JPWO2009119502A1 - 腫瘍細胞の悪性度の評価方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腫瘍細胞を含む試料から受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を含む細胞膜画分を調製し、この細胞膜画分のRTKの酵素活性をRTK活性阻害剤の存在下又は非存在下で測定し、得られた結果を比較することにより腫瘍細胞の悪性度を評価する方法に関する。

Description

本発明は、腫瘍細胞悪性度の評価方法に関する。詳しくは、本発明は、腫瘍細胞を含む試料から受容体型チロシンキナーゼ(Receptor type Tyrosine Kinase;以下、「RTK」という)を含む細胞膜画分を調製し、この細胞膜画分中のRTKの酵素活性をRTK活性阻害剤の存在下及び非存在下で測定し、得られた結果を比較することにより腫瘍細胞の悪性度を評価する方法に関する。
細胞の細胞膜には、RTKとよばれるキナーゼが存在している。このキナーゼは、細胞の分化や増殖において重要な役割を果たしていることが知られている。RTKとしては、インシュリン様成長因子受容体(IGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(HER)、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)などが知られている。
これまでの研究により、ある特定のRTKが、ある特定の腫瘍細胞において過剰に発現していることが見出されている。例えば、HERの1種であるHER2は、乳がんにおいてその遺伝子及びタンパク質の発現量が増加することが知られている。そこで、乳がん患者においては、HER2の存在量を調べることにより、乳がんの再発可能性を予測することができると考えられる。また、HER2に対する阻害剤である抗体医薬のハーセプチン(登録商標;一般名:トラスツズマブ)は、乳がんに対して治療効果があることが報告されている。
同様に、その他のRTKについても、その遺伝子及び/又はタンパク質の発現量と、腫瘍細胞の増殖及び転移との関係について研究が進められている。さらに、RTKを標的としてこれを阻害する薬剤による腫瘍細胞の増殖抑制効果及び転移抑制効果についても研究が行われている。
例えば、Sirotnakら(Clinical Cancer Research, vol.6, p.4885-4892, 2000;非特許文献1)は、まず、肺がん及び前立腺がん腫瘍細胞におけるHERの1種であるHER1(EGFRともよばれる)の遺伝子の発現量を、RT−PCRを用いて測定した(前記文献のFig. 1参照)。そして、HER1に対する阻害剤であるイレッサ(登録商標;一般名:ゲフィチニブ)が腫瘍細胞の増殖に及ぼす影響を検討した(前記文献のFig. 3参照)。Sirotnakらは、これらの結果から、HER1の発現量の最も高い腫瘍細胞株(A-431)の増殖が、イレッサにより最も大きく抑制されたことを報告している。この結果は、HER1の発現量が多い腫瘍細胞ほど、イレッサにより増殖を抑制される効果が高いことを示している。
これに対して、Ciardielloら(Clinical Cancer Research, vol.7, p.1459-1465, 2001;非特許文献2)は、HER1の発現量と、イレッサによるIC50(薬剤が細胞の増殖を50%抑制する濃度(μM))とが必ずしも相関するわけではないことを示している。具体的には、HER1の発現量は、MCF-7 ADR、OVCAR-3及びSW480株において高く、ZR-75-1及びKATO III株では低いことが示されている(前記文献のTable 1参照)。一方、イレッサによるIC50の値は、ZR-75-1及びKATO III株において、MCF-7 ADR、OVCAR-3及びSW480株と同様に低い(前記文献のTable 2参照)。すなわち、HER1の発現量に関係なく、これらの細胞株は、イレッサにより同程度に増殖を抑制されたことがわかる。
これらの研究の結果は、HER1のようなRTKの遺伝子及び/又はタンパク質の発現量と、RTK阻害剤による腫瘍細胞の増殖抑制効果との間に必ずしも相関関係があるわけではないことを示している。
Francis M. Sirotnakら, "Efficacy of Cytotoxic Agents against Human Tumor Xenografts Is Markedly Enhanced By Coadministration of ZD1839 (Iressa), a Inhibitor of EGFR Tyrosine Kinase", Clinical Cancer Research, vol.6, p.4885-4892, 2000 Ciardielloら, "Inhibition of Growth Factor Production and Angiogenesis in Human Cancer Cells by ZD1839 (Iressa), a Selective Epidermal Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor", Clinical Cancer Research, vol.7, p.1459-1465, 2001
そこで、本発明者らは、RTKの遺伝子及びタンパク質の量、すなわち発現量ではなく、RTKの酵素活性(以下、「RTK活性」という)を測定することに着目した。それゆえ、本発明は、RTK活性の測定結果に基づいて腫瘍細胞の悪性度を評価する方法を提供することを課題とする。
本発明は、
(1)腫瘍細胞を含む試料からRTKを含む細胞膜画分を調製する工程と、
(2)工程(1)で得た細胞膜画分をRTK活性阻害剤と接触させる工程と、
(3)工程(2)で得たRTK活性阻害剤と接触させた細胞膜画分を、少なくとも2種類のRTKに対する基質と接触させ、リン酸化された基質を測定することにより、第一のRTK活性阻害剤の存在下でのRTK活性(第一RTK活性)を測定する工程と、
(4)工程(1)で得た細胞膜画分を、第一のRTK活性阻害剤と接触させずに、工程(3)で用いたものと同じ基質と接触させ、リン酸化された基質を測定することにより、RTK活性阻害剤の非存在下でのRTK活性(対照RTK活性)を測定する工程と、
(5)前記第一RTK活性及び前記対照RTK活性に基づいて、第一のRTK活性阻害剤の存在下での前記腫瘍細胞の悪性度を評価する工程と
を含む、腫瘍細胞の悪性度を評価する方法を提供する。
本発明の方法に従って、腫瘍細胞を含む試料のRTK活性を測定することにより、RTK活性阻害剤存在下での腫瘍細胞の増殖能、転移能などを含む悪性度を簡便に評価することができる。本発明の方法によれば、患者から腫瘍細胞を採取し、その腫瘍細胞のRTK活性を測定することにより、該患者のがんの悪性度を短時間で簡便に知ることができる。それゆえ、患者に対する効果的な治療方針(例えば、用いる抗がん剤の種類)などを決定する指標を容易に得ることができる。
実施例1の結果を示すレーダーチャートである。 実施例1の結果を示すレーダーチャートである。 細胞の増殖能についての比較例1の結果を示すグラフである。 腫瘍のサイズについての比較例2の結果を示すグラフである。 細胞の生存能についての比較例3の結果を示すグラフである。 細胞のVEGF分泌能についての比較例4の結果を示すグラフである。 細胞の浸潤能についての比較例5の結果を示すグラフである。 細胞の走化能についての比較例6の結果を示すグラフである。
本発明者らは、RTKの遺伝子やタンパク質の発現量ではなく、RTK活性を測定することに着目した。さらに、本発明者らは;
‐RTKには、様々な種類が存在する、
‐RTKは、リガンドの刺激によりホモ二量体を形成し、シグナル伝達を行う。しかし、RTKはそれだけでなくヘテロ二量体又は四量体を含む多量体も形成し、これらが腫瘍細胞の増殖に関与する、
‐HER1及びHER2以外のRTKも、がんの細胞増殖及び/又は転移に関与する
という報告にも着目した。
以上のことから、本発明者らは、特定のRTK(例えば、HER1及びHER2)だけでなく、多種類のRTK(例えば、PDGFR、VEGFRなど)の活性も測定することが、腫瘍細胞の増殖及び転移に関する情報をより正確に得るために重要であると考えた。
そこで、本発明は、少なくとも2種類のRTKに対して特異性を有する基質を用いて、RTK活性阻害剤の存在下及び非存在下でRTK活性を測定することにより、多種類のRTK活性を測定できる方法を提供する。
本明細書において、「腫瘍細胞の悪性度」とは、腫瘍細胞の増殖能、転移能などを含むことを意図する。好ましくは、腫瘍細胞の悪性度とは、腫瘍細胞の増殖能及び/又は転移能である。上記の「増殖能」とは、細胞が生存する能力、細胞がその体積を大きくすることにより成長する能力などを含む。上記の「転移能」は、腫瘍細胞が元の病巣から移行して他の組織や器官に取り付く能力、腫瘍細胞によるVEGF(血管内皮細胞増殖因子)の分泌能、腫瘍細胞の走化性(遊走性;腫瘍細胞が移動する能力)、浸潤能(腫瘍細胞が組織に浸潤する能力)などを含む。
