JP5528132B2 - 固体電解質型燃料電池用電極の製造方法及びその製造方法で製造された固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質型燃料電池用電極の製造方法及びその製造方法で製造された固体電解質型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解質型燃料電池用電極の製造方法に関し、更に詳しくは、「電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物」及び/又は「電子・酸素イオン混合伝導体」、並びに、「プロトン伝導体」を含有する固体電解質型燃料電池用電極の製造方法に関するものである。
実用的な燃料電池では、炭化水素を燃料にする必要があり、改質器を用いて水蒸気改質によって水素を生成して発電に用いるのが一般的である。この水蒸気改質は吸熱反応であり、改質のための熱源を必要とする。そのため、外部改質器を用いたものでは、排ガスやアノードからのリサイクルガスの熱を利用することなどにより熱効率の高効率化を図っている例もある(特許文献1参照)。しかしながら、エネルギーロスを減らして発電効率を向上するためにも、燃料電池の構造を単純化して製造コストを削減するためにも、改質器を付帯しないことが望まれる。
この課題に対して、改質器を外部に付帯しない内部改質型の固体電解質型燃料電池が開発されている(特許文献2、特許文献3参照)。この技術は、燃料電池セルの燃料極に、水蒸気改質触媒であるRu、Rh、PdあるいはCuを添加して電極上で水蒸気改質反応を起こし、改質にともなう熱損失を抑制するとともに、システムの規模をコンパクトにすることを狙っている。
しかしながら、燃料に多量の水蒸気が同伴されるため(S/C=1以上)、燃料電池の起電力を低下(ひいては出力低下)させるとともに、蒸発や水蒸気循環のための付帯設備が必要であり、それに絡んだエネルギーロスがまだ存在する。更には、サーメット燃料極を構成する金属(Ni等)が水蒸気により酸化されたり、逆に同伴する水蒸気量が不足することにより炭素析出が発生したりするといった電極劣化が懸念される。
また、燃料電池の発電効率を向上させるためには、水素や炭化水素燃料の燃料利用率を向上させなければならないが、燃料利用率を増大させると、燃料極における燃料濃度が低下するため起電力が低下(ひいては出力低下)する傾向がある。そのため、高い燃料利用率における出力向上を実現する高活性な燃料極が望まれている。
上記課題に対して、本発明者は、「電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物」及び/又は「電子・酸素イオン混合伝導体」に、更に、プロトン伝導性を有する材料(以下、これを「プロトン伝導体」と略記する)を加えて燃料極を作製すれば、飛躍的に電極特性が向上することを既に報告した(特許文献4参照)。
しかしながら、電極中のプロトン伝導体の分散状態や、具体的なプロトン伝導体の添加方法については十分に検討がなされておらず、更なる改善の余地があった。
特開平3−236164号公報 特開2000−058075号公報 特開平6−140048号公報 特開2007−066813号公報
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、固体電解質型燃料電池の運転時に、電極、特にアノード(燃料極)の劣化を抑制し、酸化還元サイクル特性を向上させ、繰り返し作動させても性能が劣化せず、高出力を安定的に維持できる電極を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、「『電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物』及び/又は『電子・酸素イオン混合伝導体』」に、更に、プロトン伝導性を有する材料(以下、これを「プロトン伝導体」と略記する)を加えて電極を作製する際に、プロトン伝導体の付与方法、すなわち、プロトン伝導体を電極に含有させる方法が、固体電解質型燃料電池の性能に大きく影響を及ぼすことを見出した。
すなわち、電極内においてプロトン伝導体が均一に分散した状態が好ましく、プロトン伝導体がかかる状態になるような添加方法として、表面に微小液滴で噴霧する方法が必須であり、中でもインクジェット法が好適であり、かかる方法を用いてプロトン伝導体を含有させると、飛躍的に電極特性が向上することを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明は、
「『電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物』及び/又は『電子・酸素イオン混合伝導体』並びに『プロトン伝導体』」を含む固体電解質型燃料電池用電極の製造方法であって、
「該プロトン伝導体の分散液及び/又は該プロトン伝導体の前駆体の溶液」を、「『電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物』及び/又は『電子・酸素イオン混合伝導体』を含む電極」の表面に微小液滴で噴霧することを特徴とする
