JPWO2009001928A1 - 血圧降下活性を有するペプチド - Google Patents

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Abstract

生理活性を有する新規なペプチドを提供する。本発明の新規ペプチドは血圧降下活性を有し、高血圧に起因する疾患を治療するために有用である。また、本発明は、新規ペプチドに対する抗体にも関する。

Description

本発明は、血圧降下活性を有する内因性新規ペプチド又はその類縁体に関する。
内因性生理活性ペプチドの研究は1921年のインスリンの同定に始まり、現在までに数多くの内因性ペプチドがヒトを含む高等生物において同定されている(非特許文献1)。これらの内因性生理活性ペプチドは、単一の生理作用のみを有するのではなく、標的とする臓器により異なる作用を示すものが多い。例えば、グレリンは、下垂体に作用して別の内因性生理活性ペプチドである成長ホルモンの分泌促進作用を示すとともに、視床下部に作用して摂食亢進作用を示すなど、多彩な機能を有することが知られている(非特許文献2)。また、アドレノメジュリンは、血管に作用して血管拡張作用を示すとともに、下垂体に作用して別の内因性生理活性ペプチドであるACTHの分泌を抑制するなど、多彩な機能を有することが知られている(非特許文献3)。
さらに、上記のグレリン、アドレノメジュリン以外にも、内因性生理活性ペプチドに関する研究は進んでおり、ある生理活性ペプチドが他のペプチドの作用発現を制御することや、複数のペプチドがお互いの作用を制御し合って複雑なネットワークを形成し、生体メカニズムを調節することなどが解明されつつある。例えば、摂食及び生体内のエネルギーバランスには、摂食亢進作用を示す内因性生理活性ペプチドであるグレリン、アグーチ関連ペプチド、神経ペプチドYと、摂食抑制作用を示すペプチドであるペプチドYY、コレシストキニン、レプチン、メラノコルチン、インスリンが、末梢と中枢の間で情報伝達をしながら互いの作用を制御していることが報告されている(非特許文献4)。
一方で、内因性生理活性ペプチドは疾患の治療にも用いられている。例えば、インスリンは糖尿病治療薬として、副甲状腺ホルモンの活性断片は骨粗しょう症の治療薬として、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は急性心不全治療薬として用いられている。これら内因性生理活性ペプチドによる医薬は、低分子化合物で置換することが困難な作用メカニズムを有すると同時に、もともと生体内に存在する物質を利用して生体メカニズムの正常化を図ることから、安全性に優れると考えられている。
従って、新たな内因性生理活性ペプチドの同定は、生理活性を有する新規物質の発見というだけでなく、新たな生体メカニズムの解明につながり、さらには、新たな作用メカニズムに基づく新たな疾患治療法にもつながるものである。
一般的な内因性生理活性ペプチドの同定手法として、種々の評価系に対する作用を指標として、生体組織抽出物からペプチドを分画・精製する手法が知られている。これまでに、評価系として、腸管等の平滑筋の弛緩収縮など摘出臓器に対する作用(非特許文献5、6)、培養細胞におけるcAMP、Caイオンなどの細胞内セカンドメッセンジャーの変動(非特許文献7)などが利用され、新規な生理活性ペプチドが同定されてきた。近年は、ゲノム解析により同定・予測されたリガンド未知のレセプターを培養細胞に強制発現し、細胞内セカンドメッセンジャーの変動(非特許文献8、9)、細胞外アラキドン酸代謝物量の変化(非特許文献10)、細胞外酸性化率の変化(非特許文献11)などを評価系として利用し、新規な内因性生理活性ペプチドが同定されている。その他にも、レセプターもしくはレセプター結合蛋白質の細胞内局在変化(非特許文献12)や、細胞内誘電スペクトルの変化(非特許文献13)などの最先端の科学技術を活用した評価系が利用されている。
しかし、現在でも、リガンドが未同定のGタンパク共役型レセプターが数多く存在しており、そのうちの27レセプターは、ペプチドをリガンドとすると予測されている(非特許文献14)。内因性生理活性ペプチドは生体内に微量しか存在せず、不安定で分解されやすいため、最先端の科学技術を用いても、新たな内因性生理活性ペプチドの同定は容易なことではない。
一方、内因性生理活性ペプチドは遺伝子にコードされていることから、ゲノム配列等を利用して情報学的に予測する試みも行われている。具体的には、既知の内因性生理活性ペプチド及び前駆体に見られる配列上の特徴を指標として、ゲノム配列やcDNA配列から新規内因性生理活性ペプチド配列を予測し、予測したペプチドを化学合成により大量に調製した上で、種々の評価系で生物活性の有無を評価することができる。実際に、新たな内因性生理活性ペプチドが、既存の内因性生理活性ペプチドとの配列相同性(非特許文献15)や内因性生理活性ペプチドに多くみられるカルボキシル末端RFアミドモチーフ(非特許文献16〜18)などを指標として、情報学的手法により同定されている。さらに、既知の内因性生理活性ペプチド及びその前駆体に共通する複数の配列特徴を組み合わせた方法(非特許文献19、20)によっても、新たな内因性生理活性ペプチドが同定されている。
しかし、上述の方法により予測できるのは既知の内因性生理活性ペプチドに類似したペプチドに限定されており、より幅広い内因性生理活性ペプチドの予測方法が望まれている。
一般に、内因性生理活性ペプチドは、前駆体タンパク質の部分配列として遺伝子にコードされており、前駆体タンパク質がプロホルモン変換酵素により特定の位置で切断されて生じる特定の分子のみが生理活性を有する。従って、既知の内因性生理活性ペプチドと類似しない、新規な内因性生理活性ペプチドを予測する際には、前駆体からペプチドが切り出される位置を正確に予測することが極めて重要になる。一般に、前駆体タンパク質は、Lys及びArgの組み合わせから成る2連続塩基性残基の位置においてPC1/3、PC2等のプロホルモン変換酵素で切断されると考えられている(非特許文献21、22)。しかし、このような2連続塩基性残基は、内因性生理活性ペプチド前駆体以外の蛋白質にも数多く存在しており、各種生物の全ゲノムを対象として上記2連続塩基性残基で挟まれる全ての配列を内因性生理活性ペプチドと仮定し、その活性を評価することは極めて困難である。そこで、プロホルモン変換酵素の基質となる配列を予測する試みも報告されている(非特許文献23)が、実用的な水準に達しているとは言えない。
このように、ゲノム配列が解読された現在においても、新たな生理活性ペプチドの予測は極めて困難な課題である。