本明細書において、RTKは、細胞膜に存在している受容体型チロシンキナーゼであり、膜貫通型チロシンキナーゼとも呼ばれている。RTKは、インシュリン受容体(IR)、インシュリン様成長因子受容体(IGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(HER)、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)などを含む。
これらの受容体には、それぞれいくつかのサブファミリーが知られており、例えばHERには、HER1、HER2、HER3、HER4などが知られている。
本発明の方法においては、まず、腫瘍細胞を含む試料からRTKを含む細胞膜画分を調製する。
上記の腫瘍細胞を含む試料は、生体からの検体に由来する試料であってもよいし、株化された腫瘍細胞を培養して得られる培養物に由来する試料であってもよい。生体からの検体としては、生体(患者)から採取された組織(腫瘍組織、臓器組織、リンパ節組織、血液など)、又は体腔洗浄液などが挙げられる。
RTKを含む細胞膜画分の調製は、上記の腫瘍細胞を含む試料から細胞質を分離する方法、すなわちRTKが結合した細胞膜画分を細胞質から分離する方法により行うことができる。好ましくは、上記の腫瘍細胞を適切な緩衝液(以下、「ホモジナイズ試薬」という)中で破砕し、得られた破砕液から不溶性画分を取得し、該不溶性画分と界面活性剤を含む可溶化液とを加えて混合し、得られた混合液から可溶性画分を取得することを含む方法により行う。
前記ホモジナイズ試薬を用いる破砕により得られる破砕液は、例えば遠心分離などの適切な方法により、可溶性画分(例えば、上清)と不溶性画分(例えば、沈殿物)とに分けることができる。該可溶性画分には、細胞質由来のタンパク質などが含まれ、該不溶性画分には種々のRTKを保持する細胞膜の断片が含まれる。
前記混合液は、例えば遠心分離などの適切な方法により可溶性画分(例えば、上清)と不溶性画分(例えば、沈殿物)とに分けることができる。該可溶性画分には、種々のRTKを保持する細胞膜が界面活性剤により可溶化(ミセル化)されて含まれており、該不溶性画分には、不溶性タンパク質、DNAなどが含まれる。
RTKを含む細胞膜画分は、RTKがホモ2量体及びヘテロ2量体のような多量体を形成できる程度に立体構造を保った状態で細胞膜に保持されているRTKを含むことが好ましい。また、このようなRTKが細胞膜に保持されたまま、界面活性剤によりミセル化されて溶液中に分散している状態がより好ましい。
上記のようにしてRTKを含む細胞膜画分を調製することにより、腫瘍細胞が有する種々のRTKの酵素活性を測定することが可能になる。
上記の細胞の破砕は、細胞膜を断片化することができる方法により行うことができる。例えば、ピペットによる吸引排出、凍結融解による細胞破砕、ボルテックスミキサーによる撹拌、ブレンダーによる破砕、ペッスルによる加圧、超音波処理装置による超音波処理などの公知の方法が挙げられる。
上記のホモジナイズ試薬は、細胞を破砕する際に、RTKが変性するのを防ぐために用いることができる。ホモジナイズ試薬のpHは、RTKを変性及び失活させることなく、安定した状態で回収できる範囲であれば特に限定されない。ホモジナイズ試薬のpHは、好ましくはpH 4.0〜9.0、より好ましくはpH 4.5〜8.5、さらに好ましくはpH 5.0〜8.0である。
ホモジナイズ試薬は、緩衝剤を含むことが好ましい。緩衝剤としては、例えば、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸)、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、トリシン(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン)などが挙げられる。
上記の可溶化液に含まれる界面活性剤は、断片化した細胞膜をミセル化でき、細胞膜に含まれるRTKを分解及び変性しないものであれば、特に限定されない。電荷を有する界面活性剤は、RTKに結合してその立体構造を変化させる可能性があるので、RTKに実質的に結合しない非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。このような非イオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルエーテル、セチルエーテル、ステアリルエーテル、p−t−オクチルフェニルエーテルなどを基本構造として有するものが挙げられる。具体的には、非イオン界面活性剤として、ノニデットP−40(NP−40、Shell International Petroleum Company Limitedの登録商標)、Triton−X(Union Carbide Chemicals and Plastics Inc.の登録商標)、Tween(ICI Americas Inc.の登録商標)、Brij(ICI Americas Inc.の登録商標)、Emulgen(花王の登録商標)などが挙げられる。可溶化液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.05〜5%、より好ましくは0.1〜3%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
上記の可溶化液は、ホモジナイズ試薬に用いられるものと同様の緩衝剤を含むことが好ましい。また、該可溶化液は、ホモジナイズ試薬と同程度のpHを有することが好ましい。
なお、上記のホモジナイズ試薬及び可溶化液は、プロテアーゼ阻害剤、脱リン酸化酵素阻害剤、SH基の酸化を防ぐための試薬(以下、「SH基安定剤」という)などを含有してもよい。
プロテアーゼ阻害剤は、RTKが、細胞に含まれるプロテアーゼによって分解されることを防ぐために用いることができる。プロテアーゼ阻害剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)などのメタロプロテアーゼ阻害剤、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、トリプシン阻害剤、キモトリプシンなどのセリンプロテアーゼ阻害剤、ヨードアセトアミド、E−64などのシステインプロテアーゼ阻害剤などが挙げられる。これらのプロテアーゼ阻害剤は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
また、プロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ社)のような、あらかじめ複数のプロテアーゼ阻害剤が混合された市販品を用いることもできる。
脱リン酸化酵素阻害剤は、RTK活性が、細胞内に含まれる脱リン酸化酵素により低下することを防ぐために用いることができる。脱リン酸化酵素阻害剤としては、例えば、オルトバナジン酸ナトリウム(Na3VO4)、フッ化ナトリウム(NaF)、オカダ酸などが挙げられる。脱リン酸化阻害剤は、単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
SH基安定剤は、RTKの失活を防ぐために用いることができる。酵素が有するSH基は、酸化されてより安定なジスルフィドを形成しやすい。ジスルフィドの形成は、酵素の立体構造を変化させるので、酵素の失活の原因となることがある。このようなSH基の酸化を防ぐためのSH基安定化剤としては、SH基を含有する試薬が挙げられる。SH基安定化剤としては、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、グルタチオン、システイン、ホモシステイン、補酵素A、ジヒドロリポ酸などが挙げられる。
上記のホモジナイズ試薬及び/又は可溶化液中のSH基安定化剤の濃度は、例えばDTTであれば、好ましくは0.05〜2mM、より好ましくは0.07〜1.7mM、さらに好ましくは0.1〜1.5mMである。また、例えば、2−メルカプトエタノールであれば、好ましくは0.1〜15mM、より好ましくは0.3〜13mM、さらに好ましくは0.5〜12mMである。
上記のようにして調製したRTKを含む細胞膜画分を、RTK活性阻害剤と接触させる。 RTK活性阻害剤は、RTKの活性を阻害する物質であれば、特に限定されない。RTK活性阻害剤としては、RTKのアデノシン三リン酸(ATP)結合部位に結合する阻害剤(以下、「ATP競合阻害剤」又は「ATP競合RTK活性阻害剤」という)、RTKの基質結合部位に結合する阻害剤、RTKの細胞外ドメイン(例えば、リガンド結合部位)に結合する阻害剤などが知られている。好ましくは、RTK活性阻害剤は、RTKのATP競合阻害剤である。
RTKのATP競合阻害剤としては、イレッサ(アストラゼネカ社)、グリベック(ノバルティスファーマ社)、タルセバ(OSI社)、PD153035(カルビオケム社)、AG1478(カルビオケム社)、4557W(EGFR/ErbB-2阻害剤)(カルビオケム社)、PDGF Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor III(カルビオケム社)、VEGF Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor III(カルビオケム社)などが挙げられる。