固体電解質型燃料電池用電極の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法で製造されたものであることを特徴とする固体電解質型燃料電池用電極を提供するものである。
また、本発明は、上記の固体電解質型燃料電池用電極と、固体電解質層とを少なくとも有することを特徴とする固体電解質型燃料電池セルを提供するものである。
また、本発明は、上記の固体電解質型燃料電池セルを有することを特徴とする固体電解質型燃料電池を提供するものである。
本発明によれば、都市ガスをはじめとする炭化水素を含む燃料、水素、又は固体炭素を、燃料極で直接酸化することができる、高活性で繰り返し作動時にも劣化が少ない電極を提供し、これによって燃料電池の構造を単純化することにより、低コスト、高効率の燃料電池を提供することができる。
特に、固体電解質型燃料電池の運転時に、電極、特にアノード(燃料極)の劣化を抑制し、酸化還元サイクル特性を向上させ、繰り返し作動させても、後述するI−V特性等の発電特性が劣化せず、高出力を安定的に維持できる電極を提供することができる。
本発明の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法で製造される固体電解質型燃料電池セルの断面図である。 本発明の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法で製造された固体電解質型燃料電池の、発電特性の一例を示すグラフである。−▲−:プロトン伝導体であるSCYbの前駆体をインクジェット法で噴霧して電極を製造したときの電圧(V)特性(実施例1)。−■−:プロトン伝導体であるSCYbの前駆体をピペットで滴下して電極を製造したときの電圧(V)特性(比較例1)。−●−:プロトン伝導体であるSCYbを含有しない電極の電圧(V)特性(比較例2)。−△−:プロトン伝導体であるSCYbの前駆体をインクジェット法で噴霧して電極を製造したときの電力密度(W/cm)(実施例1)。−□−:プロトン伝導体であるSCYbの前駆体をピペットで滴下して電極を製造したときの電力密度(W/cm)(比較例1)。−○−:プロトン伝導体であるSCYbを含有しない電極の電力密度(W/cm)(比較例2)。 本発明の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法で製造された固体電解質型燃料電池の、劣化加速試験前後の発電特性の一例を示すグラフである。−●−:プロトン伝導体であるSCYbの前駆体をインクジェット法で噴霧して電極を製造したときの劣化加速試験前の電圧(V)特性(実施例1)。−○−:プロトン伝導体であるSCYbの前駆体をインクジェット法で噴霧して電極を製造したときの劣化加速試験後の電圧(V)特性(実施例1)。−▲−:プロトン伝導体であるSCYbの前駆体をピペットで滴下して電極を製造したときの劣化加速試験前の電圧(V)特性(比較例1)。−△−:プロトン伝導体であるSCYbの前駆体をピペットで滴下して電極を製造したときの劣化加速試験後の電圧(V)特性(比較例1)。
以下、本発明の実施態様の代表例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
1.電極
本発明の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法で製造される電極は、少なくとも、「『(A)電子伝導体と(B)酸素イオン伝導体、の混合物』及び/又は『(C)電子・酸素イオン混合伝導体』」に対し、更に「(D)プロトン伝導体」を含む。
「(A)電子伝導体と(B)酸素イオン伝導体、の混合物」及び/又は「(C)電子・酸素イオン混合伝導体」は、それぞれ3次元ネットワーク構造をもつ多孔質であることが好ましい。ここで、「3次元ネットワーク構造」とは、電極中を電子及び/又は酸素イオンが伝導するパスが連通した構造をいい、「それぞれ」の単位は、「電子伝導体」、「酸素イオン伝導体」、「電子・酸素イオン混合伝導体」である。すなわち、電極を形成したとき、結果的に、電子と酸素イオンの両方ともの導通があることが好ましい。
本発明の電極の製造方法は、「電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物及び/又は電子・酸素イオン混合伝導体を含む基板(これも「電極」ということがある)」の表面に、更に、プロトン伝導体の分散液及び/又はプロトン伝導体の前駆体の溶液を微小液滴で噴霧することを特徴とする。そして、「微小液滴で噴霧」の特に好ましい形態は、「インクジェット法で噴霧」である。上記の基板(電極)の上に、プロトン伝導体の分散液及び/又はプロトン伝導体の前駆体の溶液を微小液滴で噴霧することによって、上記基板(電極)の上に該微小液滴が付与され、均一にプロトン伝導体が含有された固体電解質型燃料電池用電極が製造でき、その結果、前記効果を発揮する。
本発明の電極を構成する(A)電子伝導体、(B)酸素イオン伝導体、(C)酸素・電子混合伝導体及び(D)プロトン伝導体の形態については、下記にそれぞれの項目に分けて詳述する。
(A)電子伝導体
