JPWO2008096695A1 - ビタミンd類の水酸化に関連するdna - Google Patents

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Abstract

ビタミンD類の水酸化に関与するポリペプチドをコードする少なくとも1個の領域を含んでなる単離された純粋なDNA、このDNAによりコードされるポリペプチド、このDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド、このDNAを保持する形質転換体、並びにこの形質転換体を培地で培養し、その培養液から水酸化ビタミンD誘導体を採取することを特徴とする水酸化ビタミンD誘導体の製造方法。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2007年2月5日出願の日本特願2007−25153号の優先権を主張し、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は、ビタミンD類の水酸化に関与するポリペプチドおよびそれらのポリペプチドをコードするDNAおよびそれらの改変体、並びにそれらDNAおよびそれらの改変体の一部または全体を保持する形質転換体、およびそれらの形質転換体を用いた水酸化ビタミンD誘導体の製造方法に関する。
背景技術
ビタミンDは、主に高等生物において必須とされる脂溶性ビタミン群でコレステロールから生合成される。その生理作用はカルシウムの吸収促進や代謝促進、細胞分化誘導、免疫調節作用など多岐におよび、生体において重要な役割を果たしている。
ヒトにおけるビタミンDの生合成の主要な経路は、まずコレステロールから7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)が合成された後、皮膚において紫外線と熱反応からビタミンD3がつくられる。ビタミンD3は肝臓のミトコンドリアに局在するシトクロムP450(CYP27A1)によって25位の水酸化を受けて25-ヒドロキシビタミンD3となる。その後、腎臓の近位尿細管において別のシトクロムP450(CYP27B1)によって、さらに1α位の水酸化を受けて1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(活性化型ビタミンD3)につくられる。この物質が細胞内の受容体(レセプター)に結合することで、生理作用発現に関わる核内の特定の遺伝子の発現調節を行うことが分かっている。
従って、肝臓または腎臓が機能不全に陥ると、正常なビタミンD代謝が阻害されることがある。そのような患者では血中の25-ヒドロキシビタミンD3や1α,25-ジヒドロキシビタミンD3が極度に低下することがあり、治療のためには25-ヒドロキシビタミンD3や1α,25-ジヒドロキシビタミンD3を投与して補う必要がある。
一方、ビタミンD3の水酸化に関与するシトクロムP450遺伝子に先天的な変異があることに起因する水酸化機能不全により1α,25-ジヒドロキシビタミンD3が不足して起こるくる病が知られている。のみならず、後天的なくる病や骨粗鬆症を含めて、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3が不足することで起こる疾患の治療薬として、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3および同様な生理作用をもつ類縁化合物の有する重要性は非常に高い。
さらに、ビタミンD類はその多様な生理活性から様々な誘導体が薬物の候補として研究され、抗腫瘍薬、乾癬治療薬、免疫賦活薬などの開発にも期待がもたれている。このような観点からビタミンD類を誘導体化する一手法として水酸化反応は重要となっている。この場合、水酸化の位置は1α位および25位に限定されず、他の位置の水酸化に高い必要性が生じることもある。以上のように製薬的または創薬的需要からビタミンD類の水酸化体の製造法を改良し、より効率的で安価に水酸化ビタミンD誘導体を製造して供給することが医薬産業上強く望まれてきた。
ビタミンD類の中で特に生理活性が強く、価値の高い1α,25-ジヒドロキシビタミンD3について言及すると、その製造手法としては、有機合成法、ヒトのシトクロムP450を利用する方法、微生物の水酸化酵素を利用する方法等が挙げられる。このうち有機合成法ではコレステロールから約20工程を経て合成する製法が知られている(非特許文献6および7参照)。またヒトのシトクロムP450を利用する方法では、関与する遺伝子、発現する技術、シトクロムP450酵素の性質に関する生物学的・生化学的知見の蓄積がある(非特許文献1参照)。しかし、これら二つのいずれの方法も高い製造コストや低い生産性の問題から、実用化には極めて不向きである。
この他、微生物の水酸化酵素を利用する方法として、バチルス・メガテリウムにより、ビタミンD3の25位を水酸化することで25-ヒドロキシビタミンD3を製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。しかし、この方法による25-ヒドロキシビタミンD3の培地中の蓄積量は少なく、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の生産についての記載はない。
一方、微生物由来のビタミンD3水酸化遺伝子に関する知見では、1994年にシュードノカルディア・オートトロフィカ(Pseudonocardia autotrophica)由来のヒドロキシビタミンD325位水酸化酵素遺伝子について報告されている(非特許文献4参照)が、本発明の遺伝子とは塩基配列およびそれにコードされる酵素の性状から考えて明らかに異なるものである。また、Sawadaらは2004年に放線菌ストレプトミセス・グリセオラス ATCC11796由来のシトクロムP450遺伝子がコードするP450SU-1(CYP105A1)が、ビタミンD3から25-ヒドロキシビタミンD3ならびにヒドロキシビタミンD3から1α,25-ジヒドロキシビタミンD3への弱い水酸化活性を有することを報告している(非特許文献5参照)。
以上のとおり、これまで微生物を利用したビタミンD3の水酸化反応については様々な知見が示されてきたが、佐々木らが微生物探索研究において見出した放線菌シュードノカルディア・オートトロフィカを変換菌として用いたビタミンD3から1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の製造方法だけが産業的に実用化されている(非特許文献2、非特許文献3、特許文献2および特許文献3参照)。この方法は、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属放線菌を発酵槽において培養した後、ビタミンD3を反応基質として培養液に添加し、菌体のもつ水酸化酵素の作用で反応を進行させて、その結果蓄積する1α,25-ジヒドロキシビタミンD3を培養液から回収・精製して行うものである。
この製造法においては、変換微生物として生育時間の長い放線菌を用いるため製造期間が長期になり、さらに変換菌がもつビタミンD3変換作用の中には目的の水酸化反応のみならず、望ましくない副反応も存在する。その副反応として、例えば26位あるいは24位の水酸化などが挙げられる。また基質であるビタミンD3や目的生成物である1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に対する分解活性も存在する。特に1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の分解は、目的物の蓄積量に直接的に関わる極めて重要な問題である。これに加えて、副産物の存在も変換反応後の培養液からの1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の回収・精製工程を多くし、結果的に目的物の収量を低下させる。そのため、さらに効率的な水酸化ビタミンD誘導体の製造方法の開発が望まれていた。
非特許文献1: T. Sakakiらの総説,Frontiers in Bioscience,10,119-134,2005
非特許文献2: J.Sasaki et.al,Applied Microbiology and Biotechnology,38,152-157,1992
非特許文献3: K.Takeda et.al,J.Ferment.Bioeng.,78,380-382,1994
非特許文献4: H.Kawauchi et.al,Biochimica et Biophysica Acta,179-183,1994
非特許文献5: N.Sawada et.al,Biochemical and Biophysical Research Communications 320,156-164,2004
非特許文献6: Kametani T., Furuyama H., Med. Res. Rev. 7, 147-171 (1987).
非特許文献7: Zunk G-D., Okamura W.H. Norman A.W., Chem. Rev. 95, 1877-1952 (1995).
