JPWO2009063598A1 - 燃料電池用電極材料及びその製造方法、並びに該燃料電池電極材料を含有してなる燃料電池用電極及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
電極触媒活性と長期安定性に優れる、固体酸化物形燃料電池のアノードに適した燃料電池用電極材料を提供する。酸化ニッケルと、酸化マンガンからなる金属酸化物複合体の粉末と、イオン導電性酸化物の粉体を混合して焼成した燃料電池用電極材料から形成されたアノードは、固体酸化物形燃料電池のアノード使用雰囲気(例えば温度600〜1100℃、かつ、酸素分圧10-20〜10-10気圧)において、金属酸化物複合体はNiと酸化マンガンとに相分離し、金属酸化物複合体表面及び内部に微細なNi粒子が形成される。このような微細なNi粒子が形成されると、電極表面の凹凸が増加するなど水素などの電気化学的反応場となるNiの表面積が増加するため、電極性能が向上する。さらには、酸化マンガンが電子伝導性を有しているため、Niの電子伝導性が損なわれることはない。
Description
本発明は、固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」という。)の燃料極(アノード)の形成に好適に用いられる電極材料及びその製造方法に関する。また、該燃料電池電極材料を含有してなる燃料電池用電極及び該燃料電池用電極をアノードとして使用してなるSOFCに関する。
SOFCは、電解質膜にイオン導電性セラミック膜を使用し、その電解質膜の一方の面にアノ−ドを、他の面にカソ−ド(空気極)を接合して構成される。アノードに燃料である水素、カソ−ドに空気(酸素)をそれぞれ供給すると、以下の電気化学反応によって電気エネルギーを取り出すことができる。
アノ−ド反応:2H2+2O2-+4e- → 4H2O (反応1)
カソ−ド反応:O2 → 2O2-+4e- (反応2)
全反応 :2H2+O2→2H2O
アノ−ド反応:2H2+2O2-+4e- → 4H2O (反応1)
カソ−ド反応:O2 → 2O2-+4e- (反応2)
全反応 :2H2+O2→2H2O
SOFCの特徴の一つとして、水素だけでなく都市ガス(主成分:メタン)を改質することで生成した水素と一酸化炭素(CO)を含む燃料を使用可能であることが挙げられる。そのため、炭化水素を含む、都市ガスやプロパンガス、ガソリン、灯油、ジェット燃料、バイオガス、消化ガス、石炭ガス化ガスなどの燃料を使用する発電システムとしての利用が期待されている。このような用途では、特に長期間安定した発電性能を維持する必要がある。また、都市ガスやプロパンガスなどにはガス漏れの検知のためppmオーダーの硫黄化合物が添加されているが、このような硫黄を含む化合物に対する耐久性があることが要求される。
一般的にSOFC用電極(アノード)は、酸化ニッケル(NiO)粉末とイオン導電性酸化物の粉末の混合体からなり、燃料中の水素でNiOを金属ニッケル(Ni)に還元して使用される。Niは(反応1)に対する電極触媒としての機能と、電極内の電子伝導パスとしての機能を有する。電極内の電子伝導の抵抗を小さくするためには、電極内のNiの含有量を大きくし、それぞれのNi粒子を互いに接触させる必要がある。しかしながら、SOFCは高温(800℃程度)で運転されるため、接触したNi粒子の凝集が起こりやすく、電極反応面積が減少したり電極構造が破壊したりする問題を抱えている。また、他の問題として、燃料に上述の硫黄化合物など被毒物質が含まれると、Ni表面に強吸着し、電極触媒活性を低下させるという問題がある。
このような問題に対し、特許文献1では、スカンジア安定化ジルコニア(Scandia−Stabilized Zirconia,ScSZ)含有金属酸化物凝集体粒子の平均粒径を特定の範囲にしたことでNiの凝集を抑制したアノードを使用したSOFCが開示されている。また、特許文献2では、電子伝導性を有する炭素繊維に水素に対する触媒活性を有するNi粒子を被着させたアノードを使用したSOFCが開示されている。また、特許文献3、非特許文献1には含浸法で形成したNiベースのアノードが開示されている。
さらに、特許文献4には、表面がTi酸化物またはFe酸化物またはCeO2系酸化物、またはZrO2系酸化物またはCeO2−ZrO2系酸化物の薄い酸化物触媒層で覆われたNi粒子と、酸素イオン伝導体であるジルコニア系電解質材料またはセリア系電解質材料またはランタンガレート系電解質材料とで構成されたSOFCアノードが開示されている。
しかしながら、特許文献1のアノードは、Ni粒子の凝集を本質的に抑制したわけではないため、長期間の安定性が確保できるとは考えづらい。また、特許文献2のアノードでは、担体である炭素材料が電気化学的に二酸化炭素に酸化分解されるという問題がある。さらに非特許文献1の含浸での電極作製法では、乾燥の際に各成分の濃度むらが生じやすく、Niとイオン導電性酸化物とが複合化されるため、それぞれの連続性が悪くなり、イオン導電性および電子伝導性が低下するという問題がある。一方、特許文献3は、イオン伝導性金属酸化物の粉末と、NiO粉末を焼成して形成したアノードの骨格を、Niの有機化合物とTiO2などの前駆体溶液に浸漬し、乾燥後、焼成および還元することで前記アノードの骨格の間にNi−TiO2などの複合酸化物を形成するものである。この方法では、アノードの骨格により、イオン導電性、電子伝導性が担保される。しかしながら、アノードの骨格を形成する方法では、骨格の一部となるNi粒子同士の凝集を抑制することができない。また、Niの有機化合物とTiO2などの前駆体溶液などの含浸成分の濃度むらの問題を解決したものではない。
一方、特許文献4のアノードでは、Ni粒子表面を薄い酸化物触媒層で被覆することにより、Ni粒子同士が直接接触しなくなり、Ni粒子が凝集することを抑制している。また、Ni表面を酸化物触媒層で被覆することで、硫黄化合物などの被毒物質に対する耐性も向上する。しかしながら、同時に燃料となる水素や炭化水素に対するNiの電極触媒活性が低下するため、電極の出力性能が低下するという問題がある。
このような状況下、本発明は、Niの優れた電極触媒としての機能を保ちつつ、Ni粒子の凝集を抑制し、かつ、十分な電子導電性およびイオン導線性を有する燃料電池用電極材料及び該燃料電池用電極材料からなる燃料電池用電極並びに該燃料電池用電極を使用した燃料電池(SOFC)を提供することを目的とする。
本発明は次の<1>から<9>に係るものである。
<1> 酸化ニッケル及び酸化マンガンからなる金属酸化物複合体と、イオン導電性酸化物からなる燃料電池用電極材料。
