以下、本発明の半導体装置の実施例について説明する。図1は、本発明の実施例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。本実施例の半導体装置1は、メモリ混載型の半導体装置である。その半導体装置1は、一つのチップ上に形成されたメモリ混載型のLSIに例示され、ロジック部2とメモリ部3とを具備する。
ロジック部2は、高速動作が必要な領域であり、論理演算を行う論理回路を有している。ロジック部2は、更に、高速動作が可能なMRAM4−1〜4−4を含んでいる。MRAM4−1〜4−4は、電流誘起磁界書き込み型のMRAMに例示され、レジスタやL1キャッシュ(1次キャッシュ)やL2キャッシュ(2次キャッシュ)として用いられている。以下、特に区別する必要がない場合、単にMRAM4と省略して表記する。
電流誘起磁界書き込み型のMRAMは、既述のように原理的には1nsec.以下での書き込みが可能であり、高速動作が可能なMRAMとして好適である。また、一般的には、書き込み電流が大きいため本MRAMの面積は相対的に大きくなるが、レジスタやL1キャッシュやL2キャッシュのような相対的に容量が小さいメモリとして用いられるため、チップ全体の面積に対する影響は極めて小さい。
メモリ部3は、大容量・高集積(つまり低書き込み電流)が必要な領域であり、データを記憶する記憶回路を有している。その記憶回路として、大容量・高集積のMRAM5−1〜5−3を含んでいる。MRAM5−1〜5−3は、スピン偏極電流書き込み型のMRAMに例示され、主記憶装置や補助記憶装置として用いられている。以下、特に区別する必要がない場合、単にMRAM5と省略して表記する。
スピン偏極電流書き込み型のMRAMは、スピン注入磁化反転型のMRAMに例示される。
スピン注入磁化反転型のMRAMでは、磁気抵抗効果素子が、反転可能な磁化を有する第1の強磁性層(しばしば、磁化自由層と呼ばれる)と、磁化が固定された第2の強磁性層(しばしば、磁化固定層と呼ばれる)と、これらの強磁性層の間に設けられたトンネルバリア層を備える積層体で構成される。このようなMRAMのデータ書き込みでは、磁化自由層と磁化固定層の間で電流を流したときのスピン偏極した伝導電子の磁化自由層中の局在電子との間の相互作用を利用して磁化自由層の磁化が反転される。この場合、磁気抵抗効果素子は、磁化自由層に接続される端子と磁化固定層に接続される端子とを有する2端子の素子となる。そのため、このMRAMは、小面積化に有効である。
書き込み電流の低減に関し、例えば、スピン注入磁化反転型のMRAMでは0.2mAでの書き込みを実証した報告がある(T.Kawahara et al.,“2Mb Spin−Transfer Torque RAM (SPRAM) with Bit−by−Bit Bidirectional Current Write and Parallelizing−Direction Current Read”,Solid−State Circuits Conference,2007.ISSCC 2007.Digest of Technical Papers.IEEE International.p.480.)。ただし、書き込み電流は、原理的にナノ秒領域で急激に増加するとの報告がある(T.Aoki et al.,“Spin transfer switching in nano second switching speed region for MgO based ferromagnetic tunnel junctions”,The 31st Annual Conference on MAGNETICS in Japan(2007),The Magnetics Society of Japan .p.340.)。また、低電流化のためには、垂直磁気異方性を有するタイプが面内磁気異方性を有するタイプと比較して有利との報告がある(M.Nakayama et al.,“TbCoFe/CoFeB/MgO/CoFeB/TbCoFe magnetoresistive tunneling junctions with perpendicular magnetic anisotropy”,52nd Magnetism and Magnetic Materials Conference 2007(MMM 2007).p.80.)。
スピン注入磁化反転型のMRAMは、既述のようにスケーリング性に優れており、高集積化や大規模化が可能なMRAMとして好適である。また、動作速度は相対的に小さいが、主記憶装置や補助記憶装置のようなレジスタ等と比較して高速動作を要求されないメモリとして用いられるため、その影響は極めて小さい。
上記半導体装置1において、ロジック部2及びメモリ部3の記憶素子を全て不揮発性メモリのMRAMとした場合、電源オフの状態においても、それらMRAMにおいてデータを保持し続けることが出来、好ましい。その場合、電源オフを基本の状態(インスタントオン)とすることができる。それにより、消費電力を低下させることが出来る。
更に、上記半導体装置1において、ロジック部2及びメモリ部3の記憶素子を不揮発性メモリのMRAMとした場合、後述されるように記憶素子を同一プロセスで製造することが出来、好ましい。このように、異なる種類のMRAMを同一プロセスで製造することで、低コスト、且つ短時間で半導体装置1を製造することが可能となる。
なお、本発明の半導体装置は、図1に例示される構成に限定されるものではない。すなわち、ロジック部2及びメモリ部3の形状や配置等、各部でのMRAMの数や形状や配置等は、本発明の技術的思想の範囲内で自由に変形することが可能である。
次に、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の構成について説明する。図2は、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の構成を示す斜視図である。本発明の実施例に係る磁気抵抗効果素子8と磁気抵抗効果素子9とは同一のチップ上に形成されている。ただし、図中の各構成内の白抜き矢印は、磁化の向きを示している(以下同じ)。
磁気抵抗効果素子8は、高速動作向けのMRAM4(動作周波数は200MHz以上であることが望ましい)のメモリセルに用いられている。電流誘起磁界書き込み型の磁気抵抗効果素子である。この磁気抵抗効果素子8は、磁化自由層140、磁化固定層160、磁化自由層140と磁化固定層160との間に設けられた非磁性層150を備えている。図示されていないが、上述の層に加えて、電極層、拡散防止層、下地層などが適宜設けられることが望ましい。
磁化自由層140及び磁化固定層160は、強磁性体から構成されている。磁化自由層140及び磁化固定層160は、面内磁気異方性(in−plane magnetic anisotropy)を有する面内磁化膜(in−plane magnetization film)である。つまり、磁化自由層140及び磁化固定層160は、膜面内方向(xy面内方向)の磁気異方性を有している。本実施例では、非磁性層150は絶縁体により構成されており、磁化自由層140、非磁性層150、及び磁化固定層160で磁気トンネル接合(MTJ)が形成されている。非磁性層150は、絶縁体により構成されることが望ましいが、半導体や導体から構成されてもよい。磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160の具体的な材料については後述される。
磁化固定層160は固定された磁化を有する。この固定磁化は、磁化固定層160の長手方向(y方向)と垂直方向とするか、または垂直方向成分を有するようにする。一方、磁化自由層140は反転可能な磁化を有する。また磁化自由層140の磁化容易軸は磁化固定層160の長手方向(y方向)と垂直方向とするか、または垂直方向成分を有するようにする。このような磁気異方性は形状磁気異方性によって付与することができる。
磁化固定層160の固定磁化、及び磁化自由層140の磁化容易軸が上述の通りであるとき、磁化自由層140の磁化は磁化固定層160の磁化に対して、平行成分か反平行成分のうちのいずれかを持ちうる。本実施例の磁気抵抗効果素子8においては、磁化自由層140の磁化の方向が記憶されるデータに対応する。
次に、本実施例の磁気抵抗効果素子8のデータの書き込み方法について説明する。まず、磁化固定層160に書き込み電流を流す。その書き込み電流により発生する電流誘起磁界により、磁化自由層140の磁化を反転させる。そのとき、書き込み電流の向きで発生する電流誘起磁界の向きを制御して、磁化自由層140の磁化を所望の向きに変化させることが出来る。それにより、磁化自由層140に所望のデータを記録する。磁化固定層160はその役割からベース電極と参照されることもある。そして、磁化固定層160、すなわちベース電極に書き込み電流を流すこのような書き込み方式をベース書き込み型とも言うことができる。この方式では、磁気抵抗効果素子8に直接書き込み電流を流すので、電流誘起磁界の大きさが相対的に大きくなる。そのため、書き込み電流を小さくすることが出来る。また、磁化固定層160は書き込み電流を導入することから、電気抵抗が比較的小さいことが望ましい。そのために、磁化固定層160に導電層を隣接させて電気抵抗を下げてもよい。
次に、本実施例の磁気抵抗効果素子8からのデータの読み出し方法について説明する。まず、非磁性層150を介して磁化固定層160と磁化自由層140との間で読み出し電流を流す。そして、磁化固定層160の磁化と磁化自由層140の磁化との間の相対角に応じた抵抗の変化を検出することでデータを読み出す。たとえば、磁化固定層160の磁化と磁化自由層140の磁化とが平行の場合(例示:“0”を記憶)、低抵抗状態が実現され、磁化固定層160の磁化と磁化自由層140の磁化とが反平行の場合(例示:“1”を記憶)、高抵抗状態が実現される。磁気抵抗効果素子8の抵抗の変化が、電圧信号、又は電流信号として検知され、その電圧信号、又は電流信号を用いて磁気抵抗効果素子8に記憶されているデータが判別される。
磁気抵抗効果素子9は、高集積・大容量(低電流)向けのMRAM5(書き込み電流が0.5mA以下であることが望ましい)のメモリセルに用いられている。スピン偏極電流書き込み型のスピン注入磁化反転型の磁気抵抗効果素子である。この磁気抵抗効果素子9は、第1磁化固定層10、第1非磁性層20、第1磁化自由層30、第2磁化自由層40、第2非磁性層50、及び第2磁化固定層60を備えている。第1磁化固定層10は、第1非磁性層20の一方の面に隣接して設けられ、第1磁化自由層30は、第1非磁性層20の他方の面に隣接して設けられている。つまり、第1非磁性層20は、第1磁化固定層10と第1磁化自由層30とに挟まれている。また、第2磁化固定層60は、第2非磁性層50の一方の面に隣接して設けられ、第2磁化自由層40は、第2非磁性層50の他方の面に隣接して設けられている。つまり、第2非磁性層50は、第2磁化固定層60と第2磁化自由層40とに挟まれている。
また、磁気抵抗効果素子9は更に、第1導電層70及び第2導電層80を備えている。第1導電層70は、第1磁化自由層30及び第2磁化自由層40に電気的に接続するように設けられている。特に、図2に示されるように、第1導電層70は、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40の間に挟まれている。第2導電層80は、第1導電層70に電気的に接続するように設けられている。なお、第1導電層70や第2導電層80を省略することも可能である。第2導電層80を省略した実施形態については後に説明される。また、図示されていないが、上述の層に加えて、電極層、拡散防止層、下地層などが適宜設けられることが望ましい。
第1非磁性層20及び第2非磁性層50の各々は、非磁性体により形成される非磁性層である。第1非磁性層20及び第2非磁性層50の電気特性はいかようであってもよく、その材料は導電体でも絶縁体でも半導体でも構わない。但し、第2非磁性層50については絶縁体により形成されることが好適である。
