JPWO2008111186A1 - 光検出回路、光伝送装置および光検出方法 - Google Patents

光検出回路、光伝送装置および光検出方法 Download PDF

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Abstract

光検出回路60は、入力された光の光レベルに応じた電圧を発生させるPD受信部610と、PD受信部610によって生成された電圧を増幅させるHighレンジ増幅部631と、PD受信部610によって生成された電圧をさらに高い増幅率で増幅させるLowレンジ増幅部632と、Highレンジ増幅部631およびLowレンジ増幅部632の出力電圧の電圧レベルをデジタル値化するAD変換部640と、AD変換部640の変換結果を閾値と比較して、Highレンジ増幅部631の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値と、Lowレンジ増幅部632の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値のいずれを出力するかを選択する選択部651と、選択部651の選択結果に応じた補正値を補正テーブル655bから取得し、選択部651によって選択された値に加算する出力補正部653とを備える。

Description

この発明は、入力された光の光レベルを検出して出力する光検出回路および光検出方法と、その光検出回路を有する光伝送装置に関し、特に、高精度かつ低コストで光レベルを検出することができる光検出回路、光伝送装置および光検出方法に関する。
近年、光ネットワークにおいて光信号を伝送するための伝送装置としてWDM(Wavelength Division Multiplexing)伝送装置が広く利用されるようになりつつある。WDM伝送装置は、複数の波長の光信号を波長分割多重することにより、回線あたりの通信容量を増大させることができる装置である。
WDM伝送装置には、長距離通信を可能にするために光増幅器を備えているものがある。このような光増幅器を備えたWDM伝送装置においては、光増幅器から出力される光信号の光レベルを一定に保つため、自動利得制御(AGC:Auto Gain Control)がおこなわれる。
光増幅器の自動利得制御は、電気回路によって実現される。すなわち、光増幅器の出力の光レベルは、フォトダイオード(以下、「PD」という)を備える受光部によって電圧レベルへ変換され、電気回路が、この電圧レベルを基準値と比較し、その比較結果に基づいて光増幅器の増幅量を補正する。
安定した長距離通信を実現するには、この自動利得制御の精度を向上させることが非常に重要となるが、ここで、フォトダイオードの出力の指数関数特性が問題となる。フォトダイオードの出力は、光入力レベルが小さくなるほど小さくなり、分解能が低くなるため、制御誤差が大きくなり易い。この問題を解決するため、フォトダイオードの出力を、ログアンプを用いて増幅する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−249895号公報
しかしながら、ログアンプは、増幅器として使用される一般的なオペアンプと比較して大型かつ高価であり、回路の大規模化とコストの増大を招くという問題がある。特に、特許文献1において開示されている技術では、ログアンプの出力特性を改善するため、2つのログアンプを組み合わせて使用する必要があり、回路規模とコストへの影響が大きくなっている。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、高精度かつ低コストで光レベルを検出することができる光検出回路、光伝送装置および光検出方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一つの態様では、入力された光の光レベルを検出して出力する光検出回路であって、入力された光の光レベルに応じた電圧を発生させる受光手段と、前記受光手段によって生成された電圧を増幅させる第1の増幅手段と、前記受光手段によって生成された電圧を前記第1の増幅手段よりも高い増幅率で増幅させる第2の増幅手段と、前記第1の増幅手段および第2の増幅手段の出力電圧の電圧レベルをデジタル値化するAD変換手段と、前記AD変換手段の変換結果を閾値と比較して、前記第1の増幅手段の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値と、前記第2の増幅手段の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値のいずれを出力するかを選択する選択手段と、前記選択手段の選択結果に応じた補正値を記憶手段から取得し、前記選択手段によって選択された値に加算する出力補正手段とを備えたことを特徴とする。
