JP5197931B2 - 悪性腫瘍の性質の判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、悪性腫瘍患者から採取した腫瘍細胞のタンパク質を分析し、分析結果に基づいて悪性腫瘍の性質を判定する方法に関する。
悪性腫瘍の性質を判定するため、増殖因子受容体の発現量を測定することが行われている。例えば、非特許文献1では、早期乳がんの予後予測をHER2の発現量に基づいて行うことが開示されている。HER2はチロシンキナーゼ活性を有する増殖因子受容体の一種であり、HER2高発現の悪性腫瘍は再発の危険性が高く、HER2低発現の悪性腫瘍は再発の危険性が低いと考えられている。しかしながら、HER2低発現の悪性腫瘍であっても再発する場合などがあり、HER2の発現量に基づく悪性腫瘍の予後予測の精度は決して高いとはいえない。
Joensuu H., et al., Clinical Cancer Research, vol.9, 2003, 923-930.
本発明の目的は、悪性腫瘍患者から採取した腫瘍細胞で発現している分子の分析結果に基づいて悪性腫瘍の再発リスクを精度良く判定することのできる方法を提供することである。
本発明は、悪性腫瘍患者から採取した腫瘍細胞のサイクリン依存性キナーゼ1の比活性(CDK1比活性)と、サイクリン依存性キナーゼ2の比活性(CDK2比活性)との比(比活性の比)から得られるパラメータを、第一の閾値と比較する第一比較工程と、前記腫瘍細胞のHER2の発現量を、第二の閾値と比較する第二比較工程と、第一比較結果及び第二比較結果に基づいて前記悪性腫瘍の再発リスクを判定する工程と、を含み、前記判定工程において、前記パラメータが前記第一の閾値未満であり、且つ前記HER2発現量が前記第二の閾値未満である場合に、前記再発リスクが低いと判定し、前記パラメータが前記第一の閾値未満であり、且つ前記HER2発現量が前記第二の閾値以上である場合、または前記パラメータが前記第一の閾値以上であり、且つ前記HER2発現量が前記第二の閾値未満である場合に、前記再発リスクが中程度であると判定し、前記パラメータが前記第一の閾値以上であり、且つ前記HER2発現量が前記第二の閾値以上である場合に、前記再発リスクが高いと判定する、悪性腫瘍の再発リスクの判定方法を提供する。


本発明によると、悪性腫瘍患者から採取した腫瘍細胞で発現しているCDK1、CDK2およびHER2の分析結果に基づいて、悪性腫瘍の再発リスクを精度良く判定することのできる方法が提供される。




本実施形態の判定方法は、悪性腫瘍患者から採取した腫瘍細胞の第一のサイクリン依存性キナーゼ(第一CDK)の活性値及び発現量から得られる第一パラメータと、第二のサイクリン依存性キナーゼ(第二CDK)の活性値及び発現量から得られる第二パラメータとに基づいて得られる第三パラメータを、第一の閾値と比較する第一比較工程と、腫瘍細胞の増殖因子受容体の発現量から得られる第四パラメータを、第二の閾値と比較する第二比較工程と、第一比較工程の結果及び第二比較工程の結果に基づいて悪性腫瘍の性質を判定する工程と、を含む悪性腫瘍の性質の判定方法である。
上記判定方法が適用される悪性腫瘍は、造血器由来の悪性腫瘍、上皮細胞由来の癌腫、肉腫などである。造血器由来の悪性腫瘍としては、白血病や悪性リンパ腫などを例示することができる。癌腫としては、乳がん、胃がん、大腸がん、食道がん、前立腺がんなどを例示することができる。肉腫としては、骨肉腫や軟部肉腫などを例示することができる。
判定に用いられる腫瘍細胞は、ステージ分類において「ステージIIB」の悪性腫瘍の細胞であることが好ましい。
ステージ分類とは悪性腫瘍の悪性度を示す分類であり、悪性度の低い順にステージI、IIA、IIB、IIIA、IIIB及びIVに分類される。このステージ分類は、TNM分類に基づいている。TNM分類とは、国際対がん連合(UICC)による悪性腫瘍の病期分類である。「T」は原発腫瘍の規模を示し、T0(原発巣が確認できない)〜T4(腫瘤が体外へ露出)に分けられる。「N」は近傍リンパ節への浸潤度合いを示し、N0(リンパ節転移なし)〜N3(体の正中に近いところにあるリンパ節(胸骨傍リンパ節)に転移が疑われる)に分けられる。「M」は遠隔転移の有無を示し、M0(遠隔転移なし)及びM1(遠隔転移あり)に分けられる。
ステージIIBの悪性腫瘍とは、TNM分類において「T2,N1,M0」又は「T3,N0,M0」である悪性腫瘍を指す。
上記判定方法で判定される悪性腫瘍の性質としては、腫瘍細胞の増殖能、再発リスク(再発のしやすさ)などが挙げられる。この判定方法は特に再発リスクの判定を行なうために用いることが好ましい。再発とは、生体から腫瘍を摘出して一定期間経過した後、同じ部位に悪性腫瘍が再現する場合及び腫瘍細胞が原発巣から分離して遠隔組織へ運ばれそこで自立的に増殖する場合をいう。再発が起こるか否かは腫瘍細胞の増殖能、生存能、移動能などに左右される。
第一比較工程では、第一CDKの第一パラメータと第二CDKの第二パラメータから得られる第三パラメータを求め、これを閾値(以下、第一の閾値とする)と比較する。