Kastin、「Handbook of biologically active peptide」、Academic Press, New York、2006年 Hosoda, et al., J. Pharmacol. Sci., 100, 398-410 (2006) Hinson, et al., Endocrine Reviews, 21, 138-167 (2000) Morton, et al., Nature, 4433, 289-295 (2006) Kangawa, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 118, 131-139 (1984) Minamino, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 130, 1078-1085 (1985) Miyata, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 164, 567-574 (1989) Meunier, et al., Nature, 377, 532-535, (1995) Kojima, et al., Nature, 402, 656-660, (1999) Hinuma, et al., Nature, 393, 272-276, (1998) Tatemoto, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 251, 471-476 (1998) Johnson, et al., J. Biol. Chem., 278, 52172-52178, (2003) Verdonk, et al., Assay Drug Dev. Techmol., 4, 609-619, (2006) Vassilatis, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 100, 4903-4908 (2003) Roh, et al., J. Biol. Chem., 279, 7264-7274 (2004) Hinuma, et al., Nature Cell Biol., 400, 703-708 (2000) Chartel, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 100, 15247-15252 (2003) Jiang, et al., J. Biol. Chem., 278, 27652-27657 (2003) Shichiri, et al., Nat. Med., 9, 1166-1172 (2003) Mirabeau, et al., Genome Research, 17, 320-327 (2007) Seidah, et al., Brain Res., 848, 45-62 (1999) Steiner, Curr. Opin. Chem. Biol., 2, 31-39 (1998) Duckert, et al., Protein Eng. Des. Sel., 17, 107-112 (2004)
本発明の課題は、新規な内因性生理活性ペプチドを提供することである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意努力した結果、独自の手法により、従来の手法では同定が困難な生理活性ペプチドを見出し、血圧降下作用を有する新規ペプチドを得ることに成功した。
本発明において、機能未知でアミノ酸配列長が300残基未満であり、分泌タンパク質の構造を有するタンパク質をコードする遺伝子として、当該全ての条件に合致する配列の中から100アミノ酸残基からなり機能未知である前駆体タンパク質(HC021:配列番号3)をコードするヒト遺伝子(配列番号4)を公共配列データベースから選択し、選択した遺伝子をクローニングして前駆体タンパク質を大腸菌β−ガラクトシダーゼとの融合タンパク質として産生させ、当該融合タンパク質をプロホルモン変換酵素により試験管内でペプチド特異的に切断し、そして、生じた断片配列を質量分析計により同定することにより、前駆体蛋白質がプロホルモン変換酵素で切断される位置を特定した。即ち、HC021をプロセシング酵素(Kex2プロテアーゼ誘導体:Kex2-660)で処理した場合に内部で切断されるペプチドとして配列番号5が同定され、HC021(配列番号3)のアミノ末端から数えて53番目のArgと54番目のGlyの間で切断されることが判った。その後、前駆体蛋白質が切断された位置に基づいて新たな内因性生理活性ペプチドを推定し、推定した新規内因性生理活性ペプチド候補を化学合成法により大量に調製し、ラットにおける血圧変動活性を測定することよって、血圧降下作用を示す新規ペプチドを見出すことに成功した。
このような方法は、情報学的手法を利用してペプチド前駆体候補遺伝子をあらかじめ特定するため、組織抽出物から精製する方法と比較して、多量のペプチドサンプルを供給することが可能である。さらに、当該方法は、ペプチド前駆体蛋白質をプロホルモン変換酵素で実験的手法により切断するため、情報学的には予測が困難な前駆体蛋白質の特異的切断部位を検出することができる。
本発明において、ペプチドの血圧降下活性の測定法は特に制限されず、例えば、当該ペプチドをラットやマウス等の非ヒト動物に投与し、血圧の降下を測定・評価する方法であればよい。具体的には、正常動物のほか、Dahl食塩感受性ラット、Spontaneous hypertensive ラット(SHR)、DOCA食塩負荷ラット、DOCA食塩負荷イヌ、2腎1クリップ(2K1C) Goldblatt型ラット、背髄破壊ラット等の高血圧モデル動物を利用することができ、血圧の測定方法としては、観血的血圧測定法、非観血的血圧測定法(テールカフ法)、無麻酔無拘束下血圧測定法(テレメトリーシステム)等を利用することができる。
本発明は、血圧降下活性を有する新規な内因性生理活性ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩である。本発明者らは、上記の方法で取得した新規生理活性ペプチドについて、アミノ末端及びカルボキシル末端を欠失させた配列を化学合成し、当該ペプチドの血圧降下活性を測定することによって、血圧降下活性に必要なコア配列が、LFFRRLQAY(配列番号23)という9残基からなる配列であることを特定した。
更に、上記の手法で取得した新規生理活性ペプチドについて、アミノ末端及びカルボキシル末端を延長した配列、並びに様々な位置のアミノ酸を置換した配列を化学合成し、当該ペプチドの血圧降下活性を測定することにより、活性コア配列(P2)のアミノ末端に結合する配列の大部分を置換しても活性を保持すること、活性コア配列(P2)のカルボキシル末端に15残基程度付加すると活性が増強すること、活性コア配列(P2)内において疎水性側鎖が活性に重要であること、並びに、活性コア配列(P2)内であってもアミノ酸の保存的な置換の場合は活性が保持されること、を見出した。
なお、本発明の新規生理活性ペプチドの前駆体ポリペプチド(配列番号3)については、そのアミノ酸配列及び/又はそれをコードするDNAの塩基配列が、国際出願WO2001/072800;WO2002/002621;WO2002/068579;米国出願US2005/0208602;Nature Biotechnology (2001), 19(5), 440-445、Genome Research (2003), 13(10), 2265-2270に記載されており、GenBank等の公共配列データベースにも登録されている。しかし、上記文献等に開示されているのは、前駆体ポリペプチド又は前駆体ポリペプチドをコードするDNAのみであり、本発明の新規ペプチドや本発明のペプチドが血圧降下活性を有することについては何も記載されていない。
