作用を発揮することが知られている(非特許文献5参照。)。
PGEまたはその受容体が排尿に関与していることについては既にいくつかの報告がある。例えば、尿閉患者に排尿を促進する目的で行うPGEの膀胱内注入療法が有効である報告や(非特許文献6参照。)、抗癌薬であるシクロホスファミドの服用による出血性膀胱炎に対してPGEあるいはPGE膀胱内局所療法が試行され、膀胱炎の重症化防止あるいは止血効果等は認められたが、同時に副作用として膀胱刺激症状が誘発されたという報告がある(非特許文献7参照。)。
さらに、PGEの中でも、EP1受容体あるいはEP3受容体が膀胱痛等の膀胱刺激症状に関与していることが示唆されている。また、EP3アゴニストの投与によって膀胱刺激症状の一つである膀胱容量の減少が起こることが報告されている(非特許文献8、非特許文献9参照および非特許文献10参照。)。
他方、EP2アゴニストとEP3アゴニストを組み合わせてなる医薬が、脊柱管狭窄症の症状を改善するため、脊柱管狭窄症に伴う膀胱障害にも有効であることや(特許文献1参照)、EP3アゴニスト作用を有するEP2アゴニストである一般式(A)
Figure 2009148163
(式中、環Aは窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、さらに置換基を有していてもよい5または6員環状基を、XおよびYはそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を、Dは置換基を有していてもよい炭化水素基を、Eは結合手、酸素原子または酸化されていてもよい硫黄原子を、Gは結合手、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を、Jは保護されていてもよい酸性基を、Wは置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。)で示される化合物が、馬尾神経圧迫に起因する膀胱障害に対し、馬尾神経組織の血流を改善することで、有効性を示すことが開示されている(特許文献2参照。)。
さらに、EP3アゴニスト作用を有するEP2アゴニストとして、一般式(B)
Figure 2009148163
(式中、E1Bは酸素原子または酸化されていてもよい硫黄原子を、Rは水素原子またはC1−8の脂肪族炭化水素基を、R1Bは水素原子またはC1−4の脂肪族炭化水素基を、R2Bは置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。)で示される化合物が、神経再生または保護作用を有することが報告されている(特許文献3参照。)。
しかしながら現在まで、一般式(I)で示される化合物が、膀胱排尿筋および尿道括約筋に作用し、膀胱排尿筋の収縮力を高め、他方、尿道括約筋は弛緩させること、さらにこの両方の作用によって、膀胱収縮障害や尿道弛緩障害を改善しうること、またさらに、例えば、筋原性、薬剤性、加齢等による低活動膀胱に対して有効性を示すことは、何処にも記載も示唆もされていない。
国際公開第2004/089411号パンフレット 国際公開第2005/053707号パンフレット 国際公開第2006/129788号パンフレット
ナーシング スタンダード(Nursing Standard), 2005 May 11-17;19(35): 57-64; quiz 66-7. 難治性・慢性排尿障害の実際、ウロロジー・ビュー(Urology View),2巻,5号,57-65頁,2004年刊 下部尿路機能に関する用語基準:国際禁制学会標準化部会報告,日本排尿機能学会誌,第14巻第2号,104-118頁,平成15年12月20日発行 神経因性膀胱の診断と治療 第2版,医学書院,105-106頁,139頁,1990年刊 ジャーナル リピッド メディエーターズ セル シグナリング(Journal Lipid Mediators Cell Signaling),12巻,379-391頁,1995年刊 ヨーロピアン・ウロロジー(Eur. Urol.),4巻,5号,366頁,1978年刊 臨床血液,36巻,8号,728頁,1995年刊 メディカル サイエンス ダイジェスト(Medical Science Digest),30巻,8号,38-41頁,2004年刊 ザ ジャーナル オブ ウロロジー(The Journal of Urology),172巻,1166-1170頁,2004年刊 アメリカン ジャーナル オブ フィジオロジー−リーナルフィジオロジー(American Journal of Physiology-Renal Physiology),295巻,F507-F514頁,2008年刊
従来、低活動膀胱の治療に用いられていたコリン作働薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、α1受容体拮抗薬は、その作用メカニズムとして、膀胱排尿筋の収縮力を増強させるか、あるいは尿道括約筋を弛緩させるか、いずれか一方の作用しかないため、臨床での効果が不十分であった。また、これらの薬剤は自律神経系に作用するため、膀胱以外の臓器での副作用の発現も指摘されていた。
このような状況を鑑み、排尿に関与する平滑筋、とりわけ膀胱排尿筋および尿道括約筋に作用し、膀胱排尿筋の収縮力を高め、他方、尿道括約筋は弛緩させうる、十分な治療効果を示し、かつ安全性の高い薬物の開発が切望されていた。
本発明者らは鋭意研究した結果、EP2アゴニストおよびEP3アゴニスト作用を有する一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物が、膀胱排尿筋と尿道括約筋という二つの平滑筋に作用し、一方では膀胱排尿筋の収縮を増強させ、他方では尿道括約筋を弛緩させるという驚くべき二つの作用を有しており、膀胱収縮障害と尿道弛緩障害のいずれをも改善する、非常に高い排尿効果を示し、かつ安全性の高い低活動膀胱治療剤として提供しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、Rは水素原子またはC1−4アルキルを表わし、Rは水素原子またはC1−4アルキルを表わし、Rは置換基を有していてもよいC1−8脂肪族炭化水素基を表わし、
Figure 2009148163
はα−配置を表わし、
Figure 2009148163
はβ−配置を表わし、
Figure 2009148163
は、α−配置、β−配置またはそれらの任意の混合物であることを表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物を含有する膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩剤、
2. Rが、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−8アルキルまたはハロゲン原子で置換されていてもよいC2−8アルケニルである前記1記載の剤、
