JPWO2009144927A1 - 薬剤含有組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、水に可溶性である化合物を安定に保持し、医薬有効成分の薬効を損ねず、体内拡散を防ぐことが出来るとともに、標的部位以外では解離しにくく、標的部位で特異的に解離・徐放・送達出来る薬剤含有組成物を提供することである。本発明によれば、(a)少なくとも一種の水溶性化合物と、(b)該水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子を含むキャリアとから構成される組成物が提供される。
Description
本発明は、水に可溶性である化合物(好ましくは医薬品有効成分)を安定に保持し、医薬有効成分の薬効を損ねず、体内拡散を防ぐことが出来るとともに、標的部位以外では解離しにくく、標的部位で特異的に解離・徐放・送達出来る薬剤キャリアに関する。
水溶性の医薬有効成分は、一般に生体への投与、経口投与、血中投与する際の操作性は良いことが知られている。しかし、水溶性の医薬有効成分は、その性質上、拡散しやすく、かつ血中からの排泄が早いことが問題となる。一般に5nm以下の物質は腎排泄されやすい。
水溶性医薬有効成分の血中安定性を増す方法としては、該有効成分をPEG化する方法や化学修飾する方法、又、薬剤キャリアとしてリポソームを用いた方法が知られている。(例えば特許文献1)しかし、PEG化や化学修飾による方法では、該医薬有効成分の本来持つ薬効を損ねる、あるいは減じる結果となる懸念がある。又、薬剤キャリアとしてリポソームを用いる方法では、一般に水溶性薬剤の保持が難しい。水溶性薬物をリポソームに保持させる方法としては、上述の特許文献1の方法のほか、
(a)逆相蒸発法(非特許文献1)、
(b)薬物自身の化学修飾法(非特許文献2から4)、
(c)他の助剤等を用いる方法(非特許文献5及び6)、
(d)リポソームあるいはリポソーム膜自身の性質を変える方法(非特許文献7及び8)、
(e)薬物の荷電と対となる荷電を有するリン脂質を利用する方法(非特許文献9及び10、並びに特許文献2)
の方法が知られているが、保持率の点では十分ではなかった。
(a)逆相蒸発法(非特許文献1)、
(b)薬物自身の化学修飾法(非特許文献2から4)、
(c)他の助剤等を用いる方法(非特許文献5及び6)、
(d)リポソームあるいはリポソーム膜自身の性質を変える方法(非特許文献7及び8)、
(e)薬物の荷電と対となる荷電を有するリン脂質を利用する方法(非特許文献9及び10、並びに特許文献2)
の方法が知られているが、保持率の点では十分ではなかった。
また、水溶性薬剤を保持させることが出来ても、薬剤キャリアと該医薬有効成分との結合が弱く、解離しやすい場合や、あるいは逆に内包した水溶性薬剤を徐放出来ない、適切に徐放されないといったことが大きな問題となっている。
具体的な例で言うと、例えば、ドーパミンやセロトニンといった親水性医薬有効成分を血中に投与した際、腎排泄されやすく、血中安定性が低くなってしまうが、該有効成分をPEG化することや、化学修飾することでは、本来の薬効を損ねる、あるいは減じることが懸念される。リポソームのような薬剤キャリアを使用することでは、該有効成分の安定的な保持が難しい。加えて、これまで知られていた方法では、標的とする体内受容体部位で、特異的に徐放させるターゲティングが難しいという問題が生じている。
一方、難水溶性の薬剤を可溶化する方法としては、近年、血清アルブミンを用いて可溶化する方法が用いられることがある。(特許文献3)しかしながら、水溶性化合物は血清アルブミンとの結合親和性は低いためにこの技術は適用することが出来なかった。
プロシィーディング・ナショナル・アカデミィ・サイエンスィズ・ユーエスーエイ、75巻、4194頁、1978年
インターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティクス、14巻、19 1頁、1983年
ジャーナル・オブ・ファーマコバイ オ・ダイナミクス、7巻、120頁、1984年
ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレタン、36巻、3574頁、1988年
ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンスィズ、71巻、958頁、1982年
ドラッグ・ディベロプメント・アンド・インダストリアル・ファーマシー、10巻、613頁、1984年
バイオキミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ、812巻、66頁、1985年
バイオキミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ、857巻、123頁、1986年
バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ、107巻136頁、1982年
インターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティクス、17巻、135頁、1983年
本発明は、水に可溶性である化合物を安定に保持し、医薬有効成分の薬効を損ねず、体内拡散を防ぐことが出来るとともに、標的部位以外では解離しにくく、標的部位で特異的に解離・徐放・送達出来る薬剤含有組成物を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水溶性の薬剤を薬剤運搬するための薬剤キャリアとして、該薬剤と結合親和性の高い生体高分子を用いることによって、水溶性の薬剤の血中濃度を長時間維持することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、(a)少なくとも一種の水溶性化合物と、(b)該水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子を含むキャリアとから構成される組成物が提供される。
好ましくは、水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子は、該水溶性化合物に対して解離定数Kd=10-3〜10-15Mの結合親和性を有する高分子である。