CDKとは、サイクリンというタンパク質が結合することによって活性化される酵素の総称で、その種類に応じて細胞周期の特定時期で機能している。CDKの種類としては、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7などが挙げられる。本実施形態では少なくとも二種類のCDK(第一CDK及び第二CDK)が用いられ、CDK1及びCDK2の組み合わせを用いることが好ましい。即ち、第一CDKがCDK1であり、第二CDKがCDK2であるか、第一CDKがCDK2であり、第二CDKがCDK1であることが好ましい。
第一パラメータは第一CDKの活性値及び発現量から得られるパラメータであり、第二パラメータは第二CDKの活性値及び発現量から得られるパラメータである。これらのパラメータとして、活性値及び発現量の何れかを単独で用いてもよいし、活性値と発現量とを加減乗除などして計算される値を用いてもよいが、活性値と発現量との比を用いることが好ましい。活性値と発現量との比としては、活性値を発現量で除することにより得られる値(活性値/発現量=比活性)、発現量を活性値で除することにより得られる値(発現量/活性値=比活性の逆数)などを用いることができる。
第三パラメータは第一パラメータと第二パラメータに基づいて得られるパラメータである。第三パラメータとしては、第一パラメータと第二パラメータとを加減乗除などして計算される値を用いることができるが、第一パラメータと第二パラメータとの比を用いることが好ましい。第一パラメータと第二パラメータの比としては、第一パラメータを第二パラメータで除することにより得られる値、第二パラメータを第一パラメータで除することにより得られる値などを用いることができる。
第一の閾値は、腫瘍細胞のどのような性質を判定するかによって適宜設定される。例えば、腫瘍細胞の再発リスクを判定する場合、複数の患者から採取された乳がん細胞のうち摘出手術後5年間の再発の有無が既知の細胞について、第三パラメータを算出し、算出された値を小さい順に並べて、患者集団を一定比率で高値群と低値群とに分離できる値を第一の閾値とすることができる。分離比率としては、例えば、乳がんの場合、摘出手術後5年間の再発率が約30%であるため、高値群の分離比率が少なくとも患者集団の30%であることが好ましいが、低値群に分類された患者が再発を起こすということのないようにするため、高値群を30%よりも高い割合とすることがより好ましい。即ち、第一の閾値として、患者集団を、高値群:低値群が30:70となる値、好ましくは40:60となる値、より好ましくは50:50となる値(中央値)や60:40となる値を用いることができる。なお、正確に患者集団を50:50や60:40に分離できる値が存在しないことも考えられるため、分離比率は厳密に設定する必要はない。例えば、患者集団を構成する患者数が99である場合は患者集団を50:50に分離できる値が存在しない。このような場合は分離比率を50:49などに設定してもよい。
腫瘍細胞によっては、第一パラメータ、第二パラメータ又はこれら両方の値が非常に小さい場合や、逆に、非常に大きい場合があり、第三パラメータが第一の閾値とはかけ離れた値となることがある。このような場合、第一の閾値だけでなく、第一パラメータ及び第二パラメータのそれぞれに対しても閾値を設定することが好ましい。具体的には、第一比較工程において、第一パラメータとこれに対応する閾値との比較、第二パラメータとこれに対応する閾値との比較、及び第三パラメータと第一の閾値との比較を実行することが好ましい。
第二比較工程では、増殖因子受容体の発現量から得られる第四パラメータを、このパラメータに対応する閾値(以下、第二の閾値とする)と比較する。
増殖因子受容体は、増殖因子をリガンドとする受容体であり、細胞の増殖や分化の制御において重要な役割を果たしている。本実施形態では、増殖因子受容体としてHER(Human Epidermal growth factor Receptor)ファミリーに属するタンパク質を用いることが好ましい。HERファミリーに属するタンパク質は、現在のところHER1、HER2,HER3及びHER4が知られており、これらのうちHER2を用いることが特に好ましい。
第四パラメータは、発現量から得られるパラメータである。第四パラメータとして、発現量を単独で用いてもよいし、発現量と活性値とを加減乗除などして計算される値を用いてもよいが、発現量を用いることが好ましい。
第二の閾値は、腫瘍細胞のどのような性質を判定するかによって適宜設定される。例えば、腫瘍細胞の再発リスクを判定する場合、一定期間経過後の再発の有無が既知である腫瘍細胞について、上記の第一比較工程の結果と組み合わせて再発リスクを判定する際に再発の有無と高確率で合致する第二の閾値を設定することができる。
