JP4989127B2 - チロシンキナーゼの活性測定方法及びチロシンキナーゼの基質 - Google Patents

チロシンキナーゼの活性測定方法及びチロシンキナーゼの基質 Download PDF

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Description

本発明は、チロシンキナーゼの活性測定方法及びチロシンキナーゼの基質に関し、特に種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されうる基質及びその基質を用いた活性測定方法に関する。
チロシンキナーゼは、タンパク質やペプチドのチロシン残基を特異的にリン酸化する酵素である。チロシンキナーゼは、細胞膜や細胞質に存在し、細胞の分化や増殖において重要な役割を果たしている。また、その発現量の異常や酵素活性の異常が細胞のがん化を引き起こすことが知られている。例えば、インシュリン様増殖因子受容体(insulin-like growth factor receptor;IGFR)は、腫瘍細胞において過剰に発現することが報告されている。また、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(human epithelial growth factor receptor;HER)のうち、HER1は主に肺癌において活性が高くなっていることが知られており、HER2は主に乳癌において活性が高くなっていることが知られている。細胞におけるチロシンキナーゼの発現量や酵素活性の異常は、細胞膜や細胞質に存在するチロシンキナーゼの活性値を測定することにより検出することができる。ゆえに、チロシンキナーゼの活性を測定することは、細胞のがん化機構を解明する上で不可欠である。
チロシンキナーゼの活性を測定する方法としては、チロシンキナーゼと基質とATPとを混合し、チロシンキナーゼの酵素活性によりリン酸化された基質を検出することによってチロシンキナーゼの活性を測定する方法がある(例えば非特許文献1)。非特許文献1では、市販の合成ペプチドを基質として使用している。この合成ペプチドは、グルタミン酸残基(以下、Gluと省略する)とチロシン残基(以下、Tyrと省略する)を含むアミノ酸配列が複数回繰り返されるように合成されたペプチドであり、種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されることが知られている。ゆえに、チロシンキナーゼの活性測定において、このような合成ペプチドを使用することにより、種々のチロシンキナーゼの活性を測定することが可能となる。
しかしながら、上述したような市販の合成ペプチドは、GluとTyrを含む数個のアミノ酸からなる配列が繰り返された特殊なアミノ酸配であるため、化学合成する場合にペプチドの長さをコントロールすることが難しく、ゆえに均一な分子量とならない。従って、市販の合成ペプチドは、SDS-PAGE等の電気泳動において単一バンドとして検出することができない。また、このようなアミノ酸配列を有する合成ペプチドをウエスタンブロッティングやスロットブロットに適用した場合、合成ペプチドが通常のタンパク質とは異なる挙動を示してしまい、合成ペプチドの膜への転写や吸着がうまくいかない場合がある。
以上のことから、市販の合成ペプチドは、電気泳動、ウエスタンブロッティング又はスロットブロットの工程を含むチロシンキナーゼの測定方法には適用することができない。
Norio Sasaki et al, 1985, The Journal of Biological Chemistry, Vol.260, No.17, 9793〜9804
本発明の目的は、正確な検出結果を得ることが可能な、スロットブロットを用いたチロシンキナーゼの活性測定方法を提供することである。
本発明の他の目的は、種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されうる基質であって、スロットブロットの工程を含むチロシンキナーゼの測定方法に適応可能な基質を提供することである。
本発明は、細胞に含まれるチロシンキナーゼを、チロシンキナーゼの基質及びリン酸基ドナーと混合する工程と、リン酸化された基質を、スロットブロットにより検出する工程と、を含み、基質は、グルタミン酸残基及びチロシン残基からなり、グルタミン酸残基とチロシン残基との比率が4:1であるアミノ酸配列からなるペプチドと、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を含む、チロシンキナーゼの活性測定方法を提供する。
本発明はさらに、細胞に含まれるチロシンキナーゼを、チロシンキナーゼの基質及びリン酸基ドナーと混合する工程と、リン酸化された基質を、スロットブロットにより検出する工程と、を含むチロシンキナーゼの活性測定方法に使用するためのチロシンキナーゼの基質であって、グルタミン酸残基及びチロシン残基からなり、グルタミン酸残基とチロシン残基との比率が4:1であるアミノ酸配列からなるペプチドと、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を含む、チロシンキナーゼの基質を提供する。
本発明のチロシンキナーゼの活性測定方法は、Glu及びTyrからなり、GluとTyrとの比率が4:1であるアミノ酸配列からなるペプチドとグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を含む基質を使用することにより、従来の市販の合成ペプチドでは適用できなかったスロットブロットを用いたチロシンキナーゼの活性測定において、正確な結果を得ることが可能になる。
本発明のチロシンキナーゼの基質は、Glu及びTyrからなり、GluとTyrとの比率が4:1であるアミノ酸配列からなるペプチドとグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質である。ペプチドに上記したグルタチオン−S−トランスフェラーゼを融合させることにより、得られた融合タンパク質は、従来の市販の合成ペプチドでは適用できなかったスロットブロットを含むチロシンキナーゼの活性測定に適用することが可能となる。