好ましくは、水溶性化合物は医薬である。
好ましくは、水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子は蛋白質である。
好ましくは、水溶性化合物は医薬である。
好ましくは、水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子は蛋白質である。
好ましくは、該蛋白質は、水溶性化合物に対する受容体のアミノ酸配列、水溶性化合物に対する受容体中の結合責任配列、水溶性化合物に対する抗体のアミノ酸配列、水溶性化合物に対する抗体中の結合責任配列を含む蛋白質、レクチン蛋白質、レクチン蛋白質中の水溶性化合物に対する結合責任配列を含む蛋白質、水溶性化合物に対する結合蛋白質、又は水溶性化合物に対する結合蛋白質中の結合責任配列を含む蛋白質である。
好ましくは、該蛋白質は、遺伝子工学的に作製された蛋白質である。
好ましくは、該蛋白質は、遺伝子工学的に作製された蛋白質である。
好ましくは、該蛋白質のN末端及び/又はC末端にさらに別の蛋白質が直接またはリンカーを介して結合している。
好ましくは、該蛋白質のN末端及び/又はC末端に結合しているさらに別の蛋白質が、立体障害により水溶性化合物の放出を制御することができる蛋白質、又は生体内において足場として機能する蛋白質である。
好ましくは、生体内において足場として機能する蛋白質は、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、エラスチン、又はフィブリンである。
好ましくは、本発明の組成物は、該水溶性化合物を患者に投与するための医薬組成物である。
好ましくは、該蛋白質のN末端及び/又はC末端に結合しているさらに別の蛋白質が、立体障害により水溶性化合物の放出を制御することができる蛋白質、又は生体内において足場として機能する蛋白質である。
好ましくは、生体内において足場として機能する蛋白質は、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、エラスチン、又はフィブリンである。
好ましくは、本発明の組成物は、該水溶性化合物を患者に投与するための医薬組成物である。
本発明の薬剤含有組成物によれば、水溶性の薬剤の血中濃度を長時間維持することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(a)少なくとも一種の水溶性化合物と、(b)該水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子を含むキャリアとから構成されることを特徴とする。本発明で言う結合親和性とは、酵素−基質、リガンド−受容体、酵素−補酵素、といった特異的な非共有結合的相互作用であって、かつ適切な競合分子により競合的阻害を受け得る相互作用を意味する。本発明においては、難水溶性化合物とキャリアとの解離定数Kdが10-3〜10-15Mであることが好ましく、より好ましくは、解離定数Kd=10-5〜10-13Mである。
(a)少なくとも一種の水溶性化合物と、(b)該水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子を含むキャリアとから構成されることを特徴とする。本発明で言う結合親和性とは、酵素−基質、リガンド−受容体、酵素−補酵素、といった特異的な非共有結合的相互作用であって、かつ適切な競合分子により競合的阻害を受け得る相互作用を意味する。本発明においては、難水溶性化合物とキャリアとの解離定数Kdが10-3〜10-15Mであることが好ましく、より好ましくは、解離定数Kd=10-5〜10-13Mである。
本発明の組成物の構造の代表例を図1に示す。以下、図1に記載の薬剤a(水溶性化合物)、蛋白質A(水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子)、蛋白質B及び蛋白質C、並びにリンカーA及びリンカーBについて説明する。
<薬剤a>
本明細書における水溶性化合物とは、25℃で計測した際、水1mLへの溶解度が10μg以上700mg以下、望ましくは100μg以上500mg以下、最も望ましくは1mg以上300mg以下の化合物、特に医薬化合物のことを表す。25℃で溶解しない場合でも、高温100℃にて溶解させ、温度を25℃下げた際、溶解状態が保たれればそれでも構わない。尚、溶解度測定時に使用する水のpHは、具体的には6〜8.5の間、より望ましくは6.5〜7.5である。最も好ましくは7.0で計測する。
本明細書における水溶性化合物とは、25℃で計測した際、水1mLへの溶解度が10μg以上700mg以下、望ましくは100μg以上500mg以下、最も望ましくは1mg以上300mg以下の化合物、特に医薬化合物のことを表す。25℃で溶解しない場合でも、高温100℃にて溶解させ、温度を25℃下げた際、溶解状態が保たれればそれでも構わない。尚、溶解度測定時に使用する水のpHは、具体的には6〜8.5の間、より望ましくは6.5〜7.5である。最も好ましくは7.0で計測する。
更に好ましくは、水溶性医薬有効成分が、上記溶解度条件を満たした上で、該医薬化合物のLog Pが−10以上2以下、より好ましくはLog Pが−10以上1以下の医薬化合物である。尚、Log Pは、一般に化合物の親水−疎水性の指標として使用される値であり、フラスコシェイキング法により得られる1−オクタノール/水(pH7.4緩衝溶液)の分配係数の対数(Log P)が広く用いられているが、実測する代わりに計算により求めても良い。(本明細書におけるLogPは、Daylight Chemical Information Systems社のシステム:PCModelsに組み込まれたHansch-Leoのフラグメント法CLOGPプログラムを使用して計算している。)
