上述のように、周波数領域のCQIをDCT処理した結果の信号において周波数が高い成分を削除することにより、CQIのフィードバック量を圧縮することができる。これは、周波数領域におけるCQIは連続的かつ比較的緩やかに変動するため、DCT処理後の信号成分の絶対値は、低周波数領域において高く、高周波数領域において非常に低い値となるため、高周波数領域の成分を削除して送信側に通知しても、さほど影響がないためである。
しかしながら、このようにDCT処理後の信号成分の絶対値は低周波数領域と高周波数領域において大きく異なるにも関わらず、それらの値を表すビット数は、通常、一定(図26参照)であり、効率的なフィードバックを行なっているとはいえない。また、伝搬路の遅延分散が大きい環境ではDCT処理後の信号成分は高周波数領域にも広がるため、CQI再生時の誤差を一定に保つためには高い周波数成分もフィードバックする必要が生じ、フィードバック量が増大するという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、通信装置が通信先の通信装置へ受信品質情報をDCTした結果をフィードバックする場合に、フィードバックする情報量を効率的に圧縮する通信装置並びに関連する技術を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る通信装置は、複数の受信品質情報に基づいて生成したフィードバック情報を通信先装置へ送信する通信装置であって、前記複数の受信品質情報を離散コサイン変換し、前記離散コサイン変換して得られた複数のサンプルの信号成分のうち、少なくとも一組のサンプルの信号成分に対して、それぞれ異なる量子化を行なった結果を、前記フィードバック情報とすることを特徴としている。
このように、本発明に係る通信装置は、受信品質情報をDCTした複数のサンプルの信号成分(サンプル値)のうち、任意の二つのサンプル(少なくとも一組)の信号成分を異なる量子化を行なった結果をフィードバック情報として生成する。異なる量子化とは、それぞれ異なる情報量で量子化する場合や、それぞれ異なる分解能で量子化する場合を含む。例えば、ビット数を用いると、任意の二つのサンプルのそれぞれは異なる情報量(例えば、異なるビット数)で表される。また、それぞれ異なる分解能で量子化をしても良い。このようにして表された結果を前記フィードバック情報として通信先装置へ送信(通知)する。このようにして、通信先装置においてフィードバック情報から受信品質情報を再生したときに生じる誤差を抑えるとともにフィードバック情報量を圧縮することができる。
(2)また、本発明に係る通信装置は、一つ以上のサンプルを含む複数のサンプル群に対し、それぞれ異なる情報量または分解能を設定し、前記設定した情報量または分解能によって各サンプルの信号成分を量子化する量子化部を備えることを特徴としている。
このように、一つ以上のサンプルを含む複数のサンプル群に対し、それぞれ異なる情報量または分解能を設定し、前記設定した情報量または分解能によって各サンプルの信号成分を量子化することにより、信号成分が適切に表される情報量または分解能を確保しつつ、フィードバック情報量を圧縮することが可能になる。
(3)また、本発明に係る通信装置において、前記量子化部は、周波数の高いサンプル群より周波数の低いサンプル群の情報量を多くまたは分解能を細かくすることを特徴としている。
このように、受信品質情報をDCTした結果が周波数の低いサンプルの信号成分へ集まることに基づいて、周波数の低いサンプルの情報量を多くまたは分解能を細かくすることにより、信号成分を適切に表す情報量または分解能の確保と、フィードバック情報量の圧縮とを可能にする。
(4)また、本発明に係る通信装置において、前記量子化部は、伝搬路の遅延分散に基づいて、前記複数の情報量または分解能を変更することを特徴としている。
伝搬路の遅延分散が大きくなると、DCT後の信号成分が周波数の高い領域へも拡がるため、伝搬路の遅延分散に基づいて情報量または分解能を適切に変更することにより、フィードバック情報量を増加させることなく、信号成分を適切に表す情報量または分解能の確保を可能にする。
(5)また、本発明に係る通信装置において、前記量子化部は、前記伝搬路の遅延分散が閾値未満の場合に、前記周波数が高いサンプル群の信号成分を表す情報量を少なくまたは分解能を粗く設定し、前記伝搬路の遅延分散が閾値以上の場合に、前記周波数が高いサンプル群の信号成分を表す情報量を多くまたは分解能を細かく設定することを特徴としている。
このように、伝搬路の遅延分散が閾値未満の場合に、周波数が高いサンプル群の信号成分を表す情報量を少なくまたは分解能を粗く設定し、前記伝搬路の遅延分散が閾値以上の場合に、前記周波数が高いサンプル群の信号成分を表す情報量を多くまたは分解能を細かく設定する。これにより、伝搬路状況に応じてフィードバックの対象となるサンプルの情報量または分解能を変更することができる。
(6)また、本発明に係る通信装置において、前記量子化部は、前記伝搬路の遅延分散が閾値未満の場合に、前記周波数が低いサンプル群の信号成分を表す情報量を多くまたは分解能を細かく、前記伝搬路の遅延分散が閾値以上の場合に、前記周波数が低いサンプル群の信号成分を表す情報量を少なくまたは分解能を粗く設定することを特徴としている。
このように、伝搬路の遅延分散が閾値未満の場合に、前記周波数が低いサンプル群の信号成分を表す情報量を多くまたは分解能を細かく、前記伝搬路の遅延分散が閾値以上の場合に、前記周波数が低いサンプル群の信号成分を表す情報量を少なくまたは分解能を粗く設定する。これにより、伝搬路状況に応じてフィードバックの対象となるサンプルの情報量または分解能を変更することができる。
(7)また、本発明に係る通信装置において、前記離散コサイン変換した複数のサンプルの一部を前記フィードバック情報から削除するサンプル削除部を備えることを特徴としている。
このように、サンプルの信号成分が小さく、フィードバック情報として通知する必要がないサンプルの信号成分を削除することにより、信号成分を適切に表しつつフィードバック情報量の圧縮を可能にする。
(8)また、本発明に係る通信装置において、前記サンプル削除部は、前記周波数の高いサンプルの信号成分を削除することを特徴としている。
このように、DCTの特性に基づいてサンプルの信号成分が小さい周波数の高いサンプルの信号成分を削除することにより、信号成分を適切に表しつつフィードバック情報量の圧縮を可能にする。
(9)また、本発明に係る通信装置において、前記サンプル削除部は、伝搬路の遅延分散に基づいて削除するサンプルの数を変更することを特徴としている。
このように、伝搬路の遅延分散が大きくなると、DCT後の信号成分が周波数の高い領域へも拡がるため、伝搬路の遅延分散に基づいてフィードバックするサンプル数を適切に変更することにより、信号成分を適切に表す情報量の確保を可能にする。
(10)また、本発明に係る通信装置において、前記サンプル削除部は、前記伝搬路の遅延分散が所定の閾値より大きい場合、削除するサンプルの数を減少させることを特徴としている。
このように、伝搬路の遅延分散が大きくなると、DCT後の信号成分が周波数の高い領域へも拡がるため、伝搬路の遅延分散に基づいてサンプル削除部が削除するサンプル数を減らしてフィードバックするサンプル数を増やすことにより、信号成分を適切に表す情報量の確保を可能にする。
(11)また、本発明に係る通信装置において、前記量子化部は、一つ以上のサンプルを含む複数のサンプル群に対し、それぞれ異なる情報量および分解能を設定し、設定した情報量および分解能によって各サンプルの信号成分を量子化することを特徴としている。
このように、一つ以上のサンプルを含む複数のサンプル群に対し、それぞれ異なる情報量および分解能を設定し、設定した情報量および分解能によって各サンプルの信号成分を量子化するので、例えば、分解能を粗くすることによって、分解能が細かい状態では絶対値の大きいサンプルを表現しきれないことにより生ずる誤差を低減することができる。
(12)また、本発明に係る通信装置は、複数の受信品質情報に基づいて生成したフィードバック情報を通信先装置へ送信する通信装置であって、前記複数の受信品質情報を離散コサイン変換し、前記離散コサイン変換して得られた複数のサンプルの信号成分を、一つ以上のサンプルを含む一つ以上のサンプル群に分割し、各サンプル群で絶対値が最も大きいサンプルを用いてサンプル群毎に正規化し、前記正規化した結果を量子化する量子化部を備えることを特徴としている。