本発明のチロシンキナーゼの基質は、Glu及びTyrを含むアミノ酸配列からなるペプチドと標識タンパク質とを融合させた融合タンパク質である。
アミノ酸配列は、Glu及びTyrを含み、Tryが複数種類のチロシンキナーゼによりリン酸化されうるものであれば特に限定されない。このようなアミノ酸配列としては、上記非特許文献1、Sergei Braun et al, 1984, The Journal of Biological Chemistry, Vol.259, No.4, 2051〜2054及びM. Abdel-Ghany et al, 1990, Proceeding of The National Academy of Science, Vol.87, 7061〜7065において、チロシンキナーゼの基質として使用されている合成ペプチドのアミノ酸配列が挙げられる。具体的には、4つのGluと1つのTyrからなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(以下、アミノ酸配列aとする)、1つのGluと1つのTyrからなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(以下、アミノ酸配列bとする)、6つのGluと1つのTyrと3つのアラニン残基(以下、Alaと省略する)からなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(以下、アミノ酸配列cとする)であり、1つのGluと1つのTyrと1つのAlaからなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(以下、アミノ酸配列dとする)、2つのGluと1つのTyrと6つのAlaと5つのリジン残基(以下、Lysと省略する)からからなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列(以下、アミノ酸配列eとする)などが例示できる。なお、文献Tony Hunter, 1982, The Journal of Biological Chemistry, Vol.257, No.9, 4843〜4848において、チロシンキナーゼによるTyrのリン酸化には酸性アミノ酸残基が重要であるいう報告があり、これより、特に、酸性のアミノ酸残基であるGluを多く含有するアミノ酸配列aやアミノ酸配列cが好ましい。
一般的に、酵素は、特定の基質の立体構造を認識して反応する。しかし、上記のペプチドのアミノ酸配列は、Glu及びTyrを含む特殊なアミノ酸配列であるため、チロシンキナーゼの種類に対する特異性が低く、種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されうる。ゆえに、上記のペプチドを含む融合タンパク質は、試料中に含まれるチロシンキナーゼの種類に関わらず、その活性を測定することができる。
融合タンパク質は上記のアミノ酸配列からなるペプチドを含む。ゆえに、融合タンパク質は、種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されうる基質として使用することができる。融合タンパク質をリン酸化するチロシンキナーゼとしては、例えば、受容体型チロシンキナーゼであるインシュリン受容体(insulin receptor;IR)、インシュリン様増殖因子受容体(insulin-like growth factor receptor;IGFR)、血小板由来増殖因子受容体(platelet-derived growth factor receptor;PDGF)、線維芽細胞増殖因子受容体(fibroblast growth factor;FGFR)、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(human epithelial growth factor receptor;HER)、血管内皮増殖因子受容体(vascular endothelial growth factor;VEGFR)などの増殖因子受容体が挙げられる。また、非受容体型チロシンキナーゼである、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes、Fps、Fak、Jak、Ackなどが挙げられる。
標識タンパク質としては、電気泳動、ウエスタンブロッティングやスロットブロットに適応可能であり、チロシンキナーゼによる基質のリン酸化を阻害しないタンパク質又はタンパク質の断片であれば特に限定されない。標識タンパク質は、電気泳動、ウエスタンブロッティングやスロットブロットに適応可能とするため、少なくとも10kDa以上の分子量を有するタンパク質又はタンパク質の一部断片であることが好ましい。また、標識タンパク質の分子量が大きすぎると、チロシンキナーゼによる融合タンパク質のリン酸化の効率が低下したり、ウエスタンブロッティングにおける膜への転写効率が低下する。したがって、標識タンパク質は、100kDa以下の分子量を有するタンパク質又はタンパク質の一部断片であることが好ましい。このような条件を満たす標識タンパク質としては、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、GSTと省略する)、プロテインA、チオレドキシン、セルロース結合ドメイン、βラクタマーゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、熱ショックタンパク質、フィブロネクチン部分ペプチド、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、マルトース結合タンパク質、免疫グロブリンG、アビジン、プロテインGが挙げられる。融合タンパク質の発現や精製を容易にするという観点から、特にGST、マルトース結合タンパク質、アビジンが好ましい。