3. 化合物が、
(1)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4R)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−デセン−5−イン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
(2)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4S)−4−ヒドロキシ−7−メチル−1,7−オクタジエン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
(3)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4S)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ノネン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
(4)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1,7−オクタジエン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、または
(5)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−9−フルオロ−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ノネン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸である前記2記載の剤、
4. 膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害の予防、治療および/または症状改善剤である前記1記載の剤、
5. 膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害が、低活動膀胱である前記4記載の剤、
6. 低活動膀胱が、膀胱排尿筋の活動低下、前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症、子宮脱、膀胱炎、尿道炎、抗コリン薬、アセチルコリンの放出を抑制する薬剤、ストレスまたは加齢に起因する低活動膀胱である前記5記載の剤、
7. 低活動膀胱が、抗コリン薬、アセチルコリンの放出を抑制する薬剤または加齢に起因する低活動膀胱である前記6記載の剤、
8. さらに、α1受容体拮抗薬およびアセチルコリンエステラーゼ阻害薬から選択される一種以上を含有する前記4記載の剤、
9. 一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、すべての記号は前記1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩方法、
10. 一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、すべての記号は前記1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害の予防、治療および/または症状改善方法、
11. 膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩剤を製造するための一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、すべての記号は前記1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の使用、
12. 膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害の予防、治療および/または症状改善剤を製造するための一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、すべての記号は前記1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の使用、
13. 膀胱排尿筋を収縮させ、かつ尿道括約筋を弛緩させるための一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、すべての記号は前記1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物、および
14. 膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害を予防、治療および/または症状改善するための一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、すべての記号は前記1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物に関する。
一般式(I)
Figure 2009148163
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、膀胱排尿筋の収縮力を高め、他方、尿道括約筋は弛緩させるので、膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害を改善し、非常に効力の強い低活動膀胱予防および/または治療剤として有効である。また、低活動膀胱における種々の症状の改善剤としても有効である。
さらに、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、PGE、PGE、EP1アゴニストあるいはEP3アゴニスト投与時にみられた膀胱痛や膀胱容量減少等の膀胱刺激症状を誘発しない。例えば、本発明化合物は、EP3アゴニスト作用を有するにもかかわらず、膀胱収縮障害または残尿量増加を改善する投与用量において、EP3アゴニスト投与時に誘発された膀胱容量の減少を誘発しない。以上のことから、本発明化合物は非常に安全性が高い。
2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1,7−オクタジエン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(該化合物は、国際公開第2006/129788号の実施例32記載の化合物であり、以下、化合物Aとする。)投与による膀胱排尿筋の収縮を示す。 化合物A投与による尿道括約筋の弛緩を示す。 薬剤性低活動膀胱モデルラットにおける、塩酸オキシブチニン投与前(baseline)、塩酸オキシブチニン投与後(オキシブチニン)および化合物A投与後(化合物A)の残尿率を示す。 薬剤性低活動膀胱モデルラットにおける、塩酸オキシブチニン投与前(baseline)、塩酸オキシブチニン投与後(オキシブチニン)および化合物A投与後(化合物A)の排尿圧を示す。 加齢による低活動膀胱モデルラットにおける、化合物A投与前、および化合物A投与後の残尿率を示す。 加齢による低活動膀胱モデルラットにおける、化合物A投与前、および化合物A投与後の排尿圧を示す。 低活動膀胱モデルにおける、化合物A投与前、および化合物A投与後の残尿量(上段)と膀胱容量(下段)を示す。
