JPWO2008072303A1 - 摩擦圧接方法、遠心式ガスタービンの製造方法及びターボチャージャーの製造方法 - Google Patents

摩擦圧接方法、遠心式ガスタービンの製造方法及びターボチャージャーの製造方法 Download PDF

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Abstract

析出強化型Ni基合金鋳物と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材を、圧力P1と更に高い圧力P2の二段階の圧力を加えて摩擦圧接する方法において、高い接合部強度が得られ、しかも、寄り代のばらつきが少ない方法を提供する。接合される2つの素材に溶体化熱処理と時効処理を施して、室温から650℃の0.2%耐力が700MPa以上になるようにしてから接合を行ない、かつ、摩擦圧接時の圧力P2を500MPa以上にする。室温切欠引張強さで1700MPa以上の接合部強度が得られる。

Description

本発明は、析出強化型Ni基合金鋳物と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材を摩擦圧接する方法に関する。また、これらの材料でタービンホイールとシャフトが形成された遠心式ガスタービン、又は、これらの材料で排気側翼車とシャフトが形成されたターボチャージャーを製造する方法に関する。
高速回転体であるターボチャージャーの排気側翼車及び遠心式ガスタービンのタービンホイールには、析出強化型Ni基合金の鋳物が使用されている。一方、排気側翼車或いはタービンホイールと接合されるシャフトには、クロム−モリブデン鋼の調質材や析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材が使用されている。排気側翼車或いはタービンホイールとシャフトの接合は、一般に摩擦圧接により行われている。
摩擦圧接は2個の素材を同一の軸心で相対的に回転させると共に加圧して、接触面すなわち接合面近傍に摩擦熱を発生させ、この発熱により素材を軟化させて、ほぼ固相状態で接合する方法である。一般には接合圧力を二段階とし、先ず、低い圧力P1で素材を発熱させて軟化層を形成させ、次いで、より高い圧力P2で軟化層を排出させながら接合する方法が採られている。回転の停止方法については、圧力P1中に回転停止指令を出した後にP2に移る方法、圧力P2への移行指令と同時に回転停止指令を出す方法、及び圧力P2への移行指令後、完全に圧力がP2に達した後に回転停止指令を出す方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
ターボチャージャーの排気側翼車又は遠心式ガスタービンのタービンホイールの材料には、近年、特許文献1に示される析出強化型Ni基合金alloy713Cに変わって、より強度の高い特許文献2に示されるような析出強化型Ni基合金鋳物が使用されるようになった。また、シャフトの材料も、特許文献1に示されるクロム−モリブデン鋼調質材から、より強度の高い、AMS5662に示されるような析出強化型Ni基合金鍛造材が使用されるようになった。AMS5662は、SAE Internationalが発行するAEROSPACE MATERIAL SPECIFICATIONSの一つで、Special Metals Corporationの登録商標であるInconel 718に相当する。
析出強化型合金は、Ni又はFeのオーステナイト相(γ相)中に、γ’相,η相,γ’’相,δ相等の金属間化合物を析出させることで、高温強度を高くした合金である。
Inconel 718以外の析出強化型の鍛造材用合金としては、例えば、Superalloys A Technical Guide Second Edition (M.J. Donachie and S.J. Donachie著、ASM International 2002年発行)のp4-5,Table 1.1中にPrecipitation-hardening alloysとして挙げられているA-286,Nimonic80A等がある。
特公昭58−19393号公報 USP3,720,509
特許文献1には、析出強化型Ni基合金alloy713C鋳造材とクロム−モリブデン鋼調質材とを摩擦圧接する方法が記載されている。両者の材料は高温強度に大きな差があるため、摩擦圧接で接合した場合には、析出強化型Ni基合金鋳造材はほとんど変形せず、P1工程で生成される軟化層及びP2工程で排出されるバリは、その9割以上がクロム−モリブデン鋼となる。特許文献1は、この際にクロム−モリブデン鋼中の炭化物が接合界面に整列するのを防止して、接合界面の強度を向上させる方法を開示している。
シャフト材がさらに強度の高い析出強化型Ni基合金鍛造材或いは析出強化型Fe基合金鍛造材になると、別の課題が生じる。析出強化型Ni基合金鍛造材の例で説明する。
炭化物整列の問題に関しては、クロム−モリブデン鋼のSCM435が重量%でC:0.33〜0.38%、SCM440が重量%でC:0.38〜0.43%であるのに対し、析出強化型Ni基合金鍛造材AMS5662は重量%でC:0.08%以下であり、実質的にクロム−モリブデン鋼の約1/10の炭素しか含んでいないために、大きな問題にはならない。