特許文献1: 特開2003-325175号公報
特許文献2: 特開平2-469号公報
特許文献3: 特開平2-231089号公報
上記非特許文献1〜7および特許文献1〜3の全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明の課題は、現状の水酸化ビタミンD誘導体の製造方法において見られる前述のような副反応や分解活性を抑制して、かつ目的産物の蓄積量を増やすことのできる、より効率のよい製造法を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、上記課題を解決するために、まずビタミンD3の1αおよび25位を選択的に水酸化する酵素をコードする遺伝子を、ビタミンD3を非選択的に水酸化し分解しうる微生物から探索した。具体的にはそれらの微生物がもつ数百種類に及ぶP450遺伝子のうち、異化代謝に関与すると推定されるP450遺伝子(放線菌のCYP105ファミリーおよびCYP107ファミリー)を選出し、そのP450遺伝子の間で相同性のある領域を作成したプライマーを用いたPCRにより高い選択性を有する水酸化酵素遺伝子を見出し取得した。次いで、この遺伝子を副反応および分解活性のない、もしくは極めて少ない宿主である大腸菌に組み込み目的の水酸化活性を発現させて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[17]に関する。
[1] ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質を一部にまたは全体としてコードするDNA。
[2] 下記の(a)、(b) 、(c) または(d)で示されるDNA。
(a) ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAであって、
配列番号1の塩基1から塩基1254までの連続した塩基配列、
配列番号2の塩基1から塩基1200までの連続した塩基配列、
配列番号3の塩基1から塩基1224までの連続した塩基配列、
配列番号4の塩基1から塩基1254までの連続した塩基配列、
配列番号5の塩基1から塩基1197までの連続した塩基配列、
配列番号6の塩基1から塩基1269までの連続した塩基配列、
配列番号7の塩基1から塩基1197までの連続した塩基配列、
配列番号8の塩基1から塩基1215までの連続した塩基配列、
配列番号9の塩基1から塩基1227までの連続した塩基配列、
配列番号10の塩基1から塩基1185までの連続した塩基配列、
配列番号11の塩基1から塩基1248までの連続した塩基配列および
配列番号86の塩基1から塩基1242までの連続した塩基配列
からなる群より選択されるDNA。
(b)前記(a)で示されるDNAの改変体であって、
(i)前記(a)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
(ii)ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)遺伝子コドンの縮重のため、前記(a)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(a)または(b)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(d) 前記(a)で示されるDNAの塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
[3] [2]記載のDNAによりコードされるタンパク質。
[4] 下記(1)〜(3)の何れかのアミノ酸配列を有し、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(1)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
(3)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[5] 下記(1)〜(3)の何れかのアミノ酸配列を有し、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質。
(1)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
(3)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[6] [1]、[2]または[4]記載のDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド。
[7] [6]記載の組み換えプラスミドで宿主を形質転換した形質転換体。
[8] [1]、[2]または[4]に記載されたDNAまたはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いて、DNAライブラリーから、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを探索することを特徴とする、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAのスクリーニング方法。
[9] 下記の(e)、(f) 、(g)または(h)で示されるDNA。
(e)フェレドキシンをコードするDNAであって、
配列番号2の塩基1200から塩基1388までの連続した塩基配列、
配列番号5の塩基1197から塩基1385までの連続した塩基配列、
配列番号7の塩基1200から塩基1385までの連続した塩基配列、
配列番号10の塩基1198から塩基1410までの連続した塩基配列および
配列番号11の塩基1245から塩基1451までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
(f)前記(e)で示されるDNAの改変体であって、
(i)前記(e)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
(ii)フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(g)遺伝子コドンの縮重のため、前記(e)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(e)または(f)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(h) 前記(e)で示されるDNAの塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
[10] [9]記載のDNAによりコードされるタンパク質。
[11] 下記(4)〜(6)の何れかのアミノ酸配列を有し、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(4)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列;
(5)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
(6)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[12] 下記(4)〜(6)の何れかのアミノ酸配列を有し、フェレドキシン機能を有するタンパク質。
(4)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列;
(5)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
(6)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[13] [9]または[11]記載のDNAをさらに担持する、[6]に記載の自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド。
[14] [13]記載の組み換えプラスミドで宿主を形質転換した形質転換体。
[15] 宿主が、放線菌由来のフェレドキシン遺伝子およびフェレドキシン還元酵素遺伝子を発現可能な状態で含む大腸菌である[7]または[14]に記載の形質転換体。
[16] [9]または[11]に記載されたDNAまたはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いて、DNAライブラリーから、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを探索することを特徴とする、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAのスクリーニング方法。
[17] [7]、[14]または[15]に記載の形質転換体を培地で培養し、培養中または培養後に、増殖した形質転換体とビタミンD類とを接触させ、水酸化ビタミンD誘導体に変換し、こうして変換された水酸化ビタミンD誘導体を採取することを特徴とする水酸化ビタミンD誘導体の製造方法。
以下に本願明細書において記載する用語、記号等の意義を説明し、本発明を詳細に説明する。
本願明細書において用いる「ビタミンD類」とは、本発明の水酸化酵素により基質として認識され、1α位、25位、その他の炭素に一酸素原子添加を行うことが可能なものを意味し、以下の化合物を包含する。
(1)ビタミンD3、ビタミンD2などのビタミンD類
(2)ビタミンD類の前駆体、代謝物、その他の誘導体(この中には、25-ヒドロキシビタミンD3、1α-ヒドロキシビタミンD3などが含まれる。)
(3)コレスタン系のステロイド類またはその修飾化合物(この中には、コレステロール、7-デヒドロコレステロールなどが含まれる。)
本明細書において用いる「水酸化ビタミンD誘導体」とは、本発明の水酸化酵素によって、ビタミンD類の1α位、25位、その他の位置の炭素原子に一酸素原子が添加された化合物を意味する。
本明細書にて用いる「ビタミンD類の水酸化酵素活性」とは、ビタミンD類を水酸化し、水酸化ビタミンD誘導体へ変換する酵素活性を意味する。
本明細書にて用いる「フェレドキシン機能」とは、前記ビタミンD類の水酸化酵素へ電子を伝達し、前記ビタミンD類の水酸化酵素とともに水酸化反応を担うタンパク質機能を意味する。
本明細書にて用いる「DNAの改変体」とは、構成塩基の削除、変換、付加、挿入などにより修飾されたもの、あるいはその誘導体を意味し、もとのものと同じ効果を発現するDNAを意味する。また、DNAまたはペプチドの「相同性」とは、2つの塩基配列または2つのアミノ酸配列を最適の態様で整列させた場合に、2つの配列間で共有する一致した塩基またはアミノ酸 の百分率を意味する。すなわち、相同性=(一致した位置の数/位置の全数)×100で算出でき、市販されているアルゴリズムを用いて計算することができる。また、このようなアルゴリズムは、blastnおよびblastpプログラム中に組込まれている。
本発明により、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質またはフェレドキシンをコードするDNAを単離して、その塩基配列を決定することができ、さらに、そのDNAを担持するプラスミド、そのプラスミドで形質転換した形質転換体を作成し、その形質転換体を用いて水酸化ビタミンD誘導体を効率よく製造することができた。その結果、変換菌シュードノカルディア・オートトロフィカの細胞全体の複雑な生理・代謝機構を水酸化ビタミンD誘導体の製造のために都合よく制御するという、これまでの制限的な範囲の試みからの脱却ができた。すなわち、1α位および25位を水酸化する酵素をコードする遺伝子を単離したことで、遺伝子工学技術を用いて、製造に最適な宿主での該水酸化酵素の大量発現が可能となり、これまでの技術的課題を解決できた。加えて、変換菌の育種に利用できる技術の中には高度な遺伝子発現系の構築や遺伝子の改変による酵素機能の向上が含まれるが、これらの技術も本発明の遺伝子を扱うことではじめて可能になるものである。該水酸化酵素は、これまで報告されたビタミンD等の水酸化酵素の中では、新規で極めて産業利用に適した性状を有している。従って本発明により、産業上極めて有用で、かつ効率のよいビタミンD類の水酸化体の製造方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
ビタミンD類の水酸化酵素活性を有する微生物
本発明においては、ビタミンD類から水酸化ビタミンD誘導体へ変換する能力を有する微生物を培養した培養液から集めた菌体から、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質またはフェレドキシンを一部にまたは全体としてコードするDNAを単離し、塩基配列を決定することができる。そして、このDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミドを構築し、そのプラスミドを用いて形質転換体を調製する。
このようにして調製した形質転換体を培地で培養し、培養中または培養後に、増殖した形質転換体と、ビタミンD類を接触させることにより、水酸化ビタミンD誘導体に変換し、変換された水酸化ビタミンD誘導体を採取することにより、水酸化ビタミンD誘導体を得ることができる。
ビタミンD類から水酸化ビタミンD誘導体へ変換する能力を有する微生物としては、このような能力を有するものであれば、種および株の種類を問うことなく使用できるが、好ましい微生物として、ダクチロスポランギウム・バリエスポラム(Dactylosporangium variesporum) IFO14104株、ストレプトマイセス・レゼオビオラセウス(Streptomyces roseoviolaceus) NBRC13081株、ストレプトマイセス・シトレオフルオレッセンス(Streptomyces citreofluorescens) NBRC12853株、サッカロスリクス・ムタビリス(Saccharothrix mutabilis subsp. capreolus) NBRC12847株、シュードノカルディア・オートトロフィカ(Pseudonocardia autotrophica) NBRC12743株、ストレプトマイセス・クリソマルス(Streptomyces chrysomallus) HUT6141株、シュードノカルディア・オートトロフィカ ATCC35204株、ストレプトマイセス・ファシクラタス NBRC12765株等を挙げることができる。このうちストレプトマイセス・レゼオビオラセウス NBRC13081株、ストレプトマイセス・シトレオフルオレッセンス NBRC12853株、ノカルディア・カプレオラNBRC12847株、シュードノカルディア・オートトロフィカ NBRC12743株およびストレプトマイセス・ファシクラタス NBRC12765株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部生物資源部門(NBRC)に保存されており、容易に入手することができる。ストレプトマイセス・クリソマリウス HUT6141株は広島大学HUT Culture Collectionに保存されており、容易に入手することができる。シュードノカルディア・オートトロフィカ ATCC35204株はAmerican Type Culture Collection(ATCC)に保存されており、容易に入手することができる。ダクチロスポランギウム・バリエスポラム IFO14104株は、同一起源のATCC31203株がAmerican Type Culture Collection(ATCC)に保存されており、容易に入手することができる。
本発明のDNA
本発明者らは、上記微生物からビタミンD類の水酸化に関与するタンパク質をコードするDNA、すなわちビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを単離し、その塩基配列を決定した。以下、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを総称して、「ビタミンD水酸化酵素関連DNA」ということもある。
本発明のビタミンD水酸化酵素関連DNAの取得は、当業者らが一般に試みる手法では容易に解決できない問題点があった。ビタミンD類から水酸化ビタミンD誘導体へ変換する能力を有する微生物が属する放線菌には約20〜40個のP450遺伝子が1個体のゲノムDNA中に存在していると考えられている。したがって、一般的なP450遺伝子の相同領域を利用したプローブを用いたサザンハイブリダイゼーションや、一般的なP450遺伝子の相同領域を利用したプライマーを用いたデジェネレイトPCR法では、目的のビタミンD水酸化酵素関連DNAを単離することが非常に困難であった。そこで発明者らは鋭意検討の結果、微生物がもつ数百種類に及ぶP450遺伝子のうち、異化代謝に関与すると推定されるP450遺伝子(放線菌のCYP105ファミリーおよびCYP107ファミリー)を選び出し、その限定されたP450遺伝子の間だけで相同性のある領域からプライマーを作成した。これらを用いたPCR法により、高い確率でビタミンD類の水酸化酵素活性を有するP450酵素をコードするDNAを見出し、本発明の完成するに至った。
こうして得られた本発明のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAは、下記(a)、(b)、(c) または(d)で示されるものである。
(a) ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAであって、配列番号1の塩基1から塩基1254までの連続した塩基配列、配列番号2の塩基1から塩基1200までの連続した塩基配列、配列番号3の塩基1から塩基1224までの連続した塩基配列、配列番号4の塩基1から塩基1254までの連続した塩基配列、配列番号5の塩基1から塩基1197までの連続した塩基配列、配列番号6の塩基1から塩基1269までの連続した塩基配列、配列番号7の塩基1から塩基1197までの連続した塩基配列、配列番号8の塩基1から塩基1215までの連続した塩基配列、配列番号9の塩基1から塩基1227までの連続した塩基配列、配列番号10の塩基1から塩基1185までの連続した塩基配列、配列番号11の塩基1から塩基1248までの連続した塩基配列および配列番号86の塩基1から塩基1242までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
