JP2009232775A - 生体分子を含む測定用試料の調製方法 - Google Patents

生体分子を含む測定用試料の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定に充分な量の生体分子を含む測定用試料を生体組織から調製する方法を提供する。
【解決手段】生体から採取された組織に第1緩衝液を加え、第1緩衝液中で組織を粉砕し、得られた第1組織粉砕液を第1可溶性画分と第1不溶性画分とに分離し、第1可溶性画分を回収して第1測定用試料を得る第1調製工程と、前記第1不溶性画分を凍結粉砕する工程と、前記凍結粉砕して得られた凍結粉砕物に第2緩衝液を加えて混合し、得られた混合物を第2可溶性画分と第2不溶性画分とに分離し、第2可溶性画分を回収して第2測定用試料を得る第2調製工程とを含む、生体分子を含む測定用試料の調製方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体組織から生体分子を含む測定用試料を調製する方法に関する。
生体組織中に含まれる生体分子、例えば膜タンパク質(例えばチロシンキナーゼなどの酵素)、核タンパク質(ヒストン、DNAトポイソメラーゼなど)、細胞質タンパク質(サイクリン依存性キナーゼなどの酵素)を測定することにより、その組織が由来する対象(例えばヒト)が罹患している疾患について調べることが知られている。
特開2007−61088号(特許文献1)は、乳癌患者から採取した細胞塊を、ホモジナイザーを用いてホモジナイズし、遠心分離により得られた上清を、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)含有測定用試料として用いている。一方、沈殿物にはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む緩衝液を加えて遠心分離を行い、得られた上清を上皮成長因子受容体であるHER2含有試料として用いている。
特開2007−61088号公報
しかし、特許文献1のような試料の調製方法では、特に遠心分離後の沈殿物から、所望の生体分子を測定に充分な量で含む試料を得ることができない場合があった。また、充分な量の目的分子を含む試料を得るために、生体から採取された組織を二つに分け、細胞質分子を含む試料と、核タンパク質及び/又は膜タンパク質を含む試料とを別々に調製することが考えられる。しかしながら、バイオプシーで採取された組織のように組織自体の量が少ない場合、組織を二つに分け別々に試料を調製することが困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、測定に充分な量の生体分子を含む測定用試料を生体組織から調製する方法を提供することを課題とする。
本発明は、
生体から採取された組織に第1緩衝液を加え、第1緩衝液中で組織を粉砕し、得られた第1組織粉砕液を第1可溶性画分と第1不溶性画分とに分離し、第1可溶性画分を回収して第1測定用試料を得る第1調製工程と、
前記第1不溶性画分を凍結粉砕する工程と、
前記凍結粉砕して得られた凍結粉砕物に第2緩衝液を加えて混合し、得られた混合物を第2可溶性画分と第2不溶性画分とに分離し、第2可溶性画分を回収して第2測定用試料を得る第2調製工程と
を含む、生体分子を含む測定用試料の調製方法を提供する。
本発明の測定用試料の調製方法により、生体由来の組織から、測定される物質を充分量含む第1測定用試料及び第2測定用試料を得ることができ、例えば患者の組織中の疾患に関連する物質を効率よく測定することができる。
本発明の方法により調製される第1及び第2測定用試料は、測定される物質として組織由来の生体分子を含む。該生体分子は、その存在及び/又は量が疾患に関連することが知られている分子であることが好ましい。
本明細書において、「測定」とは、目的物質の存在を検出すること及びその量を測定することの少なくともいずれか一方を含むことを意図する。
上記の第1測定用試料に含まれる生体分子は、細胞質に含まれる生体分子であることが好ましい。また、第1測定用試料は、細胞質に含まれる酵素の活性を測定するための試料であることが好ましい。上記の酵素としては、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、Akt、及びプロテインキナーゼC(PKC)などが挙げられ、CDKがより好ましい。CDKとしては、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7などが挙げられる。中でも、CDK1及びCDK2の少なくとも1つがより好ましい。