第1磁化固定層10、第1磁化自由層30、第2磁化自由層40、及び第2磁化固定層60の各々は、強磁性体により形成される。このうち第1磁化固定層10及び第1磁化自由層30は、垂直磁気異方性(perpendicular magnetic anisotropy)を有する垂直磁化膜(perpendicular magnetization film)である。つまり、第1磁化固定層10及び第1磁化自由層30は、膜面垂直方向(z軸方向)の磁気異方性を有する。一方、第2磁化自由層40及び第2磁化固定層60は、面内磁気異方性を有する面内磁化膜である。つまり、第2磁化自由層40及び第2磁化固定層60は、膜面平行方向(xy面内方向)の磁気異方性を有する。第2磁化自由層40の磁化容易軸の方向は任意である。後述されるように、本実施例では、第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30は、書き込み用の磁気トンネル接合(MTJ)を形成している。また、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60は、読み出し用の磁気トンネル接合(MTJ)を形成している。
本発明の実施例に係る磁気抵抗効果素子8と磁気抵抗効果素子9とは同一のチップ上に形成されている。そして、磁気抵抗効果素子8の磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160は、それぞれ磁気抵抗効果素子9の第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60と同一レイヤーに同一材料で同時に形成される。すなわち、MRAM4とMRAM5とは、同一のプロセスでの形成が可能であり、プロセス数は増大しない。それにより、低コスト、且つ短時間で半導体装置1を製造することが可能となる。
次に、本実施例の磁気抵抗効果素子9について、より詳細に説明する。
図3A〜図3Cは、本発明の実施例に係る磁気抵抗効果素子9の構成を模式的に示す概略図である。詳細には、図3Aは斜視図であり、図3B及び図3Cは、それぞれ、図3Aに示されるxyz座標系におけるxy平面図及びxz断面図である。なお、磁気抵抗効果素子9は複数の層からなる積層構造を有しており、その積層方向がz軸方向として規定される。積層構造の各層に平行な平面がxy平面である。
図3Cには、各層の磁化方向が示されている。第1磁化固定層10の磁化方向は、実質的に一方向に固定されている。一方、第1磁化自由層30の磁化方向は、反転可能である。第1磁化固定層10及び第1磁化自由層30は垂直磁気異方性を有しているため、それらの磁化方向はz軸と略平行となる。図3Cで示された例では、第1磁化固定層10の磁化は、+z方向に固定されている。一方、第1磁化自由層30の磁化は、+z方向あるいは−z方向となることが許される。つまり、第1磁化自由層30の磁化方向は、第1磁化固定層10の磁化方向に対して平行または反平行となり得る。
また、第2磁化固定層60の磁化方向は、実質的に一方向に固定されている。一方、第2磁化自由層40の磁化方向は、反転可能である。第2磁化固定層60及び第2磁化自由層40は面内磁気異方性を有しているため、それらの磁化方向は膜面(xy平面)に略平行となる。図3Cで示された例では、第2磁化固定層60の磁化は、+x方向に固定されている。一方、第2磁化自由層40の磁化は、+x方向あるいは−x方向の成分を持つことが許されている。つまり、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向に対して平行または反平行の成分を持ち得る。
このように、本実施例に係る磁気抵抗効果素子9は、第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30からなる「第1磁気抵抗効果素子」と、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60からなる「第2磁気抵抗効果素子」とを含んでいる。第1磁気抵抗効果素子は垂直磁化膜を含んでおり、第2磁気抵抗効果素子は面内磁化膜を含んでいることに留意されたい。後述されるように、第1磁気抵抗効果素子はデータ書き込みで用いられ、第2磁気抵抗効果素子はデータ読み出しで用いられる。
また、第1磁気抵抗効果素子の第1磁化自由層30と第2磁気抵抗効果素子の第2磁化自由層40とは、異なる層に形成されているが、互いに磁気的に結合している。言い換えれば、第1磁化自由層30の磁化状態と第2磁化自由層40の磁化状態とは、互いに影響を及ぼし合う。特に、後述されるように、第1磁化自由層30の磁化状態が第2磁化自由層40の磁化状態に影響を及ぼすことが重要である。
また、図3Bには、xy平面における、第1磁化自由層30の重心G30及び第2磁化自由層40の重心G40の位置が示されている。ここでいう重心とは、xy平面における幾何学的な意味での重心である。すなわち、幾何学形状の任意の点iの位置ベクトルがRi=(Xi,Yi)であるとき、重心の位置ベクトルRg=(Xg,Yg)は、Σi(Ri−Rg)=0の関係を満たす。ここでΣiは、iに関する総和を意味する。例えば、長方形や平行四辺形の場合、重心は対角線の交点であり、楕円形の場合、重心はその中心である。
本実施例によれば、第1磁化自由層30の重心G30と第2磁化自由層40の重心G40は、xy平面においてずれている。つまり、xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30の重心G30から、膜面に平行な“第1の方向”にずれている。図3Bで示された例では、第1の方向(ずれ方向)は−x方向である。第1磁化自由層30と第2磁化自由層40は、少なくとも一部オーバーラップしていてもよいし、オーバーラップしていなくてもよい。
尚、各層のxy平面における形状は長方形に限られず、円形、楕円形、ひし形、六角形などであってもよい。また、適切な特性が得られるように、各層の表面に適宜凹凸を設けることも可能である。また、各層の面積についても任意性がある。
次に、磁気抵抗効果素子9の各層の材料について例示する。以下に示される材料は全て例であり、実際には上述のような磁化状態が実現できればいかなる材料を用いても構わない。
垂直磁化膜である第1磁化固定層10及び第1磁化自由層30は、Fe、Co、Niのうちから選択される少なくとも一つの材料を含む強磁性体で形成される。また、PtやPdを添加することにより、垂直磁気異方性を安定化することができる。これに加えて、B、C、N、O、Al、Si、P、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Au、Smなどを添加することにより、磁気特性を調整することができる。具体的な材料としては、Co、Co−Pt、Co−Pd、Co−Cr、Co−Pt−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr−B、Co−Cr−Pt−B、Co−Cr−Ta−B、Co−V、Co−Mo、Co−W、Co−Ti、Co−Ru、Co−Rh、Fe−Pt、Fe−Pd、Fe−Co−Pt、Fe−Co−Pd、Sm−Co、Gd−Fe−Co、Tb−Fe−Co、Gd−Tb−Fe−Coなどが例示される。そのほか、Fe、Co、Niのうちから選択されるいずれか一つの材料を含む層を、異なる層と積層させることにより垂直磁気異方性を発現させることもできる。具体的には、Co/Pd、Co/Pt、Co/Ni、Fe/Auなどの積層膜が例示される。
面内磁化膜である第2磁化自由層40及び第2磁化固定層60は、Fe、Co、Niのうちから選択される少なくとも一つの材料を含む強磁性体で形成される。これに加えて、B、C、N、O、Al、Si、P、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Auなどを添加することにより、磁気特性を調整することができる。具体的な材料としては、Ni−Fe、Co−Fe、Fe−Co−Ni、Ni−Fe−Zr、Co−Fe−B、Co−Fe−Zr−Bなどが例示される。
第1非磁性層20には、様々な材料を用いることができる。例えばAl、Cr、Cuなどの導電体を用いることができる。また、Mg−Oのような絶縁体を用いてもよい。書き込み用に用いられる第1磁気抵抗効果素子に含まれる第1非磁性層20は、後述されるように書き込み電流の経路上に存在する。一般的に、書き込み電流経路の抵抗は低いことが望ましい。この点では、抵抗の低い材料が好ましい。一方、第1非磁性層20が一方のスピン偏極電子を優先的に通過させるようなフィルタリング効果を有していれば、書き込みに要する電流密度は低減される。この点では、Mg−Oが好適である。第1非磁性層20の材料は、当該磁気抵抗効果素子9のアプリケーションに応じて適切に選択され得る。
第2非磁性層50は、絶縁性の材料により形成されることが好ましい。具体的な材料としては、Mg−O、Al−O、Al−N、Ni−O、Hf−Oなどが例示される。ただし、半導体や金属を材料として用いることも可能である。
尚、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60は、読み出し用に用いられる第2磁気抵抗効果素子に含まれるので、後述されるように読み出し電流の経路上に存在する。そのため、高いMR比を発現するような材料により形成されることが好ましい。例えば近年、Co−Fe−B/Mg−O/Co−Fe−B系の磁気トンネル接合(MTJ)において500%級の非常に大きなMR比が得られることが報告されている(Hayakawa et al.,“Effect of high annealing temperature on giant tunnel Magnetoresitance ratio of CoFeB/MgO/CoFeB magnetic tunnel junctions”,Applied Physics Letters,Vol.89,p.232510,(2006).)。この観点から言えば、第2非磁性層50は、Mg−Oを含有することが好ましい。また、第2磁化自由層40と第2磁化固定層60の少なくとも1つが、Co−Fe−Bを含有することが好ましい。
また、磁化が反平行結合した積層膜(積層フェリ結合膜)を、第1磁化固定層10や第2磁化固定層60といった磁化固定層に適用することもできる。この場合、磁化固定層の磁化をより強固に固定し、外部への漏れ磁界の影響を低減することができる。反平行結合の様式としては、静磁結合や、RKKY相互作用に基づく交換結合が考えられる。例えば、第2磁化固定層60を、Co−Fe−B/Ru/Co−Fe−Bの積層膜で形成することができる。これにより、上下のCo−Fe−B膜は、Ru膜のRKKY相互作用によって反平行結合する。その結果、固定磁化をより強固にし、さらに外部への漏れ磁界を低減することができる。
また、第1磁化固定層10や第2磁化固定層60といった磁化固定層に反強磁性層を隣接させることにより、磁化を更に強固に固定することができる。反強磁性層の材料としては、Pt−Mn、Ir−Mn、Fe−Mnなどが例示される。例えば、Co−Fe−B/Ru/Co−Fe−Bの第2磁化固定層60に、Pt−Mnの反強磁性層を隣接させることが考えられる。
第1導電層70及び第2導電層80は、電気抵抗の小さな材料により形成されることが好ましい。また、第1導電層70の材料を適切に選択することにより、直下の第2磁化自由層40を加工プロセスから保護することができる。この点では、化学安定性の高い材料が望ましい。また、第1磁化自由層30の下地層としての第1導電層70の材料を適切に選択することにより、第1磁化自由層30の成長をコントロールすることができる。
また、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40の間に挟まれる第1導電層70は、Fe,Co,Ni等の磁性体により形成されてもよい。この場合、第1磁化自由層30からの漏れ磁束を第2磁化自由層40に効率的に伝達することができ、上述の磁気的結合の観点から好適である。この観点からは、第1導電層70は、透磁率の高い材料で形成されることが好ましい。
なお、磁気抵抗効果素子8の磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160は、それぞれ第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60と同じ材料を用いることができる。磁気抵抗効果素子8と磁気抵抗効果素子9とを同一のプロセスで製造する場合、磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160は、それぞれ第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60と同一の材料となる。