本明細書中、「C1−4アルキル」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられる。
における「C1−8の脂肪族炭化水素基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等のC1−8アルキル;ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタジエニル、オクタジエニル、ヘキサトリエニル、ヘプタトリエニル、オクタトリエニル等のC2−8アルケニル;エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ブタジイニル、ペンタジイニル、ヘキサジイニル、ヘプタジイニル、オクタジイニル、ヘキサトリイニル、ヘプタトリイニル、オクタトリイニル等のC2−8アルキニル等が挙げられる。
ここで、Rにおける「C1−8の脂肪族炭化水素基」は1〜5個の置換基で置換されていてもよく、置換基の数が2以上の場合、それぞれの置換基は同一であってもよいしまたは異なっていてもよい。「C1−8の脂肪族炭化水素基」の置換基としては、例えば、C3−8炭素環基、ハロゲン原子等が挙げられる。
「C3−8炭素環基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のC3−8シクロアルキル;シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル等のC3−8シクロアルケニル;フェニル等が挙げられる。
「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
としては、C1−4アルキルが好ましく、特にメチルが好ましい。
としては、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−8アルキルまたはハロゲン原子で置換されていてもよいC2−8アルケニルが好ましい。さらに好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC3−8アルキルまたはハロゲン原子で置換されていてもよいC3−8アルケニルが好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
さらに、Rとしては、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい
Figure 2009148163
(基中、矢印はRと結合する炭素原子と結合することを表わす。)が好ましい。
本明細書においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように記号
Figure 2009148163
は紙面の向こう側(すなわちα−配置)に結合していることを表わし、
Figure 2009148163
は紙面の手前側(すなわちβ−配置)に結合していることを表わし、
Figure 2009148163
は、α−配置、β−配置またはそれらの任意の混合物であることを表わす。
一般式(I)で示される化合物においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R体、S体、α配置、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D体、L体、d体、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて一般式(I)で示される化合物に含まれる。
塩は、水溶性のものが好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩や酸付加塩が挙げられる。
酸付加塩は水溶性であることが好ましい。適当な酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。
さらに塩には、四級アンモニウム塩も含まれる。四級アンモニウム塩とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、R基によって四級化されたものを表わす。
基は、フェニル基によって置換されていてもよいC1−8アルキル基を表わす。
一般式(I)で示される化合物およびそれらの塩は、任意の方法で溶媒和物に変換することもできる。
溶媒和物は低毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)の溶媒和物が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物は任意の方法でN−オキシドにすることができる。N−オキシドとは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表わす。
一般式(I)で示される化合物は任意の方法でS−オキシドにすることができる。S−オキシドとは、一般式(I)で示される化合物の硫黄原子が、酸化されたものを表わす。S−オキシドにはS,S−ジオキシドも含まれる。
また、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシドまたはその溶媒和物のプロドラッグとは、生体内において酵素や胃酸等による反応により一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシドまたはその溶媒和物に変換される化合物をいう。一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシドまたはその溶媒和物のプロドラッグとしては、一般式(I)で示される化合物の水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例、一般式(I)で示される化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物がカルボキシ基を有する場合、該カルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例、一般式(I)で示される化合物のカルボキシ基がメチルエステル化、エチルエステル化、プロピルエステル化、イソプルピルエステル化、ブチルエステル化、イソブチルエステル化、tert−ブチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、1−{(エトキシカルボニル)オキシ}エチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、1−{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}エチルエステル化、メチルアミド化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは溶媒和物および非溶媒和物のいずれであってもよい。