このように、各サンプル群で絶対値が最も大きいサンプルを用いてサンプル群毎に正規化し、前記正規化した結果を量子化するので、すべてのサンプルを設定されたビット数で表現することができる。
(13)また、本発明に係る通信装置において、前記量子化部は、サンプル群毎にそれぞれ異なる情報量を設定し、設定した情報量によって各サンプルの信号成分を量子化することを特徴としている。
このように、サンプル群毎にそれぞれ異なる情報量を設定し、設定した情報量によって各サンプルの信号成分を量子化するので、信号成分が適切に表される情報量を確保しつつ、フィードバック情報量を圧縮することが可能になる。
(14)また、本発明に係る通信装置は、前記複数の受信品質情報の平均値を算出し、前記複数の受信品質情報から算出した平均値を減算して減算値を算出する演算部と、前記演算部が算出した減算値を離散コサイン変換して複数のサンプルの信号成分を算出する離散コサイン変換部と、をさらに備えることを特徴としている。
このように、受信品質情報から前記平均値を減算した減算値をDCTすることにより、一番低い周波数のサンプルの信号成分をゼロにすることができる。
(15)また、本発明に係る通信装置は、前記量子化部において量子化された前記複数のサンプルの信号成分のうち、周波数が一番低いサンプルの信号成分を前記フィードバック情報から削除するサンプル削除部を、さらに備えることを特徴としている。
このように、減算値をDCT処理することにより、周波数の一番低いサンプルの信号成分をゼロとし、フィードバック情報から削除することができる。これにより、フィードバック情報量をさらに圧縮することができる。具体的には、量子化部は、演算部が算出した減算値を、DCT部においてDCT処理することによって算出した複数のサンプルの信号成分を量子化し、サンプル削除部は、量子化部が量子化した複数のサンプルの信号成分から周波数が一番低いサンプルの信号成分を削除して、周波数の一番低いサンプルの信号成分がゼロとなるフィードバック情報を生成する。さらに、領域毎の最大の絶対値で正規化を行なうと、周波数が最も低い領域では1サンプル目以外のサンプルが最大値を有することになり、そのサンプルで正規化が行なわれる。通常、1サンプル目は他のサンプルに比べ非常に大きな成分となるため、1サンプル目以外のサンプルで正規化が行なわれることにより、1サンプル目を用いて正規化が行なわれる場合と比較して該当する領域の各サンプルを表す分解能をより細かく設定することが可能となり、CQIの再生誤差を低減することができる。
(16)また、本発明に係る通信装置において、前記フィードバック情報に加え、前記演算部が算出した平均値を前記通信先装置へ送信することを特徴としている。
このように、フィードバック情報に一番低い周波数のサンプルの信号成分を含めないため、平均値を所定のタイミングで通知することにより、再生される受信品質情報の誤差の発生を抑制することができる。
(17)また、本発明に係る通信装置において、前記受信品質情報は、前記通信先装置から受信した信号における所定単位毎の受信品質を受信電力、受信信号電力対雑音電力比、受信信号電力対干渉電力および雑音電力比のいずれかで表した情報であることを特徴としている。
このように、受信電力等を受信品質情報として用いることができる。
(18)また、本発明に係る通信装置は、複数の受信品質情報に基づいて生成されたフィードバック情報を通信先装置から受信する通信装置であって、前記フィードバック情報は、前記複数の受信品質情報を離散コサイン変換し、前記離散コサイン変換して得られた複数のサンプルの信号成分のうち、少なくとも一組のサンプルの信号成分に対して、それぞれ異なる量子化を行なった結果であることを特徴としている。
このように、本発明に係る通信装置は、複数の受信品質情報を離散コサイン変換し、前記離散コサイン変換して得られた複数のサンプルの信号成分のうち、少なくとも一組のサンプルの信号成分に対して、それぞれ異なる量子化を行なった結果をフィードバック情報として受信する。このようにして、フィードバック情報から受信品質情報を再生したときに生じる誤差を抑えるとともにフィードバック情報量を圧縮することができる。
(19)また、本発明に係る通信装置は、複数の受信品質情報に基づいて生成されたフィードバック情報を通信先装置から受信する通信装置であって、前記フィードバック情報は、前記複数の受信品質情報を離散コサイン変換し、前記離散コサイン変換して得られた複数のサンプルの信号成分を、一つ以上のサンプルを含む一つ以上のサンプル群に分割し、各サンプル群で絶対値が最も大きいサンプルを用いてサンプル群毎に正規化した結果であることを特徴としている。
このように、各サンプル群で絶対値が最も大きいサンプルを用いてサンプル群毎に正規化し、前記正規化した結果を量子化するので、すべてのサンプルを設定されたビット数で表現することができる。
(20)本発明に係る通信方法は、複数の受信品質情報に基づいて生成されたフィードバック情報を通信装置間で送受信する通信方法であって、前記複数の受信品質情報を離散コサイン変換し、前記離散コサイン変換して得られた複数のサンプルの信号成分を表わす情報量または分解能を、少なくとも一組のサンプルの信号成分について、それぞれ異なる値に設定し、前記設定した情報量または分解能を用いて前記サンプルの信号成分を表したフィードバック情報を、一方の通信装置から他方の通信装置へ送信することを特徴としている。
このように、本発明に係る通信方法は、複数の受信品質情報を離散コサイン変換し、前記離散コサイン変換して得られた複数のサンプルの信号成分を表わす情報量または分解能を、少なくとも一組のサンプルの信号成分について、それぞれ異なる値に設定し、前記設定した情報量または分解能を用いて前記サンプルの信号成分を表したフィードバック情報を送受信する。このようにして、フィードバック情報から受信品質情報を再生したときに生じる誤差を抑えるとともにフィードバック情報量を圧縮することができる。
(21)また、本発明に係る通信方法は、複数の受信品質情報に基づいて生成されたフィードバック情報を通信装置間で送受信する通信方法であって、前記複数の受信品質情報を離散コサイン変換し、前記離散コサイン変換して得られた複数のサンプルの信号成分を、一つ以上のサンプルを含む一つ以上のサンプル群に分割し、各サンプル群で絶対値が最も大きいサンプルを用いてサンプル群毎に正規化したフィードバック情報を、一方の通信装置から他方の通信装置へ送信することを特徴としている。
このように、各サンプル群で絶対値が最も大きいサンプルを用いてサンプル群毎に正規化し、前記正規化した結果を量子化するので、すべてのサンプルを設定されたビット数で表現することができる。
本発明によれば、通信装置が通信先の通信装置へ受信品質情報をDCTした結果をフィードバックする場合に、フィードバック情報を再生するときの誤差の発生を抑えつつ、フィードバックする情報量を圧縮することが可能となる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。また、本明細書では次のような用語を用いて各実施形態を説明する。
受信品質情報は、信号を受信した受信機において測定した受信品質測定結果であり、例えば、「受信電力」、「受信SNR(Signal to Noise power Ratio:受信信号電力対雑音電力比)」または「受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio:受信信号電力対干渉電力および雑音電力比)」等が含まれる。また、受信品質情報は、測定結果、受信品質測定結果、あるいは、CQIということもある。以下の各実施形態では受信品質情報を受信品質情報あるいはCQIとして説明する。
フィードバック情報は、通信先の通信装置へ受信状況を通知(報告)する情報であり、受信側が送信側から受信した信号に基づいて測定した伝搬路状況を表す情報である。本実施形態では、フィードバック情報は、受信品質情報をDCT処理した結果に基づいて生成される。フィードバック情報は、品質通知情報、あるいは、CQI情報ともいう。以下の各実施形態ではフィードバック情報を、フィードバック情報あるいはCQI情報として説明する。
