JPWO2009022652A1 - HLA−A3スーパータイプアレル陽性癌患者に対する癌ワクチン療法に有用なLck由来ペプチド - Google Patents

HLA−A3スーパータイプアレル陽性癌患者に対する癌ワクチン療法に有用なLck由来ペプチド Download PDF

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Abstract

本発明は、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者の処置または予防に有用なLck由来ペプチドを提供する。具体的には、本発明は、Lck90-99、Lck449-458およびLck450-458(配列番号4、17および18)のペプチドを提供する。該ペプチドは、HLA-A3スーパータイプアレル分子に結合でき、かつペプチド特異的CTL誘導能を有する。本発明は、これまでに癌ワクチン候補ペプチドが多数同定されているHLA-A2またはHLA-A24分子が陰性の癌患者の治療に特に有用である。

Description

本発明は、骨転移におけるマーカーとして用い得るペプチド、並びに被検試料中の該ペプチド量を測定することを特徴とする骨転移の診断方法等に関する。
細胞傷害性T細胞(CTL)に認識される多くの腫瘍抗原およびそのペプチドが種々のタイプの癌より同定され、これらをペプチドワクチンとして癌患者へ投与する癌治療法の臨床試験が進められている(非特許文献1)。
ヒト白血球抗原(HLA)クラスIアレルは、その構造的相同性およびペプチド結合モチーフ解析に基づき数百種類に分類されているが、中でも頻度が高いアレルとして、HLA-A2、-A24、-A3等が知られている。世界的に見てもHLA-A2および-A24アレルの頻度が高いことから、従来、ペプチドワクチン候補となる癌抗原ペプチドはHLA-A2または-A24アレルが陽性の患者を対象とするものがほとんどであった。
一方、HLAクラスIアレルのうちHLA-A3スーパータイプアレルは、コーカサス人の38%、中国人の53%、日本人の46%および北米アフリカ系アメリカ人およびヒスパニックの43%に見られかなりの頻度である。それにもかかわらず、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者の治療に使用できる癌抗原ペプチドは限られている(非特許文献2)。
SrcチロシンキナーゼファミリーのひとつであるLck(p56Lck)タンパク質はT細胞の分化並びに機能に必須であることが知られている。またこのタンパク質は大腸癌、小細胞肺癌、前立腺癌を含むいくつかの悪性腫瘍において異常に発現しており、特に転移性病変部位に好発することが報告されている。遠隔転移患者からのHLA-A24拘束性腫瘍反応性CTLが認識するLck由来ペプチドを同定したとの報告がある(非特許文献3)。またLck由来ペプチドのうち、HLA-A2陽性の転移性癌患者に対する癌ワクチンとして有用なものも同定されている(特許文献1、非特許文献4)。同定されたLck由来ペプチドをHLA-A24陽性またはHLA-A2陽性癌患者に対してワクチンとして投与する臨床試験が行われている(非特許文献5)。しかしながら、Lckタンパク質由来のペプチドでHLA-A3スーパータイプアレル陽性の癌患者のペプチドワクチンとして利用できるものは知られていない。
WO01/011044 Yamada A et al., Cancer Sci 97:970-967 (2006) Takedatsu H et al., Clin Cancer Res 2004;10:1112-1120. Harashima N et al., Eur J Immunol 31: 323-332, 2001 Imai N et al., Int J Cancer 94: 237-242, 2001 Mine T et al., Clin Cancer Res 10: 929-937, 2004
本発明は、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者、特に転移性癌患者の処置並びに予防に有用な癌抗原ペプチドを提供することを目的とする。
本発明は、Lck由来ペプチドであって、HLA-A3スーパータイプアレル分子に結合でき、かつペプチド特異的CTL誘導能を示すペプチドを提供する。具体的には、本発明は、
配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列からなるペプチド、および配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列において1または2個のアミノ酸の置換、欠失および/または付加が導入されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列からなるペプチドと機能的に同等の性質を有するその誘導体を提供する。