活性値や発現量の測定に供される測定用試料は、患者から採取した腫瘍細胞を用いて調製される。CDK及び増殖因子受容体の活性値や発現量が測定できれば、その調製方法は特に限定されない。測定用試料としては、細胞可溶化液を用いることができる。細胞可溶化液とは、患者から採取した腫瘍細胞に緩衝液を添加し、緩衝液中で腫瘍細胞を物理的及び/又は化学的に破砕することにより得られる試料のことである。CDKの活性値又は発現量を測定する場合、細胞可溶化液を遠心分離して得られる上清を測定用試料として用いることが好ましい。また、増殖因子受容体としてHERファミリーに属するタンパク質を用いる場合、細胞可溶化液を遠心分離して得られる沈殿物を測定用試料として用いることが好ましい。ここで用いられる緩衝液には、界面活性剤やプロテアーゼ阻害剤などを適宜含有させてもよい。
CDKや増殖因子受容体の活性値の測定方法は特に限定されず、従来公知の方法で測定することができる。例えば、32P標識したATP(γ−〔32P〕−ATP)を用いる方法が挙げられる。この方法によると、測定用試料と、基質と、γ−〔32P〕−ATPとを混合し、キナーゼの作用によって基質に32Pを導入する。次に、32Pで標識されたリン酸化基質の標識量を測定し、キャリブレータで作成された検量線をもとにリン酸化基質を定量する。定量されたリン酸化基質量に基づいてキナーゼの活性値を算出する。また、放射性物質を用いない方法として、特開2002−335997号公報に開示の方法を用いることができる。この方法によると、先ずこれらキナーゼの何れか又は両方を含む試料と、基質と、アデノシン5’−O−(3−チオトリホスフェート)(ATP−γS)とを混合し、キナーゼの作用によって基質にモノチオリン酸基を導入する。導入されたモノチオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質又は標識酵素を結合させることによって基質を標識し、標識されたモノチオリン酸化基質の標識量を測定し、キャリブレータで作成された検量線を基にモノチオリン酸化基質を定量する。定量されたモノチオリン酸化基質量に基づいてキナーゼの活性値を算出する。測定は、抗CDK抗体を含む試薬、CDKの基質を含む試薬、ATP−γSを含む試薬及びリン酸化された基質に結合可能な標識物質を含む試薬を備えた試薬キットを用いて行うことができる。なお、CDKの基質及びATP−γSは同一の容器に収容されていてもよい。
CDKや増殖因子受容体の発現量の測定方法は特に限定されず、従来公知の方法で測定することができる。例えば、ELISA、ウェスタンブロッティング、特開2003−130871号公報に開示の方法などを用いることができる。
測定用試料は患者から採取した腫瘍細胞から調製されるため、測定用試料によって含まれる腫瘍細胞数が異なる。このため、増殖因子受容体などのタンパク質の発現量の測定値は測定用試料に含まれる腫瘍細胞の多寡によって変動してしまう。従って、発現量の測定値を補正することが好ましい。発現量の測定値の補正としては、例えば、ハウスキーピング遺伝子によってコードされるタンパク質(以下、ハウスキーピングタンパク質とする)の発現量を用いて行なうことができる。ハウスキーピングタンパク質はどの細胞でも常に一定量発現しているタンパク質であり、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)やアクチンなどを例示することができる。具体的には、測定用試料のタンパク質の発現量だけでなく、ハウスキーピングタンパク質の発現量も測定し、測定用試料のタンパク質の発現量をハウスキーピングタンパク質の発現量で除することにより発現量の測定値を補正することができる。なお、第一パラメータとして発現量又は活性値と発現量との比を用い、第二パラメータとして発現量又は活性値と発現量との比を用い、第三パラメータとして第一パラメータと第二パラメータとの比を用いる場合、第一CDKの発現量及び第二CDKの発現量が測定されるが、ハウスキーピングタンパク質の発現量は計算上相殺されるため上記のような補正は必要ない。
判定工程では、第一CDKの活性値及び発現量から得られる第一パラメータと、第二CDKの活性値及び発現量から得られる第二パラメータとに基づいて得られる第三パラメータを対応する第一の閾値と比較した結果と、増殖因子受容体の発現量から得られる第四パラメータを対応する第二の閾値と比較した結果とに基づいて悪性腫瘍の性質を判定する。例えば、悪性腫瘍の性質として再発リスクの判定を行う場合、これらの結果に基づいて、判定対象の悪性腫瘍を再発リスクの程度の異なる三群(例えば、高、中及び低)の何れかに分類することができる。判定の具体的な方法としては、例えば、下記に示す第一の判定方法〜第五の判定方法の何れかを用い、再発リスクを判定することができる。
第一の判定方法では、第三パラメータを第一の閾値と比較した結果と、第四パラメータを第二の閾値と比較した結果とを組み合わせて再発リスクを判定する。これらの比較結果の両方で閾値未満の場合には再発リスクが低いと考えられ、「A1」と判定する。これらの比較結果の何れか一方が閾値以上、他方が閾値未満の場合には、「A1」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが高い「B1」と判定する。これらの比較結果の両方が閾値以上の場合には、「B1」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが高い「C1」と判定する。