電子伝導体は、燃料電池の運転温度において電子を伝導し易いか、燃料電池の電極の分野において、「電子伝導体」と言われているものである。電子伝導体は、かかる要件を満たせば特に限定されないが、金属若しくは合金、及び/又はその酸化物であることが好ましい。また、「融点が600℃以上の金属若しくは合金」及び/又はその酸化物であることがより好ましい。「構成元素がNi、Co、Cu、Fe、Ag、Pt、Au、Pd、Ru、Mo、W及びTaからなる群より選択される少なくとも1種の金属若しくは合金」、及び/又は、その酸化物が特に好ましい。
(B)酸素イオン伝導体
酸素イオン伝導体は、燃料電池の運転温度において酸素イオンを伝導し易いか、燃料電池の電極の分野において、「酸素イオン伝導体」と言われているものである。酸素イオン伝導体はかかる要件を満たせば特に限定されないが、安定化ジルコニア、ランタンガレート又はセリア系固溶体が、酸素イオン伝導度が高い等の点で好ましい。また、特に限定されないが、後述する固体電解質と主成分が同じ化合物が好ましい。
安定化ジルコニアは特に限定はないが、一般式(ZrO1−x(M(式中、MはY、Sc、Sm、Nd、Gd及びYbからなる群より選ばれた1種以上の元素を示す)及び/又は(ZrO1−x(MO)(式中、MはCa及びMgからなる群より選ばれた1種以上の元素を示す)における、xが0<x≦0.3である固溶体が好ましい。特に好ましいものとしては、例えば、(ZrO0.92(Y0.08等が挙げられる。なお、以下、(ZrO1−x(Y(式中、0<x≦0.3)を「イットリア安定化ジルコニア」又は「YSZ」と略記する。また以下、一般に例えば「式中、Aは、Q、R及びTからなる群から選ばれた1種以上の元素を示す」という表現は、例えば、式中、AがQである固容体とAがRである固溶体の混合でもよいことを示すだけではなく、AとしてQとRとを同時に結晶サイトに有する固溶体をも示すものとする。
ランタンガレートは特に限定はないが、一般式、La1−xSrGa1−y−zMg(式中、AはCo、Fe、Ni又はCuのいずれか1種以上の元素を示し、x=0.05〜0.3、y=0〜0.29、z=0.01〜0.3、y+z=0.025〜0.3の範囲である)で表される固溶体が好ましい。具体的には、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.15Co0.053−δ(式中、δは酸素欠損量を示す)等が挙げられる。
セリア系固溶体は特に限定はないが、Ce1−x(式中、MはGd、La、Y、Sc、Sm、Pr、Nd、Ca、Mg、Sr、Ba、Dy、Yb、Tb、及び他の2価又は3価のランタノイドからなる群から選ばれた1種以上の元素を示す)における、xが0<x≦0.5である固溶体が好ましい。特に好ましいセリア系固溶体としては、Ce0.8Gd0.22−δ(式中、δは酸素欠損量を示す)等が挙げられる。
(C)電子・酸素イオン混合伝導体
電子・酸素イオン混合伝導体としては、燃料電池の運転温度において電子と酸素イオンを共に伝導し易いか、燃料電池の電極の分野において、「電子・酸素イオン混合伝導体」、「電子・酸素イオン伝導体」等と言われているものである。電子・酸素イオン混合伝導体はかかる要件を満たせば特に限定されないが、ペロブスカイト固溶体、パイロクロア固溶体又はフルオライト固溶体が好ましい。
ペロブスカイト固溶体とは、ペロブスカイト型の結晶構造をとる固溶体をいい、一般式、A1±aBO3−δ(式中、AはLa、Sr、Ca、Y及びPrからなる群より選ばれる少なくとも1種を示し、BはCo、Cr、Mn、Ni及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種を示し、0≦a≦0.2である)で表されるものが好ましい。このうち、LaCoO、LaMnO、LaCrO等を母体とする物質が好ましい。具体的には、La0.6Sr0.4Fe0.8Co0.2、La0.75Sr0.2Cr0.5Mn0.5等が挙げられる。
そのほかのペロブスカイト固溶体では、Ba(Ce1−xGd1±a(式中、0≦x≦0.5、0≦a≦0.2である)、Ca(Al1−xTi1±a(式中、0≦x≦0.5、0≦a≦0.2である)、Sr(Zr1−xSc1±a(式中、0≦x≦0.5、0≦a≦0.2である)等で表されるものも好ましい。具体的には、BaCe0.9Gd0.1、CaAl0.7Ti0.3、SrZr0.9Sc0.1等が挙げられる。
パイロクロア固溶体とは、パイロクロア型の結晶構造をとる固溶体をいい、例としては、Ln((Zr1−xTi1±a(式中、LnはSc、Y、La及び他のランタノイドからなる群より選ばれた1種以上の元素を示し、0≦x≦0.5、0≦a≦0.2である)が好ましいものとして挙げられる。具体的には例えば、Gd((Zr1−xTi1±a(式中、0≦x≦0.5、0≦a≦0.2である)、Y((Zr1−xTi1±a(式中、0≦x≦0.5、0≦a≦0.2である)等が挙げられる。
フルオライト固溶体とは、フルオライト型の結晶構造をとる固溶体をいい、その中で好ましいものはセリア系固溶体で、Ce1−x(式中、MはGd、La、Y、Sc、Sm、Pr、Nd、Ca、Mg、Sr、Ba、Dy、Yb、Tb、及び他の2価又は3価のランタノイドからなる群から選ばれた1種以上の元素を示し、0≦x≦0.5である)で表されるものである。特に好ましいセリア系固溶体として、Ce0.8Gd0.22−δ(式中、δは酸素欠損量を示す)等が挙げられる。