薬剤は生理活性成分である。薬剤の具体例としては、鎮痛薬、麻酔薬、抗狭心症薬、抗関節炎薬、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗生物質薬剤、抗癌薬、抗コリン作用薬、抗凝血薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗真菌薬、抗緑内障薬、抗痛風薬、抗寄生虫薬、抗ヒスタミン薬、抗高脂血症薬、降圧薬、抗炎症薬、抗マラリア薬、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン性作用薬、制吐薬、抗肥満薬、抗骨粗鬆症薬、抗パニック薬;抗パーキンソン病薬、抗原虫性薬剤、かゆみ止め薬、抗精神病薬、解熱性、抗結核薬、鎮咳薬、抗潰瘍薬剤、抗ウイルス薬、抗不安薬、食欲抑制薬、カルシウムチャネル拮抗薬、心臓の変力薬、β遮断薬、骨密度制御薬、中枢神経系刺激薬、認知亢進薬、副腎皮質ステロイド、鬱血除去薬、利尿薬、胃腸薬、遺伝物質、ホルモン薬(Hormonolytics)、睡眠薬、血糖降下薬、免疫抑制剤、角質溶解薬、ロイコトリエン阻害薬、マクロライド類、有糸分裂阻害薬、筋弛緩剤、麻薬性拮抗薬、神経遮断薬、ニコチン、副交感神経遮断薬、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖類、鎮静薬、性ホルモン、交感神経刺激薬、子宮収縮抑制薬、精神安定薬、血管拡張薬、ビタミン類、向精神薬、及びそれらの組合せを含む。
例えば、フォスフェニトイン二ナトリウム(fosphenytoin disodium)、イリノテカン塩酸塩水和物(irinotecan hydrochloride hydrate)、オメプラゾールナトリウム(omeprazole sodium)、フルダラビンホスフェート(fludarabine phosphate)、ドセタキセル水和物(docetaxel hydrate)、ペグインターフェロン(peginterferon)-α-2a(recombinant)、ミカフンギンナトリウム(micafungin sodium)、アデフォビルジピボキシル(adefovir dipivoxil)、レボフロキサシン水和物(levofloxacin hydrate)、シタラビン(cytarabine)、ラマトロバン(ramatroban)、フルバスタチンナトリウム(fluvastatin sodium)、シネカテキンス(sinecatechins)、フォサムプレマビルカルシウム(fosamprenavir calcium)、ベロテカン塩酸塩(belotecan hydrochloride)、エソメプラゾールマグネシウム(esomeprazole magnesium)、チモロールマレエート(timolol maleate)(Wakamoto)、ネララビン(nelarabine)、デキサケトプロフェン(dexketoprofen)、キヌプリスチン/ダルフォプリスチン(quinupristin/dalfopristin)、ベポタスチンベシレート(bepotastine besilate)、メレボドーパ(melevodopa)、エトポシドホスフェート(etoposide phosphate)、トポテカン塩酸塩(topotecan hydrochloride)、メチルプレドニソロンスレプタネート(methylprednisolone suleptanate)、トランドラプリル(trandolapril)、コルフォルシンダロペート塩酸塩(colforsin daropate hydrochloride)、ファイバーSS(Fiber SS)、エピナスチン塩酸塩(epinastine hydrochloride)、ニトログリセリン(nitroglycerin)(Sanwa Kagaku)、ジクロフェナクナトリウム(diclofenac sodium)(Wakamoto)、プランルカスト水和物(pranlukast hydrate)、ホスホマイシントロメタミン(fosfomycin tromethamine)、レルカニジピン塩酸塩(lercanidipine hydrochloride)、リメキソロン(rimexolone)、ニカルジピン塩酸塩(nicardipine hydrochloride)、ナトリウムプラステロンサルフェート(sodium prasterone sulfate)、カンレノ酸カリウム(canrenoate potassium)、ミトタン(mitotane)、ラニムスチン(ranimustine)、インスリン(insulin)、デキサメタゾンパルミテート(dexamethasone palmitate)、ブデソニド(budesonide)、メナテトレノン(menatetrenone)、ブクラデシンナトリウム(bucladesine sodium)、サトラプラチン(satraplatin)、ホスプロポフォール二ナトリウム(fospropofol disodium)、セフトジプロレメドカリル(ceftobiprole medocaril)、セフチゾキシムアラピボキシル塩酸塩(ceftizoxime alapivoxil hydrochloride)、セフタロリンフォサミル(ceftaroline fosamil)、酢酸ウリプリスタル(ulipristal acetate)、塩化イサブコナゾニウム(isavuconazonium chloride)、ベカテカリン酒石酸塩(becatecarin tartrate)、タロトレキシンアンモニウム(talotrexin ammonium)、レタスピマイシン(retaspimycin)、トリシリビンホスフェート(triciribine phosphate)、アモナフィド二塩酸塩(amonafide dihydrochloride)、トリアピン(Triapine)、モテキサフィンルテチウム(motexafin lutetium)、ルルトテカン二塩酸塩(lurtotecan dihydrochloride)、イガニジピン(iganidipine)、グルコン酸カリウム(gluconate potassium)(Kowa)、レパゲルマニウム(repagermanium)、アタプロストアルファデックス(ataprost alfadex)、エクサテカンメシレート(exatecan mesilate)といった薬剤を使用出来る。