RTKの基質結合部位に結合する阻害剤としては、チロフォスチン(tyrphostin;カルビオケム社)などが挙げられる。
RTKの細胞外ドメインに結合する阻害剤としては、ハーセプチン(ジュネンテック社)、セツキシマブ(イムクロン社)、パーツズマブ(pertuzumab;ジェネンテック社)などが挙げられる。
上記の接触は、通常、溶液中で行われる。
溶液中のRTK活性阻害剤の濃度は、該阻害剤の種類、基質の濃度、後述するリン酸基供与体(例えばATP)などにより適宜設定することができる。例えば、RTK活性阻害剤としてATP競合阻害剤を使用する場合、阻害剤の濃度は、リン酸基供与体(具体的にはATP)の濃度に対して0.1〜10倍程度に設定することができる。
本発明の方法において、上記のRTK活性阻害剤と接触させた細胞膜画分と少なくとも2種類のRTKに対する基質とを接触させ、リン酸化された基質を測定することにより、RTK活性阻害剤の存在下でのRTK活性(第一RTK活性)を測定する。
該測定は、前記細胞膜画分、前記基質及びリン酸基供与体を混合し、RTKの活性によりリン酸化された基質を測定することにより行われることが好ましい。このRTKの介する反応により、リン酸基供与体のリン酸基が基質に取り込まれるので、リン酸化された基質を測定することにより、RTKの活性を測定できる。
上記の少なくとも2種類のRTKに対する基質は、RTKの種類に対して特異性の低い基質(以下、「ユニバーサル基質」という)、又は特定のRTKに対して特異性の高い基質が複数種類組み合わされた基質混合物であることが好ましい。このような基質を用いてRTK活性を測定することにより、試料中に含まれる複数種類のRTKの活性を測定できる。
特定のRTKに対して特異性の高い基質は、例えば、HER1に対して特異性の高い基質としてGrb2、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ヒストンH2B(HH2B)、ホスホリパーゼCガンマなどが挙げられる。また、GST−EGFR substrate(ストラタジーン社)のような市販の基質を、HER1に対して特異性の高い基質として用いることもできる。GST−EGFR substrateは、グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(GST)と、HER1の酵素活性によってリン酸化されるように合成された基質との融合タンパク質である。
上記のユニバーサル基質は、RTKの種類に対する特異性が低く、すなわち多種類のRTKに対する基質である。したがって、ユニバーサル基質としては、RTKの種類に対する特異性が低くなるように合成された公知の合成ペプチドが好ましい。合成ペプチドは、具体的には、グルタミン酸残基及びチロシン残基を含むアミノ酸配列からなるペプチドが好ましい。該合成ペプチドとしては、例えば、Poly(Glu4-Tyr)(biotin conjugate、UPSTATE社)のような市販されている合成ペプチドが挙げられる。さらに、合成ペプチドとしては、例えば、Norio Sasakiら, 1985, The Journal of Biological Chemistry, Vol.260, No.17, 9793〜9804、Sergei Braunら, 1984, The Journal of Biological Chemistry, Vol.259, No.4, 2051〜2054、及びM. Abdel-Ghanyら, 1990, Proceeding of The National Academy of Science, Vol.87, 7061〜7065などの文献において、チロシンキナーゼの基質として記載される合成ペプチドが挙げられる。これら文献に記載される合成ペプチドは、グルタミン酸残基(Glu)及びチロシン残基(Tyr)を含むアミノ酸配列からなり、Tyrが2種類以上のチロシンキナーゼによりリン酸化されるように合成されている。
上記の合成ペプチドのアミノ酸配列は、具体的には、
4つのGluと1つのTyrからなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(以下、「アミノ酸配列a」という)、
1つのGluと1つのTyrからなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(以下、「アミノ酸配列b」という)、
6つのGluと1つのTyrと3つのアラニン残基(Ala)からなる配列が2回以上繰り返され
たアミノ酸配列(以下、「アミノ酸配列c」という)、
1つのGluと1つのTyrと1つのAlaからなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(
以下、「アミノ酸配列d」という)、
2つのGluと1つのTyrと6つのAlaと5つのリジン残基(Lys)からなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(以下、「アミノ酸配列e」という)などが例示できる。なお、Tony Hunter, 1982, The Journal of Biological Chemistry, Vol.257, No.9, 4843〜4848の文献において、チロシンキナーゼによるTyrのリン酸化には酸性アミノ酸残基が重要であるという報告がある。それゆえ、上記の基質としては、酸性アミノ酸残基のGluを多く含有するアミノ酸配列aやアミノ酸配列cが特に好ましい。
上記のリン酸基供与体としては、例えば、アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン5'−O−(3−チオトリホスフェート)(ATP−γS)、32P標識したアデノシン5'−O−(3−トリホスフェート)(γ−〔32P〕−ATP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン一リン酸(AMP)などが挙げられる。
上記のリン酸化された基質の測定は、リン酸化された基質を他のタンパク質から分離し、該基質を検出することにより行われることが好ましい。
リン酸化された基質を他のタンパク質から分離するために、上記の基質は、アフィニティータグを有することができる。アフィニティータグを有する基質と、アフィニティータグと結合可能な物質(以下、「結合物質」という)を有する固相とを用いることにより、リン酸化された基質を他のタンパク質から分離して回収することが容易になる。具体的には、リン酸化された基質と上記固相との複合体を回収し、該複合体におけるアフィニティータグと、固相が有する結合物質との結合を解離させることにより、基質を回収することができる。
上記のアフィニティータグは、対応する結合物質が存在し、かつ基質とRTKとの結合及び基質のリン酸化を妨げない物質であれば特に限定されない。アフィニティータグとしては、例えばポリペプチド、ハプテンなどを用いることができる。具体的には、GST、ヒスチジン、マルトース結合タンパク質、FLAGペプチド(シグマ社)、Mycタグ、ヘマグルチニン(HA)タグ、Strepタグ(IBA GmbH社)、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンなどを用いることができる。
上記のアフィニティータグを有する基質は、上記のアフィニティータグと上記の基質とを化学的に結合させることにより得られるものであってよい。あるいは、アフィニティータグがポリペプチドである場合は、アフィニティータグと基質との融合タンパク質をコードする組み換え遺伝子を含むベクターを宿主に導入し、宿主が産生した融合タンパク質を回収することにより得られるものを用いることもできる。
上記のアフィニティータグに対応する結合物質は、アフィニティータグと可逆的に結合できる物質であれば、特に限定されない。結合物質としては、例えば、グルタチオン、ニッケル、アミロース、抗FLAG抗体(シグマ社)、抗Myc抗体、抗HA抗体、Strep−Tactin(IBA GmbH社)などが挙げられる。
上記の固相は、上記の結合物質と結合できる担体であれば特に限定されない。固相の材質としては、例えば、多糖類、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。固相の形状としては、例えば、ビーズ、ゲルなどが挙げられる。固相の具体例としては、セファロースビーズ、アガロースビーズ、磁性ビーズ、ガラスビーズ、シリコーンゲルなどが挙げられる。これらの固相は、カラムに充填して用いることもできる。
アフィニティータグと結合物質を有する固相との組み合わせとしては、以下のような例が挙げられる。
アフィニティータグとしてGSTを選択した場合、固相として、例えばグルタチオンセファロースビーズ(以下、「グルタチオンビーズ」という)を用いることができる。この組み合わせの場合における、具体的なRTK活性の測定は、例えば次のようにして行うことができる。RTK活性阻害剤と接触させた細胞膜画分を、GSTが結合した基質と接触させ、ここにグルタチオンビーズを加えることにより、リン酸化された基質が結合したグルタチオンビーズを得る。そして、このグルタチオンビーズを回収した後、還元型グルタチオンを添加して、GSTとグルタチオンビーズとの結合を解離させ、基質を回収する。