本発明の電極を燃料極とした場合には、ペロブスカイト固溶体(例えば、La0.6Sr0.4Fe0.8Co0.2)又はフルオライト固溶体(例えば、Ce0.8Gd0.22−δ(式中、δは酸素欠損量を示す))が、高い混合伝導性をもつ等の点で好ましい。
(D)プロトン伝導体
本発明は、固体電解質型燃料電池の電極に、プロトン伝導体を表面に微小液滴で噴霧することを特徴とする。プロトン伝導体とは、燃料電池の運転温度においてプロトンを伝導し易いか、一般に「プロトン伝導体」と言われているものである。本発明におけるプロトン伝導体は、燃料電池の運転温度において、10−4Scm−1以上のプロトン伝導度を有する物質であることが好ましい。特に好ましくは、10−3Scm−1以上のプロトン伝導度を有する物質であり、更に好ましくは、10−2Scm−1以上のプロトン伝導度を有する物質である。なお、上限は特に限定されるものではないが、通常、10Scm−1以下である。
本発明の電極に含有されるプロトン伝導体としては、特に限定されないが、酸素イオン伝導体あるいは固体電解質の主成分金属と同じ金属を主成分とする物質が、粒子間の良好な接合が得られ易い、伝導性の悪い反応生成物が生成し難い等の点で好ましい。また、ペロブスカイト型のプロトン伝導体が、高いプロトン伝導性をもつ点で好ましい。プロトン伝導体として特に好ましくは、酸素イオン伝導体あるいは固体電解質の主成分金属がペロブスカイト型結晶構造のBサイトの50%以上を占有するペロブスカイト型化合物である。
本発明のプロトン伝導体としてのペロブスカイト型化合物は、A(B1−xB’1±a3−δ(式中、AはBa、Ca及びSrからなる群より選ばれた1種以上の元素を示し、BはCe及びZrからなる群より選ばれた1種以上の元素を示し、B’はY、Nd、La、Ca、Yb、Sc、In、Gd、及び他の2価又は3価のランタノイドからなる群より選ばれた1種以上の元素を示し、0<x≦0.5、0≦a≦0.2である)で表されるものが好ましい。より具体的には、SrZr0.950.053−δ、SrCe0.95Yb0.053−δ、BaCe0.90.13−δ(式中、δは酸素欠損量を示す)等が挙げられる。
代表的なYSZを、後述する固体電解質に採用した場合、本発明のプロトン伝導体としての特に好ましい例としては、YドープSrZrO等が挙げられ、具体的な組成としては、SrZr0.950.053−δ(式中、δは酸素欠損量を示す)等が挙げられる。
YSZを採用した場合、本発明の固体電解質型燃料電池の電極としての特に好ましい例は、Ni/(ZrO0.92(Y0.08−SrZr0.950.05である。
本発明の固体電解質型燃料電池の電極全体に対する(A)電子伝導体、(B)酸素イオン伝導体、(C)電子・酸素イオン混合伝導体、(D)プロトン伝導体の含有量については特に限定されないが、電極のコンポジット組成毎に好ましい含有量を以下に記す。
電極のコンポジット組成が、(A)電子伝導体、(B)酸素イオン伝導体及び(D)プロトン伝導体であるときは、(A)と(B)はそれぞれ、電極全体に対して、10質量%以上であることが、電子及び酸素イオンの伝導パスの3次元ネットワーク構造を形成するために好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。
電極のコンポジット組成が、(C)電子・酸素イオン混合伝導体と(D)プロトン伝導体であるときは、(C)は電極全体に対して、10質量%以上であることが、電子及び酸素イオンの伝導パスの3次元ネットワーク構造を形成するために好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。
電極のコンポジット組成が、(A)電子伝導体、(B)酸素イオン伝導体、(C)電子・酸素イオン混合伝導体及び(D)プロトン伝導体であるときは、(A)と(B)のそれぞれ両方ともが、あるいは(C)が、電極全体に対して、10質量%以上であることが、電子及び酸素伝導パスの3次元ネットワーク構造を形成するために好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。
(D)プロトン伝導体の含有量は、コンポジット組成にかかわらず、電極全体に対して、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。また、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。プロトン伝導体が少なすぎると、本発明の上記効果が得られない場合がある。
固体電解質として、最も一般的なYSZを採用した場合、本発明の固体電解質型燃料電池の電極としての特に好ましい例は、前記したように、Ni/(ZrO0.92(Y0.08−SrZr0.950.05であるが、その質量組成比は、電極全体に対し、Niが20〜70質量%、(ZrO0.92(Y0.08が20〜70質量%、SrZr0.950.05が5〜50質量%が好ましく、特に好ましくは、Ni/(ZrO0.92(Y0.08/SrZr0.950.05=6/2.8/1.2(質量比)である。
固体電解質型燃料電池は、図1に示したように、固体電解質の一方の側にアノード(燃料極)が、もう一方の側にカソード(空気極)が存在する。
2.固体電解質