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163〜198頁に記載されているような、生理的条件で、一般式(I)で示される化合物に変化するものであってもよい。さらに、一般式(I)で示される化合物は同位元素(例えばH、14C、35S、125I等)等で標識されていてもよい。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシドまたはその溶媒和物またはそのプロドラッグは、α−、β−あるいはγ−シクロデキストリン、あるいはこれらの混合物を用いて、特公昭50−3362号、同52−31404号または同61−52146号明細書記載の方法を用いることによりシクロデキストリン包接化合物に変換することができる。シクロデキストリン包接化合物に変換することにより、安定性が増大し、また水溶性が大きくなるため、薬剤として使用する際好都合である。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物はすべて好ましい。より好ましくは、国際公開第2005/053707号パンフレットおよび国際公開第2006/129788号パンフレットに具体的に記載された化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物が挙げられ、中でも
(1)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4R)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−デセン−5−イン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
(2)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4S)−4−ヒドロキシ−7−メチル−1,7−オクタジエン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
(3)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4S)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ノネン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
(4)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1,7−オクタジエン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
(5)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−9−フルオロ−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ノネン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物が特に好ましい。
[一般式(I)で示される化合物の製造方法]
一般式(I)で示される化合物は、公知の方法、例えば、特開昭52−27753号明細書、特開昭55−100360号明細書、国際公開第2005/053707号パンフレット、国際公開第2006/129788号パンフレット、Synlett 2002, No.1, 239-242またはComprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition (Richard C. Larock, John Wiley & Sons Inc, 1999)に記載された方法等を適宜改良し、組み合わせて用いることで製造することができる。
[毒性]
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、PGE、PGE、EP1アゴニストあるいはEP3アゴニストを投与した際に観察される膀胱痛や膀胱容量減少等の膀胱刺激症状を誘発しない。例えば、本発明化合物は、EP3アゴニスト作用を有するにもかかわらず、膀胱収縮障害または残尿量増加を改善する投与用量において、選択的EP3アゴニスト投与時に見られた膀胱容量の減少を誘発させない。また、子宮収縮作用、発痛作用、消化管の蠕動運動促進作用、覚醒作用、胃酸分泌抑制作用、血圧降下作用等の副作用も観察されないので、極めて高い安全性を有するものである。さらに、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、膀胱排尿筋および尿道括約筋に作用し、α1受容体拮抗薬やアセチルコリンエステラーゼ阻害薬等の既存薬で観察されるような自律神経作用による副作用もない。
[医薬品への適応]
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、膀胱排尿筋と尿道括約筋という、排尿に関係する二つの平滑筋に対して作用し、膀胱排尿筋の収縮力を高め、他方、尿道括約筋を弛緩させるという特徴を有するものである。一般的に、平滑筋に直接作用する薬物は、収縮を促すものであれば何処の平滑筋に対しても収縮を、弛緩を促すものであれば何処の平滑筋に対しても弛緩を誘導するものであり、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物のように、ある平滑筋には収縮を促し、同時に別の平滑筋には弛緩を促すという薬物は類を見ない。一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、この優れた特性をもって、例えば、筋原性(膀胱排尿筋の活動低下等);下部尿路閉塞(前立腺肥大症、先天的および後天的な膀胱頚部硬化症、子宮脱等);感染(膀胱炎、尿道炎);薬剤性(抗コリン薬、アセチルコリンの放出を抑制する薬剤);心因性(ストレス);加齢等のいかなる原因によって引き起こされる膀胱収縮障害および尿道弛緩障害をも改善することができる。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、排尿に関与する平滑筋、とりわけ膀胱排尿筋および尿道括約筋に作用して、膀胱排尿筋の収縮力を高め、他方、尿道括約筋は弛緩させるので、膀胱収縮障害および尿道弛緩障害を改善し、低活動膀胱予防および/または治療剤として有効である。