また、本発明の新規生理活性ペプチドの前駆体ポリペプチド(配列番号3)については、そのアミノ酸配列とそれをコードするDNAの塩基配列が、国際出願WO2003/052377に、他の40種類の分泌タンパク質と併せて開示されている。タンパク質の活性については、高血圧ラットを用いて血圧降下活性を評価できる旨の記載があるものの、活性の指標となりうる複数の評価方法のうちのひとつとして記載されているに過ぎず、いずれの活性についても活性があることを示す実験データの記載はない。上記文献には、本発明の新規生理活性ペプチドについては何の記載も示唆もなく、本発明に係る新規生理活性ペプチドの前駆体ポリペプチド由来の分泌タンパク質についてさえ血圧降下活性を有することについては一切言及されていない。
本発明は、式1のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を用いる医薬である。本発明のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、血圧降下活性を有するため、本発明は、式1のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を使用した医薬組成物、治療方法、及び医薬の製造方法を提供する。本発明によれば、ヒトを含む動物において、血圧を降下させることができるため、高血圧及び/又は高血圧に起因する疾患を治療することが可能である。
本発明は、式1のペプチドを抗原として調製された抗体、当該抗体を用いた内因性血圧降下ペプチドの測定方法である。また、本発明で開示されたペプチドに対する抗体、特に当該ペプチドのカルボキシル末端に対する抗体を作成し、当該ペプチドが前駆体ポリペプチドから切断されたのちに生じる部位を特異的に認識することを利用して、当該ペプチドと前駆体ポリペプチドとを分別定量することができるアッセイ方法も本発明に属する。
このように、本発明は、これに限定されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1) (i) 以下の式で表されるペプチド:
P1−P2−P3−Y (式1)
[式中、P1は、配列番号2におけるカルボキシ末端から連続するn残基のアミノ酸配列を表し、nは0又は1〜21の整数であり、ここで、nが0の場合、P1は存在せず;
P2は、配列番号23のアミノ酸配列であり;
P3は、配列番号3のアミノ末端から50番目のアミノ酸からカルボキシ末端側に連続するm残基のアミノ酸配列を表し、mは0又は1〜22の整数であり、ここで、mが0の場合、P3は存在せず;
P1のアミノ末端アミノ酸のα−アミノ基の水素原子は、アセチル基又はピログルタミル基で置換されていてもよく;
Yは、カルボキシル末端アミノ酸のα−カルボキシル基の水酸基に相当する部分であり、OH又はNHを表す];若しくは、
(ii) (i)のペプチドにおいて1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されており、且つ血圧降下活性を有するペプチド;
又はそれらの薬学的に許容可能な塩。
(2) nが0である、(1)に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
(3) n及びmが0である、(1)又は(2)に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
(4) (i)のペプチドが、配列番号1,8,10〜13,18〜23及び25〜43からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、(1)に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
(5) P1のアミノ末端アミノ酸のα−アミノ基の水素原子がアセチル基又はピログルタミル基で置換されている、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
(6) YがNHである、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
(7) (1)〜(6)のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩を含んでなる、高血圧及び/又は高血圧に起因する疾患の治療用医薬組成物。
(8) (7)に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、高血圧及び/又は高血圧に起因する疾患の治療方法。
(9) (1)〜(6)のいずれか1項に記載のペプチドに対する抗体。
(10) 被検試料中の(1)〜(6)のいずれか1項に記載のペプチドを、当該ペプチドに対する抗体を用いて検出することを含む、当該ペプチドの定量方法。
(11) (1)〜(6)のいずれか1項に記載のペプチドを遺伝子組換え技術を用いて製造する方法であって、
前記ペプチドをコードするDNAを含有するベクターにより宿主細胞を形質転換すること;及び
得られた形質転換細胞を培養して培養物から目的のペプチドを採取すること;
必要に応じて修飾反応を行うこと;
を含む、上記方法。
図1は、HC021-004及びHC021-007がラットの血圧を降下させる作用を示す図である。図中、矢印で示した点で各種試料を投与した。aはHC021-004を10nmol/rat、bはHC021-004を30nmol/rat、cはHC021-007を10nmol/rat、dはHC021-007を30nmol/rat、をそれぞれ投与した前後の血圧を示した図である。e及びfはそれぞれ、各ペプチド10nmol/rat及び30nmol/rat投与に相当する溶媒(0.1%酢酸を0.1% ウシ血清アルブミン(Fr.V)を含む生理食塩水で10倍希釈した溶液)を投与した前後の血圧を示した図である。 図2は、HC021-007が覚醒下のマウスに対して血圧を降下させる作用を示す図である。グラフの横軸はペプチド投与後の時間(分)を示し、縦軸は投与時を基準とした収縮期血圧の変化(mmHg)を示す。グラフ中のシンボルは、HC021-007の0.1mg/kg投与群(n=3)(○)、HC021-007の1mg/kg投与群(n=3)(●)、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)の1mg/kg投与群(n=4)(△)、生理食塩水投与群(n=4)(□)を示す。グラフ中のエラーバーは標準誤差を示す。 図3は、抗[N-Cys]-HC021-004血清の各種ペプチド配列に対する結合を示す図である。aはHC021-004、HC021-006、HC021-002に対する結合能を示した図であり、グラフの横軸は、抗血清の希釈倍率を示し、縦軸はELISAにおける405nmの吸光度である。図中のシンボルは、HC021-004(●)、HC021-006(○)、HC021-002(□)を示す。bはHC021-004、HC021-006、HC021-002の配列を示した図である。