アノード(燃料極)とカソード(空気極)の間に存在する固体電解質は特に限定はないが、例えば、YSZ、カルシア安定化ジルコニア等が挙げられる。セリア系固溶体やランタンガレート系固溶体でもよい。代表的なものは、(ZrO0.92(Y0.08等である。
本発明の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法で製造される電極は、アノード(燃料極)、カソード(空気極)の何れにも適用可能であるが、アノード(燃料極)に適用することが、前記効果をより発揮する点で好ましい。
3.空気極
「1.電極」の項での記載はアノード(燃料極)に適用されることが好ましいが、その場合の空気極としては、公知のものが使用され、特に限定はないが、例えば、La1−xSrMnOやLaCoO等のペロブスカイト型ランタン系複合酸化物等が挙げられる。具体的にはLa0.85Sr0.15MnO等が挙げられる。
4.セル又はスタック
本発明は、上記の固体電解質型燃料電池用電極と、固体電解質層とを少なくとも有する固体電解質型燃料電池セルでもある。すなわち、本発明の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法で製造される電極を有するセルは、例えば図1のように、固体電解質の両面にそれぞれ燃料極と空気極を配置したものであり、セルの形状としては、平板型あるいは円筒型が挙げられる。これら単セルを重ね合わせてセルの集合体であるスタックを形成する。
電極を形成する電極材料の製造方法は特に限定はないが、電極材料であるセラミックス粉は、例えば、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、金属アルコキシド等を出発原料にし、固相法、共沈法、錯体法、燃焼法、噴霧熱分解法、ゾルーゲル法等により調製できる。この、セラミックス粉は必要に応じて仮焼及びボールミル等による粉砕を行う。
電極材料の平均粒子は10μm以下であることが好ましく、6μm以下であることが特に好ましい。また、0.01μm以上にすることが好ましく、0.1μm以上にすることが特に好ましい。
本電極材料(セラミックス粉)を溶媒に分散し、有機バインダー等を添加してスラリーを調製する。本スラリーをドクターブレード装置等にかけて溶媒を除去してグリーンシートを製造、あるいは押し出し成形機等にかけてチューブを製造する。これら、セラミックス粉、スラリー、グリーン成形体等は、本発明における電極を形成するために好適に用いられる。
本発明においては、電極内に(D)プロトン伝導体を均一に分散させることによって、固体電解質型燃料電池の運転時の発電特性を向上させ、電極劣化を抑制できることから、電極製造時におけるプロトン伝導体の添加方法が重要である。(D)プロトン伝導体は、その他の電極材料(セラミックス粉)(「(A)と(B)」及び/又は(C))と共に溶媒に分散させ、有機バインダー等を添加して調製したスラリーを固体電解質の膜にコートする方法が用いられる。
本発明においては、プロトン伝導体以外の電極材料で既に作製した電極の表面に、プロトン伝導体を、後から微小液滴で噴霧することを特徴とする。かかる方法としては、該プロトン伝導体の分散液、又は、該プロトン伝導体の原料溶液(すなわち、該プロトン伝導体の前駆体の溶液)を、スプレーコート法、インクジェット法等でアノードに付与することが好ましい。なかでもインクジェット法は、上記分散液や前駆体の溶液を微小液滴にできる点、プロトン伝導体の前駆体の溶液等を電極表面に均一に付与でき、焼結後にプロトン伝導体を電極内に特に均一に分散させることができる点から特に好ましい。
上記方法によって、プロトン伝導体又はプロトン伝導体の前駆体を噴霧した後、乾燥後、要すれば焼成することで、プロトン伝導体を含む電極が得られる。プロトン伝導体の分散液を、プロトン伝導体以外の電極材料で既に作製した電極の表面に微小液滴で噴霧した場合は、水等の分散媒を乾燥後、プロトン伝導体を含む電極が得られるが、乾燥後、要すれば加熱処理をしてもよい。一方、プロトン伝導体の前駆体の溶液を、該電極の表面に微小液滴で噴霧した場合は、水等の溶媒を乾燥後に焼成することで、プロトン伝導体を含む電極が得られる。
微小液滴で噴霧し易い点から、プロトン伝導体の前駆体の溶液を、該電極の表面に微小液滴で噴霧し、乾燥後に焼成してプロトン伝導体を含む電極を得る方がより好ましい。
本発明において「微小液滴」とは、前記のプロトン伝導体又はプロトン伝導体の前駆体を噴霧するができる微小な液滴であれば特に限定されるものではないが、通常、その個数平均の体積が1pL〜1000pLである液滴である。微小液滴の個数平均の体積は、好ましくは1pL〜500pLであり、より好ましくは5pL〜300pL、特に好ましくは10pL〜100pLである。この値が大きすぎると、プロトン伝導体を均一に電極内に含有させることができない場合があり、結果として、燃料電池を繰り返し作動させたとき、発電特性が悪化する場合がある。一方、小さすぎるものは、液滴を得ることが難しく、性能の上昇が見込めないのでその必要性がない場合がある。
微小液滴の個数平均の直径は10μm〜100μmが好ましく、10μm〜80μmが特に好ましい。
プロトン伝導体の「プロトン伝導体の分散液」中の濃度、プロトン伝導体の前駆体の「プロトン伝導体の前駆体の溶液」中の濃度は、特に限定はないが、微小液滴の調製の容易さの点、噴霧の際のむら防止の点から、5〜60質量%が好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