あるいは、GSTが結合した基質をまずグルタチオンビーズと接触させて、該基質とグルタチオンビーズとの複合体を得る。次いで、RTK活性阻害剤と接触させた細胞膜画分を該複合体に接触させ、これを回収する。これに還元型グルタチオンを添加し、GSTとグルタチオンビーズとの結合を解離させ、基質を回収することもできる。
アフィニティータグとしてヒスチジンを用いる場合、結合物質を有する固相として、例えばニッケルアガロースビーズを用いることができる。ヒスチジンとニッケルとの結合は、例えばグリシン−HClなどの酸又はイミダゾールを用いて解離させることができる。
アフィニティータグとしてマルトース結合タンパク質を用いる場合、結合物質を有する固相として、例えばアミロース磁性ビーズを用いることができる。マルトース結合タンパク質とアミロースとの結合は、例えば遊離アミロースを用いて解離させることができる。
アフィニティータグとしてFLAGペプチドを用いる場合、結合物質を有する固相として、例えばFLAGアフィニティーゲル(シグマ社)を用いることができる。FLAGペプチドとFLAGアフィニティーゲルとの結合は、例えばグリシン−HClなどの酸又は3×FLAGペプチド(シグマ社)を用いて解離させることができる。
アフィニティータグとしてMycタグを用いる場合、結合物質を有する固相として、例えば抗Myc抗体を結合したアガロースビーズを用いることができる。
アフィニティータグとしてHAタグを用いる場合、結合物質を有する固相として、例えば抗HA抗体を結合したアガロースビーズを用いることができる。
Mycタグと抗Myc抗体との結合、HAタグと抗HA抗体との結合はどちらも、例えば酸又はアルカリを加えてタンパク質を変性させることにより解離させることができる。この場合、変性したタンパク質を元の状態に戻すことのできる酸又はアルカリを選択することが好ましい。具体的には、酸としては塩酸など、アルカリとしては水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
アフィニティータグとしてStrepタグを選択した場合、結合物質を有する固相として、例えばStrep−Tactin固相化ゲルカラム(IBA GmbH社)を用いることができる。StrepタグとStrep−Tactinとの結合は、例えばストレプトアビジンと可逆的に反応するデスチオビオチンを用いて解離させることができる。
RTKと上記の基質とを接触させた後であって、リン酸化された基質を回収する前に、加熱、冷却、又はEDTAなどの酵素阻害剤の添加などの処理により酵素反応を停止させてもよい。このように酵素反応を停止すれば、基質を回収する間に酵素反応がさらに進むことによる、試料ごとの測定結果のバラつきの発生を回避できる。
上記のようにして固相から分離されたリン酸化された基質に標識物質を結合させ、該標識物質を検出することにより、リン酸化された基質を測定することが好ましい。標識物質としては例えば、蛍光物質、酵素、放射性同位元素などが挙げられるが、これに限定されない。蛍光物質としては、例えばフルオレセイン、クマリン、エオシン、フェナントロリン、ピレン、ローダミンなどが挙げられる。酵素としては例えば、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。放射性同位元素としては例えば、32P、33P、131I、125I、3H、14C、35Sなどが挙げられる。
標識物質として酵素を用いる場合、上記検出は、これらの酵素に対する基質との反応に由来する発色を検出することにより行うことができる。酵素がアルカリホスファターゼである場合、基質としては、ニトロテトラゾリウムブルークロライド(NBT)及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシルホスフェイト(BCIP)の混合物が挙げられる。酵素がペルオキシダーゼである場合、基質としては、ジアミノベンジジン(DAB)が挙げられる。
リン酸化された基質と標識物質との結合は、従来公知の様式により行うことができる。例えば、標識物質を有しかつリン酸化された基質に特異的に結合できる抗体(以下、「リン酸化基質認識抗体」という)を用いることにより、リン酸化された基質に標識物質を結合させることができる。
リン酸化された基質と標識物質との結合はまた、リン酸化基質認識抗体と、該リン酸化基質認識抗体に結合可能でありかつ標識物質を有する抗体(以下、「二次抗体」という)とを用いることにより行うこともできる。この場合、リン酸化基質認識抗体と二次抗体とを介して、標識物質をリン酸化された基質に実質的に結合させることができる。
リン酸化された基質と標識物質との結合はまた、リン酸化基質認識抗体と、ビオチンを有する二次抗体と、標識物質を有するアビジンとを用いることにより行うことができる。この場合、リン酸化基質認識抗体と二次抗体とビオチンとアビジンとを介して、標識物質をリン酸化された基質に実質的に結合させることができる。なお、二次抗体がアビジンを有し、ビオチンが標識物質を有していてもよい。
リン酸化された基質と標識物質との結合はまた、ビオチンを有するリン酸化基質認識抗体と、標識物質を有するアビジンとを用いるか、又はアビジンを有するリン酸化基質認識抗体と、標識物質を有するビオチンとを用いることにより行うこともできる。
このように標識物質を用いることにより、該標識物質が発生するシグナルを検出して、リン酸化された基質を検出することができ、これによりRTKの活性を測定することができる。
上記のリン酸化基質認識抗体及び二次抗体は、従来公知の方法により得られる抗体であってよい。抗体を得る方法としては、抗原で免疫した動物の血液から得る方法、遺伝子組み換えにより得る方法などが挙げられる。該抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれであってもよく、抗体のフラグメント及びその誘導体であってもよい。また、これらの抗体を2種類以上混合したものを用いることもできる。抗体のフラグメント及びその誘導体としては、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、F(ab)2フラグメント、sFvフラグメントなど(Blazarら, 1997, Journal of Immunology, 159 : 5821〜5833及びBirdら, 1988, Science, 242 : 423〜426)が挙げられる。抗体のクラスはIgG、IgMなどのいずれであってもよい。
リン酸化された基質を検出する方法は、標識物質の種類により適宜選択できる。例えば、標識物質が蛍光物質又は酵素である場合、ウエスタンブロッティングによってリン酸化された基質を検出することができる。SDS-PAGEなどの電気泳動により分離したリン酸化された基質をメンブレンにブロッティングし、リン酸化基質認識抗体を含む緩衝液中で該メンブレンをインキュベートして該抗体とリン酸化された基質とを結合させ、さらに標識物質を有する二次抗体をリン酸化基質認識抗体に結合させ、この標識物質を検出することによりリン酸化された基質を測定できる。リン酸化された基質が上記のアフィニティータグを有する場合は、該アフィニティータグを用いてリン酸化された基質を分離し、ウエスタンブロッティングの代わりにスロットブロットを行うことにより、ウエスタンブロッティングの場合と同様にしてリン酸化された基質を測定できる。
リン酸化された基質の検出は、標識物質が蛍光物質である場合、リン酸化された基質を含む溶液をチューブに収容し、ここに該蛍光物質を有するリン酸化基質認識抗体を加えてリン酸化された基質と結合させ、蛍光強度を測定することにより行うこともできる。
標識物質が酵素である場合、リン酸化された基質の検出は、酵素結合免疫吸着法(ELISA法)により行うことができる。ELISA法は、直接吸着法とサンドイッチ法とを含む。
直接吸着法は、固相にリン酸化された基質が直接吸着することを含む方法であり、例えば、リン酸化された基質を固相の表面に吸着させ、酵素を有するリン酸化基質認識抗体をリン酸化された基質と結合させ、リン酸化基質認識抗体が有する酵素を該酵素に対する基質を用いて発色させ、該発色を検出することを含む方法であり得る。
サンドイッチ法は、リン酸化された基質の異なる部位を認識する2種類のリン酸化基質認識抗体を用いてリン酸化された基質を検出する方法である。この方法は、例えば、固相にリン酸化基質認識抗体を結合させ(以下、「固相抗体」という)、リン酸化された基質を固相抗体と結合させ、酵素を有するリン酸化基質認識抗体(以下、「標識抗体」という)を、該リン酸化された基質と結合させ、該標識抗体が有する酵素と該酵素に対する基質との反応に由来する発色を検出することにより行うことができる。
標識物質が放射性同位元素である場合、リン酸化された基質の検出は、放射線免疫検定法(RIA)によって行うことができる。具体的には、放射性同位元素を有するリン酸化基質認識抗体をリン酸化された基質に結合させ、その放射線をシンチレーションカウンターなどにより測定する。
本発明の方法に含まれるRTK活性阻害剤の非存在下でのRTK活性(対照RTK活性)を測定する工程は、上記の細胞膜画分を上記のRTK活性阻害剤と接触させないことを除いて、上記の第一RTK活性の測定工程と同じである。
