JPWO2008129874A1 - 腫瘍細胞の標的化方法、及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 腫瘍細胞にγδT細胞の標的分子を発現させ、γδT細胞が腫瘍細胞を効率よく傷害するための腫瘍細胞の標的化方法を提供するものである。また腫瘍細胞の標的化方法を利用したがん治療・予防薬を提供するものである。さらにがん治療・予防方法を提供するものである。【解決手段】 腫瘍細胞を代謝拮抗剤に曝露することにより、γδT細胞が腫瘍細胞を認識して攻撃するために必要な標的分子を腫瘍細胞表面に発現させることができる。【選択図】 なし

Description

本発明は腫瘍細胞の標的化方法に関する。また該腫瘍細胞の標的化方法を用いたがん治療・予防薬に関する。さらにがん治療・予防方法に関する。
日本人の最も多い死亡原因としてがんが挙げられる。がんの治療方法としては、三大療法と言われる外科療法、化学療法、放射線療法があるが、夫々治療の困難性や副作用といった問題がある。
近年、上記三大療法のほかにがんの新しい治療方法として免疫細胞療法が行われており、免疫細胞療法は治療の困難性や副作用等の問題が少ないため注目されている。
この免疫細胞療法の1つにγδT細胞を用いる方法がある。γδT細胞はγδ型T細胞レセプター(T cell receptor、以下TCRという)を発現するT細胞である。γδT細胞はサイトカインを産生することで抗腫瘍効果を発揮するほか、TCRによりペプチド以外の抗原を認識して傷害することが知られている。また、正常細胞ががん化して腫瘍細胞となることによって発現するFas、MICA、TRAIL−レセプター(TRAIL−Receptor、以下TRAIL−Rという)等細胞膜表面たんぱく質にγδT細胞が有するFasリガンド、NKG2D、TRAILを介して結合し、傷害することが知られている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2)。
しかし、この傷害活性は腫瘍細胞にFas、MICA、TRAIL−Rが発現しないと効果を発揮しづらいという問題がある。
Cancer Immunol Immunother 2007;56(8):1285−1297 J Immunol 2005;175:2144−2155
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、腫瘍細胞にFas、MICA及びTRAIL−Rを発現させ、γδT細胞が腫瘍細胞を効率よく傷害するための腫瘍細胞の標的化方法を提供するものである。また腫瘍細胞の標的化方法を利用したがん治療・予防薬を提供するものである。さらにがん治療・予防方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を行ったところ、代謝拮抗剤が腫瘍細胞にγδT細胞の標的分子であるFas、MICA及びTRAIL−R(以下、標的分子ともいう)を同時に強発現させる機能があることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は下記手段を提供するものである。
(1)腫瘍細胞を代謝拮抗剤に曝露し、前記腫瘍細胞にγδT細胞の標的分子を発現させることを特徴とする腫瘍細胞の標的化方法、
(2)前記代謝拮抗剤がゲムシタビン、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする(1)に記載の腫瘍細胞の標的化方法、
(3)前記標的分子がFas、MICA及びTRAIL−レセプターであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の腫瘍細胞の標的化方法、
(4)前記標的分子が同時に高発現していることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の腫瘍細胞の標的化方法。
(5)γδT細胞と代謝拮抗剤を組み合わせてなることを特徴とするがん治療・予防薬、