(b) 前記(a)で示されるDNAの改変体であって、前記(a)に示されるいずれかのDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(c) 遺伝子コドンの縮重のため、前記(a)に示されるいずれのDNAともストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(a)または(b)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(d) 前記(a)で示されるDNAの塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
さらに本発明のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAは、下記(1)〜(3)の何れかのアミノ酸配列を有し、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(1)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
(3)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
また本発明のフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAは、下記(e)、(f) 、(g)または(h)で示されるものである。
(e) フェレドキシンをコードするDNAであって、配列番号2の塩基1200から塩基1388までの連続した塩基配列、配列番号5の塩基1197から塩基1385までの連続した塩基配列、配列番号7の塩基1200から塩基1385までの連続した塩基配列、配列番号10の塩基1198から塩基1410までの連続した塩基配列および配列番号11の塩基1245から塩基1451までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
(f) 前記(e)で示されるDNAの改変体であって、前記(e)で示されるいずれかのDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(g) 遺伝子コドンの縮重のため、前記(e)に示されるいずれのDNAともストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(e)または(f)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(h) 前記(e)で示されるDNAの塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
また前記DNAの説明における「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列」とは、前記(a)または(e)のいずれかのDNAをプローブとして使用し、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAの塩基配列を意味し、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNAまたは該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2×SSC溶液(1×SSC溶液は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNA等を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning: A laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989(以下、モレキュラークローニング第2版と略す)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げられ、例えば85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するDNAが挙げられる。
本明細書で言う「1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から40個、好ましくは1から30個、より好ましくは1から20個、より好ましくは1から10個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
本発明のビタミンD水酸化酵素関連DNAの取得方法は特に限定されない。
例えば、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードする上記本発明のDNAまたはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いて、DNAライブラリーから、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを探索することで、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAをスクリーニングすることができる。スクリーニングしたDNAは、常法により単離することもできる。さらには、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードする本発明のDNAまたはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いて、DNAライブラリーから、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを探索することを特徴とする、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAをスクリーニングすることができる。スクリーニングしたDNAは、常法により単離することもできる。
より具体的には、配列表の配列番号1から配列番号11および配列番号86のいずれかに記載した塩基配列の情報に基づいて適当なプローブやプライマーを調製し、それらを用いてのDNAライブラリーをスクリーニングすることができ、スクリーニングにより探索した本発明のDNAを単離することもできる。DNAライブラリーは、前記のビタミンD類の水酸化酵素活性を発現している微生物、例えば、放線菌に属する微生物から常法により作製することができる。
またPCR法により本発明のビタミンD水酸化酵素関連DNAを取得することもできる。上記した微生物由来のDNAライブラリーを鋳型として使用し、配列番号1から配列番号11および配列番号86のいずれかに記載した塩基配列を増幅できるように設計した1対のプライマーを用いてPCRを行う。PCRの反応条件は適宜設定することができ、例えば、94℃で30秒間(変性)、55℃で30秒〜1分間(アニーリング)、72℃で2分間(伸長)からなる反応工程を1サイクルとして、例えば30サイクル行った後、72℃で7分間反応させる条件などを挙げることができる。次いで、増幅されたDNA断片を、適当な宿主中で増幅可能なベクター中にクローニングすることができる。
上記したプローブまたはプライマーの調製、DNAライブラリーの構築、DNAライブラリーのスクリーニング、並びに目的遺伝子のクローニングなどの操作は当業者に既知であり、例えば、モレキュラークローニング第2版、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987-1997)等に記載の方法に準じて行うことができる。
本発明のタンパク質
本発明のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質は、上記(a)、(b)、(c) または(d)で示されDNAによりコードされるタンパク質、および下記(1)〜(3)の何れかのアミノ酸配列を有し、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質である。
(1)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、または26に記載のアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、または26に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
(3)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、または26に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
本発明のフェレドキシン機能を有するタンパク質は、上記(e)、(f) 、(g)または(h)で示されDNAによりコードされるタンパク質、および下記(4)〜(6)の何れかのアミノ酸配列を有し、フェレドキシン機能を有するタンパク質である。
(4)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列;
(5)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
(6)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
本明細書で言う「1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
本明細書で言う「配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、または26に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列」および「配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列」における相同性は、70%以上であれば特に限定されないが、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%、特に好ましくは95%以上である。
本発明のタンパク質の取得方法は特に制限されず、化学合成により合成したタンパク質でもよいし、遺伝子組み換え技術により作製した組み換えタンパク質でもよい。組み換えタンパク質を作製する場合には、先ず、本明細書に上記した当該タンパク質をコードするDNAを取得する。このDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明のタンパク質を産生することができる。発現系でのタンパク質の発現については本明細書中において後記する。
本発明の組み換えベクター
本発明のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAは、単独でまたは、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAと一緒に、適当なベクター中に挿入して使用することができる。本発明で用いるベクターの種類は特に限定されず、例えば、自立的に複製するベクター(例えばプラスミド等)でもよいし、あるいは、宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるものであってもよいが、発現ベクターが好ましい。発現ベクターにおいて本発明のDNAは、転写に必要な要素(例えば、プロモーター等)が機能的に連結されている。プロモーターは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。
本発明の形質転換体およびそれを用いた組み換えタンパク質の製造
本発明のDNAまたは組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。本発明のDNAまたは組み換えベクターが導入される宿主細胞は、本発明の遺伝子を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞等が挙げられる。細菌細胞の例としては、バチルスまたはストレプトマイセス等のグラム陽性菌または大腸菌等のグラム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法または公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行えばよい。例えば、エレクトロポレーション法は以下のように行うことができる。外来遺伝子が挿入されたプラスミドをコンピテント細胞の懸濁液に加え、この懸濁液をエレクトロポレーション法専用のキュベットに入れ、そのキュベットに高電圧の電気パルスをかける。その後選択培地で培養し、平板寒天培地上で形質転換体を単離する。
酵母細胞の例としては、サッカロマイセスまたはシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス、ニューロスポラ、フザリウム、またはトリコデルマに属する細胞である。宿主細胞として糸状菌を用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組み込んで組換え宿主細胞を得ることにより形質転換を行うことができる。DNA構築物の宿主染色体への組み込みは、公知の方法に従い、例えば相同組換えまたは異種組換えにより行うことができる。
本発明の形質転換体を得るために用いる宿主は、例えば、放線菌由来のフェレドキシン遺伝子およびフェレドキシン還元酵素遺伝子を発現可能な状態で含む大腸菌であることが好ましい。このような大腸菌は、WO03/087381および対応する米国出願公開2006234337A1(これらの全記載は、ここに特に開示として援用される)に記載されており、放線菌由来のフェレドキシン遺伝子は、好ましくはミクロテトラスポーラ(Microtetraspora)に属する微生物またはシュードモナス(Pseudomonas) に属する微生物に属するいずれかの株に由来する遺伝子であることができ、フェレドキシン還元酵素遺伝子は、ストレプトミセス(Streptomyces) に属する微生物またはシュードモナス(Pseudomonas) に属する微生物に属するいずれかの株に由来する遺伝子であることができる。
WO03/08738に記載されているように、放線菌由来のフェレドキシン遺伝子およびフェレドキシン還元酵素遺伝子を発現可能な状態で含む大腸菌は、これらの遺伝子が、大腸菌で自律複製できるプラスミド中に、自律複製配列、プロモーター配列、ターミネーター配列、薬剤耐性遺伝子等ととも、適当な順序で組込まれて宿主中に存在しているか、あるいは染色体DNA組込み型ベクターを介して、機能的に発現しうる状態で宿主大腸菌の染色体中に組込まれている場合を意味する。
上記大腸菌における発現系では、上記本発明のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、フェレドキシン遺伝子およびフェレドキシン還元酵素遺伝子が操作可能な形態で宿主大腸菌に含まれる。「操作可能な形態」とは、上記すべての遺伝子が機能的に発現できるような状態で宿主内に存在していることを意味する。かような状態の典型的な例は、上記本発明のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、フェレドキシン遺伝子およびフェレドキシン還元酵素遺伝子は、上記プラスミド中でいかなる順序で配置されていてもよいが、通常、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを最も上流に配置するのが好ましい。ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAとフェレドキシン遺伝子が同一の起源の遺伝子クラスター断片として利用される場合にも、例えば、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA−フェレドキシン遺伝子−フェレドキシン還元酵素遺伝子の順で配置されることができる。また、この場合、上記遺伝子クラスター断片に含まれるフェレドキシン遺伝子と、放線菌由来のフェレドキシン遺伝子とが、重複して、本発明の形質転換体に含まれても良い。
上記の形質転換体は、導入された遺伝子の発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培養する。形質転換体の培養物から、本発明のタンパク質を単離精製するには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いればよい。
例えば、本発明のタンパク質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常のタンパク質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、SP-Sepharose FF(アマシャムバイオサイエンス社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィ一法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
水酸化ビタミンD誘導体の製造方法
本発明は、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAまたはフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを導入した形質転換体を用い、この形質転換体の存在下でビタミンD類を水酸化させることを含む、水酸化ビタミンD誘導体の製造方法を包含する。
形質転換体の存在下でビタミンD類を水酸化させる条件は、以下のとおりである。
まず形質転換体中のビタミンD水酸化酵素関連DNAを必要により誘導物質を添加して菌体内で発現させる。これらのDNAが発現した菌体を基質であるビタミンD類と接触させ、変換反応をさせる。変換反応の温度は、形質転換体の至適温度を考慮して、適宜決定できる。また反応時間も、水酸化ビタミンD誘導体への変換率(反応の進行度合い)等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、20〜31℃で、1〜5日が好適である。さらに、反応様式は、バッチ式でも連続式でも、いずれの形式でも実施することができる。