<2> 酸化ニッケルに対する、酸化マンガンの混合割合は1〜30mol%である前記<1>記載の燃料電池用電極材料。
<3> 前記イオン導電性酸化物は安定化ジルコニアである前記<1>に記載の燃料電池用電極材料。
<4> 前記イオン導電性酸化物は安定化ジルコニアである前記<2>に記載の燃料電池用電極材料。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかの項に記載の燃料電池用材料を含有してなる燃料電池用電極。
<6> 前記<5>に記載の燃料電池用電極をアノードとして使用してなる燃料電池。
<7> 熱分解性のニッケル化合物と熱分解性のマンガン化合物を含む溶液を噴霧して、前記ニッケル化合物と前記マンガン化合物の両方の熱分解温度より低温で乾燥した後に、前記熱分解温度より高温で熱処理することにより形成した金属酸化物複合体からなる粉末と、イオン導電性酸化物からなる粉末とを混合して焼成する燃料電池用電極材料の製造方法。
<8> 前記ニッケル化合物がニッケル硝酸塩であり、かつ、前記マンガン化合物が、マンガン硝酸塩である前記<7>記載の燃料電池用電極材料の製造方法。
<9> 熱処理温度が、500℃以上1000℃以下である前記<7>または<8>記載の燃料電池用電極材料の製造方法。
<1> 酸化ニッケル及び酸化マンガンからなる金属酸化物複合体と、イオン導電性酸化物からなる燃料電池用電極材料。
<2> 酸化ニッケルに対する、酸化マンガンの混合割合は1〜30mol%である前記<1>記載の燃料電池用電極材料。
<3> 前記イオン導電性酸化物は安定化ジルコニアである前記<1>に記載の燃料電池用電極材料。
<4> 前記イオン導電性酸化物は安定化ジルコニアである前記<2>に記載の燃料電池用電極材料。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかの項に記載の燃料電池用材料を含有してなる燃料電池用電極。
<6> 前記<5>に記載の燃料電池用電極をアノードとして使用してなる燃料電池。
<7> 熱分解性のニッケル化合物と熱分解性のマンガン化合物を含む溶液を噴霧して、前記ニッケル化合物と前記マンガン化合物の両方の熱分解温度より低温で乾燥した後に、前記熱分解温度より高温で熱処理することにより形成した金属酸化物複合体からなる粉末と、イオン導電性酸化物からなる粉末とを混合して焼成する燃料電池用電極材料の製造方法。
<8> 前記ニッケル化合物がニッケル硝酸塩であり、かつ、前記マンガン化合物が、マンガン硝酸塩である前記<7>記載の燃料電池用電極材料の製造方法。
<9> 熱処理温度が、500℃以上1000℃以下である前記<7>または<8>記載の燃料電池用電極材料の製造方法。
本発明の燃料電池用電極材料を使用すれば、SOFCの作動温度及び雰囲気においても、長期間安定して発電可能な燃料電池用電極を得ることができる。また、本発明の製造方法によると、濃度むらが少ない状態でNiと酸化マンガンからなる金属酸化物複合体を形成できるため、構造安定性、電極性能が特に高い燃料電池用電極を形成可能な燃料電池用電極材料を得ることができる。
1 噴霧乾燥法装置
2 粉末製造部
3 乾燥管
4 粉末回収管
5 回収容器
6 噴霧用ノズル
7 液体用配管
8 気体用配管
9 ローラポンプ
10 流量調節器
11 前駆体溶液
12 ヒータ
2 粉末製造部
3 乾燥管
4 粉末回収管
5 回収容器
6 噴霧用ノズル
7 液体用配管
8 気体用配管
9 ローラポンプ
10 流量調節器
11 前駆体溶液
12 ヒータ
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明は、酸化ニッケル及び酸化マンガンからなる金属酸化物複合体と、イオン導電性酸化物からなる燃料電池用電極材料に係るものである。
なお、本発明において、「金属酸化物複合体」とは、主成分として構成元素のそれぞれが原子レベルで複合化している酸化物をいい、いわゆる「酸化物固溶体」と「結晶性の複合酸化物」の双方を含む概念である。
本発明は、酸化ニッケル及び酸化マンガンからなる金属酸化物複合体と、イオン導電性酸化物からなる燃料電池用電極材料に係るものである。
なお、本発明において、「金属酸化物複合体」とは、主成分として構成元素のそれぞれが原子レベルで複合化している酸化物をいい、いわゆる「酸化物固溶体」と「結晶性の複合酸化物」の双方を含む概念である。
本発明の燃料電池用電極材料は、燃料電池電極に形成され、燃料電池(SOFC)のアノードの温度範囲及び酸素分圧範囲(以下、「アノード雰囲気」と呼ぶ場合がある。)で使用される。アノード雰囲気は、具体的には、温度範囲が600〜1100℃であって、かつ、酸素分圧範囲が10-20〜10-10気圧であって、かつ、熱力学的にNiOがNiに還元される範囲を指す。すなわち、図1AにNiにおける酸素分圧(気圧、対数表示)−温度(℃)の状態図を示すように、アノード雰囲気とは、600〜1100℃であって、Niの安定領域(図1A濃色の部分)における酸素分圧10-20気圧(点線)より高圧側の領域である。
一方、図1Bに示すように、アノード雰囲気において、マンガン(Mn)は、酸化マンガン(Mn3O4,MnO)が熱力学的に安定である。そのため、アノード雰囲気において、金属酸化物複合体中のNiOがNiに還元され、金属酸化物複合体に含まれる酸化マンガンは、酸化物として熱力学的に安定であるため還元されることはない。
その結果、アノード雰囲気下では金属酸化物複合体はNiと酸化マンガンとに相分離し、金属酸化物複合体表面及び内部に微細なNi粒子が析出する。このような微細なNi粒子が形成されると、電極表面の凹凸が増加するなど水素の電気化学的反応場となるNiの表面積が増加するため、電極性能が向上する。さらには、酸化マンガンが電子伝導性を有しているため、Niの電子伝導性が損なわれることはない。
その結果、アノード雰囲気下では金属酸化物複合体はNiと酸化マンガンとに相分離し、金属酸化物複合体表面及び内部に微細なNi粒子が析出する。このような微細なNi粒子が形成されると、電極表面の凹凸が増加するなど水素の電気化学的反応場となるNiの表面積が増加するため、電極性能が向上する。さらには、酸化マンガンが電子伝導性を有しているため、Niの電子伝導性が損なわれることはない。
