JPWO2009096085A1 - レンズ用鋳型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
眼鏡レンズ用ガラスモールドの成形方法としては、機械的研削研磨法や、機械的研削法や放電加工等の電気的加工法により作成した耐熱性母型を用い、これにガラスブランクスを接触加熱軟化させて母型の面形状を転写する方法等、得ようとする面形状ごとに研削プログラムを用いたり、対応する面形状を有する母型を成形する方法が採用されている。
そこで本発明の目的は、連続式加熱炉を使用した熱垂下成形法によって、優れた装用感を有する眼鏡レンズを成形可能な眼鏡レンズ用鋳型を提供することにある。
多焦点眼鏡レンズの中でも、屈折力が上部から下部へ向かって連続的に変化する累進面を有する累進屈折力レンズは、遠近両用レンズとして広く使用されている。上記累進面では、近用部では曲率が大きく(カーブが深く)、遠用部では曲率が小さい(カーブが浅い)。従って、累進面を形成するためのモールドの成形面も、近用部成形部では曲率が大きく、遠用部成形部では曲率が小さくなる。更には、熱垂下成形法により上記モールド成形面を成形するための成形型の成形面においても、モールド成形面の近用部成形部に対応する部分では曲率が大きく、遠用部成形部に対応する部分では曲率が小さくなる。
そこで本発明者らは、この形状的特徴および連続式加熱炉における加熱の不均一性を利用し、連続式加熱炉内の成形型搬送方向に向かって温度が上昇する領域において、近用部成形部相当側が前方、遠用部成形部相当側が後方となるように成形型(成形面上にガラス素材が配置されている)を搬送することにより、加熱軟化による変形を制御し、モールド成形面を容易に形成できることを新たに見出した。これは、熱垂下成形法により累進面を形成する場合、近用部成形側の変形量は大きく、遠用部成形側の変形量は小さいため、大きく変形させるべき近用部成形部相当側を高温側へ配置することにより、炉内の温度分布を利用し変形量を制御できるからである。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
前記連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御すること、
前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、ならびに、
上記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想直線によって二分される搬送方向側の部分に成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、
を含む前記製造方法
に関する。
本発明は、被成形ガラス素材を成形面上に配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入し、該炉内を搬送しながら加熱処理を施すことにより、上記被成形ガラス素材の上面を、累進面を含む面を形成するための成形面形状に成形する、レンズ用鋳型の製造方法(以下、「態様I」ともいう)に関する。態様Iは、連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御すること、前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、ならびに、上記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想直線によって二分される搬送方向側の部分に成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、を含む。
図1に、熱垂下成形法の説明図を示す。
通常、熱垂下成形法では、被成形ガラス素材を、ガラス素材下面中央部と成形型成形面が離間した状態となるように成形型上に配置した状態(図1(a))で加熱処理を施す。これにより、被成形ガラス素材の下面は自重により変形し成形型成形面と密着し(図1(b))、成形型成形面形状がガラス素材上面に転写され、その結果、ガラス素材上面を所望形状に成形することができる。製造された鋳型は、注型重合法によりプラスチックレンズを製造するための成形型の上型または下型として使用することができる。より詳しくは、熱垂下成形法により成形されたガラス素材上面が成形型内部に配置されるように、上型および下型をガスケット等により組み合わせて成形型を組み立て、この成形型のキャビティへプラスチックレンズ原料液を注入し重合反応を行うことにより、累進面を有するレンズを得ることができる。
