JPWO2008090745A1 - ループアンテナ - Google Patents

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Abstract

ループアンテナの設置環境による特性変動を低減し、ひいてはデータ通信の機能低下を防ぐことが可能なループアンテナを提供する。非接触ICカードリーダのデータ送受信回路に接続され、カード状媒体との通信を行うループ形状の給電パターン21と、給電パターン21を間に挟んで積層配置されるとともに、データ送受信回路のグランドに接続される一対のグランドパターン11,31と、を有し、一対のグランドパターンは、当該一対のグランドパターンによって形成される中間層を貫通する複数のビア41を介して、互いに電気的に接続されているとともに、複数のビア41は、一対のグランドパターンの抵抗を略均一に分布させるような間隔で配置されている。

Description

本発明は、非接触ICカードリーダにおいて、カード状媒体と通信を行うループアンテナに関する。
従来から、例えばキャッシュカードやクレジットカードなど、個人情報,認証情報又は経過情報などのデータが記録されたカード状媒体がある。一般に、カード状媒体へ各種データを記録するにあたっては、磁気ストライプ,接触ICチップ又は非接触ICチップなどの磁気的・電子的素子が用いられる。また、これらのうち、非接触ICチップに記録されたデータにアクセスする際には、非接触式のICカードリーダが用いられる。具体的には、非接触ICカードリーダに設けられたループアンテナを用いて、電磁誘導に基づきカード状媒体の非接触ICチップとデータ通信を行う。
ループアンテナは、一般に、近傍での磁界による(電磁誘導による)データ通信を効率良く行うためにループ形状となっている。そして、このループアンテナの各ループ(給電パターンコイル等)は、インダクタンスとして機能しながらも線間に浮遊容量を持たせるため、各々密接させるように束ねられている。
ここで、例えば特許文献1に開示されたループアンテナ(シールドアンテナコイル)では、他の無線装置の通信妨害となる電界成分を減らすために、給電パターンコイル及び共振パターンコイルを挟むように、一対の電界シールドパターンが配置されている。
特開2001−326526号公報
しかしながら、上述した電界シールドパターンによれば、確かに他の無線装置の通信妨害となる電界成分を減らすことができるが、ループアンテナの設置環境により特性変動が生ずる虞は否めない。
例えば、非接触ICカードリーダが上位装置(例えばATM)などに設置されたとき、その非接触ICカードリーダ内のループアンテナが何らかの導体(金属等の導電性物質)に近づいてしまったとすると、その導体には、ループアンテナから放射される磁界を打ち消す方向に渦電流が流れる。その結果、(例えばQ値がずれて)ループアンテナの周波数特性が変動し、ひいてはカード状媒体とのデータ通信の機能低下を招く虞がある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ループアンテナの設置環境による特性変動を低減し、ひいてはデータ通信の機能低下を防ぐことが可能なループアンテナを提供することにある。
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
(1) 非接触ICカードリーダのデータ送受信回路に接続され、カード状媒体との通信を行うループ形状の給電パターンと、前記給電パターンを間に挟んで積層配置されるとともに、前記データ送受信回路のグランドに接続される一対のグランドパターンと、を有し、前記一対のグランドパターンは、当該一対のグランドパターンによって形成される中間層を貫通する複数のビアを介して、互いに電気的に接続されているとともに、前記複数のビアは、前記一対のグランドパターンの抵抗を略均一に分布させるような間隔で配置されていることを特徴とするループアンテナ。
本発明によれば、カード状媒体との通信を行うループ形状の給電パターンと、この給電パターンを間に挟むようにして積層配置される一対のグランドパターンとを有している。
また、これら一対のグランドパターンは、データ送受信回路のグランドに接続されているとともに、間に形成される中間層を貫通する複数のビアを介して、互いに電気的に接続されている。さらに、複数のビアは、一対のグランドパターンの抵抗(抵抗値)を略均一に分布させるような間隔で配置されていることとしたので、ループアンテナの設置環境による特性変動を低減することができる。
すなわち、ループアンテナのループライン(給電パターン)の一部又は全部が、外層のグランドパターンで覆われる結果、外部(外部の通信装置等)からの悪影響を低減することができる。また、一対のグランドパターンを電気的に接続する複数のビアは、一対のグランドパターンの抵抗を略均一に分布させるような間隔で配置されているので、グランドパターン全体を低インピーダンス化して、ループアンテナの特性を安定化させることができ、ひいては設置環境による特性変動を低減し、データ通信の機能低下を防ぐことができる。
なお、ループアンテナに導体(金属)が近づくこと(設置環境)に起因した特性変動を完全に打ち消すのは極めて困難であるが、本発明によれば、その特性変動を少なくとも低減することが可能な点で有益である。
(2) 前記複数のビアは、前記給電パターンのループ形状に沿って配置されていることを特徴とするループアンテナ。
本発明によれば、上述した複数のビアは、上述した給電パターンのループ形状に沿って配置されていることとしたので、より効率的に、一対のグランドパターンの抵抗を略均一に分布させることができる。
(3) 前記複数のビアは、略同一の間隔で配置されていることを特徴とするループアンテナ。