発明を実施するための形態
用語の説明
本発明においてペプチドとは、複数のアミノ酸がペプチド結合で連なった化合物のことをいう。ここでいうアミノ酸(又はアミノ酸残基とも表現する)には、天然アミノ酸の他に、そのD,L-光学異性体や非天然アミノ酸も含まれる。また、本発明におけるペプチドには、ペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端が修飾された化合物も含まれる。
本発明においてKex2プロテアーゼとは、酵母のプロホルモン変換酵素(EC 3.4.21.61)である。また、Kex2-660とは、Kex2プロテアーゼを効率良く分泌、発現することができるカルボキシル末端欠失体であり、Kex2プロテアーゼのアミノ末端1番目のMetから660番目のProまでの配列を含む遺伝子を酵母で発現させ、培養上清から精製し得られる。
本発明においてHC021とは、配列番号3に記載の配列を有する蛋白質である。本発明において、前駆体であるHC021から得られるペプチドを、HC021の後ろにハイフンと数字3桁を付けて表記した(例えば、HC021-004など)。
生理活性ペプチド
本発明のペプチドは、以下の式:
P1−P2−P3−Y (式1)
[式中、P1は、配列番号2におけるカルボキシ末端から連続するn残基のアミノ酸配列を表し、nは0又は1〜21の整数であり、ここで、nが0の場合、P1は存在せず;P2は、配列番号23のアミノ酸配列であり;P3は、配列番号3のアミノ末端から50番目のアミノ酸からカルボキシ末端側に連続するm残基のアミノ酸配列を表し、mは0又は1〜22の整数であり、ここで、mが0の場合、P3は存在せず;P1のアミノ末端アミノ酸のα−アミノ基の水素原子は、アセチル基又はピログルタミル基で置換されていてもよく;Yは、カルボキシル末端アミノ酸のα−カルボキシル基の水酸基に相当する部分であり、OH又はNHを表す]で表されるペプチド;若しくは、かかるペプチドにおいて1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されており、且つ血圧降下活性をもたらすペプチド;又はそれらの薬学的に許容可能な塩である。
好ましい態様において、本発明のペプチドは、n又はmが0である(P1又はP3が存在しない)。また、好ましい態様において、本発明のペプチドは、n及びmが0である(P1及びP3が存在しない)。また、好ましい態様において、本発明のペプチドは、配列番号1,8,10〜13,18〜23及び25〜43からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。また、好ましい態様において、P1のアミノ末端はアセチル基又はピログルタミル基で置換される。更に、好ましい態様において、YがNHである。
他の好ましい態様において、P1における1〜21残基のアミノ酸のうち、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列も、P1として好ましい。
好ましい態様において、P3は、配列番号3のアミノ末端から50番目のアミノ酸からカルボキシ末端側に連続するm残基のアミノ酸配列を表し、mは0又は1〜22の整数である。他の好ましい態様において、P3は、フェニルアラニン、リジン、グリシン及びアルギニンからなる群から選択された少なくとも1つのアミノ酸からなる。また、好ましい態様において、P3は、Phe(m=1)、Phe -Lys(m=2)、Phe -Lys-Gly(m=3)、Phe -Lys-Gly-Arg(m=4)であることが特に好ましい。他の好ましい態様において、このような1〜22残基のアミノ酸のうち、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列も、P3mとして好ましい。
更に、他の好ましい態様において、P1におけるアミノ酸のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失又は付加されたアミノ酸配列、又は1〜n個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列もP1として好ましい。また、P2における9アミノ酸のうち、1個のアミノ酸が保存的に置換されたアミノ酸配列もP2として好ましい。また、P3におけるアミノ酸のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失又は付加されたアミノ酸配列、又は1〜m個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列も、P3として好ましい。
1つの態様において、本発明のペプチドは、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されてよい。また、1つの態様において、本発明のペプチドは、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されてよい。更に、1つの態様において、本発明のペプチドは、1、2,3,4又は5個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されてよい。
ペプチドの取得方法
本発明に係るペプチドは常法により得ることができる。例えば、天然由来の原料からの単離、化学的合成又は組換えDNA技術によって製造することができる。
本発明のペプチドを天然由来の原料から取得する場合には、当該ペプチドを発現している組織又は細胞から、当該ペプチドの分子量、溶解度、等電点、親和性等を考慮して、ゲルろ過、限外ろ過、透析、SDS-PAGE、各種クロマトグラフィーなどの分離精製方法を適宜組み合わせて行うことができる。また、組織・臓器よりペプチドを単離・精製する際には、組織・臓器に存在するプロテアーゼの作用による目的ペプチドの分解を阻止するために、組織・臓器を沸騰水中で熱処理することによりプロテアーゼを失活させることが望ましい。
本発明のペプチドを化学合成により取得する場合には、常法によることができる。ペプチドの化学合成法は既に種々の方法が充分に確立されており、本発明のペプチドも公知の方法によって容易に製造できる。例えば、古典的なペプチド合成法や固相法によることができる。具体的には、保護基の付いたアミノ酸を液相法及び/又は固相法により縮合し、ペプチド鎖を延長させ、酸で全保護基を除去し、得られた粗生成物を上記の精製方法等で精製することによって、本発明のペプチドを得ることもできる。例えば、「生化学実験講座1タンパク質の化学」第4巻の第2章、第3章(東京化学同人)、又は「続医薬品の開発14 ペプチド合成」(廣川書店)等の成書に記載されている方法によって製造することができる。