そこで態様Iでは、連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御するとともに、上記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想直線によって二分される搬送方向側の部分に、成形面上で曲率が最大となる部分、即ち成形面と密着させるためには大きく変形させる必要がある部分が含まれるように成形型を搬送する。前述の特開昭63−306390号公報に記載の方法では、連続式加熱炉内の温度分布による加熱の不均一性への対策として、加熱状態が均一となるように加熱対象物を回転させていたのに対し、態様Iでは連続式加熱炉内の加熱の不均一性を利用し、同一加熱対象物における加熱変形量を意図的に変えることにより、連続式加熱炉を使用し累進屈折力レンズ用鋳型を生産性よく量産することができる。
前記成形型として、面内に曲率分布を有し、かつ幾何中心を通過する仮想直線上に、該直線上で曲率が最大となる点を2点、幾何中心からの距離が略等しい対向する位置に有する成形面を有する成形型を使用すること、
前記連続式加熱炉として、両側面に熱源が配置された側方加熱領域を含む連続式加熱炉を使用し、かつ前記連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御すること、
上記側方加熱領域において、成形型搬送方向が上記仮想直線と略直交するように成形型を搬送すること、および、
上記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ上記仮想直線によって二分される搬送方向側の部分に成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、
を更に含む。
一方、上記眼鏡レンズは、トーリック面において主経線上の対称の位置に、曲率が最大となる点を2点有する。主経線上で曲率が最大となる点では、主経線上で最もカーブが深くなる。このようなトーリック面を形成するためのモールドの成形面も、主経線に対応する軸上に、曲率が最大となる点を2点、対称の位置に有する。更には、熱垂下成形法により上記モールド成形面を成形するための成形型の成形面においても、モールド成形面と同様に主経線に対応する軸上に、曲率が最大となる点を2点、対称の位置に有する。即ち、上記成形型成形面では、曲率が最大となる点を2点、幾何中心を基準として対称の位置に有する軸が存在する。
更に本発明者らは、トーリック面形成用の成形型成形面の形状的特徴を利用し、被成形ガラス素材を配置した成形型を、両側面に熱源を配置した連続式加熱炉内に、上記主経線に対応する軸が搬送方向とほぼ直交するように通過させることにより、加熱軟化による変形を制御し、モールド成形面を容易に形成できることを新たに見出した。例えば入口から出口に向かって高温となるような温度分布を有する連続式加熱炉内で、被成形ガラス素材を上記形状の成形面上に配置して成形しようとすると、搬送方向側(高温側)ほど早く変形するため、ガラス素材下面の位置によって成形型成形面と密着するタイミングが大きく異なり、眼鏡矯正に不要なアスティグマが発生したり、設計値からの誤差が非対称となり眼鏡の装用感が低下することがある。これに対し、連続式加熱炉内に両側面に熱源を配置した領域を設けた上で、この領域に上記軸と搬送方向がほぼ直交するように成形型を搬送すれば、大きく変形させるべき部分を左右均等に加熱することができ、ガラス素材下面と成形型成形面との密着のタイミングを面内各部で揃えることができる。
態様IIは、以上の知見に基づき完成された。
態様IIでは、上記複合面を形成するための成形面を有する成形型において、軸対称性を有する曲率の最大方向と、対称性がない最大曲率をそれぞれ特定し、前記特定された基準位置に対応して成形型の搬送方向を決定する。搬送方法の詳細は後述する。
そこで態様IIでは、成形型成形面の対称性を利用し、連続式加熱炉内に両側面に熱源を配置した領域を設け、この領域での成形型搬送方向が上記仮想直線と略直交するように成形型を搬送する。これにより、同一軸上で大きく変形させるべき2箇所を均等に加熱変形することが可能となる。
本発明において連続式加熱炉内を通過させることにより上面を成形するガラス素材は、成形型成形面と密着させるべき下面の形状が球面、平面または中心対称性を有する非球面であるガラス素材が好適である。これは、例えば球面形状のガラス素材下面は、面内で曲率が一定であるため、面内で曲率が異なる成形型成形面と密着させる際、面内での変形量の違いが特に顕在化するからである。ガラス素材下面が平面および中心対称性を有する非球面の場合も同様である。このような場合であっても、先に説明したように本発明によれば、連続式加熱炉内においてガラス素材の加熱変形量を制御することができる。更に、被ガラス成形素材としては、前記形状の下面を有するとともに上面に乱視成分(トーリック)を含むガラス素材も好適である。