クロム−モリブデン鋼の場合は、調質済みの素材を摩擦圧接するのに対し、析出強化型Ni基合金鍛造材の場合は、加工性の面から、溶体化熱処理状態(一般には硬さがブリネルで277を超えない状態)で圧接し、その後に時効処理する方法が採られている。従って、時効後は室温0.2%耐力が1000MPa以上の材料でも、溶体化熱処理状態である圧接時の室温0.2%耐力は350〜650MPaであり、これはクロム−モリブデン鋼調質材SCM440の室温降伏応力835MPa以上と比べても低い。このことは、圧力P2が500MPaの条件で摩擦圧接する場合、従来のクロム−モリブデン鋼調質材では軟化層以外の低温部の大部分は弾性域であるのに対し、例えば溶体化熱処理状態で室温0.2%耐力450MPaの析出強化型Ni基合金鍛造材では、低温部においても塑性域に入ってしまうことを意味する。
析出強化型Ni基合金鍛造材の場合、溶体化熱処理状態においても、高温(>500℃)での強度がクロム−モリブデン鋼調質材より高いため、軟化層の排出のためには、むしろクロム−モリブデン鋼調質材で用いていた条件より高いP2が必要である。しかし、溶体化熱処理状態の析出強化型Ni基超合金鍛造材で、さらにP2を大きくすることは、塑性変形量の増大という問題のみならず、圧接中にシャフトが座屈してしまうという重大な危険を伴う。
摩擦圧接の品質は、接合部の非破壊検査が難しいことから、寄り代(U)、つまり(圧接前鋳物側長さ+圧接前鍛造材側長さ)−(圧接終了後製品全長)で管理される。理想的には、寄り代(U)は軟化層排出による全長減少分となるはずであるが、軟化層以外の低温部も塑性域となる場合には、低温部の塑性変形量も寄り代(U)に加算される。一般に、材料は弾性域の変形挙動には殆どばらつきは無いが、塑性域の変形挙動(応力−ひずみの関係)は材料間のばらつきが大きい。特に最終熱処理前の溶体化熱処理状態では、材料間のばらつきが大きい。材料間の強度のばらつきにより、寄り代(U)がばらつくことは、ターボチャージャーや遠心式ガスタービンのような高速回転体の摩擦圧接部の品質保証上、極めて大きな問題となる。
また、接合強度の観点からも、クロム−モリブデン鋼調質材より高温強度の高いNi又はFe基合金からなる鍛造材を圧接する場合には、クロム−モリブデン鋼調質材を接合する場合よりも高い圧接応力が必要である。しかし、前述のように、室温では溶体化熱処理状態のNi基合金鍛造材の強度はクロム−モリブデン鋼調質材より低いため、寄り代(U)のばらつきを少なくし、かつ座屈の危険を排除するには、クロム−モリブデン鋼調質材の圧接条件と同等又はそれ以下で接合する必要がある。このため、十分な接合部強度が得られないという課題がある。
本発明の目的は、析出強化型Ni基合金鋳物と析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材を摩擦圧接する方法において、安定した寄り代で、高い接合部強度が得られ、ターボチャージャーや遠心式ガスタービンのように高速回転体の摩擦圧接部の品質向上に極めて有効な摩擦圧接方法を提供することにある。
本発明は、析出強化型Ni基合金鋳物と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材の摩擦圧接方法において、接合される部材を予め熱処理、具体的には溶体化熱処理と時効処理を施して強度を高めてから、二段階の接合圧力を加えて摩擦圧接することを特徴とする。
また、本発明は、析出強化型Ni基合金鋳物からなる一方の素材と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる他方の素材を、相対的に回転させながら圧力P1を加えて接触面に摩擦熱を発生させ、次いで、さらに高い圧力P2を加えて接合を行う摩擦圧接方法において、2つの前記素材の室温から650℃の範囲の0.2%耐力を700MPa以上に高めてから接合を行うようにし、その際に、前記圧力P2を少なくとも500MPaにすることを特徴とする。
また、本発明は、析出強化型Ni基合金鋳物からなる一方の素材と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる他方の素材を、相対的に回転させながら圧力P1を加えて接触面に摩擦熱を発生させ、その後、さらに高い圧力P2を加えて接合を行う摩擦圧接方法において、2つの前記素材の弾性限界応力が前記圧力P2よりも高くなるように熱処理を施してから接合を行い、かつ前記圧力P2として少なくとも500MPaの圧力を加えることを特徴とする。
本発明は、析出強化型Ni基合金鋳物からなるタービンホイールと、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなるシャフトを摩擦圧接法により接合する工程を含む遠心式ガスタービンの製造方法において、前記析出強化型Ni基合金鋳物と前記析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材の室温から650℃の範囲の0.2%耐力を少なくとも700MPaにしてから摩擦圧接を行うようにし、前記摩擦圧接の工程で前記タービンホイールと前記シャフトを相対的に回転させながら圧力P1を加えて接触面に摩擦熱を発生させ、次いで、前記圧力P1よりも高い少なくとも500MPaの圧力を加えて接合を行うことを特徴とする。