水溶性薬剤としては、各種核酸医薬もまた好ましく使用出来る。siRNA、アプタマー、アンチセンスRNA、デコイDNA、遺伝子治療用DNAが使用出来る。水溶性薬剤としては、抗癌剤では、シスプラチン、5-FU、ブレオマイシン、マイトマイシン、塩酸エピルビシン、イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド、シクロフォスファミド、ドキソルビシンが好ましい。水溶性薬剤として、抗精神病薬・抗パニック薬・抗パーキンソン病・中枢神経疾患薬としては、セロトニン、ドーパミン、L-ドーパが好ましい。水溶性薬剤としては、水溶性の向精神薬も好ましく使用出来る。例えば、アモバルビタール塩、フルニトラゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、フェノバルビタール、ペモリンが使用出来る。
水溶性薬剤として、抗炎症薬では、一般的に非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)又はCOX-2阻害剤である。かかる抗炎症薬の具体的な例は、非限定的に、アセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブチブフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、セレコキシブ、クリデナック(clidenac)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フェンティアジック(fentiazic)、フルフェナミン酸(flufenamic acid)、フルフェナソール(flufenasol)、フルルビプロフェン、フロフェナク、イブフェナック、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、オキシピナック(oxpinac)、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピクラミラスト、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、ロフェコキシブ、スドキシカム、スリンダク、スプロフェン、テンクロフェナック(tenclofenac)、チアプロフェン酸、トルフェナム酸、トルメチン、トラマドール、バルデコキシブ、ゾメピラク、及び薬理学的に活性なその塩基性添加塩を含む。
水溶性薬剤の例としては、骨再吸収、カルシウム代謝、及びリン酸代謝に関わる疾患及び症状の診断及び治療に有用であるビスホスホン酸誘導体である。これらのビスホスホン酸の例は、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸)、1,1-ジクロロメチレン-1,1-ビスホスホン酸(クロドロン酸)、3-アミノ-1-ヒドロキシプロピリデン-1,1-ビスホスホン酸(パミドロン酸)、4-アミノ-1-ヒドロキシブチリデン-1,1-ビスホスホン酸(アレドロン酸)、6-アミノ-1-ヒドロキシへキシリデン-1,1-ビスホスホン酸(ネリドロン酸)、(4-クロロフェニル)チオメタン-1,1-ジホスホン酸(チルドロン酸)、1-ヒドロキシ-2-(3-ピリジニル)-エチリデン-1,1-ビスホスホン酸(リセドロン酸)、シクロヘプチルアミノメチレン-1,1-ビスホスホン酸(シマドロン酸)、1-ヒドロキシ-3-(N-メチル-N-ペンチルアミノ)プロピリデン-1,1-ビスホスホン酸(イバンドロン酸)、3-(ジメチルアミノ)-1-ヒドロキシプロピリデン-1,1-ビスホスホン酸(オルパドロン酸)、[2-(2-ピリジニル)エチリデン]-1,1-ビスホスホン酸(ピリドロン酸)、及び1-ヒドロキシ-2-(1H-イミダゾール-1-イル)エチリデン-1,1-ビスホスホン酸(ゾレドロン酸)を含む。
<蛋白質A>
蛋白質A(難水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子)は、薬剤aと親和性を有する蛋白質であり、例えば、ビタミンD3受容体、HMG-CoA還元酵素、ADP受容体(P2Y12)、L型カルシウムチャネル、プロトンポンプ、セロトニン受容体、ドパミン受容体、ドパミンD2受容体、アンジオテンシンII受容体、メラトニンMT1/MT2受容体、電位依存性カルシウムチャネルのα2δsubunit、PDGFR-α、PDGFR-β、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、KIT、FLT3、CSF-1R、RET、リボゾーム50Sサブユニット、Tubulin、DNAヘリカーゼ、RNAポリメラーゼ、アセチルコリン受容体、G蛋白質共役型受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、アデノシン受容体、アドレナリン受容体、GABA受容体(B型)、アンギオテンシン受容体、カンナビノイド受容体、コレシストキニン受容体、グルカゴン受容体、ヒスタミン受容体、嗅覚受容体、オピオイド受容体、ロドプシン、セクレチン受容体、ソマトスタチン受容体、ガストリン受容体、エリスロポエチン受容体、インシュリン受容体、細胞増殖因子受容体、サイトカインの受容体、グアニル酸シクラーゼ受容体、GC-A、GC-B、GC-C:グアニリン受容体、ニコチン性アセチルコリン受容体、グリシン受容体、GABA受容体(A型、C型)、グルタミン酸受容体、セロトニン受容体3型、イノシトール3リン酸(IP3)受容体、リアノジン受容体、ステロイドホルモン受容体、性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン)受容体、ビタミンD受容体、糖質コルチコイド受容体、鉱質コルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、レチノイド受容体、ペルオキシソーム増殖剤受容体(PPAR)、昆虫の脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体、ダイオキシン受容体(AhR)、ベンゾジアゼピン受容体等のような薬剤aの受容体又は薬剤aの標的蛋白質、結合蛋白質を使用することができる。