本発明はまた、本発明のペプチドまたは誘導体をコードする核酸分子および該核酸分子を含むベクターを提供する。
本発明はまた、本発明のペプチド、誘導体、またはベクターを含む、癌を処置または予防するための医薬組成物、特に本発明のペプチドまたはその誘導体を含む癌ワクチンである該医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者より採取された末梢血単核細胞を本発明のペプチドまたは誘導体と接触させることを含む、癌反応性細胞傷害性T細胞を誘導する方法を提供する。
本発明はまた、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者に由来する抗原提示能を有する細胞に、本発明のペプチドまたは誘導体を取り込ませること、または本発明のベクターを導入することを含む、Lck由来ペプチドまたはその誘導体とHLA-A3スーパータイプアレル分子との複合体を細胞表面に提示する抗原提示細胞を調製する方法を提供する。
本発明により、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者、特に転移性の癌に対するペプチド基盤免疫療法、特に癌ワクチン療法の選択肢が広がった。本発明は、これまでに癌ワクチン候補ペプチドが多数同定されているHLA-A2またはHLA-A24分子が陰性の癌患者の治療に特に有用である。
Lckタンパク質の4つの腫瘍細胞株における発現。腫瘍細胞株のLckタンパク質の発現についてフローサイトメトリーにて調べた。細胞へまず抗Lckモノクローナル抗体を作用させ、次いでFITC抗マウスIgGモノクローナル抗体で染めた。灰色部は最初に正常マウスIgG、次いでFITC結合抗マウスIgGモノクローナル抗体を作用させたものを示す。 ペプチドで刺激したHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者からのPBMCの細胞傷害活性。HLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者からのPBMCをペプチドで刺激し、該PBMCの複数の標的細胞に対する細胞傷害活性を6時間51Cr遊離アッセイにて調べた。HLA-A3スーパータイプアレル陽性健常者ボランティアからのPHA刺激幼若化T細胞をコントロールとして用いた。* p<0.05 癌細胞に対するペプチド刺激PBMCのHLAクラスI拘束性細胞傷害活性。HLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者からのPBMCをペプチドで刺激し、該PBMCから精製したCD8陽性T細胞の、HLA-A11陽性SQ-1細胞またはHLA-A31+/A33+LC-1細胞に対する細胞傷害活性を、図中に示したモノクローナル抗体の存在下で行った。試験は6時間51Cr遊離アッセイを用いて行った。* p<0.05 癌細胞に対するペプチド特異的細胞傷害活性。HLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者からのPBMCをペプチドで刺激し、該PBMCから精製したCD8+T細胞の、HLA-A11陽性SQ-1細胞またはHLA-A31+/A33+LC-1細胞に対する細胞傷害活性を、予め対応するペプチドまたはHIVペプチドで刺激した非標識C1R-A11、C1R-A31およびC1R-A33細胞の存在下にて調べた。* p<0.05
本発明のペプチドは、癌抗原として同定されたLckのアミノ酸配列の一部よりなるペプチドである。Lckのアミノ酸配列は、Genebank Accession No. X13529にて開示されている。また、本願明細書配列表の配列番号26にその全長配列を示す。
「HLA-A3スーパータイプ分子に結合できる」とは、ペプチドがHLA-A3スーパータイプ分子と複合体を形成し細胞表面に提示され得ることを意味する。HLA-A3スーパータイプ分子には、HLA-A11、-A31、-A33、-A0301および-A6801分子が含まれ、これらは結合モチーフを共有する(Sette, A., and Sidney, J. Ninemajor, Immunogenetics, 50:201-212, 1999.)。
本発明においてペプチド特異的CTL誘導能とは、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)をペプチドで刺激し、そのペプチド刺激PBMCが対応ペプチドをパルスした抗原提示細胞に反応してサイトカイン(例えばIFN-γ)を産生するかをELISA法等により測定して調べることができる。また、51Cr放出測定法等により、誘導されたCTLの細胞傷害活性を確認することができる。CTLによる認識性を考慮すると、本発明のペプチドのアミノ酸残基数は8〜14個の範囲内であることが好ましく、より好ましくは8〜11個、特に好ましくは9または10個である。