次に、本実施例に係る磁気抵抗効果素子9の原理を詳細に説明する。図4A及び図4Bは、第1磁化自由層30の磁化によって周辺に発生する漏れ磁界(漏れ磁束)を模式的に示している。図4Aはxz面内における状態を示し、図4Bはxy面内における状態を示している。
第1磁化自由層30の磁化方向が+z軸方向に一様に揃っている場合を考える。この場合、漏れ磁界の磁力線は、図4Aに示されるようにおおよそダイポール形状を有し、第1磁化自由層30の上面(正磁極側)から出て、滑らかに下面(負磁極側)につながる。また、図4Bに示されるように、漏れ磁界は、第1磁化自由層30の重心G30から放射状に広がる。つまり、第1磁化自由層30の重心G30近傍では、漏れ磁界はほぼz方向であり、第1磁化自由層30の端部に近づくにつれて、漏れ磁界はより大きなxy成分(膜面平行方向成分)を有するようになる。
上述の通り、xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30の重心G30から“第1の方向”にずれている。従って、第1磁化自由層30の磁化によって発生する漏れ磁界は、第2磁化自由層40の重心G40の位置において、“第1の方向”に沿ったxy成分を有することになる。すなわち、第1磁化自由層30の磁化は、第2磁化自由層40に対して“第1の方向”と略平行あるいは略反平行な磁気力を及ぼす。その結果、第2磁化自由層40の磁化は、“第1の方向”と略平行あるいは略反平行の成分を有することになる。
図5A及び図5Bは、それぞれ磁気抵抗効果素子1が取り得る2つのメモリ状態を例示している。図5A及び図5Bで示される例では、第1磁化固定層10の磁化方向は+z方向に固定されており、第2磁化固定層60の磁化方向は+x方向に固定されている。但し、これらのうち一方、または両方の磁化方向が逆であってもよい。また、本例において、第2磁化自由層40の重心G40の第1磁化自由層30の重心G30に対するずれ方向(第1の方向)は、−x方向である。この第1の方向も任意である。但し、第1の方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と略平行あるいは略反平行であることが望ましい。
図5Aでは、第1磁化自由層30の磁化は+z方向を向いている。この場合、第1磁化自由層30からの漏れ磁界は、第2磁化自由層40の重心G40の位置において、第1の方向に沿った+x成分を有する。従って、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40との磁気的結合により、第2磁化自由層40の磁化は+x方向の成分を持つことになる。このとき、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と“平行”成分を持ち、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60からなる第2磁気抵抗効果素子の抵抗値は比較的小さくなる。図5Aで示されるメモリ状態は、以下“0”状態(例示:データ“0”を記憶した状態)と参照される。
一方、図5Bでは、第1磁化自由層30の磁化は−z方向を向いている。この場合、第1磁化自由層30からの漏れ磁界は、第2磁化自由層40の重心G40の位置において、第1の方向に沿った−x成分を有する。従って、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40との磁気的結合により、第2磁化自由層40の磁化は−x方向の成分を持つことになる。このとき、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と“反平行”の成分を持ち、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60からなる第2磁気抵抗効果素子の抵抗値は比較的大きくなる。図5Bで示されるメモリ状態は、以下“1”状態(例示:データ“1”を記憶した状態)と参照される。
以上に例示されたように、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40との間の重心のずれ及び磁気的結合により、第2磁化自由層40の磁化方向は、第1磁化自由層30の磁化方向に応じて“一意的”に決まる。第1磁化自由層30の磁化方向が反転すると、第2磁化自由層40の磁化方向も変わる。その結果、第2磁化自由層40と第2磁化固定層60との間の磁化方向の相対角に違いが生じ、“0”状態及び“1”状態の2つのメモリ状態が実現される。つまり、第1磁化自由層30の磁化方向に応じて、2つのメモリ状態が実現される。
尚、第2磁化固定層60の固定磁化の方向は、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40との間の重心のずれ方向(第1の方向)と略平行あるいは略反平行であることが好適である。それは、第2磁化自由層40の変動磁化が、第1磁化自由層30の磁化方向に応じて、第1の方向と略平行あるいは略反平行の成分を有するからである。第2磁化固定層60の固定磁化の方向が第1の方向と略平行あるいは略反平行である場合、その固定磁化の方向と第2磁化自由層40の変動磁化の方向との間の相対角の変化が顕著となる。その結果、2つのメモリ状態間の差異が顕著となる。
本実施例では、第1磁化自由層30において垂直方向の磁化成分として記憶された情報が、磁気的結合を介して、第2磁化自由層40の膜面方向の磁化成分に伝達されていると言える。そのような情報の伝達が実現される限り、磁気的結合の方式は、上述の漏れ磁界を利用したものに限られない。例えば交換結合を利用した方式など、あらゆる磁気結合方式によって、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40とが磁気的に関連付けられ得る。
また、図5A及び図5Bの例では、第2磁化自由層40の磁化が第1磁化自由層30からの漏れ磁界によって完全に飽和する場合が説明されている。実際には、第2磁化自由層40の磁化は飽和しきらなくてもよい。第1磁化自由層30の磁化方向の違いに応じて、第2磁化自由層40の磁化方向に違いが生ずればよい。
また、第2磁化自由層40の磁化方向を第1磁化自由層30の磁化方向に応じて変えることができれば、第2磁化自由層40の磁化容易軸はどの方向に沿っていても構わない。上述の例のようにx軸方向に沿った磁化容易軸の場合、第2磁化自由層40の磁化は、磁化容易軸に沿った方向間で反転する。一方、y軸方向に沿った磁化容易軸の場合、第2磁化自由層40の磁化は、磁化容易軸を中心とする磁化困難軸方向へ回転する。
また、第2磁化自由層40の磁気異方性は極度に大きくないことが望ましい。これは、第2磁化自由層40の磁気異方性が極度に大きくなると、第1磁化自由層30からの漏れ磁界による磁化反転が困難になるためである。また、第2磁化自由層40の磁気異方性は、結晶磁気異方性によって付与されてもよく、形状磁気異方性によって付与されてもよい。また、第2磁化自由層40は、複数の強磁性体からなる積層膜であってもよい。それら強磁性体の間には磁化状態を乱さない範囲で非磁性体からなる層が挿入されても構わない。
次に、本実施形態の磁気抵抗効果素子9の動作方法、具体的には、書き込み方法及び読み出し方法について説明する。
まず、本実施形態の磁気抵抗効果素子9の読み出し方法について説明する。図5A及び図5Bは、磁気抵抗効果素子9へのデータ読み出し方法を説明するための概念図でもある。データ読み出しでは、磁気抵抗効果による抵抗値の大小が検出される。そのために、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60からなる「第2磁気抵抗効果素子」が利用され、第2磁化自由層40と第2磁化固定層60との間に読み出し電流Ireadが流される。
図5Aには、“0”状態の場合が示されている。この場合、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と略平行であり、第2磁気抵抗効果素子の抵抗値は比較的小さい。一方、図5Bには、“1”状態の場合が示されている。この場合、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と略反平行であり、第2磁気抵抗効果素子の抵抗値は比較的大きい。つまり、読み出し電流Iread、又は読み出し電流Ireadに応じた読み出し電圧の大きさは、“0”状態あるいは“1”状態によって変化する。従って、その読み出し電流Ireadあるいは読み出し電圧を所定のリファレンスレベルと比較することにより、“0”状態か“1”状態かを判定することができる。すなわち、磁気抵抗効果素子1に記録された情報を読み出すことができる。
尚、図5A及び図5Bで示された例では、読み出し電流Ireadが第1導電層70及び第2導電層80を経由して流れている。しかしながら、第2磁気抵抗効果素子への読み出し電流Ireadの流し方は、図5Aや図5Bで示された例に限られない。第2磁化自由層40と第2磁化固定層60との間で双方向に読み出し電流Ireadが流れればよく、その他の部分の電流経路は適宜設計され得る。
次に、本実施形態の磁気抵抗効果素子9の書き込み方法について説明する。図6A及び図6Bは、磁気抵抗効果素子9へのデータ書き込み方法を説明するための概念図である。データ書き込みは、「スピン注入磁化反転方式」により実現される。具体的には、第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30からなる「第1磁気抵抗効果素子」が利用され、第1磁化固定層10と第1磁化自由層30との間に書き込み電流Iwriteが流される。
図6Aには、“0”状態(図5A参照)から“1”状態(図5B参照)への遷移、すなわち、“1”書き込み時の書き込み電流Iwriteの経路が示されている。図6Aに示されるように、“0”状態において矢印の方向に書き込み電流Iwriteが導入された場合を考える。この場合、書き込み電流Iwriteは、第1磁化固定層10から第1非磁性層20を通して第1磁化自由層30へ流れ、伝導電子は、第1磁化自由層30から第1非磁性層20を通して第1磁化固定層10へと流れる。図6Aでは、第1磁化固定層10の磁化方向は+z方向に固定されており、−z方向のスピン角運動量を有する伝導電子は、+z方向のスピン角運動量を有する伝導電子に比べると、第1磁化固定層10の界面でより多く反射される。結果として、第1磁化自由層30内では、−z方向のスピン角運動量を有する電子がマジョリティとなり、−z方向への磁化反転が誘起される。第1磁化自由層30の磁化が−z方向に反転すると、上述の磁気的結合により、第2磁化自由層40の磁化は−x方向に回転する。すなわち、図5Bで示された“1”状態が得られる。
一方、図6Bには、“1”状態(図5B参照)から“0”状態(図5A参照)への遷移、すなわち、“0”書き込み時の書き込み電流Iwriteの経路が示されている。図6Bに示されるように、“1”状態において矢印の方向に書き込み電流Iwriteが導入された場合を考える。この場合、書き込み電流Iwriteは、第1磁化自由層30から第1非磁性層20を通して第1磁化固定層10へ流れ、伝導電子は、第1磁化固定層10から第1非磁性層20を通して第1磁化自由層30へと流れる。図6Bでは、第1磁化固定層10の磁化方向は+z方向に固定されており、+z方向のスピン角運動量を有する多くの伝導電子が第1磁化自由層30へ流れ込む。結果として、第1磁化自由層30内では、+z方向のスピン角運動量を有する電子がマジョリティとなり、+z方向への磁化反転が誘起される。第1磁化自由層30の磁化が+z方向に反転すると、上述の磁気的結合により、第2磁化自由層40の磁化は+x方向に回転する。すなわち、図5Aで示された“0”状態が得られる。
このようにして、“0”状態からの“1”書き込み、及び、“1”状態からの“0”書き込みが実現される。また、図示されていないが、“0”状態からの“0”書き込み、及び、“1”状態からの“1”書き込み、すなわちオーバーライトも可能である。
尚、図6Aで示された例では、書き込み電流Iwriteは第1磁気抵抗効果素子から第1導電層70を経由して第2導電層80に流れ出し、図6Bで示された例では、書き込み電流Iwriteは第2導電層80から第1導電層70を経由して第1磁気抵抗効果素子に流れ込んでいる。しかしながら、第1磁気抵抗効果素子への書き込み電流Iwriteの流し方は、図6Aや図6Bで示された例に限られない。第1磁化固定層10と第1磁化自由層30との間で双方向に書き込み電流Iwriteが流れればよく、その他の部分の電流経路は適宜設計され得る。
