JP6159551B2 - 部品の破断予測システム及び部品の破断予測プログラム - Google Patents

部品の破断予測システム及び部品の破断予測プログラム Download PDF

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本発明は、部品の破断予測システム及び部品の破断予測プログラムに関し、コンピュータによる構造解析技術の分野に属する。
従来、自動車車体等に用いられる、鍛造、圧延、プレス成形、射出成形などの成形加工によって製造される金属製または樹脂製部品の開発工程において、数値計算によって部品の剛性、強度、塑性変形または破断を予測して、最適な形状の設計が行われている。これらを予測するため、有限要素法(FEM)による強度解析が一般的に行われている。
この有限要素法による強度解析では、解析対象部品のCADデータに基づいて所定のメッシュサイズに分割された複数の要素からなる解析モデルを作成する。ここで、メッシュサイズが小さい方が、解析モデルが実際の形状に近づき、いわゆる離散化誤差が小さくなるため予測精度が高くなる一方で、要素数が増えるため解析時間が長くなり、部品の設計検討を行うのが困難になるという問題があった。
そのため、実際の部品開発工程では、特に、切欠き、円孔、隅角部等の応力集中し易い形状部分で離散化誤差が大きくなり予測精度が低くなるが、解析時間を短縮するためにメッシュサイズを大きくする方法が取られている。
もっとも、部品に破断が生じるか否かを正確に予測することは非常に重要であり、例えば、プレス成形する際に素材の板金に生じる破断、自動車が衝突した際に車体の部品に生じる破断等を生産性、安全性等の更なる向上のため、高精度に予測する技術が求められている。
なお、特許文献1には、強度解析シミュレーションに関する高度な知識を有さずとも、適正なシミュレーション結果を得るため、解析対象モデルに対して行われた強度解析シミュレーションの解析結果に関する解析データを取得する解析結果取得部と、解析対象モデルの所定部分に対して設定されている閾値に基づいて、この所定部分について解析結果取得部により取得された解析データが、所定部分における所定の変形状態を示すものであるか否かを判定する判定部を有することを特徴する解析データ判定装置が開示されている。
特開2007−109065号公報
そこで、本発明は、実用的な解析時間で高精度に部品の破断を予測することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る部品の破断予測システム及び部品の破断予測プログラムは、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
部品に外力や強制変位を加えて変形したときの破断を予測する破断予測システムであって、
前記部品のCADモデルに含まれる応力集中し易い形状部分である形状因子を検索し、前記CADモデルに基づいて所定のメッシュサイズで作成された解析モデル上の要素のうち前記形状因子に対応する要素を検索し、検索された各要素に設定される形状因子データを作成する形状因子データ作成手段と、
前記解析モデルの所定部位に外力や強制変位を加えて変形したときの前記解析モデル上の各要素内の全積分点についての有限要素解析データを前記変形の進行に応じて取得する解析データ取得手段と、
前記解析データ取得手段で取得した前記有限要素解析データに基づき、データ取得時点毎に、積分点毎の破断ダメージ値の増分を前記解析モデルのメッシュサイズと前記形状因子データに応じた補正係数を用いて算出する増分算出手段と、
該増分算出手段で算出された前記破断ダメージ値の増分を積分点毎に積算し、その積算値が破断を示す値に達した積分点があるときに、前記部品がその時点の変形量でその積分点を含む要素に対応する部位から破断すると判定する破断判定手段と、
を有することを特徴とする。
ここで、形状因子とは、切欠き、円孔、隅角部等の応力集中し易い形状部分を意味し、形状因子データとは、曲面や曲線の曲率、切欠き深さ、円孔径等、各要素での形状的な特徴を定量的に表したデータを意味するものとする。また、破断ダメージ値とは、解析モデルに外力や強制変位を加えて変形したときの各要素内の積分点における損傷度合を定量的に表した値でその値が閾値を超えると破断が発生することを意味するものである。なお、この破断ダメージ値は、一旦増加すると反対方向に強制変位させても減少しない保存量である。
また、本願の請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記形状因子データ作成手段は、前記CADモデル上の前記形状因子のうち曲率が所定値より大きいフィレット部を検索する
ことを特徴とする。
さらに、本願の請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、
フィレット部の曲率が異なる複数の試験片の解析モデルについて、メッシュサイズを異ならせてそれぞれ強制変位による破断解析を行い、前記試験片についての破断試験により検出された破断時の強制変位量、または、前記試験片の解析モデルのうちの離散化誤差をほとんど含まないほどメッシュサイズが十分に小さいモデルについての解析により得られた破断時の強制変位量を基準変位量とし、各メッシュサイズの前記試験片の解析モデルについて前記基準変位量だけ強制変位させたときの破断ダメージ値に基づいて前記補正係数を作成する補正係数作成手段を有する
ことを特徴とする。
さらに、本願の請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、
前記補正係数作成手段は、作成した前記補正係数をフィレット部の曲率とメッシュサイズ毎に補正係数テーブルに記録し、
前記増分算出手段は、各要素の破断ダメージの増分を算出するときに、前記補正係数テーブルから、メッシュサイズと、当該要素の歪の進行方向に基づいて変換されたフィレット部の曲率とをキーとして補正係数を読み出す
ことを特徴とする。
まず、本願の請求項5に記載の発明は、
部品に外力や強制変位を加えて変形したときの破断を予測する破断予測プログラムであって、
前記部品のCADモデルに含まれる応力集中し易い形状部分である形状因子を検索し、前記CADモデルに基づいて所定のメッシュサイズで作成された解析モデル上の要素のうち前記形状因子に対応する要素を検索し、検索された各要素に設定される所定の形状因子データを作成する形状因子データ作成ステップと、
前記解析モデルの所定部位に外力や強制変位を加えて変形したときの前記解析モデル上の各要素内の全積分点についての有限要素解析データを前記変形の進行に応じて取得する解析データ取得ステップと、
前記解析データ取得ステップで取得した前記有限要素解析データに基づき、データ取得時点毎に、積分点毎の破断ダメージ値の増分を前記解析モデルのメッシュサイズと前記形状因子データとに応じた補正係数を用いて算出する増分算出ステップと、
該増分算出ステップで算出された前記破断ダメージ値の増分を積分点毎に積算し、その積算値が破断を示す値に達した積分点があるときに、前記部品がその時点の変形量でその積分点を含む要素に対応する部位から破断すると判定する破断判定ステップと、
を有することを特徴とする。
また、本願の請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、
前記形状因子データ作成ステップは、前記CADモデル上の前記形状因子のうち曲率が所定値より大きいフィレット部を検索する
ことを特徴とする。
さらに、本願の請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の発明において、