上記の第2測定用試料に含まれる生体分子は、細胞膜及び核の少なくともいずれか一方に含まれる生体分子が好ましい。細胞膜に含まれる生体分子としては、膜タンパク質、及び細胞外マトリックスなどが挙げられ、膜タンパク質がより好ましい。細胞外マトリックスとしては、ラミニン、コラーゲン及びファイブロネクチンなどが挙げられる。膜タンパク質としては、細胞膜に結合している受容体型チロシンキナーゼ(RTK)、膜型タンパク質分解酵素であるMT1−MMPなどの酵素が挙げられる。RTKは、インシュリン受容体(IR)、インシュリン様成長因子受容体(IGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、繊維芽細胞成長因子受容体(FGFR)、ヒト上皮成長因子受容体(HER)、血管内皮細胞成長因子受容体(VEGFR)などを含む。
上記のHERとしては、HER1、HER2などが知られている。本発明において第2測定用試料にHER2が含まれることがより好ましい。
上記の核に含まれる分子は、核タンパク質、DNAなどが挙げられ、核タンパク質がより好ましい。核タンパク質としては、DNAトポイソメラーゼ、テロメアーゼなどの酵素が挙げられ、なかでもII型トポイソメラーゼがより好ましい。
本発明の方法は、生体から採取された組織に第1緩衝液を加え、第1緩衝液中で組織を粉砕し、得られた第1組織粉砕液を第1可溶性画分と第1不溶性画分とに分離し、第1可溶性画分を回収して第1測定用試料を得る第1調製工程を含む。この工程は、目的の生体分子の変性、分解などを防ぐために、2〜4℃のような低温で行うことが好ましい。これにより、第1測定用試料を、細胞質に含まれる酵素の活性を測定するために好適に用いることができる。
上記の生体から採取された組織は、生体(例えばヒト患者)からバイオプシー、外科切除などにより採取されたリンパ節組織、器官、血液などを含む。より好ましくは、上記の組織は、癌細胞を含む。
上記の第1緩衝液は、得られる測定用試料中の測定される生体分子が変性するのを防ぐものであれば特に限定されない。第1緩衝液のpHは、生体分子を変性させたり、生体分子が酵素の場合は失活させたりすることなく、安定した状態で回収できる範囲であれば特に限定されず、好ましくは4.0〜9.0、より好ましくは4.5〜8.5、さらに好ましくは5.0〜8.0である。
第1緩衝液に含まれる緩衝剤としては、例えば、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸)、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、トリシン(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン)などが挙げられる。
上記の第1緩衝液は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、目的の生体分子を可溶化でき、かつ該生体分子を分解又は変性しないものが好ましい。電荷を有する界面活性剤は、生体分子が酵素である場合、酵素に結合して立体構造を変化させる可能性がある。そのため、第1測定用試料を、細胞質に含まれる酵素の活性を測定するために用いる場合、上記の第1緩衝液に含まれる界面活性剤は、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルエーテル、セチルエーテル、ステアリルエーテル、p−t−オクチルフェニルエーテルなどを基本構造として有するものが挙げられる。具体的には、非イオン界面活性剤としては、ノニデットP−40(NP−40、Shell International Petroleum Company Limitedの登録商標)、Triton−X(Union Carbide Chemicals and Plastics Inc.の登録商標)、Tween(ICI Americas Inc.の登録商標)、Brij(ICI Americas Inc.の登録商標)、Emulgen(花王の登録商標)などが挙げられる。第1緩衝液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.05〜5%、より好ましくは0.1〜3%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
上記の第1緩衝液は、プロテアーゼ阻害剤、脱リン酸化酵素阻害剤などを含有してもよい。