ペプチドが「液性免疫に認識される」とは、そのペプチドに特異的なIgGが生体内に存在すること、つまりはペプチド特異的IgGが血漿から検出されることを意味する。細胞性免疫と液性免疫の両方に認識されるペプチドは、免疫原性が高くCTL誘導能に優れると期待されるため、本発明のペプチドとして好ましい。血漿中の特異的IgGは、常套的なELISA法等によって測定することができる。
本発明のペプチドとして特に好ましいのは、配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明における配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列からなるペプチドの誘導体は、配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列において1または2個のアミノ酸の置換、欠失および/または付加が導入されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列からなるペプチドと機能的に同等の性質を有する。「配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列からなるペプチドと機能的に同等の性質を有する」とは、HLA-A3スーパータイプ分子に結合でき、かつペプチド特異的CTL誘導能を有することを意味する。機能的に同等の性質を有するか否かは、前述の方法に従い調べることができる。
アミノ酸の置換は、ペプチドの性質を変化させない観点から、同族アミノ酸(極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノおよび芳香族アミノ酸等)の間で行うことが好ましい。アミノ酸の欠失および付加は、誘導体のアミノ酸残基数が8〜11個となるように行うことが好ましい。
また、アミノ酸の置換、欠失および/または付加は、HLA分子結合モチーフ上許容されるものが好ましい。HLA-A11結合性ペプチドの最適C末端はリジンであり、HLA-A31並びに-A33結合性ペプチドについてはアルギニンであることが知られている(Sidney J et al., Hum Immunol 45: 79-93, 1996,Rammensee HG et al., Immunogenetics 41: 179-228, 1995)。従ってアミノ酸の置換、欠失および/または付加は、ペプチド誘導体のC末端アミノ酸がリジンまたはアルギニンとなるように行うことが好ましい。例えば、配列番号4のC末端アミノ酸をリジンに保存したまま他のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を行うか、C末端アミノ酸をアルギニンに置換するか、あるいはそのC末端アミノ酸をアルギニンに置換しさらに他のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を行う;同様に配列番号17及び18のC末端アルギニンをリジンへ置換する、あるいはC末端がアルギニンあるいはリジンであるものについてさらに他のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を行ったものが好適に用いられる。
本発明のペプチドおよび誘導体を構成するアミノ酸は、天然のアミノ酸またはアミノ酸アナログであってよく、アミノ酸アナログとしては、アミノ酸のN-アシル化物、O-アシル化物、エステル化物、酸アミド化物、アルキル化物等が挙げられる。本発明のペプチドおよび誘導体は、機能を著しく損なわない限りにおいてその構成アミノ酸またはカルボキシル基などが修飾されていてもよい。修飾は、N末端や遊離のアミノ基にホルミル基、アセチル基、t-ブトキシカルボニル基等を結合するものや、C末端や遊離のカルボキシル基にメチル基、エチル基、t-ブチル基、ベンジル基等を結合するものが挙げられる。
本発明のペプチドおよび誘導体は、通常のペプチド合成により製造することができる。そのような方法として、例えば、Peptide Synthesis, Interscience, New York,1966; The Proteins, Vol2, Academic Press Inc.,New York, 1976;ペプチド合成、丸善(株)、1975;ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)、1985;医薬品の開発続 第十四巻・ペプチド合成、広川書店、1991)などに記載されている方法が挙げられる。
本発明のペプチドおよび誘導体は、本発明のペプチドまたは誘導体のアミノ酸配列を含むポリペプチドが細胞内で断片化されて生じ、HLA分子との複合体として提供される場合もある。そのような態様で本発明のペプチドまたは誘導体を利用することもまた、本発明の範囲内である。本発明のペプチドまたは誘導体を提供できる限り、ポリペプチドのアミノ酸残基数およびアミノ酸配列は任意である。