フィレット部の曲率が異なる複数の試験片の解析モデルについて、メッシュサイズを異ならせてそれぞれ強制変位による破断解析を行い、前記試験片についての破断試験により検出された破断時の強制変位量、または、前記試験片の解析モデルのうちの離散化誤差をほとんど含まないほどメッシュサイズが十分に小さいモデルについての解析により得られた破断時の強制変位量を基準変位量とし、各メッシュサイズの前記試験片の解析モデルについて前記基準変位量だけ強制変位させたときの破断ダメージ値に基づいて前記補正係数を作成する補正係数作成ステップを有する
ことを特徴とする。
さらに、本願の請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の発明において、
前記補正係数作成ステップは、作成した前記補正係数をフィレット部の曲率とメッシュサイズ毎に補正係数テーブルに記録し、
前記増分算出ステップは、各要素の破断ダメージの増分を算出するときに、前記補正係数テーブルから、メッシュサイズと、当該要素の歪の進行方向に基づいて変換されたフィレット部の曲率とをキーとして補正係数を読み出す
ことを特徴とする。
以上の構成により、本願各請求項に係る発明によれば、次の効果が得られる。
請求項1に係る発明は、解析モデル上の要素のうち、メッシュサイズが大きいほど離散化誤差を多く含んでしまう破断ダメージ値の増分をメッシュサイズと形状因子に応じた補正係数により補正している。そのため、解析時間を実用的な長さに短縮するためにメッシュサイズを大きくしても、予測精度が極端に低くなることはない。したがって、当該発明によれば、実用的な解析時間で高精度に部品の破断を予測できる。
請求項2に係る発明によれば、形状因子データ作成手段はCADモデル上の形状因子のうち曲率が所定値より大きいフィレット部が検索され、曲率が小さい緩やかな曲面上や平面上の要素については曲率0として検索される。
請求項3に係る発明によれば、フィレット部の曲率が異なる複数の試験片の解析モデルについて、メッシュサイズを異ならせてそれぞれ強制変位による破断解析を行い、試験片についての破断試験により検出された破断時の強制変位量を基準変位量とし、各メッシュサイズの試験片の解析モデルについて基準変位量だけ強制変位させたときの破断ダメージ値に基づいて補正係数を作成する補正係数作成手段を有しており、当該補正係数は実際の試験片を用いた破断試験の結果に基づいて決定されているため、この補正係数によって破断ダメージ値の増分を補正することで破断予測精度を確保することができる。
また、基準変位量として、試験片についての破断試験により検出された破断時の強制変位量の替わりに、試験片の解析モデルのうちの離散化誤差をほとんど含まないほどメッシュサイズが十分に小さいモデルについての解析により得られた破断時の強制変位量を用いた場合、この試験片モデルの解析結果は有限要素法離散化誤差をほとんど含まないため、実際の試験片を用いた破断試験の結果とほぼ一致する。したがって、実際に試験片を用意して破断試験を行わなくとも同等の破断予測精度を確保できる。
請求項4に係る発明によれば、補正係数作成手段は、作成した補正係数をフィレット部の曲率とメッシュサイズ毎に補正係数テーブルに記録し、増分算出手段は、各要素内の積分点の破断ダメージの増分を算出するときに、補正係数テーブルから、メッシュサイズと、当該要素内の積分点の歪の進行方向に基づいて変換されたフィレット部の曲率とをキーとして補正係数を読み出すため、予め補正係数テーブルをデータベースとして記憶装置に記録しておいて、破断予測を行う際にこのデータベースから必要な補正係数を読み出すことが可能である。これによれば、破断予測を行う度に補正係数を作成する必要がないため、解析時間をさらに短縮することができる。
また、請求項5に係る発明によれば、請求項1に係るシステムの発明と同様の効果を得ることができる。
請求項6に係る発明によれば、請求項2に係るシステムの発明と同様の効果を得ることができる。
請求項7に係る発明によれば、請求項3に係るシステムの発明と同様の効果を得ることができる。
請求項8に係る発明によれば、請求項4に係るシステムの発明と同様の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態である破断予測システムの全体構成を示すブロック図である。 同システムの処理装置の構成を示すブロック図である。 同システムの記憶装置に記憶されているプログラム及びデータの説明図である。 同記憶装置に記憶された破断ダメージ補正係数データベースのデータベース構造を示す図である。 破断ダメージ補正係数データベースに格納された補正係数テーブルのデータ構造を示す図である。 同記憶装置に記憶された破断塑性ひずみ特性データベースのデータベース構造を示す図である。 破断塑性ひずみ特性データベースに格納された破断塑性ひずみ特性テーブルのデータ構造を示す図である。 同処理装置の破断予測処理部に入力されるFEM解析データに含まれる積分点データテーブルのデータ構造を示す図である。 FEM解析データに含まれる要素構成テーブルのデータ構造を示す図である。 FEM解析データに含まれる材料属性データテーブルのデータ構造を示す図である。 FEM解析データに含まれる節点座標テーブルのデータ構造を示す図である。 同記憶装置に記憶された形状因子データテーブルのデータ構造を示す図である。 図12の形状因子を持つ解析モデルの具体例を示す図である。 同システムの出力装置に出力表示された画面の例を示す図である。 同システムの補正係数作成部の動作を示すフローチャートである。 面内形状因子を持つ異なる曲率の3次元CADモデルを示す図である。 図16のCADモデルから作成した解析モデルを示す図である。 図17の解析モデル(R0.5)から作成した異なるメッシュサイズのメッシュモデルを示す図である。 図17の解析モデル(R1)から作成した異なるメッシュサイズのメッシュモデルを示す図である。 図17の解析モデル(R2)から作成した異なるメッシュサイズのメッシュモデルを示す図である。 図17の解析モデル(R5)から作成した異なるメッシュサイズのメッシュモデルを示す図である。 面外形状因子を持つ異なる曲率の3次元CADモデルを示す図である。 図22のCADモデルから作成した解析モデルを示す図である。 図23の解析モデルから作成した異なるメッシュサイズのメッシュモデルを示す図である。 面内形状因子の補正係数テーブルを3次元グラフに示した図ある。 同補正係数テーブルを2次元グラフに示した図である。 面外形状因子の補正係数テーブルを3次元グラフに示した図ある。 同補正係数テーブルを2次元グラフに示した図である。 同システムの形状因子データ作成部の動作を示すフローチャートである。 同フローチャートの面内形状因子データ作成サブルーチンの動作を示すフローチャートである。 同フローチャートの面外形状因子データ作成サブルーチンの動作を示すフローチャートである。 面内形状因子を有する3次元CADモデルの例を示す斜視図である。 同CADモデルから作成した解析モデルを示す斜視図である。 同CADモデルと同解析モデルを重ね合わせた斜視図である。 同CADモデルと同解析モデルを重ね合わせた側面図である。 同解析モデルから形状因子データを作成する要素を検索する方法を説明する斜視図である。 同要素へ設定された形状因子データを示す斜視図である。 面外形状因子を有する3次元CADモデルの例を示す斜視図である。 同CADモデルから作成した解析モデルを示す斜視図である。 同CADモデルと同解析モデルを重ね合わせた斜視図である。 同CADモデルと同解析モデルを重ね合わせた側面図である。 同解析モデルから形状因子に対応する要素を検索する方法を説明する斜視図である。 同要素へ設定された形状因子データを示す斜視図である。 応力3軸度と破断塑性ひずみ特性との関係を示す図である。 図システムの破断予測処理部の動作を示すフローチャートである。 同フローチャートの固有値、固有ベクトル算出サブルーチンの動作を示すフローチャートである。 同フローチャートの主軸1、2方向の曲率算出サブルーチンの動作を示すフローチャートである。 同フローチャートの破断塑性ひずみ算出サブルーチンの動作を示すフローチャートである。 同フローチャートの補正塑性ひずみ速度算出サブルーチンの動作を示すフローチャートである。 各積分要素に適用する補正係数の計算方法について説明する図である。 主塑性ひずみ速度について説明する図である。 最大主曲率の主方向ベクトル、主軸1、2方向ベクトル、要素座標系rとの関係を示す図である。 補正係数テーブルを用いた主軸1、2方向曲率からの補正係数の読み取りを説明する図である。 同システムの適用例である3次元CADモデルを示す斜視図である。 同CADモデルから作成した解析モデルを示す斜視図である。 同解析モデルにおいて形状因子に対応する要素を示す斜視図である。 同解析モデルの破断判定結果(1)を示す斜視図である。 同解析モデルの破断判定結果(2)を示す斜視図である。