融合タンパク質は、公知の遺伝子工学的手法によって容易に作製することができる。例えば、ペプチドをコードするDNA断片と標識タンパク質をコードするDNA断片を取得し、各DNA断片を制限酵素で消化し、そのDNA断片を連結して適当なベクターに組み込む。用いるベクターは導入する細胞内で、ペプチドと標識タンパク質との融合タンパク質を発現しうるものであれば特に限定されない。なお、標識タンパク質をコードするDNA配列が予め組み込まれたベクターを用いると便利である。例えば、標識タンパク質としてGSTを利用する場合、上記ペプチドをGST融合タンパク質発現用ベクターに組み込むことにより、簡単にペプチドと標識タンパク質との融合タンパク質を発現させることができる。
なお、ペプチドのDNA断片をPCRにより増幅する際に、その増幅効率を上げるとともに、その後のベクター構築を容易にするため、プライマーの5'末端に制限酵素部位を挿入する場合がある。その場合には、標識タンパク質とペプチドとの間に1以上のアミノ酸残基が挿入されることになる。また、DNA断片が組み込まれる発現ベクターへの挿入部位によっては、やはり1以上のアミノ酸残基が挿入された融合タンパク質が得られることになる。このような融合タンパク質であっても、複数種類のチロシンキナーゼの基質としてチロシンキナーゼと反応するのであればよい。
上述したように市販されている合成ペプチドは、分子量が均一でなく、また、通常のタンパク質とは異なる挙動を示す可能性がある。このため、市販の合成ペプチドは、電気泳動、ウエスタンブロッティングやスロットブロットの工程を含むチロシンキナーゼの活性測定に適用することができなかった。一方、上記の融合タンパク質は、遺伝子工学的手法により作製されるため均一の分子量となり、また、ペプチドに標識タンパク質を融合させた融合タンパク質であるため通常のタンパク質と同じ挙動を示す。これにより、従来の市販の合成ペプチドでは適用できなかった電気泳動、ウエスタンブロッティングやスロットブロットを含むチロシンキナーゼの活性測定に適用することが可能となる。
例えば、融合タンパク質をウエスタンブロッティングに適用する場合、リン酸化した融合タンパク質(以下、リン酸化融合タンパク質とする)と他のタンパク質とをメンブレンで分離し、リン酸化した融合タンパク質を認識する抗体(以下、リン酸化融合タンパク質認識抗体とする)を加えてリン酸化基質と結合させ、さらに蛍光物質を有する二次抗体をリン酸化融合タンパク質認識抗体に結合させ、この蛍光を検出すればよい。なお、リン酸化融合タンパク質をあらかじめ他のタンパク質と分離した場合は、ウエスタンブロッティングの代わりにスロットブロット法を用いて融合タンパク質のリン酸化を検出することもできる。蛍光物質の代わりに酵素を用いることもできる。この場合、二次抗体の有する酵素を、それに対する基質を加えて発色反応させ、この発色を検出すればよい。また、リン酸化融合タンパク質を含む溶液をチューブに収容し、蛍光物質を有するリン酸化融合タンパク質認識抗体を加えてリン酸化融合タンパク質と結合させ、蛍光強度を測定することにより、融合タンパク質のリン酸化を検出することもできる。さらに、融合タンパク質を電気泳動に適用する場合、放射線標識したATP([γ−32P]ATP)をもちいて融合タンパク質をリン酸化し、32Pでリン酸化された融合タンパク質を電気泳動で分離し、イメージングアナライザーなどにより解析することにより、32Pでリン酸化された融合タンパク質を検出することができる。
融合タンパク質は、上記以外の方法においても適用することが可能である。具体的には、固相酵素免疫検定法(以下、ELISA法とする)、放射線免疫検定法(以下、RIA法とする)などが挙げられる。ELISA法には、直接吸着法とサンドイッチ方が含まれる。直接吸着法では、リン酸化融合タンパク質を固相の表面に吸着させ、酵素を有するリン酸化融合タンパク質認識抗体を加え、リン酸化融合タンパク質と結合させる。次に、リン酸化融合タンパク質認識抗体が有する酵素を、融合タンパク質を加えて発色反応させ、この発色を検出すればよい。サンドイッチ法では、固相にリン酸化融合タンパク質認識抗体を結合させ(以下、固相抗体とする)、リン酸化基質を加えて固相抗体と結合させる。次に、酵素を有するリン酸化基質認識抗体(以下、標識抗体とする)を加え、リン酸化融合タンパク質と結合させる。標識抗体の有する酵素を、それに対する基質を加えて発色反応させ、この発色を検出すればよい。例えば、標識抗体の有する酵素がアルカリホスファターゼである場合、基質としてニトロテトラゾリウムブルークロライド(NBT)及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシルホスフェイト(BCIP)の混合溶液を用いて反応させ、発色させることができる。標識抗体の有する酵素がペルオキシダーゼである場合、基質としてジアミノベンジジン(DAB)を用いて反応させ、発色させることができる。サンドイッチ法を用いる場合、固相抗体と標識抗体とは、リン酸化融合タンパク質の異なる部位に結合することが好ましい。すなわち、リン酸化融合タンパク質に複数の抗体結合部位があるか、用いる2種類の抗体がリン酸化融合タンパク質の異なる抗原決定基を認識することが好ましい。シグナル発生物質が放射性同位元素である場合、放射線免疫検定法(以下、RIAとする)によって融合タンパク質のリン酸化を検出することができる。具体的には、放射性同位元素を有するリン酸化融合タンパク質認識抗体をリン酸化基質に結合させ、放射線をシンチレーションカウンター等によって測定し、融合タンパク質のリン酸化を検出することができる。
以下、本発明のチロシンキナーゼの基質について、実施例に基づき、より具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)チロシンキナーゼの基質の作成