(6)前記γδT細胞と、前記代謝拮抗剤とを、別々の溶液に懸濁し、薬剤とすることを特徴とする(5)に記載のがん治療・予防薬、
(7)前記代謝拮抗剤を含む薬剤を投与した後、前記γδT細胞を含む薬剤を投与することを特徴とする(5)又は(6)に記載のがん治療・予防薬、
(8)前記代謝拮抗剤がゲムシタビン、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする(5)乃至(7)のいずれか1つに記載のがん治療・予防薬、
(9)前記γδT細胞が自己由来であることを特徴とする(5)乃至(8)のいずれか1つに記載のがん治療・予防薬。
(10)γδT細胞を含む薬剤と代謝拮抗剤を含む薬剤を投与することを特徴とするがん治療・予防方法、
(11)前記代謝拮抗剤を含む薬剤を投与した後、前記γδT細胞を含む薬剤を投与することを特徴とする(10)に記載のがん治療・予防方法、
(12)前記代謝拮抗剤がゲムシタビン、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする(10)又は(11)に記載のがん治療・予防方法、
(13)前記γδT細胞が自己由来であることを特徴とする(10)乃至(12)のいずれか1つに記載のがん治療・予防方法。
(14)γδT細胞を含む薬剤と代謝拮抗剤を含む薬剤とからなるがん治療・予防用キット。
本発明によれば、腫瘍細胞を代謝拮抗剤に曝露することにより、γδT細胞が腫瘍細胞を認識して攻撃するために必要な標的分子であるFas、MICA及びTRAIL−Rを該腫瘍細胞表面に発現させることができる。γδT細胞はそれら標的分子を認識して腫瘍細胞を傷害するため、従来よりも効率の良いγδT細胞を用いたがん治療・予防薬、がん治療・予防方法を提供することが可能となる。
しかも本発明により標的化された腫瘍細胞は上記標的分子を同時に高発現しているため、γδT細胞は効率よく腫瘍細胞を傷害することができる。
更に、代謝拮抗剤とγδT細胞とをがん治療・予防薬、がん治療・予防方法として併用することで、代謝拮抗剤そのものが有する抗腫瘍効果と代謝拮抗剤の標的分子発現機能により腫瘍細胞の傷害を効率化されたγδT細胞とが相乗効果を奏し、従来のがん治療・予防薬、がん治療・予防方法と比較してより効果の高いがん治療・予防薬、がん治療・予防方法を提供することが可能となる。
更に、本発明で用いる代謝拮抗剤は、現在のところ効果の高い抗がん剤と認識されているものの、一方で骨髄毒性(白血球減少、血小板減少、貧血)などの副作用も有しており、その副作用のため長期間の継続投与が難しくなることも少なくない。本発明のようにγδT細胞を用いた免疫細胞療法と併用し、患者の免疫細胞を賦活化することで、その副作用も軽減することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<腫瘍細胞の標的化方法>
まず腫瘍細胞の標的化方法について説明する。
本発明は腫瘍細胞を代謝拮抗剤に曝露することにより、腫瘍細胞にγδT細胞の標的分子を発現させる腫瘍細胞の標的化方法である。
ここで、標的分子とはFas、MICA及びTRAIL−Rをいう。
γδT細胞はFasリガンド、NKG2D、TRAILを細胞膜表面に発現しており、それぞれFas、MICA、TRAIL−Rと結合し、それらの分子を発現する細胞を傷害することができる。
ここで、代謝拮抗剤とはDNAを構成する物質に類似する物質で、細胞内に取り込まれることで、DNAを構成する物質と拮抗して代謝を阻害したり、DNA鎖に組み込まれて正常なDNA合成を阻害する物質をいう。例えば、ゲムシタビン、フルオロウラシル、S−1、テガフール・ウラシル、ドキシフルリジン、カペシタビン、シタラビン、エノシタビン、メルカプトプリン、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン等が挙げられる。
ここで、ゲムシタビンとはシチジンの2´部分がフッ素で置換されたヌクレオシドである。ゲムシタビンは細胞内でリン酸化されて活性型ヌクレオチドになる。活性型ヌクレオチドはDNA鎖に取り込まれて、細胞死を誘発する。