噴霧する液体が、プロトン伝導体の前駆体の溶液の場合は、原料である各元素の塩としては特に限定されないが、例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩化物等の無機塩;酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等が好適に使用できる。中でも、硝酸塩、酢酸塩が特に好適に使用できる。
分散液に使用する分散媒、又は、溶液に使用する溶媒としては、プロトン伝導体と親和性がある液体、又は、プロトン伝導体の前駆体を溶解させる液体であれば制限なく使用できる。具体的には、水、アルコール類、カルボン酸類、アミン類等が好ましい。また、これらの混合分散媒や混合溶媒も好ましい。
噴霧をインクジェット法で行う場合のインクジェット装置は、噴霧する液体を満たした微細なノズルを体積収縮あるいは昇温させることによって、液体を微細な液滴として放出する装置であり、具体的には、この方式の市販のプリンターに使用されている装置が利用できる。
次に、電極及びセルを製造する方法について述べる。電極及び電解質からなるセルの多層構造を形成するため、前記電極及び電解質のグリーンシートを張り合わせるテープカレンダリングや、グリーンシートや成形チューブ、あるいはこれらの仮焼又は本焼後の表面に、別の層を形成するためスラリーコート法、スプレーコート法、ディッピング法あるいはゾルーゲル法等が利用できる。本多層構造体を更に焼結を行って単セルを製造する。
5.燃料電池
燃料電池は、前記スタックと、バランスオブプラントとして、スタックへの燃料ガスや酸化剤ガスの供給系、これら供給ガスの予熱や排熱回収を行うための熱交換器、必要に応じて水蒸気を供給するための蒸発器や燃料ガスの改質器と、燃料電池の運転を制御するための制御系からなる。本発明によれば、水蒸気の供給が不要あるいは大幅に縮小することが可能であり、それに関連した熱交換器も不要あるいは縮小することが可能なので、燃料電池の構造を単純化・コンパクト化でき、燃料電池の製造コスト削減と、更には発電効率の向上が可能になるという特徴を有する。
6.燃料
本発明における電極及び固体電解質型燃料電池セルは、「水素」、「炭化水素を含む物質」及び/又は「固体炭素」を燃料として用いる燃料電池に用いることができるが、本発明はアノード(燃料極)の劣化が抑制される点に特長があるため、劣化が問題になり易い「炭化水素を含む物質」を用いる燃料電池に用いることが、本発明の効果を発揮させることができることから好ましい。
本発明の電極の製造方法を使用して得られる固体電解質型燃料電池に燃料として用いられる炭化水素は特に限定されないが、例えば、都市ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルエーテル、天然ガス、LPG、ナフサ、灯油等が挙げられる。燃料は加湿して用いてもよいが、本発明は加湿しないドライ燃料が利用できるので、本発明の効果をより発揮させるためには、加湿されていないドライ燃料を用いることが好ましい。すなわち、固体電解質型燃料電池セルや固体電解質型燃料電池の燃料が、加湿していない炭化水素を含む物質であることが好ましい。
本発明の製造方法を使用して製造される電極は、燃料として水素又は炭化水素を用いる通常の燃料電池に用いられる他に、本発明者と重複する発明者によって発明された特開2008−198585に記載の「燃料として固体炭素を用いる固体酸化物型電池」にも好適に適用できる。すなわち、アノード材料(燃料極の材料)に担持された固体炭素を二酸化炭素と反応させて気体の一酸化炭素に変換し、当該気体の一酸化炭素を酸化することにより発電することを特徴とする固体酸化物型電池にも好適に適用できる。
上記「燃料として固体炭素を用いる固体酸化物型電池」では、炭素と水素を構成元素として少なくとも含む有機化合物をアノードに導入し、200〜1200℃の温度条件下で、該有機化合物の熱分解反応を進行させることにより、アノード材料(燃料極の材料)に固体炭素を担持させ、その固体炭素を燃料として使用することが好ましいものである。ここで、上記「炭素と水素を構成元素として少なくとも含む有機化合物」は、特に好ましくは、プロパン又はブタンを主成分とするものである。
かかる固体酸化物型電池においては、アノード材料(燃料極の材料)に担持された固体炭素を燃料として、発電時にアノード(燃料極)において、下記反応式(1)及び(2)を利用して発電がなされる。
CO+C → 2CO (1)
CO+O2− → CO+2e (2)
更に、本発明者は、上記した「有機化合物をアノードに導入し、熱分解反応により、アノード材料(燃料極の材料)に固体炭素を担持させ、その固体炭素を燃料として使用する上記の固体酸化物型電池」が、あるいはそれを改良したものが、アノード材料(燃料極の材料)に直接固体炭素を接触させておかなくても、上記原理により発電が可能であることを別途見出した(例えば、特願2009−186932)。この燃料電池によると、有機化合物の熱分解反応を利用しなくても、固体炭素自体を燃料として外部から供給して、アノード(燃料極)の近傍に存在させることによって発電が可能である。