本発明は、析出強化型Ni基合金鋳物からなる排気側翼車と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなるシャフトを摩擦圧接法により接合する工程を含むターボチャージャーの製造方法において、前記析出強化型Ni基合金鋳物と前記析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材の室温から650℃の範囲の0.2%耐力を少なくとも700MPaにしてから摩擦圧接を行うようにし、前記摩擦圧接の工程で前記排気側翼車と前記シャフトを相対的に回転させながら圧力P1を加えて接触面に摩擦熱を発生させ、次いで前記圧力P1よりも高い少なくとも500MPaの圧力を加えて接合を行うことを特徴とする。
本発明によれば、析出強化型Ni基合金鋳物と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材の摩擦圧接において、安定した寄り代で、高い接合部強度、例えば室温切欠引張強さが1700MPa以上の高い接合部強度を得ることができる。これにより、ターボチャージャーや遠心式ガスタービンのような高速回転体の信頼性を大幅に向上させることが可能になった。
析出強化型合金鍛造材の応力と歪の関係を示した線図。 接合部の強度を評価するための切欠試験片の形状を示す概略図。 切欠引張強さと寄り代の関係を示した線図。 接合部断面マクロ写真。 遠心式ガスタービンにおけるタービンホイールとシャフトの圧接前の形状を示した概略図。 遠心式ガスタービンにおけるタービンホイールとシャフトの圧接後の形状を示した概略図。 遠心式ガスタービンにおけるタービンホイールとシャフトの圧接前の形状であり、シャフトを加工して段付き形状にしたものを示す概略図。
符号の説明
1…タービンホイール、2…シャフト。
寄り代(U)を安定させるためには、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材側も、軟化層生成部以外のできるだけ多くの部分で、最大圧接応力においても弾性応力範囲内とする必要がある。また、高い接合部強度を得るためには、大きな圧接応力が必要である。これらの課題を解決するには、接合される2個の素材の室温から650℃の範囲の強度、具体的には0.2%耐力を700MPa以上にして、摩擦圧接に供することが有効である。また、圧力P2を500MPa以上にすることが有効である。室温から650℃の範囲の0.2%耐力を700MPa以上にするためには、溶体化熱処理と時効処理を施すことが望ましい。
両方の素材の強度を、このように調整することで、500MPaより大きな最大圧接応力においても、2個の素材の両方を、少なくとも軟化層を除く殆どの領域、つまり圧接時の温度が室温から500℃の範囲の部分を弾性応力範囲内とすることができる。これにより、接合部強度を高くするために、最大圧接応力を大きくした場合でも、寄り代(U)のばらつきの少ない、高品質の摩擦圧接が可能となり、かつ、圧接中にシャフト材が座屈するという危険を回避することができる。
高い強度が必要とされる高速回転体用の用途において、析出強化型Ni基合金からなる鋳物と析出強化型Ni基合金又は析出強化型Fe基合金からなる鍛造材を摩擦圧接する場合には、接合部から採取し、接合部に切欠きを設けた切欠引張試験片の室温切欠引張強さは1700MPa以上であることが望ましい。このように高い接合部室温切欠引張強さにすることで、製品としての起動停止回数が多くなり、接合部に高い負荷がかかるようになっても、耐えられるようになる。室温切欠引張強さ1700MPa以上を得るためには、寄り代(U)が14mm以上であることが望ましい。
また、寄り代(U)のばらつきが小さく、接合部強度の高い接合物を得るためには、2個の素材の強度を調製し、軟化層の生成量の多い方の材料から生じる軟化層の排出角度が90゜より大きくなるようにすることが望ましい。
本発明による摩擦圧接法のように、高いP2圧力が必要とされ、そのP2圧力が一方の材料の弾性限界応力を超えてしまうおそれがある場合には、摩擦圧接中に寄り代(U)と応力(P)のデジタルデータを採取し、これらの関係をグラフ化し、この応力(P)−寄り代(U)線図を、予め用意しておいた基準の応力(P)−寄り代(U)線図と比較して、品質管理を行うことが有効である。応力(P)−寄り代(U)線図は、引張試験又は圧縮試験における応力−ひずみ線図に相当するため、応力(P)−寄り代(U)線図から素材の塑性変形挙動がわかる。
本発明の摩擦圧接法は、高温下での高速回転に対応するために強度の高い材料が必要とされる、遠心式ガスタービンの析出強化型Ni基合金鋳物からなるタービンホイールと、析出強化型Ni又はFe基合金鍛造材からなるシャフトを接合する方法として好適である。
また、同様に、本発明の摩擦圧接法は、高回転ターボチャージャーの析出強化型Ni基合金鋳物からなる排気側翼車と、析出強化型Ni又はFe基合金鍛造材からなるシャフトを接合する方法としても好適である。