サンプルの信号成分は、受信品質情報をDCT処理した結果(値)、すなわち、DCT処理後の各サンプルのサンプル値を示す。以下の各実施形態では、受信品質情報をDCT処理した結果を、DCT処理したサンプルの信号成分、あるいは、DCT処理後のサンプル値と記す。
以下の説明では、フィードバック情報を表すメモリの情報量(メモリ量の単位)としてビット数を用いて説明するが、ビット単位の情報量を扱う場合に限定するものではなく、その他の情報量を示す単位を用いる場合であってもメモリの情報量の多少が示される単位であればよい。
また、以下の説明では、フィードバック情報を通知(送信)する側とフィードバック情報の通知を受ける(受信する)側とのシステム構成を用いて説明する。ここでは、フィードバック情報を通知する側を端末(通信端末装置)、フィードバック情報の通知を受ける側を基地局(通信制御装置、制御局)として説明を行なう。
(第1の実施形態)
本実施形態では、DCT処理後の各サンプルの信号成分を表すビット数(情報量)を異なる値に設定し、CQIフィードバック量(フィードバック情報量)を圧縮する手法について示す。
先に述べたように、周波数領域において連続的かつ緩やかに変動するCQIをDCT処理する場合、DCT処理後の信号成分の絶対値は、低周波数領域において高く(大きく)、周波数が高くなるに従って非常に低い(小さい)値となってゆく。そこで、本実施形態では、DCT処理後の各サンプルの信号成分を表すビット数を周波数に基づいて設定する。ここで、周波数の大きさはサンプル番号(Sample Number)の大きさに比例する。具体的には、DCT処理後の低周波数領域の信号を表現するためのビット数を多く、DCT処理後の高周波数領域の信号を表現するためのビット数を少なく設定する。このように設定することにより、通信先の通信装置でフィードバック情報をIDCT処理したときにさほど誤差を生じることなくビット数を削減することができ、CQIのフィードバック量を圧縮することが可能となる。この具体的な例を図1に示す。但し、ここでのCQIは各サブキャリアの受信SNRまたは受信SINRを表すものとする。
図1は、受信品質情報の一例を示す図である。図1に示す受信品質情報は、周波数領域(周波数方向)で連続的に変動する、すなわち、サブキャリア間の受信品質が緩やかに変動する状態であり、サブキャリア間で急激に(不連続に)変動するものではない場合を示している。図2は、図1に示す受信品質情報をDCT処理した結果の一例を示す図である。また、図3は、図2における0から100のサンプル番号の結果を拡大して表した図である。図3の横軸の下に、DCT処理後の複数のサンプルを、少なくとも一つ以上のサンプルを含むサンプル群に分け、各サンプル群に、各サンプルのサンプル値を表すビット数を設定する一例を示している。なお、以下の各実施形態においても図1から図3それぞれと同様の構成の図面を用いて説明するが、図の構成は同様であるため説明を省略する。
図3に示すように、DCT処理後の各サンプルの信号成分について、1サンプル目から16サンプル目は12ビットで表現し、17サンプル目から32サンプル目までを10ビット、33サンプル目から48サンプル目までを8ビット、49サンプル目から64サンプル目までを6ビットで表現する。但し、量子化するステップ(解像度)は一定であるものとする。また、65サンプル目以降は削除し、64サンプルだけをCQI情報(フィードバック情報)として送信側へフィードバック(1024サンプルを64サンプルへ圧縮)する。フィードバックするサンプル数や各サンプルの信号成分を表すビット数は送受信側双方で既知であるものとする。このように、DCT処理した信号成分について、周波数の低いサンプルのビット数を多くし、周波数の高いサンプルのビット数を少なくし、サンプル間で異なるビット数(ビット数はゼロを含まず1以上の値)を用いてサンプルの信号成分を表したフィードバック情報を生成する。
図3に示したようなビットの割り当てを行なう場合に必要なビット数は576ビットとなり、フィードバックするすべてのサンプル(先頭の64サンプル)を12ビットで表す場合に比較して192ビット、10ビットで表す場合に比較して64ビットを削減することができる。ここでは、数サンプルをまとめた単位毎(サンプル群毎)にビット数を異なる値に設定したが、1サンプル毎に異なるビット数に設定してもよい。また、複数のサンプル群に含まれるサンプルの数をサンプル群によって異なるようにしてもよい。図3では、各サンプル群にそれぞれ16のサンプルが含まれているが、サンプル群ごとに、1、7、16・・・・・のように異なる数のサンプルを割り当ててもよい。複数のサンプル群それぞれは、少なくとも一つのサンプルを含み、予め各サンプルの信号成分に基づいて、複数のサンプルを複数のサンプル群にグループ分けされたものである。信号成分が適切に表現されるようにビット数を設定する。
以上のように、DCT処理したCQI情報を送信側へフィードバックする際に、周波数成分が高くなるに従って、より少ないビット数でサンプルを表現することにより、フィードバック量を大幅に削減することができる。また、全サンプルの中で周波数成分が高いサンプルを削除することにより、さらにフィードバック量を削減することができる。
次に、本実施形態における通信装置の構成を説明する。まず、フィードバック情報を通知(送信)する側(端末、通信端末装置)の構成を説明する。図4は、第1の実施形態におけるCQI情報を通知する通信装置の送受信機構成の一例のブロック図である。但し、本実施形態では、一部のサンプルのみをフィードバックする例について示している。図4に示すように、本実施形態によるCQIフィードバック量の圧縮を行なう通信装置は、アンテナ部10、無線部11、スイッチ12、受信機27、並びに送信機34を備える。受信機27はA/D(Analog to Digital)変換部(A/D)13、同期部14、GI(Guard Interval)除去部15、S/P(Serial to Parallel)変換部(S/P)16、FFT(Fast Fourier Transform)部(FFT)17、伝搬路推定部18、伝搬路補償部19、デマッピング部20、P/S(Parallel to Serial)変換部(P/S)21、復号部22、CQI測定部(受信品質測定部)23、DCT部(離散コサイン変換部)24、量子化部25、並びにサンプル除去部26を備える。また、送信機34は、符号部28、変調部29、S/P変換部30、IFFT(Inverse FFT)部(IFFT)31、GI挿入部32、並びにD/A(Digital to Analog)変換部(D/A)33を備える。
以下、図4に示す通信装置の各構成要素の説明を処理の流れに沿って行なう。通信先の通信装置から送信されたパケットを受信する際、図4に示す端末では、アンテナ部10で受信された信号を無線部11にてA/D変換可能な周波数に変換し、スイッチ12を経由してA/D変換部13においてディジタル信号に変換する。次に、同期部14にてシンボル同期を確立し、GI除去部15においてシンボル毎にGIを除去した後、S/P変換部16を経由してFFT部17において時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。FFT部17において周波数領域の信号に変換されたデータシンボルは伝搬路補償部19へ、伝搬路推定用のパイロットシンボルは伝搬路推定部18およびCQI測定部23へそれぞれ送られる。
伝搬路推定部18では、送受信間で既知のパイロットシンボルを用いて伝搬路推定が行なわれ、算出された伝搬路推定値は伝搬路補償部19へ送られる。伝搬路補償部19においてデータシンボルの伝搬路補償が行なわれ、デマッピング部20においてデマッピングされた後、P/S変換部21を経由して、復号部22においてデータの復号、再生が行なわれる。
また、CQI測定部23では、受信パイロットシンボルから各サブキャリアのCQI(受信SNR)を測定する。次に、DCT部24において、測定された各サブキャリアのCQI(受信品質情報)をDCT処理する。量子化部25において、先に述べたようなサンプル毎(サンプル群毎)に異なるビット数を用いて、DCT処理した各サンプルの信号成分を量子化(ディジタル化)した値を表す。
サンプル除去部26においてフィードバックを行なわないサンプル(本実施形態では65サンプル目以降の全サンプル)を削除する。このようにして生成された64サンプルの信号がCQI情報(フィードバック情報)として通信先の通信装置にフィードバックされることになる。