蛋白質A(難水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子)は、薬剤aと親和性を有する蛋白質であり、例えば、ビタミンD3受容体、HMG-CoA還元酵素、ADP受容体(P2Y12)、L型カルシウムチャネル、プロトンポンプ、セロトニン受容体、ドパミン受容体、ドパミンD2受容体、アンジオテンシンII受容体、メラトニンMT1/MT2受容体、電位依存性カルシウムチャネルのα2δsubunit、PDGFR-α、PDGFR-β、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、KIT、FLT3、CSF-1R、RET、リボゾーム50Sサブユニット、Tubulin、DNAヘリカーゼ、RNAポリメラーゼ、アセチルコリン受容体、G蛋白質共役型受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、アデノシン受容体、アドレナリン受容体、GABA受容体(B型)、アンギオテンシン受容体、カンナビノイド受容体、コレシストキニン受容体、グルカゴン受容体、ヒスタミン受容体、嗅覚受容体、オピオイド受容体、ロドプシン、セクレチン受容体、ソマトスタチン受容体、ガストリン受容体、エリスロポエチン受容体、インシュリン受容体、細胞増殖因子受容体、サイトカインの受容体、グアニル酸シクラーゼ受容体、GC-A、GC-B、GC-C:グアニリン受容体、ニコチン性アセチルコリン受容体、グリシン受容体、GABA受容体(A型、C型)、グルタミン酸受容体、セロトニン受容体3型、イノシトール3リン酸(IP3)受容体、リアノジン受容体、ステロイドホルモン受容体、性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン)受容体、ビタミンD受容体、糖質コルチコイド受容体、鉱質コルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、レチノイド受容体、ペルオキシソーム増殖剤受容体(PPAR)、昆虫の脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体、ダイオキシン受容体(AhR)、ベンゾジアゼピン受容体等のような薬剤aの受容体又は薬剤aの標的蛋白質、結合蛋白質を使用することができる。
蛋白質Aは、天然に存在している生体由来の蛋白質であってもよく、遺伝子組み換え技術により産生された蛋白質であってもよいが、下述する設計をおこなう点では、遺伝子工学的に産生された蛋白質が好ましい。該蛋白質は、天然に存在する配列のものであってもよく、更には、用途に応じて新規に設計された配列のものでもよい。用途に応じて新規に設計された配列としては、該蛋白質の天然由来の配列から、該薬剤aへの結合に対して直接的あるいは間接的に必須である実質的結合責任配列を抜き出したものが利用できる。又、新規に設計された配列としては、該蛋白質の天然配列から、部分的にアミノ酸配列を変更した配列が使用できる。具体的には、該蛋白質、あるいは該蛋白質中の結合責任配列を抜き出したもの、において、その溶解度や他の生体由来分子との相互作用を調節する為に、アミノ酸配列を調節できる。又、該薬剤aとの結合責任配列中にあって、該薬剤aとの結合に直接的・間接的に関わる側鎖を、親和性を弱める、あるいは強めるために、別の側鎖に変更することができる。それは、該蛋白質における配列の一部分を変更すること、あるいは1残基〜50残基を新たに挿入又は削除することで実現する。
又、該蛋白質は、生体内あるいは生体外での、化学修飾がなされていてもよい。例えば、該蛋白質中のアミノ基の化学修飾としては、グアニジル化、アミジン化、還元アルキル化、カルバミル化、アセチル化、スクシニル化、マレイル化、アセトアセチル化、ニトロトロポニル化、脱アミノ化、カルボニル化合物による修飾、ジニトロフェニル化、トリニトロフェニル化といった化学修飾を用いることが可能であるが、それらのみに限られるものではない。又、該蛋白質中のカルボキシル基の化学修飾としては、アミド化、エステル化、といった化学修飾を用いることが可能であるが、それらのみに限られるものではない。さらに、化学修飾としては、糖鎖による修飾であってもよい。
又、該蛋白質は、3次元構造を維持するための、あるいはリガンドや基質結合力確保のための、あるいは生体内での安定性や生理機能を維持するための、補助分子を内包していてもよい。例えば、該補助分子としては、Zn、Fe、Cd、Cu、Au、Ag、Pt、Hg、Na、Cl、K、Ca、Li、Mg、Al、Co、Mn、Cr、Ga、Ge、Ni、Br、Rb、Mo、Pb、といった原子、分子、それを含む錯体(ヘム、プロトヘム)、又それらのイオン、錯イオンを用いることができる。更に、該補助分子としては、補酵素や電子伝達体を用いることが可能で、具体的には、キノン、ピロロキノリンキノン、トパキノン、トリプトファン−トリプトフィルキノン、リシンチロシルキノン、システニル−トリプトファンキノン、チアミン二リン酸、補酵素A(パントテン酸)、補酵素R(ビオチン)、補酵素F(葉酸)、ATP(アデノシン三リン酸)、ウリジン二リン酸グルコース、NAD+/NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、FMN/FMNH2(フラビンモノヌクレオチド)、FAD/FADH2(フラビンアデニンジヌクレオチド)、ユビキノン、シトクロム、NADP+/NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、ブラストキノン、ブラストシアニン、フェレドキシン、クロロフィル、フェオフィチン、チオレドキシン、メナキノン、カルダリエラキノン、補酵素F420、ロドキノン、Riske、Blue-Cu、が挙げられるが、それらに限られるものではない。
<蛋白質B>
上記の蛋白質Aには別の蛋白質Bを結合させることができる。