以下、本発明に係る部品の破断予測システム及び破断予測プログラムの実施形態について説明する。
(1 破断予測システムの概要)
図1は、当該破断予測FEM解析システム1の中心となるコンピュータの構成を示す図である。このコンピュータ10は、CPU等の処理装置11と、メモリまたはハードディスク等の記憶装置12と、キーボード、マウスまたはCD−ROMドライブ等の入力装置13と、ディスプレイまたはプリンタ等の出力装置14とを有する。
(1−1 処理装置)
図2は、図1の処理装置11の構成を示す図である。この処理装置11は、主要なシステムであるFEM解析システム100と、該FEM解析システム100に機能を追加するためのサブシステムである破断予測システム200とから構成されている。また、これらシステム当該処理装置11は、一連の作業プロセスを結合したものであり、プリプロセス部300と、該プリプロセス部に続くプロセス部400と、該プロセス部に続くポストプロセス部500とから構成されている。
FEM解析システム100のプリプロセス部300には、入力装置13から入力された解析対象品のCADモデルMcのデータに基づいてFEM解析モデルMs(以下、単に「解析モデル」という)を作成するFEM解析モデル作成部110がある。また、当該FEM解析システム100のプロセス部400には、FEM解析モデル作成部110によって作成された解析モデルMsについて有限要素法による構造解析を行うFEM解析部120がある。さらに、当該FEM解析システム100のポストプロセス部500には、FEM解析部120から出力されたFEM解析結果データに基づいてFEM解析結果と共に、後述する破断予測処理部230によって予測された破断予測結果データに基づいた破断予測結果を出力装置14に表示するためのFEM解析結果表示部130がある。
破断予測システム200のプリプロセス部300には、後述する補正係数作成部210と形状因子データ作成部220がある。また、当該破断予測システム200のプロセス部400には、破断予測処理部230を有しており、この破断予測処理部230は、FEM解析システム100から時間ステップ毎にFEM解析データDT1を取得する解析データ取得部231と、破断ダメージ増分算出部232と、破断判定部233がある。
なお、当該破断予測システム200のポストプロセス部500に、破断予測処理部230によって予測された破断予測結果を表示する破断予測結果表示部(図示しない)を別途設け、FEM解析結果とは別に破断予測結果を表示してもよい。
(1−2 記憶装置)
記憶装置12は、主にプログラム記憶部12Aとデータ記憶部12Bとから構成されている。プログラム記憶部12Aに記憶されるプログラムには、FEM解析プログラム(ソルバー)PR1、1軸引張破断ダメージ補正係数作成プログラムPR2、形状因子データ作成プログラムPR3、破断予測処理プログラムPR4、FEM解析結果表示プログラムPR5が含まれる。
また、データ記憶部12Bに記憶されるデータには、1軸引張破断ダメージ補正係数データベースDB1(以下、単に「破断ダメージ補正係数データベースDB1」という)と、応力3軸度依存破断塑性ひずみ特性データベースDB2(以下、単に「破断塑性ひずみ特性データベースDB2」という)と、形状因子データDT2が含まれる。
なお、処理装置11に破断予測結果表示部を別途設ける場合には、破断予測結果表示部での処理を実行するための破断予測結果表示プログラム(図示しない)を記憶装置12に含めてもよい。
(1−2−1 破断ダメージ補正係数データベース)
次に、破断ダメージ補正係数データベースDB1について説明する。破断ダメージ補正係数データベースDB1は、後述の1軸引張破断ダメージ補正係数テーブル(以下、単に「補正係数テーブル」という。)が記載されたデータファイルを材料毎に備えている。図4に示すように、例えば、破断ダメージ補正係数データベースDB1の上位フォルダ「Polymer」は「ABS」、「AS」等の各種樹脂材料の下位フォルダで構成されており、例えば、下位フォルダ「ABS」はABSに関する補正係数テーブルが記載されたデータファイルを格納している。
補正係数テーブルは、各種メッシュサイズL及び曲率Kと、面内及び面外形状因子の1軸引張破断ダメージ補正係数との関係を示すデータテーブルであり、具体的には、図5に示すように、材料名、材料番号M1、M2…、メッシュサイズL、曲率K、面内及び面外形状因子の1軸引張破断ダメージ補正係数C(以下、単に「補正係数」という)から構成されている。一般に材料、メッシュサイズ及び曲率が決まれば、補正係数Cが一意に決まる。したがって、図5に示された補正係数テーブルによれば、例えば、材料がABSで、メッシュサイズLが0.05mm、曲率Kが1.0/mmの場合、面内及び面外形状因子の補正係数Cはそれぞれ1.08、1.10であるとわかる。
(1−2−2 破断塑性ひずみ特性データベース)
図6に示すように、破断塑性ひずみ特性データベースDB2は、後述の破断塑性ひずみ特性テーブルが記載されたデータファイルを材料毎に備えている。
破断塑性ひずみ特性テーブルは、各材料の応力3軸度と破断塑性ひずみとの関係を表すデータテーブルであり、具体的には、図7に示すように、材料名、材料番号M1、M2…、応力3軸度、破断塑性ひずみから構成されている。一般に材料が決まれば、応力3軸度に依存する破断塑性ひずみの特性が一意に決まる。したがって、図7に示された特性テーブルによれば、ABSについて応力3軸度から破断塑性ひずみを求めることができる。なお、応力3軸度は、変形モードを表す値であり、−2/3は2軸圧縮、−1/3は1軸圧縮、0は純せん断、1/3は1軸引張、2/3は2軸引張を表し、その値は連続的に変化する。
(1−2−3 FEM解析データ)
次に、FEM解析データDT1について説明する。FEM解析データDT1には、積分点データテーブル、要素構成テーブル、材料属性データテーブル、節点座標テーブルが含まれている。以下、図8〜図11を参照しながら各テーブルについて説明する。
図8に示すように、積分点データテーブルは、FEM解析の対象となる解析モデルMsを構成する各要素に含まれる積分点番号P1、P2…と、各積分点が含まれる要素番号E1、E2…と、各積分点の要素座標系での位置成分(X、Y、Z)と、応力成分(σXX、σXY、σXZ、σYX、σYY、σYZ、σZX、σZY、σZZ)と、塑性ひずみ速度成分(塑性ひずみ成分εPXX、εPXY、εPXZ、εPYX、εPYY、εPYZ、εPZX、εPZY、εPZZの時間微分)と、後述する補正破断ダメージの積算値FD´とから構成されている。