本発明によれば、上述した複数のビアは、略同一の間隔で配置されていることとしたので、より効果的に、一対のグランドパターンの抵抗を略均一に分布させることができる。
(4) 前記複数のビアの径を変えることによって、前記一対のグランドパターンの抵抗が略均一に分布していることを特徴とするループアンテナ。
本発明によれば、上述した複数のビアの径を変えることによって、一対のグランドパターンの抵抗が略均一分布していることとしたので、簡易かつ安価にグランドパターンの抵抗値を調整することができる。
すなわち、グランドパターンの抵抗値を調整するにあたっては、例えばビアの数を変えることも考えられるが、これでは再度ビアの配置設計を行う必要があり、余計な手間が掛かる。しかし、本発明によれば、ビアの径を変えるのみでよいので、簡易かつ安価にグランドパターンの抵抗値を調整することができる。
(5) 前記複数のビアには、半田が埋められていることを特徴とするループアンテナ。
本発明によれば、上述した複数のビアには、半田が埋められていることとしたので、グランドパターンの低インピーダンス化を容易にすることができる。また、グランドパターンの抵抗値を最適に調整することもできる。
本発明に係るループアンテナによれば、一対のグランドパターンを電気的に接続するビアが複数設けられ、各ビアは、一対のグランドパターンの抵抗を略均一に分布させるような間隔で配置されているので、例えば周波数特性などのループアンテナの特性を安定化させることができ、ひいては設置環境による特性変動を低減し、データ通信の機能低下を防ぐことができる。
本発明の実施の形態に係るループアンテナの概要を示す外観図である。 図1に示すループアンテナのうちグランドパターン層のみに着目したときの平面図である。 図1に示すループアンテナのうち給電パターン層のみに着目したときの平面図である。 図1に示すループアンテナのうちグランドパターン層のみに着目したときの平面図である。 グランドパターンとグランドパターンを電気的に接続するビアに着目したとき視図である。 ビアの他の分布例を説明するための概略図である。
符号の説明
10,30 グランドパターン層
11,31 グランドパターン
20 給電パターン層
21 給電パターン
12 ギャップ
15 共振回路
41 ビア
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るループアンテナ1の概要を示す外観図である。
図1において、ループアンテナ1は、グランドパターン層10と、給電パターン層20と、グランドパターン層30と、を有しており、給電パターン層20がグランドパターン層10とグランドパターン層30によって挟まれた構成となっている。
図2は、図1に示すループアンテナ1のうちグランドパターン層10のみに着目したときの断面図である。図3は、図1に示すループアンテナ1のうち給電パターン層20のみに着目したときの断面図である。図4は、図1に示すループアンテナ1のうちグランドパターン層30のみに着目したときの断面図である。
図3に示すように、給電パターン層20には、非接触ICカードリーダのデータ送受信回路(図示せず)に接続され、カード状媒体との通信を行うループ形状の給電パターン(アンテナコイル)21が形成されている。給電パターン21は、電磁誘導によるデータ通信を効率良く行うために、可能な限り面積が大きくなるように配置されている(給電パターン層20の外周に概ね沿って配置されている)。給電パターン21の両端は、接続部51及び接続部52により、グランドパターン層10に設けられた共振回路15を介して、グランドパターン層10に形成されたグランドパターン11に接続されている(図2及び図3参照)。なお、共振回路15は、誘導性又は容量性のインピーダンスを有する回路であって、例えばコイルやコンデンサ(又は抵抗)などの電気要素から構成される。
グランドパターン11は、データ送受信回路(図示せず)のグランドに接続されている(接地されている)。また、グランドパターン11は、グランドパターン層30に形成されたグランドパターン31と一対になっており、間に給電パターン21を挟んで積層配置されている(図1参照)。そして、グランドパターン31も、データ送受信回路(図示せず)のグランドに接続されている。
また、グランドパターン11及びグランドパターン31は、給電パターン21のループ形状に沿って配置されている(図2及び図4参照)。これにより、給電パターン21は、グランドパターン11及びグランドパターン31により、その一部又は全部が覆われることになる。給電パターン21の大部分が覆われれば、それだけ外部からのノイズの悪影響を受け難くなる。なお、グランドパターン11には、自身がアンテナにならないようにギャップ12が形成されており、また、グランドパターン31にも、自身がアンテナにならないようにギャップ32が形成されている。さらに、グランドパターン11及びグランドパターン31は、例えば厚さが18μmや35μm、または70μmの銅箔より構成され、給電パターン21とは絶縁層(図示せず)によって絶縁されている。
ここで、本実施形態に係るループアンテナ1では、グランドパターン11及びグランドパターン31は、これらのグランドパターンによって形成される中間層(給電パターン層20)を貫通する複数のビア41を介して、互いに電気的に接続されている。具体的には、図2及び図4に示すように、グランドパターン11とグランドパターン31には、それぞれ複数のビア41が設けられている(図2及び図4では、説明の便宜上、ビア41a〜ビア41jだけを示している)。