また、第1磁化固定層10と第1磁化自由層30との接合に関しては面積が適度に小さいことが望ましい。これは、面積が小さくなるにつれ、電流密度が増加し、書き込みに要する電流値が低減され得るためである。好適には特徴長が100nm以下であることが望ましい。
以上に説明されたように、本実施例に係る磁気抵抗効果素子9では、第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30がデータ書き込み時に用いられる。この意味で、第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30は、「書き込み層群」と参照される。一方、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60は、データ読み出し時に用いられる。この意味で、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60は、「読み出し層群」と参照される。
本実施例によれば、書き込み層群と読み出し層群は、別々に設けられるが、磁気結合を通して互いに関連し合っている。書き込み層群の第1磁化自由層30に書き込まれた情報は、磁気的結合を介して、読み出し層群の第2磁化自由層40に伝達される。逆に言えば、磁気的結合を介した情報伝達があるため、書き込み用の書き込み層群と読み出し用の読み出し層群を別々に設けることが可能となる。従って、所望の特性が得られるように書き込み層群と読み出し層群をそれぞれ独立に最適化することができ、結果として、書き込み特性の向上と読み出し特性の向上を同時に実現することが可能となる。例えば、書き込み閾値電流密度の低減のために適切な材料特性を有する垂直磁化膜を書き込み層群に適用し、且つ、高いMR比を発現するMTJを読み出し層群に適用することができる。
次に、本実施例のMRAM5におけるメモリセル201の回路構成について、図7A及び図7Bを用いて説明する。図7A及び図7Bにおいて、メモリセル201の記憶素子として、磁気抵抗効果素子9が用いられている。この回路構成は、本実施例のMRAM4のメモリセル201(記憶素子として磁気抵抗効果素子8を使用)についても同様に適用される。
図7Aは、本実施例の磁気抵抗効果素子が集積化されたメモリセルの構成例を示す回路図である。図7Aには、単一のメモリセル201の回路構成が図示されているが、実際には複数のメモリセル201がアレイ状に配置されてMRAM5(又は4)に集積化されていることは、当業者には理解されよう。
磁気抵抗効果素子9の場合、図7Aにおいて、第2磁化固定層60につながる端子は、読み出しのためのグラウンド線GNDにノードN3を介して接続されている。第1磁化固定層10につながる端子は、MOSトランジスタM1のソース/ドレインの一方にノードN1を介して接続されている。そのソース/ドレインの他方は、ビット線BL1に接続されている。第2導電層80につながる端子は、MOSトランジスタM2のソース/ドレインの一方にノードN2を介して接続されている。そのソース/ドレインの他方は、ビット線BL2に接続されている。MOSトランジスタM1、M2のゲートは、共通のワード線WLに接続されている。すなわち、図中の210は第1磁気抵抗効果素子の第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30と、第1導電層70及び第2導電層80に対応する。
なお、磁気抵抗効果素子8の場合、図7Aにおいて、磁化固定層160の両端に接続される2つの端子は、一方がMOSトランジスタM1の一方のソース/ドレインにノードN1を介して接続され、他方がMOSトランジスタM2の一方のソース/ドレインにノードN2を介して接続される。磁化自由層140に接続される端子は、読み出しのためのグラウンド線GNDにノードN3を介して接続される。すなわち、図中の210は磁化固定層160に対応する。
図7Bは、本実施例のメモリセルが集積化されたMRAMの構成例を示すブロック図である。図7Bにおいて、MRAM260は、複数のメモリセル201がマトリックス状に配置されたメモリセルアレイ261を有している。このメモリセルアレイ261は、図7Aで説明されたデータの記録に用いられるメモリセル201と共に、データ読み出しの際に参照されるリファレンスセル201rを含んでいる。リファレンスセル201rの構造は、メモリセル201と同じである。
ワード線WLは、Xセレクタ262に接続されている。Xセレクタ262は、データの書き込み動作時、及び読出し動作時において、対象メモリセル201sにつながるワード線WLを選択ワード線WLsとして選択する。ビット線BL1はY側電流終端回路264に接続されており、ビット線BL2はYセレクタ263に接続されている。Yセレクタ263は、データの書き込み動作時、及び読出し動作時において、対象メモリセル201sにつながるビット線BL2を選択ビット線BL2sとして選択する。Y側電流終端回路264は、対象メモリセル201sにつながるビット線BL1を選択ビット線BL1sとして選択する。
Y側電流源回路265は、データ書き込み動作時、選択ビット線BL2sに対し、所定の書き込み電流(Iwrite)の供給又は引き込みを行う。Y側電源回路266は、データ書き込み動作時、Y側電流終端回路264に所定の電圧を供給する。その結果、書き込み電流(Iwrite)は、Yセレクタ263へ流れ込む、あるいは、Yセレクタ263から流れ出す。これらXセレクタ262、Yセレクタ263、Y側電流終端回路264、Y側電流源回路265、及びY側電源回路266は、メモリセル201に書き込み電流(Iwrite)を供給するための「書き込み電流供給回路」を構成している。
読み出し電流付加回路267は、データ読み出し動作時、選択第2ビット線BL2sに所定の読み出し電流(Iread)を流す。Y側電流終端回路264は、ビット線BL1を“Open”に設定する。また、読み出し電流負荷回路267は、リファレンスセル201rにつながるリファレンスビット線BL2rに所定の読み出し電流(Iread)を流す。センスアンプ268は、リファレンスビット線BL2rの電位と選択ビット線BL2sの電位の差に基づいて、対象メモリセル201sからデータを読み出し、そのデータを出力する。これらXセレクタ262、Yセレクタ263、Y側電流終端回路264、読み出し電流付加回路267、及びセンスアンプ268は、メモリセル201に読み出し電流(Iread)を供給するための「読み出し電流供給回路」を構成している。
次に、図7A及び図7Bに示されるMRAMにおける書き込み方法、読み出し方法について説明する。まず、書き込みを行う場合、ワード線WLが“high”レベルにプルアップされ、MOSトランジスタM1、M2が“ON”にされる。また、ビット線BL1、BL2のいずれか一方が“high”レベルにプルアップされ、他方が“low”レベルにプルダウンされる。ビット線BL1、BL2のどちらを“high”レベルにプルアップし、どちらを“low”レベルにプルダウンするかは、当該磁気抵抗効果素子9(又は磁気抵抗効果素子8)に書き込まれるべきデータにより決定される。即ち、第1磁化自由層10(又は磁化固定層160)を流れる電流の方向に応じて決定される。以上により、データ“0”と“1”を書き分けることができる。
一方、読み出しを行う場合、ワード線WLが“high”レベルにプルアップされ、MOSトランジスタM1、M2が“ON”にされる。また、ビット線BL1、BL2のいずれか一方が“high”レベルにプルアップされ、他方が“open”(フローティング)に設定される。このときビット線BL1、BL2の一方から、磁気抵抗効果素子9(又は磁気抵抗効果素子8)を貫通する読み出し電流が第2導電層80、第1導電層70、第2磁化自由層40、第2非磁性層50、第2磁化固定層60(又は磁化固定層160、非磁性層150、磁化自由層140)を経由してグラウンド線GNDへと流れる。読み出し電流が流されるビット線の電位、又は、読み出し電流の大きさは、磁気抵抗効果による磁気抵抗効果素子9(又は磁気抵抗効果素子8)の抵抗の変化に依存する。この抵抗の変化を電圧信号、又は電流信号として検知することにより高速での読み出しが可能となる。
ただし、図7A及び図7Bに示された回路構成、及び、ここで述べられた回路動作は、本発明を実施する方法の一例に過ぎず、他の回路構成による実施も可能である。
電流誘起磁界書き込み型の磁気抵抗効果素子8に対して、図7Aの回路構成を適用した場合、200MHz以上での動作が可能となることが報告されている(N.Sakimura et al.,IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS,Vol.42,2007,p.830.)。ただし、より高速な動作を行うために、図8に示されるような他の回路構成を用いることも可能である。
図8は、本実施例の磁気抵抗効果素子が集積化されたメモリセルの他の構成例を示す回路図である。図8には、単一のメモリセル202の回路構成が図示されているが、実際には複数のメモリセル202がアレイ状に配置されてMRAMに集積化されていることは、当業者には理解されよう。電流誘起磁界書き込み型の磁気抵抗効果素子8に対して、図8の回路構成を適用した場合、500MHz以上での動作が可能となることが報告されている(N.Sakimura et al.,IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS,Vol.42,2007,p.830.)。
なお、図8は、一つのメモリセル202に2つのMTJ1とMTJ2が用いられている。MTJ1とMTJ2には相補なデータ(“0”と“1”又は“1”と“0”)が記憶される。加えて、メモリセル202内で、MOSトランジスタM13、M14により読み出し信号がセンスされる。
MTJ1及びMTJ2として磁気抵抗効果素子8(MTJ1)、8(MTJ2)を用いる場合、磁気抵抗効果素子8(MTJ2)では、磁化固定層160の両端に接続される2つの端子は、一方がMOSトランジスタM11の一方のソース/ドレインにノードN11を介して接続され、他方が磁気抵抗効果素子8(MTJ1)の磁化固定層160の一端にノードN12を介して接続される。磁化自由層140に接続される端子は、読み出し電流を供給する配線SPLにノードN14を介して接続される。磁気抵抗効果素子8(MTJ1)では、磁化固定層160の両端に接続される2つの端子は、一方が磁気抵抗効果素子8(MTJ2)の磁化固定層160の他端にノードN12を介して接続され、他方がMOSトランジスタM12の一方のソース/ドレインにノードN13を介して接続される。磁化自由層140に接続される端子は、読み出しのためのグラウンド線GNDにノードN15を介して接続される。すなわち、図中の211、212は、それぞれ第磁気抵抗効果素子8(MTJ1)、8(MTJ2)の磁化固定層160に対応する。
MTJ1及びMTJ2として磁気抵抗効果素子9(MTJ1)、9(MTJ2)を用いる場合、磁気抵抗効果素子9(MTJ2)では、第2磁化固定層60に接続される端子は、読み出し電流を供給する配線SPLにノードN14を介して接続される。第1磁化自由層10に接続される端子は、MOSトランジスタM11の一方のソース/ドレインにノードN11を介して接続される。第2導電層80に接続される端子は、磁気抵抗効果素子9(MTJ1)の第1磁化自由層30にノードN12を介して接続される。磁気抵抗効果素子9(MTJ1)では、第1磁化固定層10に接続される端子は、読み出しのためのグラウンド線GNDにノードN15を介して接続される。第1磁化自由層30に接続される端子は、磁気抵抗効果素子9(MTJ2)の第2導電層80にノードN12を介して接続される。第2導電層80は、MOSトランジスタM12の一方のソース/ドレインにノードN13を介して接続される。すなわち、図中の211、212は、それぞれ磁気抵抗効果素子9(MTJ1)、9(MTJ2)の第1磁化自由層10、第1非磁性層20、第1磁化固定層30、第1導電層70、第2導電層80に対応する。