本発明のペプチドおよび誘導体は、HLA-A3スーパータイプアレル陽性患者において癌細胞を傷害するCTLを効率的に誘導し増殖させることができる。即ち本発明のペプチドおよび誘導体は、癌反応性CTLを誘導するため、および癌に対する医薬組成物を製造するためなどに使用することができ、癌の処置または予防において有用である。
本発明のペプチドは特にHLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者において癌細胞を傷害するCTLを効率的に誘導し、増殖させることができる。対象となる癌としては大腸癌、小細胞肺癌、前立腺癌等が例示されるがこれらに限定されない。また、上記のとおり、Lckペプチドが転移性病変部位に好発することから、本発明のペプチドは特に転移性癌の制御に有用であると考えられる。本発明のペプチドは特に、HLA-A3スーパーアレルタイプ陽性前立腺癌患者の処置並びに予防に好適に用いられる。
本発明の医薬組成物は、本発明のペプチドまたは誘導体を1または2種類以上含有し、その含有ペプチドまたは誘導体に特異的な癌反応性CTLを誘導することにより治療効果を発揮する。本発明の医薬組成物は、癌ワクチンとして使用することができる。癌患者のCTLは相異なる癌抗原ペプチドを認識する細胞の集合であることから、複数種類のペプチドおよび/または誘導体を組み合わせて使用するとさらに効果的である。本発明のペプチド以外の癌抗原ペプチドと組み合わせても良い。本発明の医薬組成物は、免疫応答が効果的に成立するように、従来からワクチン投与に用いられることが知られているアジュバントとともに投与することもできる。また、リポソーム製剤、直径数μmのビーズに結合させた粒子状製剤、リピッドを結合させた製剤などにしてもよい。
投与方法は、例えば皮内投与または皮下投与などである。投与量は、疾患の状態、個々の患者の年齢、体重等により適宜調整することができるが、通常医薬組成物中の本発明のペプチドまたは誘導体の量として0.0001mg〜1000mg、好ましくは0.0001mg〜100mg、より好ましくは0.001mg〜10mgである。これを数日、数週または数ヶ月に1回、1〜3年間継続して投与することが好ましい。
本発明の核酸分子は、本発明のペプチドまたは誘導体を提供できるものである。本発明の核酸分子を含むベクターを抗原提示細胞に導入し発現させると、本発明のペプチドまたは誘導体が産生され、HLA分子と複合体を形成して細胞表面に提示される。この抗原提示細胞はペプチド特異的癌反応性CTLを効率的に増殖させることができる。
本発明のベクターは、患者に投与して患者体内で本発明のペプチドまたは誘導体を発現させるために使用できる。また、本発明のベクターを体外で適当な細胞、例えば患者由来の樹状細胞に導入した後に、その細胞を患者体内に戻しても良い。これらの方法は当業界において周知である(Hrouda D, Dalgleish AG. Gene therapy for prostate cancer. Gene Ther 3: 845-52, 1996)。
本発明のベクターとしては、各種プラスミドおよびウィルスベクター、例えばアデノウィルス、アデノ関連ウィルス、レトロウィルス、ワクシニアウィルス等が挙げられる(Liu M, Acres B, Balloul JM, Bizouarne N, Paul S, Slos P, Squiban P. Gene-based vaccines and immunotherapeutics. Proc Natl Acad Sci U S A 101 Suppl, 14567-71, 2004)。ベクターの調製方法は当業界にて周知である(Molecular Cloning: A laboraroy manual, 2nd edn. New York, Cold Spring Harbor Laboratory)。
本発明のベクターを癌を処置または予防するための医薬組成物として患者に投与する場合、その投与量は、疾患の状態、個々の患者の年齢、体重等により変化するが、DNA含量として0.1μg〜100mg、好ましくは1μg〜50mgである。投与方法には、静脈注射、皮下投与、皮内投与等が挙げられる。
本発明のCTL誘導方法は、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌細胞を傷害するCTLを提供するものである。本発明において「癌反応性」とは、標的癌細胞上の癌抗原ペプチドとHLA分子との複合体を認識し、その細胞を傷害しうる性質を有することを意味する。CTLの誘導は、例えば、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者から採取されたPBMCを、in vitroで本発明のペプチドまたは誘導体の存在下培養することにより行う。本発明の方法により誘導されるCTLは、養子免疫療法、すなわちPBMCを採取した患者体内に誘導したCTLを戻して癌細胞を傷害する癌治療法に有用である。つまり本発明の方法により誘導されるCTLは、癌、特に転移性癌を処置または予防、あるいは転移を予防するための医薬として使用可能である。