4つのグルタミン酸残基と1つのチロシン残基からなる配列が5回繰り返されたアミノ酸配列(配列番号1)からなるペプチド(以下、poly(Glu、Tyr)ペプチドとする)とGSTタンパク質との融合タンパク質を作製し、この融合タンパク質を、複数種類のチロシンキナーゼによりリン酸化されうる基質として用いた。以下、この融合タンパク質をGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質とする。
GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質は、以下の方法で作製した。poly(Glu、Tyr)ペプチドのアミノ酸配列(配列番号1)をコードするDNA(配列番号2)、このDNAの塩基配列を基に設計したセンスプライマー(配列番号3)及びアンチセンスプライマー(配列番号4)及びKODplusDNApolymerase(東洋紡株式会社)を用いて、PCRを行った。PCRにより得られた増幅産物(以下、poly(Glu,Tyr)DNAとする)及びGST融合タンパク質発現用のプラスミドベクターであるpGEX-4T-3(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を制限酵素(BamH1及びEcoR1)で処理し、poly(Glu,Tyr)DNAをpGEX-4T-3に組み込み、組換えプラスミドを作製した。この組換えプラスミドを大腸菌JM109にトランスフォームし、この大腸菌を、液体培地(LB培地)中で培養液の吸光度(600nm)が0.6になるまで培養した。この培養した大腸菌に1mM IPTG(培養液中の濃度)を添加して4時間培養し、発現を誘導した。次に、大腸菌を溶菌し、グルタチオンセファロース4B(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を用いてGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を回収した。このGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質のアミノ酸配列を配列番号5に示した。
(実施例2)受容体型チロシンキナーゼの細胞内ドメインを用いた場合のウエスタンブロッティングによる融合タンパク質のリン酸化の検出
ここでは、市販の受容体型チロシンキナーゼの細胞内ドメイン(intracellular domain;ICD)を用いて、実施例1で作製したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質をリン酸化し、ウエスタンブロッティングによりリン酸化されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を検出した。なお、受容体型チロシンキナーゼは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメインから構成されており、細胞内ドメインにチロシンキナーゼの活性を示す部位が存在する。
1.反応用試料の調製方法
緩衝液1(20mM HEPES pH7.4、10mM MnCl2、1% NP40、1mM DTT、0.2%プロテアーゼインヒビター(以下、PIとする)、10% グリセロール、200μM Na3VO4及び50mM NaFを含む)50μlと市販の受容体型チロシンキナーゼのICD 0.5pmolとを混合し、これを反応用試料として以下の酵素反応に用いた。本実施例では、ICDとして、PDGF Recepter β Kinase(以下、PDGFR-βとする)、VEGF Recepter 1 Kinase(以下、VEGFR1とする)、VEGF Recepter 2 Kinase(VEGFR2)、EGF Recepter 1 Kinase(以下、HER1とする)、ErbB2 Kinase(以下、HER2とする)、ErbB4 Kinase(以下、HER4とする)、IGF-1Receptor Kinase(IGF1R)(全てCell Signaling Technology社)を用いた。なお、緩衝液1とPDGFR-βとを混合したものを反応用試料iとし、緩衝液1とVEGFR1とを混合したものを反応用試料ii、緩衝液1とVEGFR2とを混合したものを反応用試料iii、緩衝液1とHER1とを混合したものを反応用試料iv、緩衝液1とHER2とを混合したものを反応用試料v、緩衝液1とHER3とを混合したものを反応用試料vi、緩衝液1とIGF1Rとを混合したものを反応用試料viiとする。
2.酵素反応
反応用試料i 25μlと、実施例1において調製したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を含む基質溶液1(20mM HEPES pH7.4、10mM MnCl2、1mM DTT、1% NP40、0.2% PI、10% グリセロール、200μM Na3VO4、50mM NaF、40μM ATP、及び5μg GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を含む)25μlとを混合し、25℃で60分間インキュベートした。この反応液に、SDSサンプルバッファー pH6.8(200mM Tris、40% グリセロール、8% SDS、及び10% 2−メルカプトエタノールを含む)25μlを加え、100℃で5分間ボイルして酵素反応を停止した。このようにして調製された溶液をSDS用試料i(+)とする。同様にして、反応用試料ii〜viiからSDS用試料ii(+)〜vii(+)を調製した。
また、反応用試料I 25μlと、ATPを含まない基質溶液2(20mM HEPES pH7.4、10mM MnCl2、1mM DTT、1% NP40、0.2% PI、10% グリセロール、200μM Na3VO4、50mM NaF、及び5μg GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を含む)25μlとを混合し、25℃で60分間インキュベートした。この反応液に、SDSサンプルバッファー pH6.8(200mM Tris、40% グリセロール、8% SDS、及び10% 2−メルカプトエタノールを含む)25μlを加え、100℃で5分間ボイルして酵素反応を停止した。このようにして調製された溶液をSDS用試料i(−)とする。同様にして、反応用試料ii〜viiからSDS用試料ii(−)〜vii(−)を調製した。基質溶液2は、ATPが含有されていない点を除いて、基質溶液1と同じ組成である。そして、SDS用試料i(−)〜vii(−)は、SDS用試料i(+)〜vii(+)のネガティブコントロールとして使用した。