次に、図8に示されるMRAMにおける書き込み方法、読み出し方法について説明する。まず、書き込みを行う場合、ワード線WWLが“high”レベルにプルアップされ、MOSトランジスタM11、M12が“ON”にされる。また、ビット線WBLa、WBLbのいずれか一方が“high”レベルにプルアップされ、他方が“low”レベルにプルダウンされる。ビット線WBLa、WBLbのどちらを“high”レベルにプルアップし、どちらを“low”レベルにプルダウンするかは、MTJ1及びMTJ2に書き込まれるべきデータにより決定される。即ち、二つの第1磁化自由層30(又は二つの磁化固定層160)を流れる電流の方向に応じて決定される。これにより、MTJ2とMTJ1には相補なデータ(“0”と“1”又は“1”と“0”)が記憶される。
一方、読み出しを行う場合、ワード線RWLが“high”レベルにプルアップされ、MOSトランジスタM15が“ON”にされる。また、読出し電圧供給線SPLが“high”レベルにプルアップされる。このとき読出し電圧供給線SPLから、ノードN14、MTJ2、ノードN12、MTJ1、ノードN15の経路を通る読み出し電流がMTJ1及びMTJ2の第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60(又はMTJ1及びMTJ2の磁化固定層160、非磁性層150及び磁化自由層140)を経由してグラウンド線GNDへと流れる。このとき、MTJ2とMTJ1との間のノードN12の電位は、MTJ2とMTJ1に記憶された相補的なデータに依存する。したがって、ノードN12の電位をMOSトランジスタM13、M14でセンスして、ビット線RBLへ出力することにより高速での読み出しが可能となる。
ただし、図8に示された回路構成、及び、ここで述べられた回路動作は、本発明を実施する方法の一例に過ぎず、他の回路構成による実施も可能である。
本実施例によれば、スピン注入磁化反転方式のMRAMにおいて、書き込み特性及び記録データ保持特性と読み出し特性とを独立に向上させることができる。これは、本実施例に係る磁気抵抗効果素子1において、書き込み及び記録データの保持を担う部分と、読み出しを担う部分が異なることに起因する。特開2007−142364号公報(対応米国出願US2007086121(A1))で述べられているように、諸定数が適切に設定された垂直磁化膜を用いることにより、5MA/cm2以下の書き込み閾値電流密度でスピン注入磁化反転を行うことができる。一方、前述のHayakawa et al.,Applied Physics Letters,Vol.89,p.232510,(2006)で述べられているように、ある積層構成からなるMTJを用いることにより、500%に近いMR比を得ることができる。本実施例によれば、データ書き込み/保持を司る第1磁化固定層10及び第1磁化自由層30を垂直磁化膜で形成することにより、書き込み閾値電流密度を低減することが可能となる。且つ、データ読み出しを司る第2磁化自由層40及び第2磁化固定層60を面内磁化膜で形成することにより、MR比を高めて読み出し信号を増大させることが可能となる。
ここで、書き込み閾値電流密度を低減するために垂直磁化膜を用いた1つのMTJを考える。その同じMTJの読み出し特性を同時に向上させることは、次の理由から難しいと考えられる。特開2007−142364号公報(対応米国出願US2007086121(A1))でも述べられているように、書き込み閾値電流密度の低減を実現するためには、記録層(今の場合、第1磁化自由層30に相当)の飽和磁化は適度に小さいことが望ましい。しなしながら、一般的に、飽和磁化が小さくなると、磁性層のスピン分極率は低下する。スピン分極率が低下すると、読み出し信号の大きさに寄与するMR比が小さくなってしまう。すなわち、書き込み閾値電流密度の低減に好適な垂直磁化膜では、読み出し特性の向上が図り難い。
一方、高いMR比が得られる面内磁化膜(Co−Fe−B等)を用いた1つのMTJを考える。その同じMTJにおいては、書き込み閾値電流密度を十分に低減することは困難である。また、素子サイズが縮小された場合には、保持情報の熱擾乱耐性の確保が難しくなる。本実施例によれば、垂直磁化膜で形成される第1磁化自由層30によって情報が保持されるため、十分な熱擾乱耐性が確保される。それは、一般的な垂直磁化膜では、磁気異方性エネルギー密度(Ku)が十分に大きいためである。
また、本発明では、メモリ搭載型の半導体装置において、要求される機能に応じて適切な種類のMRAMを選択し配置する。例えば、高速動作が要求される論理回路用のメモリとしては高速動作が可能な電流誘起磁界書き込み型MRAMを用い、低電流(大容量・高集積)が要求される主記憶装置用のメモリとしては低電流化(大容量化・高集積化)が可能なスピン注入磁化反転型MRAMを用いる。これにより、高速処理と大容量処理とを両立させた不揮発性メモリ混載システム(メモリ搭載型半導体装置)を得ることができる。
また、本発明では、メモリセルが不揮発性であるため、電源オフを基本の状態(インスタントオン)とすることができ、低消費電力化が可能となる。更に、異なる種類のMRAMを同一チップ上に搭載しても、同一プロセス及び同一材料で製造することができる。それにより、低コスト、かつ短時間で半導体装置を製造することが可能となる。
(第1変形例)
次に、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の第1変形例の構成について説明する。図9は、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の第1変形例の構成を示す斜視図である。本発明の実施例の第1変形例に係る磁気抵抗効果素子8aと磁気抵抗効果素子9aとは同一のチップ上に形成されている。本変形例では、高速動作向けのMRAM4用の磁気抵抗効果素子8a及び高集積・大容量向けのMRAM5用の磁気抵抗効果素子9aの構成が図2の磁気抵抗効果素子8及び磁気抵抗効果素子9と異なる。
磁気抵抗効果素子8aは、高速動作向けのMRAM4のメモリセルに用いられている。電流誘起磁界書き込み型の磁気抵抗効果素子である。この磁気抵抗効果素子8aは、磁化自由層140、磁化固定層160a、磁化自由層140と磁化固定層160aとの間に設けられた非磁性層150、磁化自由層140の近傍に設けられた導電層190を備えている。図示されていないが、上述の層に加えて、電極層、拡散防止層、下地層などが適宜設けられることが望ましい。
磁化自由層140、磁化固定層160a、非磁性層150は、図2の磁化自由層140、磁化固定層160、非磁性層150と同じである。ただし、磁化固定層160aには書き込み電流が流されない点で、図2の磁化固定層160と異なる。
導電層190は、データ書き込み用の配線層であり、導電体で形成されている。導電層190内部を流れる書き込み電流が発生する電流誘起磁界により、磁化自由層140の磁化の向きが制御される。すなわち、当該電流誘起磁界により、磁気抵抗効果素子8aはデータが書き込まれる。書き込み電流を磁化固定層(強磁性体)ではなく、銅(Cu)やアルミニウム(Al)のような高導電率の導電体で形成された導電層190に流すので、書き込み配線抵抗をより低くすることが出来る。導電層190は、磁化固定層160aとコンタクト101を介して電気的に接続されている。
その他の構成は、図2の場合と同様であるのでその説明を省略する。
次に、本実施例の磁気抵抗効果素子8aのデータの書き込み方法について説明する。まず、導電層190のいずれか一端から他端へ向かって、導電層190に書き込み電流を流す。その書き込み電流により発生する電流誘起磁界により、磁化自由層140の磁化を反転させる。そのとき、書き込み電流の向きで発生する電流誘起磁界の向きを制御して、磁化自由層140の磁化を所望の向きに変化させることが出来る。それにより、磁化自由層140に所望のデータを記録する。導電層190に書き込み電流を流すこのような書き込み方式は書き込み専用の配線を設けることから、配線層書き込み型とも言うことができる。
次に、本実施例の磁気抵抗効果素子8aからのデータの読み出し方法について説明する。まず、磁化自由層140、非磁性層150、磁化固定層160aの経路で読み出し電流を流す。そして、磁化固定層160aの磁化と磁化自由層140の磁化との間の相対角に応じた抵抗の変化を検出することでデータを読み出す。たとえば、磁化固定層160aの磁化と磁化自由層140の磁化とが平行の場合、低抵抗状態が実現され、磁化固定層160aの磁化と磁化自由層140の磁化とが反平行の場合、高抵抗状態が実現される。磁気抵抗効果素子8aの抵抗の変化が、電圧信号、又は電流信号として検知され、その電圧信号、又は電流信号を用いて磁気抵抗効果素子8aに記憶されているデータが判別される。
磁気抵抗効果素子9aは、高集積・大容量(低電流)向けのMRAM5のメモリセルに用いられている。スピン偏極電流書き込み型のスピン注入磁化反転型の磁気抵抗効果素子である。この磁気抵抗効果素子9aは、書き込み用の第1磁気抵抗効果素子と読み出し用の第2磁気抵抗効果素子とを備えている。第1磁気抵抗効果素子は、第1磁化固定層10、第1磁化自由層30、及び第1磁化固定層10と第1磁化自由層30とに挟まれている第1非磁性層20を含む。第2磁気抵抗効果素子は、第2磁化自由層40、第2磁化固定層60、及び第2磁化固定層60と第2磁化自由層40とに挟まれている第2非磁性層50を含む。また、磁気抵抗効果素子9aは更に、第1導電層70及び第2導電層80を備えている。第1導電層70は、第1磁化自由層30及び第2磁化自由層40に電気的に接続するように設けられている。特に、図9に示されるように、第1導電層70は、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40の間に挟まれている。第2導電層80は、第1導電層70に電気的に接続するように設けられている。なお、第1導電層70や第2導電層80を省略することも可能である。第2導電層80を省略した実施形態については後に説明される。また、図示されていないが、上述の層に加えて、電極層、拡散防止層、下地層などが適宜設けられることが望ましい。
この磁気抵抗効果素子9aは、図2における磁気抵抗効果素子9の第1磁気抵抗効果素子と第2磁気抵抗効果素子とを、第1導電層70を挟んで互いに逆の位置に変更した構成を有している。また、磁化固定層60は、導電層90(配線層)とコンタクト102を介して電気的に接続されている。
また、第1磁気抵抗効果素子の第1磁化自由層30と第2磁気抵抗効果素子の第2磁化自由層40とは、異なる層に形成されているが、互いに磁気的に結合している。言い換えれば、第1磁化自由層30の磁化状態と第2磁化自由層40の磁化状態とは、互いに影響を及ぼし合う。特に、図2の場合と同様に、第1磁化自由層30の磁化状態が第2磁化自由層40の磁化状態に影響を及ぼすことが重要である。
本発明の実施例に係る磁気抵抗効果素子8aと磁気抵抗効果素子9aとは同一のチップ上に形成されている。そして、磁気抵抗効果素子8aの磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160aは、それぞれ磁気抵抗効果素子9aの第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60と同一レイヤーに同一材料で同時に形成される。また、導電層190は、導電層90と同一レイヤーに同一材料で同時に形成される。すなわち、MRAM4とMRAM5とは、同一のプロセスでの形成が可能であり、プロセス数は増大しない。それにより、低コスト、且つ短時間で半導体装置1を製造することが可能となる。
次に、本実施例の磁気抵抗効果素子9aについて、より詳細に説明する。
図10は、本発明の実施例に係る磁気抵抗効果素子9aの構成を模式的に示す概略図である。図9に示されるxyz座標系におけるxy平面図である。なお、磁気抵抗効果素子9aは複数の層からなる積層構造を有しており、その積層方向がz軸方向として規定される。積層構造の各層に平行な平面がxy平面である。
図10には、xy平面における、第1磁化自由層30の重心G30及び第2磁化自由層40の重心G40の位置が示されている。ここでいう重心とは、xy平面における幾何学的な意味での重心である。すなわち、幾何学形状の任意の点iの位置ベクトルがRi=(Xi,Yi)であるとき、重心の位置ベクトルRg=(Xg,Yg)は、Σi(Ri−Rg)=0の関係を満たす。ここでΣiは、iに関する総和を意味する。例えば、長方形や平行四辺形の場合、重心は対角線の交点であり、楕円形の場合、重心はその中心である。
本実施例によれば、第1磁化自由層30の重心G30と第2磁化自由層40の重心G40は、xy平面においてずれている。つまり、xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30の重心G30から、膜面に平行な“第1の方向”にずれている。図10で示された例では、第1の方向(ずれ方向)は+x方向である。第1磁化自由層30と第2磁化自由層40は、少なくとも一部オーバーラップしていてもよいし、オーバーラップしていなくてもよい。