第二の判定方法は、図1に示すフローチャートに基づいた判定方法である。第二の判定方法では、第三パラメータを第一の閾値と比較し(ステップ1)、第三パラメータが閾値以上の場合には「C2」と判定する。第三パラメータが閾値未満の場合には、第四パラメータを第二の閾値と比較し(ステップ2)、第四パラメータが閾値以上の場合には、「C2」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが低い「B2」と判定する。第四パラメータが閾値未満の場合には、「B2」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが低い「A2」と判定する。この判定方法は、CDKを用いた比較を重視した方法である。
第三の判定方法は、図2に示すフローチャートに基づいた判定方法である。第三の判定方法では、第四パラメータを第二の閾値と比較し(ステップ1)、第四パラメータが閾値以上の場合には、「C3」と判定する。第四パラメータが閾値未満の場合には、第三パラメータを第一の閾値と比較し(ステップ2)、第三パラメータが閾値以上の場合には、「C3」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが低い「B3」と判定する。第三パラメータが閾値未満の場合には、「B3」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが低い「A3」と判定する。この判定方法は、増殖因子を用いた比較を重視した方法である。
第四の判定方法では、第三パラメータを第一の閾値と比較し、第三パラメータが閾値未満の場合には、「A4」と判定する。第三パラメータが閾値以上の場合には、第四パラメータを第二の閾値と比較し、第四パラメータが閾値未満の場合には、「A4」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが高い「B4」と判定する。第四パラメータが閾値以上の場合には、「B4」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが高い「C4」と判定する。
第五の判定方法では、第四パラメータを第二の閾値と比較し、第四パラメータが閾値未満の場合には、「A5」と判定する。第四パラメータが閾値以上の場合には、第三パラメータを第一の閾値と比較し、第三パラメータが閾値未満の場合には、「A5」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが高い「B5」と判定する。第三パラメータが閾値以上の場合には、「B5」と判定された腫瘍細胞よりも再発リスクが高い「C5」と判定する。
以上、第一の判定方法〜第五の判定方法の何れを用いるかは、悪性腫瘍の種類、パラメータの種類、臨床データとの相関などを考慮して決定することができる。悪性腫瘍の再発リスクを判定する場合、第一の判定方法〜第三の判定方法の何れかを用いることが好ましい。
CDKは細胞の増殖に深く関わるため、CDKを用いて比較工程を実行することにより、腫瘍細胞の増殖能を精度良く捉えることができる。前述のように細胞の増殖能は細胞の再発リスクを左右する一つの大きな要素である。
増殖因子受容体は主に細胞の増殖シグナル経路の活性化に関わるため、増殖因子受容体を用いて比較工程を実行することにより、腫瘍細胞の再発の可能性を予測することができる。しかしながら、増殖シグナル経路は、増殖シグナルを伝達する途中で複雑な調節を受けるため、再発の可能性を精度良く予測することができない。
本実施形態の判定方法を用いると、これらの比較工程の結果を組み合わせることにより精度良く再発リスクを予測することができる。
上記のような悪性腫瘍の性質の判定結果は、治療方法を選択する際の指標となり得る。例えば、悪性腫瘍を患う患者に対して抗がん剤療法などのアグレッシブな治療を行なうか、ホルモン療法などのマイルドな治療を行なうかなどを決定する一助となる。また判定結果によって抗がん剤の投与量や種類を調節することも可能である。
上記本実施形態の方法は、コンピュータにおいて実行されることが好ましい。以下、上記の方法を実施するためのコンピュータシステム(図3)及び判定フロー(図4)について説明する。
図3に示すシステム100は、コンピュータ本体110、必要データをコンピュータ本体110に入力する入力デバイス130、及び入出力データ等を表示するディスプレイ120を備え、さらに必要に応じて外部記録媒体140が含まれ得る。ここで、本実施形態のプログラム140aは、外部記録媒体140に記録されていてもよいし、コンピュータ本体110に備え付けのメモリ110b〜110dに保存されていてもよい。コンピュータ本体110内において、CPU110a、メモリ110b〜110d、入出力インターフェイス110f、画像出力インターフェイス110h、読出装置110eは、それぞれバス110iにて、データの送受信可能なように接続されている。
図4は、上記第一の判定方法による再発リスク判定を実行するためのプログラムの動作を示すフローチャートであり、このプログラムはメモリ110dに格納されている。