3.ウエスタンブロッティングによるリン酸化された融合タンパク質の検出
SDS−PAGEにて、SDS用試料i(+)〜vii(+)及びSDS用試料i(−)〜vii(−)に含まれるタンパク質の分離を行った。各SDS用試料15μlをポリアクリルアミドゲル(PAGミニ「第一」4/20(13W)(第一化学薬品株式会社))の別々のウェルに注入し、泳動槽(カセット電気泳動槽「第一」DPE−1020(ミニ2連式)(第一化学薬品株式会社))を用いて25mAで70分間電気泳動した。電気泳動によって分離したタンパク質を、ミニトランスブロットセル(バイオラッド社)を用いて100Vで1時間電圧をかけ、ポリアクリルアミドゲルからポリビニリデンフロライド(PVDF)メンブレン(Immobilon−FL 0.45μm pore size(ミリポア社))に転写した。このPVDFメンブレンを、4%ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)溶液で60分間ブロッキングした。ブロッキングしたPVDFメンブレンを、一次抗体溶液(0.4%ブロックエース及び0.5μg/ml Anti−Phosphotyrosine clone 4G10(upstate社)を含む)2ml中で60分間振蕩した後、TBS−T(25mM Tris、150mM NaCl及び0.1% Tween−20を含む)で3回洗浄した。次に、このPVDFメンブレンを、二次抗体溶液(0.4%ブロックエース及び2.7μg/ml抗マウスイムノグロブリン・ウサギポリクローナル抗体 FITC標識(DAKO社)を含む)2ml中で60分間振蕩した後、TBS−Tで3回洗浄した。このPVDFメンブレンを乾燥させ、画像解析装置(Pharos FX system(バイオラッド社))を用いて解析し、蛍光を検出した。
4.結果
図1は、ウエスタンブロッティングの結果を示す蛍光写真である。図中のiはチロシンキナーゼとしてPDGFR-βを、iiはVEGFR1を、iiiはVEGFR2を、ivはHER1を、vはHER2を、viはHER4を、viiはIGF1Rを用いた場合の結果を示す。また、i〜viiの各写真において、−はATPを含まない基質溶液2を用いて調製したSDS用試料から得られた結果である。+はATPを含む基質溶液1用いて調製したSDS用試料から得られた結果である。P-ICDは、自己リン酸化したチロシンキナーゼが出現する位置を示し、P-GST-poly(Glu、Tyr)はリン酸化したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が出現する位置を示す。
全て(i〜vii)の+において、リン酸化したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が出現する位置に単一のバンドが見られた。これより、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が、種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されることがわかった。
なお、ii、iii、iv、vi及びviiの−において、リン酸化したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が出現する位置にバンドが見られないのは、酵素反応において反応液にATPが含まれず、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質がリン酸化されなかったためであると考えられる。一方、i及びvの−において、リン酸化したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が出現する位置に非常に薄いバンドが見られたが、この原因としては、検出に用いた抗体が非特異的に結合したため、又は、測定で使用した製品に微量のATPが混在していたため、などが考えられる。
(実施例3)細胞膜から抽出した受容体型チロシンキナーゼを用いた場合のウエスタンブロッティングによる融合タンパク質のリン酸化の検出
ここでは、乳癌由来の培養細胞の細胞膜から抽出した受容体型チロシンキナーゼを用いて、実施例1で作製したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質をリン酸化し、ウエスタンブロッティングによりリン酸化されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を検出した。
1.反応用試料の調製方法
乳癌由来の培養細胞(MDA−MB231)を、225cm2のフラスコにおいて80%コンフルエント(約107個)となるよう培養した。この培養細胞と緩衝液2(20mM HEPES pH7.4、0.2% PI、10% グリセロール、200μM Na3VO4、及び50mM NaFを含む)1mlとを混合し、ペッスルを用いて加圧することにより細胞膜を破壊し、細胞溶液を調製した。得られた細胞溶液を遠心分離し、上清を廃棄した。沈殿物と、緩衝液3(20mM HEPES pH7.4、1% NP40、0.2% PI、10% グリセロール、200μM Na3VO4、及び50mM NaFを含む)とを混合し、ペッスルを用いて加圧することにより細胞膜を可溶化し、遠心分離して上清を回収した。この上清を、反応用試料として以下の酵素反応に用いた。同様にして、乳癌由来の培養細胞であるMDA−MB468及びSKBr3から、それぞれ反応用試料を調製した。ここで、MDA−MB231から調製したものを反応用試料i、MDA−MB468から調製したものを反応用試料ii、SKBr3から調製したものを反応用試料iiiとする。なお、いずれも反応用試料も、含有されるタンパク質濃度が0.8mg/mlになるように調製された。