また、低活動膀胱における種々の症状、例えば、尿勢低下、尿線分割、尿線途絶、排尿遅延、腹圧排尿、残尿感、溢流性尿失禁、尿閉および/または終末滴下の改善剤としても有効である。中でも、尿線分割、尿線途絶、腹圧排尿、残尿感、溢流性尿失禁および/または終末滴下の改善剤として有効である。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物を後に投与してもよく、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩効果を補完および/または増強するための他の薬剤としては、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例えば、ジスチグミン、ネオスチグミン等)またはα1受容体拮抗薬(例えば、タムスロシン、プラゾシン、アルフゾシン、ナフトピジル、ウラピジル等)等が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物と他の薬剤の重量比は特に限定されない。
他の薬剤は、任意の同種のまたは異種の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
また、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物、または、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、用いる薬物によっても異なるし、また、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等によっても異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1ngから100mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから10mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物、または一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤およびスプレー剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤等が挙げられる。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤、または吸入用液剤が挙げられ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カルボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常、粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、ACD/Nameバッチ(登録商標)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。例えば、
Figure 2009148163
は、2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1,7−オクタジエン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸と命名された。
[生物学的実施例]
(1)各種プロスタノイド受容体に対するアゴニスト活性の測定
各種プロスタノイド受容体をそれぞれ強制発現させたCHO細胞(以下、それぞれEP1−CHO、EP2−CHOおよびEP3−CHOと略記する。)を用いて、EP1およびEP3については細胞内カルシウム濃度、EP2については細胞内サイクリックAMP(以下、cAMPと略記する。)産生量を指標に、各種プロスタノイド受容体に対する被検化合物のアゴニスト作用を検討した。
<化合物処理>
被検化合物および対照物質(PGE)は、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:以下、DMSOと略記する。)にて溶解し、測定系での最終濃度に対する200倍濃度DMSO溶液を調製した。これらの200倍濃度のDMSO溶液を測定培地もしくは測定用緩衝溶液にて希釈して実験に供した。
<細胞培養>
各種プロスタノイド受容体強制発現細胞は、非働化(56℃、30分)した10%透析ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミンを含むα−MEM培地を用いて、5%CO存在下、37℃で静置培養した。継代培養は以下の方法で行なった。
培地を除去し、Ca2+およびMg2+を含まないリン酸緩衝生理食塩水で2回細胞洗浄した。適量のトリプシン−EDTAを加え、37℃で約3分間インキュベーションし、細胞を剥離後、トリプシン−EDTAの10倍容量の培地を加え酵素反応を停止させた。遠心管に細胞を回収し、200g、3分間室温で遠心分離した後、上清を除去した。細胞を適量の培地に懸濁し、培養フラスコに播種した。また、細胞内シグナル測定用として、EP2−CHOは24穴プレートに、1ウェルあたり1.0 x 105 個の細胞数となるように播種し、EP1−CHOおよびEP3−CHOは96穴UVプレートに、1ウェルあたり1.0×104個の細胞数となるよう播種した。
(1−1)EP2アゴニスト活性測定(cAMP濃度の測定)
上記24穴プレートの各ウェルから培地を除去して、MEM培地(500μL)にて細胞洗浄後、1%ウシ血清アルブミンおよびジクロフェナク(2μmol/L)を含むMEM培地(500μL)を添加し、37℃で約10分間インキュベーションした。培地を除去後、測定培地(3−イソブチル−1−メチルキサンチン(1mmol/L)、1%ウシ血清アルブミンおよびジクロフェナク(2μmol/L)を含むMEM培地(450μL))を添加し、37℃で約10分間インキュベーションした。種々の濃度のアゴニストを含む測定培地(50μL)を添加し、37℃で10分間反応させた。なお、培地類はあらかじめ37℃で保温したものを用いた。氷冷した10%トリクロロ酢酸(500μL)を添加することで反応を停止させ、−80℃で凍結させた。凍結させた反応液を室温で解凍し、スクレイパーで細胞を剥離した。反応液を回収し、cAMP量測定まで−80℃で凍結保存した。
−80℃で凍結した反応液を室温で解凍後、4℃、16000gで3分間遠心分離し、上清を回収した。これにトリ−n−オクチルアミン(0.5mol/L)を含むクロロホルム溶液を1mL加えて攪拌し、静置した。得られた上清をcAMP−EIAキット(GE healthcare社)を用い、キットに添付される説明書に準じてcAMP濃度を測定した。
(1−2)EP1およびEP3アゴニスト活性測定(細胞内カルシウム濃度測定)