図9に示すように、要素構成テーブルは、要素番号E1、E2…、各要素の材料番号M…、面内積分点数及び面外積分点数、各要素に含まれる第1節点番号、第2節点番号、第3節点番号及び第4節点番号N…から構成されている。
図10に示すように、材料属性データテーブルは、材料番号M1、M2…、材料データ、応力3軸度依存破断塑性ひずみ特性テーブル番号、1軸引張破断ダメージ補正係数テーブル番号から構成されている。
図11に示すように、節点座標テーブルは、節点番号N1、N2…、各節点の全体座標系での位置成分(X、Y、Z)から構成されている。
(1−2−4 形状因子データテーブル)
図12に示すように、形状因子データテーブルDT2は、要素番号E1、E2…と、メッシュサイズと、各形状因子タイプ(面内、面外(表)、面外(裏))の最大主曲率、最小主曲率及び最大主曲率を与える主方向ベクトルと要素座標系のrベクトルの方向余弦αとから構成されている。ここで、図12の要素番号のE1はVノッチ等の面内形状因子を持つ要素、E2、E3はリブ面外形状因子を持つ要素(図13(a)(b)参照)、E4は面内形状因子と面外形状因子を持つ複合形状因子を持つ要素、E5は形状因子を持たない要素をそれぞれ例示している。
ここで、図13(a)に示すような逆T字状断面の3次元形状モデルの場合、該モデルの中立面であるシェルモデルにおけるリブ面の基端部にある要素E2は、その表側と裏側にそれぞれ面外形状因子がある。そのため、当該データテーブルDT2では、これら面外形状因子を形状因子タイプとして面外(表)、面外(裏)として区別して、各形状因子タイプについて最大主曲率等のデータを記憶する必要がある。これに対して、図13(b)に示すような逆T字状断面の3次元形状モデルのリブ面の基端部が結合する本体部側の要素E3は、その一方にしか面外形状因子がないため、この面外形状因子に関する情報を形状因子タイプが面外(表)に関するデータとして記憶し、形状因子タイプが面内及び面外(裏)に関するデータには全てゼロを設定している。
(1−3 入力装置)
入力装置13は、例えば3DCADモデルデータ、形状因子タイプ、材料データ等の部品の形状及び材料に関するデータ入力、メッシュサイズ等の各種条件の設定またはシステムの制御等に用いられる。
(1−4 出力装置)
出力装置14には、入力画面、処理結果等が出力される。例えば出力装置14がディスプレイの場合には、図14に示すように、画面左側には、FEM解析結果を示すシェルモデル上に破断位置を重ねて表示され、画面右側には、メッシュサイズ、形状因子タイプ、外力による強制変位等の解析条件と破断積分点を含む要素番号や位置、破断が発生した時間等の破断予測結果が表示される。
(2 破断予測FEM解析システムによる破断予測方法)
上述のように構成された破断予測FEM解析システム1による破断予測方法について説明する。
破断予測FEM解析システム1は、破断予測処理部230によって解析対象となる部品の破断予測の際に当該部品を構成する材料に関する補正係数テーブルを用いるため、破断予測を行うにあたって、この補正係数データベースDB1を予め記憶装置12に記憶させておくのが望ましい。そのため、事前に補正係数作成部210において1軸引張破断ダメージ補正係数作成プログラムPR2を実行し、各種材料に関する補正係数テーブルを以下の方法で作成する。
(2−1 補正係数テーブルの作成方法)
図15のフローチャートに従って、補正係数テーブルの作成方法を説明する。
まず、補正係数テーブルの作成を行う材料を複数の材料から1つ選択する(ステップS1)。
次に、ステップS1で選択した材料の破断塑性ひずみ特性テーブル(DB2)から1軸引張(応力3軸度1/3)の破断塑性ひずみを取得する(ステップS2)。
なお、この破断塑性ひずみは、形状因子を持たない試験片を用いてISO 527−2、JIS K7162等で規格化された1軸引張破断試験により計測されたもので離散化誤差を含んでいない。この1軸引張破断塑性ひずみを「離散化誤差を含まない1軸引張破断塑性ひずみ」という。
次に、当該システムを用いて破断予測を行う対象部品をシェル要素でモデル化した際に、切欠き(Vノッチ)、円孔等のシェルモデル面内に収まる形状因子(以下、「面内形状因子」という)があるときは、図16に示すような、面内形状因子の曲率のみが異なる複数の試験片Tを用意する(ステップS3)。なお、図16は、この面内形状因子である切欠きの底部のRサイズ(曲率の逆数)をR0.5〜R5.0の範囲で変えた場合を例示している。
また、破断予測を行う対象部品をシェル要素でモデル化した際に、隅角部(面の湾曲部、面同士の接合部等)等のシェルモデル面内に収まらない形状因子(以下、「面外形状因子」という)があるときは、図22に示すような、面外形状因子(隅部)の曲率のみが異なる複数の試験片Tを用意する(ステップS3)。なお、図22は、この面外形状因子である隅部のRサイズをR0.2〜R2.0の範囲で変えたものを例示している。
次に、ステップS3で用意した各曲率Kの形状因子を持つ試験片Tについて図16及び図22で示す矢印の方向に変形させる1軸引張破断試験を行う(ステップS4)。
ステップS4の1軸引張破断試験において、試験片Tが実際に破断した時の1軸引張破断変位量を計測して、この計測された1軸引張破断変位量を、後に用いる基準変位量として設定する(ステップS5)。
ここで、上述のステップでは、実物の試験片Tを用いて実際に1軸引張破断試験を行ったが、FEM解析モデル作成部110によって、この試験片Tの3DCADモデルに基づいてメッシュサイズが最小(例えば、0.05mm)の試験片モデルTを作成し、この試験片モデルTに基づいて1軸引張破断解析を行い、シミュレーション上で試験片モデルTが破断した時の1軸引張破断変位量を算出して、これを基準変位量として設定してもよい。なぜなら、メッシュサイズが小さければ、試験片モデルTの解析結果は、有限要素法離散化誤差をほとんど含まないため、実際の試験結果とほぼ一致するからである。
次に、FEM解析モデル作成部110によって、図17(面内)、図23(面外)に示すように、1軸引張破断試験で用いた各曲率Kの試験片Tの3次元CADモデルに基づいて各曲率Kの試験片モデルTを作成する。このとき、図18〜図21(面内)、図24(面外)に示すように、各曲率Kについて、異なるメッシュサイズLの試験片モデルTを作成する(ステップS6)。なお、図18〜図21(面内)、図24(面外)は、このメッシュサイズとして0.05〜2mmの範囲で変えたものを例示している。
次に、ステップS5で取得された基準変位量を補正係数作成部210を介してFEM解析部120に入力し、FEM解析部120によって、各曲率Kにおける各メッシュサイズLの試験片モデルTについて1軸引張破断解析を行う(ステップS7)。
次に、ステップS7の1軸引張破断解析によって、各試験片モデルTが基準変位量まで変位したときの最大塑性ひずみを算出する(ステップS8)。ここで算出された最大塑性ひずみを「離散化誤差を含む1軸引張破断塑性ひずみ」という。なお、図18〜21、図24には、参考として最大塑性ひずみ発生箇所が○で示されている。
次に、ステップS2で計測された離散化誤差を含まない1軸引張破断塑性ひずみとステップS8で算出された離散化誤差を含む1軸引張破断塑性ひずみに基づいて、次式(1)により1軸引張破断ダメージ補正係数(以下、単に「補正係数」という)を算出する(ステップS9)。
Figure 0006159551
なお、一般に離散化誤差を含まない1軸引張破断塑性ひずみの方が、離散化誤差を含むものよりも大きい値となるため、この補正係数は1より大きな値となる。また、メッシュサイズLが小さいほど離散化誤差が小さくなるため、この補正係数は1に近づく。
次に、ステップS7〜S9を当該曲率における全てのメッシュサイズLについて実行した後、メッシュサイズLを変更するループ処理を終了する(ステップS10)。
