JPWO2009098734A1 - 情報記録再生装置 - Google Patents

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隆之 塚本
戸田 春希
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Abstract

第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に狭持され、前記第1の層と前記第2の層とを介して供給される電流により、抵抗が低い第1の状態と抵抗が高い第2の状態との間を可逆的に遷移可能な記録層と、を備え、前記記録層の側面は、前記第1及び第2の層の少なくともいずれかと接していないことを特徴とする情報記録再生装置が提供される。低消費電力で安定動作可能な不揮発性の情報記録再生装置が提供される。

Description

本発明は情報記録再生装置に関し、より詳細には、不揮発性の情報記録再生装置に関する。
近年、小型携帯機器が世界的に普及し、同時に、高速情報伝送網の大幅な進展に伴い、小型大容量不揮発性メモリの需要が急速に拡大してきている。その中でも、NAND型フラッシュメモリ及び小型HDD(hard disk drive)は、特に、急速な記録密度の進化を遂げ、大きな市場を形成するに至っている。
このような状況の下、記録密度の限界を大幅に超えることを目指した新規メモリのアイデアがいくつか提案されている。例えば、PRAM(相変化メモリ)は、記録材料として、アモルファス状態(オフ)と結晶状態(オン)の2つの状態をとることができる材料を使用し、この2つの状態を2値データ“0”、“1”に対応させてデータを記録する、という原理を採用する。
書き込み/消去に関しては、例えば、大電力パルスを記録材料に印加することによりアモルファス状態を作り、小電力パルスを記録材料に印加することにより結晶状態を作る。
読み出しに関しては、記録材料に、書き込み/消去が起こらない程度の小さな読み出し電流を流し、記録材料の電気抵抗を測定することにより行う。アモルファス状態の記録材料の抵抗値は、結晶状態の記録材料の抵抗値よりも大きく、その比は、10程度である。
PRAMの最大の特長は、素子サイズを10nm程度にまで縮小しても動作できるという点にあり、この場合には、約10Tbpsi(terra bit per square inch)の記録密度を実現できるため、高記録密度化への候補の一つとされる(例えば、特許文献1を参照)。
また、PRAMとは異なるが、これと非常に似た動作原理を有する新規メモリが報告されている(例えば、特許文献2を参照)。
この報告によれば、データを記録する記録材料の代表例は、酸化ニッケルであり、PRAMと同様に、書き込み/消去には、大電力パルスと小電力パルスとを使用する。この場合、書き込み/消去時の消費電力が、PRAMに比べて小さくなるという利点が報告されている。
現在までのところ、この新規メモリの動作メカニズムについては解明されていないが、再現性については確認されており、高記録密度化への候補の他の一つとされる。また、動作メカニズムについても、いくつかのグループが解明を試みている。
これらの他、MEMS(micro electro mechanical systems)技術を使ったMEMSメモリが提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
特に、ミリピード(Millipede)と呼ばれるMEMSメモリは、アレイ状の複数のカンチレバーと有機物質が塗布された記録媒体とが対向する構造を有し、カンチレバーの先端のプローブは、記録媒体に適度な圧力で接触している。
書き込みに関しては、選択的に、プローブに付加されるヒータの温度を制御することにより行う。すなわち、ヒータの温度を上げると、記録媒体が軟化し、プローブが記録媒体にくい込んで、記録媒体に窪みを形成する。
読み出しに関しては、記録媒体が軟化しない程度の電流をプローブに流しながら、記録媒体の表面に対し、このプローブをスキャンさせることにより行う。プローブが記録媒体の窪みに落ち込むとプローブの温度が低下し、ヒータの抵抗値が上昇するため、この抵抗値の変化を読み取ることによりデータをセンスできる。
ミリピードのようなMEMSメモリの最大の特長は、ビットデータを記録する各記録部に配線を設ける必要がないため、記録密度を飛躍的に向上できる点にある。現状で、既に、1Tbpsi程度の記録密度を達成している(例えば、非特許文献2を参照)。
また、ミリピードの発表を受けて、最近、MEMS技術と新たな記録原理とを組み合わせ、消費電力、記録密度、動作速度などに関して大きな改善を達成しようという試みがなされている。
例えば、記録媒体に強誘電体層を設け、記録媒体に電圧を印加することにより強誘電体層に誘電分極を引き起こしてデータの記録を行う方式が提案されている。この方式によれば、ビットデータを記録する記録部同士の間隔(記録最小単位)を結晶の単位胞レベルにまで近づけることができる、との理論的予測がある。
仮に、記録最小単位が強誘電体層の結晶の1単位胞になると、記録密度は、約4Pbpsi(peta bit per square inch)という巨大な値になる。
しかし、このような強誘電体記録のMEMSメモリは、従来から知られている原理でありながら現在においても実現されていない。
その最も大きな理由は、記録媒体からその外部に出る電場が空気中のイオンにより遮蔽されてしまうことにある。つまり、記録媒体からの電場を感知できないため、読み出しを行うことができない。
また、結晶中に格子欠陥が存在すると、格子欠陥による電荷が記録部に移動して電荷を遮蔽してしまう、という理由もある。
前者の空気中のイオンによる電場遮蔽の問題は、最近、SNDM(走査型非線形誘電率顕微鏡)を用いた読み出し方式の提案により解決され、この新規メモリは、実用化に向けてかなり進展してきている(例えば、非特許文献3を参照)。
特開2005−252068号公報 特開2004−234707号公報 P. Vettiger, G. Cross, M. Despont, U. Drechsler, U. Durig, B. Gotsmann, W. Haberle, M. A. Lants, H. E. Rothuizen, R. Stutz and G. K. Binnig, IEEE Trans. Nanotechnology 1, 39(2002) P. Vettiger, T. Albrecht, M. Despont, U. Drechsler, U. Durig, B. Gotsmann, D. Jubin, W. Haberle, M. A. Lants, H. E. Rothuizen, R. Stutz, D. Wiesmann and G. K. Binnig, P. Bachtold, G. Cherubini, C. Hagleitner, T. Loeliger, A. Pantazi, H. Pozidis and E. Eleftheriou, in Technical Digest, IEDM03 pp.763-766 A. Onoue, S. Hashimoto, Y. Chu, Mat. Sci. Eng. B120, 130(2005)
本発明は、低消費電力で安定動作可能な不揮発性の情報記録再生装置を提供する。
本発明の一態様によれば、第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に狭持され、前記第1の層と前記第2の層とを介して供給される電流により、抵抗が低い第1の状態と抵抗が高い第2の状態との間を可逆的に遷移可能な記録層と、を備え、前記記録層の側面は、前記第1及び第2の層の少なくともいずれかと接していないことを特徴とする情報記録再生装置が提供される。
本発明の第1の実施形態に係る情報記録再生装置の一例を表す模式図である。 (a)は、本実施形態に係る情報記録再生装置のX軸方向からみた模式断面図であり、(b)は、本実施形態に係る情報記録再生装置のY軸方向からみた模式断面図である。 本実施形態と対比される比較例に係る情報記録再生装置の模式断面図である。 (a)は、本比較例の情報記録再生装置の電極層11、記録層12、及び電極層13を表す一部拡大模式断面図であり、(b)は、本実施形態に係る情報記録再生装置の電極層11、記録層12、及び電極層13を表す一部拡大模式断面図である。 本実施形態に係る情報記録再生装置における情報の記録/再生の基本原理の一例を説明するための概念図である。 本実施形態の情報記録再生装置の記録部の構造を表す模式図である。 本実施形態の情報記録再生装置の記録部の構造を表す模式図である。 本実施形態の製造方法を表すための模式工程断面図である。 本実施形態の製造方法を表すための模式工程断面図である。 本実施形態の製造方法を表すための模式工程断面図である。 本実施形態の情報記録再生装置の模式断面図である。 本実施形態の情報記録再生装置の製造工程の一部を表す模式平面図及び模式断面図である。 (a)は、本実施形態の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。 (a)は、本実施形態の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。 (a)は、本実施形態の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。 図16(a)は、本実施形態の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、図16(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。 (a)は、本変型例の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。 (a)は、本実施形態の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。 第1〜第5実施形態のいずれかの記録層を備えたクロスポイント型半導体メモリを表す模式図である。 図19に表した半導体メモリのメモリセルアレイ部の構造を表す模式図である。 記録層22、ヒータ層35、及び保護層13Bのスタック構造を表す模式図である。 メモリセルアレイの他の具体例を表す模式図である。 メモリセルアレイの他の具体例を表す模式図である。
符号の説明
10 第1の配線
11 電極層
12 記録層
12a 側面