本発明の摩擦圧接法が適用される遠心式ガスタービンにおいては、析出強化型Ni基合金鋳物からなるタービンホイールは、重量%でNiが50%以上、C:0.05〜0.3%、B:0.01〜0.05%、Hf:0.5〜3.0%、Co:8〜18%、Ta:3〜8.5%、Cr:1.5〜16%、Mo:0〜1%、W:5〜15%、Ti:0〜1.5%、Al:4.5〜5.8%、Nb:0〜2%、Re:0〜6%、V:0〜1%、Zr:0〜0.01%、Pt又は白金族元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Y又は希土類元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Mg又はアルカリ土類金属の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜0.5%、Fe,Ga,Geの1種又は2種以上の組み合わせ:0〜5%以下の組成であることが好ましい。
さらに高い強度が要求され、かつ素材コストも重視する場合には、析出強化型Ni基合金鋳物からなるタービンホイールは、重量%でNiが50%以上、C:0.1〜0.3%、B:0.016〜0.05%、Hf:1.3〜3.0%、Co:10.2〜18%、Ta:3〜5%、Cr:1.5〜16%、Mo:0〜1%、W:9〜15%、Ti:0〜1%、Al:5〜5.8%、Nb:0〜2%、V:0〜1%、Zr:0〜0.01%、Pt又は白金族元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Y又は希土類元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Mg又はアルカリ土類金属の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜0.1%、Fe,Ga,Geの1種又は2種以上の組み合わせ:0〜5%以下の組成であることが好ましい。
また、熱効率向上を目的にタービン入口温度をさらに向上させた遠心式ガスタービンに対応するため、上記よりさらに高い高温強度を要求する場合には、析出強化型Ni基合金鋳物からなるタービンホイールは、重量%でNiが50%以上、C:0.1〜0.3%、B:0.016〜0.05%、Hf:1.3〜3.0%、Co:10.2〜18%、Ta:2.8〜4.7%、Cr:1.5〜16%、Mo:0〜1%、W:9〜15%、Ti:0〜1%、Al:5〜5.8%、Nb:0〜2%、Re:0.2〜6%、V:0.15%以下、Zr:0.03〜0.08%の組成にすることが好ましい。
本発明は、析出強化型Ni基合金鋳物からなるタービンホイールと析出強化型Ni又はFe基合金鍛造材からなるシャフトを、各々熱処理により、室温から650℃の範囲の0.2%耐力が700MPa以上になるように調製する工程と、タービンホイールとシャフトを相対的に回転させながら加圧し摩擦熱を発生させ、さらに圧力を上げて500MPaより大きい最大圧接応力を加える摩擦圧接法により接合する工程と、接合後に600℃から800℃の範囲で2〜8時間熱処理する工程からなる遠心式ガスタービンの製造方法を可能とする。接合後、熱影響部の時効処理を兼ねて、600から800℃の範囲で熱処理することで、残留応力を除去し、歪を除くことができる。
さらに、段付きシャフトのように、シャフトの機械加工による切削量が多い場合には、シャフトの摩擦圧接面と径方向取り代及び軸方向取り代を、ブリネル硬さが277を超えない状態すなわち溶体化熱処理状態で加工し、その後、シャフトとタービンホイールを各々熱処理により、室温から650℃の範囲の0.2%耐力が700MPa以上になるように調製してから摩擦圧接を行い、接合後に600℃から800℃の範囲で2〜8時間熱処理し、その後に最終形状に加工することが有効である。AMS5662規格では、溶体化材のブリネル硬さは277を超えないことが定められており、これにしたがっている。
本発明により、従来と比べ高強度の材料を高い信頼性で接合することが可能となった。この結果、ターボチャージャー及び遠心式ガスタービンへの高強度材の適用が可能となり、効率向上による省資源、CO及びNOx等の排出量低減の効果も期待できる。また、寄り代(U)の安定化は、素材の軸方向加工代の節約につながるため、素材費の低減、希少金属元素消費量の節減の効果もある。
析出強化型Ni基合金鋳物として、重量%でC:0.14%、B:0.015%、Hf:1.54%、Co:9.99%、Ta:3.03%、Cr:8.33%、Mo:0.71%、W:9.98%、Ti:1.01%、Al:5.59%、残部がNiと不可避不純物からなるNi基合金の47mmφ×100mmLの丸棒を用意した。熱処理は、鋳造後、真空中で1200℃/2h/Arガス冷却の溶体化熱処理と、それに続く2段の時効処理(真空中で1080℃/4h/Arガス冷却+真空中で871℃/20h/Arガス冷却)とした。
一方、析出強化型Ni基合金鍛造材として、AMS5662規格に基づく材料の溶体化熱処理材及び、これに720℃で8時間加熱後、625℃まで2時間で冷却、さらに625℃で8時間加熱の時効処理を施した時効材を用意した。これら材料を47mmφ×150mmLの丸棒に加工した。なお、材料強度のばらつきが寄り代(U)に及ぼす影響を検討するため、AMS5662規格材は全て別ロットとした。
表1に圧接条件を示し、表2と表3に素材の引張特性と接合結果を示す。
Figure 2008072303
Figure 2008072303
Figure 2008072303
