JPWO2009013881A1 - リッツ線コイル - Google Patents

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Abstract

高周波領域でも特性悪化の影響がなく、安価に且つ十分な高占積率が得られるリッツ線コイルを提供する。素線数を所定数の半数ずつにして互いに逆方向に集合撚りした2本のリッツ線12A、12Bが並列巻きされてコイル状に成型された後、金型で所定形状にプレス成型されて成る。2本のリッツ線12A、12Bの素線数を所定数の半数ずつにしたことにより、素線径を大きくしたり、素線14の絶縁被膜を厚くしたりすることなく、通常1本のリッツ線で成型されるリッツ線コイルとほぼ同じ電気抵抗とすることができる。また、2本のリッツ線12A、12Bを互いに逆方向に集合撚りしたことにより、プレス成型時にリッツ線の素線同士のクロスカットを生じることが防止され、素線のダメージが軽減される。

Description

本発明は、誘導加熱方式が採用されている発熱機器等に用いられるリッツ線コイルに関する。
従来から誘導加熱等に使用できるリッツ線コイルは周知である(特許文献1参照)。電磁誘導加熱にて使用されるコイルは高周波での使用が要求されている。高周波コイルとして使用されている電線は、その断面積の合計が同じであれば単線よりも複線(例えば、束線)が有利である。リッツ線のように、素線径が細く素線数が多い線材を使用したり、リッツ線をさらに複数本束ねた線材を用いたりした方がより有利である。
高占積率コイルは巻線後に金型を使用して高圧で押圧成型、すなわち、プレス成型されている。占積率はできるだけ高い方が好ましいが、過度のプレスはリッツ線の素線にダメージを与えるおそれがある。このダメージは素線の断線につながりコイルの電気特性に大きな影響を与える。このため、ある程度余裕のある条件にて成型する必要がある。
素線のダメージを低減するには、素線径を大きく(太く)したり、素線の絶縁被膜を厚くしたり、あるいは成型圧力条件を控えめに設定したりすることが考えられる。
特開2005−85560号公報
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
上記リッツ線コイルにおいて、素線径を大きくした場合には、コイルが高周波領域で使用されるときは特性悪化の影響があらわれる。素線の絶縁被膜を厚くした場合には、当然のことながら絶縁材料を多めに使用することからリッツ線製造のコストアップにつながる。成型圧力条件を控えめに設定した場合には、反面効果として目標の高占積率化が不十分となるという難点がある。
また、1本のリッツ線によりなるコイルの場合、リッツ線の撚りの影響により、成型したコイルが反ってしまうという課題がある。
本発明は上記の課題を解消するためになされたもので、高周波領域でも特性悪化の影響がなく、安価にかつ十分な高占積率が得られるリッツ線コイルを提供することを目的とする。
上述の目的を達成する本発明の第1の態様であるリッツ線コイルは、互いに逆方向に集合撚りした2本のリッツ線が並列巻きでコイル状に成型されて成るものである。このような第1の態様である本発明のリッツ線コイルによれば、2本のリッツ線を互いに逆方向に集合撚りすることで、成型されたコイルの反りを低減したり、成型されたコイルが反ってしまうことを防いだりすることができる。
本発明の第2の態様は第1の態様であるリッツ線コイルにおいて、2本のリッツ線が並列巻きでコイル状に成型された後、金型で所定形状にプレス成型されて成るものである。このような第2の態様である本発明のリッツ線コイルによれば、2本のリッツ線が互いに逆方向に集合撚りされていることにより、プレス成型時にリッツ線の接触する素線同士が平行になることからクロスカットが生じることを防止できる。
本発明の第3の態様は第1の態様又は第2の態様であるリッツ線コイルにおいて、2本のリッツ線は、それぞれ素線数が同数である。このような第3の態様である本発明のリッツ線コイルによれば、2本のリッツ線の素線数を所定数の半数ずつにしたことにより、素線径を大きくしたり素線の絶縁被膜を厚くしたりすることなく、通常1本のリッツ線で成型されるリッツ線コイルとほぼ同じ電気抵抗とすることができる。
本発明の第4の態様は第1の態様乃至第3の態様の何れか1つの態様であるリッツ線コイルにおいて、2本のリッツ線は、並列配置された状態で径方向に重ね巻きされて多層のコイル状に成型されているものである。また、本発明の第5の態様は第1の態様乃至第3の態様の何れか1つの態様であるリッツ線コイルにおいて、2本のリッツ線は、並列配置された状態で隣接するリッツ線の素線撚り方向が互いに逆方向になるように軸方向に縦積みされた状態で巻回されてコイル状に成型されているものである。このような第4の態様及び第5の態様である本発明のリッツ線コイルによれば、2本のリッツ線を重ね巻きや縦積みにしても、2本のリッツ線が互いに逆方向に集合撚りされ、成型されたコイルの反りを低減したり、成型されたコイルが反ってしまうことを防いだりしているので、リッツ線の断面形状が円形、角形の何れにおいても、より高占積率化された多層巻きコイルを得ることができる。