ガラス素材両面の法線方向とは、ガラス素材表面上の任意の位置でガラス素材表面となす角度が垂直である方向を示す。従って法線方向は面上の各位置によって変化する。例えば図2の方向204はガラス素材凹面上の点208における法線方向を表し、法線方向204が凹凸面となす交点がそれぞれ208および209となるため、208と209との間隔が、法線方向の厚みとなる。一方、他のガラス凹面上の位置として例えば210や212があり、その法線方向はそれぞれ方向203と方向205である。法線方向203上では210と211の間隔が、法線方向205では212と213の間隔が、法線方向の厚みとなる。法線方向に等厚なガラス素材では、このように上下面の法線方向間隔が同一の値となる。つまり、法線方向に等厚なガラス素材では、上下面が同一の中心(図1中の207)を共有する球面の一部となる。
通常、連続式加熱炉の熱源は、加熱対象物搬送経路の上方および/または下方に設けられる。これに対し、本発明では、連続式加熱炉内に、両側面に熱源が配置された領域(側方加熱領域)を設けることができる。この領域は、少なくとも、ガラスの軟化変形が進行する領域とすることが好ましく、被成形ガラス素材を該ガラスのガラス転移温度以上に加熱する領域であることが更に好ましい。本発明では、連続式加熱炉を、入口から出口に向かって、昇温領域、定温保持領域、冷却領域、がこの順に位置するように温度制御することが好ましい。上記一連の領域を通過させることによりガラス素材の加熱処理を連続的に行うことができる。この場合、側方加熱領域は、少なくとも昇温領域とすることができ、好ましくは昇温領域および定温保持領域とすることができ、更に好ましくは昇温領域、定温保持領域および冷却領域を含む炉内全領域とすることができる。
本発明では、連続式加熱炉内の成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度部分を有する昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想直線によって二分される搬送方向側の部分に成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送する。このようにガラス素材を、最も大きく変形させるべき部分が炉内の高温側に位置するように搬送することにより、成形面とガラス素材下面と密着のタイミングのばらつきを低減し、変形を制御することが可能となる。ガラス素材下面と成形面とが密着するタイミングが面内各部において大きく異なると、眼鏡矯正に不要なアスティグマが発生したり、設計値からの誤差が非対称となり眼鏡の装用感が低下することがあるのに対し、本発明によれば優れた装用感を有する眼鏡レンズを成形可能な鋳型を得ることができる。
眼鏡レンズの屈折率を測定する基準点として、JIS T7315、JIS T7313またはJIS T7330に屈折力測定基準点が規定されている。屈折力測定基準点は、眼鏡レンズの物体側または眼球側の面上の例えば直径8.0〜8.5mm程度の円で囲まれる部分である。本発明により製造される鋳型によって成形可能な眼鏡レンズには、遠用部測定基準点と近用部測定基準点という2つの屈折力測定基準点が存在する。累進屈折力レンズの遠用部測定基準点と近用部測定基準点の間に位置する中間領域は累進帯と呼ばれ、屈折力が累進的に変化している。さらに近用部測定基準点は主子午線から左右いずれかの位置の眼球の輻輳に相当する位置に配置されており、眼球の左右区分に応じて主子午線の左右いずれに配置されるかが決定される。熱垂下成形法によりガラス素材が成形され鋳型となった場合、該鋳型では、ガラス素材上面(成形面と密着した面とは反対の面)であった面が眼鏡レンズに転写される。成形型成形面の「屈折力測定基準点に相当する位置」とは、製造される鋳型表面において眼鏡レンズの屈折力測定基準点に転写される部分となるガラス素材上面の部分に、好ましくは法線方向において対向するガラス素材下面に密着する部分をいうものとする。成形型成形面上の「遠用部測定基準点に相当する位置」および「近用部測定基準点に相当する位置」の配置例を図3に示す。
以下に、方法1について説明する。
図4に示すように成形型成形面の幾何中心を通り端と端を結んだ直線上の3点AOBの座標値を使用してその断面における近似曲率半径を、円の式の連立方程式から算出する。計算に使用する3点をA(X1,Y1)、O(X2,Y2)、B(X3,Y3)とすると図4に示すように、ZX断面の座標値は、A(X1,Z1)、O(X2,Z2)、B(X3,Z3)となる。この3点AOBを通る円の式を求めるには、以下の連立方程式を解く。ただし、この3点がZX断面において直線上にないいことが必要条件となる。a、bをそれぞれ円の中心のX、Z座標値、rは円の半径とすると、連立方程式は下記式2となる。
図8に示すように、成形型成形面の幾何中心を通り端と端を結んだ直線上の3点以上の座標値を使用してその断面における近似曲率半径を円の式に最小二乗法で近似して算出する。図8中のA〜I点のように3点以上のn個の点で計算に使用する座標点を(X1,Y1),(X2,Y2),・・・,(Xn,Yn)とすると、図8に示すようにZX断面の座標値は(X1,Z1),(X2,Z2),・・・,(Xn,Zn)となる。このn個の座標値に最も近い円の式を求めるには最小二乗法を使用して下記式5の連立方程式を解く。ただし、この全ての点がZX断面において直線上にないことを条件とする。式5中、a、bはそれぞれ円の中心のX、Z座標値、rは円の半径とする。