本発明の方法は、上記の第一RTK活性及び対照RTK活性に基づいて、RTK活性阻害剤の存在下での腫瘍細胞の悪性度を評価する工程を含む。
上記の評価する工程は、上記の第一RTK活性及び対照RTK活性に基づいて、腫瘍細胞が有するRTK活性についての相対値を算出し、該相対値と閾値(以下に詳述する)とを比較することにより、RTK阻害剤存在下での該腫瘍細胞の悪性度を評価することにより行われることが好ましい。
上記の相対値は、第一RTK活性と対照RTK活性との差又は第一RTK活性を対照RTK活性で除した値(第一RTK活性/対照RTK活性)であることが好ましく、第一RTK活性を対照RTK活性で除した値であることがより好ましい。
上記の閾値とは、RTK活性阻害剤の種類及び腫瘍細胞の種類に応じて適宜設定できる値である。閾値は、例えば、既に臨床的に悪性度が評価されている腫瘍細胞と、ある特定のRTK活性阻害剤とを用いて、本発明の方法と同様の方法により第一RTK活性及び対照RTK活性を測定し、相対値を算出することにより求めることができる。
上記の評価工程においては、例えば、上記の相対値が対照RTK活性から第一RTK活性を差し引いた値である場合、相対値と閾値とを比較し、相対値が閾値よりも高い場合に、RTK阻害剤の存在下での腫瘍細胞の悪性度が低いと評価できる。また、上記の相対値が第一RTK活性を対照RTK活性で除した値(第一RTK活性/対照RTK活性)である場合、相対値と閾値とを比較し、相対値が閾値よりも低い場合に、RTK阻害剤の存在下での腫瘍細胞の悪性度が低いと評価できる。
本発明の方法は、
(a)前記の腫瘍細胞を含む試料から調製したRTKを含む細胞膜画分を、第一のRTK活性阻害剤とは異なる第二のRTK活性阻害剤と接触させる工程と、
(b)工程(a)で得た前記第二のRTK活性阻害剤と接触させた細胞膜画分を、前記第一RTK活性の測定に用いたものと同じ基質と接触させ、リン酸化された基質を測定することにより、前記第二のRTK活性阻害剤の存在下でのRTK活性(第二RTK活性)を測定する工程と
をさらに含むことが好ましい。
第二RTK活性を測定する本発明の方法においては、評価工程が、第一RTK活性、第二RTK活性及び対照RTK活性に基づいて、それぞれのRTK阻害剤存在下での腫瘍細胞の悪性度を評価することとなる。
上記の第一のRTK活性阻害剤及び第二のRTK活性阻害剤の組み合わせとしては、上記のRTK活性阻害剤として列挙したもののいずれの組み合わせでもよいが、好ましくは、上記のRTKのATP競合阻害剤の例から複数種類が選択される。
上記の評価工程は、
(a)前記第一RTK活性と前記対照RTK活性とに基づいて、前記腫瘍細胞が有するRTK活性についての第一の相対値を算出する工程と、
(b)前記第二RTK活性と前記対照RTK活性とに基づいて、前記腫瘍細胞が有するRTK活性についての第二の相対値を算出する工程と、
(c)工程(a)及び(b)で算出した各相対値とそれらに対応する各閾値とを比較することによって、RTK阻害剤存在下での前記腫瘍細胞の悪性度を評価する工程と
を含むことが好ましい。
上記の第一の相対値及び第二の相対値は、第一RTK活性若しくは第二RTK活性と対照RTK活性との差、又は第一RTK活性若しくは第二RTK活性を対照RTK活性で除した値(第一RTK活性若しくは第二RTK活性/対照RTK活性)であることが好ましく、第一RTK活性若しくは第二RTK活性を対照RTK活性で除した値であることがより好ましい。
上記の閾値は、第一RTK活性及び対照RTK活性を測定する本発明の態様について述べたことと同様にして決定できる。
このようにして、複数のRTK活性阻害剤を用いて腫瘍細胞の悪性度を評価することにより、より精密で網羅的な評価を行うことが可能になる。これにより、患者に対する効果的な治療方針(例えば、用いる抗がん剤の種類)などを決定する指標をより的確に得ることができ、臨床上の治療の選択肢がより広くなる可能性がある。
本発明を以下の実施例にしたがってより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(少なくとも2種類のRTKに対する基質)
少なくとも2種類のRTKに対する基質として、Poly(Glu4-Tyr)(biotin conjugate、UPSTATE社)を用いた。このPoly(Glu4-Tyr)は、膜貫通型チロシンキナーゼの種類に対する特異性が低い基質であり、具体的には、4つのグルタミン酸残基と1つのチロシン残基からなる配列が5回繰り返されたアミノ酸配列からなるペプチドとビオチンとの融合タンパク質(以下、「Biotin-poly(Glu、Tyr)基質」という)である。
実施例1:RTKに対するATP競合阻害剤の影響
本実施例では、培養腫瘍細胞から、RTKを精製することなく、RTKを含む細胞膜画分を調製した。そして、得られた細胞膜画分を、RTK活性阻害剤としてのATP競合RTK阻害剤と接触させるか又はさせずに、上記のBiotin-poly(Glu、Tyr)基質を用いてRTK活性を測定した。
(細胞膜画分の調製)
13種類の培養細胞(A-431、KF、MDA-MB-468、RMUG-L、BT-474、ES2、MDA-MB-453、SK-Br-3、SNG-S、K-562、MDA-MB-231、MCF7及びT47D)を、それぞれ、ホモジナイズ試薬(20mM HEPES pH7.4、0.2%プロテアーゼ阻害剤(PI)、10%グリセロール、200μM Na3VO4、及び50mM NaFを含む)1mlと混合し、ペッスルを用いて加圧することにより細胞膜を破壊し、細胞破砕液を調製した。得られた細胞破砕液を遠心分離(20000×g、20分間)し、上清を廃棄して沈殿物を回収した。回収した沈殿物に可溶化液(20mM HEPES pH7.4、1% NP40、0.2% PI、10% グリセロール、200μM Na3VO4、及び50mM NaFを含む)を加えて混合し、ペッスルを用いて加圧することにより細胞膜を可溶化し、遠心分離(20000×g、20分間)した。そして、上清を細胞膜画分として回収し、総タンパク質量が40μg/mlになるように調製した後、該細胞膜画分を以下の実験に用いた。
A-431は、扁平上皮癌由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分A-431とする。
KFは、卵巣癌由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分KFとする。
MDA-MB-468は、乳がん由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分MDA-MB-468とする。
RMUG-Lは、卵巣癌由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分RMUG-Lとする。
BT-474は、乳がん由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分BT-474とする。
ES2は、卵巣癌由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分ES2とする。
MDA-MB-453は、乳がん由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分MDA-MB-453とする。
SK-Br-3は、乳がん由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分SK-Br-3とする。
SNG-Sは、子宮体癌由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分SNG-Sとする。
K-562は、白血病由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分K-562とする。
MDA-MB-231は、乳がん由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分MDA-MB-231とする。
MCF7は、乳がん由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分MCF7とする。
T47Dは、乳がん由来の培養細胞であり、この細胞から調製された細胞膜画分を細胞膜画分T47Dとする。
(ELISAプレートへのBiotin-poly(Glu、Tyr)基質の結合)
ELISA用のプレートとして、アビジンコートプレート(NeutrAvidin HBC White 96-Well Plates With SuperBlock Blocking Buffer(PIERCE社))を用いた。まず、該プレートの各ウェルをTBS−T(25mM Tris、150mM NaCl及び0.05% Tween−20を含む)で3回洗浄した。次に、各ウェルに、上記のBiotin-poly(Glu、Tyr)基質を含む基質溶液1(1μg/mlのBiotin-poly(Glu、Tyr)基質を含むTBS)50μlを入れ、軽く振とうしながら25℃で1時30分間インキュベートした。インキュベート後、各ウェルをTBS-Tで3回洗浄した。このようにして、ELISA用プレートのウェルの表面にBiotin-poly(Glu、Tyr)基質を結合させた。このELISA用プレートを以下の酵素反応に使用した。