尚、各層のxy平面における形状は長方形に限られず、円形、楕円形、ひし形、六角形などであってもよい。また、適切な特性が得られるように、各層の表面に適宜凹凸を設けることも可能である。また、各層の面積についても任意性がある。
磁気抵抗効果素子9aに関するその他の構成及び原理については、図2の場合と同様であるので、その説明を省略する。また、磁気抵抗効果素子9a及び磁気抵抗効果素子8aの各層の材料については、図2の場合と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施形態の磁気抵抗効果素子9aの動作方法、具体的には、書き込み方法及び読み出し方法について説明する。
まず、本実施形態の磁気抵抗効果素子9aの読み出し方法について説明する。図11A及び図11Bは、磁気抵抗効果素子9aへのデータ読み出し方法を説明するための概念図である。データ読み出しでは、磁気抵抗効果による抵抗値の大小が検出される。そのために、第2磁気抵抗効果素子(第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60)が利用され、第2磁化自由層40と第2磁化固定層60との間に読み出し電流Ireadが流される。
図11Aには、“0”状態の場合が示されている。この場合、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と略平行であり、第2磁気抵抗効果素子の抵抗値は比較的小さい。一方、図11Bには、“1”状態の場合が示されている。この場合、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と略反平行であり、第2磁気抵抗効果素子の抵抗値は比較的大きい。つまり、読み出し電流Iread、又は読み出し電流Ireadに応じた読み出し電圧の大きさは、“0”状態あるいは“1”状態によって変化する。従って、その読み出し電流Ireadあるいは読み出し電圧を所定のリファレンスレベルと比較することにより、“0”状態か“1”状態かを判定することができる。すなわち、磁気抵抗効果素子9aに記録された情報を読み出すことができる。
尚、図11A及び図11Bで示された例では、読み出し電流Ireadが第1導電層70及び第2導電層80を経由して流れている。しかしながら、第2磁気抵抗効果素子への読み出し電流Ireadの流し方は、図11Aや図11Bで示された例に限られない。第2磁化自由層40と第2磁化固定層60との間で双方向に読み出し電流Ireadが流れればよく、その他の部分の電流経路は適宜設計され得る。
次に、本実施形態の磁気抵抗効果素子9aの書き込み方法について説明する。図12A及び図12Bは、磁気抵抗効果素子9へのデータ書き込み方法を説明するための概念図である。データ書き込みは、「スピン注入磁化反転方式」により実現される。具体的には、第1磁気抵抗効果素子(第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30)が利用され、第1磁化固定層10と第1磁化自由層30との間に書き込み電流Iwriteが流される。
図12Aには、“0”状態(図11A参照)から“1”状態(図11B参照)への遷移、すなわち、“1”書き込み時の書き込み電流Iwriteの経路が示されている。図12Aに示されるように、“0”状態において矢印の方向に書き込み電流Iwriteが導入された場合を考える。この場合、書き込み電流Iwriteは、第1磁化固定層10から第1非磁性層20を通して第1磁化自由層30へ流れ、伝導電子は、第1磁化自由層30から第1非磁性層20を通して第1磁化固定層10へと流れる。図12Aでは、第1磁化固定層10の磁化方向は+z方向に固定されており、−z方向のスピン角運動量を有する伝導電子は、+z方向のスピン角運動量を有する伝導電子に比べると、第1磁化固定層10の界面でより多く反射される。結果として、第1磁化自由層30内では、−z方向のスピン角運動量を有する電子がマジョリティとなり、−z方向への磁化反転が誘起される。第1磁化自由層30の磁化が−z方向に反転すると、上述の磁気的結合により、第2磁化自由層40の磁化は−x方向に回転する。すなわち、図11Bで示された“1”状態が得られる。
一方、図12Bには、“1”状態(図11B参照)から“0”状態(図11A参照)への遷移、すなわち、“0”書き込み時の書き込み電流Iwriteの経路が示されている。図12Bに示されるように、“1”状態において矢印の方向に書き込み電流Iwriteが導入された場合を考える。この場合、書き込み電流Iwriteは、第1磁化自由層30から第1非磁性層20を通して第1磁化固定層10へ流れ、伝導電子は、第1磁化固定層10から第1非磁性層20を通して第1磁化自由層30へと流れる。図12Bでは、第1磁化固定層10の磁化方向は+z方向に固定されており、+z方向のスピン角運動量を有する多くの伝導電子が第1磁化自由層30へ流れ込む。結果として、第1磁化自由層30内では、+z方向のスピン角運動量を有する電子がマジョリティとなり、+z方向への磁化反転が誘起される。第1磁化自由層30の磁化が+z方向に反転すると、上述の磁気的結合により、第2磁化自由層40の磁化は+x方向に回転する。すなわち、図11Aで示された“0”状態が得られる。
このようにして、“0”状態からの“1”書き込み、及び、“1”状態からの“0”書き込みが実現される。また、図示されていないが、“0”状態からの“0”書き込み、及び、“1”状態からの“1”書き込み、すなわちオーバーライトも可能である。
尚、図12Aで示された例では、書き込み電流Iwriteは第1磁気抵抗効果素子から第1導電層70を経由して第2導電層80に流れ出し、図12Bで示された例では、書き込み電流Iwriteは第2導電層80から第1導電層70を経由して第1磁気抵抗効果素子に流れ込んでいる。しかしながら、第1磁気抵抗効果素子への書き込み電流Iwriteの流し方は、図12Aや図12Bで示された例に限られない。第1磁化固定層10と第1磁化自由層30との間で双方向に書き込み電流Iwriteが流れればよく、その他の部分の電流経路は適宜設計され得る。
また、第1磁化固定層10と第1磁化自由層30との接合に関しては面積が適度に小さいことが望ましい。これは、面積が小さくなるにつれ、電流密度が増加し、書き込みに要する電流値が低減され得るためである。好適には特徴長が100nm以下であることが望ましい。
以上に説明されたように、本実施例に係る磁気抵抗効果素子9では、第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30がデータ書き込み時に用いられる。この意味で、第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30は、「書き込み層群」と参照される。一方、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60は、データ読み出し時に用いられる。この意味で、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60は、「読み出し層群」と参照される。
本実施例によれば、書き込み層群と読み出し層群は、別々に設けられるが、磁気結合を通して互いに関連し合っている。書き込み層群の第1磁化自由層30に書き込まれた情報は、磁気的結合を介して、読み出し層群の第2磁化自由層40に伝達される。逆に言えば、磁気的結合を介した情報伝達があるため、書き込み用の書き込み層群と読み出し用の読み出し層群を別々に設けることが可能となる。従って、所望の特性が得られるように書き込み層群と読み出し層群をそれぞれ独立に最適化することができ、結果として、書き込み特性の向上と読み出し特性の向上を同時に実現することが可能となる。例えば、書き込み閾値電流密度の低減のために適切な材料特性を有する垂直磁化膜を書き込み層群に適用し、且つ、高いMR比を発現するMTJを読み出し層群に適用することができる。
(第2変形例)
次に、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の第2変形例の構成について説明する。図13は、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の第2変形例の構成を示す斜視図である。本発明の実施例の第2変形例に係る磁気抵抗効果素子8bと磁気抵抗効果素子9bとは同一のチップ上に形成されている。本変形例では、高速動作向けのMRAM4用の磁気抵抗効果素子8b及び高集積・大容量(低電流)向けのMRAM5用の磁気抵抗効果素子9bの構成がそれぞれ図2の磁気抵抗効果素子8及び磁気抵抗効果素子9と異なる。
磁気抵抗効果素子8bは、高速動作向けのMRAM4のメモリセルに用いられている。電流誘起磁界書き込み型の磁気抵抗効果素子である。この磁気抵抗効果素子8bは、磁化自由層140、磁化固定層160、磁化自由層140と磁化固定層160との間に設けられた非磁性層150、磁化固定層160を挟んで非磁性層150と反対側に設けられた非磁性層151、及び非磁性層151を挟んで磁化固定層160と反対側に設けられた磁化自由層140aを備えている。図示されていないが、上述の層に加えて、電極層、拡散防止層、下地層などが適宜設けられることが望ましい。
磁化自由層140、磁化固定層160、非磁性層150は、図2の磁化自由層140、磁化固定層160、非磁性層150と同じである。ただし、磁気抵抗効果素子8bは、磁化固定層160を挟んで非磁性層150と反対側に設けられた磁化自由層140aを備えている点で、図2の磁気抵抗効果素子8と異なる。
磁化自由層140aは、好適には磁化自由層140と同じ強磁性体の材料で形成され、同じ面内磁気異方性を有し、反転可能な逆方向の磁化を有している。磁化自由層60aは、磁化自由層60と反強磁性的に磁気結合し、互いの磁化を安定化させている。また、磁化固定層160を挟んで両側に位置する磁化自由層140aと磁化自由層140は、書き込み動作時に、磁化固定層160を流れる書き込み電流により発生する電流誘起磁界を増幅する機能を有している。非磁性層151は磁化固定層160と磁化自由層140aとの間での磁気結合を切る働きを有する。非磁性層151は非磁性体であればどのような材料を用いてもよい。
その他の構成は、図2の場合と同様であるのでその説明を省略する。
次に、本実施例の磁気抵抗効果素子8bのデータの書き込み方法については、磁化固定層160を流れる書き込み電流による電流誘起磁界が磁化自由層140aと磁化自由層140とによって増幅される点や、その電流誘起磁界により磁化自由層140aが磁化自由層140と逆向きに磁化される点を除けば、図2の場合と同様であるのでその説明を省略する。磁化自由層140aと磁化自由層140との中間に書き込み配線層となる磁化固定層160が位置し、ここに書き込み電流を流すこのような書き込み方式を中間配線層書き込み型とも言うことができる。
また、本実施例の磁気抵抗効果素子8bからのデータの読み出し方法については、図2の場合と同様であるのでその説明を省略する。
また、図13では磁化自由層140と磁化自由層140aはほぼ同じ形状であるものとして描かれているが、この2層の形状は異なってもよい。例えば磁化自由層140aは磁化固定層160と同形状をしていてもよい。この場合には磁化自由層140aの磁化は定常状態ではその長手方向であるy方向を向き、磁化固定層160に電流が導入されたときに、電流誘起磁界の方向に回転し、磁化自由層140に効率的に磁界を印加することができる。このような役割を有する磁化自由層140aはしばしばクラッド層、またはヨーク層などと参照される。
磁気抵抗効果素子9bは、高集積・大容量(低電流)向けのMRAM5のメモリセルに用いられている。スピン偏極電流書き込み型のスピン注入磁化反転型の磁気抵抗効果素子である。この磁気抵抗効果素子9bは、書き込み用の第1磁気抵抗効果素子と読み出し用の第2磁気抵抗効果素子とを備えている。
この磁気抵抗効果素子9bは、図2の磁気抵抗効果素子9と同じである。ただし、第2磁化固定層60下に非磁性層51と磁性層41を有している点で図2の磁気抵抗効果素子9と異なる。ただし、非磁性層51と磁性層41は、素子動作に影響は無いので、無くてもよい。