本発明のペプチドを組換えDNA技術を用いて取得する場合には、例えば、本発明に係るペプチドをコードするDNAを有する発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を培養し、当該培養物から目的のペプチドを採取することができる。
遺伝子を組み込むベクターとしては、例えば大腸菌のベクター(pBR322、pUC18、pUC19等)、枯草菌のベクター(pUB110、pTP5、pC194等)、酵母のベクター(YEp型、YRp型、YIp型)、又は動物細胞のベクター(レトロウイルス、ワクシニアウイルス等)等が挙げられるが、その他のものであっても、宿主細胞内で安定に目的遺伝子を保持できるものであれば、いずれをも用いることができる。当該ベクターは、適当な宿主細胞に導入される。目的の遺伝子をプラスミドに組み込む方法や宿主細胞への導入方法としては、例えば、Molecular Cloning(Sambrook et al., 1989)に記載された方法が利用できる。
上記プラスミドにおいて目的のペプチド遺伝子を発現させるために、当該遺伝子の上流にはプロモーターを機能するように接続させる。本発明において用いられるプロモーターとしては、目的遺伝子の発現に用いる宿主細胞に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、形質転換する宿主細胞がEscherichia属の場合はlacプロモーター、trpプロモーター、lppプロモーター、λPLプロモーター、recAプロモーター等を用いることができ、Bacillus属の場合はSPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等を用いることができ、酵母の場合はGAPプロモーター、PHO5プロモーター、ADHプロモーター等を用いることができ、動物細胞の場合はSV40プロモーター、CMVプロモーター、レトロウイルス由来プロモーター等を用いることができる。
上記のようにして得られた目的遺伝子を含有するベクターを用いて宿主細胞を形質転換する場合、宿主細胞としては細菌(例えば、Escherichia属、Bacillus属等)、酵母(Saccharomyces属、Pichia属、Candida属等)、動物細胞(CHO細胞、COS細胞等)等を用いることができる。培養時の培地としては液体培地が適当であり、当該培地中には培養する形質転換細胞の成育に必要な炭素源、窒素源等が含まれることが特に好ましい。所望によりビタミン類、成長促進因子、血清などを添加することもできる。
本発明のペプチドは、前駆体であるポリペプチドを適切な位置で切断できるプロセシングプロテアーゼ活性を有する細胞を宿主とすると、直接的に製造することができる。さらに、プロセシングプロテアーゼ活性に加えてペプチジルグリシン−α−アミド化酵素活性を有する細胞を宿主として使用すると、カルボキシル末端がアミド化された本発明のペプチドを直接的に製造することができる。このようなプロセシングプロテアーゼ及びペプチジルグリシン−α−アミド化酵素活性を有する宿主細胞は、当該前駆体ポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、当該形質転換細胞が血圧降下活性を有するペプチドを産生することを確認することにより選抜できる。
また、本発明のペプチドは、宿主細胞で前駆体ポリペプチドを製造し、次いで、前駆体ポリペプチドから試験管内で目的のペプチドを得ることによって製造することもできる。形質転換に用いる前駆体ポリペプチドをコードするDNA配列としては、目的とするペプチドをコードする遺伝子のcDNA配列を使用してもよいし、当該ペプチドをプロセシングプロテアーゼの切断配列を挟んでタンデムに並べたポリペプチドをコードするDNA配列を使用してもよい。例えば、前駆体ポリペプチドをコードするDNAを含むベクターで宿主細胞を形質転換して培養した後、培養菌体又は細胞もしくは培養液から前駆体ポリペプチドを抽出して精製を行い、Kex2−660等の精製したプロセシングプロテアーゼを反応させて当該前駆体ポリペプチドを切断し、必要に応じて精製したカルボキシペプチダーゼやペプチジルグリシン−α−アミド化酵素を反応させてカルボキシル末端を修飾して、目的のペプチドを得ることができる。ここで、本発明のペプチドを含む培養液もしくは反応液から本発明のペプチドを精製するには、天然由来のペプチドを取得する場合と同様の分離精製方法を用いることができる。
例えば、大腸菌β−ガラクトシダーゼのN末端から139番残基までの配列(N末端から77番目及び123番目のシステインをセリンに置換したもの)のカルボキシル末端に、プロセッシング酵素(例えば、Kex2プロテアーゼ)で開裂されうるリンカー部位を介して、HC021のアミノ酸配列(配列番号3)から分泌シグナル配列(配列番号3におけるアミノ末端から21番目までの部分)を除いた配列を融合したポリペプチドをコードするDNAを含むベクターで大腸菌を形質転換し、得られた融合タンパク質をプロセッシング酵素(例えば、Kex2プロテアーゼ誘導体であるKex2-660)で処理することによって、配列番号23のカルボキシル末端にPhe-Lys-Gly-Argが付加された配列をカルボキシル末端に有するペプチドを得ることができる。
さらに、カルボキシル末端のArgは、塩基性アミノ酸を遊離するカルボキシペプチダーゼ(例えば、カルボキシペプチダーゼ-B)を試験管内で反応させることで除去できることが公知の技術として知られているため、上記ペプチドをカルボキシペプチダーゼで処理することによって、配列番号23のカルボキシル末端にPhe-Lys-Glyが付加した配列をカルボキシル末端に有するペプチドを得ることができる。
さらにまた、カルボキシル末端のGlyは、ペプチジルグリシン−α−アミド化酵素を試験管内で反応させることでアミドに変換できることが公知の技術として知られているため、カルボキシペプチダーゼで処理した後、さらにペプチジルグリシン−α−アミド化酵素で処理することによって、配列番号23のカルボキシル末端にPhe-Lys-amideが付加した配列をカルボキシル末端に有するペプチドを得ることができる。
薬学的に許容可能な塩
本発明は、式1のペプチドに加えて、その薬学的に許容される塩も包含する。薬学的に許容可能な塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。本発明においては、これらの塩の中でもナトリウム塩、カリウム塩が最も好ましい。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
医薬
本発明のペプチド又はその薬学的に許容しうる塩は、血圧降下作用を有する。また、本発明のペプチド又はその薬学的に許容しうる塩は、そのまま若しくは公知の薬学的に許容しうる担体、賦形剤、増量剤などと混合してヒトを含む動物に対し使用することができる。
投与態様は特に制限されるものではないが、成人に静脈注射する場合、投与量は1回0.8μg〜8mg/kgであり、好ましくは4μg〜2mg/kgであり、より好ましくは8μg〜0.8mg/kgである。この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。