析出強化型合金鍛造材として、室温の弾性限界が242〜490MPa、0.2%耐力が378〜628MPaのロットA〜Cを用いる、表2に示すものが従来技術である。一方、これに時効熱処理を加え、弾性限界を902〜1000MPa、0.2%耐力を1138〜1187MPaに調製したロットD〜Fを用いる、表3に示すものが本発明である。
図1は、この圧接に用いたAMS5662材の室温における応力−ひずみ線図である。実際の圧接では、変形は圧縮となるが、弾性限界と0.2%耐力は引張,圧縮側共にほぼ同一であるため、引張側の応力−ひずみ線図で考えることが可能である。
表2から明らかなように、従来技術では寄り代(U)が11.8〜13.3mmであり、ばらつきを有していたものが、本発明では表3に示すように最大接合応力である二次応力P2を従来の500MPaから600MPaに増加したにもかかわらず、寄り代(U)が14.7〜14.8mmとなり、ばらつきを大幅に低減できた。
以下、本発明で寄り代(U)のばらつきを低減できた理由について説明する。図1から、従来技術では、二次応力P2として500MPaを負荷した場合の塑性ひずみが、素材(C)では0.02%であるのに対し、素材(B)では約0.8%、素材(A)ではさらに大きくなることがわかる。これらの塑性ひずみは、摩擦圧接における本質的な寄り代である、軟化層の排出により得られる変形量に加算され、これが寄り代(U)のばらつきとなる。このことは、品質管理上の指標である寄り代(U)が、実質的に材料ロット間の強度のばらつきに支配されることを意味し、摩擦圧接の品質管理上、大きな問題点となる。
一方、本発明の場合は、図1より、素材(D),(E),(F)共に約900MPaまでの範囲で弾性域である。従って、二次応力P2を600MPaまで高めた場合でも、基本的に軟化層以外の低温部の変形は除荷後に開放されるため、軟化層以外の低温部の変形は寄り代(U)に加算されない。従って、本発明法においては、寄り代(U)のばらつきが大幅に低減される。
さらに、接合部の強度を評価するため、図2に示す形状の切欠試験片を接合部径方向中心から採取した。図2(a)は切欠試験片の全体図であり、図2(b)はA部の詳細図である。接合部強度を評価するには、切欠中心を接合界面に合わせることが重要であり、切欠先端は接合界面と一致させた。試験片採取に先立ち、素材(A)〜(C)では、720℃で8時間加熱後、625℃まで2時間で冷却、さらに625℃で8時間加熱の時効処理を施した。素材(D)〜(F)では、上記熱処理を簡略化して、720℃で2時間加熱後、625℃まで1時間で冷却、さらに625℃で2時間加熱の熱処理を施した。熱処理を簡略化したのは、素材(D)〜(F)では既に圧接前に時効処理を行っているためであり、圧接時の摩擦熱による温度上昇で析出相が固溶した部分すなわち接合界面近傍の僅かな熱影響部の析出相を再析出させれば良いためである。簡略化熱処理の効果については、界面近傍の硬さ測定により確認した。圧接直後はビッカース硬さで220〜280まで軟化していた部分が、簡略化熱処理により、ビッカース硬さで420〜500、つまり圧接時の摩擦熱の影響を受けていない部分と同等まで回復していた。
なお、図2に示す形状の切欠試験片を用いたのは、時効処理を施した後の強度は、AMS5662材が析出強化型Ni基合金鋳物より高いため、一般的な平滑試験片を用いると、析出強化型Ni基合金鋳物側の平滑部で破断してしまい、正確な接合部強度の比較ができないためである。
切欠引張強さの評価結果を表2、表3に示す。評価には、一般的なネジ式引張試験機を用い、温度は室温とした。切欠引張強さは、破断時の荷重を切欠部の断面積で割ったものである。この結果から、従来技術では、接合部の切欠引張強さは最大でも1679MPaであったのに対し、本発明による場合は、最低でも1769MPaであり、そのばらつきも大幅に低減していることがわかる。
図3は、従来技術と本発明による接合試験片の寄り代(U)と切欠引張強さの関係を示す。本発明品は、寄り代(U)のばらつきが少なく、かつ、優れた接合部強度を有していることがわかる。また、図3から、寄り代(U)が大きいほど、切欠引張強さ、つまり接合強度が向上することがわかる。しかし、従来技術では、既に、二次応力P2が析出強化型Ni基合金鍛造材側の室温の弾性限界を超えているため、これ以上二次応力を増加させ、寄り代(U)を大きくし、接合強度を向上させることは困難である。
図4は従来技術と本発明による接合試験片の接合部断面マク写真を示したものであり、(a)は本発明、(b)は従来技術である。図中にθで示す軟化層排出角度は、接合前の外径と排出された軟化相のなす角度であり、析出強化型Ni基合金鍛造材側素材の強度に依存する。本発明の接合試験片は、排出部以外は外径変化が殆ど無い。これは、軟化層以外の部分の殆どが、圧接時に弾性変形範囲内であったことを意味し、寄り代(U)のばらつきの少ない圧接品の典型的な接合部形状である。一方、従来技術による接合試験片は、排出部以外でも外径変化が見られる。これは、軟化層以外の部分でも、圧接時に塑性変形が生じたことを意味し、寄り代(U)のばらつきが大きい圧接品の典型的な接合部形状である。