生成した水酸化ビタミンD誘導体の単離および精製は、一般に微生物代謝産物をその培養液から単離するために用いられる分離、精製の方法が利用できる。例えば、メタノール、エタノール、アセトン、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム、トルエン等を用いた有機溶媒抽出、ダイヤイオンHP-20などの疎水性吸着樹脂を用いた吸脱着処理、セファデックスLH-20等を用いたゲル濾過クロマトグラフィー、活性炭、シリカゲル等による吸着クロマトグラフィー、もしくは薄層クロマトグラフィーによる吸脱着処理、あるいは逆相カラム等を用いた高速液体クロマトグラフィー等の公知のあらゆる方法がこれにあたる。また、ここに示した方法に特に限定されるものではない。これらの方法を単独あるいは任意の順序に組み合わせ、また反復して用いることにより、目的の水酸化ビタミンD誘導体を単離精製することができる。
以下、本発明について具体例を挙げてより詳細に説明するが、本発明をこれらの例に限定することを意図するものではない。なお、下記の例中のパーセント(%)は、培地の説明においては重量パーセント、HPLCの移動相の説明においては、容量パーセントを示す。
実施例1:ダクチロスポランギウム・バリエスポラムIFO14104株由来P450遺伝子dvaAの塩基配列の決定およびその遺伝子をもつ形質転換体の調製
(1) ダクチロスポランギウム・バリエスポラムIFO14104株染色体のDNAの調製
グルコース1%、麦芽エキス0.4%、酵母エキス1%からなる培地にIFO14104株を接種し、28℃、3日間培養した。得られた培養液を3000rpm、10分間遠心して菌体を集めた。その菌体からBlood & Cell Culture kit(QIAGEN社)を用いて染色体DNAを調製した。
(2) ビタミンD3の水酸化活性を有するタンパク質の一つ(DvaA)をコードするDNAの部分的配列のクローニング
放線菌のCYP105ファミリーに属するシトクロムP450のアミノ酸配列を参考にして以下のようなプライマー(5Dm-3FおよびB1R-105)を設計し作成した(配列表の配列番号28および配列番号29参照)。
5Dm-3F:5'-TTCGCSCTSCCSGTCCCSTCSATGGTSAT-3'
B1R-105:5'-GGCCAGCTGCTCGGGGTGTTCCAGCAG-3'
コドンの揺らぎを考慮して反応性を高めるために、混合塩基S(=C+G)を使用した。
次に、この2種のプライマー(5Dm-3FおよびB1R-105)と前項(1)で得たIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、1分間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約360bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-A1という)が増幅された。このDNA断片-A1は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片-A1を、反応液からWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
次に得られたDNA断片-A1の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片-A1を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)を用いてDNA断片-A1を連結し、大腸菌JM109株を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X-gal(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-galactoside;40μg/mL)、IPTG(isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside;100μM)を含むL-Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL-Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片-A1を得た。
(3) クローニングされたDNA断片-A1の塩基配列の解析
前項(2)で得られたDNA断片-A1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシシテム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片-A1は電気泳動で約360bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には351bpであることが明らかとなった(配列番号1の塩基487〜塩基837参照)。クローニングされた前記の351bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片-A1がこの2種類のプライマー(5Dm-3FおよびB1R-105)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(4) DNA断片-A1の周辺領域の解析
前記のとおり、IFO14104株由来の水酸化活性を有するタンパク質の一つ(DvaA)をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591-593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、IFO14104株染色体DNA((1)参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中において制限酵素XhoIで消化した。得られた制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片-A1の塩基配列から、以下のようなプライマー(3413-1Fおよび3413-1R)を設計し作成した(配列表の配列番号30および配列番号31参照)。
3413-1F:5'- GTGTGATCTCCCTGCTGCTGTTGAT -3'
3413-1R:5'- AGGGTGCCGGACCGTTCCTGGAACT -3'
次にこの2種のプライマー(3413-1Fおよび3413-1R)と前記の自己環状化させたIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、5分間行う2段階の反応30回繰り返した。
この結果、約3.6kbpの大きさのDNA断片(DNA断片-B1)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片-B1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。次に得られたDNA断片-B1について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(5) DNA断片-B1(約3.6kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(4)で得られたDNA断片-B1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片-B1のうちの、配列番号1に示された1257bpの塩基配列の情報を得た。
この1257bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、1種類のタンパク質がコードされていることが判明した。タンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号1の塩基1〜塩基1254にシトクロムP450と高い相同性を有する418個のアミノ酸からなるタンパク質(配列番号12)をコードするORF(以下、dvaAという)が存在した。そしてdvaAは、Amycolatopsis mediterranei S699のシトクロムP450(ORF16)と推定されるアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性59%)、さらにStreptomyces tubercidicusのシトクロムP450(CYP105S1)にも比較的高い相同性を有した(相同性53%)。このことからdvaAはシトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする遺伝子である可能性が高いと考えられた。
(6) IFO14104株由来のdvaAを含有するDNA断片の調製
前項(5)において解析した配列番号1の塩基配列を参考にして、5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーdvaA-NdeF(5'-GCGCATATGACCAGCCCCACCGGTTC-3':配列番号32参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーdvaA-SpeR(5'-CGCACTAGTCAGTCCCAGGCGACCGGGAGGCT-3':配列番号33参照)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(dvaA-NdeFおよびdvaA-SpeR)と実施例1(1)で得たIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、KOD plus(東洋紡)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、dvaAを含む約1.3kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-C1という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片-C1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
(7) プラスミドpSC-dvaAの構築
pT7NS-CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(6)で得たDNA断片-C1を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片-C1の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて連結した。これによって、dvaAを内部に含有するDNA断片-C1と、プラスミドpT7NS-CamABとが連結された約9.3kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpSC-dvaAと称する)が構築された。
(8) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/pSC-dvaAの調製
前項(7)で調製したプラスミドpSC-dvaAを用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpSC-dvaAで形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-dvaA株を得た。
実施例2:ダクチロスポランギウム・バリエスポラムIFO14104株由来P450遺伝子dvbAおよびフェレドキシン遺伝子dvbBの塩基配列の決定およびそれらの遺伝子をもつ形質転換体の調製
(1) ビタミンD3の水酸化活性を有するタンパク質の一つ(DvbA)をコードするDNAの部分的配列のクローニング
放線菌のCYP105ファミリーに属するシトクロムP450と付随するフェレドキシンのアミノ酸配列を参考にして以下のようなプライマー(5Dm-4FおよびH2R-105)を設計し作成した(配列表の配列番号34および配列番号35参照)。
5Dm-4F:5'- CACGAGACSACSGCSAACATGAT-3'
H2R-105:5'- GTCGTCCTGGTCGAA-3'
コドンの揺らぎを考慮して反応性を高めるために、混合塩基S(=C+G)を使用した。
次に、この2種のプライマー(5Dm-4FおよびH2R-105)と実施例1(1)で得たIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、1分間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約580bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-D1という)が増幅された。このDNA断片-D1は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片-D1を、反応液からWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
次に得られたDNA断片-D1の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片-D1を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)を用いてDNA断片-A1を連結し、大腸菌JM109株を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X-gal(40μg/mL)、IPTG(100μM)を含むL-Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL-Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片-D1を得た。
(2) クローニングされたDNA断片-D1の塩基配列の解析
前項(1)で得られたDNA断片-D1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片-D1は電気泳動で約580bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には569bpであることが明らかとなった(配列番号2の塩基715〜塩基1286参照)。クローニングされた前記の569bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片-D1がこの2種類のプライマー(5Dm-4FおよびH2R-105)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(3) DNA断片-D1の周辺領域の解析
前記のとおり、IFO14104株由来の水酸化活性を有するタンパク質の一つ(DvbA)をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591-593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、IFO14104株染色体DNA(実施例1(1)参照)をK緩衝液(20mM Tris-HCl,pH8.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM KCl)中において制限酵素NcoIで消化した。得られた制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片-D1の塩基配列から、以下のようなプライマー(34457-3Fおよび34457-2R)を設計し作成した(配列表の配列番号36および配列番号37参照)。
34457-3F:5'- CTGCCGGTGACGTTCTCATGAGGAT -3'
34457-2R:5'- GGCCGAGCAGGGTGAGCGTGCCGAT -3'
次にこの2種のプライマー(34457-3Fおよび34457-2R)と前記の自己環状化させたIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、6分間行う2段階の反応30回繰り返した。
この結果、約5.2kbpの大きさのDNA断片(DNA断片-E1)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片-E1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。次に得られたDNA断片-E1について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(4) DNA断片-E1(約5.2kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(3)で得られたDNA断片-E1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片-E1のうちの、配列番号2に示された1391bpの塩基配列の情報を得た。
この1391bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、2種類のタンパク質がコードされていることが判明した。これらのタンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号2の塩基1〜塩基1200にシトクロムP450と高い相同性を有する400個のアミノ酸からなるタンパク質(配列番号13)をコードするORF(以下、dvbAという)が存在した。そしてdvbAは、Streptomyces tubercidicusのシトクロムP450(CYP105S1)のアミノ酸配列と最も高い相同性を有し(相同性54%)、さらにStreptomyces tubercidicusのシトクロムP450(CYP105S2)にも比較的高い相同性を有した(相同性51%)。このことからdvbAはシトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする遺伝子である可能性が高いと考えられた。
またdvbAのすぐ下流(配列番号2の塩基1200〜塩基1388)には2F-2Sタイプのフェレドキシンに高い相同性を有するタンパク質をコードするORF(以下、dvbBという)が存在した。dvbBがコードするタンパク質は63個のアミノ酸からなり(配列番号14)、Streptomyces griseolusのフェレドキシンsuaBのアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性53%)、さらにStreptomyces avermitilis MA-4680のフェレドキシンfdxBにも比較的高い相同性を有した(相同性50%)。そのため、dvbBは電子伝達を担い、dvbAと共に水酸化を行うフェレドキシンをコードしていると考えられた。