12s 接続部
12t 延在部
12A メタル層
12C 側面部
12D 内部
12E 化合物
12E 記録層
12F 化合物
12F 記録層
13 電極層
13B 保護層
14 整流素子
15 第2の配線
16 素子間絶縁膜
22 記録層
30 半導体チップ
31 ワード線ドライバ&デコーダ
32 ビット線ドライバ&デコーダ&読み出し回路
33 メモリセル
34 ダイオード
35 ヒータ層
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報記録再生装置の一例を表す模式図である。
図1(a)は、本実施形態に係る情報記録再生装置の模式斜視図である。また、図1(b)は、本実施形態に係る情報記録再生装置をX軸及びY軸と直交するZ軸方向からみた模式平面図である。
本実施形態の情報記録再生装置2は、基板5と、基板5の上に第1の方向(X軸)に延在する帯状の第1の配線10と、基板5に平行な面内で第1の方向と交叉する第2の方向(Y軸)に延在する帯状の第2の配線15と、第1の配線10と第2の配線15との間に形成される記録層12と、記録層12と第2の配線15との間に設けられた整流素子14と、記録層12を上下方向から挟持する電極層11(下部電極層)及び電極層13(上部電極層)と、を備える。電極層11、13は、記録層12に対して電気的な接続を得るために設けられている。また、電極層11、13は、例えば、記録層12とその上下の構成要素との間の元素の拡散などを防止するバリア層としての機能を併有していてもよい。さらに、整流素子14と第2の配線15との間にも、バリア層が設けられていてもよい。
そして、本実施形態においては、記録層12の側面12aは、電極層11及び電極層13の少なくともいずれかと接していない。図1(a)に表した具体例においては、記録層12は下に向かって水平断面積が広くなるいわゆるテーパ形状を有しており、記録層12の側面12aは、電極層11と接していない。すなわち、側面12aは、記録層12の主面(電極層11、13と対向する面)に対して傾斜した部分を有する。
なお、基板5と第1の配線10との間における、第1の配線10と第2の配線15とが交叉する領域には、データの書込み及び読出しを行うための読出し/書込み回路などが適宜設けられる(図示せず)。
第1の配線10を「ビット線」、第2の配線15を「ワード線」と、それぞれ呼んでよく、逆に、第1の配線10を「ワード線」、第2の配線15を「ビット線」と、それぞれ呼んでもよい。
情報記録再生装置2では、第1の配線10と第2の配線15とが交叉する部分(クロスポイント)に、記録層12が設けられている。1つの第1の配線10と1つの第2の配線15とが交叉する領域に設けられた1つの記録層12(及び整流素子14)が1つの単位要素であり、これを「セル」という。第1の配線10に与える電位と第2の配線15に与える電位との組み合わせによって、各記録層12に印加される電圧が変化し、その時の記録層12の特性、すなわち抵抗値(高抵抗状態または低抵抗状態)によって、情報を記憶したり消去することができる。
また、各セルの間には、図示しない素子間絶縁膜が形成される。
図2(a)は、本実施形態に係る情報記録再生装置のX軸方向からみた模式断面図である。また、図2(b)は、本実施形態に係る情報記録再生装置のY軸方向からみた模式断面図である。なお、図2以降の各図については、既出の図に表した構成要素と同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図2においては、図1を参照しつつ説明した構成要素のほか、各セルの間に形成される素子間絶縁膜16が表されている。本実施形態においては、記録層12の側面12aがその上下の電極層11、13の少なくともいずれかの側面と連続していない。すなわち、図2に表した具体例の場合、側面12aは、電極層11と接していない。電極層11に対向した記録層12の主面(下側の主面)は、電極層11に接続された接続部12sと、この接続部12sを取り囲むようにその周囲に設けられた延在部12tと、を有する。このようにして、記録層12の側面12aと電極層11とを遠ざけることができる。
なお、図1及び図2に表した具体例では、記録層12は、下に向かって水平断面積が広くなる形状としたが、記録層12は、上に向かって水平断面積が広くなる形状であってもよい。この場合、記録層12の側面12aは、電極層13と接しないことになる。また、後に詳述するように、記録層12の水平断面積を上下方向に一様に広くするなどして、記録層12の側面12aが電極層11及び電極層13の両方と接しないようにしてもよい。
次に、記録層12の形状及びその効果について、図3及び図4を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態と対比される比較例に係る情報記録再生装置の模式断面図である。すなわち、図3(a)は、本比較例に係る情報記録再生装置のX軸方向から見た模式断面図であり、図3(b)は、本比較例に係る情報記録再生装置のY軸方向から見た模式断面図である。
図3に表したように、本比較例では、記録層12の側面12aは、電極層11と電極層13の両方と接している。すなわち、記録層12の側面12aは、その上下の電極層11、13の側面と略連続している。
図4(a)は、本比較例の情報記録再生装置の電極層11、記録層12、及び電極層13を表す一部拡大模式断面図である。記録層12の側面12aは、多くの場合、エッチング等の加工によって形成される。このため、図4(a)に表したように、記録層12の側面12aの近傍の側面部12C(加工面近傍)は、記録層12の内部12Dとは構造や組成などが異なり、また欠陥密度が高い場合が多い。その結果として、記録層12の側面部12Cは、記録層12の内部12Dと同程度の電気抵抗を有しない場合も多い。このような場合、図4(a)に表したように、記録層12の側面部12Cを通るリーク電流が発生する可能性がある。
一方、図4(b)は、本実施形態に係る情報記録再生装置の電極層11,記録層12、及び電極層13を表す一部拡大模式断面図である。記録層12の側面部12C(加工面近傍)は、比較例の場合と同様に記録層12の内部12Dとは異なる構造や組成、欠陥などを有する。しかし、記録層12の側面部12Cは電極層11と接していないため、側面部12Cと電極層11とをつなぐ電流パスが形成されにくい。その結果として、側面部12Cを介したリーク電流が抑制され、これにより、消費電力が低減される。
また、本実施形態によれば、側面部12Cにおける物性の変化に係る問題も低減される。すなわち、記録層12の側面部12Cの結晶構造や組成などは、記録層12の内部12Dの結晶構造や組成などと異なると考えられる。また、側面部12Cは内部12Dよりも欠陥密度が高いことも多い。このため、比較例では、これら結晶構造や組成の変化あるいは欠陥が記録層12の抵抗変化特性に影響を及ぼす可能性がある。すなわち、記録層12の側面部12Cにおいて結晶性や組成などが大きく異なる領域が存在すると、本来の抵抗変化特性が得られず、また、抵抗変化特性がセル間で異なる可能性がある。この結果、本来の書き込み動作特性や読み出し動作特性が得られず、また、セル間でこれら動作特性にばらつきが生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、記録層12の側面部12Cと、電極層11、13の少なくともいずれかと、の接触領域が比較的小さいため、側面部12Cを介した電流パスが形成されにくくなり、上述したような問題が起こりにくい。すなわち、本実施形態では、側面部12Cを電流経路から遠ざけることができる。その結果として、本来の抵抗変化特性が得られやすくなり、また、セル間で動作特性が比較的均一な情報記録再生装置が実現される。
なお、記録層12の材料の絶縁性が十分に高い場合には、記録層12は隣接するセルアレイ間で連続していてもよい。この場合、記録層12をセル毎に分断するための加工を行う必要がなく、上述した記録層12の加工面による問題は生じない。しかし、記録層12の材料の絶縁性が十分に高くない場合には、記録層12は隣接するセルアレイ間で連続していない方がよい。この場合、記録層12を分断するために加工する必要があり、上述した記録層12の加工面による問題が生じ得る。そして、この問題は、本実施形態の上述した記録層12の形状によって解消される。
以下、本実施形態の情報記録再生装置において用いることができる記録層12のいくつかの具体例について説明する。
図5は、本実施形態に係る情報記録再生装置における情報の記録/再生の基本原理の一例を説明するための概念図である。
図5(a)は、記録部の断面図である。この記録部は、記録層12の上下方向両側を電極層11及び電極層13により挟んだ構造を有する。
記録層12は、電圧印加によってその抵抗を変化し得る、遷移金属の酸化物、ポリマー、または固体電界質からなる。記録層12は、とりわけ、少なくとも2種類の陽イオン元素を有する複合化合物から構成することができる。この場合、記録層12は、陽イオン元素の少なくともいずれかは電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素であり、隣接する陽イオン元素間の最短距離は0.32nm以下である第1化合物を有する。この複合化合物からなる記録層12を用いることにより、比較的小さい消費電力で抵抗変化を生ずることが可能となる。このような記録層12の材料としては、例えば以下が挙げられる。
例えば、A(0.1≦x≦2.2、1.5≦y≦2)で表されるスピネル構造である。AとMは、互いに異なる元素であり、少なくともいずれかは電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素である。XはO(酸素)、N(窒素)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む元素である。
Aは、Na,K,Rb,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,S,P,S,Se,Ge,Ag,Au,Cd,Sn,Sb,Pt,Pd,Hg,Tl,Pb,Bi のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
また、Aは、Mg,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Cd,Hg のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのが好ましい。これらの元素を使用すると、結晶構造を維持するためのイオン半径が最適となり、イオン移動度についても十分に確保できるからである。また、イオンの価数を2価に制御することが容易となる。