プロテアーゼ阻害剤は、細胞に含まれるプロテアーゼによって目的の生体分子が分解されることを防ぐために用いることができる。プロテアーゼ阻害剤としては例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)などのメタロプロテアーゼ阻害剤、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、トリプシン阻害剤、キモトリプシンなどのセリンプロテアーゼ阻害剤、ヨードアセトアミド、E−64などのシステインプロテアーゼ阻害剤などが挙げられる。これらのプロテアーゼ阻害剤は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
また、プロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ社)のような、あらかじめ複数のプロテアーゼ阻害剤が混合された市販品を用いることもできる。
脱リン酸化酵素阻害剤は、例えば生体分子がCDKのようなリン酸化酵素である場合に、細胞内に含まれる脱リン酸化酵素により酵素活性が低下することを防ぐために用いることができる。脱リン酸化酵素阻害剤としては、例えば、オルトバナジン酸ナトリウム(Na3VO4)、フッ化ナトリウム(NaF)、オカダ酸などが挙げられる。脱リン酸化阻害剤は、単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
上記の第1調製工程における第1緩衝液中での組織の粉砕は、従来公知の組織の粉砕方法により行うことができ、例えば、ペッスル、超音波破砕装置、フレンチプレスなどを用いることができる。生体分子が酵素の場合、酵素活性が失活しにくい点で、ペッスルを用いることが好ましい。
ペッスルは、当該技術において通常用いられるものであれば特に限定されず、組織及び第1緩衝液の量に応じて、適当な大きさのペッスルを選択して用いてよい。ペッスルは、手動で用いるもの又は機器に取り付けて用いるもののいずれであってもよいが、一定の圧力及び動作で組織を粉砕できる点で、機器に取り付けて用いるものがより好ましい。
ペッスルを機器に取り付けて用いる場合、例えば500μlの組織を含む第1緩衝液当たり、2.5〜7.5 kg/w程度の圧力で4℃にて2〜3分程度粉砕することが好ましい。
次いで、上記の粉砕により得られた第1組織粉砕液を、第1可溶性画分と第1不溶性画分とに分離する。上記の分離は、当該技術において通常用いられる方法により行うことができ、遠心分離がより好ましい。遠心分離は、例えば、4℃にて10000〜20000 rpmの速度で3〜10分程度行うことができる。
このようにして得られる第1可溶性画分は、第1測定用試料として用いることができる。
上記の第1不溶性画分は、凍結粉砕の処理に付す。上記の凍結粉砕とは、不溶性画分を凍結させたまま粉砕する処理を意味する。第1不溶性画分の凍結は、-40℃以下の極低温媒体、例えば液体窒素、液体ヘリウム、液体酸素を用いて行うことができる。凍結させた第1不溶性画分の粉砕は、該凍結させた第1不溶性画分を小片に破砕できる方法により行うことができる。該粉砕は、ミルなどの粉砕装置を用いることが好ましい。ミルは、第1不溶性画分の量に応じて適宜選択でき、例えばSKミル(株式会社トッケン)を用いることができる。
次に、上記のように凍結粉砕して得られた凍結粉砕物に第2緩衝液を加えて混合し、得られた混合物を第2可溶性画分と第2不溶性画分とに分離し、第2可溶性画分を回収して第2測定用試料を得る。
第2緩衝液は、上記の第1緩衝液と同様のpHを有してよく、上記の第1緩衝液について例示した緩衝剤を含むことができる。
第2緩衝液は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、目的の生体分子を可溶化でき、該生体分子を分解しないものであれば特に限定されない。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの陰イオン界面活性剤、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)などの陽イオン界面活性剤、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸(CHAPS)などの両性界面活性剤、上記の第1緩衝液について記載したような非イオン界面活性剤のいずれを用いてもよい。
第2緩衝液中の界面活性剤の濃度は、第1緩衝液の界面活性剤の濃度よりも高いことが好ましく、具体的には、5%より高く10%以下が好ましく、より好ましくは6〜8%である。
上記の第2緩衝液は、上記の第1緩衝液について記載したことと同様に、プロテアーゼ阻害剤を含んでよい。