次に、ステップS4〜S10を全ての曲率Kについて実行した後、曲率Kを変更するループ処理を終了する(ステップS11)。
次に、ステップS2〜S11までを全ての材料について行って、材料を変更するループ処理を終了する(ステップS12)。
最後に、作成された補正係数Cに基づいて補正係数テーブルを材料毎に作成する(ステップS13)。
以上によれば、図5に示したような、面内形状因子及び面外形状因子の補正係数テーブルをそれぞれ作成できる。
なお、作成された補正係数テーブルは、図4に示すように、破断ダメージ補正係数データベースDB1として、記憶装置12にデータベース化されて記憶される。
図25は、上述の方法で作成された所定の材料の面内形状因子の補正係数テーブルに基づいて、面内形状因子の補正係数CIN、曲率K、メッシュサイズLの関係を3次元グラフに表したものである。
なお、補正係数テーブルの各曲率または各メッシュサイズの間にある曲率KまたはメッシュサイズL(例えば、曲率Kが0.5、メッシュサイズLが0.2)に対する補正係数CINは、線形補間または関数フィッティング等の公知のデータ補完方法によって算出できる。
また、図26は、同補正係数テーブルに基づいて、いくつかの所定のメッシュサイズLについて、面内形状因子の補正係数CINと曲率Kとの関係を2次元グラフに表したものである。
さらに、図27及び図28は、面外形状因子の補正係数テーブルに基づいて、図25及び図26と同様に、面外形状因子の補正係数COUT、曲率K、メッシュサイズLの関係を3次元及び2次元グラフにそれぞれ表したものである。
図26、図28から分かるように、面外形状因子の補正係数COUTは1より大きな値であって、形状因子の曲率Kが大きい(Rサイズが小さい)ほど補正係数COUTは大きくなる。また、同じ曲率Kであっても、メッシュサイズLが大きいほど補正係数COUTは大きくなり、メッシュサイズLが小さいほど補正係数COUTは1に近づく。
(2−2 形状因子データ作成部)
図29のフローチャートに従って、形状因子データ作成部220による形状因子データDT2の作成方法について、図32〜図43の示す面内及び面外形状因子を持つ部品の具体例を参照しながら説明する。
形状因子データ作成部220において、CADモデルMcと解析モデルMsとを重ね合わせる(ステップS21)。
ここで、面内形状因子を有する部品として、例えば、図32に示すような、入力装置13を介して入力された3次元形状のCADモデルMcと、図33に示すような、CADモデルMcに基づいて解析モデル作成部110によって作成されたシェルモデルである解析モデルMsとを重ね合わせると、図34、図35に示すようになる。
同様に、面外形状因子を有する部品として、例えば、図38に示すようなCADモデルMcと、図39に示すような解析モデルMsとを重ね合わせると、図40、図41に示すようになる。
次に、入力装置13を介して入力された形状因子タイプに関する情報に基づいて、形状因子データ作成部220は、解析モデルMsに形状因子があるか否かを判定する(ステップS22)。
ここで、ステップS22で形状因子がないと判定した場合、当該メインルーチンの処理を終了する。また、ステップS22で形状因子があると判定した場合、この形状因子として面内形状因子が含まれるか判定する(ステップS23)。
ステップS23で面内形状因子が含まれると判定した場合、後述する面内形状因子データ作成のサブルーチンを実行する(ステップS24)。
ステップS23で面内形状因子が含まれないと判定した場合、または、ステップS24で面内形状因子データ作成のサブルーチンを実行した後、解析モデルMsの形状因子として面外(表)形状因子が含まれるか判定する(ステップS25)。
ステップS25で面外(表)形状因子が含まれると判定した場合、後述する面外(表)形状因子データ作成のサブルーチンを実行する(ステップS26)。
ステップS25で面外(表)形状因子が含まれないと判定した場合、または、ステップS26で面外(表)形状因子データ作成のサブルーチンを実行した後、解析モデルMsの形状因子として面外(裏)形状因子が含まれるか判定する(ステップS27)。
ステップS27で面外(裏)形状因子が含まれると判定した場合、後述する面外(裏)形状因子データ作成のサブルーチンを実行する(ステップS28)。
ステップS27で面外(裏)形状因子が含まれないと判定した場合、または、ステップS28の実行後、形状因子データDT2が設定された要素Sを補正係数Cの適用箇所として設定し、形状因子がない要素の形状因子データは、最大主曲率、最小主曲率及び方向余弦にゼロを設定し、当該メインルーチンの処理を終了する(ステップS29)。
なお、形状因子データ作成部220によって作成された形状因子データDT2は記憶装置12に格納される。
(2−2−1 面内形状因子データ作成)
次に、図30のフローチャートに従って、面内形状因子データ作成のサブルーチンによる面内形状因子データの作成方法について説明する。
CADモデルMc上のフィレットFを検索する(ステップS31)。
次に、検索したフィレットFの面上に載る解析モデルMs上の節点Pfを検索する(ステップS32)。
次に、節点Pfを構成節点とする要素S、S´のうち、要素Sの中心AsからフィレットFの面上への垂点Bsが存在する要素Sを検索する(ステップS33)。
ここで、図36は、図34のフィレットFを拡大した拡大斜視図である。図36に示すように、フィレットFの面上に載る解析モデルMs上の節点Pfを構成節点とする要素S、S’が複数存在する。このうち、要素S(斜線部分)はその中心AsからフィレットFの面上への垂点Bsが存在する。一方、要素S’はその中心Asからの垂点BsはフィレットFの面上に存在しない。そのため、当該ステップS33によって、この要素S’は形状因子データを設定する要素から除外される。
次に、各要素Sに面内形状因子データを設定する(ステップS34)。
図37に示すように、各要素Sには形状因子データとして、最大主曲率及び最小主曲率と共に、フィレットFの面に沿うように最大主曲率ベクトルVmax(黒色矢印)と、該最大主曲率ベクトルVmaxと要素面内で直交する方向に向く最小主曲率ベクトルVmin(白色矢印)が設定される。
ここで、最大主曲率ベクトルVmaxは、最大主曲率Kmaxを与える主方向ベクトルと要素座標系のrベクトルの方向余弦αとして表すことができる。また、最小主曲率ベクトルVminは、要素面内で最大主曲率ベクトルVmaxに直交する方向である。したがって、形状因子データテーブルDT2には、設定された最大主曲率ベクトルVmax及び最小主曲率ベクトルVminに関する情報として、最大主曲率Kmaxを与える主方向ベクトルと要素座標系のrベクトルの方向余弦αが格納されていればよい。
(2−2−2 面外形状因子データ作成)
次に、図31のフローチャートに従って、面外形状因子データ作成のサブルーチンによる面外形状因子データの作成方法について説明する。
CADモデルMc上のフィレットFを検索する(ステップS41)。
次に、フィレットFに対応する解析モデルMs上の交点Csを検索する(ステップS42)。
ここで、図42(a)(b)は、図40のフィレットFの拡大斜視図である。図42(b)に示すように、フィレットFの面上の点CcからフィレットFに垂直な垂線を解析モデルMsに向けて下ろして、この垂線と解析モデルMsとの交点Csを検索する。
次に、交点Csを包含する要素Sを検索する(ステップS43)。
これによって、図42(c)に示すように、交点Csを包含する要素Sが検索される。
次に、各要素Sに面外形状因子データを設定する(ステップS44)。
ここで、図43に示すように、各要素Sには形状因子データとして、最大主曲率及び最小主曲率と共に、最大主曲率ベクトルVmax(黒色矢印)及び最小主曲率ベクトルVmin(白色矢印)が設定される。