(RTKとATP競合阻害剤との接触)
ATP競合RTK活性阻害剤である、PD153035(HER1阻害剤)(カルビオケム社)、AG1478(HER1阻害剤)(カルビオケム社)、4557W(HER1/HER2阻害剤)(カルビオケム社)、PDGF Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor III(以下、「PDGFR阻害剤」という)(カルビオケム社)及びVEGF Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor III(以下、「VEGFR阻害剤」という)(カルビオケム社)を用いた。また、非受容体型チロシンキナーゼであるSrcに対するATP競合阻害剤であるSrc inhibitor(以下、「Src阻害剤」という)(カルビオケム社)を用いた。各阻害剤の構造式は、次のとおりである。
Figure 2009119502
上記の各腫瘍細胞の細胞膜画分25μlを7本のチューブそれぞれに収容した。6本のチューブのそれぞれに、100μMのPD153035を含む処理液(20mM HEPES pH7.4、20mM MnCl2、2mM DTT、1% NP40、10% グリセロール、200μM Na3VO4、50mM NaF、100μM ATP、400μM PPI(BIOMOL社))25μl、100μMのAG1478を含む処理液25μl、100μMの4557Wを含む処理液25μl、100μMのSrc阻害剤を含む処理液25μl、100μMのPDGFR阻害剤を含む処理液25μl、又は100μMのVEGFR阻害剤を含む処理25μlを添加して、細胞膜画分にRTK活性阻害剤を接触させた。また、残りの1本のチューブには、阻害剤を含まない処理液25μlを加えた。こうして得られた溶液を反応溶液とする。なお、RTKの酵素活性を抑えるため、この作業は4℃以下の条件下で行った。
(RTK活性の測定)
各反応溶液50μlを、上記のようにして調製したELISA用プレートの別々のウェルに入れ、25℃でおよそ30分間インキュベートして、RTK活性阻害剤と接触させたか又は接触させていない細胞膜画分を基質と接触させた。インキュベーション後、各ウェルに反応停止液(5mM EDTAを含むTBS-T)100μlを添加し、さらにTBS-Tで3回洗浄した。次に、各ウェルをStartingBlock T20 (TBS) Blocking Buffer(PIERCE社)300μlで洗浄した。洗浄後、StartingBlock T20 (TBS) Blocking Bufferで1000倍希釈したHRP標識一次抗体(p-Tyr (PY20), sc-508 HRP(SANTA Cruz Biotechnology社)、リン酸化されたチロシン残基を認識する抗体)を各ウェルに100μl入れ、25℃でおよそ1時間30分間軽く振とうしながらインキュベートした。インキュベーション後、各ウェルをTBS-Tで5回洗浄した。洗浄後、化学発光基質(SuperSignal ELISA PICO (PIERCE社))を各ウェルに150μl入れ、5分後にマイクロプレートリーダーGENios(TECAN社)を用いて発光を測定し、これによりRTK活性を測定した。
(結果)
阻害剤と接触させた細胞膜画分を用いて得られたRTK活性(第一RTK活性)を、阻害剤と接触させなかった細胞膜画分を用いて得られたRTK活性(対照RTK活性)で除した値(相対値)に基づいて、図1及び図2のレーダーチャートを作成した。図1及び図2では、I:PD153035、II:AG1478、III:4557W、IV:Src阻害剤、V:PDGFR阻害剤及びVI:VEGFR阻害剤をそれぞれ阻害剤として用いた場合の第一RTK活性の対照RTK活性に対する相対値を示す。
図1及び図2の結果から、実施例1で用いた12種類の腫瘍細胞を、ある特定のRTK活性阻害剤の存在下ではRTK活性についての相対値が低い細胞の群(A-431、KF、MDA-MB-468、RMUG-L、BT-474、ES2、MDA-MB-453、SK-Br-3及びSNG-S)と、どのRTK活性阻害剤の存在でもRTK活性についての相対値が比較的高い細胞の群(K-562、MDA-MB-231、MCF7及びT47D)とに分けることができることがわかった。相対値が低い細胞の群をグループ1として、図1に示した。相対値が高い細胞の群をグループ2として、図2に示した。
また、図1のグループ1の結果から、本実施例で用いたSrc阻害剤(非受容体型チロシンキナーゼであるSrcに対する阻害剤)が、RTKの活性を阻害することがわかった。
比較例:腫瘍細胞の悪性度の直接的な評価
実施例1の結果から、第一RTK活性と対照RTK活性とに基づいて、腫瘍細胞をグループ1及びグループ2に分けることができた。そこで、グループ1からMDA-MB-468及びBT-474を、グループ2からMCF7及びMDA-MB-231をそれぞれ選択した。そして、実施例1で得られたRTK活性に基づく相対値が、RTK活性阻害剤存在下での腫瘍細胞の悪性度と相関することを示すために、これら4種類の培養細胞を用いて以下の各実験を行った。
比較例1:腫瘍細胞の増殖能の評価
(RTK活性阻害剤による処理及び細胞培養)
培養用プレート(96 Well Solid White Flat Bottom Polystyrene TC-Treated Microplates、Corning社)に1ウェルあたり1000個となるように上記の4種類の細胞をそれぞれ播種し、培地(10% FBS)で37℃にて培養した。24時間後に、RTK活性阻害剤としてPD153035又はAG1478を0.078、0.156、0.313、0.625、1.25又は2.5μMの濃度で含む培地に交換し、さらに37℃で3日間培養した。
(生細胞の測定)
生細胞の測定には、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega社)を用いた。このキットは、培地中の代謝活性を有する細胞に由来するATPを定量して、生細胞を測定することができる試薬キットである。
まず、キットに添付のプロトコルに従って、測定用試薬を調製した。上記のようにしてRTK活性阻害剤の存在下で培養した腫瘍細胞を含むウェルに、該測定用試薬を1ウェルあたり100μl添加し、シェーカーで培養プレートを2分間撹拌した。撹拌後、プレートを10分間静置し、マイクロプレートリーダーGENios(TECAN社)を用いて発光を測定した。培地中の代謝活性のある細胞に由来するATP量に比例して発光が生じるので、該発光を測定することにより培地中の生細胞数を測定することができる。
各条件について3つのウェルの結果を得て、平均値及び標準偏差を求めた。
こうして得られた結果から、腫瘍細胞の増殖能を評価した。
(結果)
上記の測定結果を、図3に示す。図3において、縦軸は阻害剤の非存在下での腫瘍細胞の生細胞数を100%とした場合の阻害剤の存在下での腫瘍細胞の生細胞数の相対値であり、横軸は阻害剤の濃度(μM)である。図3では、“PD”はPD153035で処理した細胞の結果を表し、“AG”はAG1478で処理した細胞の結果を表す。
図3の結果から、MCF7及びMDA-MB-231では、RTK活性阻害剤の存在下でも生細胞数はあまり減少しなかったが、MDA-MB-468及びBT-474は、RTK活性阻害剤の存在下での生細胞数が減少したことがわかる。これより、MCF7及びMDA-MB-231では、RTK活性阻害剤の存在下でも増殖能はあまり低下しなかったが、MDA-MB-468及びBT-474は、RTK活性阻害剤の存在下での増殖能が低下したことがわかる。
図2のレーダーチャートによると、MCF7及びMDA-MB-231は、PD153035及びAG1478の存在下ではそれぞれRTK活性が低下しておらず、一方、図1のレーダーチャートによると、MDA-MB-468及びBT-474は、PD153035及びAG1478の存在下ではそれぞれRTK活性が低下している。これは、図3の腫瘍細胞の増殖能の結果と同じ傾向を示している。ゆえに、本発明の方法により、RTK活性阻害剤の存在下での腫瘍細胞の増殖能を評価できることがわかった。
比較例2:腫瘍細胞サイズの増加の評価
腫瘍細胞(MDA-MB-468)のマウス体内での増殖能に対するRTK活性阻害剤の効果を調べるために、以下の実験を行った。
(マウス体内における腫瘍形成)
MDA-MB-468細胞を、225cm2のフラスコにおいて80%コンフルエントとなるように、培養液(10% FBS(Hyclone社)を含むDMEM-F12(Sigma社))中で培養した。得られた培養細胞を、DMEM-F12 100μl中に約1×107個になるように懸濁して、MDA-MB-468細胞液を調製した。
10週齢のメスのマウス(BALB/c nu/nu)の脂肪体(fat pad)に、MDA-MB-468細胞液100μlを注射した。14日後に、マウス体内において腫瘍が大きくなっていることを確認した。このようにして、3匹のマウス体内で腫瘍を形成させた。
(RTK活性阻害剤による処理)