次に、送信機34の符号部28には、受信機27において生成されたCQI情報が送信データと共に入力される。この符号部28ではこれらの情報が誤り訂正符号化され、変調部29において変調される。そして、S/P変換部30を経由してIFFT部31において周波数領域の信号から時間領域の信号に変換された後、GI挿入部32においてガードインターバルが付加される。この後、D/A変換部33においてディジタル信号からアナログ信号へ変換され、スイッチ12を経由し無線部11にて送信可能な周波数帯へ周波数変換された後、アンテナ部10から通信先の通信装置へ送信される。
次に、フィードバック情報を受信する側(基地局、通信制御装置)の構成を説明する。図5は、第1の実施形態におけるCQI情報の通知を受ける通信装置の送受信機構成の一例を示すブロック図である。但し、図4に示す通信装置と同じ動作を行なうブロックには同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図5に示すように、本実施形態により圧縮されたCQI情報を受信する通信装置は、アンテナ部10、無線部11、スイッチ12と、受信機43、並びに送信機45を備える。受信機43において復号されたCQI情報は、サンプル生成部40においてビット(ディジタル)で表現された情報からサンプル値へと変換される。本実施形態では、フィードバックするサンプル数や各サンプルを表すビット数は送受信側双方で既知としており、復号されたビット列を、各サンプルを表すビットに適切に分割し64サンプルを再生する。
次に、ゼロ挿入部41において、図4に示す通信装置で削除された65サンプル目以降のサンプル位置にゼロを挿入する。ゼロ挿入されたCQI情報に対してIDCT部(逆離散コサイン変換部)42においてIDCT処理が行なわれ、図4に示す通信装置からフィードバックされた各サブキャリアのCQI情報を再生することができる。そして、再生された各サブキャリアのCQI情報は、スケジューリング・変調方式決定部44へ送られ、スケジューリングや変調方式および符号化率の決定等に利用され、決定されたスケジューリング結果や変調方式・符号化率は、次のパケットを伝送する際に用いられる。
以上のような構成とし、図3に示すようなサンプル毎(サンプル群毎)に異なるビット数の割り当てを行なうことにより、CQI情報をDCT処理してフィードバックする通信システムにおいて、CQI情報再生時の誤差を抑えつつフィードバック量を大幅に圧縮することができる。
次に、フィードバック情報の生成・受信品質情報の再生について図を用いて説明する。図6は、本実施形態おけるフィードバック情報を生成する動作の一例を示すフローチャートであり、図7は、本実施形態における通知されたフィードバック情報から受信品質情報を再生する動作の一例を示すフローチャートである。
まず、フィードバック情報の生成について図4、図6を用いて説明する。CQI測定部23は、FFT部17から入力した受信パイロットシンボルに基づいて各サブキャリアのCQI(受信SNR)を測定する(ステップS11)。受信品質測定結果の一例は図1のような波形となる。次に、DCT部24は、測定された各サブキャリアのCQI(受信品質情報)をDCT処理する(ステップS12)。DCT処理後のサンプル値の一例は図2、図3に示すような波形となる。
量子化部25は、予めサンプル群毎に設定したビット数を用いて各サンプルの信号成分を量子化する(ステップS13)。量子化部25は、予め設定されたフィードバックするサンプル数(フィードバック数)とサンプル毎に設定されたビット数を保持している。例えば、サンプル毎のビット数は、図3の場合には、サンプル番号とビット数とを組み合わせた「サンプル番号−ビット数」情報として、「16−12、32−10、48−8、64−6」を保持している。そして、1サンプル目から16サンプル目までを12ビットで量子化し、17サンプル目から32サンプル目までを10ビットで量子化する。また、33サンプル目から48サンプル目までを8ビットで量子化し、49サンプル目から64サンプル目までを6ビットで量子化する。さらに、65サンプル目以降のサンプルについては、図3の例ではフィードバックを行なわないサンプルであるので、64サンプル目と同じか、それより少ないビット数で量子化してもよいし、量子化部25における量子化は行なわずに、入力された値をそのまま出力する処理を行なうこととしてもよい。
サンプル除去部26は、フィードバックを行なわないサンプルを削除する(ステップS14)。サンプル除去部26は、予めフィードバックするサンプル数を保持し、例えば、図3の例では、65サンプル以降を削除する。このようにして、64サンプルの信号成分がCQI情報(フィードバック情報)として生成される。
次に、受信品質情報の再生について図5、図7を用いて説明する。サンプル生成部40は、復号部22から入力したCQI情報を、ビット(ディジタル)で表現された情報から各サンプルの信号成分に変換する。具体的には、サンプル生成部40は、受信機43において復号されたCQI情報のビット列を、各サンプル(64個の各サンプル)を表すビット列(1または複数個のビット群)に適切に分割し(ステップS21)、分割したビット列をそれぞれ変換して64サンプルの信号成分へ再生する(ステップS22)。なお、サンプル生成部40は、量子化部25と同様に、フィードバックするサンプル数や各サンプルを表すビット数を保持している。
ゼロ挿入部41は、サンプル除去部26が削除した65サンプル目以降のサンプル位置にゼロを挿入する(ステップS23)。ゼロ挿入部41は、ゼロ挿入を(IDCTポイント数−フィードバックされたサンプル数)分だけ行なう。IDCT部42は、ゼロ挿入部41がゼロ挿入したCQI情報に対してIDCT処理を行ない、受信したフィードバック情報から各サブキャリアのCQI(受信品質情報)を再生(復元)する(ステップS24)。
適応変調や適応スケジューリングを用いるシステムでは受信側の受信状況(受信品質情報)を送信側へフィードバックすることが必要となるが、本実施形態では、以上のように受信品質情報をDCT処理した各サンプルの信号成分(DCT処理後のサンプル値)を表現するビット数の割り当てを工夫することにより情報量を圧縮する。DCT処理したサンプルの信号成分の大きさに基づいて各サンプルの信号成分を表すビット数を設定することにより、フィードバック情報を復元した際の誤差の発生を抑えつつ情報量を圧縮することができる。DCT処理したサンプルの信号成分の絶対値は、周波数の低い領域に大きくなることから、周波数の高いサンプルより周波数の低いサンプルに割り当てるビット数を多くし、サンプル間で異なるビット数を用いて情報量の圧縮を図る。
なお、本実施形態では、CQIとして送信側へフィードバックする情報(受信品質情報、CQI情報)は、各サブキャリアの受信SNRや受信SINRを測定した測定結果に基づいて変換処理した情報としたが、これとは別に、ある数のサブキャリアをグループ化し、グループ内のサブキャリアの平均受信SNRまたは平均受信SINRであってもよい。また、OFDMAシステムにおけるリソースブロック毎の平均受信SNRまたは平均受信SINRでもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、DCT処理後に周波数成分が高いサンプルを少ないビット数で表現することに加え、周波数成分が高いサンプルを削除することによりフィードバック量を大幅に削減する手法について示したが、伝搬路の遅延分散が大きい場合には周波数領域におけるCQIの変動は比較的激しくなる。従って、DCT処理後の信号成分の絶対値は周波数が高い領域においてもサンプルの信号成分が高い(大きい)値となる。図8は、伝搬路の遅延分散が大きい場合の受信品質情報の一例を示す図である。図1と比較すると、図8では、伝搬路の遅延分散が大きい。また、図9は、図8に示す受信品質情報をDCT処理した結果の一例を示す図であり、図10は、図9における1から100のサンプル番号の結果を拡大して表した図である。