ゲムシタビンは例えば塩酸ゲムシタビン(商品名:ジェムザール、日本イーライリリー)を生理食塩水などに溶解して調製する。
本発明によれば、代謝拮抗剤に曝露された腫瘍細胞ではFas、MICA、及びTRAIL−Rが同時に高発現し、発現した標的分子にγδT細胞が結合し、腫瘍細胞を傷害するため、代謝拮抗剤及びγδT細胞が夫々発揮するよりも高い腫瘍細胞殺傷効果を発揮することができる。
標的分子が同時に高発現しているとは、Fas、MICA及びTRAIL−Rの発現量が無処理状態と比較して、3種ともに増加している状態をいう。
In Vitroにおいて腫瘍細胞を標的化する場合、シャーレ等に腫瘍細胞を播種し、例えばゲムシタビンの最終濃度が0.1μM〜10μMとなるように培地に添加し、48時間ゲムシタビンに曝露したまま腫瘍細胞を培養すれば、標的分子を発現させ、γδT細胞の標的化することができる。
しかしながら、ゲムシタビンの濃度を高くして曝露する時間を短縮することや、ゲムシタビンの濃度を低くして曝露する時間を長くすることも可能である。
次いで、γδT細胞と代謝拮抗剤からなるがん治療・予防薬について説明する。
<がん治療・予防薬>
本発明のがん治療・予防薬は、担がん患者に投与する治療薬として用いることができる。また代謝拮抗剤及びγδT細胞は、肉眼では見えない腫瘍細胞を傷害することができるため、手術後の再発予防薬としての利用が可能である。
本発明のがん治療・予防薬はγδT細胞を含む薬剤と代謝拮抗剤を含む薬剤からなる。このような構成にすることにより、代謝拮抗剤を先に投与することができ、腫瘍細胞がγδT細胞の標的分子を発現する時間を与えることができる。
次いで、γδT細胞を含む薬剤及び代謝拮抗剤を含む薬剤の調製方法について説明する。
<γδT細胞の調製>
採血により末梢血を得る。採血する方法としては、真空採血管等による全血採取を利用することができる。採血量は患者の末梢血に含まれるγδT細胞の割合、γδT細胞の培養可能期間、投与数などを考慮し、患者の負担とならない程度に設定することが好ましい。例えば、14日間の培養期間で、投与するγδT細胞として10個程度のγδT細胞を得たい場合には、培養開始時のγδT細胞数を3×10〜1×10個程度確保できるように採血量を設定することが好ましい。
また、多量の細胞を確保する必要がある場合には、成分採血装置を用いて単核球成分を採取することにより、直接末梢血単核球を取得することが可能である。
例えば密度勾配遠心法により末梢血単核球を得る。末梢血単核球を培養液AIM−V(インビトロジェン)中に懸濁する。ここで末梢血単核球を懸濁した液を細胞懸濁液という。なお、ここで示した培養液以外にも、RPMI−1640培地(インビトロジェン)、ダルベッコ改変イーグル培地(インビトロジェン、以下DMEMという)、イスコフ培地(インビトロジェン、以下IMEMという)等の細胞の培養に使用される市販の培養液を使用してもよい。
また、必要に応じて血清を0.1〜20%添加してもよい。血清として、例えば、牛胎児血清(Fetal Calf Serum、以下FCSという)、AB血清又は自己血漿等を使用してもよい。
得られた細胞懸濁液をフラスコ、バッグ又はプレートに播種する。
フラスコ、バッグ又はプレート中に播種された末梢血単核球に濃度が0.05〜100μM、好ましくは0.1〜30μMとなるようにビスホスホネートを添加する。ここで、使用されるビスホスホネートとしては、例えばパミドロン酸、アレンドロン酸、ゾレドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、エチドロン酸、それらの塩及び/又はそれらの水和物が挙げられる。例えば、パミドロン酸、その塩及び/又はそれらの水和物であれば1〜30μM、アレンドロン酸、その塩及び/又はそれらの水和物であれば1〜30μM、ゾレドロン酸、その塩及び/又はそれらの水和物では0.1〜10μMにすることが好ましい。
更に、上記培養液にIL−2を濃度が50〜2000U/mL、より好ましくは400〜1000U/mLとなるように添加する。