上記の第2緩衝液を凍結粉砕物に加え、これを混合して得られる混合物を第2可溶性画分と第2不溶性画分とに分離する。該分離は、上記の第1調製工程について記載したことと同様に、遠心分離により行われることが好ましい。遠心分離は、例えば10000〜20000 rpmの速度で3〜10分程度行うことができる。
このようにして得られる第2可溶性画分を、第2測定用試料として用いることができる。
本発明は、また、上記の第1緩衝液及び第2緩衝液を含む、本発明の測定用試料の調製方法において用いるためのキットも提供する。
第1緩衝液及び第2緩衝液は、液体であってもよいし、用時に水を添加して用いる、凍結乾燥などにより得られる固体であってもよい。好ましくは、上記のキットは、液体の第1緩衝液を含む容器と、液体の第2緩衝液を含む容器とを含むことが好ましい。
上記のキットは、第1測定用試料及び第2測定用試料中に含まれる生体分子の測定に用いるための試薬を含んでもよい。このような試薬は、測定される生体分子の種類により適宜選択できる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1
(測定用試料の調製)
乳がん患者3名(患者1〜3)から摘出した腫瘍細胞塊3検体(38〜54mg)から、次のようにして測定用試料1〜3を調製した。なお、これらの患者は、トポイソメラーゼII及びHER2を発現している患者であることが、臨床病理情報により確認されている。
(1)工程1
まず、緩衝液中の腫瘍細胞塊が約150mg/mlとなるように、第1緩衝液としての緩衝液A(0.1w/v%のノニデットP-40(カルビオケム社)、50mMのトリス塩酸(pH7.4)、5mMのEDTA、50mMのフッ化ナトリウム、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム及び100μl/mlのプロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ社)を含む)と腫瘍細胞塊とをチューブに収容した。
ペッスルにより、加圧強度5kg/w、回転角度75度、左右2回の条件下で、緩衝液A中で腫瘍細胞塊を粉砕して第1組織粉砕液を得た。この第1組織粉砕液を、4℃にて15000rpmで5分間遠心分離し、第1可溶性画分としての上清(第1測定用試料)と、第1不溶性画分としての沈殿物とを得た。
(2)工程2
工程1で得られた沈殿物に、緩衝液B(1%のTriton-X100、0.1%のデオキシコール酸ナトリウム、0.1%のSDS、50mMのトリス塩酸(pH8.0)、150mMのNaCl、0.5mMのEDTA及び0.2%のプロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ)を含む)を添加して15000rpm、5分間遠心分離を行い、上清(以下、工程2の上清という)と沈殿物とを得た。
(3)工程3
工程2で得られた沈殿をチューブに入れ、該チューブを液体窒素に約30秒浸漬することにより凍結し、SKミル(株式会社トッケン)を用いて粉砕した。粉砕物に、第2緩衝液としてのSDSローディングバッファー(200mMのトリス塩酸(pH6.8)、40%のグリセロール、8%のSDS及び10%の2-メルカプトエタノールを含む)を粉砕物の重量の1/3量で加えて混合した。これを、100℃で5分間加熱して、15000rpmで2分間遠心分離して、上清を回収して、第2測定用試料を得た。
(測定用試料の分析)
上記の工程1〜3で得られた試料について、核タンパク質であるトポイソメラーゼII(TopII)及び膜タンパク質であるHER2の含有量を調べるために、TopIIに対する抗体、及びHER2に対する抗体を用いたウェスタンブロッティングを次のようにして行った。
上記の工程1及び2で得られた第1測定用試料及び第2工程の上清に、1/3の容量のSDSローディングバッファーを加え、100℃で5分間加熱して、ウェスタンブロッティング用試料を調製した。
得られた2種類のウェスタンブロッティング用試料、及び第2測定用試料のそれぞれ10μlを用いてSDS-PAGEを行い、ゲルを室温で15分間、トランスファーバッファー(192mMのグリシン、25mMのトリス及び20%のメタノールを含む)に浸漬して平衡化した。
ゲル中のタンパク質を、Mini Trans-Blot cell transfer system(バイオラッド社)を用いて100V、4℃、一時間でImmobilon FL membrane(ミリポア社)に転写した。