2.酵素反応
上記の方法で得た反応用試料i 25μlと、基質溶液3(20mM HEPES pH7.4、20mM MnCl2、2mM DTT、1% NP40、0.2% PI、10% グリセロール、200μM Na3VO4、50mM NaF、100μM ATP、及び5μg GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を含む)25μlとを混合し、25℃で30分間インキュベートした。この反応液に、実施例2で使用したSDSサンプルバッファー25μlを加え、100℃で5分間ボイルして酵素反応を停止した。このようにして調製された溶液をSDS用試料iとする。同様にして、反応用試料ii及び反応用試料iiiからSDS用試料ii及びSDS用試料iiiを調製した。
3.ウエスタンブロッティングによるリン酸化された融合タンパク質の検出
実施例2と同様にして、ウエスタンブロッティングにより、SDS用試料(i〜iii)に含まれるリン酸化されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を検出した。
4.結果
図2は、ウエスタンブロッティングの結果を示す蛍光写真である。図中のiはMDA−MB231の細胞膜から抽出した受容体型チロシンキナーゼを、iiはVEGFR1をMDA−MB468の細胞膜から抽出した受容体型チロシンキナーゼを、iiiはSKBr3の細胞膜から抽出した受容体型チロシンキナーゼを用いた場合の結果を示す。P-GST-poly(Glu、Tyr)はリン酸化したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が出現する位置を示す。
全て(i〜iii)において、リン酸化したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が出現する位置に単一のバンドが見られた。これより、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が、細胞膜に存在するチロシンキナーゼによりリン酸化されることがわかった。また、実施例2で示されたように、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質は種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されることから、ここで検出されたバンドは、細胞膜に存在する種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質であると考えられる。
実施例2の図1及び実施例3の図2の結果から、リン酸化したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質がSDS-PAGEにおいて単一のバンドとして他のタンパク質から分離され、分離されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質がPVDF膜に転写されたことがわかる。これにより、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が、電気泳動やウエスタンブロッティングに適用可能であることがわかった。
(実施例4)受容体型チロシンキナーゼの細胞内ドメインを用いた場合のELISAによる融合タンパク質のリン酸化の検出
ここでは、市販の受容体型チロシンキナーゼのICDを用いて、実施例1で作製したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質をリン酸化し、ELISAによりリン酸化されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を検出した。
1.反応用試料の調製方法
まず、緩衝液4(20mM HEPES pH7.4、10mM MnCl2、1mM DTT、1% NP40、0.2% PI、10% グリセロール、200μM Na3VO4、50mM NaF、200μM ATP)50μlと市販の受容体型チロシンキナーゼのICD 0.125pmolとを混合して反応用試料を調製した。次に、調製した反応用試料を、上記緩衝液4を用いて2倍希釈、4倍希釈、8倍希釈、16倍希釈、32倍希釈及び64倍希釈した。このようにして調製した各反応用試料(1倍希釈〜64倍希釈)及びICDを含有しない反応用試料として緩衝液4を以下の酵素反応に用いた。また、本実施例では、ICDとして、実施例2で使用したHER1及びIGF1R(全てCell Signaling Technology社)を用いた。
2.ELISA用プレートへの融合タンパク質の結合
ELISA用のプレートとして、グルタチオンコートプレート(Reacti-Bind Clear Glutathione Coated Plates, 8-well Strip(PIERCE社))を用いた。まず、プレートの各ウェルをTBS−T(25mM Tris、150mM NaCl及び0.05% Tween−20を含む)で3回洗浄した。次に、各ウェルに、実施例1において調製したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を含む基質溶液3(10μg/mlのGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を含むTBS)50μlを入れ、軽く震蕩しながら25℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、各ウェルをTBS-Tで2回洗浄し、さらに20mM HEPES pH7.4(0.05% Tween20を含む)で1回洗浄した。このようにして、ELISA用プレートのウェルの表面にGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を結合させた。このELISA用プレートを以下の酵素反応に使用した。