IL−2を添加した後34〜38℃、より好ましくは37℃で、2〜10%、より好ましくは5%CO存在下で培養する。この際、培養する細胞数に応じ、培養液を適宜添加する。更に、培養液の増加に伴い、IL−2の濃度が50〜2000U/mL、より好ましくは400〜1000U/mLとなるように適宜添加する。
培養期間としては7日間以上であれば高純度でγδT細胞を含む細胞群が得られるが、γδT細胞の細胞数を増やすには、14日間程度培養することが好ましい。
以上の方法により、γδT細胞を効率よく増殖させることができる。
次に、本発明の培養方法によって得られた活性化γδT細胞を含む薬剤について説明する。
<γδT細胞を含む薬剤>
得られた細胞を遠心分離等により回収する。
回収した細胞を洗浄液で洗浄する。洗浄液は、細胞と浸透圧が等しい等張液であることが好ましく、医薬品として使用可能な液体であればより好ましい。ここで、患者に投与することを考慮すると、例えば生理食塩水、PBS(phosphate buffered saline;リン酸緩衝生理食塩水)等を利用することが好ましい。
洗浄後に得られたγδT細胞を遠心分離法等を用いて回収し、医薬品として可能な液体、例えば、生理食塩水等に懸濁して本発明の薬剤を調製することができる。この際、懸濁用液体の使用量は投与する細胞数や投与方法に応じて適宜調整される。
本発明の薬剤に用いるγδT細胞数は、投与方法、疾病の種類、患者の症状等に応じて適宜選択されるが、通常、10〜1012個/回/人であることが好ましく、より好ましくは10個/回/人以上である。
このようにして得られたγδT細胞を、生理食塩水に懸濁してγδT細胞を含む薬剤を得る。
本薬剤を投与する方法としては、例えば静脈内、皮内、皮下、リンパ節等へ注射することも、病変部に直接注入しても、また点滴として全身投与してもよい。更に、病変部近辺の動脈から注入してもよい。
γδT細胞は自己由来であれば、投与した際に患者の免疫系に排除されることなく、その機能を発揮することが可能である。
次に代謝拮抗剤を含む薬剤について説明する。代謝拮抗剤としては様々なものを用いることができるが、ここではゲムシタビンを例として説明する。
<代謝拮抗剤を含む薬剤の調製>
ゲムシタビンは例えば塩酸ゲムシタビン(商品名ジェムザール(登録商標)、日本イーライリリー)を生理的に許容可能な溶液(例えば生理食塩水等)に溶解して調製する。
投与方法としては1000mg/mを30分かけて点滴静注することが好ましいが、患者の症状に応じて適宜調整される。
投与頻度としては、例えば週1回投与を3週繰り返し、4週目は休薬する方法や、隔週で1回投与する方法等が挙げられる。
γδT細胞を含む薬剤とゲムシタビンを含む薬剤を投与するタイミングとしては、ゲムシタビンを含む薬剤を投与した後、γδT細胞を含む薬剤を投与することが好ましい。
特にゲムシタビンを含む薬剤を投与して48時間以降であれば、腫瘍細胞がゲムシタビンと接触し、腫瘍細胞がγδT細胞の標的分子を発現するため、投与したγδT細胞が腫瘍細胞を認識し、腫瘍細胞を効率よく傷害することができる。
また、γδT細胞を含む薬剤を後から投与することで、ゲムシタビンの細胞傷害効果がγδT細胞に影響することを防ぐこともできる。
以下に治療及び/又は予防薬投与のスケジュールを例示する。
ゲムシタビン治療前又はゲムシタビン治療3日以上後にγδT細胞を含む薬剤を調製するための採血又は成分採血を行い、γδT細胞の培養を開始する。成分採血等で大量に調製する細胞を採取した場合は、採取した細胞を凍結し、必要時に解凍して培養を開始する。
第1週1日にゲムシタビンを含む薬剤を投与する。
第1週3日に培養し調製したγδT細胞を含む薬剤を投与する。
第3週1日にゲムシタビンを含む薬剤を投与する。
第3週3日に培養し調製したγδT細胞を含む薬剤を投与する。
以降この繰り返しとなる。