メンブレンを、ブロッキング試薬A(4%のBSA、25mMのトリス塩酸(pH7.4)、150mMのNaCl及び0.02%のTween20を含む)中で37℃、1時間振とうすることによりブロッキングを行い、さらに洗浄液A(25mMのトリス塩酸(pH7.4)、150mMのNaCl及び0.02%のTween20を含む)で洗浄した。
洗浄後、メンブレンを、抗トポイソメラーゼII(TopoII)ウサギ抗体(一次抗体:カルビオケム社)溶液5μl含む5mlのブロッキング試薬A中で、室温で1時間振とう振とうした。
メンブレンを20mlの洗浄液Aで洗浄した後、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識化ブタ抗ウサギIgG (二次抗体:DAKO社)溶液5μlを含む5mlのブロッキング試薬A中で、室温にて90分間振とうして、メンブレンの一次抗体と二次抗体とを反応させた。
メンブレンを20mlの洗浄液Aで洗浄した後、ECL-Plus (Amersham社)を、使用説明書に従って用いて処理した。処理したメンブレンからの発光を、イメージアナライザMolecular Imager FX(バイオラッド社)を用いて検出した。
(測定用試料のHER2含有量の分析)
上記の工程1〜3で得られた試料について、膜タンパク質であるHER2の含有量を、次のようにして調べた。
上記のトポイソメラーゼIIについての分析において、抗TopoII抗体溶液に代えてウサギ抗HER2抗体(アップステイト社)溶液を用い、HRP標識化ブタ抗ウサギIgG溶液の代わりにビオチン標識化ヤギ抗ウサギIgG(サンタクルズ社)溶液を用い、蛍光色素であるAlexa fluor 488 conjugated streptabidin(モレキュラープローブ社)溶液を用いた定法により反応させ、蛍光イメージアナライザMolecular Imager FX(バイオラッド社)によって検出した。
(結果)
結果を、図1及び2に示す。図1及び2では、sup1:第1測定用試料、sup2:第2工程の上清、sup3:第2測定用試料の結果を、検体1〜3について示す。
これらの結果から、核タンパク質であるトポイソメラーゼII及び膜タンパク質であるHER2は、ともに、第2測定用試料中に最も多く含まれていることがわかる。一方、第1工程で得られた不溶性画分に通常の可溶化液を混合する工程2の操作では、核タンパク質も膜タンパク質もほとんど検出できなかった。よって、本発明の方法により、充分量の核タンパク質及び膜タンパク質を含む第2測定用試料を調製できたことがわかる。
なお、上記の第1測定用試料を調製する工程1は、特開2007−61088号の実施例1に記載されるCDK測定用試料の調製法と同じであり、第1測定用試料中に含まれるCDKが測定できることが、特開2007−61088号に記載されている。
比較例1
乳がん患者9名(患者1〜9)から摘出した腫瘍細胞塊9検体(16〜98mg)から、上記の工程1のようにして試料1〜9を調製した。これらを、実施例1と同様にして、TopoIIについてのウェスタンブロットにより、TopoIIの含有量を調べた。これらの患者は、トポイソメラーゼIIを発現している患者であることが、臨床病理情報により確認されている。
(結果)
結果を、図3に示す。図3の結果から、実施例1の工程1で得られた試料と同様に、工程1により得られる第1測定用試料中には、核タンパク質であるトポイソメラーゼIIはほとんど含有されていないことがわかる。
比較例2
乳がん患者2名(患者1〜3)から摘出した腫瘍細胞塊2検体(26-48mg)から、次のようにして測定用試料1〜3を調製した。これらの患者は、トポイソメラーゼII及びHER2を発現している患者であることが、臨床病理情報により確認されている。
(試料の調製)
実施例の工程1及び2と同様にして、第1測定用試料及び工程2の上清を得た。
次いで、工程2で得られた沈殿物を、ペッスルにより、加圧強度5kg/w、回転角度75度、左右2回の条件下で、粉砕した。粉砕物に1/3量のSDSローディングバッファーを粉砕物の重量の1/3量で加え、100℃で5分間加熱して、ペッスルで2回処理した試料を得た。
(試料の分析)
上記の第1測定用試料、工程2の上清及びペッスルで2回処理した試料を、実施例1に記載したようにして、TopoII及びHER2の含有量をウェスタンブロッティングにより調べた。
(結果)
結果を図4に示す。図4では、sup1:第1測定用試料、sup2:第2工程の上清、sup3:ペッスルで2回処理した試料の結果を、検体1〜3について示す。
図4の結果から、組織をペッスルで粉砕する第1調製工程で得られた第1不溶性画分を再びペッスルで粉砕しても、試料中にはトポイソメラーゼII及びHER2がほとんど含有されていないことがわかる。
