JPWO2008126143A1 - 金属間の超音波接合のシミュレーション方法、シミュレーション・プログラム、および、シミュレーション装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、高速で振動する負荷を金属間の接合部分に与えることで、金属間結合を引き起こさせて同種または異種の金属同士を接合させる技術(超音波接合技術)もある。本発明は後者に属する。
なお、以下では超音波を用いて金属をカシメる(変形する)技術について説明するが、本発明は、超音波を使用して同種または異種の金属を接合させる、それ以外の技術(ワイヤーボンディング等)にも適用可能である。
図1に示す例では、アーム(アルミニウム)と、ベースプレート(ステンレス)とを超音波接合技術を使用して接合する。
図2および図3は、アームとベースプレートとの接合部分をより詳細に示した断面図である。
図4に示すように、超音波接合シミュレーション装置10は、入力データ11を入力してシミュレーションを実行するシミュレーション実行部21を備える。
図5の曲線は、金属等の剛体をある速度で引っ張ったときの、応力と歪みの関係を示したものである。図中において、降伏点は臨界的な点であり、例えば、歪みがその降伏点の値以下であれば、その剛体は元の形状に戻ることができる。通常、降伏点までの曲線は一定の勾配を持った直線である。この直線の勾配はヤング率として知られている。降伏点以降の曲線部分はS−S曲線と呼ばれる。
σd/σS)=1+(ε/D)1/P
ここで、D、Pは金属の種別によって既知の定数である。
・通常のボールカシメの応力−歪み曲線は、引っ張り速度0.5m/secの場合の応力−歪み曲線に近い。
・10kHzまたは20kHzの周波数をボールに与えて、金属をつつかせた場合の応力−歪み曲線は、引っ張り速度5m/secの場合の応力−歪み曲線に近い。
・40kHzの周波数をボールに与えて、金属をつつかせた場合の応力−歪み曲線は、引っ張り速度20m/secの場合の応力−歪み曲線に近い。
超音波印加条件とは、ホーン1をどの程度の速度で振動させてボールをつつかせるかを指定するものである。周波数、振幅、(ホーンの)送り速度の項目を指定することにより、超音波印加条件を指定することができる。
図6に示される要素は、立方体であり、要素中心と、立方体の各頂点に位置する節点と、立方体の各辺の中点に位置する節点とを有している。
図4の仮想摩擦係数データ13は、図9に示すように、他方の要素内に入り込んだ節点の数と、アーム3とベースプレート4の(高速歪み速度領域における)摩擦係数とを対応付けたデータである。
図9では、他方の要素内に入り込んだ節点数の範囲に対して、アーム3とベースプレート4の(高速歪み速度領域における)摩擦係数が示されている。他方の要素内に入り込んだ節点数が増せば、この摩擦係数の値も大きくなる。
そして、ステップS2で、算出された応力(ベクトル量)を基に、要素の各点の変位(ベクトル量)が、変位算出部23によって算出される。また、変形量算出部27によって、算出された変位(ベクトル量)に基づいてベースプレートの反り量(スカラー量)が算出される。
ステップS6で計算終了ではないと判定された場合、ステップS1に戻り、現在時刻の応力値(ベクトル量)、等を用いて、次の時刻の応力(ベクトル量)等が計算される。
下記(1)式より、接触力を求める。
接触力 = 接触面積×2×(接触力合計÷接触面数) ・・・(1)
そして、下記(2)式より、緩みトルクを求める。
緩みトルク = 接触力×仮想摩擦係数×カシメ半径 ・・・(2)
ここで、接触面数は、アーム3に接触しているベースプレート4の要素の面数、接触面積は、アーム3に接触しているベースプレート4の要素の面のどれだけの割合が実際にアーム3に接触しているかを示す量、接触力合計は、アーム3に接触しているベースプレート4の要素のすべての面の接触力の合計、カシメ半径はボス部の半径である。
接触面積:0.831
接触面数:204
接触力合計:12393
仮想摩擦係数:0.1
カシメ半径:1.14
接触力 = 100.97(N)
緩みトルク = 11.51(N・mm)
図11は、シミュレーション結果の一例を示す図である。
なお、接触圧力平均は、接触力合計を接触面数で割ったもの(接触力合計÷接触面数)である。
本発明における金属間の超音波接合のシミュレーション処理は、情報処理装置41によって実現することが可能である。本発明の処理のためのプログラムやデータは、情報処理装置41の記憶装置45から情報処理装置41のメモリにロードして実行することも、可搬型記憶媒体43から情報処理装置41のメモリにロードして実行することも、外部記憶装置42からネットワーク46を介して情報処理装置41のメモリにロードして実行することも可能である。
Claims (9)
- 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション方法において、
前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、
応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、
前記他方の金属に入り込んだ節点が存在する場合に、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する仮想摩擦係数記憶部を基に、その他方の金属に入り込んだ節点の数に対応する、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を取得する仮想摩擦係数取得ステップと、を備えることを特徴とする超音波接合シミュレーション方法。 - 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション方法において、
前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、
応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、
前記他方の金属に入り込んだ節点が含まれる要素の面において、その面内の他方の金属に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内の他方の金属に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値を算出する接触圧力平均値算出ステップ、を備えることを特徴とする超音波接合シミュレーション方法。 - 前記第1および前記第2の金属における、応力と歪みとの関係を記憶する物性データ記憶部を基に、前記応力算出部によって算出された応力値に対応する、前記第1および前記第2の金属の要素の変位を算出する変位算出ステップ、をさらに備え、