さらに、酸化マンガンは電子伝導性が高いことに加えて、電極材料に酸化マンガンが添加されることで、燃料内に硫黄を含む電極被毒物質が含まれる場合にも、十分な電極性能を維持することができる。なお、SOFCにおける電極被毒物質としては、硫化水素(H2S)、硫化カルボニル(COS)などの無機硫化物類、メチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン(TBM)などのメルカプタン類、ジメチルスルフィド(DMS)、エチルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィドなどのアルキルスルフィド類、チオフェン、ベンゼンチオールなどが挙げられる
酸化ニッケルに対する、酸化マンガンの混合割合は1〜30mol%(より好ましくは3〜10mol%)であることが望ましい。酸化マンガンの混合割合が1mol%より小さい場合には、酸化マンガンの添加効果が少なく、微細なNi粒子の生成やNiの凝集の抑制効果が得られない。一方、30mol%を超えると、電極触媒としてのNiの割合が少なくなり、電極活性が低下するため好ましくない。
アノード雰囲気下で析出するNi粒子の大きさは、その平均粒径が1〜300nmであることが好適であり、5〜100nmが特に好適である。なお、Ni粒子の大きさは、X線回折法の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径により得ることができる。
なお、具体的方法については後述するが、前記金属酸化物複合体は、熱分解性のニッケル化合物と熱分解性のマンガン化合物を含む溶液を噴霧して、前記ニッケル化合物と前記マンガン化合物の両方の熱分解温度より低温で乾燥した後に、前記熱分解温度より高温で熱分解することで製造することができる。このように前駆体溶液を噴霧して乾燥することで、特に濃度むらの少ないニッケル化合物とマンガン化合物との混合粉体が形成される。そのため、この混合粉体を熱分解することで形成した金属酸化物複合体も濃度むらが極めて少なく均一である。
本発明の燃料電池用電極材料におけるイオン導電性酸化物としては、アノード雰囲気下において化学的および熱的に安定性が高い材料が使用される。具体的には、酸素イオン導電性酸化物としてジルコニア(ZrO2)系、セリア(CeO2)系、ランタンガレート(LaGaO3)系やプロトン導電性酸化物としてSrCeO3系、SrZrO3系、BaCeO3系、BaZrO3系などが例示できる。この中でも前記酸素イオン導電性酸化物は安定化ジルコニアであることが望ましい。安定化ジルコニアは酸素イオン伝導性が高く、高温での化学安定性や靭性などの機械的特性に優れるため、SOFCの長時間運転においても構造が変化することがない。安定化ジルコニアには、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ),カルシア安定化ジルコニア(CSZ)等があり、いずれを用いてもよいが、ScSZは酸素イオン導電率が高いため特に好ましい。なお、イオン導電性酸化物の粒径は、特に限定されるものではないが、通常、平均粒径で0.05〜5μmである。イオン導電性酸化物の平均粒径0.05μm未満の場合には、0.05μmより小さいと後述する焼成過程で、密に凝集するため好ましくなく、5μm大きいと、それぞれのイオン導電性酸化物粒子が接触する割合が小さくなるため、イオン導電パスが少なくなり、抵抗が高くなるため好ましくない。
また、上記金属酸化物複合体とイオン導電性酸化物との混合割合は、体積比としてイオン導電性酸化物の割合が30体積%〜70体積%であることが望ましい。30体積%より小さいと、金属酸化物複合体が凝集しやすくなるという問題があり、70体積%より大きいと導電率が少なくなるという問題がある。
以下、本発明の燃料電池用電極材料の好適な製造方法をイオン導電性酸化物にScSZを使用した例について図面に基づいて詳細に説明する。
以下のS1からS4の工程は本実施形態の燃料電池用電極材料の製造工程である。
(S1)金属酸化物複合体の前駆体溶液の作製
(S2)噴霧乾燥による金属酸化物複合体の前駆体粉末の形成
(S3)熱分解による金属酸化物複合体の形成
(S4)金属酸化物複合体とイオン導電性酸化物の混合
(S1)金属酸化物複合体の前駆体溶液の作製
(S2)噴霧乾燥による金属酸化物複合体の前駆体粉末の形成
(S3)熱分解による金属酸化物複合体の形成
(S4)金属酸化物複合体とイオン導電性酸化物の混合
(S1)金属酸化物複合体の前駆体溶液の作製
本実施形態の金属酸化物複合体の前駆体溶液は、ニッケル硝酸塩と、酸化マンガン(MnO)の前駆体であるマンガン硝酸塩を水に溶解させたものである。これらの前駆体溶液は、後述する噴霧乾燥法に使用し、濃度は通常Ni濃度として0.01〜0.5mol/Lとなるように調整する。なお、前駆体溶液の溶媒は水以外にも、エタノールなどのアルコール類、アセトン、エーテルなどでもよく、熱分解性のニッケル化合物、マンガン化合物の種類によって選択することができる。すなわち、熱分解性のニッケル硝酸塩及びマンガン硝酸塩が均一に溶解できる溶媒であればよい。
本実施形態の金属酸化物複合体の前駆体溶液は、ニッケル硝酸塩と、酸化マンガン(MnO)の前駆体であるマンガン硝酸塩を水に溶解させたものである。これらの前駆体溶液は、後述する噴霧乾燥法に使用し、濃度は通常Ni濃度として0.01〜0.5mol/Lとなるように調整する。なお、前駆体溶液の溶媒は水以外にも、エタノールなどのアルコール類、アセトン、エーテルなどでもよく、熱分解性のニッケル化合物、マンガン化合物の種類によって選択することができる。すなわち、熱分解性のニッケル硝酸塩及びマンガン硝酸塩が均一に溶解できる溶媒であればよい。
また、ここでは熱分解性のニッケル化合物として、ニッケル硝酸塩を用いているが、他の熱分解性のニッケル化合物を用いることもできる。具体的には、ニッケルの硫酸塩、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸塩、酢酸塩、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩、アルコキシドなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、マンガン化合物として、マンガン硝酸塩を使用しているが、他の熱分解性のマンガン化合物を用いることもできる。具体的には、マンガンの硫酸塩、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸塩、酢酸塩、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩などを使用することができる。
(S2)噴霧乾燥による金属酸化物複合体の前駆体粉末の形成