その他の構成や動作は、図2の場合と同様であるのでその説明を省略する。
本発明の実施例に係る磁気抵抗効果素子8bと磁気抵抗効果素子9bとは同一のチップ上に形成されている。そして、磁気抵抗効果素子8bの磁化自由層140、非磁性層150、磁化固定層160及び磁化自由層140aは、それぞれ磁気抵抗効果素子9bの第2磁化自由層40、第2非磁性層50、第2磁化固定層40及び磁性層41と同一レイヤーに同一材料で同時に形成される。すなわち、MRAM4とMRAM5とは、同一のプロセスでの形成が可能であり、プロセス数は増大しない。それにより、低コスト、且つ短時間で半導体装置1を製造することが可能となる。
(第3変形例)
次に、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の第3変形例の構成について説明する。第3の変形例は、磁気抵抗効果素子9cを構成する各層のz軸方向(積層方向)の位置関係に関する。磁気抵抗効果素子9cは、高集積・大容量(低電流)向けのMRAM5のメモリセルに用いられている。スピン偏極電流書き込み型のスピン注入磁化反転型の磁気抵抗効果素子である。
上述の通り、第1磁化固定層10、第1非磁性層20及び第1磁化自由層30は、「書き込み層群」を構成しており、第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60は、「読み出し層群」を構成している。また、第1導電層70及び第2導電層80は、書き込み層群及び読み出し層群に電流を導入する「プラグ群」を構成している。これら書き込み層群、読み出し層群、及びプラグ群の位置関係は、既出の例で示されたものに限られない。書き込み層群の第1磁化自由層30と読み出し層群の第2磁化自由層40が、異なる層に形成され、互いに磁気的に結合していればよい。
図14A〜図14Cは、本実施例に係る磁気抵抗効果素子の第3変形例の構成を模式的に示す概略図である。詳細には、図14Aは斜視図であり、図14B及び図14Cは、それぞれ、図14Aに示されるxyz座標系におけるxy平面図、xz断面図である。
図14A〜図14Cで示される例では、書き込み層群が読み出し層群に対して上層に設けられている。一方、第2導電層80は、第1導電層70に対して書き込み層群側(上方側)に設けられている。この場合も、書き込み層群の第1磁化自由層30と読み出し層群の第2磁化自由層40が、互いに磁気的に結合している。更に、xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30の重心G30からずれている。従って、第1磁化自由層30からの放射状に広がる漏れ磁界により、第2磁化自由層40の磁化方向は一意に定まる。
既出の例と同様に、書き込み電流Iwriteは、プラグ群から書き込み層群へ流れる、あるいは、書き込み層群からプラグ群へ流れる。書き込み電流Iwriteの方向を変えることにより、“0”書き込みと“1”書き込みの両方を実現可能である。また、既出の例と同様に、プラグ群を用いることにより、読み出し電流Ireadが読み出し層群に導入される。
これらの他にも、書き込み層群、読み出し層群、及びプラグ群の位置関係としては様々考えられ得る。但し、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40との間の磁気的結合の強度を高めるためには、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40との間の距離は小さいことが好ましい。従って、上述の通り、第1磁化固定層10、第1非磁性層20、第1磁化自由層30、第1導電層70、第2磁化自由層40、第2非磁性層50、及び第2磁化固定層60が、この順番で下からあるいは上から積層されていることが好ましい。尚、後述されるように、第1導電層70は省略することも可能である。
本変形例において、図2のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8についても、図2の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9cと磁気抵抗効果素子8とを同一のチップ上に形成することができる。磁気抵抗効果素子8の磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160は、それぞれ磁気抵抗効果素子9cの第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60と同一レイヤーに同一材料で同時に形成される。すなわち、MRAM4とMRAM5とは、同一のプロセスでの形成が可能であり、プロセス数は増大しない。それにより、低コスト、且つ短時間で半導体装置1を製造することが可能となる。
同様に、図9のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8aについても、図9の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9cと磁気抵抗効果素子8aとを各層を同一レイヤーに同一材料で同時に同一のチップ上に形成することができる。同様に、図13のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8bについても、図13の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9cと磁気抵抗効果素子8bとを各層を同一レイヤーに同一材料で同時に同一のチップ上に形成することができる。これらの場合でも、同一のプロセスでの形成が可能である。
(第4変形例)
次に、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の第4変形例の構成について説明する。第4変形例は、磁気抵抗効果素子9dを構成する書き込み層群の数に関する。磁気抵抗効果素子9dは、高集積・大容量(低電流)向けのMRAM5のメモリセルに用いられている。スピン偏極電流書き込み型のスピン注入磁化反転型の磁気抵抗効果素子である。
第4の変形例に係る磁気抵抗効果素子9dは、複数の書き込み層群を備える。そして、複数の書き込み層群の各々が、上述の第1磁化固定層10、第1非磁性層20、及び第1磁化自由層30を有する。
図15A〜図15Cは、本実施例に係る磁気抵抗効果素子の第4変形例の構成を模式的に示す概略図である。詳細には、図15Aは、磁気抵抗効果素子9dの構造の一例を示す斜視図である。図15B及び図15Cのそれぞれは、図15Aで示された構造のxy平面図及びxz側面図である。図15A〜図15Cで示される例では、磁気抵抗効果素子9dは、第1の書き込み層群、第2の書き込み層群、第1導電層70、及び読み出し層群(40〜60)を備えている。第1の書き込み層群は、第1磁化固定層10a、第1非磁性層20a、及び第1磁化自由層30aから構成されている。第2の書き込み層群は、第1磁化固定層10b、第1非磁性層20b、及び第1磁化自由層30bから構成されている。
好適には、第1磁化固定層10aと第1磁化固定層10bとは、同じ層に形成され、同じ材質、形状、膜厚を有する。また、第1非磁性層20aと第1非磁性層20bとは、同じ層に形成され、同じ材質、形状、膜厚を有する。また、第1磁化自由層30aと第1磁化自由層30bとは、同じ層に形成され、同じ材質、形状、膜厚を有する。同じ層、同じ材質、同じ膜厚を有することで、同一のプロセスで形成することが出来る。図15A〜図15Cで示される例では、第1磁化自由層30aと第1磁化自由層30bは共に、第1導電層70の一方の面に接触しており、他方の面には第2磁化自由層40が接触している。
第1磁化自由層30aと第2磁化自由層40は、互いに磁気的に結合している。また、xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30aの重心G30aからずれている。従って、第1磁化自由層30aの磁化は、第2磁化自由層40に対して面内方向の磁気力を及ぼす。同様に、第1磁化自由層30bと第2磁化自由層40は、互いに磁気的に結合している。また、xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30bの重心G30bからずれている。従って、第1磁化自由層30bの磁化は、第2磁化自由層40に対して面内方向の磁気力を及ぼす。
好適には、xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30aの重心G30aと第1磁化自由層30bの重心G30bとの間に位置する。特に、xy平面において、第1磁化自由層30aの重心G30a、第2磁化自由層40の重心G40、及び第1磁化自由層30bの重心G30bが、一直線上に並んでいることが好適である。図15A〜図15Cで示される例では、第2磁化自由層40の重心G40は第1磁化自由層30aの重心G30aから+x方向にずれており、更に、第1磁化自由層30bの重心G30bは第2磁化自由層40の重心G40から+x方向にずれている。
図16A及び図16Bのそれぞれは、図15A〜図15Cで示された磁気抵抗効果素子9dが取り得る2つのメモリ状態を例示している。図16A及び図16Bで示される例では、第1磁化固定層10a、10bの磁化方向は、互いに平行であり、同じ+z方向に固定されている。第2磁化固定層60の磁化方向は、+x方向に固定されている。
図16Aでは、第1磁化自由層30aの磁化は+z方向を向き、一方、第1磁化自由層30bの磁化は−z方向を向いている。すなわち、第1磁化自由層30a、30bの磁化方向は、互いに略反平行である。この場合、第1磁化自由層30a、30bからの漏れ磁界は共に、第2磁化自由層40の重心G40の位置において+x成分を有する。それは、第2磁化自由層40の重心G40が、第1磁化自由層30a、30bの重心G30a、G30bの間に位置しているからである。言い換えれば、重心G40が重心G30a、G30bの間に位置し、第1磁化自由層30a、30bの磁化方向が反平行のため、第1磁化自由層30a、30bによる磁気力は第2磁化自由層40の位置において互いに強め合う。磁気力の強め合い効果は、重心G30a、G40、G30bが一直線上に並んでいるときに最大となり、好適である。このように、第1磁化自由層30a、30bと第2磁化自由層40との磁気的結合により、第2磁化自由層40の磁化は+x方向の成分を持つことになる。このとき、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と “平行”な成分を持ち、第2磁気抵抗効果素子の抵抗値は比較的小さくなる(“0”状態)。
一方、図16Bでは、第1磁化自由層30aの磁化は−z方向を向き、第1磁化自由層30bの磁化は+z方向を向いている。この場合、第1磁化自由層30a、30bからの漏れ磁界は共に、第2磁化自由層40の重心G40の位置において−x成分を有する。結果として、第2磁化自由層40の磁化は−x方向の成分を持つことになる。このとき、第2磁化自由層40の磁化方向は、第2磁化固定層60の磁化方向と“反平行”な成分を持ち、第2磁気抵抗効果素子の抵抗値は比較的大きくなる(“1”状態)。
第1磁化自由層30a、30bの一方の磁化方向を反転させるとき、他方の磁化方向も同時に反転させる必要がある。そのため、データ書き込み時には、書き込み層群の各々において、第1磁化固定層10と第1磁化自由層30との間に書き込み電流Iwriteが流される。それぞれの書き込み層群における書き込み電流Iwriteの方向は、それぞれの第1磁化自由層30の磁化が反転するように適宜設定される。
図17Aは、第4の変形例における書き込み電流Iwriteの一例を示している。上述の通り、第1磁化固定層10a、10bの磁化方向は互いに平行であり、第1磁化自由層30a、30bの磁化方向は互いに反平行である。従って、第1の書き込み層群の第1磁化固定層10aと第1磁化自由層30aとの間を流れる書き込み電流Iwriteの方向は、第2の書き込み層群の第1磁化固定層10bと第1磁化自由層30bとの間を流れる書き込み電流Iwriteの方向と逆に設定される。つまり、一方の書き込み層群において、書き込み電流Iwriteが第1磁化固定層10から第1磁化自由層30へ流れるとき、他方の書き込み層群においては、書き込み電流Iwriteは第1磁化自由層30から第1磁化固定層10へ流れる。その結果、第1磁化自由層30a、30bの反平行磁化は共に反転する。図17Aで示される例では、書き込み電流Iwriteは、第1導電層70を経由して第1の書き込み層群と第2の書き込み層群の間に流され、その書き込み電流Iwriteの方向を変えることにより、“0”書き込みと“1”書き込みの両方を実現可能である。但し、書き込み電流Iwriteの導入方法はそれに限られない。