また、上述の目的を達成する本発明の第6の態様であるリッツ線コイルは、複数本のリッツ線が並列巻きでコイル状に成型され、相隣接するリッツ線同士が互いに逆方向に集合撚りされているものである。このような第6の態様である本発明のリッツ線コイルによれば、第1の態様である本発明のリッツ線コイルと同様に、相隣接するリッツ線を互いに逆方向に集合撚りすることで、成型されたコイルの反りを低減したり、成型されたコイルが反ってしまうことを防いだりすることができる。
本発明のリッツ線コイルによれば、高周波領域でも特性悪化の影響がなく、安価にかつ十分な高占積率を得ることができる。
実施例1のリッツ線コイル10の一部を示す斜視図。 リッツ線コイル10の2本のリッツ線を示す模式図。 リッツ線コイル10の2本のリッツ線を示す斜視図。 実施例1における他のリッツ線コイルの2本のリッツ線を示す模式図。 実施例1における他のリッツ線コイルの2本のリッツ線を示す斜視図。 図4、図5に示したリッツ線の素線を拡大して示す模式図。 実施例2のリッツ線コイル30を示す斜視図。
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。図1は実施例1のリッツ線コイル10の一部を示す斜視図、図2はリッツ線コイル10の2本のリッツ線を示す模式図、図3はリッツ線コイル10の2本のリッツ線を示す斜視図、図4は実施例1における他のリッツ線コイルの2本のリッツ線を示す模式図、図5は実施例1における他のリッツ線コイルの2本のリッツ線を示す斜視図、図6は図4、図5に示したリッツ線の素線を拡大して示す模式図、図7は実施例2のリッツ線コイル30を示す斜視図である。
本発明の実施例の一形態であるリッツ線コイル10は図1に示すように、互いに逆方向に集合撚りした2本のリッツ線12A、12Bが並列巻きされてコイル状に成型されてなるものである。このような2本のリッツ線12A、12Bは、例えば、図2、図3に示すように、リッツ線12Aの撚りを右撚り16とし、リッツ線12Bの撚りを左撚り18として互いに逆方向に集合撚りされている。
このように2本のリッツ線を互いに逆方向に集合撚りしてリッツ線コイル10を構成することで、成型されたコイルの反りを低減したり、成型されたコイルが反ってしまうことを防いだりすることができる。これは、2本のリッツ線12A、12Bを互いに逆方向に集合撚りにすると、リッツ線の接触する素線同士が平行になって反り方向性が反対方向になるので、2本のリッツ線12A、12Bは反り方向性が相殺されて真直性に優れたものとなるからである。したがって、素線同士を平行に並べることで高い成型圧力まで条件アップさせることが可能となるので、高い品質を保った状態で高占積率化することができる。
また、リッツ線コイル10は図4、図5に示すように、2本のリッツ線22A、22Bを、例えば右撚り16として互いに同方向に集合撚りして並列巻きした後にプレス成型したときには、図6に示すように、リッツ線22A、22Bの素線24A、24Bどうしが部分的に交差するので食い込む現象(クロスカット)を生じる。このため各素線24A、24Bの絶縁被膜が破損し断線に至るダメージの原因となる。そこで、互いに逆方向に集合撚りした2本のリッツ線12A、12Bを並列巻きでコイル状に成型した後に、周知の金型を使って使用目的に応じた所定の形状にプレス成型するとよい。
このようにリッツ線コイル10は、2本のリッツ線12A、12Bが並列巻きでコイル状に成型された後、金型で所定形状にプレス成型されて成るものならば、2本のリッツ線12A、12Bが互いに逆方向に集合撚りされているので、プレス成型時にリッツ線の接触する素線同士が平行になることからクロスカットが生じることを防止できる。したがって、コイルの高占積率を達成可能な高い成型圧力でプレス成型しても素線のダメージを軽減することが可能になる。
さらに、リッツ線コイル10の2本のリッツ線12A、12Bは、それぞれ素線数が同数である。2本のリッツ線12A、12Bの素線数を所定数の半数ずつにしたということは、通常1本のリッツ線で成型されるリッツ線コイルの素線数(N)の半数(N/2)ずつとしたものである。このように2本のリッツ線12A、12Bの素線数を所定数の半数ずつにしたことにより、成型されたコイルが反ってしまうことを防ぐことができ、さらに、素線径を大きくしたり素線の絶縁被膜を厚くしたりすることなく、通常1本のリッツ線で成型されるリッツ線コイルとほぼ同じ電気抵抗とすることができるので、コイルが高周波領域で使用されるときの特性悪化の影響を防ぐことができる。
このように構成されたリッツ線コイル10は図1に示すように、2本のリッツ線12A、12Bが並列配置された状態で径方向に重ね巻きされて多層のコイル状に成型されている。2本のリッツ線12A、12Bを重ね巻きにしても、2本のリッツ線12A、12Bが互いに逆方向に集合撚りされ、成型されたコイルの反りを低減したり、成型されたコイルが反ってしまうことを防いだりしているので、リッツ線の断面形状が円形、角形の何れにおいても、より高占積率化された多層巻きコイルを得ることができる。なお、リッツ線コイル10は2本のリッツ線12A、12Bが並列配置された状態で1層巻きのコイル状に成型されていてもよい。