本発明のCTL誘導キットは、前記CTL誘導方法を実施するために用いられる。本発明のキットは、本発明のペプチドまたは誘導体を1または2種類以上含み、さらに適当な緩衝液や培地などを含んでもよい。
本発明の抗原提示細胞調製方法は、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌細胞を傷害するCTLを誘導するための抗原提示細胞を提供するものである。抗原提示細胞の調製は、例えば、HLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者由来の抗原提示能を有する細胞に本発明のペプチドまたは誘導体をパルスして取り込ませるか、あるいはそのような細胞に本発明のベクターを周知の方法により導入し発現させることにより行う。抗原提示能を有する細胞は例えば樹状細胞であり、患者より採取されたPBMCから培養プレート接着細胞を分離し、IL-4およびGM-CSFの存在下で約1週間培養することにより調製することができる。本発明の方法により調製された抗原提示細胞は、その細胞表面に提示するペプチドまたは誘導体とHLA分子との複合体を特異的に認識するCTLを誘導することができ、患者に投与されると患者体内で癌反応性CTLの誘導を促進することができる。つまり本発明の方法により調製される抗原提示細胞は、癌を処置または予防するための医薬として使用可能である。
本発明の抗原提示細胞調製キットは、前記抗原提示細胞調製方法を行うために用いられる。本発明のキットは、本発明のペプチドまたは誘導体を1または2種類以上含み、さらに適当な緩衝液や培地などを含むこともできる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はいかなる意味においてもこれら実施例により制限されるものではない。
1 方法
1.1 患者
前立腺癌患者よりPBMCを採取した。患者には、HLA-A11陽性、-A31陽性、および-A33陽性患者が含まれた。HLA-A3陽性または-A68.1陽性患者は日本人においては極めて頻度が低いため(1.6%および0.5%)(Aizawa M. The Proceedings of the 3rd Asia-Oceania Histocompaatibility Workshop Conference, pp. 1090-1103. Oxford: Oxford University Press, 1986.)、それら由来のPBMCは入手できなかった。PBMCを採取した患者はいずれもHIV非感染であった。末梢血20mlを採取し、フィコール・コンレイ比重遠心法によりPBMCを調製した。試料は全て実験で使用するまで低温にて保存した。PBMC上のHLA-A11、-A31および-A33分子の発現は、以下の抗体を用いてフローサイトメトリーにより確認した:抗HLA-A11モノクローナル抗体(mAb)(Cat# 0284HA; One Lambda Inc., Canoga, CA, USA);抗HLA-A31 mAb (Cat# 0273HA; One Lambda);抗HLA-A33 mAb (Cat# 0612HA; One Lambda)。
1.2 ペプチド
表1に示すLck由来ペプチドはすべて、HLA-A11、-A31および-A33分子に対する対する結合モチーフに基づき調製した(Parker KC, Bednarek MA, Coligan JE., J Immunol 1994;152:163-175.)。全てのペプチドは90%を超える純度であり、Biologica Co.(Nagoya, Japan)より購入した。エプスタイン-バールウイルス(EBV)由来ペプチド、チロシナーゼ関連タンパク2 (TRP2)由来ペプチド、およびHIV由来ペプチドを、HLA-A3スーパータイプ分子に対する結合のコントロールとして使用した。ペプチドは全てジメチルスルホキシドを用いて10μg/mlの用量で溶解した。
Figure 2009022652
1.3 Lckペプチド反応性IgGの測定
血漿中のLckペプチド反応性IgGのレベルは、Luminex(商標)法により既報のように測定した(Komatsu N, Shichijo S, Nakagawa M, Itoh K., Scand J Clin Invest 2004;64:1-11.)。希釈血清(100μL)を、Lck由来ペプチドをコートしたカラーコードビーズ(Luminex Corp (Austin, TX, USA)(5μl)と、96ウェルフィルタープレート(MABVN1250, Millipore Corp., Bedford, MA, USA)においてプレートシェーカー上にて室温で2時間インキュベートした。2時間後、プレートをTween-PBSにて洗浄し、ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(BA-3080(VECTOR LAB, CA, USA)(100μl)とプレートシェーカー上で1時間室温で反応させた。プレートを洗浄し、ストレプトアビジン標識PE(100μL)(S-866,Invitrogen Detection Technologies, Eugene, Oregon, USA)を加え、プレートシェーカー上で30分間室温で反応させた。結合したビーズを4回洗浄し、続いてTween-PBS(100μl)を各ウェルに添加した。50μlの試料をLuminex(商標)法による測定に用いた。