まず、入力デバイス130により検体のCDK2比活性とCDK1比活性との比(CDK2比活性/CDK1比活性:第三パラメータ)及びHER2発現量(第四パラメータ)が入力されると、CPU110aが入出力インターフェイス110fを介してこれらのパラメータデータを取得し、RAM110cに記憶させる(ステップS11)。
CPU110aは、予めプログラムのデータとしてメモリ110dに記憶されていた第三パラメータに対応する閾値、および第四パラメータに対応する閾値を呼び出して、これらの閾値とパラメータデータとの比較を実行する(ステップS12)。
次に、CPU110aは、比較結果に基づいて再発リスクの予測判定を行う(ステップS13)。CPU110aは、第三パラメータが閾値以上であり、且つ第四パラメータが閾値以上である場合には、再発リスク「高」と判定する。第三パラメータが閾値以上であり、且つ第四パラメータが閾値未満である場合には、再発リスク「中」と判定する。第三パラメータが閾値未満であり、且つ第四パラメータが閾値以上である場合には、再発リスク「中」と判定する。第三パラメータが閾値未満であり、且つ第四パラメータが閾値未満である場合には、再発リスク「低」と判定する。
そして、CPU110aは、上記の判定結果を、RAM110cに格納するとともに画像出力インターフェイス110hを介してディスプレイ120に出力する(ステップS14)。
なお、本実施形態においては、各種パラメータデータや活性値、発現量などを、入力デバイス130を用いて入力したが、これに限定されるものではなく、例えば、操作者による入力ではなく、各種パラメータデータや活性値、発現量などが測定装置から入出力インターフェイス110fを介して自動的に取得されるようにしてもよい。また、第三パラメータとして、CDK2比活性/CDK1比活性の値を入力したが、CDK1の発現量と活性値およびCDK2の発現量と活性値を入力し、CPU110aがこれらの値からCDK2比活性/CDK1比活性の値を算出して、この値を閾値との比較に用いてもよい。
(実施例1)
(1)測定用試料の調製
ステージIIBの乳がん患者12名(患者i〜xii)から摘出した腫瘍細胞塊12検体(13〜92mg)から下記のようにして測定用試料i〜xiiを調製した。
先ず、緩衝液中の腫瘍細胞塊が約150mg/mlとなるように緩衝液A(0.1w/v%のノニデットP−40(カルビオケム社)、50mMのトリス塩酸(pH7.4)、5mMのEDTA、50mMのフッ化ナトリウム、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム及び100μl/mlのプロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ社)を含む)と腫瘍細胞塊とをチューブに収容した。
電動ホモジナイザを用いて、緩衝液A中で腫瘍細胞塊をホモジナイズし、腫瘍細胞を破砕して細胞可溶化液を調製した。次に、細胞可溶化液を4℃で15000rpm、5分間遠心分離し、沈殿物をHER2測定用試料とし、上清をCDK測定用試料として用いた。
(2)HER2及びGAPDH発現量の測定
HER2測定用試料に緩衝液B(1%のTritonX−100、0.1%のデオキシコール酸ナトリウム、0.1%のSDS、50mMのトリス塩酸(pH8.0)、150mMのNaCl、0.5mMのEDTA及び0.2%のプロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ)を含む)を添加して15000rpm、5分間遠心分離を行なった。遠心分離後、上清を採取し、ここに上清の1/3量のSDSローディングバッファ(200mMのトリス塩酸(pH6.8)、40%のグリセロール、8%のSDS及び10%の2−メルカプトエタノールを含む)を加え、100℃で5分間加熱した。
加熱後のHER2測定用試料10μlを用いてSDS−PAGEを行い、ゲルを室温で15分間トランスファーバッファー(192mMのグリシン、25mMのトリス及び20%のメタノールを含む)に浸漬して平衡化した。
ゲル中のタンパク質を、Mini Trans-Blot cell transfer system(バイオラッド社)を用いて100V、4℃、一時間でImmobilon FL membrane(ミリポア社)に転写した。
メンブレンを、ブロッキング試薬A(4%のBSA、25mMのトリス塩酸(pH7.4)、150mMのNaCl及び0.02%のTween20を含む)で37℃、1時間ブロッキングを行い、さらに洗浄液A(25mMのトリス塩酸(pH7.4)、150mMのNaCl及び0.02%のTween20を含む)で洗浄した。
洗浄後、メンブレンに、ウサギ抗HER2抗体(一次抗体:アップステイト社)溶液5mlをブロットし、メンブレンのHER2と一次抗体とを反応させた。
メンブレンを20mlの洗浄液Aで洗浄した後、メンブレンに、ビオチン標識化ヤギ抗ウサギIgG−B(二次抗体:サンタクルズ社)溶液5mlをブロットし、メンブレンの一次抗体と二次抗体とを反応させた。
メンブレンを20mlの洗浄液Aで洗浄した後、メンブレンに、蛍光色素であるAlexa fluor 488 conjugated streptabidin(モレキュラープローブ社)の溶液5mlをブロットして、メンブレンの二次抗体と蛍光色素とを反応させた。