このような場合、DCT処理後に周波数が高く、かつサンプル値が大きい信号成分を削除する(フィードバックしない)ことは、フィードバック情報を受信した側でCQI情報を再生する際に大幅な誤差を生じることにつながる。従って、伝搬路の遅延分散が大きい場合にはDCT処理後の信号の周波数が高い信号成分を極力削除しないことが望ましい。しかし、フィードバックするサンプル数を増やすとCQIフィードバック量が大幅に増大してしまう。
そこで、本実施形態では、さらに、伝搬路の遅延分散が予め決められた閾値以上の場合には、周波数が低い信号成分を表すビット数を減らし、その削減分を周波数が高い信号成分に割り当てるものとする。すなわち、各サンプル(各サンプル群)を表すビット数の組み合わせ(量子化ビット数)を予め幾つか設定しておき、伝搬路の遅延分散に基づいて、複数のビット数の組み合わせのうちのいずれかを用いてCQI情報を生成してフィードバックする。量子化ビット数は、受信品質情報をDCT処理した結果(DCT処理後のサンプル値、DCT処理したサンプルの信号成分)を量子化して表す各サンプル(各サンプル群)におけるビット数(情報量)を特定する情報である。少なくとも二種類が定義され、例えば、第一の量子化ビット数と第二の量子化ビット数とを伝搬路の遅延分散に基づいて使い分ける。量子化ビット数には、サンプル数(フィードバックするサンプル数)が含まれていてもよい。
これにより、フィードバックする全体のビット数(フィードバック情報量)を変えることなく、周波数が高い信号成分も高精度にフィードバックすることができる。
具体的には、伝搬路の遅延分散がある閾値未満の場合には図3に示すビット数で64サンプル分をフィードバックし、伝搬路の遅延分散がある閾値以上となる場合には図10に示すビット数で80サンプル分をフィードバックする。これにより、図3に比べ16サンプル多い80サンプル分のフィードバックを行なうといった処理を行なう。この時、図10に示すように、DCT処理後の信号の1サンプル目から16サンプル目は10ビットで表現し、17サンプル目から32サンプル目までを8ビットで表現する。33サンプル目から64サンプル目までは図3と同じ8ビットで表現し、65サンプル目から80サンプル目を新たに4ビットで表現する。但し、第1の実施形態と同様、量子化するステップは一定であるものとする。この場合に必要な全ビット数は576ビットであり、図3に示す64サンプルのみをフィードバックする場合と同じビット数だけフィードバックすればよいことになる。このように各サンプルの信号成分を表現するビット数を調整することにより、フィードバック情報量を増加させることなく、伝搬路状況に応じたCQI情報を通知することが可能となり、遅延分散が大きい伝搬路状況においてもCQI情報の再生誤差を低減することができる。
次に、本実施形態における通信装置の構成を説明する。図11は、第2の実施形態におけるCQI情報を通知する通信装置の送受信機構成の一例を示すブロック図であり、図12は、第2の実施形態におけるCQI情報の通知を受ける通信装置の送受信機構成の一例を示すブロック図である。すなわち、図11はCQIのフィードバックを行なう側(端末)の装置構成を、図12はフィードバック情報を受信する側(基地局)の装置構成をそれぞれ示している。図11に示すように、本実施形態におけるフィードバックを行なう側の通信装置の構成は、図4に示す受信機27の構成に遅延分散判定部36が加わった受信機37を備える構成となっている。以下、主に図4と異なる点を説明する。
遅延分散判定部36は、CQI測定部23において測定された各サブキャリアのCQI変動から伝搬路の遅延分散を推定し、推定された遅延分散に関する情報(遅延分散情報)を量子化部25、サンプル除去部26並びに符号部28に通知するブロックである。ここで、本実施形態において、推定された遅延分散に関する情報は、推定された遅延分散が予め決められた閾値以上か否かを示す情報であればよい。また、遅延分散判定部36における遅延分散の推定方法としては、幾つかの方法が考えられるが、例えば、予め決められたCQIを下回るサブキャリアが何サブキャリア間隔であるかによって推定するというような簡易なものでよい。
量子化部25は、遅延分散が所定の閾値より小さい場合に用いる第一の量子化ビット数と、遅延分散が所定の閾値以上の場合に用いる第二の量子化ビット数とを保持する。ここでは、一例として、第一の量子化ビット数として図3に示す量子化ビット数を保持し、第二の量子化ビット数として図10に示す量子化ビット数とを保持しているものとする。具体的には、上述したように、図3に示す量子化ビットは、1サンプル目から16サンプル目までが12ビット、17サンプル目から32サンプル目までが10ビットである。また、33サンプル目から48サンプル目までが8ビット、49サンプル目から64サンプル目までが6ビットである。また、図10に示す量子化ビットは、1サンプル目から16サンプル目までが10ビット、17サンプル目から32サンプル目までが8ビットである。また、33サンプル目から64サンプル目までが8ビット、65サンプル目から80サンプル目までが4ビットである。量子化部25は、遅延分散判定部36における遅延分散の推定結果に基づいて、第一の量子化ビット数あるいは第二の量子化ビットのいずれかを選択して量子化ビット数を設定する。
サンプル除去部26は、遅延分散が所定の閾値より小さい場合に用いる第一のサンプル数(フィードバックサンプル数)(例えば、図3に示す64)と、遅延分散が所定の閾値以上の場合に用いる第二のサンプル数(例えば、図10に示す80)とを保持し、量子化部25と同様に遅延分散情報に基づいて第一のサンプル数と第二のサンプル数とを使い分ける。
また、遅延分散判定部36で生成された遅延分散情報は、フィードバック先の通信装置においてCQI情報を再生する際に必要となるため、CQI情報と共にフィードバックしなければならない。このため、符号部28において遅延分散情報は送信データとともに符号化される。しかし、先に述べたように、この遅延分散情報は推定された遅延分散が予め決められた閾値以上か否かを示す情報、つまり1ビットの情報であればよいため、伝送効率が劣化するほどのフィードバック量の増加にはつながらない。
このように遅延分散情報に基づいた制御を量子化部25、サンプル除去部26において行なうことにより、フィードバック量を増加させることなく伝搬路状況に応じたフィードバックを行なうことができる。
次に、図12に示すように、本実施形態におけるフィードバック情報を受信する側の通信装置の構成は、受信機43において、復号部22からサンプル生成部40並びにゼロ挿入部41へ復調された遅延分散情報が入力されている点が図5の受信機43と異なっている。以下に主に図5と異なる点を説明する。
サンプル生成部40は、図11の量子化部25と同様に第一の量子化ビット数と第二の量子化ビット数とを保持し、入力された遅延分散情報に基づいて、遅延分散が閾値以上か否かによって各サンプルに割り当てられたビット(ビット群)を適切に分割し、フィードバックされたサンプル値を再生する。
ゼロ挿入部41では、図11のサンプル除去部26と同様に、第一のサンプル数(図3に示す64)と第二のサンプル数(図10に示す80)とを保持し、遅延分散情報に応じてゼロ挿入するサンプル数を制御する。これは、遅延分散が閾値以上の場合には、サンプル番号が(IDCTポイント数−80)であるサンプルにゼロを挿入し、遅延分散が閾値未満の場合には、サンプル番号が(IDCTポイント数−64)であるサンプルにゼロを挿入するといった制御である。IDCTポイント数は、IDCT処理するサンプル全体の数である。
このように、遅延分散情報に基づいた制御をサンプル生成部40、ゼロ挿入部41において行なうことにより、伝搬路状況に応じて各サンプルを表現するビット数やフィードバックサンプル数が変更されても、各サブキャリアのCQIを適切に再生することができる。
以下、本実施形態のフィードバック情報の生成、受信品質情報の再生について図を用いて説明する。図13は、第2の実施形態におけるフィードバック情報を生成する動作の一例を示すフローチャートであり、図14は、第2の実施形態において、通知されたフィードバック情報から受信品質情報を再生する動作の一例を示すフローチャートである。まず、フィードバック情報の生成について図11、図13を用いて説明する。CQI測定部23は、FFT部17から入力した受信パイロットシンボルに基づいて各サブキャリアのCQI(受信SNR)を測定する(ステップS31)。