(5) IFO14104株由来のdvbAおよびdvbBを含有するDNA断片の調製
前項(4)において解析した配列番号2の塩基配列を参考にして、5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーdvbAB-NdeF (5'-GGCCATATGACCGAAACGCTGTACCCCGA-3':配列番号38参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーdvbAB-SpeR (5'-GCCACTAGTTACTCGATCACCTTGAT-3':配列番号39参照)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(dvbAB-NdeFおよびdvbAB-SpeR)と実施例1(1)で得たIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、KOD plus(東洋紡)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、dvbAおよびdvbBを含む約1.4kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-F1という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片-F1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
(6) プラスミドpSC-dvbABの構築
pT7NS-CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(5)で得たDNA断片-F1を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片-F1の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて連結した。これによって、dvbAおよびdvbBを内部に含有するDNA断片-F1と、プラスミドpT7NS-CamABとが連結された約9.4kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpSC-dvbABと称する)が構築された。
(7) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/pSC-dvbABの調製
前項(6)で調製したプラスミドpSC-dvbABを用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpSC-dvbABで形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-dvbAB株を得た。
実施例3:ダクチロスポランギウム・バリエスポラムIFO14104株由来P450遺伝子dvcAの塩基配列の決定およびその遺伝子をもつ形質転換体の調製
(1) ビタミンD3への水酸化活性を有するタンパク質の一つ(DvcA)をコードするDNAの部分的配列のクローニング
放線菌のCYP105ファミリーとCYP107ファミリーに属するシトクロムP450のアミノ酸配列を参考にして以下のようなプライマー(5Dm-4FおよびN1R-107)を設計し作成した(配列表の配列番号34および配列番号40参照)。
5Dm-4F:5'- CACGAGACSACSGCSAACATGAT-3'
N1R-107:5'- AGCCGGGCCAGCGGGGCGCCCAGGCA-3'
コドンの揺らぎを考慮して反応性を高めるために、混合塩基S(=C+G)を使用した。
次に、この2種のプライマー(5Dm-4FおよびN1R-107)と実施例1(1)で得たIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、1分間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約350bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-G1という)が増幅された。このDNA断片-G1は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片-G1を、反応液からWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
次に得られたDNA断片-G1の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片-G1を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)を用いてDNA断片-G1を連結し、大腸菌JM109株を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X-gal(40μg/mL)、IPTG(100μM)を含むL-Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL-Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片-G1を得た。
(2) クローニングされたDNA断片-G1の塩基配列の解析
前項(1)で得られたDNA断片-G1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片-G1は電気泳動で約350bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には354bpであることが明らかとなった(配列番号3の塩基727〜塩基1080参照)。クローニングされた前記の354bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片-G1がこの2種類のプライマー(5Dm-4FおよびN1R-107)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(3) DNA断片-G1の周辺領域の解析
前記のとおり、IFO14104株由来の水酸化活性を有するタンパク質の一つ(DvcA)をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591-593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、IFO14104株染色体DNA(実施例1(1)参照)をL緩衝液(10mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール)中において制限酵素KpnIで消化した。得られた制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片-G1の塩基配列から、以下のようなプライマー(3457-1Fおよび3457-1R)を設計し作成した(配列表の配列番号41および配列番号42参照)。
3457IN-1F:5'- TTCCCCGACGCGGACACCTTCGACATCA -3'
3457IN-1R:5'- GCAGCTTCTCCAGCTGGTCGGGGTGCTT-3'
次にこの2種のプライマー(3457IN-1Fおよび3457IN-1R)と前記の自己環状化させたIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、6分間行う2段階の反応30回繰り返した。
この結果、約1.9kbpの大きさのDNA断片(DNA断片-H1)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片-H1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。次に得られたDNA断片-H1について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(4) DNA断片-H1(約1.9kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(3)で得られたDNA断片-H1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片-H1のうちの、配列番号3に示された1227bpの塩基配列の情報を得た。
この1227bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、1種類のタンパク質がコードされていることが判明した。このタンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号3の塩基1〜塩基1224にシトクロムP450と高い相同性を有する408個のアミノ酸からなるタンパク質(配列番号15)をコードするORF(以下、dvcAという)が存在した。そしてdvcAは、Saccharopolyspora erythraeaのシトクロムP450(CYP107B1)のアミノ酸配列と最も高い相同性を有し(相同性57%)、さらにStreptomyces collinusのシトクロムP450(RubU)にも比較的高い相同性を有した(相同性52%)。このことからdvcAはシトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする遺伝子である可能性が高いと考えられた。
(5)IFO14104株由来のdvcAを含有するDNA断片の調製
前記(4)において解析した配列番号3の塩基配列を参考にして、5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーdvcA-NdeF (5'- CCCCATATGGGGGAGACTGCGACGGGTGCGAT -3':配列番号43参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーdvcA-SpeR (5'- CCCACTAGTCAGTGCGCTCCACGGTCCGA -3':配列番号44参照)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(dvcA-NdeFおよびdvcA-SpeR)と実施例1(1)で得たIFO14104株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、KOD plus(東洋紡)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、dvcAを含む約1.3kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-J1という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片-J1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
(6) プラスミドpSC-dvcAの構築
pT7NS-CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(5)で得たDNA断片-J1を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片-J1の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて連結した。これによって、dvcAを内部に含有するDNA断片-J1と、プラスミドpT7NS-CamABとが連結された約9.3kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpSC-dvcAと称する)が構築された。
(7) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/pSC-dvcAの調製
前項(6)で調製したプラスミドpSC-dvcAを用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpSC-dvcAで形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-dvcA株を得た。
実施例4:サッカロスリクス・ムタビリスNBRC12847株由来P450遺伝子ncaAの塩基配列の決定およびその遺伝子をもつ形質転換体の調製
(1) サッカロスリクス・ムタビリスNBRC12847株染色体のDNAの調製
グルコース1%、麦芽エキス0.4%、酵母エキス1%からなる培地にNBRC12847株を接種し、28℃、3日間培養した。得られた培養液を3000rpm、10分間遠心して菌体を集めた。その菌体からBlood & Cell Culture kit(QIAGEN社)を用いて染色体DNAを調製した。
(2) ビタミンD3への水酸化活性を有するタンパク質の一つ(NcaA)をコードするDNAの部分的配列のクローニング
放線菌のCYP105ファミリーに属するシトクロムP450のアミノ酸配列を参考にして以下のようなプライマー(A1F-105およびG1R-105)を設計し作成した(配列表の配列番号45および配列番号46参照)。
A1F-105:5'-GAGTTCACCGTGAAGCGGAT-3'
G1R-105:5'-TCACCAGGTGACCGGCAG-3'
次に、この2種のプライマー(A1F-105およびG1R-105)と前項(1)で得たNBRC12847株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、1分間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約900bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-K1という)が増幅された。このDNA断片-K1は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片-K1を、反応液からWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
次に得られたDNA断片-K1の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片-K1を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)を用いてDNA断片-K1を連結し、大腸菌JM109株を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X-gal(40μg/mL)、IPTG(100μM)を含むL-Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL-Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片-K1を得た。
(3) クローニングされたDNA断片-K1の塩基配列の解析
前項(2)で得られたDNA断片-K1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片-K1は電気泳動で約900bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には879bpであることが明らかとなった(配列番号4の塩基376〜塩基1254参照)。クローニングされた前記の879bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片-K1がこの2種類のプライマー(A1F-105およびG1R-105)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(4) DNA断片-K1の周辺領域の解析
前記のとおり、NBRC12847株由来の水酸化活性を有するタンパク質の一つ(NcaA)をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591-593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、NBRC12847株染色体DNA((1)参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中において制限酵素SphIで消化した。得られた制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片-K1の塩基配列から、以下のようなプライマー(20622-1Fおよび20622-1R)を設計し作成した(配列表の配列番号47および配列番号48参照)。
20622-1F:5'- GCGCGGTGGAGGAGCTGCTGCGCTA -3'
20622-1R:5'- CGGAGGTGCCGTTGCGCTCGGACAT -3'
次にこの2種のプライマー(20622-1Fおよび20622-1R)と前記の自己環状化させたNBRC12847株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、5分間行う2段階の反応30回繰り返した。
この結果、約4.1kbpの大きさのDNA断片(DNA断片-L1)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片-L1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。次に得られたDNA断片-L1について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(5) DNA断片-L1(約4.1kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(4)で得られたDNA断片-L1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片-L1のうちの、配列番号4に示された1257bpの塩基配列の情報を得た。