このようなスケジュールで行うことで、ゲムシタビンを含む薬剤の投与によりγδT細胞の標的分子を発現した腫瘍細胞を、γδT細胞を含む薬剤の投与により効率よく腫瘍細胞を傷害することが可能となる。しかしながら、本発明はこの例に制限されるものではなく、患者の状態によってスケジュールを変更することが可能である。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明がこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
<γδT細胞の調製>
健常人ドナーから末梢血を40ml採血し、血球分離用比重液を用いて末梢血単核球を分離した。
得られた末梢血単核球を、AIM−V(10%FCS)に懸濁した。
24well plate(SUMILON)に、1×10/1mLの末梢血単核球を播種した。IL−2を700U/mL、Zometa(登録商標、ノバルティスファーマ)を10μM添加し、37℃、5%CO濃度条件下で培養を開始した。
培養を開始してから0、5、7、9、11日後にIL−2を濃度が700U/mLとなるように添加した。更に、細胞の増殖に応じて培養液AIM−Vを添加し、14日間培養を行った。
<ゲムシタビン処理による膵癌細胞株表面のMICA発現変化>
膵癌細胞株であるKP−1N、MIA PaCa−2(ヒューマンサイエンス研究資源バンク(HSRRB)から購入)を、RPMI−1640培地(10%FCS)に懸濁した。
6well plate(SUMILON)に、2×10/4mLの膵癌細胞株を播種した。
一晩、37℃、5%CO濃度条件下で培養し細胞を接着させた。
培地を破棄し、ゲムシタビン(ジェムザール、日本イーライリリー)の濃度が0.001μM、0.1μM、10μMとなるように調製したRPMI−1640培地(10%FCS)または、コントロールとしてゲムシタビン無添加の培地を添加した。
48時間培養後、0.5mMのEDTAにより細胞をウェルからはがし、細胞を回収しMICAの発現をFlow Cytometer(Epics XL−MCL ADC、ベックマン・コールター、以下FCMという)を用いて測定した。
この結果、表1に示すように、0.1μM以上の濃度でゲムシタビン処理した膵癌細胞株は、無処理と比較しMICAの発現が高くなることが明らかとなった。
Figure 2008129874
<ゲムシタビン処理による膵癌細胞株表面のFas、TRAIL−R発現変化>
膵癌細胞株(KP−1N、MIA PaCa−2)を、RPMI−1640培地(10%FCS)に懸濁した。
6well plate(SUMILON)に、2×10/4mLの膵癌細胞株を播種した。
一晩、37℃、5%CO濃度条件下で培養し細胞を接着させた。
培地を破棄し、ゲムシタビンの濃度が0.1μMとなるように調製したRPMI−1640培地(10%FCS)または、コントロールとしてゲムシタビン無添加の培地を添加した。
48時間培養後、0.5mMのEDTAにより細胞をウェルからはがし、細胞を回収しFas、TRAIL−Rの発現をFCMを用いて測定した。
この結果、表2a及びbに示すように、0.1μMの濃度でゲムシタビン処理した膵癌細胞株は、無処理と比較しFas、TRAIL−R2の発現が高くなることが明らかとなった。また、MIA PaCa−2では、TRAIL−R1の発現も高くなることが明らかとなった。
Figure 2008129874
<γδT細胞によるゲムシタビン処理した膵癌細胞株への傷害活性>
膵癌細胞株(KP−1N、MIA PaCa−2)を、RPMI−1640培地(10%FCS)に懸濁した。
組織培養フラスコ(BD Falcon)に、膵癌細胞株を播種した。
一晩、37℃、5%CO濃度条件下で培養し細胞を接着させた。
培地を破棄し、ゲムシタビンの濃度が0.1μMとなるように調製したRPMI−1640培地(10%FCS)または、コントロールとしてゲムシタビン無添加の培地を添加した。
48時間培養後、0.5mMのEDTAにより細胞をウェルからはがし、細胞を回収し、膵癌細胞株とγδT細胞を区別するために、膵癌細胞株をPKH−26(PKH26 Red Fluorescent Cell Linker Kit、SIGMA)で染色した。
ゲムシタビンを処理していない膵癌細胞株ではE/T比が0:1(膵癌細胞株のみの対照群)、10:1(γδT細胞単独での傷害活性)となるように24well plateに播種した。