また、Aは、Zn,Cd,Hg から選択される少なくとも1種類の元素とするのがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、陽イオンの移動が生じやすくなるためである。
Mは、Al,Ga,Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
また、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Re,Fe,Co,Ni,Al,Ga のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのが好ましい。これらの元素を使用すると、結晶内の電子状態をコントロールし易くなるためである。
また、Mは、Cr,Mo,W,Mn,Re のグループ(便宜上「グループ1」と称す)から選択される少なくとも1種類の遷移元素とするのがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、母体構造が安定に保持されるため、安定にスイッチングを繰り返すことができるからである。
また、Mは、Fe,Co,Ni,Al,Ga のグループから選択される少なくとも1種類の元素を、前記グループ1の遷移元素に加えて含むことがさらに好ましい。グループ1の元素の一部の代わりにこれらの元素を使用すると、母体構造がより安定に保持されることによって、より安定にスイッチングを繰り返すことができるためである。
他には、例えば、A(0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1)で表されるデラフォサイト構造である。AとMは、互いに異なる元素であり、少なくともいずれかは電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素である。XはO(酸素)、N(窒素)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む元素である。
Aは、Li,Na,Be,Mg,Ca,Cu,Ag,Au,Pt,Pd,Rh,Hg,Tl のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
また、Aは、Mg,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Ag,Zn のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、結晶構造を維持するためのイオン半径が最適となり、イオン移動度についても十分に確保できるからである。また、配位数を2に制御することが容易となる。
また、Aは、Cu,Ag のグループから選択される少なくとも1種類の元素であることが好ましい。これらの元素を使用すると、容易にデラフォサイト構造をとることができるからである。
Mは、Al,Ga,Sc,In,Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Tb,Lu,Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Ru,Rh,Pd のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
また、Mは、Y,Sc,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Al,Ga のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、結晶内の電子状態をコントロールし易くなるためである。
また、Mは、Fe,Co,Al のグループから選択される少なくとも1種類の元素とすることがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、容易にデラフォサイト構造をとることができるからである。
他には、例えば、A(0.5≦x≦1.1、0.7≦y≦1.1)で表されるウルフラマイト構造である。AとMは、互いに異なる元素であり、少なくともいずれかは電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素である。XはO(酸素)、N(窒素)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む元素である。
Aは、Na,K,Rb,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Si,P,S,Se,Ge,Ag,Au,Cd,Sn,Sb,Pt,Pd,Hg,Tl,Pb,Bi のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
また、Aは、Ti,V, Mn,Fe,Co,Ni のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのが好ましい。これらの元素を使用すると、結晶構造を維持するためのイオン半径が最適となり、イオン移動度についても十分に確保できるからである。また、イオンの価数を2価に制御することが容易となる。
また、Aは、Mn,Fe,Co,Ni のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、容易に抵抗変化を起こすことができるからである。
Mは、V,Nb,Ta,Cr,Mn,Mo,W のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
また、Mは、Cr,Mo,W のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、容易にウルフラマイト構造をとることができるからである。
他には、例えば、A(0.5≦x≦1.1、0.9≦y≦1)で表されるイルメナイト構造である。AとMは、互いに異なる元素であり、少なくともいずれかは電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素である。XはO(酸素)、N(窒素)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む元素である。
Aは、Na,K,Rb,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Si,P,S,Se,Ge,Ag,Au,Cd,Sn,Sb,Pt,Pd,Hg,Tl,Pb,Bi のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
また、Aは、Mg,Mn,Fe,Co,Ni,Zn のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのが好ましい。これらの元素を使用すると、結晶構造を維持するためのイオン半径が最適となり、イオン移動度についても十分に確保できるからである。また、イオンの価数を2価に制御することが容易となる。
また、Aは、Fe, Niのグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、容易にイルメナイト構造をとることができるからである。
Mは、Al,Ga,Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
また、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mn,Fe,Co,Ni のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのがさらに好ましい。これらの元素を使用すると、結晶内の電子状態をコントロールし易くなるためである。
また、Mは、Ti, Zr, Hf, V のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのが好ましい。これらの元素を使用すると、容易にイルメナイト構造をとることができるからである。
なお、A(0.1≦x≦2.2、1.5≦y≦2)で表されるスピネル構造と、A(0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1)で表されるデラフォサイト構造と、A(0.5≦x≦1.1、0.7≦y≦1.1)で表されるウルフラマイト構造と、A(0.5≦x≦1.1、0.9≦y≦1)で表されるイルメナイト構造と、のモル比x,yに関し、数値範囲の下限は、結晶構造を維持するために設定され、その上限は、結晶内の電子状態をコントロールするために設定される。
また、前述したように、電圧の印加によってAイオンの拡散を容易に生ぜしめるためには、電極間を結ぶ方向にAイオン元素の層が配置しているようにすることができる。このためには、スピネル構造、イルメナイト構造、及びデラフォサイト構造では、結晶のc軸が膜面と平行に配置していることが好ましく、ウルフラマイト構造では、結晶のa軸が膜面と平行に配置していることが好ましい。
以上のような記録層を所望の配向として使用することで、原理的には、Pbpsi(peta bit per square inch)級の記録密度を実現することができ、さらに、低消費電力化も達成できる。
図5に表した記録部において、記録層12内の小さな白丸はAイオン(例えば、拡散イオン)を、小さな黒丸はMイオン(例えば、母体イオン)を、大きな白丸はXイオン(例えば、陰イオン)を表す。
上述した構造を有する材料によれば、Aイオンが容易に第1化合物内を拡散し、かつ、Mイオンは第1化合物内を拡散しないように、2種類の陽イオン元素が選択される。この場合、拡散しないMイオンが第1化合物の結晶構造を保持するため、Aイオンの移動を容易に制御することが可能となる。このため、このような構造を有する第1化合物を用いることにより、情報記録再生装置の記録層12の抵抗値を容易に変化させることができる。
記録層12に電圧を印加し、記録層12内に電位勾配を発生させると、Aイオンの一部が結晶中を移動する。そこで、本実施形態では、記録層12の初期状態を絶縁体(高抵抗状態相)とし、電位勾配により記録層12を相変化させ、記録層12に導電性を持たせる(低抵抗状態相)ことにより情報の記録を行う。