この1257bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、1種類のタンパク質がコードされていることが判明した。タンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号4の塩基1〜塩基1254にシトクロムP450と高い相同性を有する418個のアミノ酸からなるタンパク質(配列番号16)をコードするORF(以下、ncaAという)が存在した。そしてncaAは、Amycolatopsis mediterranei S699のシトクロムP450(ORF16)と推定されるアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性59%)、さらにStreptomyces tubercidicusのシトクロムP450(CYP105S1)にも比較的高い相同性を有した(相同性53%)。このことからncaAはシトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする遺伝子である可能性が高いと考えられた。
(6) NBRC12847株由来のncaAを含有するDNA断片の調製
前項(5)において解析した配列番号1の塩基配列を参考にして、5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーncaA-NdeF(5'- CCGCATATGACCAGCCCCACCGTTTC -3':配列番号49参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーncaA-SpeR(5'- CCGACTAGTCAGTCCCAGGCGACCGGCAGGCT -3':配列番号50参照)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(ncaA-NdeFおよびncaA-SpeR)と前項(1)で得たNBRC12847株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、KOD plus(東洋紡)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、ncaAを含む約1.3kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-M1という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片-M1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
(7) プラスミドpSC-ncaAの構築
pT7NS-CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(6)で得たDNA断片-M1を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片-M1の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて連結した。これによって、ncaAを内部に含有するDNA断片-M1と、プラスミドpT7NS-CamABとが連結された約9.3kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpSC-ncaAと称する)が構築された。
(8) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/ pSC-ncaAの調製
前項(7)で調製したプラスミドpSC-ncaAを用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpSC-ncaAで形質転換された大腸菌BL21(DE3)/ pSC-ncaA株を得た。
実施例5:サッカロスリクス・ムタビリスNBRC12847株由来P450遺伝子ncbAの塩基配列の決定およびその遺伝子をもつ形質転換体の調製
(1) シクロスポリンAへの水酸化活性を有するタンパク質の一つ(NcbA)をコードするDNAの部分的配列のクローニング
放線菌のCYP105ファミリーに属するシトクロムP450と付随するフェレドキシンのアミノ酸配列を参考にして以下のようなプライマー(E1F-105およびH1R-105)を設計し作成した(配列表の配列番号51および配列番号52参照)。
E1F-105:5'- CACCAGTGCCTGGGGCAGAA-3'
H1R-105:5'- GTCGAAGACGTCGGGCGCGGTCA-3'
次に、この2種のプライマー(E1F-105およびH1R-105)と実施例4(1)で得たNBRC12847株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、1分間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約250bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-N1という)が増幅された。このDNA断片-N1は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片-N1を、反応液からWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
次に得られたDNA断片-N1の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片-N1を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)を用いてDNA断片-N1を連結し、大腸菌JM109株を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X-gal(40μg/mL)、IPTG(100μM)を含むL-Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL-Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片-N1を得た。
(2) クローニングされたDNA断片-N1の塩基配列の解析
前項(1)で得られたDNA断片-N1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片-N1は電気泳動で約250bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には239bpであることが明らかとなった(配列番号5の塩基1033〜塩基1271参照)。クローニングされた前記の239bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片-D1がこの2種類のプライマー(E1F-105およびH1R-105)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(3) DNA断片-N1の周辺領域の解析
前記のとおり、NBRC12847株由来の水酸化活性を有するタンパク質の一つ(NcbA)をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591-593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、NBRC12847株染色体DNA(実施例4(1)参照)をM緩衝液(10mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,50mM NaCl)中において制限酵素NheIで消化した。得られた制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片-N1の塩基配列から、以下のようなプライマー(2071-2Fおよび2071-2R)を設計し作成した(配列表の配列番号53および配列番号54参照)。
2071-2F:5'- CGGAGCGCTGCGCCGGTTCGGGCAT -3'
2071-2R:5'- CCACCCGCATCTCGATGCGCGCCAA -3'
次にこの2種のプライマー(2071-2Fおよび2071-2R)と前記の自己環状化させたNBRC12847株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、6分間行う2段階の反応30回繰り返した。
この結果、約3.5kbpの大きさのDNA断片(DNA断片-P1)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片-P1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。次に得られたDNA断片-P1について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(4) DNA断片-P1(約3.5kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(4)で得られたDNA断片-P1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片-P1のうちの、配列番号5に示された1388bpの塩基配列の情報を得た。
この1388bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、2種類のタンパク質がコードされていることが判明した。これらのタンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号5の塩基1〜塩基1197にシトクロムP450と高い相同性を有する399個のアミノ酸からなるタンパク質(配列番号17)をコードするORF(以下、ncbAという)が存在した。そしてncbAは、Streptomyces tubercidicusのシトクロムP450(CYP105S1)のアミノ酸配列と最も高い相同性を有し(相同性55%)、さらにAmycolatopsis mediterranei S699のシトクロムP450(ORF0)と推定されるアミノ酸配列にも比較的高い相同性を有した(相同性49%)。このことからncbAはシトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする遺伝子である可能性が高いと考えられた。
またncbAのすぐ下流(配列番号5の塩基1197〜塩基1385)には2F-2Sタイプのフェレドキシンに高い相同性を有するタンパク質をコードするORF(以下、ncbBという)が存在した。ncbBがコードするタンパク質は63個のアミノ酸からなり(配列番号18)、Streptomyces griseolusのフェレドキシンsuaBのアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性56%)、さらにStreptomyces tubercidicusのフェレドキシンFd229にも比較的高い相同性を有した(相同性54%)。そのため、ncbBは電子伝達を担い、ncbAと共に水酸化を行うフェレドキシンをコードしていると考えられた。
(5) NBRC12847株由来のncbAおよびncbBを含有するDNA断片の調製
前項(4)において解析した配列番号2の塩基配列を参考にして、5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーncbAB-NdeF (5'- GGCCATATGACCGAAACGCTGTACCCCGAA -3':配列番号55参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーncbAB-SpeR (5'- CGGACTAGTCTACTCGATCACCTTGAT -3':配列番号56参照)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(ncbAB-NdeFおよびncbAB-SpeR)と実施例4(1)で得たNBRC12847株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、KOD plus(東洋紡)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、ncbAおよびncbBを含む約1.4kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-Q1という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片-Q1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
(6) プラスミドpSC-ncbABの構築
pT7NS-CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(5)で得たDNA断片-Q1を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片-Q1の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて連結した。これによって、ncbAおよびncbBを内部に含有するDNA断片-Q1と、プラスミドpT7NS-CamABとが連結された約9.4kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpSC-ncbABと称する)が構築された。
(7) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/pSC-ncbABの調製
前項(6)で調製したプラスミドpSC-ncbABを用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpSC-ncbABで形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-ncbAB株を得た。
実施例6:シュードノカルディア・オートトロフィカNBRC12743株由来P450遺伝子paaAの塩基配列の決定およびその遺伝子をもつ形質転換体の調製
(1) シュードノカルディア・オートトロフィカNBRC12743株染色体のDNAの調製
グルコース1%、麦芽エキス0.4%、酵母エキス1%からなる培地にNBRC12743株を接種し、28℃、3日間培養した。得られた培養液を3000rpm、10分間遠心して菌体を集めた。その菌体からBlood & Cell Culture kit(QIAGEN社)を用いて染色体DNAを調製した。
(2) ビタミンD3への水酸化活性を有するタンパク質の一つ(PaaA)をコードするDNAの部分的配列のクローニング
放線菌のCYP107ファミリーに属するシトクロムP450のアミノ酸配列を参考にして以下のようなプライマー(J1F-107およびM1R-107)を設計し作成した(配列表の配列番号57および配列番号58参照)。
J1F-107:5'- CTCGCCGACCCGCGGCTGTCGAAGGA -3'
M1R-107:5'- GCGACCAGCAGGAGGAAGGCCAT -3'
次に、この2種のプライマー(J1F-107およびM1R-107)と前項(1)で得たNBRC12743株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、1分間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約540bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-R1という)が増幅された。このDNA断片-R1は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片-R1を、反応液からWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
次に得られたDNA断片-R1の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片-R1を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)を用いてDNA断片-R1を連結し、大腸菌JM109株を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X-gal(40μg/mL)、IPTG(100μM)を含むL-Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL-Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片-R1を得た。
(3) クローニングされたDNA断片-R1の塩基配列の解析
前項(2)で得られたDNA断片-R1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片-R1は電気泳動で約540bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には557bpであることが明らかとなった(配列番号6の塩基163〜塩基720参照)。クローニングされた前記の557bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片-R1がこの2種類のプライマー(J1F-107およびM1R-107)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(4) DNA断片-R1の周辺領域の解析
前記のとおり、NBRC12743株由来の水酸化活性を有するタンパク質の一つ(PaaA)をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591-593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、NBRC12743株染色体DNA((1)参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中において制限酵素XhoIで消化した。得られた制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片-R1の塩基配列から、以下のようなプライマー(7023-1Fおよび7023-1R)を設計し作成した(配列表の配列番号59および配列番号60参照)。