次に、金属酸化物複合体の前駆体粉末の形成方法について図面に基づいて説明する。図2は本実施形態における噴霧乾燥法装置の主要部を示す概略図である。なお、噴霧乾燥法とは金属塩を含む溶液を200〜500℃程度の乾燥用ガス気流中に噴霧し、乾燥粉末にする方法である。金属塩を含む溶液の液体成分が瞬時に蒸発するため、粒径が均一な乾燥粉末を得ることができる。また、2種類以上の金属塩を含む溶液を利用することで、それぞれの金属塩が均一に混合した乾燥粉末を得ることができることが特徴である。
次に、金属酸化物複合体の前駆体粉末の形成方法について図面に基づいて説明する。図2は本実施形態における噴霧乾燥法装置の主要部を示す概略図である。なお、噴霧乾燥法とは金属塩を含む溶液を200〜500℃程度の乾燥用ガス気流中に噴霧し、乾燥粉末にする方法である。金属塩を含む溶液の液体成分が瞬時に蒸発するため、粒径が均一な乾燥粉末を得ることができる。また、2種類以上の金属塩を含む溶液を利用することで、それぞれの金属塩が均一に混合した乾燥粉末を得ることができることが特徴である。
なお、(S2)の工程と後述の(S3)の工程を同時に行う噴霧熱分解法によっても、本実施形態の金属酸化物複合体を形成することができるが、噴霧熱分解法は前駆体を含む溶液の乾燥だけでなく、より高温を要する熱分解反応を一つの工程で行うため、温度管理が難しく、装置が複雑になりやすい。すなわち、噴霧乾燥法は噴霧熱分解法と比較して装置が単純であるという利点がある。
図2において、粉末製造部2は上段の乾燥管3と、粉末回収管4と下段の粉末回収管4の下に設けられた回収容器5で構成される。なお、乾燥管3は壁面がガラス製であり、粉末回収管4の壁面はポリエステルにテフロン(登録商標)加工を施したフィルターである。乾燥管3の上端には噴霧用ノズル6が設置され、この噴霧用ノズル6には、金属酸化物複合体の前駆体粉末の原料であるニッケル硝酸塩とマンガン硝酸塩を含む前駆体溶液11を導入するための液体用配管7、及びこの前駆体溶液11を噴射するための圧縮空気を導入するための気体用配管8が接続されている。流量の制御用に液体用配管7にはローラポンプ9が設置され、気体用配管8には流量調節器10が設置されている。また、圧縮空気は、空気圧縮機(図示せず)によって気体用配管8に供給される。
ニッケル硝酸塩とマンガン硝酸塩を含む前駆体溶液11は、液体用配管7を介して噴霧用ノズル6に供給され、気体用配管8を介して供給された空気とともに噴霧用ノズル6から噴霧される。なお、噴霧用ノズル6はヒータ12によって200〜500℃の加熱空気によってプレ加熱される。また、この加熱空気は噴霧された乾燥管3へ供給され、噴霧された前駆体溶液の乾燥に使用される。
粉末製造部2の上段の乾燥管3では、前駆体溶液11が200〜500℃に加熱された空気と共に噴霧されるため、噴霧された前駆体溶液11の溶媒である水が瞬時に蒸発する。その結果、NiとMnの硝酸塩が均一に混合した前駆体粉末が形成される。乾燥管3で均一化した前駆体粉末は、加熱空気と共に下段の粉末回収管4へ導入される。粉末回収管4の壁面はフィルター状であり、供給された加熱空気はフィルターを介して外部へ排出される。その結果、前駆体粉末は加熱空気の流れにのってフィルター壁面へ集まった後に重力で落下し、粉末回収管4の下部に配設された回収容器5で回収される。
(S3)熱分解による金属酸化物複合体の形成
回収した上記前駆体粉末を粉砕装置に入れ、エタノールを加え、ジルコニアボールと混合させて24時間のボールミリングを行うことで前駆体粉末を均一に粉砕する。粉砕された前駆体粉末を、電気炉にいれて、大気雰囲気下で熱処理することで金属酸化物複合体を作製する。熱処理温度は、ニッケル化合物、マンガン化合物の熱分解温度より高ければよいが、あまり高すぎるとそれぞれの金属酸化物複合体が凝集し、表面積が低下するため好ましくない。そのため、焼成温度は、500℃以上1000℃以下の温度が好ましく、焼成時間としては、通常、1〜30時間である。この焼成温度範囲内でも、ニッケル硝酸塩、マンガン硝酸塩の場合は、600℃以上900℃以下で焼成することがより好ましい。
500℃未満では、ニッケル硝酸塩、マンガン硝酸塩の熱分解が不十分な場合があり、1000℃以上では金属酸化物複合体が焼結する場合がある。また、焼成時間は1時間以上であることが好ましく、3時間以上がより好ましい。焼成時間が1時間より短いと、均一な金属酸化物複合体が形成されないことがある。また、焼成の雰囲気としては、還元雰囲気、不活性雰囲気でもよいが、酸化性雰囲気が好ましい。酸化性雰囲気としては、酸素濃度が10体積%(好適には20体積%)以上の雰囲気が挙げられ、通常、空気雰囲気である。
回収した上記前駆体粉末を粉砕装置に入れ、エタノールを加え、ジルコニアボールと混合させて24時間のボールミリングを行うことで前駆体粉末を均一に粉砕する。粉砕された前駆体粉末を、電気炉にいれて、大気雰囲気下で熱処理することで金属酸化物複合体を作製する。熱処理温度は、ニッケル化合物、マンガン化合物の熱分解温度より高ければよいが、あまり高すぎるとそれぞれの金属酸化物複合体が凝集し、表面積が低下するため好ましくない。そのため、焼成温度は、500℃以上1000℃以下の温度が好ましく、焼成時間としては、通常、1〜30時間である。この焼成温度範囲内でも、ニッケル硝酸塩、マンガン硝酸塩の場合は、600℃以上900℃以下で焼成することがより好ましい。
500℃未満では、ニッケル硝酸塩、マンガン硝酸塩の熱分解が不十分な場合があり、1000℃以上では金属酸化物複合体が焼結する場合がある。また、焼成時間は1時間以上であることが好ましく、3時間以上がより好ましい。焼成時間が1時間より短いと、均一な金属酸化物複合体が形成されないことがある。また、焼成の雰囲気としては、還元雰囲気、不活性雰囲気でもよいが、酸化性雰囲気が好ましい。酸化性雰囲気としては、酸素濃度が10体積%(好適には20体積%)以上の雰囲気が挙げられ、通常、空気雰囲気である。
(S4)金属酸化物複合体とイオン導電性酸化物の混合
作製した金属酸化物複合体は、電磁式実験用微粒粉砕機を用いて、乾式粉砕することで、均一な大きさの粉末となる。粉砕後の金属酸化物複合体粉末と、イオン導電性酸化物としてのScSZ粉末とを特定の割合で混合させ、エタノールなどの分散媒を加え、ジルコニアボールと混合させて24時間のボールミリングを行うことで、金属酸化物複合体とイオン導電性酸化物の混合体のスラリーを形成する。なお、混合方法に特に限定はなく、工業的に通常用いられる混合方法により行えばよい。混合装置としては、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、乾式ボールミルを挙げることができる。また、混合は、乾式混合によって行うこともできる。