まず、例えば、電極層13の電位が電極層11の電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層11を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、電極層13に負の電位を与えればよい。
この時、記録層12内のAイオンの一部が電極層13(陰極)側に移動し、記録層(結晶)12内のAイオンの数がXイオンに対して相対的に減少する。電極層13側に移動したAイオンは、電極層13から電子を受け取り、メタルであるA原子として析出してメタル層12Aを形成する。したがって、電極層13に近い領域では、Aイオンが還元されてメタル的に振舞うので、その電気抵抗が大きく減少する。
あるいは、例えばスピネル構造のように記録層12の結晶構造においてAイオンが占め得る空隙サイトがある場合には、電極層13側に移動したAイオンは電極層13側の空隙サイトを埋めてもよい。この場合にも、局所的な電荷の中性条件を満たすために、Aイオンは電極層13から電子を受け取り、メタル的に振舞う。
記録層12の内部では、Xイオンが過剰となり、結果的に、記録層12内に残されたAイオンあるいはMイオンの価数を上昇させる。このとき、その価数が上がったときに電気抵抗が減少するようにAイオンあるいはMイオンを選択すると、メタル層12A、記録層12内ともにAイオンの移動により電気抵抗が減少するので、記録層全体として低抵抗状態相へと相変化する。つまり、情報記録(セット動作)が完了する。
情報再生に関しては、例えば電圧パルスを記録層12に印加し、記録層12の抵抗値を検出することにより容易に行える。ただし、電圧パルスの振幅は、Aイオンの移動が生じない程度の微小な値であることが必要である。
以上説明した過程は、一種の電気分解であり、電極層(陽極)11側では電気化学的酸化により酸化剤が生じ、電極層(陰極)13側では電気化学的還元により還元剤が生じた、と考えることができる。
このため、低抵抗状態相を高抵抗状態相に戻すには、例えば、記録層12を大電流パルスによりジュール加熱して、記録層12の酸化還元反応を促進させればよい。すなわち、大電流パルスによるジュール熱のため、Aイオンは熱的により安定な結晶構造12内へと戻り、初期の高抵抗状態相が現れる(リセット動作)。
あるいは、セット動作時とは逆向きの電圧パルスを印加してもリセット動作を行うことができる。つまり、セット時と同様に電極層11を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、電極層13に正の電位を与えればよい。すると、電極層13近傍のA原子は電極層13に電子を与えAイオンとなった後、記録層12内の電位勾配により結晶構造12内に戻っていく。これにより、価数が上昇していた一部のAイオンは、その価数が初期と同じ値に減少するため、初期の高抵抗状態相へと変化する。ここで、整流素子14に例えばpn接合ダイオードを用いた場合、逆向きの電場を印加するためには、ツェナーブレークダウンを用いる。
ただし、この動作原理を実用化するには、室温でリセット動作が生じないこと(十分に長いリテンション時間の確保)と、リセット動作の消費電力が十分に小さいこととを確認しなければならない。
前者に対しては、Aイオンの配位数を小さく(理想的には2以下に)する、あるいはその価数を2価以上にすることで対応できる。
仮に、AイオンがLiイオンのような1価であると、セット状態において十分なイオンの移動抵抗が得られず、即座に、Aイオン元素は、メタル層から記録層12内に戻ってしまう。言い換えれば、十分に長いリテンション時間が得られないということになる。また、Aイオンが3価以上であると、セット動作に必要とされる電圧が大きくなるため、結晶の崩壊を引き起こす可能性がある。したがって、Aイオンの価数を2価にすることが、情報記録再生装置としては好ましいことになる。
また、後者に対しては、結晶破壊を引き起こすことなく、記録層(結晶)12内をAイオンが移動できるように、Aイオンのイオン半径を最適化し、移動パスが存在する構造を用いることにより対応できる。そのような記録層12としては、前述したような元素及び結晶構造を採用すればよい。
デラフォサイト構造のように配位数が小さい陽イオンをAイオンとして用いる場合には(デラフォサイト構造の場合、Aイオンの配位数は2)、Aイオンの価数を+1価とし、クーロン反発力を減少させることができる。これにより、Aイオンの拡散が容易となり、リセット動作の消費電力を低減することができる。また、配位数が小さいため、拡散した後の状態を安定に保持することが可能となる。
次に、各原子の混合比の最適値について説明する。
Aイオンが占め得る空隙サイトがある場合や、また、本来Mイオンが占めるサイトをAイオンが占めることが可能な場合には、Aイオンの混合比には若干の任意性がある。さらに、Xイオンの過剰/欠損がある場合にもAイオン、またはMイオンの混合比は定比組成のそれからずれることになる。したがって、Aイオン、Mイオンの混合比には幅を持たせてある。実際には、各状態の抵抗、あるいはAイオンの拡散係数が最適値になるように、Aイオンの混合比を最適化することが可能である。
Aイオン、Mイオンの混合比の下限は、所望の結晶構造を有する第1化合物を容易に作製できるように設定した。また、Mイオンのサイトを占めるイオンの総量が少なすぎると、Aイオンが引き抜かれた後の構造を安定に保持するのが困難になる。
以上説明したように、本実施形態によれば、上述した材料を記録層12に使用することにより陽イオンの拡散を容易にすることができ、抵抗変化に必要な消費電力を小さくし、熱安定性を高めることができる。また、結晶構造内の陽イオン元素の拡散のみを利用して抵抗変化を生ぜしめるため、動作特性の制御が容易で、セル間の動作特性のばらつきが小さい情報記録再生装置を実現できる。
また、結晶構造内部と結晶粒の周縁部においては、イオンの移動のしやすさが異なるため、結晶構造内における拡散イオンの移動を利用し、異なる位置での記録消去特性を均一にするためには、記録層は多結晶状態、あるいは単結晶状態からなることが好ましい。記録層が多結晶状態にあるときにおいては、成膜のしやすさを考慮すると、結晶粒の記録膜断面方向のサイズは、単一のピークをもつ分布に従い、その平均は3nm以上であることが好ましい。結晶粒サイズの平均が5nm以上であると、成膜がより容易であるため、さらに好ましく、10nm以上であると、異なる位置での記録消去特性をさらに均一化させることができるため、より好ましい。
記録層の膜厚は、高抵抗状態相と低抵抗状態相の抵抗が所望の値になるように適宜設定することができるが、典型的には例えば約1nm以上500nm程度以下である。図18に関して後述する変型例の場合、記録領域を小さくした場合においては、記録層の面内方向への広がりを抑えるために、記録領域の10倍より小さいことがより好ましい。
ところで、セット動作後の電極層(陽極)11側には酸化剤が生じるため、電極層11には、酸化され難い材料(例えば、電気伝導性窒化物、電気伝導性酸化物など)から構成するのが好ましい。
また、電極層11は、イオン伝導性を有しない材料から構成するのがよい。
そのような材料としては、以下に示されるものがあり、その中でも、電気伝導率の良さなどを加味した総合的性能の点から、LaNiOは、最も望ましい材料ということができる。
・ MN
Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Nは、窒素である。
・ MO
Mは、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W,Re,Ir,Os,Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。モル比xは、1≦x≦4を満たすものとする。
・ AMO
Aは、La,K,Ca,Sr,Ba,Ln(ランタノイド) のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
Mは、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W,Re,Ir,Os,Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
Oは、酸素である。
・ AMO
Aは、K,Ca,Sr,Ba,Ln(ランタノイド) のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
Mは、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W,Re,Ir,Os,Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
Oは、酸素である。
また、セット動作後の保護層(陰極)13側には還元剤が生じるため、保護層(電極層)13としては、記録層12が大気と反応することを防止する機能を持っていることが望ましい。
そのような材料としては、例えば、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、SnOなどの半導体がある。
電極層13は、記録層12を保護する保護層として機能させてもよいし、電極層13の代わりに保護層を設けてもよい。この場合、保護層は、絶縁体でもよいし、導電体でもよい。
また、リセット動作において記録層12の加熱を効率よく行うために、陰極側、ここでは、電極層13側に、ヒータ層(抵抗率が約10−5Ωcm以上の材料)を設けてもよい。
一方、整流素子14は、整流特性を有し、記録層12に印加される電圧の極性に方向性を持たせるために設けられる。整流素子14には、例えば、ツェナーダイオード、PN接合ダイオード、ショットキーダイオード等を用いることができる。整流素子14は、非選択状態(オフ)の抵抗値が選択状態(オン)の抵抗値の10倍以上であるものが望ましい。図1及び図2では、整流素子14が、電極層13と第2の配線15との間に設けられている具体例を表したが、整流素子14は、第1の配線10と電極層11との間に設けられてもよい。また、整流素子14は、第1の配線10と第2の配線15とが対向する領域以外の領域に設けてもよい。
次に、記録層12のさらに他の具体例について図6及び図7を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態の情報記録再生装置の記録部の構造を表す模式図である。
この記録部も、記録層12の両側を電極層11、13により挟んだ構造を有する。