1.4 PBMCからのペプチド特異的CTLの誘導
ペプチド反応性CTLは既報の方法に一部変更を加えて検出した(Hida N, Maeda Y, Katagiri K, Takasu H, Harada M, Itoh K., Cancer Immunol Immunother 2002;51:219-28.)。U底96ウェルマイクロカルチャープレート(Nunc, Roskilde, Denmark)において培養液200μl中で、PBMC(1 x 105 細胞/ウェル)を各ペプチド(10μl/ml)と4ウェル一組にてインキュベートした。本培養液は45% RPMI 1640、45% AIM-V培地(Gibco-BRL, Gaithersburg, MD)、10% FCS、100 U/ml インターロイキン-2(IL-2)および0.1mM MEM 非必須アミノ酸溶液(Gibco-BRL)より構成された。3または4日毎に培養液の半分を除去して対応ペプチド(20μg/ml)およびIL-2(100 U/ml)を含む新しい培養液と交換した。培養15日目に、培養細胞を4つのウェルに分けた。2つのウェルは対応ペプチドをパルスしたC1R-A11、-A31または-A33細胞について使用し、他の2つのウェルはHIVペプチドをパルスしたC1R-A11、-A31または-A33細胞と培養した。18時間インキュベートした後上清を回収し、IFN-γのレベルを酵素結合免疫測定法(ELISA)により測定した。ペプチド反応性CTLの誘導は、両側スチューデントt検定によりp<0.05であり、かつHIVペプチドをパルスした細胞と比較して対応ペプチドをパルスした細胞に応答して100 pg/mlを超えるインターフェロン(IFN)-γが産生された場合に陽性と判断した。
1.5 細胞株
SQ-1はHLA-A11陽性肺癌細胞株である。LC-1はHLA-A31陽性およびHLA-A33陽性肺癌細胞株である。COLO201およびLNCaPはそれぞれHLA-A3スーパータイプ陰性大腸癌および前立腺癌細胞株である。C1R-A11、C1R-A31およびC1R-A33は、C1R親細胞株に、HLA-A11、HLA-A31およびHLA-A33遺伝子をそれぞれトランスフェクトして対応するHLA分子を発現するようにしたものである(Takedatsu et al., Clin Cancer Res 2004;10:111220)。C1R親細胞はヒトBリンパ芽球化細胞(HMy2.CIR: Human B lymphoblast; ATCC CRL-1993)であり、HMy.2 B lymphoblastoid cell lineをγ線照射し、抗体と補体によってMHCクラスI-Cw4は発現するものの、HLA-クラスI-Aと-Bは欠失した細胞を選別して得られた細胞株である(Storkus WJ, Alexander J, Payne JA, Dawson JR, and Cresswell P, Procnatl acad sci USA, 86: 2361-2364、1989)。全ての腫瘍細胞株は全て10%FCS含有RPMI 1640(Invitrogen)で培養した。Lckタンパク質のこれらの細胞上への発現は抗Lckモノクローナル抗体(マウスIgG2b)(sc-433; Santa Cruz Biotechnology Inc., Santa Cruz, CA)、次いでFITC-複合化ヤギ抗マウスIgG(#55493, Cappel ICN, Aurora, OH)を用いてフローサイトメトリーにより試験した。正常マウスIgG(sc-3879;Santa Cruz Biotechnology Inc., Santa Cruz, CA)を抗Lckモノクローナル抗体のコントロールとして用いた。
1.6 細胞傷害活性の測定