3.酵素反応及びリン酸化された融合タンパク質の検出
各反応溶液 50μlをELISA用プレートの別々のウェルに入れ、25℃でおよそ30分間インキュベートした。インキュベーション後、各ウェルに反応停止液(1mM EDTAを含むTBS-T)100μlを添加し、さらにTBS-Tで3回洗浄した。次に、各ウェルをStartingBlock T20 (TBS) Blocking Buffer(PIERCE社)300μlで洗浄した後、StartingBlock T20 (TBS) Blocking BufferでHRP標識一次抗体(p-Tyr (PY20), sc-508 HRP(SANTA Cruz Biotechnology社))を1000倍希釈した一次抗体液を各ウェルに100μl入れ、25℃でおよそ1時間30分間軽く震蕩しながらインキュベートした。インキュベーション後、各ウェルをTBS-Tで5回洗浄し、TMB溶液(3,3',5,5'-Tetramethylbenzidine (TMB) Liquid Substrate System for ELISA (Sigma-Aldrich社))150μlを各ウェルに入れ、室温で遮光しながら5〜30分の間で適度に呈色させたのち、VersaMax(Molecular Device社)で吸光度(650nm)を測定した。
4.結果
図3は、ELISAの結果を示すグラフである。図中の縦軸は吸光度(650nm)を、横軸は1ウェルあたりのチロシンキナーゼ量(pmol)を示す。
HER1及びIGF1Rのいずれの場合も、そのチロシンキナーゼ量が高くなるにつれ、測定値も増大した。これにより、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質のリン酸化を、ELISAにおいて検出できることがわかった。
(実施例5)細胞膜から抽出した受容体型チロシンキナーゼを用いた場合のELISAによる融合タンパク質のリン酸化の検出
ここでは、乳癌由来の培養細胞の細胞膜から抽出した受容体型チロシンキナーゼを用いて、実施例1で作製したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質をリン酸化し、ELISAによりリン酸化されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を検出した。
1.反応用試料の調製方法
乳癌由来の培養細胞(MDA−MB468)を、225cm2のフラスコにおいて80%コンフルエント(約107個)となるよう培養した。この培養細胞と実施例3で使用した緩衝液2 1mlとを混合し、ペッスルを用いて加圧することにより細胞膜を破壊し、細胞溶液を調製した。得られた細胞溶液を遠心分離し、上清を廃棄した。沈殿物と、実施例3で使用した緩衝液3とを混合し、ペッスルを用いて加圧することにより細胞膜を可溶化し、遠心分離して上清を回収した。この上清を緩衝液4で希釈し、タンパク質濃度が0.02mg/ml、0.04mg/ml及び0.08mg/mlとなる反応用試料それぞれ調製した。このようにして調製した各反応用試料及びタンパク質を含有しない反応用試料として緩衝液3を以下の酵素反応に用いた。
2.ELISA用プレートへの融合タンパク質の結合
実施例4と同様の方法で、ELISA用プレートのウェルの表面にGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を結合させ、ELISA用プレートを以下の酵素反応に使用した。
3.酵素反応及びリン酸化された融合タンパク質の検出
実施例4と同様の方法で、各反応用試料中のチロシンキナーゼによってリン酸化されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を検出した。
4.結果
図4は、ELISAの結果を示すグラフである。図中の縦軸は吸光度(650nm)を、横軸は1ウェル(50μl)あたりのタンパク質量(μg)を示す。
図4では、タンパク質量が高くなるにつれ、すなわちチロシンキナーゼ量が高くなるにつれ、測定値も増大した。ことから、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質が、細胞膜に存在するチロシンキナーゼによりリン酸化されることがわかった。また、実施例2及び実施例4で示されたように、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質は種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されることから、ここで検出された測定値は、細胞膜に存在する種々のチロシンキナーゼによりリン酸化されたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を検出したものであると考えられる。
(実施例6)スロットブロットの膜に吸着した融合タンパク質の検出
ここでは、スロットブロットの手法に従って、実施例1で作製したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を膜へ吸着させ、膜に吸着したGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を検出した。
1.スロットブロット用試料の調製
実施例1で得られたGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を、10μg/ml、5μg/ml、2.5μg/ml、1.25μg/ml、0.625μg/ml、0μg/mlの濃度でTBS(25mM Tris pH7.4, 150mM NaCl)に溶かしたものを調製し、これらをスロットブロット用試料とした。さらに、比較のために、市販の合成ペプチド(STG200(CHEMICON社))を、10μg/ml、5μg/ml、2.5μg/ml、1.25μg/ml、0.625μg/ml、0μg/mlの濃度でTBS(25mM Tris pH7.4, 150mM NaCl)に溶かしたものを調製し、これらをスロットブロット用試料とした。ここで使用した市販の合成ペプチド(STG200)は、配列番号1のアミノ酸配列(Glu−Glu−Glu−Glu−Tyr)が複数回繰り返されたポリペプチドにビオチンを結合させた合成ペプチドである。