本発明のペプチド又はその薬学的に許容される塩は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;又はシロップ剤、注射剤などの液状製剤として経口又は非経口的に投与することができる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
本発明のペプチド又はその薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される担体と組み合わせて使用することができる。薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
抗体及びアッセイ
1つの観点からは、本発明は、式1のペプチドに対する抗体である。血圧降下活性を有する式1のペプチドを抗原とする抗体は、公知の方法により取得することができる。本発明の抗体はモノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体のいずれでもよい。
また、他の観点からは、本発明は、これらの抗体を用いた血圧降下活性を有するペプチドの測定方法である。
好ましい態様において、本発明の抗体は、本発明に係る式1のペプチドを認識するが、その前駆体ポリペプチドを認識しない。このような抗体を使用すれば、本発明の新規ペプチドを選択的に精製、定量することが可能である。
上記アッセイ方法について、これに限定されるものではないが、具体的態様を以下に述べる。
すなわち、上記アッセイ方法としては、例えば
(i)本発明のペプチドに対する抗体と、被検試料中の被検物質と標識化された本発明のペプチドとを競合的に反応させ、当該抗体に結合した標識化された本発明のペプチド等の割合を測定することを含む、本発明に係るペプチド等の定量方法;
(ii)被検試料と担体上に不溶化した本発明の抗体及び標識化された別の本発明の抗体とを同時あるいは連続的に反応させ、不溶化担体上の標識剤の活性又は/及び不溶化担体上に捕捉されなかった標識剤の活性を測定することを含む、本発明のペプチド等の定量方法;
を挙げることができる。上記定量方法においては、一方の抗体が本発明に係るペプチドを認識するが前駆体ポリペプチドを認識しない抗体であることが好ましい。
また、本発明のペプチド等のアッセイ方法として、当該ペプチドに対する抗体を用いて本発明のペプチド等の定量を行えるほか、組織染色等による検出を行うこともできる。
これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab’)2、Fab’、あるいはFab画分を用いてもよい。
上記抗体を用いる本発明のペプチド等の定量法は、特に制限されるべきものではなく、被検試料中の抗原量(例えば、ペプチド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的又は物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法及びサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、サンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
本発明に係るアッセイ方法のうち標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが挙げられる。本発明において放射性同位元素としては、例えば、125I、131I、3H、14Cなどを使用することができる。また、上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β―グルコシダーゼ、アスカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などを使用することができる。さらに、蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどを挙げることができ、発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェラーゼ、ルシゲニンなどを挙げることができる。また、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の具体的な実施例に限定されるものではない。
また、本実施例における主な略号の意味を以下に示す。
HBTU:N-[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル(ジメチルアミノ)メチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
Trt:トリチル
Pmc:2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル
OtBu:t-ブチルエステル
Mtt:4-メチルトリチル
TIPS:トリイソプロピルシラン
実施例1: HC021ペプチドの化学合成
HC021がKex2-660により53番目のArgと54番目のGlyの間で切断される情報と、一般的に内因性生理活性ペプチド前駆体が細胞内でプロセシングされてペプチドが生合成される機構(2つ以上の連続した塩基性アミノ酸残基のカルボキシル末端側でプロホルモン変換酵素により切断される、カルボキシル末端の塩基性アミノ酸がカルボキシルペプチダーゼで除去される、カルボキシル末端のGlyがペプチジルグリシン−α−アミド化酵素でアミド化される)を考慮し、以下のペプチド配列を考案し化学合成を行った。
HC021-001 ATVRNEDKWKPLNNPRNRDLFF(配列番号6)
HC021-002 LQAYFKGRGLDLGTFPNPFPTNENP(配列番号7)
HC021-004 NRDLFFRRLQAYFK-amide(配列番号8)
HC021-006 LQAYFK-amide(配列番号9)
HC021-007 ATVRNEDKWKPLNNPRNRDLFFRRLQAYFK-amide(配列番号10)
ペプチド鎖の延長は主にペプチド合成機(433A、アプライドバイオシステムズ社製)を使用し、Fmoc法にて保護ペプチド誘導体−樹脂を構築した。得られた保護ペプチド樹脂はトリフルオロ酢酸(TFA)、あるいは種々のスカベンジーを含む希釈TFAで脱保護し、遊離したペプチドを精製に供した。C18カラムを用いた逆相HPLCにて精製すると共に純度を確認し、質量分析にて構造を確認した。
本発明のペプチドは通常のペプチド合成法によって製造することができ、代表的な合成例として、HC021-004の合成を以下に示す。
HC021-004の合成