COLO201(HLA-A2+)、SQ-1(HLA-A11+)、LC-1(HLA-A31+/A33+)に対するペプチド刺激PBMCの細胞傷害活性は、標準的6時間51Cr放出測定法により測定した。フィトヘマグルチニン(PHA)活性化T細胞を陰性対照細胞として使用した。丸底96ウェルプレートにおいて各ウェルにつき2000個の51Cr標識細胞を、示したエフェクター細胞/標的細胞の比率でエフェクター細胞とともに培養した。特異的51Cr放出は、以下の式により計算した:(被験試料の放出-自然放出)。エフェクター細胞なしで51Cr標識細胞をインキュベートした場合の上清中の51Cr量が自然放出であり、51Cr標識細胞を1% Triton X(Wako Pure Chemical Industries, Osaka, Japan)とインキュベートした場合の上清中の51Cr量が最大放出である。いくつかの試験においては、CD8+T細胞をCD8ポジティブアイソレーションキット(Dynal, Oslo, Norway)を用いて単離した。10μg/mlの抗-HLA-クラスI(W6/32:マウスIgG2a)または抗-HLA-DR(L243:マウスIgG2a)モノクローナル抗体を培養開始時にウエルへ添加した。
1.7 コールド標的細胞阻害実験
ペプチド反応性CTLの特異性は、コールド標的細胞による阻害実験により確認した。詳細には丸底96ウェルプレートにおいて、コールド標的細胞2x104 細胞の存在下、51Cr標識標的細胞(2 x 103 細胞/ウェル)をエフェクター細胞(2x104 細胞/ウェル)とともに培養した。HIVペプチドまたは対応ペプチドのいずれかで事前にパルスしたC1R-A11、-A31および-A33をコールド標的細胞として使用した。
1.8 統計
データの統計学的有意差は、両側スチューデントt検定により決定した。0.05未満のP値を統計学的に有意であると判断した。
2. 結果
2.1 癌患者血漿中のLck由来ペプチド反応性IgGの測定
はじめに、HLA-A3スーパータイプアレルに対する結合モチーフに基づき、21個のLck由来ペプチドを調製した(表1)。いずれも9残基および10残基アミノ酸からなるペプチドであった。HLA-A3およびHLA-A68分子もHLA-A3スーパータイプに属するが(Sette A, Sidney J., Immunogenetics 1999;50:201-212.)、日本人では極めて稀なことから、HLA-A11、-A31、および-A33分子に対する結合能を優先的に検討した。本発明者らは以前、CTL誘導ペプチドに反応するIgGが各種の癌の患者の血漿中から検出されることを観察している(Nakatsura T, Senju S, Ito M, Nishimura Y, Itoh K., Eur J Immunol 2002;32:826-836.; Ohkouchi S, Yamada A, Imai N, Mine t, Harada K, Shichijo S, Maeda Y, Saijo Y, Nukiwa T, Itoh K., Tissue Antigens 2002;59:259-272.)ので、最初にこれらのペプチド候補に対する結合能を前立腺癌患者のIgGで調べた。
その結果、Lck90-99(配列番号4)、Lck449-458(配列番号17)、Lck450-458(配列番号18)およびLck452-461(配列番号19)ペプチドに反応するIgGが、20人の前立腺癌患者のうちそれぞれ、9、11、7および5人の血漿で検出された(表2)。他の17個のLck由来ペプチドに反応するIgGは、これら4種類のLck由来ペプチドに反応するIgGと比較して、癌患者の血漿において観察される頻度が低かった(データ非提示)。
Figure 2009022652
2.2 HLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者PBMCからのペプチド特異的CTLの誘導
次に、癌患者由来のIgGに他の17種類のペプチドと比して高頻度に認識されるこれら4種類のペプチドが、HLA-A11、-A31、または-A33陽性前立腺癌患者のPBMCからペプチド特異的CTLを誘導できるかについて調べた。In vitroにおいて、各Lck由来ペプチドまたは対照ペプチドにてPBMCを刺激し、刺激後の細胞が対応ペプチドをパルスしたC1R-A11、C1R-A31、またはC1R-A33細胞に応答してIFN-γを産生するかを調べた。
17名のHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者(HLA-A11陽性7名、HLA-A31陽性5名、およびHLA-A33陽性5名)の結果を表3に示す。ペプチド特異的CTLの誘導は、p<0.05である場合に陽性と判断した。その結果、Lck90-99、Lck449-458、Lck450-458およびLck452-461ペプチドにより、7名のHLA-A11陽性癌患者中それぞれ5,2,4および3名のPBMCから対応ペプチド反応性CTLが誘導された。またこれらのペプチドは5名のHLA-A31陽性癌患者のうち3,3,4および1名のPBMCから対応ペプチド反応性CTLが誘導され、また5名のHLA-A33陽性癌患者のうちそれぞれ2、3,3および1名のPBMCから対応ペプチド反応性CTLが誘導された。トータルで見ると、17名のHLA-A3スーパータイプアレル陽性癌患者のうちそれぞれ、10、8、11および5名ののPBMCから対応ペプチド反応性CTLが誘導されたことになる。これらのペプチド特異的CTL誘導割合はEBVおよびTRP-2ペプチドのポジティブコントロールに匹敵するものであった。これらの結果はLck 90-99、Lck449-458およびLck 450-458ペプチドがHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者のPBMCにおいてペプチド特異的CTLを効果的に誘導する能力を有することを示唆する。