上記96穴UVプレートの各ウェルから培地を除去した後、各ウェルにfura 2−AM(5μmol/L)、プロベネシド(2.5mmol/L)、インドメタシン(20μmol/L)およびHEPES(10mmol/L)を含む培地(100μL)を加え、COインキュベーター内で約60分間インキュベーションした。インキュベーション終了後、培地を除去し、測定用緩衝溶液(1%ウシ血清アルブミン、インドメタシン(2μmol/L)、プロベネシド(2.5mmol/L)およびHEPES−NaOH(pH7.4、10mmol/L)を含有したハンクス平衡塩溶液)にて2回細胞洗浄した。各ウェルに測定用緩衝溶液を添加し、COインキュベーター内で30分静置し安定化させた。
96穴UVプレートを蛍光分光光度計(FDSS-3000、浜松ホトニクス)にセットし、細胞内カルシウム濃度の測定をした。細胞内カルシウム濃度測定は、細胞に340nm、380nmの励起光を交互に照射し、500nmの蛍光強度を測定することで行った。
<結果>
以上の方法から得られた測定値を用いて、被検化合物のラットEP1、ラットEP2およびラットEP3受容体に対するアゴニスト活性の指標としてEC50値を算出した。
例えば、化合物A、2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4S)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ノネン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(該化合物は、国際公開第2006/129788号の実施例17(1)記載の化合物であり、以下、化合物Bとする。)および2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−9−フルオロ−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ノネン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(該化合物は、国際公開第2006/129788号の実施例18(12)記載の化合物であり、以下、化合物Cとする。)の結果を表1に示す。
Figure 2009148163
以上の通り、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は強いEP2およびEP3アゴニスト作用を有し、EP1アゴニスト作用を示す濃度はEP2およびEP3アゴニスト作用を示す濃度と十分に乖離していた。
したがって、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、EP2およびEP3に選択的に作用し、EP1アゴニスト作用による膀胱刺激作用と乖離しているため、PGEあるいはPGEにみられた膀胱刺激症状等の副作用がなく、安全性の高い低活動膀胱の予防、治療および/または症状改善剤となることが示唆された。
(2)膀胱排尿筋の収縮作用および尿道括約筋の弛緩作用の測定
<摘出標本の作製>
ラットをペントバルビタールで麻酔し、腹部を切開して、膀胱および尿道を摘出した。膀胱は体部を縦方向に切断し、約10×3mmの短冊状の標本を作製した。また、尿道についても約10×3mmの標本を作製した。作製した標本は、混合ガス(95%O、5%CO)で通気したクレブス緩衝液(37℃、5mL)中に懸垂した。標本の張力は、等尺性トランスデューサーおよびアンプを装備したマグヌス装置システムを用い、データ収集システムを介してコンピューター上に記録した。
<膀胱に対する作用測定>
標本を約0.5gの負荷で懸垂し、1時間以上経過した後、塩化カリウム(100mmol/L)を添加し、最大収縮反応を観察した。クレブス緩衝液で洗浄後、標本を約0.5gの負荷で懸垂し、安定化させた。その後に、塩化カリウム溶液(7.5mmol/L)を添加し、収縮を惹起した。惹起反応が安定した後に、被検化合物を累積添加し、薬物処置前後の反応を測定した。
<尿道に対する作用測定>
標本を約0.5gの負荷で懸垂し、1時間以上経過した後、塩化カリウム(100mmol/L)を添加し、最大収縮反応を観察した。クレブス緩衝液で洗浄後、標本を約0.5gの負荷で懸垂し、安定化させた。その後に、フェニレフリン(100μmol/L)を用い、収縮を惹起した。惹起反応が安定した後に、被検化合物を累積添加し、薬物処置前後の反応を測定した。
<結果>
結果を図1および図2に示す。
化合物Aは、膀胱排尿筋を収縮させ、尿道括約筋を弛緩させた。また、化合物Bも同様の作用を示した。以上のことから、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、膀胱および尿道に作用して、膀胱収縮障害および尿道弛緩障害を改善し、低活動膀胱に有効であることが示唆された。
(3)前立腺肥大モデルラットに抗コリン薬を投与することで惹起される残尿量増加および排尿圧低下に対する作用の測定
<モデル動物の作製およびカテーテルの留置>
雄性SD系ラット(9週齢)にプロピオン酸テストステロン(3mg/kg/day)を連日2週間皮下投与して前立腺肥大モデルラットを作製した。ペントバルビタールナトリウム(40mg/kg、腹腔内投与)で麻酔し、下腹部正中切開後、膀胱の頂部を切開した。生理食塩液で満たした膀胱内圧測定用カテーテルを頂部孔より膀胱内に挿入し、絹製縫合糸を用いて結紮固定した。カテーテルの他端は、背部皮下で固定し、さらに、腰背部および下腹部の切開部を絹製縫合糸で縫合した。ビクシリンS500(明治製菓、10mg力価/0.1mL蒸留水/ラット)を、殿部の筋肉内に注入し、7日間以上飼育してからシストメトリーを行った。
<シストメトリーの準備>
ラットをエーテルで麻酔し、ボールマンケージに収容した。膀胱カテーテルの先端に三方活栓を介して圧トランスデューサーを接続し、ひずみ圧力用アンプ・レコーダを用いて膀胱内圧を記録した。三方活栓の他端は、インフュージョンポンプに装着した膀胱内注入用シリンジに接続し、もう一端は生理食塩液を満たした延長チューブと接続し、残尿の排出に使用した。処置を施したラットを麻酔から覚めるまで静置した。
<実験方法>
ラットの膀胱内を生理食塩液で2.8mL/hの速度で灌流し、排尿直後に灌流を停止して残尿を除去する操作を繰り返した(シングルシストメトリー)。塩酸オキシブチニン(10mg/kg、皮下注射)投与2−3分後からシングルシストメトリーを1または2回行った後、被検化合物(0.3mg/kg)を経口投与した。経口投与10分以上経過後にさらにシングルシストメトリーを1または2回行った。それぞれのシングルシストメトリー時の残尿率(残尿量/膀胱容量×100)および排尿圧を算出し、塩酸オキシブチニン投与前(baseline)、塩酸オキシブチニン投与後、被検化合物投与後の値を比較した。
<結果>
結果を図3および図4に示す。