以上の方法によれば、面内形状因子、面外形状因子または複合形状因子を有する任意の形状の部品に関する形状因子データDT2を作成できる。
(2−3 破断塑性ひずみ特性)
当該システムで用いる破断塑性ひずみ特性について説明する。
ある材料からなる平板試験片について2軸圧縮から1軸圧縮、純せん断、1軸引張、2軸引張までの間の変形モードで破断する試験を行い、各変形モードにおいて破断時の塑性ひずみεpを計測する。変形モードは応力3軸度STで表され、2軸圧縮は−2/3、1軸圧縮は−1/3、純せん断は0、1軸引張は1/3、2軸引張は2/3になり、その値は連続的に変化する。これにより、図7に示したような、各種材料の応力3軸度STと破断塑性ひずみεpとの関係を示すデータテーブルである破断塑性ひずみ特性テーブルDB2を得ることができる。
図44は、この破断塑性ひずみ特性テーブルDB2に基づいて、応力3軸度STと破断塑性ひずみεpとの関係を2次元グラフに示したものである。横軸に応力3軸度ST、縦軸に塑性ひずみεpをとって、破断塑性ひずみ特性テーブルDB2のデータをプロットし、線形補間によって補完する。様々な変形モードの破断試験を行うことにより、図44に示すように、破断塑性ひずみ特性を曲線形状で表すことができる。
この例の場合、破断塑性ひずみ特性は放物線状であるが、一般に破断塑性ひずみ特性は各材料に固有のものであるため、当該特性のグラフは材料毎に異なるものである。
(2−4 破断予測処理部)
破断予測処理部230によって破断予測を行うにあたって、入力装置13を介してFEM解析モデル作成部110にCADモデルMc、材料データ、解析条件等が入力され、入力されたCADモデルMc等に基づいてFEM解析モデル作成部110によって解析モデルMsが作成され、作成された解析モデルMsは、材料データ、解析条件と共にFEM解析部120に入力される。
以下、図45のフローチャートに従って、破断予測処理部230の処理方法について説明する。
時間ステップ数N=1として処理を開始する(ステップS51)。
次に、解析データ取得部231よって、解析モデルMsの時間ステップ数NにおけるFEM解析データDT1をFEM解析部120から取得して、この解析モデルMsを構成する全要素の中にある全積分点の時間ステップ数Nにおける応力テンソル、塑性ひずみ速度テンソルを破断ダメージ増分算出部232に入力する(ステップS52)。
ここで取得された塑性ひずみ速度テンソルは、次式(2)のように表される。
Figure 0006159551
次に、記憶装置12から形状因子データDT2を取得する(ステップS53)。
次に、解析モデルMsを構成する複数の要素から1要素を抽出する(ステップS54)。
次に、ステップS54で抽出された要素を構成する複数の積分点から1積分点を抽出する(ステップS55)。
次に、この抽出された積分点について破断済みではないか、後述する方法で計算された補正破断ダメージの積算値FD´が1以上であるか否かで判定する(ステップS56)。
ここで、ステップS56で当該積分点で破断済みであると判定されると、後述のステップS67へ移り、破断済みでないと判定されると、次のステップS57へ移る。
次に、後述するサブルーチンによって、ステップS52で取得した塑性ひずみ速度テンソルに基づいて、塑性ひずみ速度テンソルから固有値計算により求めた主塑性ひずみ速度テンソルのシェル要素面内の2つの固有値とそれらの固有ベクトルである主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルとを算出する(ステップS57)。
次に、後述するサブルーチンによって、ステップS57で算出された主塑性ひずみ速度テンソル及び主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルに基づいて、面内形状因子の主塑性ひずみ速度主軸1、2方向の曲率KIN,p1、KIN,p2を算出する(ステップS58)。
次に、後述するサブルーチンによって、ステップS57で算出された主塑性ひずみ速度テンソル及び主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルに基づいて、面外(表)形状因子の主塑性ひずみ速度主軸1、2方向の曲率KOUT−T,p1、KOUT−T,p2を算出する(ステップS59)。
次に、後述するサブルーチンによって、ステップS57で算出された主塑性ひずみ速度テンソル及び主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルに基づいて、面外(裏)形状因子の主塑性ひずみ速度主軸1、2方向の曲率KOUT−B,p1、KOUT−B,p2を算出する(ステップS60)。
次に、後述するサブルーチンによって、ステップS52で取得した応力テンソルに基づいて、現在の変形モードにおける破断塑性ひずみεpfailを算出する(ステップS61)。
次に、後述するサブルーチンによって、ステップS57で算出した主塑性ひずみ速度主軸1、2方向の曲率Kp1、Kp2に基づいて補正塑性ひずみ速度dεp´/ dtを算出する(ステップS62)。
次に、ステップS61で算出した破断塑性ひずみεpfailと、ステップS62で算出した補正塑性ひずみ速度dεp´/ dtに基づいて補正破断ダメージの増分dFD´を次式(3)により算出する(ステップS63)。
Figure 0006159551
次に、補正破断ダメージの増分を積算する(ステップS64)。時間ステップ数Nの時の補正破断ダメージの積算値FD´は次式(4)により算出する。
Figure 0006159551
次に、破断ダメージ増分算出部232によって算出された補正破断ダメージ増分が破断判定部233に入力され、次式(5)により、補正破断ダメージの積算値FD´が1以上になったか否かを判定する(ステップS65)。
Figure 0006159551
ここで、ステップS65で破断ダメージの積算値FD´が1以上になったと判定されると、当該積分点で破断すると判定して後述のステップS67へ移る(ステップS66)。なお、判定結果である破断の有無と破断する積分点に関する情報は、破断予測結果データとしてFEM解析結果表示部130へ出力され、出力装置16にFEM解析結果と共に破断予測結果が表示される。
また、ステップS65で破断ダメージの積算値FD´が1未満であると判定されると、当該要素の全積分点について破断ダメージの増分の積算が終了したか否かを判定し、終了していないと判定するとステップS55に戻る(ステップS67)。
ステップS67で当該要素の全積分点について破断ダメージの増分積算が終了したと判定されると、当該解析モデルの全要素が終了したか否かを判定し、終了していないと判定するとステップS54に戻る(ステップS68)。
ステップS68で当該解析モデルの全要素が終了したと判定されると、時間ステップ数NからN+1に変更する(ステップS69)。
次に、時間ステップ数NがNend(最終時間ステップ)になったか否かを判定し、Nendになっていないと判定されると、ステップS52に戻る(ステップS70)。
ステップS67でNendになったと判定されると、当該メインループの処理を終了する。
(2−4−1 固有値、固有ベクトル算出)
次に、図46のフローチャートに従って、固有値、固有ベクトル算出のサブルーチンの動作について説明する。
解析データ取得部231を介して当該積分点の時間ステップ数Nにおける塑性ひずみ速度テンソルを取得する(ステップS71)。
取得した塑性ひずみ速度テンソルに基づいて、該塑性ひずみ速度テンソルの固有値である主塑性ひずみ速度テンソルを算出する(ステップS72)。算出された主塑性ひずみ速度テンソルは次式(6)のように表される。
Figure 0006159551