Figure 2009022652
2.3 HLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者のPBMCからの前立腺癌反応性CTLの誘導
細胞傷害活性試験に先立ち、HLA-A3スーパータイプアレルおよびLckタンパク質を発現している標的癌細胞を選択した。フローサイトメトリー分析によって、HLA-A3スーパータイプアレル陰性大腸癌COLO201、HLA-A11陽性肺癌SQ-1、HLA-A31+/A33+肺癌LC-1がLckタンパク質陽性であることがわかった(図1)。HLA-A11、-A31、および-A33分子のそれぞれを発現するLNCaPトランスフェクタントを我々は既に確立したが、LNCaP細胞株はLck陰性であった。従って、我々はSQ-1をLck発現HLA-A11陽性標的細胞として、LC-1をLck発現HLA-A31+/A33+標的細胞として、COPO201をLck発現HLA-A3スーパータイプアレル陰性標的細胞として用いた。
次いでIn vitroにおいてHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者由来のPBMCをLck90-99、Lck449-458およびLck450-458 ペプチドのいずれかにて刺激し、それにより誘導されたペプチド反応性CTLが癌細胞に対して細胞傷害活性を示すことができるかを調べた(図2)。In vitroでLck90-99、Lck449-458およびLck450-458 ペプチドのそれぞれにて刺激したHLA-A11陽性患者 (患者番号2、6および3) 由来のPBMCは、HLA-A11陰性COLO201細胞およびHLA-A11陽性PHA刺激幼若化T細胞ブラストより、HLA-A11陽性SQ-1細胞に対してのほうが高いレベルの細胞傷害活性を示した。同様に、これらペプチドは、HLA-A31陽性患者およびHLA-A33陽性患者(患者番号10、11および13)のPBMCからLC-1(HLA-A31+/-A33+)反応性CTLを誘導する能力を有していた。各ペプチド特異的CTLはCOLO201細胞または幼弱化T細胞に対するより、LC-1細胞に対して強い細胞傷害活性を示した。これらをまとめると、本結果はインビトロでLck 90-99、Lck449-458またはLck 450-458ペプチドに刺激されたPBMCは癌細胞に対してHLA-A11、-A31、または-A33拘束性に細胞傷害活性を発揮することを示す。
2.4 癌細胞に対するペプチド特異的CD8陽性T細胞依存性の細胞傷害活性
さらに、Lck由来ペプチド刺激PBMCの細胞傷害活性に関与する細胞のタイプの同定を試みた。精製したCD8陽性T細胞を以下の実験に使用した。
図3に示すように、ペプチドで刺激したPBMC由来精製CD8陽性T細胞のSQ-1およびLC-1に対する細胞傷害活性は抗HLA-クラスIモノクローナル抗体の添加で顕著に減少したが、抗HLA-クラスII(HLA-DR)抗体の添加では変わらなかった。さらに、SQ-1およびLC-1に対する細胞傷害活性は対応するペプチドでパルスされた非標識のC1R-A11、C1R-A31、およびC1R-A33細胞の添加によって有意に抑制されたが、HIV ペプチドをパルスした非標識のC1R-A11、C1R-A31、およびC1R-A33細胞によっては抑制されなかった(図4)。
これらの結果は、ペプチド刺激PBMCのLck発現癌細胞に対する細胞傷害活性が主にHLAクラスI拘束性およびLckペプチド特異的CD8陽性T細胞による可能性が高いこと示す。
3. まとめ
以上の結果は、本発明のLck由来ペプチドがHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者において前立腺癌反応性CTLを誘導でき、特異的免疫療法、特に癌ワクチン療法に有用であることを示す。

Claims (4)

  1. 配列番号4、17または18に示すアミノ酸配列からなるペプチド。
  2. 配列番号4、17および18に示すアミノ酸配列のペプチドからなる群から選択される1以上のペプチドを含有する、HLA-A3スーパーアレルタイプ陽性癌患者を処置または予防するための、医薬組成物。
  3. 癌ワクチンである、請求項2記載の医薬組成物。
  4. 前立腺癌を処置または予防するためのものである、請求項2または3記載の医薬組成物。
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