本発明の実施例の他の一形態であるリッツ線コイル30は図7に示すように、2本のリッツ線32A、32Bが、並列配置された状態で隣接するリッツ線の素線撚り方向が互いに逆方向になるように軸方向に縦積みされて巻回されてコイル状に成型されている。2本のリッツ線32A、32Bを縦積みで巻回しても、2本のリッツ線32A、32Bが互いに逆方向に集合撚りされ、成型されたコイルの反りを低減したり、成型されたコイルが反ってしまうことを防いだりしているので、リッツ線の断面形状が円形、角形の何れにおいても、より高占積率化された多層巻きコイルを得ることができる。
また、互いに逆方向に集合撚りした2本のリッツ線32A、32Bを、縦積みで巻回してコイル状に成型した後に、周知の金型を使って使用目的に応じた所定の形状にプレス成型するとよい。
このようにリッツ線コイル30は、2本のリッツ線32A、32Bが並列巻きの状態で、縦積みで巻回されコイル状に成型された後、金型で所定形状にプレス成型されて成るものならば、2本のリッツ線32A、32Bが互いに逆方向に集合撚りされているので、プレス成型時にリッツ線の接触する素線同士が平行になることからクロスカットが生じることを防止できる。したがって、コイルの高占積率を達成可能な高い成型圧力でプレス成型しても素線のダメージを軽減することが可能になる。
さらに、リッツ線コイル30の2本のリッツ線32A、32Bは、それぞれ素線数が同数である。このように2本のリッツ線32A、32Bの素線数を所定数の半数ずつにすると、実施例1のリッツ線コイル10と同様に、成型されたコイルが反ってしまうことを防ぐことができ、また、素線径を大きくしたり素線の絶縁被膜を厚くしたりすることなく、通常1本のリッツ線で成型されるリッツ線コイルとほぼ同じ電気抵抗とすることができるので、コイルが高周波領域で使用されるときの特性悪化の影響を防ぐことができる。
なお、リッツ線コイル30においては、2本のリッツ線32A、32Bが並列配置された状態で隣接するリッツ線の素線撚り方向が互いに逆方向になるようにするために、図示しないが、2本のリッツ線32A、32Bが縦積みされるたびに裏返しするように捻られている。具体的には、リッツ線コイル30の2箇所にある湾曲部の何れか一方において2本のリッツ線32A、32Bを捻ることで、外側に位置しているリッツ線32Aを内側に位置させ、内側に位置しているリッツ線32Bを外側に位置させる。このように構成することで、より高占積率化された縦積み型リッツ線コイルが得られる。
また、リッツ線コイル30の全体形状が直方体状に成型され、周囲の任意箇所に押えテープ34が巻き付けられている。押えテープ34はリッツ線コイル30を一時的あるいは長時間にわたって所定のコイル形状を保持するもので、耐熱性を有し肉厚の薄いものであることが望ましい。このように、リッツ線コイル30の周囲の任意箇所に押えテープ34を巻き付けることにより、リッツ線コイル30の形状を保持することができるので、インダクタンス値が変化してしまうことを防ぐことができる。
なお、上述した実施例1及び実施例2においては、リッツ線は2本を並列巻きしていたが、これに限らず、複数のリッツ線が並列巻きでコイル状に成型され、相隣接する前記リッツ線同士が互いに逆方向に集合撚りされていてもよい。
このように相隣接するリッツ線を互いに逆方向に集合撚りすることで、成型されたコイルの反りを低減したり、成型されたコイルが反ってしまうことを防いだりすることができる。したがって、素線同士を平行に並べることで高い成型圧力まで条件アップさせることが可能となるので、高い品質を保った状態で高占積率化することができる。

Claims (6)

  1. 互いに逆方向に集合撚りした2本のリッツ線が並列巻きでコイル状に成型されて成ることを特徴とするリッツ線コイル。
  2. 前記2本のリッツ線が前記並列巻きで前記コイル状に成型された後、金型で所定形状にプレス成型されて成ることを特徴とする請求項1記載のリッツ線コイル。
  3. 前記2本のリッツ線は、それぞれ素線数が同数であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のリッツ線コイル。
  4. 前記2本のリッツ線は、並列配置された状態で径方向に重ね巻きされて多層のコイル状に成型されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載のリッツ線コイル。
  5. 前記2本のリッツ線は、並列配置された状態で隣接するリッツ線の素線撚り方向が互いに逆方向になるように軸方向に縦積みされた状態で巻回されてコイル状に成型されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載のリッツ線コイル。
  6. 複数本のリッツ線が並列巻きでコイル状に成型され、相隣接する前記リッツ線同士が互いに逆方向に集合撚りされていることを特徴とするリッツ線コイル。
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