データ読み出し時には、読み出し層群の第2磁化自由層40と第2磁化固定層60との間に読み出し電流Ireadが流される。読み出し層群への読み出し電流Ireadの導入方法は、適宜設計され得る。図17Bは、第4の変形例における読み出し電流Ireadの導入方法の一例を示している。図17Bで示された例では、読み出し電流Ireadは、第2の書き込み層群を経由して導入される。読み出し電流Ireadは、第1の書き込み層群を経由してもよいし、第1の書き込み層群と第2の書き込み層群の両方を経由しても構わない。
第4の変形例は、既出の変形例と組み合わせ可能である。また、第4の変形例によれば、次の効果が追加的に得られる。まず、読み出し信号が更に増大する。本変形例においては、第2磁化自由層40の磁化の回転に寄与する漏れ磁界の発生源である第1磁化自由層30が二つ以上設けられる。従って、第2磁化自由層40に作用する磁界の大きさは2倍以上となり、第2磁化自由層40の磁化はより大きく回転することになる。これにより、大きな磁気抵抗効果が発現され、大きな読み出し信号が得られる。
また、製造プロセスが簡略化される。すなわち、本変形例によれば、第1の書き込み層群と第2の書き込み層群は、同一工程で製造することが可能である。従って、製造工程数が削減され、製造コストが低減される。
本変形例において、図2のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8の磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160を、読み出し層群の第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60と同一レイヤーに同一材料で同時に形成することができる。その場合、MRAM4とMRAM5とは、同一のプロセスでの形成が可能であり、プロセス数は増大しない。それにより、低コスト、且つ短時間で半導体装置1を製造することが可能となる。
同様にすれば、図9のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8aについても、図9の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9dと磁気抵抗効果素子8aとを各層を同一レイヤーに同一材料で同時に同一のチップ上に形成することができる。同様に、図13のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8bについても、図13の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9dと磁気抵抗効果素子8bとを各層を同一レイヤーに同一材料で同時に同一のチップ上に形成することができる。これらの場合でも、同一のプロセスでの形成が可能である。
(第5変形例)
次に、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の第5変形例の構成について説明する。第5変形例は、磁気抵抗効果素子9eを構成する第1磁化自由層30と第2磁化自由層40のxy平面内の位置関係に関する。磁気抵抗効果素子9dは、高集積・大容量(低電流)向けのMRAM5のメモリセルに用いられている。スピン偏極電流書き込み型のスピン注入磁化反転型の磁気抵抗効果素子である。
第5変形例に係る磁気抵抗効果素子9eは、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40の位置関係は既出の例に限られない。xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30の重心G30に対して“第1の方向”に位置していればよい。
図18A〜図18Dは、本実施例に係る磁気抵抗効果素子の第5変形例の構成を模式的に示す概略図である。詳細には、図18Aは、磁気抵抗効果素子9eの構造の一例を示す斜視図である。図18B、図18C及び図18Dのそれぞれは、図18Aで示された構造のxy平面図、xz断面図及びyz断面図である。磁気抵抗効果素子9eで示される例では、xy平面における第1磁化自由層30と第2磁化自由層40とのずれ方向(第1の方向)が、第1導電層70の長手方向と異なっている。具体的には、第1導電層70の長手方向はx軸方向であり、第1の方向はx軸方向と異なるy軸方向である。すなわち、xy平面において、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30の重心G30からy軸方向にずれている。従って、第1磁化自由層30からの放射状に広がる漏れ磁界により、第2磁化自由層40の磁化方向は一意に定まる。この場合、第2磁化自由層40の磁化方向は、第1磁化自由層30の磁化方向に応じて、+y方向あるいは−y方向の成分を持つ。第2磁化固定層60の磁化方向は、+y方向と−y方向のいずれか一方に固定されることが望ましい。
本変形例において、図2のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8の磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160を、磁気抵抗効果素子9eの読み出し層群の第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60と同一レイヤーに同一材料で同時に形成することができる。その場合、MRAM4とMRAM5とは、同一のプロセスでの形成が可能であり、プロセス数は増大しない。それにより、低コスト、且つ短時間で半導体装置1を製造することが可能となる。
同様にすれば、図9のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8aについても、図9の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9eと磁気抵抗効果素子8aとを各層を同一レイヤーに同一材料で同時に同一のチップ上に形成することができる。同様に、図13のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8bについても、図13の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9eと磁気抵抗効果素子8aとを各層を同一レイヤーに同一材料で同時に同一のチップ上に形成することができる。これらの場合でも、同一のプロセスでの形成が可能である。
(第6変形例)
次に、本発明の実施例に係る各MRAMにおける磁気抵抗効果素子の第6変形例の構成について説明する。第6の変形例では、磁気抵抗効果素子9fを構成する第2導電層80が省略される。磁気抵抗効果素子9dは、高集積・大容量(低電流)向けのMRAM5(書き込み電流が0.5mA以下であることが望ましい)のメモリセルに用いられている。スピン偏極電流書き込み型のスピン注入磁化反転型の磁気抵抗効果素子である。
図19A〜図19Cは、本実施例に係る磁気抵抗効果素子の第6変形例の構成を模式的に示す概略図である。詳細には図19Aは、磁気抵抗効果素子9fの構造の一例を示す斜視図である。図19B及び図19Cのそれぞれは、図19Aで示された構造のxy平面図及びxz側面図である。図19A〜図19Cに示されるように、第2導電層80は省略され、磁気抵抗効果素子9fは2端子の素子となる。この場合でも、第1磁化自由層30と第2磁化自由層40は磁気的に結合しており、また、第2磁化自由層40の重心G40は、第1磁化自由層30の重心G30からずれている。従って、第1磁化自由層30の磁化方向に応じて、第2磁化自由層40の磁化方向は一意に定まる。
図20A及び図20Bは、本変形例における書き込み電流Iwrite及び読み出し電流Ireadの経路をそれぞれ示している。本変形例に係る磁気抵抗効果素子9fは2端子の素子であるため、データ書き込み時に書き込み層群に導入される書き込み電流Iwriteは、読み出し層群にも流れる。また、データ読み出し時に読み出し層群に導入される読み出し電流Ireadは、書き込み層群にも流れる。すなわち、書き込み電流Iwriteの経路と読み出し電流Ireadの経路は同一となる。
従って、データ読み出し時に、読み出し電流Ireadにより第1磁化自由層30においてスピン注入磁化反転が発生することを防止する必要がある。そのために、読み出し電流Ireadは小さく設定される。また、データ書き込み時に、書き込み電流Iwriteにより第2磁化自由層40においてスピン注入磁化反転が発生することを防止する必要がある。そのためには、読み出し層群(40、50、60)を流れる書き込み電流Iwriteの電流密度を、書き込み層群(10、20、30)を流れる書き込み電流Iwriteの電流密度よりも小さくすることが望ましい。例えば、読み出し層群のxy平面における面積は、書き込み層群のxy平面における面積より大きく設計される。
第6変形例によれば、磁気抵抗効果素子9fが2端子の素子となるため、1つのメモリセルあたり1つのトランジスタが設けられるとよい。第1磁化固定層10か第2磁化固定層60のいずれか一方に、トランジスタが接続されればよい。例えば、図7Aで示された回路構成から、トランジスタM2とビット線BL2を省くことができる。その結果、磁気メモリセルの面積が低減される。第6変形例は、他の変形例と組み合わせ可能である。
本変形例において、図2のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8について、図2の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係ると磁気抵抗効果素子9fと磁気抵抗効果素子8は同一のチップ上に形成される。磁気抵抗効果素子8の磁化自由層140、非磁性層150及び磁化固定層160は、それぞれ磁気抵抗効果素子9fの第2磁化自由層40、第2非磁性層50及び第2磁化固定層60と同一レイヤーに同一材料で同時に形成される。すなわち、MRAM4とMRAM5とは、同一のプロセスでの形成が可能であり、プロセス数は増大しない。それにより、低コスト、且つ短時間で半導体装置1を製造することが可能となる。
同様にすれば、図9のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8aについても、図9の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9fと磁気抵抗効果素子8aとを各層を同一レイヤーに同一材料で同時に同一のチップ上に形成することができる。同様に、図13のMRAM4用の磁気抵抗効果素子8bについても、図13の場合と同様の組み合わせで半導体装置1を構成することが出来る。すなわち、本変形例に係る磁気抵抗効果素子9fと磁気抵抗効果素子8bとを各層を同一レイヤーに同一材料で同時に同一のチップ上に形成することができる。これらの場合でも、同一のプロセスでの形成が可能である。
これまでに説明された変形例以外にも、様々な変形例が考えられ得る。例えば、書き込み電流経路に、発熱効果を有する材料が挿入されてもよい。この場合、発熱により素子の温度が上昇し、データ書き込み時に熱アシスト記録効果が得られる。また、磁気抵抗効果素子の近傍に配線を配置し、その配線に電流を流すことにより誘起される磁界を、スピン注入磁化反転時のアシスト磁界として用いてもよい。
なお、以上には本発明の実施例、及びその様々な変形例が記載されているが、本発明は、上述の実施例及び変形例に限定して解釈されてはならない。上述の変形例は、矛盾しない限り、その複数が組み合わせて適用可能であることは、当業者には容易に理解されよう。
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本発明の半導体装置は、メモリ混載型の半導体装置として、内部のメモリにおける高速処理と大容量処理とを両立させることができる。
この出願は、2008年3月7日に出願された特許出願番号2008−058494号の日本特許出願に基づいており、その出願による優先権の利益を主張し、その出願の開示は、引用することにより、そっくりそのままここに組み込まれている。