化合物Aは、塩酸オキシブチニン投与により増加した残尿率、および低下した排尿圧を改善させた。以上の結果から、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、薬剤性の低活動膀胱予防および/または治療剤として有効であることが示唆された。
(4)尿排出障害を合併する老齢ラットの残尿量および排尿圧に対する作用の測定
<モデル動物の作製およびカテーテルの留置>
雌性Wistar系ラット(32ヶ月齢)を用いた。ペントバルビタールナトリウム(40mg/kg、腹腔内投与)で麻酔し、下腹部正中切開後、膀胱の頂部を切開した。生理食塩液で満たした膀胱内圧測定用カテーテルを頂部孔より膀胱内に挿入し、絹製縫合糸を用いて結紮固定した。カテーテルの他端は、背部皮下で固定し、さらに、腰背部および下腹部の切開部を絹製縫合糸で縫合した。ビクシリンS500(明治製菓、10mg力価/0.1mL蒸留水/ラット)を、殿部の筋肉内に注入し、7日間以上飼育してからシストメトリーを行った。
<シストメトリーの準備>
ラットをエーテルで麻酔し、ボールマンケージに収容した。膀胱カテーテルの先端に三方活栓を介して圧トランスデューサーを接続し、ひずみ圧力用アンプ・レコーダを用いて膀胱内圧を記録した。三方活栓の他端は、インフュージョンポンプに装着した膀胱内注入用シリンジに接続し、もう一端は生理食塩液を満たした延長チューブと接続し、残尿の排出に使用した。処置を施したラットを麻酔から覚めるまで静置した。
<実験方法>
ラットの膀胱内を生理食塩液で2.8mL/hの速度で灌流し、灌流開始2時間経過後の排尿直後に灌流を停止して残尿を除去した(シストメトリー)。シストメトリー時の残尿率(残尿量/膀胱容量×100)が10%以上であった個体に、被検化合物(0.1 mg/kg)を経口投与した。経口投与30分経過後にシストメトリーを開始し、灌流開始2時間経過後の排尿直後に灌流を停止して残尿を除去した。それぞれのシストメトリー時の残尿率および排尿圧を算出し、被検化合物の投与前と投与後の値を比較した。
<結果>
結果を図5および6に示す。
化合物Aは、老齢ラットの残尿率を明らかに低下させ、排尿圧を増加させる傾向を示した。以上の結果から、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、加齢による低活動膀胱予防および/または治療剤として有効であることが示唆された。
(5)低活動膀胱モデルにおける残尿量および膀胱容量測定
<モデル動物の作製およびカテーテルの留置>
低活動膀胱モデルは、以下の方法により作製した。雌性Wistarラット(8−9週齢)を、ソムノペンチル(40mg/kg)の腹腔内投与により麻酔し、背部を除毛後、腹臥位に固定した。背部をグルコン酸クロルヘキシジン(5%ヒビテン液)にて消毒後、腰部を正中に沿って切開し脊椎を露出させた。第5腰椎棘突起の切除後、ミニドリルにてあけた穴より、第6腰椎方向へシリコンラバーを挿入した。感染症の回避を目的として、手術終了時にベンジルペニシリンカリウムを開創部に滴下(25000U/0.25 mL/body)した。開創部の筋肉および皮膚を、絹製縫合糸を用いて縫合し、ヨードチンキを縫合部に塗布した。術後は、1日3回の手圧排尿による排尿メンテナンスを行い、感染を防ぐためペニシリンGカリウム(1.25万単位/body)を皮下投与した。シストメトリー評価の5日以上前に膀胱内圧測定用のカテーテルを膀胱内に留置した。ペントバルビタールナトリウム(40mg/kg、腹腔内投与)で麻酔し、下腹部正中切開後、膀胱の頂部を切開した。生理食塩液で満たした膀胱内圧測定用カテーテルを頂部孔より膀胱内に挿入し、絹製縫合糸を用いて結紮固定した。カテーテルの他端は、背部皮下で固定し、さらに、腰背部および下腹部の切開部を絹製縫合糸で縫合した。ビクシリンS500(明治製菓、10mg力価/0.1mL蒸留水/ラット)を、殿部の筋肉内に注入した。
<シストメトリーの準備>
モデル作製2週間後、ラットをエーテルで麻酔し、ボールマンケージに収容した。膀胱カテーテルの先端に三方活栓を介して圧トランスデューサーを接続し、ひずみ圧力用アンプ・レコーダを用いて膀胱内圧を記録した。三方活栓の他端は、インフュージョンポンプに装着した膀胱内注入用シリンジに接続し、もう一端は生理食塩液を満たした延長チューブと接続し、残尿の排出に使用した。処置を施したラットを麻酔から覚めるまで静置した。
<実験方法>
注射用水(Vehicle群)および被検化合物(5mg/kg)を経口投与し、1時間後に生理食塩液を2mL/hの注入速度で膀胱内灌流して排尿パラメータ(膀胱容量および残尿量)を測定し、灌流開始1時間経過後の排尿直後に灌流を停止して膀胱内の残尿を除去した。それぞれのシストメトリー時の排尿パラメータを算出し、残尿量については、Vehicle群と被検化合物投与群の値を比較し、膀胱容量については、正常群と被検化合物投与群の値を比較した。
<結果>
結果を図7に示す。低活動膀胱モデルにおいて、化合物Aは残尿量を有意に減少させた。一方、化合物Aの残尿量を有意に減少させた投与用量において、膀胱容量は正常時とほぼ同等であった。また、化合物Bについても、化合物Aと同様の結果が得られた。以上のことから、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、有効用量において、膀胱刺激作用の一つである膀胱容量の減少を誘発しないことが示された。
したがって、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、有効用量において膀胱刺激作用を誘発しない、極めて優れた低活動膀胱治療剤になりうることが示唆された。
[製剤例]
製剤例1
化合物A(5.0g)、カルボキシメチルセルロース カルシウム(20g)、ステアリン酸マグネシウム(10g)および微結晶セルロース(920g)を常法により混合したのち、打錠して、1錠中に0.5mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
製剤例2
化合物A(2.0g)、マンニット(500g)および蒸留水(10L)を常法により混合したのち、溶液を常法により滅菌し、1mLずつバイアルに充填し、常法により凍結乾燥し、1バイアル中0.2mgの活性成分を含有するバイアル1万本を得た。
製剤例3
化合物B(5.0g)、カルボキシメチルセルロース カルシウム(20g)、ステアリン酸マグネシウム(10g)および微結晶セルロース(920g)を常法により混合したのち、打錠して、1錠中に0.5mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
製剤例4
化合物B(2.0g)、マンニット(500g)および蒸留水(10L)を常法により混合したのち、溶液を常法により滅菌し、1mLずつバイアルに充填し、常法により凍結乾燥し、1バイアル中0.2mgの活性成分を含有するバイアル1万本を得た。
