JP5726034B2 - 漏洩トランス - Google Patents
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Description
他方、コア形状を変えて漏れインダクタンスを調整する方法では、形状が異なるコア(ギャップの大きさが異なるコア)を用意しなければならず、部品管理が煩雑になる問題点がある。
そこで、本発明の目的は、一次コイルと二次コイルの間の空隙幅を変えたりコア形状を変えたりしなくても漏れインダクタンスを調整することが出来ると共に小型化できる漏洩トランスを提供することにある。
上記第1の観点による漏洩トランスでは、一次コイルまたは二次コイルのうちの一方で他方を挟んで配置した構成なので、単に一次コイルの横に並べて二次コイルを設けた構成に比べて、一次コイルと二次コイルの結合度を上げることができ、漏れインダクタンスの最小値を小さくすることが出来る。また、第1分割コイルと第2分割コイルの巻数比を変えることにより結合度を調整できる(巻数比を1:1に近づけるほど結合度は大きくなる)ので、漏れインダクタンスを調整でき、一次コイルと二次コイルの間の空隙幅を変えたり、コア形状を変えたりしなくても済む。さらに、一次コイルまたは二次コイルのうちの一方を先に巻けば、第1分割コイルと第2分割コイルとが壁の役割をするので、それらの間に他方のコイルを巻きやすくなり、隔壁を設けなくて済み、小型化に資する。
なお、一次コイルと二次コイルの間の空隙幅を変えたり、コア形状を変えたりすることを併用すれば、さらに結合度を調整することが出来るので、必要であれば、これらを併用してもよい。
上記第2の観点による漏洩トランスでは、一次コイルまたは二次コイルのうちの一方のコイルがα巻きであるため、第1分割コイルになる部分と第2分割コイルになる部分とを有する一つのコイルとして製造でき、第1分割コイルと第2分割コイルとを別体に製造してから両者を接続するよりも手間が省け、製造工数の削減や、接続端子等の部品を必要としない。
図1は、実施例1に係る漏洩トランス100を示す断面図である。
この漏洩トランス100は、コア1a,1bと、コイルボビン2と、一次コイル10と、二次コイル20とを具備している。
図2に示すように、コア1a,1bは、互いに突き合わせるように組み合わせられる。
一次コイル10の巻数は13ターンであり、第1分割コイル11の巻数を6ターンとし、第2分割コイル12の巻数を7ターンとしている。
二次コイル20の巻数は21ターンである。
図3は、漏洩トランス100のコア1a,1bと一次コイル10と二次コイル20とを示す分解斜視図である。
図4は、一次コイル10を示す斜視図である。
図5は、二次コイル20を示す斜視図である。
二次コイル20をオープンにし、一次コイル10に測定器を接続して測定した結果、1次励磁インダクタンスは100kHzにおいて810μHであり、1次漏れインダクタンスは100kHzにおいて5.4μHであり、共振周波数は623kHzであった。
(1)一次コイル10の第1分割コイル11と第2分割コイル12とで二次コイル20を挟んで配置した構成なので、単に一次コイルの横に並べて二次コイルを設けた構成に比べて、一次コイル10と二次コイル20の結合度を上げることができ、漏れインダクタンスの最小値を小さくすることが出来る。
なお、実施例1では、第1分割コイル11と第2分割コイル12の巻数比が1:1に近いため、漏れインダクタンスの値5.4μHはほぼ最小値である。
なお、実施例1では、第1分割コイル11と第2分割コイル12の巻数比が1:1に近いが、巻数比を1:1から遠ざければ(例えば一次コイル10の巻数13ターンは変えずに、第1分割コイル11の巻数を5ターンとし、第2分割コイル12の巻数を8ターンとする。)、漏れインダクタンスの値を最小値5.4μHよりも大きく出来る。
(6)一つの巻線線材を扁平形状としたため、断面略円形の一つの巻線線材を用いるよりも、線材間の空間を少なくでき、小型化できる。
実施例1における巻線線材(三層絶縁電線を3本平行に並べて一つの扁平な巻線線材としたもの)の代わりに、扁平な編組線を用いてもよい。
図7は、線径0.1mmの銅及び銅合金素線240本を編組した編組線で一次コイル10を巻き、線径0.1mmの銅及び銅合金素線168本を編組した編組線で二次コイル20を巻いた構成の漏洩トランスの特性図である。
二次コイルS1をオープンにし、一次コイルP1に測定器を接続して測定した結果、1次励磁インダクタンスは100kHzにおいて846μHであり、1次漏れインダクタンスは100kHzにおいて5.9μHであり、共振周波数は397kHzであった。