MDA-MB-468細胞液を注射してから14日後、腫瘍が発生したマウスに阻害剤溶液を注射した。具体的には、ジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma社)100μlに、AG1478を溶解して、阻害剤溶液1を調製した。そして、阻害剤の投与量が30mg/kg/日となるように、マウスに阻害剤溶液1を注射した。阻害剤溶液1の注射は、7日間連続して行った。また、DMSOに4557Wを溶解して、阻害剤溶液2を調製した。そして、上記阻害剤溶液1と同様にして、別のマウスに阻害剤溶液2を注射した。さらに、ネガティブコントロールとして、別のマウスにDMSOのみを同様にして注射した。
(腫瘍の体積の測定)
最初にマウスに阻害剤溶液を注射した日を注射後1日目とした。そして、注射後1日目、3日目、5日目、8日目において、マウス体内の腫瘍の体積(mm3)を測定した。腫瘍の体積は、腫瘍の長径と短径を測定し、腫瘍の形を楕円球と仮定して長径と短径から体積を算出した。
DMSOを注射したマウスについても、上記と同様にして腫瘍の体積を測定した。
(結果)
結果を、図4に示す。図4は、注射後1日目の体積を1として、注射後3日目、5日目、8日目の体積の変化を示したものである。図4では、“DMSO”はネガティブコントロールを表し、“AG1478”はAG1478を投与したマウスの結果を表し、“4557W”は4557Wを投与したマウスの結果を表す。
図4の結果から、MDA-MB-468細胞による腫瘍体積の増加は、AG1478又は4557Wの存在下で抑制されたことがわかる。
図1のレーダーチャートによると、MDA-MB-468細胞は、AG1478又は4557Wの存在下でRTK活性が低下している。これは、図4の腫瘍細胞の体積の増加の抑制についての結果と同じ傾向を示している。ゆえに、本発明の方法により、RTK活性阻害剤の存在下での腫瘍細胞の体積増加能力、すなわち増殖能を評価できることがわかった。
比較例3:腫瘍細胞の増殖能の評価
上記の比較例1において、PD153035又はAG1478の代わりに、PD153035、AG1478、4557W、PDGFR阻害剤及びVEGFR阻害剤の混合物を、それぞれの阻害剤が1μMとなるようにして用いたことを除いて、比較例1と同様にして、腫瘍細胞の生細胞数を測定した。
(結果)
阻害剤の非存在下での腫瘍細胞の生細胞数を100%とした場合の阻害剤の存在下での腫瘍細胞の生細胞数の相対値を、図5に示す。
比較例1で得られた結果と同様に、MCF7及びMDA-MB-231では、RTK活性阻害剤の存在下でも生細胞数はあまり減少しなかったが、MDA-MB-468及びBT-474は、RTK活性阻害剤の存在下での生細胞数が減少したことがわかる。これより、MCF7及びMDA-MB-231では、RTK活性阻害剤の存在下でも増殖能はあまり低下しなかったが、MDA-MB-468及びBT-474は、RTK活性阻害剤の存在下での増殖能が低下したことがわかる。
比較例4:細胞の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)分泌能の評価
VEGFは、腫瘍の血管新生や転移に関与することが知られている糖タンパク質である。腫瘍細胞によりVEGFが分泌されると、その腫瘍細胞は、血管を新生させて新たに栄養分を取得して増殖し、さらに新生させた血管を介して転移することができる。よって、VEGFの分泌能は転移しやすさを示す指標となる。
腫瘍細胞のVEGF分泌能を、以下のようにして測定した。
MDA-MB-468、BT-474、MCF7及びMDA-MB-231の培養細胞を、1ウェルあたり1×106個となるように6ウェルプレート(Corning社)に播種し、培地(10%FBS)で37℃にて培養した。24時間後に、ウェル中の培地を無血清培地に置換して、さらに18時間培養した。なお、無血清培地としては、抗生物質であるAntibiotic-Antimycotic(100×)(GIBCO社)を添加したDMEM/F12(SIGMA社)またはRPMI1640(SIGMA社)を用いた。その後、DMSOに溶解した1μMの阻害剤(PD153035、AG1478、PDGFR阻害剤又はVEGFR阻害剤)を含む培地(10%FBS)に置換して4時間培養した。その後、細胞上清を回収した。上清中のVEGFの量を、Human VEGF Quantikine ELISA Kit(R&D system 社)を用いて、キットに添付のプロトコルに従い測定した。
なお、コントロールとして、阻害剤の代わりにDMSOのみを用いて同様の実験を行った。
(結果)
結果を、図6に示す。図6において、縦軸はVEGF濃度(pg/ml)であり、これは細胞から分泌されたVEGFの量を反映している。図6では、“DMSO”はコントロールを表し、“PD”はPD153035で処理した細胞の結果を表し、“AG”はAG1478で処理した細胞の結果を表し、“PDGFR”はPDGFR阻害剤で処理した細胞の結果を表し、“VEGFR”はVEGFR阻害剤で処理した細胞の結果を表す。
図6の結果から、MDA-MB-468及びBT-474細胞は、PD153035又はAG1478での処理により、VEGF分泌量がコントロールの値に比べて低下したことがわかる。すなわち、これらの細胞は、PD153035又はAG1478の存在下では血管新生能(すなわち転移能)が低下したと考えられる。
これらの細胞は、図1のレーダーチャートによると、PD153035及びAG1478の存在下ではそれぞれRTK活性が低下している。これは、図6のVEGF分泌量の結果と同じ傾向を示している。ゆえに、本発明の方法により、RTK活性阻害剤の存在下での腫瘍細胞の血管新生能(すなわち転移能)を評価できることがわかった。
比較例5:細胞の浸潤能の評価
腫瘍細胞は、血管壁に浸潤して血管内に入り、血流によって移動することにより、他の組織へ転移する。よって、細胞の浸潤能は、細胞の転移しやすさ、すなわち転移能を示す指標となる。
そこで、MDA-MB-468及びMDA-MB-231細胞の浸潤能を、以下のようにして測定した。
浸潤能の測定実験の原理は、次のとおりである。この実験は、キットであるCultrex 96 well Cell Invasion Assay(Trevigen社)に含まれる、上部チャンバと下部チャンバとを有する96ウェルのチャンバを用いて行う。上部チャンバの底面に基底膜(Basement membrane extract;BME)を形成し、その膜の上に血清飢餓状態の細胞を置く。下部チャンバには血清培地を入れる。この状況で細胞を培養すると、細胞は、栄養(血清)を得ようとして下部チャンバに移動する。下部チャンバに移動した細胞を生細胞特異的蛍光染色試薬(calcein AM)で染色し、その蛍光強度を測定することにより、下部チャンバに移動した細胞の数を求めることができる。これにより、細胞が基底膜を分解する能力、すなわち浸潤能を測定できる。
(RTK活性阻害剤による処理及び細胞培養)
上記の細胞を、培養プレートであるNunclon Surface(Nunc社)において80%コンフルエントになるように、培地(10%FBS)で37℃にて培養した。次いで、ウェル中の培地を無血清培地に置換して、さらに24時間培養して、細胞を血清飢餓状態にした。なお、無血清培地としては、抗生物質であるAntibiotic-Antimycotic(100×)(GIBCO社)を添加したDMEM/F12(SIGMA社)を用いた。細胞を、0.05%Trypsin-EDTA(GIBCO社)を用いてウェルからはがし、クエンチングバッファー(5%BSA含有無血清培地)を用いて細胞を回収した。これを遠心分離して、Trypsin-EDTAを除き、1 ml 当たり1×106個の細胞となるように上記無血清培地で希釈して、細胞懸濁液を得た。
DMSOに溶解した阻害剤の混合物(PD153035、AG1478、4557W、PDGFR阻害剤及びVEGFR阻害剤)を、各阻害剤がそれぞれ1μMとなるように細胞懸濁液に加えた。
コントロールとして、阻害剤の代わりにDMSOのみを細胞懸濁液に加えた。
(チャンバの準備)
この実験には、上部チャンバと下部チャンバとを有する96ウェルのチャンバを含むキットであるCultrex 96 well Cell Invasion Assay(Trevigen社)を用いた。
まず、キットに添付のプロトコルに従って、各試薬(0.1×BME solution、wash buffer、cell dissociation buffer、及びcalcein AM solution)を調製した。上部チャンバの各ウェルに、キットに添付の0.1×BME solutionを50μlずつ加え、上部チャンバ、下部チャンバ及びふたを組み合わせ、CO2インキュベータ内で37℃にて4時間以上インキュベートした。このようにして、上部チャンバの底面にBMEを形成した。
(浸潤能の実験)
下部チャンバの各ウェルに、各阻害剤が1μMの濃度になるように調製したDMSOに溶解した阻害剤の混合物(PD153035、AG1478、4557W、PDGFR阻害剤及びVEGFR阻害剤)を含む培地(10%FBS)、又はDMSOを含む培地150μlを加えた。