次に、連続式加熱炉の温度制御について説明する。
連続式加熱炉とは、入口と出口を有しており、コンベアー等の搬送装置によって設定された温度分布の炉内に被加工物を一定時間で通過させて熱処理を行う装置である。連続式加熱炉では、発熱と放熱を考慮した複数のヒーターと炉内空気循環の制御機構によって、炉内部の温度分布を制御することができる。通常、ヒーターは炉内搬送経路の上部および下部に設置されるが、前述のように本発明では少なくとも一部に、両側面に熱源を配置した領域を設けることができる。
PID制御を用いることにより、投入された処理物形状および数量による熱量分布の変化に対する炉内温度の温度制御精度を高くすることができる。また電気炉内における搬送は、無摺動方式(例えばウォーキングビーム)を採用することができる。
上記では、少なくとも3点が接触点(支持点)となる態様について説明したが、4点以上で接触(支持)することももちろん可能である。
以下に、17時間を1サイクルとする温度制御の一例を説明する。但し、本発明は以下に示す態様に限定されるものではない。
被成形ガラス素材を成形面上に配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入し、該炉内を搬送しながら加熱処理を施すことにより、上記被成形ガラス素材の上面をトーリック面を形成するための成形面形状に成形する、トーリック面を有するレンズ用鋳型の製造方法であって、
前記成形型として、幾何中心を通過する仮想直線上に、該直線上で曲率が最大となる点を2点、幾何中心からの距離が略等しい対向する位置に有する成形面を有する成形型を使用すること、および、
前記連続式加熱炉として、両側面に熱源が配置された領域(側方加熱領域)を含む連続式加熱炉を使用し、かつ、上記領域において、成形型搬送方向が上記仮想直線と略直交するように成形型を搬送すること、
を含む前記製造方法。
トーリック面を有する眼鏡レンズとしては、態様IIについて説明したような両面非球面型累進屈折力レンズのほかに、乱視矯正用レンズがある。これらトーリック面を有する眼鏡レンズは、主経線上の対称の位置に、曲率が最大となる点を2点有する。曲率が最大となる点では、主経線上で最もカーブが深くなる。このようなトーリック面を形成するためのモールドの成形面も、主経線に対応する軸上に、曲率が最大となる点を2点、対称の位置に有する。更には、熱垂下成形法により上記モールド成形面を成形するための成形型の成形面においても、モールド成形面と同様に主経線に対応する軸上に、曲率が最大となる点を2点、対称の位置に有する。即ち、上記成形型成形面では、曲率が最大となる点を2点、幾何中心を基準として対称の位置に有する軸が存在する。
そこで本発明者らは、態様IIについて説明したように、この形状的特徴を利用し、被成形ガラス素材を配置した上記成形面を有する成形型を、両側面に熱源を配置した連続式加熱炉内を、上記軸が搬送方向とほぼ直交するように通過させることにより、加熱軟化による変形を制御し、モールド成形面を容易に形成できることを新たに見出した。例えば入口から出口に向かって高温となるような温度分布を有する連続式加熱炉内で、被成形ガラス素材を上記形状の成形面上に配置して成形しようとすると、搬送方向側(高温側)ほど早く変形するため、ガラス素材下面の位置によって成形型成形面と密着するタイミングが大きく異なり、眼鏡矯正に不要なアスティグマが発生したり、設計値からの誤差が非対称となり眼鏡の装用感が低下することがある。これに対し、連続式加熱炉内に両側面に熱源を配置した領域を設けた上で、この領域に上記軸と搬送方向がほぼ直交するように成形型を搬送すれば、最も大きく変形させるべき部分を左右均等に加熱することができ、ガラス素材下面と成形型成形面との密着のタイミングを面内各部で揃えることができる。参考態様Aは、以上の知見に基づき完成された。参考態様Aによれば、優れた装用感を有する乱視矯正用レンズを成形可能な眼鏡レンズ用鋳型を高い生産性をもって製造することができる。
炉内全域にわたって上下両側面に板状のヒーターを配置した連続式加熱炉内でのガラス素材の温度分布の評価を下記条件にて行った。
内部に横方向に2列、縦方向に54タクトを有し、横方向の2列には耐熱ステンレスの上に各3個のセラミックス型とプリフォーム(ガラス素材)を載せることができる電気炉を使用した。それぞれについて、各プリフォーム表面上に最大4方向と中心の温度分布測定を行った。搬送系に問題のないと思われる最大数のセンサー19本を用いて測定を行った。図12に、横方向のセンサーレイアウトを示す。測温位置は中心と外周側のプリフォーム周辺部は外周より10mm内側とし、最小番号を電気炉出口側として配置した。尚、図12中、図示しない番号16のセンサーは、室温測定用センサーである。