7023-1F:5'- ACGGCGACTCGCTGAGCCCCGGCGAGACGA -3'
7023-1R:5'- TGGCCCGGACTCCTGACGGGCCAGCAGCTC -3'
次にこの2種のプライマー(7023-1Fおよび7023-1R)と前記の自己環状化させたNBRC12743株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(タカラバイオ社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、6分間行う2段階の反応30回繰り返した。
この結果、約3.0kbpの大きさのDNA断片(DNA断片-S1)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片-S1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。次に得られたDNA断片-S1について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(タカラバイオ社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(Labo Pass Mini, 北海道システムサイエンス社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(5) DNA断片-S1(約3.0kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(4)で得られたDNA断片-S1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(アプライドバイオシステム社;310)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片-S1のうちの、配列番号6に示された1272bpの塩基配列の情報を得た。
この1272bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、1種類のタンパク質がコードされていることが判明した。タンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号6の塩基1〜塩基1269にシトクロムP450と高い相同性を有する424個のアミノ酸からなるタンパク質(配列番号19)をコードするORF(以下、paaAという)が存在した。そしてpaaAは、Streptomyces collinusのシトクロムP450(RubU)のアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性53%)、さらにSaccharopolyspora erythraeaのシトクロムP450(CYP107B1)にも比較的高い相同性を有した(相同性49%)。このことからpaaAはシトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする遺伝子である可能性が高いと考えられた。
(6) NBRC12743株由来のpaaAを含有するDNA断片の調製
前記(5)において解析した配列番号6の塩基配列を参考にして、5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーpaaA-NdeF(5'- CCGCATATGACAGACACCACCGAAC -3':配列番号61参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーpaaA-SpeR(5'- CGGACTAGTCACCTGGCCGCCGGTCCCGTTG -3':配列番号62参照)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(paaA-NdeFおよびpaaA-SpeR)と前記 (1)で得たNBRC12743株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、KOD plus(東洋紡)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、paaAを含む約1.3kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片-T1という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片-T1をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社)によって回収した。
(7) プラスミドpSC-paaAの構築
pT7NS-CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(6)で得たDNA断片-T1を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片-T1の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社)を用いて連結した。これによって、paaAを内部に含有するDNA断片-T1と、プラスミドpT7NS-CamABとが連結された約9.3kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpSC-paaAと称する)が構築された。
(8) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/pSC-paaAの調製
前項(7)で調製したプラスミドpSC-paaAを用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpSC-paaAで形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-paaA株を得た。
実施例7:シュードノカルディア・オートトロフィカNBRC12743株由来P450遺伝子pabAおよびフェレドキシン遺伝子pabBの塩基配列の決定
実施例6(1)で得たNBRC12743株染色体DNAをテンプレートとし、以下の2種のプライマー(E1F-105(配列番号51参照)およびH2R-105(配列番号35参照))を用い、実施例2と同様にPCR反応を行い、目的遺伝子の部分配列を増幅し、その塩基配列を決定した。
E1F-105:5'- CACCAGTGCCTGGGGCAGAA-3'
H2R-105:5'- GTCGTCCTGGTCGAA-3'
さらに得られた目的遺伝子の部分配列情報をもとに以下のようなプライマー(43N-1F(配列番号63参照)および43N-1R(配列番号64参照))を作成した。
43N-1F:5'- ACCAGCTTCCGGTGACCTGGTGATGAAGAT-3'
43N-1R:5'- CAGGGTGTCGAACACGATCTGCAGCTCCAT-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、P450遺伝子pabA(配列番号7の塩基1〜塩基1197)およびフェレドキシン遺伝子pabB(配列番号7の塩基1200〜塩基1385)を含む、配列番号7に示した1388bpのDNA断片を取得し、その配列情報を得た。タンパク質pabAおよびpabBのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号20および21に記載する。さらに配列番号7の塩基配列を参考にして5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーpabAB-NdeF(配列番号65参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーpabAB-SpeR(配列番号66参照)を設計し作成した。
pabAB-NdeF:5'- CCCCATATGACGACCGTCGACGAGTT-3'
pabAB-SpeR:5'- CCCACTAGTCAGTCGCAGGACAGGGCCT-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、配列番号7のDNA断片からpabAおよびpabBを組み込んだプラスミドpSC-pabABを調製し、これを用いて大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換し、形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-pabAB株を得た。
実施例8:ストレプトマイセス・レゼオビアラセウス NBRC13081株由来P450遺伝子sraAの塩基配列の決定
ストレプトマイセス・レゼオビアラセウス NBRC13081株染色体DNAをテンプレートとし、以下の2種のプライマー(5Dm-3F(配列番号28参照)および5D-1R(配列番号67参照))を用い、実施例2と同様の操作を行い、目的遺伝子の部分配列を増幅し、その塩基配列を決定した。
5Dm-3F:5'-TTCGCSCTSCCSGTCCCSTCSATGGTSAT-3'
5D-1R:5'-GGTGCCCAGCGAGATCATGAA-3'
さらに得られた目的遺伝子の部分配列情報をもとに以下のようなプライマー(6412-1F(配列番号68参照)および6412-2R(配列番号69参照))を作成した。
6412-1F:5'-GCCAGCACCGGGGTCCTGCTGCTGA-3'
6412-2R:5'-CTGGAAGCGGTCGCGGTCCTCGTA-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、P450遺伝子sraA(配列番号8の塩基1〜塩基1215)を含む、配列番号8に示した1218bpのDNA断片を取得し、その配列情報を得た。タンパク質sraAのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号22に記載する。さらに配列番号8の塩基配列を参考にして5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーsraA-NdeF(配列番号70参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーsraA-SpeR(配列番号71参照)を設計し作成した。
sraA-NdeF:5'-CCCCATATGACCACCACACCCACCGCCCA-3'
sraA-SpeR:5'-GGGACTAGTCACCAGGTCACGGGCAGCGA-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、配列番号8のDNA断片からsraAを組み込んだプラスミドpSC-sraAを調製し、これを用いて大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換し、形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-sraA株を得た。
実施例9:ストレプトマイセス・シトレオフルオレッセンス NBRC12853株由来P450遺伝子scaAの塩基配列の決定
ストレプトマイセス・シトレオフルオレッセンス NBRC12853株染色体DNAをテンプレートとし、以下の2種のプライマー(K2F-107(配列番号72参照)およびN1R-107 (配列番号40参照))を用い、実施例2と同様の操作を行い、目的遺伝子の部分配列を増幅し、その塩基配列を決定した。
K2F-107:5'-CACACCCGGCTGCGCAAGCTGGT-3'
N1R-107:5'-AGCCGGGCCAGCGGGGCGCCCAGGCA-3'
さらに得られた目的遺伝子の部分配列情報をもとに以下のようなプライマー(21188-1F(配列番号73参照)および21188-1R(配列番号74参照))を作成した。
21188-1F:5'-CCAGCACGTTGCCTTCGGGCACGGCAT-3'
21188-1R:5'-CACCTCGTCGAGCAGCGCATCGGTGAT-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、P450遺伝子scaA(配列番号9の塩基1〜塩基1227)を含む、配列番号9に示した1230bpのDNA断片を取得し、その配列情報を得た。タンパク質scaAのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号23に記載する。さらに配列番号9の塩基配列を参考にして5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーscaA-NdeF(配列番号75参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーscaA-SpeR(配列番号76参照)を設計し作成した。
scaA-NdeF:5'-CCCCATATGAGCGACCTTGTGACGTT-3'
scaA-SpeR:5'-CCGACTAGTCAGCGTCCCCGGCCGCCGGGGGT-3'
これらのプライマーを用い、実施例2と同様の操作を行い、配列番号9のDNA断片からscaAを組み込んだプラスミドpSC-scaAを調製し、これを用いて大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換し、形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-scaA株を得た。
実施例10:シュードノカルディア・オートトロフィカ ATCC35204株由来P450遺伝子pazAおよびフェレドキシン遺伝子pazBの塩基配列の決定
シュードノカルディア・オートトロフィカ ATCC35204株染色体DNAをテンプレートとし、以下の2種のプライマー(K1F-107(配列番号77参照)およびN1R-107(配列番号40参照))を用い、実施例2と同様の操作を行い、目的遺伝子の部分配列を増幅し、その塩基配列を決定した。
K1F-107:5'-GACCCGCCGGAGCACACCCGGCT-3'
N1R-107:5'- AGCCGGGCCAGCGGGGCGCCCAGGCA-3'
さらに得られた目的遺伝子の部分配列情報をもとに以下のようなプライマー(62182-1F(配列番号78参照)および62182-1R(配列番号79参照))を作成した。
62182-1F:5'-TTCGACGCGCCCGAAGAGGTGAAGTT-3'
62182-1R:5'-TCGACGCGCCGTACGGTGAAGCCGTT-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、P450遺伝子pazA(配列番号10の塩基1〜塩基1185)およびフェレドキシン遺伝子pazB(配列番号10の塩基1198〜塩基1410)を含む、配列番号10に示した1413bpのDNA断片を取得し、その配列情報を得た。タンパク質pazAおよびpazBのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号24および25に記載する。さらに配列番号10の塩基配列を参考にして5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーpazAB-NdeF(配列番号80参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーpazAB-SpeR(配列番号81参照)を設計し作成した。
pazAB-NdeF:5'- CCCCATATGACCACCACGTCCGAACCCGT-3'
pazAB-SpeR:5'- CCCACTAGTCAGCTCCGGGGGCCGATCA-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、配列番号10のDNA断片からpazAおよびpazBを組み込んだプラスミドpSC-pazABを調製し、これを用いて大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換し、形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-pazAB株を得た。
実施例11:ストレプトマイセス・クリソマリウス HUT6141株由来P450遺伝子sxaAおよびフェレドキシン遺伝子sxaBの塩基配列の決定
ストレプトマイセス・クリソマリウス HUT6141株染色体DNAをテンプレートとし、以下の2種のプライマー(5Dm-3F(配列番号28参照)およびH1R-105(配列番号52参照))を用い、目的遺伝子の部分配列を増幅し、その塩基配列を決定した。
5Dm-3F:5'-TTCGCSCTSCCSGTCCCSTCSATGGTSAT-3'
H1R-105:5'-GTCGAAGACGTCGGGCGCGGTCA-3'
さらに得られた目的遺伝子の部分配列情報をもとに以下のようなプライマー(kin29-F(配列番号82参照)およびkin29-R(配列番号83参照))を作成した。
Kin29-F:5'-AGCGGCATGGGCATCGAGGTCGACAAGGAA-3'
Kin29-R:5'-GCAGCCCTCGAAGAACTCGTGGTCGGCGTA-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、P450遺伝子sxaA(配列番号11の塩基1〜塩基1248)およびフェレドキシン遺伝子sxaB(配列番号11の塩基1245〜塩基1451)を含む、配列番号11に示した1454bpのDNA断片を取得し、その配列情報を得た。タンパク質sxaAおよびsxaBのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号26および27に記載する。さらに配列番号11の塩基配列を参考にして5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーsxaAB-NdeF(配列番号84参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーsxaAB-SpeR(配列番号85参照)を設計し作成した。