この発明の態様によれば、受光手段によって生成された電圧を増幅するための増幅手段として、増幅率の異なる2つの増幅手段を設け、閾値判定によって適切な増幅手段の出力を選択するように構成したので、十分なダイナミックレンジを確保しつつ高精度に光レベルの検出をおこなうことができる。
この発明の態様によれば、受光手段によって生成された電圧を増幅するための増幅手段として、増幅率の異なる2つの増幅手段を設け、閾値判定によって適切な増幅手段の出力を選択するように構成したので、十分なダイナミックレンジを確保しつつ高精度に光レベルの検出をおこなうことができる。
また、この態様では、増幅結果をデジタル値化した値を、予め記憶された補正値を用いて補正するように構成したので、増幅手段として安価なオペアンプを用いても、オペアンプの出力がもつ指数関数特性を簡単な構成で補正することができ、高精度かつ低コストで光レベルの検出をおこなうことができる。
また、本発明の他の態様では、上記の発明の態様において、予め記憶手段に記憶された変換テーブルに基づいて、前記選択手段によって選択された値を対数LOG変換する対数LOG変換手段をさらに備えたことを特徴とする。
この発明の態様によれば、増幅手段の出力がもつ指数関数特性を補正するための変数テーブルを設け、このテーブルを用いて指数関数特性の補正をおこなうこととしたので、指数関数特性の補正のための補正量と、その他の要因のための補正量を独立させて管理し、設計変更時の修正量を最小限に抑えることができる。
また、本発明の他の態様では、上記の発明の態様において、前記受光手段は、駆動抵抗として固定抵抗が用いられることを特徴とする。
この発明の態様によれば、受光手段の駆動抵抗として可変抵抗ではなく、固定抵抗を用いることとしたので、可変抵抗の偏差に起因する精度の低化を回避することができる。
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
本発明の一つの態様によれば、受光手段によって生成された電圧を増幅するための増幅手段として、増幅率の異なる2つの増幅手段を設け、閾値判定によって適切な増幅手段の出力を選択するように構成したので、十分なダイナミックレンジを確保しつつ高精度に光レベルの検出をおこなうことができるという効果を奏する。
また、本発明の一つの態様によれば、増幅結果をデジタル値化した値を、予め記憶された補正値を用いて補正するように構成したので、増幅手段として安価なオペアンプを用いても、オペアンプの出力がもつ指数関数特性を簡単な構成で補正することができ、高精度かつ低コストで光レベルの検出をおこなうことができるという効果を奏する。
また、本発明の一つの態様によれば、増幅手段の出力がもつ指数関数特性を補正するための変数テーブルを設け、このテーブルを用いて指数関数特性の補正をおこなうこととしたので、指数関数特性の補正のための補正量と、その他の要因のための補正量を独立させて管理し、設計変更時の修正量を最小限に抑えることができるという効果を奏する。
また、本発明の一つの態様によれば、受光手段の駆動抵抗として可変抵抗ではなく、固定抵抗を用いることとしたので、可変抵抗の偏差に起因する精度の低化を回避することができるという効果を奏する。
図1は、WDM伝送装置の構成を示すブロック図である。 図2は、本実施例に係る光検出回路の構成を示すブロック図である。 図3は、PD受信部と電気レベル安定部の構成を示す図である。 図4は、Lowレンジ増幅部の増幅率を5倍とした場合の分解能を説明するための図である。 図5は、Lowレンジ増幅部の増幅率を20倍とした場合の分解能を説明するための図である。 図6は、Lowレンジ増幅部の増幅率を100倍とした場合の分解能を説明するための図である。 図7は、変換テーブルの一例を図7に示す図である。 図8は、6つのPDを備える光検出回路の構成を示すブロック図である。 図9は、従来の光検出回路の構成を示すブロック図である。 図10は、PD受信部の構成を示す図である。 図11は、従来の他の光検出回路の構成を示すブロック図である。
符号の説明
10、20 WDM伝送装置
30a〜30n、40a〜40n 伝送装置
50、51、60、70 光検出回路
110 光MUX
120 WDM送信部
121 光増幅器
122 波長フィルタ
130 制御部
131 光検出回路
132 光レベル比較部
133 光入力設定テーブル
134 光MUX制御部