蛋白質Aに結合させることができる蛋白質Bとしては、様々な構造蛋白質又は構造ペプチドを用いることができるが、例えば立体障害により薬剤aの放出を制御することができる。具体的には、該薬剤aが、該結合責任配列ドメインから徐放される速度や割合を調節するため、立体構造的に蓋の役割を果たすように別の構造蛋白質配列(以下、蓋蛋白質配列と呼ぶ)を、蛋白質Bとして用いることができる。つまり、3次元構造として蓋の役割を果たせるように配列を設計し、ともに用いることができるのである。尚、該蓋蛋白質配列としては例えば、GIGDPVTCLKSGAICHPVFCPRRYKQIGTCGLPGTKCCKK(アミノ酸1文字表記で表示)などを用いることができる。又、蛋白質Bとしては、蛋白質B自身が機能を有する配列を用いることができる。機能を有する蛋白質Bは、用途に応じて可変であり、特に制限されるものではない。例えば、その機能が抗菌活性、血糖値制御活性、摂食衝動制御活性、血圧制御活性、鎮痛活性、抗ウイルス活性、抗血液凝固活性、血管収縮・拡張活性、精神安定活性、抗うつ活性、精神高揚活性、接着活性、である配列を用いることができる。より具体体的には、抗菌ペプチド、ディフェンシン、ラクトフェリシン、マガイニン、タキプレシン、アンジオテンシン、ブラジキニン、Tキニン、フィブリノペプチド、ナトリウム利尿ペプチド(心房性、脳性)、ウロディラチン、グアニン、ウログアニン、エンドセリン、ビッグエンドセリン、サリューシン、ウロテンシン、オキシトシン、バソプレシン、ニューロフィジン、プロオピオメラノコルチン由来ペプチド、下垂体後葉ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、コルチコトロピン様中葉ペプチド、エンドルフィン、リポトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン、視床下部ホルモン、ウロコルチン、ソマトスタチン、コルチスタチン、TRH、プロラクチン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性ペプチド、メタスチン、タキキニン、サブスタンスP、ニューロペプチド、ニューロキニン、エンドキニン、ニューロテンシン、ニューロメジン、グレリン、オベスタチン、アグーチ関連蛋白質、メラニン凝集ホルモン、ニューロペプチド、オレキシン、オピオイドペプチド、ダイノルフィン、ネオエンドルフィン、ロイモルフィン、メチオニンエンケファリン、ロイシンエンケファリン、メチオニンエンケファリン、アドレノルフィン、エンドモルフィン、ノシセプチン、オルファニン、ノシスタチン、RFアミドペプチド、ガラニン、ガストリン、コレシストキニン、モチリン、膵ポリペプチド、胃抑制性ペプチド、ペプチドYY、ペプチドHM、血管作動性腸管ポリペプチド、セクレチン、アペリン、インスリン、Cペプチド、インスリン様ペプチド、リラキシン、リラキシン様ペプチド、グルカゴン、グリセンチン、グルカゴン様ペプチド、オキシントモデュリン、CGRP、アドレノメデュリン、プロアドレノメデュリン、カルシトニン受容体刺激ペプチド、アミリン、カルシトニン、カタカルシン、副甲状腺ホルモン、カテリシジン、チモシン、ヒューマニンなどを挙げることができる。
上記の蛋白質Aには別の蛋白質Bを結合させることができる。
蛋白質Aに結合させることができる蛋白質Bとしては、様々な構造蛋白質又は構造ペプチドを用いることができるが、例えば立体障害により薬剤aの放出を制御することができる。具体的には、該薬剤aが、該結合責任配列ドメインから徐放される速度や割合を調節するため、立体構造的に蓋の役割を果たすように別の構造蛋白質配列(以下、蓋蛋白質配列と呼ぶ)を、蛋白質Bとして用いることができる。つまり、3次元構造として蓋の役割を果たせるように配列を設計し、ともに用いることができるのである。尚、該蓋蛋白質配列としては例えば、GIGDPVTCLKSGAICHPVFCPRRYKQIGTCGLPGTKCCKK(アミノ酸1文字表記で表示)などを用いることができる。又、蛋白質Bとしては、蛋白質B自身が機能を有する配列を用いることができる。機能を有する蛋白質Bは、用途に応じて可変であり、特に制限されるものではない。例えば、その機能が抗菌活性、血糖値制御活性、摂食衝動制御活性、血圧制御活性、鎮痛活性、抗ウイルス活性、抗血液凝固活性、血管収縮・拡張活性、精神安定活性、抗うつ活性、精神高揚活性、接着活性、である配列を用いることができる。より具体体的には、抗菌ペプチド、ディフェンシン、ラクトフェリシン、マガイニン、タキプレシン、アンジオテンシン、ブラジキニン、Tキニン、フィブリノペプチド、ナトリウム利尿ペプチド(心房性、脳性)、ウロディラチン、グアニン、ウログアニン、エンドセリン、ビッグエンドセリン、サリューシン、ウロテンシン、オキシトシン、バソプレシン、ニューロフィジン、プロオピオメラノコルチン由来ペプチド、下垂体後葉ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、コルチコトロピン様中葉ペプチド、エンドルフィン、リポトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン、視床下部ホルモン、ウロコルチン、ソマトスタチン、コルチスタチン、TRH、プロラクチン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性ペプチド、メタスチン、タキキニン、サブスタンスP、ニューロペプチド、ニューロキニン、エンドキニン、ニューロテンシン、ニューロメジン、グレリン、オベスタチン、アグーチ関連蛋白質、メラニン凝集ホルモン、ニューロペプチド、オレキシン、オピオイドペプチド、ダイノルフィン、ネオエンドルフィン、ロイモルフィン、メチオニンエンケファリン、ロイシンエンケファリン、メチオニンエンケファリン、アドレノルフィン、エンドモルフィン、ノシセプチン、オルファニン、ノシスタチン、RFアミドペプチド、ガラニン、ガストリン、コレシストキニン、モチリン、膵ポリペプチド、胃抑制性ペプチド、ペプチドYY、ペプチドHM、血管作動性腸管ポリペプチド、セクレチン、アペリン、インスリン、Cペプチド、インスリン様ペプチド、リラキシン、リラキシン様ペプチド、グルカゴン、グリセンチン、グルカゴン様ペプチド、オキシントモデュリン、CGRP、アドレノメデュリン、プロアドレノメデュリン、カルシトニン受容体刺激ペプチド、アミリン、カルシトニン、カタカルシン、副甲状腺ホルモン、カテリシジン、チモシン、ヒューマニンなどを挙げることができる。