メンブレンを20mlの洗浄液Aで洗浄した後、メンブレンに吸着されたHER2の量を蛍光イメージアナライザMolecular Imager FX(バイオラッド社)によって分析、測定した。
GAPDH発現量の測定は、測定用試料として細胞可溶化液の上清を用い、一次抗体としてウサギ抗HER2抗体ではなくウサギ抗GAPDH抗体を用いること以外は上述のHER2の発現量測定と同様の実験手順で行なった。
GAPDHの発現量は、HER2の発現量の測定値を補正するために用いられた。以下でHER2の発現量とされる値は、GAPDHの発現量による補正後の値(HER2発現量/GAPDH発現量の値)である。
HER2発現量の測定結果は、下記表1及び図5のグラフに示される。
(3)CDK1及びCDK2発現量の測定
PVDFメンブレン(ミリポア社製)をセットしたブロッターの各ウェルに、CDK測定用試料を50μlずつ収容し、ウェルの底面、すなわちメンブレンの裏面から負圧約250mmHgで約30秒間吸引してメンブレンにCDK測定用試料中のタンパク質を吸着させた。
ウェルに洗浄液B(25mMのトリス塩酸(pH7.4)及び150mMのNaClを含む)を100μl収容し、負圧500mmHgで15秒間吸引してメンブレンを洗浄した。
洗浄後、ブロッキング試薬B(4%のBSA、25mMのトリス塩酸(pH7.4)及び150mMのNaClを含む)を各ウェルに40μl収容し、15分間静置した後、負圧500mmHgで15秒間吸引してメンブレンをブロッキングした。
ブロッキング後、ウェルにCDK1に特異的に結合するウサギ抗CDK1抗体(一次抗体:サンタクルズ社)溶液40μlを収容し、室温で約30分間静置してメンブレンのCDK1と一次抗体とを反応させた後、ウェル底面から負圧500mmHgで約15間吸引した。
ウェルに洗浄液Bを100μl収容し、負圧500mmHgで15秒間吸引してメンブレンを洗浄した。
ウェルにビオチン化した抗ウサギCDK1抗体(二次抗体:サンタクルズ社)溶液40μlを収容し、室温で約30分間静置してメンブレンの一次抗体と二次抗体とを反応させた後、ウェル底面から負圧500mmHgで約15秒間吸引した。
ウェルに洗浄液Bを100μl収容し、負圧500mmHgで15秒間吸引してメンブレンを洗浄した。
ウェルにFITCで標識したストレプトアビジンを含む標識溶液50μlを収容し、室温で約30分間静置して、メンブレンの二次抗体をFITCで標識した後、ウェル底面から負圧500mmHgで約15秒間吸引した。
ウェルに洗浄液Bを50μl収容し、負圧500mmHgで15秒間吸引した。これを5回繰り返し、メンブレンを洗浄した。
メンブレンをブロッターからとりはずし、20%メタノール約5分間濯ぎ、約20分間室温で乾燥させた後、メンブレンに吸着されたタンパク質の蛍光強度を、蛍光イメージアナライザMolecular Imager FX(バイオラッド社)によって分析、測定した。測定値は検量線をもとに算出した。
検量線は、0.005%のノニデットP−40及び50μg/mlのBSAを含む洗浄液B中に、5種類の濃度の組換えCDK1を溶解した溶液を、上記と同様に処理したウェルに50μlずつ注入し、上記と同様の実験手順でFITC標識し、蛍光強度を測定して、蛍光強度とCDK1発現量との関係を表すことにより検量線を作成した。
CDK2発現量の測定は、一次抗体としてウサギ抗CDK1抗体ではなくウサギ抗CDK2抗体を用いること以外は上述のCDK1の発現量測定と同様の実験手順で行なった。
(4)CDK1及びCDK2の活性測定
1.5mlエッペンドルフチューブに緩衝液Aを500μl収容し、さらにCDK測定用試料を添加した。CDK測定用試料は、チューブに収容した混合液中の全タンパク質量が100μgとなるように調節して添加された。
ここに抗CDK1抗体(サンタクルズ社)2μg及び20μlのプロテインAをコートしたセファロースビーズ(バイオラッド社)を加えて4℃、1時間静置してCDK1と抗CDK1抗体とを反応させた。
反応後、ビーズをビーズ洗浄用緩衝液(0.1w/v%のノニデットP−40及び50mMのトリス塩酸(pH7.0)を含む)で三回洗浄し、15μlの溶解緩衝液A中に再懸濁させて、抗CDK1抗体を介してCDK1が結合したセファロースビーズを含む試料を得た。
この試料に、CDK1の基質溶液(10μgヒストンH1(アップステイトバイオテクノロジー社)10μg、5mMのATP−γS(シグマ社)、20mMのトリス塩酸(pH7.4)及び0.1%のTritonX−100を含む)を添加した。基質溶液は、チューブに収容した混合液の総量が50μlとなるように調節して添加された。これを37℃で10分間震蕩してキナーゼ反応を行ない、ヒストンH1にモノチオリン酸基を導入した。
キナーゼ反応後、2000rpmで20秒間遠心分離してビーズを沈殿させ、上清18μlを採取した。
この上清に、結合緩衝液(150mMのトリス塩酸(pH9.2)及び5mMのEDTAを含む)15μlと、10mMのヨードアセチルビオチン溶液(100mMのトリス塩酸(pH7.5)及び1mMのEDTAを含む)とを添加して90分間、室温、暗所で静置することにより、モノチオリン酸基を導入された基質(モノチオリン酸化基質)の硫黄原子にヨードアセチルビオチンを結合させた。