合成には、アプライドバイオシステムズ社製ペプチド合成機433Aを用いた。Fmoc−Amide樹脂(373mg、0.25nmol)を反応容器に入れ、縮合剤としてHBTU/HOBtを用いるFastMoc0.25プログラムを使用した。必要に応じてダブルカップリングを行い、ペプチド樹脂を構築した。最後にN末のFmoc基を、ピペリジン処理で除いた。ペプチド樹脂を乾燥し、ペプチド樹脂を、TFA:フェノール:水:TIPS=8.8:0.5:0.5:0.2(v/v)の脱保護試薬15mlで2時間処理した。反応後、ろ過して、樹脂を除き、溶液を減圧下で濃縮した。残渣にエーテルを加え沈殿化し、沈殿をろ過して集め、粗ペプチド352.6mgを得た。その1/2量の176.3mgをYMC ODSカラム(5μm、2cmx25cm)に添加し、0.1%トリフルオロ酢酸中、アセトニトリル濃度を0%から60%までの60分間の直線グラジエント(流速:10mL/min)で溶出させた。残りの粗ペプチドも同様にYMC ODSカラムで精製し、2回のクロマトの純度の高い画分を凍結乾燥し、267.7mgの粉末を得た。この粉末をYMC Protein-RPカラム(5μmC4,2cmx25cm)に添加し、0.1%トリフルオロ酢酸中、アセトニトリル濃度を0%から60%まで60分間の直線グラジエント(流速10mL/min)で溶出させた。凍乾後、目的とするペプチド245mgを得た。ESI-MS測定値:1873.0(理論値:1873.17)
実施例2: 血圧に対するペプチドの効果
8〜10週齢のSprague-Dawley 系 IGS 雄性ラット(日本チャールスリバー)に50mg/kgのペントバルビタールナトリウムを腹腔内投与して麻酔し、気管カニューレ(PE 250)、大腿静脈カニューレ(PE50)及び大腿動脈カニューレ(PE50)を挿入した。大腿動脈カニューレは圧トランスデューサ(PE23XL、日本光電社製)に接続し、多用途プリアンプ装置(RP-6004、日本光電社製)に血圧測定ユニット(AP-641G、日本光電社製)と瞬時心拍計ユニット(AT-601G、日本光電社製)を組み込んだ装置を用いて血圧、及び心拍数を記録した。血圧は電気血圧計スタンド(MP-25S、日本光電社製)に付属の水銀マノメーターを用いて校正し、記録紙上10mmを100mmHg若しくは20mmを100mmHg となるように調整した。血圧変動の陽性コントロールとしては、アセチルコリン(10μg/rat)を、陰性コントロールとしては各ペプチドを溶解した溶媒を用いた。
各ペプチドは、1 mM、もしくは10mMの濃度で0.1%酢酸溶液に溶解してペプチド溶液を調製した後、投与量に応じて0.1% ウシ血清アルブミン(Fr.V)を含む生理食塩水で希釈した。10nmol/ratの投与量の場合、1mMのペプチド溶液を10倍希釈して、その100μL を投与に用いた。30nmol/ratの投与量の場合、1mMのペプチド溶液を10倍希釈して、その300μL を投与に用いた。100nmol/ratの投与量の場合、10mMのペプチド溶液を10倍希釈して、その100μL を投与に用いた。各ペプチドは大腿静脈カニューレを介して静脈内に投与し、収縮期血圧、拡張期血圧及び心拍数を測定した。
結果を表1及び図1に示す。HC021-004とHC021-007に降圧活性が認められた。
Figure 2009001928
実施例3: HC021ペプチドの活性領域の検索
実施例1に準じて種々のHC021誘導体ペプチドを合成し、実施例2に示した方法によって10nmol/rat、30nmol/rat、100nmol/ratの用量をラットに投与して血圧降下活性を測定した。各誘導体ペプチドの血圧降下活性は、2個体以上で活性が見られたペプチドについて活性を認め、活性の強度は繰り返し実験による活性の中央値で判定した。また、各誘導体ペプチドの活性を比較するため、血圧降下活性の強度を次の通り定義した。
血圧降下活性の強度
・活性が極めて強い(+++):収縮期血圧の降下が30mmHg以上、且つ回復するまでの時間が5分以上
・活性が強い(++):収縮期血圧の降下が20mmHg以上、且つ当該血圧降下が30mmHg未満又は回復するまでの時間が5分未満
・活性が認められる(+):収縮期血圧の降下が20mmHg未満
・活性が認められない(−)
結果を、以下の表2に示す。
化合物3(HC021-004)、5(HC021-007)、12、14、16、17及び19は用量依存的に血圧降下活性を増強した。
化合物1〜26の結果から、活性には各化合物のカルボキシル末端側に存在する9残基(LFFRRLQAY:配列番号23)が重要であることが判った(以下、活性コア配列)。化合物3,5〜10及び15〜17の結果から活性コア配列のアミノ末端を延長しても活性を保持すること、化合物3,11〜15,18,19,24,25及び27〜30の結果から、活性コア配列のカルボキシル末端を数残基延長しても活性を保持し、更に延長すると活性を増強することが分かった。また、化合物3、5、8〜15、18、19の結果から、カルボキシル末端のアミド構造は活性の発現に必須ではないが、活性を増強させることが判った。化合物31〜33の結果から、アミノ末端のアミノ基が修飾されていても活性に影響しないことが判った。
Figure 2009001928
実施例4: HC021ペプチドの配列置換による活性への影響
実施例1に準じて種々のHC021ペプチドの配列置換体を合成し、実施例3の方法に従って血圧降下活性を測定した。
結果を以下の表3に示す。血圧降下活性の強度の定義は実施例3に準じた。
化合物34〜40の結果から、活性コア配列に結合するアミノ末端側の配列は、その大部分を置換しても活性を保持することが判った。また、化合物48、49の結果から、活性コア配列に結合するカルボキシル末端側の配列は、その大部分を置換しても活性を保持することが判った。更に、化合物36〜38及び43(親水性側鎖の保存的置換)並びに44〜47(疎水性/芳香族性側鎖の保存的置換)の結果から、活性コア配列内部であっても1残基程度の保存的置換であれば活性を保持すること、化合物46及び47の結果から、活性コア配列内部では疎水性側鎖が活性に重要であることが判った。
Figure 2009001928
実施例5: 覚醒ラットに対する降圧活性
8〜10週齢のSprague-Dawley 系 IGS 雄性ラット(日本チャールスリバー)に50mg/kgのペントバルビタールナトリウムを腹腔内投与して麻酔し、ペプチド投与用に頚静脈カニューレ(シラスコン0.5-1.0)及び血圧測定用に頚動脈カニューレ(PE50)を挿入した。手術後少なくとも3時間以上経過した後に、ラットの体勢及び呼吸などの一般状態から麻酔から覚醒したことを確認し、実験に供した。
頚動脈カニューレは圧トランスデューサ(PE23XL、日本光電社製)に接続し、多用途プリアンプ装置(RP-6004、日本光電社製)に血圧測定ユニット(AP-641G、日本光電社製)と瞬時心拍計ユニット(AT-601G、日本光電社製)を組み込んだ装置を用いて血圧、及び心拍数を記録した。血圧は電気血圧計スタンド(MP-25S、日本光電社製)に付属の水銀マノメーターを用いて校正し、記録紙上20mmを100mmHg若しくは40mmを100mmHg となるように調整した。血圧変動の陰性コントロールとしては各ペプチドを溶解した溶媒を用いた。