210 WDM受信部
211 光増幅器
212 波長フィルタ
220 光DMUX
230 制御部
231 光検出回路
232 光レベル比較部
233 光DMUX設定テーブル
510 PD受信部
511 PD
512 可変抵抗
520 電気レベル安定部
530 ログアンプ部
540 AD変換部
550 増幅部
560 対数LOG演算部
610 PD受信部
611 PD
612 固定抵抗
620 電気レベル安定部
621 オペアンプ
622 固定抵抗
631 Highレンジ増幅部
632 Lowレンジ増幅部
640 AD変換部
650 デジタル処理部
651 選択部
652 対数LOG変換部
653 出力補正部
654 ROM
654a 判定閾値
655 不揮発メモリ
655a 変換テーブル
655b 補正テーブル
710 PD受信部
711〜716 PD
720 電気レベル安定部
721〜726 オペアンプ
727a、727b ポート選択部
731a、731b Highレンジ増幅部
732a、732b Lowレンジ増幅部
740 AD変換部
750 デジタル処理部
751 リードレジスタ
752 選択部
753 対数LOG変換部
754 出力補正部
755 ROM
755a 判定閾値
756 不揮発メモリ
756a 変換テーブル
756b 補正テーブル
757 ポート選択制御部
758 AD変換制御部
以下に添付図面を参照して、本発明に係る光検出回路、光伝送装置および光検出方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、WDM伝送装置の構成について説明する。図1は、WDM伝送装置の構成を示すブロック図である。なお、説明を簡単にするため、同図においては、WDM伝送装置10は、光信号の送信のための構成のみを有し、WDM伝送装置20は、光信号の受信のための構成のみを有するものとして説明するが、これらの構成を併せもたせることにより、光信号の送信と受信のいずれも可能なWDM装置を実現することができる。
同図に示すように、WDM伝送装置10は、光MUX110と、WDM送信部120と、制御部130とを有する。光MUX110は、伝送装置30a〜30nから送信された光信号を波長分割多重する処理部である。伝送装置30a〜30nは、例えば、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)伝送装置等であり、それぞれ、λ1〜λnという波長の異なる光信号をWDM伝送装置10へ送信する。
WDM送信部120は、光MUX110によって多重された光信号を対向装置(この例では、WDM伝送装置20)へ送信する処理部であり、光増幅器121と、波長フィルタ122とを有する。光増幅器121は、伝送経路での減衰に備えて光信号を増幅するための増幅器であり、光信号を電気信号へ変換することなく、光信号のまま増幅する。光増幅器121によって増幅された光信号は、対向装置へ送信されるとともに、自動利得制御のために、分岐されて、波長フィルタ122へ入力される。波長フィルタ122は、入力された光信号に含まれる各波長を分離させるフィルタである。
制御部130は、自動利得制御を実行する制御部であり、光検出回路131と、光レベル比較部132と、光入力設定テーブル133と、光MUX制御部134とを有する。光検出回路131は、波長フィルタ122によって分離された各波長の光信号の光レベルを検出する回路である。
光レベル比較部132は、光検出回路131において検出された光レベルと、光入力設定テーブル133に設定されている値と比較し、その差分量を光MUX制御部134へ通知する処理部であり、光MUX制御部134は、通知された差分量に従って、光MUX制御部134の出力を制御する制御部である。
WDM伝送装置20は、WDM受信部210と、光DMUX220と、制御部230とを有する。WDM受信部210は、対向装置(この例では、WDM伝送装置10)から送信された光信号を受信する処理部であり、光増幅器211と、波長フィルタ212とを有する。
光増幅器211は、伝送経路において減衰した光信号を増幅するための増幅器であり、光信号を電気信号へ変換することなく、光信号のまま増幅する。光増幅器211によって増幅された光信号は、光DMUX220へ出力されるとともに、自動利得制御のために、分岐されて、波長フィルタ212へ入力される。波長フィルタ212は、入力された光信号に含まれる各波長を分離させるフィルタである。
光DMUX220は、波長分割多重されている光信号を分離して、多重化前の各波長の光信号を取り出し、取り出された各光信号を伝送装置40a〜40nへ送信する処理部である。伝送装置40a〜40nは、例えば、SDH伝送装置であり、それぞれ、λ1〜λnという波長の異なる光信号をWDM伝送装置20から受信する。