記録層12は、電極層11側に配置され、AM1X1で表記される第1化合物12Eと、電極層13側に配置され、少なくとも1種類の遷移元素を有し、第1化合物12EのAイオン元素を収容できる空隙サイトを有する第2化合物12Fと、を有する。
第2化合物12Fは、Aイオンが収容される空隙サイトを□で表すとすると、例えば以下のような化学式で表されるものが挙げられる。空隙サイトの一部は、第2化合物12Fの成膜を容易にするために、予め他のイオンによって占有されていてもよい。
・ □M2X2
M2は、Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
X2は、O,S,Se,N,Cl,Br,I のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
モル比xは、0.3≦x≦1を満たすものとする。
・ □M2X2
M2は、Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
X2は、O,S,Se,N,Cl,Br,I のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
モル比xは、1≦x≦2を満たすものとする。
・ □M2X2
M2は、Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
X2は、O,S,Se,N,Cl,Br,I のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
モル比xは、1≦x≦2を満たすものとする。
・ □M2PO
M2は、Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
Pはリン元素であり、Oは酸素元素である。
モル比xは、0.3≦x≦3、4≦z≦6を満たすものとする。
・ □M2O
M2は、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
Oは酸素元素である。
モル比xは、0.3≦x≦2を満たすものとする。
第2化合物は、ホランダイト構造、ラムスデライト構造、アナターゼ構造、ブルッカイト構造、パイロルース構造、ReO構造、MoO1.5PO構造、TiO0.5PO構造、FePO構造、βMnO構造、γMnO構造、λMnO構造、スピネル構造、イルメナイト構造よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む構造を有していることが好ましい。特に、第1化合物と同一構造のイルメナイト構造を有していることが最も望ましい。
また、第1の層12Eの電子のフェルミ準位は、第2の層12Fの電子のフェルミ準位よりも低くする。これは、記録層12の状態に可逆性を持たせるために望ましい条件のひとつである。ここで、フェルミ準位については、いずれも真空準位から測定した値とする。
このように、記録層12EのAイオンを収容する空隙サイトを有する第2の化合物からなる記録層12Fを、第1の化合物に接して設けると、拡散したAイオン元素が安定に存在しやすくなる。このような材料の組み合わせを記録層に使用し、第1の層12Eと第2の層12Fと間のイオンの授受を容易にすることにより、抵抗変化に必要な消費電力を小さくし、熱安定性を高めることができる。また、このような材料の組み合わせを記録層に使用することで、原理的には、Pbpsi(peta bit per square inch)級の記録密度を実現することができ、さらに、低消費電力化も達成できる。
図6に表した記録部において、記録層12E内の小さな白丸はAイオン(例えば、拡散イオン)を、記録層12E内の小さな黒丸はM1イオン(例えば、母体イオン)を、記録層12E内の大きな白丸はX1イオン(例えば、陰イオン)を表す。また、図6に表した記録部において、記録層12F内の太線の白丸はM2イオン(例えば、遷移元素イオン)を、記録層12F内の網掛けの丸はX2イオン(例えば、陰イオン)を表す。
なお、図7に例示したように、記録層12を構成する第1及び第2の層12E,12Fは、それぞれ、2層以上の複数層を交互に積層してもよい。
このような記録部において、第1の層12Eが陽極側、第2の層12Fが陰極側になるように電極層11、13に電位を与え、記録層12内に電位勾配を発生させると、第1化合物を含む第1の層12E内のAイオンの一部が結晶中を移動し、陰極側の第2の層12F内に進入する。
第2の層12Fの結晶中には、Aイオンの空隙サイトがあるため、第1化合物を含む第1の層12Eから移動してきたAイオンは、この空隙サイトに収まる。
したがって、第2の層12F内では、AイオンあるいはM2イオンの一部の価数が減少し、第1の層12E内では、AイオンあるいはM1イオンの価数が増加する。したがって、Aイオン、あるいはM1イオンの少なくとも一方は、その価数が容易に変化できるように、電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素である必要がある。
つまり、初期状態(リセット状態)において、第1及び第2の層12E,12Fが高抵抗状態(絶縁体)であると仮定すれば、第1の層12E内のAイオンの一部が第2の層12F内に移動することにより、第1及び第2の層12E,12Fの結晶中に電導キャリアが発生し、両者は、共に、電気伝導性を有するようになる。
このように、電流/電圧パルスを記録層12に与えることにより、記録層12の電気抵抗値が小さくなるため、セット動作(記録)が実現される。
この時、同時に、第1の層12Eから第2の層12Fに向かって電子も移動するが、第2の層12Fの電子のフェルミ準位は、第1の層12Eの電子のフェルミ準位よりも高いため、記録層12のトータルエネルギーとしては、上昇する。
また、セット動作が完了した後も、このような高いエネルギー状態が継続されるため、記録層12は、自然に、セット状態(低抵抗状態)からリセット状態(高抵抗状態)に戻ってしまう可能性がある。
しかし、本実施形態の例に係る記録層12を用いれば、このような懸念は回避される。すなわち、セット状態を維持し続けることができる。
これは、いわゆるイオンの移動抵抗が働いているためである。前述のように、Aイオンの配位数を小さく(理想的には2以下に)する、あるいはその価数を2価にすることが、情報記録再生装置としては好ましい。
ところで、セット動作が完了した後には、陽極側に酸化剤が生成されるため、この場合にも、電極層11としては、酸化され難く、イオン伝導性を有しない材料(例えば、電気伝導性酸化物)を用いることが望ましい。その好適な例は前述の通りである。
リセット動作(消去)は、記録層12を加熱して、上述の第2の層12Bの空隙サイト内に収納されたAイオンが第1の層12E内に戻る、という現象を促進してやればよい。
具体的には、記録層12に大電流パルスを与えることにより発生するジュール熱とその残留熱とを利用すれば、容易に、記録層12を元の高抵抗状態(絶縁体)に戻すことができる。
このように、大電流パルスを記録層12に与えることにより、記録層12の電気抵抗値が大きくなるため、リセット動作(消去)が実現される。あるいは、セット時とは逆向きの電場を印加することによってもリセット動作は可能である。
ここで、低消費電力を実現するには、結晶破壊を引き起こすことなく、結晶内をAイオンが移動できるように、Aイオンのイオン半径を最適化し、移動パスが存在する構造を用いることが重要になる。
第2化合物12Fとして、上述したような材料及び結晶構造を用いた場合においては、このような条件を満たすことが可能となり、低消費電力を実現するのに有効となる。
また、図3に表した記録部のような構造を有する、A(0.1≦x≦2.2、1.5≦y≦2)で表されるスピネル構造、A(0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1)で表されるデラフォサイト構造、A(0.5≦x≦1.1、0.7≦y≦1.1)で表されるウルフラマイト構造、またはA(0.5≦x≦1.1、0.9≦y≦1)で表されるイルメナイト構造、のいずれかの化合物内では、Aイオンの移動が容易に生じるので、第1化合物として用いるのに好適である。
特に、その移動パスが電極間を結ぶ方向に配置するように、第1化合物12Eが配向している場合には、第1化合物12E内でのAイオンの移動が容易となるので、好ましい。さらに、第1化合物12Eの格子定数と第2化合物12Fの格子定数が一致する場合においては、空隙サイトがあり、成膜しにくい材料を用いた場合においても、容易に配向を制御して成膜することが可能となるので好ましい。
次に、第2化合物の膜厚の好適な範囲について説明する。
空隙サイトによるAイオン収納の効果を得るためには、第2化合物の膜厚は、1nm以上の膜厚であることが好ましい。
一方、第2化合物の空隙サイト数が第1化合物内のAイオン数よりも大きくなると、第2化合物の抵抗変化効果が小さくなるため、第2化合物内の空隙サイト数は、同じ断面積内にある第1化合物内のAイオン数と同じか、それより少ないことが好ましい。
第1化合物内のAイオンの密度と第2化合物内の空隙サイトの密度は、概ね同じであるため、第2化合物の膜厚は、第1化合物の膜厚と同程度か、それより小さいことが好ましい。
陰極側には、一般に、リセット動作をさらに促進するためのヒータ層(抵抗率約10−5Ωcm以上の材料)を設けてもよい。
プローブメモリでは、陰極側に還元性の材料が析出するため、大気との反応を防ぐために、表面保護層を設けることが好ましい。
ヒータ層と表面保護層を、両方の機能を持つ1つの材料で構成することも可能である。例えば、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、SnOなどの半導体は、ヒータ機能と表面保護機能とを併せ持っている。
再生に関しては、電流パルスを記録層12に流し、記録層12の抵抗値を検出することにより容易に行える。
ただし、電流パルスは、記録層12を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な値であることが必要である。
本具体例においても、記録層12の側面12aは、電極層11及び電極層13の少なくともいずれかと接していない。これにより、本実施形態の情報記録再生装置は、第1の実施形態の説明において記載した効果を有する。側面12aの近傍でのリーク電流を防ぎ、消費電力を低減させるとともに、結晶構造の変化に起因する抵抗変化特性のばらつきを低減し、セル間で動作特性が比較的均一な情報記録再生装置を実現化する。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る情報記録再生装置の製造方法について、図8〜図10を参照しつつ説明する。