上記のようにセンサーを配置した電気炉に、通常量産投入時を挿入し、センサー位置の前後にはダミーのセラミックス型を配置した後、炉内を前述の具体的態様に示した温度分布に制御し電気炉を稼動させた。図13に、電気炉内レイアウトを示す。
両面球面で法線方向に等厚な2種類のガラスプリフォームを、トーリック面と遠用部と近用部を含む累進面との複合面を有する両面非球面型累進屈折力レンズに対応する成形面を有する成形型の成形面上に配置した。次いで、プリフォームを配置した成形型を、成形面の幾何中心から周縁部へ向かって平均曲率が最大となる方向が搬送方向と一致するように電気炉内へ導入し炉内で搬送した。この状態で、成形型成形面の、トーリック面の乱視軸に相当する直線と搬送方向とのなす角度は、90°であった。電気炉内の温度制御は前述の具体的態様と同様にした。定温保持工程中、プリフォームの温度がTgを超えた時点で成形型からの吸引および成形型の180°反転を行った。炉外へ排出されたガラス素材の上面形状の設計値からの形状誤差(測定値−設計値)をタリサーフによって測定した。結果を図16に示す。
電気炉導入時の成形型の向きを180°変えた点以外は実施例1と同様の2種類のガラスプリフォームの加熱成形を行った。実施例1と同様に炉外へ排出されたガラス素材の上面形状の設計値からの形状誤差を測定した。結果を図17に示す。
これに対し、図17に示すように比較例1では誤差に対称性がみられず、誤差量も大きかった。
Claims (12)
- 被成形ガラス素材を成形面上に配置した成形型を連続式加熱炉内へ導入し、該炉内を搬送しながら加熱処理を施すことにより、上記被成形ガラス素材の上面を、累進面を含む面を形成するための成形面形状に成形する、レンズ用鋳型の製造方法であって、
前記連続式加熱炉を、成形型搬送方向に向かって温度が上昇する温度分布を有する昇温領域が含まれるように温度制御すること、
前記成形型として、成形面上で曲率分布を有する成形型を使用すること、ならびに、
上記昇温領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想直線によって二分される搬送方向側の部分に成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を搬送すること、
を含む前記製造方法。 - 前記昇温領域における搬送は、成形面の幾何中心から周縁部へ向かって平均曲率が最大となる方向が搬送方向と略等しくなるように行われる請求項1に記載の製造方法。
- 前記連続式加熱炉を、成形型導入口側から、前記昇温領域、定温保持領域、および冷却領域がこの順に配置されるように温度制御する請求項1または2に記載の製造方法。
- 上記昇温領域において、成形型を回転揺動することを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記回転揺動における揺動角度および振幅は、前記レンズの加入屈折力および/またはインセット量に基づき決定される請求項4に記載の製造方法。
- 前記回転揺動における揺動角度は搬送方向を基準として±5〜45°の範囲であり、かつ振幅は0.01〜1Hzの範囲である請求項4または5に記載の製造方法。
- 前記定温保持領域において、成形型の搬送方向と直交し、かつ成形面の幾何中心を通過する仮想直線によって二分される搬送方向側と反対側の部分に成形面上で曲率が最大となる部分が含まれるように成形型を回転することを含む請求項3〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記定温保持領域において搬送される成形型上に配置された被成形ガラス素材の温度は、該ガラスのガラス転移温度以上の温度である請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記累進面を含む面は、トーリック面と累進面との複合面であり、
前記成形型は、前記仮想直線上に、該直線上で曲率が最大となる点を2点、幾何中心からの距離が略等しい対向する位置に有し、
前記連続式加熱炉として、両側面に熱源が配置された側方加熱領域を含む連続式加熱炉を使用すること、および、
上記側方加熱領域において、成形型搬送方向が上記仮想直線と略直交するように成形型を搬送すること、
を更に含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記側方加熱領域は、被成形ガラス素材を該ガラスのガラス転移温度以上に加熱する領域である請求項9に記載の製造方法。
- 前記被成形ガラス素材として、下面が球面、平面または中心対称性を有する非球面であるガラスを使用する請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記被成形ガラス素材として、上面および下面が球面であるガラスを使用する請求項11に記載の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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