制御部230は、自動利得制御を実行する制御部であり、光検出回路231と、光レベル比較部232と、光DMUX設定テーブル233とを有する。光検出回路231は、波長フィルタ212によって分離された各波長の光信号の光レベルを検出する回路である。光レベル比較部232は、光検出回路231において検出された光レベルと、光DMUX設定テーブル233に設定されている値と比較し、その差分量に従って、光増幅器211を制御する制御部である。
このように、WDM伝送装置においては、光信号の送信側の処理においても、受信側の処理においても光増幅器の出力光レベルの自動利得制御がおこなわれ、光増幅器の出力光レベルを検出するために光検出回路が用いられる。
次に、従来の光検出回路の構成について説明する。図9は、従来の光検出回路50の構成を示すブロック図である。光検出回路50は、図1に示した光検出回路131や光検出回路231に相当する回路であり、PD受信部510と、電気レベル安定部520と、ログアンプ部530と、AD変換部540とを有する。
PD受信部510は、入力された光信号の光レベルを電圧レベルに変換する処理部であり、図10に示すように、PD511と、可変抵抗512とを有する。PD511は、電圧(Vcc)を与えた状態(Vcc)で光を受信すると電流(I)を発生させ、PD511の駆動抵抗である可変抵抗512は、生成された電流に応じた大きさの電圧(Vout)を発生させる。
PD511は、入力光レベル(単位:dB/dBm)を電力(単位:W)に変換する特性をもち、単位電力当たりで発生する電流を受光感度(単位:mA/W)という。PD受信部510の出力電圧(Vout)は、下記の式(1)で算出される。
Figure 2008111186
Poptは、PD受光レベルに対する電力変換値であり、ηは、PD受光感度であり、RVは、PD駆動抵抗値である。それぞれのパラメータの一般的な単位を示すと、
Vout:mV
Popt:mW
η:mA/mW
RV:Ω
である。
PD511は、ダイオード基本特性である指数関数特性をもち、PD受信部510の出力電圧(Vout)は、光入力レベルが小さくなるほど小さくなる。また、PD511の受光感度は、PD素子そのものの特性に依存する。具体的には、0.01〜0.07mA/mWと感度範囲が広いPD素子もあれば、0.02〜0.04mA/mWと感度範囲が狭いPD素子も存在する。可変抵抗512は、PD511の受光感度に応じて、後段の処理部に適した大きさの電圧が生成されるように抵抗値を設定される。
PD受信部510の出力(Vout)は、電気レベル安定部520によって安定化され、光レベル比較部132等での比較処理に適した信号とするために、ログアンプ部530によって指数関数特性を補正される。そして、AD変換部540によって、電圧レベルの大きさを示すデジタル信号へ変換されて出力される。
このように、従来の光検出回路50においては、可変抵抗512によってPD511の受信感度のバラツキが補正され、ログアンプ部530によってPD受信部510の出力の指数関数特性が補正される。しかしながら、一般的に知られているように、可変抵抗512の精度は、約±20%程度が最小偏差であり、この分だけ光検出回路50の出力の精度は損なわれている。また、ログアンプ部530に用いられるログアンプは、大型かつ高価な部品であり、光検出回路50のコストを増大させる。
図11は、従来の他の光検出回路51の構成を示すブロック図である。光検出回路51は、図1に示した光検出回路131や光検出回路231に相当する回路であり、PD受信部510と、電気レベル安定部520と、増幅部550と、AD変換部540と、対数LOG演算部560とを有する。
光検出回路51は、ログアンプ部530の代わりに、通常のオペアンプを用いて電圧の増幅をおこなう増幅部550を備え、PD受信部510の出力の指数関数特性を、AD変換部540の後段に設けた対数LOG演算部560においてデジタル演算処理によっておこなう点において光検出回路50と異なっている。
しかしながら、この構成においても、PD511の受信感度のバラツキを補正するための可変抵抗512がPD受信部510に設けられていることに起因する出力の精度の低化の問題は解決しておらず、また、対数LOG演算部560も大きな回路となるため、回路規模とコストの問題は解決されない。