図8〜図10は、本実施形態の製造方法を表すための模式工程断面図である。
まず、図8(a)に表したように、基板5の上に、第1の配線10、及び電極層11を構成する層をこの順番で一様に堆積する。
その後、図8(b)に表したように、所定の寸法のパターンにより第1の方向に沿って、例えばRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)によりエッチングを行う。エッチングは、基板5と第1の配線10との界面の深さまで行う。このようにして、第1の配線10と電極層11がパターニングされる。その後、エッチングにより生じた空間に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相堆積)により絶縁性材料を堆積し、素子間絶縁膜16を形成する。その後、電極層11が露出するように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)により平坦化を行う。
次に、図8(c)を参照しつつ説明する。図8(c)は、図8(b)のA−A’線断面図に相当する。
図8(c)に表したように、所定の寸法のパターンにより、平面(上面)から見て第1の方向と直行する第2の方向に沿って、例えばRIEによりエッチングを行う。エッチングは、第1の配線10と電極層11との界面の深さまで行う。その後、エッチングにより生じた空間に、例えばCVDにより絶縁性材料を堆積し、素子間絶縁膜16を形成する。その後、電極層11が露出するように、例えばCMPにより平坦化を行う。
次に、図8(d)を参照しつつ説明する。図8(d)は、図8(c)のB−B’線断面図に相当する。
図8(d)に表したように、この加工体の上に、記録層12、電極層13、及び整流素子14をこの順番で一様に堆積する。なお、整流素子14の上に、図示しないバリア層を堆積してもよい。
次に、図8(e)に表したように、所定の寸法のパターンにより第1の方向に沿って、例えばRIEによりエッチングを行う。エッチングは、記録層12と電極層13との界面の深さまで行う。このようにして、電極層13と整流素子14とが一方向にパターニングされる。
その後、図9(a)に表すように、第1の方向に沿って、記録層12のエッチングを行う。このエッチングの際に、パターニングされた電極層13や整流素子14をマスクとして用いることも可能である。ここで、記録層12のエッチングは、記録層12の側面(加工面)12aが電極層11と電極層13の両方に接続することを回避するように行う。具体例には、例えば図9(a)に表したように、記録層12の側面と電極層11とが接しないような形状となるように行う。例えばドライエッチングによりエッチングする場合、図8(e)に関して前述したエッチングでは、異方性の高い条件で整流素子14と電極層13を略垂直にエッチングするのに対して、その後の記録層12のエッチングにおいては、異方性が低い条件でエッチングする。RIEによりエッチングする場合においても、CDE(Chemical Dry Etching)モードに近い条件で略等方的にエッチングすることにより、図9(a)に表したような記録層12の加工形状を得ることが可能である。あるいは、図8(e)に関して前述したエッチングはRIEやイオン・ミリングなどのドライエッチングにより実施し、図9(a)に表した記録層12のエッチングは、ウエットエッチングにより実施してもよい。このようにしても、等方的にエッチングにより図9(a)に表したような記録層12の加工形状を得ることが可能である。
その後、図9(b)に表したように、エッチングにより生じた空間に、例えばCVDにより絶縁性材料を堆積し、素子間絶縁膜16を形成する。その後、整流素子14が露出するように、例えばCMPにより平坦化を行う。
次に、図9(c)を参照しつつ説明する。図9(c)は、図9(b)のA−A’線断面図に相当する。
図9(c)に表したように、所定の寸法のパターンにより第2の方向に沿って、例えばRIEによりエッチングを行う。エッチングは、記録層12と電極層13との界面の深さまで行う。
しかる後に、図9(d)に表したように、記録層12をエッチングする。この際に、図9(a)に関して前述したエッチングと同様に、記録層12の側面(加工面)が電極層11と電極層13の両方に接続することを回避するような形状となるように行う。具体例には、例えば記録層12の側面と電極層11とが接しないような形状となるように行う。図9(a)に関して前述したように、この際にも、異方性が低い条件によりドライエッチングしたり、あるいはウエットエッチングにより、図9(d)に表したように記録層12をエッチングすることが可能である。
次に、図10(a)に表したように、エッチングにより生じた空間に、例えばCVDにより絶縁性材料を堆積し、素子間絶縁膜16を形成する。その後、整流素子14が露出するように、例えばCMPにより平坦化を行う。その後、この加工体の上に、第2の配線15を一様に堆積する。
次に、図10(b)に表したように、所定の寸法のパターンにより第2の方向に沿って、例えばRIEにより配線15をパターニングする。
その後、図10(c)に表すように、配線15の間隙に、例えばCVDにより絶縁性材料を堆積し、素子間絶縁膜16を形成する。これにより、クロスポイント型の情報記録再生装置の要部が形成される。
本実施形態において、記録層12の側面12aは、電極層11と接していない。これにより、本実施形態の情報記録再生装置は、第1の実施形態に関して前述した効果を奏する。すなわち、本実施形態の情報記録再生装置は、リーク電流を防ぎ、消費電力を低減させるとともに、結晶構造などの変化に起因する抵抗変化特性の変化やばらつきを低減し、セル間で動作特性が比較的均一な情報記録再生装置を実現化する。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る情報記録再生装置について、図11及び図12を参照しつつ説明する。
図11は、本実施形態の情報記録再生装置の模式断面図である。図11(a)は、第1の配線10の延在方向(X方向)から見た模式断面図であり、図11(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)から見た模式断面図である。本実施形態の情報記録再生装置は、第1の実施形態の情報記録再生装置と基本的に同様の積層構造を有するが、第1の配線10及び電極層11のY方向の長さ(幅)が電極層13及び整流素子14のY方向の長さ(幅)よりも小さい(図11(a))。また、電極層11のX方向の長さ(幅)が電極層13及び整流素子14のX方向の長さ(幅)より小さい(図11(b))。このような形状にすることにより、記録層12の底面の面積に対して電極層11の上面の面積を相対的にさらに小さくできる。その結果として、記録層12の側面を電極層11からさらに遠ざけることができる。
このため、本実施形態の情報記録再生装置は、第1の実施形態において記載した効果をより確実に発現することができる。すなわち、リーク電流を防ぎ、消費電力を低減させるとともに、結晶構造などの変化に起因する抵抗変化特性の変化やばらつきを低減し、セル間の動作特性が比較的均一化される、という効果がより確実に発現される。
また、第1の配線10及び電極層11と、電極層13及び整流素子14と、の位置合わせも容易となる。すなわち、電極層11の上面の面積を小さくすることにより、電極層11と記録層12との相対的な位置関係が変動しても、記録層12の側面が電極層11に接しない状態を維持することが容易となる。
さらに、記録層12に流れる電流を良好に保つという利点も有する。記録層12に流しうる最大電流量は、整流素子14の断面積に比例して増加したり減少したりする。このため、電極層13(上部電極)及び整流素子14の幅を電極層11(下部電極)の幅に対して大きくすれば、セルサイズが小さくなった場合にも、記録層12に流しうる最大電流量を大きく保つことができる。
ここで、第1の配線10及び電極層11の幅(d1)と、電極層13及び整流素子14の幅(d2)との比(d1/d2)は、0.5以上1以下であることが好ましい。d1/d2の値が小さすぎると、第1の配線10の抵抗が過大となり、第1の配線10による電圧降下が無視できなくなる。また、電極層11と電極層13との位置合わせを容易にするすることを考慮して、d1/d2は、0.5以上0.8以下であることがより好ましい。
このような形状とするには、第1の実施形態に係る情報記録再生装置の形状を基準として、(1)第1の配線10及び電極層11の幅を小さくする、(2)記録層12、電極層13、及び整流素子14の幅を大きくする、並びに(3)(1)と(2)を併用する、の手法が挙げられる。
図12は、本実施形態の情報記録再生装置の製造工程の一部を表す模式平面図及び模式断面図である。図12(a)は、整流素子14(及び、必要に応じ、バリア層)を一様に形成した後、第1の方向にエッチングを行った状態(第3の実施形態における図9(a)に相当)の模式平面図である。また、図12(c)は、その後素子間絶縁膜16を堆積し平坦化した後に、第2の方向にエッチングを行った時(第3の実施形態における図9(d)に相当)の模式平面図である。図12(b)は図12(a)のA−A線断面図であり、図12(d)は図12(c)のB−B線断面図である。
本実施形態の情報記録再生装置の製造に際しては、電極層11のパターニングの幅と、電極層13のパターニングの幅と、をそれぞれ適宜設定すればよい。このようにして、図11に例示したセルを形成することができる。
図13〜図15は、本実施形態の変型例を表す模式断面図である。
図13に表した具体例の場合、電極層13の幅d2は、電極層11の幅d1よりも小さくされている。一方、記録層12は下に向けて水平断面積が大きくなるテーパ形状であり、側面12aは、電極層11とも電極層13とも接していない。つまり、記録層12の側面12aは、電極層11の側面とも電極層13の側面とも連続していない。このようにすれば、側面12aにおけるリーク電流の経路をさらに確実に遮断することができる。また、電極層13の幅d2を小さくすることにより、電極層13と記録層12との位置関係のずれに対する許容範囲を拡大することができる。