遅延分散判定部36は、CQI測定部23において測定された各サブキャリアのCQI変動から伝搬路の遅延分散を推定し、推定された遅延分散に関する情報(遅延分散情報)を量子化部25、サンプル除去部26並びに符号部28に通知する(ステップS32)。また、DCT部24は、測定された各サブキャリアのCQI(受信品質情報)をDCT処理する(ステップS33)。図13では、ステップS32とステップS33は順番に記載してあるが、ステップS32とステップS33の処理は並行して実施してもよく、両方の処理がステップS34の処理の前に実施されていればよい。
次に、量子化部25は、遅延分散判定部36が判定した遅延分散情報を判定し、遅延分散情報が閾値未満の場合(ステップS34でYes)、第一の量子化ビット数を選択して量子化ビット数を図3に示すように設定し(ステップS35)、遅延分散情報が閾値以上の場合(ステップS34でNo)、第二の量子化ビット数を選択して図10に示すように量子化ビット数を設定する(ステップS36)。量子化部25は、設定した量子化ビット数を用いて、各サンプルの信号成分を量子化して表現する(ステップS37)。
サンプル除去部26は、遅延分散判定部36が判定した遅延分散情報に基づいて、遅延分散情報が閾値未満場合(ステップS38でYes)、第一のサンプル数を選択し(ステップS39)、遅延分散情報が閾値以上の場合(ステップS38でNo)、第二のサンプル数を選択する(ステップS40)。サンプル除去部26は、選択したサンプル数を超えるサンプル(フィードバックしないサンプル)の信号成分を除去してフィードバック情報を生成する(ステップS41)。
次に、受信品質情報の再生について図12、図14を用いて説明する。復号部22は、遅延分散情報を復号し、サンプル生成部40とゼロ挿入部41へ遅延分散情報を入力する(ステップS51)。サンプル生成部40は、復号部22から入力した遅延分散情報を判定し、遅延分散情報が閾値未満の場合(ステップS52でYes)、第一の量子化ビット数を選択して量子化ビット数を、図3に示すように設定し(ステップS53)、遅延分散情報が閾値以上の場合(ステップS52でNo)、第二の量子化ビット数を選択して図10に示すように量子化ビット数を設定する(ステップS54)。サンプル生成部40は、設定した量子化ビット数に基づいて、復号部22から入力したCQI情報のビット列を、設定した量子化ビット数に基づいて各サンプル表すビット列に適切に分割し、分割した複数のビット列それぞれをサンプルの信号成分に変換する(ステップS55)。
ゼロ挿入部41は、復号部22から入力した遅延分散情報を判定し、遅延分散情報が閾値未満場合(ステップS56でYes)、第一のサンプル数を選択し(ステップS57)、遅延分散情報が閾値以上の場合(ステップS56でNo)、第二のサンプル数を選択する(ステップS58)。ゼロ挿入部41は、サンプル除去部26が削除したサンプル位置にゼロを挿入する(ステップS59)。IDCT部42は、ゼロ挿入部41がゼロ挿入したCQI情報に対してIDCT処理を行ない、受信したフィードバック情報から各サブキャリアのCQI(受信品質情報)を再生(復元)する(ステップS60)。
このように、フィードバックするサンプルの量子化ビット数やサンプル数のパターンを数種類用意しておくことにより、伝搬路状況に適応したフィードバックを行なうことが可能となる。これにより、フィードバック情報量を一定に保ちつつ、伝搬路の遅延分散に応じてフィードバックするサンプル数を制御することができる。
なお、本実施形態では、伝搬路の遅延分散に応じてフィードバックするサンプル数を変更する例について示したが、これとは別に、遅延分散が大きい伝搬路状況においてもフィードバックするサンプル数は一定とし、各サンプルを表現するビット数のみを調整する制御を行なってもよい。
また、この実施形態では、フィードバックするサンプルの量子化ビット数やサンプル数のパターンは2種類(図3、図8)として、遅延分散が予め決められた閾値以上か否かという判断のみ行なわれていたが、3種類以上の量子化ビット数とサンプル数との組み合わせを設定し、遅延分散に基づいて多段階に量子化ビット数を変化させてもよい。但し、遅延分散情報を除くフィードバック量は一定となるように制御する。このような場合は、遅延分散情報として、遅延分散が予め決められた閾値以上か否かという1ビットの情報ではなく数ビットの情報が必要になるが、伝送効率が大きく劣化することはない。
さらに、伝搬路の遅延分散が大きく変動しないような場合には、遅延分散情報は通信開始時に一度だけフィードバックする、または、上記実施形態よりも長い周期(CQIのフィードバック周期よりも長い周期)で定期的にフィードバックするという制御を行なってもよい。また、ダウンリンクとアップリンクにおける伝搬路の遅延分散がほぼ等しいような場合には、遅延分散情報をフィードバックせず、端末側、基地局側でそれぞれ推定するものとしてもよい。
(第3の実施形態)
これまでの実施形態では、量子化のステップ(分解能)は、すべてのサンプルで一定であるものとしていた。第3の実施形態では、これとは異なり、割り当てられるビット数に応じて異なるステップで量子化する。具体的には、DCT後のサンプルを表現する際に、ステップ(分解能)を粗くし、ビット数は維持しつつ絶対値のより大きな値を表現できるよう調整する。このように異なる量子化ステップを用いる方法の概要を、図15および図16に示す。図15は、すべての領域で量子化のステップ(分解能)が同じ場合を示しており、図16は、A、B、Cのそれぞれの領域で用いられる量子化のステップが異なる場合を示している。ここでは一例としてA、B、Cの3つの領域を設けており、それぞれの領域で用いられるビット数は異なるものとする。
本発明では、DCT処理後の高周波数領域の信号を表現するためのビット数を少なく設定するため、より多くのビット数を用いて量子化される低周波数領域の信号のステップ(分解能)と同じステップで高周波数領域の信号を量子化する場合には、絶対値の大きいサンプルを表現しきれないことによる誤差が生じることがある。すなわち、図15に示す領域Cのように、量子化ステップが第2段までしかない場合に、それよりも大きいサンプルがあると、そのサンプルについては第2段に含まれるものとみなしてしまう。これが誤差となってしまう。
これに対し、図16に示すように、異なるビット数を用いる領域では、量子化するステップ(分解能)も異なるよう設定することにより、絶対値の大きいサンプルを表現しきれないことにより生じる誤差を低減することができる。すなわち、図16に示す領域Cのように、量子化ステップが第2段までしかない場合でも、そのステップが領域AおよびBよりも粗いものであれば、絶対値の大きいサンプルも表現することができ、誤差を低減することが可能となる。
但し、フィードバックするビット数が異なるそれぞれの領域で用いられる量子化のステップ(分解能)については、予め決められており送受信側双方で既知であるか、または、第2の実施形態と同様に量子化するステップ(分解能)も遅延分散等に応じて変更する場合には、量子化するステップ(分解能)に関する情報も併せてフィードバックする必要がある。
以上説明したように、DCT処理後の信号を量子化する際に、量子化に用いるビット数だけでなく量子化ステップ(分解能)も周波数(より低周波数領域の信号であるか高周波数領域の信号であるか)に応じて異なる値に設定することにより、フィードバックするビット数を維持しつつ絶対値の大きいサンプルを表現しきれないことにより生じる誤差を低減することができる。しかし、絶対値の大きいサンプルを必ずしもすべて表現できるとは限らない。そこで、以下に示すように、量子化に用いるビット数が異なる領域毎に、各領域内で最も大きい絶対値を有するサンプルの絶対値で領域内のサンプルをすべて正規化し、正規化後の信号をそれぞれの領域で使用可能なビット数により表現する方法を用いてもよい。この正規化の概要を図17に示す。但し、図17は、図3と同じDCT処理結果の絶対値を示したものとなっている。