次に、本実施例に係る光検出回路60の構成について説明する。図2は、本実施例に係る光検出回路60の構成を示すブロック図である。光検出回路60は、図1に示した光検出回路131や光検出回路231に相当する回路であり、PD受信部610と、電気レベル安定部620と、Highレンジ増幅部631と、Lowレンジ増幅部632と、AD変換部640と、デジタル処理部650とを有する。
PD受信部610は、入力された光信号の光レベルを電圧レベルに変換する処理部であり、図3に示すように、PD611と、固定抵抗612とを有する。このように、PD受信部610は、PD611から、後段の処理部に適した大きさの電圧が生成するための抵抗として可変抵抗ではなく、固定抵抗を用いる。これにより、可変抵抗に起因する光検出回路60の出力精度の問題は解決される。
電気レベル安定部620は、PD受信部610の出力を安定化させる処理部であり、図3に示すように、オペアンプ621と、固定抵抗622とを有する。
ここで、固定抵抗612の選択について説明しておく。PD受信部610の出力電圧は、後段の処理部に適した大きさでなくてはならない。具体的には、PD受信部610の出力電圧は、まず、十分な利得を得るため、電気レベル安定部620のオペアンプ621の入力オフセット電圧よりも高いことが必要である。
また、PD受信部610の出力電圧は、Highレンジ増幅部631による増幅後の電圧が、AD変換部640のフルスケール(測定可能範囲の上限)以下であることが必要である。Highレンジ増幅部631による増幅後の電圧が、AD変換部640のフルスケールを超えると、入力された光信号の光レベルを測定できなくなってしまうためである。
Highレンジ増幅部631およびLowレンジ増幅部632は、電気レベル安定部620の出力電圧を増幅する処理部である。Highレンジ増幅部631とLowレンジ増幅部632は、異なる増幅率をもつ。具体的には、Highレンジ増幅部631は、電気レベル安定部620から出力される最大電圧が、AD変換部640のフルスケールに丁度収まるような増幅率をもち、ダイナミックレンジを向上させる。
一方、Lowレンジ増幅部632は、電気レベル安定部620から出力される低い電圧に十分な分解能をもたせることができるだけの増幅率をもつ。既に説明したように、PD受信部610の出力電圧は、指数関数的特性をもつため、入力される光信号の光レベルが小さくなるにしたがって、PD受信部610の出力電圧も小さくなり、分解能も低くなる。そこで、Lowレンジ増幅部632は、Highレンジ増幅部631よりも高い増幅率をもち、PD受信部610の出力電圧を大きく増幅して、低出力時の分解能を向上させる。
Highレンジ増幅部631およびLowレンジ増幅部632の増幅率の組合せは、PD611の特性や必要とされる精度等に応じて適宜決定することができる。ここで、Highレンジ増幅部631およびLowレンジ増幅部632の増幅率の組合せの具体例をいくつか示す。なお、以下に示す例は、AD変換部640のフルスケールが4000mVであり、電気レベル安定部620のオペアンプ621の出力オフセット電圧が10mVであり、Highレンジ増幅部631の倍率が1倍の場合の例である。
図4は、Lowレンジ増幅部632の増幅率を5倍とした場合の分解能を説明するための図である。同図に示すように、この場合、Highレンジ増幅部631の最小出力電圧は、800mVであり、分解能は、0.005dB/stepとなる。また、Lowレンジ増幅部632の最小出力電圧は、50mVであり、分解能は、0.086dB/stepとなる。
図5は、Lowレンジ増幅部632の増幅率を20倍とした場合の分解能を説明するための図である。同図に示すように、この場合、Highレンジ増幅部631とLowレンジ増幅部632の最小出力電圧は、いずれも、200mVとなり、分解能は、0.022dB/stepとなる。
図6は、Lowレンジ増幅部632の増幅率を100倍とした場合の分解能を説明するための図である。同図に示すように、この場合、Highレンジ増幅部631の最小出力電圧は、40mVであり、分解能は、0.107dB/stepとなる。また、Lowレンジ増幅部632の最小出力電圧は、1000mVであり、分解能は、0.004dB/stepとなる。
ここで、PD受信部610、Highレンジ増幅部631およびLowレンジ増幅部632の具体的な設計例として、光受信レベル範囲=−15.0〜+4.4dBm、分解能=0.1dB/Step、PD受光感度(PD素子特性)=0.017〜0.080mA/mW、AD変換部640のフルスケールが4000mVのケースのケースで説明する。
まず、回路設計条件として、電気レベル安定部620のオペアンプ621の入力オフセット電圧値を考慮する必要がある。一般的なオペアンプのオフセット電圧値は約3.5mV以下である。そこで、PD受信部610から得られる最低電圧を、マージンを考慮して、5mV以上にすることとし、固定抵抗612の抵抗値を仮決めする。