sxaAB-NdeF:5'-CCCCATATGACGGAATCCACGACGGACCCGGCCCGCCAGG-3'
sxaAB-SpeR:5'-CCCACTAGTCAGTCGGAGGAGAGGACCACCGCCCCG-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、配列番号11のDNA断片からsxaAおよびsxaBを組み込んだプラスミドpSC-sxaABを調製し、これを用いて大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換し、形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-sxaAB株を得た。
実施例12:ストレプトマイセス・ファシクラタス NBRC12765株由来P450遺伝子sfaAの塩基配列の決定
ストレプトマイセス・ファシクラタス NBRC12765株染色体DNAをテンプレートとし、以下の2種のプライマー(5Dm-3F(配列番号28参照)およびG1R-105(配列番号46参照))を用い、目的遺伝子の部分配列を増幅し、その塩基配列を決定した。
5Dm-3F:5'-TTCGCSCTSCCSGTCCCSTCSATGGTSAT-3'
G1R-105:5'-TCACCAGGTGACCGGCAG-3'
さらに得られた目的遺伝子の部分配列情報をもとに以下のようなプライマー(489B-1F(配列番号88参照)および489B-1R(配列番号89参照))を作成した。
489B-1F:5'-gtgagactccgaaccgacatgaacatctac-3'
489B-1R:5'-cccggtcctcgtaggggacgccgagcagtt -3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、P450遺伝子sfaA(配列番号86の塩基1〜塩基1242)を含む、配列番号16に示した1245bpのDNA断片を取得し、その配列情報を得た。タンパク質sfaAのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号87に記載する。さらに配列番号86の塩基配列を参考にして5'末端にNdeIサイトを付加したプライマーsfaA-NdeF(配列番号90参照)および5'末端にSpeIサイトを付加したプライマーsfaA-SpeR(配列番号91参照)を設計し作成した。
sfaA-NdeF:5'- agggcatatgagtcagacgaatcagatgaa-3'
sfaA-SpeR:5'- ccactagtctactgggccgtttgcgtcca-3'
これらのプライマーを用いて実施例2と同様の操作を行い、配列番号86のDNA断片からsfaAを組み込んだプラスミドpSC-sfaAを調製し、これを用いて大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換し、形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-sfaA株を得た。
参考例1:ストレプトミセス・グリセオラス ATCC11796株由来P450遺伝子P450SU-1をもつ形質転換体の調製
J. Bacteriol. 172 (6), 3335-3345 (1990) の情報をもとに、放線菌ストレプトミセス・グリセオラスATCC 11796株由来のシトクロムP450遺伝子P450SU-1(CYP105A1)をプラスミドpT7NS-CamABに組み込んでクローニングし、形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pSC-SU-1株を得た。
実施例13:P450遺伝子をもつ大腸菌形質転換体によるビタミンD3の25-ヒドロキシビタミンD3への変換および25-ヒドロキシビタミンD3の1α,25-ジヒドロキシビタミンD3への変換
上記実施例および参考例で得た形質転換大腸菌BL21(DE3)/pSC-dvaA株、BL21(DE3)/pSC-dvbAB株、BL21(DE3)/pSC-dvcA株、BL21(DE3)/pSC-ncaA株、BL21(DE3)/pSC-ncbAB株、BL21(DE3)/pSC-paaA株、BL21(DE3)/pSC-pabAB株、BL21(DE3)/pSC-sraA株、BL21(DE3)/pSC-scaA株、BL21(DE3)/pSC-pazAB株、BL21(DE3)/pSC-sxaAB株、BL21(DE3)/pSC-sfaA株、BL21(DE3)/pSC-SU-1株およびBL21(DE3)/pT7NS-CamAB株の各コロニーをカルベニシリン50μg/mLおよびOvernight Express Autoinduction System(Novagen社)を含むM9mix培地(3.39% Na2HPO4、1.5% KH2PO、0.25% NaCl、0.5% NH4Cl、1% カザミノ酸、0.002% チミン、 0.1mM CaCl2、 0.1mM FeSO4)25mLの入った250mL容のフラスコに植菌し25℃で24時間振とう培養した。この培養液の5mLを15mL容の試験管に分注後、3500rpmで10分間遠心分離し、得られた菌体にCV2 緩衝液 (50mM リン酸カリウム緩衝液、2%グリセリン、50μg/mLカルベニシリン、0.1M IPTG)1mLと1% ビタミンD3もしくは25-ヒドロキシビタミンD3を10μL添加した。こうして得られた変換反応液を28℃で24時間反応させた。この変換反応液を等量の酢酸エチルで抽出した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、水酸化誘導体の量を測定した。ビタミンD3を基質としたときの測定結果を表1に、25-ヒドロキシビタミンD3を基質としたときの測定結果を表2にそれぞれ示す。なお、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の分析条件を以下に示すとおりである。
分析装置: Agilent 1100
カラム: Zorbax XDB C18 I.D.4.6×50mm 1.8μm(アジレント社製)
移動相: Gradient:0min〜1min(水〜40%アセトニトリル),1〜4min(40%アセトニトリル〜90%アセトニトリル),4〜11min(90%アセトニトリル〜100%アセトニトリル),11〜11.5min(100%アセトニトリル〜40%アセトニトリル), 11.5〜13min(40%アセトニトリル〜水),13min(stop)
流速:1mL/min
検出:PDA(265nm)
インジェクション容量:5μL
カラム温度:50℃
分析時間:13min
保持時間:ビタミンD3 7.5分
25-ヒドロキシビタミンD3 4.6分
1α,25-ジヒドロキシビタミンD3 3.9分
Figure 2008096695
Figure 2008096695
P450遺伝子を導入していないBL21(DE3)/pT7NS-CamAB株は、予想どおり、水酸化活性を示さなかった。しかし、精製酵素においてビタミンD3の25-ヒドロキシビタミンD3への変換、あるいは25-ヒドロキシビタミンD3の1α,25-ジヒドロキシビタミンD3への変換が報告されている放線菌ストレプトミセス・グリセオラス ATCC11796株由来のシトクロムP450遺伝子P450SU-1(CYP105A1)を導入したBL21(DE3)/pSC-SU-1株においても、それらの水酸化活性をまったく確認できなかった。
それに対し、BL21(DE3)/pSC-dvaA株、BL21(DE3)/pSC-dvbAB株、BL21(DE3)/pSC-dvcA株、BL21(DE3)/pSC-ncaA株、BL21(DE3)/pSC-ncbAB株、BL21(DE3)/pSC-paaA株、BL21(DE3)/pSC-pabAB株、BL21(DE3)/pSC-sraA株、BL21(DE3)/pSC-scaA株、BL21(DE3)/pSC-pazAB株、BL21(DE3)/pSC-sxaAB株およびBL21(DE3)/pSC-sfaA株の各形質転換体を用いた変換試験では、ビタミンD3の25-ヒドロキシビタミンDへの変換および25-ヒドロキシビタミンDの1α,25-ジヒドロキシビタミンDへの変換の少なくともどちらか一方の活性が確認された。
このことより、dvaA、dvbA、dvcA、ncaA、ncbA、paaA、pabA、sraA、scaA、pazA、sxaAおよびsfaAの各遺伝子のコードするシトクロムP450が、ビタミンD3の25-ヒドロキシビタミンD3への変換、あるいは25-ヒドロキシビタミンD3の1α,25-ジヒドロキシビタミンD3への変換の少なくともどちらか一方について優れた活性を有していることがわかる。
特にdvcA、paaA、scaAおよびpazAの各遺伝子がコードするシトクロムP450は、ビタミンD3の25-ヒドロキシビタミンD3への変換活性のみ有し、25-ヒドロキシビタミンD3の1α,25-ジヒドロキシビタミンD3への変換活性を有していないので、ビタミンD3を原料とした25-ヒドロキシビタミンD3の製造に適している。それに対し、dvaA、dvbA、ncaA、ncbA、pabA、sraA、sxaAおよびsfaAの各遺伝子のコードするシトクロムP450は、ビタミンD3の25-ヒドロキシビタミンD3への変換活性および25-ヒドロキシビタミンD3の1α,25-ジヒドロキシビタミンD3への変換活性の両方の活性を有しているので、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の製造に適している。
産業上の利用可能性
本発明は、水酸化ビタミンD誘導体の製造に関連する医薬産業において有用である。

Claims (17)

  1. ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質を一部にまたは全体としてコードするDNA。
  2. 下記の(a)、(b) 、(c) または(d)で示されるDNA。
    (a) ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAであって、
    配列番号1の塩基1から塩基1254までの連続した塩基配列、
    配列番号2の塩基1から塩基1200までの連続した塩基配列、
    配列番号3の塩基1から塩基1224までの連続した塩基配列、
    配列番号4の塩基1から塩基1254までの連続した塩基配列、
    配列番号5の塩基1から塩基1197までの連続した塩基配列、
    配列番号6の塩基1から塩基1269までの連続した塩基配列、
    配列番号7の塩基1から塩基1197までの連続した塩基配列、
    配列番号8の塩基1から塩基1215までの連続した塩基配列、
    配列番号9の塩基1から塩基1227までの連続した塩基配列、
    配列番号10の塩基1から塩基1185までの連続した塩基配列、
    配列番号11の塩基1から塩基1248までの連続した塩基配列および
    配列番号86の塩基1から塩基1242までの連続した塩基配列
    からなる群より選択されるDNA。
    (b)前記(a)で示されるDNAの改変体であって、
    (i)前記(a)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
    (ii)ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (c)遺伝子コドンの縮重のため、前記(a)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(a)または(b)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
    (d) 前記(a)で示されるDNAの塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  3. 請求項2記載のDNAによりコードされるタンパク質。
  4. 下記(1)〜(3)の何れかのアミノ酸配列を有し、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (1)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列;
    (2)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
    (3)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  5. 下記(1)〜(3)の何れかのアミノ酸配列を有し、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質。
    (1)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列;
    (2)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
    (3)配列表の配列番号12、13、15、16、17、19、20、22、23、24、26または87に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  6. 請求項1、2または4記載のDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド。
  7. 請求項6記載の組み換えプラスミドで宿主を形質転換した形質転換体。
  8. 請求項1、2または4に記載されたDNAまたはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いて、DNAライブラリーから、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3および25-ヒドロキシビタミンD2からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを探索することを特徴とする、ビタミンD類の水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAのスクリーニング方法。
  9. 下記の(e)、(f) 、(g)または(h)で示されるDNA。
    (e)フェレドキシンをコードするDNAであって、
    配列番号2の塩基1200から塩基1388までの連続した塩基配列、
    配列番号5の塩基1197から塩基1385までの連続した塩基配列、
    配列番号7の塩基1200から塩基1385までの連続した塩基配列、
    配列番号10の塩基1198から塩基1410までの連続した塩基配列および
    配列番号11の塩基1245から塩基1451までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
    (f)前記(e)で示されるDNAの改変体であって、
    (i)前記(e)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
    (ii)フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
    (g)遺伝子コドンの縮重のため、前記(e)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(e)または(f)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
    (h) 前記(e)で示されるDNAの塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
  10. 請求項9記載のDNAによりコードされるタンパク質。
  11. 下記(4)〜(6)の何れかのアミノ酸配列を有し、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
    (4)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列;
    (5)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
    (6)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  12. 下記(4)〜(6)の何れかのアミノ酸配列を有し、フェレドキシン機能を有するタンパク質。
    (4)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列;
    (5)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列;又は
    (6)配列表の配列番号14、18、21、25または27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  13. 請求項9または11記載のDNAをさらに担持する、請求項6に記載の自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド。
  14. 請求項13記載の組み換えプラスミドで宿主を形質転換した形質転換体。
  15. 宿主が、放線菌由来のフェレドキシン遺伝子およびフェレドキシン還元酵素遺伝子を発現可能な状態で含む大腸菌である請求項7または14に記載の形質転換体。
  16. 請求項9または11に記載されたDNAまたはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いて、DNAライブラリーから、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを探索することを特徴とする、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAのスクリーニング方法。
  17. 請求項7、14または15に記載の形質転換体を培地で培養し、培養中または培養後に、増殖した形質転換体とビタミンD類とを接触させ、水酸化ビタミンD誘導体に変換し、こうして変換された水酸化ビタミンD誘導体を採取することを特徴とする水酸化ビタミンD誘導体の製造方法。
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