又、血液脳関門を通過させる場合には、国際公開番号WO2005/014625(国際出願番号:PCT/JP2004/011668)のミクログリア由来の脳移行ポリペプチド配列などの血液脳関門通過を可能とするペプチドを該蛋白質Bとして用いることが出来る。該蛋白質Aと該蛋白質Bは直接結合していてもよいし、リンカー(以下、リンカーAとする)を介して結合していてもよい。なお、上記技術では「脳へ移行してからの標的部位へのターゲティング」という課題が存在するが、本発明を用いることにより、この問題をも解決出来ることとなる。
リンカーAは、蛋白質Aと蛋白質Bを結合するものである限り、特に限定されるものではないが、好ましくは蛋白質配列として結合されているペプチド結合の形状で、汎用のリンカー配列、あるいは特定目的の為に設計されたリンカーを用いることができる。汎用のリンカーとしては、2残基〜40残基のペプチドが使用できる。特定目的のために設計されたリンカーとしては、その目的に応じて設計でき、特に限定されるものではないが、例えば、生体内において、プロテアーゼ活性により切断される配列や、何かしらの因子によりリン酸化される配列、加水分解される配列、メチル化される配列を含む配列を使用することができる。より具体的には、血液凝固因子プロテアーゼにより切断される配列、マトリックスメタロプロテアーゼにより切断される配列、が使用できるが、これらのみに限られたものではない。トロンビンによる切断配列の例としては、Thrombin specificity. Requirement for apolar amino acids adjacent to the thrombin cleavage site of polypeptide substrate. Jui-Yoa CHANG. Eur. J. Biochem. 151,217-224 (1985) FEBS(Factor Xaやプロトロンビン、FactorVII): X-ray Structure of Active Site-inhibited Clotting Factor Xa. IMPLICATIONS FOR DRUG DESIGN AND SUBSTRATE RECOGNITION. Hans Brandstetter, et. al. Volume 271, Number 47, Issue of November 22, 1996 pp. 29988-29992. THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRYなどに記載の配列を挙げることができる。例えば、LVPRGSIEGR(アミノ酸1文字表記で表示した)などを使用できる。
<蛋白質C>
上記の蛋白質A又は蛋白質Bには、また別の蛋白質Cが結合していてもよい。
蛋白質Cとしては、様々な構造蛋白質、構造ペプチド、を用いることができるが、例えば生体内において足場として機能する蛋白質配列を設計し用いることができる。蛋白質Cは足場として機能できる蛋白質である限り、限定されるものではないが、例えば、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、エラスチン、フィブリンなどを使用できる。又、該蛋白質Cは天然の生体由来物質であってもよく、遺伝子組み換え体であってもよい。
該蛋白質Cは、該蛋白質Aあるいは該蛋白質Bと、直接結合していてもよいが、リンカー(以下、リンカーBとする)を介して結合していてもよい。
上記の蛋白質A又は蛋白質Bには、また別の蛋白質Cが結合していてもよい。
蛋白質Cとしては、様々な構造蛋白質、構造ペプチド、を用いることができるが、例えば生体内において足場として機能する蛋白質配列を設計し用いることができる。蛋白質Cは足場として機能できる蛋白質である限り、限定されるものではないが、例えば、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、エラスチン、フィブリンなどを使用できる。又、該蛋白質Cは天然の生体由来物質であってもよく、遺伝子組み換え体であってもよい。
該蛋白質Cは、該蛋白質Aあるいは該蛋白質Bと、直接結合していてもよいが、リンカー(以下、リンカーBとする)を介して結合していてもよい。
リンカーBは、蛋白質A(あるいは該蛋白質B)と蛋白質Cを結合するものである限り、特に限定されるものではないが、好ましくは蛋白質配列として結合されているペプチド結合の形状で、汎用のリンカー配列、あるいは特定目的の為に設計されたリンカーを用いることができる。汎用のリンカーとしては、2残基〜40残基のペプチドが使用できる。特定目的のために設計されたリンカーとしては、その目的に応じて設計でき、特に限定されるものではないが、例えば、生体内において、プロテアーゼ活性により切断される配列や、リン酸化される配列、加水分解される配列、メチル化される配列を含む配列を使用することができる。より具体的には、血液凝固因子プロテアーゼにより切断される配列、マトリックスメタロプロテアーゼにより切断される配列、が使用できるが、これらのみに限られたものではない。トロンビンによる切断配列の例としては、Thrombin specificity. Requirement for apolar amino acids adjacent to the thrombin cleavage site of polypeptide substrate. Jui-Yoa CHANG. Eur. J. Biochem. 151,217-224 (1985) FEBS(Factor Xaやプロトロンビン、FactorVII): X-ray Structure of Active Site-inhibited Clotting Factor Xa. IMPLICATIONS FOR DRUG DESIGN AND SUBSTRATE RECOGNITION. Hans Brandstetter, et. al. Volume 271, Number 47, Issue of November 22, 1996 pp. 29988-29992. THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRYなどに記載の配列を挙げることができる。例えば、LVPRGSIEGR(アミノ酸1文字表記で表示した)などを使用できる。
上述した蛋白質の発現、及び製造は全て公知の方法を適用することができる。