上記の条件において、オフセット電圧値が影響する条件は、光最低受信レベル=−15.0dBm、かつ、PD受光感=0.017mA/mWのときである。このときにおける条件で、式(1)を活用してPD611からの最低出力電圧を算出し、この電圧値が、5mV以上になるように固定抵抗612の抵抗値を仮決めする。
また、最大光受信レベル時のAD変換部640の入力電圧がフルスケールを超えないように設計する必要がある。最大条件は、光最大受信レベル=+4.4dBm、かつ、PD受光感度=0.080mA/mWのときである。このときにおけるPD受信部610の出力電圧Voutを、先ほど仮決めした固定抵抗612の抵抗値を用いて式(1)で算出する。
そして、電気レベル安定部620およびHighレンジ増幅部631の増幅率を考慮して、Highレンジ増幅部631の出力電圧が、AD変換部640のフルスケールを超えないように、固定抵抗612の抵抗値を調整する。
図2の説明に戻って、AD変換部640は、Highレンジ増幅部631およびLowレンジ増幅部632の出力電圧をデジタル化する処理部である。デジタル処理部650は、AD変換部640によってデジタル化された電圧値をデジタル処理して出力する処理部であり、選択部651と、対数LOG変換部652と、出力補正部653と、ROM(Read Only Memory)654と、不揮発メモリ655とを有する。
選択部651は、Highレンジ増幅部631の出力電圧をAD変換部640がデジタル化した値と、Lowレンジ増幅部632の出力電圧をAD変換部640がデジタル化した値から、AD変換部640のフルスケールを超えておらず、かつ、分解能が高い方の値を選択して出力する処理部である。
具体的には、選択部651は、Lowレンジ増幅部632の出力電圧をAD変換部640がデジタル化した電圧値が、ROM654に記憶されている判定閾値654aを超えていなければ、Lowレンジ増幅部632の出力電圧をAD変換部640がデジタル化した電圧値を出力し、さもなければ、Highレンジ増幅部631の出力電圧をAD変換部640がデジタル化した電圧値を出力する。
この場合、判定閾値654aの値は、例えば、AD変換部640のフルスケールにすることにより、Lowレンジ増幅部632の出力電圧の分解能の高さを有効活用することができる。なお、Highレンジ増幅部631の出力電圧をデジタル化した電圧値と判定閾値654aを比較して、出力を選択することとしてもよい。
対数LOG変換部652は、EPROMやフラッシュメモリ等からなる不揮発メモリ655に記憶されている変換テーブル655aを用いて、選択部651の出力を対数LOG変換し、指数関数特性を補正する処理部である。対数LOG変換部652は、対数LOG変換を演算により実現するのではなく、予め演算結果が格納されたテーブルを参照して行うため、小さい回路規模で実現される。
なお、判定閾値654aは、不揮発メモリ655に記憶されていてもよく、また、ROM654および不揮発メモリ655は、光検出回路60以外の回路と共有されていてもよい。
変換テーブル655aの一例を図7に示す。このテーブルには、以下の式(2)を用いて予め演算された値が格納される。
Figure 2008111186
ここで、Viは、変換前の電圧値であり、Voは、変換後の電圧値である。
出力補正部653は、不揮発メモリ655に記憶されている補正テーブル655bを用いて対数LOG変換部652の出力を補正する処理部であり、出力補正部653の出力が、光検出回路60の出力となる。具体的には、出力補正部653は、補正テーブル655bから光モニタ補正の値を取得し、以下の式(3)に示すように、この値を対数LOG変換部652の出力に加算して出力する。
Figure 2008111186
光モニタ補正は、増幅がHighレンジ増幅部で行われた値であるか否か、および、選択部651の出力値毎に予め設定される。具体的には、以下の式(4)および式(5)によって計算上の出力値PMが算出され、以下の式(6)に示すように、試験等で求めた期待値Prefとの差分として光モニタ補正の値は得られる。
Figure 2008111186
Figure 2008111186
Figure 2008111186
ここで、R1は、固定抵抗612の抵抗値であり、A1は、電気レベル安定部620における電圧の増幅率であり、A2は、Highレンジ増幅部631における電圧の増幅率もしくはLowレンジ増幅部632における電圧の増幅率である。