実施例1と比べると、線材間の空間が少なくなり、共振周波数が低くなっている。
実施例1の一次コイル10を二次コイルとし、実施例1の二次コイル20を一次コイルとしてもよい。
図8の(a)は、単に一次コイルP1の横に並べて二次コイルS1を設けた構成の漏洩トランスの要部断面図である。図8の(b)は、その特性図である。なお、実施例1と同じ線材(断面略円形の三層絶縁電線を3本平行に並べた一つの扁平な巻線線材)を用いた。
二次コイルS1をオープンにし、一次コイルP1に測定器を接続して測定した結果、1次励磁インダクタンスは100kHzにおいて833μHであり、1次漏れインダクタンスは100kHzにおいて10.9μHであり、共振周波数は595kHzであった。
実施例1と比べると、1次漏れインダクタンスが2倍になっているが、これが最小値であり、これ以下にすることは出来ない。
図9の(a)は、第1の一次コイルP1の外周に二次コイルS1を巻き、その二次コイルS1の外周に第2の一次コイルP2を巻き重ねた構成のトランスの要部断面図である。図9の(b)は、その特性図である。なお、実施例1と同じ線材(断面略円形の三層絶縁電線を3本平行に並べた一つの扁平な巻線線材)を用いた。
二次コイルS1をオープンにし、一次コイルP1に測定器を接続して測定した結果、1次励磁インダクタンスは100kHzにおいて832μHであり、1次漏れインダクタンスは100kHzにおいて0.8μHであり、共振周波数は490kHzであった。
実施例1と比べると、1次漏れインダクタンスが小さすぎる。
図10は、実施例4に係る漏洩トランスを示す分解斜視図である。
この漏洩トランスは、例えば線径0.1mmの銅及び銅合金素線240本を編組した編組線によるエッジワイズコイルで第1分割コイル11及び第2分割コイル12を構成し、それらを接続して一次コイル10としたものである。一次コイル10以外の構成は、実施例1と同様である。
図11は、参考例1に係る漏洩トランスを示す分解斜視図である。
この漏洩トランスは、例えば線径0.1mmの銅及び銅合金素線240本を編組した編組線によるエッジワイズコイルで二次コイル20を構成したものである。二次コイル20以外の構成は、実施例4と同様である。
図12の(a)は、実施例5に係る漏洩トランスの一次コイル10及び二次コイル20を示す斜視図である。同図(b)は、一次コイル10のみの斜視図である。
この漏洩トランスは、例えば55本の線径0.1mmの銅及び銅合金素線を撚った撚線の外周にテープ巻き或いは押出あるいはそれらの組合せにより3層の樹脂絶縁層を設けた断面略円形の三層絶縁電線1本により整列巻コイルで第1分割コイル11及び第2分割コイル12を構成し、それらをα巻きのように一体的に巻いて一次コイル10としたものである。一次コイル10以外の構成は、実施例1と同様である。
図13の(a)は、実施例6に係る漏洩トランスの一次コイル10及び二次コイル20を示す斜視図である。同図(b)は、一次コイル10のみの斜視図である。
この漏洩トランスは、例えば55本の線径0.1mmの銅及び銅合金素線を撚った撚線の外周にテープ巻き或いは押出あるいはそれらの組合せにより3層の樹脂絶縁層を設けた断面略円形の三層絶縁電線1本により整列巻コイルで第1分割コイル11及び第2分割コイル12を構成し、それらを接続して一次コイル10としたものである。一次コイル10以外の構成は、実施例1と同様である。
2 コイルボビン
2a 筒部
2b 鍔部
10 一次コイル
11 第1分割コイル
12 第2分割コイル
20 二次コイル
100 漏洩トランス
Claims (2)
- 一次コイルと二次コイルとを横に並べて設けた漏洩トランスであって、前記一次コイルおよび二次コイルのうちの一方あるいは他方あるいは両方とも、複数の導体素線を撚った撚線の外周に3層の樹脂絶縁層を備えた断面略円形の三層絶縁電線を複数本平行に並べて一つの扁平な巻線線材とした線材を巻いたものであり、前記一次コイルまたは二次コイルのうちの一方のコイルを第1分割コイルと第2分割コイルとに2分割し、それら第1分割コイルと第2分割コイルの間に前記一次コイルまたは二次コイルのうちの他方のコイルを隔壁を設けずに挟んで配置したことを特徴とする漏洩トランス。
- 請求項1に記載の漏洩トランスにおいて、前記一次コイルまたは二次コイルのうちの一方のコイルはα巻きであることを特徴とする漏洩トランス。
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