なお、特許文献1に示されているように、鍛造材側をSCM435の調質材とした場合に、接合強度を高くするために500MPaを超えるような二次応力P2で圧接すると、(b)の従来技術と同様の接合部形状となり、寄り代も安定しない。これは、SCM435調質材の室温降伏応力は、規格値で835MPa以上であり、従来技術で用いた析出強化型Ni基合金鍛造材より高いが、約500℃以上で急激な強度低下が認められるため、摩擦熱による熱影響部でも塑性変形が生じ、この材料ロット毎の強度差が寄り代(U)のばらつきに影響を及ぼすためである。従って、高い接合強度を有し、かつ寄り代の安定した、高品質の摩擦圧接品を得るためには、鍛造材側材料を熱処理により室温から650℃の範囲の0.2%耐力が700MPa以上になるように調製することが好ましい。
次に、析出強化型Ni基合金鋳物を、実施例1の場合よりも高温強度の高い、重量%でC:0.13〜0.23%、B:0.013〜0.023%、Hf:1.4〜2.2%、Co:10〜11%、Ta:3.5〜5%、Cr:6〜8%、Mo:0.1〜1%、W:11〜12.5%、Nb:0.5〜1%、Re:1.2〜1.5%、Al:5〜5.5%、Zr:0.005〜0.0015%、残部がNiと不可避不純物からなるNi基超合金とし、本発明の方法に従って摩擦圧接を実施した。
鋳物側の素材は、実施例1と同じく47mmφ×100mmLの丸棒とし、熱処理は、鋳造後、真空中で1220℃/4h/Arガス冷却の溶体化熱処理、それに続く2段の時効処理(真空中で1080℃/4h/Arガス冷却+真空中で871℃/20h/Arガス冷却)とした。
析出強化型Ni基合金鍛造材は、実施例1の場合と同じく、AMS5662規格に基づく材料の溶体化熱処理材に720℃で8時間加熱後、625℃まで2時間で冷却、さらに625℃で8時間加熱の熱処理を施した時効材とし、形状は47mmφ×150mmLの丸棒とした。圧接条件は、実施例1と同じく、一次応力P1が150MPa、二次応力P2が600MPaとした。
表4に圧接結果及び実施例1と同じ方法による切欠引張強さ評価結果を示す。
Figure 2008072303
圧接後、切欠試験片を採取する前の熱処理条件も、実施例1と同じく、720℃で2時間加熱後、625℃まで1時間で冷却、さらに625℃で2時間加熱とした。表4に示す結果から、この材料の組み合わせにおいても、実施例1の場合と同様の高い接合部強度が得られていることがわかる。
さらに、図3に示すように、寄り代(U)が大きいほど、切欠引張強さ、つまり接合強度は向上する。しかし、表2、表3に示す材料の組み合わせの場合は、鋳物側の室温弾性限界応力が686MPaであるため、二次応力P2を600MPaより高くし、これ以上、寄り代(U)を大きくすることは難しい。一方、表4に示す材料の組み合わせにおいては、鋳物側の室温弾性限界応力は800MPaであり、さらに二次応力P2を高くすることにより、接合強度を向上させることも可能である。
実施例1の試験結果を基に、本発明の摩擦圧接法により、軸方向長さ約120mm,羽根部径約225mm,圧接部径50mmの遠心式タービンホイールと、直径50mmφ×長さ700mmのシャフトを接合した。タービンホイールは、重量%でC:0.14%、B:0.015%、Hf:1.54%、Co:9.99%、Ta:3.03%、Cr:8.33%、Mo:0.71%、W:9.98%、Ti:1.01%、Al:5.59%、残部がNiと不可避不純物からなるNi基超合金の鋳物である。この合金は、鋳造後、真空中で1200℃/2h/Arガス冷却の溶体化熱処理、それに続く2段の時効処理(真空中で1080℃/4h/Arガス冷却+真空中で871℃/20h/Arガス冷却)を施した。シャフトは、AMS5662規格に基づく溶体化熱処理材に、720℃で8時間加熱後、625℃まで2時間で冷却、さらに625℃で8時間加熱の熱処理を施した時効材とした。圧接条件は、一次応力P1が150MPa、二次応力P2が600MPaとした。
その結果、析出強化型Ni基合金鍛造材よりなるシャフト側の長さが、接合試験片の150mmから700mmと大幅に長くなったにもかかわらず、寄り代(U)は接合試験片とほぼ同じ14.6mmであった。塑性域で接合する場合、長さ×塑性ひずみが塑性変形量として寄り代(U)に加算され、素材長さの変化が寄り代(U)に影響を及ぼす。しかし、本発明では、軟化層以外の部分は殆どが弾性域であるため、素材長さの変化は、殆ど寄り代(U)量に影響を及ぼさない。このことは、条件設定の上でも、品質管理上も極めて有効である。
圧接後に、720℃で2時間加熱後、625℃まで1時間で冷却、さらに625℃で2時間加熱の熱処理を施したものから、上述と同じ方法で切欠試験片を採取し、接合強度を評価した。切欠引張強さは1770MPaであり、接合試験片と同等であった。この結果から、本発明の摩擦圧接法は、実機形状においても有効であり、析出強化型Ni基合金鋳物からなるタービンホイールと、析出強化型Ni又はFe基合金鍛造材からなるシャフトを接合する方法として好適であることがわかった。