作製した金属酸化物複合体は、電磁式実験用微粒粉砕機を用いて、乾式粉砕することで、均一な大きさの粉末となる。粉砕後の金属酸化物複合体粉末と、イオン導電性酸化物としてのScSZ粉末とを特定の割合で混合させ、エタノールなどの分散媒を加え、ジルコニアボールと混合させて24時間のボールミリングを行うことで、金属酸化物複合体とイオン導電性酸化物の混合体のスラリーを形成する。なお、混合方法に特に限定はなく、工業的に通常用いられる混合方法により行えばよい。混合装置としては、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、乾式ボールミルを挙げることができる。また、混合は、乾式混合によって行うこともできる。
なお、イオン導電性酸化物として、ここではScSZを使用したが、その他にも上述したSOFCの電極と電解質膜とに使用される公知の材料を用いることができる。これらは単独で用いても、2つ以上の成分を含んでもよい。また、使用するイオン導電性酸化物は、電解質膜に使用される電解質材料と同じであってもよく、異なってもよいが、燃料電池の電極と電解質膜の密着性を向上させる観点から、同じ材料あるいは類似する材料を用いることが好ましい。
作製したスラリーを乾燥・焼成することで本発明の燃料電池用電極材料を得ることができる。乾燥方法は、特に制限がなく、加熱・減圧・自然乾燥などの方法で上述のエタノールなどの分散媒を蒸発させればよい。また、乾燥時の雰囲気は特に限定されるものではなく、酸素を含有する酸化性雰囲気中や大気雰囲気、窒素やアルゴンなどを含有する不活性雰囲気、水素を含有する還元性雰囲気などの雰囲気条件を任意に選ぶことができる。また、乾式混合により金属酸化物複合体とイオン導電性酸化物を混合した場合には、この乾燥工程は省略される。
乾燥後のスラリーを、1100〜1500℃(好適には、1200〜1400℃)で焼成し、本発明の燃料電池用電極材料を形成する。焼成時の雰囲気は特に限定されるものではなく、酸素を含有する酸化性雰囲気中や大気雰囲気、窒素やアルゴンなどを含有する不活性雰囲気、水素を含有する還元性雰囲気などの雰囲気条件を選択できるが、酸化性雰囲気中が好ましく、通常、大気雰囲気である。なお、焼成温度が、1200℃未満では焼結が不十分で機械強度が不足したり、十分な導電率が得られない場合がある。一方、焼結温度を1500℃超では、構成物質間の反応によって電極反応活性の低下が低下する場合がある。なお、後述するが、この焼成工程は、燃料電池用電極の形成を兼ねて行うこともできる。
次に、本発明の燃料電池用電極材料を用いて形成した燃料電池用電極(以下、単に「電極」と呼ぶ場合もある。)及び該燃料電池用電極をアノードとして備えた燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池用電極(アノード)は、燃料電池用電極材料を焼結することで形成される。
以下、電解質基板にアノード及びカソードを焼き付けた、電解質支持型セルからなる燃料電池について具体的に説明する。なお、本発明の電極及び燃料電池はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記では電解質基板にアノード及びカソードを焼き付けた、いわゆる電解質支持型の燃料電池について説明したが、本発明の燃料電池用電極(アノード)上に電解質膜を形成し、さらに電解質膜の上にカソードを形成した、いわゆるアノード支持型の燃料電池であってもよい。
以下、電解質基板にアノード及びカソードを焼き付けた、電解質支持型セルからなる燃料電池について具体的に説明する。なお、本発明の電極及び燃料電池はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記では電解質基板にアノード及びカソードを焼き付けた、いわゆる電解質支持型の燃料電池について説明したが、本発明の燃料電池用電極(アノード)上に電解質膜を形成し、さらに電解質膜の上にカソードを形成した、いわゆるアノード支持型の燃料電池であってもよい。
燃料電池用電極(アノード)用ペースト(以下、「アノード用ペースト」と称す。)は、上述した燃料電池用電極材料にバインダー樹脂や溶媒を適量加え、ボールミル、3本ロールミルなどにより混練して均一に混合することで形成される。バインダー樹脂としては、特に制限はないが、好適な具体例としては、エチルセルロースを溶解させたテルピネオールが挙げられる。燃料電池用電極材料とバインダー樹脂の混合割合は、アノード用ペーストが適度な粘度を有するように適宜決定されるが、通常、燃料電池用電極材料が60〜99重量%となるように、バインダー樹脂等が加えられる。
アノード用ペーストは、例えば、スクリーン印刷法などで固体電解質上に製膜した後、40〜150℃の温度で加熱乾燥する。次いで、加熱乾燥後のアノード用ペーストを、大気雰囲気下、1100〜1500℃(好適には、1200〜1400℃)で焼成し、燃料電池用電極(アノード)を形成する。なお、焼成温度が、1200℃未満では焼結が不十分で機械強度が不足したり、十分な導電率が得られない場合がある。一方、焼結温度を1500℃超では、構成物質間の反応によって電極反応活性の低下が低下する場合がある。
燃料電池用電極(アノード)の厚みは、特に限定はないが、電解質支持型の場合は通常、10〜300μm程度が適当な範囲である。なお、電解質支持型セルではなく、アノード支持膜型セルの場合には、燃料電池用電極(アノード)の厚み0.1〜5mm(特に0.5〜2.5mm)が好適である。
なお、形成された燃料電池用電極(アノード)は、還元性ガスの存在下、600〜1100℃で処理されることによって、平均粒径が1〜300nmのニッケル粒子と酸化マンガンとからなる電子伝導性部分と、イオン導電性酸化物からなるイオン導電性部分とがそれぞれ三次元的に連続している燃料電池用電極を得ることができる。なお、より高分散で高活性なNi粒子が形成されるという観点からは、還元温度は、700〜1000℃が特に好ましい。還元性ガスとしては、一酸化炭素、メタンなどの炭化水素も使用可能であるが、通常、水素、あるいは水素を含む不活性ガスが用いられる。
固体電解質としては、電解質としては、固体酸化物形燃料電池の電解質として公知のものを使用することができる。例えば、スカンジウムやイットリウムをドープしたジルコニア系酸化物(それぞれ、ScSZ、YSZ)、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物(それぞれSDC,GDC)、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタンガレート系酸化物などを用いることができる。この中でも、イオン伝導性が高く、安定性が高いScSZは特に好適である。