図17に示すように、各サンプル群において絶対値が最も大きいサンプルの値で各サンプルを正規化する。このような正規化を用いることにより、すべてのサンプルを領域毎に設定されたビット数で表現できるようになる。この時、絶対値が0〜1の間となるサンプルを領域毎に異なるビット数で量子化するため、図15、図16に示す例と同様、異なるビット数を用いる領域では量子化するステップ(分解能)も異なることとなる。但し、このような正規化を用いる場合には、各領域において正規化に用いたサンプルの絶対値を基地局側へフィードバックし、基地局側ではIDCT処理を行なう前に各領域のサンプル値にそれぞれの領域で正規化に用いられたサンプルの絶対値を乗算する必要がある。また、このような正規化を行なう場合には、各領域で量子化に用いるビット数が同一であっても、絶対値の大きいサンプルをすべて表現することができる。このため、DCT処理後のサンプルを幾つかの領域(サンプル群)に分割して、領域毎に上述の正規化を行なった後、各領域のサンプルを同じビット数で量子化する形態としてもよい。
このように、各領域のサンプルを同じビット数で量子化する場合にも、実際には領域毎に異なる値で正規化が行なわれているため、フィードバックされた信号に正規化に用いた値を乗算する処理を基地局において行なうと、領域毎に異なる分解能で表現されているサンプルが得られる。
このような場合の例を図18に示す。ここで、図18に示すような分割は、領域毎に予め決められたサンプル数により行なってもよいし、遅延分散に応じて各領域に含まれるサンプル数を変更する形態としてもよい。但し、遅延分散に応じて各領域のサンプル数を変更する場合には、パケット毎または変更を行なうたびに、サンプル数に関する情報をフィードバック情報に含める必要がある。
第3の実施形態に係る送受信機の構成は、図4に示すものと同様である。
次に、フィードバック情報の生成・受信品質情報の再生について、図4、図19を用いて説明する。図19は、本実施形態おけるフィードバック情報を生成する動作の一例を示すフローチャートである。CQI測定部23は、FFT部17から入力した受信パイロットシンボルに基づいて各サブキャリアのCQI(受信SNR)を測定する(ステップS181)。受信品質測定結果は、図1のような波形となる。次に、DCT部24は、測定された各サブキャリアのCQI(受信品質情報)をDCT処理する(ステップS182)。DCT処理後のサンプル値は、図2、図3に示すような波形となる。
量子化部25は、サンプル群に含まれる各サンプルについて、絶対値が最も大きいサンプルを用いて正規化する(ステップS183)。次に、量子化部25は、各サンプル群に含まれるサンプルを量子化して表現する(ステップS184)。ここで、サンプル群毎に異なるビット数で量子化する場合には、量子化部25は、予め設定されたフィードバックするサンプル数(フィードバック数)とサンプル毎に設定されたビット数を保持している。例えば、サンプル毎のビット数は、図3の場合には、サンプル番号とビット数とを組み合わせた「サンプル番号−ビット数」情報として、「16−12、32−10、48−8、64−6」を保持している。そして、1サンプル目から16サンプル目までを12ビットで量子化し、17サンプル目から32サンプル目までを10ビットで量子化する。また、33サンプル目から48サンプル目までを8ビットで量子化し、49サンプル目から64サンプル目までを6ビットで量子化する。さらに、65サンプル目以降のサンプルについては、図3の例ではフィードバックを行なわないサンプルであるので、64サンプル目と同じか、それより少ないビット数で量子化してもよいし、量子化部25における量子化は行なわずに、入力された値をそのまま出力する処理を行なうこととしてもよい。また、図18に示したような正規化および量子化を行なう場合には、量子化部25では、各領域で等しいビット数を用いた量子化が行なわれることとなる。
サンプル除去部26は、フィードバックを行なわないサンプルを削除する(ステップS185)。サンプル除去部26は、予めフィードバックするサンプル数を保持し、例えば、図3の例では、65サンプル以降を削除する。このようにして、64サンプルの信号成分がCQI情報(フィードバック情報)として生成される。そして、量子化部25において各領域の正規化に用いたサンプルの絶対値に関する情報(正規化情報)をフィードバック情報に追加し(ステップS186)、これらのフィードバック情報を基地局側に通知する。この正規化情報も、その他のフィードバック情報(CQI情報)と同様、量子化され、符号化されて基地局側へ通知される。この時の量子化に関する方法は特に規定しないが、予め決められたビット数、分解能で量子化する方法等が挙げられる。
なお、上記以外の正規化方法として、各領域における最大の絶対値の指数部のみを用いた正規化を行なってもよい。これは、DCT処理後の各サンプルがxビットの指数部、値を示すyビットの仮数部と正負を示す1ビットのサインビットで出力される場合に有効な方法である。このように指数部のみを用いた正規化を行なう場合には、各サンプルの仮数部の値は変化せず、そのデータ位置が変化することになる。例えば、最大となる絶対値の指数部の値と正規化されるサンプルの指数部の値の差がzであった場合、正規化されるサンプルの仮数部は値が小さくなるようzビットだけビットシフトされ、その後、領域毎に指定されるビット数分だけの上位ビットをフィードバックすることとなる。このような正規化を用いる場合には、正確な最大値で正規化を行なうわけではないため量子化による誤差がやや増加するものの、正規化に用いた指数部の値のみをフィードバックすれば良いため、正規化に関するフィードバック情報量を削減することができる。また、正規化処理がビットシフトのみで実現できるため、正確な値で正規化する場合と比較して回路規模を削減することも可能となる。
(第4の実施形態)
本実施形態では、フィードバック量を削減する別の手法を示す。具体的には、DCT処理後のサンプルのうち、周波数が高いサンプルだけでなく、周波数が最も低いサンプル(1サンプル目)も削除してフィードバックを行なわないというものである。
このように、DCT処理後の1サンプル目をフィードバックしない場合、図3に示す例では更に12ビットのフィードバック情報を削減することができる。但し、DCT処理後の1サンプル目は全サンプルの中で最大の絶対値を有する確率が高く、このサンプルを削除してしまうとCQI(受信品質情報)が正確に再生できないという問題がある。そこで本実施形態では、DCT処理に先立ち、全サブキャリアのCQI(受信SNR)を平均してCQI平均値を算出し、測定された各サブキャリアのCQIそれぞれから、全サブキャリアのCQI平均値(平均SNR、平均受信品質情報)を減算する処理を行なうものとする。
具体的な受信品質情報を用いて、CQI平均値を減算する場合と減算しない場合とを比較して説明する。図20は、図1とは異なる受信品質情報を示す図である。また、図21は、図20に示す受信品質情報をDCT処理した低周波数領域の結果を示す図であり、(a)は、CQI平均値を減算してDCT処理した結果であり、(b)は、CQI平均値を減算しないでDCT処理した結果である。図21では、サンプル番号が1から20までの結果(信号成分)を示している。図21(a)に示すように、全サブキャリアのCQI平均値を減算した後、DCT処理すると周波数成分が最も低いサンプル(Sample Number=1のサンプル)の値はゼロになる。これは、DCT処理後の周波数成分が最も低いサンプルというのはDC成分、つまり全サブキャリアの平均CQI値を表しているためである。一方、図21(b)に示すように、CQI平均値を各CQI値から減算しない場合はサンプル番号1(Sample Number=1)のサンプル値は、大きい値を示している。
従って、測定された各サブキャリアのCQI値(SNR)から、全サブキャリアのCQI平均値(平均SNR)を減算した後、算出した減算値をDCT処理することにより1サンプル目の値はゼロとなり、フィードバックの際に削除しても問題ないということになる。但し、先に述べたように、このような減算を施したフィードバック情報をIDCT処理し再生する場合には、再生されたCQI情報の平均値は常にゼロとなり、受信側で観測されたCQI情報を正確に再生できなくなる。このため、本実施形態に示す減算を施す場合には、平均値を示す情報を送信側へ別途通知するものとする。このように平均値を示す情報を別途通知すると、フィードバック量を削減することにはならないとも考えられるが、全サブキャリアのCQI平均値(平均SNR)は主に距離減衰やシャドウイングに依存するため、端末が大きく移動しない限りさほど変動しない値である。