ヨードアセチルビオチンとモノチオリン酸基との反応の停止は、2−メルカプトエタノールの添加により行なった。
ヨードアセチルビオチンが結合したモノチオリン酸化基質0.4μgを含む試料を、スロットブロッターを用いてPVDFメンブレン上にブロットした。
このPVDFメンブレンを1w/v%のBSAを含む溶液でブロッキングし、ストレプトアビジン−FITC(ベクター社)を添加して37℃で一時間反応させた。
反応後、PVDFメンブレンを50mMの洗浄液Bで三回洗浄した。
洗浄後、蛍光イメージアナライザMolecular Imager FX(バイオラッド社)を用いてPVDFメンブレンの蛍光分析を行なった。活性値は、検量線に基づいて算出された。
検量線は、二種類の濃度のタンパク質(ビオチン標識免疫グロブリン)を含む溶液をPVDFメンブレンにブロットし、上記と同様の方法でFITC標識し、タンパク質の蛍光強度を蛍光イメージアナライザで測定することによって作成した。従って、測定されるCDK1の活性1U(ユニット)は、前記タンパク質1ngのときの蛍光量と同等の蛍光強度を示す値をいう。
CDK2の活性値は、抗CDK2抗体(サンタクルズ社)を用いること以外はCDK1の活性値の測定と同様にして測定された。
(5)CDK比活性の算出
上記で測定したCDK活性値及びCDK発現量から、下記式により、CDK比活性(mU/ng)を算出した。
CDK比活性=CDK活性値/CDK発現量
CDK1及びCDK2の比活性の測定結果は、下記表1及び図6のグラフに示される。
(6)閾値の設定及び再発リスク判定
CDK1比活性とCDK2比活性との比(CDK2比活性/CDK1比活性;以下、比活性の比とする)に対応する閾値を設定し、この閾値と比活性の比とを比較した結果と、HER2発現量を対応する閾値を設定し、この閾値とHER2発現量とを比較した結果とを組み合わせて悪性腫瘍の性質の判定を行なった。
比活性の比の閾値は、46に設定した。この値は、乳がん患者129名から採取した腫瘍細胞129検体の比活性の比を算出し、比活性の比の値を小さい方から順に並べた際に、129検体を65:64に分離できる値である。比活性の比の値が46以上の場合に「High」とし、46未満の場合に「Low」とした。また、CDK1比活性が20未満且つCDK2比活性が500未満の場合は比活性の比の値に関わらず「Low」とした。さらに、CDK2比活性が10000以上の場合は比活性の比の値に関わらず「High」とした。
HER2発現量の閾値は、0.7に設定した。この値は、患者i〜xiiの再発の有無と、比活性の比と対応する閾値との比較結果を考慮に入れて設定された値である。HER2発現量が0.7以上の場合は「High」とし、0.7未満の場合は「Low」とした。
これらの比較結果を用い、下記判定条件に基づいて再発リスク判定を行なった。
比活性の比と閾値との比較結果が「Low」であり、HER2発現量と閾値との比較結果が「Low」であった場合は、「再発リスク低」と判定した。
比活性の比と閾値との比較結果が「High」であり、HER2発現量と閾値との比較結果が「Low」であった場合は、「再発リスク中」と判定した。
比活性の比と閾値との比較結果が「Low」であり、HER2発現量と閾値との比較結果が「High」であった場合は、「再発リスク中」と判定した。
比活性の比と閾値との比較結果が「High」であり、HER2発現量と閾値との比較結果が「High」であった場合は、「再発リスク高」と判定した。
再発リスク判定において、「再発リスク低」と判定された腫瘍細胞は、細胞の増殖能が低く、生存能や移動能なども低いと考えられるため、再発の可能性は低いと解される。「再発リスク中」と判定された腫瘍細胞は、「再発リスク低」と判定された腫瘍細胞よりも再発のリスクが高いと解される。「再発リスク高」と判定された腫瘍細胞は、「再発リスク中」と判定された腫瘍細胞よりも再発のリスクが高いと解される。
患者i〜xiiについて、再発の有無(表中、−は「再発無し」を示し、+は「再発有り」を示す)、上記各分子の測定結果、閾値との比較結果及び再発リスク判定結果を下記表1にまとめて示した。なお、「再発の有無」は、患者i〜xiiから腫瘍細胞塊を摘出した後、各患者を追跡調査し、摘出手術後5年間で再発が認められたか否かを示したものである。
Figure 0005197931
再発リスク低と判定された患者ii及びxは両者とも術後5年間では再発を起こさなかった(再発率0%)。再発リスク中と判定された患者i,iii,iv,v,vi,viii,ix及びxiの八名のうち術後5年間で再発を起こしたのは二名であった(再発率25%)。再発リスク高と判定された患者vii及びxiiは両者とも、術後5年間で再発を起こした(再発率100%)。
以上より、CDK比活性の比と閾値との比較結果と、HER2発現量と閾値との比較結果とを組み合わせることにより再発リスクの程度の異なる三群に分類することができ、再発を起こすか否かを予測できる。また、この予測結果を、悪性腫瘍患者の治療方針を決定する際の指標とすることができる。