図5は、上述の遠心式ガスタービンのタービンホイール1及びシャフト2の圧接前の形状を示す。タービンホイールは鋳造で製作される。圧接前に上述の熱処理が施され、その後に、圧力受け面及び接合面を加工する。シャフトは鍛造材であり、上述の熱処理後、外径加工及び圧力受け面及び接合面加工を行う。圧接後、720℃で2時間加熱後、625℃まで1時間で冷却、さらに625℃で2時間加熱の熱処理を施し、その後、図6に示す形状にシャフト側を加工する。しかし、図1からもわかるように、AMS5662規格品の溶体化材と時効材は室温0.2%耐力に大きな差があり、それに応じて、室温硬さは時効材の方が溶体化材と比べ大幅に高い。そこで、溶体化材の段階でシャフト側を図7に示す形状に加工し、その後に720℃で8時間加熱後、625℃まで2時間で冷却、さらに625℃で8時間加熱の時効処理を施した。このシャフトの段付き部をシャフト側の受圧面とし、一次応力P1が150MPa、二次応力P2が600MPaで、ホイールと接合した。その後、720℃で2時間加熱後、625℃まで1時間で冷却、さらに625℃で2時間加熱の熱処理を施し、熱処理後の加工は、径で約2mmの外径加工及び全長調整のみとした。これにより、従来のシャフト側の図5の形状から図6の形状への切削量の大きい加工を、材料が加工しやすい(硬さの低い)溶体化状態に実施することが可能となり、加工用消耗品の交換周期の長期化、切削時間の短縮等により、大幅なコスト低減が可能となった。
本発明により、ターボチャージャー及び遠心式ガスタービンへの高強度材の適用が可能になり、効率向上の効果が期待される。

Claims (19)

  1. 析出強化型Ni基合金鋳物からなる一方の素材と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる他方の素材を、相対的に回転させながら加圧して接触面に摩擦熱を発生させ、さらに圧力を高めて接合する摩擦圧接方法において、2つの前記素材に溶体化熱処理と時効処理を施して機械的強度を高めた後に摩擦圧接合を行うことを特徴とする摩擦圧接方法。
  2. 析出強化型Ni基合金鋳物からなる一方の素材と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる他方の素材を、相対的に回転させながら圧力P1を加えて接触面に摩擦熱を発生させ、次いで、さらに高い圧力P2を加えて接合を行う摩擦圧接方法において、2つの前記素材の室温から650℃の範囲の0.2%耐力を700MPa以上に高めてから接合を行うようにし、その際に、圧力P2を少なくとも500MPaとすることを特徴とする摩擦圧接方法。
  3. 2つの前記素材に溶体化熱処理と時効処理を施して、室温から650℃の範囲の0.2%耐力を700MPa以上に高めてから、前記摩擦圧接を行うことを特徴とする請求項2記載の摩擦圧接方法。
  4. 前記圧力P2を加えたときの寄り代を少なくとも14mmとする請求項2記載の摩擦圧接方法。
  5. 析出強化型Ni基合金鋳物からなる一方の素材と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる他方の素材を、相対的に回転させながら圧力P1を加えて接触面に摩擦熱を発生させ、その後、さらに高い圧力P2を加えて接合を行う摩擦圧接方法において、2つの前記素材の弾性限界応力が前記圧力P2よりも高くなるように熱処理を施してから接合を行い、かつ前記圧力P2として少なくとも500MPaの圧力を加えることを特徴とする摩擦圧接方法。
  6. 前記圧力P2を加えたときの寄り代を少なくとも14mmとする請求項5記載の摩擦圧接方法。
  7. 摩擦圧接終了後に、再度、600℃以上に晒される時間が8時間を超えない時効処理を施す請求項1記載の摩擦圧接方法。
  8. 析出強化型Ni基合金鋳物からなるタービンホイールと、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなるシャフトを摩擦圧接により接合する工程を含む遠心式ガスタービンの製造方法において、前記析出強化型Ni基合金鋳物と前記析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材の室温から650℃の範囲の0.2%耐力を少なくとも700MPaにしてから摩擦圧接を行うようにし、前記摩擦圧接の工程で前記タービンホイールと前記シャフトを相対的に回転させながら圧力P1を加えて接触面に摩擦熱を発生させ、次いで、前記圧力P1よりも高い少なくとも500MPaの圧力を加えて接合を行うことを特徴とする遠心式ガスタービンの製造方法。
  9. 前記タービンホイールと前記シャフトに溶体化熱処理と時効処理を施して、室温から650℃の範囲の0.2%耐力を少なくとも700MPaにしてから、前記摩擦圧接を行うことを特徴とする請求項8記載の遠心式ガスタービンの製造方法。
  10. 前記摩擦圧接の終了後に、再度、600℃以上に晒される時間が8時間を超えない時効処理を施す請求項8記載の遠心式ガスタービンの製造方法。
  11. 前記シャフトが段付きシャフトであり、前記溶体化熱処理を施した状態で前記シャフトを段付き形状に加工する切削加工を施し、摩擦圧接終了後に、再度、600℃に晒される時間が8時間を超えない時効処理を施したのち、最終形状に仕上げ加工することを特徴とする請求項9記載の遠心式ガスタービンの製造方法。