従って、フィードバック情報を通知する通信装置は、CQI平均値を常にフィードバックする必要はなく、(1)通信開始時のみフィードバックする、(2)定期的にフィードバックする、または(3)平均値が大きく変動したときにのみフィードバックする、といった方法を用いることによりCQI平均値のフィードバック回数を削減することができる。このため、全体としてフィードバック量を圧縮することが可能となる。
次に、本実施形態における通信装置の構成を説明する。図22は、第4の実施形態におけるCQI情報を通知する通信装置の送受信機構成の一例を示すブロック図であり、図23は、第4の実施形態におけるCQI情報の通知を受ける通信装置の送受信機構成の一例を示すブロック図である。図22はCQIのフィードバックを行なう側(端末)の装置構成を、図23はフィードバック情報を受信する側(基地局)の装置構成をそれぞれ示している。本実施形態では、各サンプル(サンプル群)を表現するビット数(情報量)は、図3に示したものを用いる。
図22に示すように、CQIのフィードバックを行なう側の通信装置は、図4に示す受信機27の構成に平均値算出部50および平均値減算部51が加わった構成となっている。平均値算出部50は、CQI測定部23において測定された各サブキャリアの受信品質情報(CQI)を平均して平均値を算出する。平均値減算部51は、CQI測定部23が測定した各サブキャリアの受信品質情報(CQI)から平均値算出部50が算出した平均値を減算して減算値を算出する処理を行なう。なお、平均値算出部50と平均値減算部51とを合わせた機能を演算部56とする。また、平均値算出部50で算出されたCQIの平均値(平均値情報)は、通信先の通信装置へフィードバックする必要があるため、符号部28へも入力されている。
このような構成とすることにより、図21(a)に示すように先頭のサンプルをゼロとすることが可能になり、サンプル除去部26において先頭のサンプルをフィードバックしないよう除去することにより、フィードバック量を圧縮することができる。
また、図23に示すように、フィードバック情報を受信する側の通信装置は、図5の受信機43へ平均値加算部54を追加した構成となっている。すなわち、受信機55において、受信した平均値情報を復調し、復号部22から平均値加算部54へ通知する構成となっている。平均値加算部54は、IDCT部42において再生された各サブキャリアのCQI値に、復号部22から通知された平均値情報(CQIの平均値)を加算することにより実際の受信品質情報(CQI)を算出する。このような構成とすることにより、平均値が減算されたCQI情報をフィードバックされてもCQIを再生することができる。
次に、フィードバック情報の生成・受信品質情報の再生について、図を用いて説明する。図24は、本実施形態おけるフィードバック情報を生成する動作を示すフローチャートであり、図25は、本実施形態における通知されたフィードバック情報から受信品質情報を再生する動作を示すフローチャートである。
まず、フィードバック情報の生成について図22、図24を用いて説明する。CQI測定部23は、FFT部17から入力した受信パイロットシンボルに基づいて各サブキャリアのCQI(受信SNR)を測定する(ステップS71)。次に、平均値算出部50は、CQI測定部23が測定した各サブキャリアのCQIを平均して平均値(平均値情報)を算出し(ステップS72)、算出した平均値を平均値減算部51と符号部28へ出力する。平均値減算部51は、CQI測定部23が測定したCQIから平均値を減算して減算値を算出する(ステップS73)。DCT部24は、平均値減算部51が算出した減算値をDCT処理する(ステップS74)。
量子化部25は、予めサンプル群毎に設定したビット数を用いて各サンプルの信号成分を量子化する(ステップS75)。量子化部25は、予め設定されたフィードバックするサンプル数(フィードバック数)とサンプル毎に設定されたビット数を保持している。例えば、サンプル毎のビット数は、図3の場合には、サンプル番号とビット数とを組み合わせた「サンプル番号−ビット数」情報として、「16−12、32−10、48−8、64−6」を保持している。そして、1サンプル目から16サンプル目までを12ビットで量子化し、17サンプル目から32サンプル目までを10ビットで量子化する。また、33サンプル目から48サンプル目までを8ビットで量子化し、49サンプル目から64サンプル目までを6ビットで量子化する。さらに、65サンプル目以降のサンプルについては、図3の例ではフィードバックを行なわないサンプルであるので、64サンプル目と同じか、それより少ないビット数で量子化してもよいし、量子化部25における量子化は行なわずに、入力された値をそのまま出力する処理を行なうこととしてもよい。
サンプル除去部26は、フィードバックを行なわないサンプルを削除する(ステップS76)。サンプル除去部26は、予めフィードバックするサンプル数を保持し、例えば、図3の例では、65サンプル以降を削除する。このようにして、64サンプルの信号成分がCQI情報(フィードバック情報)として生成される。
次に、受信品質情報の再生について図23、図25を用いて説明する。サンプル生成部40は、復号部22から入力したCQI情報を、ビット(ディジタル)で表現された情報から各サンプルの信号成分に変換する。具体的には、サンプル生成部40は、受信機43において復号されたCQI情報のビット列を、各サンプル(64個の各サンプル)を表すビット列(1または複数個のビット群)に適切に分割し(ステップS81)、分割したビット列をそれぞれ変換して64サンプルの信号成分へ再生する(ステップS82)。なお、サンプル生成部40は、量子化部25と同様に、フィードバックするサンプル数や各サンプルを表すビット数を保持している。ゼロ挿入部41は、サンプル除去部26が削除した65サンプル目以降のサンプル位置にゼロを挿入する(ステップS83)。ゼロ挿入部41は、ゼロ挿入を(IDCTポイント数−フィードバックされたサンプル数)分だけ行なう。
IDCT部42は、ゼロ挿入部41がゼロ挿入したCQI情報に対してIDCT処理を行ない、受信したフィードバック情報から各サブキャリアの減算値を再生する(ステップS84)。平均値加算部54は、再生した減算値へ復号部22から入力した平均値(平均値情報)を加算して各サブキャリアの受信品質情報(CQI)を再生する(ステップS85)。
このように、受信品質情報から受信品質情報の平均値を減算した減算値をDCT処理したサンプルの信号成分を用いることにより、周波数が一番低い(サンプル番号の小さい)サンプルの信号成分をフィードバック情報から削除することが可能になるため、上記各実施形態に比べてフィードバック量を圧縮することができる。
なお、本実施形態では、測定された受信品質情報(CQI)から受信品質情報の平均値を減算して、DCT処理後の1サンプル目の信号成分がゼロになるよう処理し、1サンプル目をフィードバックしないことによりフィードバック情報量を圧縮する態様を説明したが、これとは異なり、1サンプル目に割り当てられるはずのビットを高周波数領域のサンプル用に用いてもよい。例えば、平均値を減算しなければ1サンプル目に割り当てられるはずの12ビットを、65〜67サンプル目にそれぞれ4ビットずつ割り当てるといった方法で、このようにすることにより、第2の実施形態と同様、遅延分散が大きい伝搬路状況においてもCQIの再生誤差を抑えることができる。
また、第3の実施形態で示したような、領域毎の最大の絶対値で正規化を行なう手法を併用すると、周波数が最も低い領域では1サンプル目以外のサンプルが最大値を有することになり、そのサンプルで正規化が行なわれる。通常、1サンプル目は他のサンプルに比べ非常に大きな成分となるため、1サンプル目以外のサンプルで正規化が行なわれることにより、1サンプル目を用いて正規化が行なわれる場合と比較して該当する領域の各サンプルを表す分解能をより細かく設定することが可能となり、CQIの再生誤差を低減することができる。
また、上記各実施形態では、受信品質情報をDCT処理した結果をフィードバック情報とする場合を説明したが、必ずしもDCT処理に限るものではなく、受信品質情報を所定の周波数に集める変換方法であれば他の方法であってもかまわない。信号成分が大きいサンプルを表すビット数を、より信号成分が小さいサンプルのビット数より多くすることによって、サンプル間で異なるビット数で所定の方法で変換した信号成分(サンプル値)を表すことができれば、本発明を適用することができる。