ゲムシタビンを処理した膵癌細胞株ではE/T比が0:1(ゲムシタビン処理単独での傷害活性)、10:1(ゲムシタビンとγδT細胞併用での傷害活性)となるように24well plateに播種した。
37℃、5%CO濃度条件下で4時間共培養を行った。
次に、共培養した細胞を回収し、アポトーシスの初期段階を同定するAnnexinVとアポトーシス後期およびネクローシスを同定する7−AAD(ANNEXIN V−FITC/7−AAD KIT、ベックマン・コールター)により染色し、膵癌細胞株に対する細胞傷害活性をFCMにより測定した。
なお、細胞傷害活性の値は下記の数式1により算出した。
Figure 2008129874
Ann+細胞数はAnnexinVの蛍光を発色していた細胞数を示す。Ann+である細胞はアポトーシスを起こしていることを示している。
この結果、図1に示すように、ゲムシタビン処理後にγδT細胞を併用した場合の傷害活性は、それぞれ単独の場合と比較し相乗効果が期待できることを確認した。
以上説明したように、本発明の腫瘍細胞の標的化方法は腫瘍細胞をγδT細胞の標的化することにより、腫瘍細胞を効率よく傷害することができる。したがって、本発明はがん治療のための薬剤等の医薬製剤分野や、免疫細胞療法等の医療分野等に有用である。
図1は、膵臓がん由来細胞株をゲムシタビン単独(GEM)、γδT細胞単独(γδT−LAK)、ゲムシタビンで腫瘍細胞を標的化した後γδT細胞を添加した場合(GEM+γδT−LAK)の、それぞれの細胞傷害活性を示したものである。

Claims (14)

  1. 腫瘍細胞を代謝拮抗剤に曝露し、前記腫瘍細胞にγδT細胞の標的分子を発現させることを特徴とする腫瘍細胞の標的化方法。
  2. 前記代謝拮抗剤がゲムシタビン、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする請求項1に記載の腫瘍細胞の標的化方法。
  3. 前記標的分子がFas、MICA及びTRAIL−レセプターであることを特徴とする請求項1又は2に記載の腫瘍細胞の標的化方法。
  4. 前記標的分子が同時に高発現していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の腫瘍細胞の標的化方法。
  5. γδT細胞と代謝拮抗剤を組み合わせてなることを特徴とするがん治療・予防薬。
  6. 前記γδT細胞と前記代謝拮抗剤とを、別々の溶液に懸濁し、薬剤とすることを特徴とする請求項5に記載のがん治療・予防薬。
  7. 前記代謝拮抗剤を含む薬剤を投与した後、前記γδT細胞を含む薬剤を投与することを特徴とする請求項5又は6に記載のがん治療・予防薬。
  8. 前記代謝拮抗剤がゲムシタビン、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のがん治療・予防薬。
  9. 前記γδT細胞が自己由来であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載のがん治療・予防薬。
  10. γδT細胞を含む薬剤と代謝拮抗剤を含む薬剤を投与することを特徴とするがん治療・予防方法。
  11. 前記代謝拮抗剤を含む薬剤を投与した後、前記γδT細胞を含む薬剤を投与することを特徴とする請求項10に記載のがん治療・予防方法。
  12. 前記代謝拮抗剤がゲムシタビン、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする請求項10又は11に記載のがん治療・予防方法。
  13. 前記γδT細胞が自己由来であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載のがん治療・予防方法。
  14. γδT細胞を含む薬剤と、代謝拮抗剤を含む薬剤とからなるがん治療・予防用キット
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