各ペプチドは、1 mMの濃度で5%マンニトール溶液に溶解してペプチド溶液を調製した後、投与量に応じて5% マンニトール溶液で希釈した。10nmol/ratの投与量の場合、1mMのペプチド溶液を30倍希釈して、その300μL を投与に用いた。30nmol/ratの投与量の場合、1mMのペプチド溶液を10倍希釈して、その300μL を投与に用いた。100nmol/ratの投与量の場合、1mMのペプチド溶液を3倍希釈して、その300μL を投与に用いた。各ペプチドは頚静脈カニューレを介して静脈内に投与し、収縮期血圧、拡張期血圧及び心拍数を測定した。
結果を表4に示す。血圧降下活性の強度の定義は実施例3に準じた。
実施例2、3及び4で示した麻酔ラットを用いた場合と同様に、HC021-004、HC021-007及び化合物36は覚醒ラットに対しても降圧活性を示した。
Figure 2009001928
実施例6: 覚醒マウスに対する降圧活性
体重30g〜40gのC57BL/6マウス(日本チャールス・リバー株式会社)を、ラット・マウス用無加温型非観血式血圧計(MODEL MK-2000、室町機械株式会社)の保定機内に入れ、尾の根元にカフパルスセンサーを装着した。マウスの血圧が安定していることを確認し、実験に供した。
ペプチドは投与量に応じて生理食塩水で希釈してペプチド溶液を調製した。0.1 mg/kgの投与量の場合0.02 mg/mLのペプチド溶液を、1 mg/kgの投与量の場合0.2 mg/mLのペプチド溶液を調製し、投与液量は5mL/kgとした。陽性コントロールとしては、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)を、陰性コントロールとしては、生理食塩水を用いた。各ペプチドは、29G針付きシリンジを用いて尾静脈から投与し、投与後3分及び10分に収縮期血圧及び心拍数を測定した。
結果を図2に示す。
実施例2、3及び4で示した麻酔下のラットを用いた場合と同様に、HC021-007は覚醒下のマウスに対しても降圧活性を示した。
実施例7: ペプチドに対する抗体の作製
[N-Cys]-HC021-004(HC021-004のアミノ末端にシステインが結合したペプチド)を抗原としてウサギを免疫して抗血清(抗[N-Cys]-HC021-004血清)を作成した。
当該抗血清の各種配列のペプチドに対する結合能をProtein DetectorTM ELISA kit (AP; BluePhos System、KPL社製)により検討した。反応は全て室温で行った。96wellイムノプレート(マキシコート済、Nunc社製)を、各種配列のペプチド(1ng/100uL濃度)で1hrコートし(100uL/well量)、300uL/wellのブロッキング溶液で1hrブロッキングした後、系列希釈した当該抗血清を100uL/well添加して1hr反応させた。洗浄後、500倍希釈したAnti-rabbit IgG HRP Ab (KPL社製)を100uL/well添加して1hr反応させ、洗浄後、基質のABTS (KPL社製)を100uL/well添加し、30分後に405nmの吸光度を測定した。
検出結果を図3に示す。当該抗血清はHC021-004 とHC021-006に対してほぼ同等の結合を示したが、HC021-002に対しては全く結合が見られなかった。この結果、当該抗血清は前駆体配列のHC021を認識せず、カルボキシル末端側に活性コア配列を有するペプチドを認識すると考えられた。
本願発明のペプチドに対する抗体を使用すれば、前駆体ポリペプチドを分別して、本発明のペプチドを定量することができる。
本発明は、新規な生理活性ペプチドに関する。本発明のペプチド又はその薬学的に許容される塩は、ヒト又は動物に投与することによって血圧を低下させるため、高血圧に起因する疾患を改善する医薬として有用であり、本発明のペプチドに対する抗体は疾病の診断に有用である。

Claims (11)

  1. (i) 以下の式で表されるペプチド:
    P1−P2−P3−Y (式1)
    [式中、P1は、配列番号2におけるカルボキシ末端から連続するn残基のアミノ酸配列を表し、nは0又は1〜21の整数であり、ここで、nが0の場合、P1は存在せず;
    P2は、配列番号23のアミノ酸配列であり;
    P3は、配列番号3のアミノ末端から50番目のアミノ酸からカルボキシ末端側に連続するm残基のアミノ酸配列を表し、mは0又は1〜22の整数であり、ここで、mが0の場合、P3は存在せず;
    P1のアミノ末端アミノ酸のα−アミノ基の水素原子は、アセチル基又はピログルタミル基で置換されていてもよく;
    Yは、カルボキシル末端アミノ酸のα−カルボキシル基の水酸基に相当する部分であり、OH又はNHを表す];若しくは、
    (ii) (i)のペプチドにおいて1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されており、且つ血圧降下活性を有するペプチド;
    又はそれらの薬学的に許容可能な塩。
  2. nが0である、請求項1に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
  3. n及びmが0である、請求項1又は2に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
  4. (i)のペプチドが、配列番号1,8,10〜13,18〜23及び25〜43からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
  5. P1のアミノ末端アミノ酸のα−アミノ基の水素原子がアセチル基又はピログルタミル基で置換されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
  6. YがNHである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩を含んでなる、高血圧又は高血圧に起因する疾患の治療用医薬組成物。
  8. 請求項7に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、高血圧又は高血圧に起因する疾患の治療方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のペプチドに対する抗体。
  10. 被検試料中の請求項1〜6のいずれか1項に記載のペプチドを、当該ペプチドに対する抗体を用いて検出することを含む、当該ペプチドの定量方法。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のペプチドを遺伝子組換え技術を用いて製造する方法であって、
    当該ペプチドをコードするDNAを含有するベクターにより宿主細胞を形質転換すること;
    得られた形質転換細胞を培養して培養物から目的のペプチドを採取すること;及び
    必要に応じて修飾反応を行うこと;
    を含む、上記方法。
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