  12. 重量%でC:0.05〜0.3%、B:0.01〜0.05%、Hf:0.5〜3.0%、Co:8〜18%、Ta:3〜8.5%、Cr:1.5〜16%、Mo:0〜1%、W:5〜15%、Ti:0〜1.5%、Al:4.5〜5.8%、Nb:0〜2%、Re:0〜6%、V:0〜1%、Zr:0〜0.01%、Pt又は白金族元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Y又は希土類元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Mg又はアルカリ土類金属の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜0.5%、Fe,Ga,Geの1種又は2種以上の組み合わせ:0〜5%以下を含み、残部が50%以上のNiよりなる析出強化型Ni基合金鋳物からなる前記タービンホイールと、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる前記シャフトを接合する請求項8記載の遠心式ガスタービンの製造方法。
  13. 重量%でC:0.1〜0.3%、B:0.016〜0.05%、Hf:1.3〜3.0%、Co:10.2〜18%、Ta:3〜5%、Cr:1.5〜16%、Mo:0〜1%、W:9〜15%、Ti:0〜1%、Al:5〜5.8%、Nb:0〜2%、V:0〜1%、Zr:0〜0.01%、Pt又は白金族元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Y又は希土類元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Mg又はアルカリ土類金属の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜0.1%、Fe,Ga,Geの1種又は2種以上の組み合わせ:0〜5%以下、残部が50%以上のNiよりなる析出強化型Ni基合金鋳物からなる前記タービンホイールと、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる前記シャフトを接合する請求項8記載の遠心式ガスタービンの製造方法。
  14. 重量%でC:0.1〜0.3%、B:0.016〜0.05%、Hf:1.3〜3.0%、Co:10.2〜18%、Ta:2.8〜4.7%、Cr:1.5〜16%、Mo:0〜1%、W:9〜15%、Ti:0〜1%、Al:5〜5.8%、Nb:0〜2%、Re:0.2〜6%、V:0.15%以下、Zr:0.03〜0.08%、残部が50%以上のNiよりなる析出強化型Ni基合金鋳物からなる前記タービンホイールと、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる前記シャフトを接合する請求項8記載の遠心式ガスタービンの製造方法。
  15. 析出強化型Ni基合金鋳物からなる排気側翼車と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなるシャフトを摩擦圧接により接合する工程を含むターボチャージャーの製造方法において、前記析出強化型Ni基合金鋳物と前記析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材の室温から650℃の範囲の0.2%耐力を少なくとも700MPaにしてから摩擦圧接を行うようにし、前記摩擦圧接の工程で前記排気側翼車と前記シャフトを相対的に回転させながら圧力P1を加えて接触面に摩擦熱を発生させ、次いで前記圧力P1よりも高い少なくとも500MPaの圧力を加えて接合を行うことを特徴とするターボチャージャーの製造方法。
  16. 前記排気側翼車と前記シャフトに溶体化熱処理と時効処理を施して、室温から650℃の範囲の0.2%耐力を少なくとも700MPaにしてから、前記摩擦圧接を行うことを特徴とする請求項15記載のターボチャージャーの製造方法。
  17. 前記摩擦圧接の終了後に、再度、600℃以上に晒される時間が8時間を超えない時効処理を施す請求項16記載のターボチャージャーの製造方法。
  18. 前記シャフトが段付きシャフトであり、前記溶体化熱処理を施した状態で前記シャフトを段付き形状に加工する切削加工を施し、摩擦圧接終了後に、再度、600℃に晒される時間が8時間を超えない時効処理を施したのち、最終形状に仕上げ加工することを特徴とする請求項16記載のターボチャージャーの製造方法。
  19. 重量%でC:0.05〜0.3%、B:0.01〜0.05%、Hf:0.5〜3.0%、Co:8〜18%、Ta:3〜8.5%、Cr:1.5〜16%、Mo:0〜1%、W:5〜15%、Ti:0〜1.5%、Al:4.5〜5.8%、Nb:0〜2%、Re:0〜6%、V:0〜1%、Zr:0〜0.01%、Pt又は白金族元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Y又は希土類元素の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜2%、Mg又はアルカリ土類金属の1種又は2種以上の組み合わせ:0〜0.5%、Fe,Ga,Geの1種又は2種以上の組み合わせ:0〜5%以下、残部が50%以上のNiよりなる析出強化型Ni基合金鋳物からなる前記排気側翼車と、析出強化型Ni基合金鍛造材又は析出強化型Fe基合金鍛造材からなる前記シャフトを接合する請求項15記載のターボチャージャーの製造方法。
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