一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、膀胱排尿筋の収縮増強および尿道括約筋の弛緩作用を有するので、膀胱収縮障害および尿道弛緩障害を改善し、非常に効力の強い低活動膀胱予防および/または治療剤として有効である。また、低活動膀胱における種々の症状の改善剤としても有効である。さらに、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、PGE、PGE、EP1アゴニストあるいはEP3アゴニストによる膀胱痛や膀胱容量減少等の膀胱刺激症状等の副作用を誘発しない。以上のことから、一般式(I)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物は、非常に強い効力を有し、かつ安全性が高い低活動膀胱の予防、治療および/または症状改善剤として有用である。

Claims (14)

  1. 一般式(I)
    Figure 2009148163
    (式中、Rは水素原子またはC1−4アルキルを表わし、Rは水素原子またはC1−4アルキルを表わし、Rは置換基を有していてもよいC1−8脂肪族炭化水素基を表わし、
    Figure 2009148163
    はα−配置を表わし、
    Figure 2009148163
    はβ−配置を表わし、
    Figure 2009148163
    は、α−配置、β−配置またはそれらの任意の混合物であることを表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物を含有する膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩剤。
  2. が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−8アルキルまたはハロゲン原子で置換されていてもよいC2−8アルケニルである請求項1記載の剤。
  3. 化合物が、
    (1)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4R)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−デセン−5−イン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
    (2)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4S)−4−ヒドロキシ−7−メチル−1,7−オクタジエン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
    (3)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E,4S)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ノネン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
    (4)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1,7−オクタジエン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、または
    (5)2−[(2−{(1R,2R)−2−[(1E)−9−フルオロ−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ノネン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸である請求項2記載の剤。
  4. 膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害の予防、治療および/または症状改善剤である請求項1記載の剤。
  5. 膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害が、低活動膀胱である請求項4記載の剤。
  6. 低活動膀胱が、膀胱排尿筋の活動低下、前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症、子宮脱、膀胱炎、尿道炎、抗コリン薬、アセチルコリンの放出を抑制する薬剤、ストレスまたは加齢に起因する低活動膀胱である請求項5記載の剤。
  7. 低活動膀胱が、抗コリン薬、アセチルコリンの放出を抑制する薬剤または加齢に起因する低活動膀胱である請求項6記載の剤。
  8. さらに、α1受容体拮抗薬およびアセチルコリンエステラーゼ阻害薬から選択される一種以上を含有する請求項4記載の剤。
  9. 一般式(I)
    Figure 2009148163
    (式中、すべての記号は請求項1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩方法。
  10. 一般式(I)
    Figure 2009148163
    (式中、すべての記号は請求項1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害の予防、治療および/または症状改善方法。
  11. 膀胱排尿筋収縮および尿道括約筋弛緩剤を製造するための一般式(I)
    Figure 2009148163
    (式中、すべての記号は請求項1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の使用。
  12. 膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害の予防、治療および/または症状改善剤を製造するための一般式(I)
    Figure 2009148163
    (式中、すべての記号は請求項1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の使用。
  13. 膀胱排尿筋を収縮させ、かつ尿道括約筋を弛緩させるための一般式(I)
    Figure 2009148163
    (式中、すべての記号は請求項1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物。
  14. 膀胱収縮障害および/または尿道弛緩障害を予防、治療および/または症状改善するための一般式(I)
    Figure 2009148163
    (式中、すべての記号は請求項1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、そのN−オキシド、そのS−オキシド、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物。
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