これらの結果から、本発明の方法により測定用試料を調製することにより、充分な量の細胞質に含まれる分子を含む第1測定用試料と、充分な量の核タンパク質及び膜タンパク質を含む第2測定用試料を得ることができたことがわかる。特に、ペッスルにより破砕された組織の不溶性画分を、凍結粉砕することで、充分な量の核タンパク質及び膜タンパク質を含む第2測定用試料を、効率よく得ることができることが明らかになった。
例えば、癌細胞を含む組織のように不均質な組織に含まれる細胞質分子と核タンパク質及び/又は膜タンパク質とを測定しようとする場合に、従来の試料の調製方法では、充分な量の目的分子を含む試料が得られないという問題があった。あるいは、充分な量の目的分子を含む試料を得るために、細胞質分子を含む試料と、核タンパク質及び/又は膜タンパク質を含む試料とを別々に調製することが考えられるが、各試料の調製に用いられる組織が異なり、試料を調製するための組織に含まれる癌細胞の数や種類が完全には同じにならないという問題があった。
しかし、本発明の方法により、同じ組織から第1測定用試料及び第2測定用試料を調製でき、同じ組織に含まれる細胞質分子と核タンパク質及び/又は膜タンパク質とを測定できるので、このような問題を回避でき、より信頼性の高い測定結果を得ることができる。
実施例1のトポイソメラーゼIIを検出するためのウェスタンブロットの結果を示すメンブレンの写真である。 実施例1のHER2を検出するためのウェスタンブロットの結果を示すメンブレンの写真である。 比較例1のトポイソメラーゼIIを検出するためのウェスタンブロットの結果を示すメンブレンの写真である。 比較例2のトポイソメラーゼII及びHER2を検出するためのウェスタンブロットの結果を示すメンブレンの写真である。

Claims (16)

  1. 生体から採取された組織に第1緩衝液を加え、第1緩衝液中で組織を粉砕し、得られた第1組織粉砕液を第1可溶性画分と第1不溶性画分とに分離し、第1可溶性画分を回収して第1測定用試料を得る第1調製工程と、
    前記第1不溶性画分を凍結粉砕する工程と、
    前記凍結粉砕して得られた凍結粉砕物に第2緩衝液を加えて混合し、得られた混合物を第2可溶性画分と第2不溶性画分とに分離し、第2可溶性画分を回収して第2測定用試料を得る第2調製工程と
    を含む、生体分子を含む測定用試料の調製方法。
  2. 第1緩衝液及び第2緩衝液が界面活性剤を含有し、第1緩衝液の界面活性剤の濃度が、第2緩衝液の界面活性剤の濃度よりも低い、請求項1に記載の方法。
  3. 第1測定用試料が、細胞質に含まれる生体分子を含む請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第1測定用試料が、細胞質に含まれる酵素の活性を測定するための試料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 酵素が、サイクリン依存性キナーゼである請求項4に記載の方法。
  6. サイクリン依存性キナーゼが、CDK1及びCDK2の少なくとも1つである請求項5に記載の方法。
  7. 第2調製工程で得られる第2測定用試料が、細胞膜及び核の少なくともいずれか一方に含まれる生体分子を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 細胞膜に含まれる生体分子が、膜タンパク質である請求項7に記載の方法。
  9. 膜タンパク質が、上皮成長因子受容体である請求項8に記載の方法。
  10. 上皮成長因子受容体が、HER2である請求項9に記載の方法。
  11. 核に含まれる生体分子が、核タンパク質である請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 核タンパク質が、DNAトポイソメラーゼである請求項11に記載の方法。
  13. DNAトポイソメラーゼが、II型トポイソメラーゼである請求項12に記載の方法。
  14. 粉砕が、ペッスルを用いて行われる請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 生体から採取された組織が、癌患者から採取された癌細胞を含む組織である請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 第1緩衝液と第2緩衝液とを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法に用いるためのキット。
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