固体電解質の厚さは、要求される導電率や強度に合わせて適宜調整すればよい。例えば、電解質支持型セルの場合において、10モル%程度のスカンジアがドープされた安定化ジルコニアでは厚みが5〜500μm以下のものが好適に使用される。
カソードは、上述のアノードの作製法と同様に、カソードの原材料とバインダー樹脂を含むカソードペーストを電解質基板に成膜後、大気雰囲気下で焼成することによって形成される。カソードの原材料の具体例としては、ペロブスカイト型構造等を有する金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO3,(La,Sr)MnO3(以下、「LSM」と称す。),(La,Sr)CoO3,(La,Sr)(Fe,Co)O3,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3などが挙げられ、これらは上述した電解質との反応性を考慮して適宜選択される。焼成温度及び焼成時間は、選択されるカソードの原材料によっても適宜決定される。例えば、安定化ジルコニアからなる電解質に好適に使用される(La,Sr)MnO3の場合、通常、1000〜1300℃、1〜10hである。
上述の燃料電池用電極(アノード)、電解質及びカソードを備えた本発明の燃料電池は、アノードにおいて、電極触媒であるニッケル粒子の凝集が抑制されているため、電極反応場が大きく、電極活性が高い。その結果、本発明の燃料電池(SOFC)は、発電初期の性能が高く、さらに長時間発電してもアノードの劣化が起こり難いという優れた特性を有する。さらに上述したようにアノードに含まれる、酸化マンガンは硫黄耐久性を有するため、燃料内に硫黄を含む電極被毒物質が含まれる場合にも、十分な電極性能を維持することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
燃料電池用電極材料は以下の手順で作製した。
(実施例1)
まず、ニッケル(Ni)に対するマンガン(Mn)の混合比(mol比)を、Ni:Mn=90:10となるように硝酸ニッケルと硝酸マンガンの1000mLの純水に溶解させることで、Ni濃度0.08mol/Lの金属酸化物複合体の前駆体溶液を得た。
(実施例1)
まず、ニッケル(Ni)に対するマンガン(Mn)の混合比(mol比)を、Ni:Mn=90:10となるように硝酸ニッケルと硝酸マンガンの1000mLの純水に溶解させることで、Ni濃度0.08mol/Lの金属酸化物複合体の前駆体溶液を得た。
これらの溶液を以下の条件で噴霧乾燥法によって、乾燥させて金属酸化物複合体前駆体粉末を得た。
前駆体溶液供給速度:10mL/min
空気供給速度 :50L/min
乾燥管:200℃
粉末回収管:室温
前駆体溶液供給速度:10mL/min
空気供給速度 :50L/min
乾燥管:200℃
粉末回収管:室温
噴霧乾燥装置により得られた粉末にエタノールを加えて混合した後に、ジルコニアボールを用いてボールミリング(24時間)を行った。その後、大気雰囲気下で、200℃/hで800℃まで昇温し、800℃で5時間の熱処理をおこなった。熱処理後、得られた粉末を30分間、乾式粉砕を行うことで、金属酸化物複合体の粉末を得た。
その後、作製した金属酸化物複合体の粉末とScSZ(10mol%Sc−1mol%Ce−89mol%Zr)粉末(第一稀元素化学工業株式会社)を56重量%:44重量%の割合で混合させ、エタノールを加え、ジルコニアボールを用いてボールミリング(24時間)を行った。得られた粉末を大気雰囲気下で、3℃/minで1250℃まで昇温し、1250℃で3時間の焼成をおこなうことで、実施例1の燃料電池用電極材料(Ni0.9Mn0.1)を得た。
(比較例1)
実施例1の燃料電池用電極材料作製法において、硝酸マンガンを添加せずに硝酸ニッケルのみを使用して比較例1の燃料電池用電極材料(Ni(未添加))を得た。
実施例1の燃料電池用電極材料作製法において、硝酸マンガンを添加せずに硝酸ニッケルのみを使用して比較例1の燃料電池用電極材料(Ni(未添加))を得た。
(比較例2)
実施例1の燃料電池用電極材料作製法において、硝酸マンガンの代わりに硝酸コバルトを使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の燃料電池用電極材料(Ni0.9Co0.1)を得た。
実施例1の燃料電池用電極材料作製法において、硝酸マンガンの代わりに硝酸コバルトを使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の燃料電池用電極材料(Ni0.9Co0.1)を得た。
(比較例3)
実施例1の燃料電池用電極材料作製法において、硝酸マンガンの代わりに硝酸銅を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の燃料電池用電極材料(Ni0.9Cu0.1)を得た。
実施例1の燃料電池用電極材料作製法において、硝酸マンガンの代わりに硝酸銅を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の燃料電池用電極材料(Ni0.9Cu0.1)を得た。
(実施例2〜5)
実施例1の燃料電池用電極材料作製法において、硝酸ニッケルに対する硝酸マンガンの添加量を変化させた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5の燃料電池用電極材料を得た。
実施例1の燃料電池用電極材料作製法において、硝酸ニッケルに対する硝酸マンガンの添加量を変化させた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5の燃料電池用電極材料を得た。
以下の表1に実施例及び比較例の燃料電池用電極材料において、NiOと複合化させた添加金属Aと、NiとAの混合比(mol比)をまとめた。
(XRD測定)
NiOと添加元素Aの酸化物との複合体である、金属酸化物複合体の結晶相をX線回折装置(株式会社リガク、RINT−Ultima III、CuKα:1.542Å、管電圧:40kV、管電流:40mA)により評価した。図3A〜図3Dに未添加及びMn、Co、Cuを10mol%添加したサンプル(すなわち、実施例1及び比較例1〜3)についてのX線回折法(XRD)測定結果を示す。なお、本測定において、金属酸化物複合体の結晶相を判断するため、ScSZと混合していない熱分解処理(800℃、5h)直後の金属酸化物複合体の試料を使用した。