図5は、グランドパターン11とグランドパターン31を電気的に接続するビア41a〜41dに着目したときの斜視図である。なお、説明の便宜上、他のビアについては省略している。図5に示すように、グランドパターン11に形成されたビア41a〜41dと、グランドパターン31に形成されたビア41a〜41dは、円柱状の内壁に銅メッキがなされており電気的に連結されている。他のビアについても同様である。そして、ビア41a〜41dには、半田が埋められているが、この半田は、埋められていなくてもよい。
一方で、図2及び図4に示すように、複数のビア41は、一対のグランドパターン11,31の抵抗を略均一に分布させるような間隔で配置されている。より具体的には、複数のビア41は、給電パターン21のループ形状に凡そ沿って配置されており、例えばビア41a〜41dについていえば、略同一の間隔で配置されている。
このように、複数のビア41を介して、グランドパターン11とグランドパターン31を電気的に接続することによって(グランドパターン11とグランドパターン31を、並列配置された複数の抵抗で連結することと同値である)、グランドパターンの低インピーダンス化を図ることができる。その結果、ループアンテナ1の特性を安定化することができ、ひいては設置環境による特性変動を低減し、データ通信の機能低下を防ぐことができる。
なお、グランドパターンが低インピーダンス化する具体例について説明すると、まず、スルーホールは、その穴径が0.8mmであり、その抵抗値が1.1mΩであるとする。また、グランドパターン11又はグランドパターン31の長さ1cmあたりの配線抵抗は、導体厚を0.035mmとした場合、幅1mmで0.0048Ω、幅0.5mmで0.0096Ω、幅0.3mmで0.016Ω、幅0.2mmで0.024Ω、幅0.1mmで0.048Ωであるとする。これを踏まえて、給電パターン21をサンドイッチしているグランドパターン11,31の1点のみの抵抗値は、穴径0.8mmを使用すると1.1mΩである。そして、例えばビアが35箇所設けられたとすると、0.729933mΩとなる。加えて、スルーホールに、抵抗値が約10μmの半田(Sn,Ag,Cu)などを流し込むと、ビア1個の穴埋め抵抗分はおよそ0.238854mΩとなるので、結果的に、抵抗値は0.196242mΩとなる。
このように、半田を流し込むことによって、グランドパターン11,31の低インピーダンス化を図ることができる。また、グランドパターン11,31のインピーダンスを調整する手法としては、例えば、ビア41の数を変更することができる。また、ビア41の径を変えるようにしてもよい。これら各種手法により、一対のグランドパターン11,31の抵抗が略均一に分布しているようにする。
以上説明したように、ビア41を、一対のグランドパターン11,31の抵抗を略均一に分布させるような間隔で配置することで、例えば周波数特性などのループアンテナ1の特性を安定化させることができる。そして、ループアンテナ1の特性を安定化させておくことで、給電パターン21へのノイズ(データ送受信時のノイズ等)の悪影響を抑えたり、基準電位の変動や位相変動を低減化したりすることができる。
また、複数のビア41を、給電パターン21に凡そ沿って配置することで、より効果的に、グランドパターン11,31の抵抗を略均一に分布させることができる。また、ビア41の径を調整することで(例えば、ビア41の位置に応じて太さを異ならせることで)、簡易かつ安価にグランドパターン11,31の抵抗値を調整することができる。さらに、複数のビア41に半田が埋められることで、グランドパターン11,31の更なる低インピーダンス化を図ることができる。
[変形例]
図6は、ビア41の他の分布例を説明するための概略図である。なお、説明の便宜上、図6では、グランドパターン11の概略形状を示している。
上述した実施形態(図2〜図4)では、複数のビア41について、間隔が略同一になっているところもあれば、間隔が略同一になっていないところもあったが、本発明はこれに限られず、例えば図6(a)に示すように、全てのビア41の間隔を略同一にすることとしてもよい。一方で、図6(b)に示すように、グランドパターン11(又はグランドパターン31)の内周側と外周側とで交互になるように、複数のビア41を配置してもよい。
本発明に係るループアンテナは、設置環境による特性変動を低減し、データ通信の機能低下を防ぐことが可能なものとして有用である。

Claims (5)

  1. 非接触ICカードリーダのデータ送受信回路に接続され、カード状媒体との通信を行うループ形状の給電パターンと、
    前記給電パターンを間に挟んで積層配置されるとともに、前記データ送受信回路のグランドに接続される一対のグランドパターンと、を有し、
    前記一対のグランドパターンは、当該一対のグランドパターンによって形成される中間層を貫通する複数のビアを介して、互いに電気的に接続されているとともに、
    前記複数のビアは、前記一対のグランドパターンの抵抗を略均一に分布させるような間隔で配置されていることを特徴とするループアンテナ。
  2. 前記複数のビアは、前記給電パターンのループ形状に沿って配置されていることを特徴とする請求項1記載のループアンテナ。
  3. 前記複数のビアは、略同一の間隔で配置されていることを特徴とする請求項2記載のループアンテナ。
  4. 前記複数のビアの径を変えることによって、前記一対のグランドパターンの抵抗が略均一に分布していることを特徴とする請求項2又は3記載のループアンテナ。
  5. 前記複数のビアには、半田が埋められていることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載のループアンテナ。
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