次に、図14に表した具体例の場合、図2に関して前述した具体例と比較して、電極層11と電極層13の両方の幅が小さくされている。その結果として、これら電極層11、13のいずれについても、記録層12の側面12aをさらに遠ざけることができ、リーク電流の発生や、抵抗特性の変化をさらに確実に抑制することができる。また、電極層11の幅d1と電極層13の幅d2をいずれも小さくすることにより、これら電極層11、13と記録層12との位置関係のずれに対する許容範囲を拡大できる。
次に、図15に表した具体例の場合、記録層12はテーパ形状にはされず、その側面12aはほぼ垂直に形成されている。そして、上下の電極層11、13の幅d1、d2は、記録層12の幅d3よりも小さくされている。このようにしても、電極層11、13を記録層12の側面12aから遠ざけることができる。その結果として、第1実施形態に関して前述したように、側面12aの近傍におけるリーク電流の発生を抑制し、また側面12aの近傍における結晶構造や組成の変化あるいは欠陥などに起因する抵抗特性の変化やばらつきを防止することが可能となる。なお、本具体例の構造は、例えば電極層11、記録層12、電極層13をそれぞれ所定の寸法のマスクにより別々にパターニングすれば形成できる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る情報記録再生装置について、図16を参照しつつ説明する。
図16(a)は、本実施形態の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、図16(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。
本実施形態においては、記録層12が、電極層11の側面と第1の配線10の側面を覆うように延在した形状とされている。このような形状にすることにより、記録層12の側面(加工面)12aと電極層11とが接しない構造を実現できる。
本実施形態においても、第1の実施形態に関して前述した効果を同様に得ることができる。すなわち、リーク電流を防ぎ、消費電力を低減させるとともに、結晶構造や組成の変化などに起因する抵抗変化特性の変化やばらつきを低減し、セル間の動作特性が比較的均一化される、という効果が得られる。
このような形状の情報記録再生装置は、例えば、第2の実施形態に係る製造方法において、次に説明する工程を採用することによって形成できる。まず、図8(b)に関して前述した工程において、素子間絶縁膜16の代わりに記録層12を堆積する。次に、図8(c)に関して前述した工程において、素子間絶縁膜16を堆積する工程を省略し、記録層12を一様に堆積する。次に、図9(a)に関して前述した工程において、配線10の間に堆積した記録層12を、基板5と第1の配線10との界面の深さまでエッチングする。ここで、記録層12が裾拡がりの形状となるように、例えば略等方的な条件でドライエッチングしたり、ウエットエッチングするとよい。次に、図9(c)に関して前述した工程において、電極層11の間に堆積した記録層12を、第1の配線10と電極層11との界面の深さまでエッチングする。ここでも、記録層12が裾拡がりの形状となるように、略等方的な条件でドライエッチングしたり、ウエットエッチングするとよい。このようにして、本実施形態の情報記録再生装置の要部を形成することが可能である。
図17は、本実施形態の情報記録再生装置の変型例を表し、図17(a)は、本変型例の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、図17(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。
本変型例においては、第1の配線10及び電極層11の幅d1が、電極層13の幅d2より小さい。このような形状にすることにより、記録層12の側面(加工面)12aと電極層11とをさらに遠ざけることができる。その結果として、第1の実施形態に関して前述した効果をさらに確実に得ることが可能となる。すなわち、リーク電流を防ぎ、消費電力を低減させるとともに、結晶構造や組成の変化などに起因する抵抗変化特性の変化やばらつきを低減し、セル間の動作特性が比較的均一化できる。
本実施形態では、前述したように、図8(c)に関して前述した工程において素子間絶縁膜16を堆積する工程が省略される。このため、本実施形態によれば、製造プロセスが容易となる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る情報記録再生装置について、図18を参照しつつ説明する。
図18(a)は、本実施形態の情報記録再生装置を第1の配線10の延在方向(X方向)からみた模式断面図であり、図18(b)は、第2の配線15の延在方向(Y方向)からみた模式断面図である。
本実施形態においては、記録層12は、水平方向に一様に設けられ、隣接する2つの電極層11の間及び隣接する2つの第1の配線10の間にも存在する。記録層12の電気抵抗が十分に高い場合には、このような形状にすることができる。この場合、隣接するセルの間で電流は殆ど流れず、クロストークは無視できる。つまり、各セルの間に存在する記録層12は、素子間絶縁膜16と同様の機能を有する。
一方、記録層12の材料の電気抵抗が十分に高くない場合でも、セル内の記録層12とセル外の記録層12との間で結晶性(結晶状態または非晶質状態)や組成などが異なるように記録層12を成膜してもよい。例えば、Aイオン元素の拡散態様を違えるべく結晶方位を異ならしめて記録層12を成膜すればよい。この場合も、隣接するセルの間で電流は流れず、各セルの間に存在する記録層12は、素子間絶縁膜16と同じ機能を有する。
あるいは、記録層12を一様に堆積した後に、セル間に堆積された記録層12の結晶構造や組成などを変化させてもよい。例えば、セル間に堆積された記録層12を酸化や窒化することにより、その電気抵抗を上昇させてもよい。
本実施形態の情報記録再生装置は、記録層12の加工面がないため、第1の実施形態に関して前述した効果をさらに確実に得ることが可能となる。すなわち、リーク電流を防ぎ、消費電力を低減させるとともに、加工に伴う結晶構造や組成の変化などに起因する抵抗変化特性の変化やばらつきを低減し、セル間の動作特性が比較的均一化できる。
本実施形態では、図8(c)に関して前述した工程において素子間絶縁膜16を堆積する工程が省略されるとともに、図9(a)及び図9(d)に関して前述した工程においてエッチングガスの照射角度を変える等の必要はない。このため、本実施形態によれば、製造プロセスが容易となる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係る情報記録再生装置について、図19〜図23を参照しつつ説明する。
本実施形態では、第1〜第5の実施形態の記録部を、半導体メモリに適用した。
図19は、第1〜第5実施形態のいずれかの記録層を備えたクロスポイント型半導体メモリを表す模式図である。
ワード線WLi−1,WL,WLi+1はX方向に延び、ビット線BLj−1,BL,BLj+1はY方向に延びる。
ワード線WLi−1,WL,WLi+1の一端は、選択スイッチとしてのMOSトランジスタRSWを経由してワード線ドライバ&デコーダ31に接続され、ビット線BLj−1,BL,BLj+1の一端は、選択スイッチとしてのMOSトランジスタCSWを経由してビット線ドライバ&デコーダ&読み出し回路32に接続される。
MOSトランジスタRSWのゲートには、1本のワード線(ロウ)を選択するための選択信号Ri−1,R,Ri+1が入力され、MOSトランジスタCSWのゲートには、1本のビット線(カラム)を選択するための選択信号Ci−1,C,Ci+1が入力される。
メモリセル33は、ワード線WLi−1,WL,WLi+1とビット線BLj−1,BL,BLj+1との交叉部に配置される。いわゆるクロスポイント型セルアレイ構造である。
メモリセル33には、記録/再生時における回り込み電流(sneak current)を防止するためのダイオード34が付加される。
図20は、図19に表した半導体メモリのメモリセルアレイ部の構造を表す模式図である。
半導体チップ30上には、ビット線BLj−1,BL,BLj+1とワード線WLi−1,WL,WLi+1とが配置され、これら配線の交叉部にメモリセル33及びダイオード34が配置される。なお、ダイオード34とワード線(WL等)との間には、図示しないバリア層が設けられてもよい。
このようなクロスポイント型セルアレイ構造の特長は、メモリセル33に個別にMOSトランジスタを接続する必要がないため、高集積化に有利な点にある。例えば、図22及び図23に表したように、メモリセル33を積み重ねて、メモリセルアレイを3次元構造にすることも可能である。
メモリセル33は、例えば、図21に表したように、記録層22、ヒータ層35、及び保護層13Bのスタック構造から構成される。1つのメモリセル33により1ビットデータを記憶する。また、ダイオード34は、ワード線WLとメモリセル33との間に配置される。なお、前述したように、ダイオード34とワード線(WL等)との間には、図示しないバリア層が設けられてもよい。
図22及び図23は、メモリセルアレイの他の具体例を表す模式図である。
図22に表した具体例においては、X方向に延びたワード線WLi−1,WL,WLi+1の上下に、Y方向に延びたビット線BLj−1,BL,BLj+1がそれぞれ設けられている。そして、これらビット線とワード線とのクロスポイントに、メモリセル33及びダイオード34がそれぞれ配設されている。つまり、ワード線をその上下のメモリセルで共有した構造とされている。なお、ダイオード34とワード線(WL等)との間、及びダイオード34とビット線(BL(u)等)との間には、図示しないバリア層が設けられてもよい。
図23に表した具体例においては、Y方向に延びたビット線BLj−1,BL,BLj+1と、X方向に延びたワード線WLi−1,WL,WLi+1と、が交互に積層された構造となっている。そして、これらビット線とワード線とのクロスポイントに、メモリセル33及びダイオード34がそれぞれ配設されている。つまり、ビット線とワード線を、それらの上下のメモリセルで共有した構造とされている。なお、ダイオード34とワード線(WL(d)等)との間、及び、ダイオード34とビット線(BL(u))との間、及びダイオード34とワード線(WL(u)等)との間には、図示しないバリア層が設けられてもよい。
図22及び図23に例示したような積層構造を採用することにより、記録密度を上げることが可能となる。
次に、図19〜図21を参照しつつ図5〜図7に関して前述した記録層を用いた半導体メモリの記録/再生動作について説明する。