残存しているBME solutionを除去した上部チャンバを、下部チャンバに組み合わせ、上部チャンバの各ウェルに、阻害剤を含むか又は含まない細胞懸濁液50μlを加えた。下部チャンバのウェルが阻害剤混合物を含む場合、上部チャンバの対応する位置のウェルも阻害剤混合物を含む細胞懸濁液を含み、下部チャンバのウェルが阻害剤混合物を含まない場合、上部チャンバの対応する位置のウェルも阻害剤混合物を含まない。
ふたをさらに組み合わせ、CO2インキュベータ内で37℃にて40時間培養した。
上部チャンバの細胞懸濁液を除去し、ウェルを100μlのwash bufferで洗浄した。また、下部チャンバの培地も除去し、ウェルを200μlのwash bufferで洗浄した。10 mlのcell dissociation buffer及び12μlのcalcein AM solutionを混合して得られた混合液150μlを下部チャンバの各ウェルに加え、上部チャンバ及びふたを組み合わせて、37℃にて1時間インキュベートした。下部チャンバの各ウェルの蛍光を、マイクロプレートリーダーGENios(TECAN社)を用いて測定した。
(結果)
DMSOのみを加えたときに下部チャンバに移動した細胞数を100%とした場合の結果を、図7に示す。図7では、“MB231”はMDA-MB-231細胞、“MB468”はMDA-MB-468細胞を表し、“DMSO”はコントロールを、“5化合物”は阻害剤混合物を加えた場合を表す。
この結果から、MDA-MB-231細胞は、阻害剤の存在下でも細胞の浸潤能にあまり変化はないが、MDA-MB-468細胞は、阻害剤の存在下で浸潤能が低下したことがわかる。
図2のレーダーチャートによると、MDA-MB-231は、阻害剤の存在下ではRTK活性がほとんど低下しておらず、一方、図1のレーダーチャートによると、MDA-MB-468は、ある阻害剤の存在下でRTK活性が低下している。これは、図7の腫瘍細胞の浸潤能についての結果と同じ傾向を示した。ゆえに、本発明の方法により、RTK活性阻害剤の存在下での腫瘍細胞の浸潤能、すなわち転移能を評価できることがわかった。
比較例6:細胞の走化能(遊走能)の評価
腫瘍細胞は、細胞自体が移動する能力、すなわち走化能を有するので、他の組織へ転移することができる。よって、細胞の走化能は、細胞の転移能を示す指標となる。
MDA-MB-468及びMDA-MB-231細胞の走化能を、以下のようにして測定した。
走化能の測定実験の原理は、次のとおりである。この実験も、上記比較例5と同様のチャンバを用いて行う。上部のチャンバの底面にはBMEが形成されておらず、孔が設けられている。この上部のチャンバの底面上に血清飢餓状態の細胞を置き、下部チャンバに血清培地を入れる。この状況で細胞を培養することにより、細胞は、栄養(血清)を得ようとして下部チャンバに移動する。下部チャンバに移動した細胞を生細胞特異的蛍光染色試薬(calcein AM)で染色し、その蛍光強度を測定することにより、下部チャンバに移動した細胞の数を求めることができる。これにより、細胞が移動する能力、すなわち走化能(遊走能)を測定できる。
上記の比較例5の浸潤能の測定において、チャンバの準備の際に、上部チャンバの底面を0.1×BME solutionの代わりに1×coating buffer(キットに添付のプロトコルに従って調製)を用いてインキュベートしたことを除いては、上記の比較例5の浸潤能の測定と同様にして実験を行った。
(結果)
DMSOのみを加えたときに下部チャンバに移動した細胞数を100%とした場合の結果を、図8に示す。図8では、“MB231”はMDA-MB-231細胞、“MB468”はMDA-MB-468細胞を表し、“DMSO”はコントロールを、“5化合物”は阻害剤混合物を加えた場合を表す。
この結果から、MDA-MB-231細胞は、阻害剤の存在下でも細胞の浸潤能にあまり変化はないが、MDA-MB-468細胞は、阻害剤の存在下で浸潤能が低下したことがわかる。
図2のレーダーチャートによると、MDA-MB-231は、阻害剤の存在下ではRTK活性がほとんど低下しておらず、一方、図1のレーダーチャートによると、MDA-MB-468は、ある阻害剤の存在下でRTK活性が低下している。これは、図8の腫瘍細胞の走化能についての結果と同じ傾向を示した。ゆえに、本発明の方法により、RTK活性阻害剤の存在下での腫瘍細胞の走化能、すなわち転移能を評価できることがわかった。
上記の結果から、実施例1のような本発明の方法RTK活性を測定することにより、比較例1〜6のような煩雑な実験を行わなくても、RTK活性阻害剤の存在下での腫瘍細胞の増殖能及び転移能を含む悪性度が評価できたことがわかる。
本出願は、2008年3月28日に出願された日本国特許出願特願2008−087153号に関し、この特許請求の範囲、明細書、図面及び要約書の全ては本明細書中に参照として組み込まれる。

Claims (10)

  1. (1)腫瘍細胞を含む試料から受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を含む細胞膜画分を調製する工程と、
    (2)工程(1)で得た細胞膜画分を第一のRTK活性阻害剤と接触させる工程と、
    (3)工程(2)で得たRTK活性阻害剤と接触させた細胞膜画分を少なくとも2種類のRTKに対する基質と接触させ、リン酸化された基質を測定することにより、第一のRTK活性阻害剤の存在下でのRTK活性(第一RTK活性)を測定する工程と、
    (4)工程(1)で得た細胞膜画分を、第一のRTK活性阻害剤と接触させずに、工程(3)で用いたものと同じ基質と接触させ、リン酸化された基質を測定することにより、RTK活性阻害剤の非存在下でのRTK活性(対照RTK活性)を測定する工程と、
    (5)前記第一RTK活性及び前記対照RTK活性に基づいて、第一のRTK活性阻害剤の存在下での前記腫瘍細胞の悪性度を評価する工程と
    を含む、腫瘍細胞の悪性度を評価する方法。
  2. 前記工程(1)が、
    (1a)腫瘍細胞を緩衝液中で破砕する工程と、
    (1b)工程(1a)で得た破砕液から不溶性画分を取得する工程と、
    (1c)工程(1b)で得た不溶性画分に界面活性剤を含む可溶化液を加えて混合する工程と、
    (1d)工程(1c)で得た混合液から可溶性画分を取得する工程と
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(3)及び(4)における基質が、特定のRTKに対して特異性の高い基質が複数種類組み合わされた基質混合物又はRTKの種類に対して特異性の低い基質である、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
  4. 前記のRTKの種類に対して特異性の低い基質が、グルタミン酸残基及びチロシン残基を含むアミノ酸配列からなるペプチドを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記工程(2)におけるRTK活性阻害剤が、RTKに対するアデノシン三リン酸(ATP)競合阻害剤である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記工程(5)が、
    (5a)前記第一RTK活性と前記対照RTK活性とに基づいて、前記腫瘍細胞が有するRTK活性についての相対値を算出する工程と、
    (5b)工程(5a)で算出した相対値と閾値とを比較することによって、RTK阻害剤存在下での前記腫瘍細胞の悪性度を評価する工程と
    を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記相対値が、前記第一RTK活性を前記対照RTK活性で除した値であり、
    前記相対値が前記閾値よりも低い場合に、RTK阻害剤の存在下での前記腫瘍細胞の悪性度が低いと評価する請求項6に記載の方法。
  8. 前記腫瘍細胞の悪性度が、前記腫瘍細胞の増殖能及び/又は転移能である請求項1に記載の方法。
  9. (6)前記工程(1)において調製した細胞膜画分を、前記第一のRTK活性阻害剤とは異なる第二のRTK活性阻害剤と接触させる工程と、
    (7)工程(6)で得た第二のRTK活性阻害剤と接触させた細胞膜画分を前記工程(3)で用いたものと同じ基質と接触させ、リン酸化された基質を測定することにより、第二のRTK活性阻害剤の存在下でのRTK活性(第二RTK活性)を測定する工程と
    をさらに含み、
    前記工程(5)が、前記第一RTK活性、第二RTK活性及び対照RTK活性に基づいて、RTK阻害剤存在下での前記腫瘍細胞の悪性度を評価する請求項1に記載の方法。
  10. 前記工程(5)が、
    (5a')前記第一RTK活性と前記対照RTK活性とに基づいて、前記腫瘍細胞が有するRTK活性についての第一の相対値を算出する工程と、
    (5b')前記第二RTK活性と前記対照RTK活性とに基づいて、前記腫瘍細胞が有するRTK活性についての第二の相対値を算出する工程と、
    (5c')工程(5a')及び(5b')で算出した各相対値と各閾値とを比較することによって、RTK阻害剤存在下での前記腫瘍細胞の悪性度を評価する工程と
    を含む請求項9に記載の方法。
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