以上、説明してきたように、光検出回路60は、可変抵抗を含まないため、可変抵抗に起因する精度の低下がない。また、光入力レベルが低く、PD受信部610の出力が小さい場合でも、Lowレンジ増幅部が高い倍率で増幅をおこなうので、十分な分解能を確保することができる。また、対数LOG変換部652および出力補正部653が、予め算出された値をテーブルから取得して、PD受信部610の出力の指数関数特性を補正するので、単純な回路で、後段の処理部の処理に適した値を出力することができる。
なお、図2の例では、1つの波長の光信号の光レベルを検出する光検出回路の例を示したが、複数の波長の光信号の光レベルを検出することができるように光検出回路を構成することもできる。図8は、6つのPDを備える光検出回路70の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光検出回路70は、PD受信部710と、電気レベル安定部720と、Highレンジ増幅部731aおよび731bと、Lowレンジ増幅部732aおよび732bと、AD変換部740と、デジタル処理部750とを有する。
PD受信部710は、PD711〜716という6つのPDを有し、それぞれが異なる光信号を受信する。なお、同図においては、駆動抵抗である固定抵抗の図示を省略している。PD711〜716の出力電圧は、それぞれ、電気レベル安定部720のオペアンプ721〜726に入力されて、安定化される。
電気レベル安定部720は、さらに、ポート選択部727aおよび727bを有し、オペアンプ721〜723の出力は、ポート選択部727aに入力され、オペアンプ724〜726の出力は、ポート選択部727bに入力される。ポート選択部727aおよび727bは、デジタル処理部750のポート選択制御部757の指示に従って、入力のいずれか1つを選択して出力する。
Highレンジ増幅部731aは、ポート選択部727aの出力電圧を所定の増幅率で増幅し、Lowレンジ増幅部732aは、ポート選択部727aの出力電圧を、Highレンジ増幅部731aよりも高い所定の増幅率で増幅する。同様に、Highレンジ増幅部731bは、ポート選択部727bの出力電圧を所定の増幅率で増幅し、Lowレンジ増幅部732bは、ポート選択部727bの出力電圧を、Highレンジ増幅部731bよりも高い所定の増幅率で増幅する。
AD変換部740は、Highレンジ増幅部731aおよび731bと、Lowレンジ増幅部732aおよび732bの出力電圧をデジタル値へ変換して出力する。AD変換部740は、デジタル処理部750のAD変換制御部758の指示に従って、変換対象となる出力電圧を切り替える。
デジタル処理部750は、リードレジスタ751と、選択部752と、対数LOG変換部753と、出力補正部754と、ROM755と、不揮発メモリ756と、ポート選択制御部757と、AD変換制御部758とを有する。リードレジスタ751は、AD変換部740の変換結果を一時的に記憶する記憶部である。
選択部752、対数LOG変換部753、出力補正部754、ROM755および不揮発メモリ756は、それぞれ、図2に示した選択部651、対数LOG変換部652、出力補正部653、ROM654および不揮発メモリ655と同様であるので、説明を省略する。なお、ROM755および不揮発メモリ756の内容は、PD受信部710で受信される光信号の波長毎に異なる値を保持するようにしてもよい。
ポート選択制御部757は、ポート選択部727aおよび727bにおける出力の選択を制御し、AD変換制御部758は、ポート選択制御部757の制御と同期して、AD変換部740における変換対象の選択を制御する。このように、光検出回路70は、ポート選択制御部757の制御等により、6つのPDを備えながら、デジタル処理部を共用できるように構成されており、回路規模が小さく低コストな回路となっている。
上述してきたように、本実施例では、PD受信部によって生成された電圧を増幅するための増幅手段として、増幅率の異なる2つの増幅手段を設け、閾値判定によって適切な増幅手段の出力を選択するように構成したので、十分なダイナミックレンジを確保しつつ高精度に光レベルの検出をおこなうことができる。
また、増幅結果をデジタル値化した値を、予め記憶された補正値を用いて補正するように構成したので、増幅手段として安価なオペアンプを用いても、オペアンプの出力がもつ指数関数特性を簡単な構成で補正することができ、高精度かつ低コストで光レベルの検出をおこなうことができる。
以上のように、本発明に係る光検出回路、光伝送装置および光検出方法は、入力された光の光レベルの検出に有用であり、特に、高精度かつ低コストで光レベルを検出することが必要な場合に適している。