本発明の組成物の用途は特に限定することはないが、種々の疾患の治療のための薬剤として適用可能であり、局所治療剤、経口治療剤、注射剤等として用いることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1:
中枢神経疾患薬として用いられるセロトニン (serotonin, 5-hydroxytryptamine, 5-HT) を水溶性薬剤のモデルとして、以下の実験を行った。
中枢神経疾患薬として用いられるセロトニン (serotonin, 5-hydroxytryptamine, 5-HT) を水溶性薬剤のモデルとして、以下の実験を行った。
ヒトの5-hydroxytryptamine (serotonin) receptor 2A(NCBI sequence No. NP_000612)をHisタグ融合蛋白質として(ベクターとしてpQE30 Xa:QIAGEN社製を用いている)、大腸菌BL21(DE3) Codon-plusを用い発現させた。培養には、100μg/mlアンピシリン入りのLB(Luria-Bertani)培地を用いた。500mL三角フラスコ中の300mL LB培地中、37℃にて、前培養を行った。その後、本培養として、3L用のバッフル付三角フラスコ中の1.5L LB培地(100μg/mlアンピシリン入り)に、前培養液を30mL添加し、OD600が0.6になるまで37℃で振盪培養した。その後、終濃度0.5mM となるようにIPTGを添加し、発現誘導を行い、30℃で一晩振盪培養した。その後、遠心によって集菌・洗菌を行い、得られた菌体を200 mM NaCl, 50 mM sodium phosphate buffer,10 mM imidazole, pH 8.0に懸濁し、超音波破砕を5分間行い、44,200×gで30分間遠心し、上清を得た。得られた上清を、あらかじめ溶液A(300 mM NaCl, 50 mM sodium phosphate buffer,20 mM imidazole, pH 8.0)で平衡化しておいたNi-column(Ni-NTA His-Bind Resin: Novagen社製、カラムボリューム 50ml)に流速0.1ml/minで流し、固定化した。500mlの溶液B(300 mM NaCl, 50 mM sodium phosphate buffer,20 mM imidazole, pH 8.0)で洗浄し、後、溶液C(300 mM NaCl, 50 mM sodium phosphate buffer,250 mM imidazole, pH 8.0)で溶出した。更に、それをAKTA FPLCを用いて、ゲルろ過クロマトグラフィー(Superdex 75 10/300 GLカラム使用:GE社製、緩衝液としては、溶液Aを使用した)にかけ、高純度のフラクションのみを採取し、透析・濃縮して、最後溶液Aに溶解している状態として、Hisタグ融合セロトニン2A受容体蛋白質を得た。
更に、FactorXaによるタグの切除工程を行い、Niカラムによりタグのない状態のセロトニン2A受容体蛋白質を得た。
更に、FactorXaによるタグの切除工程を行い、Niカラムによりタグのない状態のセロトニン2A受容体蛋白質を得た。
セロトニンに対し、得られたセロトニン2A受容体蛋白質を十分量結合させ、マウスへ静脈注射により投与し、血中セロトニン濃度の変化を測定した。血液中のセロトニンは、イオン交換体を用いたカラムクロマトグラフィーにより分離し、蛍光法により測定した。測定方法は、Yoshida A. et al., Br. J. Pharmacology. 2002; 137:146-152)に記載の方法で行った。尚、セロトニンのみ投与した際、とセロトニン2A受容体と結合したセロトニンの投与量は、含有されるセロトニン量を等しくして実験を行っている。又、使用したマウスの通常状態でのセロトニン濃度を測定し、通常時に血中セロトニンが200ng/mL±50ng/mLに落ち着くマウス群を使用した。結果を図2に示す。本発明の構成により、水溶性薬剤の血中濃度を長時間維持することができた。
Claims (10)
- (a)少なくとも一種の水溶性化合物と、(b)該水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子を含むキャリアとから構成される組成物。
- 水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子が、該水溶性化合物に対して解離定数Kd=10-3〜10-15Mの結合親和性を有する高分子である、請求項1に記載の組成物。
- 水溶性化合物が医薬である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 水溶性化合物に対して結合親和性を有する高分子が蛋白質である、請求項1から3の何れかに記載の組成物。
- 該蛋白質が、水溶性化合物に対する受容体のアミノ酸配列、水溶性化合物に対する受容体中の結合責任配列、水溶性化合物に対する抗体のアミノ酸配列、水溶性化合物に対する抗体中の結合責任配列を含む蛋白質、レクチン蛋白質、レクチン蛋白質中の水溶性化合物に対する結合責任配列を含む蛋白質、水溶性化合物に対する結合蛋白質、又は水溶性化合物に対する結合蛋白質中の結合責任配列を含む蛋白質である、請求項4に記載の組成物。
- 該蛋白質が、遺伝子工学的に作製された蛋白質である、請求項4又は5に記載の組成物。
- 該蛋白質のN末端及び/又はC末端にさらに別の蛋白質が直接またはリンカーを介して結合している、請求項4から6の何れかに記載の組成物。
- 該蛋白質のN末端及び/又はC末端に結合しているさらに別の蛋白質が、立体障害により水溶性化合物の放出を制御することができる蛋白質、又は生体内において足場として機能する蛋白質である、請求項7に記載の組成物。
- 生体内において足場として機能する蛋白質が、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、エラスチン、又はフィブリンである、請求項8に記載の組成物。
- 該水溶性化合物を患者に投与するための医薬組成物である、請求項1から9の何れかに記載の組成物。
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