2.メンブレンへの吸着
底面にPVDFメンブレン(Immobilon-PSQ 0.2μm pore size(ミリポア社))を有するスロットブロッター(BIO−DOT SF(バイオラッド社))の別々のウェルに上記スロットブロット用試料を100μlずつ収容した。PVDFメンブレンの裏側からスロットブロット用試料を、真空ポンプを用いて吸引し、各スロットブロット用試料に含まれるタンパク質をPVDFメンブレンに吸着させた。この後、PVDFメンブレンをスロットブロッターから取り外し、CBB染色液(ページブルー83染色液(CBB-R250)(第一化学薬品株式会社))でPVDFメンブレン中のタンパク質を染色した。
3.結果
図5は、スロットブロットの膜の写真である。AはGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質を含有する試料をブロッティングした結果であり、Bは市販の合成ペプチド(STG200)を含有する試料をブロッティングした結果である。さらに、Aの各バンドは、ブロッティングした試料に含まれるGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質の濃度が異なっており、上から10μg/ml、5μg/ml、2.5μg/ml、1.25μg/ml、0.625μg/ml、0μg/mlである。同様に、Bの各バンドは、試料中の合成ペプチド(STG200)の濃度が異なっており、上から10μg/ml、5μg/ml、2.5μg/ml、1.25μg/ml、0.625μg/ml、0μg/mlである。
Aでは、スロットブロッターのウェルの形を反映した形のバンドが検出され、各バンドの濃度は、試料中のGST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質の濃度依存的に高くなっていた。これより、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質は、スロットブロットにおいて、濃度依存的に効率よくPVDF膜に吸着されたことがわかった。そして、GST-poly(Glu、Tyr)融合タンパク質は、スロットブロットに適用可能であることがわかった。一方、Bで検出されたバンドは、試料中の融合タンパク質の濃度が高くなるにつれバンドの形がくずれており、特に10μg/ml、5μg/ml、2.5μg/ml及び1.25μg/mlのバンドについては、バンドの外側の濃度に比べて、内側の濃度が薄くなっていた。スロットブロットにおいて、このような状態のバンドを用いて定量的な測定(例えばチロシンキナーゼの活性値の測定)を行った場合、正確な測定結果を得ることはできない。
実施例2のウエスタンブロッティングの結果を示す蛍光写真である。 実施例3のウエスタンブロッティングの結果を示す蛍光写真である。 実施例4のELISAの結果を示すグラフである。 実施例5のELISAの結果を示すグラフである。 実施例6のスロットブロットの膜をCBB染色した結果を示す写真である。

Claims (6)

  1. 細胞に含まれるチロシンキナーゼを、前記チロシンキナーゼの基質及びリン酸基ドナーと混合する工程と、
    リン酸化された前記基質を、スロットブロットにより検出する工程と、を含み、
    前記基質は、グルタミン酸残基及びチロシン残基からなり、グルタミン酸残基とチロシン残基との比率が4:1であるアミノ酸配列からなるペプチドと、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を含む、チロシンキナーゼの活性測定方法。
  2. 前記アミノ酸配列が、4つのグルタミン酸残基と1つのチロシン残基とからなる配列が2回以上繰り返されたアミノ酸配列である請求項に記載のチロシンキナーゼの活性測定方法。
  3. 前記チロシンキナーゼが、受容体型チロシンキナーゼである請求項1又は2に記載のチロシンキナーゼの活性測定方法。
  4. 前記受容体型チロシンキナーゼが、インシュリン様増殖因子受容体(insulin-like growth factor receptor;IGFR)、血小板由来増殖因子受容体(platelet-derived growth factor receptor;PDGFR)、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(human epithelial growth factor receptor;HER)及び血管内皮増殖因子受容体(vascular endothelial growth factor;VEGFR)から選択される少なくとも一つである請求項に記載のチロシンキナーゼの活性測定方法。
  5. 前記ペプチドと前記グルタチオン−S−トランスフェラーゼとが、1以上のアミノ酸残基を介して融合されている請求項1〜のいずれか1つに記載のチロシンキナーゼの活性測定方法。
  6. 細胞に含まれるチロシンキナーゼを、前記チロシンキナーゼの基質及びリン酸基ドナーと混合する工程と、リン酸化された前記基質を、スロットブロットにより検出する工程と、を含むチロシンキナーゼの活性測定方法に使用するためのチロシンキナーゼの基質であって、
    グルタミン酸残基及びチロシン残基からなり、グルタミン酸残基とチロシン残基との比率が4:1であるアミノ酸配列からなるペプチドと、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を含む、チロシンキナーゼの基質。
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