また、取得した塑性ひずみ速度テンソルに基づいて、該塑性ひずみ速度テンソルの固有ベクトルである主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルを算出し、メインループに戻る(ステップS73)。
なお、上述の固有値と固有ベクトルは、周知の方法で算出できるため説明を省略する。
(2−4−2 主軸1、2方向の曲率算出)
次に、図47のフローチャートに従って、主塑性ひずみ速度主軸1、2方向の曲率算出のサブルーチンの動作について説明する。
上述のサブルーチン(ステップS73)で算出された主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルを取得する(ステップS81)。
メインループ(ステップS53)で既に取得された形状因子データDT2から最大主曲率の主方向ベクトルと要素座標系のrベクトルの方向余弦αを取得する(ステップS82)。
ステップS81で取得した主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルと、ステップS82で取得した方向余弦αに基づいて、主塑性ひずみ速度主軸1方向ベクトルと最大主曲率の主方向ベクトルの方向余弦θp1と、主塑性ひずみ速度主軸2方向ベクトルと最大主曲率の主方向ベクトルの方向余弦θp2とを算出する(ステップS83)。
ここで、上述の主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルは、図51に示すように、同じシェル要素面内にあり、この主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルと、上述の方向余弦α、方向余弦θp1、方向余弦θp2は、図52に示すような関係にあるため、主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルと方向余弦αから方向余弦θp1、θp2を幾何学的に算出することができる。なお、この具体的な算出方法については説明を省略する。
メインループ(ステップS53)で既に取得された形状因子データDT2から最大主曲率Kmaxと最小主曲率Kminを取得する(ステップS84)。
ステップS83で算出された主塑性ひずみ速度主軸1、2方向ベクトルと最大主曲率の主方向ベクトルの方向余弦θp1、θp2と、ステップS84で取得した最大、最小主曲率Kmaxminとに基づいて、主塑性ひずみ速度主軸1方向の曲率Kp1と主塑性ひずみ速度主軸2方向の曲率Kp2を次式(7)(8)によってそれぞれ算出し、メインループに戻る(ステップS85)。
Figure 0006159551
Figure 0006159551
以上により、主塑性ひずみ速度主軸1、2方向の曲率Kp1p2が算出された。
(2−4−3 破断塑性ひずみ算出)
次に、図48のフローチャートに従って、破断塑性ひずみ算出のサブルーチンの動作について説明する。
まず、メインループ(ステップS52)で既に取得されたFEM解析データDT1から応力テンソルを取得する(ステップS91)。
次に、取得された応力テンソルから現在の変形モードを示す応力3軸度STを計算する(ステップS92)。
ここで、応力3軸度STは、静水圧応力σmとVonMises相当応力σvmに基づいて次式(9)によって算出される。応力3軸度STは変形モードを表す値であり、−2/3は2軸圧縮、−1/3は1軸圧縮、0は純せん断、1/3は1軸引張、2/3は2軸引張を表し、その値は連続的に変化する。
Figure 0006159551
これら静水圧応力σm、VonMises相当応力σvmは、応力テンソルの成分σxx、σxzに基づいて、次式(10)(11)によりそれぞれ算出される。
Figure 0006159551
Figure 0006159551
最後に、応力3軸度依存破断塑性ひずみ特性データベースDB2の中の当該材料の破断塑性ひずみ特性テーブルを用いて、ステップS92で計算した応力3軸度STに基づいて、図44に示すように、現在の変形モードにおける破断塑性ひずみεpfailを読み取り(ステップS93)、メインルーチンに戻る。
以上により、破断塑性ひずみεpfailが算出された。
(2−4−4 補正塑性ひずみ速度算出)
次に、図49のフローチャートに従って、補正塑性ひずみ速度算出のサブルーチンの動作について説明する。
まず、前述のサブルーチン(ステップS72)で算出した主塑性ひずみ速度テンソルを取得する(ステップS101)。
次に、取得した主塑性ひずみ速度テンソルを、次式(12)のように、主軸1、2方向の1軸変形塑性ひずみ速度テンソルに分解する(ステップS102)。次式(12)の右辺第1項が主軸1方向の1軸変形塑性ひずみ速度テンソルを表し、右辺第2項が主軸2方向の1軸変形塑性ひずみ速度テンソルを表している。なお、νpは塑性ポアソン比を表している。
Figure 0006159551
前式から主軸1、2方向の1軸変形塑性ひずみ速度テンソルの塑性ひずみ速度は、次式(13)(14)でそれぞれ表される。
Figure 0006159551
Figure 0006159551
次に、前述のサブルーチン(ステップS58、S59、S60)で算出された主塑性ひずみ速度主軸1、2方向の面内、面外(表)、面外(裏)形状の曲率KIN,p1、IN,p2、OUT−T,p1、OUT−T,p2、OUT−B,p1、OUT−B,p2を取得する(ステップS103)。
次に、取得された曲率KIN,p1、IN,p2、OUT−T,p1、OUT−T,p2、OUT−B,p1、OUT−B,p2から補正係数テーブルを用いて、図53に示すように、対象となるメッシュサイズLの主軸1、2方向の面内、面外(表)、面外(裏)形状の補正係数CIN,p1、IN,p2、OUT−T,p1、OUT−T,p2、OUT−B,p1、OUT−B,p2をそれぞれ読み取る(ステップS104)。
なお、対象としているメッシュサイズの補正係数Cは、メッシュサイズLの比率により上下にあるメッシュサイズLの補正係数カーブを線形補間して求めることができる。
次に、読み取られた主軸1、2方向の面内、面外(表)、面外(裏)形状の補正係数CIN,p1、IN,p2、OUT−T,p1、OUT−T,p2、OUT−B,p1、OUT−B,p2から各積分点に適用する補正係数Cp1、Cp2をそれぞれ計算する(ステップS105)。
ここで、図50を参照しながら、上述の補正係数の計算方法について説明する。図50(a)、図50(b)は共に、シェル要素を横から見た図であり、表面から裏面までの板厚方向には複数の積分点が存在する。このとき、図50(b)に示すように、面外(表)形状では、表面上の積分点についてのみ補正係数同士を掛け合わせる。すなわち、表面上の積分点に適用する補正係数Cp1=CIN,p1×COUT−T,p1、Cp2=CIN,p2×COUT−T,p2により計算する。一方、面外(裏)形状では、裏面上の積分点についてのみ補正係数同士を掛け合わせる。すなわち、裏面上の積分点に適用する補正係数Cp1=CIN,p1×COUT−B,p1、Cp2=CIN,p2×COUT−B,p2により計算する。それ以外の積分点は、Cp1=CIN,p1、Cp2=CIN,p2により計算する。この計算方法によれば、各積分点に適用する補正係数Cp1、Cp2が求まる。
次に、読み取った補正係数Cp1、Cp2に基づいて、式(12)の主軸1、2方向の1軸変形塑性ひずみ速度テンソルを次式(15)のようにそれぞれ補正する(ステップS106)。なお、次式(15)の左辺は、主塑性ひずみ速度テンソルが補正係数Cp1、Cp2によって補正された補正主塑性ひずみ速度テンソルを表している。
Figure 0006159551
最後に、主軸1、2方向の補正主塑性ひずみ速度テンソルを合成して、補正塑性ひずみ速度dεp´/ dtを算出し(ステップS107)、メインルーチンに戻る。