本発明の製造方法を使用して製造される電極は、本発明者と重複する発明者によって発明された上記の「外部から固体炭素自体を供給して、それを燃料として用いる固体酸化物型電池」にも好適に適用できる。
上記した2種類の「燃料として固体炭素を用いる固体酸化物型電池」の電極材料や電極構成等は、前記した(A)電子伝導体、(B)酸素イオン伝導体、(C)電子・酸素イオン混合伝導体、(D)プロトン伝導体と同様である。従って、上記した2種類の「燃料として固体炭素を用いる固体酸化物型電池」は、燃料電池の構成としては、本明細書中に明確に記載されている。
本発明の電極の製造方法を使用して得られる固体電解質型燃料電池に、燃料として固体炭素を用いる場合、燃料の固体炭素は炭素を含有するものをいい、ここで「炭素」とは無定形炭素、グラファイト等の単体炭素をいう。固体炭素は、具体的には特に限定はないが、炭化水素等の有機化合物の熱分解反応を進行させて生成する固体炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等)、グラファイトチョーク、フラーレン等の結晶性炭素;木炭、竹炭、墨等の動植物由来の炭素;煙突煤;コークス;排気ガスに含まれるPM中の炭素微粒子;等が挙げられる。
固体炭素の形態は、粉末、顆粒、ペレット、芯状等、何れの形態であってもよいが、固体炭素の充填部をガスが透過する必要がある。ペレット、芯状等、バルクの場合は、バルク自体に多孔性を持たせる、あるいは貫通孔や溝を設ける等してガス流路を確保することが好ましい。
また、固体炭素の種類については、内燃機関等から排出される排気ガス中のPM等でも燃料として使用可能である。PM中の炭素微粒子が燃料である固体炭素となる。すなわち、本発明の燃料電池においては、固体炭素が排気ガス中の炭素微粒子であることも好ましい。
固体炭素中の炭素の含有率は、発電特性の観点からは高い方が良く、固体炭素全体に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
なお、本発明の電池は図示した形状や、平面状の電池に限定されるものではない。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
電解質として、アノード(燃料極)側にSm0.2Ce0.82−δの膜をつけた直径20mm、厚さ0.3mmの「10mol%Sc−1mol%CeO−89mol%ZrO(ScSZ)」のディスクを使用した。
アノード(燃料極)には、Ni/GDC(NiO:GDC=50:50質量比)の混合サーメットを用いた。
カソード(空気極)には、LaO.85SrO.15MnO(LSM)/ScSZの混合電極(LSM:ScSZ=80:20質量比)を用いた。
上記アノード(燃料極)用粉末を混合してペースト化した後、電解質上に塗布して乾燥後、1300℃で4時間焼成した。
このようにして得られたNi/GDC燃料極の表面上に、プロトン伝導体前駆体の水溶液を付与した。すなわち、モル比をSr:Ce:Yb=1:0.95:0.05に調整した、Sr(NO、Ce(NO・6HO、Yb(NO・5HOのイオン交換水の水溶液を、NiOとの質量比がNiO:SCYb=100:10となるように、インクジェット(クラスターテクノロジー社製 パルスインジェクター)により、36.1pL/1滴の液滴を用いて、Ni/GDC燃料極の表面上を覆うように噴霧した。
次いで、乾燥後、電解質上に設けた空気極と共に1200℃で4時間焼成し、固体電解質型燃料電池を作製した。
比較例1
実施例1において、「インクジェット(36.1pL/1滴)での噴霧」に代えて、ピペット(1〜2μL/1滴)で滴下した以外は、実施例1と同様にして固体電解質型燃料電池を作製した。それぞれの組成比は実施例1と同一になるようにした。
比較例2
実施例1において、プロトン伝導体前駆体の水溶液を噴霧せず、プロトン伝導体SCYbを含有しないアノード(燃料極)を用いた以外は、実施例1と同様にして固体電解質型燃料電池を作製した。
評価例1
<発電特性>
作動温度900℃、燃料に加湿水素を用いた。総流量を200ccmとし、Ar希釈により各燃料の分圧を所定の値に設定し、実施例1、比較例1及び比較例2で得られた固体電解質型燃料電池のI−V特性を測定した。
I:Current density (A/cm2)
V:Terminal voltage (V)
図2に、実施例1、比較例1及び比較例2のI−V特性を示す。プロトン伝導体のSCYbを含有しない比較例2に比べ、プロトン伝導体のSCYbを含有した実施例1及び比較例1は高い発電特性を示し、SCYbをインクジェットで噴霧した実施例1は、ピペットで添加した比較例1と同程度の発電特性を示すことが確認された。
評価例2
<劣化加速試験>
劣化加速試験は、ドライメタン(CH)燃料中(50ccm)で10分間開回路状態にすることで炭素析出による劣化を加速させ、その後、I−V特性を測定した。これを10回繰返し、実施例1及び比較例1の固体電解質型燃料電池の劣化特性を調べた。
図3に、実施例1及び比較例1の劣化加速試験前後のI−V特性を示す。インクジェットで噴霧して含有させた実施例1の場合は、劣化加速試験を10回おこなった後(−○−)でも、試験前(−●−)とほとんど変わらない発電特性を示したのに対し、ピペットで滴下して含有させた比較例1の場合は、劣化加速試験を10回おこなった後(−△−)では、試験前(−▲−)と比べ、大幅に発電特性が低くなっており、プロトン伝導体前駆体の水溶液をピペットで滴下したもの(比較例1)では、劣化の程度が大きいことが判った。