NiOと添加元素Aの酸化物との複合体である、金属酸化物複合体の結晶相をX線回折装置(株式会社リガク、RINT−Ultima III、CuKα:1.542Å、管電圧:40kV、管電流:40mA)により評価した。図3A〜図3Dに未添加及びMn、Co、Cuを10mol%添加したサンプル(すなわち、実施例1及び比較例1〜3)についてのX線回折法(XRD)測定結果を示す。なお、本測定において、金属酸化物複合体の結晶相を判断するため、ScSZと混合していない熱分解処理(800℃、5h)直後の金属酸化物複合体の試料を使用した。
硝酸ニッケルに添加金属Aを加えていない比較例1(図3A)ではNiOのシグナルのみが検出され、硝酸ニッケルは検出されなかった。すなわち、熱分解処理によって、硝酸ニッケルがすべて熱分解によりNiOへ変化していることが確認された。また、図3B〜図3Dに示されるように、Mn、Co、Cuについてもそれぞれの硝酸塩は検出されず、NiOとの複合酸化物であるNi0.9Mn0.1O、Ni0.9Co0.1O、Ni0.9Cu0.1Oのみが検出された。このことから、噴霧乾燥によって形成された硝酸ニッケルと硝酸マンガンの混合体を熱分解することにより、NiOとのMn、Co、Cuの複合酸化物が形成されることが確認された。
次にそれぞれの金属酸化物複合体とScSZからなる(実施例1及び比較例1〜3の燃料電池電極材料)について、還元処理後の結晶相や結晶性を評価した。還元条件は以下の通りである。
装置:流通式還元炉
還元温度:1000℃
還元時間:2h
導入ガス:100%H2(25℃の飽和水蒸気加湿)、流量;200ml/min
装置:流通式還元炉
還元温度:1000℃
還元時間:2h
導入ガス:100%H2(25℃の飽和水蒸気加湿)、流量;200ml/min
図4A〜図4Dに還元処理後の未添加及びMn、Co、Cuを10mol%添加したサンプル(すなわち、実施例1及び比較例1〜3)のXRD測定結果を示す。なお、本測定においては、ScSZと複合したサンプルを使用した。
図4Aに示されるように、未添加の比較例1では、NiとScSZのシグナルのみが検出された。一方、Mnを添加した実施例1(図4B)では、NiとScSZのシグナル以外にMnOのシグナルが確認された。すなわち、還元処理前の金属複合酸化物Ni0.9Mn0.1Oが、還元処理を行うことでNiとMnOに相分離したことを意味する。XRDのNiの回折ピークの半値幅から算出した結晶子径は比較例1が100nmよりはるかに大きかったのに対し、実施例1は60nmであった。すなわち、Mnの添加によりNiの結晶の成長が抑制されたことがわかる。また、CoとCuを添加した比較例2,3(図4C及び図4D)では、Co及びCuの酸化物のシグナルは検出されなかったことから、CoとCuはNiに固溶し、金属まで還元していると考えられる。
本発明の燃料電池電極材料におけるMn元素の分布状態を評価するために、STEM-EDX装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ、HD-2300A)を使用して、3%加湿水素雰囲気中、1000℃、2時間還元処理後の実施例3の燃料電池電極材料の評価を行った(図5A〜図5E)。
この評価から明らかなようにMn元素が燃料電池電極材料全体に高分散に存在している様子が確認された。また、Niを多く含む部分だけでなく、Zrを多く含む部分からもMnが検出されたことから、一部のMnがScSZへ固溶していることが示唆された。
この評価から明らかなようにMn元素が燃料電池電極材料全体に高分散に存在している様子が確認された。また、Niを多く含む部分だけでなく、Zrを多く含む部分からもMnが検出されたことから、一部のMnがScSZへ固溶していることが示唆された。
(単セルの作製)
次に実施例1〜5及び比較例1〜3をアノードとして使用して、電解質支持型セル(以下、単セルと称す。)を作製し、電気化学特性の評価を行った。単セルの構成を以下にします。
アノード:実施例1〜5及び比較例1〜3の燃料電池用電極材料
電解質:ScSZ板(膜厚:200μm)(第一稀元素化学工業株式会社)
カソード:LSM
作製手順を以下に示す。
実施例1〜3及び比較例1、2したペースト状のアノード粉末を、ScSZ電解質板(膜厚:200μm)の片面に1250℃、3hで焼き付けた。次にLSMペーストをアノードの反対面に塗布し、1200℃、5hで焼き付けた。アノードとカソードの電極面積は約0.64cm2である。
次に実施例1〜5及び比較例1〜3をアノードとして使用して、電解質支持型セル(以下、単セルと称す。)を作製し、電気化学特性の評価を行った。単セルの構成を以下にします。
アノード:実施例1〜5及び比較例1〜3の燃料電池用電極材料
電解質:ScSZ板(膜厚:200μm)(第一稀元素化学工業株式会社)
カソード:LSM
作製手順を以下に示す。
実施例1〜3及び比較例1、2したペースト状のアノード粉末を、ScSZ電解質板(膜厚:200μm)の片面に1250℃、3hで焼き付けた。次にLSMペーストをアノードの反対面に塗布し、1200℃、5hで焼き付けた。アノードとカソードの電極面積は約0.64cm2である。
(発電実験1)
上記方法で作製した単セルを組み込んだ発電評価装置を用い以下の条件で発電特性の評価を行った。
(発電条件)
測定温度:800℃
アノード供給ガス:メタン(S/C=2.5)の50%改質模擬ガス
アノードガス供給速度:51ml/min+N2 51ml/min
アノードガス加湿条件:77.2℃における飽和水蒸気
カソード供給ガス種:空気
カソードガス供給速度:150ml/min
アノードプレ還元処理条件:100%(25℃の飽和水蒸気加湿)
1000℃、1h
流量;150ml/min
上記方法で作製した単セルを組み込んだ発電評価装置を用い以下の条件で発電特性の評価を行った。
(発電条件)
測定温度:800℃
アノード供給ガス:メタン(S/C=2.5)の50%改質模擬ガス
アノードガス供給速度:51ml/min+N2 51ml/min
アノードガス加湿条件:77.2℃における飽和水蒸気
カソード供給ガス種:空気
カソードガス供給速度:150ml/min
アノードプレ還元処理条件:100%(25℃の飽和水蒸気加湿)
1000℃、1h
流量;150ml/min
まず、未添加及びMn、Co、Cuを10mol%添加した燃料電池電極材料(すなわち、実施例1及び比較例1〜3)をアノードとして用いたサンプルのアノード過電圧の評価を行った。図6に測定結果を示す。なお、アノード過電圧は電極触媒活性(水素の電気化学酸化に対する触媒活性)の指標であり、値が小さいほど電極触媒活性が高いことを意味する。