ここで、補正塑性ひずみ速度dεp´/ dtの算出方法について詳細に述べる。前式の右辺の第1、2項を合成すると次式(16)のようになる。
Figure 0006159551
また、補正塑性ひずみ速度dεp´/ dtは次式(17)により求まる。
Figure 0006159551
式(16)、(17)から、補正塑性ひずみ速度dεp´/ dtは次式(18)で表される。
Figure 0006159551
以上により、補正塑性ひずみ速度dεp´/ dtが算出された。
(3 適用例)
図54〜図58を参照しながら、当該破断予測システムを具体的な部品に適用した場合について説明する。
図54に示すような3DCADモデルMcを入力装置13によって入力する。当該3DCADモデルMcは、全体として逆T字状の断面形状をしており、面内形状因子としてその上端に切欠き部を有すると共に、面外形状因子として下部中央に左右対称の隅角部を有する複合形状因子タイプのモデルである。
入力された3DCADモデルMcに基づいて、FEM解析モデル作成部110によって所定のメッシュサイズで分割した解析モデルMsを作成すると、図55に示すようなシェルモデルとなる。
3DCADモデルMcにおける上述の形状因子に対応する解析モデルMs上の要素Sを検索すると、図56に示すように、上述の切欠き部及び隅角部と、上端の左右フィレット部が要素Sとして選ばれる。
解析モデルMsの縦壁部全面に加えた外力F(図57の矢印部)によって、隅角部にある積分点が破断すると判定され、出力装置14には、図57に示すようにFEM解析結果の表示画面に重ねて、その積分点の位置が破断予測結果として表示される。
解析モデルMsの左右両上端部にそれぞれ+Y方向および−Y方向に加えた外力F(図58の矢印部)によって、切欠き部中央にある積分点が破断すると判定され、出力装置14には、図58に示すようにFEM解析結果の表示画面に重ねて、その積分点を含む要素番号や位置、破断が発生した時間が破断予測結果として表示される。
以上の部品の破断予測システム及び部品の破断予測プログラムによれば、実用的な解析時間で高精度に部品の破断を予測できる。
なお、本発明は例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
以上のように、本発明によれば、実用的な解析時間で高精度に部品の破断を予測できるので、車両等の部品の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
200 破断予測システム
210 補正係数作成部(補正係数作成手段)
220 形状因子データ作成部(形状因子データ作成手段)
231 解析データ取得部(解析データ取得手段)
232 破断ダメージ増分算出部(増分算出手段)
233 破断判定部(破断判定手段)

Claims (4)

  1. 部品に外力や強制変位を加えて変形したときの破断を予測する破断予測システムであって、
    前記部品のCADモデルに含まれる応力集中し易い形状部分である形状因子を検索し、前記CADモデルに基づいて所定のメッシュサイズで作成された解析モデル上の要素のうち前記形状因子に対応する要素を検索し、検索された各要素に設定される形状因子データを作成し、前記CADモデル上の前記形状因子のうち曲率が所定値より大きいフィレット部を検索する形状因子データ作成手段と、
    前記解析モデルの所定部位に外力や強制変位を加えて変形したときの前記解析モデル上の各要素内の全積分点についての有限要素解析データを前記変形の進行に応じて取得する解析データ取得手段と、
    前記解析データ取得手段で取得した前記有限要素解析データに基づき、データ取得時点毎に、積分点毎の破断ダメージ値の増分を前記解析モデルのメッシュサイズと前記形状因子データに応じた補正係数を用いて算出する増分算出手段と、
    該増分算出手段で算出された前記破断ダメージ値の増分を積分点毎に積算し、その積算値が破断を示す値に達した積分点があるときに、前記部品がその時点の変形量でその積分点を含む要素に対応する部位から破断すると判定する破断判定手段と、
    フィレット部の曲率が異なる複数の試験片の解析モデルについて、メッシュサイズを異ならせてそれぞれ強制変位による破断解析を行い、前記試験片についての破断試験により検出された破断時の強制変位量、または、前記試験片の解析モデルのうちの離散化誤差をほとんど含まないほどメッシュサイズが十分に小さいモデルについての解析により得られた破断時の強制変位量を基準変位量とし、各メッシュサイズの前記試験片の解析モデルについて前記基準変位量だけ強制変位させたときの破断ダメージ値に基づいて前記補正係数を作成する補正係数作成手段と、
    を有することを特徴とする破断予測システム。
  2. 前記補正係数作成手段は、作成した前記補正係数をフィレット部の曲率とメッシュサイズ毎に補正係数テーブルに記録し、
    前記増分算出手段は、各要素の破断ダメージの増分を算出するときに、前記補正係数テーブルから、メッシュサイズと、当該要素の歪の進行方向に基づいて変換されたフィレット部の曲率とをキーとして補正係数を読み出す
    ことを特徴とする請求項に記載の破断予測システム。
  3. 部品に外力や強制変位を加えて変形したときの破断を予測する破断予測プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記部品のCADモデルに含まれる応力集中し易い形状部分である形状因子を検索し、前記CADモデルに基づいて所定のメッシュサイズで作成された解析モデル上の要素のうち前記形状因子に対応する要素を検索し、検索された各要素に設定される所定の形状因子データを作成し、前記CADモデル上の前記形状因子のうち曲率が所定値より大きいフィレット部を検索する形状因子データ作成手段と、
    前記解析モデルの所定部位に外力や強制変位を加えて変形したときの前記解析モデル上の各要素内の全積分点についての有限要素解析データを前記変形の進行に応じて取得する解析データ取得手段と、
    前記解析データ取得手段で取得した前記有限要素解析データに基づき、データ取得時点毎に、積分点毎の破断ダメージ値の増分を前記解析モデルのメッシュサイズと前記形状因子データとに応じた補正係数を用いて算出する増分算出手段と、
    該増分算出手段で算出された前記破断ダメージ値の増分を積分点毎に積算し、その積算値が破断を示す値に達した積分点があるときに、前記部品がその時点の変形量でその積分点を含む要素に対応する部位から破断すると判定する破断判定手段と、
    フィレット部の曲率が異なる複数の試験片の解析モデルについて、メッシュサイズを異ならせてそれぞれ強制変位による破断解析を行い、前記試験片についての破断試験により検出された破断時の強制変位量、または、前記試験片の解析モデルのうちの離散化誤差をほとんど含まないほどメッシュサイズが十分に小さいモデルについての解析により得られた破断時の強制変位量を基準変位量とし、各メッシュサイズの前記試験片の解析モデルについて前記基準変位量だけ強制変位させたときの破断ダメージ値に基づいて前記補正係数を作成する補正係数作成手段と、
    して機能させることを特徴とする破断予測プログラム。
  4. 前記補正係数作成手段は、作成した前記補正係数をフィレット部の曲率とメッシュサイズ毎に補正係数テーブルに記録し、
    前記増分算出手段は、各要素の破断ダメージの増分を算出するときに、前記補正係数テーブルから、メッシュサイズと、当該要素の歪の進行方向に基づいて変換されたフィレット部の曲率とをキーとして補正係数を読み出す
    ことを特徴とする請求項に記載の破断予測プログラム。
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