前記接合節点数算出ステップにおいて、算出された変位に基づいて、他方の金属に入り込んだ節点数を算出することを特徴とする請求項1または2記載の超音波接合シミュレーション方法。 - 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションをコンピュータに実行させる超音波接合シミュレーション・プログラムにおいて、
前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、
応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、
前記他方の金属に入り込んだ節点が存在する場合に、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する前記コンピュータの第1記憶部を基に、その他方の金属に入り込んだ節点の数に対応する、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を取得する仮想摩擦係数取得ステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする超音波接合シミュレーション・プログラム。 - 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションをコンピュータに実行させる超音波接合シミュレーション・プログラムにおいて、
前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、
応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、
前記他方の金属に入り込んだ節点が含まれる要素の面において、その面内の他方の金属に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内の他方の金属に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値を算出する接触圧力平均値算出ステップ、をさらに備えることを前記コンピュータに実行させることを特徴とする超音波接合シミュレーション・プログラム。 - 前記第1および前記第2の金属における、応力と歪みとの関係を記憶する前記コンピュータの第2記憶部を基に、前記応力算出部によって算出された応力値に対応する、前記第1および前記第2の金属の要素の変位を算出する変位算出ステップ、をさらに備え、
前記接合節点数算出ステップにおいて、算出された変位に基づいて、他方の金属に入り込んだ節点数を算出することを特徴とする請求項4または5記載の超音波接合シミュレーション・プログラム。 - 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション装置において、
金属に与える超音波の印加条件、および、前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数の初期値を記憶する解析条件データ記憶部と、
前記第1および前記第2の金属の形状を示すモデルデータ、および、そのモデル上に定義された要素に関するデータを記憶するモデルデータ記憶部と、
定義された要素のうちで、他方の金属と接触しそうな面を定義する情報を記憶する接触領域定義情報記憶部と、
高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、前記接触しそうな面に含まれる節点のうちで、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する仮想摩擦係数記憶部と、
前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出部と、
応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出部と、
前記他方の金属に入り込んだ節点が存在する場合に、前記仮想摩擦係数記憶部を基に、その他方の金属に入り込んだ節点の数に対応する、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を取得する仮想摩擦係数取得部と、を備えることを特徴とする超音波接合シミュレーション装置。 - 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション装置において、
金属に与える超音波の印加条件、および、前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数の初期値を記憶する解析条件データ記憶部と、
前記第1および前記第2の金属の形状を示すモデルデータ、および、そのモデル上に定義された要素に関するデータを記憶するモデルデータ記憶部と、
定義された要素のうちで、他方の金属と接触しそうな面を定義する情報を記憶する接触領域定義情報記憶部と、
高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、前記接触しそうな面に含まれる節点のうちで、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する仮想摩擦係数記憶部と、
前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出部と、
応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出部と、
前記他方の金属に入り込んだ節点が含まれる要素の面において、その面内の他方の金属に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内の他方の金属に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値を算出する接触圧力平均値算出部、を備えることを特徴とする超音波接合シミュレーション装置。 - 前記第1および前記第2の金属における、応力と歪みとの関係を記憶する物性データ記憶部と、
前記物性データ記憶部を基に、前記応力算出部によって算出された応力値に対応する、前記第1および前記第2の金属の要素の変位を算出する変位算出部と、をさらに備え、
前記接合節点数算出部は、算出された変位に基づいて、他方の金属に入り込んだ節点数を算出することを特徴とする請求項7または8記載の超音波接合シミュレーション装置。
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