ここでは、図19において点線Aで囲んだメモリセル33を選択し、これについて記録/再生動作を実行する場合について説明する。
(図5に関して前述した記録層を用いた場合)
記録(セット動作)は、選択されたメモリセル33に電圧を印加し、そのメモリセル33内に電位勾配を発生させて電流パルスを流せばよいため、例えば、ワード線WLの電位がビット線BLの電位よりも相対的に低い状態を作る。ビット線BLを固定電位(例えば、接地電位)とすれば、ワード線WLに負の電位を与えればよい。
この時、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、A1イオンの一部がワード線(陰極)WL側に移動し、結晶内のAイオンがXイオンに対して相対的に減少する。また、ワード線WL側に移動したAイオンは、ワード線WLから電子を受け取ってメタルとして析出する。
点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、Xイオンが過剰となり、結果的に、結晶内におけるAイオンあるいはMイオンの価数を上昇させる。つまり、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33は、相変化によるキャリアの注入により電子伝導性を有するようになるため、記録(セット動作)が完了する。
なお、記録時には、非選択のワード線WLi−1,WLi+1及び非選択のビット線BLj−1,BLj+1については、全て同電位にバイアスしておくことが望ましい。
また、記録前のスタンバイ時には、全てのワード線WLi−1,WL,WLi+1及び全てのビット線BLj−1,BL,BLj+1をプリチャージしておくことが望ましい。
また、記録のための電流パルスは、ワード線WLの電位がビット線BLの電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させてもよい。
再生に関しては、電流パルスを点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33に流し、そのメモリセル33の抵抗値を検出することにより行う。ただし、電流パルスは、メモリセル33を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な値とすることが必要である。
例えば、読み出し回路により発生した読み出し電流(電流パルス)をビット線BLから点線Aで囲まれたメモリセル33に流し、読み出し回路によりそのメモリセル33の抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すれば、セット/リセット状態の抵抗値の差は、10以上を確保できる。
消去(リセット)動作に関しては、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33を大電流パルスによりジュール加熱して、そのメモリセル33における酸化還元反応を促進させることにより行う。
(図6及び図7に関して前述した記録層を用いた場合)
記録動作(セット動作)は、選択されたメモリセル33に電圧を印加し、そのメモリセル33内に電位勾配を発生させて電流パルスを流せばよいため、例えば、ワード線WLの電位をビット線BLの電位よりも相対的に低くする。ビット線BLを固定電位(例えば、接地電位)とすれば、ワード線WLに負の電位を与えればよい。
この時、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、第1化合物内のAイオンの一部が第2化合物の空隙サイトに移動する。このため、第2化合物内のAイオンあるいはM2イオンの価数が減少し、第1化合物内のAイオンあるいはM1イオンの価数が増加する。その結果、第1及び第2化合物の結晶中に電導キャリアが発生し、両者は、共に、電気伝導性を有するようになる。
これにより、セット動作(記録)が完了する。
なお、記録時には、非選択のワード線WLi−1,WLi+1及び非選択のビット線BLj−1,BLj+1については、全て同電位にバイアスしておくことが望ましい。
また、記録前のスタンバイ時には、全てのワード線WLi−1,WL,WLi+1及び全てのビット線BLj−1,BL,BLj+1をプリチャージしておくことが望ましい。
電流パルスは、ワード線WLの電位がビット線BLの電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させてもよい。
再生動作は、電流パルスを点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33に流し、そのメモリセル33の抵抗値を検出することにより行う。ただし、電流パルスは、メモリセル33を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な値とすることが必要である。
例えば、読み出し回路により発生した読み出し電流(電流パルス)をビット線BLから点線Aで囲まれたメモリセル33に流し、読み出し回路によりそのメモリセル33の抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すれば、セット/リセット状態の抵抗値の差は、10以上を確保できる。
リセット(消去)動作は、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33に大電流パルスを流すことにより発生するジュール熱及びその残留熱を利用して、Aイオン元素が第2化合物内の空隙サイトから第1化合物内に戻ろうとする作用を促進してやればよい。
以上説明したように、本実施形態の半導体メモリによれば、現在のハードディスクやフラッシュメモリよりも高記録密度及び低消費電力を実現できる。
本実施形態において、記録層22の側面は、ダイオード34及びヒータ層35の少なくとも1つ、具体例には、ヒータ層35と接しない。これにより、本実施形態の情報記録再生装置は、第1の実施形態に関して前述した効果を有する。すなわち、本実施形態の情報記録再生装置は、リーク電流を防ぎ、消費電力を低減させるとともに、結晶構造や組成などの変化に起因する抵抗変化特性の変化やばらつきを低減し、セル間で動作特性が比較的均一な情報記録再生装置を実現化する。
このように、本実施形態の例によれば、極めて単純な仕組みであるにもかかわらず、従来技術では到達することのできない記録密度による情報記録を可能とする。したがって、本実施形態の例は、現在の不揮発性メモリの記録密度の壁を打ち破る次世代技術として産業上のメリットは多大である。
なお、本実施形態の例は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、本実施形態の例は、成膜された直後の状態を初期状態として、セット、リセットを定義したが、セット、リセットの定義は任意のものであり、本実施形態の例に限定されるものではない。さらに、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明によれば、低消費電力で安定動作可能な不揮発性の情報記録再生装置が提供される。

Claims (10)

  1. 第1の層と、
    第2の層と、
    前記第1の層と前記第2の層との間に狭持され、前記第1の層と前記第2の層とを介して供給される電流により、抵抗が低い第1の状態と抵抗が高い第2の状態との間を可逆的に遷移可能な記録層と、
    を備え、
    前記記録層の側面は、前記第1及び第2の層の少なくともいずれかと接していないことを特徴とする情報記録再生装置。
  2. 前記記録層は、その主面に対して平行な断面が前記第1及び第2の層のいずれかに近づくにつれて大きくなるテーパ形状を有することを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
  3. 前記記録層の前記側面は、前記記録層の主面に対して傾斜した部分を有することを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録再生装置。
  4. 前記記録層は、前記第1の層に接続された第1の主面と、前記第2の層に接続された第2の主面と、を有し、
    前記第1及び第2の主面の少なくともいずれかは、前記第1及び第2の層のいずれかに接続された接続部と、前記接続部を取り囲みその周囲に延在した延在部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の情報記録再生装置。
  5. 前記記録層は、前記第1及び第2の層のいずれかの側面を覆うように延在してなることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
  6. 前記第1の層の幅と前記第2の層の幅とが異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の情報記録再生装置。
  7. 前記第1の層は整流素子を含み、前記第1の層の幅は、前記第2の層の幅よりも大きいことを特徴とする請求項6記載の情報記録再生装置。
  8. 前記記録層は、少なくとも2種類の陽イオン元素を有する複合化合物であって、前記陽イオン元素の少なくともいずれかは電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素であり、隣接する前記陽イオン元素間の最短距離は0.32nm以下である第1化合物を含む第1化合物層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の情報記録再生装置。
  9. 前記第1化合物は、A(0.1≦x≦2.2、1.5≦y≦2)で表されるスピネル構造、A(0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1)で表されるデラフォサイト構造、A(0.5≦x≦1.1、0.7≦y≦1.1)で表されるウルフラマイト構造、及びA(0.5≦x≦1.1、0.9≦y≦1)で表されるイルメナイト構造のいずれかを有することを特徴とする請求項8記載の情報記録再生装置。
  10. 前記記録層は、前記第1化合物層に接して設けられた第2化合物層をさらに有し、
    前記第2化合物層は、前記陽イオンを収容可能な空隙サイトを有することを特徴とする請求項8または9に記載の情報記録再生装置。
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