Mnを添加した実施例1(Ni−Mn)では、未添加の比較例1(Ni)よりすべての電流密度で小さなアノード過電圧を示した。すなわち、Mnを添加することでアノードの電極触媒活性が改善されることが示された。一方、Coを添加した比較例2(Ni−Co)のアノード過電圧は、比較例1(Ni)と同程度であり、Cuを添加した比較例3(Ni−Cu)のアノード過電圧は、比較例1(Ni)よりはるかに大きく、電極触媒活性が改善される効果は確認されなかった。
(発電実験2)
次に、アノードの電極触媒活性の改善効果が確認されたNiMnアノードにおいて、Mnの添加量を変更してアノード過電圧を測定した。発電条件は上記(発電実験1)を同じである。図7に実施例(NiMn)及び比較例1(Ni)結果を示す。
アノード過電圧は、Mn添加量が1mol%の場合においても明らかに、未添加の比較例1(Ni)より小さく、Mnの添加によってアノード過電圧が低下することがわかる。Mn添加量を増加させると5mol%添加した場合に最も過電圧が小さくなった。
次に、アノードの電極触媒活性の改善効果が確認されたNiMnアノードにおいて、Mnの添加量を変更してアノード過電圧を測定した。発電条件は上記(発電実験1)を同じである。図7に実施例(NiMn)及び比較例1(Ni)結果を示す。
アノード過電圧は、Mn添加量が1mol%の場合においても明らかに、未添加の比較例1(Ni)より小さく、Mnの添加によってアノード過電圧が低下することがわかる。Mn添加量を増加させると5mol%添加した場合に最も過電圧が小さくなった。
(発電実験3)
実際のメタン改質ガスを模擬した状態で長期安定性を評価するために、5ppm硫化水素(H2S)を混入して経時測定を行った。
発電条件を以下に示す。
アノード供給ガス:メタン(S/C=2.5)の50%改質模擬ガス+5ppmH2S
アノードガス供給速度:51ml/min+N2 51ml/min
アノードガス加湿条件:77.2℃における飽和水蒸気
カソード供給ガス種:空気
カソードガス供給速度:150ml/min
設定電流密度:0.2A/cm2
測定温度:800℃
実際のメタン改質ガスを模擬した状態で長期安定性を評価するために、5ppm硫化水素(H2S)を混入して経時測定を行った。
発電条件を以下に示す。
アノード供給ガス:メタン(S/C=2.5)の50%改質模擬ガス+5ppmH2S
アノードガス供給速度:51ml/min+N2 51ml/min
アノードガス加湿条件:77.2℃における飽和水蒸気
カソード供給ガス種:空気
カソードガス供給速度:150ml/min
設定電流密度:0.2A/cm2
測定温度:800℃
図8にMn添加量(mol%)と、経時測定開始5h後における電圧降下の関係を示す。また、経時測定後のアノードを走査型電子顕微鏡(FE−SEM、(株)日立ハイテクノロジーズ、S−5200)で観察した。図9A、図9Bにそれぞれ比較例1と実施例3の経時測定後(5時間後)のアノードの電子顕微鏡像を示す。
図8から、Mn未添加(0mol%)のアノード(比較例1)と比較して、Mnを添加したアノード(実施例)はすべての添加量において電圧降下が小さいことがわかる。このことから、NiにMnを添加することでH2Sに対する耐久性が向上していることが確認された。特にMn濃度5mol%の実施例3は最も電圧降下が少なく安定して発電することができた。測定後の電子顕微鏡像から経時測定後のMn未添加のアノード(図9A)ではNi粒子の表面にほとんど凹凸がないのに対し、NiMnのアノード(図9B)ではNi粒子が非常に凹凸を持った形状になっていることがわかる。このようにMnを添加することによって、Ni粒子の表面積が大きくなったことにより電極反応場が増大したため、アノード過電圧が低下し、H2S被毒による電圧降下も抑制出来たと考えられる。
上述の経時測定開始5h後における電圧降下が最も小さかった実施例3のアノードを用いて、1000hの経時測定を行った。発電条件は上記(発電実験3)を同様である。結果を図10に示す。
測定初期(100h程度)に0.01V程度の電圧降下あったものの、その後約0.80Vで安定し、1000h電圧がほとんど低下しなかった。このように本発明の燃料電池電極を備えた燃料電池は、硫化水素が共存する炭化水素燃料を使用しても長期間安定して発電可能であることが確認された。
測定初期(100h程度)に0.01V程度の電圧降下あったものの、その後約0.80Vで安定し、1000h電圧がほとんど低下しなかった。このように本発明の燃料電池電極を備えた燃料電池は、硫化水素が共存する炭化水素燃料を使用しても長期間安定して発電可能であることが確認された。
本発明の燃料電池用電極材料は、アノード雰囲気下において定常的に発電可能な固体酸化物形燃料電池用の電極材料として利用できる。また、H2Sを含むメタン改質ガス中においても定常的に発電可能であるため、都市ガスやプロパンガス、ガソリン、灯油、ジェット燃料、バイオガス、消化ガス、石炭ガス化ガスなどを改質して製造した、水素を多く含む燃料を用いる固体酸化物形燃料電池への使用が期待される。
Claims (9)
- 酸化ニッケル及び酸化マンガンからなる金属酸化物複合体と、イオン導電性酸化物とからなることを特徴とする燃料電池用電極材料。
- 酸化ニッケルに対する、酸化マンガンの混合割合が、1〜30mol%である請求項1記載の燃料電池用電極材料。
- 前記イオン導電性酸化物が、安定化ジルコニアである請求項1に記載の燃料電池用電極材料。
- 前記イオン導電性酸化物が、安定化ジルコニアである請求項2に記載の燃料電池用電極材料。
- 請求項1から4のいずれかの項に記載の燃料電池用材料を含有してなることを特徴とする燃料電池用電極。
- 請求項5に記載の燃料電池用電極をアノードとして使用してなる燃料電池。
- 熱分解性のニッケル化合物と熱分解性のマンガン化合物とを含む溶液を噴霧して、前記ニッケル化合物と前記マンガン化合物の両方の熱分解温度より低温で乾燥した後に、前記熱分解温度より高温で熱処理することにより形成した金属酸化物複合体からなる粉末と、イオン導電性酸化物からなる粉末とを混合して焼成することを特徴とする燃料電池用電極材料の製造方法。
- 前記ニッケル化合物がニッケル硝酸塩であり、かつ、前記マンガン化合物が、マンガン硝酸塩である請求項7記載の燃料電池用電極材料の製造方法。
- 熱処理温度が、500℃以上1000℃以下である請求項7または8記載の燃料電池用電極材料の製造方法。
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