以上の結果より、プロトン伝導体であるSCYbを電極に含有させる方法の違いによって、劣化加速試験後の発電特性が大きく異なり、SCYbをより均一に電極内に分散させることができる微小液滴での噴霧法を用いることで、高い発電特性を維持したまま、繰り返しの劣化加速試験を好結果にすることができた。また、SCYbの前駆体をインクジェット法で噴霧することで、高い発電特性を維持したまま、大幅に劣化を抑制することができた。
本発明は、燃料として如何なるものを用いる燃料電池においても、高活性で繰り返し作動時にも劣化が少ない電極を提供するので、低コスト、高効率の燃料電池を提供することができる。また、炭化水素を含む燃料に水蒸気を同伴させる必要がなく、炭素析出や水蒸気での酸化による燃料極の劣化を抑制し耐久性を向上でき、燃料利用率と出力の向上を両立させる燃料極を提供できる。すなわち、都市ガスをはじめとする炭化水素を含む燃料を、燃料極で直接酸化することができる高活性で劣化にも強い電極を提供できるので、燃料電池応用分野に広く利用できるものである。
1 ・・・固体電解質型燃料電池
2 ・・・アノード(燃料極)
3 ・・・カソード(空気極)
4 ・・・固体電解質
5a・・・アノード(燃料極)側の集電体
5b・・・カソード(空気極)側の集電体

Claims (13)

  1. 電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物及び/又は電子・酸素イオン混合伝導体、並びにプロトン伝導体を含む固体電解質型燃料電池用電極の製造方法であって、
    該プロトン伝導体はペロブスカイト型化合物であり、A(B 1−x B’ 1±a 3−δ (式中、AはBa、Ca及びSrからなる群より選ばれた1種以上の元素を示し、BはCe及びZrからなる群より選ばれた1種以上の元素を示し、B’はY、Nd、La、Ca、Yb、Sc、In、Gd、及び他の2価又は3価のランタノイドからなる群より選ばれた1種以上の元素を示し、0<x≦0.5、0≦a≦0.2である)で表され、
    該プロトン伝導体の分散液及び/又は該プロトン伝導体の前駆体の溶液を、電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物及び/又は電子・酸素イオン混合伝導体を含む電極の表面にインクジェット法により微小液滴で噴霧することを特徴とする
    固体電解質型燃料電池用電極の製造方法。
  2. 上記微小液滴の体積が1pL〜1000pLである請求項1記載の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法。
  3. プロトン伝導体の前駆体の溶液を、電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物及び/又は電子・酸素イオン混合伝導体を含む電極の表面に微小液滴で噴霧した後、焼成することを特徴とする請求項1又は請求項に記載の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法。
  4. 電子伝導体と酸素イオン伝導体の混合物及び/又は電子・酸素イオン混合伝導体が、それぞれ3次元ネットワーク構造をもつ多孔質である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法。
  5. 上記電子伝導体が、金属若しくは合金、及び/又はその酸化物である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法。
  6. 上記酸素イオン伝導体が、安定化ジルコニア、ランタンガレート又はセリア系固溶体である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法。
  7. 上記プロトン伝導体が、燃料電池の運転温度において、10−4Scm−1以上のプロトン伝導度を有する物質である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の固体電解質型燃料電池用電極の製造方法で製造されたものであることを特徴とする固体電解質型燃料電池用電極。
  9. 上記固体電解質型燃料電池用電極が燃料極である請求項に記載の固体電解質型燃料電池用電極。
  10. 請求項又は請求項に記載の固体電解質型燃料電池用電極と、固体電解質層とを少なくとも有することを特徴とする固体電解質型燃料電池セル。
  11. 固体電解質型燃料電池の燃料が、水素、炭化水素を含む物質及び/又は固体炭素である請求項10に記載の固体電解質型燃料電池セル。
  12. 固体電解質型燃料電池の燃料が、加湿していない炭化水素を含む物質である請求項11に記載の固体電解質型燃料電池セル。
  13. 請求項10ないし請求項12の何れかの請求項に記載の固体電解質型燃料電池セルを有することを特徴とする固体電解質型燃料電池。
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