第二の判定方法を示すフローチャートである。 第三の判定方法を示すフローチャートである。 本実施形態の方法を実施するためのコンピュータシステムの概略図である。 第一の判定方法に基づいた判定フローである。 患者i〜xiiのHER2発現量を示すグラフである。 患者i〜xiiのCDK1比活性及びCDK2比活性を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 悪性腫瘍患者から採取した腫瘍細胞のサイクリン依存性キナーゼ1の比活性(CDK1比活性)と、サイクリン依存性キナーゼ2の比活性(CDK2比活性)との比(比活性の比)から得られるパラメータを、第一の閾値と比較する第一比較工程と、
    前記腫瘍細胞のHER2の発現量を、第二の閾値と比較する第二比較工程と、
    第一比較結果及び第二比較結果に基づいて前記悪性腫瘍の再発リスクを判定する工程と、
    を含み、
    前記判定工程において、
    前記パラメータが前記第一の閾値未満であり、且つ前記HER2発現量が前記第二の閾値未満である場合に、前記再発リスクが低いと判定し、
    前記パラメータが前記第一の閾値未満であり、且つ前記HER2発現量が前記第二の閾値以上である場合、または前記パラメータが前記第一の閾値以上であり、且つ前記HER2発現量が前記第二の閾値未満である場合に、前記再発リスクが中程度であると判定し、
    前記パラメータが前記第一の閾値以上であり、且つ前記HER2発現量が前記第二の閾値以上である場合に、前記再発リスクが高いと判定する、
    悪性腫瘍の再発リスクの判定方法。
  2. 前記悪性腫瘍が、ステージ分類においてステージIIBの悪性腫瘍である請求項1記載の判定方法。
  3. 前記悪性腫瘍が乳癌である請求項1または2記載の判定方法。
  4. 悪性腫瘍患者から採取した腫瘍細胞のサイクリン依存性キナーゼ1の比活性(CDK1比活性)と、サイクリン依存性キナーゼ2の比活性(CDK2比活性)との比(比活性の比)から得られるパラメータを、第一の閾値と比較する第一比較工程と、
    第一比較結果に基づいて、前記悪性腫瘍の再発リスクを判定する第一判定工程と、
    前記第一判定工程で判定が確定されなかった悪性腫瘍について、前記腫瘍細胞のHER2の発現量を、第二の閾値と比較する第二比較工程と、第二比較結果に基づいて前記悪性腫瘍の再発リスクを判定する第二判定工程と、
    を含み、
    前記第一判定工程において、前記パラメータが前記第一の閾値以上である場合に、前記悪性腫瘍の再発リスクが高いと判定し、
    前記第一判定工程で前記パラメータが前記第一の閾値未満である場合に、前記第二比較工程および前記第二判定工程を実行し、
    前記第二判定工程において、前記HER2発現量が前記第二の閾値以上である場合に、前記悪性腫瘍の再発リスクが中程度であると判定し、前記HER2発現量が前記第二の閾値未満である場合に、前記悪性腫瘍の再発リスクが低いと判定する、
    悪性腫瘍の再発リスクの判定方法。
  5. 悪性腫瘍患者から採取した腫瘍細胞のHER2の発現量を、第一の閾値と比較する第一比較工程と、
    第一比較結果に基づいて、前記悪性腫瘍の再発リスクを判定する第一判定工程と、
    前記第一判定工程で判定が確定されなかった悪性腫瘍について、前記腫瘍細胞のサイクリン依存性キナーゼ1の比活性(CDK1比活性)と、サイクリン依存性キナーゼ2の比活性(CDK2比活性)の比(比活性の比)から得られるパラメータを、第二の閾値と比較する第二比較工程と、
    第二比較結果に基づいて前記悪性腫瘍の再発リスクを判定する第二判定工程と、
    を含み、
    前記第一判定工程において、前記HER2発現量が前記第一の閾値以上である場合に、前記悪性腫瘍の再発リスクが高いと判定し、
    前記第一判定工程で前記HER2発現量が前記第一の閾値未満である場合に、前記第二比較工程および前記第二判定工程を実行し、
    前記第二判定工程において、前記パラメータが前記第二の閾値以上である場合に、前記悪性腫瘍の再発リスクが中程度であると判定し、前記パラメータが前記第二の閾値未満である場合に、前記悪性腫瘍の再発リスクが低いと判定する、
    悪性腫瘍の再発リスクの判定方法。
  6. 入力デバイスおよびCPUを有するコンピュータを、請求項1〜の何れか1項に記載の判定方法を実行する装置として機能させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記入力デバイスにより入力された、前記CDK1の活性値、前記CDK1の発現量、前記CDK2の活性値、前記CDK2の発現量およびHER2発現量のデータに基づき、前記CPUに前記悪性腫瘍の再発リスクの判定を実行させる、
    コンピュータプログラム。
  7. 請求項記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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