Claims (8)

  1. 入力された光の光レベルを検出して出力する光検出回路であって、
    入力された光の光レベルに応じた電圧を発生させる受光手段と、
    前記受光手段によって生成された電圧を増幅させる第1の増幅手段と、
    前記受光手段によって生成された電圧を前記第1の増幅手段よりも高い増幅率で増幅させる第2の増幅手段と、
    前記第1の増幅手段および第2の増幅手段の出力電圧の電圧レベルをデジタル値化するAD変換手段と、
    前記AD変換手段の変換結果を閾値と比較して、前記第1の増幅手段の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値と、前記第2の増幅手段の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値のいずれを出力するかを選択する選択手段と、
    前記選択手段の選択結果に応じた補正値を記憶手段から取得し、前記選択手段によって選択された値に加算する出力補正手段と
    を備えたことを特徴とする光検出回路。
  2. 予め記憶手段に記憶された変換テーブルに基づいて、前記選択手段によって選択された値を対数LOG変換する対数LOG変換手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の光検出回路。
  3. 前記受光手段は、駆動抵抗として固定抵抗が用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の光検出回路。
  4. 光増幅器によって増幅された光信号の光レベルを検出して出力する光検出回路を備えた光伝送装置であって、
    前記光検出回路は、
    入力された光の光レベルに応じた電圧を発生させる受光手段と、
    前記受光手段によって生成された電圧を増幅させる第1の増幅手段と、
    前記受光手段によって生成された電圧を前記第1の増幅手段よりも高い増幅率で増幅させる第2の増幅手段と、
    前記第1の増幅手段および第2の増幅手段の出力電圧の電圧レベルをデジタル値化するAD変換手段と、
    前記AD変換手段の変換結果を閾値と比較して、前記第1の増幅手段の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値と、前記第2の増幅手段の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値のいずれを出力するかを選択する選択手段と、
    前記選択手段の選択結果に応じた補正値を記憶手段から取得し、前記選択手段によって選択された値に加算する出力補正手段と
    を備えたことを特徴とする光伝送装置。
  5. 予め記憶手段に記憶された変換テーブルに基づいて、前記選択手段によって選択された値を対数LOG変換する対数LOG変換手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の光伝送装置。
  6. 前記受光手段は、駆動抵抗として固定抵抗が用いられることを特徴とする請求項4または5に記載の光伝送装置。
  7. 入力された光の光レベルを検出して出力する光検出方法であって、
    入力された光の光レベルに応じた電圧を受光素子を用いて発生させる受光工程と、
    前記受光工程において生成された電圧を増幅させる第1の増幅工程と、
    前記受光工程において生成された電圧を前記第1の増幅工程よりも高い増幅率で増幅させる第2の増幅工程と、
    前記第1の増幅工程および第2の増幅工程の出力電圧の電圧レベルをデジタル値化するAD変換工程と、
    前記AD変換工程の変換結果を閾値と比較して、前記第1の増幅工程の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値と、前記第2の増幅工程の出力電圧の電圧レベルがデジタル値化された値のいずれを出力するかを選択する選択工程と、
    前記選択工程の選択結果に応じた補正値を記憶手段から取得し、前記選択工程によって選択された値に加算する出力補正工程と
    を含んだことを特徴とする光検出方法。
  8. 予め記憶手段に記憶された変換テーブルに基づいて、前記選択工程において選択された値を対数LOG変換する対数LOG変換工程をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の光検出方法。
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